中日(☆7対2★)阪神 =リーグ戦14回戦・ナゴヤドーム=
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阪神
01010 0000 270
中日
00301 030× 7130
勝利投手:ガルシア(11勝5敗0S)
敗戦投手:岩貞 祐太(4勝5敗0S)
  DAZN
◆中日が逆転勝ちで3連勝。中日は1点を追う3回裏、武山の適時打と大島の犠飛で3点を挙げ、逆転に成功する。その後2点リードで迎えた7回には、藤井の3ランが飛び出し、試合を決めた。投げては、先発・ガルシアが今季11勝目。敗れた阪神は、先発・岩貞が誤算だった。

◆中日京田陽太内野手(24)が"神走塁"を披露し、めずらしい2点犠飛を演出した。  3回、武山真吾捕手(34)の右前打で1-1と追いついて、なお1死満塁の場面。大島洋平外野手(32)の放った打球は中堅やや後方への飛球。中堅の俊介がつまずきながら捕球すると、三塁走者はゆっくり生還。さらに二塁走者の京田は即座に二塁からタッチアップ。中継がもたつく間に1度もスピードをゆるめずに、本塁を駆け抜けた。  公式記録員は「打点2」と発表した。

◆阪神エフレン・ナバーロ外野手が2打席連続タイムリーを決めた。2回1死一塁では左腕ガルシアの直球をたたき、右中間にライナー性の先制二塁打を放った。  「アグレッシブに行ったことがいい結果につながってくれたね。先に点を取ることができて良かった」  さらに2点を追う4回無死一、二塁では詰まりながらも左前適時打。卓越したミート力でチームを盛り立てている。

◆阪神岩貞祐太投手は4回2/3を投げ9安打4失点で5敗目を喫した。  1、2回と3者凡退に抑える立ち上がりも、3回以降はピンチを背負い、ピンチで痛打を食らった。「慎重に立ち上がることができましたが、要所で粘りきることができませんでした」と振り返った。

◆中日は投打がかみ合う快勝で、3連勝を飾った。  オネルキ・ガルシア投手(28)が7回2失点と踏ん張り、リーグトップに並ぶ11勝目(5敗)。8月1日も阪神に勝てば阪神と入れ替わって5位に浮上する。  森繁和監督(63)は決勝点になった3回の大島洋平外野手(32)の2点犠飛に驚いていた。「返球がそれたりいろいろあって(二塁走者の)京田ならかえってきてくれるかと思った。なかなか見られるものじゃないですよね」。球界では13年9月14日にロッテ鈴木が西武戦で記録して以来、5シーズンぶりの珍事だった。  さらに、4-2の7回に飛び出した藤井淳志外野手(37)のダメ押し2号3ランには「普通の藤井なら(フェンス上部に当たって)戻ってくると思ったが、向こうにいってくれてよかった」と笑わせた。左手首痛のアルモンテが8月1日から1軍復帰することを明言した上で「藤井は勢いを持っている」と3安打の藤井のスタメン継続もにおわせた。  1日の阪神戦(ナゴヤドーム)には松坂大輔投手(37)が先発する。背筋の捻挫で、6月8日以来、約2カ月ぶりの公式戦復帰。勝てば最下位脱出の試合を託すことになり「ケガのあとだからどうなるか分からないけど、夏休みの楽しい思い出になる投球を期待しています」と語った。

◆阪神は衝撃の2ラン犠飛を献上し、単独最下位転落の危機を迎えた。  同点の3回1死満塁、中日3番大島の右中間犠飛を中堅俊介がキャッチするも、体勢を崩した後に強い送球を行えず、二塁走者京田までもホームインさせてしまった。  金本知憲監督は痛恨のプレーに「どうだろう。技術の問題ですからね、そこはもう」と多くは語らず。8月1日中日戦に敗れれば単独最下位となるだけに、投打ともに奮起が求められる。

