阪神(3対3)オリックス =オープン戦2回戦(2025.03.22)・京セラドーム大阪=
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ORIX
10110000031202
阪神
2000000103700
勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【オリックス】紅林 弘太郎(1号・1回表ソロ),頓宮 裕真(1号・4回表ソロ)

  DAZN
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◆オリックスは、紅林と頓宮がオープン戦初本塁打を記録。打線の中心として期待される2人が、バットで存在感を示した。一方の阪神は、先発・富田が5回7安打3失点。シーズン開幕へ、課題を残す結果に終わった。

◆阪神の先発は広島との開幕カード2戦目(マツダスタジアム)での先発が濃厚の富田蓮投手(23)。今季の実戦7試合で16回無失点と結果を残し続けている。打線は島田海吏外野手(29)が「1番中堅」で先発出場。今季初めてDH制を使用せず投手が打席に立ち、より本番モードに突入する。

◆オリックス紅林弘太郎内野手(23)がオープン戦1号となるソロアーチを放った。「3番遊撃」で出場。初回2死から、阪神富田蓮投手(23)の初球、140キロ高めの直球を右翼ポール際へ運んだ。「感触はよかったんですが、(スタンドに)入るかどうかは分からなかったです。なんとか先制点を取ることができてよかったです」試合前時点でオープン戦13試合に出場し、打率3割7分1厘と絶好調だった。

◆自身初の開幕ローテーション入りの可能性が高まっている阪神富田蓮投手(23)が、今季初失点した。オープン戦初先発の富田は初回先頭中川に内野安打。続く西野を二塁併殺打でピンチを切り抜けたが、3番紅林への初球140キロ直球が甘く入り、右翼ポール際に先制アーチを許した。この日までの今季実戦7試合、16イニング無失点を継続していたが、17イニング目で初の失点を許した。

◆阪神大山悠輔内野手(30)が九里亜蓮投手(33)から逆転の適時二塁打を放ち、初回に1点を先制されるも、すぐさま逆転に成功した。初回、先発の富田蓮投手(23)が紅林弘太郎内野手(23)に右翼ポール際にソロ本塁打を浴び先制を許す。しかしその裏、2死二、三塁で5番大山が初球のスライダーをはじき返し、左翼線に強烈なゴロで二塁打とした。大山は「早めに追いつきたかった場面で結果が出たのは良かった。まだ序盤なので、次の打席も気を引き締めたい」と話した。大山は前日21日の同戦では4打数無安打。2試合ぶりの安打となった。

◆オリックス頓宮裕真捕手(28)が待望のオープン戦1号を放った。2-2の4回。1死から阪神富田蓮投手(23)の3球目、129キロ高めを左翼スタンドに運んだ。「1打席目も感覚は悪くなかったので、それを継続しようと思って打席に入りました。なんとか1本出てくれてよかったんですが、もっと打てるように引き続きがんばります! 」とコメントした。試合前時点でオープン戦打率0割7分4厘と苦しみ、前日21日の同戦は欠場していた。この日は初回に紅林弘太郎内野手(23)が右翼へ、オープン戦チーム2本目となる本塁打を放っていた。

◆初の開幕ローテ入りが濃厚な阪神富田蓮投手(23)は開幕前最後の登板を5回3失点にまとめた。初回と4回にソロ弾を許すなど1点ビハインドの状況で降板した。昨年までは主に中継ぎで、今季はプロ入り後初めて先発に本格挑戦。今春の実戦計16回無失点の猛アピールでローテ入りを引き寄せたが、課題は「打」にあった。2回1死一塁で、3球連続してバントを空振りした。2年間で1打席しか立っておらず、経験不足は明らか。ちなみに、23年にあった唯一の打席では投前に犠打を成功している。

◆阪神育成ドラフト1位の工藤泰成投手(23=四国IL徳島)が、8回に4番手で登板し、ピンチを背負いつつも今春実戦デビューから9試合連続無失点で降板した。7日には新人では異例の開幕前支配下昇格を果たした最速159キロ右腕。今春9試合目となる実戦マウンドに上がった。1死からディアスに左前打を浴び、迎えた頓宮の打席。ボールとなった初球の外角低めきわどいコースの直球はクイックモーションながら158キロを計測。実戦デビューとなった春季キャンプ中の広島との練習試合以来の入団後最速タイとなった。頓宮に四球を与え、1死一、二塁とするも、山中を152キロ直球で二ゴロ、7番杉本をフォークで空振り三振。無失点で切り抜けた。

◆阪神大山悠輔内野手(30)がこの日2本目の適時打を放ち同点に追いついた。2-3と1点ビハインドの8回。2死一、二塁でオリックス5番手の東松快征投手(19)が投じた初球の151キロ直球を中前へはじき返した。大山は初回にも左翼線に2点適時二塁打を放っており、この日3打点の活躍となった。

◆オリックスは2試合続けて阪神に引き分け、オープン戦単独最下位が確定した。単独最下位は07年以来、18年ぶりとなった。打線は3月のオープン戦初の2桁安打と復調の兆し。初回、紅林弘太郎内野手(23)が阪神富田蓮投手(23)からオープン戦1号となるソロアーチを放ち、先制。2-2の3回には5番頓宮裕真捕手(28)もオープン戦1号を左翼スタンドへ。中川圭太内野手(28)は4安打をマークした。先発の九里亜蓮投手(33)は開幕前最後の実戦登板を3回2/3、62球を投じて、4安打2失点、3奪三振。開幕2戦目の29日楽天戦(京セラドーム大阪)へ順調な調整を続けた。だが1点リードの8回。高卒2年目の東松快征投手(19)が2死一、二塁から阪神大山悠輔内野手(30)に中前に同点打を許した。最終回は山崎颯一郎投手(26)が阪神打線を3者凡退に抑え、引き分け。明日23日がオープン戦最終戦となる。

