1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 7 | 14 | 1 | 2 |
楽天 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 7 | 12 | 0 | 1 |
勝利投手:- 敗戦投手:- 本塁打 |
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◆楽天は村林が同点3ランを含む2安打、宗山が適時三塁打を含む2安打を放つなど、計12安打で7得点を奪う。一方、前川と佐藤輝に一発が飛び出した阪神も同じく7得点を記録。両軍ともに打線が活発だった。
◆楽天のオープン戦初戦のスタメンが発表された。ドラフト1位の宗山塁内野手(21=明大)は「2番遊撃」で先発。遊撃が本職の村林一輝内野手(27)は「6番三塁」で出場し、宗山と三遊間を組む。松井友飛投手(25)が先発し、則本昂大投手(34)は実戦初登板を迎える予定だ。
◆阪神のオープン戦チーム初安打は、中野拓夢内野手(28)がマークした。「2番二塁」で出場し、初回1死でカウント3-1から松井の5球目を左中間へ運ぶと、快足で一塁ベースを蹴り二塁打に。塁上では、右手でおなじみの敬礼ポーズを披露した。続く3番佐藤輝が四球を選ぶも、1死一、二塁で4番ヘルナンデスが二飛、2死一、二塁のフルカウントで5番大山が見逃し三振に倒れ、初回の先制とはならなかった。中野は昨季は公式戦全143試合出場も、打率は2割3分2厘とプロ入り後ワーストで、本来の持ち味は発揮できなかったが、オープン戦初戦初打席で快音をひびかせた。
◆阪神大山悠輔内野手(30)がオープン戦チーム初タイムリーを放った。この日は藤川監督が今季構想としてイメージする「5番一塁」でスタメン出場。0-0の3回2死一、三塁、楽天2番手則本の直球をセンター前に運んだ。初の対外試合に向けて「試合ではその場面、場面でやる仕事がある」と話していた大山。貫禄の適時打で虎党を喜ばせた。
◆阪神前川右京外野手(21)がオープン戦チーム1号をマークした。「6番左翼」で先発。1点リードの3回2死一、二塁、楽天則本の5球目を力強く振り抜き、右翼席後方のネットに直撃する特大アーチを決めた。昨季は自己最多の公式戦116試合に出場して4本塁打。さらなるブレークに燃える高卒4年目がアピールを続けている。
◆阪神岩貞祐太投手(33)が一時同点となる3ランを浴びた。4回から3番手で登板。3点リードの4回1死一、二塁、右打者の楽天村林に2球目を右翼ポール際に運ばれた。プロ12年目のキャンプは2年連続の沖縄・具志川スタート。12日には具志川キャンプで打撃投手として登板し、打者6人に30球を投げ、安打性は8本だった。23年にセットアッパーとしてリーグ優勝、日本一に貢献した左腕。昨季は春先から左肘痛に苦しみ、1軍登板は自己最少の2試合だった。
◆阪神の佐藤輝明内野手(25)が、5回無死から勝ち越しソロを放った。4回に岩貞が3点リードを追いつかれた直後。楽天のルーキー右腕・江原雅裕投手(24)の低め変化球をすくい上げて、右中間席まで届けた。スタンドの阪神ファンからは歓声。佐藤輝は笑顔でナインとハイタッチをかわした。今キャンプは9日の紅白戦で2ランを放っており、実戦2本目の本塁打となった。
◆今季実戦初登板でオープン戦"開幕投手"となった阪神村上頌樹投手(26)が2回29球で1安打無失点と好投した。初回は直球主体で3者凡退。2回は変化球中心の組み立て。2死二塁では7番フランコに緩急を有効的に使い、最後は外角低めの直球で見逃し三振を奪った。才木とともに開幕投手候補に挙がっている右腕。調整は順調だ。
◆楽天ドラフト1位の宗山塁内野手(21=明大)が、実戦5試合目で初長打を放った。オープン戦の阪神戦に「2番遊撃」で先発。1点リードの6回2死二塁、カウント2-2から阪神岡留の141キロ内角低め直球を捉え、前進守備の右翼の頭を越える適時三塁打を放った。1回の第1打席は左飛、3回の第2打席は空振り三振に倒れたが、5回の第3打席に遊撃内野安打を放つと、6回の第4打席で適時三塁打。4打数2安打1打点と躍動し、6回までプレーしお役御免となった。
◆昨季パ・リーグセーブ王の楽天則本昂大投手(34)が、今季初実戦に臨んだ。3回から2番手で登板し、1回を5安打4失点。2死一、三塁から阪神大山に中前適時打を浴び、なおも2死一、二塁から前川に右越えへ3ランを運ばれた。則本は「まず投げられたことは良かったかなと思いますけど、細かな部分で言えば、もっともっと改善しないといけない部分もある。次の実戦に向けて、しっかりと準備をしていきたい」と振り返った。昨年10月に右足首を手術。キャンプは2軍スタートとなったが、15日に1軍に合流した。「全然そこ(右足首)は問題なくできてるんで、あとは出力を出して重点的にやれたらいいかなと思う」と話した。
◆阪神が今季初オープン戦に臨み引き分けとなったが、前川右京外野手(21)、佐藤輝明内野手(25)の2人にアーチが出るなど、2ケタ安打を放った。虎のオープン戦初戦の引き分けは14年広島戦以来、11年ぶりとなった。先制は阪神だった。3回2死一、三塁で、5番大山悠輔内野手(30)がオープン戦チーム初適時打。初の対外試合で、藤川監督が今季の構想とする5番で仕事を果たした。さらになおも2死一、二塁で、前川が則本の直球を捉えて右翼へ2ラン。右翼席後方のネットに直撃する特大アーチとなった。4回に3番手岩貞が3点リードを追いつかれるも、直後の5回無死、佐藤輝が楽天ルーキー右腕の低め変化球をすくい上げ、右中間へソロ本塁打。主砲クラスが小気味いい当たりを連発した。投げては先発の村上頌樹投手(26)が2回1安打無失点と好投。初の実戦登板となった新助っ人ニック・ネルソン投手(29)は1回無安打も内野ゴロの間に1失点。試合は5-7の7回に梅野の三ゴロの間、島田の右前適時打で追いつき引き分けとなった。
