DeNA(★6対16☆)阪神 =リーグ戦9回戦・横浜スタジアム=
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阪神
30030 0127 16170
DeNA
00500 0010 6112
勝利投手:藤浪 晋太郎(2勝2敗0S)
敗戦投手:飯塚 悟史(1勝5敗0S)
  DAZN
◆阪神は2点を追う4回表、福留が3ランを放ち、逆転に成功する。その後は、9回に一挙7点を奪うなど、終わってみれば17安打で16得点を挙げた。投げては、先発・藤浪が今季2勝目。敗れたDeNAは、先発・飯塚が4回途中6失点と試合をつくれなかった。

◆阪神陽川尚将内野手がまた打った! 前日26日に決勝3ランを含む4打点。一夜明けたこの日の第1打席でも快音を響かせた。  1回、制球が定まらないDeNA飯塚の立ち上がり。1死満塁で打席に立つと、カウント1-2からの6球目を左翼へ2点適時二塁打。「打ったのはストレート。追い込まれてしまったあとファウルで粘りながら、うまく低めのボールに反応することができました。先に点を取ることができて良かったです」と振り返った。  前日26日には金本監督が「今日の試合前も『威張っていけ、打席に』と言った。『陽川様のおなーりー』って。そういう気持ちで(笑い)。『威張っていけ。不安そうな顔して行くな』って」と明かしていた。左翼スタンドを黄色に染めた虎党からすれば、まさに「陽川様のおなーりー」。心強い一打で2戦連続の先制点をもたらした。

◆確信歩きだ! 阪神福留孝介外野手が逆転3ランを放った。  藤浪が連打を浴びて2点ビハインドとなった4回無死一、二塁。DeNA飯塚が投じた初球の直球をジャストミートした。打った瞬間、福留はスタンドインを確信。高々とバットを放り投げて、ゆっくり歩き出した。確信に違わぬ打球は、電光掲示板下に直撃。7号逆転3ランで再びリードをもたらした。  直前の無死一塁では2番植田のバントの打球を、DeNAの捕手嶺井が二塁へ悪送球の失策。もらった好機で主将が1発。「打ったのはストレート。相手のミスが出た後だったので、思い切って行きました。逆転されてしまった次のイニングのいい所で打つことができて良かったです」と振り返った。

◆阪神先発藤浪晋太郎投手は5回8安打5失点で降板した。いきなり3点の援護をもらって登板。  1回は先頭神里に右前打を許すも、2番柴田を156キロの直球で空振り三振。3番ソトも遊ゴロに打ち取り、筒香も一ゴロに打ち取った。  2回も四球こそ出したが無安打投球。しかし3回1死から突然打たれた。神里、柴田、ソト、筒香、宮崎と5連続長短打。宮崎には逆転3ランを浴びた。この回5失点。しかし自軍が4回に逆転すると、藤浪もペースを取り戻した。  4回を3者凡退に打ち取り、5回は無死満塁を背負うも中川大を投ゴロ併殺、大和を遊ゴロでしのいだ。勝ち投手の権利を持って、降板となった。 「調子自体も良かっただけに反省点の多い投球になってしまいました。投球が淡泊になってしまいヒットもたくさん打たれてしまいましたが、それ以上にたくさん点を取ってくれて守ってくれた野手の方々に感謝しかありません」とコメントした。

◆阪神藤浪が相性抜群のDeNA戦で今季2勝目を狙う。前回の楽天戦で407日ぶりの白星を挙げており、2連勝で完全復活をアピールしたい。DeNA飯塚も前回の西武戦5回1失点で今季初勝利を挙げたばかりで連勝を狙う。

◆阪神が福留孝介外野手の4打点の活躍などでDeNAに連勝した。先発藤浪晋太郎投手も苦しみながらも今季2勝目を手にした。4回に逆転の7号3ランを放った福留の試合後のヒーローインタビューは以下の通り。  -3回に味方が逆転されてそのすぐあと、チャンスに打席。どういう気持ちで  福留 最近ずっとピッチャーに迷惑ばかりかけていたんで、なんとかして、相手のミスもあったんで、そのもらったチャンスだったんで、なんとかしたいなという気持ちで入りました。  -手応えは  福留 ここ最近の中では完璧だったと思います。  -あの1本でチームに勢いがつきました。  福留 そうですね、そのあとに陽川君が絶好調なんで、陽川が本当に流れを作ってくれましたね。  -今日は4打点ですね。  福留 ま、こういう日もあっていいと思います。  -今季最多の16得点です  福留 はい、よかったです。  -どんな思いでこの16点ベンチで見てましたか。  福留 ずっと点が取れないで来ていたので、こうしてしっかり点が取れるというのを、本当にいいことですけど、少しずつ分けたいなと思いました。  -今日もたくさんのファンが応援しれました。ファンにひと言。  福留 せっかく昨日、今日といい流れを作ったので、このまま明日勝てるように頑張ります。

