ソフトバンク(☆4対3★)阪神 =オープン戦3回戦(2021.03.07)・福岡PayPayドーム=
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阪神
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ソフトバンク
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勝利投手:和田 毅(1勝0敗0S)
(セーブ:泉 圭輔(0勝0敗2S))
敗戦投手:チェン・ウェイン(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(1号・1回表ソロ),陽川 尚将(1号・6回表2ラン)
【ソフトバンク】甲斐 拓也(1号・2回裏満塁)

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◆ソフトバンクは真砂が3打数3安打の活躍。開幕一軍入りへ、首脳陣にバットでアピールした。一方の阪神は外国人投手4人が登板。先発のチェン・ウェインが3回4失点と課題を残すも、2番手のガンケル以降は相手打線を無失点に抑えた。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神がチェン・ウェイン投手(35)、ソフトバンクが和田毅投手(40)。前日6日の同戦で本塁打を放っている4番の大山悠輔内野手(26)は2戦連発なるか。また、ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)は2試合連続で2番起用となった。

◆ソフトバンク和田毅投手(40)が、阪神ルーキー、ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)にプロの洗礼を浴びせた。1回の初対決で3球勝負で直球での空振り三振に仕留めると、3回の第2打席ではフルカウントから空振り三振。3打席目も二直に抑え、3打席無安打と、プロ19年目を迎える左腕が、格の違いを見せつけた。 5日に石川から逆方向への本塁打を放っていたルーキー。対戦を楽しみにしていた。「対戦するたびにアジャストしてくる。ルーキーとは思えない対応力を感じた。今日はたまたま抑えられたけど、交流戦ではしっかり抑えられるようにしたい」。若き虎のスラッガーに「称賛」のコメントをつらねたが、その「対応力」の上を行く投球だった。3回の2打席目は7球連続でファウルで粘られた。変化球も直球もついてきた。「簡単にはいかないな」。気合を入れると、内角直球のボール後に外角へのワンバウンドになるチェンジアップで空振り三振。貫禄を見せつけた。 ピンチにも動じず5回を1失点にまとめたが、この日はカーブを多投した。「あまりうまくいかなかった」と反省していたが、この日76球中、11球も投げ込んだ。昨シーズン中、カーブの割合は約7%だったがこの日は約14%。今季の目標に完投を掲げる左腕にとっては武器になる。降板後に工藤監督からアドバイスを受けるとブルペンで20球ほど投げ「次はうまく使えそう」と手応えもつかんだ。 工藤監督も「いい仕上がりですね」と目を細めた。19歳年下のルーキーにも刺激を受けた"不惑左腕"は今季も進化し続ける。【浦田由紀夫】 ▽ソフトバンク二保(2番手で6回から登板。3イニングを4安打3四球2失点)「狙ったところに投げ切ることができず、逆球を痛打され失点につながった。まだまだ自分の投球ができていないので、練習から強い意識を持って取り組んでいきたい」

◆オープン戦初スタメンのソフトバンク真砂勇介外野手が猛打賞の活躍で初の開幕1軍入りへ猛アピールだ。 2回に先発の左腕チェンから右二塁打、3回には左前打を放つと、5回にはガンケルから左前に運んだ。「左投手で先発出場だったので、アピールしなければと思った」。オープン戦ではチームトップの2本塁打を放っているが、激しい外野手争いを勝ち抜くためにはさらにどん欲に結果を求めるつもり。「開幕1軍はまだ果たせていないので、頑張りたい」と気持ちを高めた。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手の一振りで試合をひっくり返した。1点を追う2回無死満塁、阪神先発チェンの初球を左翼テラス席に運ぶ満塁弾。「絶好のチャンスで、最低限の打撃を心掛けて打席に入った。チェンジアップをうまく拾うことができ、最高の結果になった」。 球界を代表する捕手に成長したが、打撃向上は毎年のテーマ。前日(6日)も右翼フェンス直撃の二塁打を放ち連日の長打に手応えも感じ取った。「キャンプから数多く振り込んできたので、自信を持って打席に入っています」。OB野村克也氏の背番号「19」を背負って2年目。今季は打てる捕手も猛アピールする。

