DeNA(☆11対2★)ソフトバンク =日本シリーズ6回戦(2024.11.03)・横浜スタジアム=
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ソフトバンク
0002000002611
DeNA
03107000X111301
勝利投手:坂本 裕哉(1勝0敗0S)
敗戦投手:有原 航平(1勝1敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】柳田 悠岐(1号・4回表2ラン)
【DeNA】筒香 嘉智(1号・2回裏ソロ)

  DAZN
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◆DeNAが26年ぶりの日本一に輝いた。DeNAは2回裏、筒香のソロと桑原の適時打で3点を先制する。4-2となって迎えた5回には、打者一巡の猛攻で7点を挙げ、相手を突き放した。投げては、先発・大貫が4回2失点。その後は救援陣が無失点でつなぎ、最後は守護神・森原が締めた。なお、MVPには日本シリーズ新記録の5試合連続打点をマークした桑原が選ばれた。

◆ソフトバンク近藤健介外野手(31)が「5番左翼」でスタメン出場する。右足首を痛めてポストシーズンは全試合DH出場だったが、9月15日オリックス戦以来の守備復帰となった。1番周東、2番今宮から始まる上位打線。2勝3敗と追い込まれているソフトバンクがセ本拠地でベストオーダーを組んだ。

◆日本シリーズ第6戦のスタメンが発表された。26年ぶりの日本一へ王手をかけているDeNAは、タイラー・オースティン内野手(33)が「4番一塁」、筒香嘉智外野手(32)が「5番左翼」でスタメン出場する。オースティンは第1戦で左足甲を打撲し、第2戦はベンチ外。第3戦からスタメン復帰していたが、いずれもDHでの出場だったため、負傷後初めて守備に就くことになった。筒香は第2戦から5試合連続でスタメン出場となった。直近の第5戦では先制の中前適時打を放つなど、4打数2安打。この日も勝負強い打撃でチームを勝利に導きたい。また、大貫晋一投手(30)が前日の雨天中止からスライドで先発マウンドに上がる。第2戦は先発するも、2回1/3を7安打5失点(自責4)。前回登板のリベンジを果たし、日本一を手繰り寄せる投球に期待がかかる。

◆ソフトバンク近藤健介外野手(31)が「5番左翼」でスタメン出場する。右足首を痛めてポストシーズンは全試合DH出場だったが、9月15日オリックス戦以来の守備復帰となった。1番周東、2番今宮から始まる上位打線。2勝3敗と追い込まれているソフトバンクがセ本拠地でベストオーダーを組んだ。

◆ソフトバンクが初回を0点に抑えられ、日本シリーズワーストを更新する27イニング連続無得点となった。1死から今宮が右中間を破る二塁打で出塁すると、3番柳田の中飛で三塁に進塁。しかし、4番山川が空振り三振で無得点。第3戦の初回に得点を奪って以降0行進が続いており、初回を無得点で終えて27イニング連続無得点となった。試合前時点では、同一年の日本シリーズでは58年巨人に並ぶ26イニング連続無得点だったが、更新する記録となってしまった。

◆DeNAの初代監督で野球評論家の中畑清氏(70)が始球式を行った。監督時代の背番号である「70」のユニホーム姿で登場すると、スタンドは大歓声。右肩をぐるぐると回してから力強く投げ込んだが、ボールは三塁側に大きくそれた。それでも投球後は、右手でガッツポーズを作り満面の笑みを浮かべた。グラウンドを後にする際にはボールをスタンドに投げ入れるファンサービスも行い、大きな拍手が送られた。大役を終えた中畑氏は「本当に多くの歓声で出迎えていただきまして、感動しました。グラウンドでファンの期待の大きさを歓声の中で感じることができるとともに、本当に優勝を待ち望んでいるんだなということをつくづく感じました。いい空気の中で雰囲気の中でプレーできる選手たちがうらやましいなと思うぐらいの環境です。ぜひ優勝を勝ち取っていただきたいです。優勝を期待してます!」とコメントした。

◆DeNAタイラー・オースティン内野手(33)が、痛めた左足をかばいながら激走したが、併殺打に倒れた。0-0の1回1死一、二塁、ソフトバンク有原のフォークをひっかけ、力ない三ゴロに。ボールが二塁、一塁へと転送された。先頭の桑原が遊撃への内野安打を放ち、梶原の投ゴロを有原が悪送球し、無死一、二塁のチャンスを迎えたが、牧が空振り三振、オースティンが併殺打に終わった。

◆ソフトバンク先発の有原航平投手(32)がDeNAの5番筒香嘉智外野手(32)にソロ本塁打を浴びた。0-0の2回、先頭。カウント1-2の4球目、外角低めの132キロチェンジアップをバックスクリーン右に運ばれた。ここまで同シリーズ5試合はいずれも先制したチームが勝利している。

◆DeNAの筒香嘉智外野手(32)が会心の一発を放った。10月26日の第1戦で7回無失点に抑えられている有原から、初回に無死一、二塁のチャンスを作るも、牧が空振り三振、オースティンは併殺打で得点を奪えず。2回、先頭筒香がカウント2-1から132キロのチェンジアップをバックスクリーン右横へ放り込んだ。完璧な当たりにファンも大歓声。筒香は「自分のスイングをすることを心がけて打席に入りました。チームの勢いをつける結果になり良かったです」と笑顔で振り返った。第5戦では先制打を放ち、この日は先制のソロ。ベテランが大一番で存在感を発揮している。

◆DeNA戸柱恭孝捕手(34)が、ど根性を見せた。2回1死、初球の内角カットボールをファウルし、自打球が左膝付近を直撃。打席で倒れ込んだ。苦悶(くもん)の表情を浮かべ、肩を借りながらベンチに下がった。しかし、治療を受けるとすぐに打席に戻ると、3球目を詰まりながら左翼線に運ぶ安打とした。続く森敬斗内野手(22)は右翼線へ二塁打を放った。一塁走者の戸柱は、痛みをこらえて三塁まで激走。1番桑原将志外野手(31)の左前打で生還した。

◆DeNA桑原将志外野手(31)が、日本シリーズ新記録の5試合連続打点をマークした。勝負強さを見せつけた。1点リードの2回2死二、三塁。三遊間に抜ける2点適時打を放った。2回は先頭の筒香のソロで口火を切ると、桑原の2点タイムリーで3点を先制。勝てば26年ぶりの日本一となる一戦で、ソフトバンクを相手にリードを広げた。桑原が第2戦から5試合連続打点。シリーズの連続試合打点は過去12人いた4試合が最長で、5試合連続打点は新記録。また、今シリーズでは通算9打点。9打点以上は10年ブランコ(中日)以来8人目。6試合のシリーズで9打点は、66年長嶋(巨人)と85年バース(阪神)の2人に並ぶ最多タイ。

◆ソフトバンクが柳田悠岐外野手(36)の豪快弾で30イニングぶりの得点を奪った。0-4の4回。先頭の今宮健太内野手(33)の左前打で無死一塁から柳田が打席に立った。DeNA先発大貫の141キロをフルスイング。大きな弧を描いた打球はバックスクリーン直撃の2ランとなり、反撃ののろしを上げた。打った瞬間の確信弾に「いいスイングができました。まず2点を返すことができて良かったです。何とか逆転できるように頑張るだけです」とコメントした。ソフトバンクは第3戦の初回に得点して以来、0行進が続いていた。試合前時点で同一年の日本シリーズでは58年巨人の26イニング連続無得点と並んでワーストだったが、初回に更新。4回の柳田の2ランで29イニング連続無得点でストップさせた。

◆DeNA森敬斗内野手(22)が押し出し四球で4点目をもたらし、テレビ解説を務めるDeNAの初代監督で野球評論家の中畑清氏から絶賛を受けた。3点リードの3回2死一塁から宮崎が死球、戸柱が四球を選び、2死満塁で打席に入った。ソフトバンク先発の有原が投じた内角低めの球を3球連続見極め3-0とした後、2球連続ストライクでフルカウントに追いこまれた。勝負の6球目。高めのカットボールはややゾーンから外れボール判定となり、押し出し四球。粘って追加点をもたらした森のプレーに、解説を務めた中畑氏から「勇気ある決断。素晴らしい。来季は間違いなくレギュラーだ」とべた褒めだった。

◆ソフトバンク先発の有原航平投手(32)が3回6安打4失点で降板した。0-0の2回、先頭でDeNAの5番筒香嘉智外野手(32)にカウント1-2の4球目。外角低めの132キロチェンジアップをバックスクリーン右へ先制ソロを被弾。さらに2死二、三塁から1番桑原将志外野手(31)に痛烈な左前適時打を浴び、この回3点の先制を許した。ここまで同シリーズ5試合はいずれも先制したチームが勝利している。3回には2死一塁から3者連続四死球で押し出し。4点を失った。4回に2番手の尾形崇斗投手(25)と交代した。

◆先発の大貫晋一投手(30)が、4回5安打2失点と粘りの投球を見せた。日本シリーズ第2戦(横浜)では、変化球に頼りすぎ、2回1/3、7安打4失点でKO。「やられた原因とか、必要な反省はもう終わってます。ストライクゾーンで勝負したい」と汚名返上を期して臨んだマウンドだった。1回2死二塁では、前回対戦でカーブを本塁打された山川に対し、3球勝負の146キロ直球で空振り三振に仕留めた。走者を出しながらも、懸命にゲームメーク。「序盤からしっかりゾーンで勝負することができたと思います。1回1回を0点で抑えることを心がけていました。ランナーを背負いながらでしたが持ち味のゴロを打たせて取る投球ができたと思います」と振り返った。リードを保ったまま、2番手の浜口遥大にバトンを渡した。「こういう試合なので反省は帰ってからにして、今チームが勝てるよう声を出して応援します」。降板後はベンチで声援を送っていた。

◆2番手で登板したDeNA浜口遥大投手(29)が、観客をあおった。5回から2番手で登板。牧原を中飛、甲斐を三振、代打ダウンズを三塁ライナーと、わずか10球で3者凡退に抑えた。マウンドからベンチに戻る際、一塁側の観客席に向けて、両手を下から上へと振り上げた。昨年WBCで大谷翔平がベンチに見せたような「カモーン」のようなポーズ。ほぼDeNAファンで埋め尽くされた満員の横浜スタジアムは、大いに盛り上がった。

◆DeNA打線が、5回に一挙7点を奪う猛攻を見せた。4回ソフトバンク柳田に2ランを浴び2点差に詰め寄られたが、取られたら取り返す。5回の攻撃で3番手スチュワートを攻めたてた。1死から戸柱が中前打、森が四球、代打・佐野が右前打とつなぎ1死満塁とチャンスを作ると、追加点が欲しい場面で1番桑原はしっかり押し出し四球を選び5点目を挙げた。なおも満塁で2番梶原が中前へはじき返す適時打で6点目。スチュワートをKOした。4番手岩井にも攻撃の手を緩めない。2死満塁でオースティンの死球で7点目を奪って点差を広げると、先制ソロを放った筒香が走者一掃となる2点適時二塁打、続く宮崎にもタイムリーが飛び出した。打者11人の猛攻でリードを9点差に広げ、26年ぶりの日本一がグッと近づいた。

◆ソフトバンクは10月29日の第3戦に先発したスチュワート・ジュニア投手(25)が中4日で登板も、1死しか奪えず、降板した。2-4の5回に3番手でマウンドへ。1死から2安打と死球で満塁とし、1番桑原将志外野手(31)に押し出し四球を与えた。さらに、続く梶原昂希外野手(25)に中前適時打を浴びて、6点目を与えた。スチュワートは今季初のリリーフ登板で、勝負手が裏目に出た。さらに、代わってマウンドに上がった岩井俊介投手(23)が2死満塁から押し出し死球を与えた。5番筒香嘉智外野手(32)には中堅フェンス直撃の3点適時二塁打。宮崎敏郎内野手(35)にも中適時二塁打を浴び、この回7失点。5回までに4投手をつぎ込み、13被安打、11失点。DeNA打線を止められなかった。

◆DeNAがソフトバンクに波状攻撃を浴びせ、SNS上では「令和にマシンガン打線だな」と興奮交じりの投稿が相次いだ。2点リードの5回だった。打者11人で7点を奪う猛攻に、X(旧ツイッター)上は大盛り上がりとなった。「これはマシンガン打線。これはもう98年の横浜やん笑98年以来のアレの瞬間が楽しみやな」と3度目の日本一を待ち切れないファンが続出した。往年のファンたちからは「ベイスターズの5回裏のホームランのない7得点は1998年と同じ一旦打ち出したら止まらない"マシンガン打線"」「98年のベイスターズを知らない若いファンのみんな、これがマシンガン打線だよ 令和の日本シリーズで蘇るマシンガン打線 泣きそう」と感極まる投稿も見られた。

◆ベイスターズファンが、球場内外で一体となっている。横浜スタジアム外の横浜公園にも、あふれんばかりの大勢のファンが詰めかけ、大声援を送った。これにはX(旧Twitter)でも「外野席の倍以上居るんじゃないか?」「横浜公園すごいことになってる!」「第2のスタンド化してる」など、驚きの投稿が相次いだ。球場外からの大きな応援に選手たちも背中を押され、7回終了時点で13安打11得点の猛攻でソフトバンクを圧倒している。