◆阪神藤川球児監督(44)は開幕投手をまだ明かさなかった。有力候補の村上頌樹投手(26)が先発して2回無失点。内容、結果ともに十分なマウンドで「準備の1本目はきれいに踏み出したんじゃないか」と評価した。ただ開幕投手について聞かれると「明日もまた違う投手が投げますから。健康でいるかどうか、明日、あさって、聞いてみないといけない。今日登板していますから。しっかり回復を見たいと思います」と落ち着いた様子で話した。もう1人の有力候補とみられる才木浩人投手(26)は23日の中日戦(北谷)に先発予定。コンディションなどを総合して決めていく方針のようだ。
◆阪神前川右京外野手(21)がオープン戦チーム1号をマークした。「6番左翼」で先発。1点リードの3回2死一、二塁、楽天則本の内角高めの直球を力強く振り抜き、右翼席後方のネットに直撃する特大アーチを決めた。「打った瞬間いったと思いました。(バットを)短く持ってとにかくコンタクトしようと体をぐるっと回れたのが良かったと思います」と自画自賛の一撃だった。昨季は自己最多の公式戦116試合に出場して4本塁打。さらなるブレークに燃える高卒4年目は今キャンプで岡田彰布オーナー付顧問(67)から直接指導を受けるなどレベルアップの日々を送る。「自分の軸はぶらさないように、いろんな方に教わったものをミックスして、良い方向にいけているんじゃないかなと思います」。開幕へ向けて、まだまだアピールを続けていく。
◆阪神が藤川球児監督(44)のオープン戦初戦に引き分けた。投打とも収穫と課題があったが「みんながしっかりと準備をしてゲームに入っている。相手に差し込まれることなく、攻撃中もしっかりと仕掛けていっていたので、そこは非常によかったと思います」と満足そうに話した。序盤は理想的な展開だった。開幕投手候補の村上頌樹投手(26)が先発して2回を無失点。打線は3回、上位がヒットエンドランなどで作ったチャンスに、5番の大山悠輔内野手(30)が中前にはじき返して1点先制。続く前川右京外野手(21)が右超えに3ランを放った。5回には3番佐藤輝明内野手(25)のソロも飛び出した。3番佐藤輝、5番大山と過去2年から並び替わった新打順で、さっそく得点を重ねた。「相手がどう感じるかというところですけど、彼らが役割を今から体にしみ込ませていって、連係を取っていくことの方が重要ですから。まだ何も始まってないのでね。準備の段階です」と冷静に話した。
◆阪神藤川球児監督(44)が門別啓人投手(20)を絶賛した。最終3イニングを2安打無失点に抑え、ドローに持ち込んだ。2点ビハインドの劣勢で登板したが、ストライクゾーンに力強い球を投げ込み、試合の流れを変えた。3年目でプロ初勝利を目指す左腕に、指揮官も期待を高める。「ゲーム展開を抜きにして、彼はやっぱり登板を重ねるごとに非常に良くなってきている。1球1球の精度も上がってきて、まだまだ見ていきたい選手。この前の試合から一気に伸びてきているなという感じなので、コンディションなどをしっかり考えながら、次のステップにどんどん進んでいってほしいなと思いますね」と目を細めた。
◆阪神村上頌樹投手(26)が貫禄の2回1安打無失点で初の開幕投手に1歩近づいた。25年初実戦となった楽天戦に先発。2回2死三塁、右打者フランコに、角度をつけて外角低めに矢のような快速球を突き刺した。「直球で詰まらせながら打ち取れたし、最後もコースにしっかり投げ切れた。直球の質を意識できたし、新しい変化球も試せたので良かったと思っています」と納得の表情を浮かべた。宜野座キャンプのブルペン投球を見る人、見る人が驚く直球の質は、やはり間違いなかった。オフから取り組む新スライダーも約1/3にあたる10球を投げた。抜け球が多く不満げだったが「使っていければ楽になる。精度はあと1カ月で上げていきたい」と見通しは悪くなさそうだ。充実一途の23年MVP右腕を、藤川監督は「準備の1本目はきれいに踏み出したんじゃないか」と評価した。開幕投手は昨季13勝の才木と事実上の一騎打ちとみられている。ただ、指揮官は「明日もまた違う投手(才木)が投げますから。健康かどうか、明日、あさって、聞いてみないといけない。今日登板していますから。回復を見たいと思います」と慎重な発言に終始した。最終的にはコンディションなどを総合して決めていく方針のもよう。開幕投手争いが最終盤を迎えているのは間違いない。村上は「開幕(投手)はやりたい場所でもある。そこを狙っていきながら調整していきたい」と意欲を隠さなかった。【柏原誠】
◆楽天村林一輝内野手(27)が、"25年チーム1号"をかっ飛ばした。オープン戦初戦の阪神戦に「6番三塁」で先発。4回に右越え3ラン、6回には右安打をマークして3打数2安打3打点と結果を残した。本職はドラフト1位の宗山塁内野手(21=明大)と同じ遊撃だが、沖縄・金武キャンプ期間の対外試合は二、三塁でも起用されるなど万能ぶりを発揮。10年目の今季から背番号「6」をまとう守備職人が、バットでもアピールした。村林が"開幕弾"となる25年チーム1号を逆方向へ突き刺した。3点を追う4回1死一、二塁、1ボールから阪神岩貞の直球を捉えた。打球は南国の風にも乗って、右翼ポール際へ。「感じとしては悪くなかったんですけど、あれに関しては風が吹いてくれたんで。結果こうなって良かったと思います」。6回には右安打を放ち、3打数2安打3打点と打線をけん引した。今キャンプの実戦では、先発出場した試合すべてで違うポジションを守っている。