ソフトバンク(2対2)阪神 =交流戦1回戦(2019.06.11)・福岡ヤフオクドーム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789101112
阪神
0002000000002510
ソフトバンク
0001000010002511
勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【ソフトバンク】福田 秀平(3号・4回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神は4回表、高山の適時打と北條のスクイズで2点を先制する。一方のソフトバンクは1-2で迎えた9回、2死二塁から今宮が適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。試合はそのまま延長戦に突入するも、両軍の救援陣が踏ん張り、規定により引き分けに終わった。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手(26)が、今季61試合目で初めてスタメンマスクを外れた。 正捕手3年目の今季は開幕から9日の広島戦まで60試合すべてスタメンで起用されてきた。だが、この日の先発ミランダが早い回でKOされた試合が多いこともあり、ベテランの高谷裕亮捕手(37)が先発マスクをかぶることになった。 3軍時代から甲斐を教えてきた森ヘッドコーチは「気分転換」と説明した。

◆阪神が小技連発で先制した。4回無死一塁から梅野が三塁方向へセーフティーバント。ミランダが取れずに無死一、二塁と好機を広げた。 続くマルテは捕邪飛に倒れたものの、高山が先制の右前適時打。「チャンスの場面で回ってきたので、甘い球が来たら絶対に打つという気持ちで立ちました。しっかりと打つことが出来て良かったです」。さらに北條が1ボールから絶妙な投前スクイズを決め、1点を追加。「成功して良かったです」。強力打線のソフトバンク相手に、効果的な小技で主導権を握った。

◆好投を続けていた阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)が、9回につかまった。 2-1の9回、先頭の釜元に右前打を許し犠打で1死二塁。続く福田を左飛に打ち取った直後だった。今宮に2ボールから、真ん中に入った145キロ直球を左前に運ばれた。左翼手の福留が全力疾走で飛び込むも、グラブはあとわずか届かなかった。前打席まで1四球無安打と抑えていた今宮に、最後の最後に痛恨の同点打を許した。 強力打線を誇るソフトバンク相手に3回まで無安打投球。2-0の4回に先頭の福田にソロ本塁打を許すも、集中力は切れなかった。8回までに許した安打は2本のみ。4回以外は3人で終わらせていただけに、悔しい9回となった。 ソフトバンク相手に勝利が遠い。これで交流戦7度目の対戦となったが0勝5敗。前日10日に「投球自体は良かったことも多々あった。結果がついていないだけなので気にしてはいないよ」と話していた通り、交流戦での同カードは昨季8回無失点、16年も8回1失点と好投。今年も最少失点に抑えていたが、またも白星はつかなかった。

◆1番右翼で先発出場したソフトバンク福田秀平外野手が貴重な1発を放った。2点を追う4回。先頭打者で右翼ポール際へ3号ソロをたたき込んだ。 「打ったのはストレート。うまく反応できました。先制された後だったし、よかった」。打線は3回までメッセンジャーの前にノーヒット。7日の広島戦(マツダスタジアム)以来のアーチに笑顔で振り返った。

◆阪神は1回1死満塁で福留が三振、梅野が中飛に倒れ無得点。ソフトバンク先発ミランダは空振りを取れず3回まで64球を要した。 阪神は4回に高山の適時打と北條のスクイズで2点を先制。ソフトバンクはその裏、福田の3号ソロで1点をかえした。 ソフトバンクは9回、今宮が適時打。完投目前の阪神メッセンジャーから2点目を奪い同点に追いつき、延長戦に持ち込んだ。 阪神は延長12回2死満塁の好機に、大山が空振り三振。ソフトバンクもその裏無死三塁のサヨナラ機を生かせず、引き分けた。

◆延長12回の末に引き分けた。ソフトバンクは1-2の9回に今宮の適時打で追い付いた。10回以降は両チームとも救援陣が踏ん張った。阪神は4回に2点を先取したが、好投のメッセンジャーがあと一歩踏ん張れなかった。

◆ソフトバンク武田翔太投手(26)が延長12回、2死満塁のピンチをつくったが4番大山から空振り三振を奪い無失点で切り抜けた。 最後は2度捕手のサインに首を振った。「投げていなかったので僕の中ではスライダーだった。フォークもあったが抜けることもあるので」と外角へスライダーを投げきり、「うれしかった」とグラブをたたいて珍しく大きなガッツポーズを見せた。 「ピンチをつくったのは反省ですね」と話したが、森、モイネロと勝ちパターンの投手を出した後に、武田が控えているのは頼もしい。

