ヤクルト(★5対6☆)阪神 =リーグ戦9回戦・明治神宮=
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阪神
06000 0000 671
ヤクルト
01200 0002 591
勝利投手:小野 泰己(4勝2敗0S)
(セーブ:ドリス(1勝3敗18S))
敗戦投手:寺島 成輝(0勝1敗0S)
  DAZN
◆阪神は2回表、俊介のソロで先制する。その後も糸原と陽川の適時打などで追加点を重ね、この回一挙6点を奪った。投げては、先発・小野が6回3失点。7回以降は3人の継投で逃げ切った。敗れたヤクルトは、打線が粘りを見せるも、2回の失点が最後まで響いた。

◆頭部死球を受け、6月30日の阪神戦で負傷退場したヤクルトの青木宣親外野手が、1日のヤクルト阪神9回戦(神宮)のスタメンを外れた。  ベンチメンバーには入ったものの、小川監督は「今日は使うつもりはありません」と話した。欠場となれば、今季3試合目となる。  青木は全体練習には参加せず、クラブハウスで調整した。スタジアムに入る際には「(耳鳴りは)ない。大丈夫です」と話した。  6月30日の阪神戦にスタメン出場したが、6点を追う1回無死二塁、カウント1-1から阪神岩貞の3球目が右側頭部を直撃。都内の病院で側頭部打撲と診断されていた。  大リーグ・ジャイアンツ時代の15年8月には頭部死球を受け、脳振とうの後遺症に苦しんだ経験がある。

◆阪神俊介外野手が2号ソロを放った。  2回1死、カウント1-1からの3球目の変化球をすくいあげた。打球は左翼ポールに直撃。先制ソロに「打ったのはスライダー。うまくバットに引っ掛かってくれました。まずは先制することができて良かったです」と振り返った。その後はヤクルト先発寺島の乱調につけ込んで2回に4安打6得点。  2死満塁から左前へ2点適時打を放った糸原健斗内野手は「打ったのはスライダー。みんながヒットや四球を取ってつないでくれた打席でしたし自分も後ろにつなぐ意識で打席に入りました。いい形で反対方向に打ち返す事ができました」。同じく2死満塁から右前へ2点適時打を放った陽川尚将内野手は「打ったのはストレート。追い込まれてしまいましたが、甘くなったボールをコンパクトに打ち返すことができました」とコメントした。ヤクルト寺島を2回でKOした。

◆陽川尚将内野手が、阪神の第103代4番に座り、結果を残した。4点を先制した2回、なお2死満塁のチャンス。内角143キロ直球をうまく流して2点右前適時打を放った。  「チャンスで回ってきたので、どんな形でも(走者を)かえそうと意識していました。なんとか食らいついていこうと思って。結果が出てよかった」。  試合前練習の開始前に4番を伝えられ「いつも通りやろうと思っていました。打順に関係なく、自分のやることは一緒なので」と引き締めて臨んだ。  金本監督は「評価できるのは追い込まれてからのタイムリー。しかも、タイムリーというのが、すごく増えている。センターから逆方向を狙ったヒットとか。今日もライトに、逆方向に打った。そういうのは何か覚えたのかなとは思うね」と評価。背番号55が試合を重ねるたびに存在感を増している。

◆阪神小野泰己投手が5月5日の中日戦(甲子園)以来、約2カ月ぶりとなる4勝目を挙げた。  2回に6点の援護をもらっての投球。先頭への四球などピンチもあったが、要所で粘った。6回5安打3失点に「早めに点を取ってもらったんですけど、なかなかいいリズム投げることができなかった。今日は本当に、野手の人に感謝したいなと思います。あの6点のおかげで今日は勝てた。次はなんとかしっかり、なんとかゼロで抑えられる投球ができるように頑張りたいと思います」と謙虚に振り返った。

◆阪神金本知憲監督は打線の上昇気配に納得顔だった。糸井が右足負傷で欠場を余儀なくされ、福留も積極的休養日だった一戦。左腕寺島に対し、陽川をプロ初の4番、俊介をプロ初の5番にすえた打線で2回に一挙6得点。俊介に先制ソロ、陽川にもタイムリーが飛び出すなど、起用がズバリ的中した形となった。  これでここ5試合で計49得点。チームはリーグ2位タイに浮上し、指揮官は「(相手は)若い投手で、そんなに勝っていない投手だけど、そういう投手でも今まで打てんことがあったからな。そうやって考えたら、打線の上がり目があるんじゃないですかね」と振り返った。

