巨人(☆5対4★)阪神 =リーグ戦21回戦(2020.10.23)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:今村 信貴(4勝2敗0S)
(セーブ:田口 麗斗(5勝5敗1S))
敗戦投手:西 勇輝(10勝5敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(4号・4回表ソロ)
【巨人】丸 佳浩(23号・2回裏ソロ)

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◆巨人は2回裏、丸のソロなどで3点を先制する。3-1で迎えた5回には、坂本と若林の適時打で2点を奪い、リードを広げた。投げては、先発・今村が8回途中4安打3失点の力投で今季4勝目。敗れた阪神は守備の乱れが失点につながり、打線も9回の好機であと1本が出なかった。

◆23日から巨人-阪神戦。このカードで巨人岡本和真内野手(24)は3本塁打、阪神大山悠輔内野手(25)は5本塁打しているが、1~10回戦が岡本3本、大山0本に対して11~20回戦は岡本0本、大山5本。 岡本は8月19日を最後に、阪神戦の1発がない。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は巨人が今村信貴投手(26)、阪神が西勇輝投手(29)。西勇は移籍1年目の昨年を超える11勝目を狙う。 ジェリー・サンズ外野手(33)は10月5日巨人戦(甲子園)以来となるベンチスタート。熊谷敬宥内野手(24)は遊撃では今季初のスタメン出場となった。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手が2回に1イニング3失策の失態を犯した。 5番丸のソロで1点を先制され、なお1死二塁。7番田中俊の一ゴロを体で止めたが大きくはじき、そこから一塁送球を試みるも、ベースカバーに入った西勇の横を大きくそれる悪送球となった。この間に二走が生還。2点目を献上した。 さらに1死一、三塁からは9番今村の試みたスクイズを捕球しきれず、3点目を失った。 一塁手の1イニング3失策は、セリーグ初。阪神の一塁手の1試合3失策は58年5月28日大洋戦の藤本勝巳以来。 一塁手の1イニング3失策は、パリーグでも62年ブルーム、74年ジョーンズの過去2度しかない。

◆マルテが4回1死走者なしから、直球を捉えて左翼席へ今季4号ソロを放った。 相手先発今村から、この日チーム初ヒットで初得点。2回にはセ・リーグ初となる1イニング3失策を犯し、守備で足を引っ張る形となったが、汚名返上の1発となった。マルテは「守備で迷惑をかけてしまったから何とかしたいという気持ちで打ったよ。まだまだ自分のミスを取り返せていないからしっかり取り返せるように頑張るよ」と取り返しを宣言。 マルテは7月4日の広島戦(マツダスタジアム)以降、左ふくらはぎの張りで約3カ月1軍を離脱していたが、21日の広島戦(マツダスタジアム)で1軍に復帰。21日が、今季甲子園初打席となったが、先制2ランを放った。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が5回にこの試合、4つ目の失策を犯した。一塁手の1試合4失策は両リーグ合わせて初という不名誉な記録を作った。 5回無死三塁から、2番松原の一ゴロの当たりを捕球し損ね、走者をためる形に。一、三塁とピンチを広げ、3番坂本が左前適時打で続き、4点目を献上した。 マルテは、すでに2回に1イニング3失策の失態でエース西勇の足を引っ張っていた。2回1死二塁から7番田中の一ゴロを体で止めたが大きくはじき、そこから一塁送球を試みるも、ベースカバーに入った西勇の横を大きくそれる悪送球となった。この間に二走が生還。2点目を献上。さらに1死一、三塁からは9番今村の試みたスクイズを捕球しきれず、3点目を失った。 一塁手の1イニング3失策は、セリーグ初。阪神の一塁手の1試合3失策は58年5月28日大洋戦の藤本勝巳以来。 一塁手の1イニング3失策は、パリーグでも62年ブルーム、74年ジョーンズの過去2度しかない。

◆阪神先発の西勇輝投手(29)は今季最短の5回5失点(自責2)で降板した。 10月は3戦3勝でいずれも8イニングを投げるなど好調だった。この日は違う。2回1死後、丸に先制アーチをバックスクリーンに被弾。さらに走者を二塁に置いて、一塁マルテがゴロをファンブル&トスミスのダブルエラーで失点を重ねた。細かい制球を欠いて、本調子ではなかった。5回もマルテの1試合4失策目に足を引っ張られる形でさらに2失点。同僚大山と同数で本塁打王争いを繰り広げる4番岡本には2打数無安打1四球とアーチを許さなかったが、全体的に粘れなかった。

