阪神(☆5対0★)ヤクルト =リーグ戦19回戦(2020.10.16)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:西 勇輝(10勝4敗0S)
敗戦投手:歳内 宏明(1勝2敗0S)

本塁打
【阪神】梅野 隆太郎(6号・6回裏ソロ)

  DAZN
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◆投打のかみ合った阪神が快勝。阪神は0-0で迎えた4回裏、梅野の適時二塁打で先制する。その後は5回に大山の適時打、6回には梅野のソロが飛び出すなど、小刻みに加点した。投げては、先発・西勇が8回5安打無失点の快投で今季10勝目。敗れたヤクルトは先発・歳内が試合をつくれず、打線も沈黙した。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、ヤクルトが歳内宏明投手(27)。 阪神西勇は現在、防御率2・18でリーグ3位につける。自身3連勝で、3年連続の10桁勝利を目指す。打線では糸井が3試合ぶりにスタメン復帰。デビューから2戦連続スタメン起用だったドラ2井上は、ベンチスタートとなった。 ヤクルト歳内は昨季に阪神を戦力外となり、今季は独立リーグから9月にヤクルトに新加入した。8年間在籍した古巣相手の初登板に、注目が集まる。

◆ヤクルトは、2試合ぶりに「1番三塁」でエスコバー内野手がスタメンに名を連ねた。 2番には、今季2試合目となる田代将太郎外野手が入った。 「7番右翼」で山崎晃大朗外野手が、4日広島戦以来のスタメン出場。 先発バッテリーは、甲子園に凱旋(がいせん)登板となる歳内宏明投手と西田明央捕手。

◆阪神が4回に梅野隆太郎捕手の左翼線への適時二塁打で先制した。 4回、先頭の大山が右翼線へ三塁打。1死後、ボーア死球で1死一、三塁。7番梅野がヤクルト先発歳内の2球目直球を引っ張り、前進守備の三塁手エスコバーの横を鋭く抜けていった。「前の打席のチャンス(2回1死一、二塁)では打てていなかった(右飛)ですし、西(勇)さんもすごく頑張ってくれているので、何とかしたいと思って打席に入りました。先制点を取ることができてよかったです」とコメントした。梅野は10月7日広島戦以来の適時打。

◆阪神・梅野隆太郎捕手が6回に6号ソロを放った。6回の先頭で打席に入り1ボール2ストライクからのヤクルト梅野の150キロ高め直球をとらえると、打球はライナーで右翼ポールを直撃した。 「3点目がほしかったですし、追加点を取るためにも何とか出塁したいと思っていました。打つことができてよかったですし、いい追加点になりました」とコメントした。 本塁打は10月1日の中日戦以来。この日は4回に先制の左翼線二塁打を放つなどバットでも、先発西勇を援護している。

◆阪神が5回に大山悠輔内野手の左前適時打で追加点を奪った。1点リードの5回、1死一、二塁から左前へ。「追加点がほしい場面だったので、走者をかえしたいという気持ちだけでした」。この一打で古巣相手に初登板したヤクルト歳内をKOした。 大山は内野安打、右三塁打、左前適時打と3打席目までに今季9度目の猛打賞をマークした。打点は今季71打点目。

◆元阪神のヤクルト歳内宏明投手(27)が、1633日ぶりに甲子園に帰ってきた。16年4月27日巨人戦以来。1回裏に入る直前、「ピッチャー歳内」の場内アナウンスに、ヤクルトファンだけでなく、阪神ファンからも贈られた温かな拍手に押されるように、ゆっくりマウンドへ上がった。 楽しみにしていた古巣との対戦。立ち上がりは、どうしても力が入った。先頭の近本には全5球すべて直球で二ゴロ。糸原からは、カウント1-2から武器のフォークで空振り三振を奪った。糸井には粘られたが、フルカウントからの9球目にフォークで空振り三振。20球で初回を無失点に抑えた。 2回は連打で無死一、二塁のピンチをつくるも、ボーアをフォークで左飛、梅野を直球で右飛、小幡を空振り三振に仕留めた。バッテリーを組む西田と目線を合わせると、静かにうなずきながらベンチへ帰った。 しかし4回1死一、三塁、梅野に先制の適時二塁打を許すと、悔しそうに天を仰いだ。4回1/3を2失点、90球で降板。交代が告げられると、再び球場全体からの拍手に包まれた。ベンチではしばらくタオルで顔を覆い、感情を整理している様子だった。「古巣相手ということで気合が入りましたが、初回から少し力んでしまいました。徐々にリズム良く投げられてきましたが、4回5回とピンチの場面で粘れず、失点を許してしまいとても悔しいです。もう少し長いイニングを投げたかったです」とコメントした。

◆阪神大山悠輔内野手が19年7月17日の中日戦以来となる1試合4安打を放った。 7回1死二塁で、この回から代わったヤクルト3番手左腕寺島から中堅フェンス直撃の適時二塁打。今季通算の打点を72点に伸ばした。

◆阪神ドラフト2位井上広大内野手が甲子園1軍デビューの打席でプロ初安打、初打点をマークした。8回無死一塁で先発西勇の代打で登場。5球目を中堅右へ運ぶ適時二塁打。小雨の降る甲子園は大きな拍手に包まれ、初安打の記念ボールは無事、阪神ベンチへ渡された。 阪神の高卒野手が1年目で安打したのは97年浜中以来6人目。

◆ヤクルト先発歳内は古巣阪神と初対戦。阪神は2回2死一、三塁の好機も小幡が空振り三振。ヤクルトは3回まで無得点。 阪神は4回に梅野の左線適時二塁打で先制。5回には大山の適時打。6回には梅野が右翼ポール直撃の6号ソロと3点リードした。 阪神は7回にも大山の中越え適時二塁打で1点を追加。西勇は10勝目で3年連続7度目の2桁勝利。ヤクルトは打線が沈黙した。歳内は2敗目。

