阪神(★2対4☆)広島 =リーグ戦5回戦(2020.07.23)・阪神甲子園球場=
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広島
0000040004501
阪神
2000000002811
勝利投手:森下 暢仁(2勝1敗0S)
(セーブ:一岡 竜司(0勝0敗1S))
敗戦投手:藤浪 晋太郎(0勝1敗0S)

本塁打
【広島】ピレラ(4号・6回表満塁)
【阪神】大山 悠輔(6号・1回裏2ラン)

  DAZN
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◆広島が逆転勝利。広島は2点ビハインドで迎えた6回表、ピレラのグランドスラムが飛び出し、試合をひっくり返す。投げては、先発・森下が6回4安打2失点の好投。その後は3人の継投で逃げ切り、森下は今季2勝目を挙げた。敗れた阪神は、打線が好機を生かしきれなかった。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が今季初登板。プロ3年目までの藤浪は甲子園球場で19勝4敗の好成績だったが、16年以降は○●●●●○●●●の2勝7敗。甲子園球場では17年4月27日DeNA戦以来となる白星を目指す。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が出場選手登録され、午後6時からの広島戦に先発する 1軍登板は19年8月1日(甲子園)の先発以来で、勝てば18年9月29日中日戦(ナゴヤドーム)以来、663日ぶりとなる。 昨年はプロ7年目で自身初めて未勝利と悔しいシーズンとなった。背水の覚悟で臨んだ今季は3月下旬、新型コロナウイルスに感染。5月下旬には遅刻が理由で2軍降格となった。右胸の筋挫傷など試練を乗り越え、ようやくつかんだ357日ぶりの1軍マウンド委。期待の右腕の投球に注目が集まる。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が藤浪晋太郎投手(26)、広島が19年のドラ1右腕下暢仁投手(22)。 阪神藤浪の1軍登板は19年8月1日(甲子園)の先発以来357日ぶりで、勝てば18年9月29日中日戦(ナゴヤドーム)以来、663日ぶりとなる。昨季プロ初の1軍0勝に終わった右腕が、復活をかける。また、右臀部(でんぶ)の張りを訴えていた新助っ人のボーアは4試合ぶりにベンチ入り。途中出場で、復活を目指す右腕を援護できるか。

◆4番が復活をかける右腕を強力援護だ。阪神大山悠輔内野手(25)が、1回2死一塁の第1打席で、広島森下から先制の6号2ランを放った。 変化球を捉えた打球はバックスクリーン左へ。この時点でチーム単独トップとなる1発で、357日ぶりに1軍登板した先発藤浪を後押しした。 「打ったのはチェンジアップ。今日は同級生の(藤浪)晋太郎が投げていますし、なんとか援護したいと思っていたので、先制点を取ることができて良かったです。昨日のミスも取り返したいと思っています」 大山は前日22日の試合で1点リードの9回に同点に追いつかれてしまう一塁悪送球の失策があったが、その翌日にバットで貴重な先制点を生み出してみせた。

◆広島ホセ・ピレラ外野手(30)が6回に逆転の4号満塁弾を右翼ポール際に運んだ。 阪神先発藤浪に5回まで2安打に抑えられていた。2点を追う6回に安打と2四球で2死満塁とし、6番に入ったピレラが外角154キロを強振。高々と上がった飛球は右翼ポール際のスタンド最前列に吸い込まれた。「前の打席で少し詰まっていたので、速いストレートに合わせて打ちにいきました。(広島先発の)森下も頑張っているので何とかしたかった。最高の結果になったね」。一振りで試合の流れをひっくり返した。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が663日ぶりの勝利を目指し、先発マウンドに立った。1軍登板は19年8月1日(甲子園)の先発以来。 昨年はプロ7年目で自身初めて未勝利と悔しいシーズンとなった。背水の覚悟で臨んだ今季は3月下旬、新型コロナウイルスに感染。5月下旬には遅刻が理由で2軍降格となった。右胸の筋挫傷など試練を乗り越え、ようやくつかんだ357日ぶりの1軍マウンド。期待の右腕の投球に注目が集まる。   藤浪の登板内容は以下の通り。   【1回表】 1番西川 初球は内角に外れる151キロ直球。追い込んでからスライダーで遊ゴロ。 2番安部 追い込んでから変化球を右前打。 3番堂林 初球、右前打で1死一、三塁。 4番鈴木誠 154キロ直球で詰まらせ、遊ゴロ併殺。ピンチを無失点で切り抜ける。   【2回表】(4番大山の先制2ランで援護点をもらう) 5番松山 フルカウントから3球ファウルで粘られるも、134キロスライダーで二ゴロ 6番ピレラ カウント3-1から152キロ直球で四球 7番会沢 フルカウントから内角高め150キロ直球で空振り三振 8番田中広 フルカウントからスライダーが内角低めに外れて四球。2死一、二塁。 9番森下 初球、150キロ直球で二ゴロ   【3回表】 1番西川 150キロ直球で遊ゴロ 2番安部 151キロ直球で二ゴロ 3番堂林 3球勝負から144キロスライダーで空振り三振。1番からの好打順をわずか9球で、初の3者凡退   【4回表】 4番鈴木誠 カウント3-0から151キロ直球で四球 5番松山 135キロカットボールで遊ゴロ併殺 6番ピレラ 151キロ直球で二ゴロ   【5回表】 7番会沢 149キロ直球で遊ゴロ 8番田中広 150キロ直球で左飛 9番森下 スライダーで空振り三振 5回まで68球、2安打無失点。3四球を出すも、2回以降は無安打。この時点で勝ち投手の権利が付いた。   【6回表】 1番西川 初球、150キロを中前打。初回以来の安打を許す 2番安部 初球149キロ直球にセーフティーバントを試みるも、ポップフライで捕飛 3番堂林 カウント3-1から133キロスライダーで四球 4番鈴木誠 フルカウントから155キロ直球で2者連続四球。1死満塁 5番松山 フルカウントから154キロで見逃し三振 6番ピレラ 154キロ外角直球を右翼席まで運ばれ、逆転の満塁本塁打 7番会沢 135キロスライダーで空振り三振   【7回表】 8番田中広 148キロ直球で遊撃へのゴロを打たすも北條が失策。無死一塁 9番代打野間 打者は送りバントの構えも制球が定まらず、カウント3-1から147キロ直球で四球 ここでベンチから出た矢野監督が投手交代を告げる。7回途中4安打4失点、6四球で交代となった。