◆ソフトバンクが死闘を演じた。「日本生命セ・パ交流戦」阪神戦は、延長12回で2-2のドローに終わった。9回裏に今宮健太遊撃手(27)の左適時打で追いつき、7投手の継投で4回の2失点だけに抑えた。甲斐拓也捕手(26)が今季初めて先発マスクから外れるなど勝負手も打った。ソフトバンクは首位から2位に転落したが、熱戦はまだまだ続く。延長12回無死三塁から決勝点は奪えなかったが、工藤監督の意地の采配で今季3度目の引き分けに持ち込んだ。左太もも裏の張りのため前カード広島戦では3試合スタメンから外していた今宮を2番で起用。9回2死二塁から左前へしぶとく落とす、同点適時打を放ち延長戦へ持ち込んだ。 「打ったのはストレート。チャンスで打ててよかった。詰まったけどいいところに落ちてくれた」と今宮。今季3度目の1番で使った福田は4回に3号ソロで応えた。 一番の大きな決断は、今季開幕から61試合目で正捕手甲斐を初めてスタメンから外したことだった。中15日で先発したミランダとは、37歳のベテラン高谷を組ませた。左腕の早期KOの試合が続いていたためで、森ヘッドコーチが「気分転換」と説明した。 工藤監督は甲斐を真の正捕手に成長させるため、今季は打たれてもフル出場させてきた。だが、交流戦からは高谷が抑え捕手として終盤に出場する機会が増えた。5連勝すべてゲームセットの瞬間は高谷だった。ミランダと入れ替わる形で10日に九鬼が降格。捕手2人制にした直後の大きな決断だった。 この日のミランダは初回1死満塁のピンチを背負ったが後続を打ち取り、36球、20分を費やしながらも無失点で切り抜けた。6回3安打2失点とQS(6回を3自責点以内)投球。ミランダは「高谷さんのリードのおかげで何とか試合をつくれた」と感謝した。 高谷はその後も6人のリリーフ陣で7回から延長12回まで無失点リレーを導いた。今季初めて出番なくベンチから見ていた甲斐にとっても、大きな刺激、糧となったはずだ。 交流戦で戦う相手はセ・リーグだが、楽天、日本ハムの上位チームも負けないため、1つの黒星で即3位に転落するほどの混戦ぶり。同率首位だった楽天が勝ったために、引き分けたが2位に順位を下げた。故障者続出の中、ベンチの戦力を最大限に生かし、交流戦を勝ち抜いていく。【石橋隆雄】

◆右ふくらはぎ筋挫傷から1軍復帰した阪神福留孝介外野手(42)が、初戦からハッスルした。 5番左翼でスタメン出場。先頭の4回に四球を選んで出塁すると、続く梅野のセーフティーバントで二進。1死後に高山の右前打で二塁から激走すると、体ごと本塁になだれ込み、左手でベースを掃いて生還した。患部への負担は大丈夫かと心配されたが、全開をアピールするナイスランだった。 グラウンドに立てば弱みは一切見せない。1日に出場選手登録を抹消され、最短10日で戦列に復帰。「チームに貢献できるように、努力して頑張ります」と誓ってソフトバンク戦に臨んだ。9回は2死二塁から今宮の強烈な打球に飛び込んでキャッチ。惜しくもワンバウンドで同点とされたが、ベルトが破損するほどの気迫のプレーで勝利への執念をみせた。延長12回引き分けの死闘後は「(白星を)取りたかったね、最後。今日は」と話して球場をあとにした 矢野監督は福留について「言葉で教える部分というのをすごく持った選手なんで。そういう部分でも打線的に大きいし、すべてにとって大きい」と話す。グラウンド内外で若手選手にも声を掛ける。ユニホームを着れば、背中でナインを引っ張る。指揮官が「発展途上」と話すチームに、セ・リーグ最年長選手が戻ってきた意味は大きい。【真柴健】

◆延長12回に登板した阪神ラファエル・ドリス投手が踏ん張った。先頭に内野安打で出塁を許すと、けん制悪送球に暴投も重なり無死三塁のピンチ。 「最後は(犠飛で)上にあがってもダメな場面。なるべく低くを意識して投げました」。後続を打ち取り、引き分けに持ち込んだ。

◆阪神大山悠輔内野手は最終盤の勝ち越し機で1本が出なかった。 同点の延長12回、2死満塁で7番手武田翔の前に空振り三振。初球、2球目と外角の直球を見逃し、最後は外のスライダーを振らされた。試合後は悔しさをにじませる様に無言でバスに乗り込んだ。 矢野監督は最終回の大山について、配球の待ち方などは分からないとしながらも「やっぱり振らないと。結果、もったいないなという終わり方になる」と積極性を求めた。

◆阪神は「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で延長12回の激闘の末、引き分けた。矢野燿大監督(50)は4回、就任後初のスクイズを北條に命じて決めさせるなど小技も駆使して主導権を握った。だが9回に先発メッセンジャーがあと1人から同点とされた。だがリリーフ陣が踏ん張り、ドローに持ち込んだ。絶体絶命のピンチを乗り切った。2-2の延長12回。5番手ドリスがまさかの事態を招く。先頭グラシアルの内野安打から、けん制悪送球と暴投で無死三塁と土俵際まで追い込まれた。ただ、そこから真砂を空振り三振、松田宣、明石を打ち取って引き分けドローに持ち込んだ。 4時間42分の激闘。9回にはあと1アウトで勝利という場面で好投のメッセンジャーが同点打を浴びるなど、悔しさが残る試合。「痛恨」の2文字も頭に浮かぶ。だが、試合後にインタビュー室に現れた矢野監督は違った。吹っ切れたように笑顔になった。 「結果勝ちや、もう。そう思うわ。そう思うことにする! ノーアウト三塁でミス、ミスでしょ? あそこから引き分けになったんだから」 執念の継投に、執念の攻撃。矢野野球を試合序盤から存分に見せつけた。高山の適時打で1点を先制した直後の4回1死一、三塁だ。9番北條がガッと目を見開く。勝負は2球目だった。投球と同時に三塁走者梅野が本塁へ走りだす。バットを寝かせてきっちりと転がした。ソフトバンク先発ミランダが本塁に送球するもセーフ。今季初のスクイズ成功に三塁側ベンチも跳び上がった。 「あの場面はソツなくとうか。無駄なくというか。いい形で点が取れた」 昨季2軍監督を務めた指揮官は、「超積極野球」を掲げてファーム日本一を成し遂げた。矢野野球を象徴するような得点シーンに、指揮官も手をたたいて喜んだ。昨年までの交流戦で、対ソフトバンクは23勝30敗3分けのカード別最低勝率。ここ一番でスペシャルな小技を繰り出して加点し、鷹をあと一歩まで追い詰めた。 昨季は北條も高山も思うような結果が残せず、2軍で汗を流した「矢野チルドレン」だ。そんな2人の躍動。右ふくらはぎ筋挫傷から戦列に復帰したベテラン福留は、最後までグラウンドに立ち続けた。そしてブルペン陣の必死のリレー。「勝ちやろう。そう思って明日から戦いたい」。指揮官の思いを今日12日の第2ラウンドにぶつける。【桝井聡】

