広島(☆9対3★)阪神 =リーグ戦19回戦(2020.10.07)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:遠藤 淳志(3勝4敗0S)
敗戦投手:岩田 稔(1勝1敗0S)
  DAZN
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◆広島は1点を追う5回裏、會澤と堂林の適時打で3点を奪い、逆転に成功する。その後は、7回に代打・坂倉の2点適時打が飛び出すなど、終わってみれば14安打で9得点を挙げた。投げては、先発・遠藤が5回3失点で今季3勝目。敗れた阪神は、先発・岩田が試合をつくれなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が岩田稔投手(36)、広島が遠藤淳志投手(21)。阪神は前日3番に据えた近本を1番に起用。今季80試合で打率2割9分9厘の成績を残している打順で、再びリードオフマンの役割を果たせるか。 また、阪神サンズは広島遠藤に対して打率3割7分5厘と相性がいい。現在28打席無安打の助っ人が得意の相手を打ち込み、復調したい。

◆広島が2回につないで同点に追いついた。 2点を先制された直後の2回。阪神岩田の連続四死球から無死一、二塁とし、長野久義外野手(35)が追い込まれながら内角低めの球にうまくバットを合わせた。技ありの中前打で、二塁走者を迎え入れ「まっちゃん(二塁走者松山)がかえってこられるところに落ちてくれました」と振り返った。 なおも無死一、二塁から堂林翔太内野手(29)がたたきつけた当たりは三塁手大山を越え、左前打となり同点に追いついた。

◆高卒2年目の阪神小幡竜平内野手(20)がマツダスタジアムで連夜の躍動だ。「8番遊撃」で先発。鮮やかな一撃を放ったのは2回だ。無死二、三塁の絶好機で広島先発遠藤の外角速球を迷わず振り切った。打球は左中間へ。中堅宇草がグラブに当てながら捕れず、先制の2点適時二塁打をマークした。 「前に飛ばせば何とかなると思いながら積極的に打ちに行きました。先制することができて良かった」 今季が1軍デビューだが物おじしない。前日6日はプロ初の1番で先発。2安打を放ち、得点に絡んでいた。「入った時から1番ショートをずっと目標にやってきた。すごくワクワクした。とにかく必死。思い切りの良さはもっともっと消さずにやっていきたい」と気合十分だった。矢野監督も「俺の中では挑戦。よくやった」と高評価した。 新型コロナウイルスの集団感染でベストメンバーを組めない。正遊撃手の木浪は球団独自の濃厚接触者扱いで離脱。千載一遇のチャンスで若武者が奮闘する。12試合連続先発中。この日は8番だったが、3回には投手強襲の内野安打でプロ初の2戦連続マルチ安打だ。「遠慮せずにこのままレギュラーをつかめるよう」と気合。スキを見せた者は淘汰(とうた)される厳しい世界で、堂々と定位置を奪いに行く。

◆阪神岩田稔投手(36)が、勝ち投手の権利まで「あと1人」のところで逆転打を浴びて降板した。「粘り切ることが出来ずとにかく悔しいです。チームが逆転してくれることを信じてしっかり応援します」と味方の反撃を願ってコメントした。 1点リードの5回1死一、二塁で4番松山を中飛に打ち取るも、続く会沢に低めツーシームを捉えられ、右翼へ逆転の2点適時二塁打を浴びた。ここでマウンドを降り、代わった谷川も長野の内野安打から連打でさらに1失点。岩田は5回途中6安打5失点で、454日ぶりの勝利を挙げた前回1日中日戦(甲子園)から連勝とはならなかった。 この日は3ボールが8度(四球含む)あり、毎回走者を出しながらも粘りの投球。スライダーやフォークなど変化球もキレがあり、要所で三振を奪った。打線が2点先制した直後の2回裏に連続四死球と連打で追いつかれたが、なおも無死一、二塁から菊池涼を遊ゴロ併殺、遠藤を空振り三振に仕留め大崩れしなかった。それだけに、5回の1球が悔しいものになった。