◆引き分けに終わり、阪神のオープン戦勝ち越しが最終戦まで持ち越した。阪神は自身初の開幕ローテーション入りの可能性が高まっている富田蓮投手(23)が今季オープン戦初先発。この日まで実戦7試合16イニング無失点だったが、初回2死走者なしから、3番紅林への初球140キロ直球が甘く入り、右翼ポール際に先制アーチを被弾。連続無失点がストップした。2回は3者凡退で切り抜けたが、3回には西野の犠飛、6回には頓宮にソロ本塁打を被弾。5回62球7安打3失点で降板した。8回に4番手登板した工藤泰成投手(23)が1回1安打無失点リリーフ。9試合連続無失点を継続させた。オリックス先発は昨季まで広島に在籍した九里亜蓮投手(33)が先発。1点を追う1回2死二、三塁で大山悠輔内野手(30)が逆転の適時二塁打を放ち、すぐさま逆転した。1点を追う8回2死一、二塁で大山が同点適時中前打。5番に控えるベテランが勝負強さを発揮し続けた。

◆オリックスの3番紅林弘太郎内野手(23)のバットが止まらない。初回に阪神の先発左腕、富田の140キロをとらえて反対方向の右越えにオープン戦1号。連続試合安打を7に伸ばし、同打率を打率3割6分8厘とした。「感触はよかった。なんとか先制点を取ることができてよかった」。好調をキープして開幕を迎えられそうだ。

◆オリックス九里亜蓮投手(33)が開幕2戦目へ順調な仕上がりを見せた。阪神打線を相手に3回2/3を4安打2失点、3奪三振。開幕前最終登板で、新球"宮城スライダー"を試した。宮城から握りを教わったという新球。従来のものより速く、シーズンでも「使っていきながらしっかり精度を上げていければ」と手応え。開幕2戦目の楽天戦(京セラドーム大阪)へ準備は万全だ。

◆阪神富田蓮投手(23)は開幕前の最終登板で「うみ」をしっかり出した。開幕2戦目の29日広島戦(マツダスタジアム)の先発が確実。2本塁打されるなど7安打を浴びたが、5回を3失点にまとめた。「ちょっと力が入っちゃいました。オープン戦でよかったなと。いい課題がたくさん出ました」。昨年までは主に中継ぎ。3年目で初めて先発に本格挑戦し、この日が今季の1軍初先発だった。初回に紅林にソロを浴びキャンプ実戦からの連続無失点は16イニングで途絶えたが、試合はしっかりつくった。藤川監督も「のらりくらり」と左腕の特長を評価し「準備に余念がなさすぎて緊張感があったんじゃないか。かわいかったですね」と評価を変えなかった。打席では2回1死一塁で3球連続のバント空振り。慣れていない分、経験が必要だ。富田も「バッティングは頑張りたい。投球は自信があるので」と引き締めていた。▽阪神石黒(1回1安打0封で、オープン戦は全4試合無失点)「あんまりよくなかったんですけど、結果的にゼロで抑えられてよかった」▽阪神島田(1番中堅で4打数2安打)「巡ってきたチャンスだったので、思い切ってやろうと。いい形でスイングができた。何かあった時にスッと入って、結果を残す準備は年間通してやっていかなきゃいけない」

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が巧打を見せた。3回2死で九里の145キロの直後の98キロのスローカーブを右前にもっていった。「うまく対応できたと思います」。初回は1死二塁から四球を選び、大山の2点打につなげる3番らしい働きも。三塁守備では6回1死一、三塁で杉本のゴロをさばくと、本塁に走った走者を落ち着いた送球でアウトにした。開幕まで残り1試合。「しっかりいい当たりを打って、チームとしていい感じでいければ」と冷静だった。

◆クリーンアップ任せろ!オリックス頓宮裕真捕手がオープン戦1号を決めた。2-2の4回。1死から阪神富田の3球目、129キロ高めのカットボールを左翼席へ運んだ。「良いスイングができたのでそれが一番良かった」とうなずいた。試合前時点でオープン戦打率7分4厘と苦しんだ中、12試合目で待望の一発。ベンチに戻ると、今季初めて「ほいさー」が飛び出した。打撃不振でも5番で起用した岸田監督は「ちょっとほっとしたんじゃないですか」とにっこりだ。チームは引き分けで、07年以来、18年ぶりのオープン戦単独最下位が確定。それでも打線は3月のオープン戦初の2桁安打と復調の兆しも見せた。今季野手キャプテンの頓宮は「いい感じにチームがきている。もっとみんなで、ということを出していけば。明日(23日)勝つことだけ意識してやります」。オープン戦最終戦、岸田オリックス本拠地初勝利で開幕へ。頓宮がバットでけん引する。

◆新5番が頼もしい! 阪神大山悠輔内野手(30)が全3打点を挙げる大活躍で、28日の敵地開幕広島戦へ全開をアピールした。オリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)で初回に一時逆転の2点タイムリーを放つと、8回にも同点適時打。打率を3割6分4厘に上げたばかりか、得点圏は7割1分4厘と驚異の勝負強さを発揮した。2本とも佐藤輝や森下が凡打したあとの快音。今季は3、4番が倒れても、大山先輩が塁上の走者をかっさらう。大山は二塁ベース上でクールにバッティング手袋を外した。ベンチは手を上げて背番号3をたたえる。それでも冷静さを貫き、大喜びすることはなかった。「打点を挙げることが自分の仕事だと思っています」。初回に先発富田が紅林にソロを浴びて先制された。だがその裏、2死二、三塁。5番大山が逆転の適時二塁打を左翼線に運んだ。公式戦打率2割2分4厘と苦手にしていた九里のスライダーを完璧にとらえた姿は絶好調の証し。「ゼロで終わるのではなく、早めに追いつきたかった場面で結果が出たのはよかった」と胸を張った。1点ビハインドで迎えた8回2死一、二塁で5番手東松から同点の中前適時打。チームの全3打点を1人で稼いだ。強い責任感を結果につなげている。初回は1死二塁から3番佐藤輝が四球を選んだが、4番森下が投ゴロに倒れたところを救った。8回も無死一、二塁と攻めながら、佐藤輝三飛、森下中飛と連続で凡退。中軸で無得点ならムードが悪くなるところで、大山先輩が走者をかえした。「自分が打つことで2人の気持ちも変わってくる。ああいうところでのカバーは大事かなと思います」。昨季までは主に4番を任されたが、新たな今季の役割はその後を打つ5番。オープン戦打率は3割6分4厘と絶好調だが、得点圏では7打数5安打6打点、驚異の7割1分4厘にはね上がる。藤川監督も「ランナーの多い場面で回ってくるようになってきている。相手にプレッシャーを与えられる打線の流れさえ作っていければ」と新5番の勝負強さに絶大な信頼を置く。大山も表情を引き締めた。「場面場面でやるべきことは変わってくると思うので、コンパクトにいく時もあれば大胆にいくところもあるので、そこの状況をしっかり読みながら1年間やりたい」。3、4番の後輩コンビを支える5番の存在が頼もしさを増している。【山崎健太】