◆中日オネルキ・ガルシア投手(28)がリーグトップに並ぶ11勝目(5敗)をマークした。広島大瀬良に並んだ。「立ち上がり、うまく入ることができたけど、途中、走者を出したり、点を取られたりした。でも、何とか踏ん張ってゲームは作れたと思う」と振り返った。  苦手な初回は3人で抑えたが、2回、4回と連打で失点。2-3の5回無死一、二塁のピンチでロサリオを三ゴロ併殺、陽川を得意のスライダーで空振り三振に切って、波に乗った。6回、7回は3者凡退。7回に藤井のダメ押し3ランが出て、勝利を確信したようにベンチで喜んだ。7回2失点で防御率も2・48。トップを守った。森監督は「勝ち頭だからもっと頑張ってもらいましょう」とさらなる活躍を期待した。  ガルシアは11勝のうち、本拠地ナゴヤドームで早くも9勝目。01年、02年に8勝しているメルビン・バンチを抜いて、中日の外国人ではシーズン単独最多になった。  7月は4戦3勝1敗。躍進を続ける後押しがあった。7月上旬、ともに球宴に選ばれていた松坂にリリースポイントについて助言を受けていた。日ごろから頻繁に会話しており「彼の存在は僕のとって大きい。メカニック(投球動作)についても話してくれる」と、日米で活躍したスターに感謝する。  今季、同時入団したメジャー51勝のディロン・ジー(右手血行障害で離脱中)と対照的に、同5試合登板と実績の乏しいガルシアは計算された戦力ではなかった。だが開幕前から森監督にフォーム矯正、球の握りなど細かい指導を受け続け、すべて自分のものにしてきた。金髪モヒカンの派手な外見だが、謙虚さと向上心が異国での飛躍につながっている。

◆阪神ロサリオは3試合連続安打を記録した。3打席凡退で迎えた8回無死一塁、右腕又吉の外角スライダーに食らいついて右前に落とした。  ただ、5回無死一、二塁では三ゴロ併殺打に倒れ、反撃ムードを高められず。「状態はいいので続けていきたい。ただ、チャンスで1本出せなかったので、明日はなんとかチームの勝利のために頑張りたい」と力を込めた。

◆阪神は2ラン犠飛を献上する直前、右翼中谷にも痛恨の守備があった。  1点リードの3回、先頭7番福田の右中間へのライナーゴロに追いつきながら、バックハンドで止められずに二塁打としてしまった。金本監督は単打にできたか、という問いに「どうかなあ。ベンチから、ちょっと距離感は分からないからね」と責めなかったが、先発岩貞はここからこの回3失点。打っては2安打を放ったものの悔しさが残った。

◆阪神北條はマルチ安打で10試合連続安打を決めた。  2打席凡退後の5回無死二塁で遊撃内野安打。8回には先頭で中前に運んだ。絶好調でも慢心は一切なし。「1打席目、2打席目の内容が良くなかった。明日以降は1打席目から良くなるようにしていきたい」と次戦を見据えた。

◆阪神が2つの危機を抱え込んでしまった。敵地ナゴヤドームでの中日戦。先制したが3回に「2ラン犠飛」を許すなど逆転負けを喫した。今日1日に敗れれば単独最下位に転落し、自力優勝が消滅する可能性もある。打線も爆発力を欠く中、主砲糸井の状態も気にかかる。虎が窮地に立たされた。  世にも珍しい失点シーンが致命傷になった。阪神が外野フライ1本で2点を献上する、屈辱的な失点を喫してしまった。3回、同点に追いつかれ、なおも1死満塁。大島が放ったライナーは中堅を襲った。予測が難しい、不規則な弾道だった。俊介は後ずさりしながら落下点に目測を合わせるのが精いっぱい。捕球すると倒れ込んだ。1度はカバーに向かう右翼中谷に中継の送球を試みようとした。  すぐに正面へ向き直り、体勢を崩したまま、カットマンの二塁糸原に送球したが、2バウンドする弱々しい球筋になる。糸原が本塁に転送したが、三塁走者ガルシアだけでなく、無情にも二塁走者京田も本塁を駆け抜ける...。極めて珍しい「2ラン犠飛」を許してしまった。金本監督は敗戦後「技術の問題ですからね、そこはもう」と話すにとどめたが、俊介は猛省した。捕りにくい打球かと問われると、険しい顔で言った。  「そうだったんですけど、その後にもうちょっと強く球を投げられていれば、2人目の走者をかえさずにすんだと思います。もっとしっかり、強い球を投げられるようにしないと」  一瞬だけ失った冷静さが命取りになった。中村外野守備走塁コーチも「打球がナックルのようになって捕りにくかったのでは。あえて言えば、もう少し送球できればとは思う。焦ったのでしょう。やられました」と代弁した。勝ち越された2点が響き、形勢は中日に傾いた。中盤以降はワンサイドゲームになって完敗。7月は立て直すはずが6勝10敗。2カ月連続負け越しで停滞ムードが消えない。  不安を抱えたまま、8月に入る。この日、主砲糸井が試合前練習のフリー打撃を行わなかった。金本監督も「ちょっと足の状態が悪いから。今日、明日くらいはちょっと」と説明した。6月30日ヤクルト戦で右足腓骨(ひこつ)を死球骨折。戦列復帰したが、完治しておらず、休日明けのこの日も欠場。今日1日もスタメンは厳しいとみられる。  ベテラン福留もこの日は休養で出場せず、飛車角抜きで敗れ「ダブル危機」に陥った。今日1日の中日戦で敗れると単独最下位に転落し、自力優勝が消滅する可能性もある。金本阪神の3年目。今季最大の窮地に追い詰められた。【酒井俊作】
 ▼今日1日に広島○で阪神△または●、あるいは広島△で阪神●のとき、阪神は今季の自力優勝の可能性が消滅する。いずれの場合とも、阪神が2日以降の56試合に全勝しても、広島が阪神戦11試合以外に全勝すれば、勝率で阪神を上回るため。  ▼阪神は今日1日の中日戦に敗れると、6月25日以来の単独最下位に転落する。