◆阪神ドラフト2位井上広大内野手が甲子園1軍デビューの打席でプロ初安打、初打点をマークした ▽履正社・岡田監督(自宅でテレビ観戦) 井上、お立ち台ですね。1本だけ打って勝ち越しでもないのに(笑)。今日の打席はよかったですね。昨日もおとといも打ち方があんまりよくなかったけど、今日は追い込まれても体を開かずに打っていた。相手のコントロールミスだったけど、それを見逃さずに打てたのはよかった。去年(夏の甲子園で)勝って、(優勝を)知っているところで1本目が出たのはよかったですね。

◆阪神ドラフト2位井上広大内野手が甲子園1軍デビューの打席でプロ初安打、初打点をマークした。 ▼阪神の高卒新人・井上が8回にプロ初安打となる適時二塁打。阪神の高卒新人野手で、安打を放ったのは97年浜中以来。打点を挙げたのは、74年の掛布以来46年ぶり。掛布は同年、16打点を記録している。

◆阪神梅野隆太郎捕手が決勝打&中押し弾で西勇を援護した。0-0の4回1死一、三塁。ヤクルト先発歳内をとらえ、三塁エスコバーの横を鋭く破る先制タイムリー二塁打。「最近打撃でも苦しんでいたので、あの1本でホッとしました」。右腹斜筋の筋挫傷から9月30日に1軍再昇格。最近は坂本、原口との併用起用が続いたが、自身6試合ぶりの安打で波に乗った。 続く6回の第3打席は2番手梅野の高め150キロの直球をとらえた。ライナーで右翼ポールへ直撃する6号ソロ。「打った感触は完璧だった。あの打球が切れなかったのも、前の打席で適時打を打ったから」。1日中日戦以来12戦ぶりの1発で完全復調モードだ。 受けても先発西勇を8回無失点、0封リレーを導く好リードで、チームの連敗を3でストップさせた。「この1勝は大きい。明日につながる」。ルーキー井上と2人で上がったお立ち台は「明日も勝つバイ」と締め、虎党を喜ばせた。

◆元阪神のヤクルト歳内宏明投手が気持ちのこもった投球を見せた。1633日ぶりの甲子園。両チームのファンに温かく迎えられたが、4回1/3を2失点で降板。 「古巣相手で気合が入りましたが、初回から少し力んでしまった。徐々にリズム良く投げられたが、4回5回とピンチで粘れず、失点を許し悔しい。もう少し長いイニングを投げたかった」。今季8度目の完封負けで、借金はワーストタイの21となった。 ▽ヤクルト高津監督(古巣相手に先発した歳内について)「感情も高ぶったと思うが、コントロールよく、低めを狙って空振りを取れた。できればもっといってほしかったが、よく投げた」。

◆阪神井上広大外野手(19)が、プロ初安打を弾丸のタイムリー二塁打で飾った。甲子園初打席のヤクルト戦で、4点リードの8回に代打で登場し、久保から中越えの会心打。デビューから7打席無安打だった若き大砲が、歩むスラッガー街道を示す強打で虎党に自己紹介した。35年前の10月16日は、吉田阪神が球団初の日本一につながるリーグ優勝を決めた記念日。猛虎の新時代を担うニュースターが力強く第1歩を記した。井上の母貴美さん(自宅でテレビ観戦)「ドキドキしたけど、打ってヒットになったときは喜びました。(お立ち台で「母に報告したい」という言葉を聞いて)私も関西人なので、『ほんまかいな』と突っ込みましたけど、うれしかったです。まだドアをノックした状態。たくさん経験させてもらって、チームに貢献してくれたらと思います」

◆阪神ドラフト2位井上広大内野手が8回に代打で登場し、中越え適時二塁打。甲子園1軍デビューの打席でプロ初安打、初打点をマークした。 -まず1本出てほっとした 井上 そうですね。昇格してから2試合連続スタメンで使ってもらって、なかなか結果が出せなかった。みなさんに思い切って振ってこいということを言われて。結果はどうあれしっかりと自分のスイングはできたと思う。 -1本目が甲子園。より思い出に残るかと 井上 自分の中では思い出に残るというか忘れられないことだと思いますし、ここからまたスタートだと思う。 -お立ち台でまずはお母さんにと。家族の存在は 井上 1軍に上がってからもずっと連絡きてますし『打てなくても、次頑張りや』っていうことはずっとメールで言ってくれてるので。支えというか、自分が打てなくて落ち込まなかったのは母の一言もあると思うので。結果が出たので1番に報告したい。 -これまでも落ち込んだときの支えはお母さん 井上 高校時代まではやっぱり支えというか、優しい言葉というよりは喝だったので。こうやって自分で自立してやってるときに優しい言葉かけてもらうと自分の中で気持ちの切り替えとかもしやすいので。そのあたりはありがたい。 -阪神ファンの歓声は 井上 やっぱり本拠地になると想像してないくらい、満員じゃないんですけど想像以上の応援が耳に入ってくるので。やっぱりみなさんの前で結果を出したい気持ちが強かった -次は本塁打を 井上 やっぱりそういうことを考えるとおろそかになってしまったりするので。しっかりと今日みたいな打撃を続けていけるように。その中で打球がうまくあがって本塁打になってくれればと思ってるので、今の状態を継続できるようにしていきたい。

◆あっぱれ! 阪神西勇輝投手(29)が3年連続7度目となる10勝目を挙げた。雨に打たれながらも8回5安打無失点、121球の熱投。阪神に移籍後2年連続2桁勝利は80年小林繁以来、4人目の偉業だ。チームは中日に3連戦3連敗を喫して迎えた移動試合。「名古屋で苦しいゲームが続いていたので、何とか強い気持ちを持ってマウンドに上がりました」と重苦しいムードを振り払った。 最大のピンチも動じなかった。7回は先頭村上の四球から1死満塁としたが、8番西浦を外角スライダーで三塁併殺。「いつも通りですし、何も変わることなく淡々と自分の中で決め事を決めて投げていました」とサラリ。24個のアウトのうち15個がゴロアウトとテンポよく攻撃のリズムを作った。 18歳でプロの世界に飛び込み、1個ずつ引き出しを増やしてきた。1年目はクイック、けん制の練習に明け暮れた。次はスライダーの2種類目、そして3種類目、チェンジアップ、それからカーブ覚えた。「スキルは練習すれば必ずついていく。ただ、いきなりハイレベルにはならない」。ロールプレイングゲームのように武器を手に入れ、今の地位を確立した。 オフのハワイ自主トレ。「今年は今年で引き出しがある。今はその引き出しを練習している感じ。それは瞬発系にすごく関係あるから」と声を潜めた。詳細は企業秘密だが、筋トレや短距離走などの無酸素運動で瞬発的に大きな力を出す速筋を重点的に強化した。 「試合数が少ない中でどれだけ勝てるか、本当に未知数だった。1試合1試合積み重ねて無事2桁勝利行くことができて良かった」。今季は開幕から18試合に登板して16度目のクオリティースタート(先発投手が6回以上を投げて自責点3以下)を記録。132投球回は独走状態。これほど頼もしい男はいない。