◆阪神原口文仁捕手(28)が、8回1死一、二塁から反撃の2点適時打を放った。 4点を追う8回。7回終了まで2安打に封じられていた相手左腕の今村から好機をつくった。1死から代打坂本誠志郎捕手(26)の四球、代打ジェリー・サンズ外野手(33)が左前打で続き、1死一、二塁。原口が勝負強さを発揮し、初球のフォークを捉えて左中間への2点適時二塁打とした。 好投を続けていた今村を引きずり下ろし、2年ぶりの完投を阻止する形となった。

◆巨人は2回に丸の23号ソロで先制。1死二塁から阪神マルテの失策で1点を追加。続く1死一、三塁からもマルテの失策で追加点。 阪神は4回にマルテの4号ソロで1点を返した。巨人は5回に坂本の適時打と若林の適時打で2点を追加した。 阪神は2点差の9回に中谷の適時打で1点差とするもここまで。巨人は8回途中3失点の今村から継投策で逃げ切った。巨人は今村が4勝目、田口が今季初セーブ。阪神は西勇が5敗目を喫した。

◆阪神大山悠輔内野手はリーグ最多26本塁打で並ぶ巨人岡本との直接対決でアーチを描けなかった。 最大の見せ場は9回だ。デラロサの初球を捉えた左翼ポール際への大飛球は、わずかにファウルゾーンに切れた。スタンドインなら単独トップに浮上だった。それでも四球を選んで反撃につなげた。4回は今村の速球を中前にはじき返し、16打席ぶりの安打。復調ぶりを示した。

◆首位巨人が、3位阪神と対戦。巨人今村が8回途中3失点で4勝目。阪神はマルテの4失策含む5失策と先発の西勇を後押しできなかった。

◆阪神陽川尚将外野手が新型コロナウイルス感染から1軍復帰後、初安打を放った。9月25日に罹患(りかん)が判明し、10月21日に再昇格し。 この日は9月20日中日戦以来、約1カ月ぶりの先発だった。2点を追う9回1死一塁の第4打席ででデラロサの速球を左前にはじき返した。好機を拡大する一打で、土壇場での反撃につなげた。

◆1点リードの9回1死一、二塁から登板した巨人田口麗斗投手が、今季初セーブを挙げた。5連投となるマウンドで、守護神デラロサが1点差に迫ったピンチを救った -どんな気持ちでマウンド 「僕はいつでも投げられるように、中継ぎで上がってきてから全部投げるつもりで準備していたので、いい形で終われて良かったです」 -1点差でも心境は強気 「そうですね。それが持ち味だと思って毎回マウンドに上がっているので。それもまた今回出せたのかと思います」。 -5連投。疲れは 「いや、無限の体力なんで大丈夫です」。 -明日も明後日も 「いけと言われたらいけるように。またチームの勝ちに貢献できるように準備したいと思います」 -ゲームセットの瞬間 「その前のバッターでワンバウンドを2球も投げてしまって、めちゃくちゃあせったんですけど、今村さんの顔もすごく浮かんできて、これはやらなきゃなと。またスイッチが入って投げれたので、本当に最高の勝利だったと思います」 -マジック5 「明日もまた早いんで、早く帰ってまた明日来てください」

◆序盤に拙守が続いた阪神は終盤の反撃及ばず、巨人3連戦の初戦を落とし勝率5割に転落した。最短24日にもV逸となる。 ジェフリー・マルテ内野手(29)が、一塁手1試合4失策の不名誉なプロ野球新記録を樹立した。「3番一塁」で先発し、2回に1イニング3失策。1死二塁でゴロを体で止めたが大きくはじき、処理後の一塁送球も悪送球となった。なお1死一、三塁から今村の試みたスクイズを捕球しきれず、3点目を献上した。一塁手の1イニング3失策は62年ブルーム、74年ジョーンズ(ともに近鉄)と並ぶプロ野球タイ記録で、セ・リーグでは初めて。阪神一塁手の1試合3失策は58年5月28日大洋戦の藤本勝巳以来だった。 マルテは4回の攻撃では左翼席へソロを放ってばん回をみせたが、5回無死三塁から、再び一塁へのゴロを捕り損ねてピンチを拡大。この回に2点を失うきっかけを作った。 打線は7回まで巨人先発の今村の前に散発2安打だったが、1-5の8回に1死一、二塁とチャンスメークし、原口の左中間への2点適時二塁打で2点差とした。9回は中谷将大外野手(27)がデラロサから左前適時打を放って1点差に迫り、なお1死二、三塁としたが、代打糸井が見逃し三振、代打植田が右飛と後続が倒れた。