◆37歳の誕生日だった阪神糸井は、この日の中日戦出場を回避した。  試合前練習のフリー打撃を行わず、試合後も渋い表情で「(足の状態は)言えない」と言葉少なのまま、バスへと引き揚げた。7月26日広島戦(甲子園)以来、3試合ぶりの欠場。患部の回復に努めながら、状態を整える。

◆中日が球界5年ぶりの「2点犠飛」で勝負を決めた。1-1の3回1死満塁で、大島が中堅に打ち上げると、阪神守備陣の乱れに乗じて二塁走者の京田が一気に生還。「打点2」がつき、これが決勝点になった。活発な打線は先発全員の13安打で7得点。ガルシアが7回2失点でハーラートップに並ぶ11勝目と投打がかみ合い3連勝。今日1日も勝てば最下位を脱出する。  同点の3回1死満塁。大島が放った低めの弾道の飛球は、少し揺れながら中堅俊介の頭上を襲った。「たまたま回転がおかしくなった」と大島。俊介が倒れ込みながら捕球したが、立ち上がるのが遅れ、カットマンへの返球もそれた。三塁走者はゆっくり生還。それどころか、二塁走者の京田も1度もスピードを緩めず本塁に駆け込んだ。  記録員は「打点は2」と発表。守備側に失策に該当するミスはなかったとの判断だ。ナゴヤドームのビジョンには大島の打撃結果に2打点を意味する「犠飛<2>」が表示された。  球界では13年9月14日にロッテ鈴木が西武戦で記録して以来の珍事だった。大島も京田も「初めて」と振り返り、森監督も「なかなか見られるものじゃない」。試合後の京田の言葉にも驚かされた。「最初から本塁に行くつもりでした」とサラリと言った。  新人王を取った昨年から、驚くような積極走塁を見せてきた京田の面目躍如。「(俊介の)体勢も悪かったし、打球も不規則だった。行くつもりでいたら(三塁コーチの)奈良原さんも腕を回していた。チームには荒木さんら、走塁のうまい人たちがたくさんいる。追いつけるようにしたい。守備と走塁で貢献したい」。アマ時代からこだわり抜いてきた走塁に、同じく俊足の大島も「素晴らしい」と称賛した。  この2点犠飛で勢いづいた打線は先発全員13安打で7得点。27日の巨人戦(東京ドーム)で山口俊に無安打無得点を食らったが、翌日から意地を見せて3連勝だ。今日1日は復帰戦の松坂が先発。勝てば最下位脱出で、8月反攻へ最高のスタートが切れる。森監督は「7月は1つ負け越し。8月は(松坂)大輔から。夏休みの楽しい思い出になる投球をしてほしい」と逆襲の快投を期待した。【柏原誠】
 ◆直近の2点犠飛 13年9月14日の西武-ロッテ戦(西武ドーム)の7回1死満塁。ロッテ鈴木の大飛球がバックスクリーン方向へ飛んだ。前進守備だった中堅秋山が背走しながらフェンス際で好捕したが、三塁走者のGG佐藤が楽々生還。さらに二塁からタッチアップしていた角中も一気にホームを陥れた。角中は「全力で走るのが当たり前です」と胸を張り、伊東監督は「状況判断と準備ができていた」と絶賛した。

