ソフトバンク(☆5対3★)巨人 =オープン戦1回戦(2021.03.09)・福岡PayPayドーム=
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巨人
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ソフトバンク
11010200X5801
勝利投手:笠谷 俊介(2勝0敗0S)
(セーブ:森 唯斗(0勝0敗1S))
敗戦投手:平内 龍太(0勝1敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】周東 佑京(1号・6回裏2ラン)

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◆ソフトバンクは、松田と今宮がマルチ安打を記録。攻守の中心として期待される2人が状態の良さを示した。一方の巨人は、先発・サンチェスが4回3失点。3つの四球に加えて2つの失策を記録するなど、課題を残す内容だった。

◆巨人が敵地でのソフトバンク戦に臨む。4連敗に沈んだ昨年の日本シリーズ以来の対戦となる。 先発投手は開幕ローテ入りが有力となっているエンジェル・サンチェス投手(31)。この日から1軍合流した育成の山下航汰外野手(20)がスタメンに抜てきされた。身長2メートルの超大型新人の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)はここまでの一塁ではなく、初めて「指名打者」で起用された。 ソフトバンクは杉山一樹投手(23)が先発マウンドに上がる。

◆ソフトバンクが巨人とオープン戦。 ソフトバンクは1回に巨人サンチェスの悪送球で先制。6回に周東が巨人ドラフト1位の平内龍太投手(22=亜大)から勝ち越しの2ランを放ち、そのまま逃げ切り勝利。 巨人は2回にドラフト5位秋広優人内野手(18=二松学舎大付)のオープン戦初打点となる適時内野安打などで逆転に成功したが、3回以降は無得点に抑えられ、敗れた。

◆ソフトバンク笠谷俊介投手が巨人相手に3イニングを1安打無失点に抑え、開幕ローテーション入りへ大きく前進した。 2番手で5回から登板。5回に丸に許した1安打のみで得点を許さなかった。「調子は良くなかった。投げ急いでいたので、ゆったりとしたフォームに修正して最後のイニングはよくなった」。7回は坂本、岡本和と続く巨人の中心打者を中飛、三振に切って取り3人でピシャリ。「またひとつ引き出しが増えた」と笑みを浮かべた。 2日の中日戦(ペイペイドーム)と合わせオープン戦2戦7イニング連続無失点。「先発は試合を作らないといけない。開幕からローテをつかみ取るつもりでキャンプからきている。結果にこだわっているので結果が出てきてよかった」と声を弾ませた。

◆ソフトバンクの韋駄天(いだてん)周東佑京内野手(25)が、豪快な1発で巨人を倒した。3-3で迎えた6回、1死一塁からオープン戦初アーチの決勝2ランを右中間テラス席に運んだ。2年連続「1番二塁」の座を射止めるため、磨いてきた打撃が火を吹き、3打点の活躍。昨季の盗塁王が、足だけでない、打撃力もアップして、今年もチームを引っ張る。自慢の快足を披露するまでもなかった。周東がバットで快音を響かせた。3-3同点の6回1死一塁、巨人ドラフト1位平内から、右中間のテラス席に飛び込む1発。オープン戦とはいえ、昨年セ・リーグ覇者の巨人から勝利を呼び込む決勝2ラン。軽やかにダイヤモンドを1周し、一塁側ベンチでナインの祝福を受けると、握り拳を作った。 周東 アピールしないといけない立場なので。まだレギュラーでもない。キャンプから振る量は増えている。成果は少しずつ出せている。 キャンプでは右肩の不調もありB組スタート。途中からA組となり、小久保ヘッドコーチの指導の下、振り込んできた。オープン戦に入っても「2部練習」で打ち込んでからゲームに入っている。「あきらかに今年は量は増えている。スイングは速くなった」と打撃向上に手応えを感じていた。昨年つかんだ「1番二塁」の定位置を手離すわけにはいかない。足だけでなく、キャンプで磨いてきた打撃力を発揮した。 2回の守備では記録に残らない"ミス"を犯していた。1死満塁で二ゴロを処理して併殺にしようと、遊撃今宮にトスしようとしたが球が手に付かず落球。なんとか二塁はアウトにしたが3失点目を許した。6回には二塁ベース付近への難しい当たりをダッシュして好捕するファインプレーを見せ、その裏に勝ち越し弾を放って見せた。「落ち着いてプレーしないといけないのにミスしてしまった。状況判断していかないといけない」。レギュラー取りに向け、ミスは必ず取り返す。攻守に執念を見せた。 夏には東京五輪が控えている。キャンプでは稲葉監督の視察も受け、侍のユニホームにも人一倍意識はある。「代走専門」だった19年のプレミア12から「ジャパンの1番二塁」への変身を狙う。【浦田由紀夫】 ▽ソフトバンク工藤監督(周東の決勝2ランに)「小久保ヘッドとエンドランかけてみますかと話していたら打ちましたね。彼の良さは四球、安打で塁に出て走る。投手に集中させない。そういう期待の部分も大きいですが、ホームランも時にはいいですね」 ▽ソフトバンク今宮(8番ショートで先発出場し2安打)「チーム打撃を心がけてヒットを打つことができた。打撃もいい状態が続いていると思う。コンディションをしっかりと整えてシーズンに向けて1日1日、集中していきます」