◆663日ぶりの勝利を目指して先発した阪神藤浪晋太郎投手(26)は、7回途中4安打4失点、6四球で降板。2点のリードを許し、2番手望月にマウンドを譲った。5回まで無失点も6回に落とし穴。6番ピレラに逆転満塁本塁打を浴び、復活星とはならなかった。 セットポジションでの投球。初回、初球は151キロ直球から入った。先頭西川は遊ゴロに打ち取るも、2番安部から連打を浴びて1死一、三塁のピンチ。ここで4番鈴木誠を154キロ直球で詰まらせて遊ゴロ併殺に打ち取り、無失点で立ち上がった。 その裏に4番大山の先制2ランで援護点をもらった。2回は2四球で再び得点圏に走者を背負うも、後続を断った。3回は1番からの好打順を9球で3者凡退。4回も先頭鈴木誠を四球で出すが、5番松山を遊ゴロ併殺。この回も結果的に打者3人を8球で打ち取った。5回も7番会沢からを10球で3者凡退に退け、勝ち投手の権利を得た。 しかし6回は先頭西川に中前打を許し、1死から2者連続四球で満塁のピンチを招いた。5番松山は見逃し三振に斬るも、ピレラへの2球目だった。この日89球目、外角への154キロ直球を捉えられ、右翼ポール際に運ばれた。逆転の4号グランドスラム。ここまで粘ってきたが、一振りに泣いた。 続投した7回のマウンド。先頭の8番田中広を北條の失策で出塁を許し、代打野間には四球。無死一、二塁となったところで交代となった。7回途中4安打4失点、6四球。2点のリードを許し、2番手望月にマウンドを託した。 「先制点をもらった状況だったので、何としても自分自身で勝ちを呼び込まないといけなかったのですが、今日一番のターニングポイントで粘りきることができず、もったいない投球となりました。まだ負けが決まったわけではないので、ここから逆転することを信じてしっかり応援します」 1軍登板は先発した19年8月1日(甲子園)以来、357日ぶり。18年9月29日以来の勝ち星を目指したマウンドだった。昨年はプロ7年目で自身初めて未勝利と、悔しいシーズンとなった。背水の覚悟で臨んだ今季は3月下旬、新型コロナウイルスに感染。5月下旬には遅刻が理由で2軍降格となった。右胸の筋挫傷など試練を乗り越え、ようやくつかんだ1軍登板。期待の右腕の投球に注目が集まったが、悔しいマウンドとなった。

◆右肩のコンディション不良による2軍調整を終えて1軍選手登録された阪神藤川球児投手(40)が、2点ビハインドの状況でマウンドへ上がった。 8回から3番手で登板。先頭のセ・リーグ首位打者を快走する堂林を146キロ直球で右飛。続く4番鈴木誠には右前打を許し、5番松山には四球。1死一、二塁とピンチを招いたが、6回に逆転満塁弾を放っているピレラを見逃し三振に斬った。その後暴投で2死二、三塁としたが、7番会沢を空振り三振に取って0封。昇格即の仕事でバトンをつないだ。 藤川は今季6試合目で初めて8回のマウンドへ上った。ビハインドでの登板も今季初めてとなった。

◆阪神が1回、大山の2ランで先制した。357日ぶりの1軍戦登板となった先発藤浪は3回を無失点の立ち上がり。 広島は2点を追う6回、ピレラが4号満塁弾を放ち、逆転に成功した。先発森下は6回でプロ初の2ケタ奪三振をマークする力投。 広島は逃げ切って最下位を脱出した。森下は6回2失点で2勝目。阪神は6カード連続勝ち越しとはいかず、勝率5割に戻った。負け投手は阪神藤浪で1敗目。

◆阪神は初回に大山の6号2ランで先制。2点ビハインドの広島は6回にピレラの満塁本塁打で逆転し、そのまま逃げ切った。357日ぶりの1軍戦登板となった先発藤浪は7回途中4失点で1敗目を喫した。広島は逃げ切って最下位を脱出した。森下は6回2失点で2勝目。阪神は6カード連続勝ち越しとはいかず、勝率5割に戻った。

◆阪神が広島に敗れ、引き分けをはさみ続けていた連勝が5でストップ。広島3連戦は1勝1敗1分けとなり、6連続カード勝ち越しも逃した。 藤浪晋太郎投手(26)が今季初登板初先発。1回に大山悠輔内野手(25)が6号2ランで先制点をプレゼント。藤浪も苦戦しながら5回までは無失点に抑えていたが、6回に2死満塁のピンチを迎え、ピレラに逆転満塁本塁打を浴びた。7回途中4失点で降板し、今季初黒星を喫した。 8回には、この日1軍復帰した藤川球児投手が3番手で登板。21日に40歳になってからの初登板を1回無失点で終えた。7回には右臀部(でんぶ)の張りでベンチ外が続いていたジャスティン・ボーア内野手(32)が、4試合ぶりに復帰し代打で四球を選ぶなど、戦列を離れていた選手が戻ってきたのは敗戦の中の光明だった。

◆20打席ぶりの安打が広島の連敗を止める決勝グラウンドスラムとなった。「6番左翼」で2戦ぶり先発のホセ・ピレラ外野手(30)は2点を追う6回。2死満塁から阪神藤浪の154キロを強振した。右翼方向に上がった飛球はポール際の最前列に飛び込み、試合をひっくり返した。 劣勢の得点機で力強く左足を踏み込み、バットにすべての力を込めた。「前の打席で少し詰まっていたので、速いストレートに合わせて打ちにいきました。森下も頑張っているので何とかしたかった」。151キロに詰まらされた4回の打席の反省を生かした。 開幕1番で好スタートを切りながら、15日巨人戦の4打席目から19打席連続無安打。先発から外れる試合も増えた。開幕前から状態が悪いときは上半身の力に頼る傾向があった。調整をコーチに一任された開幕延期期間も下半身主導の打撃を徹底。この日は力負けした打席を経て、外角直球を基本通りの下半身主導でスタンドに放り込んだ。 打順が変わり、役割も変わる。「自分自身、持っているものすべてグラウンドで出して、チームに貢献したい」。原点回帰で、助っ人が再び上昇気流に乗る。【前原淳】

◆阪神望月惇志投手がギリギリの場面で踏ん張った。 2点ビハインドの7回無死一、二塁で藤浪を救援し、西川、安部を打ち取り2死二、三塁にこぎつけた。堂林への5球目はワンバウンドになり、三塁走者田中広がホームへ。だが梅野がミットで止めて前へこぼれた球を拾いタッチアウト。「ピンチの場面でしたが、絶対に抑えるという気持ちでマウンドに上がりました。最後の梅野さんのプレーにも感謝したいです」と女房役に感謝した。

◆阪神植田海内野手が途中出場で今季初安打を放った。7回に中谷の代走で出場すると、そのまま二塁の守備に就いた。 2点を追う9回1死で回ってきた打席で、広島一岡から左前へはじき返した。今季2打席目での初安打は得点には結びつかなかったが、存在感を示した。

