阪神(☆7対3★)中日 =リーグ戦16回戦(2020.09.29)・阪神甲子園球場=
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中日
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阪神
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勝利投手:髙橋 遥人(3勝3敗0S)
敗戦投手:勝野 昌慶(2勝4敗0S)

本塁打
【阪神】糸井 嘉男(2号・5回裏2ラン),大山 悠輔(22号・6回裏ソロ)

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◆阪神は1点を追う4回裏、原口が2点適時打を放ち、試合をひっくり返す。その後は、同点とされた直後の5回に糸井の2ランで勝ち越すと、6回には大山のソロが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・高橋が6回3失点で今季3勝目。敗れた中日は、先発・勝野が試合をつくれなかった。

◆中日は今季阪神を相手にナゴヤドームで6勝3敗も、甲子園では6戦全敗で、同球場では昨年9月29日から8連敗中。 同球場で9連敗を喫すると、球団では11連敗した41~42年以来78年ぶりとなってしまうが、連敗を止められるか。

◆中日の甲子園連敗は止まらなかった。先発勝野昌慶投手は5回5失点。新外国人モイセ・シエラ外野手を昇格即スタメン起用し、与田中日では初の助っ人野手3人をスタメンに並べた。しかし、攻撃力増強にはつながらず今季甲子園7戦全敗。昨年9月29日から9連敗で球団では78年ぶりの屈辱だ。 与田剛監督は「ウチは本塁打ゼロ。ワンチャンスをモノにできるかの差が出た試合」と鬼門脱出失敗にガックリ。3位DeNAとは2・5ゲーム差に広がった。 ▽中日アルモンテ(5試合ぶりマルチ安打に6回は左中間への飛球を好捕) 打撃の調子はいい。守備は英智コーチとしっかり練習しているので、いい守備につながっている。 ▽中日渡辺(6回代打で出場し、今季初安打) 積極的にいけたので、その気持ちをずっと持って、これからもやっていきたい。

◆右腹斜筋の筋挫傷で2軍リハビリ中の阪神梅野隆太郎捕手が、30日に1軍復帰することが決まった。 中日戦後に矢野監督が「明日(30日)上げようと思ってる」と明言した。 梅野はこの日ウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)に「3番捕手」で実戦復帰し、3打数3安打1打点と完全復調。結果を伝え聞いた指揮官は「フミ(原口)も頑張っているし、誠志郎(坂本)も途中からいっても頑張っている。隆(梅野)も刺激を持って1軍に上がってくると、そういう相乗効果もあると思う。隆自身の活躍も期待しているし、そういう相乗効果も期待している」と話した。

◆阪神は13連戦初戦を白星で飾った。 打線が11安打を放ち、取って取られての展開を制した。初回、先頭の近本が右越え二塁打で出塁し、相手の暴投で先制。2回に逆転されたが、4回2死満塁から7番原口の左前2点適時打で逆転。5回に再び同点とされたが、打線の勢いは衰えず、3番糸井がバックスクリーンへ決勝2ラン。中日先発の勝野を5回6安打5失点で引きずり下ろした。 6回には5番大山もバックスクリーンへソロ。この回登板した中日2番手の藤嶋の出はなをくじく1発で、本塁打数は22本。リーグトップの巨人岡本とは1本差となった。 先発の高橋は6回8安打3失点と粘投し、今季3勝目。この日でチームは、甲子園での中日戦を7戦全勝。新型コロナウイルスの集団感染の影響で選手を複数人入れ替える非常事態を、総力戦で乗り切った。

◆阪神は初回に1番近本が右越え二塁打で出塁し、相手の暴投で先制。2回、中日が2死満塁から1番大島の2点適時打で逆転。 同点の5回、阪神が糸井の2ランで勝ち越し。中日先発の勝野は5回6安打5失点で降板。阪神は6回にも大山のソロで加点。 阪神先発の高橋は、6回8安打3失点で3勝目。藤浪が初ホールド。中日は6回以降、毎回走者を出しながらも無得点に終わった。中日勝野は4敗目。

