広島(★0対2☆)阪神 =リーグ戦24回戦(2020.11.07)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:秋山 拓巳(11勝3敗0S)
(セーブ:スアレス(3勝1敗25S))
敗戦投手:中村 祐太(3勝4敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(28号・6回表ソロ)

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◆阪神は0-0で迎えた4回表、木浪の適時二塁打で先制する。そのまま迎えた6回には、大山のソロが飛び出し、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・秋山が8回途中無失点の力投で今季11勝目。敗れた広島は、打線が沈黙した。なお、引退試合を迎えた広島・石原慶は8回の守備から登場し、最後の雄姿を見せた。

◆阪神守屋功輝投手(26)が1軍に昇格した。 マツダスタジアムでの試合前練習に参加し、この日出場選手登録された。 今季は開幕1軍スタートも、右肩痛の影響で6月25日に出場選手登録を抹消。2軍調整の日々が続き、ウエスタン・リーグでは9試合に登板して0勝1敗、防御率は2・16だった。8日から開幕する「みやざきフェニックス・リーグ」にも参加予定だが、約5カ月ぶりに1軍昇格となった。 昨季はキャリアハイの57試合に登板。防御率3・00の安定感で虎のブルペン陣を支えていた。

◆阪神が7番木浪聖也内野手(26)の適時二塁打で先制した。 4回、6番陽川尚将外野手(29)が四球で出塁し、1死一塁。相手右腕・中村祐から初球の直球を右中間に運び、先制点をもぎ取った。木浪は三塁を狙ったが、右翼からの返球で三塁でアウトとなり、後続も凡退し、1点にとどまった。 木浪は4日のヤクルト戦から続いて、3試合連続安打を記録。「後ろにつなぐ意識で打った結果がタイムリーヒットとなってくれて良かったです。もっと援護できるように頑張ります」とコメント。6回まで2安打無失点と好投する先発秋山拓巳(29)の援護を続ける。

◆阪神先発の秋山拓巳投手(29)が、8回途中無失点の快投を見せた。 20年のラスト登板は、序盤から危なげない投球で広島打線を手玉に取った。スライダー、カーブ、フォークを交えてコーナーに制球。7回で72球。リズムもコントロールも申し分のない内容だった。防御率も2・89まで下げ、17年以来、3年ぶりの防御率2点台を達成した。

◆阪神が今季最後の敵地で完封勝利を収め、17年以来の2位を確定させた。 先発の秋山は8回途中3安打無失点と好投。11勝目を挙げ、規定投球回には未到達ながら防御率2・89で今季最後の登板を終えた。打線は4回に木浪の適時二塁打で先制。6回には大山が28号ソロを場外へかっ飛ばし、この時点でリーグトップの巨人岡本に1本差に迫った。

◆今季限りでの退団が決まっている阪神能見篤史投手(41)が、同い年で今季限りでの引退を表明して引退試合に臨む広島石原慶幸捕手(41)に真剣勝負を挑んだ。 8回無死一塁。石原慶が打席に立つと、先発秋山からの継投で能見が2番手でマウンドへ。全5球の真っ向勝負。最後は145キロ高め速球で右飛に仕留めた。1死を奪ってお役御免。能見にとって、タテジマで最後の広島戦になった。試合前には藤川とともに石原慶に花束を渡して労をねぎらい、記念写真に納まった。

◆引退試合に臨んだ広島石原慶幸捕手(41)が、本拠地で現役最後の勇姿をみせた。 8回の守備から会沢に代わり、捕手で出場。この回からマウンドには中田が登場した。幾度となくバッテリーを組んできた中田を巧みなリードで引っ張り、糸原を左飛、マルテを三ゴロ、大山を二飛に。現役最後のリードを3人でピシャリと締めくくった。中田と拳を突き合わせると、ベンチのナインが総出で出迎えた。 2点を追う8回、先頭の長野が中前打で出塁し、無死一塁で打席が回ってきた。阪神の投手は先発秋山に代わり、同学年の能見がマウンドに上がった。同時に強烈な雨が降ってきた中で迎えた最後の打席。カウント1-2からの5球目、145キロの直球をフルスイング。打球は高々と上がり、右翼手のグラブに収まった。ヘルメットを脱ぎ、阪神ベンチやファンに一礼し、現役最後のプレーを終えた。

◆今季限りで現役を引退する広島石原慶幸捕手(41)の引退セレモニーが試合前に行われ、阪神藤川球児投手(40)と能見篤史投手(41)が花束を贈呈した。 藤川も今季限りでの現役引退を表明しており、能見も今季でチームを退団する。それぞれが石原慶に花束を手渡し、握手を交わした。その後はホームベース付近で3人並んで記念撮影。最後は藤川が右手を石原慶の左肩にのせてピースをするなど、終始笑顔が見られた。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が秋山拓巳投手(29)、広島が中村祐太投手(25)。阪神秋山は今季10勝3敗、防御率3・09。すでに17年の12勝以来3年ぶりの2桁勝利は達成したが、同年以来の防御率2点台も射程圏内だ。この日3回1/3以上を自責0なら2点台に突入。自身4連勝中の右腕が、大台突破を目指して腕を振る。

◆本塁打王のタイトル争いに絡む阪神大山悠輔内野手(25)が、今季28号ソロを放ち2点目を奪った。 6回に右腕・中村祐の4球目を捉えた。大山は「打ったのはカットボール。甘く来たボールをしっかり仕留めることができました。追加点を取ることができて良かったです」とコメント。大きな弧を描いた当たりは、相手左翼・ピレラが打球を追うのを諦めるほどの完璧な一撃で、左翼スタンドへの場外弾となった。 4日のヤクルト戦以来の1発で、本塁打王のタイトルを争う巨人岡本に1本差に迫った。

◆広島は中村祐、阪神は秋山が先発。中村祐は3回まで毎回安打を許すも無失点と粘り、秋山は3回まで1安打無失点。 阪神は4回に木浪の二塁打で先制。6回は大山のソロで加点した。広島は6回まで2安打無得点。先発中村祐は6回2失点で降板。 阪神が逃げ切り、3連勝。秋山は11勝目。スアレスが25セーブ目。広島は連勝が7で止まり、5年ぶりシーズン負け越しとなった。広島中村祐が4敗目。