◆巨人は9回に1点差に迫られるも逃げ切り、優勝マジック5とした。 9回は守護神デラロサが1点を失い、さらに1死一、二塁とピンチの場面で5連投となる田口を投入。無失点で今季初セーブを挙げた。 原辰徳監督(62)は「総動員ね。田口は連投が続いているんですけど、いいピッチングをしてくれましたね。真っすぐが走っていた。スライダーの精度に苦しんでいたのかなというのはあるけど、よく踏ん張ってくれました」と評価した。 8回途中3失点の先発今村については「非常に良くなってきています。ずっと良くなっていますね。8回1アウトまではね。四球を出して、数球で2点取られるというのは反省するところもあるでしょうけど、頼もしく今日はうつりました」と言った。 打線は2回に丸の23号ソロで先制するなど、今季セ・リーグ投手で唯一3敗を喫していた天敵の阪神西に初黒星を付けた。 「確かに打ちあぐねている素晴らしい西という投手から5点を取ったというのは良かったと思います。あの場面(5回)でもう1点取っておけばというのはありますね」 これで優勝マジック5。「3くらいになったら意識しましょう」と笑って言った。

◆阪神中谷将大外野手が意地の一打を放った。 「6番右翼」で9月30日中日戦以来の先発。存在感を示したのは9回だ。1死一、二塁でデラロサの低め速球をライナーで左前にはじき返した。9月16日巨人戦以来の適時打で1点差に詰め寄った。「(展開が)追い込まれた状況だったので、何としても次につなぐ気持ちで打ちました。タイムリーヒットとなって良かったです」。最後は1歩及ばなかったが、粘りを見せた。

◆阪神原口文仁捕手が4点を追う8回に反撃の口火を切った。 1死一、二塁で今村のフォークを捉えて左中間へ2点適時二塁打。「まだランナーをかえせばどうなるか分からない展開だったので、攻めていく気持ちを持って初球から思い切って打ちにいきました」。打線が7回まで2安打と苦戦した左腕を一発で攻略。2年ぶりの完投勝利に迫った相手をここで引きずり下ろした。

◆阪神ジェリー・サンズ外野手が来日初の代打で安打を放った。8回1死一塁で熊谷に代わって登場。 今村から左前打で、一、二塁と好機をつくり、代走でお役御免。原口の2点適時二塁打につなげた。逆転できなかったが、最後は1点差まで迫る追い上げムードに演出した。

◆巨人丸佳浩外野手が2回1死からバックスクリーンに先制の23号ソロを放った。今季セ・リーグで唯一3敗を喫していた天敵の阪神西勇攻略につなげ「自分たちのペースをつかみたかったので、先制点を取ることができて良かった。しっかり準備して、自分のスイングができた」と喜んだ。ただ5回無死満塁の好機では三振に倒れ、原監督は「あえて丸という素晴らしい選手に対して、あそこはやっぱり何とかしてほしかった」と求めた。

◆阪神西勇輝投手が拙守に泣き、今季の巨人戦初黒星を喫した。2回1死から丸に先制ソロ本塁打を浴びた後、マルテがまさかの3失策でさらに2点を失った。5回には先頭の吉川尚に中前打を浴び、二盗阻止を狙った梅野の悪送球で無死三塁。またもマルテの失策で松原を出塁させ、ピンチが広がった。2本の適時打を許し、この回2点を失った。 自身3連勝中だったが、今季最短の5回7安打5失点(自責2)で降板し、5敗目。矢野監督は「集中しにくいというか、あんだけ足を引っ張られると苦しいところやったと思うけど、なんとかね。自分を奮い立たせて投げてくれた」と心境を思いやった。5回104球を擁する苦しい投球になりながらも、マウンドから野手陣に声を掛けて必死に鼓舞。「代わってからもベンチでさ、みんなを元気づけてやってくれるっていうのは...、それは野手が感じ取ってほしいよね、本当に」と指揮官は続けた。 今季巨人相手に3勝0敗だったが、悔しい敗戦となった。それでも防御率2・10と安定感は変わらない。次戦で移籍1年目の昨季を超える11勝目をつかむ。【磯綾乃】