◆阪神が今季最多の17安打16得点で勝った。  4回に福留が決勝打となる逆転3ランを放った。打線は終盤に爆発。7回から3イニングで10得点を挙げた。5回5失点も藤浪が2勝目をマークした。  金本知憲監督は「(福留の1発は)風に助けられた感じはあったけど、あれでひっくり返して。藤浪自身も2イニング、危ないイニングもあったけど、立て直したし。今日は(6回、7回に投げた)能見と球児がバシッといったのが、一気に流れが来たと感じますね」などと振り返った。借金を4に減らし、4位に浮上した。

◆阪神陽川尚将内野手が連日の大暴れで大勝に貢献した。まずは初回、1死満塁。DeNA飯塚の真ん中低めの直球をすくい上げ、左中間へ先制の適時二塁打を放った。「追い込まれてしまった後、ファウルで粘りながらうまく低めのボールに反応することができました。先に点を取ることができて良かったです」と振り返った。  さらに3回の第2打席では左中間フェンス直撃の二塁打。4回の第3打席でもしぶとく中前打を放ち、前日26日から5打席連続安打。そしてプロ初の猛打賞を記録した。まだ終わらない。8回の1死一、二塁で迎えた第5打席。前日に決勝3ランを浴びせたエスコバーの内角低め152キロの直球を左中間へ。この日3本目となる二塁打を放った。前日のヒーローが、この日も4安打3打点と気を吐いた。

◆DeNAが2連敗で、借金は今季最多の5となった。  先発飯塚が4回途中6失点(自責5)でKO。打線は3回の集中打で5点を挙げ中盤までは競り合ったが、リリーフ陣が乱れ、7回からの3イニングで計10点を失った。  終わってみれば、今季最多失点&最多被安打(17)で完敗。アレックス・ラミレス監督は、1点を追う5回無死満塁で無得点だった攻撃をターニングポイントとし「チャンスをつくったが、そこで点を取れなかったことが非常に大きかった。野球は打つこともあるし、打てないこともあるが、残念ながら打てなかった。(一時逆転した)3回は勢いがあったが、その後に勢いを渡してしまった。野球は勢いが全てかなと思う」と厳しい表情だった。  失点を重ねた中継ぎ陣については「ここまでしっかりやってくれていたし、信頼している」とした。  首位広島とは8ゲーム差の5位に後退。「こういう苦しい時は、(監督)1年目も去年も経験している。ここでやってはいけないのは、パニックになること。しっかり前を向いて戦っていきたい」と切り替えを強調した。

◆阪神福留は軽くバットを投げて、ゆっくり歩き出した。2点を追う4回無死一、二塁。DeNA飯塚の初球をジャストミート。打球は、猛烈な勢いでバックスクリーンへ。電光掲示板下に直撃し、跳ね返ってグラウンドに落ちた。7号決勝3ラン。「ああだこうだ考えずに、最初から思い切っていこうと。ここ最近の中では完璧。(飛距離は)だいぶ風に助けられました」。左翼スタンドの大歓声を合図に、ゆっくりと走り出した。  ここぞで打つ。これが主将の存在価値だ。直前の無死一塁で2番植田のバントの打球を捕手嶺井が二塁へ悪送球の失策。もらったチャンスで、一振り。主導権は完全に阪神に移った。チームは今季最多の17安打を放ち、14年8月5日ヤクルト戦で20点を取って以来の16得点と快勝。連勝で借金を4に減らし、DeNAをかわして4位に浮上。「せっかく昨日、今日といい流れをつくったので、このまま明日勝てるように頑張ります」。頼れる主将が引っ張り、虎の逆襲が始まる。  ▼阪神が1試合9二塁打。1試合に9本以上の二塁打は西武が15年5月13日の日本ハム戦で9本打って以来、プロ野球13度目(1リーグ時代1度、セ5度、パ7度)。阪神は50年8月3日(対西日本)に9本、85年9月10日(対大洋)にセ・リーグ最多の10本を放ったのに次いで球団史上33年ぶり3度目。プロ野球記録は巨人が48年、楽天が13年にマークした各11本。