◆今季で19年間の現役生活を終える広島石原慶幸捕手(41)が引退試合に臨み、試合後に引退のあいさつを行った。以下全文。   まず始めに、今日このような場を用意してくださった松田オーナー始め、球団スタッフのみなさん、本当にありがとうございます。 今年は新型コロナの影響もあり、日本中、世界中が大変な中、プロ野球も無事に開幕できるかどうか、心配されましたが、最前線で戦ってくださった医療従事者の方々のおかげで、無事に開幕することができました。医療従事者の方々には、本当に感謝しかありません。ありがとうございます。 私は今日、引退します。まさか自分がカープのユニホームを着て、19年間もの間、プロ野球生活を送れるとは思ってもいませんでした。それも、指導してくださった監督、コーチ。いつも話をしてくれて、プレーと背中で引っ張ってくれた先輩方。本当に本当に可愛くて、頼りになる後輩たち。一緒に戦った仲間たち。いつもチームを裏で支えてくれている裏方、スタッフのみなさん。僕を生んでくれ、丈夫に育ててくれた両親。いつも一番近くで応援してくれ、一番の理解者であった、妻と子どもたち。みなさんの支えがあり、ここまでやってくることができました。本当にありがとうございます。 そしてなんといっても、良い時も、悪い時も応援してくれたファンのみなさん。どの球場に行っても、レフトスタンドを真っ赤に染めてくれたファンのみなさん。いつもマツダスタジアムを真っ赤に染めてくれたファンのみなさん。ファンのみなさんの声援はいつも勇気と力を与えてくれました。そんなカープファンは僕は日本一のファンだと思います。そして今日、そんなみなさんの前で引退できることを本当にうれしく思います。本当にありがとうございます。 最後になりますが、野球人生苦しかったことの方が多かったですが、先輩、後輩、ファンのみなさんの力によって、優勝も経験させてもらいました。小さい頃から大好きな野球を続けてきて、本当によかったと思います。19年間、みなさんの支えがあり、幸せな時間を過ごすことができました。19年間、本当に、本当にありがとうございました。

◆2位阪神が5位広島を投打で圧倒。先発秋山が8回途中無失点で抑え11勝目。大山は28号ソロを放ち本塁打1位の巨人岡本に1差と迫った。 試合後には今季限りで19年の現役生活にピリオドを打つことを決断した広島石原慶幸捕手(41)の引退セレモニーが行われた。

◆広島が15年以来5年ぶりのシーズン負け越しが決まった。阪神との今季最終戦で、天敵秋山を攻略できなかった。 今季6度の対戦で1度も勝てず、4連敗。石原慶の引退試合を白星で飾れなかった。佐々岡真司監督は「西(勇)もそうだし、秋山も苦手意識というか、策は練っているが、なかなか打てない。反省して、来年は苦手投手を作らないことを課題にしたい」と引き締めた。2つの引き分けを挟んだ連勝は7で止まった。

◆阪神が今季最後の敵地で完封勝利を収め、17年以来の2位を確定させた。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -先発秋山が好投 矢野監督 テンポの良かったしね。完璧なピッチングやったんじゃないか。 -大山が28号 矢野監督 (キングまで)あと1本でしょう。まずはね。チャンスがあるときに思いっきり狙っていってもらえばいいしね。甲子園の球場でホームランキングというのは、すごい価値があると思うんでね。そういうところでもね。ファンの人も楽しみにしていると思うしね。ユウスケ自身も狙っていくと思うのでね。どん欲にチャレンジしていってもらったらいいと思います。 -生え抜き30本も 矢野監督 生え抜きとか、そっち(マスコミ側)の話でしょ。俺らはあんまり...。それは記録のことでしょ。記録で昔の人の名前が出てくるのは光栄なことだし、ホームランキングって誰でも取れるモノじゃないからね。データはそっちのことだからアレだけど、やっぱり名前を残すことになると思うし。ファンの人が一番求めているところだと思うんでね、阪神でホームランバッターっていうのは。並ばないともちろんないんだけど、追い越すぐらいの気持ちでいってもらえたらなと思っています。 -石原の引退試合 矢野監督 一緒にプレーもしたし、同じ大学でっていうのもあったし。キャッチャーらしいキャッチャーで。いいキャッチャーっていろんな条件があるだろうけど、そのなかで相手に嫌われるっていうかさ。相手に嫌われるっていうことは嫌がられていることやからさ。それで味方には信頼されるっていう。その対照的な部分がキャッチャーのいい条件の1つだと思う。負けたときはこいつで負けたら仕方ないなと思ってもらえるくらいの信頼度と、相手にはこいつで来たら嫌だなと思われるっていう。石原はもちろん両方持ち合わせてると思うんだけど、特に味方の信頼度が高いキャッチャーじゃないかと思う。それってすごいことなのよ。ずっといるなかで良くない部分も見えてくる。同じサイン出してもそこを信頼してもらえるのか、疑ってしまうのか、そこは全然違うので。石原は本当にそういうキャッチャーらしいキャッチャーだった。味方に本当に信頼されていたんじゃないかなと外から見ていて思うし。まあ40超えてね、出来るっていうことも本当に簡単なことじゃないので。まあいろいろ、山本浩二さんのメッセージもあったけど、まあカープにも恩返ししていくだろうけど、野球界にも恩返ししていくと思うので。まあ後輩やし。お疲れさんって。ポジションも一緒やし、ライバルとしても頑張ったんで、お疲れさまという感じかな。 -最後の打席は能見が登板 矢野監督 同い年やし、そういうところでは最後って一生の思い出に残ると思うし、それは能見自身も残ると思うし、真っすぐだけで思いきって勝負したというのは2人の中でのいい思い出になるんじゃないかな。 -2位が確定した 矢野監督 去年3位だったので、1個でも上にこれたというのは意味があると思うし。今シーズン思うようにいかないなかで、みんなが粘ってくれたのは俺の中では価値があると思うし。全員で戦えたから2位になれたと思う。課題はもちろんあるんだけど、ひとまずはそういう風に感じています。

