1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
ソフトバンク | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | X | 4 | 8 | 2 | 1 |
勝利投手:ムーア(1勝0敗0S) 敗戦投手:サンチェス(0勝1敗0S) 本塁打 |
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◆ソフトバンクが4年連続の日本一に王手をかけた。ソフトバンクは3回裏、中村晃の2ランで先制に成功する。そのまま迎えた7回には、中村晃とグラシアルの適時打で2点を奪い、リードを広げた。投げては、先発・ムーアが7回無失点。敗れた巨人は、打線が1安打と沈黙し、3連敗で後がなくなった。
◆巨人吉川尚輝内野手(25)に守備の乱れが出た。同点の3回2死、周東の一、二塁間へのゴロをダイビングで好捕。すぐさま一塁に送球したが、送球は大きくそれた。 直後の中村晃にサンチェスが先制の2ランを浴びた。
◆ソフトバンク中村晃外野手(31)が3打点の大暴れだ。まずは値千金の先制アーチを放った。 両チーム無得点の3回2死後、日本シリーズ初安打の周東を二塁に置いて巨人先発サンチェスの真ん中フォークを完璧に仕留めた。大きな弧を描いて右翼席へ。17年以来、3年ぶりの日本シリーズ弾は先制2ラン。「追い込まれていましたが、甘く来た球をしっかりとらえることができました。3人で終わらずに、2アウトランナーなしから得点できたのは良かったです」と話した。クライマックスシリーズの15日ロッテ戦も2本塁打を架け、またも、大舞台で快音を響かせた。 膠着(こうちゃく)状態が続いた7回1死一、二塁でも2番手高梨のスライダーをとらえて加点タイムリーを放った。日本シリーズ王手に近づく一打になった。
◆ソフトバンクのマット・ムーア投手(31)が、7回まで無安打無失点投球で降板した。序盤から150キロ超の速球や切れ味鋭いカーブを軸に、巨人打線を翻弄(ほんろう)した。 6回は自らの失策で先頭大城の出塁を許した。だが、1番吉川尚を150キロで詰まらせて中飛。2番松原も149キロで押し込んで中直に抑えた。3番坂本には低めカーブで空を切らせて、寄せ付けなかった。常時150キロを超えてくる左腕先発はセ・リーグにはいない。日本シリーズで単独でノーヒットノーランを達成すれば球界史上初めてだったが、工藤監督は継投を決断した。ムーアは言う。「初めての日本シリーズ、楽しむことができました。自分の投球内容より、チームが勝つということが一番大切なこと。リードしている状況を作れてよかった」 8回は2番手でモイネロが登板した。四死球でピンチを招いたが、落差の大きいカーブで田中俊、重信を見逃し三振、空振り三振に抑えて無失点。8回終了まで巨人を無安打に封じた。日本シリーズでは、07年中日が山井、岩瀬のリレーで無安打無得点試合を達成している。
◆巨人エンジェル・サンチェス投手(30)が絶体絶命のピンチを脱した。 2点ビハインドの6回1死満塁、デスパイネを140キロカットボールで見逃し三振。続く代打長谷川の初球、一、二塁間への痛烈なゴロを二塁手吉川尚輝がダイビングで好捕し一塁送球。二ゴロとした。 吉川尚は3回2死にも一、二塁間への打球を好捕したが、悪送球。直後の中村晃の先制弾につながっていた。
◆巨人吉川尚輝内野手(25)が借りを返した。2点ビハインドの6回2死満塁、代打長谷川の一、二塁間への痛烈なゴロをダイビングで好捕。二ゴロとし先発サンチェスを救った。 3回2死にも一、二塁間への打球を好捕したが、悪送球し、中村晃の先制弾につながっていた。
◆巨人先発エンジェル・サンチェス投手(30)が7回途中でマウンドを降りた。 3回に中村晃に先制2ランを浴びるも、粘りの投球を見せた。6回には1死満塁から三振、二ゴロで無失点に切り抜けた。 7回も続投したが、先頭松田宣に左安打を許し、甲斐の犠打で1死二塁、左打者が3人続く上位打線に回ったところで2番手高梨にマウンドを譲った。高梨が後続の中村晃に適時打を浴びた。サンチェスにとっては、6回1/3を6安打3失点7奪三振の無念のマウンドとなった。
◆巨人中島宏之内野手(38)が3試合連続の死球を受け、達川光男氏(65)の持つシリーズ最多死球に並んだ。 8回1死、ソフトバンク2番手モイネロから死球を受けた。 第1戦では9回に森から、第2戦では5回に石川から死球を受けていた。
◆巨人丸佳浩外野手(31)がチーム初安打を放ちノーヒットノーランを回避した。9回2死からソフトバンク3番手森唯斗投手(28)の変化球を中前に運んだ。 先発ムーアの前に7回無安打。8回から2番手モイネロが2四死球も連続三振。9回から守護神森がマウンドに上がっていた。
◆ソフトバンクが快勝した。3回に中村晃の右越え2ランで先制。7回には中村晃とグラシアルの適時打でリードを広げた。先発したムーアは低めに集めた速球を軸に、7回無安打無失点の快投。モイネロ、森も走者を背負いながら無失点でつないだ。巨人はサンチェスが7回途中3失点と踏ん張ったが、打線が8回まで無安打に抑え込まれた。
◆ソフトバンクが「あと1人」で3投手の継投で無安打無得点試合を逃したが、快勝で4年連続日本一に王手をかけた。9回2死走者なし。守護神森が丸にスライダーをとらえられてチーム初安打となる中前打を浴びた。7回まで先発ムーアが快投。8回はモイネロが3奪三振でノーヒットを継続していた。日本シリーズでは、07年中日が山井、岩瀬の継投でノーヒットノーランを達成して以来、13年ぶりの快挙こそ逃したが、投打ともに巨人を圧倒。18年から日本シリーズ11連勝に延ばして、まさに無敵だ。
◆ソフトバンクが3戦連続で先制した。3回2死二塁から2番中村晃が1号2ラン。先発ムーアは3回まで無安打無失点に抑えた。 巨人は打線が沈黙。6回まで無安打無得点に抑えられた。ソフトバンクは6回1死満塁の好機もあと1本が出なかった。 ソフトバンクは7回に2点を追加、勝負を決めた。シリーズ3連勝で王手をかけた。ムーアが1勝目。巨人は1安打と打線が沈黙した。サンチェスが1敗目。
◆ソフトバンク中村晃外野手が先制弾を含む3打点。 シリーズのV打点は14年<4>戦サヨナラ右本、17年<2>戦逆転右安、18年<3>戦先制右安に次いで4度目。シリーズの最多V打点は長嶋(巨人)の11度だが、ソフトバンクで4度は松田宣と並び最多となった。