◆DeNAが、パ・リーグ王者のソフトバンクを4勝2敗で下し、シーズン3位からの下克上での日本一を達成した。シーズン3位からの日本一は2010年のロッテ以来で、セ・リーグでは史上初だった。球団では、「マシンガン打線」で大きな注目を集め、三浦大輔監督(50)、石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチ(54)、鈴木尚典打撃コーチ(52)らが現役だった1998年以来、26年ぶり3度目の日本一を達成した。試合を動かしたのは、5年ぶりに古巣に復帰した筒香嘉智外野手(32)のバットだった。0-0で迎えた2回無死、カウント2-1から、ソフトバンク有原のチェンジアップをフルスイング。横浜スタジアムに大歓声が響き渡る中、中堅バックスクリーン右に打球が飛び込んだ。「ハマのガッツマン」が勢いを加速させた。さらに2回2死二、三塁から、桑原将志外野手(31)が、2点適時打。日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークし、ムードを最高潮に押し上げ「もう1点、もう1点と強い気持ちを持ち、後ろにつなげようと打席に入った」とコメントした。令和版「マシンガン打線」が、「下克上物語」を色濃くさせた。4回に柳田の2ランで2点を返され、2点リードで迎えた5回。1死満塁の好機をつくって、桑原が押し出し四球、梶原が適時打、オースティンの押し出し死球でリードを5点に広げた。ダメ押しは、また筒香のバットだった。さらに2死満塁から走者一掃の適時二塁打を放ち、宮崎敏郎内野手(35)も適時二塁打。この回一挙7点の猛攻で、ソフトバンクを意気消沈させた。守っては、先発大貫晋一投手(30)が、初回から飛ばし、4回2失点で降板。5回からはレギュラーシーズンでは先発で、日本シリーズからブルペン待機する浜口遥大投手(29)が登板。1回無失点の好リリーフで3番手の坂本裕哉投手(27)にバトンを渡した。第3戦の2回から、日本シリーズ新記録となる29イニング連続無失点を記録。この日の4回に無失点記録は止まったが、投打ともにかみ合って、パ・リーグ王者のソフトバンクに大勝し、「ハマの番長」のシーズン3位からの「下克上物語」を完結させた。DeNAが横浜時代の98年以来、26年ぶり3度目の日本シリーズ制覇。今季の公式戦は貯金2で勝率5割7厘の3位。まだセ・リーグ優勝は60、98年の2度しかなく、リーグ優勝より日本一の方が多いのはDeNAだけだ。リーグ優勝球団以外の日本一は19年ソフトバンク以来5度目。3位からは10年ロッテ以来2度目で、セ・リーグの3位は初めて。75年阪急の貯金5と勝率5割2分を下回り、「最少貯金」、「最低勝率」の日本一となった。対戦したソフトバンクは貯金42の勝率6割5分。これまで貯金差が25以上あったシリーズはすべて貯金の多い球団が日本一になっていたが、DeNAが貯金差40をひっくり返した。勝率が1割以上低い球団が勝ったのも初めてになる。DeNAの日本一は60年→98年→24年。今回の26年ぶりは日本一ブランクの7位タイで、25年以上のブランクが2度はDeNAが初めて。60年は三原監督、98年は権藤監督で、生え抜き監督では球団史上初。三浦監督は98年<3>戦に先発。選手と監督の両方でシリーズに出場して日本一は20人目となり、そのうち投手は金田正一、藤田元司、渡辺久信、工藤公康、高津臣吾に次いで6人目。98年日本シリーズ 権藤監督率いる横浜は西武と対戦。横浜は第1戦に9-4、第2戦は4-0と横浜スタジアムで2連勝。西武ドームに移動後、第3戦に2-7、第4戦は2-4と連敗したが、第5戦には20安打を放ち17-5の大勝で王手をかけた。第6戦は両軍無得点の8回に駒田の2点二塁打で先制。9回を佐々木が1失点に抑えて日本一を決めた。シリーズMVPは打率4割8分、1本塁打、8打点の鈴木尚典。

◆ソフトバンクがまさかの大敗を喫し、20年以来4年ぶりの日本一を逃した。有原航平投手(32)が3回でノックアウト。2回に先頭筒香に先制ソロを許すなど、この回3失点。続く3回は2死満塁で押し出し四球を与え、3回6安打4失点で無念の降板となった。4点を追う4回無死一塁で柳田悠岐外野手(36)の2ランで2点差に迫ったが、5回に打者11人の猛攻でこの回一挙7失点と9点差に広がった。チームはシリーズ2連勝発進を決めるも、その後は4連敗で力尽きた。球団が日本シリーズで敗れるのは、ダイエー時代の00年以来。ソフトバンク球団としては史上初めてで、過去7度の出場はいずれも日本一に輝いていた。

◆5年ぶりに横浜に戻った男が決めた。3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦。筒香嘉智外野手(32)が2回に先制ソロを放つと、5回2死満塁では走者一掃の3点適時二塁打。2安打4打点で、13安打で11点を奪った打線をけん引した。貯金42のパ王者ソフトバンクを圧倒し、貯金2、リーグ3位からの下克上物語を完結させた。最高殊勲選手(MVP)には3安打3打点で、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークした桑原将志外野手(31)が輝いた。筒香が遅れて歓喜の輪に加わった。日本一の瞬間を左翼で見届け、中堅・桑原を抱きかかえる。歓喜の笑顔は満開に咲き誇った。日本一に王手をかけた第6戦、貫禄の活躍ぶりだった。2回先頭、ソフトバンク有原のチェンジアップを仕留めた。バックスクリーン右への完璧な先制ソロ。「自分のスイングをすることを心掛けて、打席に入りました。チームの勢いをつける結果になり、良かったです」。5回2死満塁でも左中間へ3点適時二塁打を放ち、4打点で優秀選手に輝き、横浜優勝をたぐり寄せた。5年ぶりの復帰と同時に日本一。必然だった。リーグ戦は満足のいく数字ではない。左肋骨(ろっこつ)の疲労骨折などもあり、シーズン終盤は代打待機が続いた。当然、出場への思いは募った。でも、戦う場所はグラウンド上だけじゃない。ベンチで1日で声がカスカスに枯れるほど応援したり、落ち込む後輩を励ましたり、野球観を伝えたり、守備固めにつく後輩の肩を温めるキャッチボールに付き合ったり。とにかくチームの事を考え続けた。そこにはかつての侍ジャパンの4番のプライドも、アメリカで経験してきた自負も関係なかった。「今はみんなが喜んでくれればいいと本気で思ってます。僕はみんなと優勝してみんなで喜びたかった」と信じた行動を貫いた。見えないところでも戦ってきた。かつての主将で4番とはいえ、チームから5年離れて、シーズン途中に加入した身。そんな立場は理解する。自分ではなく周りを立てる。CS優勝の記念写真。中央ではなく後列端っこで控えめに写った。巡ってきた日本シリーズの大舞台。端に隠れていられないほどの存在感で試合を決めた。時にド派手に、時に控えめに、全ては横浜で優勝するために。これが、これこそが筒香嘉智だ。【小早川宗一郎】○...DeNA三浦監督が、シーズン3位から"成り上がり"、26年ぶりの日本一達成に涙を流した。「もう最高にうれしいです」と勝利した瞬間、コーチ陣と涙で抱擁。マウンドでは選手たちの手で5度宙に舞った。「いろんな思いがね...。98年に優勝してから、その後なかなか勝てずに。自分ももう1度という気持ちで現役の時は優勝できず、監督として優勝できてうれしいです」と感極まった。筒香が2回に決勝点となる先制本塁打。筒香は第5戦でも先制適時打でV打をマークしており、シリーズで2試合連続V打は15年第4、第5戦の李大浩(ソフトバンク)以来20人目で、DeNAでは横浜時代の98年第1、第2戦の鈴木尚以来26年ぶり。筒香のように日本一王手→日本一決定の2試合連続だったのは、15年の前記李大浩以来8人目。球団では大洋時代の60年近藤昭以来64年ぶりとなった。

◆DeNA三浦大輔監督(50)が、シーズン3位から"成り上がり"、26年ぶりの日本一を達成し、涙を流した。勝利した瞬間、コーチ陣と涙で抱き合って、ゆっくりとマウンドに歩を進めた後、選手たちと涙で抱擁。マウンドでは選手たちの手で5度宙に舞った。08年オフ、FA権を行使し、阪神への移籍か横浜に残留かで揺れ動きながら「強いところを倒して、優勝したい。横浜が好きだから」と残留を決断。当時の誓いを大好きなハマスタで実現させた。

◆DeNAが、パ・リーグ王者のソフトバンクを4勝2敗で下し、シーズン3位からの下克上での日本一を達成した。シーズン3位からの日本一は2010年のロッテ以来で、セ・リーグでは史上初だった。筒香が2回に決勝点となる先制本塁打。筒香は第5戦でも先制適時打でV打をマークしており、シリーズで2試合連続V打は15年第4、第5戦の李大浩(ソフトバンク)以来20人目で、DeNAでは横浜時代の98年第1、第2戦の鈴木尚以来26年ぶり。筒香のように日本一王手→日本一決定の2試合連続だったのは、15年の前記李大浩以来8人目。球団では大洋時代の60年近藤昭以来64年ぶりとなった。

◆DeNAが、パ・リーグ王者のソフトバンクを4勝2敗で下し、シーズン3位からの下克上での日本一を達成した。シーズン3位からの日本一は2010年のロッテ以来で、セ・リーグでは史上初だった。DeNAが横浜時代の98年以来、26年ぶり3度目の日本シリーズ制覇。今季の公式戦は貯金2で勝率5割7厘の3位。まだセ・リーグ優勝は60、98年の2度しかなく、リーグ優勝より日本一の方が多いのはDeNAだけだ。リーグ優勝球団以外の日本一は19年ソフトバンク以来5度目。3位からは10年ロッテ以来2度目で、セ・リーグの3位は初めて。75年阪急の貯金5と勝率5割2分を下回り、「最少貯金」、「最低勝率」の日本一となった。対戦したソフトバンクは貯金42の勝率6割5分。これまで貯金差が25以上あったシリーズはすべて貯金の多い球団が日本一になっていたが、DeNAが貯金差40をひっくり返した。勝率が1割以上低い球団が勝ったのも初めてになる。DeNAの日本一は60年→98年→24年。今回の26年ぶりは日本一ブランクの7位タイで、25年以上のブランクが2度はDeNAが初めて。60年は三原監督、98年は権藤監督で、生え抜き監督では球団史上初。三浦監督は98年<3>戦に先発。選手と監督の両方でシリーズに出場して日本一は20人目となり、そのうち投手は金田正一、藤田元司、渡辺久信、工藤公康、高津臣吾に次いで6人目。

◆元サイ・ヤング賞右腕のトレバー・バウアー投手(33)が祝福のメッセージを寄せた。DeNAでプレーした昨季は19試合に登板して10勝4敗、防御率2・76の好成績を残した。ユーチューバーとしての一面や"野球オタク"ぶりもチーム内外にインパクトを与えた。メジャー移籍を目指して退団し、今季はメキシカンリーグでプレー。年間最優秀投手賞を受賞していた。DeNAのチーム、スタッフ、友人全てにおめでとうと言いたい。彼らが大きな成功をつかむことができて私もうれしく思います。彼らがセレブレーションを心から楽しんでいることを祈ります。そしてオーナーの南場サンにも心からおめでとうございます、と伝えたいです。あなたたちは1年間、ハードワークをした上で、プレーオフに勝ち進むためにリーグ最終盤まで真剣勝負を挑まなければなりませんでした。CSファーストステージから勝ち進んだ彼らの成功は、才能と努力の証だと思います。シーズン中にはドジャース時代に少しだけチームメートだったジャクソン投手から連絡が来ました。日本とアメリカの野球の違いを話しました。彼が今、成功している姿を見るのは素晴らしいことです。投手コーチやスタッフとともに、でき得る全ての仕事を全うしました。私がお役に立てたならうれしいですが、彼が成功するために懸命な努力をした、その結果だと思います。今は日本のおすしが恋しいです。そしてチームの友人全員、会えなくて寂しい。ですが彼らが日本一という大成功を収める姿を見ることが出来て、本当に興奮しています。最高に素晴らしいこと。改めておめでとうございます!