◆右臀部(でんぶ)の張りで3戦連続で欠場した阪神ジャスティン・ボーア内野手が、4試合ぶりにベンチ入りして7回に代打で出場した。 2死一、三塁の場面でアニメ「ドラゴンボールZ」のテーマ曲に乗って登場すると、ファンから拍手で迎えられた。広島の左腕フランスアから四球を選んでチャンスを拡大。離脱するまで5本塁打13打点と打線の中心として活躍していた助っ人に、矢野監督も「先発で4打席立ってもらうところでチームに貢献してもらう選手なんで」と戦列復帰を喜んだ。

◆阪神矢野燿大監督の勝負をかけた攻撃も勝利に届かなかった。 2点を追う7回。先頭の陽川が中前打で出塁すると、次打者として木浪に代え、代打原口をコール。1死後には代打中谷。2死一、三塁ではこの日からベンチに入ったボーアを代打で送り出した。出塁した中谷とボーアには代走も送って勝負をかけた。ただ2死満塁からサンズが空振り三振に倒れ、得点には結びつかなかった。 連勝は5で止まったが、甲子園で続いた13試合で9勝3敗1分けともり返した。24日からは敵地ナゴヤドームでの中日3連戦。矢野監督は「またちょっと(甲子園を)離れますけど、今までの戦いを継続して、タイガースらしい野球をしていきます」。ビジターでも白星を積み上げていきたい。

◆阪神キャプテン代行の北條史也内野手は「2番遊撃」で15試合ぶりの先発も3打数無安打だった。 主将糸原が負傷で出場選手登録を外れ、試合前に矢野監督から任命された。今季4度目のスタメンで初回は送りバントを決められず空振り三振。5回は2死一、二塁で広島森下の前に一邪飛に倒れた。守備でも1失策があり、7回に代打を送られた。

◆阪神藤川球児投手(40)が1軍昇格即日登板で1回を無失点に抑えた。 右肩のコンディショニング不良による2軍調整を終えて12日ぶりに合流。今季6試合目はいつもの9回とは違う8回、いつもと違う2点ビハインドだった。おなじみのリンドバーグの登場曲にスタンドから大きな拍手が湧き起こった。 先頭の堂林は146キロ直球で右直。1死から直球で鈴木誠を打ち取ったような当たりは右翼と二塁の間に落ちた。その後、四球を出して1死一、二塁とするが、ベテランに焦りはなかった。満塁弾を放っているピレラには3球勝負を選択。内角146キロ直球で見逃し三振に封じた。暴投で2死二、三塁としても、会沢を131キロフォークで空振り三振に仕留めた。21日に誕生日を迎え、40歳での初登板。11日DeNA戦以来の登板を無失点でまとめた。 矢野監督は戻ってきた右腕の投球を「球児自身も(2軍調整を)有意義な時間にしてくれたと思う。スタートしてゼロでいけたというのは大きい。また、落ち着いてやれるんじゃないですかね」と評価。今後の起用に関しては「抑えで使いたい」と再び守護神を任せる方針を示した。 開幕から守護神を任されていた藤川は5試合に登板して0勝2敗2セーブ、防御率15・75だった。制球に苦しんで4試合で失点した。11日に2度目のセーブ機に失敗し、翌12日に出場選手登録を外れていた。悔しい敗戦の中でも、守護神の復帰は今後に向けた明るい材料の1つ。あと5つとしている日米通算250セーブのカウントダウンも再び始まる。【奥田隼人】

◆阪神の連勝が5で止まり、6カード連続勝ち越しはならなかった。初回に4番大山が先制の6号2ラン。5回まで2-0でリードしていたが、6回に先発藤浪が広島ピレラに満塁本塁打を浴びて逆転された。7回には代打3人、代走2人を送り出す攻めをみせたが勝利には届かず。貯金がなくなり、勝率5割に戻った。試合後の矢野燿大監督(51)の主なコメントは以下の通り。 -藤浪の投球は 矢野監督 立ち上がりから晋太郎らしく、腕を振って投げてくれた。勝負にいった結果なんでね、6回は。勝ち投手の権利もあり、ピンチを背負って力みももちろんありましたけど、勝負にいった結果。それは仕方ないと思っています。 -7回の続投は今後への期待も込めて 矢野監督 それもありますけど、チーム全体のことを考えて。 -打線は追加点が欲しかった 矢野監督 いい投手なんでね、そんなに簡単に取れない状況でしたけど。(大山)悠輔もすばらしいホームランを打ったんで、どこかでもう1点、もしくは追加点というのを取りたかったというのはありますけど、みんな何とか崩そうと頑張ってくれた。 -8回は藤川 矢野監督 まずスタートしてゼロでいけたというのは大きいと思います。球児自身もまた落ち着いてやれるんじゃないですかね。 -明日から敵地 矢野監督 またちょっと(甲子園を)離れますけど、今までの戦いを継続して、タイガースらしい野球をしていきます。

◆阪神大山悠輔内野手(25)が、同い年の先発藤浪を援護する豪快アーチをかっ飛ばした。 0-0の1回2死一塁。広島ドラフト1右腕、森下の129キロチェンジアップをすくい上げた。詰まりながらも打球は夕空に舞い上がり、バックスクリーン左の客席へ着弾した。チームトップの先制の6号2ランだ。「先制点を取ることができて良かったです」。一塁ベンチ前で投球練習を行っていた藤浪も思わず笑顔。矢野監督も「素晴らしいホームラン」と大絶賛した一撃だった。 力投する藤浪に贈るアーチだった。今季初登板だった右腕とは、同じ94年生まれ。藤浪は高卒、大山は大卒で同じ1位指名で阪神に入った。入団年は違っても「同級生の晋太郎(藤浪)が投げていますし、なんとか援護したいと思っていた」。努力する姿を見てきたからこそ、特別な思いがあった。藤浪が逆転を許して決勝弾にはならなかったが、357日ぶりに1軍マウンドに立った盟友の背中を押す1発だった。 名誉挽回の1発だった。前日の同戦。1点リードの9回1死二塁の守備で、長野の平凡なゴロを一塁へ悪送球。二塁走者が生還し、さらに逆転を許す痛いミスとなった。なんとか近本の同点適時打で引き分けに持ち込んだが、「昨日のミスも取り返したいと思っていた」とリベンジの思いをバットに込めた。 試合前までは、ホームランを打てば今季5戦5勝だったが不敗神話はストップ。それでも6回に左前打を放ち、今季7度目の複数安打で打率は3割3分8厘と好調を維持している。規定打席数にわずかに届いていないが、打点もチームトップの15で4番の仕事を果たし続けている。24日からの中日3連戦は前回3連敗した敵地での戦い。大山がお返しの勝利を運ぶ。【只松憲】