◆無残な敗戦で、虎が追い込まれた。阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が、プロ野球初となる一塁手の1試合4失策、セ・リーグ初となる一塁手の1イニング3失策という不名誉な記録を2つもつくる守乱がひびいての敗戦。矢野燿大監督(51)も怒りを隠せなかった。24日の巨人戦で負けか引き分けで、15年連続のV逸が決まる。あまりに悲しいシーンの連続だった。チームが悔しい思いをし続けた敵地東京ドームで繰り広げられたのは、失策のオンパレード。ミスを連発したのは一塁マルテだ。矢野監督が怒気を含んだ口調で言った。 「足引っ張りすぎだわな」 「ホームラン以外、全部でしょ。エラーが(失点に絡んだ)。それじゃ勝てるわけない」 「あまりにも...、簡単なミスというか、難しい打球じゃないんでね」 惨劇の始まりは2回だった。1点を先制され、なおも1死二塁。マルテは7番田中俊の打球をはじき、1つ目の失策を記録。さらに、はじいたボールを拾い、一塁にトスしたが...。これが大きくそれて二走だった若林の生還を許し、このプレーに2つ目の失策がついた。さらに1死一、三塁からは今村のセーフティースクイズを処理できず、セ一塁手としてはワーストとなる1イニング3失策。この回の西勇の3失点のうち、2点には自責がつかなかった。 5回無死三塁では松原のゴロを失策。これで一塁手として1試合4失策という両リーグ通じてワースト記録に名を刻んでしまった。この回は梅野の二塁送球にも失策がついており、チームとして11年ぶりの1試合5失策。今季両リーグワーストのチーム失策数は79に膨れあがった。 矢野監督は「言いようがないわ」と語るなど、最後まで怒りが収まらない様子。試合終盤に1点差まで迫ったが、結局ミスが重くのしかかっての黒星を喫した。チームは貯金を吐き出し、勝率5割に逆戻り。24日の巨人先発は菅野で、V逸を避けるには、勝つしかない。【松井周治】 ▼一塁手1試合4失策のプロ野球新記録=マルテ(阪神) 23日の巨人21回戦(東京ドーム)で2回に3、5回に1失策。一塁手の1試合4失策は、過去18人が記録した3失策を上回る新記録。また、2回のイニング3失策は74年4月13日ジョーンズ(近鉄)以来3人目のプロ野球タイ記録で、セ・リーグでは初めて。

◆巨人先発今村信貴投手が「岩隈フォーク」を要所で沈め、8回途中3失点で9月5日以来の4勝目を挙げた。 引退会見を行った岩隈とは2軍調整中に顔を合わせる機会が多かった。「ファームにいる時の方が僕も長いですし、いろいろ言葉をもらいました。(お互い)フォークを投げるピッチャーですし、フォークのことを聞いたのが印象的です」と感謝。原監督は「非常に良くなっている」と評価した。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が、プロ野球初となる一塁手の1試合4失策、セ・リーグ初となる一塁手の1イニング3失策という不名誉な記録を2つもつくる守乱がひびいての敗戦。矢野燿大監督(51)の一問一答は以下の通り。   -終盤はあきらめない姿勢を見せた 矢野監督 それにしても足引っ張りすぎだわな。 -守備が 矢野監督 ホームラン以外、全部でしょ、エラーが(失点に絡んだ)。それじゃ勝てるわけないよね。 -西勇は足を引っ張られた 矢野監督 そういう集中しにくいというか、あれだけ足引っ張られると苦しいところやったと思うけど、なんとかね。自分を奮い立たせて投げてくれたし。代わってからもベンチでさ、みんなに元気づけてやってくれるっていうのは...それは野手が感じ取って欲しいよね、本当に。あまりにも...、簡単なミスというか難しい打球じゃないんでね。 -明日は一矢報いないといけない 矢野監督 ねぇ。言いようがないわ。 -中継ぎは抑えて、反撃につなげた 矢野監督 それはね、最後のこういう形にできたのは中継ぎ頑張ってくれたおかげ。