◆日本シリーズの表彰選手が発表された。最高殊勲選手(MVP)は打率4割4分4厘、1本塁打、8打点のDeNA桑原将志外野手(31)が選ばれた。日本シリーズ新記録となる5試合連続打点を挙げた。お立ち台では「本当に幸せだと思います。ありがとうございます。目の前の試合を1戦1戦、チームを引っ張っていくという気持ちでした。本当にうれしいです。(記録は)すごく光栄に思います。(日本一は)夢のようでした」と話した。優秀選手には、第6戦で先制本塁打を放った筒香嘉智外野手(32)、第1、5戦で好投したアンドレ・ジャクソン投手(28)、第4戦で勝利投手となったアンソニー・ケイ投手(29)が選ばれた。敢闘選手にはソフトバンク今宮健太内野手(33)が選ばれた。

◆DeNA桑原将志外野手(31)が、日本シリーズのMVPに輝き、インタビューで10月27日の試合後に行われた選手ミーティングの真相を激白した。「ミーティングで悔しくないんか? っていうのは言ってなくて、ソフトバンクさんに全員で立ち向かっていこうという話はさせてもらったんですけど。もちろん、2連敗して、みんな悔しい気持ちはあったと思いますし、本当に1つになって、いい試合ができたと思います」日本シリーズ2連敗を喫した10月27日の試合後、主将の牧秀悟内野手(26)が選手だけの緊急ミーティングを開催。17年の同シリーズを知る山崎康晃投手(32)、桑原将志外野手(31)、柴田竜拓内野手(30)も牧からの指名で率直な意見を出し合った。28日のみずほペイペイドームでの練習後に「今の雰囲気ではソフトバンクに勝てない。勝ち負けだけじゃなく、そういう雰囲気がやっていて腹立たしい。負けて悔しくないんか? と」。その上で「もっと気持ちを1つにして戦おう」と呼びかけたが、実は「悔しくないんか?」という発言はなかったことを笑顔で激白した。この日は2回2死二、三塁から2点適時打を放ち、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークするなど、大活躍で日本一に貢献した。「本当、夢のような...。そこにずっとたどりつきたかったところなんで、うれしいです」と声を弾ませた。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手(31)と石川柊太投手(32)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権について言及した。日本シリーズで4年ぶりの日本一を逃し、試合後に取材対応。甲斐は「今はまだ終わったばかりなので」と語り、石川は「終わってすぐのところもあるので、現状自分がそれに関して言えることはないですね」と話すにとどめた。甲斐は今季も扇の要として119試合に出場し、打率2割5分6厘、5本塁打、43打点。「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩など日本を代表する捕手だ。23年WBCでは世界一に貢献している。石川は今季7勝2敗、防御率2・56でシーズン後半は自身5連勝フィニッシュ。昨季はノーヒットノーランを達成するなど通算56勝、20年には最多勝と最高勝率の2冠を獲得した。ともに育成入団でメッツ千賀や牧原大らとともに「育成のホークス」と呼ばれる礎を築いた苦労人だ。

◆日本シリーズの表彰選手が発表された。最高殊勲選手(MVP)は打率4割4分4厘、1本塁打、8打点のDeNA桑原将志外野手が選ばれた。日本シリーズ新記録となる5試合連続打点を挙げた。お立ち台での主な一問一答は以下の通り。-大歓声、日本一、今の気持ちは本当に幸せです、本当にありがとうございます。-日本シリーズでの活躍を振り返って目の前の試合1戦1戦必死で、チームを絶対引っ張っていくという強い気持ちがありましたので、みんなとともに日本一を取れて本当にうれしいです。-5試合連続打点は新記録すごく光栄に思います。-ミーティングでの発言。言葉でも鼓舞したミーティングで悔しくないんか? というのは言ってなくて。ソフトバンクさんに全員で立ち向かっていこうという話はさせてもらったんですけど。もちろん、2連敗して、みんな悔しい気持ちはあったと思いますし、本当に1つになって、いい試合ができたと思います。-日本一の瞬間の気持ちは「本当、夢のような、そこにずっとたどりつきたかったところなんで、うれしいです」-7年前も全試合でスタメン。進化した7年前の借りを返そうとは思ってなくても、ここにいる最高のメンバーで、僕自身、喜びを感じながら、全力で戦うことができて本当に幸せです。-最高のチームが日本シリーズでも成長した、桑原選手の目から見てちょっと話は早くなってしまいますけど、この日本シリーズで経験したことを、この気持ちを忘れずに、しっかりと来年も強い気持ちを持って戦っていきたいです。-ファンに向けて最後の最後まで熱いご声援、ありがとうございました。みなさんとともに、この瞬間を味わうことができて、本当に幸せです。今後ともよろしくお願いします。

◆DeNA三浦大輔監督(50)が、26年ぶり3度目の日本一に感極まった。試合後のインタビューでは何度も絶叫し「98年に優勝してから、なかなか勝てなかった。自分ももう1度という気持ちでしたが現役では優勝できずに、監督として本当に優勝できてうれしいです」と喜びを爆発した。勝てば日本一が決まる一戦でも変わらず、選手たちに「全力で持っているものを出し切ろう」と伝え続けた。2回の筒香の先制ソロには「ゴウはね、優勝するために横浜に戻ってきた。その言葉通り、今日も勢いをつけてくれるホームランを打ってくれた」とたたえ、リリーフ陣の力投にも賛辞を惜しまない。「みんながつないで、最高の働きをしてくれた」と選手全員の成長を喜んだ。本拠地に集まった大興奮のファンへの感謝も忘れない。「苦しいときも、しんどいときも、常に信じて応援していただき、ありがといございます。この日本シリーズ優勝をみなさんと一緒に喜び合えたこと、最高の気持ちでうれしいです。ありがとうございます」と締めくくった。

◆DeNA桑原将志外野手(31)が最高殊勲選手(MVP)に輝く活躍で日本一へと導いた。1回先頭、一塁にヘッドスライディングで遊撃内野安打にして勢いづけると、1点リードの2回2死二、三塁、左前へ2点適時打。日本シリーズ新記録となる5試合連続打点でリードを広げた。ハマのガッツマンに引っ張られるように、打線も活気づいた。2点リードの5回には打者11人の猛攻で7得点。パ王者を圧倒し日本一へとたたみかけ「みんなとともに日本一取れて本当にうれしいです」とかみしめた。2連敗を喫した後のミーティングでは、活を入れてチームを奮い立たせた。「ミーティングで悔しくないんか? とは言ってなくて、ソフトバンクさんに全員で立ち向かっていこうという話はさせてもらった」。6試合全てに「1番中堅」で先発し、打率4割4分4厘、1本塁打。17年日本シリーズで敗れた悔しさを知る桑原が頂点へと導いた。

◆ソフトバンクのベテラン今宮健太内野手(33)が3安打と気を吐いた。初回1死の第1打席で右中間を破る二塁打。0-4の4回先頭は左前打、6回1死も左前打とシリーズ第1戦から6試合連続安打を放った。シリーズ通算打率3割7分5厘をマークし、敢闘選手賞にも選出されたが「悔しいですね。チームとして何もできなかった」と4年ぶりの日本一を逃し、厳しい表情で振り返った。

◆DeNAの大ファンで知られる歌手の相川七瀬(49)が、X(旧ツイッター)上で感極まった。26年ぶり3度目の日本一に輝いたチームに「この景色まで連れて来てくれてありがとう」とつづった。「野球シーズンは野球のコメントが多くなります」と公言する相川は、試合中から早くも歓喜の投稿を連射。「もう、あかん声が潰れる。笑」「涙腺崩壊」「ベイスターズファンの皆様ともう熱烈応援で声が枯れております。こんな横浜夢見てた!!」と試合が進むごとにボルテージも高まると、いざ日本一を見届けて「去年の悔しいCSの広島球場の最終戦。今日ここでベイスターズの日本シリーズを観てる。ベイスターズ、私たちファンを日本一という、この景色まで連れて来てくれてありがとう」と感情を込めた。相川の投稿に対して「最後まで、勝利の女神」とたたえる投稿が相次いだほか、往年のファンたちからは「98年の優勝も見てますが、そこからすごく長かったです。暗黒時代と言われるところまで落ちてからチームが1つ1つ強くなるプロセスから応援してたので、嬉しさ倍です!」「ガラガラだったハマスタ、多村、金城、内川、村田がいてもなぜか勝てなかったあの頃 そして3位からロッテ以来の日本一 川崎球場の頃から見てる祖父は驚いてまだ騒いでます」などが寄せられた。

◆DeNAファンが、横浜スタジアム外の横浜公園内で選手より一足先に「ビールかけ」をスタートした。試合中からあふれんばかりの大勢のファンが詰めかけ、スタンド外から大声援。X(旧Twitter)でも「外野席の倍以上居るんじゃないか?」「第2のスタンド化してる」など驚きの投稿が相次いだ。26年ぶりの日本一に大盛り上がりの中、横浜スタジアム周辺には警察も出動した。

◆ソフトバンクの4番山川穂高内野手(32)が悔しさを募らせた。自身初の日本シリーズは通算打率1割3分6厘、1本塁打、3打点。直近4試合は15打数無安打に終わり、チームも4連敗で力尽きた。「最後は日本一になりたかったし、残念だったけど、来年はこの景色を忘れずに頑張りたい」。移籍1年目の今季は34本塁打、99打点で打撃2冠の主砲が来季の日本一へ雪辱を誓った。

◆ソフトバンク有原航平投手(32)が3回を6安打4失点でKOされた。0-0の2回先頭の筒香に先制ソロを献上。なおも2死二、三塁で桑原には2点タイムリーを許した。続く3回は2死満塁で押し出し四球を与え、さらに1失点で崖っぷちとなったマウンド上で先発の役目を果たせず。「先制点を与えてはいけない試合ということは、分かっていました。でも結果として3回で4点取られてしまった」と肩を落とした。

◆DeNAが26年ぶり3度目の日本一に輝き、X(旧ツイッター)では南場智子オーナー(62)をたたえる投稿が相次ぎ「南場オーナー」がトレンド入りした。試合が進むにつれて投稿数が増え、午後10時20分時点で1万5000件余りの投稿が寄せられた。「南場オーナーが本当に嬉しそうでほっこりしたわ~」「南場オーナーが機嫌がいい時、俺の機嫌もいい」と優勝を分かち合うファンがいたほか、「南場オーナー、マジでオーナーの鑑なんよなぁ...ベイスターズの救世主」「本当にDeNAが親会社になってくれてよかったよね 南場さん最高のオーナーだよ」と手腕を高く評価する投稿が続出。ファンの中には「南場オーナー、横浜DeNAベイスターズ、日本一優勝グッズお願いします!!!!」と呼び掛ける投稿もあった。

◆ソフトバンク選手会長の周東佑京外野手(28)は大敗に悔しさをにじませた。「こういう大舞台でもっと活躍しなければならないと思った」。シリーズ6試合目で初めて「1番中堅」で先発出場。4打数無安打に終わり打線をけん引することはできなかった。「シーズンの個人成績も全然、納得していないし。来年はもっと頑張りたいと思う」と唇をかんだ。

◆ソフトバンクは「日本一」の称号を手にできなかった。セ3位から勝ち上がったDeNAに2勝から4連敗。91勝を挙げリーグを圧倒した力は発揮できなかった。今季は球団創設20シーズン目。節目の年だった。ホークスはこの20年間で7度のリーグV。「私は縮小均衡よりも拡大均衡がいい」。孫オーナーの思考は小さくまとまることを嫌う。常に拡大の思想が通底。親会社ソフトバンクグループの経営戦略も携帯事業の「情報」から新ビジネス投資、さらに近未来を見据え「AI戦略」へと、勝負手を打ち続けている。「1番以外は敗者」。孫オーナーから指示も飛ぶ。あらゆるデータ活用でチーム強化。科学的なアプローチで変革。今オフにも本拠地ドーム内に打撃練習場を新設予定。対戦投手の球速、ボールの回転数や回転軸を忠実に再現する最新鋭の打撃マシンを設置する。FA&外国人補強は名指しでの獲得指令も下る。契約年数の総額なら軽く100億円(推定)を超える莫大な資金をつぎ込んで近藤、オスナ、有原、山川らを獲得。他球団もため息の「投資」に惜しみない。昨秋の就任会見での小久保監督の言葉は印象的だった。常勝へ向け「古きよきものと、古くさいものの選別」-。ただ「古きよき」ものの嗅ぎ分けは非常に難しい。「古くささ」の中にくるまれる「神髄」のようなものもあろう。ホークスにはそれを識別し、先導する「主語」がまだ明確になっていない。現場は小久保監督に任せても、球団としての確固たる姿はおぼろげだ。「新しさ」にも慎重な見極めが必要だ。データが人を活用するのでは本末転倒。「新しさ」に傾倒しまい、本質を見失ってしまうこともあろう。バットを振る体力のない選手、制球のない投手にデータだけを詰め込んでも好結果には導けない。筑後のファーム施設でも試行錯誤は続いていると聞く。4年ぶりのリーグ覇者となりながら、屈辱的な大敗でシリーズの幕は下りた。悔しいが「敗者」として謙虚な姿勢も必要となった。ソフトバンク王球団会長(4年ぶりの日本一を逃し)「1試合ごとにDeNAは強くなった。勝利への執念というか執着心が強かった。シリーズは負けたけど、小久保監督は1年目から選手の長所を引き出してくれて(シーズンは)91勝したし、監督の功績は大ですよ」

◆貯金2でシーズン3位だったDeNAが、貯金42でパ・リーグ王者のソフトバンクを4勝2敗で下し、下克上で26年ぶりの日本一を達成した。本拠地横浜スタジアムで2連敗スタートだったが、敵地みずほペイペイドームでの第3戦から3連勝を飾って、本拠地に戻った第6戦も11ー2で大勝した。第3戦以降、投打ががっちりとかみ合って、6戦合わせ、33-14でソフトバンクに勝利した。三浦大輔監督(50)は「強い強い相手だったのて、本当に毎試合毎試合、全力を出さないと勝てないというチームだったので、選手たちも福岡に行って気持ちを一つにして、また横浜で全員が最高の力を発揮して1つになれたと思います」と歓喜の涙を流した。ファンに向け「苦しい時も、しんどい時も、常に信じて応援していただき、ありがとうございます。この日本シリーズ優勝をみなさんと一緒に喜び合えたこと、最高の気持ちでうれしいです」と感謝した。

