巨人(★2対13☆)ソフトバンク =日本シリーズ2回戦(2020.11.22)・京セラドーム大阪=
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ソフトバンク
312010402131503
巨人
0000200002521
勝利投手:石川 柊太(1勝0敗0S)
敗戦投手:今村 信貴(0勝1敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】甲斐 拓也(1号・2回表ソロ),グラシアル(1号・3回表2ラン),デスパイネ(1号・7回表満塁)
【巨人】ウィーラー(1号・5回裏2ラン)

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◆ソフトバンクが対戦成績を2勝0敗とした。ソフトバンクは3-0で迎えた2回表、甲斐のソロで追加点を挙げる。その後は3回にグラシアルの2ラン、7回にはデスパイネのグランドスラムが飛び出すなど、一発攻勢で試合を決めた。敗れた巨人は、投打ともに振るわなかった。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)が主砲の存在感を見せつけた。1回1死一塁。今村のシュートをとらえるとライナーで中堅を襲う。変則的な弾道だったのか、丸が目測を読み切れず、中越えの先制適時二塁打になった。前日21日の初戦は3打数無安打だったが、この日は1打席目から快音を発した。シーズン得点圏打率3割6分9厘はリーグ1位だ。勝負師らしい働きに「(川島)慶三さんが一生懸命走ってくれたおかげです。まだ序盤だし、もっと追加点を取って投手が楽に投げてもらえるように頑張ります」と振り返った。 打線は一気に火が付いてグラシアルの二塁内野安打が吉川尚の送球ミスを誘う間に加点。さらにデスパイネの三ゴロの間に得点を刻んだ。初戦を制した勢いそのままに、初回から一気に3点を奪い、いきなり主導権を握った。

◆巨人今村信貴投手(26)が1回3分の2を4安打4失点でKOされた。ベンチに戻るとタオルを頭に被り、悔しさをにじませた。 1回先頭の周東を3球三振に仕留めた。しかし続く川島に四球を与えると、柳田からの3連打などで3点の先制を許した。 2回もソフトバンク打線の勢いを止めることはできず、甲斐に1発を浴びた。 2番手には連投の戸郷が上がった。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手(28)が日本シリーズ1号本塁打を放った。2回1死。今村の速球を完璧にとらえると高々と舞い、バックスクリーン左に達した。「しっかり芯で打つことができました。試合終了まで気を抜くことなく集中していきます」。前日21日の初戦は3打数無安打だったが、シーズンで11本塁打をマークしたパンチ力を見せつけた。リードを4点に拡大した。今村はこの回に川島を迎えたところで降板。早々にKOした。巨人投手陣は早めの継投を強いられ、試合を優位に進めた。

◆巨人岡本和真内野手(24)の全力疾走は実らなかった。6点を追う4回1死、カウント1-2からソフトバンク石川のパワーカーブを遊撃深くへ転がした。全力で一塁を駆け抜けセーフの判定が下されたが、ソフトバンク工藤監督がリクエストを要求。協議の結果、判定は覆りアウトとなった。

◆ソフトバンクのジュリスベル・グラシアル内野手(35)が「日本シリーズ男」の本領を発揮した。4点リードの3回無死一塁。巨人2番手戸郷の真ん中スライダーを完璧にとらえると左中間を超えた。ダメ押しの1号2ランで巨人の投手陣を粉砕。リードを6点に広げた。昨季の日本シリーズでは3発でMVPに輝いていた。前日20日は2安打。この日も早くもマルチ安打と大舞台での強さを証明する。「久しぶりにいい当たりのホームランだった。いい追加点になってくれたし、もう1回、集中して良い攻撃をしていきたいね」と話した。

◆2戦連続でリリーフ登板した巨人戸郷翔征投手(20)が、強烈な1発を浴びた。 先発した今村の後を受け、4点ビハインドの2回2死から登板。3回に無死から3番柳田に左前打を許し、4番グラシアルに左中間スタンドへ弾丸ライナーの2ランを運ばれた。2回1/3を2失点で降板し、5回からは左腕の田口がマウンドに上がった。

◆巨人丸佳浩外野手が、ソフトバンクの試合前練習中に打撃ケージ裏の工藤公康監督のもとに向かい、頭を下げるシーンがあった。 21日の第1戦の4回無死一、二塁から遊ゴロ併殺打に倒れた際に、一塁を駆け抜けた丸の左足がソフトバンク中村の左足に接触していた。 このプレーについてはカブスのダルビッシュ有投手がツイッターで自身の見解をつづるなど、さまざまな意見が飛び交っていた。

◆陽平投手(30)が満塁弾を浴びた。5点を追う7回に4番手で登板。 安打と四球で1死満塁のピンチを背負うと、この日無安打ながら2打点を挙げていたデスパイネに146キロ直球を右中間に運ばれた。2本塁打を放った18年以来、2年ぶりの日本シリーズでの本塁打。 直前の1死一、二塁の場面では栗原の三遊間へのゴロを坂本がダイビングキャッチ。素早く二塁に送球したが、間に合わず満塁となっていた。1試合6打点は日本シリーズタイ記録。

◆巨人ゼラス・ウィーラー内野手(33)が2ランを放ち、2試合連続の打点を挙げた。 7点を追いかける5回1死一塁、ソフトバンク石川の速球を右翼ポール際に運んだ。「つなぐことだけ考えて打席に入りました」。 第1戦は9回に一矢報いる犠飛と好返球で攻守に気を吐いたが、この日も好調をキープした。