◆広島のドラフト1位森下暢仁投手(22)が6回4安打2失点、自己最多10三振を奪う熱投でプロ2勝目を手にした。コンディション調整のため中13日を空けた登板で、最速151キロの直球と変化球で好調猛虎打線を大山の2ランのみに抑え、連勝を5でストップさせた。藤浪晋太郎投手(26)との新旧ドラフト1位対決で粘り勝ち。引き分けを挟むチームの連敗を2で止め、最下位脱出を導く会心の甲子園ナイトになった。森下は勝利をベンチで見届けると「よっしゃー」と喜びをかみしめ、拍手でナインを出迎えた。甲子園で新旧ドラフト1位の対決で粘り勝った。藤浪の甲子園での登板に虎党からエールが飛び交うアウェーの雰囲気の中、最後まで集中力を保ち、ミットをめがけ腕を振り続けた。藤浪との投げ合いに「高校の甲子園で見ていた投手。プロ野球選手になった実感があった」と感慨深げに話した。 5連勝中と勢いに乗る猛虎打線を圧倒した。初回大山にプロ初被弾となる先制2ランを浴び出ばなをくじかれた。「これ以上点を取られるわけにはいかないと、割り切っていけた」。2回以降は最速151キロの直球と変化球がさえわたり、三振の山を築いた。プロ入り自己最多の10奪三振。「しっかり投げきれました」と振り返った。 学生時代に"ドラフト1位"の存在に刺激を受けていた。明大2年時の17年に台湾で実施されたユニバーシアードの日本代表に選出された。ローテーションの都合もあり、米国との決勝の先発を託された。大一番の舞台にも「プレッシャーはそんなになかった」と7回2安打無失点の快投で、チームを世界一へと導いた。同代表には後にドラフト1位でプロ入りするDeNA東や西武松本がいた。「全然質が違った。こういう人たちが勝っていくんだなということを身近で学べました」。東はプロ入りした翌18年にセ・リーグの新人王を獲得。「ああいうレベルにならなければいけない」。早い段階で高いレベルを身近で、そして肌で感じてきたことが、森下の原動力となっている。 コンディション調整から中13日を空けた久々の登板で2勝目を手にした。チームの連敗ストップ、最下位脱出に大きく貢献した。佐々岡監督は「2点を取られた後にしっかり試合を作ってくれた」とたたえた。背番号18を背負う黄金ルーキーがチームを押し上げていく。【古財稜明】

◆広島長野久義外野手(35)が阪神5回戦(甲子園)でベンチから外れた。 試合前練習中からグラウンドに姿を見せなかったが佐々岡監督は「全然大丈夫です」と話すにとどめた。

◆広島一岡竜司投手が9回を無失点に抑え、18年9月29日巨人戦以来のセーブを記録した。2点リードの7回からフランスア、塹江とつなぎ、最終回は一岡に託した。前日救援失敗の菊池保からの"代魔神"は1死から安打を許しながらも、後続を断った。佐々岡監督は「クローザーと決めずにいろいろ打順とかを見ながらやっていこうと思う」と当面は日替わり守護神で乗り切る考えを明かした。   広島一岡(9回を無失点に抑え2年ぶりセーブ)「今いるブルペンの中で自分が一番経験はあるので、変な投球はできないと思って臨んだ。中継ぎと同じような気持ちで行ったが、思うように行かなくて抑えをやっている投手はすごいんだとあらためて思いました」

◆663日ぶりの勝利を目指して先発した阪神藤浪晋太郎投手(26)は、7回途中4安打4失点、6四球で降板。2点のリードを許し、2番手望月にマウンドを譲った。藤浪は息をのんだ。目を見開き、飛球の行方を追った。白球は無情にも右翼ポール際のフェンスを越えた。息をフーッと吐き出す。受け入れがたい現実に、そのまま思わず目を閉じた。 「何としても自分自身で勝ちを呼び込まないといけなかった。今日一番のターニングポイントで粘りきれず、もったいない投球になってしまいました」 激しく悔いたのは2点リードの6回、変わり身に割れんばかりの拍手が降り注いだ直後だった。 1死一塁から3番堂林、4番鈴木誠に2者連続四球を与えた。1死満塁。5番松山に3ボールから3球連続でストライクを投じ、外角低め154キロで見逃し三振を奪った。メガホン音が響き渡る中、2死満塁。6番ピレラへの2球目、外角154キロを今度はハードパンチされた。逆転満塁被弾。悔しさのあまり右太ももを強くたたいた。 3月下旬に新型コロナウイルスに感染して出遅れた。5月下旬には練習遅刻が理由で2軍落ちした。357日ぶりの1軍マウンド。直近の2軍戦ほど制球が安定しなかったのは致し方ない。甲子園独特の緊張感。侍ジャパン4番の鈴木誠にリーグ首位打者堂林らが待ち構える重圧。この2つに3月以降の経緯が加われば、力むなと言う方が酷だ。 1回は1死一、三塁から同学年の4番を154キロで詰まらせ、遊ゴロ併殺に仕留めた。2回からの4イニングは無安打投球と安定させた。ついに663日ぶりの白星か。機運がピークに達しつつあった6回、勝負どころで力みを制御できなくなった。自身4年ぶりの満塁被弾に泣いた。 どん底からの復調気配は間違いない。最速156キロの直球は強さを取り戻しつつある。ただ、引き分けを挟んだチームの連勝を5で止め、6年ぶりの6カード連続勝ち越しも幻にした事実が何より悔しい。 矢野監督は「晋太郎らしく腕を振って投げてくれた。(6回は)勝負にいった結果なので仕方がない」と納得した上で、再チャンスについて「もちろん先発させる」と明言した。次回は30日の敵地ヤクルト戦となる見込み。今度こそ、復活を仲間と分かち合いたい。【佐井陽介】 ▽阪神福原投手コーチ(先発藤浪について)「久しぶりの1軍の甲子園のマウンドで緊張感もあっただろうし、その中で結果的に負けはしたけど、あそこまで投げてくれたというのは次につながる投球だったと思います」 ▼藤浪が満塁本塁打を打たれたのは3度目。14年4月8日DeNA戦でのブランコ、16年8月30日での中日杉山以来。 ▼今季チームでは、能見が6月30日中日戦で7回アルモンテに喫して以来、2本目。