◆阪神が序盤のリードをしっかりと守り切り勝利。ヤクルトと同率で2位に並んだ。阪神は2回、ヤクルト先発寺島から、俊介の2号ソロ、糸原2点適時打などで一挙6点を奪った。6点差を追うヤクルトは2回に1点、2回に2点を奪い追撃態勢。その後、両軍中継ぎが踏ん張り、無得点が続いた。ヤクルトは9回、阪神守護神ドリスを攻め、1点差まで詰め寄ったがあと一歩及ばず。阪神小野は約2か月ぶりの4勝目を挙げた。

◆今季初先発したヤクルト寺島成輝投手は、2回6失点で降板した。  立ち上がりは上々だった。1回は、わずか10球で3者凡退とした。  しかし2回に崩れた。阪神俊介に126キロのスライダーを左翼席に運ばれると、続く原口には141キロ直球を右前へはじき返された。走者を背負うとセットポジションでの制球に苦しみ、相手先発の小野に四球を与えるなど、計4四球。「入りは良かったけど...。投手への四球がすべてです」と悔しさをにじませた。  小川淳司監督は「失点に関しては、起用した僕の責任。四球4つではあの展開になるということを、身をもって感じてもらわないといけない」と話した。

◆ヤクルトは9回に追い上げたものの、1点差で敗れ2連敗となった。  6点を追う2回に畠山、川端、井野の三連打で1点を返した。3回にも1死一、三塁で雄平が適時二塁打を放ち、1点を追加。続く畠山の投ゴロの間にさらに1点を返した。  その後8回まで無得点に抑えられたが、9回に反撃。1死一、二塁とし、山田哲の中前打で1点。1死一、三塁でバレンティンの右犠飛でさらに1点をかえし1点差まで迫ったが、あと1本がでなかった。  小川淳司監督は「取れるときに取れないと、後々に響いてくる典型的な試合だった」と厳しい表情だった。

◆阪神陽川が第103代の4番に座り、重圧に押しつぶされることなく結果を残した。練習開始前に伝えられ「いつも通りやろうと思ってました。打順に関係なく、自分のやることは一緒なので」と気を引き締めて臨んだ一戦。2回、4点を奪った後の2死満塁。ヤクルト先発寺島の内角143キロ直球をうまく流して右前へ2点打を放った。  「チャンスでまわってきたので、どんな形でも(走者を)かえそうと意識してました。なんとか食らいついていこうと思って。結果が出てよかった」  一挙6点を奪う打者一巡の猛攻のトリを飾った。開幕から全試合連続でスタメン出場していた糸井が、6月30日ヤクルト戦で死球を受けた影響で欠場。主将の福留も休養日。頼れるベテラン2人が不在で「飛車角落ち」だったが、存在感を示した。  ここ5試合で計49得点を奪ったチームは2位タイに浮上。金本監督は「打線の上がり目あるんじゃないですかね」と全体の好調を認めた。陽川については「評価できるのは追い込まれてからのタイムリー。すごく増えているのでね。センターから逆方向を狙ったヒットとか。今日も逆方向に打った。そういうのは何か覚えたのかなとは思うね」。17日で27歳になる4番打者に期待を込め、熱っぽく語った。【真柴健】

◆主砲離脱か...。阪神糸井嘉男外野手(36)が出場選手登録抹消の危機に陥った。前日6月30日ヤクルト戦(神宮)で右足に死球が直撃した影響で、1日の同カードを欠場。球場に姿を見せず、都内の宿舎付近で体を動かしたという。試合後、金本知憲監督(50)が「糸井もケガした。ちょっとしんどいかも分からん」と説明。重症なら登録抹消される可能性も出てきた。この日、同率2位に浮上した阪神だが、不動の主力だけに、離脱となれば計り知れないダメージになる。  高らかに六甲おろしが響く神宮に糸井の姿がなかった。競り勝った試合後、クラブハウスで会見した金本監督は「糸井もケガしたし...」と衝撃的な言葉を漏らした。前日6月30日のヤクルト戦。8回に打席に立ったが、風張が投じた球が右膝外側付近を直撃し、代走を送られていた。球団広報によれば、この日は右足の腫れが出たため、都内の宿舎で体を動かしたという。  ヤクルト戦のベンチ入りメンバーに名を連ねたが、球場には来なかった。金本監督は状態について「ちょっと分からん。ちょっと、しんどいかも分からん...」と説明。出場選手登録の抹消もありえるか問われると「(それ)もありやし、ちょっとトレーナーに聞いて」と否定しなかった。今後、病院での検査をへて、重症の診断が出れば出場選手登録を抹消される可能性も出てきた。  この日、同率2位に浮上したが、糸井が離脱すれば、チームにとって計り知れない痛手だ。打率3割1厘、10本塁打、40打点はいずれもチームトップ。5月下旬以降、不動の4番として、前日30日まで全70試合に先発していた。この日は陽川を抜てきしたが、4番を欠くことになれば、今後は代役を立てる必要に迫られる。金本監督は「並びを見ながらね。(投手の)左右であるだろうから。孝介とか陽川も、なってくるんじゃない?」と説明した。ベテラン福留も候補に挙がる。  糸井はFA移籍2年目の今季、開幕から奮闘し、欠かせない存在だ。再び首位広島に挑むためにも、糸井の軽症を祈るばかりだ。

