阪神(★1対7☆)巨人 =リーグ戦19回戦(2020.10.04)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:大江 竜聖(3勝0敗0S)
敗戦投手:秋山 拓巳(6勝3敗0S)

本塁打
【巨人】丸 佳浩(18号・2回表ソロ),若林 晃弘(2号・9回表2ラン)

  DAZN
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◆巨人は2回表、丸のソロが飛び出し、先制に成功する。その後は、3回に松原が適時打を放つと、1点リードの7回には吉川尚と松原の連続適時打で3点を奪い、相手を突き放した。投げては、好救援を見せた2番手・大江が今季3勝目。敗れた阪神は、打線が好機を生かせなかった。

◆3日の阪神戦で死球を受けて途中交代した巨人岡本和真内野手が、試合前練習に通常通り姿を見せた。選手たちとともに外野付近でウオーミングアップを開始。三塁でのノックも受けた。 3日の阪神18回戦では8回2死一、三塁から左手の側部付近に死球を受けてうずくまった。トレーナーや元木大介ヘッドコーチが駆け寄り、途中交代。病院には行かずに、アイシングなどで治療を行った。試合後、原辰徳監督は「大丈夫だと思う」と話していた。 現在岡本は打率2割8分2厘、24本塁打、72打点で本塁打、打点でリーグトップの成績を残している

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が秋山拓巳投手(29)、巨人が戸郷翔征投手(20)。阪神は今季戸郷と3戦し1勝2敗。前日の敗戦で巨人に9年連続の負け越しが決まったが、勝利を収めることは出来るか。スタメンマスクは原口文仁捕手(28)がかぶり、前回秋山が登板した9月27日ヤクルト戦(神宮)から2戦連続のコンビとなる。

◆阪神は初回に先制の絶好機をつくるも、助っ人2人が凡退し無得点に終わった。 1回1死から北條の中前打、糸井の右翼への二塁打で1死二、三塁のチャンス。しかしジェリー・サンズ外野手(33)が、戸郷の内角直球に詰まり捕邪飛に倒れた。続く大山が四球を選び2死満塁とするも、今度はジャスティン・ボーア内野手(32)が2球で追い込まれ、最後は6球目の外低めフォークを引っかけ一ゴロに倒れた。 これでサンズは18打数ノーヒット、ボーアも10打数ノーヒットと、なかなか調子が上がらない状態が続いている。

◆阪神が無死満塁の好機をつくるも、後続が凡退し勝ち越しはならなかった。 0-2の3回、北條が左中間二塁打を放つと、糸井、サンズが巨人戸郷から連続四球を選び無死満塁。さらに大山も2ストライクから四球となり、押し出しで1点をかえした。3連続四球を出した巨人戸郷はここで降板し、大江にスイッチ。しかし阪神は、なおも無死満塁からボーアが外低めスライダーに空振り三振。原口は初球で一邪飛を打ち上げ、最後は小幡も外低めスライダーに空振り三振に倒れた。大量得点の好機だったが、打線がつながらず1得点にとどまった。

◆巨人戸郷翔征投手(20)が、2回0/3、1失点でマウンドを降りた。2点リードの3回、先頭の北條に二塁打を浴び、3番糸井、4番サンズに連続四球。マウンドに宮本投手チーフコーチとともに、トレーナーが駆け寄った。話し合いの後、続投したが、大山への押し出し四球で交代が告げられた。 広報を通じ「状態が悪いわけではありませんでしたが、長いイニングを投げられませんでした。自分自身をコントロールできるようになることが課題です」とコメントした。

◆広島時代を含めて"5連覇"を目指す巨人丸佳浩外野手(31)が、先制18号ソロを放った。 2回1死から中堅左に運び「レフト方向だった分、風に乗ってくれた感じですかね。(甲子園は)低くライナーで打った時の方が伸びるイメージ」と言った。広島で16年から3連覇し、昨季は巨人で優勝。「僕も含めて若い選手もいい緊張感の中で試合ができる。野球選手として幸せを感じながら」と集中力を高めている。

◆阪神近本光司外野手(25)が勝負を懸けた結果、失策を喫した。 1点ビハインドの3回表2死二塁、2番松原の二遊間を抜いた中前打に前進守備から猛チャージ。グラブに当てながら捕球できず打者走者に二塁進塁を許し、12球団ワーストのチーム失策数は64に増えた。 二塁走者は俊足の吉川尚。捕球してもホームインされていた可能性が高く、松原に打点がついた。

◆巨人大江竜聖投手(21)が、絶体絶命のピンチで好リリーフした。 3回、先発の戸郷が押し出し四球で1点差に迫られ、なおも無死満塁。ボーアをスライダーで空振り三振、原口をスライダーで捕邪飛、小幡をスライダーで空を切らせ、無失点に抑えた。続投した4回も無失点で切り抜け、3番手の鍵谷にバトンを渡した。 広報を通じ「ずっと戸郷が頑張ってローテーションを守っていたので、何とかこの場面は無失点で抑えてカバーしてあげたいと思って、マウンドに上がりました。1人1人全力で投げ込むことができました。ほっとしています」とコメントした。

◆阪神が3度目の満塁機をつくるも、無得点に終わった。 5回先頭の糸井が、この回に登板した巨人鍵谷から左中間への二塁打。その後、大山、ボーアの連続四球で1死満塁の好機をつくった。しかし原口が一邪飛、小幡が投ゴロに倒れ無得点に終わった。 阪神は初回に2死満塁の好機をつくるも、ボーアが一ゴロに倒れ無得点。3回も無死満塁の絶好機をつくったが、押し出し四球による1点のみ。5回まで毎回走者を出しながらも、適時打が出ていない。

