ソフトバンク(★1対3☆)ロッテ =リーグ戦16回戦(2020.10.09)・福岡PayPayドーム=
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ロッテ
2000010003900
ソフトバンク
1000000001411
勝利投手:二木 康太(6勝2敗0S)
(セーブ:益田 直也(2勝2敗29S))
敗戦投手:ムーア(4勝3敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】中村 晃(6号・1回裏ソロ)

  DAZN
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◆ロッテは初回、安田の押し出し四球などで2点を先制する。2-1となって迎えた6回表には、藤原の適時打で貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・二木が7回1失点9奪三振の力投で今季6勝目。敗れたソフトバンクは、先発・ムーアが試合をつくるも、打線が沈黙した。

◆ロッテは4連勝中の二木康太投手(25)が先発。 同投手は今季ソフトバンク戦2勝0敗で、このカードは19年4月6日から6連勝中。ロッテ投手がソフトバンク戦7連勝となれば、95、96年ヒルマン以来、球団24年ぶりとなる。

◆ロッテは1回無死満塁から押し出し四球と敵失で2点を先制。ソフトバンクはその裏、中村晃の6号ソロで1点を返した。 ロッテは6回2死三塁から藤原の右前適時打で1点を追加した。ソフトバンクはホームが遠い。2回以降は1安打無得点。 ロッテが2点のリードを守り切り接戦を制した。首位ソフトバンクとゲーム差なしで肉薄。先発二木は6勝目。益田が29セーブ目。ソフトバンクは引き分けを挟み3連敗。ムーアは3敗目を喫した。

◆パ・リーグ首位攻防3連戦の初戦。ロッテが首位ソフトバンクにゲーム差なしとした。一回に安田の押し出し四球などで2点を先制し、2-1の六回に藤原の適時打で加点した。二木が7回1失点で6勝目。ソフトバンクは中村晃のソロでの1点に終わり3連敗を喫した。

◆ソフトバンク中村晃外野手が唯一の得点となる意地の6号ソロを放った。2点を先制された直後の1回1死走者なし、二木の143キロの直球を右翼テラス席に運んだ。 9月24日のオリックス戦以来の1発で、痛めていた右脚の復調も示した。「1打席目からしっかり集中して打つことができた。リードを許しているし、まだまだこれから」と後続を願っていたが、打線は沈黙。9回も中前打を放ってマルチ安打をマークしたが、痛い敗戦に笑顔はなかった。

◆#コロナに負けるな ロッテに再び救世主が現れた。1番左翼に抜てきの藤原恭大外野手(20)が3安打1打点1盗塁で、首位攻防戦の勝利を呼んだ。大阪桐蔭時代は18年の甲子園春夏連覇に大きく貢献した"優勝請負人"が、プロでも輝きを見せ始めた。コロナ禍で主力が多く離脱する中、これでついに、首位ソフトバンクとのゲーム差は0に。10日に連勝すれば、いよいよ単独首位に立つ。大舞台が似合う。ロッテの1番藤原は直球だけに絞っていた。1点リードの6回2死三塁。「それまで直球でカウントを取られていたので、まっすぐが来る自信がありました」。持ち前のフルスイングで初球の直球を右前へ。貴重な3点目の適時打は、この日3本目の安打だった。 青春の甲子園で、数々の修羅場をくぐった。「緊張というよりは、やってやろうという気持ちの方が大きいですね」と頼もしい。初回の初球、ソフトバンク・ムーアの直球をいきなり振ってファウルに。「振りに行くことで、自信というか、球も見えてるなと思えました」。6回の適時打の直後は、初盗塁もマーク。リードオフマンの資質を存分に示した。 コロナ禍で主力が離脱し、2軍でとことん修業したプロ2年目の終盤にチャンスが回ってきた。1軍昇格の一報には「手汗が...」と明かす。イースタン・リーグ58試合で打率2割3分、75三振。しかし「いい成績とは言えないですが、打席の中で成長してるなというのは感じていました。1軍でも勝負できるんじゃという気持ちは少しありました」と明かす。強い当たりのアウトが多かった。 塁上の日焼けした顔に、白い歯がまぶしい。栄冠をほしいままにした大阪桐蔭時代も、今は昔。高校野球とは、優勝へ向かう雰囲気も少し違う。それでも「ベンチの中や観客やチームが一つになってるのはすごく感じられます」と独特の雰囲気を味わいながら、結果を出すのも頼もしい。 何度も故障者が出ては、救世主が現れたのが今季のロッテだ。「もっている選手。ああいうところでしっかり打ってくれる」と井口監督からの信頼も一気に高めた。苦しい状況の中、いよいよ首位ソフトバンクにゲーム差0まで迫った。ロッテの未来を担う若き優勝請負人が、大一番で輝いた。【金子真仁】

