阪神(★6対11☆)広島 =リーグ戦11回戦・阪神甲子園球場=
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広島
10000 5005 11100
阪神
00010 2300 691
勝利投手:アドゥワ 誠(2勝0敗0S)
敗戦投手:ドリス(1勝3敗16S)
  DAZN
◆広島は同点の6回表、鈴木、松山、野間の適時打と會澤の犠飛で一挙5点を奪う。その後、6-6で迎えた9回には、鈴木のグランドスラムなどで再び勝ち越した。投げては、5番手・アドゥワが今季2勝目。敗れた阪神は、5点ビハインドから追いつくも、投手陣が精彩を欠いた。

◆今季の阪神は打線が振るわない。  これまでリーグ戦64試合を消化して、チーム打率2割3分6厘は現在リーグ最下位。また、本拠地甲子園に限ると5月29日ソフトバンク戦から11試合連続で3得点以下と2桁安打なしが続いている。

◆広島が点の取り合いを制し、今季5度目の同一カード3連勝を飾った。1-1の6回、鈴木の適時打など集中打で5点を勝ち越し。だがその裏に2点を返され、7回も3点を取られて追いつかれた。それでも9回にはドリスのバント処理のミスによる敵失から勝ち越し点が生まれ、さらに鈴木の満塁アーチでとどめを刺した。緒方孝市監督(49)の談話は以下の通り。  -最後に再び突き放した  緒方監督 野手がもうひと踏ん張り最後の力を出し切って、9回に相手の抑え投手から点を取って勝ちをものにできた。5点差を追いつかれたのは早めに継投に出た自分の責任。  -リードを許さなかったのが勝因か  緒方監督 アドゥワにしてもピンチを迎えたけど、粘って投げきってくれた。  -鈴木が満塁弾  緒方監督 本当に野手の頑張りには頭が下がる。  -リーグ再開後3連勝  緒方監督 次、またマツダからしっかり頑張って戦っていくだけ。

◆代打で登場した阪神原口文仁捕手が反撃の2点適時打を放った。  5点を追う6回2死満塁、8番岡崎に代わって打席に入り、永川の2球目142キロを中前にはじき返した。3戦連続の代打安打をマークし、今季の代打成績は20打数10安打と勝負強さを発揮している。「しっかり体と頭の準備をして入っている。追いつくために大事なところだったので、ヒットが出てよかった」。  そのままマスクを被り、7回は藤川、8回は桑原を無失点リード。同点の8回先頭で迎えた第2打席は、アドゥワから右前打を放ちチャンスメーク。好調な原口が攻守で存在感を示した。

◆阪神は広島に3連敗を喫したが、一時は5点差を追いつく意地を見せた。  1-6で迎えた6回、2死満塁の好機で、代打原口文仁捕手(26)が中前2点打を放ち、まず3-6に。7回1死満塁から陽川尚将内野手(26)の右翼への適時打で4-6。なおも1死満塁から中谷将大外野手(25)が「チャンスだったのでとりあえず食らいついていこうと思っていました」と左翼へ同点の2点打を放った。  9回に広島鈴木に満弾を浴びるなど最後は5点差で敗れたが、若虎の反撃は明るい材料となった。

◆阪神金本知憲監督は試合後、疲れ切った表情だった。  首位広島との3連戦3戦目は一時は5点ビハインドを追いつきながら、同点の9回表にドリスが背信の5失点を喫した。体調不良の影響で戦線離脱していた守護神はこの日再び出場選手登録されたばかり。6月9日ロッテ戦以来、中14日での実戦マウンドは自身の適時失策から勝ち越しを許し、さらには4番鈴木に満塁弾を浴びて降板した。  指揮官はドリスの悪送球で勝ち越し点を許した場面を振り返り、「今年は多いよな。ちょっとな。投内連係ができていないよな。それがまさか決勝点とはね」と厳しい表情。チームは引き分けを挟んで5連敗となり、今季ワーストの借金6で2シーズンぶりとなるリーグ単独最下位となった。