16日の日本ハム戦は遊撃、18日広島戦は二塁、そして、この日は三塁だった。「勝つために(ポジションが)動くのが当たり前だと思っているので、どこであれ自分が今、持っているものを、しっかり準備して、全力でプレーするだけ。(守るポジションによって打球の)見え方とかも少しは変わるとは思うんですけども、そこら辺はしっかり回していけるように取り組んでいきたいです」と、頼もしい。ドラフト1位の宗山らと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、チーム力アップに貢献する。今季から背番号「6」を背負う。憧れの存在で元楽天の藤田一也氏や自主トレで師事するソフトバンク今宮がまとっている遊撃手の代名詞だ。「やっぱり、ずっとつけたかった番号なので、すごく新鮮な気持ちで臨めています」。キャンプ期間はファンからサインを求められることが多く「もともとの66番で、たまに書いてしまうときもあります」と笑う。それでも「6番と言えば村林」と言われるような活躍を目指す。昨季は自己最多の139試合に出場したが、レギュラーを確約されているわけではない。「シーズンが始まったら、やっぱりもう勝つことだけだと思うので、自分ができることを精いっぱいして、試合をしたい。残りのオープン戦もたくさんありますけど、しっかり臨みたいなと思います」。プロ10年目も貪欲にアピールし、ポジションをつかみ取る。【山田愛斗】
◆阪神門別啓人投手が7イニング連続無失点で開幕ローテーション入りへ猛アピールした。楽天とのオープン戦で同点の7回から6番手で登板。持ち味の直球で打者を押し込むと、9回は1死から二塁打を許すも渡辺佳を二ゴロ、最後は入江を直球で三飛に打ち取った。「最後のバッターの真っすぐとか、自分の理想の球だなと思っている」と納得の1球。「変に変化球で行ってというのは去年までの自分だった。そこをしっかり押し切ってというのは、去年より成長できているところなんじゃないかな」と手応えをつかんだ。初実戦だった8日の紅白戦から3試合連続無失点。堂々とマウンドに立つ姿を見た藤川監督は「まだまだ見ていきたい選手。この前の試合から一気に伸びてきているなという感じ。素晴らしい成長の曲線を今、描いてくれている」と絶賛した。並みいる先輩たちとの開幕ローテ争いの中、高卒3年目の左腕が急上昇中だ。
◆阪神木浪聖也内野手(30)が「集中力」で猛打賞の活躍を見せた。2回1死の第1打席で直球を捉えて左翼線へ二塁打。3回2死で初球の直球を右前打とし、さらに6回先頭でも直球を左前にはじき返した。「1発目なのでとにかく集中していた。振りにいった1球を仕留められたので、それもよかった」。小幡との遊撃争いが続くが、打撃で存在感を見せ「準備をしっかりしていたので、それがいい成果になったと思う」とうなずいた。
◆阪神近本光司外野手(30)がオープン戦初戦を3打数1安打で好発進した。3回先頭の第2打席で楽天2番手則本の代わりばなの初球ストレートを右前へ。「(初戦安打は)気持ち的には楽になりますけど、たかが気持ちなんで。修正しながら、より実戦に近づけられるように頑張りたい」。今季も不動のリードオフマン。約1カ月後の開幕に向け、丁寧に準備を進めていく。
◆阪神の新助っ人ニック・ネルソン投手(29)は1失点も上々の実戦デビューとなった。3回に登板すると、先頭小深田が味方の失策で出塁。安打こそなかったが、盗塁と2つのゴロで生還を許した。それでも「ゴロを打たせて、空振りで三振も取れたので良かったよ」と内容に充実感。この日は魔球のナックルを投げなかったが、チェンジアップにも収穫。「特に左打者に対して投げた時に、逃げるような、よけるようなそぶりをして、その後落ちていくという反応も見られた」と振り返った。▽阪神畠(5回2死満塁のピンチをつくるも1回2安打無失点)「(制球が)前よりバラバラというのは減ってきたんじゃないかなと思う。もっと感覚を100%出せるように」
◆阪神前川右京外野手(21)が22日、オープン戦チーム1号を特大弾で飾った。チームの今季オープン戦初戦となった楽天戦(金武)に「6番左翼」で先発出場。1点リードの3回2死一、二塁、楽天2番手・則本から右翼席後方のネットに直撃する3ランを決め、開幕左翼レギュラー死守へさらに前進した。1ボール、2ストライク。ファウルで粘った後の5球目。通算117勝のベテラン右腕、則本のインハイ直球を見逃さなかった。大飛球が高々と上がる。左翼から右翼への"超追い風"にも後押しされ、両翼100メートルの右翼芝生席後方に張られた防球ネットを揺らした。「打った瞬間、いったと思いました。(バットを)短く持って、とにかくコンタクトしようと体をグルッと回せたのが良かった」。15日の練習試合・楽天戦(宜野座)でも3ランを放っており、早くも対外試合でキャンプ2発目。成長をアピールする一撃に充実感を漂わせた。この日は2安打3打点。新外国人ヘルナンデスらと争う開幕左翼争いの中で着々と立場を築いているが、ここでスキを見せない姿勢も頼もしい。2回先頭の第1打席では右腕松井の高め直球に詰まらせられて遊飛。「1打席目とかは全然ダメ。そういう打席をなくして、3打席目(特大中飛)みたいな打席をアウトでも増やしていけたら」と反省も忘れなかった。高卒3年目の昨季は自己最多の公式戦116試合に出場して4本塁打。今キャンプでは岡田彰布オーナー付顧問から直接指導も受け、誰の目から見ても進化が続く。「球の見え方もだいぶいい。多分構え方がいいと思うんで、継続して、さらに良くしていけるようにしたい。いろんな方に教わったものをミックスして、いい方向にいけているんじゃないかなと思います」虎の和製大砲が伸びている。【伊東大介】