◆無失点で開幕だ! 阪神工藤泰成投手(23=四国IL徳島)が、開幕前最終登板が濃厚なマウンドで、またもスコアボードに0を刻んだ。8回に4番手で京セラドーム大阪で初登板し、最速は自己最速にあと1キロの158キロ。ピンチを作ったてもホームは踏ませない。2月沖縄・宜野座キャンプの実戦デビューから9試合連続無失点。それでも育成1位入団から開幕前に支配下昇格をつかみとった剛腕は表情を引き締めた。「いい打順で、流れを渡しちゃいけないところだったので、力んでしまった。やってきたテーマが『力まない』だったので、再確認して練習からもう1回しっかりやっていきたい」気負っても落ち着いていた。1死一塁で頓宮への初球は、クイックながら158キロを計測し、スタンドをどよめかせた。頓宮は歩かせたが山中を1球で二ゴロに料理。2死一、三塁となって21年本塁打王の杉本を迎えた。フルカウントから、外角低めのフォークで泳がせ、空振り三振に斬った。それでも顔色一つ変えず、マウンドを降りた。「いい経験ができているし、積み重ねでよくなってきている」と手応えを深めた。登板したプレシーズンゲームの15日カブス戦やオープン戦での経験は財産。「真っすぐで押せるのは収穫で、フォークも三振が取れるのがわかった」。この日もストライクゾーンに投じた6球すべてがファウルか凡打だった。残りのオープン戦は23日のみ。安藤投手チーフコーチは「よく頑張ってくれている。今のところ連投はないかな」と説明。シンデレラボーイがミスター0の称号も加えて、28日の開幕広島戦を迎える。【塚本光】

◆阪神石井大智投手(27)が2試合連続でイニング途中の火消し役をまっとうした。同点の9回2死一、二塁で登板。広岡に四球を与えて満塁としたが、ディアスを二飛に打ち取り、チームの負けの可能性をなくした。「非常にいい練習ができた。シーズンでもチームのピンチを救う仕事をしたい。昨年もいろいろ経験したので、その経験が生きてくれば」。オープン戦は登板3試合で防御率0・00の安定感。今年は勝ちパターンの中でもさまざまな起用がありそうだ。

◆阪神先発の富田蓮投手(23)が、5回7安打無四死球3失点で降板した。開幕2戦目での自身初となる開幕ローテーション入りの可能性が高まっている左腕。オープン戦初先発で初回2死から3番紅林への初球140キロ直球が甘く入り、右翼ポール際に先制ソロアーチを許した。今春の実戦登板ではここまで7試合、16イニング無失点を継続していたが、17イニング目で初の失点を許した。直後の裏の攻撃で味方打線が逆転に成功したが、3回1死一、三塁から西野に右犠飛を許し同点。4回には頓宮に左越えソロ本塁打を浴び、勝ち越され、リードを守りきることはできなかった。5回も2死三塁のピンチを背負ったが、初回に本塁打を浴びた紅林を遊ゴロに打ち取り、無失点で切り抜け、降板。被安打は7本で、2本の本塁打を浴びたが、四死球は与えない投球だった。富田は「少しかたさもあって変化球に頼ってしまい、自分の持ち味が出せなかったです」と振り返った。過去2年は中継ぎ登板が多く、公式戦では通算1打席。2回には犠打を試みて失敗した場面もあり「実際に打席に入ってみて、改めて慣れのようなものが必要だと感じました。リズムよく投げるためにも自分を助けるためにもバントもしっかり練習して準備します」と反省。「投球に関してもコンディションを確認しながらやり残したことのないように開幕に向けて取り組んでいきます」とコメントした。

◆阪神ドラフト1位左腕の伊原陵人投手(24=NTT西日本)が初めてリリーフ待機した。これまでのオープン戦2試合はいずれも先発。この日の出番はなかったがオープン戦ラストの23日もブルペンに入る見込みだ。「先発調整も継続しています。中継ぎもやったことがないわけではないので。臨機応変に対応できるのも自分の強み」。4月1日からのDeNA3連戦(京セラドーム大阪)での先発デビューの可能性も残す。両にらみの"ジョーカー"として勝利に貢献する。

◆阪神大山悠輔内野手(30)が全3打点を挙げるなど、オリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)に引き分けた。阪神藤川監督の一問一答は以下の通り。-富田は打席にも立ち、先発としてのリズムを感じた「すごく緊張しているようにしか見えなかったですけど。来週、少しは楽にいけるんじゃないかな。いいアイドリングになれば」-富田は守備もバタついていた。「先発ローテーションでまわる準備はちょっと違う。伊原はルーキーですけど、そういうところはないんですけれど、富田の場合は昨年リリーフ。出たとこ勝負が、準備に余念がなさすぎて、緊張感があったんじゃないかと、かわいかったですね」-指名打者を外したのは富田のため「それはありました」-明日も9人で「門別もそうですね。ファームはDHなので。9人のゲーム流れをというところはあったので。(21日の)宮城に対しては特別に選手たちに見せてあげたかった。せっかくの素晴らしい投手」-大山は5番での準備ができている。「走者の多い場面でまわってくるようにはなってきているので、できるだけこういう機会をつくるというのが自分たちができることかなと思います」-近本は不出場はコンディションに問題か「昨日フルで出てますから。明日も出るとは思います。島田も出したかったし」-伊原がブルペン待機「ブルペンのチームワークであったり、執り行われ方を、全くプロでの世界では知らないので。やっぱり経験させるっていうところで、試合の流れ、どういうリズムで出ていくんだろうっていうのを見せておきたくて」