◆中日はガルシア、阪神は岩貞が先発した。  阪神は二回一死から、中谷の中前打で両チームを通じて初めて出塁すると、続くナバーロが右中間へ適時二塁打を放ち、1点を先制した。  中日は三回、先頭の福田が右中間二塁打で出塁すると、続く武山が右中間へ適時打を放ち同点。犠打失敗を挟み連打で一死満塁から、大島の中犠飛の間に二走の京田まで本塁へ帰り、3-1と逆転した。  阪神も直後の四回、無死から四球と内野安打で一、二塁とすると、ナバーロの左前適時打で1点を返した。  中日は五回、一死から大島の左中間三塁打、続くビシエドの中前適時打で1点を追加し、4-2と突き放した。

◆中日が阪神に逆転勝ちで3連勝。ゲーム差を1に縮めた。先発のガルシアは、粘投で7回5安打2失点で、ハーラートップに並ぶ11勝目(5敗)を挙げた。  中日は二回に先制されたものの、三回に武山の適時打で同点とすると、一死満塁から大島の中犠飛の間に二走の京田まで本塁へ帰り、3-1と逆転した。  四回に1点を返されたものの、五回にはビシエドの中前適時打、七回には藤井が右中間へ3ランを放ち7-2と突き放すと、八回は又吉、九回は鈴木博とつないで逃げ切った。  阪神はナバーロが2打点と気を吐いたが大敗。先発の岩貞は4回2/3を9安打4失点で5敗目(4勝)を喫した。 とどめの3ランを放った藤井の話 「感触は良かったんで。ナゴヤドームでは久しぶりだったんで、あれっという感じでした」

◆腓骨骨折から復帰しても万全ではない糸井を外し、ベテランの福留を休養させた阪神打線は迫力不足で、好機をものにできなかった。  四回は1点差に迫ってなお無死一、二塁の同点機を生かせず、五回も無死一、二塁からロサリオが併殺打、陽川が空振り三振に倒れた。その裏に岩貞が4点目を失った。  4番に座った陽川は無安打2三振と期待に応えられず、2安打2打点と気を吐いたナバーロは「負けてしまって悔しい気持ちが大きい」と声を落とした。 金本監督(欠場した糸井に) 「ちょっと脚の状態が悪いから。きょう、明日は休ませる」 俊介(犠飛で二走の生還まで許し) 「もうちょっと強い球を投げていれば、2人目の走者をかえさずに済んだと思う」 桑原(1回3失点) 「結果が出ていないし、打たれたので、何も言うことはありません」

◆中日は大島が2安打2打点を挙げ、3連勝に貢献した。1-1の三回1死満塁からは中犠飛で2打点をマーク。阪神のセンター俊介が倒れ込みながら捕球すると、三走に続き、二走の京田が抜け目なくタッチアップから一気に生還。「京田が素晴らしい走塁をしてくれた。2点入ってうれしい」と喜んだ。  五回は追加点の足場を築く左中間三塁打。先頭打者だった七回は内野安打で出塁し、藤井の一発につなげた。アルモンテが離脱した影響で、3番を任される左打者が打線を引っ張っている。 京田(三回に二塁からタッチアップで生還) 「打球が不規則で(中堅手の)体勢も悪かった。最初からいくつもりだった」 藤井(2号3ラン) 「大事なところだったし、1点取りたかった。いい感じで打てた」