◆阪神西勇輝投手(29)が3年連続7度目となる10勝目を挙げた。雨に打たれながらも8回5安打無失点、121球の熱投。阪神に移籍後2年連続2桁勝利は80年小林繁以来、4人目の偉業だ。矢野燿大監督の一問一答 -甲子園に帰ってきて連敗ストップ 中盤以降いい攻撃ができましたし、西(勇)が、いいリズムをつくってくれたのが大きいと思います。 -西勇は(移籍加入後)2年連続2桁勝利 本当に頼もしいです。いつも西らしく声もかけながらチームを盛り上げてくれるので。ピッチング自体もそうですし、そういう姿勢もチームのお手本となっています。 -梅野、大山が2打点ずつ 悠輔(大山)は状態もいいですし、ランナー置いてかえすとか、きょうはホームランは出ませんでしたけど、非常にいいタイムリーが出てますし。本当に状態が上がってきてるので、3割30本をしっかり目標にできると思います。リュウ(梅野)はちょっと当たりが止まって、出てなかったんですけど、このホームラン、ヒットで波に乗っていってもらいたいですね。 -井上が甲子園初打席でプロ初安打初打点 こうやってたくさんのファンのみなさんの前で1本出たのは、あいつ自身もこれからまた頑張ろうという気持ちになりますし。打球もいい打球だった。いいツーベースだったと思います。 -西勇はどの試合も自分らしく。頼もしい部分は もちろんね、そう簡単じゃないし。いいピッチャーだから抑えて当たり前と思われる。もちろん、そのレベルまで来ていると思うけど、嫌な展開だからね。その中で抑えていく。ダブルプレーを取りたいところではゴロを打たせたり。思うようにはなかなかできない、それを体現できる。結果だけじゃなくてチームを引っ張るという意識を持ってくれている。チームが連敗で苦しい中で、西というのはそういう部分でも力になってくれている。 -長いイニングを投げてくれる 三振を取るところは取るし、打たせるところは打たせるというね。球数も少なくいけるところは長く投げられる秘訣(ひけつ)だと思う。もちろん四球も少ないしね。 -大山は打撃の幅が広がっている 逆方向にヒットがね。今日もそうやけど。センターも含めてね。去年まではあまり少なかったしね。秋のキャンプでもそういう話はしていたんだけど。やっぱり3割を打つバッターって、自分の形で打って3割って、なかなか打てないと思うからね。幅広く、バットの面を使いながら、ポイントもね。ホームランを打つポイントもあれば、差し込まれても逆方向にヒットを打てるポイントも作らないといけないからね。だいぶ、できてきているからね。率も上がってきたし、ホームランの方向も変わってきてると思う。 -梅野とは昨日の打撃前に話していた。 春先にやってて、それがいい形になっている時期があったんだけど。俺も自分の経験からそうなんやけど、その時の自分に合うんだけど、やり過ぎちゃうの?って。今のリュウ(梅野)にしてはそれはやり過ぎなの。春先というか、開幕してちょっとしての時の意識とか体には合ってたんだけど、どんどんやり過ぎちゃうの。そういう話をしてちょっとポイントを伝えた。 -変化は見えたか。 今日だけじゃなしに何回も伝えているし、その都度伝えているから意識を持ってやろうとしているのは見えるし。それはすぐ結果につながったかは分からないけど、もちろん俺も気づいたことは言っていきたいし。あとは選手側がどうするか。 -井上は結果が出なかったがまず1本出た。 こういうことを言うと語弊もあるけど、期待しているわけではないんだよね、まだ。こっちとしては経験を積んでくれっていう。1軍の一番いいピッチャー、(中日)大野雄をどんなピッチャーか体で感じてこい。打てると思っては使ってない。嘉男(糸井)の膝のこともあるし、そういうところでは経験を積んで、そこからこのまま1軍にいるのか2軍にいるのか分からないけれど、目安ができる。今日ももちろん打ってくれたら最高だとは思っているけれど、打ってくれというよりは思い切って振ってきてくれたらいいと思っていかせている。でも、結果的に1本出るというのは、プロとしての新たな1歩、スタートを切れたので。ましてや甲子園で打てたのは本人もうれしいし、ファームで平田さんや北川ら2軍のコーチ、また高校の監督、お世話になった人に対しても喜んでもらえる1本になったと思う。もっともっとやることたくさんあるので。そのきっかけにしてくれたら。 -藤川はベンチ外だった 球児も万全の状態できているのかというとそうじゃないので、そういうところを様子見ながら、ベンチ入れたり外したりというのはこれからもあるし。そこはそういう話をしていきながら、今日みたいに外していくこともある。

◆今季限りで現役引退する阪神藤川球児投手はベンチメンバーから外れた。 矢野監督は「球児も万全の状態で来ているのかというと、そうではないので、様子を見ながら、ベンチ入れたり外したりというのはこれからもあるし、話をしていきながら」と説明。今後も状態を見ながらベンチ入りするか決められる。