◆打ち合い上等や! 阪神大山悠輔内野手(25)が広島戦の6回に、場外へ特大の28号ソロを放った。球団の生え抜き選手では、85年の岡田、掛布以来の30本塁打到達も射程圏内だ。チームは3年ぶりの2位が確定し、シーズンも残り2試合。リーグトップの巨人岡本が1試合2本塁打を記録し、再び3本差に離された。86年バース以来の本塁打王へ、大山よ、夢を見させてくれ。確信していた。大山は一塁へと走りだす足を一瞬だけ止めた。左翼手のピレラはただ見上げるだけ。「甘く来たボールをしっかり仕留めることができました」。推定飛距離120メートルの特大アーチ。曇天の空へと舞い上がった打球は、マツダスタジアムの場外に消えた。 1-0の6回無死走者なしで広島中村祐の外角スライダーをとらえた。「最近は打ち損じが多い。そういうところがまだまだだと思っている。そういう意味では、1発で仕留められたのは自分の中でも大きいと思います」。本塁打王争いは、リーグトップの巨人岡本がこの日1試合2発で再び3本差とリードを広げた。ヤクルト村上も負けじと2発で28本塁打。激しい争いの中で、大山もここ3戦で2発と食らいついた。 大台到達も見えてきた。球団の生え抜き打者が30本塁打以上を放ったのは日本一に輝いた85年の岡田、掛布が最後。今季は残り2試合だが、35年ぶりに猛虎の歴史をこじ開ける可能性は十分にある。矢野監督は「記録で昔の人の名前が出てくるのは光栄なことだし、ホームランキングって誰でも取れるものじゃない。やっぱり名前を残すことになる。並ばないともちろんないんだけど、追い越すぐらいの気持ちでいってもらえたらなと思っています」とレジェンド超えを指令した。 チームは敵地最終戦で今季7度目の完封勝利。17年の金本政権以来となる2位が確定した。これから虎党が望むのは大山のタイトル奪取。「残り2試合しかない。あの時ああいうふうにしておけばよかったという悔いが残ることがないように1打席1打席、1球1球を大事にしないといけない。油断せずに最後までやりたい」。可能性のある限り、若き主砲が夢を追う。【只松憲】

◆今季で19年間の現役生活を終える広島石原慶幸捕手(41)が引退試合に臨み、試合後に引退のあいさつを行った。石原慶の「引退セレモニー」で球団OBの黒田博樹氏、新井貴浩氏がサプライズで登場した。式典終盤に三塁ベンチ側から2人が現れると、場内のファンがどよめき、石原慶も驚きの表情を浮かべた。花束を受け取った石原慶は「あれは本当にびっくりした。本当に聞いてなかったから、あれは卑怯(ひきょう)ですね。本当に感謝しかない」。会話の内容については「『お疲れさん』という言葉をいただいた。あとは"企業秘密"です」と笑った。

◆阪神藤川球児投手が広島のファンに最後のあいさつをした。 この日の登板機会はなかったが、試合後に自身の登場曲が流れてグラウンドへ。笑顔で手を振り、本塁付近へ近づくと、ポケットから広島石原の引退記念Tシャツを取り出しユニホームの上から着用した。「遠慮させてもらうという形だったんですけど、石原さんと試合前に話して、ぜひ広島でもやってほしいということだったので」と感謝。試合前には能見とともに花束を手渡し、本塁付近で3人で記念撮影した。 この日、藤川は自身のツイッターに「炎のストッパー」と呼ばれた故津田恒実氏のプレートに手を当てた写真を投稿。「#津田恒実 さんの所へやっと御礼が伝えられました 高校生の時に父親から本を貰い #弱気は最大の敵 この言葉を胸に立ち上がる事が出来ました」。いよいよ10日巨人戦(甲子園)、自身の引退試合へ向かう。

◆笑顔での有終の美。広島石原慶幸捕手(41)が球団捕手最多1620試合出場で、現役最終戦を締めくくった。8回表の守備から出場し、インサイドワークの健在ぶりを示すと、プロ野球人生最後の打席は同学年の阪神能見と対戦した。苦しさも、喜びも味わった19年に悔いはなし。球団史にその名を残す名捕手は笑顔のままユニホームを脱ぐ。主役は最後まで泣かなかったが、広島の空はセレモニーが終わるまで涙雨が止むことはなかった。今季限りでの現役引退を発表していた石原慶が、19年の現役最後の試合に出場した。「今日でみんなとこうやって野球ができるのが最後なんでね。かみしめながら過ごしてました」。最後まで笑顔のまま、球団捕手最多1620試合目のラストゲームを飾った。 出番は8回の守備からだった。「今までと変わりなく、投げる投手のいいところを引き出せるように」。25年ぶり優勝の16年にフル回転した中田とバッテリーを組み、15球。3者凡退に切った。その裏は無死一塁から最後の打席へ。同学年の能見との直球勝負。カウント1-1から2球ファウルにすると、最後は5球目の145キロを打ち上げ、右飛に倒れた。「本当にいい思い出で、いい最終打席になりました」。スタンドだけでなく、一塁ベンチ、三塁ベンチからの大きな拍手に照れくさそうにヘルメットを掲げた。 最後のメッセージでは何度も医療従事者への感謝を口にした。最後の胴上げもチームメートが赤い手袋を着用していたように、プロ野球人生最後のシーズンは異例ずくめの1年となった。「カープファンというのは温かくて、時には厳しく、本当にパワーと勇気を与えてもらった存在。こういうコロナでファンのありがたみ、大切さはより一層感じましたし、感謝しかないです」。あらためて、プレーしてきた19年間の喜びを感じた。 笑みがこぼれたラストゲームだった。「後悔はあるのはあるんですけど、悔いというのはないです。みんなと一緒に優勝できたこと、みんなと一緒に野球できたことに感謝して、自分の中で一区切りというか、そういう気持ちです」。長い低迷期を過ごし、3連覇の喜びも味わった。広島一筋で過ごした濃密な19年間。充実感と喜びに満ちあふれた表情で、名捕手はグラウンドを去った。【前原淳】 ▽広島会沢「いろんなことを教わった方ですし、一言には表せられません。これで最後と思うと、こみ上げてくるものがありました。教えていただいたことは後輩たちにも伝えていければと思います」 ▽広島鈴木誠「(プロに)入ったばかりの頃は話しかけられない威圧感、オーラがすごいと思った。でも気さくに声をかけてもらい、食事にも連れていってもらって、いろんなことを教えてもらいました。もちろんさみしいですが、ケガもされて、しんどい思いもされていると思うので、ゆっくりしてほしいです」 ▽広島中村祐(先発で6回2失点の力投も4敗目)「(石原慶の引退試合で)バリバリ意識した。お世話になったし、いい試合をして勝って送り出したい思いが強かった。勝てなかったのが一番悔しいです」 ▽阪神能見(同学年の石原と対決)「僕は真っすぐと決めていた。いろいろホームランを打たれた記憶もある。僕が先発のときから、石原はずっと先発マスクをかぶっていたし、いろんな思いを持って。同級生がいなくなるのでさみしい気持ちです。最後は僕の勝ち」