◆修正と粘りで、久々の白星を阪神小野泰己投手(24)がつかんだ。2回に自軍から6点の援護をもらう展開も、小野自身は2度の先頭打者への四球や、3連打、暴投...。ただ要所で併殺や三振を奪って粘った。苦しみながらも6回5安打3失点。5月5日中日戦(甲子園)以来、約2カ月ぶりの4勝目を挙げた。  「悪いなかでも勝てたのは良かった。勢いに乗れて良かった。ただ点差があるなかで、安打はともかく四球を出したのは反省です」  反省ばかりが口をつくのはいつもの小野。しかし投じた102球には成長がちりばめられていた。勝てない期間の、崩れだしたら止められない姿はない。中盤は力を抜くように軸を変化球に。5回には「直球を狙われている感じがした」と、山田哲に投じた2球から、4番バレンティン、5番雄平の初球まで4球連続でカーブを投げて打ち取った。変化球主体に切り替え「力みもとれたのかな」と脱力にも成功。4回から6回までは安打を許さず、主導権を渡さなかった。  登板までの調整では2度のブルペン入りや、平地での投球練習など最善の調整を探ってきた。もがいて得た白星に「変化球、カーブで打ち取れたのはすごく大きかった。(粘りは)ひとつ自分のなかでいいものが出せたと思います」と静かにうなずいた。  お立ち台では「広島に勝てるように、追いつけるように頑張りたいと思います」と誓った。チームとともに7月戦線の逆襲を狙う。【池本泰尚】

◆来日初先発した阪神の新助っ人ナバーロは不発に終わった。2回2死満塁では押し出し四球で打点を挙げたが、3打数ノーヒットだった。  一方、左翼守備では2点リードの9回1死一、三塁でバレンティンの弾丸ライナーを難なくキャッチ。「フルイニング出られたことはいい経験になったし、勝てたことがうれしい」と笑顔だった。

◆阪神の守護神ドリスが冷や冷やの18セーブを記録した。3点リードの9回に登板。3番山田哲に適時打、4番バレンティンに犠飛を許し、最後は1点リードの状態でゲームセット。  1回2失点と苦しみ、「そういう状態にはなったけど、チームを勝ちに導けたのは本当に良かった」とホッと胸をなで下ろした。

◆阪神は二回、一死走者なしから俊介がヤクルトの先発・寺島から左翼席へ2号ソロを放ち先制した。その後二死満塁とチャンスを広げると、糸原の左前2点打で追加点。さらにナバーロが押し出し四球を選び追加点。なおも満塁から陽川の右前2点打で一挙6点を入れた。  ヤクルトはその裏、阪神の先発、小野を攻め、無死一、三塁とすると、井野の右前適時打で1点を返した。三回には一死一、三塁で雄平の適時二塁打、畠山の投ゴロの間に走者が生還し2点を返した。

◆ヤクルトの寺島は今季初登板先発で2回6失点と崩れた。大阪・履正社高からドラフト1位で入団して2年目の19歳サウスポーは、期待に応えられず「チャンスをいただいて、2軍でやってきたことを出そうと思った。チームに申し訳ない」と意気消沈した。  一回は三者凡退としたが、二回1死から俊介に先制ソロを許してから制球を乱した。この回だけで被安打4、押し出しを含む4四球。計6点を失い、その裏の攻撃で代打を送られた。

◆阪神は二回に打者一巡の猛攻で一挙6点を奪うなど試合を優位に進め、2連勝。ヤクルトと同率で並んで2位に浮上した。先発の小野泰己投手(24)が6回5安打3失点と好投し、4勝目(2敗)を挙げた。  阪神は二回、一死走者なしから俊介がヤクルトの先発・寺島から左翼席へ2号ソロを放ち先制した。その後二死満塁とチャンスを広げると、糸原の左前2点打で追加点。さらにナバーロが押し出し四球を選び追加点。なおも満塁から陽川の右前2点打で一挙6点を入れた。  ヤクルトはその裏、阪神の先発・小野を攻め、無死一、三塁とすると、井野の右前適時打で1点を返した。三回には一死一、三塁で雄平の適時二塁打、畠山の投ゴロの間に走者が生還し2点を返した。  阪神の先発、小野は六回まで3失点と粘投。七回を藤川、八回を桑原が無失点でつなぎ、九回はドリスが2点を失ったものの、逃げ切った。