◆阪神大山悠輔内野手(25)が、今季初の4安打で2打点をマークし3割&2冠王を視界に捉えた。2回の第1打席に内野安打で出塁。4回には再び先頭打者として打席を迎え、右翼線三塁打で先制機をつくりあげた。チャンスメークだけでは終わらない。5回には1死一、二塁で左前適時打。さらに7回1死二塁では中越えの適時二塁打だ。 夢が広がる。この日の2打点で今季通算打点は72。昨年の76打点の更新は目の前。それだけでなく、打点部門でリーグ2位タイとなり、78打点のリーグトップ巨人岡本と6差に詰めた。現在リーグトップの本塁打との打点2冠もくっきりと視野に入る距離だ。もっとも、チームを勝利に導く打撃を大事にするスラッガーだけに、個人の記録ではなく、貴重な追加点となった2打点に充実感がある。 大山 打点がチームの勝利に一番直結する数字だと思っていますし、そこを稼ぐのが自分の仕事だと思っていますので、まだまだのところはありますが、1打点1打点、もっともっと増やしていけるように、勝利打点だったり、チームの勝利につながる打点というものを大事にしています。 打率も規定打席到達後、プロ最高の2割9分7厘まで上げた大山にとって、チームの連敗を3で止めたここと、もうひとつうれしいことがあった。ルーキー井上のプロ初安打、初打点だ。 大山 本当にすばらしい一打だと思いますし、初ヒット、初打点。これは一生残ると思う。もっともっとできる、いいスイングができるバッターと思っていますし、(井上)広大がこの先、力をつけていくために、自分もそれをしっかりサポートしていかなければいけないと思っています。そういう役割もこれからはついてくると思うので一緒にタイガースが強くなるようにやっていければいいなと、一緒に頑張っていきたいと思います。 虎をけん引する4番の言葉には、責任感が宿っていた。【松井周治】

◆阪神ドラフト2位井上広大内野手が8回に代打で登場し、中越え適時二塁打。甲子園1軍デビューの打席でプロ初安打、初打点をマーク。試合後は西勇、梅野とともにお立ち台に立った。   -甲子園のファンに自己紹介を 井上 ドラフト2位の井上広大です。 -お立ち台からの眺めは 井上 まさか1年目で、自分がこの舞台に立てるとは思っていなかったので、1軍に上げてもらってから、全然結果が出なかったので、この1本をきっかけに、前を向いて、スタートラインと思って頑張っていきたい。 -どんな気持ちで打席に 井上 ひとつ(年が)上の小幡さんが安打で出てくれたので、何としてもつなごうという思いでした。 -打った球、感触は 井上 打ったのはチェンジアップ系の球だった。感触としてはよかったので、走って(二塁)ベースに着いた時に、ボールがかえってきているのがわかったので、その時点で喜びがあふれてきました。 -改めて初安打の気持ち 井上 何としても食らいついて、次の打者につなごうという気持ちで打席に立っていたので、安打も出て打点にもつながって、これからもっともっと安打も多く、打点も多く取れるような選手になれるようになりたいと思います。 -矢野監督からは声を 井上 ナイスヒットと言われたので、これからももっと多く打って、チームに貢献できるように頑張りたいなと思います。 -この初安打は誰にまず伝えたいですか 井上 お母さんです。 -こんな打者になる。決意を 井上 阪神タイガースを日本一に導けるように頑張るので、温かく応援よろしくお願い致します。

◆衝撃の甲子園デビューだ。阪神ドラフト2位の井上広大外野手(19)が、プロ初安打初打点を弾丸のタイムリー二塁打で飾った。4点リードの8回に代打で本拠地初打席に立ち、右中間へ会心の一撃。若き大砲候補がこれから歩むスラッガー街道を示す強打で、虎党に自己紹介した。35年前の10月16日は吉田阪神が球団初の日本一につながるリーグ優勝を決めた記念日。猛虎の新時代を担う新星が、期待感あふれる第1歩を記した。甲子園が沸いた。井上が衝撃の本拠地デビューを決めた。ホームでの1軍公式戦初打席。待ちわびたスタンドは次打者席の背番号32にざわつき、歴史的な適時二塁打に大興奮した。「まさか、1年目で自分がこの舞台に立てると思っていなかった」。井上広大伝説が華々しく幕を開けた。 4点リードの8回無死一塁に代打で登場した。左腕久保の5球目。外角132キロを捉えた打球は雨粒を切り裂き、中堅田代の頭上を越えていった。14日の先発デビューから2戦7打席無安打。8打席目にして飛び出したプロ初安打にプロ初打点もついた。 甲子園に愛される男だ。 昨夏、履正社の4番で全国制覇した。決勝で星稜・奥川から3ランを放った男は今春、3月巨人戦(オープン戦)のお試し1軍でも弾丸のタイムリー二塁打を放った。そして応援団による活動が再開がされたこの日も、劇的な快音で猛虎史に1ページを刻んだ。 高校時代とは違い、ほぼ毎日のように試合があるシーズンを過ごす。体が悲鳴を上げることもあったが、弱音は吐いたことがない。早朝の読書に始まり、練習、試合、また練習と夜遅くまでバットを振る日もある。1日1日を積み重ね、しっかり土台を作ってきた。 初のお立ち台から感謝を伝えた。プロ初安打初打点を伝えたい人は? の問いに「お母さんです」と、迷わず答えた。小学6年から母貴美さん(52)と8つ下の弟〓(示ヘンに兄)榮(しゅうえい)くんとの3人暮らし。女手ひとつでプロに行かせてくれた。プロ入り後も仕事の合間を縫って録画した2軍戦などをチェック。息子の載る新聞の収集も欠かさない。「自分が打てなくて落ち込まなかったのは、お母さんの一言もある」。1軍昇格後も「次、頑張りーや」の言葉が励みになった。 「ナイスヒット!」と声をかけた矢野監督は、起用する率直な思いを明かした。「打ってくれというよりは思い切って振ってきてくれたらいいと思っていかせている」。デビュー戦を中日のエース大野雄にぶつけるなど、今は何事も経験の時。先を見据えた大きな期待がそこにある。 虎の将来を担うスラッガーは堂々と宣言した。「阪神タイガースを日本一に導けるように頑張るので、応援よろしくお願いします」。35年前のこの日は、阪神が球団初の日本一につながるリーグ優勝を決めた記念日。井上伝説が華々しく幕を開けた。【奥田隼人】 ▼阪神の高卒新人・井上が8回にプロ初安打となる適時二塁打。阪神の高卒新人野手で、安打を放ったのは97年浜中以来。打点を挙げたのは、74年の掛布以来46年ぶり。掛布は同年、16打点を記録している。また、井上は甲子園デビュー戦だった。新人野手が甲子園初打席で安打を記録したのは19年の近本、木浪以来だが、高卒新人野手では、97年の浜中も、1年目33安打の掛布や66年36安打した藤田平、甲子園での先発が1軍デビュー戦だった川藤もヒットを打っていない。