◆ひとりぼっちじゃない。1点差に迫られた9回1死一、二塁。巨人田口麗斗投手(25)が、緊迫のマウンドに上がった。2球で追い込むも、暴投で二、三塁。2死二、三塁からは、初球から3球連続でボールとした。剣が峰の状況でも、ファンは温かい拍手で後押ししてくれた。後ろを守る野手は、鼓舞してくれた。 最後のアウトを見届けると、田口はホッとした表情を浮かべた。 開幕から先発として回ってきたが、再調整で8日に抹消。セットアッパーの中川が故障で離脱した影響で、今度は中継ぎとして18日に昇格。そこから怒濤(どとう)の5連投も「無限の体力なんで。全部投げるつもりで準備していたので」。プロ2セーブ目、今季初セーブを挙げた。原監督も「彼は『毎日でも放りたい』と。どういうポジションでも前向きにやってくれてるというのは、チームにとって非常に献身性のある素晴らしい投球」とフル回転の左腕に賛辞を贈った。 開幕前、1本の作品に出会った。スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」。孤独な老人が隣人との触れ合いで、生きる活力を再発見する内容に、涙した。今年、第1子が誕生したことも重なった。「朝起きたら、子どもがスヤスヤと寝ている。そんな姿を見て、改めて自分も1人ではない」。人は誰かとつながっている。 家に帰れば、愛する家族が待つ。マウンドに立てば、頼もしい先輩、後輩が支えてくれる。スタンドにはどんな時も励ましてくれるファンがいる。「幸せなマウンド」を守りきり、チームの優勝マジック「5」をみんなの力で減らした。【栗田尚樹】

◆無残な敗戦で、虎が追い込まれた。阪神ジェフリー・マルテ内野手(29)が、プロ野球初となる一塁手の1試合4失策、セ・リーグ初となる一塁手の1イニング3失策という不名誉な記録を2つもつくる守乱がひびいての敗戦。矢野燿大監督(51)も怒りを隠せなかった。24日の巨人戦で負けか引き分けで、15年連続のV逸が決まる。 マルテは持ち味のバットでは4号ソロを放った。3点を追う4回1死走者なし。巨人今村の直球を捉え、ライナー性で左翼スタンドに運んだ。「守備で迷惑をかけてしまったから何とかしたいという気持ちで打ったよ。まだまだ自分のミスを取り返せていないからしっかり取り返せるように頑張るよ」とホームランコメントを出していたが、その後の打席で快音は出なかった。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(29)がセ・リーグ一塁手のワースト記録を更新する1イニング3失策を犯した。  二回1死から先発の西勇が丸に先制のソロを浴びると、続く若林には二塁打。続く田中俊の強い打球をマルテがはじいた。慌ててボールを拾い、一塁のベースカバーに入った西勇に背面トスを試みたが、これが悪送球。2失策が記録され、二走の生還を許した。  さらに1死一、三塁から今村がセーフティースクイズを試みると、マルテがまたしても捕球ミス。この回3個目の失策で3点目を失った。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(29)が0-3の四回1死から"ざんげ"の一発だ。巨人の先発・今村の144キロの直球を左翼ポール際へ運ぶ4号ソロを放った。  マルテは「守備で迷惑をかけてしまったから何とかしたいという気持ちで打ったよ。まだまだ自分のミスを取り返せていないから、しっかりと取り返せられるように頑張る」。試合中に広報を通じてコメントした。  マルテは二回、セ・リーグ一塁手のワースト記録を更新する1イニング3失策。3点を失う要因になっていた。五回無死三塁でも松原のゴロをファンブルして、この試合だけで4失策となった。一塁手の1試合4失策はプロ野球ワースト記録。

◆巨人の丸が8試合ぶりの23号ソロを放った。0-0の二回1死で、西勇の低めの変化球をはじき返してバックスクリーンへ運び「とにかく塁に出ることを考えていた」と振り返った。  打った瞬間に本塁打を確信してバットを放り投げ、ベンチを指さしてガッツポーズするほどの完璧な当たり。今季の過去4試合の対戦で3勝0敗、防御率1・47の好成績を許していた難敵からの一発で打線を活気づけ「一振りで仕留めることができた」とうなずいた。  今季は開幕直後から不調にあえいだが、ようやく本来の打撃を取り戻し、自身初の本塁打のタイトル獲得も視野に入ってきた。広島時代から昨季まで4年連続でリーグ優勝を経験しており「いい緊張感の中で試合ができているので、そういったところは野球選手として幸せに感じている」と充実感をにじませプレーしている。