◆軽くバットを投げて、阪神福留がゆっくり歩き出した。プロ20年目。時間をかけて磨き、すり合わせてきた感覚が逆転3ランを確信させた。  2点を追う4回無死一、二塁。DeNA飯塚の初球をジャストミート。全身の力をすべて伝えた打球は、猛烈な勢いでバックスクリーンへ。電光掲示板下に直撃し、はね返ってグラウンドに落ちた。7号決勝3ラン。左翼スタンドの大歓声を合図に、福留はゆっくりと走りだした。  「ああだこうだ考えずに、最初から思い切っていこうと。ここ最近のなかでは完璧だったと思います。(飛距離は)だいぶ風に助けられました」  ここぞで打つ。これが主将の存在価値だ。序盤は完全に主導権の握り合い。1回に飯塚の乱調で3点を先制したが、藤浪が3回に突然つかまって5失点。4回に無得点で終われば、DeNAの流れになる。福留の集中力はピークに。まして直前の無死一塁で2番植田のバントの打球を捕手嶺井が二塁へ悪送球の失策。もらったチャンスで、一振り。"確信歩き"で主導権は完全に阪神に移った。  何万球も打ってきた。見なくても、分かるものがある。福留は打撃練習で打球の行方を見ない。軽々とスタンドインする会心の打球ほど、行方を気にせずに次の準備に入る。「そこは大切じゃないから」と笑い「どちらかと言うと」と続ける。「見ているのはパーンって上がっていく瞬間。回転とかを見ていることが多いかな」。ボールがバットに当たってからのわずかな時間で打球の質を確認。感覚とすり合わせを重ねて、ここまでたどりついた。  もらったチャンスを確実に仕留めて、終盤はワンサイドゲームに。チームは今季最多の17安打を放ち、14年8月5日ヤクルト戦で20点を取って以来の16得点と快勝。連勝で借金を4に減らした。  DeNAをかわして4位に浮上。「せっかく昨日、今日といい流れをつくったので、このまま明日勝てるように頑張ります」と福留。頼れる主将が引っ張り、虎の逆襲が始まる。【池本泰尚】

◆阪神藤浪が土俵際で踏みとどまった。大勝した試合後、真っ先に感謝が口を突いた。「勝ったのはラッキーです。何とか打線に助けてもらいました」。  援護してくれた野手陣に報いるためにも耐えた。1点リードの5回は無死満塁の窮地に陥る。絶体絶命でも動じない。155キロを中川大への外角低めへ。完全に詰まらせて、1-2-3の併殺打に抑え、理想の流れだ。  昨季まで同僚だった大和を迎えるとギアを上げた。初球はこの日最速の156キロ。2球目カットボールで空を切らせ、最後は低めフォークで遊ゴロ。気迫で圧倒し、危機を脱した。5回5失点で今季2勝目を挙げたが「すごく悪かったわけではないけど、投球が淡泊、単調になりすぎていた。あの1イニングだけ、もったいない」と反省した。  DeNA打線につかまったのは3回だ。1死後、神里、柴田、ソト、筒香に速球を狙い打ちされ、連打で2点を失う。二、三塁で宮崎には初球カットボールが甘くなり、右翼へ逆転3ランを浴びた。5連打は16年7月1日中日戦(ナゴヤドーム)以来、自己ワーストタイ。それでも、耐えた。  15日楽天戦で407日ぶりの白星を挙げ、再昇格の初戦で連勝だ。金本監督も「コントロールで苦しむのがもうないから大きな安心材料」と評価。そのまま来週からの9連戦での先発に向かう見通しだ。【酒井俊作】

◆阪神陽川尚将内野手(26)が、連日の活躍でチームの連勝に貢献した。DeNA戦で第1打席に先制の2点二塁打。その後も快音を連ね、4安打3打点と大暴れ。ともに今季最多、17安打16点の猛攻の中心となった。チームは4位に浮上。虎の勢いが加速し始めた。  陽川が今季最高の猛攻撃の主役を張った。終盤まで猛虎打線が容赦なく快音を連ね続けた。9回はビッグイニングの7得点。終わってみれば、ともに今季最多の17安打16得点。DeNAの投手陣を完膚なきまで打ち込んだが、のろしを上げたのも背番号55だった。  初回、1死からDeNA飯塚が制球を乱し、3者連続四球で得た満塁機。追い込まれてからファウルで粘り、カウント1-2からの6球目。真ん中低め144キロの直球をたたくと、打球は左中間を破り、先制の2点二塁打。幸先よく主導権を握った。  陽川 追い込まれてしまった後、ファウルで粘りながらうまく低めのボールに反応することができました。先に点を取ることができて良かったです。  3回にも二塁打、4回に中前打。プロ初の猛打賞を決めると、8回1死一、二塁では、前日の試合で決勝弾を放ったエスコバーと再戦した。内角低めの152キロの直球を捉えると、打球はぐんぐん伸び、左中間フェンスを直撃。この日3本目の二塁打で、5打数4安打3打点と暴れまくった。 まさに陽川旋風だ。前夜は0-0の7回に決勝3ランを放つなど、4打点とチームの連敗脱出の原動力となっていた。チームの主軸は左打者の福留、糸井が並ぶ。金本監督は右打ちスラッガーの4番抜てきの可能性について「それくらいの働きとかをしてくれれば、もちろん、並びとしてはその方がすっぽりハマる。ハマりやすいのはハマりやすい」と期待。「調子がいいときをできるだけ長く、悪いときを短く。悪いときは必ず来ると思うから。そのときの辛抱の仕方を勉強できてきたら、レギュラーが近づいてくる」と話した。 勝負の5年目。昨年まで2年連続でウエスタン・リーグの本塁打王&打点王を獲得した男は、今季を「自分にとってもラストチャンスだと思っている」と表現していた。ただならぬ覚悟が結果として表れている。「まだまだこれから。今日は今日。また明日もあるので切り替えて頑張りたい」。クールな男がグラウンドで輝きを放ち続けている。 前日は指揮官に「打席で威張れ」と助言され「陽川様のおな~り~」と冗談も飛んだ。いまや、打席では風格すら漂い、この日も、そこのけそこのけ、陽川様のお通りだ。4位に浮上した虎の反攻の象徴となりそうな勢い。26歳の若虎が乗っている。【古財稜明】