◆中継ぎ陣の踏ん張りが、ヤクルト浮上のポイントとなりそうだ。 阪神に今季8度目の完封負けを喫した試合後、中継ぎについての質問を受けたヤクルトの高津臣吾監督(51)の表情が、少し変わったように見えた。打線や、先発した歳内について淡々と振り返っていたが、失点を重ねた中継ぎについては、言葉を選びながら「うーん...ちょっと今日投げたリリーフの投手は、ピッチングが若いと言うか、もうちょっと勉強しないといけないかな」と話した。 歳内は、5回途中1失点で降板した。5回1死一、二塁から2番手として登板した梅野は、サンズを力のある直球で空振り三振。ボーアを変化球で右飛に抑え、追加点を許さなかった。 しかしイニングをまたいで臨んだ6回、先頭の阪神梅野にソロを浴びて1失点。 3番手寺島は味方の失策で先頭の糸原が出塁し、自責点にはならなかったものの、大山に適時二塁打を許した。 雨が強くなってきた8回を任された久保は、先頭小幡に左前打、続く代打のルーキー井上にプロ初の適時打を許した。 中継ぎ陣の失点は、いずれも先頭打者がからんだ。力のある球を投げ、将来のチームを支えるであろう若手だからこそ、要求も高くなる。高津監督は「力でいって高めを打たれるとか、考え方も含めて勉強が必要かなと思います。失点の仕方がよくない。経験だけじゃない。いろいろ自分で考えてもらわないと。練習も含めて、しっかりしてもらわないと」と厳しく指摘した。 負けている時の雰囲気を変える投球、流れを変える投球が求められる、難しい役割。守備からリズムを立て直し、攻撃につなげられる重要なポジションだ。現役時代には、守護神としての重責も知る高津監督。投手陣の立て直しを掲げて就任した1年目だけに、かける思いは強いと感じる。【保坂恭子】

◆かつての本拠地に戻ってきた。ヤクルト・歳内宏明投手(27)が、甲子園で阪神時代の2016年4月27日の巨人戦以来、4年ぶりに登板する。  1日のDeNA戦(横浜)で、四国IL香川から移籍後初勝利を挙げた右腕。この日はキャッチボールや短距離ダッシュなどで調整。甲子園では2015年9月29日のDeNA戦以来、5年ぶりとなる勝利へ、最終調整を終えた。

◆スターティングメンバーが発表され、阪神のドラフト2位・井上広大外野手(19)=履正社高=はベンチスタートとなった。この日の試合前まで2試合連続でスタメン出場もプロ初安打を放つことができていなかった。また、今季限りでの現役引退を表明している藤川球児投手(40)は、ベンチ入りメンバーから外れた。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(29)が四回に先制の適時二塁打を放ち、13打席ぶりに安打を記録した。  「前の打席のチャンスでは打てていなかったですし、(先発の)西さんもすごく頑張ってくれているので、なんとかしたいと思って打席に入りました。先制点を取ることができてよかったです」  両者無得点で迎えた四回、大山の三塁打とボーアの死球で1死一、三塁で打席へ。昨季、戦力外通告を受け阪神を退団した先発の歳内の内角低めの直球を左翼線へはじき返した。  梅野は最近10試合中5試合でベンチスタート。二回1死一、三塁で迎えた第1打席では右飛に凡退し、12打席快音がなかったが、久しぶりの安打が貴重な先制打となった。

◆気温10度台と肌寒い風が吹く中、球場を包む拍手が温かった。ヤクルト・歳内宏明投手(27)=前四国IL香川=が、古巣相手に先発。久々に上がるマウンドの感触を確かめながら、思い切り腕を振った。  福島・聖光学院高から、2012年にドラフト2位で阪神に入団。昨季限りで戦力外となるまで8年間在籍した。甲子園での登板は、2016年4月27日の巨人戦以来、約4年ぶり。この日は、ビジターの三塁側ベンチからマウンドに向かった。  「歳内」の名前がコールされると、阪神ファンからも拍手が起こった。一-三回までは、走者を背負っても粘り強く投球。直球を主体に、阪神打線に向かっていった。  だが、四回1死一、三塁から梅野に三塁線を破る適時二塁打とされると、五回1死一、二塁からは大山に左前適時打を浴びたところで交代を告げられた。  「古巣相手ということで気合が入りましたが、初回から少し力んでしまいました。徐々にリズム良く投げられてきましたが、四回、五回とピンチの場面で粘れず失点を許してしまい、とても悔しいです」  4回1/3で90球を投げ8安打2失点に反省の言葉を並べた歳内。だが、マウンドを降りる際も、あらゆるところから温かい拍手が送られた。白星とはならなかったが、元気な姿を古巣のナインやファンに届けた。

◆阪神のドラフト2位・井上広大外野手(19)=履正社高=が八回に代打で登場し、出場3試合目で初安打を放った。  八回に先頭の小幡が左前打で出塁し、井上が打席へ。甲子園での開催試合に初出場を果たすと、4番手・久保の外角のツーシームを右中間へはじき返した。プロ初安打がタイムリーとなり、二塁ベース上で初々しい笑顔を浮かべた。  高卒新人野手の初安打は1997年の浜中治以来、23年ぶりの快挙となった。