◆ついに並ばれた。ソフトバンクが苦手ロッテとの首位攻防3連戦初戦で敗れた。本拠地ではこれで対ロッテ6連敗。5連敗時点ではダイエー時代の96年以来ワーストタイだったが、南海時代も含めて、球団史上初めての屈辱となった。勝率1厘差でか辛くも単独首位を守るが、ゲーム差は0。工藤公康監督(57)は「同じところに立たれた。食うか食われるか、やるかやられるかくらいの強い気持ちを持ってやらないといけない。明日しかないくらいの気持ちでいきたい」とチームを鼓舞するように言った。 見えない何かの力にでも支配されているような展開だった。先発はムーア。初回先頭藤原に内野安打され、四球と死球で無死満塁。4番安田にも四球で、押し出しが先制点となった。続く打者井上の場面でも目を疑うようなプレーが出た。平凡なゴロを三塁松田宣がホームへ送球。だが捕手の甲斐が胸元に来たボールをキャッチできず、思わぬ形で2点目を献上した。 ソフトバンク投手陣はリーグ最多の四死球を与えているが、中でも対ロッテは試合前時点で1試合当たり6・3個と突出して多い。ムーアは制球で崩れるタイプではなかったが、この日は来日最多の4四死球を与えた。「今日からの試合が大事だということも、チームが遠征後の移動ゲームということも分かっていたけど、ミスの多い試合になってしまった」。メジャー54勝左腕も「天敵」の魔力にのみ込まれた。 打線も苦手二木に昨年から0勝7敗となった。初回中村晃の6号ソロが唯一の得点で、3回から6回は無安打。7回までに見逃し5つを含む9三振を奪われ、反撃のチャンスすら作れなかった。ロッテ戦は昨季の8勝17敗に続き、今季も4勝11敗1分けと大負け。今日10日も敗れれば、8月23日以来の2位に転落する。3年ぶりリーグV奪回へ、タカナインの意地が試される。【山本大地】

◆ロッテ二木康太投手(25)に崩れる気配がない。7回3安打1失点。今季6勝目で、自身はソフトバンク戦7連勝だ。「実際は投げづらい打者しかいないです」と恐縮しながら「今日は本当に、作戦通りに投げられました」と喜んだ。 スコアラーの情報をもとに、捕手田村と入念に打ち合わせた。配球もイニングごとに変えていく。「筋書き通り? そんなかっこいいものじゃないですけど」と照れながら「スコアラーさまさまというか、作戦のおかげです」と繰り返した。戦略遂行の基盤は、抜群の制球力。8月以降、打者238人に対して四球はわずかに6つのみだ。 初回、2番中村晃に本塁打されるも、直後の柳田を見逃し三振に。「2ストライクからの内角直球は三振を取りに行くのが多いので」と手ごたえ十分だった。「周りは首位攻防戦って言うけれど、順位に関係なくやることは一緒です」とキッパリ。背番号18にふさわしい。【金子真仁】