◆阪神は29日、チーム内で8人目となる1軍スタッフのコロナウイルス陽性判定に関し、信本秀夫総務本部長(50)が取材に応じた。 感染経路に関しては「保健所に(同スタッフの)行動履歴等をお知らせしまして、そちらで特定していただくことになろうかと思いますが、今のところ我々が分かっているものではございません。保健所には引き続き、協力させていただくというところです」。同スタッフは当日中に入院する予定で、経路は不明だという。 チームは24日に浜地投手の陽性判定が確認され、選手や首脳陣、スタッフを含む計147人へのPCR検査を実施。25日に主将糸原ら5選手、1軍スタッフ2人の計7人が陽性判定を受けた。29日に陽性となったスタッフはPCR検査で1度、陰性判定を受けていたが新たに陽性となった。再度のスクリーニング検査に関しては「今回につきましては濃厚接触者がいませんでしたので、再検査自体は行いませんが念のため、この方に近い方はやっておこうかなと思います」と説明。選手らの再検査は行わないが、スタッフ数名の再検査は行うという。また、球団独自の濃厚接触者に該当する関係者もいない。 チーム活動は継続し、29日中日戦(甲子園)も予定通り実施される。試合前練習では、投手陣らがマスクを着用してキャッチボールやランニングを行った。「グラウンドでは可能な限り、マスクはしてください」と呼びかけも行ったといい、今後については「引き続き、ガイドライン等に沿った対策はもちろん続けていく」と話した。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が救援で1回を無失点に抑え、プロ8年目で初ホールドの権利を手にした。 3点リードの8回に3番手で登板。1四球を出したが、後続を打ち取って無失点に抑えた。先頭の7番阿部への4球目には今季最速で、自己最速に1キロと迫る159キロも計測した。 球場は藤浪の登場にどよめき、1球1球に大きなリアクションで右腕を後押しした。降板した藤浪は「死ぬほど緊張しました。先発の時とは違って人の勝ちがかかった場面で投げることがこんなに緊張するとは思っていませんでした。何とか無失点で抑えることができて良かったです」と胸をなで下ろした。

◆阪神先発の高橋遥人投手(24)が6回3失点(自責1)の粘投を見せた。打線の援護で3勝目の権利を得た。 初回に先制点をもらったが、直後の2回、1番大島に2点適時打を浴びて逆転を許した。打線が4回に逆転するも、またもや直後の5回。5番高橋の犠飛で再び追いつかれた。 5回の攻撃で打線が再び2点を勝ち越したが、直後の6回はまたもや2死一、三塁のピンチ。3度、失点すれば嫌な流れだったが、2番京田を空振り三振。マウンド上では珍しくガッツポーズも飛び出し、三度目の正直で反撃を許さなかった。 「(捕手の)原口さんのリードのおかげで何とか粘ることができましたし、今日の自分の調子以上の力を出すことができました。野手の方々にも援護していただき、原口さんと野手の方々に感謝したいです」 6回に代打を送られ、降板。打線の援護に助けられながら勝負どころをしのぎ、8月25日以来の3勝目の権利を手にして救援陣にあとを託した。

◆阪神大山悠輔内野手(25)が22号ソロを放ち、23本で本塁打ランキング1位の巨人岡本に1本差と迫った。 2点リードの6回先頭、2番手藤嶋の145キロ直球を完璧に捉えた。低い弾道の打球はそのままバックスクリーン左まで届いた。 「追加点が欲しかったので、打つことができて良かったです。いいスイングをすることができました」 9月18日中日戦(ナゴヤドーム)以来、9試合ぶりの1発で点差を広げた。

◆阪神糸井嘉男外野手(39)が、204打席ぶりの1発となる2号勝ち越し2ランを放った。 同点の5回2死一塁。中日先発勝野の初球、144キロ直球を捉えた打球はバックスクリーンに吸い込まれた。6月27日DeNA戦(横浜)以来、204打席ぶりのアーチで2点のリードをもたらした。 「初球から思い切って打つだけでした。それだけです!」 また、この本塁打は「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」として、賞金100万円もゲットした。

◆阪神原口文仁捕手(28)が、逆転となる2点適時打を放った。1点を追う4回2死満塁。先発勝野の直球に食らいつき、三遊間を破った。二塁走者大山まで2者をかえす一打で、試合をひっくり返した。 「前の打者がみんないい形でつないでくれたので、絶対に打ってやろうという気持ちで打席に入りました。ランナーをかえすことができて良かったです」 3試合連続スタメンに抜てきされ、27日ヤクルト戦(神宮)の3打点から2戦連続打点で起用に応えた。

◆阪神近本光司外野手(25)が"速攻"二塁打から相手のバッテリーミスで先制のホームを踏んだ。 初回、先頭の近本が先発勝野の初球147キロ直球を捉えて右越え二塁打。続く北條の犠打で三塁に進塁した。2死となって4番サンズへの3球目がワンバウンドで、捕手木下拓が右前方に弾いたのを見逃さず、快足を飛ばして一気に生還。先発高橋に先制点をプレゼントした。