◆広島会沢翼捕手(32)が 1点を追う5回に逆転の2点二塁打を放ち、阪神岩田をKOした。 2死一、二塁から岩田の外角球を逆らわずに右翼線へ鋭いライナーではじき返した。二塁走者に続き、一塁走者鈴木誠も三塁を蹴って本塁に滑り込んだ。「コースに逆らわずにしっかり捉えることが出来ました。遠藤が頑張っていたので、ランナーをかえすことが出来て良かったです」。バッテリーを組んだ先発遠藤に勝ち投手の権利を与える一打となった。 さらに広島は代わった谷川から長野、堂林の連打で1点を追加した。

◆プロ3年目の阪神石井将希投手(25)が1軍デビューを果たした。9月30日に育成から支配下選手登録されたばかり。 5点ビハインドの8回に救援で登場だ。1死一、二塁のピンチを招くが、三好を外角低め速球で右飛に詰まらせた。堂林にはカーブで追い込んだが内角速球を打たれ、ライナーで左前適時打を浴びた。2四球も絡んで満塁のピンチも背負ったが、大盛のバットを折る三邪飛でしのいだ。この日は1イニング1失点。ホロ苦い初陣になった。 桐生第一、上武大をへて17年育成ドラフト1位で入団。今季、2軍戦では20試合に登板して防御率1・86の好成績を収める。リリーフ左腕として期待されており、奮闘するつもりだ。

◆阪神は終盤の失点が響いて広島に敗れ、3位中日と1・5ゲーム差になった。 先発の岩田は5回途中6安打5失点で降板。6回まで広島に2点差も、7回に4番手で登板した斎藤が、先頭松山のフェンス直撃三塁打から4安打3失点。広島打線を止められなかった。 梅野が2安打1打点、小幡が2安打2打点と下位打線が奮起。サンズに30打席ぶりの安打が出るも、4番大山が5打数無安打、ボーアも3打数無安打と主軸に当たりが出なかった。

◆阪神が2回に小幡の二塁打で2点先制。その裏、広島に長野と堂林の連打で追いつかれるも、3回に梅野の適時打で勝ち越した。 広島は5回に会沢の2点二塁打で逆転。阪神岩田をKOした。さらに堂林の適時打で1点追加。先発遠藤は5回3失点で降板した。 終盤に阪神を突き放した広島が引き分けを挟んで今季初の4連勝。遠藤が2カ月ぶり3勝目。阪神岩田は今季初黒星となった。

◆代打で途中出場した阪神長坂拳弥捕手が気を吐いた。8回2死で打席に立ち、塹江の初球、151キロ直球を振り抜き中前打を放った。 得点にはつながらなかったが、直後の守備ではプロ初登板の石井を懸命にリード。厚い捕手層の中で出番は限られるが、ここまで4打数2安打、1本塁打と少ないチャンスを生かしている。

◆阪神は終盤の失点が響いて広島に敗れ、3位中日と1・5ゲーム差になった。先発の岩田は5回途中6安打5失点で降板。6回まで広島に2点差も、7回に4番手で登板した斎藤が、先頭松山のフェンス直撃三塁打から4安打3失点。広島打線を止められなかった。 矢野燿大監督の談話は以下の通り。-先発岩田は四球絡みで苦しんだ 四球もあるけど、ちょっとコントロールが悪すぎたわな。全然、修正できていない中である意味、粘っていたというのもあると思うけど、そんなに甘くはないというか。途中で修正してくれたらいいなと思っていたけど、思うところにいっているボールが少なすぎた。 -序盤は岩田は粘って、打線も得点を取った もう1点取れるようなところで点取るとか。岩田もあと1人のところまで来たからね。粘れなかったというのと、点取れなかったというのがこういうゲームになったかな。 -中継ぎもやりくりが大変 いや本当にちょっとしんどい。でも出ていくメンバーにとってはチャンスなんで、そこをつかみ取ってほしいなと思うけど、今日の谷川以降、能見はしっかり投げてくれたけど、あそこで1点でも少なくというところで。本人もその思いでいっているんだけど、プロである以上、結果を出していかなあかんと思うし、そこは苦しい状況ではあるけどね。 -サンズ、ボーアの両助っ人は状態を上げてほしい いやだって別に...。マルテだって(いるから)どうか分からんしさ。 -小幡は? 経験することが全部あいつのプラスになると思うんで。試合に出て、全てをこれからの糧というか、してもらえればいいんで。 -1軍初登板の石井は 四球、四球で崩れたわけじゃないってところは良かったかなと思うけど。自分のボールはどうだったかとか、1軍のレベルはどうだったかとか、そういうのは分かったと思うし。腕振ってしっかり投げたかなとは思うけど。