◆阪神は二回に打者一巡の猛攻で一挙6点を奪うなど試合を優位に進め、2連勝。ヤクルトと同率で並んで2位に浮上した。先発の小野泰己投手(24)が6回5安打3失点と好投し、4勝目(2敗)。ヒーローインタビューで小野は充実感を漂わせた。  --ファンの声援  「ピンチの場面では特に大きく聞こえました」  --投球を振り返って  「早めに点を取ってもらったが、いいリズムで投げられなかった。きょうは野手の人に感謝です」  --二回に6点の援護  「あの6点のおかげで勝てたと思う。次は0に抑えられるようにがんばります」  --次は甲子園での登板  「そこではしっかりいいピッチングができるようにがんばりたい」  --2位浮上  「これから9連戦が始まるので、そこでしっかりと勝って広島にも勝って追いつけるようにがんばりたい」  --ファンへ一言  「応援ありがとうございます。これからもっと暑くなるが、僕たちもしっかり頑張るので、応援よろしくおねがいします」

◆ヤクルトの寺島は今季初登板先発で2回6失点と崩れて、黒星を喫した。大阪・履正社高からドラフト1位で入団して2年目の19歳サウスポーは、期待に応えられず「実力不足。ストライクが取れないと話にならない」と意気消沈した。  二回1死で俊介に先制ソロを許してから制球を乱した。この回だけで被安打4、押し出しを含む4四球で計6点を失った。活発な打線は九回に1点差に迫ったが、序盤の大量失点が響いて、5連勝の後に連敗。小川監督も「起用したこちらが悪いが、きょう見る限りでは力不足」と険しい表情だった。
大下(2番手で4回無失点) 「先頭打者をしっかり抑えられたのが良かった」 山田哲(九回に適時打) 「何とかバットに当てて、つなげていこうと思った」 ヤクルト・田畑投手コーチ(寺島に) 「せっかくチャンスをもらったのに、打者に向かっていけていない」

◆前日の6月30日に側頭部に投球を受けたヤクルトの青木は、ベンチ入りメンバーには入ったが、欠場した。  試合前の全体練習に参加せず、仲間に声援を送った試合の後には「大丈夫」と話した。

◆前日に糸井が死球で途中交代した阪神は陽川がプロ初の4番に座り、勝負強さを見せた。二回、4点を先制してなお2死満塁で寺島の浮いた143キロを右前へ2点打とした。「打順に関係なくやることは一緒なので、チャンスで回ってきた時にどんな形でもかえそうと意識している」と引き締まった顔で言った。  3日に今季初昇格を果たした6月は、持ち前の長打力を発揮し、打率3割5分8厘、3本塁打、20打点と大暴れ。月が替わっても勢いに陰りを見せない背番号55は「これからもチャンスがあれば結果を出していきたい」と貪欲だった。
金本監督(陽川に) 「評価できるのは追い込まれてからの適時打。しかも、中堅から逆方向。そういうのは覚えたのかなと思う」 俊介(5番起用で先制ソロ) 「5番目と思って、勘違いしないようにいった」 糸原(2点打) 「早い回に点が入って、自分の後もつながったので、効果的だったと思う」

◆前日に右脚に投球を受けた阪神の糸井は欠場した。球場にも姿を見せず、広報によると、すねに腫れがあり、宿舎などで体を動かした。  開幕から全試合に出場していた主砲の負傷具合について、金本監督は「しんどいかも分からん。(出場選手登録から外すことも)ありやし」と表情を曇らせた。