◆ソフトバンク松田宣浩内野手がオープン戦初のマルチとなる2安打をマークした。 2回の1打席目で中前打を放つと、4回にも中前打。「バットをかつぐような構えに戻していい結果が出た」とニッコリ。ともにイニングの先頭打者として出塁して2得点とチームの勝利にもしっかり貢献し「みんなでいい争いをして開幕を迎えられたらいい」と舌もなめらかだった。

◆ソフトバンク先発の杉山一樹投手が、4回5安打3失点と結果を残せなかった。 直球とカットボールで勝負する、というテーマでマウンドに上がったが制球に苦しんだ。2回1死から安打と2四球で満塁とし3点を失った。「カウントを悪くしてから腕を振って投げられず、リズムが悪くなった」と唇をかんだ。 開幕ローテ入りへ次回がラストチャンス。「腕を振った中でコースに投げ切るという意識を大事にしていきたい」と巻き返しを誓った。

◆まだオープン戦だから、そんなに喜ぶことでもないのだろうが、ソフトバンクが巨人に逆転勝ちして対巨人12連勝とした。19年の交流戦3戦目に白星を挙げ、その年の日本シリーズで4連勝。昨年はオープン戦2連勝で、2年連続の顔合わせとなった日本シリーズでも再び4連勝。そして今年初対戦で白星。カモと言っては失礼だが、それにしても強い。両軍ともに開幕への調整段階。ベスト布陣でもなく、勝負にこだわってはいないものの、やはり試合である以上は勝ったほうがいい。 ホークスは残り3枠となった先発ローテ入りへ向け杉山、笠谷が登板。4回3失点の杉山に対して笠谷は3回1安打無失点。左腕笠谷は開幕2カード目のオリックス戦(京セラドーム大阪)の先発登板に当確ランプをともした。最速157キロ右腕の杉山は制球に課題を残した。次回登板が先発テストのラストチャンスか。武田、大竹も好投しているだけに、まだまだ厳しいローテ枠争いとなるだろう。エース千賀も12日にはファームで登板予定。1軍合流もそう遠くないから、不安視された「先発枠」もそれほど心配することはないのかもしれない。むしろ、2021年型の「勝利の方程式」を確立させることが重要だろう。守護神森に8回モイネロは確定だが、6、7回のセットアップがペナントの鍵を握る気がする。右肘に違和感が出た岩崎の状態が心配だが、ワンポイントでの起用が多い嘉弥真にイニングを任せる手もある。この日、8回1イニングを投げた嘉弥真は2三振を奪い、きっちり3者凡退で仕留めた。「先行逃げ切り型」のホークスにとって、小柄なサウスポーは貴重な存在になると思うのだが...。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆8日に札幌から福岡入りした巨人に、育成の山下航汰外野手(20)が合流した。6日の教育リーグ・西武戦では本塁打を放つなど5打数4安打2打点。昨季は右手の有鉤(ゆうこう)骨骨折に苦しんだが、19年に高卒新人ながらイースタン・リーグの首位打者に輝いた打撃を取り戻し、支配下登録の返り咲きに向け、まずは1軍切符をつかんだ。 育成選手ながら、山下が加わったことで1軍の野手は18人に。12日のオリックス戦(京セラドーム大阪)からは中島と亀井も加わり、野手は総勢20人に膨らむ。コロナ禍による特別ルールで、今季も1軍ベンチ入りは26人と通常より1人多くなる。原辰徳監督(62)は「みんな、そこそこ頑張ってくれてるもんね」と野手陣のアピールを喜ぶ一方で、「その中でも(野手は)17人くらいにはしなきゃダメだなと思うね。致し方ない。20人で動いても効率が上がらないよね」と、うれしい悲鳴を上げた。 「メガゴジラ」の存在が、競争をさらに激しくさせている。球界で最長身となる身長2メートルのドラフト5位の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)は対外試合で31打数8安打で、オープン戦に限れば9打数3安打で打率は3割3分3厘。6日の日本ハム戦(札幌ドーム)で07年坂本勇人以来となる巨人の高卒新人のオープン戦安打を記録すると、翌7日の同戦では2安打を放ち、伝統球団では93年の「ゴジラ」松井秀喜以来となる高卒新人のオープン戦マルチ安打を決めた。秋広は自らのバットで「1軍経験を積ませる」→「試してみる」→「戦力として起用する」という位置まで、自力で階段を上ってきた。59年王貞治以来となる球団の高卒新人の開幕スタメンも夢物語ではなくなっている。 新戦力もサバイバル激化に拍車を掛ける。1日にヤクルトからトレードで加入した広岡大志内野手(23)は、移籍4日目の古巣戦で移籍後初アーチを描いて初のスタメン起用に応え、1軍の戦力になっている。「個の能力を高めた上での高いレベルでの競争」を求めてきた指揮官は「仮に秋広が(開幕)メンバーに入ったりすると大変だよね。メンバー構成が。広岡にしても、もし入るようなことがあったらね。かなりレベルが上がっているような気がするね」と、うなずいた。 百戦錬磨の中島と亀井は、コンディションさえ整っていれば開幕メンバーに名を連ねるだろう。秋広や広岡だけでなく、若林、北村、増田大らも1軍で懸命なプレーでアピールを続けている。ベテラン2人の合流前ラストとなる福岡での王者ソフトバンクとの2連戦は、開幕メンバーを占う試金石になる。【浜本卓也】