◆ソフトバンクが「あと1人」で3投手の継投による無安打無得点試合を逃したが、快勝で4年連続日本一に王手をかけた。9回2死走者なし。守護神・森が丸にスライダーを捉えられ、チーム初安打となる中前打を浴びた。 7回まで先発ムーアが快投も、工藤公康監督(57)は継投を決断した。「ホントね、なかなか、大きな舞台でノーヒットに抑えるのは、心技体がしっかりと、この試合に向けて調整してくれた表れだと思う。少し疲れが見えてきたところがありました。今日は、どうしても勝ちたかった。ペイペイドームで負けるわけにいかないというのがあったので、すみません、7回で代えさせていただきました」と説明した。 8回はモイネロが3奪三振でノーヒットを継続していた。日本シリーズでは07年中日が山井、岩瀬の継投でノーヒットノーランを達成して以来、13年ぶりとなる快挙こそ逃したが、投打ともに巨人を圧倒。18年から日本シリーズ11連勝に延ばして、まさに無敵だ。
◆巨人丸佳浩外野手がノーヒットノーランを阻止した。4点を追う9回2死。3番手森のナックルカーブを中前に運んだ。 打線は先発ムーアの前に7回まで無安打。8回に2番手モイネロから2四死球で1死一、二塁としたが、連続三振に終わっていた。 原監督は「俺たちは勝つ野球をしているわけだから。1本のヒットは出たということぐらいですかね」と奮起を促した。
◆ソフトバンクが3連勝で4年連続日本一へ王手をかけた。これでシリーズは18年<3>戦から11連勝、本拠地のペイペイドームでは11年<7>戦から15連勝と、シリーズの連勝記録、同一球場連勝記録をまた伸ばした。シリーズで無傷の3連勝は19年ソフトバンク以来20度目。2年連続は75、76年阪急以来2度目だが、75年阪急は△○○△○。2年続けて引き分けなしの3連勝王手はソフトバンクが初めてだ。3連勝王手は過去19チームのうち16チームが優勝し、V確率84%。 ▼ソフトバンクは3試合とも先制して逃げ切り。1度もリードを許さないで無傷の3連勝は05年ロッテ以来7度目だが、ロッテは<1>、<3>戦で1-0→1-1と追い付かれており、先制して1度も追い付かれないケースは51、58、67年巨人、90年西武に次いで5度目。
◆巨人が3連敗を喫し、ソフトバンクに王手とされた。試合後、元木大介ヘッドコーチ(48)が取材に対応した。一問一答は以下の通り。 -ムーアに苦戦 元木 真っすぐ速いし、変化球もコントロールいいし、投手が良いね、やっぱり。サンチェスも頑張ってたからね。ちょっと援護できなかったね。お手上げ。 -1回のチャンスが悔やまれる。 元木 しょうがないよ。負ける時ってのはチャンスで打てないから。それをああだこうだ言ってもしょうがないし、そこで1本出てたら流れも変わってわけだし。負ける時ってのはいつもそう。1本が出ない。それを出すために一生懸命やってるんだけどね。短期決戦だから1敗したらあれだし。 -明日、選手にどういう心持ちで 元木 崖っぷちの崖っぷちだからね。意地見せるしかないでしょ。ジャイアンツっていうネームを背負ってるわけだから。すごい歴史の古いチームでやってるわけだから。その中でプレーでもって明日はみんなで必死になってやるしかない。
◆巨人エンジェル・サンチェス投手(30)は7回途中6安打3失点の力投も、連敗を止めることはできなかった。 最速154キロの直球を軸に、課題の立ち上がりは2球で2死を奪う抜群の投球。2点を追う6回1死満塁のピンチではデスパイネを空振り三振、代打長谷川は二塁吉川尚の好守に助けられ、無失点で切り抜けた。 それだけに痛恨だったのが、両チーム無得点の3回2死二塁、CSのMVP男の中村晃に許した先制2ランだ。「集中して何とか自分の持ち味を出せたと思うが、その一方で先制点を与えてしまったことが悔やまれます」と肩を落とした。 2戦合計で18失点を喫していた強力打線を相手に見せた粘りの投球を原監督は「非常にピンチの場面でもね、粘り強くスターターとして非常にいい役割をしてくれたと思いますね」と評価したが、悪い流れを断ち切ることはできなかった。
◆目を背けたくなるような現実が広がる直前だった。 無安打が続いた9回2死。丸が2ボールから中前に運ぶ。史上2度目となる継投ノーヒットノーランは逃れたが、続くウィーラーは二飛に倒れ、3試合で崖っぷちに追い込まれた。 巨人原辰徳監督は、厳しい表情のままベンチ裏へ引き上げた。「非常に悔しい思いを、もう全員が悔しい思いをしているわけでね。結果としてこういう形になった。今日のうちにしっかり反省するところはしてね、明日に備えてゆっくり休んで。目が覚めたら覚醒していると、なってもらいたいと思います」。 生かしたかったチャンスを逃したことが、終盤まで響いた。1回に1番吉川尚がソフトバンク牧原の悪送球で二塁まで進む。無死二塁から、松原のバントは捕手の前に転がった。犠打失敗。1死二塁と好機は続くも、頼みのクリーンアップは坂本がチェンジアップに空振り三振、左腕ムーアに厳しく内角を突かれた岡本は遊ゴロに倒れた。 パワーピッチャーがそろう相手投手陣に対して、第1戦から4安打→5安打→1安打と打線が沈黙。チームをけん引してきた「サカオカマル」のクリーンアップは、3試合計31打数5安打、打点0に封じられる。元木ヘッドコーチは「意地を見せるしかないでしょ。ジャイアンツというネームを背負ってるわけだから。すごい歴史の古いチームでやっているわけだから。明日はみんなで必死になってやるしかない」と言った。 日本シリーズ球団ワーストの13失点だって、寸前でノーヒットノーランを逃れた試合だって、結果は同じ1敗。指揮官は「もう前に行くしかないわけだから。そういう気持ちで行きます」と闘志を込めた。チームの力を結集し、徳俵での踏ん張りを見せたい。【前田祐輔】