◆ソフトバンク・工藤公康監督(57)が試合前に取材に対応。右肘違和感のため、前日6日に佐賀市内の病院で検査を受けた岩崎翔投手(31)に「本人もいくことで安心もするし、現状も把握できるので」と安心した表情だった。  守護神・森は万全に調整中。通算106セーブの実績もあり、今季も九回を任される。そこに至るまでの方程式について工藤監督が説明した。  「開幕に絶対、確立しておかないとチームが勝てないという状況ではない。柔軟性を持ってやらないと。一つ崩れると、全部が崩れることにもなりかねないので」  昨年はモイネロが八回に君臨し、40HPで最優秀中継ぎに輝いた。今季は新型コロナウイルスの影響で来日が遅れ、まだ実戦マウンドに立てていない。工藤監督は「モイネロが遅れたとしてもモイネロの代わりに誰を使うのかというのも踏まえて、考えて。シミュレーションしながら。復帰したら厚みが出るわけですから」と続けた。  嘉弥真、泉ら昨年に結果を残した選手も順調に調整を重ねている。5年連続日本一を狙うための、必勝パターンも注目だ。

◆ソフトバンク・工藤公康監督(57)が試合前に取材に対応した。リハビリ組で調整中の東浜巨投手(30)の現状について説明した。  「なかなかピッチングに入るタイミングも含めて2日か3日に1回しか入れないというのは耳にしています」  東浜は昨年12月に新型コロナウイルスに感染。隔離期間を経てチームに合流したが、春季キャンプはリハビリ組での調整に終始した。指揮官は「ちょっとキャンプからも含めて球数が投げられていないところはありますね。球威も含めて、まだ全力というところではない」と続けた。  昨年開幕投手を任され9勝を挙げるなど日本一に貢献した柱の1人。両ふくらはぎのコンディション不良で、同じくリハビリ調整中の千賀は12日の春季教育リーグ・中日戦(タマホーム筑後)で実戦復帰するもようだが指揮官は東浜に「千賀君よりはちょっと遅れている」とした。

◆ソフトバンク・甲斐拓也捕手(28)が二回無死満塁、左翼テラスにグランドスラムを放った。  「0アウト満塁という絶好のチャンスで、相手左投手の入ってくるボールを逆らずに最低限のバッティングを心掛けて打席に入りました。その結果チェンジアップを拾うことができ、最高の結果になりました」  阪神に連敗して迎えたこの日、一回にマルテに先制ソロを許した。二回無死から栗原、真砂、佐藤直の3連打で満塁として甲斐だ。初球の130キロを強振。放物線を描いて、白球はテラス席で跳ねた。オープン戦1号は最高の結果としてあらわれた。  「キャンプから数多く振り込んできたので、自信を持って打席に入れています」  甲斐はプロ通算34本塁打。レギュラーシーズンでの満塁弾は、2017年5月2日の西武戦(当時ヤフオクドーム)で放ったプロ初本塁打以来だ。圧倒的な守備力だけじゃなく、勝負強い打撃で逆転に成功した。

◆ソフトバンクは二回に甲斐が満塁本塁打を放ち勝負強さを発揮。定位置奪取を狙う真砂が3安打で猛アピールした。先発の和田は5回1失点と順調な仕上がり。阪神は先発枠入りが有力なチェンが、3回8安打4失点と不安を残した。

