DeNA(★3対5☆)ヤクルト =リーグ戦20回戦(2020.09.30)・横浜スタジアム=
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ヤクルト
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DeNA
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勝利投手:石川 雅規(1勝5敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(3勝2敗14S))
敗戦投手:上茶谷 大河(2勝2敗0S)

本塁打
【ヤクルト】村上 宗隆(19号・3回表3ラン)

  DAZN
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◆ヤクルトは初回、山田哲の犠飛で幸先良く1点を先制する。そのまま迎えた3回表には、山田哲の適時打と村上の3ランで4点を挙げ、相手を突き放した。投げては、先発・石川が6回途中2失点と試合をつくり今季初勝利。敗れたDeNAは、先発・上茶谷が乱調だった。

◆DeNA梶谷隆幸外野手(32)が、月間安打数の球団新記録をつくった。ヤクルト戦の6回2死二塁、石川から左中間へ適時二塁打を放った。 今月通算42安打目。90年8月のパチョレック、96年5月の佐伯の月間41安打を超え最多となった。この日の試合で3安打以上放てば、月間8度目の猛打賞となり、07年8月の金城を超え球団最多。2リーグ制後のプロ野球最多に並ぶ。

◆ヤクルトの若き4番、村上宗隆内野手が19号3ランで石川を援護した。 2点リードの3回1死一、二塁。3ボール1ストライクからDeNA上茶谷の143キロを弾丸ライナーで左翼席最前部に突き刺した。「打ったのはシュート。チャンスだったし、バッティングカウントだったので積極的に打ちにいきました。良い感覚で打てた」と振り返った。

◆前回9月23日阪神戦でプロ2度目の完封を達成したDeNA上茶谷大河投手が、この日は3回5失点でKOされた。 初回から制球が定まらず、3回には村上に左翼席へ豪快な3ランを運ばれた。「3回に入りコースが(ボール)1個分甘くなったところを捉えられ、ランナーをためた状況で本塁打を許してしまいました」と悔しがった。

◆DeNA梶谷隆幸外野手(32)が90年8月パチョレック、96年5月佐伯を上回る月間42安打の球団新記録をマークした。 5点を追う6回2死二塁。ヤクルト石川から左中間へ適時二塁打を放った。テレビ解説で球場を訪れていた佐伯氏の前での達成に「偉大な先輩の記録を超えることができ感無量です!」と喜んだ。その佐伯氏も「大洋ホエールズでパチョレック、横浜ベイスターズで私、そしてDeNAで梶谷選手と、未来へつながる感じで良かったです」と話した。

◆ヤクルトは初回に山田哲の犠飛で先制。3回にも村上の19号3ランなどで4点を奪った。DeNA先発の上茶谷は3回5失点KO。 今季初勝利を狙うヤクルト石川は5回まで無失点。6回、梶谷に左中間二塁打、神里に中前打と連続適時打を打たれて降板した。 ヤクルトは7回マクガフ、8回清水、9回石山とつないで逃げ切り勝ち。石川が「19年連続&40代」1勝を挙げた。DeNA先発の上茶谷は2敗目。

◆DeNA上茶谷大河投手(24)が9月30日のヤクルト戦(横浜)の3回途中、右手の指がつって治療。 その回は投げ終えたが、3回5失点で交代した。今後はラミレス監督、トレーナーを交えて判断する。上茶谷は今季、右肘の炎症で開幕から出遅れ、前回9月23日阪神戦の完封で2勝目を挙げたばかりだった。

