ロッテ(☆8対2★)西武 =リーグ戦24回戦(2020.11.08)・ZOZOマリンスタジアム=
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西武
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ロッテ
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勝利投手:岩下 大輝(7勝7敗0S)
敗戦投手:松本 直晃(6勝7敗0S)

本塁打
【ロッテ】藤岡 裕大(4号・4回裏ソロ)

  DAZN
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◆ロッテがクライマックスシリーズ進出を決めた。ロッテは同点で迎えた4回裏、藤岡のソロで勝ち越す。その後、6回に藤原の適時打などで3点を加えると、8回には中村奨の2点適時打で試合を決めた。投げては、8投手の継投で相手打線を封じた。敗れた西武は、守備のミスが痛かった。

◆西武が2位を争うロッテとの直接対決で、コーリー・スパンジェンバーグ内野手が先制適時打を放った。 2回無死一、二塁のチャンスで打席に入ると、カウント2-2からど真ん中の直球を中前へ運んだ。2試合連続で打点をマークしたスパンジェンバーグは「今日は大事な試合。だけど冷静にランナーをかえそうと思って打席に入ったよ。いい形で先制点を取ることができてよかった」とコメントした。 クライマックスシリーズ(CS)出場には、この試合で負けたら終戦という大一番。なおも1死二、三塁で2試合連続スタメン起用の呉念庭内野手の左前適時打で追加点を挙げた。呉念庭は「逆らわず、来たボールを打ち返そうと思っていました」とコメントした。

◆ロッテ藤岡裕大内野手(27)が価値ある4号ソロを放った。 2-2の同点で迎えた4回2死、西武松本の116キロカーブをしっかり引きつけ、右中間のテラス席へ放り込んだ。 先発小島が2回2失点で降板するも、小野、岩下とパワーピッチャーが3、4回を無失点に封じた後の1発。試合中、広報を通じて「うまく反応することができました。最高の結果です。今日は絶対に勝ちます」とコメントを寄せた。

◆西武先発の松本航投手が4回途中に降板した。2回までパーフェクト投球。しかし2点のリードをもらいながら、3回に四球と初安打で一、三塁のピンチをつくった。1番荻野を三塁への併殺打の当たりに打ち取ったはずが三塁スパンジェンバーグが痛恨の失策。打球を見失い1点をかえされた。さらに菅野に同点適時打を浴びた。 4回には藤岡に勝ち越しソロを浴び、3回2/3を投げ3失点(自責1)で降板。2位争いの直接対決で、踏ん張り切れなかった。松本は「1点入った後の2点目を防ぐことができなかったのが悔しいです。何としても最少失点でいかなくてはならないところを、ズルズルいってしまいました...。(藤岡の本塁打は)変化球が甘いゾーンにいってしまいました。もっと厳しく、低く投げなければいけないところでした。悔しいです」と振り返った。

◆ロッテが西武との直接対決を逆転勝利で制し、4年ぶり7度目のCS進出を決めた。コロナ禍で変則120試合制となったシーズンの、119試合目のことだった。 山あり谷あり、まるでジェットコースターのような2020年だった。 1月、いきなり12球団の主役になった。最速163キロ右腕・佐々木朗が19年ドラフト1位で入団。新人合同自主トレ、石垣島キャンプと注目を浴び続けた。 オープン戦が始まり、3月には阪神を退団した鳥谷が電撃入団。開幕1軍入りも見えかけたころ、コロナ禍で活動休止となった。佐々木朗はシート打撃で160キロを投げた。 6月に開幕すると、チームは福田秀を故障で欠きながら、開幕2戦目から破竹の8連勝。変則シーズンならではの同一カード6連戦で、オリックスにいきなり6連勝するなど、勢いに乗った。 7月上旬に黒星が増え始めると、負は連鎖する。8回のマウンドを託していたジャクソンが電撃退団になると、直後に大麻所持容疑で逮捕された(後に不起訴処分)。レアード、種市と投打の主軸が故障で戦線離脱し、7月下旬にはしばらく4位に停滞した。 8月に持ち直した。16勝8敗2分け。俊足和田の3安打3盗塁3得点デビューに、ベテラン鳥谷の激走でのサヨナラ勝利。唐川が「7回の男」として定着し、無失点を続けた。8月21日には1日だけながら、ソフトバンクを抜いて単独首位に再浮上した。 9月上旬には、沢村が巨人から電撃トレードで加入。入団会見当日にマウンドに上がり、3者三振の衝撃デビューを飾った。一方、正捕手の田村が右手指に死球を受けて離脱。その後、荻野が故障から復帰した。フルメンバーが一度もそろわないシーズンだった。 10月に悪夢が待っていた。4日、5日と立て続けで、選手ら10人以上に新型コロナウイルスの陽性判定が出て、荻野や藤岡といったレギュラー組も療養へ。残り30試合を切り、2位を確保するための大事な時期に大きな痛手となった。 その中でも将来の1番候補・藤原が台頭。チームの連敗が立て込む中、持ち前のフルスイングで打線を必死にけん引した。一方で年間を通じチームの精神的支柱になったマーティンが、10月20日に故障。今季中の復活が厳しくなり、打線の得点力が著しく低下。ずっと守ってきた2位の座も、ついに陥落した。 シーズンを通して、突出した成績を残す選手はいなかった。耐えて粘って、なんとか119試合目で抜き返した。CSでぶつかるソフトバンクは強い。井口監督も「選手層は厚いですし、経験値も含めて我々よりはるかに上だなというところですね」と話したことがある。ただ2020年のロッテが、このまま淡々と終わるとは思えない。さらなるドラマの予感が漂う。【金子真仁】