◆ソフトバンク・和田毅投手(40)が先発して5回5安打1失点だった。76球を消化した。  「調子はよくなかったですけど。こういう体の状態のときもあるので、そういうときだと思って投げました」  一回2死からマルテに左翼席へソロ。二回も連打で無死一、二塁とされるが北條を投ゴロ併殺。中谷を空振り三振で切り抜けた。その後も走者を出しながらも、要所を締めて6三振だ。注目のルーキー・佐藤輝を2三振含む3打数無安打に抑え「対戦するごとにアジャストしてくるのを感じましたし。とてもルーキーとは思えない対応力を、投げていて感じたので。次対戦するときも怖い」と話した。  和田はすでに開幕3戦目、3月28日のロッテ戦(ペイペイドーム)での先発が決定している。今後の調整について「この時期にこういうピッチングができたのも一つの練習。次は90球から100球、より本番に近い形で投げると思う」と意気込んだ。

◆ソフトバンクの甲斐が0-1の二回に満塁本塁打を放った。無死満塁で「何とか1点、犠牲フライでも」と初球の変化球を打ち上げる。左翼からせり出すホームランテラス席に届き「最高の結果になった」と笑った。  正捕手として、オープン戦では、シーズン中はあまりしない配球をあえて試す。幅を広げるために投手とのコミュニケーションを欠かさず「ただ単に打たれた、抑えたで終わるのではなく、そこから先の話ができるように」と、開幕までの道筋を見据えた。

◆正捕手の一撃で、3タテは免れた。のけ反るようなフルスイングで鷹を救ったのはソフトバンク・甲斐だ。4年ぶりのグランドスラムで試合を決定づけた。  「何とか1点という気持ちだったので。ホームランになるとは思わなかったです」  逆転のチャンスは二回だった。3連打で無死満塁として甲斐が打席に立つと、初球の130キロを強振。白球は左翼テラスに跳ねた。甲斐にとって満塁弾は、レギュラーシーズンの2017年5月2日の西武戦(当時ヤフオクドーム)で放った初本塁打以来だ。  虎の注目ルーキー、佐藤輝にも言及した。3試合全てで先発マスクだった甲斐はマスク越しの印象を「ルーキーであのポイントで打てる打者はなかなかいないんじゃないかなと。後ろから見ていて、スイングも速く、ポイントも近くていい打者だなと感じました」と明かした。チームはオープン戦は3勝2敗。勝敗の鍵を握る捕手として、全ての経験を糧にして進む。(竹村岳)

◆阪神・佐藤輝明内野手(21)は試合前の打撃練習で26スイング中、さく越えは6本。右翼方向に5本の"アーチ"を放ったが、低い弾道で左翼に運ぶなど、持ち前のパワー&テクニックを披露した。  佐藤輝は5日のソフトバンク戦で開幕投手に内定している石川から左翼にオープン初打席初本塁打。6日の同2戦目で下手投げ右腕の高橋礼と対戦して左前打を放っている。この日の相手先発は日米通算143勝左腕の和田。オープン戦開幕から3試合連続で安打を放つことができるか、に注目が集まる。試合は午後1時からスタート。

◆「3番・一塁」で先発出場した阪神のジェフリー・マルテ内野手(29)が、一回の第1打席に左翼席へ先制のソロを放った。  2死から打席に向かうと、不惑の40歳を迎えたソフトバンク・和田の139キロの直球を一閃。白球はあっという間に左翼スタンドへ弾んだ。実戦3試合目、7打席目での今季初アーチ。ベンチに戻ると満面の笑みを浮かべた。  ソフトバンクとのオープン戦3連戦は5日にD1位・佐藤輝(近大)、6日は大山が左翼へホームランを放っており、これで3試合連続の先制。王者相手に、虎打線が一発攻勢で先手を奪っている。一塁のポジションを争うサンズが2試合連続でアーチを描く中、M砲も負けじと猛アピールだ。

◆先発した阪神のチェン・ウェイン投手(35)は3回を投げ、8安打4失点。甲斐にグランドスラムを浴びた。  二回、先頭の栗原に投手強襲の内野安打を許すと、連打で無死満塁のピンチを背負う。甲斐に対して、初球...。チェンジアップを痛打され、打球は左翼ホームランテラス席へ。2月28日のヤクルト戦(浦添)以来、今季2度目の実戦登板は、毎回安打を許す、苦しい投球となった。