◆27日のDeNA戦に先発する阪神・藤浪は26日、ショートダッシュなどで汗を流した。15日の楽天戦(楽天生命パーク)で6回1/3を4安打無失点で407日ぶりの勝利をあげた後、登録抹消。中11日でのマウンドとなる。  4連勝中と相性のいい横浜スタジアム。「気合を入れて調整してきたつもりなので、しっかり投げたい」と連勝への意欲は満々だ。

◆DeNAの飯塚は四回途中を6失点の乱調。前回18日は今季7度目の先発で念願の初白星をつかんだが、自信を深める投球とはならなかった。  一回一死から3連続四球を与えて陽川に2点二塁打を浴び、2死後、申告敬遠の後に押し出し四球。いきなりの5四球で3点を先取された。篠原投手コーチが「飯塚本来の投球ではなかった」と話す通り、強風の悪条件下で制球面の修正に苦心。味方が5-3と逆転した直後の四回は、福留に電光掲示板を直撃する特大3ランを食らってひっくり返された。

◆猛虎打線がハマスタで大暴れや! 阪神は17安打で今季最多の16得点の猛攻で2連勝。3番・福留が四回に7号3ランを放つなど2安打4打点、5番・陽川が4安打3打点の活躍。先発・藤浪は5回8安打5失点で今季2勝目(2敗)を挙げた。  先制したのは阪神。一回一死満塁と好機を作ると、陽川が相手先発の飯塚から左中間を破る2点二塁打を放った。この後二死満塁から梅野が押し出し四球を選んで、3-0とした。  DeNAは三回、藤浪を捕まえる。一死一塁で柴田が右翼線適時打を放つと、なおも一死一、三塁とし、筒香が左翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。さらに一死二、三塁で宮崎が右翼スタンド前列へ15号3ランでこの回一挙5点。5-3と逆転した。  阪神は四回無死一、二塁の好機で、福留が応えた。飯塚から放った大飛球はバックスクリーン右に飛び込む7号3ランとなり逆転に成功した。さらに阪神は七回二死二塁、代打・伊藤準が4番手・三上から右越え適時打を放ち、7-5とリードを広げた。阪神は八回にも一死一、二塁で、陽川が中堅フェンス直撃の適時二塁打を放った。さらに一死満塁から鳥谷のニゴロの間に三塁走者が生還し、9-5とした。  DeNAは八回に1点を返したが、阪神は九回に一挙7点を追加。16-6と大勝した。

◆阪神は17安打で今季最多の16得点の猛攻で2連勝。主将の3番・福留が四回に7号3ランを放つなど2安打4打点の活躍。ヒーローインタビューで、福留は笑みを浮かべた。   --三回に味方が逆転されて、そのすぐ後チャンスで打順が回ってきた  「最近ほんとピッチャーに迷惑ばかりかけてたので、相手のミスもあったので、そのもらったチャンスをなんとかしたいな、という思いで入りました」  --打球はすごい勢いでセンター方向まで飛んでいった。手応えは  「ここ最近の中では完璧だと思います」  --あの一本が出て、チームに勢いが出た  「その後に陽川君が今、絶好調なんで、陽川がほんとに流れ作ってくれましたね」  --九回にも駄目押しの適時二塁打を放って今日は4打点  「こういう日もあっていいと思います」  --チームは今季最多16得点です  「よかったです」  --キャプテンとして、どんな思いで、この16点を見ていましたか  「やっぱりずっと点が取れずにきていたので、こうやってしっかり点が取れるのはほんとにいいことですけど、少しずつ分けたいなと思いました」  --明日も3連戦は続く。ファンの皆さんに一言  「せっかく昨日、今日といい流れを作ったので、このまま明日また勝てるようにがんばります」