◆辛抱の末に念願の白星を手にした。ヤクルトの開幕投手を務めたベテラン左腕、石川雅規投手(40)がDeNA戦で5回2/3を4安打2失点に抑え、今季初勝利を挙げた。 現役最多の通算172勝目は、プロ入り19年連続勝利と、球団生え抜き初の40代勝利。記録ずくめの1勝を先発10試合目で打ち立てた。試合後の勝利のハイタッチ。キャプテン青木に背中を押され、石川は先頭でナインと手を合わせた。「みんなの何とか(勝たせたい)って気持ちが伝わってきた。僕もそれに応えられるように攻められたと思います」。開幕から早3カ月半。「のどから手が出るほどほしい」と言った勝利を、やっと手中に収めた。 40歳。球は速くない。プレートを踏む位置を一塁側、三塁側と変えたり、カットボールやシュートの小さく動く球で芯をずらしたり。「2試合やられてるんで。このままじゃ悔しいですから」。過去2試合で防御率11・05と打ち込まれたDeNA打線を「技」で5回まで1安打に抑え込んだ。 こらえた。3年ぶりの開幕投手も務めたが、これまで2試合で勝利投手の権利を持って降板していた。コンディション不良で2軍にも落ちた。「もどかしい、悔しい。僕にもへこむ時期があった」。クラブハウスでは後輩たちを気遣った。敗戦後の後輩たちには「明日、明日」。好プレーの選手には「ありがとう」と声を掛けた。そして家に帰れば一転、励まされた。夫人と愛息2人は「堂々と前向きに頑張る姿に勇気をもらえるんだよ」と言ってくれた。「石川家としてもチームで戦っていた」。 何時も準備を怠らない。投手練習の1時間前にグラウンドに出る。先発した翌日でも、課題があればブルペンで不安を打ち消す作業。その繰り返しが19年連続勝利。「1つ勝つのはすごく難しい。この時期の1勝って、恥ずかしいんですけどね。使い続けてくれた監督とコーチに残り試合、勝利で返していきたい」。同じく10試合目で初勝利した10年前は、後半一気に盛り返して11連勝した。目標の200勝へ。歩みは止めない。【鎌田良美】

◆DeNA梶谷隆幸外野手が90年8月パチョレック、96年5月佐伯を上回る月間42安打の球団新記録をマークした。 6回2死二塁でヤクルト石川から左中間適時二塁打を放った。テレビ解説で球場に来ていた佐伯氏の前での達成に「1カ月だけではありますが、偉大な先輩の記録を超えることができ感無量です!」と喜んだ。ラミレス監督も「アメージングのひと言につきる。42安打だけでなく、得点も25点。出塁率も4割を超えている(4割2分7厘)。本当に素晴らしい」と、月間MVP級の働きだとたたえた。

◆辛抱の末に念願の白星を手にした。ヤクルトの開幕投手を務めたベテラン左腕、石川雅規投手(40)がDeNA戦で5回2/3を4安打2失点に抑え、今季初勝利を挙げた。現役最多の通算172勝目は、大卒史上2人目となるプロ1年目から19年連続勝利と、球団生え抜き初の40代勝利。記録ずくめの1勝を先発10試合目で打ち立てた。▼40歳の石川が今季初勝利を挙げ、プロ1年目から19年連続勝利。プロ入り19年連続勝利は79~97年鹿取(西武)以来、23年ぶり。プロ1年目からの連続勝利は56~77年米田(近鉄)の22年が最長で、20年以上が6人いるが、6人はすべて高校から入団。19年目が40歳以上になる大卒投手のプロ入り19年連続勝利は、明大から入団した鹿取に並ぶタイ記録だ。「プロ1年目から」の条件を外しても、大卒投手の19年連続勝利は鹿取と石川しかいない。石川は先発171勝、救援1勝に対し、鹿取の先発勝利は82、83、95年の合計6勝。大卒投手の19年連続先発勝利は石川だけ。

