阪神(☆6対1★)巨人 =リーグ戦20回戦(2020.10.05)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:髙橋 遥人(4勝3敗0S)
敗戦投手:桜井 俊貴(2勝3敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(24号・5回裏2ラン)

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◆阪神は同点で迎えた5回裏、大山の2ランで勝ち越しに成功する。続く6回には、高橋と近本の連続適時打で2点を加え、リードを広げた。投げては、先発・高橋が9回1失点14奪三振の快投。プロ初完投で今季4勝目を挙げた。敗れた巨人は、投打ともに振るわなかった。

◆巨人は今日の阪神戦に勝てば90試合目で貯金を30の大台に乗せる。 巨人の貯金30以上は13年以来だが、90試合以下で記録すれば70試合目(49勝19敗2分け)に到達した89年以来のスピードとなる。

◆前日4日の巨人戦(甲子園)で死球を受けて途中交代した阪神ジェリー・サンズ外野手(33)が、試合前練習に通常通り姿を見せた。他選手のフリー打撃の打球処理を行う程度で、自身は打撃練習に参加せず。矢野監督と数分間話す姿も見られた。 4日の巨人19回戦では、7回にデラロサの160キロ直球が左手に直撃。その後守備には就いたが、9回の打席で代打を送られていた。 現在サンズは打率2割6分8厘、18本塁打、57打点。得点圏打率は3日まで3割8分で12球団トップを走っていたが、現在24打席無安打と不振。同打率は3割7分に降下し、わずか3厘差で巨人坂本にリーグトップの座を受け渡している。 また、現在17打席無安打中のジャスティン・ボーア内野手(32)も試合前練習に姿を見せたが、屋外でフリー打撃などには参加せず。キャッチボールやノックを行い、室内へ引き揚げた。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が高橋遥人投手(24)、巨人が桜井俊貴投手(26)。阪神は前日に左手に死球を受けたサンズと、現在17打席無安打と不振のボーアがベンチスタート。マルテを含め、今季の助っ人野手3人がそろってスタメン落ちしたのはこの日が初めてだ。大山が8月中旬以来の4番に座り、和製オーダーで宿敵巨人に立ち向かう。

◆阪神が相手のミスで同点に追いついた。 1点を追う4回、この回先頭の4番大山が左前安打、5番原口が左翼線への二塁打で続き無死二、三塁。6番高山への3球目が捕逸となり同点とした。 その後、6番高山が空振り三振、7番坂本が投ゴロに倒れ、8番小幡は申告敬遠で2死一、三塁。9番高橋は一ゴロとなり、勝ち越しとはならなかった。 この日は17打席連続無安打で不振に陥っていたボーア、前日の試合で左手に死球を受けたサンズら助っ人陣がスタメンを外れた。大山が8月19日以来の4番復帰。高山が6番に座り、今季初の和製打線で挑んでいる。

◆阪神先発の高橋遥人投手(24)が岡本封じの快投を見せた。 同僚大山と本塁打王争いを繰り広げる敵の主砲だ。2回は内角速球で見逃し三振。4回は1点を失った直後の2死走者なしで低めカーブで空振り三振に仕留めた。アーチを阻止する間に大山が岡本に並ぶ24号2ランを放ち"熱戦"をアシストした。7回は岡本をツーシームで再び空振り三振。3打席3三振と圧倒した。この日は力任せではなく制球重視のスタイル。序盤に4者連続三振を奪うなど、7回まで10奪三振。2点リードの6回は2死二塁でプロ初打点の中前適時打をマークし、その直後は近本の左中間適時二塁打で一塁から激走の長駆生還した。シーズン自己最多の4勝目を目指し、打って投げて大活躍だ。

◆阪神大山悠輔内野手が、巨人岡本に並ぶリーグトップの24号2ランを放った。同点で迎えた5回2死一塁。2ボールから、巨人先発・桜井の3球目の直球を捉えて、バックスクリーンへ運んだ。 「(高橋)遥人が頑張ってくれていますし、なんとかしたいと思っていたので、勝ち越すことができて良かったです。自分のスイングができました」。 この日は8月中旬以来の4番。5回まで相手打線を3安打1失点に抑えていたチームメートの好投を支える1発にもなった。 今回の4連戦は、本塁打王を争う岡本との直接対決で注目されている。阪神から本塁打王が出れば、86年のバース以来となる。 岡本は5回を終わって、先発高橋の前に2打数2三振。

◆阪神が、近本光司外野手(25)の3本目の安打でさらにリードを奪った。 6回、この回から変わった巨人2番手の宮国から好機をつくり、2死一塁。中越え二塁打、中前安打、左飛と続いて迎えた第4打席。1ボールから直球を捉え、5点目を生み出す中越えタイムリーを放ち5-1とした。「(高橋)遥人もタイムリーを打ってくれましたし、1点でも多い方が良いので、つなぐ意識を持って打席に入りました。追加点を取ることができて良かったです」と上位打線としてしっかり機能した。 1試合で3本の安打を放つのは、9月27日のヤクルト戦(神宮)以来。この日は6打数4安打を放っている。

◆阪神先発の高橋は3回まで1安打5奪三振の快投。巨人先発の桜井も1回に2死一、三塁のピンチを迎えたが無失点に抑えた。 巨人は4回に坂本の適時二塁打で先制した。阪神は5回に大山の24号2ランで勝ち越し、6回にも2点を追加した。 阪神高橋が自己最多14奪三振で4勝目。打線も中盤以降に活気づいた。巨人は桜井が3敗目。2位とのゲーム差は12・5となった。