◆セ・リーグ首位の巨人が5-4で逃げ切り2連勝とした。  巨人は二回、丸の中越え23号ソロで先制。さらに相手の失策や今村のスクイズでこの回3点を奪った。五回には相手の守乱に乗じて無死一、三塁とすると坂本が左前適時打を放ち、4試合連続打点をマーク。1死満塁から若林も左前適時打を浴びせ5-1とした。  先発・今村は七回まで1失点と粘っていたが、八回に1死一、二塁から原口に2点二塁打を許して降板。九回から登板の3番手・デラロサが中谷に適時打を許して1点差に詰められたが、5連投の田口が締めて逃げ切った。今村は7回1/3を投げて4安打3失点で4勝目(2敗)。 丸 「打ったのはスライダーですかね。とにかく塁に出ることを考えました。一振りで仕留めることができましたね」 坂本 「みんながつないでくれたチャンスだったので還せてよかったです」

◆阪神は巨人に4-5で敗れた。これで10月15日以来の貯金なしとなった。  二回1死から先発の西勇が丸に先制のソロを浴びる。なおも1死二塁で田中俊の打球をマルテがファンブル。慌てて捕球し、ベースカバーの西勇に背面トスも悪送球となって、二走が生還した。2点目を献上すると、さらに1死一、三塁から今村のスクイズをマルテが捕球ミス。セ・リーグ一塁手のワースト記録を更新する1イニング3失策となった。  五回には無死一塁から吉川尚がスタートを切ると、梅野が悪送球。その直後、松原の一ゴロをまたしてもマルテがはじいて、一塁手としてはプロ野球史上最多の1試合4失策。チームとしては今季ワーストの5失策となった。  西勇は今季最短の5回で降板、7安打5失点(自責2)で5敗目(10勝)。巨人とは今季5度目の対戦で初黒星を喫した。

◆阪神は巨人に4-5で敗れた。貯金がなくなった。試合後の矢野監督との一問一答は以下の通り。  --終盤はあきらめない姿勢をみせた  「それにしても足引っ張りすぎだわな」  --やっぱり守備が  「ホームラン以外、全部(失点がエラー絡み)でしょ? それじゃ勝てるわけないよね」  --西勇は足を引っ張られた  「そういう集中しにくいというか、あんだけ足引っ張られると苦しいところやったと思うけど、なんとかね。自分を奮い立たせて投げてくれたし。代わってからもベンチでさ、みんなに元気づけてやってくれるっていうのは...、それは野手が感じ取ってほしいよね、本当に。あまりにも...、簡単なミスというか難しい打球じゃないんでね」  --明日は一矢報いないといけない  「ねぇ。言いようがないわ」  --中継ぎは抑えてつなげた  「それはね、最後こういう形にできたのは中継ぎが頑張ってくれたおかげやし」

◆打った瞬間、巨人・丸は本塁打を確信。バットをほうり投げ、仲間が一斉に立ち上がった一塁ベンチに向かってほえた。  「とにかく塁に出ることを考えました。ひと振りで仕留めることができました」  火の出るような打球はバックスクリーンに飛び込んだ。二回に飛び出した先制の23号ソロ。チームが今季、4試合で0勝3敗と苦手としている西勇のスライダーを、豪快に振り抜いた。最近6試合で20打数2安打と元気がなかったが、完璧な当たりに復調の気配が漂った。  8月は25打席連続無安打の不振も経験し、スタメンを外れる日もあった。8月9日時点で打率・224と苦しんでいたものの、9月以降は2割8分台で安定。5年連続の2桁本塁打も達成するなど、例年通りの好成績を残している。  昨季、フリーエージェント(FA)権を行使して広島から加入し、5年ぶりのリーグ制覇に導いた。今季も優勝すれば、広島時代の3連覇と合わせ、12球団でただ一人のリーグ"5連覇"となる。それでも、丸が開幕前に目標に掲げていたのは、さらなる高みだ。  「今まで日本一になるチャンスが4回あって。4年連続で逃している。何とか日本一になりたい」。頼れる男が状態を上げてきた。(谷川直之)

◆巨人の今村は序盤から速球をテンポよく投げ込み、7回1/3を4安打3失点と好投し9月5日以来の4勝目を挙げた。5-1の八回に原口に2点二塁打を浴びて降板したが、「初回から全力で飛ばした。試合をつくれたので最低限の仕事はできた」とうなずいた。  一度も先頭打者の出塁を許さず「少しは成長しているのかなと思う」と手応えを感じた様子。原監督は「非常に良くなっている。反省するところもあるでしょうけど、頼もしく映った」と称賛した。