◆3番ナバーロ→4番陽川→5番俊介...神宮の記者席からちょっとシンミリした口調で編集委員上田雅昭はこんな電話をかけてきた。 「3月30日の東京ドームの開幕戦、阪神のスタメンをおぼえてますか...(8)高山→(4)鳥谷→(9)糸井→(3)ロサリオ→(7)福留→(5)大山→(6)糸原→(2)梅野→投手はメッセ。ま、この7月の陣に突入して誰もがこんな"模様替え"の打線は誰も想定してへんかったでしょ...新顔がならんでますヮ...」  そのオーダーの是非論ではない。上田は「想定外のことが現実に起きている...だからというてそれをグダグダ並べ立てても仕方がない。誰が新外国人が3番で4番が陽川、5番俊介というクリーンアップを予測できました? しかしそれが現実なんです。現状で阪神はひたすら必死でやるしかないんです」とため息まじりである。  ベテランの福留は"休息"が必要だし、糸井は死球の影響もある。鳥谷はやや疲れ気味...。「少なくとも3月末の開幕戦は菅野から七回で5点もぎとって...勝利した。その時に3カ月後にこんな状況は誰も考えられんですヮ」  しかし、その異彩を放つ打線が二回に俊介の本塁打を含む打者10人攻撃で6点を先制した。相手投手の乱れもある。コインの表と裏。どちらから見るかでそのメンタリティーは180度異なる。 昨日は日曜日。サッカーW杯ロシア大会のポーランド戦で西野ジャパンは0-1で負けていたが、そのままなら1次リーグを通過できるため、終盤パス回しで時間稼ぎ。3日未明の決勝トーナメント(ベルギー戦)に全力で勝ちにいく『戦略』をとった。この戦法について国内だけでなく、世界中で賛否両論がある。この日の当番デスク大澤謙一郎は休みの土曜、高1の長男と中2の次男と"激論"を戦わせた。子どもたちは「全然面白くなかった。攻めなアカンでって、次の日、学校でみんな言ってた」と口を揃えたが、大澤は「大人には背負ってるものがあるんや。お父さんも会社で現場の記者の立場、上司の意見、取材される阪神球団のこととかいろいろ考えて、読者が喜ぶベストの形は何か、考えて仕事してるんや。社会に出て背負ってるものができたら、西野監督の決断がすごかったと分かるで」と話したという。  とにかくこういうマジな"家族会議"が多くの皆様の各ご家庭でもあったと思います。それぞれの立場と背負ったモノが違うわけだが...あの西野ジャパンの戦いはそういう意味で貴重な会話をもたらしてくれた。 実は、1962(昭和37)年のこの7月1日、川崎球場での大洋-巨人戦でそれまで貧打に苦戦続きだった巨人は投手力に頼っていた。別所投手コーチはヅケヅケと打線の不振...特に不調の王貞治(現ソフトバンク球団会長)のふがいなさを指摘した。ムッとした荒川打撃コーチはロッカーに走り王に「おい、今日からあのスイングで打て!」と突然、指令した。そのスイングとはメジャーでは「バケツに足を突っ込む...」とまで揶揄された"一本足打法"のことだった。それを極秘に師弟は練習してきて、ついにこの日に突如として「GOサイン」が出た。今でこそ世界一のホームラン王として王の打法は神格化されているがソノ時は誰もがエッと驚いた。  右前安打→右翼本塁打→中前打...初めて一本足に遭遇した稲川投手は「俺をなめてるのか」と驚がくした。そこからのアラシの賛否両論が生まれたが...。  神宮は最終回にヒヤヒヤの1点差でも...勝ったぞォ!

◆九回、ヤクルトが1点差に詰め寄り、なお二死一塁。本塁打が出ればサヨナラの場面。神宮球場を真っ二つに割っての燕党と虎党の絶叫と歓声と祈りの息詰まる綱引き...。みなさん、この夏はぜひ、この興奮をナマで味わいましょう~!!  試合前、金本監督はスタメンで悩んでいた...。その彼の視界に、ある光景が飛び込んできたのである。その瞬間、つぶやいた。「これや、本日のスタメン」。それがベテラン福留、糸井を外し、糸原、ルーキー熊谷、4番には陽川、さらには原口、北條、中谷。そして先発は2年目の小野と、若虎をズラ~リ!!  それが見事に的中して二回に一挙6点を奪い、逃げ切り勝利を手にし、「ムフフ...2020年東京五輪版阪神には強さと夢があるわい」とほほ笑んだのだった。  そう、試合前に指揮官の視界に入ったのは、左翼後方で建設が進む東京五輪のメーン会場、国立競技場だったのだ。このまま若虎で今季はVをつかみ、2年後は向かうところ敵なし!! 何だったら、東京五輪の野球代表を阪神単独で出してもいいよ~!!

◆守護神ドリスが3点リードの九回に登板。一死一、二塁から山田哲に中前適時打、さらに一、三塁からはバレンティンに左犠飛を浴びて2失点。1点差に詰められ、ヒヤヒヤの18セーブ目となった。「ああいう状況になってしまいましたが、チームを勝ちに導くことができた。それが本当にうれしいです」とうなずいた。

◆北條は4打数3安打で自身初の4試合連続マルチ安打。打率は・378まで上昇した。「追い込まれてからも粘って打っていくことを心がけました」。守備でも九回に先頭三輪のセーフティーバントを軽快にさばいてアウトに。好プレーでドリスを助けた。「やってきそうな雰囲気があったので。自分が行こうと決めていました」と振り返った。