◆阪神先発の高橋遥人投手(24)がプロ初完投で自己最多のシーズン4勝目をマークした。「素直にめちゃくちゃうれしいです。うまくリードしてもらった」。岡本封じの快投を見せた。同僚大山と本塁打王争いを繰り広げる敵の主砲だ。2回は内角速球で見逃し三振。4回は1点を失った直後の2死走者なしで低めカーブで空振り三振に仕留めた。アーチを阻止する間に大山が岡本に並ぶ24号2ランを放ち"熱戦"をアシストした。7回は岡本をツーシームで再び空振り三振。3打席3三振と圧倒した。 中5日だったこの日は力任せではなく制球重視のスタイル。無四球の好内容だった。序盤に4者連続三振を奪うなど、自己最多の14奪三振に達した。お立ち台で数えていたか問われ「まあまあ取れたんですけど(数は)分からないです。10いったか、いってないかだと思った。ちょっとビックリしています」と話した。 2点リードの6回は2死二塁でプロ初打点の中前適時打をマークし、その直後は近本の左中間適時二塁打で一塁から激走の長駆生還した。

◆巨人元木大介ヘッドコーチが、阪神高橋に脱帽した。1失点で完投され、今季ワーストタイの14奪三振。「です! です! 14個です!」とドラマ「半沢直樹」に登場した大和田常務の「おしまいDEATH(です)」のセリフで答えた。 3打席3三振の岡本には「いい刺激になっていいんじゃない。和真も負けてられないという気持ちは絶対あるはず。見守るだけです。です! です! 以上です!」と繰り返した。

◆セ・リーグ2位の阪神が、優勝マジック17が点灯している同首位の巨人と対戦。 阪神は1点を追う4回に巨人大城の捕逸で同点。5回には大山が2ランを放ち、勝ち越した。6回には高橋の中前安打と近本の二塁打で追加点。先発の高橋が9回を1失点に抑え、初の完投で勝利した。巨人は4回に坂本の右中間への二塁打で先制するも、高橋の前に14三振を喫し敗れた。

◆阪神先発の高橋遥人投手(24)がプロ初完投で自己最多のシーズン4勝目をマークした。 「素直にめちゃくちゃうれしいです。うまくリードしてもらった」。 ▼阪神高橋がプロ初完投、初の無四死球をマークし、自己最多の14三振を奪った。9回終了試合で巨人から14奪三振以上は93年6月9日の伊藤智仁(ヤクルト=16個)以来。阪神投手の14奪三振以上は87年9月10日ヤクルト戦の猪俣隆(14個)以来になる。阪神投手の巨人戦14奪三振は最多タイ。延長戦を除くと、小山正明(58年6月10日)村山実(59年5月21日、60年4月16日)江夏豊(67年10月8日)以来4人目、5度目。なお80年4月19日には、江本が9回まで奪三振12、延長10回に2つを加え、計14三振を奪った例がある。

◆打たれたくない相手に、甲子園のバックスクリーンにたたき込まれた。同点の5回。巨人桜井俊貴投手が2死からの四球後、阪神大山に2ボールから143キロを運ばれた。24号2ランを許し、自軍の4番岡本に並ばれた。 4回に1点を先取しながら逆転を許す展開に、原監督は「2アウトを簡単に取ってフォアボール。4番バッターに0-2から真っすぐでホームラン。あれじゃ子供ちゃんが野球をやっているようなもの」と厳しく言った。昨季8勝を挙げた右腕は5年ぶり優勝の立役者の1人だった。それだけに今季2勝にとどまる姿がもどかしい。 8月2日以来の先発で結果を出せず、優勝マジックは17のまま。「彼の人生はチャンスはありっぱなしなんだから。チャンスをどうやって取っていくか。勝負の時に力を出すことが最も大事。プロセスは大事だけど、やっぱり結果が全てだから」と奮起を促した。 ▽巨人宮本投手チーフコーチ(桜井について)「ストレートも走っていたし、勝負どこを間違えた。ストライクを取りに行ったところをいかれた。次回はそういうのがないように」 ▽巨人桜井(5回3失点で3敗目)「四球の後の本塁打で試合の流れを変えてしまいました。冷静になれば防げた失点なのでチームに申し訳ないです」

◆阪神高山俊外野手が意地の一撃を放った。不調のサンズに代わって、「6番左翼」で8月11日DeNA戦以来の先発。 4点リードの7回1死一、二塁。堀岡の初球内角速球に詰まりながらも右前に運んだ。加点適時打を「打つことができてよかったですが、もっと早い打席から打たなければいけなかったという悔しさの方が強い。そこは反省したい」と振り返った。 4回は無死三塁の勝ち越し機で空振り三振。それだけに適時打の直後は苦笑いで首をひねった。矢野監督も「あの1本じゃダメでしょう。ハードチャンスで、自分で引き寄せる打者になるのが俊の目指しているところ」と辛口。16年新人王には爆発的な働きを期待する。今季は不振で2軍生活が長い。コロナ禍で1軍ナインが大量抹消されて、9月25日に緊急昇格。一大事で存在感を示した。

◆阪神原口文仁が今季初めて一塁で先発出場した。昨季7月20日のヤクルト戦(甲子園)以来。5回を終えてベンチに下がったが、無難にこなした。 5番は9月30日の中日戦(甲子園)以来4試合ぶり。4回無死一塁で桜井から左翼線二塁打を放って二、三塁と好機を拡大し、捕逸での同点につなげた。