◆広島鈴木誠也外野手(23)が今季2本目のグランドスラムを放ち、激しい点の奪い合いに決着をつけた。  9回、敵失で1点を勝ち越してなお1死満塁から、ドリスの内角直球をとらえて左翼ポール直撃の10号満塁弾。中盤の5点リードを追いつかれる展開の中、粘る相手を突き放した。  同一カード3連勝に導いた4番は「ファウルになるかなと思った。切れないでくれという思いでボールを見ていた。みんながつないでくれたので、1つでも打点を挙げられたらいいと思っていた」。6回にも一時勝ち越しとなる適時打など、3安打5打点の活躍だった。

◆高熱の影響でチームを離れていた阪神ラファエル・ドリス投手が、復帰登板で満塁弾を含む5失点と課題を残した。9日のロッテ戦(甲子園)以来約2週間ぶりに臨んだ試合。同点の9回に登場。先頭の西川に左翼線への二塁打を放たれると、続く堂林の投手前に転がった犠打を捕球し、一塁へ悪送球。西川が生還し、あっさりと1点を失った。失策と四球を重ね、1死満塁とすると、迎えるは4番鈴木。内角高めの直球をとらえられ、右翼ポールに直撃の満塁弾を浴び、途中降板した。「力もなければ、バランスも崩れた情けない投球になってしまった。次頑張ります」と反省。守護神完全復活とはならなかった。

◆阪神は同点の9回に守護神ドリスが背信の5失点を喫した。チームは引き分けを挟んで5連敗。2年ぶりの単独最下位に転落した。  ドリスは高熱による体調不良から、この日復帰したばかり。決勝点を許す悪送球と満塁弾を浴び役割を果たせなかった。金本監督は疲れ切った表情で「今年は多いよな。投内連係ができていないよな。それがまさか決勝点とは...」と痛恨の場面を振り返った。

◆4番の最高の仕事だ。広島鈴木が今季2本目のグランドスラムを放ち、チームを5度目の同一カード3連勝に導いた。敵失で1点を勝ち越した9回、なお1死満塁でドリスの内角151キロ直球を強振。打席で左翼ポール直撃を見届け、ゆったりとベース1周した。  「切れないでくれと思って見ていた。厳しい展開だったが、ああいうところが4番の見せどころ。しっかり打点を挙げられたのは本当に良かった。最低でも犠牲フライ、併殺崩れでも点が入ると考えていた」  交流戦期間中は打率3割6厘、3本塁打、13打点と十分な成績。それでも「最近はあまり仕事ができていなかった」と不満そうな顔を浮かべる。チームが7勝11敗と苦戦。投手陣の崩壊が主な原因だが、4番として勝たせられなかったという責任感を負っていた。今季3度目の3安打。リーグ再開後は3戦連続打点と、自身も再び加速した。  2位巨人と今季最大タイの5・5ゲーム差に広げた緒方監督は「5点差を追いつかれたのは早めに継投に出た自分の責任。野手が最後に、もうひと踏ん張り力を出し切ってくれた。本当に頭が下がる」と感謝。少し疲労感をにじませた鈴木も「このカードは取りたいと思っていた。3つ勝てるとは思っていなかった。粘れて良かった」と最後は笑顔だった。【大池和幸】  ▼広島鈴木が4月28日阪神戦に次いで今季2本目、通算4本目の満塁本塁打。同一カードでシーズン2本の満塁弾は15年西武戦の藤田(楽天)以来で、広島では04年ラロッカが横浜戦で3本打って以来、14年ぶり。鈴木の1発は3番丸が申告敬遠で歩かされた直後。敬遠直後の満塁弾は昨年10月3日ヤクルト戦の山本(巨人)以来。満塁に限らず、今季から採用された申告敬遠直後に本塁打を打ったのは鈴木が初めて。

