広島(★1対9☆)阪神 =リーグ戦20回戦(2020.10.08)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:西 勇輝(9勝4敗0S)
敗戦投手:野村 祐輔(6勝3敗0S)

本塁打
【阪神】北條 史也(2号・1回表2ラン),サンズ(19号・6回表ソロ),ボーア(16号・6回表ソロ)

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◆投打のかみ合った阪神が完勝。阪神は初回、北條の2ランで先制する。その後は、6回表にサンズとボーアの連続本塁打が飛び出すなど、終わってみれば16安打で9得点を挙げた。投げては、先発・西勇が8回1失点12奪三振の快投で今季9勝目。敗れた広島は、投打ともに振るわなかった。

◆阪神中田賢一投手(38)が1軍に昇格した。 9日からのウエスタン・リーグ、ソフトバンク3連戦(タマスタ筑後)で先発予定だったが、1軍の広島遠征に急きょ合流。今季は先発として調整を続けるが、この日はエース西勇が先発予定のため、中継ぎでの登板が見込まれる。6、7日の広島戦では2日連続で救援陣が打ち込まれ、矢野監督も「本当、ちょっとしんどい」と苦言を呈していた。中田が救援登板となれば、ソフトバンク時代の18年10月7日ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、約2年ぶりとなる。 4日に鳴尾浜の残留練習に参加した際には「いつ呼ばれてもいいように常に準備している状態」と話していた。NPB通算100勝のベテラン右腕が、チームの救世主になる。 また、伊藤和雄投手(30)も1軍昇格。代わって斎藤友貴哉投手(25)と石井将希投手(25)が出場選手登録を抹消された。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が西勇輝投手(29)、広島が野村祐輔投手(31)。注目は阪神高卒2年目の小幡。現在2試合連続マルチ安打で、ここ10試合での打率は3割6厘と当たっている。エース西勇は今季広島戦に5試合先発して3勝0敗、防御率2・19。中堅と若手がチームを勝利に導く。

◆阪神北條史也内野手(26)が今季2号の先制本塁打を放った。 1回無死一塁。広島先発野村の内角低めシュートを完璧にとらえ、左翼に2ラン。7月21日広島戦(甲子園)以来のアーチとなった。「チカ(近本)が先頭バッターとしていい形で出塁してくれましたし、カウントも良かったのでその勢いに乗って思い切って打つことができました。先制することができて良かったです」と話した。二塁のレギュラー糸原が新型コロナウイルスに感染し、会食に同席した遊撃木浪も濃厚接触者と判断されて、ともに出場選手登録抹消中。北條は9月25日の緊急昇格組だ。二塁で先発を重ねており、ライバルが離脱している間にチャンスをつかみたいところだ。

◆阪神の助っ人コンビがお目覚めの競演だ。3点リードの6回、先頭ジェリー・サンズ外野手(33)のバットから快音だ。 広島野村のスライダーをとらえると、左翼席に一直線。9月11日広島戦(甲子園)以来、約1カ月ぶりのアーチを放った。前日7日に29打席連続無安打で止めたばかり。「西が頑張ってくれていたから、1点でも多くの追加点を取りたいと思って打ったよ。良いバッティングができたね」と話した。その直後にはジャスティン・ボーア内野手(32)も続いた。内角高めカットボールを強振すると、今度は大きな放物線を描いて右翼席に吸い込まれた。9月25日ヤクルト戦(神宮)以来の今季16号ソロ本塁打。6日の同カードまで19打席連続無安打と不振だったが「(右翼後方に見える大型スーパー)コストコを見ながら打席に立つことができたよ。コストコまでいかなかったけど、良い打球だったね」とおどけた。サンズとボーアは来日初の2者連続アーチで、今季3度目のアベック弾となった。

◆阪神糸井嘉男外野手(39)が2打席連続タイムリーを放った。 2点リードの5回2死一、二塁。広島野村のチェンジアップをとらえて右前に運んだ。「西が好投してくれているし、追加点を取ることができて良かったです」。2日巨人戦以来の適時打でリードを広げた。猛攻の6回にも1死満塁で詰まりながらも中前に落として加点。一挙6得点の猛攻撃に参加した。

◆広島野村祐輔投手(31)が6回途中11安打8失点で降板した。 初回に無死一塁から北條に左越えの2ランで先制点を献上。2回から4回は追加点を許さなかったが、5回に1失点。6回にはサンズ、ボーアに2者連続で被弾するなど、5連打を浴びたところでマウンドを降りた。8失点は今季ワースト、被安打11は今季ワーストタイ、1試合3被弾は自己ワーストタイと阪神打線に打ち込まれた。