◆2日連続で阪神の中継ぎが打ち込まれた。 1点を勝ち越された5回2死二塁。岩田に代わってマウンドに上がった谷川が、長野に内野安打を許して一、三塁とすると、続く堂林に適時打を浴びて突き放された。その後も4番手斎藤が3失点など流れを断てず。前日6日も7回に登板した2番手桑原が大盛にソロを浴びるなど2失点。コロナ禍の影響で岩貞、岩崎らが離脱するなどブルペンの台所事情は苦しい。 矢野監督は「いや、本当にちょっとしんどい。でも出ていくメンバーにとってはチャンスなんで、そこをつかみ取って欲しいなと思う。プロである以上、結果を出していかなあかんと思う」と奮起を促した。

◆新切り込み隊長アピール!! 新人の広島宇草孔基外野手(23)がプロ初のマルチ安打を含む全4打席出塁で、2戦連続1番起用に応えた。2戦合計5打数3安打で打率は6割。出塁率7割5分。2試合連続盗塁も決めた。1軍生き残りだけでなく、次代のトップバッターとして持ち味を存分に発揮した。1番宇草が躍動する姿に、マツダスタジアムのスタンドが沸いた。1回に一塁けん制に飛び出し、プロ初の盗塁失敗を記録するも、四球で出塁した3回に2試合連続盗塁でやり返した。1回の足で奪った遊撃内野安打に続き、5回は技術で左前打。プロ初の複数安打となった。6回も四球を選び、前日から6打席連続出塁。出場2試合とはいえ、打率6割、出塁率7割5分だ。前日のプロデビューに続いて、トップバッターとしての役割を十分に果たした。 「(1番起用に)緊張したんですけど、自分のできることを全力でやろうと思って臨みました」 ダイヤモンド駆けまわる姿が、広島のレジェンドと重なった。7月下旬に東出2軍打撃コーチの助言からグリップの位置を下げた。イメージは黄金期の広島のスター選手、高橋慶彦氏。映像で見たことはなかったものの、コーチ陣の指導を受けながら慶彦流フォームを固めた。「左手で傘を持つように構えて、ボールをつかまえるイメージで。イメージでいうと、ポンッとボールをつかみたい」。新フォームで1軍昇格をつかみ、1番打者として存在感を発揮する。 宇草に引っ張られるように、打線は5試合連続2桁安打となる14安打9得点で、引き分けを挟み今季初の4連勝。「課題も見つかったので、毎日勉強しながらやっていきたい」。シーズンは終盤も、宇草にとっては競争に身を投じたばかり。実績ある田中広だけでなく、若い大盛や野間ら1番タイプの選手がそろう広島の中で、次代の切り込み隊長候補に名乗りを上げた。【前原淳】

◆プロ3年目の阪神石井将希投手は1回1失点とホロ苦い1軍デビューになった。 9月30日に育成選手から支配下選手登録され、8回に新しい背番号93で登板。2死一、二塁で堂林に内角速球を打たれ、左前適時打を浴びた。2四球も絡んで満塁のピンチもあったが、大盛はバットをへし折る三邪飛でしのいだ。 17年育成ドラフト1位で入団。救援左腕にようやくチャンスが巡った。矢野監督は「自分の球はどうだったか、1軍のレベルはどうだったか。そういうのは分かったと思う」と評した。

◆広島堂林翔太内野手は適時打3本を決め、12年に記録した自己最多の45打点に並んだ。 1点差に迫った直後の2回無死一、二塁、たたきつけて左前に同点打。 1点リードの5回2死一、三塁も左前適時打を放ち「いい流れに乗せてもらって打つことができました」。8回にも再び左前適時打をマークして大勝に貢献。再び状態を上げてきた姿を、佐々岡監督は「1年間レギュラーとして戦う気持ちが表れている」と評価した。