◆西武の大逆転でのクライマックスシリーズ出場の道が断たれた。 2位ロッテとの直接対決は2点先制しながらも、守備の乱れからリードを失った。2回までパーフェクト投球の先発松本航が、3回に四球と初安打で一、三塁のピンチ。1番荻野を、三塁への併殺打の当たりに打ち取ったはずが、三塁スパンジェンバーグが痛恨の失策で1点失った。さらに傷口を広げ、同点適時打も許した。 4回藤岡に勝ち越しソロ。6回2死一、二塁、マウンドの平井は一塁適時内野安打でベースカバーに入った後、本塁送球を失策し2失点喫した。後続も打たれ、4点差に突き放されて勝機を逸した。 試合に敗れ3位が確定。2位と最大9ゲーム差あった下位から、終盤にかけて巻き返しを見せたが、119試合目で1試合残して終戦となった。

◆西武は2回に2点を先制も、3回にロッテが敵失と菅野の適時打で同点に追いついた。ロッテ先発小島は2回4安打2失点で降板。 ロッテは4回、藤岡の4号ソロで1点を勝ち越し。6回には藤原の適時二塁打などで3点を追加し、6-2とリードを広げた。 ロッテは逃げ切り2位が確定。4年ぶり7度目のCS進出が決まった。好救援の岩下は7勝目。敗れた西武はCS進出を逃した。西武松本は7敗目。

◆西武の大逆転でのクライマックスシリーズ出場の道が断たれた。 2位ロッテとの直接対決は2点先制しながらも、守備の乱れからリードを失った。2回までパーフェクト投球の先発松本航が、3回に四球と初安打で一、三塁のピンチ。1番荻野を、三塁への併殺打の当たりに打ち取ったはずが、三塁スパンジェンバーグが痛恨の失策で1点失った。さらに傷口を広げ、同点適時打も許した。 4回藤岡に勝ち越しソロ。6回2死一、二塁、マウンドの平井は一塁適時内野安打でベースカバーに入った後、本塁送球を失策し2失点喫した。後続も打たれ、4点差に突き放されて勝機を逸した。 試合に敗れ3位が確定。2位と最大9ゲーム差あった下位から、終盤にかけて巻き返しを見せたが、119試合目で1試合残して終戦となり、辻発彦監督は「残念ではあるけどね。優勝してもソフトバンクにやられていたこともあって、逆の立場でリベンジできるチャンスでもあったんだけど、それができなくて残念ですね」と悔しがった。 就任4年で2連覇を含め、いずれもAクラス入り。来季続投が基本方針となっている辻監督は「去年と一番違うところは打線が奮わなかった、つながらなかった。この2年間とは全然違ったような気がします。でもその中でもそのときそのときのチーム力で戦わないといけない。今年に限っては先発がちょっと足りないとこもあったけど、(リリーフ陣の)中から後ろに関しては、勝ちパターンが見えてきて、彼たちの頑張りでここまで追い上げてきて、踏ん張れたと思いますよ。今年のことをしっかり反省しながら、来年に向かってくれれば」と就任5年目となる来季、リーグ優勝奪還を目指す。