◆--打線は昨日に続き  金本監督 「若い投手(寺島相手)で...勝ってない投手やけど...。打線は上がり目があるんじゃないですかね」  --陽川の4番は今の状態をみて  「他にいないでしょ? 糸井もけがしたし、孝介(福留)は休みの日だから。きょうどんだけ昼に孝介に急きょいってもらおうかと思ったけど。きょうのメンバーでは陽川しかいない」  --抹消した場合の4番は陽川になる可能性も  「並びをみながらね。左、右であるだろうから。孝介とか陽川とかになってくるんじゃない? ま、そんなに4番、4番って、おかしく騒がんでええよ(笑)。大したことじゃないんだから。すぐ明日(の紙面で)、第何代4番とか...好きやからな、そういうの(笑)」

◆前日6月30日の阪神戦(神宮)の一回に頭部死球を受けて途中交代したヤクルト・青木宣親外野手(36)は1日、同戦を欠場した。  試合前の全体練習も休み治療に専念。小川監督は「(脳振とうの後遺症などは)大丈夫と聞いている」と説明。青木はベンチ入りし「(脳振とうの影響は)ない。大丈夫」と語った。3日からの広島戦(マツダ)にも帯同する。

◆阪神・糸井嘉男外野手(36)が1日のヤクルト戦(神宮)を欠場した。前日6月30日の同カードで右膝付近に死球を受け、一夜明けてもすねに腫れがあり、球場に姿をみせなかった。球団広報によればチーム宿舎などで静養に努めたという。  球団関係者によると、通常の歩行も難しい状況だという。出場選手登録を抹消するかどうかについては、2日の様子をみて最終的に判断されるもようだが、金本監督は「ちょっと、しんどいかもわからん。(抹消も)ありやし...」と話し、戦列離脱の可能性が高いことを伺わせた。  今季は70試合に出場し、打率・301、10本塁打、40打点。22試合連続で4番を務めていた。

◆昨年のD1位・寺島が今季初先発したが、2回4安打4四球6失点で黒星を喫した。「(二回の)投手への四球がすべてでした。力不足。セット(ポジション)になってから投げ急いでしまった」と唇をかんだ。小川監督は「使った自分が悪いけど、力不足」と反省を促した。2日には再調整のため出場選手登録を抹消される。

◆D2位・大下(三菱重工広島)が三回から登板し、4回2安打無失点の好投を見せた。「一回、一回ずつと思って腕を振っていきました。球が浮くこともあったけど、すべてがチャンスだと思って(投げて)いた」とホッとした表情を浮かべた。田畑投手コーチは「持ち味を出せている。次はスタートもあるかもしれない」と先発起用も示唆した。

◆プロ9年目。初の5番起用でも、俊介は動じなかった。値千金の先制の2号ソロ。一挙6得点の口火を切り、チームを勝利へと導いた。  「ギリギリでしたけど、入ってよかったです。(打順は)5番目と思ってやっていました」  0-0の二回一死。ヤクルトの先発・寺島の126キロスライダーをすくい上げた。虎党が手招きする左翼ポール際に飛び込んだ。連続試合安打を「5」にまで伸ばした。  その後は無安打に倒れ「そこは反省して、やっていきたい」と頭をかいたが、見せ場は二回の守備でも。6-0から1点を返され、なお無死一、二塁のピンチ。代打・山崎の打球は中堅・俊介のもとへ。たっぷり助走をつけて三塁へ転送すると、二走・川端を補殺だ。ピンチの芽を摘み取り、先発・小野を援護した。  俊介をクリーンアップに起用した金本監督は「他にいないでしょ? きょうは打線、正直、ちょっときつかったけど」と苦笑いも「ホームラン打ってね」とうなずいた。糸井が欠場した中、30歳の存在感が際立った。

◆汗びっしょりの額をぬぐい、少しほっとした笑顔がのぞいた。回を追うごとに内容を修正し、試合をつくった。小野が粘投で2カ月ぶりの白星。6回を5安打3失点で今季4勝目を挙げた。 「チームが勢いに乗っているので、それにしっかり乗ることができてよかったです。悪い中でも勝てたのはよかったと思います」  甘く入った直球を次々と外野へはじき返され、序盤は苦しんだ。二回には先頭畠山から3連打を浴び、1失点。三回には一死から山田哲、バレンティンに連続四球からピンチをつくり、雄平に右翼線へ適時二塁打を浴びた。走者を背負ってから踏ん張れなかった。  それでも、中盤は修正。「真っすぐが狙われている感じがした」と、変化球をうまく織り交ぜた。カーブやスライダーなどを主体に打ち取るにつれて、力みも減った。四回以降は無安打無失点。「そこはひとつ、自分の中でいいものが出せたと思います」と手応えをにじませた。 今季はここまで12試合に先発。ルーキーイヤーの昨季とは立場も変わり、開幕からローテーションを守り続けている。「体のことはより気にするようになりました」。先発した翌日の状態を見ながら、湯船につかる時間やストレッチにかける時間を調整してケアする。「でも、まだ若いので。1日しっかり休めば、全然大丈夫です」とニッコリ。日々の自己管理が、夏場の厳しい戦いを支えている。  「展開的に得点があった中で、ヒットならまだしも四球を出してしまったことは反省です」  粘りの4勝目も、満足はない。口をついたのは反省。次はゼロに抑えて、危なげなく勝利を手に入れる。 (箭内桃子)