◆広島は実績組が奮起し、シーズン92試合目にして引き分けを挟んで今季初の4連勝を飾った。 決勝打は32歳の5番会沢翼捕手だ。1点を追う5回2死一、二塁、岩田の低めツーシームをライナーで右翼線におっつけた。逆転の2点二塁打。先発遠藤に約2カ月ぶりの白星を贈り、「遠藤が頑張ってくれていたから、そこが1番。先発は勝ちがつくと自信になる。リリーフ陣も頑張ってくれた」と投手陣をねぎらった。 9月10日ヤクルト戦でファウルチップがマスクに直撃し、翌11日に出場選手登録を抹消されていた。「チームに迷惑をかけた責任を感じている」。コンディション不良から同27日に1軍復帰すると、やはりチームが落ち着きを取り戻す。 打線は14安打を浴びせ、5試合連続2ケタ安打と好調だ。若手の積極起用が続く中、この日は35歳の6番長野が適時打2本、29歳の7番堂林が適時打3本で盛り上げた。会沢は「若手の活躍はいい刺激になる。チームにとって必ずプラスになる」と笑顔。これで9月20日以来となる借金1ケタ台に突入した。まずは勝率5割復帰を目指す。【佐井陽介】 ▽広島佐々岡監督(今季初4連勝に)「連勝することはいいこと。これを続けられるように。借金を1つずつ返せるようにやっていきたい」

◆不振の阪神サンズ外野手がトンネルを脱した。 1回は2死一、二塁で中飛だった。3回は遠藤のチェンジアップに詰まりながらも左前に落とした。9月27日ヤクルト戦(神宮)以来、実に30打席ぶりの安打だった。この日は4打数1安打。まずは悪循環を断った。7回の左飛など、2本のフライアウトのように外野に角度のある飛球をはじき返せるようになった。4日巨人戦では左手に死球を受けるアクシデントもあったが、この日はフル出場した。

◆21歳広島遠藤淳志投手は今季6度目の対戦でようやく阪神戦白星をゲットした。 守備の乱れがありながらも5回を6安打4四球3失点。今季5戦3敗だった虎を相手に、8月2日巨人戦以来の白星となる3勝目をあげた。勝てなかった期間は野村や九里にゲームの作り方を教わり、約2カ月ぶりの勝ち星。「今まで迷惑をかけていた」と振り返った上で「ホッとしています」と胸をなで下ろした。

◆阪神斎藤友貴哉投手が自己ワーストの3失点を喫した。 7回に4番手で登板。先頭松山にフェンス直撃の三塁打を浴び、1死三塁から長野に甘く入った直球を右前にはじき返され1失点。その後も広島打線を止められず、1回4安打3失点を喫した。1試合に先発後、中継ぎで4試合に登板し、防御率は一気に7・71まで悪化した。