◆フッと少しはにかんだように藤浪晋太郎の口元に"笑み"がこぼれたのは三回裏、先頭の嶺井への2-1からの4球目の速球がストライクになったときだった。  あれ...なんでこんなところで笑顔をのぞかせたのだろう? とそんなコトが妙に気になった。それほど今年は自ら迷路に入り込み...ホホがゲソッと落ちてニコリともしなかった"幻のエース"が童顔に白い歯を見せたのには、いささかの驚きを覚え、熱いものがこみあげた。  藤浪晋太郎が笑っている!  実は横浜スタジアムはとてもミステリアスなところがある。昨夜はテレビ中継で藤浪の投球に集中していたが、なんとなくその背後のバックネット裏の漆黒の闇(ゲスト席?)の奥に、ひょっとしたらDeNA側の007のコンピューター室があって、スタッフが藤浪の1球1球を丸裸に分析しているのかもしれない...というナゾの闇...筆者がまだピヨピヨ記者の頃にはそこは記者席で、いつもテレビに取材記者の動きは手に取るように映し出されたものである。 「おいコラ、少しは試合を見ろ!」と会社から電話で注意されたり、某社のキャップは注文したラーメンが届いて、そのスープをグッと飲み干した瞬間に落合博満の決勝ホームランが出て...それがトップ記事...でもって「今のホームランはどんな球だった」と慌てた...なんてハプニングもあったりして...とにかく何かが起きる。その後、記者席はスタンドの最上段に移設されて、バックネット裏は昨夜のように"闇"につつまれて...その分だけマウンドの投手の動きがクローズアップされて、虚々実々の動きが目にやきつくことになる。  藤浪の復活...これが今後の阪神の運命を左右する。当番デスク野下俊晴は「今日ですよ、今日...」と祈るようにつぶやいて固唾をのんでモニターTVをニラむ。サブデスクの大澤謙一郎も祈るような表情だった。藤浪登板の試合では勝利すれば奪三振数の分だけ彼が契約するファイテン社の『パワーテープX30』を読者プレゼントする太っ腹企画がサンスポにはある。勝利が条件とあり、前回登板の407日ぶりの白星でプレゼントも407日ぶりに実現。今季1回目とあり、山のように積み上がった応募ハガキの中から厳正に抽選し、本日当選者に発送した。大澤は「応募はがきに書いてあった藤浪投手へのメッセージを見て、いかに彼が愛されているかよくよく分かります」と言うのだ。ちょいと紹介する。 「藤浪投手おめでとうございます。いろいろな苦労を乗り越えて...。応援しています。良い表情でした」「やっぱり藤浪が勝たないと優勝はない。ガンバレ!!」「これでチームが好転します」「エースとしての自覚が出て、真の心をつかんだことが私はうれしい。投手陣で藤浪投手が一番好きです」「四球はもちろんダメ!! 1勝でなくどんどん勝利を期待しています!!」「毎日きょうみたいな1面(16日付藤浪復活の1面)がいいです」  藤浪は五回裏に無死満塁のピンチを切り抜けて93球。勝利投手の権利を残して降板すると、陽川、そして真打ちの福留が打って大量援護!! 見事藤浪2勝目でプレゼントもハイいらっしゃい!!。ハマは若虎たちの雄たけび、咆吼が弾んで熱い、熱い胸騒ぎ...。

◆『温故知新』。故(ふる)きを温(たず)ねて新しを知る。う~ん、いいことわざだね~!  DeNAは現在、ハマスタで1998年に日本一になったフェスティバルをしていますが、懐かしいことを思い出しましたよ~! かつて、横浜は阪神に『横浜銀行』と呼ばれていたのです。  いや、借金5で最下位になった阪神を見事に助けてくれる16対6の横浜銀行の大融資、変わってないなあ(対戦成績は阪神の7勝2敗)。DeNAさん、これからも長い付き合いをお願いします。  本日も二塁打3本を含む4安打3打点の陽川いいね~!! 第3戦は4番起用でええとちゃいます!? オイオイ、少しぐらい打ってるからってそんな素人みたいな...。いえ、失礼ながら50年、半世紀以上、毎試合阪神を追っかけている玄人です。  そもそも福留、糸井があと5年先、虎の中心打者としておるんかア? 重圧、責任、罵声、いろいろなものに押しつぶされそうになると思うけど、それをはねのけることに賭ける価値ありの若虎なのだ!!  正直、このままじゃあVは厳しい...。ならば金本さん、何か一つ、新しい夢を一緒に見させてくれー!!