◆ソフトバンクがパ・リーグ初の4年連続日本一に王手をかけた。工藤公康監督(57)が7回まで無安打の先発マット・ムーア投手(31)を交代させ、モイネロ、森と継投。記録より勝利を優先させての1安打0封で巨人を3連倒した。昨年に続き、球界盟主の巨人スイープも現実味たっぷり。心を鬼にして、地元福岡で激動の20年を締めくくる。マスク越しながら、顔はあきらかに紅潮していた。ソフトバンク工藤監督は、自ら下した決断で気合が入っていた。2点を奪ってリードを4点に広げた7回裏の攻撃が終わると、ベンチをゆっくりと出た。球審にムーアからモイネロへの交代を告げた。 工藤監督 なかなかこんな大きな舞台でノーヒットノーランなんてね。心技体がしっかりとしていて、ゲームに向けての調整の現れだと思った。でも少し疲れていたのも分かりましたし、どうしても勝ちたかった。ここペイペイドームで負けるわけにはいかない。すみません。ここで代えさせていただきました。 勝利後のインタビューは両手でマイクを握りしめながら、勝利への執念を口にした。先発ムーアは7回まで巨人打線を無安打。しかし6回から「いい当たりも出ていた。次(7回)までかなと思っていた」と交代期を感じていた。日本シリーズ初の無安打無得点。大舞台での大記録がかかる左腕の気持ちは痛いほど分かるが、「相手にひとつのスキも見せないことが大事」という方針を貫き、心を鬼にした。7回を投げ終わってベンチに座っていたムーアに歩み寄り、左肩をポンとたたいた。ムーアもうなずいた。気持ちを理解してもらったのがうれしかった。 「私は投手交代しかしていません」。栗原が4打点など、選手が大活躍した初戦勝利後、「自虐的」に言った。だが、第2戦の丸封じなど、ゲームのツボを熟知したタクトが光る。選手との信頼関係があっての巨人3連倒だ。 連勝記録をさらに伸ばした。日本シリーズ11連勝で、ポストシーズン15連勝。そして地元ペイペイドームでの日本シリーズも15連勝だ。巨人に野球をさせなかった。「明日(25日)も勝利を届けたい」。2年連続巨人に4連勝しての4年連続日本一に王手。コロナで揺れた激動の20年プロ野球。無敵の工藤ホークスが、新たな最強伝説を築く。【浦田由紀夫】
◆「ミスター・ポストシーズン」中村晃外野手(31)のバットが巨人に襲いかかった。3回2死二塁。巨人サンチェスのフォークをとらえた打球は、鷹党の待つ右翼スタンドに飛びこんだ。先制2ラン。「追い込まれていたので、我慢しながら。最後の最後で甘いボールが来ました」。7回には左腕高梨から3点目となる適時打。投手戦の中で効果的な2安打3打点だった。 どんな打順でもこなし、工藤監督に「いてもらわないと困る」と言わしめるくせ者。だが短期決戦では柳田やデスパイネもびっくりの「スラッガー」に化ける。シーズンでは通算46本塁打ながら、日本シリーズではこれが14、15、17年に次ぐ4本目。クライマックスシリーズ(CS)では今年、第2戦で2打席連続本塁打を放ってMVPを獲得したほか、16年から5年連続本塁打と驚異的な勝負強さを見せている。 中村晃の1発はチームにとって、ポストシーズン20試合連続の本塁打。球団名がソフトバンクになった05年からは、ポストシーズンで節目のチーム100号となった。今季リーグトップの126本塁打をマークした自慢の武器は、日本シリーズでも健在だ。 第1戦では一塁守備で、打者走者の丸と接触していた。SNSでカブス・ダルビッシュが言及するなど話題を呼んでいたプレーだ。中村晃は「(当日に丸から)電話がかかってきました。同級生(同じ学年)ですし、丸のこともよく知ってますし。いろんな人がいろんなこと言ってますけど、ぼくと丸の中では終わっているので。いいのかなと思っています」と、穏やかに振り返った。 日本一というゴールはすぐそこまできた。「最後の力を振り絞って、全員で勝ちにいきたい」と、力強く言った。【山本大地】 ▼中村晃が先制弾を含む3打点。シリーズのV打点は14年第4戦サヨナラ右本、17年第2戦逆転右安、18年第3戦先制右安に次いで4度目。シリーズの最多V打点は長嶋(巨人)の11度だが、ソフトバンクで4度は松田宣と並び最多となった。
◆ソフトバンクのジュリスベル・グラシアル内野手が巨人に引導を渡すタイムリーを放った。 7回、3点リードに広げ、なおも2死一、三塁。大竹の外角低めスライダーをバットの先端で当てて右前に落とした。「当たりはよくなかったけど、いいところに飛んでくれました。とても大きい追加点になってくれた」。22日の第2戦から2試合連続打点を挙げて貢献。左翼守備でも4回に坂本の飛球をジャンプして好捕した。攻守で存在感を示した。
◆9回2死まで3投手でのノーヒットノーランリレーで、ソフトバンクが巨人に「SMBC日本シリーズ」3連勝し、4年連続日本一に王手をかけた。先発マット・ムーア投手(31)が7回を93球で2四球も無安打無失点で交代。8回モイネロ、9回森と必勝リレー。9回2死から1安打を許したが、得点は与えなかった。チームの日本シリーズ11連勝とプロ野球記録を更新。ポストシーズンは昨年から15連勝。一気の頂点を目指す。あと1人だった。9回2死から守護神森が巨人丸に中前へ安打を許した。続くウィーラーを二飛に仕留め、完封リレーで日本一に王手をかけても森は「2死からの安打は本当にくやしいし、申し訳ない」と、反省のコメントだった。8回のモイネロは巨人が4人も送り出した代打攻勢に2四死球を出しながら、アウトはすべて三振で奪った。 一番の立役者はメジャー通算54勝左腕のムーアだった。初回、遊撃牧原の送球ミスで無死二塁のピンチを背負うが、落ち着いて後続3人を打ち取った。最速154キロ、常時150キロ超えの直球を内角へ投げ込み、第1戦千賀、第2戦石川から続く剛球の流れで巨人打線をねじ伏せた。カーブ、チェンジアップも巧みに操った。「(無安打が続いていることは)自分では知っていた。あまり考えず1人1人集中して投げた。交代は監督が勝つための最善策として決めたこと」と無安打での交代よりもチームの勝利を喜んだ。 メジャーでは13年のレイズ時代に自己最多17勝を挙げ、その年の球宴には故障のため欠場した当時レンジャーズのダルビッシュの代替選手として出場した。本来なら今年は本拠地ペイペイドームで球宴が行われる予定だったこともあり「いい機会だから日米で球宴に出場したいよ」と目標に来日していた。 シーズン中は6勝。7月から約2カ月、左ふくらはぎを痛め、ファームで調整を続けた。だが、復帰へ真摯(しんし)に練習に取り組む姿は最高の見本となった。スタッフが撮影したキャッチボール動画は、多くの若手が参考としてそれぞれの携帯電話に転送され保存された。7月19日に26歳の誕生日を迎えた田中に対し、サファテとともにバースデーパーティーを開いた。田中が「すごくいい人です」と話すように、その人間性でチームに溶け込んだ。小学生のころ米軍関係の仕事をする父の関係で沖縄に住んでいた親日家。完封リレーで最高の勢いで第4戦先発の和田へバトンを渡した。【石橋隆雄】 ▼ムーアが7回を無安打に抑えてシリーズ初登板初勝利。シリーズで先発投手が初回から7回以上無安打に抑えたのは17年<4>戦浜口(DeNA)以来5人目。シリーズ初登板初先発では浜口に次いで2人目の快投だったが、ムーアは無安打のまま降板。5回以上投げて無安打の先発投手が降板は99年<3>戦永井(ダイエー=6回)07年<5>戦山井(中日)に次いで3人目。 ▼ソフトバンクはムーア、モイネロ、森のリレーで1安打完封勝ち。シリーズで1安打以下に抑えたのは07年<5>戦中日が山井、岩瀬で完全試合、01年<1>戦ヤクルトが石井一、河端で1安打完封勝ちに次いで3度目。9回2死から初安打を許したのは初めてだった。