◆阪神秋山拓巳投手(29)は粘投報われず、2年ぶりの巨人戦勝利を逃した。 18年8月24日(東京ドーム)以来の巨イン戦先発。2回1死から5番丸の中越えソロで先制点を献上した。3回は2死から中前打、二盗で2死二塁とされ、2番松原に痛恨の中前適時打を浴びた。 4、5回は無失点で切り抜け、5回6奪三振4安打で2失点。「巨人打線に対して少し慎重になってしまい、テンポも悪くなってしまいました。もう少し長いイニングを投げたかったのですが、早いイニングで降板となり悔しいです」と振り返った。 1点ビハインドの場面で降板し、18年5月8日(東京ドーム)以来の巨人戦白星は手にできなかった。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が最速159キロを計測しながら、1回1/3を6安打3失点と打ち込まれた。 1点ビハインドの6回表に流れを変えるべく登板。先頭の2番松原を157キロ直球で左飛に仕留める。3番坂本に156キロを中前にはじかれ、4番岡本には156キロを右前に運ばれ、1死一、三塁。ここから粘った。 5番丸から内角低め145キロスプリットで空振り三振を奪うと勢いづく。6番ウィーラーの初球にこの日最速となる159キロを外角に決めると、二盗を許した後、最後は外角低め147キロスプリットで空振り三振を奪った。 だが2イニング目の7回表は耐えられなかった。1死から8番炭谷にカットボールで右前を運ばれ、9番若林にも三遊間を破られて1死一、三塁。1番吉川尚に甘く入ったスプリットをミートされ、右中間適時二塁打を浴びた。なおも1死二、三塁から2番松原には前進守備の二遊間を破られ、2点タイムリーを献上。ここで降板を告げられた。 全35球のうち159キロを2度計測しながら3失点。リードを4点に広げられ、悔しいマウンドとなった。

◆4点リードの8回から、リリーフカーに乗って巨人中川皓太投手がマウンドに上がった。 3日の阪神戦では9回に3点差に迫れた直後にマウンドに向かったが、ベンチの伝達ミスでリリーフカーがUターン。守護神デラロサが再びリリーフカーで現れ、中川はベンチへと下がった。 先頭打者の代打坂本には四球を出したが、小幡を一ゴロ、梅野を二ゴロ併殺打に打ち取り、セットアッパーの役割を果たした。

◆巨人が2回に丸の18号ソロで先制した。2回には松原の適時打で2点目。阪神は3回に大山が四球を選び押し出しで1点を挙げた。 阪神秋山は5回2失点で降板し、2番手藤浪がマウンドへ。巨人も先発戸郷が3回途中で降板し、中継ぎをつぎ込む展開になった。 巨人が7回に3点を追加。9回には若林の2号2ランで突き放した。阪神に13・5ゲーム差とし、優勝マジック17とした。巨人大江が3勝目、阪神秋山3敗。

◆9月30日に支配下登録された阪神横山雄哉投手(26)が、約3年半ぶりの1軍マウンドに上がったが、1回2安打2失点とほろ苦いものになった。 この日合流し、1-5の9回に登板。先発した17年4月23日巨人戦(東京ドーム)以来の1軍戦だった。先頭の増田大に四球を与えると、カウント3-1から若林に直球を捉えられ、左翼スタンドギリギリの2ランを浴びた。その後1死から石川に左前打を許したが、小林を中飛、最後は4番岡本も内角高め直球で中飛。後続を抑えただけに悔しい1球となった。 横山は14年にドラフト1位で入団。通算3勝を挙げるも、18年に左肩の手術を受け、19年に育成契約に。今季はウエスタン・リーグで主に先発として13試合に登板して防御率3・26の成績を残し、支配下登録を勝ち取った。この日は久しぶりの1軍に「懐かしさがありましたし、緊張感もありますが、やってやろうという気持ちです」と決意を新たにしていた。

◆2度の満塁を含む再三のピンチを脱した巨人が阪神を下し、優勝マジック17とした。 1点差に迫られた直後の3回無死満塁から登板した大江竜聖投手が、無失点で切り抜け、流れを呼び込んだ。原辰徳監督は「大江がゲームを何となく締めてくれた。何となくというか、締めてくれましたね」と評価。3回までに2点を先取したが「なかなか先発ピッチャー戸郷がリズムというものが取れなかったですね」と中継ぎ陣で粘った。 7回には、1死一塁から走者がスタートしたシーンで若林が左前打を放って一、三塁とチャンスを広げるなど、足を絡めて3点を追加。「いい形でジャイアンツの野球ができたと思います」と言った。 直接対決に連勝し、マジック17としたが緩みはない。「明日も今日と同じ心境の中で甲子園に来て、戦うと思います。しっかりと戦っていきたいと思います」と引き締めた。

◆鼻血を出した巨人戸郷翔征投手がプロ入り最短の3回途中1失点で降板した。 3回は無死二塁から3連続四球で押し出し。「自分自身をコントロールできるようになることが課題」と反省した。イニング途中にはトレーナーがマウンドに向かい、原監督は「鼻血が出てた」。新人王を争う広島森下に1勝差に迫られ、宮本投手チーフコーチは「昨日森下君が勝ったからな」とメンタル面のぶれを指摘した。

◆巨人の1、2番コンビで4打点を挙げた。3回2死から1番吉川尚輝内野手が中前打と盗塁で2死二塁とすると、2番松原聖弥外野手が中前適時打。7回は吉川尚の適時二塁打、松原の2点適時打で3点を奪った。 松原は「(吉川)尚輝とは同期入団ですし、何とか1、2番で流れを持ってこられた」と喜んだ。7回は走者を積極的に動かして得点につなげ、原監督は「ジャイアンツの野球ができた」とご満悦だった。