◆中日新外国人モイセ・シエラ外野手(32)が初昇格初スタメンで公式戦デビューを果たした。試合前練習を終えた同外野手は「チャンスをもらって本当にうれしいね。チームの勝利に貢献できるように頑張るよ」と抱負を語った。今季2軍2割7分9厘、3本塁打、11打点の成績。右太もも裏を故障し抹消された平田の代役を期待される。 同時にドラフト2位左腕橋本侑樹投手(22)も今季2度目の昇格。「ファームでは特にクイックと変化球をテーマに取り組んできました。勝利に貢献できるように頑張ります」と話した。橋本は降格したゴンサレスに代わる左腕リリーフとしての活躍が期待される。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が高橋遥人投手(24)、中日が勝野昌慶投手(23)。 高橋は今季8試合目の先発マウンド。防御率は2・35で、甲子園での5試合に限ると防御率は1・59まで数字は良くなる。中日戦は8月25日(甲子園)に8回1失点で今季2勝目を挙げて以来、2度目。自身はこの試合を最後に勝ち星が付いておらず、約1カ月ぶりの3勝目を目指す。 中日はこの日に1軍初昇格したシエラが「6番右翼」で即スタメンとなった。

◆阪神ロベルト・スアレス投手は4点差の最終回に登板し、1回無失点で試合を締めた。 2番京田には全3球を150キロ超えの直球で攻めて三直。3番アルモンテに四球を与えたが、4番ビシエドを遊撃併殺打に打ち取った。セーブ機会ではなかったが、上位打線に仕事をさせなかった。 今季はここまで37試合に救援登板し、防御率1・40と安定感を保っている。

◆お待たせ!阪神糸井嘉男外野手(39)が実に3カ月ぶりとなる決勝の2号2ランを放った。同点とされた直後の5回2死一塁で中日勝野からバックスクリーンへ。6月27日DeNA戦以来で、甲子園では今季初アーチとなった。チームはこの日も新型コロナウイルス感染者が判明して窮地にあえぐ。膝痛を抱えながら戦う男が意地をみせ、13連戦の白星発進に導いた。糸井が204打席ぶりにゆっくりとダイヤモンドを1周した。「初球から思い切って打つだけでした。それだけです!」。3-3と追いつかれた直後の5回2死一塁。中日先発勝野の初球、144キロ直球を捉えた。吹き付ける浜風も関係なし。一直線に伸びた打球はバックスクリーンに吸い込まれた。約3カ月ぶりの2号2ランで試合を決め、会心の感触を「10年ぶりです」と糸井節で表現した。 4年契約最終年の今季は、右膝痛など満身創痍(そうい)でのプレーが続く。一時は出場機会も減り、自身10年ぶりとなる「7番」スタメンも経験したが「やっぱり野球が好き。勝ちたい」というモチベーションが39歳を支えている。コロナ禍で計20選手の入れ替えが行われる中、21日DeNA戦(甲子園)から「3番」で7試合連続スタメン出場。この間、26打数11安打7打点と存在感を発揮している。9月の月間打率は3割5分2厘と、本来の姿を取り戻しつつある。 「体のことがあり(試合に)出ながら治すというのは難しいところがありますが、徐々には良くなってきている。全力で結果を出せるように毎日、準備はしています」 試合前練習では若手が打撃練習を始める中、自らのペースで外野を1人黙々とランニング。長時間のウオーミングアップで体をほぐし、毎試合に備えている。「甲子園で打てて、本当に良かったです」。甲子園では18年9月12日中日戦以来約2年ぶりのアーチとなった。矢野監督も糸井の久々の一撃を「ベースを1周してる嘉男がまた本当にいい顔で見えた。場面も最高の場面でしたし、最高のホームランでした」と評価した。 この1発で「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」の賞金100万円もゲット。使い道はこれから考えるという。チームは中日に甲子園で今季7戦7勝とし、連勝で貯金を3に戻した。首位巨人の背中を追いかけて、スピードを緩めるわけにはいかない。背番号7はお立ち台で「明日も勝つ!」と、ファンに力強く誓った。調子が戻った超人糸井が、そのバットで打線をけん引していく。【奥田隼人】