◆1番左翼に抜てきの藤原恭大外野手(20)が3安打1打点1盗塁で、首位攻防戦の勝利を呼んだ。大阪桐蔭時代は18年の甲子園春夏連覇に大きく貢献した"優勝請負人"が、プロでも輝きを見せ始めた。大阪桐蔭時代、甲子園春夏連覇を成し遂げたロッテ藤原には、勝利への執念が染み付いている。 藤原 楽しいから野球をやるっていうのは好きじゃない。勝つためにやるっていうのが1つのテーマでしたし、(大阪桐蔭監督の)西谷先生の教えが『笑顔とかいらないから勝てばいい』でした。楽しいからやることはなかったですね。 センバツで頂点に立っても喜びはつかの間だった。試合後には「夏優勝するためにはというミーティングが始まりました。余韻に浸ることはなかったですね」と切り替えた。その結果、夏も栄冠をつかんだ。「そこ(優勝)だけですね。そこのためだけにやってました」。自身のバットで勝利を呼び込み、ソフトバンクにゲーム差0で並んだこの日もそうだろう。浮かれることなく、次戦、そして、てっぺんを見据えたはずだ。【19年ロッテ担当 久永壮真】

◆ついに並ばれた。ソフトバンクが苦手ロッテとの首位攻防3連戦初戦で敗れた。 本拠地ではこれで対ロッテ6連敗。5連敗時点ではダイエー時代の96年以来ワーストタイだったが、南海時代も含めて、球団史上初めての屈辱となった。勝率1厘差でか辛くも単独首位を守るが、ゲーム差は0。工藤公康監督(57)は「同じところに立たれた。食うか食われるか、やるかやられるかくらいの強い気持ちを持ってやらないといけない。明日しかないくらいの気持ちでいきたい」とチームを鼓舞するように言った。 見えない何かの力にでも支配されているような展開だった。先発はムーア。初回先頭藤原に内野安打され、四球と死球で無死満塁。4番安田にも四球で、押し出しが先制点となった。続く打者井上の場面でも目を疑うようなプレーが出た。平凡なゴロを三塁松田宣がホームへ送球。だが捕手の甲斐が胸元に来たボールをキャッチできず、思わぬ形で2点目を献上した。 ソフトバンク投手陣はリーグ最多の四死球を与えているが、中でも対ロッテは試合前時点で1試合当たり6・3個と突出して多い。ムーアは制球で崩れるタイプではなかったが、この日は来日最多の4四死球を与えた。「今日からの試合が大事だということも、チームが遠征後の移動ゲームということも分かっていたけど、ミスの多い試合になってしまった」。メジャー54勝左腕も「天敵」の魔力にのみ込まれた。 打線も苦手二木に昨年から0勝7敗となった。初回中村晃の6号ソロが唯一の得点で、3回から6回は無安打。7回までに見逃し5つを含む9三振を奪われ、反撃のチャンスすら作れなかった。ロッテ戦は昨季の8勝17敗に続き、今季も4勝11敗1分けと大負け。今日10日も敗れれば、8月21日以来の首位陥落となる。3年ぶりリーグV奪回へ、タカナインの意地が試される。【山本大地】

◆勝負の秋となった。ホークスはロッテを本拠地ペイペイドームに迎えて首位攻防の3連戦である。この時期にロッテと首位争いをするのは、何年ぶりのことだろうか。 今季はソフトバンクが球界参入して15周年のメモリアルイヤー(シーズンは16度目)。思い起こせば、ソフトバンク元年の05年は、何とも苦い思い出となった。リーグ断トツの89勝45敗2分けの成績を残しながら、プレーオフ第2ステージで2位ロッテに敗れた。ロッテは日本シリーズでも阪神に4連勝。31年ぶり3度目の「日本一」に輝いた。当時の規定はプレーオフを勝ち抜いたロッテがリーグ優勝チームでもあり、ホークス王監督(現球団会長)の無念の表情が忘れられない。 10年にも3位ロッテにプレーオフで敗退。いわゆる「下克上」を2度も味わった過去があった。それから10年...。ガラリとお互いの陣容も様変わりし、新たな「因縁」も生まれた。井口監督をはじめ、鳥越ヘッド、的場、清水コーチなどホークスOBでもある首脳陣に加え、昨オフには福田秀がFA移籍。昨シーズンは8勝17敗と大きく負け越し、V逸の最大要因ともなった。そして今年はこの日の敗戦で4勝11敗1分け。相変わらずの苦手ぶり、である。ここにきて、ロッテは主力選手を含む10選手以上が新型コロナウイルスに罹患(りかん)。チーム編成厳しい中の首位攻防戦となった。 「何とも複雑な気持ちですが、やっぱり今年は井口監督に勝ってもらいたい気がしますね。彼は強い運を持っていると思いますよ」。そう言って3連戦に注目していたのは、ダイエー時代の球団代表でもあり、ロッテ日本一となった当時の球団社長でもあった瀬戸山隆三氏だった。 3年ぶりのリーグV奪回を目指すホークスにとって、このままロッテのカモになるわけにはいかない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンクの工藤公康監督(57)が試合前に取材対応。1ゲーム差で迎えたロッテとの首位攻防戦に「結果的には負け越している。その中でしっかりと勝ち越す、もしくは3連勝することが、ここまで悪い中できているものをしっかり止めるという意味でも、大事な3連戦になるのかなと思います」と意気込んだ。  ここまで52勝38敗5分け。その中でロッテ戦は4勝10敗1分けだ。6日からの西武戦(メットライフ)は2敗1分けで、この日帰福した。王球団会長もグラウンドに視察に訪れるなど、迎え撃つ準備はできている。指揮官は「早めに仕掛けることも考えていかないと」と闘志を燃やした。  ロッテは6日に鳥谷、藤岡ら1軍7選手が新型コロナウイルスの陽性判定を受けたと発表した。大幅な入れ替えを行い、ソフトバンクとの首位決戦に臨む。工藤監督は「負け越しているのは確かなので。しっかりと勝たないと」と強調。3年ぶりのリーグ制覇に向けて、本拠地で2位をたたく。