◆阪神が大拙攻で2連敗を喫した。序盤から再三のチャンスも生かすことができず終盤に引き離された。首位巨人とは、今季最大の13・5ゲーム差まで広がり、巨人の優勝マジック17となった。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -打線が 矢野監督 うん -あと1本出れば流れは変わっていた 矢野監督 1本も2本でもね。一気にいかないと、当たり前だけど流れ来ないので。それに尽きると思います。 -サンズとボーア 矢野監督 まあもちろんランナーを置いてね、返してくれというところの打順で。返せないわけやから。苦しいね。 -サンズに代打 矢野監督 いやいや、死球当たってたやん。 -6回から藤浪登板。流れが変わればというところ 矢野監督 もちろん、もちろん。先に嫌な流れを何とかしたいというところでいったんだけど。 -投球自体はどうだったか 矢野監督 まあまあ、そら細かいことがまだまだ晋太郎自身ができるっていうより、思い切って腕を振って投げていくというところなんで。悪くなっちゃうとこういうことになるし。 -秋山は 矢野監督 全然悪くない。粘って秋山らしく投げてくれていたんで。打線だと思います。 -横山が3年ぶり登板 矢野監督 思いきってはいったと思うけどね。これもプロなんで。仕方がないんじゃないんですか。 -明日に向けて 矢野監督 何か言えることはないけどね、あした頑張るしかないんで。目の前の試合を全力でいきます。

◆首位巨人が2位阪神と対戦し7-1で勝利。巨人の優勝マジックは17。新人王目指す戸郷は3回途中1失点。「状態が悪いわけではありませんでしたが、長いイニングを投げられませんでした。自分自身をコントロールできるようになることが課題です」と登板内容を振り返った。

◆阪神が大拙攻で2連敗を喫した。序盤から再三のチャンスも生かすことができず終盤に引き離された。首位巨人とは、今季最大の13・5ゲーム差まで広がり、巨人の優勝マジック17となった。 もどかしい攻撃が続いた。初回。北條、糸井の連打で1死二、三塁としたが、4番サンズが捕邪飛。続く大山が四球を選んで満塁としたが、ボーアがフォークを引っかけて一ゴロに倒れた。 2点を追う3回には、先頭北條の左中間二塁打から糸井、サンズが連続四球を選び無死満塁。さらに大山も2ストライクから四球となり、押し出しで1点を挙げた。 だが、ここから続かない。投手が戸郷から大江にスイッチし、なおも無死満塁からボーアが外低めスライダーに空振り三振。原口は初球で一邪飛を打ち上げ、最後は小幡もスライダーに空振り三振。1得点にとどまった。 5回にも不安定な3番手鍵谷を攻め立てて1死満塁としたが、原口が内角直球を一邪飛、小幡が初球のフォークを一ゴロ。2万人超の甲子園がため息に包まれるシーンが繰り返された。

◆先発の阪神秋山拓巳投手が5回4安打2失点で3敗目を喫した。 「巨人打線に対して少し慎重になってしまい、テンポも悪くなってしまいました」。2回は丸に先制ソロを浴びたが、粘りの投球を継続。打席でも2回に6球ファウルで粘り中前打を放ち、4回は四球を選んだ。矢野監督も「全然悪くない。粘って秋山らしく投げてくれていたんで。打線だと思います」と話した。

◆阪神2番北條史也内野手が今季初の猛打賞で気を吐いた。初回に戸郷から中前打を放つと、先頭の3回は低めのスライダーを左中間に運び、好走塁で二塁打とした。 9回にも左前打を放った背番号2は「ジャイアンツ戦は負け越していますし、勝ちたい気持ちが強いので、そういった気持ちで臨んだ結果が今日の結果につながったと思います」と気合勝ち。5日に向けても「何としても勝つという気持ちで臨みたい」と力を込めた。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が重苦しいムードにのみ込まれ、1回1/3を6安打3失点と打ち込まれた。 出番は1点ビハインドの6回表だった。打線がなかなか好機で1本を出せない展開。3戦連続無失点の右腕に白羽の矢が立った。「嫌な流れを先になんとかしたいというところで」。矢野監督が託した役割を1イニング目は全うした。 先頭の2番松原を157キロ直球で左飛に仕留めた。3番坂本、4番岡本に連打を浴びたが、5番丸、6番ウィーラーをともにスプリットで空振り三振に仕留めてガッツポーズだ。ウィーラーへの初球にはこの日最速159キロを外角に決め、雰囲気を一変させた。 だが、2イニング目の7回は耐えきれなかった。1死から下位打線に連打を許して1死一、三塁。1番吉川尚に甘く入ったスプリットをミートされ、右中間適時二塁打を浴びた。なおも1死二、三塁。2番松原には前進守備の二遊間をしぶとく破られ、痛恨の2点を追加された。ここで無念の降板を告げられた。 159キロを2度計測しながら3失点。プロ8年目で初の巨人戦リリーフ登板は悔しい結果になった。指揮官は「まだまだ細かいところができるというより、思い切って腕を振って投げていくというところなんで」と今後に期待。次回、雪辱を期す。【佐井陽介】 ▽阪神福原投手コーチ(藤浪の6回投入に)「雰囲気を変えられる投手。今日は打たれてしまいましたが、ボール自体は悪くないと思うので、また切り替えて頑張ってくれればいいかなと思います。(秋山は)本当に粘り強く投げてくれた。失点した回も最少失点に抑えてくれたので、丁寧な投球をしてくれたと思います」