◆ヤクルトベンチから早くも田畑投手コーチがマウンドに走る。輪が解けても、まだ、山田や川端らが寺島に声をかけていた。高卒2年目左腕が冷や汗にまみれる姿を、1番に座る糸原は怖いぐらい冷静に見つめていた。 「みんながヒットや四球をとって、つないでくれた打席でしたし、自分も後ろにつなぐ意識で打席に入りました」  俊介の先制パンチで1点をリードしていた二回二死満塁。カウント1-1から真ん中高めのスライダーを引きつけて、逆方向に流した。二塁から中谷も生還。糸井欠場&福留休養日でツギハギだらけの新打線の中、開幕からレギュラーを守り続ける"小サリオ"が、またしても勝負強さを発揮した。  「いい形で反対方向に打ち返すことができました。いいところで追加点をとれた。いいタイミングでした」  開幕は遊撃スタート。そこから、鳥谷の打撃不振で三塁にまわり、上本が左膝を痛めてからは、主に二塁を任されている。身長1メートル75は、プロ野球界では決して大きい方じゃない。どちらかといえば地味な職人タイプだが、この派手さのない25歳から発せられる言葉が今、若い投手陣の心の支えとなっている。 前日6月30日。先発・岩貞が青木に頭部死球を与え、わずか打者2人、7球で危険球退場処分を食らった。そこで才木が緊急登板。その2年目右腕が一死二、三塁で畠山を二飛に打ち取ったところで、マウンドに歩を進めたのが糸原だった。  「『打たれてもいい。だから思いきって、自分の投球をしろ』といいました」。二死までこぎつけた。誰もが緊張の糸が解けてしまうところで、気を引き締めた。才木は坂口を遊飛に仕留め、6回無失点。さりげない、心のムチが効いた。  「チャンスでは常に積極的にいこうと思っています」  七回先頭では遊ゴロも全力疾走で敵失を誘った。打って走って、守って、そして鼓舞して。すっかり1番らしくなった背番号「33」が進軍ラッパを吹き続ける。 (阿部祐亮)

◆いったい誰が3番を打つの? 報道陣がざわつく試合前の三塁側ベンチ。糸井も、福留も欠場する。ロサリオは2軍に行ったまま...。さあ、どうするか。ご心配なく。そう、新助っ人がいたのだ。ナバーロ様が、満を持して来日初スタメン。ドーンと3番に座った。 「準備はいつも通りにできていた。きょうはフルイニング出られたことがいい経験になった。それ以上にチームが勝てた事がうれしいよ」  3-0の二回二死満塁。マウンドの寺島を睨みつける。際どいコースを見極める。決して振り回さない。フルカウントから、インハイの球を平然と見送って、押し出し四球を選んだ。  終わってみれば安打は生まれなかったが、難しいコースにもファウルで対応できる安定感は、頼もしい。  と同時に外野守備も合格点だ。九回一死一、三塁。バレンティンのライナー性の打球はうなりをあげて左翼を襲った。が、そこにはナバーロが。落ち着いてキャッチだ。  「あれは外野守備コーチの的確な指示があったから、その通りに守っていただけ。いい指導があったよ」  2日前、代打で初打席初安打初打点の衝撃デビューを飾った助っ人は、前日(6月30日)から内野、外野の守備も入念に行っていた。練習終了時間まで、グラウンド上に立ち、少しでも早く慣れようと懸命。真摯に取り組む背番号99はチームメートだけでなく、報道陣にも「オツカレサマデシタ」-。虎は、実はすごい戦力を手にしたのかもしれない。 (上田雅昭)