◆阪神打線が16安打9得点とつながって大勝。今季の広島戦勝ち越しを決めた。 初回に北條史也内野手(26)が今季2号の先制2ラン。5回には糸井嘉男外野手(39)が右前適時打を放った。 6回には不振に苦しんでいたジェリー・サンズ外野手(33)とジャスティン・ボーア内野手(32)に待望の1発が出た。先頭のサンズが9月11日以来となる19号ソロを放つと、直後にボーアが9月25日以来の16号ソロを右翼席に運んだ。今季3度目のアベック弾で、2人による2者連続アーチは来日初。勢いづいた打線はこの回8安打を集中し、6点を奪った。 投げては先発の西勇輝投手(29)が、前回登板までオリックス時代を通じて8試合で5勝0敗と相性のいいマツダスタジアムで、この日も8回4安打1失点と好投。阪神移籍後では最多となる12奪三振のピッチングで今季9勝目をマークした。

◆先発は広島野村、阪神西勇。阪神は1回無死一塁から北條の2号2ランで先制。広島は3回まで無安打無得点。 阪神は5回に糸井の適時打で1点を追加。6回にはサンズ、ボーアの2者連続弾などで6点を追加。広島は6回まで1安打無得点。 阪神が16安打9得点で大勝。先発西勇は8回1失点で9勝目。広島は引き分けを挟んでの連勝が4でストップ。先発野村が3敗目。

◆広島野村祐輔投手は5回0/3を8失点で3敗目を喫した。初回は北條に先制2ランを献上。6回はサンズ、ボーアに2者連続弾を浴び、先頭から5連打されたところで降板。1試合3被弾は自己ワーストタイ、被安打11は今季ワーストタイ。 「立ち上がりをうまく入れなかったことが反省点。なんとか粘って流れを持ってきたかったんですが、5、6回と連続で失点してしまいチームに申し訳ないです」と自戒した。

◆阪神近本光司外野手がバットと足で打線の爆発を呼び込んだ。まずは1回、先頭打者として野村の5球目、変化球を捉えて左前打。2番北條の先制2ランにつなげた。 5回には武器の俊足が光った。2死走者なしからショート内野安打で出塁。2番北條に対する4球目にスタートを切り、二盗成功。北條の死球後、3番糸井の右前打でホームを踏んだ。盗塁部門でリーグトップを走っており、今季23個目は2アウトからの得点に大きく貢献するものとなった。 6回にはリードが6点に広がり、なおも無死一、二塁の場面で中前にはじき返し、猛攻をつないだ。前日7日まで2試合連続無安打だったが、今季11度目の猛打賞で打率を2割9分3厘とした。

◆阪神打線が16安打9得点とつながって大勝。今季の広島戦勝ち越しを決めた。矢野燿大監督の試合後コメントは以下の通り。-西勇は普段通りの投球だった 矢野監督 普段通りが難しいんだけどね。 -攻撃のリズムを作る投球 矢野監督 もちろん、もちろん。 -調子は 矢野監督 三振が取れているというのは、キレもコントロールも、高さもそろっているのかなという。 -北條の本塁打 矢野監督 西だしね。やっぱり先制できるというのは大きいし。ホームランという形だったんでね。いいホームランだったと思います。 -北條の印象 矢野監督 セカンドになってね。張り切ってというか。やってるしね。もちろんコロナの影響もあったけど、試合に続けて出られるっていう感じなんで。そういうところでは、何とかしたいっていう気持ちもあるし。いろんな思いを持って臨んでいる結果じゃないかなと思う。 -ボーア、サンズは吹っ切れる1発になるか 矢野監督 吹っ切れるというか、もちろんあそこらへんが打ってくれないと、なかなかこういう試合にならないんで。どんどん打ってほしいなと思っています。 -ボーアは1本が出ると続くというタイプに見えるが 矢野監督 それはどうかな。そういう期待はしているけど。 -ホームランの後もいい攻撃 矢野監督 みんながしっかり(得点に)絡んだゲームになったし。全員が試合の中でしっかり仕事ができた部分があったと思うんで。昨日負けているんで、そういうところでは勝ち方も良かったかなと思う。

◆阪神糸井嘉男外野手が2打席連続タイムリーを放った。 2点リードの5回表2死一、二塁から右前適時打。「西が好投してくれているし、追加点を取ることができて良かったです」。6回には1死満塁の場面で打席が回ってきて、詰まりながら中前適時打とした。この日、2度目のフリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした。16年オフに国内FA権を行使し、オリックスから阪神に移籍。4年契約最終年の今季は、右膝痛を抱えながらも主に主軸の役割を担い、節目の日にも存在感を示していた。