◆今季限りでの退団が決まっている阪神能見篤史投手が広島石原慶幸捕手の引退試合で「魂の5球」を投じた。8回無死一塁。石原慶が打席に現れると、先発秋山から継投で登板。すべて速球の真っ向勝負だ。1球目。糸を引くクロスファイアの143キロでストライクを奪う。2球目も容赦なく内角を突く。去りゆく同い年の戦友へのはなむけは全力投球だった。 迷わず速球を投げ込んでいく。5球目。高め145キロで右飛に抑えた。「僕は真っすぐと決めていた」。1死を奪って降板。最後の対戦を感慨深げに話した。 「いろいろホームランを打たれた記憶もある。僕が先発のときから、石原はずっと先発マスクをかぶっていたし、いろんな思いを持って。同級生がいなくなるのでさみしい気持ちです」 試合前、藤川とともに、石原慶に花束を渡し「雨は石原らしいな」と声を掛けた。前日6日に自身の退団が発表されたばかりだ。タテジマ一筋16年の生活は残り2試合で終わるが、来季の現役続行を目指す。「まだ元気なので出番があれば頑張る」。石原慶との対決を終え、冗談交じりに「最後は僕の勝ち」と言った。懐へのクロスファイア2球は力がこもっていた。マウンドを渇望する左腕の意地が光った。【酒井俊作】

◆阪神近本光司外野手が初回に左中間二塁打を放ち、4日のヤクルト戦から3試合連続安打を記録。4打数1安打で打率を2割9分6厘とした。 プロ初の打率3割まで、残り2試合。以前に「意識していないといえばウソになる」と話しており、目標達成まで全力を尽くす。

◆笑顔での有終の美。広島石原慶幸捕手(41)が球団捕手最多1620試合出場で、現役最終戦を締めくくった。一問一答は以下の通り。 -最後は同学年対戦 石原 能見がわざわざ投げてくれて感謝してます。球児も自分が引退する中、本当に感謝しかない。阪神側にも気を使っていただいてありがとうございます。 -感謝の言葉を並べた 石原 とにかくすべての方に、感謝を伝えたいという気持ちであいさつさせてもらったので、うまく伝わっていればいいです。 -19年プレーできた要因は 石原 おかげさまで大きなけがもなくやれたのが一番だと思う。周りの人に恵まれて、支えられて、やって来られた19年間だったと思うので周りの人に感謝ですね。 -後輩たちへの期待 石原 3連覇を経験している選手が何人もいるわけですから、その選手たちを中心として、またやっていってくれれば。本当にいい選手がいっぱいいる。本人たちも悔しい思いを昨年、今年として、それを糧にどんな感じになっていくのか僕も楽しみにしたい。

◆セーブ王が確定している阪神ロベルト・スアレス投手が、今季25セーブ目を記録した。 9回から登板。1死から8番菊池涼に遊撃内野安打で出塁を許したが、代打坂倉を空振り三振、1番堂林を遊ゴロに抑え、最後を締めた。 今季はソフトバンクに所属した16年の58登板に次ぐ51試合に登板。防御率2・24の安定感を誇る守護神はこの日も健在だった。

◆阪神矢野燿大監督がナインの粘りを評価した。シーズン118試合目でリーグ2位が確定。就任1年目の昨季3位から順位を1つ上げた。 阪神の2位は17年金本政権以来、3年ぶり。指揮官は「去年3位だったので、1個でも上にこれたというのは意味があると思う。今シーズン思うようにいかないなかで、みんなが粘ってくれたのは俺の中では価値があると思う。全員で戦えたから2位になれたと思う」と語った。開幕から大きくつまずく苦しいスタートで10月に入ってからも最後まで中日と2位争いを演じた。同監督は「課題はもちろんある」と表情を引き締めた。

◆阪神秋山拓巳投手が先発5戦5連勝フィニッシュで、今季最終登板を飾った。 2回無死一塁で会沢を内角速球で三塁併殺。カーブでアクセントをつけ、フォークやスライダーも駆使して危なげない。8回途中まで無失点の快投だ。今季は11勝3敗。貯金8個も作った。それでも「来年は大事なところで勝ち続けられるように頑張りたい」と先を見据えた。 得意の広島戦は6戦4勝。対戦防御率1・45と立ちはだかった。シーズン防御率も自己ベストの2・89とし、3年ぶりの防御率2点台を達成した。矢野監督も「テンポも良かったしね。完璧な投球やった」と褒めた。

◆広島は7日、引退試合を迎える石原慶幸捕手(41)を出場選手登録した。ベンチスタートとなったものの、試合直前のシートノックではハツラツとした動きを披露した。  試合前にはバックスリーンの大型ビジョンに"ミスター赤ヘル"で、元広島監督の山本浩二氏が登場した。「そのバッティングでよくがんばった」と浩二流のねぎらいの言葉が送られ、球場が笑いに包まれた。グラウンドに出てくるとホームベース付近で阪神・藤川球児投手(40)と能見篤史投手(41)から花束を受け取った。始球式では自身が捕手役、まな娘の2人が投手役と打者役を務めた。  試合後には石原慶のあいさつ、花束贈呈、記念撮影、場内一周などのセレモニーが行われる。

◆阪神・木浪聖也内野手(26)が四回に先制打を放った。  「後ろ(の打者)につなぐ意識で打った結果がタイムリーヒットになってくれてよかったです。もっと援護できるように頑張ります」  四回1死一塁で打席に立つと、先発・中村祐の初球、甘く入ったストレートを右中間へはじき返した。打った木浪は二塁を回って三塁を狙ったが、相手の無駄のない中継プレーで憤死。それでも10月31日のDeNA戦(横浜)以来の打点で先発の秋山を援護した。

◆阪神・大山悠輔内野手(25)が28号ソロで追加点を挙げた。  「甘く来たボールをしっかり仕留めることができました。追加点を取ることができてよかったです」  1-0の六回、先頭で打席に立つと、先発・中村祐の4球目、外角のカットボールを一閃。左翼席上段へ運んだ。4日のヤクルト戦(甲子園)以来、2試合ぶりの一発。本塁打争いでリーグトップに立つ巨人・岡本の29本に1本差とした。

◆今季限りでの現役引退を表明している広島・石原慶幸捕手(41)が0-2の八回の守備から途中出場した。  マスクでは中田と息の合ったリードで1回を無失点に抑えた。その裏の無死一塁で迎えた打席では秋山からスイッチしたばかりの同級生の能見と対戦。5球目の外角高めの145キロの直球を力強く打ったが、右飛だった。一塁ベース付近でマウンドの能見にお辞儀。ベンチに戻るときにはヘルメットを取って、スタンドの拍手に応えた。