◆ロッテが西武との直接対決を逆転勝利で制し、4年ぶり7度目のCS進出を決めた。選手の主なコメント以下の通り。 ▽ロッテ唐川(6回2死満塁で登板し三振切り)「全球カットボールです。中途半端にならないように、自分の考えだけはクリアにしていこうと思いました」 ▽ロッテ沢村(8回に登板し無失点)「CSに行ける権利を得たのはものすごく大きい。挑戦者として、チームの一員として戦っていけたらなと思う」 ▽ロッテ益田(9回に登板し3者凡退に抑える)「自分たちらしい勝ち方ができて良かった。失うものは何もないので。なんとか下克上したいなと思います」

◆ロッテが西武との直接対決を逆転勝利で制し、4年ぶり7度目のCS進出を決めた。▽敗れた西武の主なコメント 西武源田(CS出場を逃し主将として)「1番は悔しい気持ち。終盤にかけては特に、ファンの方の気持ちが届いていました。その期待に応えられず申し訳ないです」 西武松本(大一番で先発も3回1/3を3失点)「1点入った後の2点目を防ぐことができなかったのが悔しいです。何としても最少失点でいかなくてはならないところを、ズルズルいってしまいました」

◆山賊の大逆転劇が、1試合残して幕を閉じた。西武が2位ロッテとの直接対決に敗れ、3位が確定。CS出場権を逃し、辻発彦監督(62)は「優勝してもソフトバンクにやられていたこともあって、逆の立場でリベンジできるチャンスでもあったんだけど、それができなくて残念」。2連覇しながら2年連続でソフトバンクに屈したCSの舞台に立てず、悔しさをにじませた。 リーグ3連覇を逃したが、2位と最大9ゲーム差からの奇跡の逆転CSは、明確な目標だった。2年連続本塁打王の山川、昨季首位打者の森の不振。それでも終盤は4番に栗山を据え、チーム防御率リーグ6位、同打率5位でも僅差勝負をものにして、激しい2位争いを演じた。しかし、毎年のようにFA移籍による戦力流出に、持ち前の育成力がついていかなかった。 現状を象徴するシーンは1点を追う6回の攻撃。3四死球で1死満塁の絶好機で、8番愛斗が3球三振、9番呉念庭も2者連続の空振り三振に打ち取られた。愛斗は今季初、呉は8試合目のスタメンだった。前夜の楽天戦で木村が右手を負傷する不運もあり、経験値の少ない若手を起用したが実らず。春季キャンプからシーズン通して野手の競争を促してきたが、大一番で層の薄さが如実に表れた。 就任4年で2連覇を含めいずれもAクラス入り。来季続投が基本方針となっている辻監督は「しびれるようなところで結果出すには、日ごろから緊張した中でやらないといけないし、そうしなきゃ1軍で飯を食えないと1人1人が考えて、これからやってくれれば」。底上げは急務。就任5年目の来季、リーグ優勝奪還を目指す。【栗田成芳】

◆ロッテ藤岡裕大内野手(27)が殊勲の決勝弾を放ち、チームを4年ぶり7度目のCSへ導いた。 同点の4回2死走者なし、西武松本の高めに浮いたカーブを捉えた。「入ってくれ」と願った打球はロッテファンの待つ右翼席へ。CS進出がかかる大事な直接対決で飛び出した4号ソロ。 「体が自然に反応して、良い角度で上がった。自分の本塁打で貢献して勝てて非常にうれしかった」 苦しい時期を経験したからこそ、喜びもひとしおだ。チームは10月初めまで首位ソフトバンクと僅差でせめぎ合う好位置につけていたが、その後失速。最大14あった貯金は1に減り、4日には1度は3位に転落した。 「最後の最後にチームが沈んで、いけると思っていたCSがどんどん遠くなる感じは戦っていて非常に苦しかった。最後に勝てばCSというところで一丸で戦えた。良い流れになるかなと思います。日本一になるチャンスは残されている。明日も勝って、いい形で終わりたい」 藤岡にとっては初のCSが待っている。視線の先にある日本一に向け、負けられない戦いを制した勢いのまま、2位からの下克上を狙う。【小早川宗一郎】