◆阪神が大拙攻で宿敵に連敗した。3イニングで満塁機があったが、奪った得点は大山の押し出し四球による1点だけ。再三のチャンスを生かせず、首位巨人に今季最大の13・5ゲーム差をつけられた。サンズとボーアの不調も気がかりだが、高橋を中5日で立てる5日こそ、意地の勝利を見たい。今季最多2万904人が集客された甲子園で、虎党のため息が充満した。矢野監督の言葉も沈むのも無理はない。「(チャンスで)1本でも2本でも。一気にいかないと、当たり前だけど流れが来ない。それに尽きると思います」。打線が3度の満塁を含む1、3、5回の得点機で大拙攻を演じた。 ◆1回0点 1死二、三塁でサンズが捕邪飛。2死満塁ではボーアが一ゴロに倒れた。 ◆3回1点 無死二塁から3者連続四球(3人目の大山は押し出し四球)で1点。だが、戸郷→大江にスイッチされ、ボーア三振、原口一邪飛、小幡三振で同点にも追いつけなかった。 ◆5回0点 無死二塁からサンズ三振後、1死満塁に。原口一邪飛、小幡投ゴロで無得点。 巨人投手陣の9四死球の乱調も生かせず、奪った得点は押し出しによる3回の1点だけでタイムリーなし。残塁は13を数えた。 気がかりはサンズとボーア、2人の無安打が止まらないことだ。サンズはこれで24打席連続無安打、ボーアは17打席連続ノーヒットとなった。サンズは7回に左手に死球を受けたため、9回の打席は代打が送られた。8、9回の守備に就いたが、負傷の程度も気になるところ。矢野監督は、2人の不振について「もちろんランナーを置いて、かえしてくれというところの打順。かえせないわけやから。苦しいね」。もちろん、7番捕手で先発オーダーに組み込んだ原口の好機での凡退も痛かった。 連敗で宿敵巨人とは今季最大の13・5ゲーム差が開いた。「明日、頑張るしかない。目の前の試合を全力でいきます」と矢野監督。このまま引き離されてばかりでは、悲しすぎる。【松井周治】 ◆最大差逆転V 阪神が巨人に敗れ、首位とのゲーム差が今季最大の13・5差に開いた。セ・リーグの最大ゲーム差逆転優勝は、08年巨人の13差。プロ野球の過去最大差逆転Vは63年西鉄の14・5差。

◆阪神横山雄哉投手(26)が、約3年半ぶりの1軍マウンドに帰ってきた。 9月30日に支配下復帰した左腕は、4点ビハインドの9回に登板。先頭の増田大に四球を与えると、若林に直球を捉えられ、左翼スタンドギリギリに運ばれる2ランを浴びた。その後は吉川尚を左飛に斬り、石川に左前打されたが、小林と岡本を真っすぐで連続の中飛に抑えた。最速140キロ。1回2安打2失点のホロ苦い結果になったが、しっかり復活の1歩を記した。 「懐かしさがありましたし、緊張感もありますが、やってやろうという気持ちです」。甲子園に足を踏み入れ、決意を新たにしていた。1軍戦は17年4月23日巨人戦(東京ドーム)以来。甲子園に限れば16年5月18日中日戦以来だった。 試合前、矢野監督にあいさつに行くと熱い言葉をもらったという。「まずはここまでお世話になった方々に感謝の気持ちというもの込めて投げるように。結果はあとからついてくるものだから、まずはそういった気持ちを持ってやりなさい」。14年ドラフト1位で入団も、18年に左肩の手術を受けて19年に育成契約。苦しい時期を支えてくれた人たちに、再起した姿を届けたい。「そういった気持ちを、マウンドで表現できればと思います」。背番号は入団当初の15から91へ。感謝を胸に、再スタートを切った。【磯綾乃】

◆阪神が巨人に連敗し、今季対戦成績は5勝14敗の借金9となった。2リーグ分立後、巨人戦のシーズン最多借金は63、90、95年の14で、残り5試合に全敗すると並んでしまう計算だ。 巨人戦の2桁借金は前記含め9度ある一方、71年間で勝ち越したのは10度しかなく(ほかにタイが5度)、最多貯金は79年の8(17勝9敗)で2桁貯金したことはない。

◆巨人が「大江の12球」で流れを引き戻し阪神に快勝、優勝マジックを「17」とした。1点リードの3回無死満塁。3連続四球の戸郷の後を受け、変則左腕の大江竜聖投手(21)が登板。「何とか無失点で抑えて、カバーしてあげたいと思った」と12球でピンチ脱出。2回を無安打無失点の好リリーフで勝利に導いた。 「満塁キラー」の本領を発揮した。ボーアを外角のボールゾーンに逃げるスライダーで空振り三振。原口は内角へのスライダーで一邪飛。小幡も外角スライダーで空を切らせた。「1人1人、全力で投げ込むことができた。ホッとしてます」。今季、満塁では8打数無安打、防御率0・00。崖っぷちでの強さが際立つ。 「変則左腕、無死満塁、2回無失点」のワードを検索すれば、9年前の日本シリーズがヒットする。中日-ソフトバンクの第4戦。森福が1点リードの6回無死満塁を11球で火消し。「森福の11球」と称された。森福の172センチに対し、大江は173センチ。肘を下げ、度胸満点に攻める姿も重なる。 「すごいですね。1点、2点は覚悟したんですけどね。大江が殊勲者」と称賛した原監督は「大江の12球」のすごみをメンタル面から分析し、宮本投手チーフコーチは顔に着目した。 原監督 緊張した場面はリズムが速くなりがちなんだけど、変わらない。相当なキャリアを持っているような感じに見えるくらい、自分の投球ができる。 宮本コーチ 心臓、強いよね。元々は銀行マンみたいなヘアスタイルだった。髪形が七三分けの感じで。ようやく勝負師、アスリートの顔つきになってきた。 勝負の年と決意した4年目のシーズン。世間では銀行を舞台にしたドラマ「半沢直樹」が大ヒットした。3軍、2軍、1軍と"昇進"した大江が、マウンドで恩返しする。【久保賢吾】