◆阪神は広島に2-0で快勝。今季最後のビジターゲームを白星で締めくくり、金本監督の2017年以来となる2位を確定させた。  四回に木浪の適時二塁打で先制すると、六回には大山の28号ソロでリードを広げた。2試合ぶりの一発を放った大山はこれで本塁打数でリーグトップの巨人・岡本まで1本差とした。  先発の秋山は7回0/3を3安打無失点の好投で今季11勝目。防御率も2・89とし、2桁勝利を達成した2017年以来、3年ぶりに2点台に乗せた。

◆完封リレーで3連勝の阪神は、今季最多の貯金7として、2位が確定した。昨季の3位から前進。以下は、試合後の矢野燿大監督(51)の一問一答。--秋山が好投した   「テンポも良かったしね。完璧なピッチングやったんじゃないか」  --大山が28号ソロ   「(リーグトップの巨人・岡本まで)あと1本でしょ、まずはね。チャンスがあるときに思いっきり狙っていってもらえばいい。甲子園球場でホームランキングというのは、すごい価値があると思うんでね。ファンの人も楽しみにしていると思うし、悠輔自身も狙っていくと思うのでね。貪欲にチャレンジしていってもらったらいい。ファンの人が一番求めているところだと思うんでね、阪神でホームランバッターというのは。並ばないともちろんないんだけど、追い越すぐらいの気持ちでいってもらえたら」  --2位が確定した  「去年3位だったので、1個でも上にこれたというのは意味があると思う。思うようにいかない中で、みんなが粘ってくれたのは俺の中では価値があると思う。全員で戦えたから2位になれた。課題はもちろんあるんだけど、ひとまずそういう風に感じています」  --広島・石原の引退試合だった  「いい捕手の条件っていろいろあると思うんだけど、その中で相手に嫌われるというかさ。それで味方には信頼されるっていう。その対照的な部分がいいキャッチャーの条件の1つだと思う。石原はもちろん両方持ち合わせてると思うけど、特に味方の信頼度が高いキャッチャーじゃないかと思う。石原は本当にそういう、キャッチャーらしいキャッチャーだった。味方に本当に信頼されていたんじゃないかなと、外から見ていて思う。(東北福祉大の)後輩やし、ポジションも一緒やし、ライバルとしても頑張ったんで、お疲れさまという感じ」  --石原の最後の打席で能見を起用した  「同い年やし、最後って一生の思い出に残ると思う。真っすぐだけで思い切って勝負したというのは、2人の中でのいい思い出になるんじゃないかな」

◆試合後、広島・石原慶幸捕手(41)の引退セレモニーが行われた。赤ヘル一筋19年の"鯉女房"の引退のあいさつは以下の通り。「まずはじめにきょうこのような場を用意して作ってくださった松田オーナーをはじめ、球団スタッフの皆さま本当にありがとうございます。  今年は新型コロナウイルスの影響もあり、日本、世界中が大変ななか、無事に開幕できたのは最前線で戦ってくださった医療従事者の皆さまのおかげです。無事に開幕することができました。医療従事者の方には本当に感謝しかありません。ありがとうございます。  私はきょう引退します。まさか自分がカープのユニホームを着て19年間もプロ野球人生が送れるとは思っていなかったです。指導してくださった監督、コーチ、いつもプレーで引っ張ってくださった先輩方、本当にかわいくて頼りになる後輩たち、一緒に戦った仲間たち、いつもチームを裏で支えてくれている裏方スタッフの皆さん、僕を生んでくれて丈夫に育ててくれた両親、いつも一番近くで応援してくれ一番の理解者であった妻と子供たち、皆さんの支えがありここまでやり抜くことができた。本当にありがとうございました。  そして何といっても、良い時も悪い時も応援してくれたファンの皆さん、どの球場に行ってもレフトスタンドを真っ赤に染めてくれたファンの皆さん、いつもマツダスタジアムを真っ赤に染めてくれたファンの皆さん、ファンの皆さんの声援はいつも勇気と力を与えてくれました。そんなカープファンを僕は日本一だと思っています。そしてきょうこのような皆さんの前で引退するできて本当にうれしく思っています。本当にありがとうございます。  最後になりますが、野球人生は苦しかったことの方が多かったですが先輩、後輩、ファンの皆さんのおかげで優勝を経験させてもらいました。小さな頃から大好きな野球をやってきて本当に良かったと思います。19年間皆さんのおかげで幸せな時間を過ごすことができました。本当に本当にありがとうございました」

◆阪神の秋山が自身5連勝で11勝目(3敗)を手にした。ストライク先行で低めに集め、八回途中まで3安打に抑えて無失点。二、六回は先頭打者に安打を許しても併殺で反撃を許さず、無四球とあって球数は81。「立ち上がりは逆球が多かったが、それを生かしながらうまく進めていけた」と満足顔だった。  今季は112回を投げて12四球と、持ち味の制球力に一段と磨きがかかった。3年ぶりの2桁勝利につなげ「いろいろな配球ができている。来年は大事なところで勝ち続けられるように頑張りたい」と意欲を新たにしていた。(マツダ)