◆スタメン譲らん弾!! 阪神北條史也内野手(26)が意地の一撃だ。1回無死一塁。2ボールからの3球目。広島野村の内寄りシュートを強振すると大飛球は左翼へ。幸先のいい先制2ランが大勝劇のプロローグになった。 もともと内角球のバットさばきに定評がある。「チカ(近本)が先頭バッターとしていい形で出塁してくれましたし、カウントもよかったので、その勢いに乗って思い切って打つことができました」。実に7月21日広島戦(甲子園)以来の今季2号アーチだった。 予期しない形でチャンスが巡ってきた。開幕から木浪が遊撃に定着し、ベンチを温める日々だった。8月下旬に2軍降格。厳しい立場だったが、9月25日に状況が一変。二遊間レギュラーの糸原が新型コロナウイルスに感染し、木浪も球団が濃厚接触者と扱って出場選手登録抹消中だ。井上打撃コーチは「これをつかんだチャンスと思えば『これから先の残り試合、全部出るよ』という気持ちは持っていてほしい」と胸中を代弁した。 糸原に代わって慣れない二塁で奮闘中だ。12試合連続スタメンの北條は言う。「前半、全然ダメだった。まだまだ物足りない。もっともっと1打席を大事にして結果を求めたい」。失地回復へ、燃えないはずがない。【酒井俊作】 ▼阪神が北條、サンズ、ボーアの3本塁打で、今季のチーム本塁打数が95本となった。昨季は143試合で94本だったが、今季は94試合目で早くも昨季を上回った。1試合1本以上のペースで本塁打が出ており、残り26試合で17年(113本)以来の3桁本塁打もクリアできそうだ。なお、阪神のシーズン最多本塁打は、85年の219本。

◆阪神の助っ人コンビが、復活のアベック弾を放った。 6回にジェリー・サンズ外野手(33)が1カ月ぶりとなる19号ソロを打てば、続くジャスティン・ボーア内野手(32)も16号ソロで続いた。2者連続アーチで6得点の猛攻を呼び込み、広島戦の今季勝ち越しが決定。チーム本塁打数は昨季を早くも上回る95発。単年契約を結ぶ2人にとっても、来季残留をアピールする1発となった。マツダの夜空に左へ右へ-。新助っ人コンビが、息を吹き返す来日初の連弾だ。3点リードの6回。先頭の5番サンズが先発野村のスライダーを左翼席に突き刺した。「やっぱりホームランは気持ちいい。特にこう調子が悪い時に打てたことは良かったよ」。9月11日広島戦(甲子園)以来、24試合ぶりの19号ソロ。7日までは29打席連続無安打と長いトンネルに入っていた。4日巨人戦で死球を受けた左手の状態も心配される中、会心の一打で不振から脱出した。 ボーアも続いた。2ボールから野村のカットボールを右翼席中段まで運んだ。「(球場の右翼側後方にある大型スーパー)コストコを見ながら打席に立つことができたよ。コストコまでいかなかったけど、いい打球だったね」。こちらは9月25日ヤクルト戦(神宮)以来、12試合ぶりの16号ソロ。サンズとは今季3度目のアベック弾、2者連続は初だ。2人はともに単年契約を結んでいるが、来季残留をアピールする一撃となった。 不振の時でも、2人は暗くなるどころか粋な計らいで雰囲気を盛り上げた。サンズは虎が描かれたバンダナを通販で複数購入し、選手に配布。「チームメートに感謝の気持ちとしてだよ。何とか恩返ししたくてね」。自身も日の丸バンダナを気に入り、この日も試合前練習で着用していた。ボーアは甲子園バックスクリーン弾で獲得した賞金100万円を使い、大量の飲み物などをチームに差し入れ。「みんなが喜んでくれて良かった。自分も幸せな気持ちになったよ」。助っ人コンビはすっかりチームのムードメーカーだ。 矢野監督は両助っ人の1発に「吹っ切れるというかね。もちろん、あそこら辺が打ってくれないとなかなかこういう試合にならない。どんどん打ってほしい」。さらなる爆発に期待を込めた。助っ人の2発を含めチーム本塁打は95本。昨季143試合で記録した94本を、シーズン94試合目にして早くも更新した。長打力アップはここ数年の課題。ボーア&サンズが本塁打量産に貢献していることは間違いない。【奥田隼人】 ▽阪神井上打撃コーチ(両助っ人の1発に)「あいつらもホッとしてるよ。残り少ない中で不安がっていたけど、もう1回、明日から変われるじゃないかな。(チーム本塁打数は)オレはすごく意識していた。やっぱり『阪神って1発ないよね』と言われるのが一番しゃくだったから。最低限、去年を超えたというのは一応クリアしたのかなと思う」