◆ロッテ岩下大輝投手がCS出場をグイッと引き寄せた。 同点に追いついた直後の4回、今季初めての救援マウンドへ。「1点もあげられない状況なので、一番自信のある球を中心に組み立てていかないと」と捕手田村と打ち合わせ、落差の大きいフォークで攻めまくった。 6回1死一、二塁とした場面で、4番手東條に後を託したが、流れが移ろいかねない中盤を無失点で抑えた投球は大きかった。7勝目となる白星も手にし「あらためてリリーフの大変さとファンの温かさが、僕の中で染みました」としみじみ。コロナ感染での離脱もあったが、大一番で存在感を示した。もともと「先発、中継ぎのこだわりは少ない」と話す馬力ある右腕。短期決戦のCSでは、救援でさらなる輝きを放つチャンスもありそうだ。

◆苦難の末にロッテの今季2位が確定し、4年ぶり7度目のCS出場が決まった。 3位西武との直接対決。四球、小技、積極走塁で1点ずつ積み重ねた。先発要員の岩下大輝投手(24)もリリーフ起用する盤石の継投で、ロッテらしく勝った。14日から、福岡で王者ソフトバンクとのCSが開幕。シーズン3位から日本一へ上り詰めた2010年「下克上」の再現を狙う。あかね色の秋空に、多くの腕が突き上げられた。急失速で失いかけたCS出場権を、死球を受けた爪が青いままの捕手田村が大事に捕る。CSが決まった。井口監督は「粘ってしっかりつなぐのがマリーンズの野球。本来の野球が取り戻せたかな」と、選手たちを頼もしそうに見つめた。 4回、伏兵藤岡がカーブを引っ張って決勝弾になった。スタンドは歓喜と、少しばかりの驚き。打った本人でさえ「最高の結果です」と興奮した。ただ、空中戦は今年のロッテの本分ではない。象徴的なシーンが6回にあった。6番井上が安打で出塁も、藤岡が犠打失敗。それでも1死後、田村も送りバントをした。 2死でも得点圏へ-。塁上の井上は「逆にそういうサインが出たことで、この試合の大切さが伝わってきた」と話す。今季60勝中32勝が2点差以内。チーム打率は12球団ワーストの2割3分4厘だ。益田らリリーフ陣は盤石なだけに、現実を自覚すると「四球=安打」「得点圏へ進める」のコンセプトが大事になる。 もう1つが「次の塁を積極的に」。6回の送りバントの後、荻野の内野安打で相手の連係が乱れた。二塁走者井上がホームに突進。「判断はいいけど、足遅くてトロいってよく言われます」。この好走塁が相手失策を誘うと、一塁走者の安田も生還。長所を生かして3点差とし、試合は一気に安全圏に入った。 強力打線でないことは皆が知るところ。2ボールで拍手が増える。特にこの日、井上は「スタンドのイケイケ感が半端なかったです」と感じた。「僕たちは意外と普通だったのに。助けられました」。声は出せなくても、ZOZOマリンが後押しの熱気に満ちた。 8勝17敗と沈んだ10月。「自分たち(のプレーぶり)を疑うような反省の仕方をしていた」という井上の言葉が深い。和製打線としてようやく吹っ切れ、ロッテらしく戦える流れが今はある。去年は最終戦でCSが消えた。「選手たちも苦しかったと思いますけど、乗り越えてくれたのは大きい。CS、楽しみです」と井口監督。下克上の気配を漂わせ、いざ西の空へ。【金子真仁】 ◆10年ロッテの下克上 3連勝でシーズンを終え、最終戦で3位に滑り込み。CS第1Sは西武に2連勝。ソフトバンクとのファイナルSは1勝3敗と後がない状況から3連勝し、史上初めて3位から日本シリーズに出場。中日とのシリーズでは、7試合中3試合が延長戦となる接戦を4勝2敗1分けで制し、日本一をつかんだ。