◆ソフトバンク石川柊太投手(28)が日本シリーズ初先発で役割を果たした。 序盤から140キロ台後半の速球を軸に組み立て、カーブやスライダー、フォークなどを散らした。1回から坂本を外角低めスライダーで空振り三振に仕留めるなど手玉に取り、3者連続三振の上々発進。4回まで無失点に抑える間に打線が6点を重ねて試合の主導権を手放さなかった。5回にはウィーラーに2ランを被弾し、6回1死一、二塁で降板したが、救援陣が後続を断った。 この日は6回途中2失点の力投。「野手の方が早い回から点を取ってくれたおかげで、初回から自分らしいテンポで投げることができ、いい流れを持ってくることができたんじゃないかと思います。中盤以降に少しバタバタしてしまったところは情けないところではありますが、チームが勝っている状況で中継ぎに回すことができたので良かったです」と振り返った。 日本シリーズは4年連続登板。過去3年は救援で全6試合に投げて3勝を挙げた。昨季は右肘痛の影響でシーズン2試合登板0勝に終わっていた。今年は11勝3敗で最多勝、勝率1位の戴冠。活躍ぶりを示すシリーズ2戦目の安定感だった。

◆ソフトバンクが13得点の猛攻で巨人を下し連勝、対戦成績を2勝0敗とした。ソフトバンクは日本シリーズ10連勝とし、プロ野球記録をさらに更新した。 第3戦は24日、ペイペイドームで行われる。

◆ソフトバンク栗原陵矢捕手(24)が日本シリーズの1試合最多タイ記録の4安打をマークした。 1回に右前打を放つと5回も右前へ運び、7回は三遊間最深部への内野安打を記録。9回には大竹の内角速球に腕を折りたたみながら右前にはじき返した。前日21日の初戦は3打数3安打で豪快な先制アーチ。この日も勢いは止まらず固め打ち。打率は驚異の8割7分5厘だ。「シリーズ男」のにおいがプンプンと漂う。

◆ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ外野手(34)が、球団史上初となる日本シリーズでの満塁本塁打を放った。 7回1死満塁。鍵谷の外角速球を仕留めると右中間をオーバーフェンスさせた。18年以来、2年ぶりの日本シリーズでの本塁打は、南海、ダイエー時代を通じて球団初のグランドスラム。「完璧にとらえられた。打った瞬間、入ると思ったよ。今日はチャンスで回ってくることが多かったし、あのチャンスで最高の結果になってくれて良かった」。1試合6打点は63年巨人柴田、04年西武カブレラに続き、史上3人目の日本シリーズ最多タイだ。大砲の真価を発揮し、チームも2桁得点の11点に積み重ねた。

◆今季限りで現役を引退した阪神の藤川球児氏(40)が日本テレビ系列の中継で引退後、ゲストで初解説を務めた。 巨人中島の打席で10日の引退試合で対戦したことを尋ねられると「僕のことはいいのでこっちに集中したい」と、目の前の対決を優先させた。7回にソフトバンク岩崎が4番手で登板すると、故障後悩んでいた岩崎から求められ、映像を見て長い文章で助言したエピソードを明かした。

◆今季トレードで巨人に加入した高梨雄平投手(28)が初の日本シリーズで好投した。 8回から登板し、2番から上位打線を3者凡退に封じた。「巨人の一員になり、初めての日本シリーズでしたが、0で帰ってくることができて良かったです。ここまできたら0で帰ってくることが一番なので。内容は関係ないですね」とコメントした。

◆ソフトバンクが13得点の猛攻で巨人を下し連勝、対戦成績を2勝0敗とした。ソフトバンクは日本シリーズ10連勝とし、プロ野球記録をさらに更新した。 第3戦は24日、ペイペイドームで行われる。 ▼栗原がシリーズ最多タイの1試合4安打。4安打は10年<7>戦の今江(ロッテ)以来23人目、27度目(延長戦を除く)。球団では59年<1>戦の岡本伊三美以来、61年ぶり2人目。 ▼グラシアルが18年<3>戦からシリーズ9試合連続得点。連続試合得点(連続シリーズ)は68年<1>~<6>戦、69年<1>~<3>戦の高田繁(巨人)に並ぶ最長となった。シリーズで3年連続の本塁打は91~94年清原(西武=4年連続)以来。外国人選手の3年連発は最長に並び、51~53年与那嶺(巨人)78~80年マニエル(ヤクルト、近鉄)90~92年デストラーデ(西武)に次いで4人目。 ▼甲斐がシリーズ初アーチ。育成ドラフト入団選手がシリーズで本塁打を打ったのは初めて。

◆巨人がソフトバンクに投打で圧倒され、連敗を喫した。先発今村が2回途中4失点でKO。2番手の戸郷もグラシアルに2ランを浴び、7回にはデスパイネの満塁弾で試合が決まった。9回にもミスで失点し、日本シリーズでは球団ワーストの13失点。対ソフトバンクとの日本シリーズは昨年から6連敗を喫した。 打線もウィーラーの2ランのみの2得点で、5安打と沈黙した。4連敗を喫した昨年の日本シリーズは初戦から安打数は6、4、6、6で、今年の2試合を含め6試合連続1ケタ安打で最多得点も3。150キロを超えるパワーピッチャーに力でねじ伏せられ、セ・リーグを連覇した打線のつながりも影を潜める。