◆--先制からダメ押しまで陽川が4安打  金本監督 「そうですね、調子がいいんでしょう、ハハッ(笑)。調子のいいときをできるだけ長く、悪いときをできるだけ短く。悪いときの辛抱の仕方も勉強できてきたら、レギュラーに近づいてくると思う」  --打席でもだいぶ落ち着きが...  「きょうは威張って入ってた? 表情、見えないんだよ(笑)」  --藤浪は満塁を抑えた五回でスパッと代えた  「迷いましたけどね。満塁のときは五回か? 迷ったけど、代えました」  --能見が六回を三者凡退でいったのが大きかった  「きょうはそこの能見と球児でしょう。アレでグッと波が来たね」  --藤川はボールもいい状態を維持できている  「本当にリリーフでも今一番、安定感というかね、誰よりもあるんじゃないかな」  --ナバーロの昇格は  「まだ何も決まっていない」

◆連夜の活躍で、早くも風格が漂い始めた。バットを振れば、面白いように白球が飛んでいく。陽川が先制の2点打を含むプロ初となる4安打で猛打賞を飾り、打線をけん引。まさに打ち出の小づち状態だ。  陽川が打つと、ベンチの選手らが平手で胸をたたく"ゴリラポーズ"がはやっている。誰が始めたのか、なぜゴリラなのかは不明だが、今季から2軍の試合で陽川が本塁打を打つと、選手らが胸をたたいて喜びを表現しており、それが1軍に伝わったようだ。陽川は2軍戦のあとのヒーローインタビューで「グーではなく、パーでたたいています」と詳細? を明かしたことがある。

◆いずれも今季ワーストとなる17被安打、16失点で大敗した。1点を追う五回無死満塁の好機で中川大が投ゴロ併殺打、大和は遊ゴロで無得点だったのが響いた。ラミレス監督は「あそこがターニングポイントとなった」と振り返った。借金5もワースト。指揮官は「2016年も去年も苦しいときを経験している。大事なのはパニックにならず、下を向かずにやっていくこと」と切り替えた。
四回途中、6安打6四球で6失点、5敗目を喫したDeNA・飯塚 「点の取られ方も悪く、すべてでうまくいかなかった」 三回に自己最多タイとなる15号3ランのDeNA・宮崎 「みんなが繋いでくれた流れに自分も乗ることができた」

◆梅野が九回、ダメ押しの3号2ランを放った。8点リードの九回二死二塁、129キロのスライダーを左翼席中段へ。本塁打は4月29日の広島戦(マツダ)以来だった。ただ、捕手として三回に連打を許した場面を振り返り「攻撃よりも失点してしまった守備の面で、反省が残っています」と口元を引き締めた。

◆糸原が6打数4安打1打点と、13日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来となる猛打賞を記録した。「最近、打てていなかったので、きょうはいい形で打ててよかったです」。二回先頭でまずは中前打。四回先頭でも左前打を放ち、福留の逆転3ランを演出した。七回にも右前打、九回には10点目をたたき出す右中間二塁打。チームの猛打ショーに貢献した。

◆振り返れば、9つ浴びせた二塁打のうちの「ただの4本目」。だが、このときはまだ何が起こってもおかしくなかった。伊藤隼のバットが、揺れ動く試合を虎寄りに落ち着かせた。6-5の七回に、2点差に突き放す右越え二塁打。二塁上でバシッと手を叩いた。  「何回も対戦のある投手だったので。ある程度ボールの軌道も頭に入っていました。ダメ押しというか、この球場は何があるか分からないので」  スタジアム上空には猛烈な風が吹いていた。ただでさえ狭い球場だ。能見、藤川の好救援でグッと流れが来ていたとはいえ、1点リードでは危うかった。七回二死から梅野が右中間二塁打。続いて登場した代打の切り札が、三上のボールを痛烈に運んだ。前進守備の頭上を突き破る値千金の一打。スタメン出場した6月22日の広島戦(甲子園)以来出場3試合&9打席ぶりの安打だった。 この時点ではまだ、7-5。だが、仕事人にみんなが続いた。まさかここから二塁打が5本も出て、さらに9点も入るとは-。チーム9二塁打は、球団最多でセ・リーグ記録の10二塁打(1985年9月10日の大洋戦、横浜)まで、あと1に肉薄する数字だった。  「いい追加点というか、こういう展開なので稼がせてもらいました」と、伊藤隼はナインの気持ちを代弁するように言った。全員が得点、結果にどん欲であり続けた。この気持ちがあれば、もう一度、はい上がっていける。 (長友孝輔)