◆阪神大山悠輔内野手(30)が初対外試合で早速5番の仕事を果たした。0-0の3回2死一、三塁で則本の外の直球をうまく捉え、先制の中前適時打。「やっぱり打点というところはしっかり取れてよかった」。藤川監督が新クリーンアップのカギと話す主砲。期待通りの姿を見せたが「1打席の反省というのはある。残りのキャンプも少ないので、しっかり確認できるところはしてやっていきたい」と引き締めることも忘れなかった。
◆これぞ理想の3番!阪神佐藤輝明内野手(25)が22日、楽天とのオープン戦初陣(沖縄・金武)に「3番三塁」で出場し、特大ソロを含む3打席全出塁で藤川球児監督(44)を納得させた。この日は豪快なアーチだけにとどまらず、誘い球を我慢しての四球、進塁打を意識したような快打と内容も上々。指揮官も進化の跡を認める大砲がシーズン開幕へ、徐々にエンジンをふかし始めた。決して大振りではなかった。佐藤輝はコンパクトなスイングにも関わらず、ライナー性の打球を右中間席後方の防球ネット下部まで届かせた。追い風にも乗ってグングン伸びる打球に、観衆2410人の「おぉ~」という感嘆のBGMが乗る。豪快な1発にさぞかしご満悦かと思いきや、試合後、大砲は意外な打席に充実感を漂わせていた。「今日は(全打席)良かった。1打席目が(一番)良かったんじゃないですかね」5回無死の第3打席、楽天ドラフト4位右腕・江原の低めにスライドする変化球をすくい上げた。金武を沸かせた特大弾よりも「良かった」と表現した第1打席の結果は四球だった。1回表1死二塁。佐藤輝は打ち気にはやらず落ち着いていた。2ボール2ストライク。右腕松井のワンバウンドするチェンジアップに2球連続でグッとこらえた。昨季まで手が出がちだった落ち球にも耐え、計9球粘った末に四球をもぎ取った。3回表の第2打席では1死一塁フルカウントから右前打で一、三塁に好機を拡大した。進塁打も念頭に置いたような一打も含め、派手さと落ち着きの両方を兼ね備えた3打席に、オープン戦初采配を振るった藤川監督も納得顔だ。指揮官は「3打席全てで内容があった。(昨季までとの)違いを感じた」と絶賛した上で「(初回)2ボールから縦の変化を空振りした。あの空振りは非常に大事だと思いますね。あそこで振っていかなければいけない」とも表現。1打席目の四球をもぎ取るまでの過程、振りにいく怖さについても評価した。今季は「3割30本100打点」を目標に掲げる。オフから取り組むクリケットバットを使った打撃練習で「面で捉える感覚」を養い、打撃技術は向上中だ。新監督が求める打順は3番。本人は「まだそんなに3番で立っているわけではないので、これからじゃないですか」と冷静だが、適性への期待値は高まるばかりだ。粘る。進める。飛ばす。3拍子そろった3番像へ、大砲が猛進している。【山崎健太】阪神佐藤輝のこれまでのオープン戦初戦 新人年の21年3月5日ソフトバンク戦では、同シーズンの開幕投手となった石川から第1打席で左翼にソロ本塁打。阪神の新人がオープン戦初打席で本塁打を放ったのは87年の八木以来だった。昨季は2月23日巨人戦で、赤星から右中間席の防球ネット上部に直撃する特大2ラン。プロ3年目の23年をのぞいて毎年安打を放っており、打率3割8分9厘の好成績を残している。
◆25年のプロ野球オープン戦が幕を開けた。楽天ドラフト1位の宗山塁内野手(21=明大)は、阪神戦に「2番遊撃」でスタメン出場。実戦5試合目で初長打となる適時三塁打を含む4打数2安打1打点と活躍した。第2打席まで凡退も、新人離れした修正力を発揮するなど、対外試合通算で12打数6安打3打点。すでに打線の核として機能しているスーパードラ1から目が離せない。宗山がオープン戦開幕戦の主人公と化した。アニメ「ドラゴンボールZ」のオープニング曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA」を登場曲に打席に立った。1点リードの6回2死二塁、阪神岡留の内角低め141キロ直球をはじき返し、前進守備の右翼の頭を越す適時三塁打を決めた。「感触は悪くなかったですし、内容的に追い込まれてからだったので、そこは良かった」。実戦5試合目で初の長打となった。"スーパーサイヤ人"ならぬスーパールーキーは、球場全体が一体となって盛り上がりたい思いからこの登場曲を選んだ。「かなり多くの人が知っている歌かなと思うし、自分もテンション上がる曲なので」。報道陣から「ドラゴンボール」で好きなキャラクターを問われると「悟空っすね。いろんなアニメがそうですけど、1回負けたりとかして、そこからもう1回というのは、成長しているところがやっぱり見てて楽しい」と笑みを浮かべた。阪神戦は2打席凡退の"負け"からはい上がってみせた。初回は左飛。この日までの対外試合4戦で空振り0だったが、3回にネルソンのチェンジアップで空振り三振を喫し、通算13打席目、57球目で初めて空を切った。それでも、5回は遊撃内野安打、6回には右越え適時三塁打と、きらりと光る修正力を発揮した。登場曲に負けないぐらいテンションが上がる曲もお披露目された。20日には新人選手として異例の応援歌が発表され、この日の右翼応援席でも演奏された。「ほんとに1年目から応援歌を作っていただいてありがたい気持ちなので、その期待に応えたい」。感謝の思いを胸にプレーする。これで実戦は12打数6安打3打点としたが、気を引き締める。「まだまだ実力が足らないと思ってるので、この期間、もっともっと成長したい」。いつの日かプロ野球界を代表する主人公となる。【山田愛斗】
◆阪神は村上頌樹投手(26)が今季初実戦で先発する。昨季は7勝11敗に終わったがオープン戦の初戦を任され、リベンジを期すシーズンの初登板に挑む。「1番・中堅」で近本光司外野手(30)、「5番・一塁」で大山悠輔内野手(30)も出場。新外国人選手のラモン・ヘルナンデス内野手(28)は「4番・DH」で先発する。また楽天D1位・宗山塁内野手(21)=明大=は「2番・遊撃」に入った。