◆辛抱の末に念願の白星を手にした。ヤクルトの開幕投手を務めたベテラン左腕、石川雅規投手(40)がDeNA戦で5回2/3を4安打2失点に抑え、今季初勝利を挙げた。現役最多の通算172勝目は、大卒史上2人目となるプロ1年目から19年連続勝利と、球団生え抜き初の40代勝利。記録ずくめの1勝を先発10試合目で打ち立てた。勝利のハイタッチ。キャプテン青木に背を押され、石川は先頭でナインを迎えた。「みんなの何とか(勝たせたい)って気持ちが伝わってきた。僕もそれに応えられるように攻められたと思います」。開幕から3カ月半。「のどから手が出るほどほしい」と言った勝利をやっと手中に収めた。 40歳。決して球は速くない。プレートを踏む位置を一塁側、三塁側と変えたり、小さく動く変化球で芯をずらしたり。「ルール内で工夫する。2試合やられているので」。過去2戦で防御率11・05と打ち込まれたDeNAを「技」で5回まで1安打に抑え込んだ。 こらえた。3年ぶりの開幕投手を務め、これまで2試合で勝利投手の権利を持って降板していた。コンディション不良で2軍にも落ちた。「もどかしい、悔しい。僕にもへこむ時期があった」。クラブハウスでは後輩たちを気遣った。負ければ「明日、明日」。好プレーには「ありがとう」と声を掛けた。そして帰れば一転、励まされた。夫人と愛息2人は「前向きに頑張る姿に勇気をもらえるんだよ」と明るく努めてくれた。「石川家としてもチームで戦っていた。今度はおやじが頑張る番」と誓った。 何より準備を大事にする。投手練習1時間前にグラウンドへ。先発翌日も課題があればブルペンで不安を打ち消す。その繰り返しで19年勝ってきた。「1つ勝つのはすごく難しい。この時期の1勝って、恥ずかしいんですけどね。使い続けてくれた監督とコーチに、残り試合は勝利で返していきたい」。同じく10試合目で初勝利した10年前は、後半盛り返して11連勝した。目標の200勝まで。歩みは止めない。【鎌田良美】 ▼40歳の石川が今季初勝利を挙げ、プロ1年目から19年連続勝利。プロ入り19年連続勝利は79~97年鹿取(西武)以来、23年ぶり。プロ1年目からの連続勝利は56~77年米田(近鉄)の22年が最長で、20年以上が6人いるが、6人はすべて高校から入団。19年目が40歳以上になる大卒投手のプロ入り19年連続勝利は、明大から入団した鹿取に並ぶタイ記録だ。「プロ1年目から」の条件を外しても、大卒投手の19年連続勝利は鹿取と石川しかいない。石川は先発171勝、救援1勝に対し、鹿取の先発勝利は82、83、95年の合計6勝。大卒投手の19年連続先発勝利は石川だけ。

◆DeNA・梶谷隆幸外野手が、球団記録に挑戦する。29日に4安打を放ち、パチョレック、佐伯に並ぶ球団最多となる月間41安打をマーク。9月最終戦となるこの日、1安打でも放てば球団記録更新となる。  心強いデータもある。ヤクルト先発の石川に対し、今季は試合前までの成績で4打数4安打(1四球)と当たっている。30日も「1番・中堅」で起用された"蒼い韋駄天"が、新たな歴史にその名を刻む。

◆DeNAのタイラー・オースティン内野手が、2試合続けてベンチ入りメンバーを外れた。  オースティンは28日の広島戦(マツダ)の第3打席で、自打球が左ひざを直撃。患部のはれが引かず、29日のヤクルト戦(横浜)を欠場した。  ラミレス監督はこの日の試合前「今、トレーナーに動きを見てもらっている。その報告を受けた上で出られるのかどうか判断したい」と語っていた。オースティンは全体打撃練習には参加せず、右翼フェンス付近で軽めのダッシュを行い、約70秒グラウンドには姿を見せたが、この日も出場にはいたらなかった。

◆DeNAの上茶谷大河投手が、3回5失点で降板した。  一回、山田哲の右犠飛で1点を先制されると、三回は再び山田哲に適時打、村上に左翼席へ19号3ランを浴びて5-0とされた。  2年目右腕は、9月はこの試合まで4戦連続2失点以内と好調。前回23日の阪神戦(甲子園)では、144球の熱投で今季チーム初完封勝利を飾った。しかし、中6日で迎えたこの試合は3四球を与えるなど苦しんだ。  降板直前の三回1死からエスコバーを三振に仕留めた後、右手を気にするしぐさを見せながら木塚投手コーチ、トレーナーとともに一旦ベンチへ下がった。治療を受け、続く西浦は右飛に仕留めて63球を投げたが、三回で降板となった。