◆逃さない! 阪神は広島に2-0で勝ち、2017年以来3年ぶりとなる2位が確定した。大山悠輔内野手(25)が六回に28号ソロ。タイトル争いで首位を走る巨人・岡本に一時1本差に迫った。今季のビジターはこれで終了。残すは10日の巨人戦、11日のDeNA戦と本拠地2連戦。ホームで派手な一発をかっ飛ばし、初の勲章を手に入れてみせる。ライナー性の一撃が左翼席後方の防球ネットをたたいた。打った瞬間に白球の行き先を確信した大山は悠々とバットを放した。巨人・岡本にこの時点で1本差。若き大砲が、キングを視界に捉えた。  「いいところで1本出たなと思います。欲を言うと、もっと点を取って援護したいところですけど。勝利できたのは本当にうれしいですね」  1-0の六回先頭で、中村祐のスライダーを捉えた。4球続いた同系の球種。真ん中付近の球を逃さなかった。試合展開の中でも貴重な28号ソロ。内容にも納得した。  「狙い球を一発で仕留められたのは大きかった。最近、ミスショットというか、打ち損じが多い。そういうところがまだまだだと思っているので。一発で仕留められたのは自分の中でも大きいと思います」  超積極打法で始まった今季、井上打撃コーチから常に「振る勇気と振らない勇気」と言われ続けてきた。「この球は振らないという勇気。(大山は)それが合致したときに他の選手にない集中力を発揮する」と同コーチ。獲物を見極め、射抜く。成長を示す打撃で、岡本の後ろにピタリとつけた。  3連勝のチームは今季最多の貯金7で、2017年以来3年ぶりの2位が確定した。昨季の3位から前進。矢野監督は「1個でも上にこられたのは意味がある。思うようにいかない中で、みんなが粘ってくれたのは価値がある。全員で戦えたから2位になれた。課題はもちろんあるけど、ひとまずはそう感じています」とナインをねぎらった。  残り2試合。藤川の引退試合も行われるが、本塁打王争いの決着にも注目だ。虎では1986年のバース以来、日本人では84年の掛布以来の栄冠へ。指揮官も「甲子園球場でホームランキングというのは、すごく価値がある。ファンの人も楽しみにしていると思うし、悠輔(大山)自身も狙っていくと思う。どん欲にチャレンジしていってもらったら」と背中を押した。  主砲は今季最後の広島戦で、対戦チーム別で最多の9本目のアーチをかけた。マツダでもビジター球場で最多の6発を放ったが、残る敵のイメージも悪くない。10日に戦う巨人戦は打率・288、5本塁打と上々で、11日の相手となるDeNA戦は同・413、5本塁打と大好物。集中力を保ったまま帰阪した。  「順位は決まったけど、負けていい試合はない。あの時、ああしておけばよかったという悔いが残ることがないように1打席1打席、1球1球を大事に。油断せず、最後までやりたい」  まだまだ見どころたっぷりの2020年。背番号「3」の最後の打席まで目が離せない。(安藤理)  ■巨人・岡本は30&31号連発  セ・リーグ本塁打王争いの首位を走る巨人・岡本は、この夜のヤクルト戦(東京ドーム)で30、31号を放ち、大山と再び3本差とした。巨人は8日の同戦、10日の阪神戦(甲子園)、14日のDeNA戦(横浜)と3試合を残す。岡本はヤクルト相手に10発、DeNA相手には7発と好相性で、阪神と中日相手には3発と苦戦している。  ■虎全敗、竜全勝 順位変わらず  阪神は7日、3連勝で59勝52敗7分けとし、2試合を残して2位が確定した。残り1試合の3位中日は59勝55敗5分け。仮に阪神が残り試合をすべて負け、中日が勝っても、阪神は勝率・5221、中日は・5217で阪神が上回って終了する。

◆マウンドに立つことはなかったが、広島の虎党にも最後のあいさつをした。試合後、登場曲が流される粋な演出で藤川がグラウンドに登場。スタンドに手を振り、ファンに感謝の意を示した。  「カープのベンチからも出てきていただいたので。そこはやっぱり、お互い真剣に戦ってきた中でのプロなところですよね。だから感謝して」  この日は同じく今季限りで引退する1歳上の石原慶の最後の一戦。試合前には、能見とともに花束を贈呈した。試合後は石原慶のセレモニーがあるとあって、自身は「遠慮させてもらうという形だった」。ところが「石原さんと試合前に話して『ぜひ広島でもやってほしい』ということだったので」とカープの計らいを受けた。  完封勝ちで2位を確定させた後、三塁ファウルグラウンドに出てスタンドに手を振った。それからホームベースに向かうと、手にしていた石原慶の引退記念Tシャツを着用。敬意を表してマツダを去った。これでビジターは終了。残るはあと1試合、自らの最後のマウンドだけとなった。  「僕自身の、という形ではなくて。ファンの皆さんに何かを感じてもらったり。プロ野球のすばらしさとか。今いる選手たちにも、そういうところが移ればいいなと思って現役、やってきたし」  11・10巨人戦。22年間のプロ野球人生すべてを込めて、右腕を振る。(大石豊佳)

◆広島・石原慶幸捕手(41)が7日、阪神最終戦(マツダ)に八回から途中出場。試合後に引退セレモニーに臨み、今季最多1万6039人の前で「カープファンを僕は日本一だと思っています」と熱くスピーチした。赤ヘルひと筋19年の名捕手。多くのファンに愛された鯉女房が、静かにマスクを脱いだ。空は涙雨だった。上限ギリギリの今季最多1万6039人が詰めかけたマツダスタジアム。石原慶は涙なく、最後まで笑顔のままで現役生活に別れを告げた。  「野球人生は苦しかったことの方が多かったですが、みなさんのおかげで優勝をすることができました。そんなカープファンを僕は日本一だと思っています」  入団1年目の2002年から11年連続Bクラスを経験した。16年に25年ぶりにリーグ優勝し、そこから3連覇。広島市民球場(08年まで)でも、マツダスタジアムでもプレーした41歳、球界最年長捕手の飾り気のないスピーチに、一塁ベンチ前で整列していた会沢は涙を流した。  万感の一日。妻が見守る前で長女・マナちゃん、次女・リンちゃんと始球式に臨み、照れ笑いを浮かべた。試合後に場内を一周していると尊敬するOBの黒田博樹氏(45)、新井貴浩氏(43)がサプライズで登場し、花束を贈られた。その後、マウンドで赤い手袋をしたナインの手によって8度、宙を舞った。2軍から駆け付けたK・ジョンソンからは熱い抱擁。誰からも愛されるベテランの姿が、そこにはあった。  左太もも裏の負傷を乗り越えて72日ぶりにグラウンドに戻ってきた。八回からマスクをかぶり、実戦復帰。老かいなリードで中田を三者凡退に導き、その裏の無死一塁の打席では、同世代の能見と対戦。5球すべて直球で最後は右飛だったが、その雄姿をしっかりとファンに届けた。  「小さな頃から大好きな野球をやってきて本当に良かった。19年間、みなさんのおかげで幸せな時間を過ごすことができました。本当に本当にありがとうございました」  引退後は野球解説者として、古巣を見守る予定だ。通算1620試合出場。カープの酸いも甘いもかみ分けた、ひと筋19年の名捕手は、感謝の思いを胸にグラウンドに別れを告げた。(柏村翔) 石原慶について広島・鈴木誠 「威圧感、オーラがすごいと思ったが、1年目から気さくに声をかけてもらった。さみしいが、しんどい思いをされていると思うのでゆっくりしてほしい」 引退セレモニーで号泣した広島・会沢 「これで最後だと思うとこみ上げてくるものがあった。教えていただいたことは後輩に伝えていきたい」