◆東浜巨投手(30)は10日のロッテ戦(ペイペイドーム)での先発登板に向けてキャッチボールなどで調整した。首位攻防戦に向けて「残り試合も少ない。一戦一戦、負けられない大事な試合になってくる。対戦相手というより、目の前の試合をしっかり投げていければ」と闘志を燃やした。  ロッテ戦は今季3試合に登板し1勝ながらも防御率2・81。ロッテのチーム四球数「408」はリーグトップで、東浜も「しっかりボールを見てくるイメージがあるので。(ストライク)ゾーンの中で勝負することが大事」と警戒した。粘り負けせずに、少しでも長くマウンドに立つつもりだ。  8月7日の楽天戦(楽天生命パーク)で今季初黒星を喫して以降、自身4連勝中と勢いに乗っている。「一戦一戦、重みがかかってきている試合が続く。その中でプレーできているのはありがたいですし、重圧を背負って投げられるように」と力を込めた。

◆ロッテ・藤原恭大外野手(20)がプロ2年目で初の猛打賞と盗塁を記録した。  2試合連続で1番打者として先発出場。一回に二塁内野安打で出塁し、押し出し四球で先制のホームを踏み、この回計2点の攻撃につなげた。  2-1の四回2死一塁では、追い込まれながらもファウルで粘り、7球目のチェンジアップを巧みに左前打。六回2死三塁では「ストレート1本に絞っていこうと決めていた」と高めの直球を右前へはじき返し、今季初打点を挙げて、3-1にリードを広げた。直後には二盗も決め、「甲斐さんから成功できたのはとてもうれしい」と充実の表情を浮かべた。

◆ロッテが首位ソフトバンクにゲーム差なしとした。一回に安田の押し出し四球などで2点を先制し、2-1の六回に藤原の適時打で加点した。二木が7回1失点で6勝目。ソフトバンクは中村晃のソロでの1点に終わり3連敗を喫した。

◆凡ミスあり、横っ飛びあり。ロッテとの首位攻防戦は、初回から荒れ模様だった。先発したソフトバンク・ムーアが一回から2失点。3四死球を与え、立ち上がりを攻められた。  先頭の藤原に二塁内野安打で出塁されると、四死球を与えて無死満塁。4番・安田にも四球を与えてあっさりと先制点を献上した。続く井上の当たりは三塁・松田宣のもとへ。本塁に送球したが捕手・甲斐が弾いて2点目を与えた(記録は甲斐の失策)。  なお無死満塁で福田のポップフライにムーアが横っ飛び。素手でつかむ超絶美技を見せると田村を見逃し三振。佐藤を右飛に斬った。  ムーアにとってロッテ戦は今季3度目。防御率2・08ながら白星はなし。ペイペイドームでは5戦4勝という相性のよさを誇り、工藤監督も「そこ(緩急)を使っていければ」と期待を込めていた。試合前時点でロッテのチーム四球「408」はリーグトップ。粘り強い打線に対して5回2/3を3失点で降板した。  2位との第1ラウンドは、意地と意地のぶつかり合いとなった。(竹村岳)