◆敵地2戦で猛打を振るったソフトバンク栗原陵矢捕手は無安打だった。 巨人サンチェスをとらえきれず2回の1打席目は左飛に倒れた。4回も外角153キロ速球に空振り三振。6回には申告敬遠で出塁したが、3打数ノーヒットだった。直前の2試合は8打数7安打で打率8割7分5厘だったが、6割3分6厘まで降下。前日23日に「記録は後からついてくる」と話したが05年ロッテ今江が記録した日本シリーズ最高打率6割6分7厘は、いまも射程圏内だ。
◆日本シリーズ・ニッカンMVP査定。 7回無安打のムーアが大きく貢献した。中村晃の1発はシリーズ通算4度目の勝利打点になり、相変わらず勝負強い。
◆今季途中に巨人からロッテにトレード移籍した沢村拓一投手(32)が、日刊スポーツに観戦記を寄せた。「SMBC日本シリーズ2020」第3戦をペイペイドームのネット裏で生観戦。11年から9年半巨人でプレーした経験に加え、今季はロッテで22試合登板して、ソフトバンク打線とも対戦。セ・リーグ、パ・リーグの野球を知る現役投手の視点で、特別なシリーズへの思いを寄せた。日刊スポーツで「観戦記」の機会をもらい、記者席から試合を見させていただいた。9月まで在籍した巨人、ロッテに移籍後、対戦したソフトバンク。感じたことや思ったことを記す前に、トレード後、直接お会いできなかった原監督にごあいさつをと思い、昨夜、チーム宿舎に伺った。監督は「おう。ひろかず。どうしたんだ」と笑顔で迎えてくれた。「日刊スポーツの企画で試合を見ます」と答えると、「外から野球を見るのはいい機会だよ」と言われた。 僕が対戦したソフトバンクの印象は、選手個々が何をすべきか分かっていることだった。この試合に例えるなら、2点リードの7回1死一、二塁、中村晃選手のバッティングがそうだった。アウトになっても、何が何でも一、三塁もしくは二、三塁になるように引っ張れるボールを待ってるように感じた。それが相手をジワジワと苦しめ、結果的にバッテリーミスやエラーでの失点につながることがある。ソフトバンクは個の力の延長線上に組織としての戦いがあり、勝ち方を知っているように感じた。 対ソフトバンクで僕が意識したのは「ここに投げなくちゃいけない」ではなくて、「ここで何をしたらダメか」を一番に考えた。仮に走者を出しても、ゼロに抑えればいいんだと。四隅に投げるコントロールはないけど、多少コントロールを間違えても力で抑えられる自信はあったので、どんどんゾーン内で勝負した。セ・リーグではボール先行のカウントになることが多く、打者も見てくることが多かったけど、パ・リーグは2ボールからでも振ってくる。勝負が楽しいし、臆せずに攻めた。 巨人時代はストライクゾーンを4分割で考えていたけど、ロッテの時は内外角の2分割に変えた。ケース、状況、場面を考えながら「自分を許す」ようにもした。極端に言えば、左打者が進塁打を狙ってくるケースで、外に2球ボールになったとしても、進塁打を打たれないようにしてるからOKだと。「どうしよう」じゃなく、許すことも大事だなと思った。自然と自分を苦しめてたことに気付けたのも大きかった。 初めて記者席からグラウンドを見て、湧き上がったのは悔しさだった。9日前、ソフトバンクに敗れ、今シーズンが終了した。選手としてはこの場に立ちたかったし、純粋に両チームの選手をうらやましくも思った。正直、ジャイアンツと戦いたかった。 試合開始からヒーローインタビューまで記者席から見させてもらったが、あらためて感じたのは9年半ともに戦った仲間、原監督、コーチ、スタッフ、みなさんへの感謝の気持ちだった。野球人として、グラウンドに立てることがいかに幸せかを感じたし、野球の魅力、面白さ、難しさ、いろんなことを感じた2時間58分だった。(ロッテ投手)
◆9回2死まで3投手でのノーヒットノーランリレーで、ソフトバンクが巨人に3連勝し、4年連続日本一に王手をかけた。先発マット・ムーア投手(31)が7回を無安打無失点で交代。8回モイネロ、9回森の必勝リレーで、巨人打線につけいる隙を与えなかった。9回2死から1安打を許したが、チームは日本シリーズ11連勝を飾り、プロ野球記録を更新。ポストシーズンは昨年から15連勝。このまま一気に頂点に立つ。 あと1人だった。9回2死から守護神森が巨人丸に中前へ安打を許した。続くウィーラーを二飛に仕留め、完封リレーで日本一に王手をかけても森は「2死からの安打は本当にくやしいし、申し訳ない」と、反省のコメントだった。8回のモイネロは巨人が4人も送り出した代打攻勢に2四死球を出しながら、アウトはすべて三振で奪った。 一番の立役者はメジャー通算54勝左腕のムーアだった。初回、遊撃牧原の送球ミスで無死二塁のピンチを背負うが、落ち着いて後続3人を打ち取った。最速154キロ、常時150キロ超えの直球を内角へ投げ込み、第1戦千賀、第2戦石川から続く剛球の流れで巨人打線をねじ伏せた。カーブ、チェンジアップも巧みに操った。「(無安打が続いていることは)自分では知っていた。あまり考えず1人1人集中して投げた。交代は監督が勝つための最善策として決めたこと」と無安打での交代よりもチームの勝利を喜んだ。 メジャーでは13年のレイズ時代に自己最多17勝を挙げ、その年の球宴には故障のため欠場した当時レンジャーズのダルビッシュの代替選手として出場した。本来なら今年は本拠地ペイペイドームで球宴が行われる予定だったこともあり「いい機会だから日米で球宴に出場したいよ」と目標にしていた。 シーズン中は6勝。7月から約2カ月、左ふくらはぎを痛め、ファームで調整を続けた。だが、復帰へ真摯(しんし)に練習に取り組む姿は最高の見本となった。スタッフが撮影したキャッチボール動画は、多くの若手が参考としてそれぞれの携帯電話に転送され保存された。7月19日に26歳の誕生日を迎えた田中に対し、サファテとともにバースデーパーティーを開いた。田中が「すごくいい人です」と話すように、その人間性でチームに溶け込んだ。小学生のころ米軍関係の仕事をする父の関係で沖縄に住んでいた親日家。完封リレーで最高の勢いで第4戦先発の和田へバトンを渡した。【石橋隆雄】