◆俺が4番打!! 4-0で迎えたヤクルト戦の二回、阪神・陽川尚将内野手(26)が2点タイムリー。ここまで全試合出場の糸井嘉男外野手(36)が死球の影響で欠場したが、第103代4番の初仕事で、2位タイに浮上した。糸井は出場選手登録抹消の可能性も。目覚めた右の大砲が危機を救う。 舞台が変わっただけ。染みついた主砲としての本能を、神宮の社で発揮した。第103代4番、陽川尚将。糸井欠場の危機で初の大役にひるむことなく、リードを広げる2点打だ。西日が照らす表情は、少しだけほころんでいた。  「追い込まれていたので、何とか食らいついていこうと思っていた。結果が出てよかったです」  0-0の二回。先頭の陽川は空振り三振に倒れたが、ここからが猛虎劇場だ。俊介の先制弾を含む3安打4四球で4-0。満塁の好機を作ると、陽川がこの回2度目の打席へ向かった。  2度の空振りで追い込まれた3球目、143キロ直球をコンパクトに弾き返した。打球が右前に弾むと、2者が生還。3点リードの九回にドリスが2失点し1点差となっただけに、結果的にも大きな追加点となった。  ここまで22試合連続で4番に座っていた糸井が前日6月30日に死球を受け、交代。この日はベンチ入りせず、欠場した。41歳のベテラン福留も休養日で"飛車角抜き"の状態だった。 金本監督は「他にいないでしょ? 糸井もけがしたし、孝介は休みの日だから」と説明。そのうえで「追い込まれてからのタイムリー。そのタイムリーがすごく増えているんでね」と手をたたいた。練習前に伝えたという4番起用。指揮官の思いに、応えてみせた。  ウエスタンでは2年連続で本塁打、打点の2冠王。当時の2軍監督だった掛布オーナー付きシニア・エグゼクティブ・アドバイザーから「4番の重圧を背負え。お前がこのチームを引っ張れ」と常にプレッシャーをかけられた。突然の指名にも動じることはなかった。  「いつも通りです。打順は関係ない。自分のやることは一緒なので」  ロサリオの不振も重なり、つかみ続けているチャンス。「試合で自分を出すだけ」とギラギラの眼光を研ぎ澄ます。二人三脚で指導し、1軍に送り出した浜中2軍打撃コーチも「あいつはランナーがいたら、何とかする。右打ちとか犠牲フライとか」と4番としての適性を評価する。  今季で5年目。"クビ"の危機感も、当然あった。「今が大チャンス。2軍からいった選手が活躍すると、俺らもうれしいから」と浜中コーチ。打率・352と1軍を支えているが、可能性を信じてくれた人たちへの恩返しは、まだ途中だ。 「きょうはきょうなので。また切り替えて、来週からやっていきたい」  陽川が打線に定着した今週は5勝1敗と大きく勝ち越した。借金は「2」となり、ヤクルトと同率2位まで浮上した。3日からは前半戦最後の9連戦。糸井は離脱の可能性もあるため、金本監督は福留との併用4番を示唆。陽川がいれば大丈夫-。虎党をそう思わせる一打をこれからも放ってみせる。 (竹村岳)

◆対戦相手投手のおかげ、と言えなくもないが、阪神打線につながりが出てきているのは間違いない。得点力がアップしている要因の1つに原口を挙げたい。打撃のいい捕手としてスタメンに名を連ねることで、打線につながり、粘りが出てきている。二回も俊介の一発は貴重だったが、寺島を明らかに動揺させ、一挙6点に結びつけたのは、直後の原口の右前打だった。  梅野の場合は、攻撃に関してはびっくり箱だが、原口は甘い球は確実に仕留められる技術を持っている。糸井、福留の2人を欠く打線を組んでも何とか耐えられるのは、原口の存在が大きかった。  原口をスタメン起用できる理由の1つにリード面の成長がある。梅野は「投手の一番いい球」でリードするタイプ。対する原口は、最終的には一番いい球で勝負するのだが、その前段の組み立てに意表を突いたり、思い切りの良さがある。  たとえば七回二死一、二塁でバレンティンを迎えた場面。原口は平然と2球、内角を要求した。結果的に藤川の球はそこに行かなかったが、大胆な配球は評価していい。出番はこれからも増えそうだ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
413010.577
(↑0.006)
0
(-)
71366
(+15)
316
(+1)
83
(+2)
41
(+1)
0.264
(↑0.003)
4.13
(↑0.05)
2
(↑1)
阪神
343610.486
(↑0.008)
6.5
(-)
72269
(+6)
294
(+5)
41
(+1)
42
(-)
0.241
(↓0.001)
3.7
(↓0.02)
2
(-)
ヤクルト
343610.486
(↓0.007)
6.5
(↓1)
72319
(+5)
344
(+6)
65
(-)
38
(+1)
0.257
(-)
4.38
(↓0.03)
4
(↑1)
巨人
343810.472
(↑0.007)
7.5
(-)
70325
(+3)
293
(-)
67
(+1)
37
(+1)
0.262
(↓0.001)
3.86
(↑0.05)
5
(↓1)
DeNA
323720.464
(↓0.007)
8
(↓1)
72266
(+1)
304
(+15)
83
(+1)
46
(-)
0.246
(↓0.002)
3.88
(↓0.16)
6
(-)
中日
324110.438
(↓0.006)
10
(↓1)
69286
(-)
344
(+3)
47
(-)
38
(+1)
0.257
(↓0.002)
4.46
(↑0.02)