◆阪神は富田蓮投手(23)が先発する。今春実戦7試合で計16イニング無失点の左腕は「シーズンを見据えながら、しっかり先発の仕事をできるように」とテーマを掲げる。打線は近本光司外野手(30)がスターティングメンバーから外れ、「1番・中堅」で島田海吏外野手(29)が先発出場。近本は試合前の打撃練習などは普段通りに行ったが、ベンチから試合開始を見つめることとなった。また、今春初めてDH制を使用せず、投手が打席に立つことで代打攻勢や継投策にも注目が集まる。相手先発の九里は昨季3戦3勝、11回2/3で10得点と得意とした。開幕まで残り2試合。限られた試合を勝利で飾れるか。

◆阪神・富田蓮投手(23)の実戦連続無失点は16イニングで止まった。一回、2死から同学年の紅林に初球の高め140キロ直球を逆方向にはじき返され、右翼レストラン席に設置されたネットに突き刺さった。開幕ローテ入りが濃厚な3年目左腕は試合前まで、今春実戦で7試合に登板し計16イニング無失点と好投を続けていた。

◆阪神は一回、大山悠輔内野手(30)の2点二塁打で逆転に成功した。1点を先制されて迎えた攻撃で、先頭の島田が右前打で出塁。この後佐藤輝の四球などで2死二、三塁となり、5番の大山が初球をとらえた。変化球を仕留めてライナーで三塁線を破り、2者が生還した。「打ったのはスライダー。早めに追いつきたかった場面で結果が出たのは良かったです。まだ序盤なので、次の打席も気を引き締めていきたいと思います」大山の8日のDeNA戦(甲子園)以来6戦ぶりとなる打点で、試合をひっくり返した。

◆オリックス・頓宮裕真捕手(28)がオープン戦初本塁打をマークした。「1打席目も感覚は悪くなかったので、それを継続しようと思って打席に入りました。なんとか1本出てくれてよかった。もっと打てるように引き続きがんばります!」同点で迎えた四回1死で打席に立ち、阪神先発の富田の3球目、高めのカットボールを一閃。左翼への勝ち越しソロで、岡山理大付高と亜大の先輩にあたる先発の九里を援護した。ベンチに戻ると、今季初めて〝ホイサー〟のパフォーマンスを披露した。昨季は開幕を4番で迎えるも、最終的には81試合で打率・197と不振に苦しんだ。今年からは野手主将を務める男はオープン戦でも試合前時点で打率・074(27打数2安打)と低調だったが、待望の一発がようやく飛び出した。

◆先発した阪神・富田蓮投手(23)は5回7安打3失点でマウンドを降りた。一回2死から、同学年の紅林に高め直球を逆方向にはじき返されてソロアーチで先制点を献上。今春実戦17イニング目で初めて失点した。2-1の三回に2本の安打と犠飛で同点に追いつかれ、四回には頓宮に勝ち越しの本塁打。それでも五回の1死二塁のピンチは無失点に切り抜け、開幕前最後のマウンドをうなずきながら後にした。19日の甲子園での室内練習後に「球数は意識すると思います」と発言した通り、打たせて捕る投球で5回を投げて62球。左腕は今春実戦8試合で防御率1・29と結果を残し、開幕を迎える。富田は「少し硬さもあって変化球に頼ってしまい自分の持ち味が出せなかったです。また実際に打席に入って投球をしてみて、改めて慣れのようなものが必要だと感じました。リズムよく投げるためにも自分を助けるためにもバントもしっかり練習して準備します。投球に関してもコンディションを確認しながらやり残したことのないように開幕に向けて取り組んでいきます」とコメントした。

◆阪神が佐藤輝明内野手(26)の好守でオリックスの追加点を防いだ。2-3の六回、2番手の岡留が登板するも、先頭のオリバレスに二塁打を浴びていきなりピンチを迎える。安打でつながれ、1死一、三塁となって打席には杉本。5球目を引っ張ったゴロは三塁線に弾み、三塁走者はスタートを切った。これを三塁・佐藤輝がさばき、そのままランニングスローで本塁へ送球。走者の走路が重なる難しいコースながら捕手の坂本もなんとかタッチし、判定はアウト。オリックス・岸田監督からリクエストはあったが判定は覆らなかった。続く大城の打球も佐藤輝がさばいて3アウト。背番号8の再三の好守で失点を防いだ。

◆2-3の八回に4番手で登板した育成D1位・工藤泰成投手(23)=四国IL徳島=が1回を1安打無失点に抑えた。工藤の名前がコールされると場内からは大きな歓声が湧いた。先頭の広岡を直球で二ゴロに仕留めるも、1死から代打ディアスにフォークボールを左前に運ばれて出塁を許す。ここで右腕はギアを上げ、続く頓宮への初球はプロ入り後最速タイとなる158キロを計測。ストレートの四球を与え、1死一、二塁とピンチを招いたが、山中を二ゴロ、杉本をフォークボールで空振り三振に仕留めて無失点で切り抜けた。これで今春実戦9試合で無失点。力強い直球とキレのある変化球を武器に高い奪三振率を誇っている。育成から支配下になったばかりの新戦力右腕が、開幕に向けて結果を残し続けている。

◆阪神・大山悠輔内野手(30)の一打で終盤に同点に追いついた。2-3で迎えた八回、先頭の島田が左前打で出塁すると、続く中野にも左前打が生まれてオリックスの5番手・東松から好機を演出。佐藤輝、森下が倒れるも、2死一、二塁から大山が初球の外角直球を中前にはじき返して、同点の走者が生還した。0-1の一回には逆転の2点二塁打を放っていた5番が、この日3打点の活躍。頼れる主砲がクリーンアップの最後に控える。