◆山賊の大逆転劇が、1試合残して幕を閉じた。西武が2位ロッテとの直接対決に敗れ、3位確定。CS出場権を逃し、辻発彦監督(62)は「優勝してもソフトバンクにやられていたこともあって、逆の立場でリベンジできるチャンスでもあったんだけど、それができなくて残念」。2連覇しながら2年連続でソフトバンクに屈したCSの舞台に立てず、悔しさをにじませた。 リーグ3連覇を逃したが、2位と最大9ゲーム差からの奇跡の逆転CSは、明確な目標だった。2年連続本塁打王の山川、昨季首位打者の森の不振。それでも終盤は4番に栗山を据え、チーム防御率リーグ6位、同打率5位でも僅差勝負をものにして、激しい2位争いを演じた。しかし、毎年のようにFA移籍による戦力流出に、持ち前の育成力がついていかなかった。 現状を象徴するシーンは1点を追う6回の攻撃。3四死球で1死満塁の絶好機で、8番愛斗が3球三振、9番呉念庭も2者連続の空振り三振に打ち取られた。愛斗は今季初スタメン。前日の楽天戦で木村が右手を負傷する不運もあり、経験値の少ない若手を起用したが実らず。打撃個人タイトルも06年以来14年ぶり0人が濃厚。春季キャンプからシーズン通して野手の競争を促してきたが、大一番で層の薄さが如実に表れた。 就任4年、優勝2回ですべてAクラス入り。来季続投が基本方針となっている辻監督は「しびれるようなところで結果出すには、日ごろから緊張した中でやらないといけないし、そうしなきゃ1軍で飯を食えないと1人1人が考えて、これからやってくれれば」。底上げは急務。就任5年目の来季、リーグ優勝奪還を目指す。【栗田成芳】

◆唐川侑己投手(31)の4球なくして、ロッテのCS出場決定はなかったかもしれない。 1点リードの6回2死満塁で、5番手としてマウンドに上がった。打席には第1打席で適時打を放った西武の9番呉念庭。上位打線に回したくない状況だ。 初球、143キロのカットボールが内角をえぐった。空振り。「初球だけ良かったです」という自画自賛の1球だった。似た球で2ストライクとし、外に1球。最後は外にズバッと145キロで空振り三振。バットに当てられたくない場面を、バットに当てさせず切り抜けた。 捕手田村はガッツポーズするも、唐川はクールを貫く。「本当はガッツポーズとかする場面なんですけど、初球以外はあまり良くなかったので」とひょうひょうとベンチへ戻った。143キロ、143キロ、141キロ、145キロ。全てカットボールだった。 直球と球速が変わらない、唐川の"魔球"だ。左打者の懐にキュッと食い込む。特徴は「それほど曲がらないというところですかね」と言う。「曲げようと思えば、もうちょっと曲がりますけど、あまり求めていないというか。(バットの)軌道を外せればって感じですね」と、あえての小さな動きで好リリーフを続けてきた。 長いシーズンで、対応する打者も増えてきた。3日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)。6回に松田宣に逆転打を浴びた。カットボールを中心に6球攻め、最後に投じたカーブを引きつけられ、センターへ運ばれた。「最後に松田さんにカーブを打たれて、後悔してたのもあります」と明かす。 それ以来の登板となり、安心感を取り戻す必要があった。田村と確認を重ねてから西武打線と相対した。「中途半端にならないように、自分の考えだけはクリアにしていこうと思ってました」。己を貫いて全球カットボールでピンチを脱すると、その裏に味方打線が決定的な3点を追加した。緊迫の場面で、この上ない仕事だった。【金子真仁】

◆負けたらクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅する大事な一戦で、西武のコーリー・スパンジェンバーグ(29)が先制打を放った。0-0の二回無死一、二塁。小島の138キロの直球を捉え、中前に運んだ。  「きょうは大事な試合だけど、冷静にランナーを返そうと思って打席に入った。いい形で先制点をとることができてよかったね」と笑顔で振り返った。  その後、1死二、三塁かから「9番・一塁」で先発出場の呉が左前適時打を放ち、この回2点を挙げリードした。

◆ロッテが西武に勝ち、4年ぶり7度目のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。先発・小島が二回に2点を失ったが、三回に菅野の左前適時打などで同点に追いつくと、四回、藤岡にソロ本塁打が飛び出して勝ち越し。六回には藤原の適時二塁打などで計3点を取って突き放し、八回にも2点を追加した。  ロッテは7日にオリックス最終戦に4-3で競り勝ち、西武に0・5ゲーム差をつけて単独2位に浮上していた。2位争いを演じている両チームは、残り1試合。8日に直接対決で勝ったことで両チームのゲーム差は1・5となり、西武のCS進出は消えた。  コロナ禍でパ・リーグは1位と2位による対戦のみに短縮して、14日からCSを開催。3戦先勝方式(1位球団にアドバンテージの1勝)で行う。