◆この日の主役を、同い年のベテランが真っ向勝負で送り出した。能見が石原慶の現役最後の打席でワンポイントリリーフ。オール直球で名捕手の19年間に花を添えた。  「真っすぐと決めていた。力みもちょっとあったけど、とりあえずしっかり力勝負できたらいいかなと思って」  八回無死一塁でマウンドへ。引退試合でも遠慮はなかった。初球から2球続けて厳しく内角を攻めると、5球目の高めの145キロで右飛に打ち取った。雨の中、41歳の最後の真剣勝負を演じた。  「いろいろ、ホームランを打たれた記憶も。同級生がいなくなるので寂しい気持ちもあります」  試合前は藤川と花束を手渡した。赤ヘルを支えた捕手に「しっかり指示をするし、慌てることもない。投手も安心すると思う」と最敬礼。「でも最後は僕の勝ち」とニヤリと笑った。自身は今季限りでの退団が決まっており、虎では残り2試合。「まだ元気なので、出番があれば頑張る」と意気込んだ。

◆雨が降り、霧がかかったマツダのマウンドで強い輝きを放った。秋山が鯉打線を完璧に封じて、チームトップタイの11勝目。今季最後の登板を快投で締めくくり、気持ちよさそうに汗を拭った。  「立ち上がりから逆球が多かったけど、それを生かしながらうまく進められたかなと思う」  直球は130キロ台ながら、配球と技術でアウトを積み重ねた。「フォークをマークしているところに対してどんどん真っすぐでいけた」。先頭打者に安打を許した二、六回はいずれも併殺に仕留め、二塁を踏ませなかった。2-0の八回先頭で、長野に中前打を許したところで降板。自身2年ぶり3度目の完封勝利もかかっていたが、この試合が引退試合となった広島・石原慶を打席に迎え、41歳の同級生・能見にマウンドを譲った。  7回0/3を散発3安打無失点。これで10月11日のDeNA戦(甲子園)から自身5連勝でフィニッシュし、11勝でチームトップの西勇に並んだ。防御率も2・89まで上昇し、2桁勝利を達成した2017年の同2・99を上回る自己ベストを記録。矢野監督も「テンポもよかったし、完璧なピッチングだった」と絶賛した。  開幕前は、エースの西勇と3年目左腕の高橋が先発の柱として首脳陣から期待されていたが、シーズンが始まってみれば秋山が先発ローテの座をがっちりキープ。規定投球回こそクリアできなかったが、安定した投球でチームを支えた。「いろいろ引き出しを使いながらやれたことはよかった。フォークで振らせることができていたので、それを来年以降に生かすことができたら、幅が広がると思う」。来季は堂々と先発の柱として活躍するために-。秋山は現状の課題を口にした。  「真っすぐがもう少し速くないと、長いイニングはしんどいと思う。来年は大事なところで勝ち続けられるように頑張りたい」  2021年は30歳を迎える節目の年。虎の核となり、飛躍のシーズンにしてみせる。(織原祥平)

◆マウンドに立つことはなかったが、広島の虎党にも最後のあいさつをした。試合後、登場曲が流される粋な演出で藤川がグラウンドに登場。スタンドに手を振り、ファンに感謝の意を示した。  「カープのベンチからも出てきていただいたので。そこはやっぱり、お互い真剣に戦ってきた中でのプロなところですよね。だから感謝して」  この日は同じく今季限りで引退する1歳上の石原慶の最後の一戦。試合前には、能見とともに花束を贈呈した。試合後は石原慶のセレモニーがあるとあって、自身は「遠慮させてもらうという形だった」。ところが「石原さんと試合前に話して『ぜひ広島でもやってほしい』ということだったので」とカープの計らいを受けた。  完封勝ちで2位を確定させた後、三塁ファウルグラウンドに出てスタンドに手を振った。それからホームベースに向かうと、手にしていた石原慶の引退記念Tシャツを着用。敬意を表してマツダを去った。これでビジターは終了。残るはあと1試合、自らの最後のマウンドだけとなった。  「僕自身の、という形ではなくて。ファンの皆さんに何かを感じてもらったり。プロ野球のすばらしさとか。今いる選手たちにも、そういうところが移ればいいなと思って現役、やってきたし」  11・10巨人戦。22年間のプロ野球人生すべてを込めて、右腕を振る。(大石豊佳)

◆広島・石原慶幸捕手(41)が7日、阪神最終戦(マツダ)に八回から途中出場。試合後に引退セレモニーに臨み、今季最多1万6039人の前で「カープファンを僕は日本一だと思っています」と熱くスピーチした。赤ヘルひと筋19年の名捕手。多くのファンに愛された鯉女房が、静かにマスクを脱いだ。  空は涙雨だった。上限ギリギリの今季最多1万6039人が詰めかけたマツダスタジアム。石原慶は涙なく、最後まで笑顔のままで現役生活に別れを告げた。  「野球人生は苦しかったことの方が多かったですが、みなさんのおかげで優勝をすることができました。そんなカープファンを僕は日本一だと思っています」  入団1年目の2002年から11年連続Bクラスを経験した。16年に25年ぶりにリーグ優勝し、そこから3連覇。広島市民球場(08年まで)でも、マツダスタジアムでもプレーした41歳、球界最年長捕手の飾り気のないスピーチに、一塁ベンチ前で整列していた会沢は涙を流した。  万感の一日。妻が見守る前で長女・マナちゃん、次女・リンちゃんと始球式に臨み、照れ笑いを浮かべた。試合後に場内を一周していると尊敬するOBの黒田博樹氏(45)、新井貴浩氏(43)がサプライズで登場し、花束を贈られた。その後、マウンドで赤い手袋をしたナインの手によって8度、宙を舞った。2軍から駆け付けたK・ジョンソンからは熱い抱擁。誰からも愛されるベテランの姿が、そこにはあった。  左太もも裏の負傷を乗り越えて72日ぶりにグラウンドに戻ってきた。八回からマスクをかぶり、実戦復帰。老かいなリードで中田を三者凡退に導き、その裏の無死一塁の打席では、同世代の能見と対戦。5球すべて直球で最後は右飛だったが、その雄姿をしっかりとファンに届けた。  「小さな頃から大好きな野球をやってきて本当に良かった。19年間、みなさんのおかげで幸せな時間を過ごすことができました。本当に本当にありがとうございました」  引退後は野球解説者として、古巣を見守る予定だ。通算1620試合出場。カープの酸いも甘いもかみ分けた、ひと筋19年の名捕手は、感謝の思いを胸にグラウンドに別れを告げた。(柏村翔)