◆首位広島が阪神との壮絶な点の取り合いを制し、再開リーグ戦3連勝を飾った。1-1の6回に5点を勝ち越したが、救援陣が打ち込まれて同点。それでも9回に再び5得点で粘る相手を振り切った。緒方孝市監督(49)は継投ミスを認め、野手陣の踏ん張りに感謝した。2位巨人とのゲーム差を今季最大タイの5・5に広げ、がっちり首位固めだ。  楽勝ムードから一転、ヒヤヒヤの試合展開となったが、勝ったことで救われた。追いすがる阪神を振り切った緒方監督は、真っ先に打線への感謝を口にした。  「最後にもうひと踏ん張り力を出し切って、9回に抑え投手(ドリス)から点を取って、勝ちをものにできた。野手の頑張りには、本当に頭が下がる」  1-1の同点で迎えた6回、先頭の田中がカウント2ストライクから粘って四球。これを契機に鈴木の適時打などで5点を勝ち越した。その裏には2四球で1死一、二塁とされた先発岡田から継投。逃げ切りを図ったが2点を返され、雲行きが怪しくなった。7回には今村が3与四球と適時打を許して2点差。さらにアドゥワも代打中谷に2点適時打を許して、ついに同点に追いつかれた。  9回に敵失と鈴木の10号満塁弾で再び5点を勝ち越したが、指揮官は自らのミスを素直に認めた。「5点差を追いつかれたのは、早めに継投に出た自分の責任」。もし9回に勝ち越せず同点が続けば、延長12回までの4イニングをブルペンに残った中崎、ジャクソン、フランスアの3人でまかなう必要があった。次カードで先発候補とみられるフランスアの登板も強いられる可能性があった。ベンチも肝を冷やしたに違いない。  結果的にはこの阪神3連戦、すべて先制して1度もリードを許さず。総合力の違いを見せつけた。ここまで安定感を欠く先発陣に加え、勝ちパターンの今村もここに来て失点が目立ってきた。不安要素はあるが、変わらぬ得点力を見せる攻撃陣は頼もしい限りだ。  セ・リーグで唯一、交流戦明け3連勝。緒方監督は「次、またマツダからしっかり戦っていく」と言って帰りのバスに乗り込んだ。明日24日から2位巨人との本拠地3連戦。チームの成熟度を高めつつ、全員で白星を重ねていく。【大池和幸】

◆阪神の先発小野は6回途中4安打4失点で降板した。初回の1失点後、2回以降は立ち直ったが6回に2つの四球から崩れた。  勝負はつかなかったが、5回まではまずまずの投球で「今回はしっかりゾーンで勝負ができたんじゃないかと思います」。香田投手コーチも「初回打たれはしたけど、そこからカーブを使ってピッチングの幅も広がって、非常に良かったのではないかなと思います」と話した。

◆阪神が今季ワースト5連敗で2季ぶりのリーグ単独最下位に沈んだ。驚異の粘りで5点差を追いついたが同点の9回、復帰登板した守護神ドリスが5失点。金本知憲監督(50)はショックを隠せず、懸命に言葉を探した。金本阪神誕生後、首位広島と3年連続再開リーグ戦で対戦も8戦全敗。ゲーム差は今季最大7・5差に広がったが、過去2年も一気に引き離されてV逸の分岐点となっており、大きな試練に立たされた。  阪神は今季初の5連敗(1分け挟む)で6位に落ちた。単独最下位は16年9月18日以来。金本監督が就任した16年から、リーグ戦再開カードは3年連続で首位広島と当たっているが8戦全敗。その時点での首位との最大ゲーム差を3年連続更新する形となった。16年●●●で10・5差、17年●●で5差、今季は●●●で7・5差。各年とも、優勝争いから大きく後退する分岐点になっている。