◆広島が天敵の阪神西勇輝投手にまたも抑え込まれ、大敗で今季初の5連勝を逃した。 7回まで2安打で、8回に8番上本の適時打で1点をかえすのが精いっぱいだった。昨季から西勇に7連敗で、阪神戦の2年連続負け越しも決まった。佐々岡監督は「作戦は練っているんだけど、両コーナーをうまく使われた。悔しい気持ちを持ちながらやっているんだけど...」と厳しい表情。5試合連続2ケタ安打の勢いを止められ、借金は再び2ケタに乗った。

◆トレードマークのスマイルは絶やさなかった。阪神西勇輝投手(29)が8回12三振1失点で9勝目。阪神移籍後初の2ケタ三振を奪い、エースの真骨頂を見せた。 立ち上がりから全開。7回まで二塁すら踏ませなかった。「前日負けていたので、何とか連敗しないようにと思いました」。8回に1点を失ったが、すぐに梅野とアイコンタクト。女房役とうなずき合い、笑顔で気持ちを切り替えた。前日まで5試合連続2ケタ安打の相手打線をわずか4安打。広島戦は今季6試合で4勝0敗、防御率2・00。マツダスタジアムではオリックス時代から9試合6勝0敗とまさに無双だ。 コロナ禍で開幕が約3カ月遅れた今季。大半の選手は遅延期間を「課題を詰めていくプラスの期間」ととらえたが、西勇は違った。「課題、課題って言ったらあんまりよくない」。消極的な考えを排除し、培ってきた技術を伸ばすことに重点を置いてきた。この日も圧倒的な投球を見せながら、時折マウンドで言葉をつぶやいた。修正しながら112球を投げた。 8年前の10月8日、当時オリックスだった西勇はソフトバンク戦でノーヒットノーランを達成した。「覚えています。いい思い出だった」。快投記念日に、スカッとする投球を披露。まだ21歳の青年だった頃から、常に上を目指してきた。 投球イニングは124となり、今季の規定投球回に到達。「もともとの143イニングを目指してやっている。これからどんどんイニングを増やしながら勝ち星も増やして、なおかつリズム良くチームに貢献できたらと思います」。防御率も2・18に下げ、トップの巨人菅野に0・29差とした。3年連続2ケタ勝利にも王手。「残り全部勝てるように必死に頑張っていきたい」。虎には信頼できるエースがいる。【只松憲】 ▼阪神西勇が9勝目を挙げ、2桁勝利に王手をかけた。西勇は昨季も10勝を挙げており、移籍後2年連続2桁勝利が目前だ。2リーグ分立後、阪神移籍1年目から2年以上連続で2桁勝利を挙げた投手は、75、76年の安仁屋宗八(広島から移籍)、76~79年(4年連続)の江本孟紀(南海から移籍)、79~83年(5年連続)の小林繁(巨人から移籍)がいる。西勇が達成すれば4人目だ。

◆広島の育成出身3年目の藤井黎来投手(21)が1回無失点で1軍デビューを飾った。阪神戦の7回に登板。先頭打者に安打を許すも、最速146キロをマークした直球を武器に後続を断った。チームは大敗で連勝は4でストップ。阪神戦は2年連続負け越しとなり、借金も2桁に逆戻り。それでも、9月26日に支配下選手登録を勝ち取った右腕が本拠地で輝かしいスタートを切った。7回表、マツダスタジアムにエリック・クラプトンの「いとしのレイラ」が流れ出した。友人らに勧められた登場曲に背中を押され、背番号が「121」から「58」になったばかりの藤井黎が笑顔でマウンドに向かった。待ちに待った1軍の舞台。「めちゃくちゃ緊張しました。緊張で周りの音は聞こえなかったけど、お客さんが入るのはいいですね」。本拠地での登板は1軍に「プレ昇格」した3月25日のヤクルトとの練習試合以来。当時は無観客だっただけに、観客の入った試合に胸はいっぱいだった。 初球からエンジン全開だった。梅野へ投じたプロ第1球目はこの日最速の146キロ直球。外角低めにビシッと決めた。追い込んでから右前打を許した。無死一塁から迎えた小幡にはファウルで粘られるも、最後は真ん中低め145キロ直球で見逃し三振。続く西勇に犠打を決められ得点圏に走者を背負うも、最後は近本を内角高め144キロで二ゴロに。1回無失点デビューにも「ゾーンで勝負できたのはあるけど、ボール先行でフォークが甘く入った。そういうところをなくしていきたい」と反省は忘れなかった。 秋田・大曲工から17年育成ドラフト2位で入団した。「焦りもあったし、今年結果を出さないと、という気持ちだった」。今季はウエスタン・リーグで17試合に登板。持ち味の直球とフォークを武器に防御率0・76を誇る。9月26日に支配下選手登録され、今月6日に1軍昇格。右腕の力投に佐々岡監督は「あの場面で無失点で抑えられたのは自信にしていってほしい」と評価した。 藤井黎は今後の目標について「このまま無失点で抑えて勝ちパターンで投げたい」。憧れの投手にはフォークを扱う永川2軍投手コーチ、一岡、今村の3人を挙げた。名前は「黎明(れいめい)」の「黎」に、未来の「来」。若手のホープが、カープの新時代を切り開いていく。【古財稜明】