◆「5番・右翼」で先発出場した陽川尚将内野手(29)が、六回の第3打席で左翼席へ2ランを放った。  「追い込まれていたので食らいついて打ちにいきました。うまく打つことができてよかったです」  1-4で迎えた六回1死一塁。カウント1-2から5球目、ソフトバンクの2番手・二保の144キロ直球を完璧にとらえた。2月20日の中日戦(北谷)以来となる"ゴリラパンチ"で阪神は1点差に迫った。

◆阪神はソフトバンクに逆転負け。オープン戦の連勝は2で止まった。  1-0で迎えた二回、先発のチェンが栗原に投手強襲の内野安打を許すと、連打で無死満塁のピンチ。甲斐に対して、初球。チェンジアップを痛打され、逆転のグランドスラムを浴びた。チェンは3回を投げ、8安打4失点。毎回安打を許す苦しい投球となった。  2番手以降はガンケルが3回3安打無失点。エドワーズは1回をピシャリと抑え、八回は今季実戦初登板となったスアレスがマウンドへ。四球と安打で二人の走者を背負うも、1回を無失点に抑え、助っ人リレーの最後を締めた。  打線は一回、マルテが左中間スタンドへ今季実戦第1号のソロを放ち、先制。1-4で迎えた六回は1死一塁から陽川が2ランを放ち、1点差に迫るも、あと一本が出ず。連日の2桁安打で作った好機を生かせなかった。

◆阪神の陽川が六回に二保の内寄りの144キロを完璧に捉え、左翼席中段に特大2ランを運んだ。パワーを見せつけた打棒とは裏腹に「追い込まれていたので、次につなごうとコンパクトに振ろうと思っていた」と談話は控えめだった。  キャンプ中から好調を維持し、実戦でもアピールを続ける。29歳でプロ8年目を迎え、1軍定着へ「しっかりと結果を残していかないといけない立場。一試合一試合が大事」と危機感を口にした。

◆阪神・陽川尚将内野手(29)が7日、ソフトバンク戦(ペイペイドーム)に「5番・右翼」でスタメン出場。六回にオープン戦1号2ランを左翼席へ運び、定位置奪取へ猛アピールした。南国・沖縄から博多までの実戦14試合で打率・364(33打数12安打)、2本塁打、5打点と好調を維持。元祖・ゴリラポーズ連発で開幕レギュラーをつかみとる。 ◆「元祖ゴリラ」vs「シン・ゴリラ」  虎の"元祖ゴリラ"のドラミングが博多の地に力強く鳴り響いた。これぞ長距離打者という大アーチで、陽川がオープン戦1号2ランだ。  「手応えはよかったです。追い込まれていたので食らいついて打ちにいきました。結果を残していかないといけない立場なので、その気持ちがいい方につながっている」  1-4の六回1死一塁。代走で出場した近本を警戒し、再三けん制球を投げる2番手・二保の"揺らぎ"を見逃さなかった。カウント1-2から内寄りの144キロ直球を捉え、左翼席中段まで運んだ。  「コンパクトに振ろうと思って、ああいう結果につながってよかった」とうなずくと、ベンチ前ではおなじみのゴリラポーズで追撃ムードを演出。2月の1軍キャンプではD1位・佐藤輝も本塁打を放った際にゴリラパフォーマンスを披露。ファンに"シン・ゴリラ"として認知された。  お株を奪われた先輩は「チームに浸透していくのはいい。これからできるだけできるように」と元祖の余裕? で冷静に振り返っていたが、左翼をゲットしようという佐藤輝も、定位置争いの強力なライバル。一塁、右翼でかぶるサンズは前日に2試合連続となる2号ソロを放ち、一塁を争うマルテはこの日、一回に先制ソロ。負けないように、必死のアピールだ。 ◆矢野監督「使いたくなる...頼もしい」  二回にはバットを折りながら左前打を放ち、本塁打を含む2安打2打点とオープン戦初スタメンで奮闘した。これで今春は実戦14試合で打率・364(33打数12安打)、2本塁打、5打点。レギュラーで使いたくなる数字を残している。  矢野監督も「(相手が)左投手であったり、いろんなところでスタメンで使いたくなるようなポテンシャルはあるんでね。頼もしく見ています」と期待を込めると、陽川も「気を緩めずに、チャンスがあればしっかり結果を求めてやっていきたい」と力を込めた。スーパーサブでは終わらない。開幕レギュラー獲得への思いをバットに乗せて、3月戦線も打ちまくる。(新里公章)