◆巨人岡本和真内野手が、シリーズ初安打をマークした。5点を追う6回1死一塁。石川の高め146キロを中前に、はじき返した。 第1戦は2四球を選んだが、2打数無安打。シリーズ7打席目で、力感のない"らしい"打球を放った。福岡に移動しても、打ち気に急がず、好球必打に努める。

◆ソフトバンクが第2戦も勝利し、敵地で連勝した。初回に柳田の適時二塁打などで3点を先制。さらに甲斐、グラシアルなどの本塁打で追加点を挙げると、7回にはデスパイネの満塁本塁打で試合を決定づけた。巨人は先発の今村が2回途中4失点で早々にKOされ、リリーフ陣も流れを止められなかった。 第3戦は移動日を挟み、24日にソフトバンクの本拠地ペイペイドームで開催される。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)が驚愕(きょうがく)の打球で打線爆発のスイッチを入れた。SMBC日本シリーズ第2戦。1回にセンター頭上への強烈なライナーを放って先制適時二塁打を放つと、3回には低め変化球をすくうような「曲芸打」。その後、デスパイネの満塁弾など3発含む日本シリーズ球団タイの13得点を生み出した。チームに日本シリーズ記録更新の10連勝、ポストシーズン記録更新の14連勝をもたらし、無傷のまま地元福岡での決戦へと向かう。あっという間の出来事だった。ソフトバンク柳田のバットから繰り出された高速すぎるライナーがセンターを襲った。巨人丸が一瞬、動きを止めたと思いきや、打球ははるか頭上を越えてワンバウンドでフェンスに達した。1回1死一塁の第1打席でいきなりの先制適時二塁打。「シュートだと思います。(川島)慶三さんが一生懸命走ってくれたおかげです」。京セラドーム大阪がしばらくどよめきに包まれた。 3回先頭の第2打席では曲芸打で魅了した。カウント1-2から、外角低めの変化球にタイミングを外されながら、すくうようなスイングで左前打にしてみせた。今季146本、最多安打の真骨頂。またもどよめきが起きた。曲芸打の直後にグラシアルに2ランが出て、3回までに大勢は決まった。 京セラドーム大阪といえば、今年7月のオリックス戦で右翼方向の天井の照明に当たる推定150メートル弾を放ったこともあった。「ここにきて体が動くのがうれしい」。6、7月と10月の月間MVPを獲得。11月に入っても勢いは止まらない。今季よく口にしてきたセリフがある。「丁寧に打つことを心がけてます」。試合前の打撃練習でも、半分くらいの力感で逆方向へライナーを繰り返す姿も。向上心の固まりからの2安打がチームの打線に火を付けた。緩急自在、ギータのバットで巨人の"敵地"で連勝。地元での日本一4連覇が見えてきた。【浦田由紀夫】

◆ソフトバンク栗原陵矢が日本シリーズの1試合最多タイ記録の4安打をマークした。9回に大竹の内角速球に腕を折りたたみながら右前にはじき返して、達成した。前日21日の初戦は3打数3安打で豪快な先制アーチ。「めちゃくちゃ緊張していました」と話していたが、この日も勢いは止まらず、固め打ちした。打率は驚異の8割7分5厘で「シリーズ男」まっしぐらだ。 ▼栗原がシリーズ最多タイの1試合4安打。4安打は10年<7>戦の今江(ロッテ)以来23人目、27度目(延長戦を除く)。球団では59年<1>戦の岡本伊三美以来、61年ぶり2人目。

◆ソフトバンク甲斐拓也がフルスイングで日本シリーズ初アーチを放った。2回1死。今村の速球を完璧にとらえると高々と舞い、左中間最深部に達した。「しっかり芯で打つことができました」。前日21日の初戦は3打数無安打だったが、シーズン11本塁打のパンチ力を示した。育成ドラフト入団選手で史上初のシリーズ弾。点差を4点に広げる一打になった。敵地2戦で巨人打線をわずか3失点に封じ、リードもさえた。 ▼甲斐がシリーズ初アーチ。育成ドラフト入団選手がシリーズで本塁打を打ったのは初めて。

◆ソフトバンク工藤公康監督が継投で巨人丸を封じ込めた。6回1死一、二塁、7-2と5点差でも、先発石川から左キラーの左腕嘉弥真を投入。 丸を空振りの三振に仕留めると、その後は高橋礼へとつなぎ、この回を無失点に抑えた。「この日のためにしっかりと準備を怠らないでやってくれたおかげで救援陣が抑えられたと思います」。日本シリーズ前からよく「自分のチームでは逆シリーズ男を作らせないように、相手には逆シリーズ男ができるように」と口にしていた。初戦で好機で併殺打に終わっていた丸に、同じ好機で「リベンジ」させない継投策でピンチの芽を摘んだ。

◆左キラーのソフトバンク嘉弥真新也投手が5番丸をスライダー攻めで空振り三振に仕留めた。 6回1死一、二塁で先発石川をリリーフ。4球すべて外へ大きく逃げるスライダーで、空振り、ボール、見逃し、空振り三振とバットに当てさせなかった。「久しぶりの登板で少し緊張したが、よい球を投げ込むことができた」。15日CS第2戦以来中6日だったが、きっちり仕事を果たした。