◆阪神2年目の小幡竜平内野手(20)がレジェンドに並んだ。広島戦で2点先制の適時二塁打と内野安打で、2試合連続マルチ安打をマーク。新型コロナウイルス感染による選手の大幅入れ替え後、12試合連続で遊撃で先発して今季20安打とした。高卒2年目以内で20安打は75年掛布以来というレアな記録。将来の正遊撃手候補の成長ぶりは大敗ゲームで希望の光だった。高卒2年目の若虎が「ミスタータイガース」に並んだ。3回1死一、二塁。小幡は外角低めに沈むスライダーに食らいついた。強いゴロは広島先発の遠藤の膝元を強襲して内野安打となった。8月22日のプロ初出場から35試合目、80打席目。売り出し中の男が、節目の20安打に到達した。 運も重なっていた。0-0の2回無死二、三塁の第1打席。絶好機で遠藤の速球を振り切った。飛球は試合序盤だけ右翼から左翼に吹いていた風に乗り、左中間へ。伸びる白球を、中堅手宇草はグラブに当てながら捕れなかった。19安打目は天も味方したプロ初二塁打で、2点先制を呼んだ。「前に飛ばせば何とかなると思いながら積極的に打ちにいきました」。高卒2年目以内に20安打は75年掛布雅之以来。チームで唯一連夜のマルチ安打で、小幡が歴史を動かした。 物語は代役から始まった。7月末に主将の糸原が右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。二塁が固定されないチーム状況から8月下旬に1軍初昇格した。その後わずか1週間でプロ初安打、プロ初打点...。限られた出場機会で結果を残し、糸原が復帰するまで二塁を任された。9月25日に正遊撃手の木浪がチームのコロナ禍で離脱した後は本職の遊撃へ回った。ユーティリティーを買われ、グラウンドを駆け回っている。 1軍にいる時間は無駄にしない。6日広島戦の試合前練習では井上打撃コーチ、矢野監督とともに打撃フォームの見直しを行った。打席に立つ際、前傾姿勢になる癖を修正。フリー打撃でも2人から熱視線を注がれた。主力に囲まれた1軍環境で日々研さんを重ね、ここ10試合での打率は3割6厘と好調。指揮官は「経験することが全部あいつのプラスになると思う。試合に出て、すべてをこれからの糧にしてもらえればいい」と期待の言葉を送った。 チームは前夜の引き分けから投打がかみ合わず、広島に惨敗。首位巨人を猛追どころか、振り向けば3位中日と1・5差、4位DeNAにも2差に迫られ、Bクラスの影がちらつく。それでも1軍最年少のフレッシュな力が、猛虎を再生させる。【只松憲】

◆2日連続で阪神の中継ぎが打ち込まれた。 1点を勝ち越された5回2死二塁。岩田に代わった2番手谷川は長野に内野安打を許して一、三塁とすると、続く堂林に適時打を浴びて突き放された。その後も4番手斎藤が自己ワーストの3失点など相手の流れを断ち切れず。前日6日も7回に登板した2番手桑原が大盛にソロを浴びるなど2失点。コロナ禍の影響で岩貞、岩崎らが離脱するなどブルペンの台所事情は苦しい。藤浪の中継ぎなど起用に頭を巡らせる矢野燿大監督は「いや、本当にちょっとしんどい。でも出ていくメンバーにとってはチャンスなんで、そこをつかみ取ってほしいなと思う。プロである以上、結果を出していかなあかんと思う」と奮起を促した。中継ぎの働きがなければ、競った試合を勝ちきれない。

◆阪神伊藤和雄投手がこの日昇格即の登板で9回を締めた。 2番から始まる打順だったが、菊池涼を左飛、鈴木誠を右飛、松山を遊飛に抑えての無失点。8月7日以来2カ月ぶりとなる1軍マウンドで、1回を3者凡退とした。

◆阪神は二回無死二、三塁で、「8番・遊撃」でスタメン出場した小幡が先発・遠藤から左中間に2点二塁打を放って先制した。  「前に飛ばせばなんとかなると思いながら積極的に打ちに行きました。先制することができてよかったです」  6日の広島戦で自身初の1番で起用され、この日は8番に戻ったが、3試合連続安打で9試合ぶりの打点を挙げると、三回1死一、二塁の第2打席でも投手強襲の安打を放った。

◆阪神は二回に敵失と二塁打で無死二、三塁と好機を作り、小幡の左中間2点二塁打で先制。しかし、先発の岩田が踏ん張り切れず、直後に同点を許し、1点リードの五回に安打と四球でピンチを招き、2死から会沢に逆転の2点打を浴びた。打線は四回以降はわずか3安打に抑えられ、無得点。4回2/3を投げ、6安打5四死球で5失点の岩田は、これで1勝1敗。「粘り切ることができず、とにかく悔しい」と肩を落とした。