◆663日ぶりの勝利を目指して先発した阪神藤浪晋太郎投手(26)は、7回途中4安打4失点、6四球で敗戦投手となった。 5回まで無失点も6回、6番ピレラに逆転満塁本塁打を浴びた。矢野監督は「立ち上がりから晋太郎らしく、腕を振って投げてくれた」と評価した。被弾した場面にも「勝ち投手の権利もあり、ピンチを背負って力みももちろんありましたけど、勝負にいった結果なので、それは仕方ないと思っています」と責めなかった。さらに、次回登板については「もちろん先発させる」と、2度目の登板を明言した。

◆広島のドラフト1位森下暢仁投手(22)が6回4安打2失点、自己最多10三振を奪う熱投でプロ2勝目を手にした。コンディション調整のため中13日を空けた登板で、最速151キロの直球と変化球で好調猛虎打線を大山の2ランのみに抑え、連勝を5でストップさせた。藤浪晋太郎投手(26)との新旧ドラフト1位対決で粘り勝ち。引き分けを挟むチームの連敗を2で止め、最下位脱出を導く会心の甲子園ナイトになった。ルーキー森下が10三振を奪って2勝目。2桁奪三振を記録した広島の新人は14年9月6日DeNA戦で10奪三振の大瀬良以来だ。これで森下は26回2/3を投げて31奪三振となり、奪三振率が10・46。規定投球回に不足しているものの、奪三振数は菅野(巨人)39個、今永(DeNA)36個に次ぐリーグ3位で、奪三振率は菅野9・84、今永10・45を上回っている。

◆広島ドラフト1位森下暢仁投手が6回4安打2失点、自己最多の10三振を奪う熱投でプロ2勝目を手にした。 コンディション調整のため中13日を空けた登板で、最速151キロの直球と変化球で好調猛虎打線を大山の2ランのみに抑え、連勝を5でストップさせた。◆広島森下の勝負球 10個の三振のうち緩い球で奪ったのは3回1死からチェンジアップで糸井を空振り三振に仕留めた1つだけ。9個は直球とカットボールの速球系で奪った。内外角のゾーンギリギリを強い球で攻める姿勢を貫き、プロ初の2ケタ奪三振勝利につなげた。

◆スターティングメンバーおよびベンチ入り選手が発表され、ジャスティン・ボーア内野手(32)が、18日の中日戦(甲子園)以来、4試合ぶりにベンチ入り選手に登録された。  右臀部(でんぶ)の張りを訴えていた助っ人だが、前日22日に屋外練習を再開。この日もフリー打撃で38スイング中5本の柵越えを放つなど、状態に問題はなさそうだ。  また、右手有鈎(こう)骨の骨折と診断された糸原健斗内野手(26)に代わって、北條史也内野手(25)が、「2番・遊撃」で先発出場。7月2日の中日戦(ナゴヤドーム)以来のスタメンとなった。糸原が守っていた「二塁」は、「8番・二塁」で木浪聖也内野手(26)が入った。

◆阪神が大山悠輔内野手(25)の6号2ランで先制に成功した。  一回2死一塁で打席に立つと、カウント2-2から森下の129キロチェンジアップを振り抜いた。高く舞い上がった打球はバックスクリーン左へと飛び込んだ。4番のアーチで今季初先発の藤浪を援護した。

◆昨年8月1日の中日戦(甲子園)以来357日ぶりの登板となった阪神・藤浪晋太郎投手(26)は七回途中4失点で降板した。  2-0の六回、先頭の西川に中前打を許すと、2四球などで1死満塁のピンチ。松山を渾身のストレートで見逃し三振に抑えたものの、続くピレラに外角への154キロの直球を右翼ポール際へ運ばれ、痛恨の逆転満塁本塁打を浴びた。  藤浪は七回も続投。遊ゴロ失策と四球で無死一二塁のピンチを招いたところで、望月にマウンドを譲った。打者27人に106球を投げ、4安打、5三振、6四球。2018年9月29日の中日戦以来となる白星はならなかった。

◆広島のピレラが来日初の満塁本塁打を放った。0-2の六回、制球に苦しむ藤浪を攻め立てて塁を埋め、2死後に打席へ。「前の打席で少し詰まっていたので、速い直球に合わせて打ちにいった」と外寄りの速球を強振。逆方向の右越えに飛び込む4号となった。  加入1年目の今季は開幕から1番打者でけん引したが、調子を落として下位に回り、この日は6番での先発だった。20打席ぶりの安打で、先発のルーキー森下を力強く援護した。

◆23日に1軍に復帰した阪神・藤川球児投手(40)が2-4とビハインドの八回から登板。1回1安打無失点、1四球、2三振に抑えた。  1死から鈴木誠に右前打、松山に四球を与えて1死一、二塁のピンチを背負うも、ピレラを見逃し三振。続く会沢の打席で自身の暴投で2死二、三塁とされたが、最後は131キロフォークで空振り三振に抑えて、無失点で切り抜けた。  11日のDeNA戦(甲子園)で1/3回を2安打3失点(自責2)で2敗目を喫すると翌12日に右肩コンディション不良のため抹消となった。  その後、2軍では19日のウエスタン・広島戦(鳴尾浜)に登板し、1回1安打無失点、1奪三振に抑えていた。

◆阪神は広島に2-4で敗れた。5カード連続で勝ち越し中だったが、このカードは1勝1敗1分けと勝ち越しとはならなかった。  阪神打線は、一回2死から大山が森下からバックスクリーン左へ2ランを放ち、先制に成功した。  先発した藤浪は昨年8月1日の中日戦(甲子園)以来の1軍登板。五回まで無失点に抑えていたが、六回2死満塁からピレラに本塁打を浴び、2-4と逆転を許した。  七回もマウンドに上がったが、遊撃・北條の失策と四球で無死一、二塁とされると交代が告げられ、七回途中4安打4失点6四球でマウンドを降りた。  援護したい打線も二回以降は得点が奪えず、敗れた。