◆巨人宮本和知投手チーフコーチが、先発戸郷翔征投手のプロ最短降板の要因に「抜け球」を挙げた。3回は無死二塁から3連続四球で押し出し。制球が定まらず、直後に降板した。 「今日、ブルペンすんげー良かったんだけどね。抜け球が多かったねぇ。やっぱり制球力ですよ。今日は特に左バッターに対してのスライダーとか抜けが多かったって感じですかね。制球が定まらなかった。それに尽きると思います」と分析。 3日には新人王を争う広島森下が、戸郷に1勝差に迫る7勝目を挙げただけに、同コーチは「決して悪いところもないし。昨日森下君が勝ったからかな。それぐらいしか考えられないよね」と精神面のブレも要因の1つに感じ取った。 3回は無死満塁とした場面でトレーナーとマウンドに向かった。 「あいつね、鼻血出たのよ。鼻血出て、大丈夫かなって見に行ったんですよ。トレーナーも『止まってるな』って。ちょっと左鼻血、出血があった。それで気になって行っただけなので。それだけです」と説明。 戸郷の降板後は、無死満塁を無失点で切り抜けた大江らリリーフ陣が踏ん張っただけに「次は逆に1人で投げ切って、今日のリリーフ陣に対して、今度は自分が頑張るといったところでしょうね」と期待した。

◆最大の好機を逃し、甲子園が大きなため息に包まれた。阪神は0-2で迎えた三回、先頭の北條が二塁打を放つと連続四球で無死満塁と大量得点のチャンス。5番・大山は押し出し四球を選び1点を返した。  ここで巨人は先発・戸郷から2番手の大江にスイッチ。押せ押せムードが一転した。ボーアは外角変化球にバットが止まらず空振り三振。続く原口は初球を打ちあげて一邪飛。最後は小幡も空振り三振に倒れた。決定打を欠く拙攻に、虎党からは悲鳴にも似た声が上がった。

◆三度目の正直とはならなかった。阪神は1-2で迎えた五回、1死満塁と一打逆転のチャンスも原口が一邪飛、小幡が投ゴロに倒れ無得点に終わった。一回は2死満塁でボーアが一ゴロ。0-2の三回は無死満塁から大山が押し出し四球を選び1点を返したもののボーアが空振り三振。原口が一邪飛、小幡が空振り三振に終わっていた。  原口は二度のチャンスをものにできず六回の守備から途中交代。代わって梅野がマスクをかぶった。

◆1-2の六回、「ピッチャー・藤浪」とアナウンスされると、甲子園のスタンドからはウォーという歓声とともに、いっせいにメガホンがたたかれた。  藤浪は先頭の松原を左飛に打ち取った後、坂本に156キロ直球を中前へ。岡本にも156キロ直球を右前に運ばれて一、三塁のピンチ。続く丸を空振り三振に。このあと二盗を許したが、ウィーラーをフォークで空振り三振に仕留めると、ガッツポーズ。スタンドのファンも立ち上がって、藤浪をたたえた。

◆阪神・藤浪晋太郎投手(26)が1-2の六回から2番手で登板。1回1/3を投げて6安打3失点で降板。チームに流れを引き寄せることはできなかった。  六回1死から坂本、岡本に連打を許したが、丸を空振り三振。このあと2死二、三塁とされたが、ウィーラーを空振り三振に仕留めた。  イニングまたぎとなった七回に崩れた。1死から炭谷、若林の連打で一、三塁とされた後、吉川尚の右中間を破る適時二塁打で、まず1点。なおも1死二、三塁から松原にフォークを中前にはじき返され、2者が生還。このあと矢野監督から降板指令を受けた。  藤浪は、この日が中継ぎに転向後5試合目のマウンド。ここ3試合は無失点で2ホールドを記録していた。

◆阪神は巨人に1-7で敗戦。拙攻の連続だった。一回1死二、三塁と先制の好機も4番・サンズが捕邪飛。満塁とし迎えたボーアは一ゴロに倒れた。0-2で迎えた三回は大山の押し出し四球で1点を返し、なおも無死満塁と大量得点のチャンス。しかし、ボーアが空振り三振、原口が一邪飛、小幡が空振り三振に終わった。さらに五回も1死満塁とするも原口が一邪飛、小幡が投ゴロで無得点。3度の満塁を全く生かせなかった。  先発の秋山は5回3安打2失点と粘投も打線の援護なく無念の降板。2番手・藤浪は2回5安打3失点と打ち込まれた。首位巨人に連敗し、今季最大の13・5ゲーム差。2008年に巨人が阪神を逆転して優勝したセ・リーグの最大差記録13を超えた。

◆巨人は2番手で登板した阪神・藤浪を打ち崩し、この試合を制した。マジックを2つ減らして「17」とした。  巨人は二回、丸の18号ソロで先制すると、三回には2死二塁で松原に中前適時打が出て2点目を奪った。その裏、先発の戸郷が無死満塁のピンチを招くと、大山に押し出しの四球を献上。ここで指揮官は先発・戸郷から2番手の大江にスイッチ。大江がボーアを空振り三振、続く原口を一邪飛、最後は小幡を空振り三振に打ち取った。五回にも3番手の鍵谷が1死満塁の場面を作ったが、原口を一邪飛、小幡を投ゴロに仕留めて無失点。  投手陣が踏ん張りを見せる中、打線がつながったのは七回だった。阪神の2番手・藤浪を相手に、炭谷、若林の連続安打で1死一、三塁のチャンスを作ると、吉川尚が右中間への2点適時二塁打、続く松原も中前適時打を放ち、この回3点で5-1。藤浪をノックアウトした。ダメ押しは九回。若林が阪神5番手・横山から左翼席に運ぶ2号2ランを放って7-1と突き放した。阪神は一、三、五回と3度の満塁の好機を生かすことができず、九回も無死一、二塁で糸井、高山、大山が凡退。あと一本が出なかった。