◆阪神は終盤に追いつき、2戦連続の引き分けに持ち込んだ。先発は開幕ローテが有力の富田だったが、一回にソロ本塁打を浴びて今季初失点を許す。それでも裏の攻撃で2死二、三塁で打席に入った大山が、三塁線を破る2点二塁打を放ち、すぐさま逆転に成功した。しかし富田は三、四回にもそれぞれ1失点。オリックス打線を相手に、5回7安打3失点でマウンドを降りた。1点を追う打線は八回、島田と中野の連打でチャンスを作るも佐藤輝、森下が凡退して2死一、二塁。大山が中前へ3打点目となる適時打で、終盤に同点に追いついた。九回は連投となった石井が2死満塁のピンチを二飛に仕留め、オリックスとの大阪ダービーは2戦連続で引き分けとなった。

◆オリックスは関西対決で2試合連続のドロー決着。2勝11敗3分けで1試合を残してオープン戦の単独最下位が確定した。海外フリーエージェント権を行使して広島から加入した先発の九里は四回途中2失点で降板。2番手・博志、平野、山田と救援陣が無失点リレーでつないだが、八回に登板した高卒2年目左腕の東松が大山に同点打を浴びた。打線は一回に好調の紅林が先制ソロ。四回には試合前のオープン戦打率が0割台だった頓宮が勝ち越しソロを放ったが、五回以降は無得点だった。

◆オリックスは関西対決で2試合連続のドロー。これで2勝11敗3分けとなり、オープン戦の単独最下位が確定した。試合後、岸田護監督(43)は引き分けの結果を受け止めつつ、12安打3得点と調子が上向きの打線を評価した。岸田監督の一問一答は以下の通り――今日は本塁打も出て開幕前にいい形になった「そうですね。やっぱ徐々に徐々にこう来てるのは感じてたんで、そういうのが今、ほんと出てきてると思いますけど」――頓宮も一発が「出ましたね。ちょっとほっとしたんじゃないですか」――紅林は好調そのままに「調子いいですね」――中川も1番で塁に出てくれると攻撃も「そうですね。今日、中川は良かったんでね。結果は」――外国人の2人も雰囲気が出てきた「だいぶ慣れてきて、色々対応できるようになってきてるんじゃないですかね」――先発の九里は「テンポよく抑えられたと思うんで問題ないと思いますけど」――開幕向けて順調「大丈夫だと思いますよ」――あの時点でのスイッチというのはどういう意図で「球数と昨日の宮城同様、ちょっと余裕を持って交代というところと、博志は途中で行かしたらっていうところと」――平野は1回をピシャリ「平野はよかったですね。やっぱり上がってきましたね。球速も出てきましたし、安心して見てられましたけど」――開幕に向けても順調「順調だと思います」――東松は失点したが経験に「経験はそうですし、真っすぐでね、どんどん押していたところは、クリーンナップに対してもね、いってましたけど、あれも変化球もうちょっと交えてやったら、また全然変わってくると思うんでね。いい球を投げたと思いますよ」――博志は前回も回の途中から。そういう起用を「そうです、そのために今日いってもらいましたけど」――山崎は今の調子は「もうやっぱりキャンプからね、言ってましたけど、ゲームごとにちょっとずつ上がってるっていうのがね、やっぱ今日出てましたね。よかったです」――九回の攻撃も粘りを見せた「(点が)欲しかったですね。おしかったですけどね」――明日の残り1試合でその辺を「今日はちょっと早めにね、紅林とか太田とか、西川とかね、この3人はフルはね、ちょっとしんどいと思ったんで、途中で変わりましたけど、明日はまた長く行く人は行きますし」――明日は本拠地最後の試合になる「最後ですね。またしっかりやっていきます」――勝ち負けはあまり意識していない「いや、それは当然、みんな勝つためにね、やってますけど、ちょっと交代とか、色々ね、その辺があるので。それでも、みんなしっかり繋がったと思いますしね。あと1点っていうところはね、なかなか取れなかったですけど。いい形だったとは思いますけどね。みんな、だいぶ、安打も出てますし。意識も高くなってね、みんなキャンプから高く持ってることが徐々に出てきてますから。よかったなと思いますけど」――オープン戦の順位は「オープン戦の順位? オープン戦の順位はね、そんな気にしなかったんですけど。気にもしますよね(笑)ね、やっぱり結果っていうのは気にはなるんですけど、それはそれでっていうことなんでね。やっていきますよ。一戦、一戦っていうところです」――野手主将の頓宮が打ったのは「出ました。よかったです。みんな頓宮に出たのもよかったですしね。ラオウもいい形出てますしね。西川もいい当たりが増えてますから。やっぱり信じた通り上がってきてくれてると僕は思ってますけど」――クリーンナップの3人は開幕を意識しての布陣か「今日ですか? いいえ。いろんな兼ね合いで組んでました」

◆阪神・藤川球児監督(44)が執念の采配を見せた。3-3で迎えた九回、5番手で登板した及川が1死二塁とピンチを招くと、ここまで4打数4安打と当たっていた中川に対して就任後初めて申告敬遠を指示。続く西野を見逃し三振とした。続く九回2死二塁で右打者の広岡を打席に迎える場面で左の及川から右の石井にスイッチ。前日も2死三塁の場面で登板し、無失点に切り抜けた右腕は広岡に四球を与えたが、続くディアスを二飛に仕留めて無失点。シーズン本番を見据えた申告敬遠と継投策で最終回を無失点で切り抜けた。

◆今年からオリックスの野手主将を務める頓宮が待望の今季1号を放った。「いいスイングができた」。四回1死で先発・富田の高めのカットボールを捉えて左越え勝ち越しソロ。試合前時点でオープン戦打率・074だった男がベンチ前で今季初めて〝ホイサー〟のパフォーマンスを披露した。打率・197だった昨季の挽回を期す頓宮の一発に岸田監督は「ちょっとほっとしたんじゃないですか」と笑顔だった。