◆ソフトバンク・グラシアル内野手が「日本シリーズ男」の本領を発揮した。 4点リードの3回無死一塁。2番手戸郷の真ん中スライダーを完璧にとらえると左中間を超えた。ダメ押しの1号2ランでリードを6点に広げた。昨季の日本シリーズは3発でMVPに輝いていた。今年も2戦連続2安打。「久しぶりにいい当たりのホームランだった。いい追加点になってくれた」と話した。

◆巨人は負の連鎖が止まらない。9回に7番手で登板した大竹が、1死満塁から投ゴロを本塁に悪送球。京セラドーム大阪が騒然とする中、2者がかえって、日本シリーズの球団ワーストとなる13点目を失った。投手陣が15安打を浴び、打撃陣は5安打2得点で大敗。日本シリーズ7連敗となった。 重苦しいムードの中、試合後、原監督は一塁側通路に現れた。「なかなか。何と言うか、やはり流れがね。こっちに来ないというかね。最初に渡してしまったというね、ところですね」と切り出した。第2戦の先発に今村を抜てきしたが、1回に重い3点を失った。「流れを相手に渡したかなという感じですね。まあ、明日1日ありますから。猛練習して明後日に備えますよ。以上」。今季最短の39秒で、自ら会見を打ち切った。 ソフトバンクとの日本シリーズは昨季から6連敗。打線は連敗数と重なる6試合連続の1ケタ安打に終わった。5回にウィーラーの2ランで追い上げたが、坂本、岡本の連打でつくった6回1死一、二塁のチャンスも生かせず。2回途中4失点で降板した今村のあとを受けた戸郷もグラシアルに2ランを許し、3回までに6失点。序盤で試合の大勢が決すると、7回には鍵谷が満塁本塁打を許した。第3戦から巻き返しをはかる。【前田祐輔】 ▼巨人のシリーズ1試合13失点は球団ワースト。これまでは94年<1>戦で西武に0-11で敗れたのが最多だった。11点差は前記西武戦以来の球団ワーストタイ。 ▼巨人は日本シリーズで楽天との13年<7>戦、ソフトバンクとの19年<1>~<4>戦、20年<1><2>戦と7連敗。シリーズ7連敗以上は58~61年巨人の9連敗、60~70年ロッテの7連敗に次いで3度目。シリーズの同一カード6連敗は初めて。 ▼セのチームは13年<7>戦からシリーズのDH制採用試合で通算19連敗。

◆ソフトバンク・デスパイネが巨人にとどめを刺した。 5点リードの7回1死満塁で、巨人鍵屋から右翼席へ豪快アーチ。得意の逆方向弾は南海、ダイエー時代も含めて、シリーズで球団初のグランドスラムになった。「完璧でした。打った瞬間入ると思ったよ。今日はチャンスで回ってくることが多かったし、最高の結果になってくれて良かった」。ベンチに戻ると、すさまじい打球とは対照的な愛くるしい笑顔で、柳田、栗原とポーズを決めた。 この日は初回に内野ゴロで1点、5回に犠飛で1点と、走者を置いた打席ではすべて打点をマーク。1試合6打点は63年の巨人柴田、04年の西武カブレラに並ぶタイ記録だ。「記録のことは知らなかったが、素直にうれしい。4連勝できるように頑張りたい」。出塁率の高い最強クリーンナップの後ろに「恐怖の6番打者」が控えている。 ▼デスパイネが満塁弾を含む6打点。日本シリーズで1試合6打点は、63年<7>戦柴田(巨人)04年<3>戦カブレラ(西武)に次ぐ3人目の最多タイ記録。満塁弾は18年<3>戦安部(広島)以来21人目だが、ソフトバンクでは球団史上初めてとなった。なお、外国人選手のアベック弾は、05年<2>戦ロッテのフランコ、李承■(■は火ヘンに華)以来、15年ぶり7組目。 ▼デスパイネはこれで日本シリーズ通算19打点。シリーズの通算最多打点は長嶋(巨人)の66打点だが、球団では野村の17打点を抜く最多記録。外国人選手でも、マルカーノ(阪急)の19打点に並ぶ最多タイ。

◆ソフトバンクは1回に柳田の適時二塁打などで3点を先制。2回に甲斐のソロ、3回はグラシアルの2ランで追加点を挙げた。 ソフトバンクは5回にデスパイネの右犠飛で1点を追加した。巨人は5回にウィーラーの2ランで2点を返した。 ソフトバンクは7回、デスパイネが満塁弾で1試合6打点のシリーズタイ記録。チームは日本シリーズの連勝記録を10に伸ばした。 ▼ソフトバンクが03年<2>戦に並ぶシリーズ球団タイ記録の13点を挙げ2連勝。ポストシーズンの連勝記録は19年CSの1S<2>戦から14連勝、日本シリーズの連勝記録は18年<3>戦から10連勝に伸ばした。シリーズで△○○を含む連勝発進は過去37度のうち28度優勝し、V確率は76%。今回のように敵地で連勝のケースも過去13度のうち10度優勝でV確率77%と高い。ソフトバンクの連勝スタートは2年連続7度目。本拠地で連勝の59、03、15、17、19年の5度はすべて日本一だが、敵地で連勝の00年巨人戦は東京ドームで○○の後、福岡ドームの<3>戦から●●●●でV逸。今回は?