◆キングに王手や! 阪神大山悠輔内野手(25)が、22号ソロを放ち、リーグ最多23本塁打の巨人岡本に1本差に迫った。 矢のような鋭い当たりだった。5-3の6回先頭で、中日藤嶋の外角直球を捉えた。「最高の感触でした」。打球は弾丸ライナーでバックスクリーン左に到達。「打った後にボールがついてくる感覚というか、今までにない感覚があった。練習でやってるスイング、バッティングっていうのが、まだまだですけど少しずつできてきている」。3点差とする一撃に納得できた。矢野監督も「入ると思わなかった。それぐらい真芯のあのライナーというのはすごい打球やった。一発で仕留めたというのも価値がある」と驚きの表情を見せた。熾烈(しれつ)なホームラン王争いを繰り広げている。大山は18日中日戦で2発を放ち、一時は岡本に21本塁打で並んだ。その後再び岡本が突き放し2本差とされたが、大山も猛追。「まずはしっかり頑張ります」とタイトルよりチームの勝利を追うが、86年バース以来のキングは現実味を帯びている。9月の月間9本塁打はセ界トップ。打率も3割5厘と上向きで、月間MVPすら射程圏内だ。 4回には左前打、8回には右翼線への二塁打で今季6度目の猛打賞。「終わったあとに反省して、また明日、一からしっかり準備ができてる。そういった積み重ねができてる。もっとレベルは上がると思います」。シーズンは終盤に差し掛かっても、大山は元気だ。【只松憲】

◆阪神は10月11日DeNAまで予定されている13連戦を白星発進した。 過去の主な大型連戦(当初の予定が9連戦以上)の初戦は 9連戦=8月4日2●7巨人↓4勝5敗 13連戦=9月1日2○1ヤクルト↓7勝4敗1分け(中止1) 無難に滑り出した今回はこまで白星を伸ばせるか。

◆右翼ポール際の通路に突然、観客がへばりつき始める。登場曲が流れる前に、名前がコールされる前に、誰が現れるか確信できた。阪神藤浪晋太郎投手(26)はマウンドにたどり着いた直後、内野陣から声をかけられると、心を見透かされたからか照れ笑いした。 「死ぬほど緊張しました。先発の時とは違って、人の勝ちがかかった場面で投げることがこんなに緊張するとは思っていませんでした」 3点リードの8回表、レギュラーシーズンでは初めて甲子園で救援登板した。チーム休日の前日28日を挟んで3連投。力みはあっても、疲れは感じさせなかった。先頭7番阿部への4球目、外角に今季最速159キロを決める。16年に計測した自身最速160キロに肉薄する1球に聖地がザワついた。 阿部をフルカウントから歩かせ、8番木下拓にも2ボール。捕手坂本がマウンドで間を取ると、落ち着きを取り戻す。木下拓は外角154キロで二ゴロ。代打溝脇はスライダーで二ゴロ。1番大島も内角153キロで二ゴロ。1球1球にどよめきが発生する中、1回を無安打無失点だ。高橋3勝目の権利をつなぎ、今度は安堵(あんど)の笑みが見られた。 「だって、晋太郎は球界の宝だから」 なぜ、そこまで藤浪を気に懸けるのか。そう問われた時、虎の看板を長年背負い続けた鳥谷は簡潔にそう説明した。「特別な能力があるんだから。誰だって、そんな選手がこのまま終わってほしくないでしょ」。 制球難に苦しんでいたころ、投手と野手の垣根を越えて何度も言葉をくれた。ロッテ移籍後も対戦したい投手を問われれば、事あるごとに名前を出し続けてくれた。「ありがたいです」。先輩の言葉に泥を塗るわけにはいかない。配置転換にも動揺している暇はない。 7年ぶりの救援登板から3戦目で早くも勝ちパターンに組み込まれた。チームは13連戦に突入したばかり。フル回転は望むところだ。「何とか無失点で抑えることができて良かったです」。プロ初ホールドでひと山越えた。藤浪が、リリーバーとして再生の道を走り始めた。【佐井陽介】

◆阪神2番手のジョン・エドワーズ投手は1回1安打無失点でバトンをつないだ。 7回に2死から5番高橋に左越え二塁打を浴びたが、6番シエラをスライダーで空振り三振。これで登板3戦連続無失点で「1軍の試合や雰囲気にも慣れてきた。それが今日も抑えられた要因だと思うから、次からも落ち着いて自分のピッチングに集中したいね」と頼もしかった。

◆阪神矢野燿大監督はプロ初ホールドの藤浪に新たな感覚を期待した。 「人の勝ちとかチームの勝ちを背負う。自分でここを抑えないと、というのは誰でもよぎる。(先発時に)みんなこうやって俺のことを勝たしてくれていたんだなとか、この1イニングを抑えるのってこんなに緊張したりプレッシャーかかるんだと学べる」。 当面は中継ぎ起用だが「先発に戻った時にはこの経験が生きる場所になると思う」と願った。

◆阪神の坂本誠志郎捕手は7回からエドワーズの女房役として途中出場し、バットでも勝利に貢献した。 8回1死三塁から橋本の直球を左前へ運んだ。チーム7点目を生み出すダメ押しの適時打に「いいところに飛んでくれて良かったです」と喜んだ。マスクをかぶって藤浪も含めて3投手をリードし、無失点に抑えた。正妻梅野が抜けた穴を、原口とともにしっかり埋めている。