◆ソフトバンク松田遼馬投手(25)が、昨季途中まで在籍した古巣阪神戦に初めて登板した。 1点ビハインドの9回に4番手としてマウンドへ。先頭福留を右飛に打ち取った後、連続四球で1死一、二塁のピンチをつくったが、高山を146キロ内角直球で空振り三振、北條を二ゴロに仕留めた。 「いつも通り0で帰ってこられるようにと。(高山には)内角へしっかり投げられてよかった。四球2つは反省です。(阪神相手で)多少、力んだ部分もあるが、今は対戦相手なので」と話した。 昨年7月に移籍したため、1軍で公式戦、交流戦で対戦するのは初。試合前練習後には、多くの阪神の首脳陣、選手、スタッフにあいさつに行った。「7年間いたので。頑張れよと言われてよかった」。 昨季はわずか2試合だったが、今季はここまで中継ぎで19試合に登板し、防御率は1・64と好成績を残し、首脳陣からの信頼も高まっている。

◆阪神は「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で延長12回の激闘の末、引き分けた。 矢野燿大監督(50)は4回、就任後初のスクイズを北條に命じて決めさせるなど小技も駆使して主導権を握った。だが9回に先発メッセンジャーがあと1人から同点とされた。だがリリーフ陣が踏ん張り、ドローに持ち込んだ。 阪神が誇るリリーフ陣が、執念の継投で引き分けに持ち込んだ。先陣を切ったのは藤川球児投手(38)だった。1回1四球3三振と流れを断ち切って球団初、史上7人目の通算150ホールドを達成。「トップクラスに興味がない。クローザーもやっていたし、自分の中では価値観は無い」と記録には無関心だったが、大きな仕事を果たした。 2-2の同点に追いつかれた10回。先頭の3番グラシアルを148キロ直球で空振り三振に仕留めると、炎のストレートは熱さを増した。4番デスパイネは四球で歩かせたが、5番松田は148キロ直球で空振りの3球三振。6番明石には10球粘られたが、最後は148キロ直球で空振り三振に仕留めた。ソフトバンクの強力な主軸を相手に真っ向勝負で3アウトは全部空振り三振。2軍再調整を経て再昇格した4月27日の中日戦から18試合連続無失点と、この日も安定感は抜群だった。 11回はリーグ最年長投手の40歳のベテラン、能見がしのいだ。1死一塁の場面で、この回から登板していた小野に代わりマウンドへ。犠打と申告敬遠で2死二塁、迎えた高田を148キロ直球で投ゴロに打ち取った。「何とかみんなでつないでいけたらと思っていた。これからもみんなで助け合っていけたら」。最終回はドリスが暴投で無死三塁のピンチを招くも、後続を抑え切り抜けた。 矢野監督も必死につないだ左右の両ベテランを労った。「(藤川は)よく投げてくれてるしね。能見もランナー出てから。みんな本当にピッチャーがよく頑張ってくれている」。ブルペンを支えていたジョンソンを欠いた状態だが、リリーフ陣はこの日も無失点。執念リレーが演出した激闘ドローだった。【磯綾乃】

◆ソフトバンク今宮健太内野手(27)が9回2死から同点適時打を放ち、延長へ持ち込んだ。 1点を追う2死二塁から左前へ。飛び込む左翼福留のグラブの手前で落ちた。左太もも裏の張りのため、この日は4試合ぶりのスタメンだった。「詰まったけどいいところに落ちてくれた。結果的に負けなかったことはいいこと」と延長12回引き分けをプラスにとらえた。 9回の適時打後、代走と交代したが、首脳陣は本来ならこの日も終盤で早めに交代させる予定だった。「遊撃手は出続けないといけないポジション。(左足太もも裏の状態については)野球はやれます」と、責任感の強さを見せた。

