◆楽天は4回表、ウィーラーとブラッシュの適時打などで4点を挙げ、先制に成功する。4－3とされて迎えた5回には、浅村が特大の2ランを放ち、リードを広げた。投げては、先発・辛島が今季2勝目。敗れた西武は、打線が終盤に1点差まで追い上げるも、及ばなかった。

◆楽天浅村栄斗内野手（28）が、古巣から場外弾を放った。 5回無死一塁、西武ニールの128キロスライダーを思い切りしばき上げると、確信した足取りでゆっくりと歩き出した。打球は西武ファンがひしめく左翼席を越え、場外へと消えた。FA移籍後、公式戦初対戦での特大の2号2ラン。「打ったのはスライダー。前の回に1点差に追いつかれていましたからね。流れを戻すのにもいい1本が打ててよかったです」と振り返った。 試合前は「変な感じがする」と素直な感想を口にしたが「楽天のためにいいところで打ちたい」と宣言通りの姿を示した。

◆西武先発のニールが6回途中7失点で降板した。3回までは1安打と危なげない立ち上がりを見せていたが、4回につかまった。 先頭から連打を浴び死球で満塁。ウィーラーにボテボテの内野安打で先制点を献上すると、山川の失策で追加点。さらにブラッシュに左中間を割る2点タイムリーを打たれた。 山川の3ランで1点差として5回には、昨季まで同僚だった浅村に2ランを打たれ突き放された。結局、来日2登板目にして大量失点を許し「調子はよかったが、何球か甘いボールがあり、そのボールを捉えられてホームランやタイムリーになってしまった。試合の中でコントロールができなかった」と悔しがった。

◆西武は猛追も及ばず、敗れた。終始追う展開で、失策で失点に絡んだ4番山川が4回に5号3ランを放つなど食らいついたが、1点が届かなかった。試合前には正捕手の森が首痛のため先発出場を回避。 辻発彦監督は「森はバットが振れていなかったからね。長引くようなことはない。山川のエラーは想定内。あそこで打つからいいんだよ」と話した。

◆恩返しの1発を放った。楽天浅村栄斗内野手（28）が西武戦で場外2ランを含む5打数2安打2打点と大暴れ。チームの連敗を2で止めた。古巣との公式戦初戦でブーイングを受けるなど「複雑な気持ちがある」と話したが、特大の本塁打で過去との決別を告げた。ここまで全10試合で3番に座り打線の中心としてチームに大きな影響を与える主砲。楽天の顔として、西武を倒した。花散らしの雨ではなく、本塁打が降り注いだ。5回無死一塁、浅村は西武ニールの128キロスライダーをしばき上げると、スタンドインを確信したようにゆっくりと歩き出した。打球は左翼スタンド後方に咲く桜をめがけて場外に消えた。FA移籍後、古巣との公式戦初対戦での特大2号2ラン。貴重な中押し弾に「手応えは完璧でした。甘い球が来たら打とうと思った。自分のタイミングで1球で仕留められて良かったです」とうなずいた。 美しい放物線で黙らせた。第1打席、左翼席の西武ファンのブーイングを浴びながら打席に向かった。試合前は10年間在籍したチームとの対戦に「育ててもらったチームなので複雑」と愛着を口にし、練習中の元チームメートにあいさつ回りに走った。辻監督からは「元気か？」と優しい言葉もかけられた。それでも「覚悟の上。移籍は自分で決めたこと。チームの勝利に貢献したい。楽天のためにいいところで打ちたい」と宣言通りの1発。西武ファンが集まる左翼スタンドをバットで黙らせ、過去との決別を告げた。 新天地で大きな根を張っている。西武で親交が深かった熊代が5回に二塁打を放つと二塁上で軽く腰をたたいた。敵として見る昔の仲間に「ずっと同じチームで戦ってきた仲間。打ってほしいではないけど、それに近いものはある」と揺れる心情は隠さない。それでも「楽天が勝つことだけを意識したい。西武とソフトバンクの2強と言われている。その2チームを倒さないと上にはいけない」と前を向く。大きく根を張る時を過ごした西武を相手に、大輪の花を咲かせた。【島根純】 ▽楽天平石監督（浅村について）「FAで来て、移籍の重圧があると思うが本人は出さない。打つ、打たない関係なく、堂々と、どっしりやってくれることがチームに影響がある」