◆広島の育成出身3年目の藤井黎来投手(21)が1回無失点で1軍デビューを飾った。阪神戦の7回に登板。先頭打者に安打を許すも、最速146キロをマークした直球を武器に後続を断った。チームは大敗で連勝は4でストップ。阪神戦は2年連続負け越しとなり、借金も2桁に逆戻り。それでも、9月26日に支配下選手登録を勝ち取った右腕が本拠地で輝かしいスタートを切った。7回表、マツダスタジアムにエリック・クラプトンの「いとしのレイラ」が流れ出した。友人らに勧められた登場曲に背中を押され、背番号が「121」から「58」になったばかりの藤井黎が笑顔でマウンドに向かった。待ちに待った1軍の舞台。「めちゃくちゃ緊張しました。緊張で周りの音は聞こえなかったけど、お客さんが入るのはいいですね」。本拠地での登板は1軍に「プレ昇格」した3月25日のヤクルトとの練習試合以来。当時は無観客だっただけに、観客の入った試合に胸はいっぱいだった。 初球からエンジン全開だった。梅野へ投じたプロ第1球目はこの日最速の146キロ直球。外角低めにビシッと決めた。追い込んでから右前打を許した。無死一塁から迎えた小幡にはファウルで粘られるも、最後は真ん中低め145キロ直球で見逃し三振。続く西勇に犠打を決められ得点圏に走者を背負うも、最後は近本を内角高め144キロで二ゴロに。1回無失点デビューにも「ゾーンで勝負できたのはあるけど、ボール先行でフォークが甘く入った。そういうところをなくしていきたい」と反省は忘れなかった。 秋田・大曲工から17年育成ドラフト2位で入団した。「焦りもあったし、今年結果を出さないと、という気持ちだった」。今季はウエスタン・リーグで17試合に登板。持ち味の直球とフォークを武器に防御率0・76を誇る。9月26日に支配下選手登録され、今月6日に1軍昇格。右腕の力投に佐々岡監督は「あの場面で無失点で抑えられたのは自信にしていってほしい」と評価した。 藤井黎は今後の目標について「このまま無失点で抑えて勝ちパターンで投げたい」。憧れの投手にはフォークを扱う永川2軍投手コーチ、一岡、今村の3人を挙げた。名前は「黎明(れいめい)」の「黎」に、未来の「来」。若手のホープが、カープの新時代を切り開いていく。【古財稜明】

◆阪神・北條史也内野手(26)が一回に先制の2号2ランを放った。  「チカ(近本)が先頭バッターとしていい形で出塁してくれましたし、カウントもよかったのでその勢いに乗って思い切って打つことができた」  先頭の近本が左前打を放つと、カウント2-0から野村の134キロシュートを一閃。打球は左翼席へ一直線に吸い込まれた。7月21日の広島戦(甲子園)以来、79日ぶりの一発で、3試合連続安打と好調。1&2番コンビが、先発の西勇へ大きな援護点を送った。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(33)が六回の第3打席に左翼席へ19号ソロを放った。  「西が頑張ってくれていたから、1点でも多くの追加点を取りたいと思って打ったよ。いいバッティングができたね」  野村の127キロ変化球をたたくと、打った瞬間スタンドインを確信。9月11日の広島戦(甲子園)以来、実に95打席ぶりにアーチを描いた。  余韻が冷めやらぬ中、続くボーアが今度は右翼席へ16号ソロ。「コストコを見ながら打席に立つことができたよ。コストコまでいかなかったけど、いい打球だったね」と右翼席側の奥に見える大型スーパー「コストコ」をめがけて、9月25日のヤクルト戦(神宮)以来、44打席ぶりにホームランを放った。  サンズ、ボーアのアベック弾は7月5日(対広島、マツダ)、同28日(対ヤクルト、神宮)に続き今季3度目でこれまで負けなし。不振だった両助っ人が目覚め、6連打と打線がつながった。