◆ソフトバンク石川柊太投手がシリーズ初先発で白星を挙げた。 巨人打線を相手に6回途中2失点で、初戦に勝った千賀に続いて育成出身投手で連勝。「早い回に野手の方が点を取ってくれた。自分らしさというか、テンポの良さを意識して投げることができたと思います」と振り返った。 持ち前の圧倒的なテンポで次々に投げ込んだ。力のある直球と独特の軌道を描くパワーカーブで的を絞らせずに7奪三振。5回にウィーラーに2ランを浴びたが、1、2、4回は3者凡退とサクサク抑えた。「勝っても負けても試合が早い。体に優しい」。「四球を出すのも早い」と、野手陣にも好評の高速ピッチングで、打線の大量援護も呼び込んだ。 「大舞台も小舞台もないですよ。いつも背水のつもりで投げているので」。日本一を決める戦いでも普段通りの投球ができる、石川ならではのメンタリティーがある。「言ってしまえば、自分との戦い。相手も舞台も何も関係ない。オープン戦だろうが、どこでも力を100%出すというのは変わらないです」。どんな試合でもがむしゃらに投げてきたから、初体験のマウンドでも揺らぐことがなかった。【山本大地】   ▼石川がシリーズ初先発を白星で飾った。シリーズの石川は過去にリリーフで6試合登板して3勝0敗だから、これで黒星なしの4連勝。シリーズの連勝記録は渡辺久(西武)の6連勝で、4連勝以上は12人、13度目となり、無傷の4連勝以上は81年<2>戦~83年<5>戦西本(巨人)以来6人目。ソフトバンクでは4連勝、無傷の4連勝とも南海時代の59年に<1>戦から4連投で4連勝した杉浦以来、61年ぶり2人目だ。

◆日本シリーズ・ニッカンMVP査定。 先制打の柳田、6打点のデスパイネ、先発勝利の石川に3ポイント。 4安打の栗原と1発、3得点のグラシアルは2試合連続でポイント獲得。

◆ソフトバンクが第2戦も勝利し、敵地で連勝した。◆ソフトバンク高橋礼(6回2死満塁で中島を空振り三振)「結果的に0点で抑えることができてよかった」 ◆ソフトバンク岩崎(7回に登板し3者凡退)「点差は開いていたが、まだ試合は続くので、緩まないようにしっかり投げた」

◆ソフトバンク石川がシリーズ初先発で白星を挙げた。6回途中2失点。初戦に勝った千賀に続いて育成出身投手で連勝。「早い回に野手の方が点を取ってくれた。自分らしさというか、テンポの良さを意識して投げることができたと思います」と振り返った。 持ち前の圧倒的なテンポで次々に投げ込んだ。力のある直球と独特の軌道を描くパワーカーブで的を絞らせずに7奪三振。1、2、4回は3者凡退とサクサク抑え、2000安打の坂本を完全に崩して打線を寸断した。「勝っても負けても試合が早い。体に優しい」「四球を出すのも早い」と野手陣にも好評の高速ピッチングで、大量援護も呼び込んだ。 「大舞台も小舞台もないですよ。いつも背水のつもりで投げているので」。日本一を決める戦いでも普段通りの投球ができる、石川ならではのメンタリティーがある。「言ってしまえば、自分との闘い。相手も舞台も何も関係ない。オープン戦だろうが、どこでも力を100%出すというのは変わらないです」。どんな試合でもがむしゃらに投げてきたから、初体験のマウンドでも揺らぐことがなかった。【山本大地】 ▼石川がシリーズ初先発を白星で飾った。シリーズの石川は過去にリリーフで6試合登板して3勝0敗だから、これで黒星なしの4連勝。シリーズの連勝記録は渡辺久(西武)の6連勝で、4連勝以上は12人、13度目となり、無傷の4連勝以上は81年第2戦~83年第5戦西本(巨人)以来6人目。ソフトバンクでは4連勝、無傷の4連勝とも南海時代の59年に第1戦から4連投で4連勝した杉浦以来、61年ぶり2人目だ。

◆ソフトバンク・グラシアルが「シリーズ男」の本領を発揮した。4点リードの3回無死一塁。2番手戸郷の真ん中スライダーを完璧にとらえると左中間を越えた。ダメ押しの1号2ランでリードを6点に広げた。 昨季の日本シリーズは3発でMVPに輝いていた。今年も2戦連続2安打。「久しぶりにいい当たりのホームランだった。いい追加点になってくれた」と話した。 ▼グラシアルが18年第3戦からシリーズ9試合連続得点。連続試合得点(連続シリーズ)は68年第1戦~6戦、69年第1戦~3戦の高田繁(巨人)に並ぶ最長となった。シリーズで3年連続の本塁打は91~94年清原(西武=4年連続)以来。外国人選手の3年連発は最長に並び、51~53年与那嶺(巨人)78~80年マニエル(ヤクルト、近鉄)90~92年デストラーデ(西武)に次いで4人目。