◆阪神が3戦連続ドロー。一回に2点二塁打を放った大山悠輔内野手(30)が1点を追う八回に中前に適時打を運んで追いついた。先発の富田蓮投手(23)は5回7安打3失点。藤川球児監督(44)の主な一問一答は以下の通り(OP戦成績=3勝4敗4分、観衆=3万1890人)。ーー富田は打席にも立ち、先発としてのリズムを感じた「(バントは)緊張感たっぷりで(二回1死一塁でスリーバント失敗)。緊張しているようにしか見えなかったですけど、来週、少しは楽にいけるんじゃないかな」ーー1週間で調整してほしい「先週から緊張をしていたので、いい練習の1週間になったんじゃないかな。ここまでの1週間とまた少し...いいアイドリングになればな、と」ーー良さはどう感じているか「そんなこと言えますか。どうでしょうかね、のらりくらりと行きながら、という感じですね」ーー富田はフィールディングもバタついていた「プロの先発ローテーションで回る準備は違うんですね。丁寧な、きれいなマウンドに上がることで、少し呼吸があがっている感じがした。初めの人は特にですけど、伊原はそういうところはないですけど。富田の場合は昨年、リリーフをやっていますから、出たとこ勝負だったのが、今度は準備に余念がなさすぎて、緊張感があったのではないか、と。かわいかったですね」ーー工藤も無失点が続いている「無失点が続いていることは関係ないですね。その日その日ですから。ピンチの場面でいい投球ができたとか、そういうところですから、何かが続いていることはあまり関係ないです」ーー石井、工藤の連投テストは考えているか「テストではないですけどね。今日はたまたま石井が準備をしていたので、それでいくことになっただけで。テストは...、テスト生って誰かいましたか?」ーー伊原がリリーフ待機だった「今日は初めてブルペン待機の形になります。ブルペンのチームワークであったり、執り行われ方を、プロの世界では全く知らないので。(D3位の)木下も呼んでいますけど、経験をさせるところで、試合の流れ、どういうリズムで出ていくかを見せておきたくて」ーーこのままリリーフ陣の一人として開幕を迎えるのか「想像にお任せします。みんなコンディションがありますから。その日その日で変わってくる。1週間も2週間もあれば、まだまだ見られないことが、見えない敵とみんな戦っているので。ここから1週間、明日もゲームがありますけど、開幕まで風邪を引かないとか、寝違えないとか、必要なことが出てきていますから、こちらも気を配ってはいます」ーー大山は新しい打順で準備ができている「打順の流れでやっています。線で行っていますから。誰が、というところはないですけど、ランナーの多い場面で回るように、なってきているので、できるだけ機会を作ることが、自分たちができることかな、と思います。相手にプレッシャーを与えられる打線の流れさえ作っていければ。結果はまた始まってからでいいのではないですか」ーー近本は出場しなかったが、コンディションに問題とか「昨日(21日)フルで出ていますから、今日はゆっくり。明日も出るとは思いますけど」ーーDH制を使わなかったが、富田のためか「富田が打席(の経験)がなかったので、それはありました。昨日は(オリックスの先発が)宮城だったので。あんな左のスターターはセ・リーグにいないので。富田は犠打の時に(バットを顔の近くの)すごいところに構えていましたね。凡事徹底をもう一回改めて。緊張して、少し表情が硬かったので。かわいいなと思っていました」

◆海外フリーエージェント(FA)権を行使して広島から加入したオリックス・九里は四回途中2失点も、開幕前最後の登板で宮城から教わった高速スライダーを試して手応えを得た。「もう少し改良が必要だけど、投げ切れた球もあったので良かった」。18日の練習で握り方を教わり、早速実践。球速が上がり、130キロ台で変化する〝新球〟に「バリエーションも増えていくと思う」とうなずいた。通算71勝右腕は29日の楽天戦(京セラ)での先発が濃厚だ。

◆阪神・佐藤輝明内野手(26)は、2-3で迎えた六回1死一、三塁でオリックス・杉本の打球を捕球すると、すぐさま本塁へ送球。三走を本塁で刺した。岸田監督がリクエストする微妙なタイミングだったが判定は変わらず。「ちょっと浮いたんですけど、誠志郎さんがよくカバーしてくれたと思います」とこの回無失点で切り抜けた。バットでは三回に九里のカーブを右前に引っ張り3打数1安打。23日のオープン戦最終戦へ「しっかりいい当たりを打って、いい感じでチームとしていければ」と気を引き締めた。

◆阪神・近本光司外野手(30)が22日、オリックスとのオープン戦(京セラ)を欠場した。この日はベンチ入りこそしたものの島田が「1番・中堅」でフル出場した。試合後、藤川監督は「昨日(21日の同戦)にフルで出ていますから、今日はもうゆっくりと(させた)」と説明。疲労がたまりやすい人工芝の球場であること、ナイター明けのデーゲームだったことなども考慮し、シーズン開幕を見据えてコンディション面に配慮したと明かした。オープン戦最終戦となる23日の同戦については「出るとは思いますけど」と話した。

◆本番モードの中でブルペンの動きを体験し、収穫を得た。阪神のドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は登板こそなかったが、オリックス戦のゲームメンバーに加わって「学び」の一日となった。「やっぱり流動的。試合の流れが急に変わったら臨機応変さが必要だと感じました。先発だったらマウンドに上がることが決まっていて、自分の調整がしっかりできるけど、中継ぎだとそういうわけにはいかない」ベンチからの電話が鳴り、スタンバイの指示が飛ぶ。実際のマウンドに誰が向かうのかは、試合展開により状況がめまぐるしく変わる。試合前練習からリリーフ陣とともに調整し、伊原がプロ入り後初のブルペン待機を経験した。藤川監督は狙いを「試合の流れ、どういうリズムで(ゲームに)出ていくんだろうということを見せておきたかった」と明かした。伊原はここまで今春実戦で4試合に登板し11回?を投げ3失点、防御率2・31。先発した18日のヤクルト戦(神宮)ではプロ入り後最長の4回?を投げていた。だが、開幕ローテを争ってきた新外国人のデュプランティエ(前ドジャース3A)が20日のウエスタン・ソフトバンク戦(SGL)で4回5安打無失点と好投。藤川監督も「最後の段階でグンと状態を上げることができた」と高く評価。先発投手7人にめどを立てていた。現状では5、6番手が流動的だが、伊原の配置について指揮官は「想像にお任せします」とけむに巻いた。だが、一方で「みんな見えない敵と戦っている。開幕まで、自分の体と相談をしながら風邪を引かないとか、寝るだけでも寝違えないとか、いろんな必要なことが出てきますから」とアクシデントに備える必要があることも強調。伊原がリリーフに回ることができる、何が起きても対応できるというのは、間違いなく今の虎にとっての強みだ。即戦力左腕らしく、伊原も「臨機応変に対応できるのが自分の強みだと思っています」と言い切った。大商大時代には中継ぎとして全国の舞台で腕を振った。虎でも、与えられた役目を堂々とこなす。(萩原翔)