◆巨人野上亮磨投手(33)が、今日9日からのオープン戦ソフトバンク戦(ペイペイドーム)で581日ぶりの"1軍登板"に臨む。 開幕ローテ争いに食い込めるか。中継ぎでも何でもやる。昨オフの1億2000万円減の年俸3000万円で契約を更改。背水のシーズンに挑むFA右腕は「自分の置かれている立場は分かっています。やるしかない。最後の最後までそのつもりでやっている」。2月の宮崎2軍キャンプで若手に交じりながら汗を流してきた。 17年オフ。西武から複数球団争奪戦の末、巨人にFA移籍した。背番号は「23」。入団会見では「日産ですかね」とプロ入り前の古巣、社会人の日産自動車をちらつかせた。嫌みなく笑いをとる。無口のような印象を与えつつ、話せばおちゃめで愉快だ。一方で九州男児を絵に描いたような寡黙さを兼ね備える。まさに、ギャップを凝縮したような男だ。巨人移籍1年目の18年春季キャンプで周囲の度肝を抜いた。キャンプ中盤の2月12日に一心不乱に400球を投げ込んだ。実戦登板後にそのままブルペンに直行。10年以上のキャリアを持つ用松ブルペン捕手も「いつまで投げるんだろうと...」と目を丸くした。 19年の日本シリーズ前だった。宮崎フェニックスリーグで調整登板した10月20日。左アキレス腱(けん)を断裂する大けがを負った。長いリハビリ生活を余儀なくされた。ギプスで固定されたまま車を運転し、ジャイアンツ球場に通った。「やれることをやるしかない。やれることしかできない。いろんな思いはある。それは復帰してからにとっておきます」。心中とは裏腹に明るく装い、笑った。 昨季6月に2軍戦で実戦復帰を果たした。18試合に登板し、0勝3敗、防御率4・98。完全復活とは言えない。1軍マウンドにはとどかなかった。阿部2軍監督は「野上はスマートに見えるけど、投げて、走って、つくってきたタイプ。去年はケガから復帰したばっかだから走れなかったんだろうな」。今季2月の宮崎キャンプで居残りで、黙々と走り込む右腕を遠目で見ながら言った。若手は片付けを終え、三々五々、宿舎へと引き揚げていた。「こういう姿から若手は勉強しなければいけない」とも付け加えた。 ゼロから積み上げ直した下地で開幕1軍入りへの勝負に出る。先発ローテは開幕投手に内定している菅野に続く戸郷までは確定。サンチェス、井納も順当にいけばローテ入りする見込み。残り2枠を今村、高橋、畠、平内らと争う情勢になる。中継ぎとしては、ロングリリーフの経験も武器になる。ピンチでの粘り、勝負どころでの度胸が投球スタイル。野上が文字通り「背水のマウンド」へ挑む。(金額は推定)【為田聡史】