◆阪神・矢野監督は制球に苦しんだ先発・岩田に苦言を呈し、新型コロナ感染による大量離脱によって生じた中継ぎ陣の駒不足を嘆いた。  --岩田は四球絡みで  「四球もあるけど、ちょっとコントロールが悪すぎたわな。全然、修正できていない中で、ある意味粘っていたというのもあると思うけど、そんなに甘くはないというか。途中で修正してくれたらいいなと思っていたけど、思うところにいっているボールが少なすぎた」  --序盤は岩田も粘り、打線も点を取った  「まあまあ、もう1点取れるようなところで点取るとか。岩田もあと1人のところまで来たからね。粘れなかったというのと、点を取れなかったというのがこういうゲームになったかな」  --中継ぎのやりくりも難しいが  「いや、本当にちょっとしんどいし。でも出ていくメンバーにとってはチャンスなんで、そこをつかみ取って欲しいなと思うけど。きょうの谷川以降、能見はしっかり投げてくれたけど、あそこで1点でも少なくというところで。本人もその思いでいっているんだけど、プロである以上は結果を出していかなあかんと思うし、そこは苦しい状況ではあるけどね」  --サンズ、ボーアは状態を上げてもらうしかない  「いや、だって別に(上げてもらわないと、どうしようもない)。マルテだってどうか分からんし」  --小幡が連日のアピール  「まあまあ、経験することが全部あいつのプラスになると思うんで。試合に出て、すべてをこれからの糧というか、してもらえればいいんで。そう思ってます」  --初登板の石井は  「四球、四球で崩れたわけじゃないってところはよかったかなと思うけど。自分のボールはどうだったかとか、1軍のレベルはどうだったかとか、そういうのは分かったと思うし。まあ、腕振ってしっかり投げたかなとは思うけど」

◆勝ち投手の権利を得る目前で痛打され、踏ん張れなかった。岩田は四回まで2失点と粘投を続けたが、五回に逆転の2点打を浴び、マウンドで悔しそうにうつむいた。  「粘り切ることができずとにかく悔しいです。チームが逆転してくれることを信じてしっかり応援します」  チームが先制した直後の二回だ。先頭の4番・松山に四球、続く会沢には死球を与えて無死一、二塁とされると、長野にスライダーを中前へはじき返されて失点。続く堂林にも左前適時打を許して同点とされた。  三回に味方打線に勝ち越してもらったが、3-2の五回につかまった。先頭の宇草に左前へはじき返しされると、1死としてから鈴木誠に四球で一、二塁。松山を中飛に仕留めたが、会沢に甘く入った直球を右翼線に運ばれて2点を献上した。勝ち投手まであと1死としたところで交代が告げられ、五回途中6安打5失点で降板。2番手の谷川も連打されて、2点差に広げられた。  前回登板した1日の中日戦(甲子園)で七回途中4安打無失点で今季初勝利を挙げた。広島戦は今季初対戦で、昨季は4試合に登板して1勝2敗、防御率3・92。昨年7月5日以来、460日ぶりの鯉倒を目指し、中5日でマウンドに上がった。  試合前には「打線がつながるチームだと思うので、一人一人を何とか抑えられるように頑張ります」と警戒していたが、正念場で連打を許し、3点のリードを守り切ることはできず。四回以外はすべて先頭打者を塁に出す苦しい投球となり、自身2連勝はならなかった。(織原祥平)

◆阪神・岩田は五回途中6安打5失点で今季初黒星を喫した。「粘り切ることができず、とにかく悔しいです」。勝ち投手の権利がかかった五回に安打と四球などで2死一、二塁のピンチを招き、会沢に2点打を許したところで降板した。四回以外はすべて先頭打者を塁に出すなど苦しい投球となり、矢野監督も「ちょっとコントロールが悪すぎたわな」と厳しい表情だった。

◆阪神・サンズが30打席ぶりに快音を響かせた。三回1死で打席に立つと、甘く入った変化球を詰まらされながらもしぶとく左前へ。直後の梅野の適時打をおぜん立てした。9月27日のヤクルト戦(神宮)の第5打席から無安打が続いていたが、ようやく「H」のランプを灯した。しかし、九回2死二塁の好機では二飛に倒れて、試合終了。久しぶりに記録した安打を復調のきっかけにしたいところだ。

◆4試合ぶりの先発出場となった阪神・梅野は二回無死一塁、左翼線への二塁打で小幡の先制打をおぜん立てした。2-2の三回1死一、二塁では左前へ一時勝ち越しとなる適時打で右腹斜筋の筋挫傷から復帰後初マルチとなった。9月30日に1軍に復帰もスタメンマスクは原口、坂本と争う形。開幕前に併用となっていたときには「はね返していくしかない」と意気込んで正捕手をつかんだ選手会長が、今回も結果で示して返り咲く。