◆「ガルシア、頭にナン乗せてんじゃねーよ!!」  一緒に阪神を応援していたわが次男、虎太郎が中日先発ガルシアの好投に八つ当たりのヤジをとばしたのだ!!  それに対し、俺も一人の父親、いくら悔しいからって相手をなじる子には育てたくはない...。そこで父親の威厳を見せつけたのだ。  「虎太郎よ、確かにガルシアは、ぱっと見はカレーのナンを乗せてるように見えるけどあれは髪形! オシャレ! ファッションなのだ!! 大体阪神のふがいなさを棚に上げて相手を責めるでない!!」 責めるならあえて阪神に愛のムチを振り下ろすべし!! 4番陽川をはじめ、若虎よ恥を知れー!! けがで欠場の糸井と休養の福留の飛車角抜きの本日の試合こそ、燃えんでいつ燃えるんだ!? 糸井、福留に頼ってばかりだったら、大人になっても親のスネかじって働かない連中と一緒やないかー!! 全員、本日の大山のように昼間に2軍戦も出場して鍛え直してきやがれってんだ!! 「ハアハア...」「お父さん、気持ちは分かるけどもうそのくらいで...」「ああ...、でも負けが悔しくて...、最後に腹いせで叫ばせてくれ! ガルシア、頭にナン乗せてんじゃねーよ!!」

◆  --岩貞は立ち上がりよかったが  金本監督 「インサイドも結構いい球、投げ込んでたんですけどね。変化球が全部浮いていたな、きょう」  --2ラン犠飛をされた  「どうだろう...そこは技術の問題ですけどね」  --打球も不規則な回転していた  「どうだろうな。ちょっとわからん。ベンチからは分かりませんでしたけど」  --先発が踏ん張れない  「そうですね。ちょっと頑張ってもらわんと。来週からずっと6連戦ですからね。先発の役割が大きくなってくるし」  --糸井は打撃練習も回避  「足の状態が悪いからきょう、明日はちょっとね」  --1軍には帯同させる  「する、する」  --四回一死一、三塁。梅野の打席で動きがあるかと...  「今、梅野、調子がいいからね。いい当たりやったしね、サードへの」

◆ロサリオは絶好機で倒れた。2-3の五回無死一、二塁で最悪の三ゴロ併殺。「状態はいいので続けたいですが、チャンスで1本出なかったのが...。なんとかチームのためになるようにやっていきたい」。試合前まで打率・400と得意としていたナゴヤドームで天を仰いだ。八回無死一塁では右前にポトリと落とし、3試合連続安打とした。

◆桑原が痛恨の一発を浴びた。2-4の七回に3番手でマウンドにあがると、内野安打と死球で一、二塁とピンチを背負い、その後一死一、三塁から藤井に変化球を右翼スタンドへ放り込まれ、試合を決定づけられた。「打たれたので何もいうことはありません。結果が出ていないので」。7月は9試合登板で月間防御率・7・04と精彩を欠いており、復調が待たれる。

◆岩貞は二回までパーフェクトに抑えながら、1-0の三回無死二塁から武山に変化球を右前へ運ばれ追いつかれると、その後一死満塁から大島の中犠飛で勝ち越されるなど、要所で踏ん張りきれなかった。4回2/3を投げて9安打4失点で5敗目(4勝)を喫し「詰めの部分の失投が失点につながった」と肩を落とした。 岩貞について阪神・香田投手コーチ 「三、四回はもったいなかった。有利なカウントのなかでの球が少し中途半端だった」

◆大島が2安打2打点で3連勝に貢献。1-1の三回一死満塁からは中犠飛で2打点をマーク。中堅手・俊介が倒れ込みながら捕球すると、三走に続き、二走の京田が抜け目なくタッチアップから一気に生還。「京田が素晴らしい走塁をしてくれた。2点入ってうれしい」と喜んだ。五回は追加点の足場を築く左中間三塁打。七回は内野安打で出塁し、藤井の一発につなげた。