◆阪神は途中出場の原口が勝負強さを見せた。1-5の八回1死一、二塁で変化球を捉え、左中間へ2点二塁打。敗れはしたが、今村を降板させて追い上げムードをつくり「攻めていく気持ちを持って、初球から思い切って打ちにいった」と振り返った。  打撃不振などで8月中旬に出場選手登録を外れ、約1カ月間の2軍生活で調子を上げた。3試合連続安打で2試合連続打点をマーク。一時は1割台前半だった打率を2割6分2厘まで上げた。

◆1-5の八回1死一、二塁で代打で登場した原口が、左中間を破る2点二塁打を放ち、好投していた今村をマウンドから引きずり下ろした。「まだランナーをかえせばどうなるかわからない展開だったので、攻めていく気持ちを持って初球から思い切って打ちにいきました」。前日22日の広島戦(甲子園)でも代打で3ラン。2試合連続で勝利には結びつかなかったが、バットで意地をみせた。

◆9月30日の中日戦(甲子園)以来のスタメン出場だった中谷は3-5の九回1死一、二塁で適時打を放った。デラロサの154キロ直球をとらえると、左前へ。先発起用の期待に応え「(ゲーム展開が)追い込まれた状況だったので、何としても次につなぐ気持ちで打ちました。タイムリーヒットとなってよかったです」とうなずいた。

◆もう! なんぼエラーしたら気が済むの! 阪神は終盤に追い上げるも巨人に4-5で敗れて、またも勝率5割に逆戻りした。ジェフリー・マルテ内野手(29)が、一塁手としてはセ・リーグ記録の1イニング3失策、プロ野球ワーストを更新する1試合4失策の守乱で試合を壊した。きょう敗れるか引き分ければ完全V逸。悔しいやら、あきれるやら...。  虎党のため息は苦笑いとなり、さらには失笑に変わった。マルテが1イニング3失策&1試合4失策。しかもすべて失点に絡み、巨人のマジックを「5」に減らすアシストをし、矢野監督も怒りを通り越してあきれるしかなかった。  「それにしても足、引っ張りすぎだわな。ホームラン以外、全部でしょ? それじゃ勝てるわけないよね」  二回、丸に先制ソロを許した後だった。1死二塁で田中俊の打球は一塁前へ。難しい打球ではなかったが、マルテは弾いた。慌てて捕球すると、背面トス。これがベースカバーに入った西勇への悪送球となり、珍しい1プレーでのダブルエラー。二走の若林を生還させてしまった。  さらに1死一、三塁では今村のスクイズをポロリ。一塁手としてはプロ野球ワーストタイ、セ・リーグではワーストを更新する1イニング3失策で、3点目を献上した。  四回に左翼ポール際へ4号ソロを放ち「まだまだ自分のミスを取り返せていないから、しっかり取り返せるように頑張る」と話していたが、五回無死三塁では松原の一ゴロをファンブルして4失策目。一塁手の1試合でのプロ野球ワーストを更新してしまった。  将は「あまりにも...簡単なミスというか、難しい打球じゃないんでね」と試合後は怒りをこらえるのに必死。五回には梅野の悪送球もあり、今季最多で2009年7月7日の広島戦(新潟)以来11年ぶりとなる1試合5失策。12球団ワーストのチーム失策数は79となった。昨年から変わらない悪癖が凝縮された敗戦で、8日ぶりに勝率5割に逆戻り。24日に敗れるか引き分ければ、V逸が確定する。  崖っぷちの一戦に向けて指揮官は「言いようがないわ」と言葉を失うほどのショック。2位中日には4ゲーム差に広げられ、4位DeNAとは1差。負ければV逸&Bクラス転落のダブルショック。残り14試合、矢野虎が迷宮に入り込もうとしている。(大石豊佳)