◆阪神先発高橋遥人投手は6回8安打3失点で3勝目を上げた。 4回以外は毎回得点圏に走者を背負う苦しい投球。2回は自らの暴投も絡んで逆転を許したが、中盤に打線の援護を受けて踏ん張った。左腕は「原口さんのリードのおかげで、なんとか粘ることができました。今日の自分の調子以上の力を出すことができました」と女房役に感謝した。 矢野監督は「遥人(高橋)にはもうちょっと高いところを期待していますし、そういうところではあと1点でも少なく行ってもらえるところもあると思う。次回も期待しています」と奮投を求めた。

◆阪神は近本光司外野手の足で、先制点を生み出した。 初回に初球を振り抜き右越え二塁打とし、北條史也内野手のバントで三進。2死からジェリー・サンズ外野手への3球目がワンバウンドして捕手がはじいたのを見逃さず、本塁へ生還した。矢野燿大監督も「チカ(近本)が1人で取ってくれましたし。本当にチカらしいチカならではの足で点を取ってくれました」と称賛した。

◆阪神・糸井嘉男外野手(39)が五回に勝ち越しとなる2号2ランを放った。  「打ったのはストレート。初球から思い切って打つだけでした。それだけです!」  3-3の同点で迎えた五回。1死一塁で初球の144キロを振り抜き、バックスクリーンへ運んだ。6月27日のDeNA戦(横浜)以来、94日ぶりとなる一発。バックスクリーンへの本塁打は21日のDeNA戦のボーア以来、今季4本目となった。

◆中日のシエラが1軍での初打席だった二回、安打を記録した。投手前へのぼてぼての当たりだったが「とてもうれしい。この1本がこれからたくさんの安打を打てる始まりになるように頑張っていきたい」と喜んだ。この日出場選手登録されたばかり。二進した後は高橋の投球が乱れたところを逃さず、果敢なヘッドスライディングで三塁へ進んだ。  右打ちの外野手として米大リーグで207試合に出場したシエラは今季、育成選手として入団。3月に(修正前:支配下選手登録を結び、)支配下選手契約を結び、ここまで2軍で試合を重ねてきた。「チームの勝利に貢献できるように頑張りたい」と意気込むニューカマーが1軍での第一歩を踏み出した。

◆八回を無失点に抑え、プロ初のホールドを記録した阪神・藤浪は広報を通じてコメントした。  「死ぬほど緊張しました。先発の時とは違って人の勝ちがかかった場面で投げることがこんなに緊張するとは思っていませんでした。何とか無失点で抑えることができて良かったです」  3点リードの八回から登板、先頭打者に四球を与えたが、続く3人をすべて二ゴロに打ち取った。3試合連続登板はプロ入り初めてだった。

◆阪神が13連戦の初戦を白星で飾った。  3-3の五回、2死一塁で糸井がバックスクリーンへの勝ち越しの2ランを放つと、六回にも大山のソロでリードを広げた。八回は途中出場の坂本に適時打が飛び出し、打線は11安打7得点と奮起した。  先発の高橋は6回8安打3失点(自責点1)と粘投。その後は、エドワーズ、藤浪とつなぎ、最後は守護神のスアレスが試合を締めた。高橋は今季3勝目。8月25日の中日戦(甲子園)以来、登板5試合ぶりに白星を挙げた。

◆阪神は中日に7-3で勝利し、13連戦の初戦を白星で飾った。以下、矢野燿大監督の主な一問一答。  --近本が安打と俊足で先制点をもぎ取りました  「チカ(近本)が1人の力で取ってくれました。一回1死三塁で点が取れなかったら流れ的に嫌なんですけど、本当にチカらしいチカならではの足で点を取ってくれました」  --糸井はストレートを見事にとらえました  「そうですね。気持ちよくね、ベースを一周してる嘉男(糸井)見て、また本当にいい顔に見えたのでね。場面も最高の場面でしたし、最高のホームランでした」  --大山もホームランダービーでトップの岡本(巨人)に1差に迫るバックスクリーンへのホームラン  「いやー、ね。すごく低い打球だったのでいかないと思ったんですけど。どんどん自信にしてもらって、高いところに目標あると思うので、チームのために自分のためにやってもらいたいです」  --藤浪が甲子園のマウンドに上がる時の雰囲気をどう感じた  「やっぱりね、特別な声援だったので。晋太郎(藤浪)自身もそれを背に、思い切って投げることもできると思いますし。新しいポジションで投げるってすごく緊張もあると思うんですけど、1個1個こうやって自信をつけていってくれて、ファンのみなさんの期待に(応えて)、そして晋太郎自身が投げたいボールをどんどん投げていけるようにしてもらいたいですね」  --ベンチに帰って最高の笑顔を見せていた  「見ました、見ました。ああいう顔で野球がやれるというのは晋太郎自身も幸せでしょうし。やっぱりあの緊張の場面の1イニングというのは、これからの晋太郎にも、今の先発ではない場所というのは学びの場所になると思うんでね。どんどん吸収してどんどんいい投手になってほしい」