◆秋立つや 川瀬にまじる 風の音...(蛇笏)  もうあと1週間で「立秋」(7日)です。昔はネ、ちょっとまともな地球でして...暑いけれど吹く風や 流れる雲、水辺の風景にもなんとなく秋の気配があった...。なのになんですか? 最近のはしたない季節感は...。  はしたない...といえばいろんなスポーツ界のボスのハシタナイ行為や話題が続出して...すっかり気分は"立秋"です。  道ばたにこの夏に精いっぱい鳴き続けたあと息絶えたセミの姿に思わず両手をあわせた。申し訳ないと思いませんか...。あの短い命を必死で鳴き続けて...息絶える。なんかいくらミジメな試合になってもあきらめず、絶叫するファンの皆様の純な姿とダブります。  昼、竹村岳記者はウエスタン・中日-阪神をナゴヤ球場で取材しました。当然のことながら矢野2軍監督にとっては若くて星野仙一監督にみっちりとしごかれた頃の思い出深い球場なのです。  竹村に矢野2軍監督はシミジミとナゴヤ球場での暑き夏の日々を思い出して「うれしいこともあったけど、辛いことの方が多かったかなぁ...若手のころはほんまに必死やった。今のお前らもそうやろ...」と語ってくれたそうだ。  「高木監督の1994年の中日-巨人の史上初の130試合目の最終戦での『優勝決戦』の舞台。あの時は8月18日巨人にマジック25が点灯して...それから中日は8連敗した。巨人との差9・5で一度は諦めかけた...それをみんなで士気を鼓舞して長嶋巨人を追い詰めてなぁ...」。まさに劇的な最終決戦となって...生真面目な高木監督は修行僧のような表情。長嶋さんは「国民的行事です」なんてルンルン気分でナゴヤ球場に乗り込んできたのは多くの皆様は記憶にあるだろう。  試合はFAで巨人に移籍した落合博満が先制ホーマー。松井も20号アーチ。締めくくりに桑田が出て巨人が6-3で中日をうっちゃったのだ。  「大事な思い出を引き出しから丁寧に取り出すように、矢野2軍監督は振り返ってくれましたヨ」と竹村はいう。思えば、その"10・8"決戦だが中日は落合という4番が巨人に移り、中日は大豊がその穴を埋め、パウエルという助っ人が首位打者...とチーム一丸となって巨人に対抗したのだ。  しかし...結局は高木ドラゴンズは「竜にまたがり、天に昇る気持ち」の長嶋巨人を取り逃がしたのである。  なんとなく竹村記者の電話を聞きながら、現在の金本阪神のはがゆいジレンマを連想してしまったのである。  トラ番キャップ阿部祐亮は「糸井選手が試合前の打撃練習にも姿がないのでびっくりして取材してみると...右膝の痛みがあるようで...。せっかく糸井さんは37歳の誕生日(7月31日)だったのにバースデーアーチとはいかなかった。これで飛車角ヌキ(福留と糸井)で阪神は戦うわけですから...」とうめく。阿部よ、飛車角だけヌキじゃないよ。ロサリオには申し訳ないけど...試合進行係?じゃないのかなぁ...。その心配をしていたら先発の岩貞がバックの記録に残らない守りのミスからドドッと疲れが出て五回二死で降板した。そして...七回に桑原が藤井に3ラン...。万事休すか。  若虎たちは彷徨(ほうこう=さまよう)しているのか。傷だらけのベテラン...大阪桐蔭のパッションが欲しい! もう"立秋"か...。

◆左投手も打てる、左打ちの助っ人の存在は重い1敗を喫したこの夜の唯一の収穫だ。ナバーロは難敵ガルシアに一歩も引かず、快音を連発。虎党に不屈のファイティングスピリットを見せつけた。  「ガルシア投手にいい投球をされました。負けてしまい悔しいですが、またあした勝てるように」  チームバスに乗り込むまで厳しい表情は崩さなかったが、すぐさま逆襲を誓った。二回一死から中谷が先発・ガルシアの初球145キロを中前へ弾き返し、続くN砲も初球141キロに積極的にバットを出し、右中間へ鋭いライナーを放って先制点をゲットした。  「アグレッシブにいったことがいい結果につながってくれたね」と胸を張り、三回に逆転されて迎えた1-3の四回にも無死一、二塁から6球目の直球を左前へ落とすタイムリーで追い上げムードをつくった。2安打2打点とこの日チーム全得点をたたき出し、出場5試合ぶり今季6度目のマルチ安打を記録した。  通訳がいないと報道陣の前につれて戻ってきてくれるナイスガイは、6月の来日以降チームにもすっかり溶け込んだ。日本語で他の選手に「ワタシハ、エフレン"ジェントルマン"ナバーロデス」とジョークも交えて自己紹介。雰囲気作りにも一役買えて、今季17試合で打率・288は心強い。  左投手が先発だとスタメンを外れることもあったが、広角に打ち分けられる技術と熱いハートを持つナバーロが打線に欠かせない存在になりつつある。 (新里公章)