◆阪神が3本塁打を放ち、昨季放った本塁打数94を上回る95本塁打とした。  一回は北條が野村から左翼席へ先制2ラン。7月21日の広島戦以来となる2号に「思い切って打つことができた」と納得顔だ。六回は先頭のサンズが左越えへ19号ソロ。続くボーアも右翼席へ16号ソロを放り込んだ。  大山が24本で本塁打王争いに加わるなど、課題だった長打力不足に解消の兆しが見える。井上打撃コーチは「阪神は一発がないと言われるのがしゃくだった。去年を超えたというのは最低限」と、残り26試合での上積みに期待した。 矢野監督(西勇に) 「(球の)切れもコントロールも、高さもそろっていたと思う」 サンズ(六回に19号ソロ) 「すごくほっとした。これをきっかけに、いい感覚をつかんでいきたい」 ボーア(サンズの後に2者連続本塁打となる16号ソロ) 「自分の中でいいスイングはできていた。いい打球だった」

◆阪神は広島に9-1で快勝した。一回に北條が2号2ランを放ち、幸先よく先制すると、3-0で迎えた六回。先頭のサンズが9月11日の広島戦(甲子園)以来、95打席ぶりとなる19号ソロ。さらに続くボーアからも44打席ぶりの一発となる16号ソロが飛び出た。助っ人が今季3度目のアベック弾を放ち、この回打者一巡の猛攻で8安打6得点と打線が爆発。終わってみれば3試合ぶりの2桁安打となる16安打9得点を奪った。  先発の西勇は広島打線につけ入る隙を与えず8回4安打1失点で今季9勝目(4敗)。阪神は4試合を残し、2年連続で広島戦のシーズン勝ち越しが決定。貯金を3に戻した。

◆得意のマツダスタジアムのマウンドで仁王立ちした。阪神・西勇が鯉打線を圧倒。規定投球回にも到達し、エースの実力を証明した。  「そこ(規定投球回)は絶対にクリアしたこと。本来の143イニングを目指してやっているので、まずはしっかり120イニングを投げるという役割をしっかり果たしていきたい」  8回1失点で8勝目を挙げた2日の巨人戦(甲子園)後にそう話していた右腕は、試合前の時点で116回を投げており、規定投球回まで「4」としていた。  初回から切れのある球で打者を手玉に取った。三回まで無安打投球。四回2死で鈴木誠に遊撃内野安打で初安打を許したが、すぐに牽制(けんせい)でアウトにし、ピンチを未然に防いだ。これで規定投球回に到達した。  バットでも自らを援護した。5-0の六回無死一、三塁で打席に立つと、野村の外角変化球に反応し、右前へ。今季7打点目を挙げた。  広島戦は試合前まで今季5試合に登板し、3勝0敗、防御率2・19。敵地ではオリックス時代を含めて8試合で5勝0敗、同2・25と不敗神話を継続中だ。9月11日の対戦(甲子園)で今季初の完封勝利を達成しており、9月は5試合で4勝1敗、同1・82と絶好調。安定した投球の秘訣(ひけつ)は「責任感ちゃうかな。これまで(責任感が)なかったわけではないけど、より一層意識してマウンドに立っているし、1球1球の重みもある」と語っている。  打線に強力援護をもらい、五回以降もスイスイと飛ばした。(織原祥平)

◆超人は健在だ! FA権を再取得した糸井が、節目の日に勝利をグッと近づける貴重な適時打。己のバットで色あせない存在感をアピールした。  「西が好投してくれているし、追加点を取ることができてよかった」  2-0で迎えた五回。2死から作った一、二塁の好機だった。野村の126キロチェンジアップにしぶとく食らいつき右前へ。相手にダメージを与える一打で3点目をたたき出すと、6-0で迎えた六回は1死満塁から中前にポトリと落とし、中押し。打線が爆発する中、39歳が2安打2打点と気を吐いた。  この日、自身2度目のFA権を得た。今季はここまで打率・279、25打点、2本塁打。打率3割が当たり前だった男にとって、決して満足のいく数字ではない。  4年契約最終年。これまでのように球団から新たに複数年契約を提示される可能性は低い。チームと同様に崖っ縁の状態。糸井にとって1打席1打席が正念場だ。  昨年に手術した左足首や古傷を抱える右膝など、けがと戦い続ける毎日に「あきらめたりする気持ちがでてきそうな自分がいる」と弱気になるときもある。それでも心は折れない。  「やっぱり野球が好き。勝ちたい。それだけです」  一時の不振を乗り越え、10月は8試合で打率・400(30打数12安打)と完全に復調。冷めることのない野球への情熱が原動力となった。  来季も縦じまのユニホームを身にまとう。残り26試合。怒濤(どとう)のラストスパートをかける。(原田遼太郎)