◆阪神は「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で延長12回の激闘の末、引き分けた。矢野燿大監督は4回に就任後初のスクイズを北條に決めさせるなど、小技も駆使して昨年の日本一軍団をリードした。 矢野監督の一問一答は以下の通り。 -先発メッセンジャーが力投 丁寧にずっと投げてくれてたんで、代え時は難しかったんだけど。あそこまで行ってくれたんで。任せようかなってところで続投したけど、それが結果、失敗だったのかどうかは、俺にはよう分からんけど。 -12回2死満塁で大山が三振 コースは分からんけどやっぱり振りにいってほしいっていうね。あれだけ相手が苦しい状況の中で、振っていってっていうのをやるべきことだと思うし。もしかしたら、変化球を待ってるっていうのがアイツの中であったかは俺も確認はできてないし、分からんけど。やっぱり4番なんであそこで決めるという気持ちで行ってたとは思うけど。 -戦列復帰の福留がフル出場 孝介も途中で代えたい代えたいと思いながら、結局、12回まで守らしてしまったし。ほんとに難しかった。自分の中でも難しかった。判断が。 -守備が締まっていた そういう部分では荒木もいいプレーしてくれてたし、リュウ(梅野)もあっからワンバウンドしっかり止めてくれてたり。最後の最後の土俵際でドリスも粘ってくれて、引き分けに持っていけた。

◆阪神高山がマルチ安打で奮闘した。 4回は1死一、二塁でミランダから右前適時打。「チャンスの場面で回ってきたので、甘い球が来たら絶対に打つという気持ちで立ちました。しっかりと打つことが出来て良かった」。12回は先頭打者で武田から中前打。存在感ある2安打に「それは良かったです」と話した。8試合連続の先発でこの間は35打数11安打5打点、打率3割1分4厘の安定ぶり。この日外野の先輩ライバル福留が戦列復帰したが、負けじと仕事を果たした。

◆昭和の時代まで大阪が本拠地だったホークスにとって阪神は羨望(せんぼう)の球団だったろう。甲子園は戦績に関係なくスタンドは膨れ上がり、閑古鳥が鳴く大阪球場とは対照的な姿を見せつけた。関西に存在した電鉄4球団は今、阪神だけが生き残りホークスは福岡へ、近鉄、阪急は合併してオリックスが担っている。 絶大な人気に支えられながら、不思議なことに日本一は85年(昭60)の1度だけ。昭和の時代にV9巨人が行く手を阻んだとはいえ、80年を超える球団史の中で昭和が3度、平成3度、計6度のシリーズ進出、日本一1度はあまりにもさびしすぎないか。今季、矢野阪神で悲願の栄冠をつかむことはできるだろうか。 ホークスが福岡移転後初の日本一になった99年、ようやく手にした栄光に気をよくした中内功オーナー(故人)は言った。「これからは『巨人、大鵬、卵焼き』ではなく『ダイエー、曙、ハンバーガー』や」。残念ながら本社ダイエーの経営難でチームは身売りの憂き目に遭ったが、チーム力は衰えることなく「常勝」の道を歩み続けている。 ホークスは過去の経験を積み重ねながら、若手の台頭も頼もしい。僅少差ながら追う展開の中、ブルペン陣が踏ん張った。新人甲斐野が7回を3人で片づけると8回は2年目椎野が糸井、大山の3、4番コンビを見逃し三振に切って3者凡退。打線の奮起を促した。 延長12回にもつれ込むロングゲーム。「今年の阪神さんは昨年とは違う」と警戒心を強めていた工藤監督もチームの粘りに目を細めた。交流戦はペナントに直結する戦いであると同時に、「秋」を見据えるチームにとっては"前哨戦"でもある。平成に阪神とのシリーズを2度制したホークスにとって、そう簡単に星は落とせない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆阪神4番大山悠輔が猛打賞の活躍を見せた。 6回無死一塁から好機を広げる内野安打を放ち、この回2得点に貢献した。この日5打数3安打で、猛打賞は2本塁打を放った4月18日ヤクルト戦(神宮)以来。前日11日は5打数無安打に終わっており、悔しさを晴らした。

◆大腸がんから再起した阪神原口文仁捕手(27)が、5番DHで復帰後初のスタメン出場を果たし、適時打を含む2安打で勝利に貢献した。 1点を追加し、3点リードの7回。2死一、三塁の得点機で2番手高橋純の初球、内角150キロ直球を右前へしぶとく運んだ。「飛んでくれた方向が良かった。何点差があっても怖い相手。とにかく点を取れるだけ取るという気持ちで打席に立ちました」。復帰後、初スタメンでの初適時打は、試合を決定づけるダメ押しとなった。 4回には粘って粘って梅野の決勝弾をお膳立てした。1死無走者でカウント1-1から6球連続ファウル。好左腕和田の直球、変化球に食らいつき、簡単にアウトを与えない。9球目の内角143キロ直球を右前にポトリ。当たりは良くないが、地道に復活への道を歩んできた男らしい泥臭い安打で、続く6番梅野の逆転2ランを呼び込んだ。 この日は5打席立ち2安打。6回、三ゴロに打ち取られた第3打席でも、4球ファウルを打って和田に8球を投げさせた。「凡打でも意味のある凡打が打てた」。普段は代打出場の多い男が、1試合フル出場で「らしさ」を見せた。 苦しいリハビリに励む中でも、若手への気遣いは忘れない。退院して鳴尾浜に合流。若手選手を見つける度に立ち止まり、自らを指さして言った。「ちゃんと検査したりして、気をつけた方がいいよ。身近にこんな病気になった選手だっているんだから。良い勉強。人生、いつ終わるかなんてわからないから一生懸命やらないとね!」。明るく話す表情に、曇りはなかった。 本来の5番福留の休養日。矢野監督は、スタメン起用に2安打で応えた姿に「しぶといね。フミ(原口)のそういうバッティングはチームの力にもなる。アウトの打席も何とかしようという粘り強さもフミのいいところ」と評価した。 やはり、背番号94はチームの躍進に欠かせない存在だ。【奥田隼人】