◆ソフトバンクがまさかの大敗を喫し、20年以来4年ぶりの日本一を逃した。-エースの有原に託したが敗戦小久保監督 プレッシャーの中でどのピッチャーもなかなか。打線の迫力というか、それはすごく感じた。でも、その中でも尾形や杉山、ヘルナンデスは持ち味を発揮してくれた。-4番の山川には終始厳しいマークが小久保監督 向こうは桑原がラッキーボーイ的な存在。やっぱり打線が。途中から1番に入って、打線を引っ張りましたよね。-ホークスはラッキーボーイがなかなか出なかった小久保監督 でも随所にいいところはありましたけどね。今宮はよく頑張りました。-試合前にはチームにどんな言葉をかけたのか小久保監督 昨日(2日)の中止はこっちに味方するっていう話をして。ここから勝った方がドラマチックで盛り上がるという話しをした。-短期決戦の難しさ小久保監督 難しさというか、流れ。何のプレーかっていうのは別になかったんですけど。本拠地に帰ってから今日まで、そういう風に流れがこなかった。

◆日本シリーズで26年ぶり3度目の優勝を果たしたDeNAは試合後、横浜スタジアムで記者会見を行った。三浦大輔監督は胴上げに「最高の気分でした。本当に選手たちとスタンドのファンの方が一体となったと思います」。試合終了でコーチと抱き合った瞬間は「うれしくてうれしくて震えてました」と振り返った。 試合前は「いつも通り、持てるものを出し切ろうと言った。全員がCSに入ってから毎日毎日出し切ってくれたと思います。レギュラーシーズン3位から気持ちを切り替えて、悔しさをバネに日本シリーズ優勝に1つになれた。この時期まで試合ができることに感謝した」と話した。キャプテン就任1年目のの牧秀悟は「こうして最後、日本一になれたことがうれしい気持ちでいっぱいです。正直(主将)1年目だったので、分からないことがあったけど、こうしてCS、日本シリーズを勝ち切れたのは自分にとっても、チームにとってもいいものが得られた。初戦、2戦目と負けはしましたが、最終回に攻め込んだり、2戦目も追い詰められた。ビジターの1戦目、クワさんが二塁打で士気を上げてくれたの」と話した。MVPに選ばれた桑原将志外野手は「俺だろと思っていました。試合終わってから、ずっと思ってました。正直、ずっと気を張り詰めていたので、きれいな夜空が見られてよかったです」と話した。試合前には「先を見ずに、今まで通り全力で勝つぞ」とシンプルな言葉でナインに思いを伝えていた。2連敗で迎えた第3戦。左太もも裏の肉離れで全治4週間ながら2週間で復帰し、7回1失点で白星を挙げた東克樹投手は「(優勝は)本当にうれしくて。僕が投げたのは1試合でしたが、みんな第6戦まで戦ってすごいなと思っていました。流れを変えたいとマウンドに上がって、チームに勢いをつける投球ができたと思います。投手陣は、このポストシーズンで一皮むけた。素晴らしい経験ができたと思う」。第7戦があれば先発が予定されていた。「今日で決めてくれと思っていた。日本のベイスターズファンの中で一番思っていた。体がパンパンだったので」と笑った。▽DeNA石井チーフ打撃コーチ兼走塁兼一塁ベースコーチ(自身が現役だった98年以来の日本一に)「26年前は26年前なんで。今、このチームで日本一になれたっていうのは素直にうれしいですし、今の選手と一緒にやれたことを誇りに思います」▽DeNA戸柱 本当にうれしかったですし、報われたなと思います。僕もですけど、周りで支えてくれた人も全員、この日のために頑張ってきたんで、本当に良かったなと思います。

◆DeNAの南場智子オーナー(62)が、日本一に輝いた選手たちをたたえた。「選手たちがとても誇らしかった。本当によく監督も言うけれど、全員で達成したことだと思いました」と祝福した。 26年ぶりの日本一の瞬間を現地で見届け「生きててよかったなと思いました。浜、神奈川、全国のDeNAベイスターズファンの皆さんに、恩返しが少しできたかなっていう気持ち。それが一番うれしかったです」と感情が込み上げた。 プロ野球に参入したのは2012年。15年1月にオーナー就任した。これまでの歩みをたどりながら「(当時は)チームもすごく弱かったでしたし、空席が目立つ状態だった。頑張っていいことをすれば、お客さんも来てくださるようになる。それの積み重ねでしたので、本当にファンの方に育てられた。横浜、神奈川、全国のファンの皆さまに育てられてここまで来たので、もう感謝しかないですね」と感謝を述べた。 オーナー就任後初の日本一にも満足することはなく「ベイスターズについて言いますと、やっぱりリーグ優勝してないので。それはまだ大きな忘れ物。それはちゃんと来年以降取りにいかなきゃいけないというふうに思っています」と話した。

◆日本シリーズMVPに初選出されたDeNA桑原将志外野手(31)が優勝会見で本音をぶちまけた。打率4割4分4厘、1本塁打、9打点の好成績で、MVP選出を予想していた。「俺だろと思っていました。試合終わってから、思ってました。正直ホント、ずっと気を張り詰めていたので、きれいな夜空が見られてよかったです」と話した。試合前にはベンチ前で「先を見ずに、今まで通り全力で絶対勝つぞ」とシンプルな言葉でナインに思いを伝えていたという。「王手をかけてましたし、本当にみんな今日決めるという気持ち先走るのも分かります。僕自身も今日に決めたいという思いもありました。けど、先ほども言いましたけど、気持ちが先走って、自分の役割を見失わないように、その場、その場で自分たちができることをしっかりできればいいかなという思いで、言葉を掛けました」と平常心を強調した理由を説明した。日本シリーズで9打点は、長嶋茂雄(巨人)、バース(阪神)に並んだ。「ちょっと恐れがたいと言いますか、本当に光栄に思います」と話した。

◆DeNAのビールかけが、横浜スタジアム内の室内練習場で行われた。1軍選手、首脳陣、スタッフとともに、一部のファームのコーチ、スタッフらも参加。用意されたビール4000本が一気に泡と消えた。キャプテンの牧秀悟は「こうして最後、日本一になれたことが何よりもうれしいです」と笑顔をはじけさせた。

◆お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」が公式X(旧ツイッター)を更新し、26年ぶり3度目の日本一に輝いたDeNAを祝福した。DeNAのユニホーム姿のリーダー肥後克広(61)と寺門ジモン(61)、故・上島竜兵さんがなじみの「ヤーッ!」ポーズをする写真も添え、「『SMBC日本シリーズ2024』優勝!26年ぶりの日本一おめでとうございます 三浦監督!選手の皆様!スタッフ、関係者の皆様!ファンの皆様!本当におめでとうございます 嬉しいです!今日は、3人の写真で!!#横浜denaベイスターズ#ハマスタ#日本一おめでとうございます」と投稿した。歓喜の投稿に「竜ちゃーーーーん!勝ったよーーー」「竜ちゃんも空から横浜優勝を見届けたはず。ベイスターズ優勝おめでとう!」と寄せる投稿が相次ぎ、3人の定番ギャグにちなみ「ベイスターズ日本一なんて聞いてないよ~~」との返信も見られた。

◆DeNA森原康平投手(32)が9回のマウンドに上がり、3者凡退で試合を締めくくった。9点リードの9回、場内から盛大な森原コールを受けながら、マウンドへ。先頭の周東と続く今宮を連続で二ゴロに抑えると、最後は柳田を空振り三振に仕留めた。「最後の場面でマウンドに上がれたことにめちゃくちゃ幸せを感じてます」と喜びをかみしめた。「毎日、今日行けるか行けないかっていう感じで過ごしてた」。右肩のコンディション不良でCSファイナルステージ第1戦のベンチを外れるなど、日々ギリギリの状態で戦ってきた。それでも最後まで戦い抜くことができたのは、ファンの声援があったから。「今日もブルペンから中継見てたら、スタジアムの外にもめちゃくちゃ人がいて。それ見てちょっとこれすごいなって。間違いなく力になってます」と感謝した。

◆4年ぶりの日本一を逃したソフトバンクは、チーム宿舎でミーティングを行った。王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(84)は熱くチームを鼓舞。「絶対に勝つつもりで臨んだシリーズだったが、こういう結果になって大変残念だった。しかし、1年間の戦いを否定される訳ではなく、素晴らしい戦いをしてきたと思う。シリーズは勝てなかったが変に責任を感じずに、胸を張って来シーズンに向かって頑張ってほしい」などと訓示した。就任1年目を終えた小久保裕紀監督(53)もナインの前に立った。「最高の形で終わることができなかったが、日本シリーズの負けの責任は私にあります。選手たちは最後まで精いっぱいやってくれたと思っている。このオフにどういうチーム作りをするか、良いところは引き継ぎながら改善するところは改善する。今年1年ペナントを戦った中で、ホークスとして決められたルールは、若手ベテラン関わらず、やりきってくれた。そこは本当に誇りを持ってくれたらいいなと思います。来シーズンは当たり前のことを当たり前にできるチーム作りを目指していく。オフに入る選手はゆっくり休んでもらって、来年への課題がある選手は課題に向けて取り組んで、また新たなスタートを切りましょう。今回のシリーズの責任は私にあります。勝たせられなくて申し訳ない」と頭を下げた。ソフトバンクは今季4年ぶりにリーグ制覇も日本一奪還はならず。来季はリーグ連覇と5年ぶりの日本一を目指す戦いになる。

◆日本シリーズで26年ぶり3度目の優勝を果たしたDeNAは試合後、横浜スタジアムで記者会見を行った。監督としては初優勝となった三浦大輔監督(50)の一問一答は以下の通り。-26年ぶりの日本一。今の気持ちは先ほども言いましたけど、最高の気分でした。-シーズンを通して素晴らしい戦いだったのでは選手たちとスタンドのファンの方たちが一体となって戦えたと思います。-優勝が決まった瞬間コーチ陣とも肩を組んでいたがうれしくてうれしくて、震えてましたね。はい。-勝てば優勝という試合に臨むにあたって、選手たちにかけた言葉はいつも通り、今日持てるもの、出せるもの、自分ができることを精いっぱいやっていこうと。出し切ろうという話はしました-26年前は選手として日本一を経験した。監督としての日本一は違うか選手たち、スタッフ、ファンの方に感謝の気持ちでいっぱいです。しんどい中でも、誰ひとり弱音をはかずに、特にクライマックス、日本シリーズに入ってから、全員が本当に毎日毎日出し切って、いっぱいいっぱいのところで最後までよく戦ってくれたと思います。-3位からの下克上は、どのチームより多い、157試合を戦って頂点に立った。今年1年はどうだったかやはりレギュラーシーズン3位という悔しい結果に終わり、そこからもう1度気持ちを奮い立たせて、次はクライマックスから日本シリーズに出て優勝するという目標に、選手たちもスタッフもみんなが、気持ちを切り替えて。悔しさをバネに日本シリーズ優勝を目指して1つになっていけたのが、今シーズンかなと思います。この時期まで試合ができる幸せをかみしめながら、感謝の気持ちを持って、毎日試合に臨めたのが良かったかなと思います。-ビール掛けはどんな風に楽しみたいか。来シーズンに向けての抱負をもう選手、スタッフ、みんなと思いっきりはしゃぎたいと思ってます。楽しみです。来シーズンは、やはりレギュラーシーズン3位という悔しい結果に終わりましたから、そこで優勝して、もう1度この舞台に立って、日本一になれるようにと思ってます。今日は、楽しみます。

◆4年ぶりの日本一を逃したソフトバンクが中日ライデル・マルティネス投手(28)の獲得調査を行っていることが3日、分かった。過去2度のセーブ王を獲得した右腕は今季が3年契約の最終年。オフの去就が注目されており、ソフトバンクは中継ぎ強化として白羽の矢を立てた。日本シリーズで戦ったDeNAも獲得に興味を示しており、残留要請を行っている中日を含めた複数球団との争奪戦になる。来季こそ5年ぶりの日本一奪還へ。ソフトバンクが日本球界屈指のリリーバー獲得を目指していることが判明した。マルティネスは17年に育成選手として中日に入団。18年4月に支配下登録され、主にセットアッパーや守護神として活躍した。通算303試合に登板し、14勝18敗、42ホールド、166セーブ。防御率も驚異の1・71だ。今季も60試合で防御率1・09。43セーブで自身2度目のセーブ王を獲得している。DeNAとの日本シリーズではリリーフ陣に誤算があった。本拠地3連敗を喫した第3戦~第5戦は16失点のうち13失点がリリーフ陣。セットアッパーだった藤井と松本裕の故障不在が最後まで響いた。マルティネスはNPBでの実績十分で、球団としても計算が立つと判断。リーグ2連覇を目指すうえでも水面下で調査を進めてきた。鉄壁な「勝利の方程式」も夢じゃない。守護神のロベルト・オスナ投手(29)は23年オフに4年契約を結んだ。8回の男ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手(27)は今季限りの契約だが、球団は契約延長に向けて残留要請を出す。モイネロかスチュワートが先発登板の日は、現状の規定では外国人枠の関係で中継ぎ3人のうち誰か1人がベンチ外となる。それでもマルティネス獲得となれば戦力に厚みがでることは間違いない。マルティネスに関してはDeNAも獲得に興味を示しており、中日も残留要請を出している。複数球団との争奪戦は必至だが、ソフトバンクはオスナの単年10億円と同等かそれ以上の契約で獲得を目指す見込みだ。マルティネスはこの日、キューバ代表として出場するプレミア12に向けて台湾に出発。「もうちょっと時間がかかると思います。来季のことについては、まだ結論は出てないです」と話しており、今オフの去就が注目されている。豊富な資金力などを武器に、タカが日本一補強を進めていく模様だ。ライデル・マルティネス 1996年10月11日生まれ、キューバのピナル・デル・リオ出身。キューバ国内リーグを経て、17年WBCキューバ代表。同年開幕前に、育成選手として中日入り。18年シーズン中に支配下へ昇格した。主にセットアッパーと守護神を務め、22、24年には最多セーブを獲得した。直球の最速は160キロ超。193センチ、93キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は2億円。