◆連夜の活躍で、早くも風格が漂い始めた。バットを振れば、面白いように白球が飛んでいく。陽川が先制の2点打を含むプロ初となる4安打で猛打賞を飾り、打線をけん引。まさに打ち出の小づち状態だ。  「チャンスだったので、どんどん初球から振っていこうと思っていった結果です。(打席の意識は)追い込まれるまでは自分のスイング、追い込まれてからはコンパクトにいっています」  0-0の一回一死満塁。DeNAの先発・飯塚に2ストライクと追い込まれながらファウルで粘り、6球目の144キロを捉えた。すくい上げた打球はぐんぐん伸びて、左中間を破る先制の2点打となった。  「(一回に)ああいうふうに打てたので、気持ちの面で楽になれた」と三回先頭では低めの134キロ変化球を弾き返し、左中間フェンス直撃の二塁打。福留の逆転3ランが飛び出した後の四回一死では中前へ。これで自身初の猛打賞。即座にプロ初盗塁も決め、八回にも中越えの適時二塁打で球団記録の1試合3二塁打。これにはベンチの仲間も胸をたたく"ゴリラポーズ"で大喜びだ。 5打数4安打3打点の大暴れで、前日26日に先制3ランを放ったヒーローの勢いは増す一方。「本当にそれくらいの働きとかしてくれれば、もちろん、並びとしてはその方がすっぽりハマるからね」と金本監督が4番起用の可能性を思い描けるほどの活躍ぶりだ。  覚醒したスラッガーの気晴らしは海外ドラマを鑑賞することで、お気に入りのひとつが「ウォーキング・デッド」。2010年にアメリカで放送がスタートし、現在まで続いている超人気作だ。主人公たちがゾンビと戦うサバイバルホラーだが、出場16試合で打率・393、2本塁打、16打点を誇る背番号55の打棒には、ゾンビもはだしで逃げ出すに違いない!?  「まだまだこれから。きょうはきょうなので。明日がある。切り替えて頑張っていきたいです」と表情を引き締めた。14日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来となる2桁安打の猛攻に貢献。鳴尾浜のゴジラが、虎のゴジラへ進化を遂げようとしている。 (新里公章)

◆必死な姿は、見るモノの胸を打つ。1点リードの五回無死満塁。絶体絶命のピンチで、藤浪は踏みとどまった。中川大の投ゴロをガッチリつかむと"サイドスロー"で本塁送球。一塁転送されて併殺に。続く大和も遊ゴロに打ち取って、この回でマウンドを降りた。  「きょうはチームに勝たせてもらいました」  ふがいなさ、悔しさを隠し、淡々と振り返った。過去の実績からすれば、5回93球5失点は大いに物足りない。でも、今は素直に感謝する。407日ぶりに勝利を挙げた15日の楽天戦(楽天生命パーク)に続く2勝目。1年ぶりの連勝だ。  「楽天戦より、全然調子が良かったんですが、あの回だけ、もったいなかったですね」  立ち上がりから制球も安定し、迎えた三回。一死から神里、柴田、ソト、筒香には150キロ超の速球を立て続けに打たれた。宮崎には135キロスライダーを右翼席へ運ばれ、まさかの5連打5失点で逆転された。 金本監督は「あの回、単調になったわね、真っすぐ狙われて。もう少しバッテリーがテンポを変えるとかね。気付かないとね、早く」と苦言を呈しつつもも「制球で苦しむことはもうないから、そこは大きな安心材料」と、プラス思考だった。  復活を期す男は、投げるだけではなかった。常に全力疾走。五回の三ゴロでは、予期せぬ激走に慌てた相手の悪送球を呼ぶ。直後の糸原の三ゴロでは二塁へしっかり足からスライディング。その裏のマウンドは、赤土で汚れたユニホームでの熱投だった。  ひたむきな19番が、ローテの軸として君臨する瞬間は、もう間もなく...。 (上田雅昭)