◆先発した阪神・村上頌樹投手(26)は2回無失点でマウンドを降りた。今季実戦初登板となった右腕は一回、小郷を遊飛、D1位・宗山(明大)を左飛、辰己を一ゴロと三者凡退に抑える。二回には1死から安田に一塁線を破る二塁打を浴びて得点圏に背負ったが、村林をニゴロで2死三塁とし、最後はフランコから見逃し三振で3アウト。2回29球、1安打1奪三振と危なげなく初登板を終えた。
◆阪神は三回、大山悠輔内野手(30)の適時打で先制に成功した。先頭の近本光司外野手(30)がこの回からマウンドに上がった則本昂大投手(34)の初球を捉えて右前打で出塁すると、中野拓夢内野手(28)の内野ゴロで走者が入れ替わって1死一塁から佐藤輝明内野手(25)がエンドランで右前打を放ち、一、三塁とチャンスを広げた。その後2死となって今季から5番での起用が明言されている大山。コンパクトに弾き返して二遊間を抜く中前適時打で先制点を呼んだ。さらに走者を2人置いて前川右京外野手(21)はカウント1-2から3ランで追加点。打った瞬間に確信し、右翼芝生席奥の防球ネット中段に突き刺す特大の一発で一挙4得点を奪った。
◆阪神の新外国人、ニック・ネルソン投手(29)が来日後初の対外試合に登板。1回1失点(自責0)だった。味方の失策で先頭打者に出塁され、盗塁を決められて無死二塁とされるも、自分のリズムは崩さなかった。中島、小郷を二ゴロに打ち取ると、最後はD1位・宗山(明大)を鋭く落ちるチェンジアップで空振り三振に抑える。多彩な変化球も投げ分け、ポテンシャルを見せつける初登板となった。
◆阪神・岩貞祐太投手(33)が今春初実戦に臨んだが、1回3失点と悔しい結果になった。4-1の四回に3番手として登板するも、辰己と安田に中前打を許して1死一、二塁を招き、村林に振り抜かれた打球はそのまま右翼ポール際へ。一塁塁審は手を回し、ひと振りで同点に追いつかれた。
◆阪神が佐藤輝明内野手(25)のソロで勝ち越しに成功した。4-4の五回、先頭で打席に立つと、3番手・江原の3球目の変化球を一閃。大きな音を立てて弾き返された打球は、まさに弾丸ライナーで右中間最深部のスタンド奥のネットに突き刺さった。佐藤輝は次の回の守備から糸原と代わって退き、3打席で四球、右前打、本塁打と全打席出塁。虎の新3番が完璧なスタートを切った。
◆阪神が三回に大山のタイムリーや前川の3ランなどで4点先制。その後、楽天・村林の3ランなどで同点とされたが、五回に先頭の佐藤輝が右翼へソロ本塁打で一時勝ち越し。しかし、5-4の六回に5番手で岡留が登板すると3失点で逆転を許した。2点を追う阪神は七回に2点を奪い、同点に追いつくと、そのまま7-7で試合終了となった。
◆阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(56)が、オープン戦初戦から本塁打を含む2打数2安打1四球と躍動した佐藤輝明内野手(25)について言及した。佐藤輝はストライクゾーンに来る球だけを振っていれば、この試合のような本塁打は何本でも打てる。打った瞬間、文句なしの弾道だったが、今さら驚くこともない。ことしは練習から内容がいい。しっかり捉えることを心掛けていたので、心配はしていなかった。実戦での成長を垣間見たのはオープン戦初戦の第1打席だ。追い込まれながらも、低めボール球をしっかりと見極めた。そして四球。冒頭で言ったように、これができるかどうかがすべてだ。2打席目の低めのチェンジアップを一、二塁間方向へ打った安打も評価できる。ボールを見極めてストライクゾーンを打った。この状態をいかに長く継続するかどうか。それだけだ。3番・佐藤輝、6番・前川の打順の並びもいい。3番が打つということは、確率的に6番まで回り、大量点になりやすい。この日の三回が象徴的。私自身も投げる立場から3番、6番を意識した。森下、大山の4、5番を挟む佐藤輝&前川の調子が、ことしのキーになりそう。外国人の力を借りなくても、相手が嫌がる打線になりそうだ。投手陣では、先発の村上は全く問題なし。というより、この日は2イニングを真っすぐで押して、無難にまとめた印象だ。これからイニングを伸ばしていく中で、また評価したい。新外国人のネルソンは、かつての剛球は望めないが、重そうな回転の少ないスライダーが効果的。ストライクゾーンに投げ切れるし、四球で崩れるタイプではない。新加入の畠は、もう少しピリッとした内容を見せてもらいたかったし、それは他の救援陣も同じ。この試合だけでの評価は避けるが、阪神の場合、救援陣も駒がそろっており、ある程度の結果を残さなければ、早い段階で競争の場から外される可能性は十分にある。(本紙専属評論家)
◆阪神・大山悠輔内野手(30)がチームにオープン戦初得点をもたらした。「打点というところはしっかりと取れてよかった」。三回2死一、三塁で則本の直球をセンター返し。直後の前川の右越え3ランにもつなげた。ただ、2死一、二塁で見逃し三振に倒れた一回の第1打席に反省の目を向け「キャンプも残り少ない。良かったところは引き続き継続をし、確認できるところはしっかりとやっていきたい」と前を向いた。
◆阪神・近本光司外野手(30)は三回に大量4得点のきっかけとなった。先頭で打席に入り、代わったばかりの楽天・則本の初球を右前へ。積極性をオープン戦初安打という結果につなげた。それでも「気持ち的には楽になるけど、それはたかが気持ち。内容を見たら見えてくるものは全然、違うので、そんなに重要ではない」。今後も一喜一憂をせず、シーズンに向けて調整を続ける。