◆"蒼い韋駄天"が、新たな歴史にその名を刻んだ。DeNA・梶谷隆幸外野手が、六回の第3打席に左中間へ適時二塁打を放ち、球団最多記録を更新する月間42安打をマークした。  29日に4安打を放ち、パチョレック、佐伯に並ぶ球団最多となる月間41安打をマーク。9月最終戦となったこの日、一気に抜き去った。

◆ヤクルト・石川雅規投手(40)が先発し、5回2/3を投げ4安打2失点。今季初勝利の権利を得て降板した。  18歳下の古賀と今季初めてのバッテリー。一回から両サイドの低めに変化球を集め、先頭から6者連続で打ち取った。  三回、先頭の倉本に初安打を浴びたが続く上茶谷を投ゴロ併殺打とし、この回も無失点で切り抜けると四、五回は三者凡退。  六回は2死一塁から梶谷、神里に連続適時打を浴び、交代が告げられたが左翼スタンドのヤクルトファンからは大きな拍手を送られた。勝利投手となれば、入団から19年連続勝利で、40代での勝利は球団生え抜きでは初となる。

◆ヤクルトは一回に山田哲の犠飛で先制し、三回に山田哲の適時打と村上の19号3ランで4点を加えた。石川は六回途中4安打2失点で今季初勝利。継投で逃げ切った。DeNAは上茶谷が3回5失点と崩れ、打線の反撃も及ばなかった。

◆今度こそ、「石川さん」に勝利を贈りたい。今季はまだ勝利がないベテラン左腕を、打線が序盤から援護した。  まずは一回だ。四球で出塁した山崎が暴投で二進し、青木の一ゴロで三塁へ。続く山田哲が大きな右犠飛を放ち、無安打で先制に成功した。  さらに三回。1死一塁から青木の右前打で一、三塁とすると、またも山田哲が中前適時打を放った。  「決して当たりは良くはなかったが、良いところを抜けてくれてランナーをかえすことができてよかった」  と山田哲。打線はさらに活気づき、1死一、二塁からは村上が19号3ランを放った。  カウント3-1から、上茶谷のツーシームを叩いた打球は衝撃音を残して左翼席に飛び込み、「チャンスだったし、バッティングカウントだったので積極的に打ちにいきました。良い感覚で打ててよかったです」と豪快な一発を振り返った。  プロ19年目。現役最多171勝の40歳左腕、石川は「喉から手が出るほど勝ちが欲しい。プレーヤーである以上、年齢は関係ない。若い時も、年を重ねてからも、1勝に対する重みは変わっていないと思うので。貪欲に、目の前のアウトを積み重ねたい」と話してきた。  六回途中まで4安打2失点。魂のこもった77球は、勢いが欲しいチームの心も動かした。(長崎右)

◆DeNAは、追い上げ及ばず敗戦。勝率5割に逆戻りとなった。前回144球の熱投でチーム今季初完封勝利を挙げた上茶谷大河投手が、3回5失点でまさかの降板。打線も序盤にヤクルト先発・石川を打ちあぐねた。以下、ラミレス監督の主な一問一答  --最後に粘りを見せた  「しっかりトライして、何とか追いつこうという姿勢を見せて、そういう攻撃をしたが、残念ながら追いつけなかった」  --上茶谷が3回5失点で降板  「ちょっと(右手の)指がつったということで代えなければいけなかった」  --梶谷が球団新の月間42安打  「本当にアメージングな素晴らしい記録。今月は本当に素晴らしい成績。42本打って、新記録をつくって、言うことのない、誇りに思う記録」  --明日から10月  「今月は期待していたほどの結果を出せなかったが、来月は日々ベストを尽くして、今月よりいい成績を残したい」  --上茶谷の指の状況  「三回に本塁打を打たれた後に、投手コーチがマウンドにいったときに確認した。(次回は)これから様子を見て、トレーナーの判断をあおぐ形になる」  --三回裏に代打を出さず、打席へ向かわせてから降板の理由  「交代することは決めていたが、(まだ序盤の)あそこで代打を使いたくなかった」