◆阪神が今季ワースト5連敗で2季ぶりのリーグ単独最下位に沈んだ。驚異の粘りで5点差を追いついたが同点の9回、復帰登板した守護神ドリスが5失点。金本知憲監督(50)はショックを隠せず、懸命に言葉を探した。金本阪神誕生後、首位広島と3年連続再開リーグ戦で対戦も8戦全敗。ゲーム差は今季最大7・5差に広がったが、過去2年も一気に引き離されてV逸の分岐点となっており、大きな試練に立たされた。  虎党の悲鳴は力なく、左翼鯉党の大歓声にかき消された。勝ち越し点を許した直後の9回表1死満塁。広島鈴木の大飛球が左翼ポールに直撃して、外野芝生にポトリと落ちた。マウンドのドリスが表情を失い、一塁ベンチの空気は凍りついた。鈴木には4月にも小野がグランドスラムを浴びており、同一年に同一選手に2度満塁弾を浴びるのは球団史上初の屈辱。熱戦は、あまりにもショッキングな形で幕が引かれた。  試合後、金本監督は疲れ切った表情で痛恨のシーンを振り返った。「今年は多いよな。投内連係ができていないよな。それがまさか決勝点とは...」。同点の9回表、守護神ドリスがいきなり左中間二塁打を浴びた。さらに無死二塁から投前犠打を一塁へ悪送球し、あっさり勝ち越し点を許したのだから、言葉にも落胆の色がにじむ。最後は衝撃的な1発まで献上。あまりに切なすぎる負け方となった。  打線は5点あったビハインドを7回裏に追いつき、反発力を発揮していた。だが、同点の8回裏1死満塁で3番福留、4番糸井が凡退すると、流れは再びカープの側へ。指揮官は8回裏を振り返り、「まあ、結果的に(流れは)そうなったかも分からんけど」と言葉を絞り出すしかなかった。  1/3回を来日最多タイ、2年ぶりの5失点で降板したドリスは「ぶっつけ本番」が懸念されていた。高熱による体調不良で14日に出場選手登録を抹消され、この日再登録されたばかり。実戦登板は9日ロッテ戦以来、実に15日ぶりだった。とはいえ、適時失策からの満塁アーチ被弾は想定外。守護神は「力もなければ、バランスも崩れた情けない投球になってしまった。次、頑張ります」と肩を落としてクラブハウスに消えた。  空気は重苦しい。守護神復帰が裏目に出て、リーグ戦再開直後の広島3連戦に3連敗。交流戦から引き分けを挟んで今季初の5連敗となり、2シーズンぶりとなるリーグ単独最下位に沈んだ。借金は今季ワーストの6まで膨らみ、首位カープとのゲーム差も今季最大の7・5まで広がった。  虎は3年連続で交流戦明けに首位広島と対決したが、毎年1勝もできず計8戦全敗。夏を待たずにゲーム差を広げられるパターンに、今年こそあらがわなければならない。【佐井陽介】

◆阪神が1分けを挟んで今季ワーストの5連敗。借金は今季最多の6に膨らみ、単独最下位に転落した。6-6で迎えた九回無死二塁で、復帰した5番手のドリスがバント処理で一塁に悪送球して勝ち越しを許すと、その後も鈴木に10号満塁本塁打を浴びるなど、この回5失点の独り相撲となった。広島は3連勝。  先制したのは広島だった。一回に先頭の田中が右翼線三塁打を放つと、続く菊池の中犠飛で1点を奪った。阪神は四回、3番・福留の左越え6号ソロで同点に追いついたが、先発・小野が六回に崩れた。2四球で一死一、二塁のピンチを招くと、鈴木に勝ち越しとなる左前適時打を許した。ここで小野は降板し、2番手で岩崎がマウンドに上がったが、松山と野間に連続適時打を浴び、1-6とリードを奪われた。  阪神はその裏、二死満塁から代打・原口が中前2点打を放ち、3点差に迫ると、七回一死満塁から5番・陽川の右前適時打と代打・中谷の左前2点打で再び同点に追いついた。  しかし、九回に悪夢が待っていた。この回からマウンドに上がったドリスが先頭の西川に左中間二塁打を浴びると、続く代打・堂林のバント処理でドリスが一塁に悪送球。痛恨のミスで西川の生還を許し、勝ち越された。その後、一死満塁とされると、鈴木に駄目押しの満塁弾を浴びた。

◆阪神の中谷が、代打で一時同点とする2点適時打を放った。4-6の七回一死満塁で、アドゥワの外角の直球に腕を伸ばして左前に運んだ。「とにかく必死でした。チャンスだったので、とりあえずバットに当たるように食らいついていこうと思った」と話した。  この日一塁で先発した陽川が直前に適時打を打っていた。本職は外野ながら一塁も守る中谷も負けじとアピールした。