◆-梅野が大きな1発 矢野監督 すごかったね。飛距離も十分やったし。取られた後やったし、逆転やったし。タイムリーも最後はボールかなっていうところを食らいついて。まぁあの2点がなかったら流れがこっちになかなか来なかったところだと思うけど。地元でね。いい働きを、守りもしっかり守ってくれて。申し分ないです。 -原口は先発で2安打 矢野監督 しぶといね、フミ(原口)のそういうバッティングはチームの力にもなる。アウトの打席でも、何とかしようという粘り強さっていうのがね、すごくいいところだと思うので。そういうところは今日もらしさを出してくれていたし。いいところでタイムリーも打ったし、良かったと思います。 -今後先発っていうのは 矢野監督 それはもう...分からん。どうするか。 -効果的な得点で突き放した 矢野監督 やっぱり俺らはああいうところで1点1点取っていくっていう野球をしていかないと。ケント(糸原)も追い込まれながらもタイムリー打ってくれたし。海(植田)もプロ入り初ホームランっていうプレミアムなことも起きたし。バッティング練習でもあんなの見たことないんだけど。完璧なスタンドまで行ったホームランを目の前で見られて、うれしそうな顔でベースを一周して帰ってくるカイ(植田)の顔を見られてうれしかった。本当にいい点の取り方ができたと思う。 -青柳が粘投 矢野監督 本当に安定感がありながらね。1点はユウスケ(大山)のエラーからの1点だったしね。内野安打で1点というね。完全にやられたなというところもなくね。最近もいいピッチングをしても勝ちが付いてなかったと思うんでね。ピッチング内容も勝ちも付いたんで素晴らしかったと思います。 -昨夜の粘りがつながった 矢野監督 毎日、毎日勝負でね。毎日、毎日大事な試合にはなるんだけどね。やっぱり昨日、土俵際まで行って、こっちが勝てるかというところまで行ってね。追いつかれてまた、最後ね。土俵際まで追い込まれてでも、粘れたっていうのが。やっぱり、こういう勝ちになるか、負けになるかは全然違うので。ましてや、ソフトバンクは交流戦に入ってもしっかりとした戦い方をしている。そういうチームにこういった試合ができたのは大きいと思うし。まずはヤギ(青柳)とリュウ(梅野)がそういう流れをしっかりつくってくれたんで、よかったと思います。

◆阪神は11日、ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で2-2で引き分けた。  先発・メッセンジャーが九回2死二塁から今宮に同点打を許して延長戦に突入。その後、藤川-小野-能見とつないで、強力タカ打線を封じて反撃機を待った。  すると最終十二回、先頭の高山が7番手・武田から中前打を放ち、チャンスメーク。矢野監督が即座に代走・植田を告げて、北條が投前犠打を決めて1死二塁とした。近本は死球で1死一、二塁となったが、糸原は遊ゴロ、大山は空振り三振。阪神の勝ちは消えた。  十二回裏のマウンドはドリス。先頭のグラシアルを左前打で出す(代走・川瀬)と、けん制悪送球と暴投で無死三塁。だが、ここから真砂を空振り三振、松田宣を遊ゴロ、明石を左飛に抑えてサヨナラ負けを阻止した。

◆ジメジメ...なんだあ、この湿った梅雨のような4時間42分の試合は...。  わが阪神は九回2死から追い付かれ、ソフトバンクは延長十二回無死三塁で勝利を99%手中に収めたと思ったら、後続が断たれて引き分け!!  おまけに十二回まで戦って、両チームともに5安打ずつって、まるでこの時期に多い室内干しの生乾きの洗濯物みたいで気持ち悪い~!!  正確にはホークスの本拠地・福岡は、まだ梅雨入りしていないけど、今季のホークスは柳田、中村晃、上林と強打者3人を欠いている"長い梅雨入り打線"。こーいうときに勝たないで、一体いつ勝つっちゅうねん?!  近本も糸原も大山も、みんな疲れているのはわかる。だけど、プロ野球選手の真の力が試されるのは、梅雨時からなのだ! それは投手だって同じことである!!  考え方を、これまでとは180度変えるべし! 自分がどうやったら気持ちよく野球ができるか、相手がどうやったら気持ち悪くなるか、これが梅雨時を乗り越える野球である!!