◆190センチの長身が、さらに大きく見える。1995、96年のE・ヒルマン以来、球団24年ぶりとなるソフトバンク戦7連勝を懸け、ロッテ・二木康太投手(25)が五回まで1失点、7奪三振の力投を続けた。  「僕の中では『コロナで人がいないから頑張ろう』という感じより、優勝争いをしている方が強い」  2019年4月6日からソフトバンク戦は6連勝中で、ペイペイドームでも17年9月26日から6連勝中という鷹キラー。今季楽天に移籍した涌井の背番号18を受け継いだ7年目右腕にとって、胸に刻まれた屈辱がある。昨年9月24日、シーズン最終戦となった西武戦。先発した二木は2回持たずに5失点で降板。チームはCS進出を逃し、西武は連覇を決めた。目の前で繰り広げられた胴上げシーン。「初めて自分の目で胴上げを見た。メチャメチャ悔しいと同時に、自分の中で優勝への思いが強くなった瞬間でした」と振り返った。  チームは新型コロナウイルスの感染者、濃厚接触者合わせて1軍の計13選手が離脱中。前日のオリックス戦(ZOZOマリン)が雨天中止となったことで、選手は8、9日に分散して福岡へ移動した。前回の札幌遠征では「部外者を含まない4人以内の外食は可」とされたが、今遠征では外出禁止令が出された。  井口監督は試合前、「ここまでやってきた以上のことは出せない。マリーンズらしく、つなぐ野球をしていきたい」と話した。一回には先頭・藤原の内野安打から3四死球を選び、敵失も加わって1安打で2点を先制した。藤原は六回に3点目となる右前適時打を放って、プロ初の猛打賞を記録した。(東山貴実)

◆"鷹キラー"の二木は7回を3安打1失点で6勝目。1996年のエリック・ヒルマン以来、球団で24年ぶりとなるソフトバンク戦7連勝を飾った。  ペイペイドームでも7連勝となった鹿児島出身の右腕は「怖い打線だし、自分の中では投げやすさはない」と話したが、柳田を3打席連続三振に仕留めるなど計9奪三振。内角直球の制球が抜群で、「狙ったところに投げて取れれば、気持ちがいい。見逃し(三振)はなおさら」と白い歯をのぞかせた。  昨年9月24日、西武の連覇がかかった一戦で2回途中5失点。「初めて自分の目で胴上げを見てメチャメチャ悔しいと同時に、自分の中で優勝への思いが強くなった」。だからこそ、「シーズンが終わったときに1位でいるのが目標」と口元を引き締めた。

◆10日にも首位奪回だ。新型コロナウイルスの集団感染に揺れるロッテが9日、ソフトバンク16回戦(ペイペイドーム)に3-1で快勝。首位攻防3連戦に先勝し、ソフトバンクにゲーム差なし、勝率1厘差に肉薄した。2019年ドラフト1位の1番・藤原恭大外野手(20)がプロ初の猛打賞&盗塁で打線をけん引。投げては二木(ふたき)康太投手(25)が7回を3安打1失点の好投で、球団24年ぶりとなるソフトバンク戦7連勝を飾った。  大一番で、プロ2年目の藤原がリードオフマンとして最高の輝きを放った。  「ストレートが来る自信があったので、一本に張っていました」  2-1の六回2死三塁。ムーアから右前適時打を放ち、貴重な追加点を挙げた。直後には二盗も決めてプロ初盗塁を記録。「(強肩の)甲斐さんから成功できたのはとてもうれしい」と会心の笑みを浮かべた。  2試合連続で1番で先発出場すると、一回に二塁内野安打で出塁し、押し出し四球で先制のホームを踏んだ。四回2死一塁では、追い込まれながらもファウルで粘って7球目のチェンジアップを左前に運んだ。井口監督も「"持ってる"選手。ムーアの強い直球に、しっかり振り切れていた。恭大(藤原)が出塁すると、チームも盛り上がる」と目を細めた。  大阪桐蔭時代は、甲子園で春夏連覇を含めて3度の優勝を経験。大舞台慣れしていることで、ソフトバンクとの首位攻防戦にも「緊張よりは『やってやろう』という気持ち」と腹を据えて打席に入っている。  災い転じて福となす。主力を含む計8選手が新型コロナウイルスに感染し、5選手が濃厚接触者に特定された。その中で「特例2020」で6日に1軍に緊急昇格後、8打数4安打。「今季は2軍で自身の成長を感じていたし、1軍でも勝負できるんじゃないかという自信はあった」と胸を張った。今回の福岡遠征では外出禁止令が出されているが、超インドア派で漫画とスマホゲームが趣味の藤原には苦にもならない。  昨年のドラフト1位は今年のドラフト1位・佐々木朗に妙になつかれて、「めっちゃ(寮の)部屋に来るし、僕を見つけるたびに後ろから羽交い締めにされます」。あどけなさの残る20歳が、コロナ禍のチームの窮地を救う活躍を続ける。(東山貴実)