◆中日は阪神に3-7で敗戦。甲子園での開幕7連敗は2008年以来、12年ぶりとなった。与田剛監督(54)の主な一問一答は下記の通り。  --勝野の投球、序盤から中盤への変化は  「間違いなく打たれているところは甘かったと思うし、タイガース打線は今シーズン、本当によくやられているので、なかなか打ち損じてくれないというか、しっかりと仕留められてしまいましたけどね」  --リリーフ陣もつかまってしまう傾向がある  「ビハインドで最少失点で抑えておけば、というところで失点をしてしまう。攻撃も10個ほど残塁がある。負けるときはちぐはぐになってしまうので、なんとかそれを回収するようにしないといけないですけど」  --あと1本出なかった  「うちはホームランがゼロ。長打の差も出ましたし、ワンチャンスをものにできるかという差が出てしまった試合だと思う」  --シエラが初安打に好走塁  「きょうはすごく元気に試合に臨んでくれましたから。これから状態が上がってくれたら、と思いますけどね」  --その後は安打が出なかったが、場数を踏めば期待できる?  「もちろん打てるに越したことはないですけど、いきなり初戦からガンガン打てるかといえば難しい。もちろん結果は求めるし出してもらいたいですけど、早く慣れてほしいと思う」  --甲子園で未勝利。必要なことは  「もちろんそれは十分、知っていること。早くここで勝ちたい思いはありますけど、だからといって戦い方がどうこうということではないのでね。本当に一戦一戦、担当コーチたちと話をしながら(やりたい)」

◆右腹斜筋の筋挫傷で2軍調整中だった阪神・梅野隆太郎捕手が30日から1軍に昇格する見通しになった。矢野燿大監督が試合後、取材に応じ「明日(30日)上げようかなと思っている」と明かした。梅野は29日のウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)で3打数3安打1打点だった。  「リュウ(梅野)も帰ってきたら、フミ(原口)も頑張っているし、誠志郎(坂本)も途中からいっても頑張っているんで。リュウも刺激を持って1軍に上がってくると、そういう相乗効果もあると思うんで」と話した。

◆3試合連続でスタメンマスクをかぶった原口が1-2の四回2死満塁で、一時逆転となる左前2点タイムリーを放った。「みんながつないでくれたので、絶対に打ってやろうという気持ちで打席に入りました」。調子の悪かった高橋を好リードし、打撃でも4試合連続安打と、調子は上向き。右腹斜筋の筋挫傷で戦列を離れていた梅野が、30日に1軍復帰するが、簡単にスタメンの座を譲るつもりはない。

◆5-3で迎えた六回2死一、三塁。京田を空振り三振に仕留めると、いつもは感情を表に出さない高橋がマウンド上で雄たけびを上げながら、手をたたいて喜んだ。  「きょうは原口さんのリードのおかげで、なんとか粘ることができましたし、打線が点を取ってくれて楽になった。調子以上の力を出すことができました」  六回の攻撃で代打を告げられ、6回8安打3失点(自責1)で交代。13連戦の初戦という大役を任された中、苦しんだ。それでも勝った。8月25日の中日戦(甲子園)以来となる、今季3勝目。価値ある1勝だ。  「プロに入ってから一番、(調子は)悪かったと思います」  実際、点の取られ方は最悪だった。1点を先制してもらった直後の二回、ボーアのエラーや自身の暴投もからんで招いた2死満塁のピンチで、大島に逆転2点打を浴びた。原口の逆転2点打が飛び出した直後の五回には、高橋の右犠飛で追いつかれた。それでもその裏、糸井の2ランで三たび、リード。同じ過ちを何度も繰り返すわけにはいかなかった。  「きょうは打たれてから厳しく頑張れたところもあった。でも、打たれる前に頑張らないといけなかったですね」  新型コロナウイルスに感染した岩貞、濃厚接触者となった岩崎がベンチにおらず、中継ぎ陣は苦しい。7回以上は投げてほしかった矢野監督は「遥人(高橋)には、もうちょっと高いところを期待しているし、1点でも(失点を)少なくいってもらいたい。次回も期待しています」とハッパをかけた。もちろん本人が一番わかっている。  次回登板は中5日で、10月5日の巨人戦(甲子園)が有力だ。チームは4勝12敗と大きく負け越しているだけに、高橋は「13連戦の頭で6回というのは短いと思う。次は、こういうピッチングにならないように調整したい」と誓った。G相手に、次こそマウンドで虎の意地をみせる。(三木建次)