◆DeNAが、パ・リーグ王者のソフトバンクを4勝2敗で下し、シーズン3位からの下克上での日本一を達成した。シーズン3位からの日本一は2010年のロッテ以来で、セ・リーグでは史上初だった。三浦大輔監督(50)は「チーム全員で戦った結果だと思います」とたたえた。この日、傍らには石井、鈴木、田代、靍岡、相川、小池、田中、大原、小杉、万永野手コーディネーターら10人の首脳陣。26年ぶりの日本一は、指揮官が理想に掲げた集団「番長ズ11」へと近づいた証しだった。「監督1人じゃ勝てないし、打撃、投手、守備、走塁、各部門のスペシャリストの力を結集することで、強いチーム、組織が作れる。理想は『オーシャンズ11』みたいなね」昨年、理想のチーム像を聞かれ、大ヒット映画「オーシャンズ11」を例に挙げた。ジョージ・クルーニー演じる主人公のオーシャン率いる11人のスペシャリスト集団が、巨大金庫から現金を強奪する物語。映画の世界だが、勝つために個性豊かなプロ集団になることを求めた。表では明るく、ポジティブな指揮官だが、裏での苦悩、心労は体の異変として表れた。数年前に突発性難聴を発症。今も右耳は聞こえにくく、意識的に左耳を傾ける。コーチら一部の球団関係者には伝えているが、弱みは見せず、ベンチで指揮。「番長」であり続けた先に、日本一の瞬間が訪れた。【久保賢吾】DeNAが横浜時代の98年以来、26年ぶり3度目の日本シリーズ制覇。今季の公式戦は貯金2で勝率5割7厘の3位。まだセ・リーグ優勝は60、98年の2度しかなく、リーグ優勝より日本一の方が多いのはDeNAだけだ。リーグ優勝球団以外の日本一は19年ソフトバンク以来5度目。3位からは10年ロッテ以来2度目で、セ・リーグの3位は初めて。75年阪急の貯金5と勝率5割2分を下回り、「最少貯金」、「最低勝率」の日本一となった。対戦したソフトバンクは貯金42の勝率6割5分。これまで貯金差が25以上あったシリーズはすべて貯金の多い球団が日本一になっていたが、DeNAが貯金差40をひっくり返した。勝率が1割以上低い球団が勝ったのも初めてになる。DeNAの日本一は60年→98年→24年。今回の26年ぶりは日本一ブランクの7位タイで、25年以上のブランクが2度はDeNAが初めて。60年は三原監督、98年は権藤監督で、生え抜き監督では球団史上初。三浦監督は98年<3>戦に先発。選手と監督の両方でシリーズに出場して日本一は20人目となり、そのうち投手は金田正一、藤田元司、渡辺久信、工藤公康、高津臣吾に次いで6人目。

◆DeNAがソフトバンクを逆転4連勝で下し、26年ぶりに日本一に輝いた。IT野球を支えたコーチ陣、ビジネス部門のリーダーに焦点を当てた。豊富なデータで裏打ちされた"IT野球"が下克上の一助になった。現在、1軍のコーチ陣にはアナリスト経験者が2人。靍岡賢二郎オフェンスチーフコーチ(37)と大原慎司チーフ投手コーチ(39)。シーズン開幕前にMLBダイヤモンドバックスに研修で派遣された小杉陽太投手コーチ(38)がデータに造詣が深く、感覚だけではなく専門的な数字を読み解いて、起用や指導に生かしてきた。象徴的だったのは巨人とのCSファイナル。大貫、吉野、浜口と先発投手が外角から中に入ってくるバックドアのカットボールを活用した。9月下旬に捕手の戸柱が感覚的に「使える」と感じて多用。小杉コーチがデータと照らし合わせた。「バットとの接点も少なくて、打球の質もあまり良くなかった」と組み立ての幅が広がった。さらに外に抜けたような軌道になるため、投手自身も変化しているのか実感しにくいが、それもデータで曲がりと有効性を可視化。投げてる投手に自身を植え付けた。靍岡コーチもデータと肌で感じた感覚でオーダーや代打、作戦を提案。日本シリーズに入ってからは練習の打球速度なども参考に調子を見極め、勝利翌日でも目まぐるしく打順を入れ替え、ソフトバンクに打ち勝った。自チームだけでなく相手の映像を見るツールも充実しており「今の子は覚えたら早い。リテラシーは上がってる」と評する。大原コーチも相手打者の苦手な回転数、球速帯、ゾーンなど準備された細かいデータの数々からヒントを得て、CSから日本シリーズまで継投策を当て、ロースコアゲームを勝ちきった。「だんだんとデータと経験のあんばいが分かってきた。短期決戦は選択肢が多くてやりやすかった」とうなずいた。DeNAの"IT野球"が、日本一への快進撃を支えた。

◆DeNAがソフトバンクを逆転4連勝で下し、26年ぶりに日本一に輝いた。IT野球を支えたコーチ陣、ビジネス部門のリーダーに焦点を当てた。かつて閑古鳥が鳴いた横浜スタジアム。いまや連日、満員札止が続く。DeNA参入当時は最下位常連でも観客動員を増やすために、イニング間や試合後イベントを試行錯誤してきた。ビジネス統括本部の林裕幸本部長は言う。「当時は決して強いと言えるチーム状況じゃなかった。勝敗に関係なく、球場に来たら楽しいと思ってもらえるように、というところからスタートしてます」ただ、状況は良い意味で変わった。直近3年連続Aクラス入り。ビジネス側も変革を迫られた。「優勝が狙えるフェーズになった。ただファンの方が集まったらいいというより、何かが起きそうな雰囲気をつくらないといけない。ビジネスは売り上げをつくる、チームは勝つ。それぞれの役割を果たすだけでは優勝できなかった。ビジネスからチームを勝たせられるようにという発想への切り替えがありました」イニング間、ファンに大声を出してもらうイベントやチームを鼓舞するためのスペシャルイベントを重視。26年ぶりの日本一となった今も、見据えるのはさらにその先にある。「98年も優勝してファンの方は増えたがその先につなげられなかった。00年代はチームも弱くて、お客さんも少ない状態になった。常勝軍団であり続けるためにもしっかりとファンの方が定着してくれるような仕掛けは継続していきたい」派手なイベントや新しい取り組みを積極的に行ってきたDeNA。それが野球で成功を収めるという価値はビジネス面にも大きい。「我々ビジネスでは異色や異端という扱いや認識をされてきた。それが勝てない要因と言われてることがあるとすれば、今回の日本一でファンの方に楽しんでいただきながらチームを鼓舞するイベントとチームの勝利の2つを両立できたという証明になったと思う」野球面だけでなくビジネス面からも常勝軍団を作っていく。【小早川宗一郎】

◆DeNA戸柱恭孝捕手(34)が、CSのMVPに続き、日本シリーズでも攻守でチームの日本一に貢献した。「本当にうれしかったですし、報われたなと思います。僕もですけど、周りで支えてくれた人も全員、この日のために頑張ってきたんで、本当に良かったなと思います。全員で勝ち取った日本一だと思います」日本シリーズでは全6試合にスタメン出場し、投手陣を好リードで導き、第3戦の2回から日本シリーズ新記録となる29イニング連続無失点を記録した。今季は、山本祐大捕手(26)が主戦捕手を務める中、戸柱は46試合の出場で、スタメンは19試合だった。山本が右尺骨を骨折、伊藤がCSファイナルで左ふくらはぎを肉離れし、阪神とのCSファースト第2戦から日本シリーズ第6戦まで13試合連続でスタメンに名を連ね、チームを日本一に導いた。「この1カ月、1カ月半が僕の野球人生でもすごく濃い期間でしたし、1年間しっかり準備して、やり続ける大切さをベテランとして、証明できたのかなと思います」26年ぶりの日本一を達成した瞬間、投手の森原とマウンド付近で抱擁し、チームメートの歓喜の輪を作った。限られた出番の中でも、早出練習から入念に準備を続け、報われた瞬間だった。

◆5年ぶりに横浜に戻った男が決めた。3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦。筒香嘉智外野手(32)が2回に先制ソロを放つと、5回2死満塁では走者一掃の3点適時二塁打。2安打4打点で、13安打で11点を奪った打線をけん引した。貯金42のパ王者ソフトバンクを圧倒し、貯金2、リーグ3位からの下克上物語を完結させた。最高殊勲選手(MVP)には3安打3打点で、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークした桑原将志外野手(31)が輝いた。筒香が横浜の歓喜を心から味わった。アメリカでの5年間、日々勝負の連続だった。「この打席、打てなければクビかもしれない」。マイナーや独立リーグでは環境も日本とは大違い。日本食が食べたくても、ナイター後は店じまいが早くて間に合わない。昼にうどんを買って温かい汁をちょっとだけすすり、試合後に冷えたうどんを食べた。日本の味だけで十分だった。忘れられない記憶を上書きした。13年前、11年10月18日、横浜スタジアムの中日戦。リーグ優勝を目の前で決められた試合だった。延長10回、投手浅尾、捕手は谷繁。筒香がワンバウンドした低めボール球を空振りして試合が終わった。「谷繁さんにタッチされて試合終了。打席から中日の選手たちが大喜びでマウンドに集まってくる、あの景色は忘れられない。あれをみると、やっぱりそれをしたいなと思いました」。13年の時を超え、日本一の歓喜の輪を体の芯から味わった。悔しい思いは数え切れない。だから、ここ一番で輝ける。【DeNA担当 小早川宗一郎】

◆DeNA森敬斗内野手が、1安打2得点1打点で日本シリーズ初優勝に大きく貢献した。2回1死一塁、右翼線へ二塁打で好機を拡大。1番桑原将志の左前打でホームを踏んだ。3回2死満塁では押し出し四球を選び、貴重な追加点を挙げた。5回1死一塁でも四球を選び、2番梶原昂希の適時打で生還した。地元神奈川の桐蔭学園出身。「素直にうれしい。ここで戦った高校の時は勝てなかったので、ここという最高の舞台で勝てて良かった」と話した。5年目の今季は71試合に出場し、打率2割5分1厘、0本塁打、5打点、8盗塁と自己最高の成績を残した。日本シリーズでも打率3割、2打点、1盗塁と活躍した。

◆DeNAの98年の日本一経験者のコーチ陣が、26年ぶりの日本一達成に歓喜した。石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチは「26年前は26年前なんで。今このチームで日本一になれたっていうのは素直にうれしいですし、今の選手と一緒にやれたことを誇りに思います」とかみしめた。鈴木尚典打撃コーチは「あれからもう26年もたったのかっていう、そういう気持ちです。26年、遠ざかっていたんで、本当に良かった」と笑顔で話した。

◆DeNA森敬斗内野手(22)が高校時代の悔しい思い出を最高の思い出に書きかえた。日本シリーズでは全試合に遊撃でスタメン出場し、20打数6安打で打率3割。上位打線へのつなぎ役としての役割を全うした。第6戦でも、2回に右翼線への二塁打を放ちチャンスメークするなど、2打数1安打2四球。チームの日本一に大きく貢献した。神奈川・桐蔭学園出身。全国屈指の遊撃手として名をはせたが、3年夏は4回戦敗退と不完全燃焼に終わった。「素直にうれしい。高校の時は勝てなかったので、ここという最高の舞台で勝てて良かった」。プロ5年目でつかみ取った栄光に喜びを爆発させた。

◆DeNAが98年以来26年ぶりの日本一を決めた。3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦でソフトバンクに勝利。リーグ戦3位から幕を開けたCSファーストステージからの下克上物語を完結させた。日本シリーズ・ニッカンMVP査定 シリーズ新記録の5試合連続打点をマークした桑原将志がMVP。桑原は打率4割4分4厘、1本塁打、9打点とチーム3冠の活躍だった。

◆ソフトバンクがDeNAに完敗し、4年ぶりの日本一を逃した。2勝3敗と崖っぷちの一戦で13安打11失点の大敗。小久保裕紀監督(53)は「敗戦の責任は全部僕にある。選手はよくやってくれた」と語った。連勝スタートも本拠地でまさかの3連敗。移動日と雨天中止をはさんでも負の連鎖は止まらなかった。「雨が降って流れが変わるかと思ったけどですね。なかなかうまくいかなくて」。4連敗中はリリーフ陣が計20失点と崩壊。12球団トップクラスの打線も、同一年の日本シリーズでワーストを更新する29イニング連続無得点と沈黙。柳田、山川、近藤らベストオーダーでの采配。小久保監督は「そのメンバー以外では戦ってきてないんでね」と信頼してきたナインをかばった。シーズンは2位の日本ハムに13・5ゲーム差をつけ、CSファイナルステージも無敗で突破。FA加入した山川を中心に圧倒してきたが、DeNAに下克上日本一を許した。「シリーズに負けて僕に責任があるので。ただ、シーズンを戦った選手たちには胸を張って福岡に帰ってもらいたい」。屈辱は就任2年目となる来季へ。「まずはリーグ制覇に重きを置いてやりたいと思います」と必死に前を向いた。【只松憲】