◆プロ野球阪神とオリックスの選手らが24日、大阪府北部地震の被災者支援のために募金活動を行った。阪神は兵庫県西宮市の甲子園球場での広島戦前に、大阪桐蔭高で甲子園大会春夏連覇を果たした大阪府出身の藤浪晋太郎投手や、大阪・PL学園高で活躍した福留孝介外野手らがファンに寄付を呼びかけた。  選手会長の梅野隆太郎捕手は「自分たちにできることを選手会としてやろうと思って活動した。見に来てくれた人に元気を与えることをしないといけない」と話した。23日から球場内に募金箱を設け、2日間で合計72万5610円が集まった。  オリックスは大阪市の京セラドーム大阪で福良淳一監督らに加え、対戦相手のソフトバンクの工藤公康監督らも協力して参加。大阪府出身で選手会長のT-岡田外野手は「たくさんの方に来ていただいて感謝している。避難所生活の方もいるので、少しでも早く元の生活に戻れるように祈っています」と語った。45万3円が集まり、選手会などからの寄付金を合わせて計100万円を、大阪府を通じて寄付する。

◆ドリス「ヘチョマンケレーベッチョ!!」(何しとんねん! をドリスの母国、ドミニカ共和国の言葉でこんな感じ? の想像語や! それぐらい俺は怒っとるでェ)。病み上がりのマウンドとはいえ、貧打阪神打線が必死のパッチ、パッチ、したら血圧上がって俺、倒れるよ...。落ち着け、落ち着け...。  そうです。本日2安打の5年目、26歳の若虎・陽川尚将がついに打撃の何かをつかんだのだ!!  阪神打線といえば中谷、江越、ロサリオ、梅野、そして、陽川も右へ倣えの♪引っぱれ~、引っぱれ~、打球を引っぱれ~ぞろいだったのが、今季遅れてきた虎の陽川は交流戦の西武戦から出場すると右安、左本、右安、左三、中安、中安、遊安、左安、左中三、右二、二安、中安、右二、左二、そして本日は右中三、右安と16安打中10本がセンター寄り右方向!! それで長打もあるし、虎党よ、陽川のバットがドリスじゃなく火を吹くぜェ!!

◆阪神選手が24日、広島戦(甲子園)前に大阪府北部地震の被災者支援のために募金活動。選手会長の梅野をはじめ、副会長の中谷、高山や藤浪、ベテランの福留、鳥谷らがファンに寄付を呼びかけた。23日から球場内に募金箱を設け、2日間で合計72万5610円が集まり、梅野は「少しの時間でも選手会で協力したかった。いつも球場にきて応援してくれている方々のために、自分たちのできることをやっていきたいです」と話した。

◆歴史にはイフ・エニィ(もし...ならば)というセリフは許されない。  1947年のこの6月24日、米国の実業家が自家用機を操縦していた時に突然、ソーサー(受け皿)のような飛行物体が横切った。これがいわゆる「UFO(未確認飛行物体)」として史上最初に公式に命名されたものである。  それから何度も目撃されてきた...そして、この日、午後5時21分に甲子園の九回表。一死満塁から左翼ポールを直撃した白い小さな物体は、広島・鈴木の打ち返したドリスの22球目の151キロのシュートではなく「一体この騒ぎはなんじゃ? とばかりに見物にやってきたUFOという『タダ見の宇宙からのフライング・ソーサー』に違いない」のでありマス。  それにしても...野球というスポーツはこんなにもすったもんだして、残忍で血も涙も無く、それでいて意外などんでん返しが起きて、実に軽妙洒脱なドラマがあって、そのクセ、結末がミステリアスで...。この夜の日本時間24時からのサッカーW杯・セネガル戦という新聞社泣かせの時間に試合開始なのも残酷すぎる。だが、我が西野ジャパンよりは確実にスピードとパワーが勝るセネガルに「チームの和」でもって挑むわけだから期待したい。我がサンスポはギリギリの紙面作りに挑んだのです。 その前に甲子園がものすごい激戦を演じてくれて...多分、何人かは医務室に担ぎ込まれる? ことも覚悟した1日であります。ただし...こういう状況でも野球の当番デスクは我が地球防衛軍の隊長よろしく冷静沈着な堀啓介でありますから...ヤツの周囲だけはUFOなんか飛び回ってはいない。  でもなぁ...そりゃあ視点を変えれば、こんなに面白くスリリングでハラハラドキドキさせられる試合はなかった。だけど一歩引いて見ると、あまりにも脇のあまい野球でクライマックスシリーズにも日本シリーズにも勝てますか? これで。救いは鈴木の満塁アーチが出た後、黙々と11球、松山、野間を三振に斬ってみせた能見の胸中たるやわかるなぁ。  広島の救援投手陣のだらしなさはあきれるばかりだが...それをトドのつまりは取り逃がすのは阪神打線の"甘さ"に他ならない。  この日、新外国人ナバーロが甲子園でチームに合流してフリー打撃。だが編集委員上田雅昭は「そんなにパンチのある大砲ではないからなぁ...」とポツリ。九回の広島の4番鈴木のグランドスラムのようなモノは期待出来ない。  実は1956年のこの6月24日、甲子園での広島8回戦、0-1の九回二死満塁で兼任監督の藤村富美男は代打に出て、広島のエース長谷川良平から左翼スタンドに『代打逆転満塁サヨナラ本塁打』をたたき込んでみせた。  そういう夢を抱かせるヒーローが阪神にはちゃんと存在してたんだ。  選手による大阪府北部地震の募金活動を取材した長友孝輔記者が「主力も若手も真剣にファンに呼びかけて、とてもサワヤカでした」と報告してきた。その感動も素晴らしい。ただ、ファンには『勝利』という熱いエネルギーが一番なのだ...。