◆猛虎祭や! 阪神は打線が打ちも打ったり今季最多の17安打16得点と大爆発し、DeNAに快勝。福留孝介外野手(41)が四回に逆転の7号3ランを放ち、火をつけた。15、16日以来の連勝で借金を「4」に減らし、4位に浮上。打線の復調とともに、Aクラス復帰も目前に迫ってきた。ヨッシャ、どんどん行くでぇ~!! 打った瞬間に確信して、ゆっくりと歩を進めた。3-5とひっくり返された直後の四回。福留の放った逆転7号3ランは、横浜の夜空を吹きすさぶ強風に乗って、スコアボードを直撃した。主将のアーチが、今季最多17安打&16得点の猛虎祭の開幕を告げた。  「ああだこうだ考えるより、最初から思い切っていきました。だいぶ風に助けられましたね。(感触は)ここ最近では完璧だったと思います」  3点リードの三回、先発・藤浪が5連打されて5失点。嫌なムードをすぐに吹き飛ばした。四回無死一塁で、植田のバントを捕手・嶺井が二塁に転送するも、遊撃・大和が捕球できず(記録は失策)。「相手もミスがあって嫌だっただろうし、うちにはいいチャンス」と眼光を鋭くした。  狙いすました初球の142キロ直球を一閃。打球は強烈な追い風に乗り、長い滞空時間を経てスコアボードの右下にゴツン。24日の広島戦(甲子園)以来2試合ぶりの一発で、ハマの虎党は六甲おろしに酔いしれた。  これまでに勝負強い打撃で何度もチームを救ってきたが、実は試合前までの得点圏打率は・145。相手の徹底マークもあり、規定打席到達者では最下位と苦しんでいた。18打席ぶりの得点圏での安打は値千金だ。 10-6の九回一死三塁でも右越えの適時二塁打で4打点目。金本監督は福留の逆転弾について「まあ、風に助けられた感はあったけどね」と言いつつ最敬礼。16得点は金本虎最多の猛爆ぶりだった。  背中だけではなく、言葉でも若虎を引っ張る。ときには伊藤隼の打撃練習のモノマネをして、周囲を笑顔にする。和ませるだけではない。野球人としての心得も説く。  「裏方さんや、人とのつながりを大切にするんだよ」  2月の沖縄キャンプで毎年恒例の福留会を開催。約10人の若虎に、打撃投手やブルペン捕手らも呼んで杯を交わした。サポートしてくれるありがたさを、感じてほしかった。参加した島田は「自分は主将とかやったことないけど、本当にすごいと思いました」。立教大時代に主将を務めた熊谷も「プロで長くやっている方でも、そういう部分を大切にされている」と驚嘆した。グラウンドを離れても、主将は憧れの的だ。  「ずっと点が取れずにきていたので、しっかり取れたのはいいこと。ただ、少しずつ分けたいなと思いました」  福留が笑えば、虎党も笑う。15、16日の楽天戦(楽天生命パーク)以来の連勝で、チームは4位に浮上。Aクラス復帰も目前。主将を先頭に、猛虎が再加速する。 (竹村岳)
★ヘッド誕生日祝った  この日はPL学園高の先輩でもある片岡ヘッド兼打撃コーチの49歳の誕生日。福留は「いい誕生日を迎えてもらえてよかった」と笑顔でバスに乗り込んだ。4月26日、自身の誕生日には船上で選手からケーキを受け取るサプライズを受けたが、今度はグラウンドの上で最高のお返しをしてみせた。

◆陽川の良さは、打席でしっかり軸足に体重をためながら待てること。結果、上体が前に倒れることなく、体が開くこともなく、最後まで投球を見ることが可能になる。ということは、バットに当てられる確率が一気に増すということになる。  これがうまくできていない選手、阪神で例を挙げるなら中谷、大山、北條らが空振りしてしまう難しい球を、陽川はファウルにできる。一回の第1打席にファウルで粘ったシーンは象徴的。そして二塁打にした球も、実はタイミングがずれているのだが、「待てる」からヒットゾーンにはじき返せる。  「待てる」と少々のタイミングのズレも、バットを投げ出すような形で打てることもある。その好例が四回の中前打。アベレージも稼げるタイプになれる。  おそらく今が一番、いい状態で、今後はこれをどう維持するか。簡単な方法はないが、まず試合に出続けること。首脳陣にも使い続けることをお願いしたい。一塁を守る外国人選手がファームにいるが、その場合は陽川を三塁に回してでも使ってもらいたい。それぐらいの力を秘めている。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
392810.582
(↑0.006)
0
(-)
75342
(+8)
306
(+6)
77
(+1)
37
(-)
0.262
(↑0.002)
4.22
(↓0.01)
2
(↑1)
ヤクルト
323410.485
(↑0.008)
6.5
(-)
76288
(+7)
308
(+2)
60
(+1)
36
(-)
0.255
(-)
4.19
(↑0.03)
3
(↓1)
巨人
323610.471
(↓0.007)
7.5
(↓1)
74312
(+6)
283
(+8)
66
(+2)
34
(-)
0.265
(↑0.001)
3.93
(↓0.07)
4
(↑1)
阪神
313510.47
(↑0.008)
7.5
(-)
76236
(+16)
270
(+6)
37
(+2)
40
(+1)
0.239
(↑0.003)
3.58
(↓0.04)
5
(↓1)
DeNA
303520.462
(↓0.007)
8
(↓1)
76256
(+6)
281
(+16)
78
(+1)
45
(+1)
0.249
(↑0.001)
3.79
(↓0.18)
6
(-)
中日
313810.449
(↓0.007)
9
(↓1)
73274
(+2)
324
(+7)
45
(-)
36
(+1)
0.26
(-)
4.44
(↓0.05)