◆阪神・糸井嘉男外野手(37)が、右腓骨骨折の状態が芳しくなく、敵地での中日戦を欠場した。1日の同戦も欠場濃厚。31日に37度目のバースデーを迎えた鉄人にとって、そしてチームにとっても、試練が続く。  涙のバースデーとなった。超人の名前は最後まで、球場に響くことはなかった。糸井が3試合ぶりの欠場。37歳の誕生日を自ら祝うチャンスすら、なかった。1度は折れた右足に、虎党の心配が募る。試合後、糸井はバスへとゆっくり歩を進めながら、ポツリとつぶやいた。  「言えないらしいよ」  試合前はいつものルーティンだった。トレーナーにストレッチに付き合ってもらった後、外野を黙々と走る。しっかりと汗をかく段階は同じだったが...。ベンチに戻ると、もうグラウンドには出てくることはなかった。試合開始前のシートノックも外れた。スタンドからの「お誕生日、おめでとうございます!」という声に手を挙げて応える姿もみせていたが、プレーで応えることはできなかった。  心配が募る糸井の状態。金本監督は「足の状態が悪いからきょう、明日はちょっとね」と説明し、1日も欠場濃厚だ。今後も1軍に帯同を続ける予定だが、最下位・中日に完敗したチームは借金「7」。福留をも欠く"飛車角抜き打線"では、超人の手を借りたくなってしまう。  6月30日のヤクルト戦(神宮)で死球を受け、右腓骨骨折。「後半戦開幕から10試合出場できない」というペナルティーを回避するため、手負いのまま球宴にも代打で強行出場した。7月20日の2軍戦で実戦復帰。翌日21日のDeNA戦(横浜)で電撃カムバックを果たすと、いきなり決勝の11号3ランをぶち込んだ。超人が超人たるゆえんを、自ら結果で示してきたが...。  その後は23打数5安打の打率・217。ここ3試合に限れば11打数1安打だ。復帰後9試合で2試合を欠場するなど、右足の状態を考慮した起用が続いている。鉄人がほれ込み、呼び寄せた超人。真価が今、試されている。 (竹村岳)
★6・30死球受け右腓骨骨折  糸井は6月30日のヤクルト戦(神宮)の八回、右膝付近に死球を受けて途中交代。7月3日に「右腓骨骨折」と発表され、出場登録を抹消された。後半戦10試合出場停止の処分を避けるため、球宴に強行出場。13日の第1戦(京セラ)は六回に代打で出場し、二飛だった。20日のウエスタン・中日戦(甲子園)に「3番・右翼」で出場し、右中間に2ランを放つなど、3打数2安打2打点。21日のDeNA戦(横浜)で1軍合流。26日の広島戦(甲子園)で1度欠場したが、1軍合流後は23打数5安打の打率・217。ここ3試合に限れば11打数1安打。