◆--打線が反発力を見せただけに、取りたかった  金本監督「それはもちろん、ハイ」  --ドリスは間隔があいた部分もあったか  「どうだろうなあ...それは。今までも中10日とかあったけどね」  --この3連戦、一度もリードを奪えなかったのが痛かった  「まあ、それもあるわな」  --八回に勝ち越して、というゲームだった  「まあ、まあ...結果的にそうなったかも分からん」  --エラーで決勝点が入っただけに悔やまれる  「うーん、今年多いよな、ちょっとな。投内連係ができてない。それがまさか決勝点とは...」

◆福留は0-1の四回先頭で右翼ポール直撃の6号ソロ。岡田の初球チェンジアップを振り抜き、一時同点とした。「先頭だったので塁に出ることだけを考えていました。本塁打はたまたまです」。しかし6-6と同点に追いついて迎えた八回一死満塁の好機では、あえなく三邪飛。犠飛でも勝ち越しに成功できるチャンスをものにできなかった。

◆中谷が七回に代打で出場し、一時同点に追いつくタイムリーを放った。陽川の適時打で4-6と2点差に迫った直後の一死満塁。追い込まれてからファウルで粘り、アドゥワの外角144キロに食らいついて左前へはじき返した。「チャンスだったので、とにかくバットに当たるように、食らいついていこうと思って打席に入りました」。出場4試合ぶり、代打では今季初の安打でチームをもり立てた。

◆虎党の期待に、原口がまたも応えた。1-6と突き放された直後の六回二死満塁。岡崎の代打で登場すると、代わったばかりの永川の142キロを一閃。中前へ、反撃の2点打となった。  「しっかり準備して入っていっています。追いついていくために大事なところだった。(打てたことは)よかったです」  前日に続く代打2点打で、今季の代打打率は5割ジャスト(20打数10安打、7打点)と驚異の勝負強さ。今季の計7打点もすべて代打であげたもので、まさに切り札だ。  そのままマスクをかぶると八回には右前打。出場19試合ぶり、今季4度目のマルチ安打もマークした。「しっかり体と頭の準備をしています。いい準備ができていることが一番です」。スタメンマスクこそまだ5試合だが、35試合出場で打率・327。少ないチャンスをものにし、チームの勝利に貢献していく。 (新里公章)

◆この日1軍に昇格したばかりのドリスは、6-6の九回に9日以来の登板。1/3回を自己ワーストの5失点(自責3)と大乱調だった。いきなり先頭の西川に二塁打を浴びると、堂林の犠打を一塁へ悪送球。適時失策で勝ち越しを許した。さらに暴投などで一死満塁を背負うと、トドメは鈴木の左翼ポール直撃の満塁弾。「力もなければ、バランスも崩れて情けない投球になってしまいました。次、頑張ります」と必死に前を向いた。
九回にドリスの失策を呼ぶバントを決めた広島・堂林  「ドリスがバントの処理ができないことはわかっていた。点が入って良かったです」
★香田投手コーチ「もう少し彼に時間あげたら」  ドリスの登板間隔があいた(中14日)ことについて、阪神・香田投手コーチは「私の見立てというか、もう少し彼に時間をあげたら違った結果だったかもしれない」と悔やんだ。体調不良で14日に登録を抹消し、2軍では実戦登板での調整なしのまま、最短でこの日に再登録された。マテオ、高橋聡が2軍調整中の現状で、守護神の独り相撲は、この先の大きな不安材料になりそうだ。