◆九回の追い上げも及ばず、またも勝率5割に逆戻り。前回9月23日の阪神戦で今季初の完封勝利を挙げた上茶谷が、右手の指がつり、3回5失点で降板。9月は好調だった2年目右腕について、ラミレス監督は「これから様子を見て、トレーナーの判断を仰ぐ形になる」と戦線離脱の可能性も示唆した。

◆4番・村上が2点リードの三回1死一、二塁で左越えの19号3ラン。「チームの中でも石川さんに勝ちを、という思いでやっていた。石川さんに勝ちをつけることができてすごくうれしいです」と20歳の主砲が40歳左腕の今季初勝利を援護した。この日は2安打3打点。2年連続でシーズン100安打をクリアし、64打点はリーグ2位に浮上した。

◆"蒼い韋駄天"が、新たな歴史にその名を刻んだ。DeNA・梶谷隆幸外野手(32)が、六回に適時二塁打を放ち、球団最多記録(1990年8月のパチョレック、96年5月の佐伯貴弘)を超える月間42安打をマーク。テレビ解説で球場を訪れていた佐伯氏の前での更新に「一本出したかった。1カ月だけですが、偉大な先輩の記録を超えることができ感無量です」と息をついた。  5点を追う六回2死二塁、石川の2球目を左中間へはじき返した。96年8月のイチロー(オリックス)のプロ野球記録(48)、2018年8月のビシエド(中日)のセ・リーグ記録(47)には届かなかったが、9月は打率・378、5本塁打、14打点。月間MVP受賞も見えてきた。  ラミレス監督は「本当にアメージングな記録。引き付けて逆(左)方向に打てていることが結果につながっている」と絶賛した。♪新たな歴史にその名を刻め-。頼れるリードオフマンが、自身の応援歌の歌詞を見事に体現した。 (浜浦日向)

◆ヤクルト・石川雅規投手(40)が30日、DeNA20回戦(横浜)で5回2/3を4安打2失点と好投し、今季初勝利を挙げた。40代での勝利は球団史上3人目で、生え抜きでは初。2002年の入団から19年連続勝利となり、自身が持つ球団記録も更新した。今季10試合目の登板でつかんだ現役最多の通算172勝目。それは昨年12月に死去した祖父に届ける、魂の77球に導かれた。  ベンチから主将の青木に背中を押され、石川は先頭でナインを迎えた。  「一番のファンである家族が前向きにさせてくれた。『堂々と前を向いて頑張っている姿に勇気をもらえる』と言ってもらえた。石川家として、みんなで戦っていた」  生え抜きでは球団初の40代での白星。まず、夫人と2人の息子に感謝の思いを示した。そして、この1勝を届けたい家族は、天国にもいた。  昨年12月22日、愛する母方の祖父が死去した。「爺ちゃんみたいな人になりたいという思いがあった」。祖父とは小学校高学年まで毎日一緒に風呂に入り、頬が上気するまで夢中で話をした。  現役最多の通算172勝目。「本当に爺ちゃん子だった。『実るほど頭を垂れる稲穂かな』。全然実践できていないけど、そういう言葉をいつも教えてくれた」。偉ぶらず、年下にも教えを請う姿勢が飽くなき勝利への意欲をかき立てる。「僕をつくる上で欠かせない存在。もっと一緒に酒を飲みたかったし、話をしたかった」。祖父との会話が、その源流だ。  直球は130キロ台半ばでも、左腕には卓越した技術がある。プレートの踏む位置を一塁側、三塁側と変えたり、足を上げるタイミングを変えたりすることで、五回まで1安打無失点とリーグトップのチーム打率・267を誇る打線を惑わせた。  今季の開幕投手では12球団で最も遅い白星。2試合で勝利投手の権利を持って降板するなど好投を続けたが、心が折れることはなかった。  7月中旬からコンディション不良で1カ月以上戦列を離れても、考えたのはチームのことばかり。「精神的につらいこともあったでしょうけど、耐えて勝ちにつながる投球をした。チームのために投げる姿は、皆が見ていて感じるものがある」と高津監督。実るほど頭を垂れる稲穂は再建を目指す投手陣、チームの道標になっている。  石川は言う。「一つ勝つって難しい。勝ち星が欲しい中で弱い自分を再認識した部分もあった。これを生かすも殺すも、残り試合でどういう結果を残せるかだと思う」。幼少期から育んできた魂が、偉業の裏にはある。(長崎右)