◆巨人の戸郷はプロ2年目で最短となる2回0/3で降板した。2-0の三回は先頭に二塁打を許した後に3連続四球。押し出しで1点を失ったところで交代を告げられた。「状態が悪いわけではなかったが、長い回を投げられなかった。自分自身をコントロールできるようになることが課題」と肩を落とした。  新人王を争う広島の森下が3日に7勝目を挙げただけに、勝ち数2差に戻したかったが、8勝のまま。ライバルには投球回、防御率、奪三振数で劣るだけに踏ん張りどころだ。(甲子園)

◆阪神の横山が九回、2017年4月以来の登板を果たした。「今まで以上にしっかり準備して勢いをつけられる投球をしたい」と意気込んでいたものの、緊張もあってか、2点を失った。  山形中央高-新日鉄住金鹿島(現日本製鉄鹿島)から15年にドラフト1位入団した通算3勝のサウスポーは2年前に左肩を手術。育成選手を経て、先月30日に支配下選手登録された。先頭に四球を与え、続く若林に2ランを喫したが、矢野監督は「思い切っていったと思う」と今後に期待を寄せた。(甲子園)

◆拙攻続きだったチームの流れを一変させることはできなかった。1-2の六回、スタンドから大きな拍手を受け、阪神・藤浪はマウンドに上がったが...。イニングをまたいだ七回、4連打を浴びて3失点。火に油を注いだ。  「もちろん流れをね。先に、この嫌な流れをなんとかしたいというところでいかせたんだけど」  矢野監督は先発秋山を5回2失点で降板させ、藤浪に託したことについて、そう説明した。  確かに六回は2死二、三塁を招きながらもウィーラーを空振り三振に仕留め、ガッツポーズ。この日の最速は159キロ。目に力が宿り、リリーバーに転向後のイキイキとした藤浪の姿だったが、結果的にイニングまたぎが裏目となった。  七回、1死から炭谷、若林の連打で一、三塁とされると、吉川尚にフォークを右中間に運ばれて、追加点を献上。続く松原にも変化球を中前に運ばれ、痛恨の2点タイムリーとされた。  中継ぎでの登板は今季5試合目。新型コロナウイルスに感染した岩貞、馬場や濃厚接触者と判断された岩崎が9月25日に出場選手登録を抹消され、藤浪が1軍に緊急昇格。3月にコロナに感染した右腕はこれまで3試合を無失点に抑え、2ホールドを記録していた。  制球難に苦しむ姿はない。変化球でごまかすのではなく、直球を軸とした本来の投球ができる。プロでうまい飯を食べていける場所をようやく見つけたばかりだっただけに、福原投手コーチは「雰囲気を変えられる投手ですし、きょうは打たれたけど、ボール自体は悪くはない。また切り替えて頑張ってくればいいかなと思う」と改めて期待。先発とは異なり、中継ぎの場合、次の日もまた出番がある。打たれたからといって、悩んでいる時間はない。  矢野監督は「(藤浪)晋太郎自身が、できるのは思い切って腕を振っていく(投げる)ことなので。悪くなっちゃうと、こういうこともある」と話した。この失敗を糧にするのみ。次は瀕死(ひんし)のチームを救う投球をみせてくれ!(三木建次)

◆阪神は巨人に1-7で完敗。試合後の矢野監督の一問一答は以下の通り。  --先発した秋山は試合を作った。五回までの打線が...  矢野監督 「うん」  --あと1本出れば流れは変わっていた  「1本も2本でもね。一気にいかないと、当たり前だけど流れは来ないので。それに尽きると思います」  --サンズ、ボーアの不振が気になる  「もちろん、ランナー置いてかえしてくれっていうところの打順なんで。かえせないわけだから、苦しいね」  --サンズに代打を送ったが  「いやいや、デッドボール当たったから」  --藤浪には流れを変える期待もあった  「もちろん、もちろん。流れをね、先にこの嫌な流れをなんとかしたいというところでいったんだけど」  --投球内容は  「まぁそれは...細かいことはね、まだまだ晋太郎自身ができるっていうのは思い切って腕を振っていくことなので。悪くなっちゃうと、こういうこともあるし」  --秋山は悪くない内容だった  「全然悪くない。粘って秋山らしく投げてくれていたんで。打線だと思います」  --横山は3年ぶりの1軍登板で悔しい結果に  「思いきっていったと思うけどね。これもプロなんで。仕方がないんじゃないですか」  --明日に向けて  「何か言えることはないけどね、あした頑張るしかないんで。目の前の試合を全力でいきます」

◆先発の戸郷が自己最短となる2回0/3、4安打1失点で降板した。三回は押し出しを含む3連続四球と制球を乱し、9勝目はならず。「自分自身をコントロールできるようになることが課題」と悔やんだ。三回は鼻血が出て、トレーナーと宮本投手チーフコーチがマウンドに駆け寄る場面もあった。同コーチは「昨日(広島の)森下君が勝ったから(精彩を欠いた)かな」と新人王を争うライバルの7勝目が焦りを生んだと分析した。