◆諦めない! 阪神は広島に2-0で勝ち、2017年以来3年ぶりとなる2位が確定した。大山悠輔内野手(25)が六回に28号ソロ。タイトル争いで首位を走る巨人・岡本に一時1本差に迫った。今季のビジターはこれで終了。残すは10日の巨人戦、11日のDeNA戦と本拠地2連戦。ホームで派手な一発をかっ飛ばし、初の勲章を手に入れる。  ライナー性の一撃が左翼席後方の防球ネットをたたいた。打った瞬間に白球の行き先を確信した大山は悠々とバットを放した。巨人・岡本にこの時点で1本差。若き大砲が、キングへの執念を見せつけた。  「いいところで1本出たなと思います。欲を言うと、もっと点を取って援護したいところですけど。勝利できたのは本当にうれしいですね」  1-0の六回先頭で、中村祐のスライダーを捉えた。4球続いた同系の球種。真ん中付近の球を逃さなかった。試合展開の中でも貴重な28号ソロ。内容にも納得した。  「狙い球を一発で仕留められたのは大きかった。最近、ミスショットというか、打ち損じが多い。そういうところがまだまだだと思っているので。一発で仕留められたのは自分の中でも大きいと思います」  超積極打法で始まった今季、井上打撃コーチから常に「振る勇気と振らない勇気」と言われ続けてきた。「この球は振らないという勇気。(大山は)それが合致したときに他の選手にない集中力を発揮する」と同コーチ。獲物を見極め、射抜く。成長を示す打撃だった。  3連勝のチームは今季最多の貯金7で、2017年以来3年ぶりの2位が確定した。昨季の3位から前進。矢野監督は「1個でも上にこられたのは意味がある。思うようにいかない中で、みんなが粘ってくれたのは価値がある。全員で戦えたから2位になれた。課題はもちろんあるけど、ひとまずはそう感じています」とナインをねぎらった。  残り2試合。藤川の引退試合も行われるが、本塁打王争いの決着にも注目だ。虎では1986年のバース以来、日本人では84年の掛布以来の栄冠へ。指揮官も「甲子園球場でホームランキングというのは、すごく価値がある。ファンの人も楽しみにしていると思うし、悠輔(大山)自身も狙っていくと思う。どん欲にチャレンジしていってもらったら」と背中を押した。  主砲は今季最後の広島戦で、対戦チーム別で最多の9本目のアーチをかけた。マツダでもビジター球場で最多の6発を放ったが、残る敵のイメージも悪くない。10日に戦う巨人戦は打率・288、5本塁打と上々で、11日の相手となるDeNA戦は同・413、5本塁打と大好物。この日、ナイターで2発を放った岡本とは3本差になったものの当然、諦めない。  「順位は決まったけど、負けていい試合はない。あの時、ああしておけばよかったという悔いが残ることがないように1打席1打席、1球1球を大事に。油断せず、最後までやりたい」  まだまだ見どころたっぷりの2020年。背番号「3」の最後の打席まで目が離せない。(安藤理)

◆秋山の緩急の投球は文句の付けようがなかった。ことし1年で揺るぎない自信を得たのだろう。広島・石原慶の引退試合絡みで交代しなければ、十分に完封できていた内容だった。  秋山に加えて西勇、青柳の先発3枚は、高い評価を与えていい。ただ、来季、優勝を狙うには、この3人にどれだけプラスアルファの先発が加われるか。ポイントは藤浪と高橋だ。終盤に救援登板が目立った藤浪だが、私は先発に戻すべきだと思う。その方が彼の力を発揮できるだろう。  高橋は出遅れもあって5勝に終わった。彼の力からすれば、もっと勝てる。来季は1年を通じてローテを守ることを目標にしてもらいたい。この5人が普通に力を出し切れば、どこにも負けない先発陣になる。  明るい材料の1つに、矢野監督、福原投手コーチのヤリクリも挙げたい。藤川がいきなり守護神が難しい状況になりながら、スアレスを筆頭にした救援投手陣をうまく起用した。中継ぎ以降の安定感も評価できる。  投手陣に限れば、合格点。この力を維持し、攻撃陣がどれだけ援護できるか。優勝のカギは、そのあたりだろう。 (本紙専属評論家)

◆本日、広島カープ一筋18年、石原慶幸捕手の引退試合だったのだ。決して派手なプレーヤーじゃなかったけど、カープらしい気骨のある選手だった。プロ野球記録のシーズン60本塁打を放ったバレンティン(2013年、ヤクルト)に、投げたボールをスタンドに運ばれてぼう然とした投手は数々いたろうが、バットで後頭部を打たれ、ぼう然超えの失神をしたんだから、ファンは永遠に忘れないよー!!  試合後の引退セレモニーの前に、同じく今季限りで虎のユニホームを脱ぐ藤川球児がスタンドにあいさつした後、石原引退記念Tシャツを着るシーンなんて...。クーッ、泣かせるけえ...。石原選手、おつかれさまじゃ!!  さてわが阪神は秋山、能見、エドワーズ、スアレスの完封リレー、お見事!! そして大山の28号アーチは、さらにうれしい~!! 残り2試合、甲子園に奇跡を呼ぶ浜風、いや『虎風』よ吹け!! 大山の打球をスタンドへ3本運んでくれー!! 近本も3割、石にかじりついてでも達成したれー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
66438 0.606
(↑0.004)
優勝
(-)
3521
(+6)
411
(+2)
134
(+3)
79
(-)
0.255
(↑0.001)
3.340
(↑0.01)
2
(-)
阪神
59527 0.532
(↑0.005)
8
(-)
2493
(+2)
456
(-)
110
(+1)
80
(-)
0.248
(↓0.001)
3.400
(↑0.03)
3
(-)
中日
59555 0.518
(-)
9.5
(↓0.5)
1426
(-)
487
(-)
70
(-)
33
(-)
0.252
(-)
3.850
(-)
4
(-)
DeNA
55576 0.491
(-)
12.5
(↓0.5)
2511
(-)
469
(-)
135
(-)
30
(-)
0.266
(-)
3.810
(-)
5
(-)
広島
515512 0.481
(↓0.005)
13.5
(↓1)
2514
(-)
523
(+2)
109
(-)
63
(-)
0.261
(-)
4.090
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
406810 0.370
(↓0.004)
25.5
(↓1)
2460
(+2)
579
(+6)
111
(+2)
73
(-)
0.243
(-)
4.610
(↓0.02)