◆巨人ドラフト5位の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)がオープン戦初打点を挙げた。1点を追う2回1死満塁、カウント1-1からソフトバンク杉山の大きく曲がる縦スライダーをフルスイング。クリーンヒットとはいかなかったが、遊撃手の前に転がし、同点の適時内野安打とした。 「当たりは良くありませんでしたが、内野安打となり打点がついたことはうれしいです。積極的に打ちにいったのだけは良かったかなとは思います。次、頑張ります」と先を見据えた。 試合前時点で、オープン戦3試合に出場し打率3割3分3厘。球団高卒新人では07年坂本勇人以来の安打、93年松井秀喜以来のマルチ安打をマークしている。

◆巨人野上亮磨投手が、地元福岡で復活への1歩を踏み出した。ソフトバンクとのオープン戦で581日ぶりの1軍マウンドに上がった。 7回から3番手で登板し、2イニングを2安打無失点。最速145キロの直球にチェンジアップ、フォークを織り交ぜ、4奪三振で猛アピールした。「変化球は低めに集めることができた。1日も無駄にせず毎日やってきた。まずは無失点だったので1歩進めたかなと思います」と胸をなで下ろした。 2月の2軍宮崎キャンプの初日。阿部2軍監督から「踊るように投げようぜ」と言われた。「躍動感ですよね。キャンプをしっかりとやれたのが大きい」と若手より走り込み、チーム最多の投球数を投げ込んだ。19年10月にアキレス腱(けん)を断裂。昨季は1軍登板なしに終わった。復活を期す右腕に宮本投手チーフコーチは「リリーフ。ロングもできる。開幕1軍の可能性も十分にある」と高評価した。

◆巨人原辰徳監督がサンチェスの立ち上がりの内容を指摘した。 1回先頭の周東の平凡な投ゴロを一塁への悪送球で打者走者を二塁まで進めた。2死一、三塁からは打者栗原のときに一塁けん制で悪送球し、先制点を献上。 「先頭打者をちょっと出し過ぎる。ピッチャーゴロを二塁打にしちゃあまずいよね」と注文をつけた。ソフトバンク戦はオープン戦、交流戦、日本シリーズを含め、19年6月23日の交流戦から12連敗となった。

◆巨人ドラフト1位の平内龍太投手(22=亜大)が制球の乱れを反省した。 6日の教育リーグ西武戦から中2日で2番手として登板し、2回を2安打2失点。6回1死から甲斐を四球で歩かせ、続く周東に直球を右中間席へ2ランを運ばれた。「思った以上に力んでしまい、3四球を出してしまった」と敗戦投手に沈んだ。次回は16日の中日戦で登板予定。開幕ローテ入りへ最後のアピール機会となる。 ▽巨人サンチェス(先発し4回4安打3失点)「なかなかいいリズムに乗れなかったが、ここまでいい調整ができています。良い球もあったので増やしていきたい。今年のテーマは『1日一歩ずつ前に』。しっかりと進んでいけたら」

◆「メガゴジラ」が「ゴジラ」に並んだ。 巨人ドラフト5位の秋広優人内野手(18=二松学舎大付)が、球団高卒ルーキーでは93年の松井秀喜以来となるオープン戦での打点を挙げた。1点を追うソフトバンク戦の2回1死満塁、遊撃への適時内野安打で3試合連続安打を決めた。この日は、3打数1安打1打点。7日の日本ハム戦では松井以来のマルチ安打もマークしていたが、高卒レジェンドの記録にまたも肩を並べ、59年王貞治以来の高卒新人の開幕スタメンが見えてきた。がむしゃらに一塁まで走った。秋広は1点を追う2回1死満塁、ソフトバンク杉山が2球続けた縦に大きく曲がるスライダーに狙いを定めた。フルスイングも打球は遊撃前にボテボテに転がった。「終わったと思いました...」が本音。50メートル6秒2の快足をとばし、適時内野安打とした"プロ初打点"をマーク。「打点がついたことはうれしいです」と18歳らしく無邪気に笑った。 オープン戦に入りレジェンドたちの記録をわしづかみにしてきた。初安打、初マルチに続き、本家ゴジラ以来の初打点にも手を掛けた。高校2年の冬からの「心のやる気スイッチ」がプロ入り後も継続的に上昇気流をもたらしている。当時、夕食時に500グラムを盛ったラーメンどんぶり3杯の白米をノルマにしていた。胃袋に流し込むので精いっぱいだったが、自発的に炊飯器に足が向かうようになった。 1軍最年少としてキャンプ途中から先輩たちの輪に加わった。必死に食らいつく姿勢の中で吸収力と実行力が際立つ。7日の日本ハム戦の前に原監督からバットの出し方を教わった。この日の試合前にもアドバイスを受けると、打席に入る前にも同じ動作を繰り返して確認した。「高卒1年目で試合に出させてもらって、コーチの方や選手の方、監督もたくさんアドバイスをくれる。それがいい結果になっているのかなと思います」と感謝が原動力にもなっている。 胸にとどめる言葉がある。「野球は心でやるもの」。高校入学時から潜在能力を引き出してくれた二松学舎大付の市原勝人監督(55)から3年間、投げかけ続けられた言葉だ。2年連続で日本一を阻まれた難敵ソフトバンクを相手に、この日はチームで唯一フル出場した。「(ドラフトで)ジャイアンツに決まってテレビで見ていた。自分も優勝に貢献できるようにやっていきたい」。身長2メートルの超大型新人がリベンジに燃える巨人の一員に加わった。【久永壮真】