◆今季から阪神に加入したチェン・ウェイン投手(35)=前ロッテ=が7日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)に先発して、3回8安打4失点。右太ももに打球が直撃したあげく、甲斐に満塁被弾と散々な一日だった。開幕まであと約3週間。日米通算95勝左腕は、急ピッチで仕上げていくことを誓った。  1-0の二回無死満塁。甲斐に投じたツーシームを左翼テラス席にはじき返されると、チェンはマウンドで苦笑いを浮かべるしかなかった。  「初回から真っすぐを多めに投げて、球の切れなどの状態を確認したいと思っていたけど。もう少し上げていかないといけないと感じている」  3回を投げて8安打4失点。直球は最速145キロも、スピードを感じさせなかった。一回2死からは中村晃、長谷川に連打を浴びた。ここは松田を中飛に仕留めて切り抜けたが...。悲劇は二回だ。先頭の栗原の打球が右太ももを直撃。「少し腫れているが、大丈夫」と続投志願したが、ここから連打されて、甲斐に痛恨の満塁弾を浴びた。  キャンプ初日から参加したが、新型コロナウイルスの影響で1月14日の日本入国から2週間、思うように体を動かせない自宅待機の期間があり、調整遅れは否めなかった。実戦初登板だった2月28日のヤクルト戦(浦添)はカーブなど変化球中心の配球で2回1失点に抑えたが「真っすぐがあっての変化球ですから」。投球術だけでは抑えられないことを再認識した。  矢野監督も「真っすぐが基本で、組み立てる投手。打者の対応をみていて、もうちょっと切れがほしいなと(思った)」と言いつつ「開幕に向けての準備段階やから」と、信頼に揺るぎがないことを強調した。  日米通算95勝。藤浪や秋山をはじめガンケルやエドワーズら助っ人からも意見を求められることも多い。高橋が右脇腹を痛めて開幕絶望的となった今、先発左腕で計算できるのは自分だけ-というチーム事情も十分に理解している。  「真っすぐの切れを上げることに集中して、取り組んでいきたい」  開幕までに、ベストの状態に持っていくことを約束した。(三木建次)