◆3年ぶりに、あっさりと博多で歓喜を迎えるのだろうか。ソフトバンクがシリーズ2連勝。完勝と言うべきか、圧勝と言うべきか。打線が3本塁打を含む2ケタ安打を浴びせ爆発。初先発の石川はハイテンポな投球リズムで巨人打線を6回途中まで2失点投球。継投も決まって圧倒的優位な展開で白星をもぎ取った。 これで昨年から巨人に6連勝。シリーズ連勝も10に伸ばし、憎らしいばかりの強さを見せつけている。第3戦からは本拠地ペイペイドームに戻って3試合。この雰囲気なら一気に頂点に駆け上がるかもしれない。ソフトバンクは初戦を含め千賀、石川、牧原、甲斐、周東の育成選手出身が先発メンバーに名を連ねた。11年に「3軍」を組織してからチーム力がさらに増している。毎年、スカウティング用の小冊子のパンフレットを作製。アマスカウトが高校、大学、社会人などを巡りながら持参してチームプロフィルを紹介している。小冊子には工藤監督はじめ、孫球団オーナー、王球団会長もコメントを寄せており、アマ選手に熱いメッセージを送っている。「育成のホークス」といわれる。千賀、甲斐を筆頭に主力に成長する選手を輩出。3軍時代から独立リーグ、大学、社会人、韓国遠征などの実戦機会を多く取り入れるシステムもさることながら、それ以上に成長の源となっているのはチーム内の「競争心」「危機感」だろう。育成の成長はチーム強化の相乗効果も生んでいる。勝利の方程式の一角を担う岩崎でも「自分の居場所を探さないと」と危機意識を持ってマウンドに立つ。王球団会長は、育成から1軍までチームに通底する「勝利への意識」に手応えを感じ取っている。「選手たちが『勝つんだ』という明確な目的を持っているから。誰もうかうかしておれないんですよ。そうなることが(チーム作りで)一番難しいけど、勝つためにやるんだ、とはっきりとした戦いの目標を、選手たちの心の中に植え付けたから」この日は途中出場の牧原、真砂、川瀬も安打を放った。「昨日より今日。今日より明日」-。監督時代から口酸っぱく日々進化を求めた王イズムが脈々と受け継がれてもいる。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンク・工藤公康監督(57)が試合前、第2戦先発を託す石川柊太投手(28)に「あの腕の振りからも力のある球がくる投手。彼の持っているものを出してもらえれば、千賀君の後というのはありますけど、違う意味での球威はある投手なので。十分、いけるかなと思っています」と期待した。  前日21日の第1戦は高卒6年目の栗原が菅野から先制2ラン。六回の好機でも2点打を放ち4打点の活躍を見せると、先発・千賀は7回無失点。投打がかみ合って先勝した。日本シリーズで先勝したチームが日本一に輝く確率は約63%。最高の形で切れたスタートに石川が続く。  石川は今季11勝で最多勝、勝率・786で最高勝率の2冠に輝いた。第2戦を託す意図に指揮官は「決め手は当然、彼自身の成績もあるし。独特の球も持っているので」と説明した。ポストシーズン13連勝、日本シリーズ9連勝中のチームがさらに白星を重ねることができるか。

◆巨人・丸佳浩外野手(31)が22日、日本シリーズ第2戦の試合前にソフトバンク・中村晃外野手(31)に謝罪した。シートノックが入れ替わる際、丸が中村晃に対し、頭を下げながら両手を合わせるようにして伝えた。  前日21日の第1戦の四回無死一、二塁で、丸が併殺打となった際、一塁ベースを右足で踏んだ後に左足が中村晃の足に接触した。治療などは行われず、試合はすぐに再開した。  丸はこの日の試合前の打撃練習時にソフトバンク・工藤公康監督(57)のもとへ向かい、頭を下げる場面もあった。

◆巨人・今村信貴投手(26)が日本シリーズ初先発したが、1回2/3を3安打4失点で降板。試合をつくることはできなかった。  「自分の持っている力をすべて出し切りたい。先に点を与えないように、ランナーを出しても丁寧に粘り強く投げたい」と意気込んで上がったマウンド。一回1死一塁から柳田に中越え適時二塁打を浴びて先制を許すと、味方失策やデスパイネの三ゴロなどで計3失点した。  何とか立て直したかった二回にも、1死から甲斐に左中間にソロを献上し、0-4に。持ち味を発揮することはできなかった。2番手には戸郷が登板した。

◆先発したソフトバンク・石川柊太投手(28)は5回1/3を投げ2失点で降板。勝利投手の権利を手に入れた。  序盤からフルスロットルだった。三回を終えて1安打5三振と抜群の立ち上がり。スプリットに自慢のパワーカーブもさえわたり、巨人打線を翻弄した。五回1死一塁からはウィーラーに右翼席に2ランを浴びた。  六回1死から連打を浴びて一、二塁とされたところで2番手・嘉弥真にスイッチ。その嘉弥真が丸を空振り三振。代打・石川に対して今度は高橋礼をマウンドに送ると、巨人ベンチは代打の代打・田中俊。四球を与えて満塁とされるが、最後は中島を空振り三振に斬った。  先発した石川にとってはこれが日本シリーズ初先発。前日21日に先発した千賀とともにシーズン11勝で最多勝に輝いたが、日本シリーズの1戦目、2戦目でシーズンの最多勝利投手が続けて先発するのは史上初だった。

◆ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ外野手(34)が「6番・指名打者」で出場。日本シリーズタイ記録となる1試合6打点の大暴れだ。  7-2の七回。2安打と四球で1死満塁とすると、鍵谷の146キロ直球を右中間へ。ぐんぐんと伸びていく打球はそのままスタンドに着弾した。  デスパイネは一回1死一、三塁では三ゴロの間に三走・グラシアルが生還。五回1死一、三塁でも右犠飛を放っていた。1試合6打点は、1963年の紫田(巨人)、2004年のカブレラ(西武)に並ぶシリーズタイ記録。