◆大山が22号ソロを放ち、ホームラン王争いでトップに立つ巨人・岡本に1本差に迫った。5-3の六回先頭、2番手・藤嶋の145キロ直球を思い切りはじき返し、弾丸ライナーでバックスクリーン左に突き刺す豪快弾。「打った感触、打った後のバットにボールがついてる感覚は、いままでにない感触があった」と手応え十分。お立ち台では球団でバース以来34年ぶりとなる本塁打王誕生に期待をかけられると「まずはしっかり頑張ります」と雑念を振り払うように気合を込めた。

◆快音を残し、甲子園の夜空に弧を描いた白球が、バックスクリーンへと飛び込んだ。糸井が勝ち越しとなる2号2ラン。久しぶりの一発に甲子園が大きな歓声に包まれた。  「初球から思い切って打つだけでした。それだけです!」  五回、3-3の同点に追いつかれた直後だった。2死一塁から勝野の初球、144キロ直球を振り抜いた。「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」で賞金100万円もゲット。「(これほどの打球は)10年ぶりですね」と超人節も飛び出した。  6月27日のDeNA戦(横浜)以来、約3カ月ぶりとなる今季2発目。甲子園では2018年9月12日の中日戦以来、2年ぶりとなるアーチに、ダイヤモンドを一周すると白い歯がこぼれた。  この姿に矢野監督も「(ダイヤモンドを)一周している嘉男(糸井)を見て、いい顔に見えた。最高の場面でしたし、最高のホームランでした」と絶賛した。  4年契約最終年の今季、苦しいシーズンとなった。昨年手術を受けた左足首や古傷を抱える右ひざ。けがとも戦い続け、調子は上がらず、スタメンを外れる日も増えた。  思わず弱気になるときもあったが、そんなとき、原動力となったのは「やっぱり野球が好き。勝ちたい。それだけですね」。そんな純粋な気持ちだった。出番に備えて早出で汗を流す。体のケアも怠らずに毎日した。ベテランのそういった努力が本塁打となって表れた。  「毎日準備して今日、甲子園で打てて本当に良かったです」  七回にも右前打で、3番に復帰した21日のDeNA戦(甲子園)から7試合で5度目の複数安打を記録。8月終了時で・228だった打率も・261まで上げてきた。  チームは甲子園での中日戦で2008年以来となる開幕から無傷の7連勝。"お得意様"から勝利し、お立ち台に上がると力強く締めた。  「明日も勝つ!」  残り35試合。復調してきた超人がこのまま突っ走る。(菊地峻太朗)

◆プロ8年目、気迫の初ホールド! 阪神は甲子園で中日に7-3で勝ち、2連勝。藤浪晋太郎投手(26)が八回に登板し、1イニングを無失点に抑えた。「死ぬほど緊張した」-。試合前、新たに1軍チームスタッフ1人に新型コロナウイルスの陽性判定が出たことが発表され、8人目の感染に。窮地に陥っている虎を、笑顔の戻った右腕が救う!!  黄色いリリーフカーに乗って藤浪が登場すると、1万785人が一斉に沸いた。プロ8年目。甲子園での中継ぎ登板が初めてなら、3連投ももちろん初だ。そして見事に1回を無失点! 記念すべき初ホールドをマークすると、安堵の表情を浮かべながら、ベンチへと歩を進めた。  「死ぬほど緊張しました。何とか無失点で抑えることができてよかったです」  素直な言葉が物語るように、6-3と3点リードの緊迫した展開での登板だった。先頭の阿部に対し、2球続けてボール。3球目に157キロでストライクを取ると、4球目には159キロを計測し、公式戦では2016年にマークした160キロに次ぐ数字をたたき出した。最後は四球を与えたが、続く木下拓からを直球で押し込み、3者連続二ゴロに仕留めて九回のスアレスにつないだ。  「先発のときとは違って、人の勝ちがかかった場面で投げることがこんなに緊張するとは思っていませんでした」  今季は先発では8試合に登板し1勝5敗。中継ぎ登板は3試合目だが、9月26日は同点、27日は6点リードの状況での登板だった。この日は後輩の高橋の白星がかかっていた場面。今までとは違った救援投手特有のプレッシャーや責任感を、身をもって体感した。  リリーフでの起用は思わぬ形から始まった。9月14日に抹消され、先発予定だった25日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ球場)は浜地の新型コロナウイルスの感染を受けて中止に。同日、感染者と濃厚接触者らを含む10選手が登録抹消される非常事態となり、急きょ1軍に昇格。ブルペンで待機することになった。  この日も新たにチームで8人目となるスタッフの感染が判明。試合前の練習では、選手もマスクをつけながらウオームアップするなど厳戒態勢で臨んだ。藤浪自身、3月下旬にプロ野球界で初めて感染した。チームに、応援してくれるファンに恩返しを-。先発では苦しい投球が続いたが、新たな"職場"で闘志あふれる姿を披露し、チームの2連勝、3カ月連続月間勝ち越しに貢献した。  矢野監督は「先発をやっていたときは、みんなこうやって俺のこと勝たせてくれていたんだなとか。1イニング抑えるのはこんなに緊張したり、プレッシャーかかるんだと学べると、先発に戻ったときに新たな視野が見えると思う」と期待。さらに「ああいう顔(笑顔)で野球がやれるというのは、晋太郎自身も幸せでしょうし。どんどん吸収してどんどんいい投手になってほしい」と、背中を押した。  コロナ禍で岩崎、岩貞らを欠くブルペンを、藤浪が救う。中継ぎでの厳しく、新鮮な経験を生かし、さらに成長した姿を虎党に見せていく。(織原祥平)