◆丸が二回に先制の18号ソロ。強烈なライナーでバックスクリーン左に飛び込んだ打球を「(甲子園は)特にバックスクリーン方向は低くライナーで打った時が伸びるイメージ。上がるとどうしても浜風の影響を受けるので」と冷静に分析した。これで2戦連続の先制&決勝打。広島時代の2016年から"5連覇"に近づき、「野球選手として幸せに感じながらやりたい」と目を輝かせた。

◆巨人は4日、阪神19回戦(甲子園)に7-1で勝ち2連勝。先発の戸郷翔征投手(20)が三回途中で降板する中、2番手の大江竜聖投手(21)が見事に火消しを果たし、2回無安打無失点でプロ3勝目を挙げた。原辰徳監督(62)の臨機応変な采配が光った試合。チームは優勝へのマジックナンバーを2つ減らして「17」とした。  一打で逆転を許すピンチも何のその。大江が、心地よい秋風が吹く甲子園で仁王立ちした。  「ずっと戸郷が頑張ってローテーションを守っていたので、何とか無失点で抑えてカバーしてあげたいと思ってマウンドに上がりました」  出番は突然やってきた。2-0の三回。先発の戸郷が北條に左中間二塁打を許してピンチを背負うと、そこから3連続四球で押し出し。1点差に迫られたところで、原監督は早くもタオルを投げ込んだ。  前日のヤクルト戦(神宮)で7勝目を挙げた森下(広島)と新人王を争う戸郷だが、指揮官に迷いはなし。制球を乱し、鼻血も出していたという高卒2年目右腕から「ああいう場面で自分の力を出してくれる」と大江にスイッチ。東京・二松学舎大付高出身の高卒4年目左腕が、その信頼に応え、完璧に火消しした。  無死満塁で、まずボーアを122キロのスライダーで空振り三振斬り。続く原口を1球で一邪飛に仕留めた。最後は小幡を外角123キロのスライダーで空振り三振に。堂々たる投球で無失点に封じた大江は「一人ひとり全力で投げ込むことができました」と息をついた。  今季32試合目の登板で3勝0敗7ホールド、防御率2・28。上手投げから肘を下げたフォームに変え、貴重な左投げのリリーバーとしてブレークした21歳の好救援に、原監督は「1、2点は覚悟していた。殊勲者だと思います」と絶賛した。アクシデントがあっても、盤石の強さを見せる巨人。5日も続く2位・阪神との直接対決を制し、V2へ加速する。(箭内桃子)

◆助っ人に秋風-。阪神は巨人に1-7で完敗。ジャスティン・ボーア内野手(32)が序盤の2度の満塁機で倒れ、攻撃の流れを手放した。今季は年俸250万ドル(約2億7250万円)の単年契約。来季残留が注目される中、17打席連続無安打と不振まっただ中。首位とは今季最大の13・5ゲーム差に開いた。B砲も崖っ縁だ。  逆転への期待を乗せたバットは力なく空を切った。三回、1点差に迫り、なお無死満塁。誰もが追加点を信じた場面で、ボーアが膝を折られた。今季最多2万904人を詰め込んだ甲子園がため息に包まれる。矢野監督も肩を落とした。  「(サンズとボーアは)もちろん、ランナー置いてかえしてくれっていうところの打順なんで。かえせないわけだから、苦しいね」  巨人先発・戸郷の乱調につけ込むことができなかった。糸井の二塁打と連続四球で絶好機を作るも、大山の押し出し四球を得たのみ。ボーアは目の前で左腕・大江にスイッチされると、カウント2-2からの5球目、外角低めのボールゾーンへ逃げていくスライダーにバットを止められなかった。続く原口、小幡も凡退。B砲は一回2死満塁の先制機でも平凡な一ゴロに倒れていた。湿ったバットで、攻撃の流れを完全に絶ってしまった。  「1本も2本でもね。一気にいかないと、当たり前だけど流れ来ないので。それに尽きると思います」  指揮官は渋面を作る。打線は7安打、9四死球で塁をにぎわしながらも1得点。3度の満塁機を生かせず、13残塁2併殺の拙攻では頭が痛い。ポイントゲッターとして「1本」が求められるのが外国人。ボーアは9月30日の中日戦の第1打席で右前打を放った次の打席から17打席連続無安打となった。本塁打にいたっては25日のヤクルト戦の15号ソロ以降出ていない。メジャー通算92本塁打の実績が泣いている。  10月に入り、各球団は来季の編成について本腰を入れている。今季から加入したボーアは年俸250万ドル(約2億7250万円)の単年契約。打率・242、15本塁打、41打点が条件にマッチしているのか照らし合わせる時期に突入している。  弱点もさらけ出している。この日、勝負どころで大江を投入されたように左腕に対し、打率・200と低調(対右腕は・263)。メジャー時代からの課題は克服できていない。  一発を放った後、「ファイアボール」のパフォーマンスで盛り上げるなど明るいキャラクターは魅力的だが、結果がすべて。特に今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響で米マイナーリーグは全試合中止。働き場所を求める新外国人候補の市場は豊富で、ボーアにとって残留への道に暗雲が立ちこめている状況だ。  「(次戦に向けて)何か言えることはないけどね、あした、頑張るしかないんで。目の前の試合を全力でいきます」  矢野監督は前を向いたが、首位巨人との差は今季最大の13・5ゲーム。セ・リーグの最大逆転優勝(2008年、巨人が阪神を逆転した13ゲーム)を超えた。虎の脚が徳俵に乗っている。ボーアも崖っ縁に立たされた。