◆阪神はジャスティン・ボーア内野手、ジェリー・サンズ外野手の助っ人コンビがそろって欠場した。 ボーアはこの試合まで17打席連続ノーヒット。サンズは24打席連続で快音が響かず前日4日には左手に死球を受けて途中交代していた。矢野監督は「指も腫れているしね。今日は無理させない方がいいのかなというのもあるし。ボーアがあまり状態が良くないんで。そういう意味では連戦も続くし、総合的に判断したというところ」と説明した。

◆阪神は1点を追う4回に巨人大城の捕逸で同点。5回には大山が2ランを放ち、勝ち越した。6回には高橋の中前安打と近本の二塁打で追加点。先発の高橋が9回を1失点に抑え、初の完投で勝利した。巨人は4回に坂本の右中間への二塁打で先制するも、高橋の前に14三振を喫し敗れた。矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。   (テレビインタビュー) -高橋が初完投のナイスピッチング いい意味で力が抜けて、間があって強弱があって。そういうことが完投につながったと思います。 -メリハリがついていた そこらへんを丁寧にいきながら、またキャッチャーの誠志郎(坂本)もそういういいボールを引き出したっていうのもあったと思います。 -打ってもマルチ安打 もともとバッティングはね、遥人もいいので。そういうところでは打ってくれたらいいなと思ってましたけど、本当にいいバッティングでした。 大山に24本目が出た なかなかチャンスでもね、1本出ないチーム状況の中でホームラン打ってくれたらいいなというところで、本当にそのように打ってくれたのでね。またホームランキングというタイトル争いもできますし、こういう場面でどんどんホームラン、打点を挙げてほしいですね。 -大山の1発はチームにも好影響 今日みたいにね、チームを勝ちに導く、そういうのももちろんありますし、ホームランって流れが変わるんでね。大山にその魅力がある。これからも期待しています。 -明日から広島へ 本当にチーム状況苦しいんですけど、だからこそ僕らは目の前の試合を全力で、そして精いっぱい、また広島でも戦っていきます。   (囲み取材) -大山の1発で流れが来た 結果的には、そうなるんだけど、さっきも言ったようになかなかタイムリーは出ないんでね。しかも2アウトから。流れが変わる。向こうからしたらピッチャーの勝ち投手の権利が変わるところ。四球からのホームランというのはダメージがあるやろうしね。こっち側からすると効果的なホームランになる。 -大山が得点に絡む   返す打順だし、返すバッターなんでね。内容のあるバッティングでした。 -サンズは欠場  指も腫れているしね。今日は無理させない方がいいのかなというのもあるし。ボーアがあまり状態が良くないんで。そういう意味では連戦も続くし総合的に判断したというところ。 -高橋は力が抜けていた それをどうしたかっていうのは遥人に聞いてみなきゃ分からないけど、丁寧に投げるのがそういうふうに力が抜けたのか、あえて力を抜いたのかは今の時点では俺には分かっていないんだけど。もちろんちょっと力を行かないようにコントロールだったり、高さだったりを気持ちの中で丁寧に投げよう投げようとしていたのかもしれないし。本当にこう強弱......いつもどっちかといったら強、強、強で変化球も強いんでね。あのスピードの差はね、カーブも使ったり、同じ球種でも速さを変えたりね。そういうところで相手からすると打ちにくいんかなと。今までの遥人のイメージとは違ったので。まあそれが誠志郎のリードっていうのもあるし、総合的にそういうところかなと思います。 -完投を経験すると変わる まあ最後まで行きたいっていうのがピッチャー心理やろうし。今までもチャンスっていうのはね、あるようなピッチングはしていたと思うし。スケール大きなピッチャーになってもらいたいんでね。完投のみならず完封も間違いなくやってくれるといいなと思っています。 -サンズの代わりの高山も結果 あの1本じゃダメでしょ。チャンスでね。打っていくっていうのが。俊もあの1本でもっと期すると思うけどな。流れの中で打ったタイムリー。でも自分で引き寄せるような、ハードチャンスで自分で引き寄せるようなバッターになっていくっていうのが、俊が目指しているところだと思う。ヨシ! これでいいぞというところまではまだ来てないと思う。結果的にね。今日の試合で。そういうのを出していってくれたら。 -鳴尾浜で福留らが練習再開。今後は これだけ動いてないんだからさ。そんなすぐには戻れないし。チーム状況も苦しいけど、これでやるしかないんで。帰ってきたメンバーもいろんな思いを持ってるから。次、試合に出られるように今やれるベストを尽くしてくれたらいいし。それからどうするかというのはまだ先になると思うし。まずは身体動かしてないと思うし、今言ったようなことだよね。

◆巨人宮国椋丞投手(28)が、右肩のコンディション不良で6日に1軍登録を抹消されることが決まった。阪神20回戦の6回に2番手で登板。1点を失い、なお2死一塁の場面で近本に適時二塁打を浴び降板となっていた。宮本投手チーフコーチは「宮国と堀岡はファームです。宮国はちょっと体的に負傷の方がでたという。堀岡は、もう一つなんです」と説明。堀岡は3番手で登板し高山に適時打を浴びるなど、1回1/31失点だった。代わりの昇格について、同コーチは「若手の枠なので明日から2人また呼びます。ちょっとリリーフ陣が結構ハードになってきているので連投連投となっているので明日呼ぶ人は期待してください」と話した。