◆ソフトバンクがパ・リーグ初の4年連続日本一に王手をかけた。 ▼ソフトバンクが3連勝で4年連続日本一へ王手をかけた。これでシリーズは18年第3戦から11連勝、本拠地のペイペイドームでは11年第7戦から15連勝と、シリーズの連勝記録、同一球場連勝記録をまた伸ばした。シリーズで無傷の3連勝は19年ソフトバンク以来20度目。2年連続は75、76年阪急以来2度目だが、75年阪急は△○○△○。2年続けて引き分けなしの3連勝王手はソフトバンクが初めてだ。3連勝王手は過去19チームのうち16チームが優勝し、V確率84%。 ▼ソフトバンクは3試合とも先制して逃げ切り。1度もリードを許さないで無傷の3連勝は05年ロッテ以来7度目だが、ロッテは第1、第3戦で1-0→1-1と追い付かれており、先制して1度も追い付かれないケースは51、58、67年巨人、90年西武に次いで5度目。
◆ホームに帰ってもソフトバンクは強かった。プレーボール直後にいきなり遊撃牧原が悪送球。いやな雰囲気が漂ったが、先発ムーアに動揺はなかった。きっちり後続を抑え無失点発進。短期決戦は1つのミスが命取りになる。でも今シリーズの流れは変わらなかった。ピンチの後にチャンスあり、とはよく言ったもの。3回には2死から周東の内野安打と敵失で得点圏に走者を置いて中村晃が先制2ラン。がっちりと主導権を握って完勝した。 無傷の3連勝。一気の王手だが「一戦必勝」を誓う工藤監督に気の緩みはなかろう。巨人を追い込み2年連続のストレート勝ちが視界に入った。日本シリーズで巨人を4戦4勝で下したのは過去3度しかない。直近は昨年のホークス。そして59年南海、90年西武だ。昨年の第4戦(東京ドーム)の先発マウンドに上がったのは今日25日に先発予定のベテラン和田だった。クレバーなベテラン左腕も、何とも歴史的な? 2年連続の「大役」に気持ちも高ぶっていることだろう。 そんなサウスポーに台湾から熱いエールが送られた。現役時代「オリエント・エクスプレス」の異名で通算117勝を挙げた元西武の郭泰源氏(58)だ。90年のシリーズで3連勝から第4戦に先発登板。巨人打線を6回6安打3失点に抑え勝利投手になった。 「チームが3連勝していたからね。もう投球内容は覚えていないけど、前の日から絶対に負けたくない、という気持ちだった。みんな勝っているから、僕だけ負けるわけにはいかないよ。やるしかない、という気持ちでマウンドに上がった。それしかなかったね。気合が入っていましたよ」 村田、川相には1発を許したものの、4番原は3打席無安打に抑え込んだ。郭氏は13~14年の2年間、秋山監督のもとでホークスの1軍投手コーチを務めた。それだけに今回のシリーズも"教え子"たちの活躍を頼もしく見守っている。「和田、やるしかないね!」。ホークスが一気に頂点へ駆け上がりそうだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】
◆対戦成績を2勝0敗として福岡に帰ってきたソフトバンク・工藤公康監督(57)が、試合前に取材に対応。ここまで10打数無安打の周東佑京内野手(24)の"目覚めの一打"を期待しつつ、記録に残らない貢献を評価した。 周東は2戦とも1番で先発フル出場するも21日の第1戦(京セラ)では4打数無安打、翌22日の第2戦は打線が13得点と爆発する中で6打数無安打だった。 報道陣に「周東にも一本出てほしいところだが」と投げかけられた指揮官は、「確かにありますねえ。一本出ると、やっぱり雰囲気が変わるかなと思う。本当に早く出してほしいなという思いはあります」と大きくうなずいた。一方で、現時点でも十分に貢献を感じていた。 「(巨人が周東を塁に)出したくないという意識はすごく感じています。出ると僕らの攻撃のパターンも増えるので、それは相手にとって絶対にやらせたくないということだと思う」 レギュラーシーズンで刻んだ「50盗塁」「13試合連続盗塁」という記録があるだけに、ここまで2戦での「1盗塁」も物足りなく受け止められてしまう。だが日本一4連覇を狙う将は、盗塁以外の面を大きく評価した。 「彼は守備範囲が広い。他の人だとセーフになるところも捕って、ギリギリというところまで行ってくれる。打つ方だけじゃなくて貢献してくれている」 ここから周東に一本出て走り出せば、いよいよソフトバンクは止められなくなる。
◆第4戦に先発登板するソフトバンク・和田毅投手(39)がキャッチボールなどで調整。託されたマウンドに「投げる最後の試合になると思う。チームが勝つことが一番大事なので、貢献できるように初回から全力で飛ばしていきたいと思います」と闘志を燃やした。 今季は1年間ローテーションとして回り16試合に登板。8勝1敗、防御率2・94と優勝に貢献した。リーグ優勝に輝いた10月27日のロッテ戦(ペイペイドーム)や、昨年日本一になった巨人戦で勝利投手になっている。「去年と同じ4戦目を任せてもらった。全力でいきたい」と強調した。 巨人との対戦は3月のオープン戦で登板して以来。「全員だと思っている。気の抜けない打線だと思うので」と警戒した。大ベテランの左腕で白星をつかむ。
◆ソフトバンク・中村晃外野手(31)が右翼席へ先制2ラン。ソフトバンクが3試合連続で先制に成功した。 2勝0敗で本拠地ペイペイドームに戻ってきたこの日。三回2死、今シリーズ無安打だった周東が二塁内野安打。二塁・吉川の失策も絡んで2死二塁として、中村晃が141キロを振り抜くと打球は放物線を描いて右翼席へ。中村晃も右手を掲げて着弾を確信していた。 中村晃は15日、ロッテとのCS第2戦でも2本塁打4打点。自身初のMVPに輝いた。ポストシーズンでは2014年から7年連続本塁打を記録している"短期決戦の鬼"が、ここでも集中力を発揮した。