◆40代での初勝利を達成したヤクルト・石川雅規投手(40)に秋田商高時代の恩師、小野平(たいら)元監督(71)=元青学大野球部シニアアドバイザー=が祝福のメッセージを寄せた。エースの石川を擁して出場した1997年夏の大会をはじめ、監督として甲子園大会に通算8度出場している秋田屈指の名将は、精神力の強さの原点となる高校時代の逸話を明かした。  プロ入りから19年連続の勝利は、本当にすごいことだと思います。  勝てそうな試合を落としたときに励ましの電話を入れても、『粘れなかった自分が駄目です』と自分を責めていました。自分自身を追い込み、努力を惜しまない姿勢には本当に驚かされます。  高校時代は下級生のときに打撃投手を任せていましたが、打撃投手として投げているうちに指先の感覚が鍛えられたのかもしれません。今でも思い出すのは、冬のグラウンドで膝よりも高く積もった雪の中を長靴を履いて2時間、3時間と走っていた姿です。  当時は室内練習場がなかったのですが、室内練習場があるライバル校の環境をうらやましがった際に「ないものねだりをしても仕方がない。それなら、ライバル校の投手の倍走れ」と叱ったことがありました。当時から小さな体に反発心というか、強い気持ちがあったのでしょう。こちらが何も言わなくても、真っ暗な中を一人で黙々と走り続けていました。  40代になりましたが、まだまだ若い。これから勝ち星を伸ばしていってほしいですね。 (談)

◆石川のピッチングが、若々しく見えた。立ち上がりは直球が多く、相手に向かっていく、持ち前のハートの強さが、前面に出ていた。  特に3番・ソトに対しては、初球のカットボールのあと、ストレートを4球続けて、空振り三振と押し切った。生命線のカットボール、シンカーに頼りすぎてはいけない。ストレートあってこその変化球。投手の原点に立ち返ったのだろう。  今季は開幕戦で、勝利投手の権利を持ちながら、リリーフ陣が逆転されて白星を逸した。以降、そこそこの投球をしても、結果はついてこなかった。よく腐らずに、ここまできたものだ。  思い出すのは、私が監督だった2017年。石川は4勝14敗と苦しんだ。あれほどのベテランであれば、体調面などを理由にして、1軍を離れてもおかしくないところ。だが、いっさい逃げず、ともに戦ってくれた。ありがたかったし、何という責任感の強さだろうと感心させられた。  それだけに私個人も、40歳での勝利を、うれしく思う。  本来、チームにとっては、石川を先発の座から追いやる若手が、もういい加減、育ってこないといけないのだが...。それまでは石川に、まだまだ頑張ってもらうしかない。 (本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
54274 0.667
(↓0.008)
M22
(↑1)
35402
(+1)
285
(+4)
104
(+1)
51
(-)
0.260
(-)
3.240
(↓0.01)
2
(-)
阪神
42404 0.512
(↓0.007)
12.5
(-)
34367
(-)
348
(+9)
88
(-)
54
(-)
0.246
(↓0.001)
3.570
(↓0.06)
3
(-)
DeNA
42425 0.500
(↓0.006)
13.5
(-)
31377
(+3)
346
(+5)
90
(-)
22
(-)
0.267
(↓0.001)
3.710
(↓0.01)
4
(-)
中日
40435 0.482
(↑0.006)
15
(↑1)
32310
(+9)
361
(-)
52
(+1)
21
(+1)
0.246
(↑0.001)
3.840
(↑0.05)
5
(-)
広島
33458 0.423
(↑0.007)
19.5
(↑1)
34366
(+4)
414
(+1)
85
(+1)
38
(+2)
0.263
(↑0.001)
4.450
(↑0.04)
6
(-)
ヤクルト
33476 0.413
(↑0.008)
20.5
(↑1)
34365
(+5)
433
(+3)
85
(+1)
49
(+1)
0.252
(↑0.001
4.660
(↑0.01)