◆「タイガースのピッチャーの交代をお知らせします。ピッチャー・エドワーズに代わりまして藤浪、背番号19」  ウオ~!! その瞬間、甲子園のスタンドだけでなく、全国の虎党の歓声が俺には聞こえたのだ!!  3試合連続のリリーフ登板だけど、やっぱり藤浪晋太郎のマウンドはワクワク、ドキドキの夢がそこにあるー!!  本日は先頭の阿部を四球で出したけど、後続をキッチリと抑えてのプロ初ホールドを手にしたのだ。  もういい!! 先発にこだわらなくても!! 来季は火の玉リリーバー・藤川球児を継いだれー!! そうとなったら思い切って、登録名を『2代目藤川球児』もしくは『藤川浪晋太郎』でいったれー!! この日からの13連戦の全て登板する『鉄人晋ちゃん』となり、能力のすごさを見せたろやないかー!!

◆苦しんでいたときも、藤浪はリリーフで試して欲しいと願っていた。もともと一回から失点することもほとんどなかった投手。先頭打者は歩かせたが、耐えて、結果としても抑えた。何よりあの笑顔が見られたことが、すべてを表している。良いものが見られた。  藤川も1イニングを投げることで評価されるようになった投手だ。先発が優秀で、そうでなければ優秀ではないという、そういう時代ではない。藤浪と1イニングだけ向き合うのは打者としてもつらい。彼の威力のあるボールは、後ろで投げるに値する。そこをきっちりと抑える投手は評価される。1イニング、1人の打者に集中するということに徐々に慣れていってもらって、そこでまた彼の良さを発掘していってもらいたい。  ちょっと良かったら先発に戻そう、なんて発想は要らない。先のことは自信を持つことができたらまた考えればいい。今は考える必要はないと思う。残りゲーム、このポジションでどれだけの結果を残せるかというのを見せてほしい。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
54264 0.675
(↑0.004)
M23
(↑1)
36401
(+6)
281
(+1)
103
(-)
51
(-)
0.260
(-)
3.230
(↑0.03)
2
(-)
阪神
42394 0.519
(↑0.006)
12.5
(-)
35367
(+7)
339
(+3)
88
(+2)
54
(+1)
0.247
(↑0.001
3.510
(↑0.04)
3
(-)
DeNA
42415 0.506
(↑0.006)
13.5
(-)
32374
(+8)
341
(+4)
90
(+2)
22
(+1)
0.268
(↑0.001)
3.700
(-)
4
(-)
中日
39435 0.476
(↓0.005)
16
(↓1)
33301
(+3)
361
(+7)
51
(-)
20
(-)
0.245
(-)
3.890
(↓0.04)
5
(-)
広島
32458 0.416
(↓0.005)
20.5
(↓1)
35362
(+1)
413
(+6)
84
(-)
36
(-)
0.262
(↓0.001)
4.490
(↓0.01)
6
(-)
ヤクルト
32476 0.405
(↓0.005)
21.5
(↓1)
35360
(+4)
430
(+8)
84
(+1)
48
(-)
0.251
(↓0.001)
4.670
(↓0.04)