◆完封まであとアウト5個としたところで適時打を浴び、西勇は少しだけ悔しそうに苦笑いした。それでも1失点12奪三振の文句なしの快投で勝利に貢献。試合後は仲間とともに、エアハイタッチで喜びをかみしめた。  「なんとか連敗しないように、と思っていました。(前日は)中継ぎもたくさん投げていたので、自分は長いイニングを投げる気持ちでマウンドにあがりました」  プレーボールからアクセル全開でテンポよく打者を打ち取った。  七回までわずか2安打に抑え、二塁すら踏ませず。八回1死から四球などで一、三塁のピンチを招き、堂林の適時打で1点を献上したが、8回4安打1失点にまとめて今季9勝目。自己最多に1と迫る、移籍後最多の12奪三振を記録した。広島戦は今季6試合で4勝0敗、防御率2・00。マツダスタジアムではオリックス時代から9試合で6勝と不敗神話も継続だ。  特別な「10・8」だった。8年前、ヤフードーム(現ペイペイドーム)でのソフトバント戦で自身初のノーヒットノーラン達成。鷹の主将、小久保の引退試合というビッグイベントの日に強心臓で大記録を成し遂げた。  「(当時のことは)覚えています。いい思い出でしたので」  この日も四回2死で鈴木誠に遊撃内野安打を許したが、けん制で刺し、途中まで"準完全投球"。三振の山を築く姿に矢野監督は「三振が取れているというのは、切れもコントロールも、高さもそろっているのかなと思う」とうなずいた。  3年連続となる規定投球回にも到達。今季124イニングとなり、中日・大野雄を抜いてリーグトップに立った。西勇は「もともと(例年の)143イニングを目指してやっているので。これからどんどんイニング増やしながら、勝ち星も増やしてチームに貢献できたら」。防御率2・18もリーグ3位で、トップの巨人・菅野に迫っている。  3年連続の2桁勝利まで1勝。「あと1勝といわずに残り全部で勝てるように。疲れが出ているところだけど、みんなでここを乗り切って、首位のチームに食らいついていきたい」。最後まであきらめない。チームの勝利を信じて、マウンドに立ち続ける。(織原祥平)

◆やっと打った! 阪神は不振に陥っていたジェリー・サンズ外野手(33)、ジャスティン・ボーア内野手(32)が初の連続アベック弾を放ち、打線が爆発。広島に9-1で快勝した。助っ人コンビが打てば勝つ! 来季残留に向け、追い込みをかけろ!  大きなアーチが続けて広島の空にかかった。一気に肌寒くなり、秋を感じさせるタイミングで、サンズとボーアが長いトンネルを抜けた。やっと目覚めた。それに打線が9得点と引っ張られた。久々のハッピーハンズを繰り出したサンズが、分厚い胸をなで下ろした。  「すごく、ホッとした。やっぱりホームランは気持ちいいもの。こうやって厳しいときとか、調子が悪いときに打てたことはよかった」  3-0の六回先頭。野村のスライダーを完ぺきにとらえた。左翼席へドカン! 9月11日の広島戦以来、95打席ぶりの一発で、おなじみのパフォーマンスも復活した。「どうやってハッピーハンズをするか忘れそうになっていた」。アメリカンジョークで周囲を笑わせた。  その直後、今度は右翼席に放物線を描いたのはボーアだ。こちらは9月25日のヤクルト戦以来、44打席ぶり。そして、サンズに負けじと、ファイアボール!  「(右翼席側の奥に見える大型スーパー)コストコを見ながら打席に立つことができた。コストコまでいかなかったけど、いい打球だった」  数百メートル先にあるコストコまで飛ばせば世界記録!? 右翼手・鈴木誠が一歩も動けない当たりだった。助っ人2人のアベック弾は7月28日のヤクルト戦以来、今季3度目で2者連発は初。ともに今季からの単年契約で来季の残留がかかる打席が続く中、結果を出した。  S砲とB砲に明るさが戻ると続く梅野、小幡、西勇らが6連打。1イニング6得点を挙げ、大勝に導いた。矢野監督は「(サンズとボーアが)打ってくれないと、なかなか、こういう試合にならない。どんどん打ってほしい」と願った。  チームのことを大切に考えているコンビでもある。サンズは「感謝の気持ちとして。恩返ししたくて」と、インターネットで見つけたハチマキを購入。チームメートに配った。この日も、日の丸が描かれたハチマキを締め、室内練習場で汗を流した。ボーアは9月21日のバックスクリーン弾で賞金100万円を獲得し、飲み物を振る舞った。「みんなが喜んでくれてよかった。自分も幸せな気持ちになった」。自分が苦しいときでも、チームを盛り上げようとする。  4日の巨人戦で左手に死球を受けながらも、試合に出続けるサンズは「こうやって一本出すことができたので、これをきっかけにいい感覚をつかんでいければ」と白い歯がこぼれた。9日は甲子園に帰って、DeNAを迎える。13連戦の最後のカード。ファンのため、仲間のため、自分のため、どれだけ手が痛くても、豪快な打球を量産する。(菊地峻太朗)