◆ロッテが西武に勝ち、4年ぶり7度目のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。  井口資仁監督(45)は試合後のインタビューで「本当に最後ずっと苦しい戦いが続いていた中で、本当に崖っぷちというか、最後の試合で本当に選手たちが最高のパフォーマンスをしてくれました」と逆境を乗り越えた選手たちをたたえた。  ロッテは4日、ソフトバンクに敗れたことにより自力でのCS進出の可能性が消えたが、5日からの3連勝でチャンスをつかみ取った。井口監督は「今年は粘って粘って、つないでいくというのがマリーンズの野球だったんで、本来の野球を取り戻せたと思う」と3連勝を評価。「厳しい戦いが続いていたので、選手たちは苦しかったと思う」と労い、「ここを乗り越えたんで。ひと回りもふた回りも大きくなったんではないかなと思います」とさらなる飛躍に期待した。さらに「明日良い調整をして臨みたいと思います」と14日開幕のCSでの健闘を誓った。

◆ロッテが4年ぶり7度目のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。10月以降は11勝19敗2分けと失速しながらも、119試合目で2位が確定。井口監督は「崖っぷちで選手が最高のパフォーマンスを出してくれた。粘って粘ってつないでいくというマリーンズ本来の野球を最後に取り戻せて、選手は一回りも二回りも大きくなったんじゃないかと思う」と話した。運命の大一番では先発・小島を二回で見切って、8投手の継投で逃げ切った。  10月上旬に新型コロナウイルス禍に見舞われ、主力を欠いた時期もあった。それでも最後は感染した岩下が勝利投手となり、藤岡が決勝弾を放った。チームで最初にPCR検査で陽性判定を受けた岩下は3番手で2回1/3を無失点に抑え、「(コロナに感染した)責任はだいぶ感じていた。きょうは久々の中継ぎと重みのある試合で緊張したが、1点もやれない状況なので、自分の一番自信のあるボール(フォークボール)で組み立てた」と振り返った。  また、2-2の四回に右翼席に4号ソロを放った藤岡は「悔しいことが多かったが、CSに行けて非常にうれしい。あの場面はカーブがうまく引っ掛かって最高の結果になった」と白い歯をのぞかせた。  一方、敗れた西武・辻監督は「残念。(ここ2年)優勝してもCSでソフトバンクにやられて、今度は逆の立場で挑戦できるチャンスがなくなった」と無念の表情を浮かべた。ロッテとの最大9ゲーム差を逆転して、4日にはロッテに1ゲーム差をつけて単独2位に浮上。しかし、そこから3試合で1勝もできず(2敗1分け)に終戦となった。

◆ロッテ・唐川侑己投手(31)が3-2の六回2死満塁で救援し、第1打席でタイムリーを放っていた呉念庭を全球カットボールで空振り三振に仕留めた。  お立ち台では「きょうやっと(CS進出という)形になって、ファンの皆さんと喜び合えたことがうれしい」と話し、「ここからがまたスタートライン。福岡で勝って、またここ(ZOZOマリン)で頑張りたい」と日本シリーズ進出を誓った。

◆9月に巨人からトレードでロッテに移籍した沢村拓一投手(32)は八回に救援登板し、1回無失点に抑えた。  「チームとしてホークスへの挑戦権を得るために勝たなくては前に進めなかった中で、そこ(福岡)へ行ける権利を得たのは大きい。挑戦者としてしっかり戦ってきたい」  ロッテでは今季22試合に登板し、2敗13ホールド1セーブ、防御率1・71。CSでソフトバンクに勝てば、古巣・巨人と日本シリーズが待っている。10月17日に海外FA権を取得した右腕には複数のメジャー球団が興味を示しているともいわれ、今後の去就も注目される。

◆今季から選手会長に就任したロッテの守護神・益田直也投手(31)が九回のマウンドを三者凡退で締めた。「最後は自分たちのチームらしい戦いができた」とほっと一息。「僕らは失うものは何もないので、ソフトバンクに挑戦者の気持ちで立ち向かっていって、下克上したい」と、リーグ3位から日本一になった2010年の再現に気合を入れ直した。

◆ロッテの藤岡が勝ち越しの4号ソロを放った。2-2の四回2死で松本の緩い変化球を右越えへ運び「体が自然と反応して、いい角度で上がった。入ってくれと願うだけだった」と喜んだ。  10月上旬に新型コロナウイルスに感染し、約2週間戦列を離れた。主力野手が抜けたチームは失速し「あの辺から沈みだした。グラウンドに立てなかったのは悔しかった」と言う。激動の1カ月を経て得たクライマックスシリーズ(CS)の切符。「優勝はできなかったが、日本一になるチャンスは残っている。全力でソフトバンクを倒しに行く」と誓った。(ZOZOマリン)