◆パ王者が投打で巨人を圧倒。シリーズ10連勝を達成し、第1戦で樹立した新記録(9連勝)をさらに更新した。ポストシーズンの連勝記録は「14」となった。  鷹打線はいきなり火を噴いた。一回1死一塁で柳田が中越え適時二塁打を放つと、巨人の守備の乱れなども重なり、この回3点を先取。二回には甲斐にバックスクリーン左に叩き込むソロ本塁打が飛び出し、先発の今村をマウンドから引きずり下した。  三回には無死一塁で打席に入ったグラシアルが左中間席へ豪快にボールを運んで6点をリード。さらに五回1死一、三塁では、デスパイネの右犠飛で7点目を奪った。ソフトバンク先発の石川は、五回にウィーラーに2ランを浴びたが、六回途中4安打2失点と先発の役割を果たして降板した。  試合を決めたのは七回、デスパイネの満塁弾だった。牧原の中前打、柳田の四球、栗原の内野安打で1死満塁とすると、4番手・鍵谷の2球目を強振。ものすごい打球音とともに右中間席に突き刺さった。九回には、相手のミスに乗じてさらに2点を追加した。  一方、巨人の得点はウィーラーの一発のみ。ソフトバンク投手陣に5安打に抑えられた。

◆パ王者が投打で巨人を圧倒。シリーズ10連勝を達成し、第1戦で樹立した新記録(9連勝)をさらに更新した。ポストシーズンの連勝記録は「14」となった。 鷹打線はいきなり火を噴いた。一回1死一塁で柳田が中越え適時二塁打を放つと、巨人の守備の乱れなども重なり、この回3点を先取。二回には甲斐にバックスクリーン左に叩き込むソロ本塁打が飛び出し、先発の今村をマウンドから引きずり下した。 三回には無死一塁で打席に入ったグラシアルが左中間席へ豪快にボールを運んで6点をリード。さらに五回1死一、三塁では、デスパイネの右犠飛で7点目を奪った。ソフトバンク先発の石川は、五回にウィーラーに2ランを浴びたが、六回途中4安打2失点と先発の役割を果たして降板した。 試合を決めたのは七回、デスパイネの満塁弾だった。牧原の中前打、柳田の四球、栗原の内野安打で1死満塁とすると、4番手・鍵谷の2球目を強振。ものすごい打球音とともに右中間席に突き刺さった。九回には、相手のミスに乗じてさらに2点を追加した。 一方、巨人の得点はウィーラーの一発のみ。ソフトバンク投手陣に5安打に抑えられた。

◆巨人・原辰徳監督(62)が第2戦を振り返った。一問一答は以下の通り。--序盤に失点  「そうですね。なかなか。なんというか、やはり流れがこっちに来ないというか、最初に渡してしまうというところですね」  --先発の今村が二回途中4失点  「うーん、そうですね。まあ、流れを相手に渡したかなという感じですね。まあ、明日1日ありますから、猛練習して明後日に備えますよ。以上」

◆SMBC日本シリーズ2020は22日、京セラドーム大阪で第2戦が行われ、4連覇を狙うソフトバンク(パ・リーグ優勝)が8年ぶりの日本一を目指す巨人(セ・リーグ優勝)に13-2で大勝して2連勝を飾った。ソフトバンクは2018年の第3戦から続けているシリーズの連勝記録を10に伸ばし、巨人は13年の第7戦から7連敗となった。  過去の日本シリーズで第1戦から2連勝したチームは35度あり、そのうち約77%にあたる27度日本一になっている。  ソフトバンクの連勝スタートは過去に6度。巨人に4連勝した昨年を含む5度は日本一に輝いたが、2000年は巨人に第3戦から4連敗して敗退した。  巨人の初戦からの連敗は過去に9度あり、逆転での日本一は00年を含む2度。近鉄と戦った89年は3連敗からの4連勝でひっくり返した。

◆ソフトバンクは救援5投手が無失点でつなぎ、反撃を許さなかった。7-2の六回1死で石川が連打を浴びると継投策に入り、嘉弥真が丸を空振り三振に仕留めて高橋礼にスイッチ。高橋礼は四球を与えて2死満塁で、中島をフルカウントから速球で空振り三振に仕留め「結果的に0点で抑えることができて良かった」と汗をぬぐった。  工藤監督が2015年に就任して以来、ポストシーズンで六回裏終了時にリードしていれば31戦全勝。工藤監督は「六回が一番のみそだった。何とかあそこでしのげればと思っていた」と満足そうにうなずいた。

◆SMBC日本シリーズ2020は22日、京セラドーム大阪で第2戦が行われ、4連覇を狙うソフトバンク(パ・リーグ優勝)が8年ぶりの日本一を目指す巨人(セ・リーグ優勝)に13-2で大勝して2連勝を飾った。ソフトバンクは2018年の第3戦から続けているシリーズの連勝記録を10に伸ばし、巨人は13年の第7戦から7連敗となった。  ソフトバンク・工藤監督 「初回からしっかり得点できたのが大きかった。みんながつなげる野球をやってくれたことが勝利につながった。(石川は)よく試合をつくってくれた。福岡に戻って日々新たな気持ちを持って第3戦も戦いたい。」

◆ソフトバンクの栗原がシリーズ記録に並ぶ1試合4安打を放った。打点こそつかなかったがいずれも好機をつくり、その後の得点につなげた。第1戦で4打点を挙げて上がったお立ち台では「(次は)どうなるか分からない」と謙虚だった。しかし、再び打線を引っ張って勝利を呼び込み「毎打席集中して打席に入れた」と胸を張った。  今シリーズが始まるまではポストシーズン無安打。それが2試合で8打数7安打と当たりが止まらない。新たな「シリーズ男」として名を刻みつつある。