◆打った瞬間確信した。防球ネット直撃の衝撃弾。阪神・前川右京外野手(21)が自画自賛の3ランで球場を驚かせた。「打った瞬間行った思いました。2ストライクに追い込まれて、短く持って、とにかくコンタクトをしようと思って、インコースをクルっと回れたのでよかったなと思います」三回、大山のタイムリーで先制し、二死一、二塁とチャンスが続く場面で打席には「6番・左翼」の前川。楽天・則本の直球をとらえた。打球はグングン伸び、右翼手は見送るしかない完璧な当たりでこの回、一挙4点を先制した。「構え方がいいと思う。ボールの見え方がいいので、今の構え方を継続して、さらによくしていきたいと思います」七回にも左前打を放ち、フル出場で5打数2安打。15日の練習試合・楽天戦(宜野座)でも右越え3ランを放っており、実戦5試合で早くも2発。打率・385(13打数5安打)と絶好調だ。キャンプでは岡田彰布オーナー付顧問(67)からタイミングの取り方について直接指導を受けるなど、今季の飛躍に向けて貪欲に取り組んでいる。「いろんな方に教えてもらったことをミックスして、自分の軸はぶらさずにいい方向に行けているんじゃないかなと思います」と手応えを感じている。「1打席目(遊飛)とかはダメだったんで、そういう打席はなくしてアウトでも3打席目(中飛)のような打席を増やして行けたら」昨季は自己最多の116試合に出場し、打率・269、4本塁打。高卒4年目の今季は左翼のレギュラー争いどころか、主軸級に働いてみせる。(渡辺洋次)
◆僕が開幕に投げる!! 阪神・村上頌樹投手(26)が楽天とのオープン戦初戦に先発して2回を1安打無失点に抑えた。今オフのテーマに掲げる「直球の質の向上」とともに新たに習得中のスライダーの手応えもアピール。目指すは3月28日の広島戦(マツダ)のマウンド。「そこを狙っていきながら調整していきたい」と初の開幕投手に意欲を見せた。実戦初登板でレベルの違いをみせつけた。両チーム合わせて26安打14得点の乱打戦となった中で、村上が2回1安打無失点。順調な仕上がりを示した。「真っすぐの質というのを意識してやっていましたし、新しい変化球もいろいろ試せたのでよかった」一回は直球主体で三者凡退。球速は140キロ台前半にもかかわらず、楽天の打者は振り遅れていた。注目を集めるD1位・宗山(明大)も低めの切れのある直球で左飛に打ち取ると、二回は一転して今オフに取得中のスライダーを多投した。「10球ぐらい投げました。うまく投げられなかった球もあったが、打ち取れた打球もあった」自画自賛したのは、二回先頭でパ・リーグを代表する打者の一人、浅村を外角高めのスライダーで打ち取った瞬間だ。元々の持ち球はカーブ、フォーク、カットボールだが「(スライダーを)使っていければ、もっと(配球が)楽になるかなと。あと(開幕まで)1カ月、精度を上げていきたい」と満面の笑みを浮かべた。2023年に10勝を挙げてリーグMVP&新人王を受賞。昨季7勝11敗と負け数が上回ったのは、エース級との対戦が多かったことも一因。「他球団のいい投手に投げ勝ちたい」。そのためにスライダーの習得に取り組んだ。宜野座キャンプのブルペン投球を視察した岡田オーナー付顧問は「今年多分(チームで)一番勝つと思うよ。全然、ボールの質が(他の投手と)違うやんか」と絶賛。その言葉通りの投球内容。そんな村上の口から出てきたのは、開幕投手への〝一歩踏み込んだ〟発言だ。「開幕(投手)はしたい場所でもあるので。そこを狙っていきながら調整していきたい」ライバルは同学年で昨季13勝を挙げた才木だ。藤川監督は「明日(23日の中日戦)も、また違う投手(才木)が投げますから。健康でいるかどうか、明日、明後日に聞いてみないと。今日登板していますから」とはぐらかしつつ「準備の1本目はきれいに踏み出したんじゃないかと」と合格点をつけた。開幕まで1カ月。次回登板に向け、村上は「球数が増えたときの制球の精度を意識しながらやっていきたい」。初の開幕投手を勝ち取るために結果も内容も追求する。(三木建次)
◆宗山と正遊撃手争いをしている村林も負けじと四回に右越え3ランを放った。今キャンプで取り組んでいるすり足打法に「自分がしたいスイングができている」と納得の表情。これまでの対外試合では遊撃、二塁で先発し、この日は三塁。「(ボールの見え方に)違いがあるといっても、何も生まれない。チームが勝つために(ポジションが)動くのは当たり前」と話した。
◆7-7の七回から6番手で登板した阪神・門別啓人投手(20)は、3回を2安打無失点。九回には2死三塁とサヨナラのピンチを招いたが、入江を内角直球で三飛に抑え「自分の理想の球を投げることができた」と納得の表情を見せた。藤川監督も「自信を持ってマウンドで自己表現できている」と高評価。3年目を迎える左腕は「展開を意識できたのは昨年の中継ぎの経験が生きている」と成長を実感した。
◆救援として期待される阪神新助っ投のニック・ネルソン投手(29=前フィリーズ)は来日初実戦で1回1失点(自責0)だった。「ゴロを打たせて、空振りで三振も取れた。よかったかな」。三回に登場し、味方失策と二盗、内野ゴロ2つで1点を失ったが、楽天D1位・宗山(明大)からは三振も奪った。日本の打者の印象は「低めのチェンジアップをうまく拾って当ててくる技術はすごく高い。引き続き確認をしていきたい」。さらに腕を磨いていく。