◆渾身の直球は無情にも右翼フェンスを越えた。痛恨の一発を浴びた阪神・藤浪は目を閉じ、悔しさをにじませた。357日ぶりの1軍マウンドで五回まで無失点投球。順調にゼロ行進を続けていたが、六回に逆転満塁本塁打を許した。  「先制点をもらった状況だったので、何としても自分自身で勝ちを呼び込まないといけなかったのですが、きょう一番のターニングポイントで粘りきることができず、もったいない投球となりました」  反省の弁が口をついた。  プレーボール前から球場は異様な熱気に包まれた。場内で藤浪の名前がアナウンスされると、この日一番の拍手が巻き起こった。  失点したのは2-0の六回。先頭の西川に中前打。安部は捕飛に抑えたが、堂林に四球。ストレートとともに軸にしてきたカットボールでストライクをとれず、鈴木誠にも四球。松山には外角低めへ154キロ直球をズドンと決めて見逃し三振を奪ったものの、ピレラには外角154キロ直球を右翼ポール際へ運ばれた。満塁被弾は2016年8月30日の中日戦(ナゴヤドーム)で杉山に浴びて以来のことだった。  立ち上がりにもピンチを招いた。一回1死から安部と堂林に連打を浴びて一、三塁。続く4番・鈴木誠を154キロ直球で遊ゴロ併殺に仕留めて無失点で切り抜けたが、試合中盤の正念場では踏ん張り切れなかった。  この日のマウンドに上がるまで、波乱の半年間を過ごした。3月の新型コロナウイルス感染や、練習遅刻で2軍降格。2年連続で開幕2軍スタートとなり、6月上旬には右胸軽度の筋挫傷...。数々の試練を乗り越え、復帰後の実戦4試合で16イニング無失点と結果を残し、昨年8月1日の中日戦(甲子園)以来の1軍マウンドをつかんだ。  勝てば2018年9月29日の中日戦(ナゴヤドーム、9回5安打無失点)以来663日ぶり。甲子園では17年4月27日のDeNA戦以来1183日ぶりの白星となるはずだったが...。七回に味方の失策と四球で無死一、二塁としたところで投手交代を告げられ、ベンチへ下がった。6回0/3を4安打4失点。わずか1球が悔やまれた。チームも連勝が5でストップした。

◆阪神は広島に2-4で逆転負け。2点リードの六回2死満塁からピレラに逆転満塁弾を浴びた藤浪について、矢野監督は「立ち上がりから晋太郎らしく腕振って投げてくれたので。勝負にいった結果なんでね、六回は。仕方ないと思っています」と話した。次回登板については「もちろん先発させるよ」と明言した。  この日、出場選手登録された藤川が2-4の八回から登板。1回1安打無失点、1四球、2三振に抑えた。帰ってきた守護神については「まずスタートしてゼロでいけたというのは大きいと思いますし。球児自身もまた落ち着いてやれるんじゃないですかね」と話した。  無失点で乗り切ったが、四球を出すなど、まだまだ本調子でないことは認めた上で「まだあれでいいとは球児自身も思っていないと思うし。自分の中で、1軍にいるとその中で修正したり、課題になかなか思い切ったことができにくいんで。球児自身も(2軍再調整を)有意義な時間にしてくれたと思う。ランナーを出したとはいえ、ゼロでいけたというのは自分の中で、いい感触のあるボールもあったと思うので。まだまだ上がると思うので。そこら辺は経験もあるのでね」と話した。  藤川はビハインドで登板。救援陣の登板が続いていたこともあっての起用かと問われると「まあ、それは、でも抑えで使いたいし。その気持ちはあるけれど。全体のこともあるんで。それは状況を見てやっていきます」と説明した。

◆この日1軍に復帰した阪神の藤川が、2-4の八回に登板した。安打と四球でピンチを招いた後は、ピレラを直球で見逃し三振。会沢をフォークボールで空振り三振に仕留め、無失点で切り抜けた。  開幕から守護神を務めたが失点を重ね、12日に右肩のコンディション不良で登録を外れた。日米通算250セーブの偉業が迫る。矢野監督は「抑えで使いたい気持ちはあるが、チーム全体のこともある。状況を見てやっていく」と慎重な姿勢を示した。 阪神・福原投手コーチ(藤浪について) 「負けはしたが、あそこまで投げてくれたというのは、次につながる投球だったと思う」

◆抑え投手が不安定な広島は、一岡を九回に起用した。無失点で切り抜け「今いるブルペン(の投手)の中で自分が一番経験はある。変な投球はできないと思って臨んだ」と息をついた。  スコットは不振。前日22日は菊池保がリードを守れなかった。佐々岡監督は「クローザーと決めずに、いろいろ打順とかを見ながらやっていこうと思っている」と狙いを説明した。 佐々岡監督(森下に) 「序盤は高めにいくこともあって2点を取られはしたが、その後、しっかり抑えて試合をつくってくれた」

◆2番手の阪神・望月が好リリーフでピンチを脱出した。「絶対に抑えるという気持ちでマウンドに上がりました。ボール自体は良かったと思いますが、もう少し制球の精度を上げられるようにしていきたいです」。七回無死一、二塁で救援して西川を二ゴロ。なおも1死二、三塁で安部から154キロで空振り三振を奪うと、田中広の走塁死で切り抜けた。中7日の出番も、今季初登板から3試合無失点だ。

◆阪神・北條が「2番・遊撃」で2日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、15試合ぶりにスタメン出場した。試合前には矢野監督から離脱した糸原に代わり、代行キャプテンに任命されたが、この日は3打数無安打。七回2死一、三塁の好機で代打・ボーアを送られてベンチに下がった。六回のピンチでは同期の藤浪にマウンドへ声をかけにいったが、バットで援護できなかった。

◆広島・ピレラが藤浪を打ち砕く来日初の満塁弾だ。右打者の体付近への荒れ球はこの日も数球あったが、米大リーグ通算17発の新助っ人はまったく意に介さず。「荒れているとかそういう感覚はない。真っすぐを打つという意識で臨んだ」と、0-2の六回2死満塁で右越えへ豪快な5号アーチを架けた。15日の巨人戦(マツダ)以来7試合ぶりの安打が値千金の一発となり、チームを救った。

◆広島のD1位・森下(明大)がプロ初の2桁10三振を奪い2勝目。球団新人の2桁奪三振は2014年9月6日の大瀬良(対DeNA、10個)以来6年ぶりだ。コンディション不良による抹消を経て、中13日での登板。「気にすることなく入れた。しっかり投げ切ることができた」。一回に大山にプロ初被弾も、6回4安打2失点の快投だ。  観客の前での初登板が甲子園となったが「チャンスになると雰囲気が変わる。満員になったときが楽しみ」と頼もしい。5戦ぶり勝利で最下位を1日で脱した佐々岡監督も「しっかり抑えて試合を作ってくれた」とたたえた。

◆右臀部の張りで欠場していた阪神・ボーアが4試合ぶりに復帰した。七回2死一、三塁の代打で四球を選び、好調のサンズにつないだ。前日22日から試合前の練習に復帰し、この日からベンチ入り。矢野監督は「もちろん先発で4打席立ってチームに貢献してもらう選手。でも、長引かせないようにするのは俺らの仕事。相談しながらチームにとって何がいいか、個人にとって何がいいのか考えながら」と我慢したが、スタメン復帰も近そうだ。