◆巨人・野上亮磨投手(33)が七回から3番手で登板。2019年8月6日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、581日ぶりの1軍マウンドで2回2安打無失点、4奪三振と好投した。  七回。先頭の真砂を直球で空振り三振。栗原に右前打を許したが、続く上林を左飛、佐藤直をフォークボールで空振り三振に仕留めた。八回は先頭川瀬を中飛、リチャードを空振り三振。牧原に左前打を浴びたが、三森を144キロの直球で空振り三振に斬った。  19年10月に左アキレス腱(けん)を断裂。昨年6月に2軍戦で復帰するも、1軍登板なしに終わっていた。野上が完全復活に向け、大きな一歩を踏み出した。

◆巨人のドラフト1位ルーキー平内(亜大)は五回から2番手で登板し2回2失点と振るわなかった。3四球と制球を乱し、六回には甲斐への四球の直後に周東に2ランを浴び「ストライクを取りにいった球を打たれた。自分が思っている以上に体が力んでしまった」とうなだれた。  キャンプでは開幕ローテーション候補に挙げられたが、実戦で結果が伴っていない。16日の中日戦が最終テストとなりそうで、宮本投手チーフコーチは「真っすぐをきっちり投げ分けないと。だいたいでは駄目」と課題を示した。

◆巨人のドラフト1位ルーキー平内(亜大)は五回から2番手で登板し2回2失点と振るわなかった。3四球と制球を乱し、六回には甲斐への四球の直後に周東に2ランを浴び、うなだれた。  元巨人監督の堀内恒夫氏(73)はこの日、自身のブログで「良いボールはある。フォークがいい。これは見るべきものがあるフォークだ。ストンと落ちてフォークとわかっていても打てないと思うよ」と評価した。  その一方で「いくらフォークが良くてもそれを投げるまでのカウントをかせぐボールのコントロールがない。きっと、今の平内にアウトコース低めに3球続けて投げさせてもいかないだろうね」と指摘。「フォアボール出してガーンとホームラン打たれちゃ防ぎようがない。ピッチャーとして一番やっちゃいけないパターンだよ。フォークを生かすためのピッチング これを、お願いしますね!」と奮起を促した。

◆ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ外野手(34)が1軍本隊に合流。「体調面は問題ないし、自宅でやれることはできたと思う。あとはこれから調子を上げていくだけです」とコメントした。  デスパイネは2月21日に来日。2週間の隔離期間を経て、この日にチーム合流を果たした。キューバ国内リーグでもプレーを続けていただけに、コンディション面はばっちり。体重についても「昨年から9キロから10キロくらい絞ってきた」という。目標を問われると「毎年同じ。チームの勝利に貢献するだけ。勝つことしか考えていないです」と言い切った。  昨年は打率・224、6本塁打、12打点だった。実戦復帰のメドについては「まだ未定。合流したばかりなので、今から日々の状態を確認しながら。コーチ陣と相談しながら。ただ、オープン戦の間には試合に出たい」とした。鷹5年目の大砲が、今年も頼りになりそうだ。