◆楽天のドラフト1位・宗山塁内野手(21)=明大=が22日、阪神とのオープン戦初戦(金武)に「2番・遊撃」で先発出場。〝プロ初長打〟となる適時三塁打を含む2安打1打点を記録し、これで対外試合は計5試合で12打数6安打3打点となった。さらにスタメン出場した4試合のうち3試合でマルチ(複数)安打をマークするなど、「20年に一人の逸材」との称号もダテではない。8年目を迎える沖縄・金武キャンプで初開催となったオープン戦でも、「宗山劇場」が繰り広げられた。「追い込まれても強いスイングができていたので内容的にも良かった。打球の質、当たり方としても悪くない」確かな手応えを口にしたのは六回2死二塁での第4打席。1ボール2ストライクと追い込まれながら2球ファウルで粘り、内角低めの直球を捉えた打球は右中間を深々と破る適時三塁打。対外試合5試合目にしての〝プロ初長打〟となった。1、2打席目は凡退した中で「ボールの見え方が徐々に良くなった」と試合の中で修正をかけてタイミングを合わせ、五回にはカットボールを遊撃内野安打とした。長打だけではなく、この日は〝初物尽くし〟だった。ホームゲームでのオープン戦初戦ということで「ドラゴンボール」のテーマ曲に乗って打席に登場。「多くの人が知っている歌だし、自分もテンションが上がる。好きなキャラクターは悟空。一度負けてそこから成長していく姿が好き」と選曲の理由を説明した。さらに、右翼席の楽天応援団からは応援歌が初披露された。♪紡ぐ想い背に いま理想の旅路を行く 強く 光輝く 未来へ駆け上がれ-との歌詞で、母校・明大の校歌の中に出てくる♪強き光に輝けり、♪高き理想の道を行く-などがオマージュされている。「1年目から応援歌を作っていただけるのは普通のことじゃないので、そこがうれしいし、ありがたい」と感謝感激だ。ちなみに第2打席の三振も〝プロ初〟だった。ただ、スーパールーキーに慢心のかけらもない。「まだまだ実力が足りない」と試合後もすぐに個別練習に向かった。(東山貴実)
◆巨人から現役ドラフトで阪神に加入した畠世周投手(30)は、五回に4番手で登板。2死から安打2本と四球などで満塁のピンチを迎えたが、後続を断って無失点で切り抜けた。1イニングを三者凡退に抑えた15日の楽天との練習試合(宜野座)と比べ「(投球のイメージが)バラバラというのは減ってきたんじゃないかな。ブルペンの方がよかったので、その感覚が100%出せるようにしたい」と次回での修正を掲げた。
◆途中出場の阪神・高寺望夢内野手(22)は、八回に日本代表として昨秋の国際大会「プレミア12」でも活躍した藤平から二塁打を放った。初球をとらえて右翼線へ力強くはじき返し「しっかりストレートを1球で仕留められてよかった。次につなげていきたい」とうなずいた。守備でも今季から挑戦する一塁に回るとゴロもさばき、一、二塁間の判断が難しい打球のベースカバーもミスなくこなした。経験を積みながら、ユーティリティープレイヤーとして成長していく。
◆五回から途中出場して一塁の守備に就いた阪神・原口文仁内野手(32)は、七回の打席で左肘に死球を受けると、そのまま代走を告げられてベンチに退いた。叫び声とともにトレーナーが駆け寄ったが大事には至らず。試合後は「大丈夫です。大丈夫ですよ」と笑顔。中込の140キロ超の直球をまともに受けたが、防具への直撃だったため事なきを得た。
◆阪神はオープン戦初戦で楽天と7-7で引き分けたが、「3番・三塁」で先発出場した佐藤輝明内野手(25)が五回に右中間へソロ。2年連続オープン戦開幕アーチだけでなく、一回には9球目を見極めて四球を選ぶなど、2打数2安打1四球で進化を見せつけた。藤川球児新監督(44)が3番起用を明言し信頼を寄せる今季のテルは、ひと味違う!完璧な感触が残った。ホームランを確信し、ゆっくりと歩きだす。弾丸ライナーが、そのまま右中間奥のネットに突き刺さった。今年も阪神の1年は、佐藤輝のドデカい一発で幕を開けた。「今日はいいスイングができていたと思います」1年前の初戦となった巨人戦でも、特大の本塁打で開幕を飾っていた主砲。今年も昨年に負けじと、目の覚めるような痛烈な打球だった。4-4の同点で迎えた五回。カウント1―1からの3球目で、1球前にファウルにしていた低めの変化球を完璧に仕留めた。一時勝ち越しとなる価値あるソロ本塁打。9日の紅白戦で近大の先輩、畠から放って以来の〝今季2号〟をほうり込み、ゆっくりとダイヤモンドを一周した。それでも、最高の感触以上に本人が手応えを感じていたのは、その打席ではなかった。「ヒット、ホームランはいい当たりでしたけど。きょうは1打席目が良かったんじゃないですかね」一回1死二塁での四球-。ここに今オフ遂げた進化が詰まっている。4球で追い込まれながらもそこから3球ファウルで粘り、9球目を選んだ。苦しいカウントになってもカットし、きわどいところを見極めて後ろにつなぐ。決め切るだけでなく、チャンスを拡大して中軸に回すという姿勢も、今季3番に座ることになる佐藤輝が見せた〝新たな顔〟だった。
◆阪神のオープン戦初陣はドロー。前川右京外野手(21)が3ラン、佐藤輝明内野手(25)がソロを放ったが、3番手岩貞祐太投手(33)、5番手岡留英貴投手(25)が、それぞれ3失点だった。先発村上頌樹投手(26)は2回、門別啓人投手(20)は3回をともに無失点。ニック・ネルソン投手(29)は1回1失点(自責0)。5番大山悠輔内野手(30)は1安打1打点だった。藤川球児監督(44)の主な一問一答は以下の通り。ーー3月28日の開幕まで約1カ月。詰めていきたい部分やポイントは「選手の個々の状態が今は疲れがあって。パフォーマンスが出ていない選手もいるし、すごく出ている選手もいると、いうのが、この1カ月でさらに見えてくると思うんですけど」(続けて)「みんなここで止まることなく、今が悪くても明日以降また良くなってくるので。そこを自分たち首脳陣がしっかりコントロールしながら、開幕の時に、みんなが荒々しくグラウンドで暴れ回っている姿を見てもらいたいなと思うので。しっかりやっていきたいと思います」ーー主力打者陣がそれぞれ良い姿を見せてくれたのはうれしいこと「彼らにオープン戦の最初で、ほとんどみんなヒットが出たというところでは、一歩一歩、次の段階に進めるし。明日(23日の中日戦)はまた全員が出るわけではないですけど。また課題を持って取り組んでいけると感じます」ーー門別は最後の3イニングを抑えた「状況というものを加味せずに投球できるという。それがなかなかあの年齢(20歳)でできないことなんだけど。自信を持ってマウンドで自己表現できているという点で、素晴らしい成長の曲線を今、描いてくれていると思うので。しっかり投手コーチとキャッチャーたちと一緒に彼がこのまま成長できるような曲線を描いてほしいですね」