◆ロッテは不思議な勝ち方をした。一回に制球を乱したムーアの押し出し四球と、甲斐の信じられないような捕球ミスでもらった2点が、最後までソフトバンクに響くとは思わなかった。  勝利をもたらしたのは二木の大胆かつ丁寧、投手の理想ともいえる投球だ。外角一辺倒では、ソフトバンク打線は抑えられない。強い気持ちを持って内角を突きながら、頭の中は冷静に緩急を使ってタイミングを外す。相性の良さがあるとはいえ、見事だった。  打線は決してほめられない。三回無死三塁で4-6番が3者連続三振。送りバントの失敗もあった。その中で藤原が初の1試合3安打を記録し、西巻は移籍後初、高部はプロ初安打を放った。若い選手が活躍すれば層が厚くなる。  対戦成績で大きく負け越しているソフトバンクにしてみれば、いい形で試合に入って初戦を取り、この3連戦で一気に突き放したかったはず。なのに逆の目が出るのだから勝負事は分からない。直接対決は残り8試合。優勝争いは最後までもつれそうだと思えてくるロッテの勝利だった。 (本紙専属評論家)

◆10日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)に先発するロッテ・中村稔弥投手(24)は、「大事な首位争いの中で投げさせてもらえるので、先発としての役目をしっかりと果たせるように、1球1球丁寧に気持ちを込めて投げていきたい」と力を込めた。  亜大出身の2年目左腕は今季ここまで13試合に登板し、2勝4敗、防御率4・79。ソフトバンク戦は2試合に登板し、0勝2敗、防御率10・57となっている。首位・ソフトバンクにゲーム差なし、勝率1厘差(9日現在)に肉薄するロッテは、10日の直接対決に勝てば、8月22日以来の首位に返り咲く。

DAZN

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
52395 0.571
(↓0.007)
-
(-)
24405
(+1)
342
(+3)
105
(+1)
72
(+1)
0.242
(↓0.001)
3.230
(↑0.01)
2
(-)
ロッテ
53402 0.570
(↑0.005)
0
(↓1)
25391
(+3)
392
(+1)
75
(-)
74
(+3)
0.241
(-)
3.930
(↑0.03)
3
(-)
楽天
46464 0.500
(↓0.005)
6.5
(-)
24444
(+2)
421
(+5)
96
(-)
54
(-)
0.257
(-)
4.210
(↓0.01)
4
(-)
西武
45463 0.495
(↑0.006)
7
(↑1)
26389
(+5)
425
(+2)
93
(-)
62
(+1)
0.241
(↑0.001)
4.340
(↑0.02)
5
(-)
日本ハム
42504 0.457
(↓0.005)
10.5
(-)
24403
(+4)
419
(+6)
76
(+1)
55
(-)
0.252
(↓0.001)
3.970
(↓0.02)
6
(-)
ORIX
36536 0.404
(↑0.006)
15
(↑1)
25368
(+6)
401
(+4)
73
(+2)
75
(+1)
0.250
(↑0.001)
4.010
(-)