◆9月30日に育成から支配下登録となった阪神・石井がプロ初の1軍登板。3-8の八回にマウンドに上がったが、安打と四球で2死一、二塁とされると堂林に左前適時打を浴びた。1回2安打1失点のデビュー戦に矢野監督は「自分のボールはどうだったかとか、1軍のレベルはどうだったかとか、そういうのは分かったと思う。腕を振ってしっかり投げたかな」とコメントした。

◆白球はぐんぐんと伸び、中堅・宇草のグラブをはじいて芝生の上に落ちた。阪神・小幡は悠々と二塁ベースを踏み、安堵の笑顔。自身初の3試合連続安打を記録して必死にアピールした。  「前に飛ばせば何とかなると思いながら積極的に打ちにいきました。先制することができてよかったです」  甘く入った1球を見逃さなかった。二回無死二、三塁で先発・遠藤の直球を振りぬいて左中間へ2点二塁打。先制点を挙げて勢いに乗ると、三回にも1死一、二塁で低めの変化球に食らいつき、投手強襲の内野安打で自身初の2試合連続複数安打をマークした。前日6日には初の1番に座って2安打。この日は再び8番へ戻ったが、その存在感は日を追うごとに高まっている。  9月25日に新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触者を含む10選手が登録抹消。二遊間でスタメン出場していた木浪と糸原が戦列を離れ、巡ってきたチャンスを小幡がものにしている。遊撃で先発出場し始めた同日のヤクルト戦(神宮)から12試合で打率・293(41打数12安打)、4打点と調子も成績も上昇中。10月2日の巨人戦(甲子園)では初の猛打賞を記録するなど打席での集中力の高さと全力プレーでアピールを続けている。  目覚ましい成長を遂げている若虎に矢野監督は「経験することが全部あいつのプラスになると思う。試合に出て、すべてをこれからの糧にしてもらえればいいので」とさらなるブレークに期待した。実戦のなかでもまれながら成長を続ける背番号「38」が、これからもチームを勢いづかせる一打を積み上げていく。(織原祥平)

◆阪神は7日、広島戦(マツダ)に3-9で大敗した。チーム内で新型コロナウイルスの感染者が出てから5勝6敗1分け。大量入れ替えでの戦力ダウンは否めず、矢野燿大監督(51)は苦しい中継ぎのやりくりに「しんどい」と胸の内を明かした。  計算はできない。期待はできる。苦しい状況の中、少しずつでも明るい材料を見つけ、一つでも勝ちたい毎日だ。中盤以降に踏ん張り切れず、阪神・矢野監督は若虎たちへの正直な思いを口にした。  「出ていくメンバーにとってはチャンス。つかみ取ってほしいなと思うけど。谷川以降、能見はしっかり投げてくれたけど、あそこで1点でも少なくというところで」  岩田が五回2死まで奪いながら逆転を許したのも痛いが、その後だ。2死二塁で救援した谷川が長野と堂林の連打で、さらに1点を追加された。2点を追う七回は斎藤が4安打で3点を失って5点差。勝利は遠のいた。  チーム内の新型コロナウイルス感染拡大で岩崎、岩貞を欠く中継ぎ陣は苦しい。指揮官は「本当に、ちょっとしんどい」と中継ぎのやりくりに頭を悩ませていることを認めた。簡単に代わりは効かないが、代役に期待するしかない。言葉通り、出番を得た選手はチャンス。セットアッパーに挑戦している藤浪が光る瞬間もあるが、他に強烈な印象を残す選手がいない状況だ。  谷川も斎藤も多数のコロナ陽性や濃厚接触者らが判明した9月25日に昇格した。谷川は過去3試合、斎藤は9月26日のヤクルト戦(神宮)で、それぞれ1点差で登板も、その後2試合は大差を追う展開のマウンド。この日は十分に勝利に手が届く場面。絶好のアピール機会で、存在感を示すことはできなかった。  コロナショック後、5勝6敗1分けと黒星が先行した。巨人と13ゲーム差で優勝は厳しい。それでも現在2位。クライマックスシリーズ(CS)がないとはいえ、昨季の3位からの前進も大事な成果だ。順位をキープし、少しでも巨人との差を詰めるために乗り越えるべき試練。決して背負わせることはできないメンバーだが、指揮官もチームを押し上げる新鮮な力の台頭を祈っている。  「プロである以上は結果を出していかなあかんと思うし、そこは苦しい状況ではあるけどね」  ファンも逆境から生まれるヒーローを待っている。「コロナショック」で終わっては寂しい。(安藤理)