◆阪神高橋遥人投手(24)が猛虎のレジェンドに並ぶ快投を見せた。無四球1失点でプロ初完投。巨人戦での14奪三振は、小山、村山、江夏に続く球団史上4人目(延長戦をのぞく)。相手の4番岡本から3打席連続三振を奪い、本塁打王を争う大山を強力援護。自身のG戦連敗を「3」で止め、今季4勝目を挙げた。最後まで、面白いように巨人打線のバットが空を切った。9回2死、3番坂本から14個目の三振を奪うと、高橋は喜びのガッツポーズ。4番岡本を3三振に抑え込む完璧なG倒だ。今季4勝目をプロ初完投で飾った。「(三振は)10いったか、いってないかくらいかなと思ったので、ちょっとびっくりしてます」。お立ち台でのんびりと話す一方で、歴代の名投手にも肩を並べた。阪神の投手が巨人戦で14三振を挙げたのは、江夏豊以来4人目の快挙だった。 緩急で翻弄(ほんろう)した。この日の最速は145キロ。130キロ中盤の直球も多投した。「真っすぐが力を入れても全然良くなかったので。球速自体は10キロ近く変わる。真っすぐを良く見せるための真っすぐです」。このオフから取り組んできたカーブも6球。4回に先制された後に岡本から空振り三振を奪うなど、要所で生きた。「昨年から練習してきて、試合を組み立てるパターンに入ってきたっていうのは、すごくうれしいです」。キレのある直球だけではない。また大きな武器が加わった。 今年の1月。初めて参加した母校亜大の自主トレで、今後に生きる金言を授かった。「カーブを投げ始めてから、長いイニングを投げられるようになったよ」。声の主は、ソフトバンク東浜。ブルペンで横に並んだ先輩から、経験に基づく大事なアドバイスをもらった。「東浜さんから聞けたので。やっぱり緩急って大事だなって思いました」。昨年の秋から続けていた新たな取り組みに、背中を押された気がした。 この日は打席でも6回に中前打を放ち、プロ初打点を挙げるなどマルチ安打。「自分でもちょっと、こんなバッティング良かったっけなと思って。バッティングのほうがほめてあげたいですね、はい」。お立ち台でおどける高橋に、球場のファンは笑顔で大きな拍手を送った。矢野監督も「いい意味で力が抜けて、間があって強弱があって。そういうことが完投につながったと思います」と中5日での完投を手放しにたたえる。最初の1球から113球目まで、この日の主役はプロ3年目の左腕だった。【磯綾乃】

◆3割フィニッシュいけるぞ! 阪神近本光司外野手(25)が今季10度目の猛打賞。打率を今季最高の2割9分6厘に上昇させた。 「プレーボールがかかった時の1打席目をしっかり大事にしています」。言葉通り、1回先頭で桜井から右中間フェンス直撃の二塁打。3回の左前打に続き、6回は2死一塁で左中間を破る適時二塁打でリードを4点に広げた。2本の長打はいずれもファーストストライクを仕留めた積極スイング。「しっかりタイミングが合えば打ちにいこうと思ってた。振り抜けたのがよかった」と会心の笑顔だ。 いよいよ初の3割超えが見えてきた。「(3割を)意識していないといえばウソになる」。正直な胸の内を明かすが「1日1本、2本というのをしっかり意識して。チームの勝利につながるような1本を意識してます」と、リードオフマンとしての自覚も忘れない。 発奮材料もあった。巨人戦の打率はカード別最低の2割3分5厘。「ずっと気になっていました。(チームも)負け越しているので責任は感じています」。これまでの分も取り返すべく、打ちまくった。「何としても勝たないといけない相手。4戦目でしっかり勝ててよかった」。残り29試合。ヒットマンが3割超えで勝利を導く。【只松憲】

◆阪神大山悠輔内野手(25)が口元を引き締めたまま、右腰に手を置いたライバル岡本の前を走り去る。勝ち越しのバックスクリーン弾。虎の4番の意地だ。 「本当に(高橋)遥人が頑張って投げてくれていた。なんとか援護したいという気持ちが強かった」 同点の5回2死一塁。2ボールから桜井の失投を見逃すわけがない。前日は3四球。この日の1打席目も四球。好球に飢えていた。ショート回転気味に浮いた143キロ直球。力まず、強引にいかず、豪快に2ランを決めた。 「自分のタイミングで振り抜けたことが良かった。1発で仕留められたことがすごく大きかったです」 今季24号。リーグトップの巨人岡本に並んだ。バックスクリーン弾の賞金100万円もゲット。そんな事実以上に、ただただ目の前の1勝を喜んだ。 この日、今季初めて助っ人勢の名前がスタメンから消えた。1カ月半に渡って4番を張ったサンズは現在24打席連続無安打。前日7回には左手に死球を受け、途中交代していた。ボーアも17打席連続無安打と苦しんでいた。和製打線の中で47日ぶりに4番を任された一戦。「やることは変わらない」。3安打3得点2打点で期待に応えた。 寝ても覚めても打撃を追求してきたから、今がある。2月の沖縄キャンプ中には夜中、突然「ベイベ、ベイベ...」と歌声が聞こえて、跳び起きたこともあった。布袋寅泰の代表曲「スリル」。ボール1箱分の連射ティー打撃が始まる際、宜野座球場に流れるBGMだ。「起きて、無意識のうちにバットを探してしまって...」。昨季14発からの進化は努力の証に違いない。 白熱する本塁打王争いには「試合が優先。まずは目の前の試合です」と冷静。ただ、甲子園で揺れに揺れるネーム入りの赤タオルを見る度に力が湧く。 「タオルを広げてもらえている数の多さは見ていて思う。素直にありがたいですし、広げてくれてるファンのためにもなんとか頑張りたいと思っています」 勝利を、ファンの笑顔を追い求めた先に、阪神では86年バース以来となる「キング」の勲章が待つ。【佐井陽介】