◆阪神は投打がかみ合い、5-0でヤクルトに快勝。連敗を3で止めた。  四回に1死一、三塁の好機を作り、梅野の適時打で先制すると、五回には4番の大山にも適時打。その後も梅野の6号ソロなどで得点を重ねた。八回には高卒1年目のD2位・井上(履正社高)にプロ初安打となるタイムリーが飛び出した。  先発の西勇は8回5安打無失点で今季10勝目。オリックス時代から3年連続で2桁勝利を達成した。

◆3連敗中のチームの勝利と自身の3年連続の2桁勝利をかけて、エース西勇が登板。一、四回と走者を三塁まで進められたが、先制のホームを許さなかった。  「今後は、どんどんイニングを増やしながら、勝ち星も増やして、なおかつリズムよくチーム(の勝利)に貢献できたらと思います」  8日の広島戦で8回1失点。12三振を奪って9勝目を挙げると、目標について熱く語った。  勝てば、オリックス時代の2018年から3年連続で勝ち星が2桁に到達する節目のマウンド。一回2死三塁のピンチで強打者・村上を迎えたところでギアチェンジ。変化球攻めにし、最後はスライダーで二ゴロに打ち取った。  「三振は球数が多くなる。ゴロを打たして、みんなで守りながら、(攻撃の)リズム作っていくというのが(理想)...」  四回1死から村上に左翼線へ二塁打。再び2死三塁とされたが、西田を内角シュートで詰まらせて三ゴロに打ち取ると、してやったりの表情だ。  移籍1年目の昨季10勝8敗、防御率2・92。今季は試合前の時点で9勝4敗、防御率2・18。すべての部門で、昨年を上回る数字を残している。  負ければ8月29日以来の借金生活だった。絶対に阻止しなければならない。四回の梅野の先制打に続き、五回には大山が適時打。打線から援護をもらって、エースは勇気づけられた。(三木建次)

◆阪神は投打がかみ合い、5-0でヤクルトに快勝。連敗を3で止めた。貯金を再び1とした矢野燿大監督の一問一答。  --甲子園に帰ってきて連敗ストップ。試合を振り返って  「序盤はね、もうちょっとで点とれるかなっていうところでとれなかったんですけど。中盤以降いい攻撃ができましたし。それよりも西勇がいいリズムを作ってくれたのが大きいと思います」  --西勇は2年連続2けた勝利  「本当に頼もしいですね。いつも西勇らしく声もかけながらチームを盛り上げてくれるので。ピッチング自体もそうですし、そういう姿勢もチームのお手本となっています」  --井上が甲子園初打席で初安打初打点  「もちろんまだまだこれから。そういう経験(プロの高いレベル)をするというところで(1軍に)来てますけど、こうやってたくさんのファンのみなさんの前で一本出たっていうのは、あいつ自身もこれからまた頑張ろうという気持ちになりますし。打球もいい打球だったんでね。いいツーベースだったと思います」  --井上は結果が出なかったがまず1本出た  「こういうことを言うと語弊もあるけど、期待しているわけではないんだよね、まだ。こっちとしては経験を積んでくれっていう。1軍の一番いいピッチャー、大野雄(中日)をどんなピッチャーか体で感じてこい、打てると思っては使ってない。嘉男(糸井)の膝のこともあるし、そういうところでは経験を積んで、そこからこのまま1軍にいるのか2軍にいるのか分からないけれど、目安ができる。今日ももちろん打ってくれたら最高だとは思っているけれど、打ってくれというよりは思い切って振ってきてくれたらいいと思っていかせている。でも、結果的に一本出るというのは、プロとしての新たな一歩、スタートを切れたので。ましてや甲子園で打てたのは本人もうれしいし、ファームで平田さん(2軍監督)や北川ら2軍のコーチ、また高校の監督、お世話になった人に対しても喜んでもらえる一本になったと思う。もっともっとやることたくさんあるので。そのきっかけにしてくれたら」  --井上は自分でも小さくならないようにと言っていたが、気持ちよく振っているように見える  「気持ちよくというのは分からないけれど。まだ(投手に)振らされている。気持ちよく振っているとは見えないけれど、(1軍で)気持ちよく振れることなんてないんでね。それをどう段々自分の形に引き込んでいくかは経験を積んでからなので。今はどんどん失敗を怖がらずに振ってということしかないかな、と思う」

◆阪神の大山がタイムリー2本を含む今季初の4安打。4番の働きに「しっかり走者がいるところでかえせたことは良かった」と胸を張った。  本塁打王争いをリードする中、最多打点も狙える。打率も2割9分7厘に上昇した。「打たなくていい打席はない。一打席一打席を大事にやっている」と充実感をにじませた。(甲子園)

◆阪神のドラフト2位・井上広大外野手(19)=履正社高=が八回に中越え二塁打を放ち、初安打初打点。お立ち台にトークに上がった。  --甲子園のファンに自己紹介をお願いします  井上 「え~...ドラフト2位の井上広大です!」  --この歓声、お立ち台からの眺め。どう感じますか?  「まさか1年目で自分がこの舞台に立てると思ってなかったので、1軍に上げてもらってから全然結果が出てなかったので、この一本をきっかけに、これからも前を向いてスタートラインだと思って頑張っていきたいと思います」  --打ったボール、打った感触は  「打ったのはチェンジアップ系のボールだったと思うので。感触としてはよかったので走って、ベースについたときにボールが(手元に)返ってきたのが分かったので、その時点で喜びがあふれてきました」  --二塁上で少し腕を上げたように見えた  「ヒットも出て打点にもつながって、これからもっとヒットも多く、打点も多くとれるような選手になりたいなと思います」  --監督からは声をかけられた  「ナイスヒットといわれたので、これからももっと多く打ってチームに貢献できるように頑張りたいなと思います」  --この初安打初適時打を誰に伝えたい  「お母さんです」  --将来、こんな選手になるという決意を  「阪神タイガースを日本一に導けるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします」