◆先発・岩田に指摘したいことは、私が言うよりも本人が一番分かっているだろう。二回の失点に象徴されている。先頭打者への四球だ。テンポよく低めに投げようという意図は、一回から感じられていた。打たれたくない思いから、狙いすぎてボール球になってしまったのは、惜しまれる。  四回から変化球が浮き始め、五回の投球は「原監督(巨人)なら交代」と思いながら見ていたが、そこは阪神ならではの事情がある。後ろを投げる投手の力量など、総合的判断で続投となったのはやむを得ない。  とはいえ、低めを意識して投げる姿勢は好感を持ったし、次回登板にも期待を抱いた。何より若い投手の手本になる。  コロナの影響を受けてしまい、投手陣の起用が難しくなっているのは事実。抜てきされている斎藤、石井らは今季ではなく、来季を見据えて1軍で投げていると思わなければいけない。矢野監督もそういう視点で原石を探しているはずだ。1試合1試合を大切に、抑えても、打たれても、何かをつかんでもらいたい。(本紙専属評論家)

◆"ザ・消化試合"となった広島-阪神。阪神・岩田、広島・遠藤、ともにほとんど走者を出さない回はないという、賞味期限を過ぎたサンショウのような投球(ピリッとしな~い!!)。それでも虎命の俺は一投一打に目をこらし、スコアブックを書き続けている、ほれた弱みの秋の夜...。で、俺、気付いたのだ。"大きな非情"と"小さな非情"の采配の差に...。  "小さな非情"...。六回、広島の攻撃が始まるとき、五回から放っていた右腕の谷川をあえて投球練習に送り出し、左の代打・大盛を誘い出して左腕・能見にチェンジ! 谷川にしてみたら、辛いよ~。その悔しさをバネに大投手になったれー!!  そして"大きな非情"...。というか、それができなかった矢野采配にモノ申す!! 1点リード、あとアウト1つで5回を投げ切れば勝利投手の権利が生まれるのは分かってるけど、2死一、二塁で誰が見てもヘロヘロの岩田続投...。しかも阪神戦にめっぽう強い会沢じゃ、逆転打許すわなあ...。  温情も分かる。俺も岩田大好きや! でもそれじゃ、名は出さんけど首位を走るあの球団の勝利至上采配には勝てんで!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
58304 0.659
(↓0.008)
M15
(↑1)
28432
(+3)
313
(+6)
112
(+1)
56
(-)
0.260
(-)
3.260
(↓0.02)
2
(-)
阪神
45435 0.511
(↓0.006)
13
(-)
27391
(+3)
377
(+9)
92
(-)
64
(+2)
0.246
(-)
3.610
(↓0.06)
3
(-)
中日
44455 0.494
(↑0.005)
14.5
(↑1)
26338
(+4)
385
(+1)
56
(+1)
22
(-)
0.247
(-)
3.850
(↑0.03)
4
(-)
DeNA
44465 0.489
(↑0.006)
15
(↑1)
25408
(+6)
377
(+3)
103
(+2)
22
(-)
0.267
(-)
3.790
(↑0.01)
5
(-)
広島
37469 0.446
(↑0.007)
18.5
(↑1)
28408
(+9)
437
(+3)
92
(-)
46
(+2)
0.266
(↑0.002
4.360
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
34526 0.395
(↓0.005)
23
(-)
28379
(+1)
467
(+4)
91
(+1)
53
(-)
0.248
(↓0.001)
4.710
(-)