◆疲れ知らずのタフガイが現れた。巨人・田口麗斗投手(25)が1点リードの九回1死一、二塁で登板し、2者を抑えて今季初セーブ。5連投も苦にせず、お立ち台では元気いっぱいだった。  「中継ぎで(1軍に)上がってから全部投げるつもりで準備している。無限の体力なんで、大丈夫です!」  守護神デラロサが招いた大ピンチ。1人目の代打・糸井との対戦では2度、変化球がバウンドし、二、三塁に。「めちゃくちゃ焦ったけど、今村さんの顔が浮かんできて、『これはやらなきゃな』と」。一打逆転の場面でも持ち前の度胸で見逃し三振に仕留め、続く植田も3ボールから粘って右飛に打ち取った。魂の15球。昨季以来の通算2セーブ目で、先輩左腕の4勝目の権利を守り抜いた。  今季は先発で5勝した田口は9月から不調が続き、今月8日にファームに降格。昨季の役割だった中継ぎに転向して1軍に復帰すると、フル回転。この日で18日のDeNA戦(横浜)から休養日を挟んで5連投となったが、全て無失点に封じている。  昨季は球宴を挟んで10連投したこともあった鋼の男に、原監督は「彼は『毎日でもほうりたい』と。非常に献身性のある素晴らしい投球」と大絶賛。チームは2連勝で優勝へのマジックナンバーは「5」。最短Vは25日から27日となった。それまで何度ピンチが訪れようと、いつでも田口が出番に備えている。(谷川直之)

◆守備力の差が試合を決めた。あれだけ失策が出ると、投手も苦しいし、ちょっとひどいね。  マルテはゴロに対し、体を止めて待っている。足が動いていない。あれではタイミングがとれないし、基本ができていない。チームとしても失策数は両リーグワーストの79。昨年あれだけミスして、今年も...ではがっかりする。私は守備は練習すればうまくなると思っている。つまり、阪神は練習していないということ。そう言われても言い訳はできない。担当コーチもしっかりしないと。  巨人は岡本が好守備を見せ、四回に坂本が奪った併殺など、これぞプロというものだった。ああいう流れるようなプレーは、阪神ではほとんど見ない。若林は昨季9失策と守備が課題だったが、今年は2つだけ。だからチャンスをもらえる。  阪神もこれからは打撃練習より守備練習。守備は足腰を鍛えられるし、体にキレがでる。打撃はただ打ち込めばいいというわけじゃないから。  最後に。起用は監督が決めることだが、九回の最後、私なら植田ではなく、そのまま小幡でいった。結果は同じかもしれないが、将来のレギュラーはどちらかと考えたら、小幡を打席に立たせるかな。(本紙専属評論家)

◆巨人が緊急事態を迎えた...。そんな言葉が頭に浮かぶ。クローザーに起用されてきた、デラロサの状態だ。  2点リードの九回に登板し、1死後、大山に初球のスライダーを左翼へ大ファウルされた瞬間、見るからに表情がこわばった。  ここから、慎重になりすぎた。大山は四球で歩かせ、陽川と中谷に連打され降板。コーナーを狙った球が少しずつ外れ、カウントを悪くして、直球でストライクを取りにいくと打たれる。その悪循環。慎重になりすぎるのはつまり、自信をなくしているということだ。  20日のヤクルト戦(神宮)でも1点リードの九回に登板し、やはり四球をきっかけに走者をためて、イニング途中で降板。結局、引き分けに終わっている。  この時期にきて、頼れるクローザーが不在に。避けて通れないポジションだけに、看過できない事態だろう。  高梨、田口らを、順番を入れ替えながら、クローザーで使うか。あるいは、原監督がマジックを見せるか。日本シリーズまで見据えて、どういう手が打たれるのか、注目したい。 (本紙専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
63366 0.636
(↑0.003)
M5
(↑1)
15484
(+5)
360
(+4)
122
(+1)
69
(+1)
0.258
(-)
3.300
(↓0.01)
2
(-)
中日
55475 0.539
(↑0.004)
9.5
(-)
13389
(+4)
418
(+3)
61
(-)
30
(+2)
0.252
(-)
3.690
(↑0.01)
3
(-)
阪神
50506 0.500
(↓0.005)
13.5
(↓1)
14436
(+4)
423
(+5)
102
(+1)
69
(-)
0.244
(-)
3.540
(↑0.02)
4
(-)
DeNA
50525 0.490
(↑0.005)
14.5
(-)
13460
(+2)
422
(-)
122
(-)
26
(-)
0.266
(↓0.001)
3.760
(↑0.04)
5
(-)
広島
435310 0.448
(↓0.005)
18.5
(↓1)
14463
(-)
499
(+2)
101
(-)
53
(+1)
0.262
(↓0.001)
4.350
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
37608 0.381
(↓0.004)
25
(↓1)
15418
(+3)
528
(+4)
101
(+1)
55
(-)
0.246
(↓0.001)
4.690
(↑0.02)