◆スターティングメンバーが発表され、阪神のジェリー・サンズ外野手(33)とジャスティン・ボーア内野手(32)が先発を外れた。サンズは現在24打席連続無安打。ボーアも17打席連続で快音が響いておらず、状態を落としていた。  代わって左翼のポジションに高山、一塁は原口が入り、4番には大山が座った。今季91試合目で、助っ人野手が一人もスタメンに名を連ねないのは初。国産打線で巨人の先発・桜井攻略に臨む。

◆負の連鎖はまだ続いていた。阪神は0-1で迎えた四回、無死二、三塁と逆転の好機も高山が空振り三振、坂本は投ゴロ、小幡が申告敬遠の後、高橋が一ゴロに倒れ、奪った得点は高山の打席で、相手の捕逸による1点のみに終わった。  一回は先頭の近本が二塁打を放ち、北條の遊ゴロの間に三進。1死三塁としたが糸井が空振り三振、大山が四球とし、続く原口は空振り三振に終わっていた。前日4日から、適時打が出ておらず決定打に欠いている。  この日は、不振のサンズとボーアの両助っ人をスタメンから外し、原口、高山を起用したが...。ポイントゲッターの不在が深刻にのしかかっている。

◆4番の座に舞い戻った若き主砲が甲子園に大歓声をもたらした。阪神・大山悠輔内野手(25)が1-1の五回にバックスクリーンへ、勝ち越しの24号2ランを放った。  カウント2-0から桜井の143キロを一閃。24号2ランでセ・リーグトップの巨人・岡本に並んだ。この日は不振のサンズに代わって、8月19日の巨人戦(東京ドーム)以来の4番復帰。打線が決定打に欠き、攻めあぐねていた中、これぞ4番の仕事。豪快な一発で虎党のストレスも晴らした。

◆阪神の先発・高橋遥人投手(24)が、圧巻の奪三振ショーだ。二回、中島を見逃し三振に仕留めると三回は大城、若林、桜井を三振で斬り4者連続。4番・岡本に対しては、3打席すべて三振を奪うなど、七回までに10個の三振を奪った。今季初登板の8月6日の巨人戦(甲子園)でマークした自己最多の11奪三振に迫る勢いだ。  打っては3-1で迎えた六回。2死二塁から初球をたたき、中前適時打。プロ初タイムリーで貴重な4点目を挙げると続く近本の二塁打に、一塁から本塁まで一気に激走した。投げて、打って、走って、背番号29がG倒へ躍動した。

◆巨人・桜井俊貴投手(26)が阪神戦に先発し、5回6安打3失点で降板した。  桜井は毎回ランナーを背負うも三回まで無失点で切り抜けた。しかし味方打線に1点の援護をもらった四回、連打で無死二、三塁のピンチを招くと、打者・高山の場面でバッテリーエラー(捕逸)。三走・大山の生還を許し同点に追いつかれた。さらに五回、2死一塁から大山に143キロの真っすぐをバックスクリーンに運ばれ2点を勝ち越された。桜井は5回を投げきったが、6回に代打を出され交代した。  8月2日の広島戦(東京ドーム)以来となる先発のマウンドだったが、結果を残すことが出来なかった。

◆巨人の坂本が四回に先制二塁打。1死一塁でサウスポー高橋が投じた速球を捉え、大きな打球で右中間を割った。果敢に三塁を狙ってアウトになったものの「力強くスイングできた」という納得の打撃だった。  これが今季90安打目。連続試合安打を8に伸ばし、開幕時点であと116本だった節目の通算2000安打へ着々と前進している。

◆阪神の先発・高橋遥人投手(24)が自己最多を更新する12奪三振をマークした。  二回、先頭の岡本を141キロで見逃し三振に斬り、この日1つ目の三振を奪うと、快投乱麻の奪三振ショーが始まった。4者連続三振を奪うなど、バットは次々と空を切る。岡本に対しては第2打席、第3打席も三振に抑え、つけ入る隙を与えなかった。  八回は無死一、二塁のピンチも大城を空振り三振でこの日11個目。今季初登板の8月6日の巨人戦(甲子園)でマークした自己最多に並ぶと、続く若林も空振り三振で記録更新。最後はウィーラーを二飛に仕留め、無失点で切り抜けた。  高橋は八回の打席にも立ち、右前打でこの日2安打と打撃も絶好調。プロ初の完投を目指し、九回のマウンドに向かう。

◆阪神は6-1で巨人に快勝。今回の甲子園での巨人4連戦を2勝2敗で終えた。  0-1の四回、無死二、三塁から大城の捕逸で追いつき、五回2死一塁からは、大山がバックスクリーンにセ・リーグトップの岡本(巨人)に並ぶ勝ち越しの24号2ランを放った。  2点リードの六回には投手の高橋、近本の連続適時打で加点。七回には8月11日以来のスタメン出場だった高山がダメ押しの適時打を放った。  中5日で先発した高橋は9回を投げ切って無四球で1失点。今季4勝目(3敗)をプロ初完投&自己最多の14奪三振で飾った。  打撃不振のサンズ&ボーアの助っ人コンビを先発から外して、今季初めて日本人選手だけで打撃オーダーを組んだ。2人は途中出場もなかった。