◆ベンチに戻り、タオルを被って悔しさをあらわにした。日本シリーズ初先発の巨人・今村は、1回2/3を4安打4失点でKOされた。  「ふがいないし、申し訳ないです...」  何とか絞り出した言葉がこの日の全てだった。一回1死一塁から柳田に中越えの適時二塁打を浴びるなどあっさりと3点を先制された。何とか立て直したかった二回も1死から甲斐にバックスクリーン左へのソロを献上した。  前日21日の第1戦はエース・菅野で落としていただけに大事なマウンドだったが、楽天と対戦した2013年第7戦の杉内以来となる1回2/3でマウンドを降りた。  レギュラーシーズンでは5勝を挙げて、大役をつかんだ9年目左腕だが、鷹打線の勢いを止めることはできなかった。(箭内桃子)

◆巨人は、日本シリーズ第2戦でソフトバンクに2-13で大敗。球団ワーストの13失点で、楽天と対戦した2013年の第7戦から続く連敗は7に伸びた。先発の今村信貴投手(26)が二回途中4失点でKOされると、救援陣も鷹打線の勢いを止められず、得点も一発の2点のみ。原辰徳監督(62)は試合後の会見を39秒で打ち切った。  現実はかくも残酷なのか-。巨人投手陣に、圧倒的な力を誇る鷹打線を止める術はなかった。記録的な大敗で、痛恨の2連敗を喫した。  「やはり流れがこっちに来ないというかね。最初に渡してしまうというね。(移動日で)明日1日ありますから。猛練習して、明後日に備えますよ。以上!!」  口調こそ穏やかだったが、顔を真っ赤にした原監督はきびすを返し、会見をわずか39秒で打ち切った。  先発の今村が二回途中4失点でKOされると、2番手以降の戸郷、田口、鍵谷も打ち込まれ、傷口を広げた。特に七回に鍵谷がデスパイネに満塁弾を浴びて11点目を献上すると、大勢のG党が席を立った。九回にも大竹が2点を失い、球団ワーストの13失点を喫した。 その他の写真(2/4枚)  セ・リーグトップのチーム防御率3・34をマークした投手陣がパ・リーグ王者に歯が立たない。打線も5安打で得点はウィーラーの2ランのみ。守備も2失策と乱れた。  チームはシリーズの開幕3日前(18日)に大阪入りして直前合宿を敢行した。完全非公開で練習を行い、ミーティングも重ねてきたが、走攻守で相手に上回られているのが現状だ。指揮官は2戦目に抜てきした今村についても「流れを相手に渡したかなという感じですね」と手厳しかった。  移動日を挟んで24日には敵地で第3戦に臨む。流れを取り戻すには、先手を取ること。投手陣は先制点を与えず、攻撃のリズムを作ることだ。独走でリーグ連覇を果たしたレギュラーシーズンの戦い方に持ち込むことが、今は何よりも求められている。(伊藤昇)

◆本紙専属評論家の江本孟紀氏(73)が1973年の日本シリーズ、南海-巨人を述懐。「当時の巨人には切羽詰まった強さがあった」と表現し、「ソフトバンクもどこか似ている」と独特な視点で評した。返す刀で「それに比べて、今の巨人は」-。厳しい言葉で奮起を促した。  ホークス連勝で、あの記憶がよみがえる。1973年の日本シリーズ。大阪球場での第1戦。エモトが3失点で完投勝利を挙げたとき、正直なところ「巨人も大したことはないな」と思った。そこから4連勝で、巨人がV9。痛感させられたのは「切羽詰まった集団の強さ」だったね。  あの年の巨人は、公式戦の最終戦で阪神に勝って優勝決定。薄氷を踏むように、日本シリーズに進出してきた。長嶋茂雄さんも負傷で欠場。危機感にあふれていたからこそ、逆に気合が入っていた。それこそが、切羽詰まった強さだ。  今年のソフトバンクも、どこか似ている。公式戦終盤まで、西武とロッテに食い下がられ、気の休まることのない日々で、鍛えられた。切羽詰まったところから、バネが弾けるように強靱(きょうじん)なチームになっている。  それに比べて、今の巨人はどうだ?! と厳しく言わざるをえない。シリーズ前、ソフトバンク圧倒的有利の世間の声に反して、あえて「巨人の4勝2敗」と"逆バリ"で予想したけれど、さすがにもう、かばえない。  当たらない打線もさることながら、投手陣のレベルが低すぎる。リリーフ陣も含めて、きっちりと抑えてベンチに戻り、攻撃にリズムをもたらすような投手が、いない。  そもそも、第2戦の先発が今村...という時点で「?」マークよ。せめて3戦目までは、シーズンを通して投げて、成績もそれなりに伴った投手が出てこないと勝負にならない。そのレベルの投手は菅野だけ...というならば、そのこと自体が、レベルの低さを如実に物語っているよ。  移動日をはさみ、球場が変わる第3戦。よほどの気分転換ができない限り、ひっくり返せない。しょせんシリーズに出場するレベルではなかった...と言われないよう、一世一代の奮起が必要だ。巨人だって十分、切羽詰まっているのだから。 (本紙専属評論家)

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