◆育成ドラフト1位で入団し支配下登録された阪神・工藤泰成投手(23)=四国IL徳島=は、2―3の八回に4番手として登板し1回を1安打無失点だった。安打と四球で走者を背負ったが、2死一、三塁で「ラオウ」こと杉本を三振に仕留めピンチを脱した。「いい打順だったということと、1点差で流れを渡してはいけないところで力んでしまった」と反省。それでも直球はプロ入り最速タイの158キロを記録。精度を高めているフォークで三振を奪うなど手応えも十分で、開幕1軍へまた一歩前進した。

◆今季初の連投となった阪神・石井大智投手(27)は、同点の九回2死一、二塁で登板。広岡に四球を与えたが続くディアスを二飛に仕留め、21日の同戦での五回2死三塁に続き2日連続で火消しの役割を果たした。「非常にいい練習ができた。シーズンでもしっかりチームのピンチを救う仕事をしたい。昨年もいろいろと経験したので、その経験が生きてくればいい」これで今春は実戦7戦無失点。日の丸も経験した虎のリリーフエースが、万全の状態で5年目の開幕に挑む。

◆「1番・中堅」で先発出場した阪神・島田海吏外野手(29)が結果を残した。「いい形でスイングができた。そこは良かった」一回先頭では右前打で大山の一時逆転打を呼ぶと、八回も先頭で左前へはじき返し、大山の一打で同点のホームを踏んだ。近本が休養のため欠場した中で2安打2得点と1番らしい働きを見せ「準備をものすごく大事にして試合に臨めた。シーズンにも生きてくると思った」と実りあるフル出場だった。

◆阪神・中野拓夢内野手(28)が華麗な二塁守備で魅せた。二回は西川の二遊間への鋭いゴロを逆シングルでキャッチし、ジャンピングスローでアウトを奪うと、九回2死満塁ではディアス(前アスレチックス傘下)の詰まったフライを背走キャッチし、勝ち越しを許さなかった。飛球処理には「普通です」とサラリ。1安打も放ち、ドジャース戦も含めて4試合連続安打。オープン戦最終戦も「勝って、いい状態で開幕に入っていけるように」と気持ちよく締めくくる。

◆あとは俺に任せるん打!! 阪神は22日、オリックスとのオープン戦(京セラ)に3-3で引き分けた。3戦連続ドローで、1戦を残して3年連続となるオープン戦勝率5割以下も決まったが、「5番・一塁」で先発出場した大山悠輔内野手(30)は早くも本番モードの勝負強さを発揮。3番・佐藤輝、4番・森下の凡退をカバーする2適時打でチームの全3打点を挙げ、その頼もしさが際立った。5番に座る意味をひと振りで示した。〝弟たち〟がチャンスであっけなく凡退、凡退...。クリーンアップの最後に待ち構える大山が、2人をカバーする一打で魅せた。「そこが仕事だと思いますし、あそこでゼロで終わるのではなく打点を挙げることで、チームももちろんそうですし、その前の2人の気持ちも変わってくると思う。ああいうところでのカバーは大事かなと思います」2-3の八回。先頭の島田と中野の連打で無死一、二塁とし、打順は今季の虎の象徴ともいえる新クリーンアップに回ってきた。まずは3番・佐藤輝。初球真っすぐを思い切り振ったが、力なく三塁への飛球。そして次に打席に入るのは4番・森下。虎党の期待が高まるが、フルカウントから中飛に打ち取られ、2死まで追い込まれた-。しかし、ここで満を持して打席に入るのが背番号「3」だ。初球、真っすぐをセンターへはじき返し、この日一番の歓声が鳴り響いた。前を打つ弟分の佐藤輝、森下の凡退を見事にカバーし、引き分けに持ち込んだ。

◆2-3の七回に3番手で登板した阪神・石黒佑弥投手(23)は1回を1安打無失点に抑えた。「(感覚は)あんまり良くなかったけど、結果ゼロで抑えれて良かった」先頭の福永を全球直球で捕邪飛に抑えると、1死一塁から西野を遊ゴロ併殺に仕留めた。3月に入り5試合無失点投球と存在感を見せる右腕。初の開幕1軍も見えてきたが「争いをしている。まずはゼロで抑えて、自分の持っているものをアピールできたら」と冷静に結果を求めた。

◆阪神は22日、オリックスとのオープン戦(京セラ)に3-3で引き分けた。シーズン本番をにらんでDH制を使わずに臨み、「9番・投手」で先発した富田蓮投手(23)は2被弾などで5回7安打3失点。打でもバント失敗があったが、試合後には藤川球児監督(44)が開幕2戦目での先発起用を初めて明言した。緊張感も課題もここですべて出し切り、3月29日の広島戦(マツダ)へ挑む。真っさらなマウンドの上にも、バッターボックスの中にも、感じたことがない空気があった。1週間後に開幕が迫った今、富田の視界に映る先発の景色は初めてづくしだった。「初回から1点先制させてしまったところにも力が入ってしまったし、変化球も全体的に浮いていた。『オープン戦で良かった』というところがたくさんあったので、いい課題が出た」一回から紅林にソロ本塁打を浴び、今春の実戦登板17イニング目で初めての失点を喫すると、味方が逆転した後にも三回に犠飛で同点を許し、四回には頓宮に勝ち越しソロを献上。5回7安打3失点で降板した。「打席に入るとなるだけで、そっちの緊張の方が多くていろいろ不安があった」と、二回の攻撃についても猛省だ。1死一塁で先発した2023年9月27日の中日戦(甲子園)以来〝プロ2打席目〟へ向かった。そのときには犠打を成功させていたが、ブランクは長かった。3球連続でバントを空振りして三振となり攻撃の流れを止めた。そこから2イニング連続失点。打席が与える影響も痛感した。