◆執念の12球! 阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(21)=近大=が7日、ソフトバンク戦(ペイペイドーム)に「2番・左翼」で出場。三回の第2打席に、ソフトバンクの先発・和田毅投手(40)と真っ向勝負を繰り広げた。ファウルで12球粘った末に空振り三振に倒れたが、規格外の対応力を、日本一チームを支えるベテラン左腕も絶賛した。  剛と柔が真っ向からぶつかり合う。21歳の佐藤輝と40歳の和田による3打席の真剣勝負。結果は佐藤輝が三振、三振、二直と完敗。日米通算143勝左腕に、黄金ルーキーは素直に脱帽した。  「やっぱり球に切れがあって、ストレートや変化球の質もすごくよかったです」  試合も3-4でチームはオープン戦初黒星。佐藤輝も七回の守備から交代したが、和田は大卒1年目の若虎を絶賛した。  「対戦するごとにアジャストしてくる。とてもルーキーとは思えない、打撃の対応力を投げていて感じた。次、対戦するときも怖いなと。それだけのポテンシャルを秘めている打者だと思った」  一回はわずか3球で空振り三振。しかし、恐るべきポテンシャルを三回2死の第2打席で示す。  4球でカウント2-2と追い込まれた。スライダーとストレートを丁寧に投げ分けて抑えにくるところを、ファウルで粘る、粘る。和田も8球目から直球一本勝負。11球目、空振りを奪いにきた内角高め140キロ直球を平然と見送ると、和田はマウンドで笑みを浮かべた。フルカウントとなった12球目。最後はドロンと落ちるチェンジアップを豪快に空振り。三振に終わったが、2打席目にしてこの対応力。昨季も8勝を挙げ、リーグ優勝&日本一を決めた試合に先発したベテラン左腕が、舌を巻いた。  「簡単に三振しないのは投手にとっても嫌ですし、打者にとっても大切なことだと思う。すごい、さすがだなという気持ちで見ていました」  五回2死一塁の第3打席はスライダー2球で追い込まれ、外角低めに投じられた3球目の138キロ直球をとらえるも、二直。それでも「3打席目は紙一重。球が高ければ右中間に抜けているライナーだった。次、対戦したら、また彼の能力も上がってくると思う」と言わしめた。この日、満塁弾を放ち、マスクをかぶって間近で見ていた強打者・甲斐も「あのポイントでバットが出てくるのは、いいスイングだと思います」と振り返った。  5日には開幕投手・石川から初打席で本塁打。6日は一昨年新人王の高橋礼から安打を放った。この日は無安打だったが、4年連続日本一に輝いたチーム相手に濃密な時間を過ごした。矢野監督は「今は試合に出ていろいろと学ぶ時期。いろいろな投手と対戦することが、アイツのためになる。試合に出てしか、練習でやれることじゃないんでね」とうなずいた。  「きょうは打つことができなかったですけど、(和田さんと)いつか当たることがあれば、頑張ります」  プロ野球人生はまだ始まったばかり。これからの一打席、一球の経験が、佐藤輝をもっと強くする。(原田遼太郎) ★左翼守備でも魅せた!矢野監督「あとは経験」  佐藤輝は左翼守備の好返球で矢野監督をうならせた。1-4の五回2死一、二塁で、真砂が放った左前打を素早く処理。低く鋭いノーバウンド送球から「7-5-2」と渡り、二走のリチャードを本塁で刺した。「低い送球、心がけてやっていきます」と語ったように佐藤輝自身は当然さらなる進化を目指す。だが、矢野監督は「ある程度、守備もめどというか、ついているので。あとは経験を積んでいく段階かなと思っています」と早くも"合格点"を与えていた。

◆チェンの状態は心配だ。上体で投げるのは中日時代から変わらないが、あまりにも下半身に粘りがない。序盤から球が抜け、引っかけたり、本来の制球力や球の切れが見受けられなかった。  春季キャンプ期間を含めて、おそらく投げ込みが足りないのではないだろうか。米大リーグの場合、開幕は日本より遅い。それに体が慣れてしまっているのか。ベストの状態にもっていくまで、少し時間がかかりそうだ。今の段階で開幕ローテーションOKとは到底言えるはずがない。  日本の投手の場合、調整不足は走り込みなどで補うことができる。しかし、外国人は投げながら感覚を取り戻したい投手が多い。仮にチェンを開幕3戦目と想定すれば、調整登板は残り2回か。今の状態を考えれば、登板数を追加するなど善後策を練る必要がある。特に軟投派の投手は実戦で打者の反応を見て、調子を上げていかないといけないからだ。  開幕に間に合わないとなれば、矢野監督にとって頭が痛い。高橋が故障離脱中。岩貞、ガンケルの先発起用を含めて、柔軟に想定してほしい。(本紙専属評論家)

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