◆巨人のエンジェル・サンチェス投手(31)が先発し、6回1/3を6安打3失点だった。 最速154キロをマークするなど、力強い直球で押した。三回2死一塁で中村晃に先制の右越え2ランを献上したが、その後も粘投。0-2の六回は1死満塁のピンチを迎えながらもデスパイネを見逃し三振、代打・長谷川を二ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。 球数が90球に差し掛かった七回も続投。先頭の松田に左前打、甲斐の投前犠打で1死二塁としたところで交代が告げられた。2番手に登板した高梨が中村晃に右前適時打を浴び、サンチェスの失点は3(自責3)となった。 試合前日には「チームひとつになって、明日(24日)の試合は絶対に勝ちます。戦いはまだまだ続きます」と意気込んでいた右腕。負ければ日本一へ王手をかけられてしまう一戦で奮闘したが、劣勢を食い止めるには至らなかった。
◆ソフトバンクのマットムーア投手(31)が先発登板。7回を会心の無安打投球でバトンをつないだ。 「初めての日本シリーズ、楽しむことができました。自分の投球内容より、チームが勝つということが一番大切。リードしている状況を作れてよかった」 一回、遊撃・牧原の悪送球でいきなり走者を許すも無失点。二回1死で四球を与えるも、亀井を二ゴロ併殺に斬った。150キロを超える直球で、G打線をグイグイと押していった。七回を93球2四球、無安打無失点だ。 今季は6勝を挙げローテーションの柱として君臨。来日1年目、初の日本シリーズで好投を見せた。
◆ソフトバンクが中村晃が3打点を挙げる活躍を見せ、4年連続の日本一へ王手をかけた。先発のムーアが7回を無安打無失点に抑える快投で勝利投手。ソフトバンクは18年の第3戦からの日本シリーズでの連勝を11に伸ばした。 一回、ソフトバンクは遊撃・牧原の悪送球で無死二塁のピンチを招くが、ムーアが松原を犠打失敗、坂本を空振り三振、岡本は遊ゴロに打ち取った。 ソフトバンクは三回2死から周東がシリーズ初安打となる二塁内野安打と悪送球で二塁に達すると、続く中村晃の右翼席への本塁打で2点を先制した。 七回には松田宣の安打などで1死一、二塁とすると中村晃が右前適時打で追加点。2死後、グラシアルの右前適時打でさらに1点を挙げた。 ムーアは四球や失策で走者を出すものの、七回まで巨人に安打を許さず、八回にモイネロにマウンドを譲る。モイネロは中島に死球、代打・岸田に四球を与え1死一、二塁としながら、代打・田中俊、代打・重信から連続三振を奪う。九回には守護神の森が登板。2死から丸に初安打を許したが、続くウィーラーを抑えた。
◆ソフトバンクが中村晃が3打点を挙げる活躍を見せ、4年連続の日本一へ王手をかけた。先発のムーアが7回を無安打無失点に抑える快投で勝利投手。ソフトバンクは18年の第1戦からの日本シリーズでの連勝を11に伸ばした。
◆ソフトバンクはシリーズ記録を更新する11連勝。今シリーズを3戦3勝で日本シリーズ4連覇へ王手をかけた。工藤公康監督(57)の勝利インタビューは以下の通り --3連勝です 「とてもうれしいですし、きょう勝ててホッとしています。ありがとうございます」 --地元福岡でファンの熱さを感じたのでは 「本当に感じていて、選手も感じていたようで、初回からエラーもありましたけど、そこをムーアが素晴らしいピッチングでゼロで抑えてくれたのが大きかったと思います」 --七回までノーヒットのムーアを代えた 「大きな舞台でノーヒットに抑えるというのは心技体がしっかりと、このゲームに向けて調整してくれたという表れと思いますが、少し疲れがみえてきたし、きょうはどうしても勝ちたかった。ペイペイドームで負けるわけにはいかない思いもあったので、すみません、七回で代えさせていただきました」 --中村晃が先制弾に追加適時打 「こんな大きな舞台で点が欲しいときにホームランを打ってくれたのは、さすが中村晃。選手会長、すばらしかったです」 --完封リレーで終わったのも大きかった 「何より、うちの投手陣、リリーフも含めてしっかり投げてくれた。そこで甲斐が素晴らしいリードしてくれた。また打撃陣も2点で終わらず、追加点を取ってくれた。一つ一つ、気を抜かないで最後まで攻めていく。その気持ちが、今日の試合の中に存分に出ていたと思います」 --ポストシーズン15連勝。ホークスの強さは 「選手たちの日頃の準備が素晴らしいと思う。今季は苦しい中で始まったシーズンですが、みんなが集中して日々を過ごしてくれたことが、ここにきて結果として出ているのではと思います」 --日本一へ王手 「今季はとにかく、日々新たにという気持ちで一試合一試合戦ってきた。3連勝して皆さまに勝利を届けることができたのはうれしいと思いますし、あすも勝利をプレゼントできるように、みんなで喜べるように一戦一戦、戦っていきます」 --あすへ向けて、ファンにメッセージを 「きょうは皆さまの熱い思いが選手に伝わり、こうして勝利することができました。ありがとうございます。明日からも一戦必勝の強い気持ちを持って戦っていきますので、応援よろしくお願いします」
◆プロ野球の日本一を決めるSMBC日本シリーズ2020は24日、福岡市のペイペイドームに1万7297人の観衆を集めて第3戦が行われ、パ・リーグを3年ぶりに制したソフトバンクが、セ・リーグ2連覇の巨人に4-0で勝ち、3連勝で4年連続11度目の日本一にあと1勝とした。 ソフトバンクはムーアが先発して7回無安打無失点と好投。その後もモイネロ、森唯斗が得点を許さなかった。 ソフトバンクは2018年の第3戦から続けているシリーズの連勝記録を11に伸ばした。巨人は13年の第7戦から8連敗を喫し、シリーズ連敗記録にあと1になった。 巨人・原監督 「全員が悔しい思いをしている。結果としてこういう形になったということ。今日のうちにしっかり反省するところはして、明日に備えてゆっくり休んで。もう前に行くしかないわけだから。そういう気持ちでいく」 巨人・元木ヘッドコーチ(3連敗に) 「今日は打者がお手上げ。もう崖っぷちも崖っぷち。意地を見せるしかない。巨人軍としてプライドを持って必死になってやるしかない」