◆記者席のトラ番キャップ・須藤佳裕がオープン戦3試合連続引き分けのデータを一生懸命に調べていた。勝敗度外視、準備段階のはずのオープン戦だが、ついつい勝ち負けにこだわってしまう。プロ野球担当記者の悲しい性。阪神にとっては「また引き分けか」だが、オリックスにはズシリと重いドローだ。「これでオープン戦の単独最下位が決まってしまいました。試合前までは『まだ同率最下位の可能性がある』と自分を励ましていましたが、一筋の希望もついえました」猛牛番・織原祥平がうなだれていた。主軸に故障者が続くなど、何かと暗い話題が多いオリックス。栄光のパ・リーグ3連覇が遠い昔に感じてしまう。ほんの2年前の話なのに。「先輩が担当したときのオリックスはもっと大変だったんですよね」全くうれしくない突っ込みを受けた。2016年のオリックスは、シーズン最下位、交流戦最下位、ウエスタン・リーグ最下位、オープン戦最下位の、プロ野球史上唯一の「最下位グランドスラム」を達成したチームとして、その名を後世に残している。8月下旬には大阪の社会人、大学チームなどを集めて、オリックス2軍が参加してトーナメントを行ったが、そこでも負けた。上から下まで、壮絶に弱かった。「ということは、今はまだ1つ目の条件(オープン戦最下位)をクリアしただけですよね。そう思ったら、気持ちも前向きになれます」優越感をにじませた織原の笑顔に引っ掛かるものを感じたが、さすがに「負の4冠」はないと思う。知らんけど。「こっちは勝ったり負けたり。ボチボチの成績です。いい感じじゃないですか」ちょっぴり安堵(あんど)の表情だったのはトラ番・中屋友那だった。

◆近鉄などで通算465本塁打を放ち、西武コーチ時代には清原和博らを育てた土井正博氏(81)=サンケイスポーツ専属評論家=が、5回7安打3失点にまとめ開幕2戦目となる3月29日の広島戦(マツダ)に登板する富田蓮投手(23)について言及。大胆に打者に向かっていく投球を、と注文を付けた。1試合だけの内容で判断するつもりはないが、富田は不安要素がのぞいたオープン戦最終登板だった。打者目線、相手の打撃コーチ目線からの意見だが、対戦したオリックスの打者は、富田の投球を全く嫌がっていなかった。もともときれいな投球フォームで、制球よくボールの切れで勝負するタイプ。だからその切れが少しでもなくなると打者は怖さを感じなくなる。内側に鋭く入ってくる球が来ないと思ったら、思い切り踏み込める。一回の紅林の右方向への本塁打はその象徴。中川がすべて引っ張れたのも、入ってくる球が甘いから。少々荒れ気味のタイプなら、打者もここまで思い切れないが、制球がいい分、向かっていける。富田のような、初めて先発ローテに入ろうかという投手に対して打者は相当警戒するもの。ところが、この日のような投球だと打者はくみしやすし、と上から目線で臨んでくる。この第一印象を覆すのは時間がかかる。最初の対決で「オヤッ」と思わせるのが若手投手ブレークの鉄則。開幕まで時間はないが、大胆に打者に向かっていく投球を取り戻してもらいたい。(サンケイスポーツ専属評論家)

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
日本ハム
933 0.750
(-)
-
(-)
53
(+3)
39
(+3)
14
(+1)
11
(+1)
0.242
(↓0.004)
2.390
(↑0.02)
2
(1↑)
ヤクルト
842 0.667
(-)
1
(-)
47
(+3)
40
(+3)
7
(+1)
10
(-)
0.226
(↓0.006)
2.310
(↑0.02)
3
(1↓)
西武
742 0.636
(↓0.064)
1.5
(↓0.5)
49
(+2)
27
(+5)
4
(+1)
8
(-)
0.263
(↓0.013)
1.960
(↓0.26)
4
(-)
ソフトバンク
863 0.571
(↓0.044)
2
(↓0.5)
61
(+1)
50
(+2)
9
(+1)
23
(-)
0.246
(↓0.008)
2.550
(↑0.03)
5
(-)
巨人
762 0.538
(-)
2.5
(-)
55
(+4)
54
(+4)
9
(+1)
4
(-)
0.244
(↑0.002)
3.200
(↓0.05)
6
(-)
DeNA
872 0.533
(↑0.033)
2.5
(↑0.5)
47
(+5)
47
(+2)
3
(-)
10
(-)
0.211
(↑0.005)
2.480
(↑0.03)
7
(1↓)
ロッテ
772 0.500
(-)
3
(-)
54
(+4)
49
(+4)
10
(+2)
7
(-)
0.224
(↑0.001)
2.570
(↓0.1)
8
(-)
中日
674 0.462
(-)
3.5
(-)
48
(+1)
56
(+1)
7
(-)
13
(+2)
0.213
(↓0.005)
3.160
(↑0.14)
9
(-)
阪神
344 0.429
(-)
3.5
(-)
44
(+3)
45
(+3)
6
(-)
6
(-)
0.278
(↓0.006)
3.670
(↑0.07)
10
(-)
広島
692 0.400
(↑0.043)
4.5
(↑0.5)
33
(+2)
51
(+1)
9
(+1)
4
(-)
0.215
(↓0.001)
3.000
(↑0.13)
11
(-)
楽天
483 0.333
(-)
5
(-)
47
(+1)
47
(+1)
3
(-)
18
(+3)
0.215
(↓0.002)
2.930
(↑0.15)
12
(-)
ORIX
2103 0.167
(-)
7
(-)
35
(+3)
68
(+3)
3
(+2)
5
(-)
0.226
(↑0.009
4.230
(↑0.1)