◆ロッテの井上が好走塁で追加点をもたらした。3-2の六回2死一、二塁で、荻野の一塁内野安打の間に二塁から巨体を揺らして一気に生還。投手の平井の悪送球も重なって2点が入り「体勢が悪そうだったので。どんぴしゃりのタイミング」とうなずいた。  10月は調子が上がらず、チームは25本塁打のマーティンの故障離脱も重なり西武に猛追された。「マーティンがいなくなったくらいの時に、逆にみんなが吹っ切れた。ソフトバンクに対し、失敗を恐れずに向かっていく」とクライマックスシリーズ(CS)を見据えた。(ZOZOマリン)

◆西武が、辻発彦監督(62)に来季も指揮を託す方針であることが8日、分かった。  就任4年目の今季は、この日のロッテ戦に敗れて3位が確定。あと一歩のところでCS進出を逃したが、昨季までリーグ連覇を果たした手腕を球団は高く評価。全日程終了後に正式に契約延長を打診する見込み。  就任1年目の2017年にチームを前年の4位から2位に躍進させ、翌年から2年連続で優勝。今季は秋山が米大リーグ・レッズに移籍し、2年連続本塁打の山川、昨季の首位打者・森ら主軸が不振に陥る中でも、粘り強い采配で接戦をもぎ取り、終盤までCS争いに加わった。  4年連続のCS進出を逃した指揮官は「今年のことをしっかり反省しながら、来年に向かってくれればいいと思います」と来季を見据えた。

◆ロッテは8日、西武最終戦(ZOZOマリン)に8-2で快勝。新型コロナウイルスの集団感染を乗り越え、4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。14日から敵地・ペイペイドームで優勝したソフトバンクと対戦する。  3連勝を飾り、逆転で4年ぶりのCS進出を決めた。井口監督は就任3年目で初の短期決戦を迎える。  「最後はずっと苦しい試合が続いていた。崖っぷちで、選手たちが最高のパフォーマンスを出してくれた」  今季119試合目。二回に小島が2点を失うと早々と継投に出て、三回以降は7人の救援陣が無失点リレーだ。打線も奮起。四回に藤岡の勝ち越しソロ、六回に3点を挙げるなど着実に加点した。  10月4日、ソフトバンクと首位を争っていたチームに激震が走った。岩下の新型コロナウイルス感染が判明し、その後にチーム関係者計14人の陽性が確認される集団感染となった。同9日に鷹にゲーム差なしまで迫ったが、多くの1軍選手が離脱した10月は8勝17敗。CS進出すら危うい状況に陥った。  15年ぶりの優勝は果たせなかった。それでも13年ぶりの2位を死守。「粘ってつなぐ本来の野球を取り戻せた。ベンチが一つになって戦えている。CSが楽しみ」。14日からソフトバンクとの決戦が始まる。優勝チームが1勝のアドバンテージを持つ4試合制(3戦先勝)。2010年以来の日本一を目指し、福岡へ乗り込む。 (石井孝尚)

DAZN

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
72425 0.632
(-)
優勝
(-)
1525
(-)
387
(-)
124
(-)
98
(-)
0.249
(-)
2.930
(-)
2
(-)
ロッテ
60563 0.517
(↑0.004)
13
(↑0.5)
1457
(+8)
472
(+2)
89
(+1)
87
(-)
0.234
(-)
3.780
(↑0.02)
3
(-)
西武
58574 0.504
(↓0.005)
14.5
(↓0.5)
1477
(+2)
537
(+8)
107
(-)
85
(-)
0.238
(-)
4.260
(-)
4
(-)
楽天
55578 0.491
(-)
16
(-)
0557
(-)
522
(-)
112
(-)
67
(-)
0.258
(-)
4.190
(-)
5
(-)
日本ハム
52625 0.456
(-)
20
(-)
1486
(-)
524
(-)
87
(-)
78
(-)
0.249
(-)
4.020
(-)
6
(-)
ORIX
45687 0.398
(-)
26.5
(-)
0442
(-)
502
(-)
90
(-)
95
(-)
0.247
(-)
3.970
(-)