◆赤っ恥や!! 阪神は2-7で最下位中日に大敗。三回には中堅・俊介が体勢を崩しながら捕球し、痛恨の2ラン犠飛を献上してしまった。1日に連敗すれば、8月以降では2001年以来の単独最下位に転落。就任3年目の金本知憲監督(50)が"暗黒危機"に立たされた。  信じられないことまでが起きた。大島の飛球に転がって捕球した中堅手・俊介が、カットに入った遊撃手・北條に弱々しく返球する。なんと、中日の二走・京田は一気に三塁を蹴っているではないか-。まさか、まさかの2ラン犠飛。金本阪神が赤っ恥をかいての大敗だ。  「どうだろう、そこは技術の問題ですけどね」  金本監督は語気を荒らげることはなかった。むしろ、もはやお手上げといったようにも映った。  「(打球の不規則な回転は)ちょっとわからん。ベンチからは分かりませんでしたけど...」  1-1の三回一死満塁。確かに大島の打球は不規則な回転だったが、隙を突かれたのは間違いない。俊介が普通に捕って、強い返球をしていれば3点目は防げたはず。日本球界をひもといても2ラン犠飛は2013年にロッテが西武相手に決めて以来、5年ぶりの屈辱を味わった。  三回先頭、福田の右中間二塁打も右翼手・中谷が回り込めず、破られ、"後逸"したものだった。「どうかなぁ。ベンチからの距離感が分からんからね」。この日、福留は積極的休養、糸井は右腓骨骨折の状態が芳しくなく、ともに欠場。俊介、中谷と比較的、守備に自信があるコンビが外野を任されていたが...。この流れは歯車がまったくかみ合わない今のチーム状況を象徴している。  借金は今季ワーストタイの7。松坂と今季3度目の対戦となる1日に敗れれば、単独最下位に転落する。8月以降では、57勝80敗3分で4年連続の最下位に終わった01年以来、実に17年ぶり。さらに広島がヤクルトに勝てば、自力優勝の可能性が消滅していまう。  金本政権3年目。「これまでのチームでは一番強い」とし、春季キャンプを打ち上げた。昨季20本塁打を放った中谷や、大山、高山らの成長に加え、メジャー通算71発で年俸3億4000万円のロサリオを打線の軸に据えることで、得点力不足解消をもくろんだが...。  チーム打率・245。「暗黒時代よりも打ってない」と嘆いたこともあったが、01年は同・243。当時より、戦力層が明らかに厚いにもかかわらず、打てない。そして、なにより勝てない...。17年前とは意味合いがまったく異なる。失望感ばかりが募っていく。  チーム防御率3・91も悪化傾向にある。そして、「(先発にも)頑張ってもらわんと。来週からずっと6連戦ですからね。先発の役割が大きくなってくる」。特効薬はあるのか。どう、これから浮上させていくのか。勝負の季節を前に金本虎に重すぎる空気が漂っている。  (阿部祐亮)
2ラン犠飛にさせてしまった阪神・俊介 「もう少し強い返球ができれば」 俊介の守備に阪神・中村外野守備走塁コーチ 「あわてた感じ。打球がナックルみたいになって捕るのに必死だった。もう少し強い球を投げていたら」

◆納得がいかない1球があった。1点ビハインドの五回一死。大島に対してカウント0-1。岩貞と梅野の阪神バッテリーが選択したのはカーブだった。高め107キロを左中間に持って行かれての三塁打。そしてビシエドに適時打を浴びる。試合の流れを失う痛恨の失点に直結した。  なぜ、カーブだったのか? 梅野があえてカーブを選んだのか? それともボール要求が甘く入ったのか? 定かではないが、1点が大事な展開で、あえて岩貞の「持ち球にない球」で勝負して痛打されたケースで、最も後悔が残る。  体調面などを考慮して糸井、福留がそろってスタメン落ちした。このさい配は、私は支持する。優勝を諦めたとは言わないが、3位以内に入る戦いを優先しなければいけない時期が近づいている。過密日程の終盤に高い戦力を維持するには、2人の状態は最優先。休む日は必要だろう。  だからこそ、2人が不在の日は投手が余分な1点は絶対に防ぐ必要がある。残り試合が減ってきたということは、1球のミスも許されない時期が近づいていることを意味する。後悔の1球は、ゼロでなければいけない。それがバッテリーの仕事だ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
523510.598
(↑0.005)
0
(-)
55446
(+6)
380
(+3)
108
(+2)
53
(+1)
0.261
(↑0.001)
3.96
(↑0.01)
2
(-)
ヤクルト
434510.489
(↓0.005)
9.5
(↓1)
54398
(+3)
425
(+6)
83
(-)
51
(+4)
0.264
(-)
4.28
(↓0.01)
3
(-)
巨人
454910.479
(↑0.006)
10.5
(-)
48426
(+6)
391
(-)
91
(+1)
47
(-)
0.26
(↑0.002)
3.94
(↑0.04)
4
(-)
DeNA
414720.466
(↓0.005)
11.5
(↓1)
53354
(-)
406
(+6)
108
(-)
55
(-)
0.247
(↓0.001)
4.15
(↓0.02)
5
(-)
阪神
394610.459
(↓0.005)
12
(↓1)
57333
(+2)
379
(+7)
51
(-)
45
(+1)
0.245
(-)
3.95
(↓0.04)
6
(-)
中日
425110.452
(↑0.006)
13
(-)
49386
(+7)
426
(+2)
62
(+1)
46
(-)
0.262
(↑0.002)
4.38
(↑0.02)