◆巨人は投手陣が踏ん張れず、連勝がストップ。優勝マジックは「17」で足踏みとなった。  巨人は四回、坂本の右中間への適時二塁打で先制するも、先発の桜井が五回に大山に勝ち越し2ランを浴びた。さらに2番手の宮国が2/3回2失点。3番手の堀岡も1回1/3を1失点と踏ん張れず。  打線は5点を追う八回、丸、中島の連打で無死一、二塁のチャンスを作るも後続が凡退し得点を奪えず。4番・岡本が3三振するなど、阪神・高橋に14三振を奪われ、プロ初完投を許した。

◆阪神は高橋遥とのプロ初完投と大山のキング争いトップに並ぶ24号勝ち越し2ランなどで巨人に快勝した。以下、矢野燿大監督の一問一答。  --快勝。高橋が初完投  「いい意味で力が抜けて、間があって強弱があって。そういうことが完投につながったと思います」  --いつもよりスピードはなかったように見えたが、メリハリがついていた  「そこらへんを丁寧にいきながら、またキャッチャーの誠志郎(坂本)もそういういいボールを引き出したっていうのもあったと思います」  --打撃でいうと、大山に24本目が出た  「なかなかチャンスでもね、一本出ないチーム状況の中でホームラン打ってくれたらいいなというところで、本当にそのように打ってくれたのでね。またホームランキングというタイトル争いもできますし、こういう場面でどんどんホームラン、打点あげてほしいですね」  --不振のサンズとボーアが欠場  「サンズは指が腫れているしね。ボーアもあまり状態がよくないので、そういうところでは、連戦も続くし、総合的な判断で外した」  --鳴尾浜で戦列を離れていた福留らが練習再開。今後は  「これだけ動いてないんだからさ。そんなすぐには戻れないし。チーム状況も苦しいけど、これでやるしかないんで。帰ってきたっていうか、そのメンバーもいろんな思いを持ってるから。次、試合に出られるように今やれるベストを尽くしてくれたらいいし。それからどうするかというのはまだ先の話になると思うんでね。まずは身体動かしてないと思うし、今言ったようなことだよね」

◆巨人は阪神の高橋に14三振を奪われ、プロ初完投を許した。元木ヘッドコーチは「低めの出し入れがうまかった。打とうとしたらボール球。やられる時はこういう感じ」と顔をしかめた。  4番岡本は無安打で3打席連続三振。本塁打王を争う大山に24本で並ばれた。元木ヘッドコーチは「いい刺激になっていいんじゃない。和真も負けていられないという気持ちは絶対にあるはず。負けないように頑張ってほしい」と主砲の奮起を期待した。 巨人・宮本投手チーフコーチ(桜井に) 「調子自体は悪くなかった。直球は走っていた。勝負どころを間違えてしまった」

◆巨人の宮国と堀岡が出場選手登録を外れることが決まった。宮国は六回から2番手で登板し、2死しか取れずに2失点。救援した堀岡は1回1/3を1失点だった。  宮国は右肩のコンディション不良を訴えた。宮本投手チーフコーチは「負傷が出た。体が万全ではないということ」と話した。

◆先発ローテーションの谷間でチャンスをもらった巨人・桜井俊貴投手(26)がピリッとしなかった。原監督は5回3失点の右腕へ、厳しい言葉をかけた。  「あれじゃあ、子供ちゃんが野球をやっているようなもの。点の取られ方は、もう少しできる人だと思う」  四回に1点を先制したその裏に同点を許し、五回は2死後に四球を与え、4番・大山にカウント2-0からバックスクリーンへ24号2ランを献上。岡本のリーグトップの本塁打数に並ばせてしまった。  桜井は「四球の後の本塁打で試合の流れを変えてしまいました。冷静になれば防げた失点。チームに申し訳ない」とうなだれた。昨季は8勝したが、今季は2勝3敗にとどまる2016年ドラフト1位右腕。期待が大きいだけに指揮官は「われわれは結果が全て。桜井だから、一つ大きくなってほしいと思うけどね」と悔しい様子だった。(谷川直之)

◆巨人・岡本和真内野手(24)が今季3度目の3三振。目の前で、本塁打王を争う阪神の4番・大山に24本塁打で並ばれた。  「和真も(大山に)負けていられないという気持ちは絶対あるはずだから、それに負けないようにね。和真もまずチームのことを考えて、プレッシャーを感じてやっている」  元木ヘッドコーチが主砲の胸中を代弁した。岡本は阪神・高橋の低めの変化球に苦戦し、3打席連続三振。打線全体でも左腕の前に5安打1得点に終わり、今季最多の14三振を喫した。  5試合ノーアーチの岡本は大山と並ぶリーグトップの24本塁打、同トップの72打点。日頃から「特に意識することなく、チームが勝てるように」と話すが、球団では2002年の松井秀喜以来となる日本選手の本塁打王へ、期待は高まる。ライバルとの競り合いがし烈になってきた。(谷川直之)

◆高山は8月11日のDeNA戦(横浜)以来の先発。四回無死三塁の勝ち越しのチャンスでは空振り三振に倒れたが、5-1の七回1死一、二塁ではダメ押しの右前適時打を放った。4打数1安打に「もっと早い打席から打たないといけなかったという悔しさのほうが強いですし、そこは反省したい」と悔しげ。矢野監督も「あの1本じゃダメでしょ。俊(高山)もあの1本で、もっと期すると思うけどな」とハッパをかけていた。