◆西武・熊代聖人外野手（２９）が９日、楽天１回戦（大宮公園）に「９番・三塁」で先発出場。３点を追う五回１死で辛島から左翼線二塁打を放ち、２０１６年４月８日のロッテ戦（大宮公園）以来、１０９６日ぶりの安打を記録。この一打で通算１００安打となり、２死二塁から源田の中前適時打で４点目のホームを踏んだ。 　就任３年目の辻監督から、試合前に「３年ヒットを見ていないからな。きょうは見られるかな」とハッパを掛けられていたが、その期待に見事応えた。

◆楽天の浅村が、昨季まで在籍した古巣西武との初対戦で本塁打を放った。五回にニールの甘い変化球を捉え、左翼場外へ特大の２号２ランを運んだ。 　打った瞬間に本塁打と確信して歩きだすほどの完璧な当たりだった。４－０から山川の３ランで１点差に迫られた直後の一発に「流れを戻すためにも、いい一本が打ててよかった」と喜んだ。 　昨季まで１０年プレーした西武から、国内フリーエージェント（ＦＡ）権を行使して移籍。第１打席では西武ファンからブーイングを浴びたが、試合前に「覚悟の上です。楽天のためにいいところで打つことだけを意識したい」と話していた通り、会心の一打で追加点をもたらした。

◆西武の山川が５号３ランを放った。４点を追う四回に辛島の高めの直球を強振。打った瞬間に本塁打と分かる当たりで左中間へ運んだ。 　ただ、試合後は「きょうは何もない」と言葉少な。本塁打を打つ直前の守備で無死満塁から失策して失点を招いており、試合にも敗れたとあって「ああいうことがないように練習する」と厳しい表情で引き揚げた。辻監督は「山川のエラーは想定内。その後打つんだから大したもの」とかばった。 ニール（六回途中７失点で初黒星） 「調子は良かったが、何球か甘い球があり、それを捉えられて本塁打や適時打になってしまった。試合の中で修正できなかった」

◆西武の森が首の張りを訴えて欠場した。辻監督は「変に（バットを）振って悪くなるよりはいい」と、大事を取ったと説明。森は試合後「痛みはもうない」と軽症を強調した。

◆楽天の辛島は打線の援護に助けられ２勝目を挙げた。５回７安打４失点と苦しみながらもリードを保って救援につないだ。 　４点を先取した直後の四回に山川に３ランを浴び、五回にも源田の適時打で１点を失った。白星は手にしたものの「立ち上がりは良かったが、点を取ってもらった後に取られては駄目」と反省した。 茂木（六回に適時打） 「追い込まれていたので、どんな球でも対応しようと思っていた」

◆楽天は９日、西武１回戦（大宮公園）に７－６で競り勝った。昨オフ、西武からフリーエージェント（ＦＡ）で加入した浅村栄斗内野手（２８）が古巣と初対決。１点リードの五回無死一塁で、左翼場外に消える特大の２号２ランを放った。レオ党から大ブーイングを浴びる中、強烈な"恩返し弾"で、プロ入りから１０年間在籍した西武を沈めた。 　漆黒の大宮の夜空へ、浅村の強烈な"恩返し弾"が消えた。レオ党の口は開き、ふさがらなかった。 　「甘い球がきたら打とうと狙っていた。手応えは完璧。１球で仕留められてよかった」 　１点リードの五回無死一塁だ。浅村がニールの甘く入ったスライダーをフルスイング。打った瞬間...という場外弾に「どうだ」と打球を目で追いながら悠然と歩いた。 　スタメン発表に続き、一回の第１打席でもレオ党から強烈なブーイングが浴びせられた。「覚悟して西武戦は挑もうと思っていた。自分で選んだ道なので」と浅村。１０年ぶりのリーグ優勝を果たした昨オフ、西武への愛着と新たな挑戦へのはざまで揺れる中、「あと１０年できるか分からない野球人生なんで、後悔したくない気持ちが強い」と、強い決意で杜の都に新天地を求めた。 　それでも、古巣との初対決では複雑な思いが胸に去来した。練習中には辻監督から「元気か？　あしたも寒いから気をつけろよ」と優しい言葉を掛けられた。毎年、合同自主トレを行うなど、公私で仲のいい外崎や熊代が安打を放つと、「打ってほしい気持ちではないけど、それに近いものはある」と、なんとも言えない思いが込み上げた。それでも「楽天が勝つことだけを意識してやっていかないといけない」と、自らに言い聞かせるように話した。 　昨季最下位の楽天は"浅村効果"で２位と好調をキープ。だが「ずっと西武でやってきて強さは分かっている。ソフトバンクと西武は２強。そこを倒していかないと、自分たちは上にいけない」と言い切った。決別の特大弾。浅村がイヌワシ軍団の主砲として、獅子の前に立ちはだかる。　（花里雄太）