◆歳内(前四国IL香川)が昨季まで所属した阪神戦に先発し、五回途中2失点で2敗目を喫した。甲子園で2016年4月以来、約4年ぶりの登板に「気合が入りましたが、初回から少し力んでしまいました。四回、五回とピンチで粘れず、とても悔しいです」と肩を落とした。 歳内についてヤクルト・高津監督 「感情の高ぶりがあったと思うけど、良く投げた。先に点を取りたかった」

◆121球を投げ終えると、右手でガッツポーズを作りながら、軽やかな足取りでベンチに戻った。西勇が8回零封で今季10勝目。3年連続2桁勝利を達成し、声を弾ませた。  「2桁勝つのも全然想像できなかったけど、試合を投げるにつれて試合数が少ないと肌で感じた。その中でも1試合1試合、勝つことができたので、その積み重ねがあって無事2桁勝利にいくことができてよかった」  最大のピンチは七回だ。無死一塁で青木を一ゴロで併殺に打ち取ったかに思われたが...。野手が一走を挟殺できず、1死一塁で再開。その後、満塁とされたが「何も変わることなく、淡々と自分の中で決めごとを作って投げていた」と平常心で西浦を三ゴロ併殺に料理して無失点で乗り切った。  安定感抜群の投球に矢野監督も「結果だけじゃなくてチームを引っ張るという意識を持ってくれているんでね。チームが連敗して苦しい中で、そういう部分でも力になってくれている」と目を細めた。  今季10勝目を挙げ、勝利数でリーグ単独2位に浮上。さらに防御率も2・05と3位ながら2位の巨人・菅野(2・02)に迫っている。開幕投手に指名された2月の春季キャンプでは「ローテーションは当たり前、やっぱり勝ち、防御率はすごく見ているので、うちのチームの開幕(投手)がどれだけ(数字を)残せるのか(が大事)」と大黒柱としての矜持を語っていたが、今は勝利へのゲームメークが最優先事項だ。  「そこ(防御率)よりも、やっぱりイニングを投げることが大事。しっかりゲームを作っていくことを考えながら、やっていければ」  シーズンも残り1カ月。アクセル全開で走り続ける。(織原祥平)

◆甲子園に快音の嵐が響き渡る。右に左に、最後はセンターへ-。面白いように白球をはじき返した。大山が今季最多の1試合4安打。猛虎打線の中心にドカッと座る4番のバットが止まらない。  「1打席1打席、本当に大事にやっています。打たなくていい打席はない。その中でもしっかり打点、走者がいるところでかえせたというのが、すごく大きかった」  二回に投手強襲安打を放つと、四回は右翼線へ三塁打を放ち、先制点をお膳立て。五回は1死一、二塁から左前適時打で貴重な2点目を挙げると、3-0で迎えた七回は1死二塁から中堅フェンス直撃の適時二塁打でとどめを刺した。  昨年7月17日の中日戦(豊橋)以来の4安打。打率・297、26本塁打、72打点はいずれもチームトップの3冠と完全に覚醒した。球団生え抜きの右打者だと2006年の浜中治以来となる3割打者の誕生へ。絶好調の男が、きょうにも大台に乗せる可能性は高い。  数々の偉業に手が届きそうな今シーズン。そんな中、至上命題にしていることがある。「チームのために必死にやっていれば自分の成績はおのずとついてくると信じている。目の前の1打席1打席を全力でやっていきたい」。72打点は巨人・岡本(78打点)に次ぐリーグ2位タイ。本塁打王との2冠も狙える。それでも「打点がチームの勝利に一番直結する。そこを稼ぐのが自分の仕事」とまず口をつくのは勝利の2文字だ。  新たな役割もできた。D2位・井上が初安打を放ち、プロとしての輝かしい一歩目を踏み出した。近い将来、必ず虎の主軸となる19歳の存在。大山自身も偉大な先輩に支えてもらいながら、虎の4番として成長してきた。今度は自分の番だ。  「広大(井上)がこの先、力をつけていくために、自分もしっかりサポートしていかなければいけない。そういう役割もこれからはついてくる。一緒にタイガースが強くなるよう、一緒に頑張っていきたい」  その背中は頼もしさを増した。虎に待つ明るい未来に向け、大山は高みを目指し続ける。(原田遼太郎)

◆西勇さんに2桁勝利を届ける!! 打球は、グングンと伸びて右翼ポールを直撃した。2-0の六回、梅野が、梅野撃ち。ヤクルトの2番手同姓右腕の150キロ直球を一閃。1日の中日戦以来の6号ソロを放ち、西勇をバットでも強力に援護した。  「完璧でした。ポール際に打つのは難しいんですが...。前の(打席で)タイムリーがあったからこそ、楽な気持ちで入れました」  0-0で迎えた四回にも快音。1死一、三塁の好機で、かつてバッテリーを組み、昨季、阪神を戦力外になった歳内と対峙した。144キロの直球を左翼線へ運び、8日の広島戦以来、14打席ぶりの安打は先制の適時二塁打となった。  「最近、打撃の方で、苦しんでいる時期が長かったので。このヒットがキッカケになればいいと思っていた」  これで西勇が先発した18試合のうち、梅野は17試合でスタメンマスクをかぶり、打率・351(57打数20安打)、2本塁打、8打点。エースがマウンドに立てば女房役は大当たりだ。  前日15日の中日戦(ナゴヤドーム)の打撃練習前、梅野を呼び止めてアドバイスした矢野監督も「リュウ(梅野)はちょっと当たりが止まっていたが、これで波に乗っていってもらいたいね」と胸をなでおろした。  敵地での中日戦で3連敗。貯金ゼロになったが...。梅野が口火をきって借金生活転落は阻止した。お立ち台で「明日も勝つバイ!」と叫んだ。残り20試合。笑顔が戻った選手会長が攻守でチームを引っ張る。(三木建次)