◆--四回はいい形で  矢野監督「あの形はソツなくというか。無駄なくというか。いい形で点が取れたし。ランディ(メッセンジャー)もね。丁寧にずっと投げてくれていたんで、俺も代え時は難しかったんだけど。あそこまで行ってくれたんで。任せようかなってところで(九回も)続投にしたけど」  --十回は藤川が好投  「よう投げてくれてるし。(十一回の)能見もランナー出てからアレ(出番)やったし、みんな本当にピッチャーはよく頑張ってくれているんで」  --試合全体で見ると守備が締まっていた  「荒木もいいプレーしてくれてたし、リュウ(梅野)もあれ(無死三塁)からワンバウンドをしっかり止めてくれていたり。すごいファインプレーというふうには見えないけど、すごい。ほんとに。そういうところでは結果、最後の最後の土俵際でドリスも粘ってくれたっていうことから、引き分けに持っていけた」

◆くそ~、勝つ前提で話してやがる。  交流戦3カード目は敵地ヤフオクドームでのソフトバンク3連戦。相手は試合前の時点で交流戦5勝1敗の首位です。今はどんなチーム状態なのだろう。タカ番安藤理に電話をかけたのが間違い(?)でした。  「ソフトバンクは去年、交流戦を6連勝でスタートしたんです。そのときの相手が阪神とDeNA。今週は同じカードで、しかもヤフオクドームで試合するんですよ。去年は甲子園と横浜で6連勝。今年は本拠地ですから。先発も左3人(ミランダ、和田、大竹)。阪神は左投手に弱いんでしょ」  立て板に水。負けるわけがないと言わんばかりの口ぶりです。「ヤフオクドームで阪神に負けた記憶があまりないんですよね」。そこまで言うか。思わず、この日の当番デスク堀啓介に"告げ口"しました。が、堀までが冷静に、試合前のデータを並べて淡々とこう言うのです。  「ソフトバンクには4年連続で負け越していて6年間勝ち越しがない。交流戦通算23勝30敗3分け。そして、相手先発が左投手のときは8勝10敗1分けですからね」  お~い、大石、みんなが俺をいじめる。トラ番キャップ大石豊佳に救いを求めました。が、キャップも弱気でした。  「もちろん勝ち越してほしいです。でも、ソフトバンクは強い。とにかくまず1つ勝って...」  誰か一人くらいおらんのか。大丈夫やと言ってくれるヤツは...と思っていたら、いました。ベテラン編集委員の上田雅昭です。  「心配せんでいい。阪神は貯金が5つある」  そうそう、そう。ソフトバンクは貯金6。1つしか違わない。"強さ"は同じくらいや...なあと言ったら、上田はこう続けました。  「ここでもしソフトバンクに3連敗しても、まだ貯金2。あわてる必要はない」  ...。いかん。気持ちが暗くなる。話題を変えよう。昼間、ウエスタン・オリックス戦(オセアンBS)で藤浪が5回1安打、8奪三振、無四球無失点と好投しました。「表情も明るかったです」と報告してきた箭内桃子によると、次回は中6日で同・広島戦(鳴尾浜)に先発して、7回前後を投げる予定です。  「阪神が、もしここで勝ち越せたら上にいけますよ。去年、3カード目にヤクルトがソフトバンクに勝ち越して交流戦にも優勝した。強いソフトバンクに勝ったところは調子を上げていくんです」  タカ番安藤は終盤までリードされていてもまだ上から目線でしたが、なんだか、周りがやけに静かです。  「実は今、自宅なんです。きょう(11日)急に休みになったんですよ。働き方改革で休日の数が足りなくて、会社から休めと言われたんです。でも、あしたは出勤します。2年ぶりの勝ち星を目指す和田投手の原稿を書かなきゃいけませんから」  そうはいくか。あしたも休んでいいぞ、阪神が勝つから。へへへ、言い返したった。と笑っていたら、九回、あとひとりからまさかの同点。そこから粘って、負けはしなかったけれど...。ソフトバンク、やっぱり強い。

◆勝ちに等しい、死闘ドローだ。阪神は2年連続日本一のソフトバンクと延長十二回、2-2で引き分けた。  矢野監督は4番の大山には苦言だ。延長十二回2死満塁の絶好機で空振り三振。前の糸井にストレートの四球を出した武田に対し、1、2球目と続けて直球を見逃し。最後は外角低めのボール球のスライダーに手を出した。矢野監督は「変化球を待ってるっていうのがアイツの中であったかは俺も確認はできてないし、分からんけど。やっぱり振らないと。コースはわからんけど振りにいってほしい。結果、もったいないなっていう終わり方になるんで」と話した。

◆1-2の九回に今宮が同点の適時打を放ったが、延長に入ってからは、毎回得点圏まで走者を進めながら決めきれなかった。延長十二回は無死三塁から真砂が三振、松田宣は前進守備の遊撃手へのゴロ、明石は左飛。それでも救援した6投手が踏ん張り、2連敗は阻止。工藤監督は「いいプレーもあったし、負けなかったということはプラスに考えている」と息をついた。 4試合ぶりに先発復帰。九回2死二塁から同点適時打のソフトバンク・今宮 「詰まったが、いいところに落ちてくれた」

◆高山が四回1死一、二塁で左腕・ミランダの145キロを引っ張って右前へ先制打。自己最長タイの4試合連続打点をマークすると、延長十二回には中前打で、2試合ぶりのマルチ安打だ。「よかったです。左投手から打てたことは? それは、そういうわけでもないですね」。この日から、福留が1軍に復帰。外野の一角をつかむべく「DHもあと6試合しかない。大事な試合になってくる」と話していたが、有言実行の活躍だった。