◆DeNAが98年以来26年ぶりの日本一を決めた。3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦でソフトバンクに勝利。リーグ戦3位から幕を開けたCSファーストステージからの下克上物語を完結させた。98年日本シリーズ 権藤監督率いる横浜は西武と対戦。横浜は第1戦に9-4、第2戦は4-0と横浜スタジアムで連勝。西武ドームに移動後、第3戦に2-7、第4戦は2-4と連敗したが、第5戦には20安打を放ち17-5の大勝で王手。第6戦は両軍無得点の8回に駒田の2点二塁打で先制。9回を佐々木が1失点に抑えて日本一を決めた。シリーズMVPは打率4割8分、1本塁打、8打点の鈴木尚典。

◆"マシンガン打線"を擁してリーグ優勝、日本一に輝いた1998年以来、26年ぶりに日本一に輝いたDeNA。12球団最長ブランクを更新するほど、歓喜の瞬間から遠ざかっていた。98年に生まれた牧秀悟内野手(26)、伊勢大夢投手(26)ら支配下8人組のそれぞれの関係性は...?"98年組"の相関図が完成した。

◆2勝3敗でもう後がないソフトバンクは近藤健介外野手(31)が「5番・左翼」で先発する。近藤の左翼先発は走塁中に足首を捻挫した9月15日オリックス戦(京セラ)以来。また柳田悠岐外野手(36)が5月31日の広島戦(みずほペイペイ)以来となる3番で先発する。

◆2012年から4年間、DeNAの監督を務めた中畑清氏(70)が始球式を務めた。監督時代と同じ背番号70のユニホームで登場した。マウンドに立つと、肩をひと回ししてから右腕を振りかぶり、三塁側に少しそれる投球となった。大役を終えると、一塁側のスタンドに向けてボールを投げるファンサービスもみせた。試合開始後はテレビ中継の解説に登場。中畑氏は「(始球式は)気持ちよかったな。選手はすごい気持ちが入ると思う」と超満員の球場に興奮気味だった。

◆DeNA・戸柱恭孝捕手(34)が6試合続けて先発出場。二回の第1打席で左膝付近に自打球を受け、一度はトレーナーの肩を借りてベンチへと戻ったが、治療を受けてプレーを続行した。直後に左翼線へ安打を放って出塁。続く森敬の右翼線二塁打で一気に三塁へ進み、桑原の追加点となる2点打を演出した。

◆「1番・中堅」で先発出場のDeNA・桑原将志外野手(31)が1-0の二回2死二、三塁で左前に2点を放った。これで日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマーク。1998年以来、26年ぶりの日本一に王手をかけているチームに追加点をもたらし、一塁ベース上で右拳を突き上げた。1ストライクからソフトバンク先発右腕、有原の148キロのツーシームを捉えた。鋭いゴロで三遊間を破った。試合前時点で全5試合で打率・391(23打数9安打)、1本塁打、6打点と大当たり。ハマのリードオフマンがこの日も存在感を放った。「打ったのはツーシームです。もう1点、もう1点と強い気持ちを持ち、そして後ろに繋げようと打席に入りました。まだまだ気を抜かずにがんばります!」とコメントした。

◆DeNA・森敬斗内野手(22)が3―0の三回2死満塁で押し出し四球を選んで4点目を挙げた。勝てば日本一の一戦で点差をさらに広げた。三回は先頭の牧が中前打で出塁し、その後は2死となったが宮崎が死球、戸柱も四球を選んで満塁のチャンス。森敬はフルカウントの末にしっかりとボールを見極めて貴重な追加点となる4点目をあげた。

◆ソフトバンク・柳田悠岐外野手(36)が4点を追う四回無死一塁でバックスクリーンへ2ラン本塁打を放った。ソフトバンクにとっては第3戦の一回以来、30イニングぶりの得点となった。先発・有原航平投手(32)が三回までに4点を失い、序盤でビハインドを背負う苦しい展開となった。四回先頭の今宮健太内野手(33)が左前打を放って出塁。柳田はカウント2-1から大貫の外角高め直球を強振。「いいスイングができました。まず2点を返すことができて良かったです。なんとか逆転できるように頑張るだけです」と語った。

◆頼もしいリードオフマンの勢いが止まらない。DeNA・桑原将志外野手(31)が「1番・中堅」で出場し、四回に3打席連続安打となる左前打を放った。一回は三遊間へのゴロにヘッドスライディングをみせて内野安打を勝ち取ると、1-0の二回2死二、三塁で左前に2点を放ち、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマーク。四回は代わったばかりの尾形から外角スライダーを捉えて左前へと運んだ。第5戦までで打率・391(23打数9安打)、1本塁打、6打点。全試合に出場し、攻守で存在感をみせており〝シリーズ男〟となっている。

◆ソフトバンク・有原航平投手(32)は3回4失点降板。二回、先頭の筒香にバックスクリーンに先制ソロを被弾。1死後、戸柱、森に連打を浴びるなどして招いた2死二、三塁から桑原にレフトへの適時打を許して0-3。さらに三回には2死一塁から宮崎を死球で出すと、戸柱、森に連続四球を与えて押し出しで4点目を献上した。「先制点を与えてはいけない試合ということはわかっていました。でも結果として3回で4点取られてしまった。チームが逆転してくれることを信じるしかありません」と唇をかんだ。

◆DeNA・大貫晋一投手(30)が4回56球を投げ、5安打2失点で降板。第2戦は三回途中5失点と悔しい結果になったが、雪辱を果たすべく役割を果たした。ストライク先行の投球で勝負した。一回は1死から今宮に二塁打を浴びたが、柳田を中飛、前回登板では本塁打を打たれた山川を空振り三振に仕留めるスタート。二回も先頭の近藤に中前打を許したが、栗原を空振り三振、牧原大は二ゴロ併殺打に抑えた。味方打線が先制した直後の三回も3者凡退に仕留める安定した投球。四回に柳田に2ランを浴びたが、その後は踏んばって五回からは2番手・浜口とバトンタッチした。

◆DeNA・浜口遥大投手(29)が4―2の五回に2番手で登板。五回を三者凡退に抑えると、何度も体をたたいて雄たけびを連発。さらに、スタンドに向かって両手を挙げて、球場全体の流れを呼びこむように観衆をあおりながら一塁ベンチへと思った。

◆DeNA・梶原昂希外野手(25)が、五回1死満塁で中前適時打を放った。4点を先行しながら四回に2点差に詰められ、再び突き放す一打となった。五回は3番手のスチュワートに対して1死から戸柱が中前打で出塁すると、森敬は四球、代打・佐野は右前打とつながり満塁に。桑原は押し出し四球を選んで1点を追加し、続く梶原は真ん中低めのスプリットを上手くすくいあげて中前へ運んだ。神奈川大から入団3年目。今季は主に1番打者として91試合に出場し、打率・292で自己最多の99安打を記録した25歳が日本シリーズでも力をみせた。

◆「5番・左翼」で先発出場のDeNA・筒香嘉智外野手(32)7―2の五回2死満塁で走者一掃の3点二塁打を放った。ソフトバンクの4番手右腕、岩井の初球、150㌔の直球を一閃。左中間フェンス直撃の大飛球を放った。なおも2死二塁で6番・宮崎も続き左中間適時二塁打。この回は打者一巡の猛攻で7点を奪った。

◆DeNAが2連敗のあと第3戦から4連勝を飾り、1998年以来、26年ぶり3度目の日本一にたどり着いた。打線が大一番で爆発した。二回に筒香のソロ本塁打で先制。さらに桑原の2点打で幸先よく3点のリードを奪った。三回には押し出し四球で加点した。五回には打者11人で5本の長短打に押し出しの2四死球が絡み、7得点のビッグイニングを作った。投手陣は先発の大貫が柳田に2ランを被弾したが、救援陣4人は無失点に封じ込めた。セ・リーグ3位でポストシーズンを迎えたDeNAは、クライマックスシリーズ・ファーストステージでリーグ2位の阪神に2連勝して突破。ファイナルステージではリーグ優勝の巨人を4勝3敗で下した。リーグ3位から日本シリーズまで制した〝下克上〟は、2010年のロッテ以来、史上2チーム目となった。

◆DeNAの本拠地、横浜スタジアムは大勢の人でにぎわっていた。最寄りの関内駅は横浜ブルーのユニホームを着たファンが殺到。入場券はプラチナ化しており、インターネットのチケット交換サイトでは午後6時の試合開始前時点で1枚8000円から15万円ぐらいで取引されていた。駅近くで「チケットゆずってください」と記した紙を持っていた50代の主婦と中学生の娘の親子は「(午後)1時半からいますが、なかなか難しいですね」と声を落とした。入場券が手に入らなかった場合は、球場近くで雰囲気を味わいながら応援するという。10月に販売開始した日本シリーズの入場券は4600円から1万9600円に設定し、即完売した。米大リーグのワールドシリーズの入場券が800ドル(約12万円)だったことを踏まえると良心的に思える。(柏村翔)

◆パ・リーグ覇者のソフトバンクはセ・リーグ3位から勝ち上がってきたDeNAに敗れ、2勝4敗で2020年以来4年ぶりの日本一達成はならなかった。先発の有原航平投手(32)は3回4失点で降板。五回に救援陣が打者一巡の猛攻を受け、7点を加えられ2ー11と大量リードを許した。打線は4点ビハインドで迎えた四回、「3番・右翼」で出場した柳田悠岐外野手(36)がセンターバックスクリーンに2ラン本塁打を放って一時2点差としたが、五回以降は打線が沈黙した。

◆DeNAが26年ぶりとなる日本一を達成した。シーズン3位から進出した日本シリーズでソフトバンクに4勝2敗。2連敗から始まった最終決戦を最後は4連勝で下剋上を果たした。王手をかけた第6戦は二回に先頭の筒香のソロで先制すると、後続もつながってリードオフマンの桑原も続いて2点打を放って、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマーク。三回は森敬の押し出し四球。4―2の五回は再び筒香の3点二塁打など打者一巡の猛攻で7得点。打線が爆発した。九回は守護神の森原がマウンドへ。周東、今宮とニゴロに抑え、最後は柳田を空振り三振。歓喜の瞬間、森原を中心にマウンド上に大きな輪ができ、喜びを分かち合った。三浦監督も勝利の瞬間にガッツポーズし、その後は号泣でコーチ陣と喜んだ。

◆優勝し、胴上げされるDeNA・三浦大輔監督=横浜スタジアム(撮影・沢野貴信)

◆DeNA・桑原将志外野手(31)が日本シリーズの最高殊勲選手賞(MVP)に選ばれた。日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークするなど全6試合に出場し、打率・444、1本塁打、9打点と存在感を発揮した。優秀選手賞にはDeNAの筒香嘉智外野手(32)アンドレ・ジャクソン投手(28)アンソニー・ケイ投手(29)、敢闘選手賞にはソフトバンク・今宮健太内野手(33)が選出された。

◆DeNAが2連敗のあと第3戦から4連勝を飾り、1998年以来、26年ぶり3度目の日本一にたどり着いた。二回に筒香のソロ本塁打で先制。さらに桑原の2点打で幸先よく3点のリードを奪った。五回には打者11人で5本の長短打に押し出しの2四死球が絡み、7得点のビッグイニングを作った。投手陣は先発の大貫が柳田に2ランを被弾したが、救援陣4人は無失点に封じ込めた。試合後の三浦監督のインタビューは以下の通り。――今の気持ちは「もう最高にうれしいです。ありがとうございます」――ゲームセットの瞬間光るものがあった「いろんな思いがね。98年優勝してからそのあと、なかなか勝てずに。自分も『もう一度』って気持ちで...。現役の時は優勝できずに、監督として本当に優勝できてうれしいです」――どういう思いで一日を迎えたか「毎日毎日、選手たちにも伝えてたことは、『今日の試合全員で、全力で持ってるものを出し切ろう』と。それを続けてきて今日まで来ました。今日もその同じ気持ちで全員が戦ってくれた結果だと思います」――先制点は日本に、チームに戻ってきた筒香選手の本塁打「ゴウが『優勝するために横浜に戻ってきた』ということでね。言葉通り今日も勢いをつけるホームランを打ってくれました」――リリーフ陣の成長を感じさせるような試合だった「クライマックスからもそうですけども、本当にみんなが繋いでつないで。リリーフ陣も最高の働きをしてくれまた」――今シーズンのスローガン「横浜進化」通りとなった「試合をするたびに選手たちが進化して、次の試合次の試合って臨んでくれました。この短期間で本当に中身の濃い期間を過ごせたと思います」――このシリーズを振り返って「強い強い相手だったので、本当に毎試合毎試合全力を出さないと勝てないというチームだったので。それが選手たちも福岡に行って、気持ち一つにして勢いをつけて、またここ横浜で全員が最高の力を発揮して一つになれたと思います」――日本一を横浜で決めた「最高のファンの方の前で優勝できて、最高にうれしいです。ありがとうございます」――ファンに一言「苦しい時も、しんどい時も常に信じて応援していただき、ありがとうございます。この日本シリーズ優勝、皆さんと一緒に喜び合えたこと最高の気持ちで、うれしいです。ありがとうございます」