◆藤田平も、掛布雅之も超えた! 阪神のドラフト2位・井上広大外野手(19)=履正社高=がヤクルト戦の八回に代打で登場、プロ初安打となる適時二塁打を放った。高卒新人野手の甲子園での初打席初安打は、球団史上初。1985年、リーグ優勝を成し遂げた「10・16」に運命的なスラッガーが誕生や!  雨の降る中、乾いた音が響く。太鼓や電子笛の応援が解禁となった右翼席に向けて、運んだ。これぞ甲子園の申し子だ。白球はワンバウンドでフェンスに到達。プロ8打席目で初安打。初打点のおまけつきだ。衝撃の本拠地デビューを飾った。  「阪神タイガースを日本一に導けるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします」  もちろん、初のお立ち台だ。初々しい表情ながら壮大な決意を語った。  歴史的な瞬間は4-0の八回無死一塁。西勇から代打での登場だった。  「次のバッターの方につなごうという気持ちで打席に入りました」  必死だった。久保に対して2球で追い込まれたが、2球ファウルの後の5球目を右中間へはじき返した。二塁上で照れくさそうに右手を挙げた。  「自分の中では思い出に残るというか忘れられないことだと思います」  高卒新人野手のプロ初安打は1997年の浜中治以来だが、甲子園での初打席初安打に限定すれば球団史上初。あの藤田平も掛布雅之も超えた。そして、もう一つ。1985年のこの日は吉田阪神が神宮でのヤクルト戦でリーグ優勝を決めた日でもあった。履正社高時代には主砲として甲子園で頂点に導いた。今度は本拠地に変えて躍動だ。  積極的なスイングが持ち味だ。それをたたき込まれたのは高校時代。昨年6月の練習試合で4番を外されたことがあった。打撃不振に陥っていたが姿勢が問題だった。  履正社・岡田龍生監督は当時を振り返り、「4番らしさ」の欠如が理由だったという。「4番はチームの顔なので、積極性とかフルスイングとかを求める」。縮こまる打撃は必要ない。1年夏からベンチ入りし、英才教育を課したからこそ、もどかしかった。  荒療治は恩師だけにとどまらなかった。自宅に帰れば母・貴美さん(52)の声が飛んだ。  「悔しかったら結果を出しなさい!」  「嫌だったら、やめれば?」  井上は「優しい言葉というよりは喝だった」と懐かしそうに振り返る。  プロの門をたたき、1万1605人の観衆の中で結果を出せるのもグラウンド内外での指導があったから。未来の虎の4番に矢野監督は「どんどん失敗を怖がらずに振ってということ」と、フルスイング継続を求めた。  「1つ1つステップアップして、自分を獲ってくれた球団だったり、お母さんだったり、支えてくれた人たちに恩返しできるように頑張りたい」  井上が約束した。4位転落の危機もあった中、チームは連敗を3で止めた。スタートラインに立ったばかりだが、猛虎復活への使命がある。これから一歩ずつ階段を上る。その先に虎の悲願の日本一が待っている。(菊地峻太朗)

◆大山は投手目線で見ても本当に嫌な打者になった。スイングが前を大きく振れていて、打球がいい角度で飛ぶ。インコースは詰まってもヒットにしてしまうし、いいところだらけだ。  五回の左前適時打は、本当に"いい詰まり"で打った。あれをされると投手はこたえる。岡本(巨人)や村上(ヤクルト)、それに私が現役時代に対戦してきた選手もそうだが、やはり4番は内角球を詰まってでも持っていき、適時打にしてしまう打者だと思う。  去年や一昨年までは、分かっていてもインコースを攻められてやられていたが、今は違う。「少々詰まってもいいや」というつもりで構えているのだろう。そして、少しでも甘いところに来たら持っていく。この待ち方、この打撃をしている方が、結果的にホームランも出るのだと思う。  外角ばかりになれば、七回の中越え二塁打のようになる。フルスイングしてくるし、抜けた変化球もスタンドまで持っていくから、投手は怖い。これだけ打つと、その前に走者を置かないようにと、他にも気を使う。楽しみな4番打者になってきた。 (本紙専属評論家)

◆ジ~ン、胸が熱くなったぜー! やっぱりプロ野球っていい!!  昨年まで虎でプレーした歳内がBCリーグで鍛え直し、ヤクルトの投手としてNPBに、そして甲子園のマウンドに戻ってきた。お帰り! 感動したよー!  せやけど、勝敗となると話は別や~!  あの、歳内君ね、「好投することが育ててくれた阪神への恩返しです!」とか、そーいう迷惑な(?)気遣いはいらないからねー!  と、言う俺の声が届いた訳じゃないだろうけど、粘投も途中降板...次は勝てよー!  8回を無失点に封じた西勇の『威風堂々』の投球にうっとりした~?  何がスゴイって、他球団と違い、阪神の投手はエラーを計算に入れて1イニング4アウトを取らなきゃだもんね~(守備陣に皮肉の激励や!)  4番・大山が4安打2打点...。な、なんだ?  このホームラン王争いの中で、グングンたくましくなっている。うれしすぎ~。  そして、虎党歓喜の締めは高卒ルーキー、井上の初安打初打点のツーベース! よっしゃー!! 第2戦は初ホームランをたたき込んだれー!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
61345 0.642
(↓0.007)
M8
(-)
20465
(+1)
343
(+2)
117
(-)
65
(-)
0.259
(↓0.001)
3.300
(↑0.01)
2
(-)
中日
50465 0.521
(↑0.005)
11.5
(↑1)
19369
(+8)
405
(+6)
59
(+1)
25
(+2)
0.249
(↑0.001)
3.780
(↓0.02)
3
(-)
阪神
48475 0.505
(↑0.005)
13
(↑1)
20417
(+5)
398
(-)
98
(+1)
66
(+1)
0.247
(↑0.001
3.570
(↑0.04)
4
(-)
DeNA
48495 0.495
(↑0.005)
14
(↑1)
18445
(+2)
405
(+1)
119
(+1)
25
(+1)
0.268
(-)
3.780
(↑0.02)
5
(-)
広島
405010 0.444
(↓0.005)
18.5
(-)
20442
(+6)
484
(+8)
97
(+2)
50
(+1)
0.265
(↑0.001)
4.460
(↓0.02)
6
(-)
ヤクルト
36576 0.387
(↓0.004)
24
(-)
21406
(-)
509
(+5)
98
(-)
54
(-)
0.249
(↓0.001)
4.810
(-)