◆サンズとボーアがスタメン落ちし、出番がなかった。サンズは8月20日の巨人戦(東京ドーム)から4番を務めてきたが、ここ6試合24打席連続で安打なし。4日に左手に死球を受け、矢野監督は「指が腫れているしね」と明かした。17打席連続安打なしと不振だったボーアは7月22日以来の出番なし。将は「あまり状態がよくない。連戦も続くし、総合的な判断で外した」と説明した。

◆やられっぱなしの巨人に意地をみせた。リードを3点差に広げた六回2死一塁。近本が宮国の直球をたたくと、打球は左中間へ。5点目を奪う適時二塁打となった。  「しっかり振りぬけたのがよかったと思います。(巨人に)4戦目で、しっかりと勝ててよかったです」  一回は右中間フェンス直撃の二塁打。三回は左前打を放つも、得点には結びつかなかった。迎えた六回。高橋がプロ初の適時打を放った直後。凡打に終わるわけにはいかない。その答えが今季10度目の猛打賞だった。打率・296まで上昇し、3割も目前に迫った。  「意識していないといえばウソになるんですけど。その数字よりは1日1本、2本というのをしっかり意識して」  昨年はセ・リーグの新人安打記録を更新する159安打を放ち、さらなる飛躍を誓った。だが、プロの世界は甘くはなかった。開幕直後からの不調は1カ月以上続き、スタメン落ちの屈辱も。悩んだ末の結論が「あまり深く考えずに」-。8月は打率・352(108打数38安打)と打ちまくると、9月も・295。10月も5試合で・391と絶好調だ。今や目標は3割到達ではない。3割プラス、どれだけ上乗せできるか、だ。  「僕たちは、まだまだ(優勝を)あきらめていない。しっかりチームの勝利につながるような1本を意識して、これからも頑張っていきます」  虎の安打製造機は、最後の最後まで打って、走って、守って...と、全力プレーで虎党を喜ばせることを約束した。(三木建次)

◆バックスクリーンへ、きれいな放物線が架かる。冷たい秋風が吹く甲子園に熱気の渦を巻き起こした。4番に返り咲いた大山が決勝アーチ。今季初の純国産打線に、主砲が火をつけた。  「甘い球だったので、一発でいけたことはよかった。遥人(高橋)も頑張っていましたし、何とか援護したいという気持ちだった」  1-1の五回2死一塁。高めに浮いた桜井の143キロ直球を見逃さなかった。首位だった巨人・岡本も見つめる前で、リーグトップタイの24号2ラン。さらに「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」として賞金100万円をゲット。それでも「賞金よりも、勝てたことを素直に喜びたい」と自らの殊勲打をかみしめた。  この日、矢野監督はサンズとボーアをスタメンから外した。S砲に代わって8月19日の巨人戦(東京ドーム)以来の4番に座った大山の決勝弾は、前日4日から6度連続で得点圏の好機を生かせていなかった拙攻の連鎖を断ち切った。主砲に導かれ、打線は13安打6得点と爆発。助っ人不在によるパワー不足を感じさせず、将も「ホームランって流れが変わる。大山には、その魅力がある。これからも期待してます」と目を細めた。  大山は四回と七回にも左前打を放ち、今季7度目の猛打賞。3安打はすべてファーストスイングで仕留めた。以前、井上打撃コーチは「振る勇気と振らない勇気。この球は張らないという勇気も必要。それが合致したとき、他の選手には見られないような集中力を発揮する」と評した。  際どい球に手を出さない我慢強さがあってこそ、持ち味の積極性が生きる。ひと振りで勝負を決める正確性もついてきた。頼もしく成長曲線を描く背番号3は「求めているスイングはもっと高いところにあるけど、少しずつ近づいてきている」とうなずいた。  「自分の赤いタオルを広げてもらえている数の多さは素直にありがたいし、ファンのためにも頑張りたい」  残り29試合。もう主砲の座は渡さない。力をくれる虎党のためにも、アーチを描き続ける。(原田遼太郎)

◆スゴいぞ、遥人! 阪神の3年目左腕、高橋遥人投手(24)が5日の巨人20回戦(甲子園)で5安打1失点と好投し、初の完投勝利。6-1での快勝に貢献した。今季両リーグ最多タイの14奪三振。巨人戦で阪神の投手が9イニングで14三振を奪うのは、1967年の江夏豊以来、53年ぶりの快挙となった。首位を独走する宿敵に、一矢を報いた。  半世紀以上の時を超え、甲子園で"江夏の奪三振ショー"が再現された。53年前に王や長嶋がそうしたように、岡本や坂本が顔をしかめる。高橋が巨人から14奪三振。プロ初完投も達成し、お立ち台で笑顔を見せた。  「素直にメチャクチャうれしい。(三振は)10いったかいってないかくらいと思っていたので、ビックリしています」  ショーは二回、先頭の岡本から見逃しで奪って開演。切れのいい直球が武器だが、この日は最速145キロに「6割」の力という130キロ台に抑えた直球をまぜた。「真っすぐをよく見せるための真っすぐ。(うまくいって)奇跡です!」。春季キャンプから練習してきた110キロ台のカーブも駆使。「カーブで試合を組み立てるパターンが入ってきたのは、すごくうれしい。練習してきてよかった」。14個目は136キロのツーシームで坂本を空振りで仕留めた。  阪神の投手が巨人から9回終了の試合で14三振を奪うのは、1967年10月8日の江夏豊(完投、甲子園)以来、53年ぶり。過去には村山実も14三振を奪っている。無四球でとなれば、58年6月10日の小山正明(完封、後楽園)以来だ。  打っても3-1の六回2死二塁で、宮国のフォークボールを中前へ。プロ初打点を記録すると、八回にも右前打。昨年7月26日の巨人戦(東京ドーム)以来となるマルチ安打をマークし「バッティングの方がほめてあげたいですね」と笑った。  静岡市出身で5人きょうだい(4男1女)の次男。厳しい練習に耐えてきたことが、快投への礎だ。小さい頃から、静岡・自動車工高(現静岡北高)野球部出身の父・智太郎(ちたろう)さん(60)の指示には"絶対服従"。歯を食いしばって練習し、高校(常葉学園橘)からのプロ入りはかなわなかったが、厳しい練習で知られる亜大で鍛えてプロ入りへの道を開いた。才能はもちろん、そんな姿に亜大・生田監督は「この子は絶対にプロに行かせたい」と周囲に公言していた。  昨季はシーズン終盤に4連敗と失速。スタミナ不足を解消するため、昨オフは亜大で合同自主トレを行い、鍛え直した。  朴訥(ぼくとつ)で話すのは苦手だった少年が、この日はお立ち台で思いをしっかりと口にした。強調したのは、周囲への感謝だった。  「持っている以上を出してくれるようにリードしてもらっている。キャッチャー、スコアラーさんのおかげです」  13連戦の7戦目での完投は救援陣の負担も減らし、チームに大きく貢献。新たな引き出しを見せ、左腕は進化を続ける。(菊地峻太朗)