◆"リーグ再開幕"カードで広島が虎を粉砕し、1年11カ月ぶりの敵地・甲子園での3連勝をやってのけた。原動力は、本塁打を含む3安打5打点の鈴木だ。 「みんながつないでくれたチャンス。犠牲フライでも、ゲッツー崩れでもいいと思っていた。打点を挙げることができて良かったです」  6-6の九回だ。二塁打と相手の失策で1点を勝ち越し、さらに2四球などですべての塁が埋まった場面で打席に立ち、151キロの内角球を引っ張って左翼ポール直撃の満塁アーチを放った。故衣笠祥雄氏の追悼試合の4月28日の阪神戦(マツダ)に続く今季2度目、通算4度目のグランドスラムで試合を決めた。  六回で6-1とリードしていた試合を追いつかれた重苦しい空気も、この一発で吹き飛んだ。緒方監督は「追いつかれたのは早めの継投に出た自分の失敗。野手陣が最後に力を出してくれた」と感謝を口にした。 23歳の4番打者は敵地、本拠地を問わずヤジられることも多い。今回はそれも気にならなかった。19日にサッカーW杯の日本-コロンビアをテレビで観戦。白熱した展開に「いけ」「がんばれ」「そこは違う」などと声を出して応援していたときに、「勝ってほしい。期待しているからヤジがでるのかな」とファン心理を悟った。  「まさか3つ勝てると思っていなかったです」  セ・リーグで唯一交流戦明け3連勝とし、2位・巨人とのゲーム差は5・5に拡大。3連戦で6安打7打点と打ちまくった4番もチームも、さらに勢いが増していきそうだ。 (柏村翔)

◆これで勝てんか!? 阪神は首位広島に6-11で敗れ、甲子園で今季3度目の同一カード3連敗。今季ワーストの5連敗(1分け挟む)&借金6となり、2年ぶりの単独最下位に転落した。5点差を追いつき、勝ちパターンの継投に入りながら、最後は守護神ドリスが崩れ、金本知憲監督(50)はボウ然...。この流れ、展開で勝てないようでは、いつ勝てるの!? 快晴の日曜日。前日に次ぐ今季2番目に多い4万6727人が詰めかけた甲子園のファンはこの日こそ、虎の勝利を信じていたはずだが...。夢は一瞬。最後に待っていたのは、今季ワースト5連敗(1分け挟む)、2年ぶりの単独最下位という残酷な現実だ。金本監督は肩を落とし、うつむいて声を絞り出した。  「うーん、今年多いよな、ちょっとな。投内連係ができてない。それがまさか決勝点とは...」  6-6の九回、帰ってきた守護神・ドリスが無死二塁で、代打・堂林の投前犠打を一塁悪送球。決勝点を献上した。自身今季2個目、投手陣はや9個目の失策とは...もはや見慣れた!? 鈴木の満弾で、ジ・エンドだ。  流れは完全に阪神だった。六回に1-6とされたが、六回二死満塁で代打・原口が反撃の2点打。七回の攻撃前には片岡ヘッド兼打撃コーチが円陣でゲキを飛ばし、陽川の適時打、代打・中谷の2点打で同点。代打策がはまり、4点以上を奪うのは7試合ぶり。5点ビハインドを追いつくのも今季初だった。  ただ、あと1本が遠いのは結局、今季の虎のままだった。七回、なお一死一、二塁で鳥谷は二ゴロ併殺。八回は原口の代走に3人目の捕手・梅野を送る執念も、一死満塁から福留は三邪飛、糸井は投ゴロに倒れた。  「まあ...結果的にそうなったかも分からん」  八回の逸機が分岐点となり、指揮官もため息だ。七回から藤川、桑原と投入するなど打てる手は打ち、勝利への流れをつかみながら、これでは...。どうしたら勝てるのか。なるべくしてなった、単独最下位だ。 誤算だらけの今季。新助っ人ロサリオは不振で2軍落ち。三塁を計算した大山もファームと若手の成長も乏しい。チーム打率・237、216得点、34本塁打など軒並みセ・リーグワースト。だからこそ、こういう試合を勝ってこそ勢いがつくが...。指揮官は「それはもちろん、ハイ」とうなずくしかなかった。  広島にこの3連戦、一度もリードを奪えず3連敗。ゲーム差も今季最大7・5に広がった。金本阪神になって3年、毎年交流戦明けのカードでぶつかり、8戦全敗だ。借金も今季最大6。3度の同一カード3連敗はすべて甲子園では、聖地が泣いている。ここから這い上がれるか-。この重い1敗を振り払う反発力が今こそ、試される。 (長友孝輔)