◆DeNAが2連敗のあと第3戦から4連勝を飾り、1998年以来、26年ぶり3度目の日本一にたどり着いた。二回に筒香のソロ本塁打で先制。さらに桑原の2点打で幸先よく3点のリードを奪った。五回には打者11人で5本の長短打に押し出しの2四死球が絡み、7得点のビッグイニングを作った。投手陣は先発の大貫が柳田に2ランを被弾したが、救援陣4人は無失点に封じ込めた。シリーズ記録の5試合連続打点で最高殊勲選手賞(MVP)に選ばれた桑原将志外野手(31)の試合後のインタビューは以下の通り。――今の気持ちは「本当に幸せに思います。本当にありがとうございます」――自身の日本シリーズでの活躍を振り返って「目の前の試合一戦一戦必死で、チームを絶対引っ張っていくっていう強い気持ちがありましたので。みんなと一緒に日本一取れて本当にうれしいです」――5試合連続打点は日本シリーズ新記録「すごく光栄に思いますし、後ろのバッターに必死で何とか繋いでいこうっていうのが、そういう記録に繋がったんじゃないかなと思います」――言葉でもチームを鼓舞してきた「ミーティングで『悔しくないんか』っていうのは言ってなくて...。『ソフトバンクさんに全員で気持ち前面に出して立ち向かっていこう』っていう話はさせてもらったんですけど。もちろん2連敗して悔しい気持ちみんなあったと思いますし、本当に一つになっていい試合できたと思います。――日本一になった瞬間の気持ち「本当に夢のような...。本当にずっとそこにたどり着きたかったところなんで、うれしいです」――7年前と同じホークスが相手だった「7年前の借りを返そうとは思ってなくて。今ここにいる最高のメンバーで、僕自身は喜びを感じながら全力で戦うことができて、本当に幸せです」――チームの成長、変化「ちょっと話は早くなってしまうかもしれないですけども、このシリーズでみんなで経験したことっていうのを、この気持ちを忘れずに来年も強い気持ちをもって戦っていきたいと思います」――ファンにメッセージ「最後のさいごまで熱いご声援ありがとうございました。皆さんと共にこの瞬間を味わうことができて本当に幸せです。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました」

◆パ・リーグ覇者のソフトバンクはセ・リーグ3位から勝ち上がってきたDeNAに敗れ、2勝4敗で2020年以来4年ぶりの日本一達成はならなかった。ソフトバンクは継投がまたもはまらなかった。4失点の有原を早々と降ろし、2―4の五回から第3戦で先発したスチュワートが中4日で登板。制球に苦しみ1死しか取れず、5失点で試合の大勢が決した。第4戦では尾形、5戦は前田純と、僅差でマウンドに上がった若手が打ち込まれ、敗れていた。重圧が増す日本シリーズでは、松本裕、藤井ら経験のある救援陣の離脱が響いた。

◆パ・リーグ覇者のソフトバンクはセ・リーグ3位から勝ち上がってきたDeNAに敗れ、2勝4敗で2020年以来4年ぶりの日本一達成はならなかった。甲斐は今季資格を得た国内フリーエージェント(FA)権の行使について「今は終わったばかりで悔しいの一言しか出ない。これからになると思う」と話した。同じく取得した石川は「終わってすぐの現状で言えることはない」と述べた。後藤芳光球団社長兼オーナー代行は「われわれの主力選手。FA権は選手の権利だが、できるだけ残ってほしい」と方針を示した。

◆パ・リーグ覇者のソフトバンクはセ・リーグ3位から勝ち上がってきたDeNAに敗れ、2勝4敗で2020年以来4年ぶりの日本一達成はならなかった。ソフトバンクは今宮が敢闘選手に選ばれた。大敗の第6戦でも3安打と気を吐き、6試合全てで安打をマーク。しかし4年ぶりの頂点に届かず「悔しい」と語った。一回は右中間二塁打を放ち、四回は左前打で柳田の2ランにつなげた。シリーズ中は何度も難しい打球をさばいた守備と合わせ、存在感を示したもののDeNAに屈し「勢いに乗せてしまったらがんがん来る。本当に強かった」と思い返した。

◆DeNAが2連敗のあと第3戦から4連勝を飾り、1998年以来、26年ぶり3度目の日本一にたどり着いた。チームはその後、横浜スタジアムに隣接する室内練習場で祝勝会を行った。ビールかけを前に三浦監督は「牧、(CS)ファイナルの後に監督を泣かせちゃおうと言って、本当に泣かせてくれてありがとう!!」とあいさつ。続けて主将・牧が「この経験を生かして、来年はリーグ優勝をしてここに戻ってきましょう。それでは皆さん、存分に浴びまくりましょう」と乾杯の音頭を取り、約4000本のビールが泡と消えた。

◆DeNA・桑原将志外野手(31)が日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークするなど計9打点を挙げ、最高殊勲選手(MVP)に選ばれた。第6戦は二回に筒香の本塁打で先制し、さらに2死二、三塁となった場面で桑原が2点タイムリー。6戦全てで安打(12安打)を放った。データBOXは以下の通り。?DeNA・桑原がシリーズMVP。全試合で1番打者で先発出場した選手のシリーズMVPは、1960年の大洋・近藤昭仁、68年の巨人・高田繁、76年の阪急・福本豊、79年の広島・高橋慶彦、99年のダイエー・秋山幸二、昨年の阪神・近本光司に続く7人目。DeNA(前身を含む)では60年の近藤以来64年ぶり2人目。?第2戦からシリーズの新記録となる5試合連続打点。これまでの最多は56年第2-5戦の西鉄・中西太、76年第1-4戦の巨人・王貞治ら12人がマークした4試合。?1シリーズ9打点は球団新記録で、98年の鈴木尚典の8打点を上回った。シリーズ9打点以上は、2010年の中日・ブランコ(9)以来14年ぶり8人目。最多は78年のヤクルト・大杉勝男と84年の広島・長嶋清幸の10打点。6試合シリーズで9打点は最多タイ記録で、66年の巨人・長嶋茂雄、85年の阪神・バースに次いで39年ぶり3人目。1番打者で9打点は69年の巨人・高田繁の7打点を上回る最多記録。

◆DeNA・筒香は0―0の二回先頭でソロ本塁打を放ち、第1戦で7回無失点の好投を許した有原の出ばなをくじいた。甘いチェンジアップを捉えて中越えに運び「チームの勢いをつける結果になり、良かった。記憶に残る」。先制したチームの勝利が続く今シリーズで第5戦に続いて先制点をたたき出し、日本一への流れをつくった。4―2の五回は3点を奪い、なお2死満塁で走者を一掃する左中間二塁打を放った。シリーズは6戦で6安打6打点をマークし、優秀選手に選ばれた。シリーズで2試合連続の勝利打点を挙げたのは、2015年第4、5戦のソフトバンク・李大浩以来9年ぶり20人目。セでは09年第5、6戦の巨人・阿部慎之助以来15年ぶり13人目。DeNA(前身を含む)では1960年第3、4戦の近藤昭仁、98年第1、2戦の鈴木尚典に次いで3人目。

◆先に2勝しながら4連敗で屈し、ソフトバンク・小久保監督は無念の表情で振り返った。「本拠地に帰ってからきょうまで流れがこなかった」相手の13安打11点の猛攻の前にどうすることもできず。指揮官も「DeNAの打線の厚み、つながりは最後まで感じた」と舌を巻いた。自軍打線は第3戦の一回に1得点した後は、日本シリーズワースト記録を更新する29イニング連続無得点と沈黙。この日の四回に柳田が30イニングぶりの得点となる2ランを放つのが精いっぱいだった。4番の山川は快音を響かせられず、第3戦からの4試合は15打数無安打。「この悔しい光景を忘れずにまた練習に励んでいくしかない」と唇をかんだ。小久保監督は「そのメンバー以外で戦ってきていないんでね」と打者陣を責めることはなかった。2000年に巨人に敗れて以来、ソフトバンクは出場した8シリーズ連続で制してきたが、ここで止まった。前身を含めて21度目の日本シリーズで初めて巨人以外の球団に敗れる形となり、指揮官は「負けて僕に責任がある。シーズンを戦った選手たちは胸を張って福岡に帰ってもらいます」と受け止めた。来季日本一を奪い取るため、もう一度チームを鍛える。(上阪正人)

◆待ちに待った、歓喜のときだ!! 「SMBC日本シリーズ2024」は第6戦が行われ、セ・リーグ3位のDeNAはパ・リーグ王者のソフトバンクに11-2で大勝。2連敗からの4連勝で1998年以来、26年ぶり3度目の日本一を達成した。前回の栄冠を選手として経験した三浦大輔監督(50)が、就任4年目で頂点に導いた。筒香嘉智外野手(32)が、二回の先制ソロを含む2安打4打点。13安打を放った打線を牽引(けんいん)した。心の底からかみしめていた。26年ぶりの歓喜の味を。割れんばかりの大歓声を。三浦監督が男泣きだ。ナインの手で5度、横浜の夜空に舞い、万感の思いを込めた。「もう、最高にうれしい。1998年に優勝してから勝てずに、もう一度という気持ちだった。全員が一つになれた」強みの打力を前面に押し出した。筒香が二回の先制ソロで火付け役となり、「マシンガン打線」をほうふつさせる攻撃で畳みかける。五回は打者一巡の猛攻で7点を奪い、4連勝で締めくくった。ペナントレースは71勝69敗3分けだったDeNAに対し、ソフトバンクは91勝49敗3分けだった。貯金差は40。史上最大の格差対決を制し、7年前の勝負で屈した強敵から下克上を果たした。DeNAが球団経営に乗り出したのが2011年オフ。今や横浜スタジアムは決まって大観衆で膨れ上がり、南場智子オーナー(62)のもとで人気と実力を兼ね備える球団に成長を遂げた。三浦監督には、忘れられない一言がある。現役時代に同僚だったある選手に吐き捨てられた。「三浦さんは優勝を経験しているからいいですよね。僕も経験したいので他球団に行きます」。00年代初めから毎年のように最下位に沈んだ暗黒時代。チームメートが一人、また一人と球団を去った。自身は08年にFA宣言し、残留を決めた。奈良県で育った幼少期から憧れた阪神のオファーを断り「引退を決断するときよりも悩んだ」と当時の胸中を明かす。決め手はベイスターズへの愛着だった。「強いところを倒したい。ここから優勝した方が俺らしい」。野球人生の信念を貫いた。横浜一筋25年の現役生活は通算172勝、184敗。「いっぱい打たれたけど、『次こそはやり返してやるぞ』と」。ひのき舞台とは無縁だった学生時代から敗戦を糧にしてきた。21年に満を持して2軍監督から昇格したが、就任1年目は借金19で最下位に終わった。シーズン中の夜は寝つきが悪く「熟睡できるのは2、3度」。そんな中、見習った人物の一人が趣味の競馬で親交が深い矢作芳人調教師(63)だった。数々の名馬を輩出し、国内外で幾多の勲章を手にしてきた〝世界のYAHAGI〟。食事をともにしながら人を動かす術を学んだ。監督と調教師。かけ離れているように見えて「よく似ている」。厩舎(きゅうしゃ)を運営する調教師は調教助手、厩務(きゅうむ)員らと連携し、競走馬の状態を見極めてレースに送り出す。海を越えて飛び回り、スタッフとの関係は信頼でつながっている。指揮官が組織をマネジメントする上で心掛けているのは、任せること。コーチの立場を尊重し、投手のフォームを指導する場面もないに等しい。一方、選手の起用法を変えれば意図を説き、1軍と2軍で入れ替えを行う際にも言葉を尽くしてきた。上意下達を好まず、年下の裏方の意見にも耳を傾ける。その半面、球団内には厳しさを求める声もあった。上に立つ者の在り方とは-。葛藤を繰り返し、窮地で新たな一面をさらけ出した。8月27日の阪神戦(横浜)。5-2の七回に登板したウィックが、制球難で無死満塁とされたときだった。降板を告げに向かったところ両手を広げて拒んだ右腕を「チェンジ!!」と一喝した。旧知のスタッフですら「初めて見た」という激高。チームは試合前時点で3位阪神と3・5ゲーム差の4位だった。落とせない一戦に大勝し、勝利への執念が乗り移ったナインは逆襲ののろしを上げた。ウィックには好奇の目にさらしたことを謝り、その後も勝負どころでの救援を任せた。「強いところを倒したい」下馬評を覆し、あの日の誓いを現実にした。横浜を愛し、横浜に愛されるハマの番長が、苦悩を突き抜けて栄光を勝ち取った。(鈴木智紘)?DeNAが大洋時代の1960年、横浜時代の98年に次ぐ26年ぶり通算3度目の日本シリーズ制覇。2004年以降のプレーオフ、CSを勝ち上がったレギュラーシーズンの勝率2位以下の球団の日本一は、19年のソフトバンク(2位)以来5年ぶり7度目。3位球団の日本一はセ・リーグでは初で、10年のロッテ以来14年ぶり2度目。?DeNA(貯金2)とソフトバンク(同42)の貯金の差は40。日本一としては最大差で、これまでは1971年の巨人(貯金18、VS阪急=貯金41)の23が最大だった。?レギュラーシーズンの勝率・507、貯金2での日本一は、75年の阪急の同・520、貯金5を下回る「最低勝率&最少貯金」での優勝。?26年ぶりの日本一は22年のオリックス(前回優勝96年)と並ぶ7番目のブランク優勝。最長は07年中日の53年ぶり(前回優勝54年)。日本一から最も遠ざかっているのは広島の40年。