◆プロ野球の日本一を決めるSMBC日本シリーズ2020は24日、福岡市のペイペイドームに1万7297人の観衆を集めて第3戦が行われ、パ・リーグを3年ぶりに制したソフトバンクが、セ・リーグ2連覇の巨人に4-0で勝ち、3連勝で4年連続11度目の日本一にあと1勝とした。 ソフトバンクは2018年の第3戦から続けているシリーズの連勝記録を11に伸ばした。 過去70度の日本シリーズで、無傷であと1勝としたのは引き分けがある場合も含めて過去19度あり、そのうち約84%にあたる16度はそのまま押し切った。ソフトバンクが巨人を倒し日本一となったのは、南海時代の1959年と昨年の2度で、どちらも初戦から4連勝で勝負を決めた。 巨人の第1戦からの3連敗はこれまでに7度で、そのうち6度は敗退したが、89年は近鉄を逆転し日本一をつかんだ。 ソフトバンク・工藤監督 「(ムーアは)大きな舞台でノーヒットに抑え、心技体、この試合に向けてしっかり調整してくれた。点の欲しい時に本塁打を打ってくれたのはさすが中村晃選手会長。みんなで喜べるように一戦一戦戦っていく」
◆ソフトバンク・中村晃内野手(31)が先制2ラン、貴重な追加点となる適時打の2安打3打点と活躍した。ヒーローインタビューは以下の通り --本拠地・福岡の雰囲気、熱気は 「本当にプレーしやすい環境を作っていただいていると思う。本当にありがとうございます」 --先制2ラン 「追い込まれていたので、何とか低めのボール球を振らないように我慢しながら、最後の最後に甘いボールがきたのかなと」 --手応え 「いい手応えでした。ハイ」 --七回の適時打 「みんなでつないで作ったチャンスだったので、何とか追加点になればいいと思っていきました」 --チームの雰囲気は 「本当に最高の雰囲気で、できていると思いますし、あした勝てるように頑張っていきたい」 --4年連続日本一へ王手 「最後の力を振り絞って全員で勝ちにいきたいと思います」
◆巨人は1安打零封負けで、シリーズ3連敗。元木大介ヘッドコーチ(48)は「(ソフトバンクの)投手がいいね、やっぱり。(巨人先発の)サンチェスも頑張っていたけど、援護できなかったね。お手上げ」と肩を落とした。 先発して7回を投げた相手の左腕ムーアと八回のモイネロの前に無安打無得点と封じ込められ、九回2死で丸が守護神・森から中前打を放つのがやっとだった。 一回に相手の失策で無死二塁の好機が巡ってきたが、三塁にも進めず無得点。主導権を得られなかった拙攻に「負ける時ってのはチャンスで打てないから、それをああだこうだ言ってもしようがない。そこで1本出ていたら流れも変わっていたわけだし。負ける時はいつもそう」と悔やんだ。 負ければシリーズ敗退で今季終了となる明日25日の第4戦へ向け、「崖っぷちの崖っぷちだからね。意地を見せるしかない。『ジャイアンツ』というネームを背負っているわけだから。明日はみんなで必死になってやるしかない」と奮起を期待した。
◆巨人・中川皓太投手(26)が0-4となって迎えた七回2死一、二塁で登板し、1球で栗原を投ゴロに仕留めてピンチを切り抜けた。 中継ぎの中心的役割を任されていた左腕は、シーズンでは37試合に登板し2勝1敗、15ホールド、6セーブ、防御率1・00の好成績を残した。しかし10月9日に左脇腹痛のため出場選手登録を抹消され、リハビリへ。みやざきフェニックスリーグで実戦復帰し、18日から1軍に合流した。 1軍の登板は10月6日のDeNA戦(東京ドーム)以来。戻ってきた頼もしいセットアッパーとともに、土俵際を戦い抜く。
◆ソフトバンクの先発、ムーアが巨人打線を相手に7回無安打、無失点の好投。チームを3連勝に導いた。ムーアの一問一答は以下の通り。 --ナイスピッチングでした 「アリガトウゴザイマス」 --どんな思いでマウンドに 「日本シリーズを特別な試合と考えず、普段のシーズン通りの試合と思って臨みました」 --七回を無安打 「自分でももちろん、知っていました。僅差の試合なので考えないように、ストライク先行で一人一人と集中して投げました」 --(先頭打者を出塁させた)六回が山場。捕手の甲斐とはどんなコミュニケーションを 「いい当たりもされたし、ピンチも迎えたけど、あそこでタイムをとってもらい、もう一度気を引きしめてと声をかけてもらえたので、自分も気合がもう一度入りました」 --明日に挑む仲間へメッセージ 「既に明日の試合に向けて準備に入っていると思う。明日は自分も(先発の)和田さんの投球を期待して、試合を見たい。このチームの一員になれてラッキーだと思います」
◆巨人・原辰徳監督(62)が第3戦を振り返った。一問一答は以下の通り。 --1安打零封負け 「非常に悔しい思いをしている。もう、全員が悔しい思いをしているわけでね。まあ、結果としてこういう形になった。今日は今日のうちにしっかり反省するところはして、そして明日に備えてゆっくり休んで。目が覚めたら覚醒しているということになってもらいたいと思います」 --丸が九回2死からチーム初安打 「別にヒットを打つというか、俺たちは勝つ野球をしているわけだから。1本のヒットは出たということぐらいですかね」 --サンチェスは6回1/3を6安打3失点 「非常にピンチの場面でも粘り強く、スターターとして非常にいい役割をしてくれたと思いますね」 --一回無死2塁ではバント 「もらったチャンスだし、ということもありましたけどね」 --第4戦へ 「もう前に行くしかないわけだから。そういう気持ちで行きます」
◆巨人・中島宏之内野手(38)が日本シリーズ3戦連続で死球を受け、1991年の達川光男(広島)に並んでシリーズ最多の3死球となった。 0-4の八回1死で打席へ。モイネロが投じた5球目、151キロが左肩付近に直撃した。第1戦では森から左肩付近、第2戦では石川から背中付近に死球を受けていた。
◆ソフトバンクは史上初となる2年連続の4連勝を狙う。和田は昨年、日本シリーズ第4戦で先発して5回1安打無失点で勝利し、交流戦でも巨人から白星を挙げている。打線の援護が期待でき、モイネロら救援陣も安定しており心強い。 後がない巨人は日本シリーズ初先発の畠に命運を託す。経験は浅いが9月以降に4勝1敗と調子を上げている。4番の岡本は昨年の交流戦で和田から本塁打しており、3試合で計1安打の1、2番が出塁して好機をつくり、つなげたい。
◆巨人は救援陣が踏ん張れずリードを広げられた。0-2の七回1死二塁から左打者が3人並ぶ場面で左投手の高梨が2番手で登板したが、いきなり周東に死球を与え、続く中村晃に適時打を許した。 なお2死一、三塁で救援した大竹はグラシアルに変化球を右前へさばかれ適時打とされた。原監督はレギュラーシーズンでは細かい継投で勝利を拾ってきたが、大一番では決まらなかった。