◆オープン戦初采配を終えた阪神・藤川球児監督(44)が収穫を口にした。今キャンプで説き続ける「準備の大切さ」をゲームの中で示した選手たちに笑顔だ。「みんながしっかりと準備をしてゲームに入っているという部分では、相手に差し込まれることなく、攻撃中もしっかりと仕掛けていっていた。そこは非常によかった」ドロー発進とはなったが、五回には佐藤輝が一時勝ち越しのソロを放ち、得点圏に走者を置いたイニングは6度。楽天より多い14安打を放ち、攻撃の手を緩めなかった自軍が誇らしかった。オープン戦に突入し、激しい競争は続く。ただ、指揮官は「競争相手は自分かもしれない。サバイバルという言い方よりは切磋琢磨(せっさたくま)をして、お互いに高め合って」と願う。シーズン開幕に向けて本格的に始まったのは、相乗効果を見込みながらのチーム作りだ。「開幕のときにみんなが荒々しくグラウンドで暴れ回っている姿を見てもらいたい。しっかりとやっていきたいと思います」明るい未来を見すえ、次なる一歩を踏みしめた。(須藤佳裕)
◆オープン戦が行われた金武町は、阪神のキャンプ地・宜野座村のすぐ南に隣接。車で10分足らずで楽天のキャンプ地・金武ベースボールスタジアムに着いてしまう。米軍の基地が町の総面積の50%以上を占め、海兵隊のキャンプ・ハンセンが広がる米軍の街。最近は行っていないが、以前はお店で普通に米ドルが使えた。まだ楽天がキャンプ使用していない10数年前は、阪神が〝ちょっとだけ〟利用した時期も。外野手の守備練習をするために、コーチと選手だけが移動して、外野手たちが広々、ノックを受けていた。「ここ、2軍が使えたら、1軍キャンプ地との距離も近いし、一番便利なのになぁ」一記者としても思ったし、当時の外野守備コーチも「ここを使おうって、ずっと言ってるんやけどなぁ」と主張していた。ただ、金武町の意向は「1軍のキャンプ地として使用してもらいたい」。これだけは譲れない条件だったらしい。阪神球団も、この地元の熱意だけは覆せなかった。やがて、楽天が久米島の後の2次キャンプ地として徐々に移転。設備も、阪神が外野ノックだけしていた時期とは見違えるほど立派になった。そして、ついに「金武町初のオープン戦」が実現するに至る。外国人のファンも多く見かけた。楽天ファンがいっぱい詰めかけて、ジェット風船を膨らませている姿を見ていると、「阪神2軍」ではなく「いつか来てくるかもしれない1軍」を選んで正解だったなぁ、と感慨深かった。試合は前川と佐藤輝にドカンと一発が飛び出して、阪神ファンとしても納得の展開。応援団のトランペットによるヒッティングマーチを聞かせてもらって、「ことしも始まったなぁ」と実感させてもいただいた。
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<オープン戦順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ソフトバンク |
1 | 0 | 0 | 1.000 | - | 7 | 0 | 1 | 3 | 0.375 | 0.000 |
1 | ヤクルト |
1 | 0 | 0 | 1.000 | 0 | 2 | 1 | 0 | 4 | 0.250 | 0.000 |
1 | 巨人 |
1 | 0 | 0 | 1.000 | 0 | 6 | 4 | 1 | 0 | 0.257 | 3.000 |
1 | ロッテ |
1 | 0 | 0 | 1.000 | 0 | 5 | 1 | 2 | 1 | 0.188 | 1.000 |
5 | 中日 |
0 | 1 | 0 | 0.000 | 1 | 1 | 5 | 0 | 0 | 0.133 | 5.000 |
5 | ORIX |
0 | 1 | 0 | 0.000 | 1 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0.100 | 7.880 |
5 | DeNA |
0 | 1 | 0 | 0.000 | 1 | 4 | 6 | 0 | 0 | 0.350 | 5.000 |
5 | 日本ハム |
0 | 1 | 0 | 0.000 | 1 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0.161 | 2.250 |
- | 楽天 |
0 | 0 | 1 | 0.000 | 1 | 7 | 7 | 1 | 2 | 0.300 | 7.000 |
- | 西武 |
0 | 0 | 0 | 0.000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.000 | 0.000 |
- | 広島 |
0 | 0 | 0 | 0.000 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.000 | 0.000 |
- | 阪神 |
0 | 0 | 1 | 0.000 | 1 | 7 | 7 | 2 | 0 | 0.341 | 6.000 |
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