◆42歳の大ベテランが、矢野虎の執念を体現した。右ふくらはぎの筋挫傷から復帰、即「5番・左翼」で出場した福留が、激走に執念のダイビング。攻守にわたって、チームを鼓舞した。  「捕りたかったね、最後のあれは。目一杯だったんだけど...」  ドローとなった試合後、唇を噛みしめた。1点リードの九回。完投勝利目前のメッセンジャーが、2死二塁から今宮に痛打された。低いライナーが左翼方向へ。これに猛チャージして、前方へ思い切りダイビングした。  わずかに届かず、白球は無情にもワンバウンドしてグラブの中へ。同点の走者が還った。あと半歩-。ベルトが引きちぎれるほど、激しいプレーだった。  足でも見せた。四回先頭で四球を選んで出塁すると、高山の右前適時打で二塁から一気に三塁を蹴った。本塁へスライディングで高谷のタッチをかいくぐり、先制ホームイン。心配無用とばかりのハッスルプレーに「もちろん(足は大丈夫)」とうなずいた。  1日に右ふくらはぎの筋挫傷で抹消されたが、最短の10日間で復帰。4時間42分の死闘にフル出場したセ界最年長の42歳を、矢野監督は「孝介(福留)も途中で代えたい、代えたいと思いながら、結局十二回まで守らせてしまって。自分の中でも判断が難しかった」と気遣った。  福留は「あとは何とか打ちたかった」と4打数無安打に終わった打席を振り返ると「(ドローは)前向きにとらえて、またがんばります」と力を込めた。そのプレーが、存在自体が、チームの力になる男が帰ってきた。

◆天を仰いだ。あと1死でメッセンジャーがつかみかけていたものは、こぼれ落ちた。それでも表情はすがすがしい。ベンチへ戻ると、横でぐったりとする梅野の膝をポンッとたたいてねぎらった。勝てなかったが、堂々と復活だ。  「もちろん先発としての仕事はできたと思う。9回2失点でいけたというのは、(九回の)先頭をヒットで出塁させたのは痛かったけど、自分の仕事はできたと思う」  悔やまれるのは九回先頭の釜元に右前打を許したことくらい。その安打も五回以来の、この日3安打目だった。犠打も挟み2死二塁となって、迎えた今宮への3球目。110球目が左翼へ痛烈にはじき返された。名手・福留が決死のダイブを試みたが、捕れない。ゲームは振り出しに戻った。  こぼれ落ちた1つは「ソフトバンク戦白星」だった。来日10年目も、この試合まで交流戦通算6試合で0勝5敗、防御率3・07。2014年の日本シリーズ開幕戦で勝利投手となったが、楽天とソフトバンクにだけ、1度も勝ったことがなかった。今回もまた、お預けとなってしまった。  もう1つは、4勝目とNPB通算99勝目。バッキーが持つ外国人投手の球団最多記録「NPB通算100勝」を、この時期には悠々と突き抜けているはずなのに、なかなか迫れない。王手をかけようという目前で、またも足踏みしてしまった。  だが、前々回登板までは来日ワーストタイの自身3連敗を喫し、今季は全登板で複数四球を与えていたが、9回4安打2失点、1四球と完全復活したのはチームにとって大きい。ボールにも角度があり、6三振を奪った。矢野監督は「丁寧にずっと投げてくれていた。代えどきは難しかった。任せようかな、というところで続投にしたんだけど、それが結果、失敗だったのかというのは俺には分からん」と振り返る。結果、追いつかれはしたが、託したくなる姿だったことは間違いない。  たとえ勝てなくても、メッセンジャーらしくマウンドに立ち続けた一戦だった。 (長友孝輔) 阪神・福原投手コーチ 「メッセンジャーはよく投げたし、(追いつかれた)九回も悪くはなかった。これをきっかけにして欲しいし、次回も期待できる内容だった」 延長十一回1死一塁から登板し、好救援の阪神・能見 「何とかつないでいこうと思った。みんなで助け合っていければ」