◆シェークスピアの『夏の夜の夢』を超える本日の阪神の感動作『秋の夜の夢』は誰が戯曲を書いたんや~!! スタンディングオベーション!!  まず開演(試合)前の序章からジ~ンときたねェ!! スランプ中のサンズ、ボーアをバッサリとスタメンから外して『純和製の虎オーダー』を組んだ矢野さん、ええ演出やー!!  カ~ッと全国の虎党の胸を熱くしたのは、14奪三振の完投勝利を飾った高橋遥人。大山と本塁打王を争う岡本と真っ向勝負で3三振。サイコーの助演なのだ。  本日の主演はもう文句なし。五回、岡本に並ぶ24号2ランをバックスクリーンにほうり込んだ大山悠輔選手以外にいなーい!! ワ~ワ~ワ~、もうスタンディングオベーションのウエーブを俺一人でクルクルと繰り返して目が回ってしまいました~。  猛虎打線は毎回の13安打。巨人との4連戦の最後にシアワセな幕を下ろしてくれたのだ。

◆高橋と桜井、大山と岡本。先発と4番の明暗が勝負の明暗も分けた。  高橋は手も足も出ないような球ではないが、コントロールがよく、球数が少なかった。これが打線のリズムを生んだ。  桜井は五回2死から決して調子がいいとはいえない糸井を、追い込んでから歩かせた。嫌な予感は当たるもので、続く大山に2ボールから一発を浴びた。そこまで悪いピッチングではなかっただけに、もったいない。  大山の本塁打は力任せではなく、うまく打ったもの。打球を飛ばすコツが分かってきたのではないだろうか。対する3三振の岡本には、もっとしっかりしろと言いたい。  阪神はこれだけいい投手と4番がいるのに、巨人に12.5ゲームも離されるのはいただけない。私がコーチ1年目の1975年、初めて最下位に沈んだが、阪神にだけは負けるなという雰囲気があった。伝統の一戦なのだから、残り4試合は全部勝って意地を見せてほしい。 (本紙専属評論家)

◆大山と岡本の本塁打王争いは、狭い東京ドームを本拠にする岡本が圧倒的に有利だと思っていた。が、この日の大山の1本塁打を含む3安打を見て、考え方を変更したい。確率は五分五分。十分にキングの可能性が出てきた。  根拠として、大山のミートポイントの変化を挙げたい。最初の左前打を見て感じたのは、極めて微妙だが、これまでより自分の体に近い位置になっていた。「呼び込めている」という表現をすることもある。  アベレージヒッターの場合は、少し体から離れた位置になるが、長距離砲は、まさにこの日の大山のミートポイントが正解。これが、本塁打の第3打席も、4打席目の左前打も、すべて一緒だった。  体のパワーがより球に伝わりやすいから、振り抜くと飛距離は圧倒的にアップする。常にこれができているということは、大山は長距離砲のミートポイントを"つかんだ"のではないか。この先、どこまで本数を伸ばすか。最後の最後までデッドヒートが続くだろう。(本紙専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
57294 0.663
(↓0.008)
M17
(-)
30423
(+1)
303
(+6)
109
(-)
56
(-)
0.259
(↓0.001)
3.240
(↓0.03)
2
(-)
阪神
45424 0.517
(↑0.005)
12.5
(↑1)
29384
(+6)
364
(+1)
92
(+1)
61
(+3)
0.246
(↑0.001
3.550
(↑0.03)
3
(-)
DeNA
43455 0.489
(-)
15
(↑0.5)
27398
(-)
368
(-)
99
(-)
22
(-)
0.268
(-)
3.770
(-)
4
(-)
中日
42455 0.483
(-)
15.5
(↑0.5)
28330
(-)
384
(-)
55
(-)
22
(-)
0.247
(-)
3.930
(-)
5
(-)
広島
36468 0.439
(-)
19
(↑0.5)
30395
(-)
430
(-)
91
(-)
43
(-)
0.264
(-)
4.420
(-)
6
(-)
ヤクルト
34506 0.405
(-)
22
(↑0.5)
30378
(-)
459
(-)
90
(-)
53
(-)
0.249
(-)
4.720
(-)