◆イライライライラ~イライラ4つで怒りの押し出しや~!!  3度の満塁チャンスに凡打の山で結局、終わってみれば押し出しでいただいた1点だけ...。13残塁での完敗で、ハイまずイライラ1塁。  2つ目は両外国人の大スランプにイライラサンズが24打席ノーヒット、ボーア17打席ノーヒットで2人合わせて41打席音無しって、アメリカのトンネルはどんだけ長いんや~!! でイライラ1、2塁。  そして、満塁イライラとしたのは「アカーン! 矢野さんダメー!! 晋ちゃん(藤浪)のイニングまたぎのリリーフは、やっと見えはじめた復活の日を消すことになりかねんって!!」と虎党が絶叫している中、やっぱり2イニング目に炎上して3点を奪われた~。  そして、とどめの押し出しイライラは、ホームラン王を狙う大山に一発が出な~い!! 虎投は岡本に5打席勝負したのに対する巨人は3四球...。と試合同様にイライラの押し出ししかなくてガックリ!! 大山よ、第4戦でこのイライラをルンルン3アーチに変えてくれー!!

◆巨人がまたまた"オーケストラ"を奏でた。前日3日の試合で指摘した通り、主役と脇役が入り乱れて、しっかり勝ち切る。相変わらず、スキのない野球をみせたね。  坂本、岡本、丸といった主役は、相手が自信を持つ速い球や勝負球をきっちり、捉える。脇役は、徹底的にセンターから逆方向へ打ち返す。陣容と用兵に無駄のない、理にかなった攻撃。まさにスキなしで、日々、進化している感すらあるよ。  対照的に阪神は、スキにつけいることができない。三回、押し出し四球で1点をもらい、なおも無死満塁という、これ以上ない、押せ押せの場面。そこから三振、邪飛、三振で3アウトとはね。  まあ、コレも、戸郷から大江という投手リレーの決断が、ピタリとはまり、瞬間接着剤のようにスキマを消してしまった...とも言えるわけだ。  要するに、スキと無駄のない巨人と、スキを無駄にしてしまう阪神。甲子園での伝統の一戦で、皮肉にも、今季の両チームの野球の差が、よく表れてしまったよ。   (本紙専属評論家)

◆"四つ相撲"はアカン! 現役時代に通算465本塁打を放ち、西武打撃コーチ時代に清原和博、秋山翔吾らを育てた土井正博氏(76)=本紙専属評論家=は阪神の拙攻に「愚の骨頂」と厳しく指摘した。「けたぐりのようにバンッと倒したり、いろんなことをしないと」-。相手が嫌がる野球を求めた。  歯がゆいということしかない。計8四球ももらって走者をためたのに、相手の息の根を止めなくてはいけないところで、逆に立ち直らせるために手を貸してしまった。  押し出しで1点をもらい、なお無死満塁だった三回も三振、一邪飛、三振。これは愚の骨頂だ。踏みつけなくては、強い相手ははい上がって立て直してくる。相手が嫌がる野球をできないうちは優勝はまだまだ遠い。  あの場面、巨人は戸郷から左の大江に代えた。阪神にとって嫌なこと、嫌なこと...と徹底している。良いときに良いのは誰でもそう。悪いときにどうするかが、首脳陣の仕事だ。下位のチームは何もしないうちに勝手に転んでくれるが、自分たちより上のチームに勝とうと思ったら、相手を苦しめ、相手が嫌がることを次々やる必要がある。  速い球を引っ張ろうとすれば体が開く。それを反対方向へ打っていくことも一つの手だ。追い込まれて、1球でも多く投げさせるという意識もそう。単純に「俺が俺が」という形じゃなく、点をもぎ取っていくというところに焦点を合わせなくてはいけない。うまく、気持ちよく打たせてくれるはずがない。四つ相撲なんて、やらせてくれない。けたぐりのようにバンッと倒したり、いろんなことをする。してくると思わせる。相手に「憎い」と思われるような選手になって、チーム全体としても"いやらしいゲーム"をやっていくことだ。  例えとして近本を挙げるが、彼が出塁するだけで阪神は有利になるのだから、もっと出塁する意識が欲しい。監督、コーチ以下全員が「相手の嫌がることを徹底してやっていく」という心構えを持たなくてはいけない。  二線級の投手を打って喜んでいては、一線級は打てない。一線級を打てなくては、巨人には勝てない。絶対に優勝できる、それだけのものがあると思い開幕前に1位予想しただけに、見ていて非常に歯がゆい。しぶとい野球をするなら、しつこい、いやらしい打者を作っていかないといけない。これが強くなるコツ。喫緊の課題だ。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
57284 0.671
(↑0.004)
M17
(↑2)
31422
(+7)
297
(+1)
109
(+2)
56
(+2)
0.260
(↑0.001
3.210
(↑0.03)
2
(-)
阪神
44424 0.512
(↓0.006)
13.5
(↓1)
30378
(+1)
363
(+7)
91
(-)
58
(-)
0.245
(-)
3.580
(↓0.04)
3
(1↑)
DeNA
43455 0.489
(↑0.006)
15.5
(-)
27398
(+9)
368
(+3)
99
(+4)
22
(-)
0.268
(↑0.001)
3.770
(↑0.01)
4
(1↓)
中日
42455 0.483
(↓0.005)
16
(↓1)
28330
(+3)
384
(+9)
55
(+1)
22
(-)
0.247
(↓0.001)
3.930
(↓0.07)
5
(-)
広島
36468 0.439
(↑0.007)
19.5
(-)
30395
(+6)
430
(+4)
91
(+2)
43
(-)
0.264
(-)
4.420
(↑0.01)
6
(-)
ヤクルト
34506 0.405
(↓0.005)
22.5
(↓1)
30378
(+4)
459
(+6)
90
(+3)
53
(+2)
0.249
(↓0.001)
4.720
(↓0.01)