◆先発したサンチェスは6回1/3を6安打3失点。三回、中村晃に先制2ランを浴びたが、粘投で試合をつくった。「集中して何とか自分の持ち味を出せたと思うが、先制点を与えてしまったことが悔やまれます」。最速154キロをマークするなど、力強い直球で押して7奪三振。原監督は「ピンチの場面でも粘り強く、スターターとして非常にいい役割をしてくれた」と評価した。
◆シリーズ開幕3連勝は過去19度(初戦引き分けの2度を含む)のうち日本一が16度で、V確率は84・2%。ソフトバンク(前身球団を含む)の開幕3連勝は1959、2017、19年に次いで4度目で、過去3度は日本一。 18年第3戦からシリーズ11連勝。本拠地では11年第7戦から15連勝。パ・リーグ球団はホームゲームで13年第7戦(楽天・Kスタ宮城)から18連勝となった。 シリーズで1安打以下の無失点勝利は01年第1戦のヤクルト(○7-0近鉄、1安打、石井一久-河端龍の継投)、07年第5戦の中日(○1-0日本ハム、無安打、山井大介-岩瀬仁紀の継投)に次いで13年ぶり。 ムーアが先発で7回を無安打。シリーズで先発投手が7回以上を無安打に抑えたのは17年第4戦のDeNA・浜口遥大(7回1/3)以来3年ぶり5人目。シリーズ記録は07年第5戦の中日・山井大介の8回。ソフトバンクでは昨年第2戦の高橋礼の6回2/3を上回った。 チーム無失点勝利は18年第6戦以来20度目。シリーズで20度は巨人と並ぶ最多。巨人相手に無失点勝利は61年第1戦以来59年ぶり7度目。
◆試合が終わると、坂本らナインはグラウンドをじっと見つめ、しばらく立ち上がれなかった。わずか1安打の完敗で、巨人が3連敗を喫した。 「全員が悔しい思いをしている。しっかり反省して、ゆっくり休んで、目が覚めたら覚醒となってもらいたい」 原監督は切り替えを強調するしかなかった。九回2死、丸の中前打でこの日初の「H」ランプがつき、2007年の第5戦で中日の山井(8回)-岩瀬(1回)が日本ハム相手に"完全試合"を達成して以来となる、史上2度目の無安打無失点こそ免れた。だが七回を無安打で終えた時点で、シリーズ球団ワースト記録。同ワースト13失点の第2戦に続く惨敗に、G党からは怒号も飛んだ。 あくまで「自分たちの野球」にこだわった。メジャー通算54勝左腕のムーアに吉川尚、松原、丸、亀井、大城と左打者を5人並べた。移動日だった前日23日、指揮官は打線について「日本シリーズは『こういうチームで勝ってきたんだ』というもの」と不動の姿勢を示していた。 ムーアのシーズン被打率は対右が・197、対左が・254というデータがあり、そこに勝機を見いだしたかったはず。さらに当たりが出ていたウィーラーを第1、2戦の8番から6番に上げたが、現実は厳しかった。 八回には若林、岸田、田中俊、重信と代打攻勢も見せた。ただ、最速158キロ左腕のモイネロが直球に強い重信に投じたのは、いずれも変化球。三球三振に斬られ、代打の一人にも研究の跡がうかがえた。主軸の坂本(打率・200)、岡本(・100)、丸(・182)も振るわない。3試合でチーム打率・112、計3得点では成すすべもない。 史上初の2年連続4連敗へ土俵際。過去に開幕3連敗から4連勝したのは、1989年の巨人を含め3例だけだ。「もう前に行くしかない」と原監督。崖っぷちからの復活はなるか。(伊藤昇)
◆ソフトバンクは、本当にいいチームになった。この日の打のヒーローは3打点の中村晃。今季はレギュラーシーズンから打撃に粘りがあり、凡退しても内容がいい打席が多かった。こういう選手が2番にいれば、柳田ら中軸が刺激を受けないわけがない。 3試合を通して、選手から「何が何でも日本一になるんだ」という気迫、必死さが伝わってくる。過去2年はクライマックスシリーズの恩恵を受けたとはいえ、昨年まで3年連続日本一。今年は3年ぶりにパ・リーグを制し、なおさら「日本シリーズでは負けられない」という気持ちになっていると思う。 巨人の9連覇時代(1965-73年)は、選手全員が「日本シリーズに勝たないとリーグ優勝の価値がない」という意識だった。長嶋茂雄さん、王貞治の2人がチームの中心だったのは間違いないが、前後を打つわれわれにも「巨人はONだけじゃないぞ」というプライドがあった。 今の巨人の選手も一生懸命にやっているのだろうが、「別格の坂本、岡本、丸が打てないのだから仕方ない」という雰囲気を感じる。チーム一丸でぶつからないと、4連敗してもおかしくない。 (本紙専属評論家)
◆本紙専属評論家の江本孟紀氏(73)は、3連敗の巨人を「がんじがらめになっている」と表現。「どん底だから、これ以下はないはず」と独特の表現で奮起を期待した。巨人OBでダイエー(現ソフトバンク)の助監督も務めた黒江透修氏(81)は、ソフトバンクの選手から「気迫、必死さが伝わってくる」と評した。 エモトは3日間、巨人投手陣のレベルの低さを嘆いてきた。言うまでもなく、打線も同様だよ。 やり玉にあげざるをえないのはやはり、坂本、岡本、丸の高給取りのクリーンアップ。公式戦で3割打者が1人もいなかった上に、爆発的に当たりが出るところも、見たことがない。中軸の物足りない部分が、大事なシリーズでも露呈したということだ。 吉川尚、松原の1、2番も、機能していない。ひたすら自分のスイングを心がけ、安打を狙うばかり。公式戦から「技や芸がない」と何度も指摘した通りの内容だ。 要するに総じて、ただバットを振るだけで、何もできない。「がんじがらめ」になっている。これではベンチも、手の打ちようがないね。 強いて挙げれば、一回無死二塁での松原のバント失敗。あの策は、ないと思うよ。先述したように、公式戦でひたすら打たせてきたのは、そもそもバントが苦手という理由もあるから。この大舞台では決めてくれ、というのも無理な話。大事にいきたい気持ちは分かるけど、ベンチにも「がんじがらめ」が波及した、といえるかな。 投打とも、ここまで差を見せつけられたら、さすがのエモトも、かける言葉は見当たらない。 もはや、「どん底だから、これ以下はない」とプラスに考えて、スーパー・ラッキーボーイの出現や、ソフトバンクの油断と勝ち疲れに、期待するか...。それとても、しょせんは他力本願。「せめてもの意地を見せろ」と、通り一遍のハッパをかけるしかない。 (本紙専属評論家)
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