◆勝利の瞬間、感情を爆発させた。チームが前回、日本シリーズを制した1998年に産声を上げたDeNA・牧秀悟内野手(26)が、26年後に主将となってベイスターズを頂点に導いた。「最後に日本一になれたことが、何よりもうれしい気持ちでいっぱい。何が正解か分からない中で一年間やらせていただいた。こうして全員で勝てたのは、良いものを得られたんじゃないかな」活躍を重ねるたび、ページが増えていった。自宅には十数冊のスクラップブックがある。中大の同級生だった夫人が、交際していた大学時代から牧が掲載された記事を切り抜き、丁寧に貼り付けてきたものだ。最初は写真もない、モノクロの記事。どんなに小さくても欠かさずチェックしていた。雨の日も、身重になっても、活躍した翌日はコンビニエンスストアへ行って新聞を買い集めてくれていた。今季は新たにキャプテンマークをつけ、チームのリーダーとして試行錯誤する日々。持ち前の勝負強さが影を潜め、本来の打棒を発揮できない時期もあった。どんなに苦しいときも、2022年オフに結婚した夫人は前向きな言葉を掛けてくれる。遠征を含め、出産のギリギリの時期まで球場へ応援に駆けつけ、悔しいときは自分より先に涙を流してくれたこともあった。決して一人ではない。家族で戦ってきた。今年は第1子が誕生した。「(子供が)家にいることが、何より力になる」。愛する〝新戦力〟は日本シリーズ応援のため、父譲り(?)の強心臓で立派に飛行機デビューを果たしたという。背番号2の特注ユニホームを着て観戦する小さな小さな応援団長。誕生時に「子供が大きくなるまで長く現役で活躍できるように」と誓った通り、まだまだ何度もこの景色を見せるつもりだ。日本シリーズでは第5戦に初本塁打となる3ラン。2連敗後には選手間ミーティングを主導し、4連勝に導いた。愛する家族に支えられ、牧が日本一のキャプテンになった。この瞬間こそが、最大の恩返し。大切なスクラップブックにもまた一つ、新たなページが加わった。(浜浦日向)

◆DeNA・三浦大輔監督(50)の長女で、サンケイスポーツ中央競馬担当の三浦凪沙(なぎさ)記者(27)が手記を寄せた。日本シリーズ第3戦が行われる福岡に送り出した際の様子や、戦いに挑む父への思いなどをつづった。ファンの皆さまをはじめ、選手の皆さんやスタッフの皆さん、横浜DeNAベイスターズに携わる全ての皆さま。26年ぶりの日本シリーズ優勝、おめでとうございます。そして、もちろん父も本当におめでとう。監督初勝利の際にも同じようにお祝いの手記を書かせていただきました。その際、『秋には、再びお祝いの手記が書けることを切に願っています』と締めました。あれから4度目の秋を迎え、ようやく実現して本当にうれしいです。日本シリーズは連敗から始まり、福岡に向かう父を「当たって砕けろ! 骨は拾ってあげるからね」と送り出しました。それに対して「砕けたらあかんねん」と冷静に返す父を見て、大丈夫だなと思いました。その通り砕けずに横浜まで帰ってきて、日本一になってくれました。プロは結果が全ての世界。日々の疲労に加えて世間からの風当たりもどんどん強くなり、疲弊していく父。現役引退後の2年間、勝負の世界の重責から解放されて生き生きとしていた姿を知る私は、こんなに大変でつらい思いをしてまで監督でいる必要はあるのかと思ってしまいました。そんな思いを変えてくれたのが、CS優勝後のビールかけでした。今まで見たことがないくらいうれしそうで、あんなにいい笑顔の父を初めて見ました。普段はお酒を全く飲まないのに、「ビールがおいしかった!」と言っていたほど。大の大人たちが大はしゃぎでビールをかけあい、ハグをして喜びを分かち合う。1998年に日本一になってから、父がずっと追い求めてきた光景はこれだったのか、このために頑張ることができたのかと感動しました。今回はさらに胴上げもあり、4年前では考えられないくらい素晴らしい光景を見せてもらえました。私はただ応援することしかできませんでしたが、報われたように感じます。感謝の気持ちでいっぱいです。きっと来年は今まで以上にハードルが上がり、より一層厳しいシーズンになると思います。それでも、短期間でこれだけ〝進化〟し、日本一に上り詰めることができた横浜DeNAベイスターズなら、乗り越えられると信じています。来年こそリーグ優勝、そして日本シリーズ連覇を。誰もが認める日本一のチームに輝く日を楽しみにしています。(三浦凪沙)

◆DeNA・桑原将志外野手(31)が日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマークするなど計9打点を挙げ、最高殊勲選手(MVP)に選ばれた。第6戦は二回に筒香の本塁打で先制し、さらに2死二、三塁となった場面で桑原が2点タイムリー。6戦全てで安打(12安打)を放った。7年前の日本シリーズも1番打者だったが、打率・154。悔しさを同じ舞台で晴らした。歓喜の瞬間、桑原は中堅からゆっくりと走り出した。左翼手・筒香と熱い抱擁を交わし、ナインが集まる輪に満面の笑みで加わった。「本当に幸せに思う。夢のよう。ずっとたどり着きたかったところ。正直ずっと気が張り詰めていたんで、本当にきれいな夜空が見られてよかった」日本シリーズMVPに輝く活躍に、喜びもひとしおだ。全6試合に1番打者として出場し、打率・444(27打数12安打)、1本塁打、9打点。第3戦では決勝ソロや中堅守備でのダイビングキャッチで仲間を鼓舞した。この日も1―0の二回に2点打を放ち、日本シリーズ新記録となる5試合連続打点をマーク。ガッツあふれるプレーで、26年ぶりとなる頂点の立役者となった。もう、7年前の自分ではない。前回進出した2017年の日本シリーズは、1番打者で全6試合に先発しながら打率・154(26打数4安打)。ソフトバンクの日本一をベンチで見届けた。ただ当時の苦い記憶を振り返ることはせず、「7年前の借りを返そうとは思っていなくて。ここにいる最高のメンバーで、喜びを感じながらいた」と無心で白球を追った。言葉でもナインを鼓舞した。本拠地で2連敗した第2戦後、選手主導の緊急ミーティングが行われ、7年前の悔しさを知る一人として「このままだったら4連敗で終わるぞ。もっと気持ちを一つにして戦おう」と活を入れた。そこからチームは4連勝。熱き男は「チームを絶対に引っ張て行くという強い気持ちでいた」とプレー内外で勝利への思いをみせ、7年前を知らない中堅、若手にも浸透していった。表彰式のお立ち台では「ちょっと話は早いかもしれないけど、日本シリーズでの経験を忘れず、来年も強い気持ちをもって戦いたい」と誓った。黄金時代の幕開けへ-。その中心に背番号1がいる。(森祥太郎)

◆昨季DeNAで10勝を挙げたトレバー・バウアー投手(33)、2017年途中から昨季までプレーしたエドウィン・エスコバー投手(32)、20年まで6年間在籍したホセ・ロペス内野手(40)が、日本一を達成した古巣への祝福メッセージをサンケイスポーツに寄せた。日本一、おめでとうございます! (日本シリーズでソフトバンクに敗れた)2017年の借りを返してくれて、とてもうれしい。できることなら、自分も一緒にリベンジを果たしたかった。ベイスターズでプレーした6年間は、自分にとって野球のキャリアの中で一番、素晴らしい時間でした。横浜の街、仲間たちとともにとても楽しく過ごせました。ファミリーの一員のように過ごすことができて、ベイスターズにはとても感謝しています。試合映像をチェックすることは難しいですが、SNSなどで結果は確認していますよ。ベイスターズファンの皆さんも日本一、おめでとうございます。皆さんの応援はいつも素晴らしく、僕がプレーしていたときもたくさんパワーをもらっていました。チームと一緒に、日本一をお祝いしてください!(2015-20年在籍)チームの皆さん、日本一、おめでとうございます! ベイスターズファンの皆さんはどんなときも応援してくれて、それがチームの力になっている。僕がベイスターズにいたときも、ファンの皆さんのためにプレーしたいと、そう思わせてくれる素晴らしい存在でした。横浜の街、そしてファンの皆さんと一緒にお祝いしてください。DeNAの戦いは、いつもSNSなどで結果を気にかけています。特に同学年のヤス(山崎康晃)とは今も連絡を取っていて、彼からチームの状況などを教えてもらったり、僕からいつも頑張ってねと応援メッセージを送ったりしていました。ベイスターズは自分にとって、第2のファミリー。選手としても人としても、いろいろなことを学ぶことができ、自分を成長させてくれました。とても感謝していますし、自分の人生にとって大きな存在になっています。(2017年途中-23年在籍)ベイスターズの選手たちにまず、「おめでとう!」と伝えたいです。昨季限りでチームを離れましたが、今シーズン中も勝敗や、戦い方を気にしていました。昨年は敗れたクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がり、巨人も下して日本シリーズへ。(第1戦から)ソフトバンクに2連敗したときは心配しましたが、驚異的な巻き返しを見せましたね。選手のみんなは、ベイスターズファン、僕のような元選手、そして、フロントを含めた球団職員全員の誇りであり、最高の瞬間を味わわせてくれました。日本シリーズ制覇、本当におめでとう!!!!!(2023年在籍)

◆DeNAが1998年以来の日本一。前回優勝時のエースで、サンケイスポーツ専属評論家の野村弘樹氏(55)がチームメートだった三浦大輔監督(50)ら首脳陣、大一番で底力を発揮したナインを祝福した。26年ぶりの日本一、おめでとう。現役時代にキャンプで同部屋だったこともある三浦監督が宙に舞う姿を見て、感慨深いものがあった。シーズン開幕前の順位予想で、初めてDeNAを最下位にした。ただ、本気でそうなるとは思っていなかった。発奮材料にしてほしかったのだ。レギュラーシーズンは3位だったものの、先発投手、ブルペン陣、野手陣がチャレンジャー精神で一丸となって戦い、クライマックスシリーズと日本シリーズで底力をみせてくれた。こんなにうれしいことはない。第1、2戦はソフトバンクの強さばかり目立ったが、その勢いを第3戦で先発した東が止めた。10安打を許しながら無四球とテンポが良く、失点は一回の1点だけ。第4戦のケイ、第5戦のジャクソンは、ともに一回を3者連続奪三振でスタートし、相手打線をあわてさせた。敵地での3連戦で、失点はわずか1。流れを変えたのは確かに東の投球だが、私は彼らの持ち味を引き出して好リードした戸柱にもMVPをあげたい。26年前のシリーズで、私は第1、4戦に先発した。初戦に勝って1勝1敗。実は第1戦が始まるまで、根拠もなく日本一になれると思っていた。しかし、試合前に観客席で起きたウエーブでロッカールームが揺れた。一回に3、4失点しようものなら、無事に帰宅できないのではないか。そう思うと、急に緊張した。今回とは逆の2連勝スタートで、第3戦から2連敗。先に王手をかけたものの、第6戦はゲームセットの声を聞くまで、日本一になれるのか不安だった。あと一つ勝つことの難しさを乗り越え、4連勝で決めた選手たちはたいしたものだ。見事な下克上は自信になるだろう。来年の目標は球団初の2年連続日本一。その前に、まずリーグ優勝を見せてほしい。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏がDeNAの日本シリーズ制覇を「難しいことを成し遂げた」と評価。来季はリーグ優勝をした上で「正真正銘の日本一を」と目標設定も促した。DeNAはやることなすこと、うまく回った。短期決戦では力を集中すれば勝てる。その見本のようなシリーズだった。レギュラーシーズン3位のチームでも、シリーズ制覇のチャンスがある現行制度では、もっと〝下克上〟があってもおかしくないとは思う。逆にいえば、3位から頂点に立つのは、それだけ狭く厳しい道ということでもある。したがってここでは素直に、難しいことを成し遂げた、おめでとう、と言葉をかけたい。打線はチャンスで着実に点を取れていた。ただ、当たり出したら止まらないことは、シーズン中からわかっている。試合を重ねるごとに得点を増やしたのも、不思議はない。チームを下支えしたのはやはり、投手陣だよ。先発もリリーフも、レギュラーシーズンで得点、打率、本塁打とも12球団トップの打線に立ち向かい、よく抑えたね。ソフトバンクはシーズンで貯金40をたたき出した面影が、まるでなかった。どうやってあれだけ独走したのか、わからなくなるほど。ひょっとして余裕で優勝したことがよくなかったのか...とさえ思ってしまう。3年間は優勝から遠ざかっていた。本当のチーム力はまだ戻っていないのかもしれない。検証する必要はあるだろう。もちろん、DeNAにも考えるべきことはある。シーズンの貯金は2で、ようやく3位に滑り込んだのが現実。チームとしては、その部分に引っかかりが残るはず。来季はペナントレースも制し、正真正銘の「日本一」を。目標を高く掲げてもらいたいね。(サンケイスポーツ専属評論家)