◆阪神は懸命の反撃で5点ビハインドを追いつきながら、九回に1軍昇格即、登板した守護神ラファエル・ドリス投手(30)が大乱調で大敗。サンケイスポーツ専属評論家・上田二朗氏(70)は「打者との感覚が全くつかめていない投球。どんな準備をしてきたのか。話にならない」とバッサリ。今月14日からの抹消期間中の調整に疑問を呈した。 打線がつないで、粘って5点差を追いついた。勝ち越せなかったとはいえ、さあ、これからという九回。ドリスの大乱調は目を覆った。細かな制球がなく、一塁悪送球、暴投...。まさに独り相撲。一目でゲーム勘が欠如していることが伝わってきた。いったい、どんな準備をしてきたのだろうか。大いに疑問だ。  最後の登板が9日(2失点)。14日に体調不良で登録を抹消され、最短の10日で再登録。この間、満足な練習をできない日もあったと聞く。なのに、試合に一度も登板しないどころか、シート打撃などの実戦形式での投球すらなく、一度のブルペン投球だけでこの日のマウンドに。当然、打者との感覚はなくなっている。おそらく、ドリスは頭の中が真っ白になって投げ続けていたはずだ。  リリーフ投手がいかに実戦感覚が大事か。あの絶対的守護神だった全盛時の藤川でも、チームの連敗で登板機会がなくなると、大敗の展開でもあえて登板していた。すべては実戦感覚を失わないため。それぐらい重要なのだ。私も投手コーチ経験があるから、よく分かる。今回のドリスのようなケース、実戦に登板しないままでは、とても怖くて送り出せない。 もし本人が「投げなくても大丈夫」と言っていたのなら、それは間違っているし、コーチも説得して投げさせなければいけない。しっかりした準備ができていたとは、とても思えない。話にならない。  大きな代償を伴ってしまったが、この投球でドリスが実戦感覚を取り戻し、次回から本来の投球を取り戻してくれることを願うばかりだ。  また、この日のドリスの一塁悪送球を含めて、投手の失策が多いのも気になる。これは練習が解決する。練習して、練習して、向上していってもらいたい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
372810.569
(↑0.006)
0
(-)
77320
(+11)
295
(+6)
71
(+1)
36
(+2)
0.258
(-)
4.21
(↓0.03)
2
(-)
巨人
323410.485
(↓0.007)
5.5
(↓1)
76301
(+2)
261
(+3)
63
(-)
33
(+1)
0.266
(↓0.001)
3.7
(↑0.01)
3
(↑1)
DeNA
303320.476
(↑0.008)
6
(-)
78250
(+6)
261
(+1)
77
(+1)
44
(+1)
0.249
(↑0.001)
3.65
(↑0.05)
4
(↑1)
ヤクルト
303410.469
(↑0.009)
6.5
(-)
78272
(+3)
305
(+2)
56
(-)
35
(-)
0.252
(-)
4.27
(↑0.04)
5
(↓2)
中日
313610.463
(↓0.007)
7
(↓1)
75271
(+1)
308
(+6)
45
(-)
35
(-)
0.261
(-)
4.31
(↓0.02)
6
(↓1)
阪神
293510.453
(↓0.007)
7.5
(↓1)
78216
(+6)
264
(+11)
34
(+1)
38
(-)
0.237
(↑0.001)
3.6
(↓0.09)