◆八回、スタンドがどよめいた。かかった登場曲はLINDBERGの「every little thing every precious thing」。1軍復帰したばかりの藤川がマウンドに上がった。  「あれでいいとは球児(藤川)自身も思っていないと思うし。ランナーを出したとはいえ、ゼロでいけたというのは、いい感触のあるボールもあったと思う。まだまだ(状態は)上がると思うので。そこら辺は経験もあるのでね」  送り出した矢野監督は無失点に終えたことに、一定の評価を下した。  2-4。もう1点やれば流れが一気に広島に行きかねない場面だった。まずは堂林を146キロ直球で右飛。鈴木誠も直球で詰まらせたが、右前にポトリと落ちる不運なヒットになった。松山には制球が定まらず、ストレートの四球。だが、ピレラは146キロ直球で見逃し三振だ。会沢の打席で暴投で2死二、三塁とピンチを広げたものの、最後はフォークで空を切らせて、空振り三振に仕留めて切り抜けた。  右肩コンディション不良で12日に登録抹消となった。「1日も早くコンディションを回復させられるように努めます」。こう誓って、2軍ではブルペンで90球近く投げるなど一刻も早くいい感覚を取り戻そうとした。実戦復帰した19日のウエスタン・広島戦(鳴尾浜)では1回無失点。わずか11日で1軍に復帰した。  再昇格後は守護神で起用する方針だった矢野監督だが、この日は八回に送り出した。その理由を「(藤川を)抑えで使いたいし、その気持ちはあるけど、全体のこともある。状況を見てやっていきます」と説明。前日22日に2失点したが、藤川不在の間に4セーブと奮投したスアレスもいる。過密日程で岩崎や馬場ら中継ぎがフル回転している現状もある。ベテランには、ここぞの場面で行ってもらうつもりだ。  日米通算250セーブまであと「5」。絶対的な守護神に返り咲くため新たなスタートを切った。 (菊地峻太朗)

◆阪神は広島に2-4で敗戦。357日ぶりに1軍のマウンドに戻ってきた先発・藤浪晋太郎投手(26)は六回に逆転の満塁弾を浴びて、敗戦投手となった。それでも五回までは無失点に抑え、矢野燿大監督(51)は次回も先発で起用することを明言。連勝は「5」で止まり、糸原健斗内野手(27)らけが人も続出中だが、勝利のピースが戻ってきた!  温かい声援と拍手を一身に受け、357日ぶりに1軍のマウンドに戻ってきたが...。藤浪が正念場で痛恨の満塁被弾。七回途中で無念の降板となり、ベンチで悔しさをにじませた。  「先制点をもらった状況だったので、何としても自分自身で勝ちを呼び込まないといけなかったのですが、きょう一番のターニングポイントで粘りきることができず、もったいない投球となりました」  プレーボール前に名前がコールされると、大きな拍手が起こった。力強い直球で詰まらせて無失点投球を続け、勝ち投手の権利を手にして迎えた2-0の六回だった。先頭の西川に中前打。1死とした後、堂林と鈴木誠に連続四球。続く松山を外角の154キロで見逃し三振に斬ったものの、ピレラに外角の直球を右翼ポール際に運ばれ、逆転の満塁弾を浴びた。  七回も続投したが、味方の失策と四球で無死一、二塁となったところで降板。6回0/3を4安打4失点。それでも、ベンチへと下がる際には再びスタンドから拍手が送られた。矢野監督は「勝ち投手の権利もあり、ピンチを背負って力みももちろんありましたけど、勝負にいった結果なので、それは仕方ない」と責めず、次回について「もちろん先発させるよ」と明言した。  この日のマウンドに上がるまで、数々の試練にぶつかった。昨季はプロ初の0勝に終わり、今年1月には「活躍できなかったらクビになるのが当然の世界。そういう覚悟を持って」と背水の思いで再起を誓っていた。新型コロナウイルス感染や遅刻による2軍降格。2年連続で開幕2軍スタートとなり、6月には右胸に軽度の筋挫傷。波乱の上半期を過ごしたが、けがから復帰した実戦4試合で16イニング無失点と結果を残し、昨年8月1日の中日戦(甲子園)以来の1軍登板のチャンスをつかんだ。  2018年9月29日の中日戦(ナゴヤドーム)以来663日ぶりとなる白星はつかめず、チームの連勝も「5」で止めてしまった。だが、糸原やマルテ、エドワーズら故障者が次々に出ている状況下で、復帰した藤浪が先発ローテで頼りになることを証明したのは光明だ。なくなった貯金も、また積み上げればいい。  「全体的にいい状態ではあるので、やってきたことをしっかり1軍の試合でも出せるように頑張りたい」  登板前にこう話していた。昨季のようなすっぽ抜ける球はなくなったものの、6与四球と課題もあった。それでも-。チームとともに仕切り直して、次こそ勝利に貢献し、自身も2年ぶりの白星をつかむ。(織原祥平)

◆強く固い絆が力になった。帰ってきたエースを後押しする花火が、甲子園の夜空に舞い上がる。阪神・大山がバックスクリーン左に運ぶ先制の2ラン。先発マウンドに立った同世代の藤浪にささげる一発に、胸を張った。  「同級生の(藤浪)晋太郎が投げていましたし、なんとか援護したいと思っていたので、先制点を取ることができてよかったです」  0-0の一回2死一塁。カウント2-2から広島のD1位・森下(明大)の129キロチェンジアップをとらえた。大きな弧を描いた打球がスタンドに吸い込まれると、ベンチ前でキャッチボールをしていた藤浪も、グラブをたたいて喜びをあらわにした。  矢野監督は「(森下は)いい投手なんでね。そんなに簡単に(点は)取れない。(大山)悠輔はすばらしいホームラン打った」と称賛。ここまで大山がホームランを放てば5戦5勝。不敗神話は崩れたが、これでチームトップの6号。さらに5試合連続安打と絶好調の4番は、この日、リベンジに燃えていた。  「きのう(22日)のミスを取り返したいと思っています」  前日22日の広島戦(甲子園)では、2-1の九回の守備で悪送球。自身のミスで同点とされ、一時勝ち越しを許した。悔しさをバットに込め、うっぷんを晴らす渾身の一撃となった。  前日22日には攻守でチームを引っ張ってきた主将・糸原が右手有鉤(こう)骨を骨折して離脱。精神的支柱を欠くなか、矢野監督は北條をキャプテン代行に任命した。糸原の守っていた「二塁」は、木浪が入った。北條も木浪も近本も、大山と同じ1994年生まれ。この日は勝利に結びつかなかったが、頼もしい4番を筆頭に、同学年全員で主将の穴を埋めていく。(原田遼太郎)