◆ソフトバンク・武田翔太投手(27)が10日の巨人とのオープン戦に先発する。意気込みを明かした。  「テーマは今やっていることを続けること。あしただけじゃなくて1週間を通してのコンディションというか。そういう流れでやった上でどうなのか」  5イニングの予定。前回登板は3日の中日とのオープン戦(同ドーム)で4回1安打無失点と結果を残した。巨人戦のマウンドでも「自分のやりたいことを」と貫いていくつもり。残り3枠となっている開幕ローテ入りへ、ゼロだけを刻んでアピールしたい。  笠谷、杉山らとの競争が続く。10年目の武田も「(他の投手の結果は)気にはしています。いいピッチングをしているので。負けないように頑張りたい」と力を込めた。2年ぶりの開幕ローテをつかみ取る。

◆ソフトバンク・杉山一樹投手(23)が先発し、4回5安打3失点だった。最速は155キロを計測した。  一回は無安打無失点も二回に暗転した。1死から大城に左前打。ウィーラー、山下に四球を与え1死満塁とされると、迎えたのは売り出し中の高卒ルーキー・秋広だ。変化球がバットの先をかすめると、ぼてぼての打球が遊撃前へ。適時内野安打となった。続く梶谷は、中途半端なスイングになるも、打球は勢いなく三塁前に転がる内野安打。計3安打2四球を集められ3点を失った。  開幕ローテーションは石川、和田、高橋礼が確定させている。試合前に工藤監督も「彼の持っているもの、納得できるものを出してもらうのが一番」と期待していた。残りの3枠を笠谷、武田らと争ってきた杉山だが、猛アピールとはいかなかった。

◆ソフトバンク・周東佑京内野手(25)が勝ち越しのオープン戦1号2ランを放った。  「つなぐ意識で打席に入った結果、最高の形になりました。キャンプからしっかり振り込みをしてきたのでスイングに力強さが出てきたと思います。セカンドのレギュラーへ日々アピールという立場なので、結果を求めてやっていくだけです」  3-3の六回。1死から甲斐が四球を選ぶと、打席には周東だ。巨人のドラフト1位・平内の直球を振り抜くと、打球は放物線を描いて右中間テラスに着弾した。試合前までオープン戦打率・143。ほっとしたような表情で、ホームまで帰ってきた。  巨人とは昨年の日本シリーズ以来の激突。両リーグで球界を引っ張るチームとの対戦に注目が集まる中、周東の一発でホークスがこの試合、初のリードを奪った。

◆ソフトバンクの笠谷が3回1安打無失点と好投し、初の開幕ローテーション入りへ大きく前進した。五回に2番手で登板。制球が荒れ気味で「調子は本当に良くなかった」と言うが、徐々に力みが取れ、七回は2三振を奪って三者凡退に仕留め「また一つ引き出しが増えた感じがある」と手応えを語った。  2日の中日戦の4回無安打無失点に続く好投。工藤監督は先発入りについて「結論はもうちょっと待って」としつつも「あれだけいい投球をしてればコーチもある程度固まっている部分もあるんじゃないか。お互いに確認して最終的に決めたい」と前向きだった。

◆プライドと意地がぶつかり合う。両リーグを引っ張る盟主にとっては、春も結果が全てだ。ソフトバンク・周東が決勝のオープン戦1号2ラン。祈るように見つめた白球は右中間のホームランテラス席で跳ね、ホークスを勝たせた。  「練習でもなかなかあそこに入ることない。頼むから外野は越えてくれと思っていました」  3-3の六回1死一塁。巨人のドラフト1位・平内(亜大)の直球をすっと振り切った。試合前までオープン戦打率・143で「打てていないので、そうなると使ってもらえない」。昨季50盗塁でタイトルに輝いた男ですら、危機感にまみれた一撃だった。  「まだまだレギュラーではないので。目立てるようにアピールしたい」  昨年の日本シリーズでは4連勝で巨人を退け、頂点を見た。しかし、その中で周東は打率・063。心の底から歓喜を味わうことはできなかった。この日は二回1死二、三塁でも中犠飛を放ち、計3打点。年をまたいだリベンジだ。  継投も決まり、鮮やかな逆転勝利が完結。工藤監督も「走るというのが彼の持ち味。ホームランもときにはいいなと思います」とにっこり笑った。巨人には2019年6月23日の交流戦(東京ドーム)から日本シリーズ、オープン戦を含めて12連勝。指揮官は「チームの中で試すことがある。自分のチームをしっかりやっていくことが何より大事」としたが、5年連続日本一に向けて、死角はどこにもない。  「周りの選手に負けたくない。まだまだアピールしないといけない立場なので」と周東。オープン戦は4勝2敗となりパ・リーグ首位(全体2位タイ)に躍り出た。伝説のV9を超えるまで、ホークスは巨人に勝ち続ける。(竹村岳)

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