◆西勇が中5日でも同じような内容で投げられるのは、やはり無理をして投げていないからだ。  後半になりフォーシームも使ったが、五回に長野から空振り三振を奪った高めの144キロフォーシームは、あの時点でもまだまだ力があった。幅を残しながら、完璧に抑えていった。  広島の打者は、苦手意識でガチガチになっているところに、さらにいいところから曲げたり落としたりされて、粘ることもできず飲み込まれていた。広島の野村も西勇と同じようにフォーシームを多く使わずコントロール主体で投げていくスタイルだけに、似たような投球になるかとみていたが、やはりコントロールが違う。野村の状態もそこまで悪いようには見えなかったが、西勇が完璧に抑えていった流れが、阪神打線のつながりを生んだ面もあったと思う。  これだけ続けて、しっかりリリーフ陣が休める投球をしてくれるのはチームにとって本当に大きい。1度の登板を挟んで23日からの巨人3連戦にまわるのだろうが、その前に、2桁勝利も次回で気持ちよく決めてほしい。 (本紙専属評論家)

◆♪祭りだ祭りだ~わが阪神は3アーチありの16安打9得点! 先発の西勇も8回4安打1失点の秋の虎祭りでしたー!!  でも、それとは別に、コロナ禍の時代だし、みんな協力していかなきゃいけないと思うんです。そこで16安打を半分の8安打くらいだったことにして...。その代わり、大山にホームラン1本は駄目ですかねェ? えー! 駄目? あ、じゃあ、これならいーでしょう!!  北條、サンズ、ボーア(3人ゴメンなさい)の3発と交換で大山の1アーチ...。ね、これなら3本と1本だからいーでしょ? え、え、えーっ、それも駄目!! あっ、じゃあ西勇に8回4安打1失点に封じ込まれたけど2桁安打で5点くらい奪ったということで...。  俺、こっそりとNPBの記録部に忍び込んで訂正しときますから、大山悠輔くんのホームランを加えてもらうということに...。えっー! やっぱり駄目なのー!!  う~ん、巨人の岡本が25号を打ってホームラン王の単独トップに躍り出た。虎の勝負は気になるけど...。いや、正直ぶっちゃけて言いまーす! 勝敗より大山のホームラン王が俺は欲しいー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
59304 0.663
(↑0.004)
M14
(↑1)
27441
(+9)
320
(+7)
114
(+2)
59
(+3)
0.260
(-)
3.310
(↓0.05)
2
(-)
阪神
46435 0.517
(↑0.006)
13
(-)
26400
(+9)
378
(+1)
95
(+3)
65
(+1)
0.248
(↑0.002
3.580
(↑0.03)
3
(-)
中日
44455 0.494
(-)
15
(↓0.5)
26338
(-)
385
(-)
56
(-)
22
(-)
0.247
(-)
3.850
(-)
4
(-)
DeNA
44475 0.484
(↓0.005)
16
(↓1)
24415
(+7)
386
(+9)
106
(+3)
22
(-)
0.268
(↑0.001)
3.850
(↓0.06)
5
(-)
広島
37479 0.440
(↓0.006)
19.5
(↓1)
27409
(+1)
446
(+9)
92
(-)
46
(-)
0.264
(↓0.002)
4.410
(↓0.05)