◆勝ちに等しい、死闘ドローだ。阪神は2年連続日本一のソフトバンクと延長十二回、2-2で引き分けた。無死三塁のサヨナラ負けの大ピンチを乗り越えた矢野燿大監督(50)は「結果、勝ちや、もう。これは」ときっぱり。敗れた首位広島とは2・5ゲーム差に接近。この1分けを、さらなる加速へのきっかけとする!  絶叫ものの大ピンチを乗り越えた執念ドロー。もはや勝ったも同然!? 4時間42分の死闘を終えた矢野監督はベンチ裏に引き揚げると、興奮気味にまくし立てた。  「結果、勝ちや、もう。これは。そう思うわ。そう思うことにする」  延長十二回の攻撃で2死満塁の好機を逸し、勝ちがなくなった直後だった。守護神・ドリスを投入したが、先頭のグラシアルに遊撃内野安打を許すと、ここからドキドキが止まらない。  バントの構えを見せる真砂を相手に、初球ボール。2球目の前に一塁へ投げたけん制球がそれて、ファウルゾーンを転々...。無死二塁となり、ドリスは両手で頭を抱えこんだ。さらに2ボールからの3球目、外角低めへの155キロ直球は梅野のミットに収まらず、暴投。自滅で無死三塁とサヨナラ負けを"お膳立て"する展開に、指揮官の頭にも負けがよぎった。  「ノーアウトで三塁に行った時点でランナーを埋めるかとか、やっぱり考えたけど」  満塁策をとるプランもあった。様々な思いが駆け巡った。しかし最後は腹をくくった。守護神に託した。すると、ここからドリスが激変。3ボールからヒッティングに切り替えた真砂を空振り三振に仕留めると、松田を遊ゴロ、明石を左飛に抑えてゲームセットだ。  「打球が上がっても嫌な場面。何とか低くと思って投げた」と汗をぬぐったストッパーを、指揮官も「最後の最後の土俵際で粘ってくれた」と称えた。すべてを覚悟して振るった信念のタクトで、負けなかった。  2年連続日本一のソフトバンクには、カード4年連続負け越し中で6年連続勝ち越しなし。この負の歴史をぶち破るためには、大事な大事な初戦だった。四回には高山のタイムリーの後、北條の矢野虎初となるスクイズで、2点目を奪った。  セットアッパーのジョンソンが不在の中、2-1の九回はメッセンジャーを続投させた。結果的に2死から追いつかれ「それが失敗だったのかどうかっていうのはわからんけど」と自問自答したが、賛否両論は覚悟の上。その後は藤川、小野、能見と自慢の救援陣でつないだ。首位広島、2位巨人も敗れただけに、価値あるドローだ。  「勝ちやろ。もう。勝負にいくことを考えて結果、ドリスが抑えてくれた。俺の中ではそう(勝ったと)思って、明日(12日)から戦いたい」  昨季は3連敗するなど4連敗中の強敵で、さらに今季の交流戦も首位を走るタカと、正面から渡り合った。勝利こそつかみ損ねたが、手にしたものも大きかった。 (大石豊佳)

◆メッセンジャーが自分の投球をすれば、そう簡単には打たれないことを証明した試合だった。自分の投球とは、カーブをまじえての緩急だ。  立ち上がりの一回、1死から今宮を歩かせて、嫌なムードが漂ったが、続くグラシアルの初球に思い切ってカーブでストライクを取った。捕手・梅野のリードでもあるが、これでグラシアルに迷いを生じさせた。結果は次のフォークを詰まらせて併殺打。その後、気分良く投げるきっかけとなった。  最近、本来の投球からほど遠い内容だったメッセンジャー。原因は、ポイントとなるカーブでストライクが取れず、審判の判定にイライラして、自分で自分を追い込んでしまっていた。  強力ソフトバンク打線に対して9回2失点。さすがではあるが、反省点もある。四回に福田に浴びた本塁打は、明らかに油断があった。カウント0-1とストライク先行だっただけに、慎重に投げて欲しかった。  とはいえ、緩急で抑えた内容は、これから先発する青柳、高橋遥も大いに参考になる。阪神投手陣に勇気を与えた好投だった。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
511 0.833
(-)
-
(-)
1131
(+2)
20
(+2)
13
(+1)
8
(+1)
0.264
(↓0.022)
2.630
(↑0.26)
2
(1↑)
日本ハム
520 0.714
(↑0.047)
0.5
(↓0.5)
1131
(+5)
27
(+4)
5
(-)
4
(-)
0.285
(↓0.008)
3.250
(↑0.04)
3
(1↓)
巨人
430 0.571
(↓0.096)
1.5
(↓0.5)
1127
(-)
23
(+4)
11
(-)
5
(-)
0.262
(↓0.02)
3.250
(↓0.02)
4
(2↑)
西武
430 0.571
(↑0.071)
1.5
(↑0.5)
1132
(+4)
30
(-)
7
(-)
9
(-)
0.282
(↑0.007)
4.220
(↑0.69)
5
(2↑)
DeNA
430 0.571
(↑0.071)
1.5
(↑0.5)
1126
(+6)
25
(+3)
6
(+2)
2
(-)
0.278
(↑0.001)
3.540
(↑0.09)
6
(2↑)
楽天
430 0.571
(↑0.071)
1.5
(↑0.5)
1120
(+3)
24
(+1)
2
(-)
1
(-)
0.235
(↑0.004)
3.190
(↑0.38)
7
(2↓)
阪神
331 0.500
(-)
2
(-)
1132
(+2)
29
(+2)
4
(-)
9
(+1)
0.250
(↓0.022)
3.270
(↑0.4)
8
(4↓)
ORIX
330 0.500
(↓0.1)
2
(↓0.5)
1219
(+1)
20
(+2)
3
(-)
3
(-)
0.247
(↓0.024)
3.400
(↑0.28)
9
(-)
ヤクルト
240 0.333
(↓0.067)
3
(↓0.5)
1226
(+1)
22
(+3)
6
(+1)
3
(-)
0.216
(↓0.005)
3.420
(↑0.01)
10
(2↑)
中日
250 0.286
(↑0.119)
3.5
(↑0.5)
1128
(+2)
28
(+1)
4
(-)
2
(-)
0.234
(↓0.011)
3.900
(↑0.51)
11
(1↓)
広島
250 0.286
(↓0.047)
3.5
(↓0.5)
1127
(+4)
32
(+5)
6
(+1)
3
(+1)
0.213
(↑0.004)
3.860
(↓0.26)
12
(1↓)
ロッテ
250 0.286
(↓0.047)
3.5
(↓0.5)
1126
(+3)
45
(+6)
4
(+1)
5
(-)
0.231
(↓0.008)
6.240
(↑0.04)