◆ニュー藤浪を見せてもらった。無理に三振を奪いにいくのではなく、動くボールで打者を詰まらせ、内野ゴロを打たせる投球。五回2死、田中広の左飛まで、外野飛球はゼロ。昨年までの球に力はあるが、シュート回転する、引っ掛けてしまうなどの投球とは一変していた。本人がどの程度まで意図したのかは不明だが、今後に向けて参考にしてほしいパターンだ。  七回のマウンドに上ったことも褒めたい。今までは逆転された回で交代の繰り返し。この姿勢は大事にしてほしい。同時に、その七回が一番残念。無死一塁から、送りバントの構えの野間を歩かせて交代。何が何でもあの回を投げ切ってほしかった。  ピレラに逆転弾を浴びたシーンも惜しまれる。1死満塁、苦手の松山にカウント3-0の絶体絶命から三振を奪うなど、いい流れに持ち込みながら、超積極的なピレラに初球真っすぐがボール、2球目真っすぐを痛打される。初球が変化球でボールになっていたら、あの真っすぐも打たれなかったのではないか。押し出しが脳裏をよぎったのかもしれないが、あの配球は反省点。  いろんな意味で注目のマウンドだったが、次に期待を抱かせたのは確かだろう。(本紙専属評論家)

◆日本中の虎党がハラハラドキドキ、まるで幼いわが子の『はじめてのおつかい』のように見守っていた晋ちゃん(藤浪)の今季初登板...。  結果は五回まで好投したものの、六回にコントロールの乱れなどが出てピレラに痛い痛い逆転の満塁アーチを浴びての黒星に、全国の晋ちゃんのお父さんお母さんはガックリ。ただ、それだけで終わらないから現代社会はコワ~イ!!   「ちょっと矢野監督、晋ちゃんは今年初の1軍マウンドなのよ。五回まで2安打無失点なんだから、六回からは継投で良かったでしょう」「そーだ! 勝ち投手の権利と自信を持たせて交代させるのが指導者の役目やろー!!」とモンスターペアレントが出たー!!  ちなみに俺はといえば、五回終了時で球数が68だったので「このまま復活の完封劇やー!!」と気勢をあげていたのに、六回に大ピンチを迎えると、「なんで早く交代させないんだー!! いや藤浪もコントロールがいつまで乱れとるんやー!!」と当たり散らすタチの悪いモンスターと化していたのだ(スミマセン)。でも、五回まで2安打無失点はマジ大収穫!! 次こそ白星、虎のエースの牙を見せてくれー!!

◆ついに甲子園にも"この日"が来たのか-。  ちょっとした感動があった。二回1死。打者・ピレラに対して、藤浪は3球続けてボール球。すると、数は少ないけれど、スタンドを埋めた有観客のみなさんがマウンドに拍手を送る。「頑張れ!」の思いを込めて。  六回の満塁のピンチでもそうだった。拍手が雑音をかき消した。満塁弾を浴びても。  古くからの阪神ファンなら、ここで「オラオラ」「何しとんねん」「ブーブーブー」と騒ぎ出す。四球出したら承知せんぞ...という空気を醸し出しながら。敵だけでなく、味方もヤジる一部の自称熱狂的虎党のスタイルだった。近年、こんな応援は絶滅危惧種になっているらしい。  北海道のヒツジのように優しい心を持つ日本ハムファンが、自軍の投手がカウント3-0になると、「頑張れ」と祈りながら拍手を始めた。それが、伝播し、今や日本プロ野球の応援の主流。阪神ファンもついに流れに乗ったのか。  そんな温かいファンに囲まれて、投げる藤浪。高校時代の甲子園春夏連覇の剛腕が、ここまでどん底に落ちるとは、誰も想像できなかった。そこから懸命に投げている。昨年のような"もう見ていられない"投球じゃなかった。この日の甲子園スタンドじゃないが、温かく見守ろうか。  7月23日、海の日。いつの日か、藤浪の節目の試合だった、と振り返れますように。  ところで、みなさまのご自宅カレンダー。7月24日は赤くなっていることでしょう。  「スポーツの日」だった。いや、だった、ではない。今も「スポーツの日」だ。ただ、2020東京五輪の開会式の日でもある「スポーツの日」が、開会式のない、普通の「スポーツの日」になってしまった。わざわざ、休日を10月から移動させたのに。痛恨の極み。コロナ禍がなければなぁ。改めて思う。  遊軍記者・長友孝輔は、カープ担当・柏村翔の代役として甲子園の記者席にいた。  「本当なら、開会式に先駆けて行われるソフトボール日本代表の初戦を福島で取材して、今頃は野球の舞台となる横浜に移動しているころです。日本のプロ野球は、五輪に合わせて中断していたはずです。それが...」  五輪担当だった長友が寂しそうに見せてくれた手帳。スケジュールがギッシリ書かれているのだが。  「この予定、すべて消えてなくなりました」  来年、五輪で獅子奮迅の取材活動ができることを願ってるからね。  運動部長・大澤謙一郎も延期された五輪に振り回される日々。大澤が任命されているのが「五輪カウントダウン担当」。本番まであと〇日、と日めくりのように紙面企画を考えてきた。コロナのせいで、「あと150日」を切ったあたりから雲行きがおかしくなり、とうとう延期。今や数字が急に増えて「あと365日」企画に。  「生まれて初めて、カウントダウンが増える経験をしましたわ」  もし五輪が予定通り開催されていたら-。  「デスクは、東京本社へ援軍で出張する予定でした。僕は大阪に居残って、原稿整理に追われていたでしょうね」  現在は、運動部長席で阪神を必死で応援するのが、最大の仕事に。  五輪のカウントダウンの数字より早く、藤浪の完全復活へのカウントダウンを終わらせましょうか。みんなで応援して。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
1881 0.692
(↑0.012)
-
(-)
93139
(+6)
82
(+1)
35
(+2)
17
(-)
0.265
(-)
3.030
(↑0.07)
2
(-)
ヤクルト
14113 0.560
(↓0.023)
3.5
(↓1)
92133
(-)
139
(+6)
23
(-)
20
(-)
0.255
(↓0.005)
4.590
(↓0.03)
3
(-)
阪神
13131 0.500
(↓0.02)
5
(↓1)
93104
(+2)
115
(+4)
30
(+1)
18
(-)
0.252
(↓0.001)
3.980
(-)
4
(-)
DeNA
13151 0.464
(↑0.02)
6
(-)
91118
(+6)
106
(-)
29
(+2)
5
(-)
0.279
(↑0.001)
3.610
(↑0.13)
5
(1↑)
広島
10143 0.417
(↑0.026)
7
(-)
93126
(+4)
130
(+2)
27
(+1)
13
(-)
0.285
(↓0.003)
4.530
(↑0.1)
6
(1↓)
中日
11181 0.379
(↓0.014)
8.5
(↓1)
9099
(+1)
147
(+6)
17
(-)
5
(-)
0.251
(-)
4.580
(↓0.04)