巨人(☆9対4★)阪神 =オープン戦1回戦(2024.02.23)・沖縄セルラースタジアム那覇=
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阪神
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巨人
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勝利投手:戸郷 翔征(1勝0敗0S)
敗戦投手:伊藤 将司(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】佐藤 輝明(1号・3回表2ラン),ミエセス(1号・8回表ソロ)

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◆巨人はリードオフマンとして起用された松原が3安打を放つ活躍。開幕スタメン入りに向け、バットで存在感を示した。一方の阪神は、佐藤輝が特大の2ランを記録。打撃好調なスラッガーが、自慢の長打力を見せつけた。

◆阪神のオープン戦初戦となる巨人戦のスタメンが発表された。先発マウンドには伊藤将司投手(27)が上がる。1~5番にはリーグ優勝、日本一を達成した昨年の主力が並び、「6番左翼」には前川右京外野手(20)が名を連ねた。巨人の先発は3月29日の阪神との開幕戦(東京ドーム)の先発に内定している戸郷翔征投手(23)が務める。

◆阪神ナインが今オフに巨人へ移籍した馬場皐輔投手(28)、カイル・ケラー投手(30)と旧交を温めた。試合前練習中に馬場が、岡田彰布監督(66)のもとへ。あいさつすると、互いに笑顔で談笑した。さらには顔がそっくり? のドラフト2位椎葉剛投手(21=四国IL・徳島)とも記念撮影。2人を中心に岡留、湯浅、浜地、桐敷、石井と笑みがこぼれた。ケラーも森下や筒井外野守備走塁コーチにあいさつすると、湯浅らとハグ。グラウンドでの再会を楽しんでいた。

◆"伝統の前哨戦"のスタメンが発表された。シーズン開幕戦と同じ虎を迎え撃つオープン戦の初戦。1番右翼には松原が起用され、4番一塁には岡本和が座った。先発は開幕投手に指名されている戸郷で1イニングを予定している。

◆ライバル球団の指揮官が、がっちりと握手をかわした。阪神岡田彰布監督(66)と巨人阿部慎之助監督(44)が、試合前のメンバー表交換で対面。握手をかわすと、笑顔も見られた。球場内野席はほぼ満員状態。沖縄のファンが大きな拍手を送り、オープン戦の初陣が幕を開けた。

◆阪神伊藤将司投手(27)がチームの24年オープン戦初陣でまさかの初回7失点を喫した。3月29日のシーズン開幕戦の相手となる巨人との前哨戦に先発。Gキラーとして名高い左腕がいきなり1イニング打者12人の猛攻を食らった。1回表、安打と四球で1死二、三塁とされ、4番岡本和の右前適時打で先制を許す。1死一、三塁で二塁手中野の適時失策で2点目を許すと、6番佐々木から1番松原まで5者連続適時打を浴びた。伊藤将はこれまで公式戦、オープン戦ともに1試合6失点が自身ワースト記録だったが、いきなり更新する形となった。SNSでは虎党から「どうした将司!」と心配の声も挙がった。

◆巨人が天敵から初回に7安打で7点を奪った。阪神の先発は伊藤将。昨季はチーム打率1割9分6厘と抑え込まれていた。虎のエース左腕に対し、1番松原が中前打、2番オコエが10球粘って四球で出塁すると、3番門脇が1球で投犠打を決め好機を演出。1死二、三塁から4番岡本和が初球の110キロカーブを右前に流し打って1点を先制した。その後も勢いは止まらなかった。5番吉川の二ゴロを阪神中野が失策し追加点を挙げると、ドラフト3位ルーキー佐々木、大城卓、秋広、湯浅、松原が5者連続の適時打を放ち一挙7得点も猛攻を浴びせた。

◆巨人とのオープン戦に先発した阪神伊藤将司投手(27)が、3回7安打7失点と課題を残した。初回に新生巨人打線にのみ込まれた。1死二、三塁から4番岡本和に右前への先制適時打を許すと、1死一、三塁からは吉川の二塁へのボテボテの打球を二塁手中野が後ろにそらす適時失策で2点目を献上。そこから5者連続のタイムリーを許し、一挙7点を失った。初回だけで球数40球を要するなど、らしくない立ち上がりをみせた。2回以降は本来の姿を取り戻した。先頭岡本和を中飛、吉川を一ゴロ、佐々木を遊ゴロと3人で片付けると、3回は大城卓、秋広を難なく仕留めると、最後は湯浅に内角への直球で見逃し三振を奪い、降板した。伊藤将の7失点はシーズン、練習試合、ポストシーズンを含めてプロ入り後自己ワーストとなった。

◆えっ大山が2人? 試合開始前にほっこりするシーンがあった。試合前練習に現れた阪神ヨハン・ミエセス外野手(28)。いつもと同じビジターのタテジマのユニホーム...と思いきや、背番号は「3」。その上には「OHYAMA」と書かれていた。何らかの事情で自身のユニホームが手元になく、大山悠輔内野手(29)のものを拝借した模様。少しピチピチの様子がどこか笑いを誘った。6回に途中出場した際には「55」の自身のユニホームに直っていた。

◆巨人戸郷翔征投手(23)が直球で強気に攻めた。オープン戦初戦のマウンドに先発。予定の1イニングを投げ、1安打無失点に抑えた。先頭近本に左前打を浴びるも、続く中野を中飛、森下を中飛、大山を遊飛でピンチを広げなかった。球数14のうち12球が直球。最速は147キロだった。変化球は2球だけ。「とりあえず真っすぐの確認をしたかった。相手にタイガースの主力もいたので、どれだけのものが投げられるか確認したかった。だいぶ、いい質の真っすぐが投げ込めていると思う。ファウルも取れましたし、最初にしてはいいものが出たかなと思います」と振り返った。すでに3月29日の虎とのシーズン開幕戦の先発マウンドに立つことが決まっている右腕。調整遅れも心配された中で「いい感覚は出せた」と復調の手応えをつかんだ。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、豪快なオープン戦1号本塁打をぶちかました。巨人戦に「5番三塁」で出場。6点を追う3回2死一塁から巨人赤星の初球、内角直球をフルスイングし、右中間スタンドの防球ネット上部に直撃する特大の2ランとなった。オープン戦初戦本塁打はルーキー時代の21年以来3年ぶり2度目だ。これで実戦全6試合連続ヒットをマーク。今キャンプの本塁打は12日の紅白戦以来2本目となった。虎の大砲の勢いが止まらない。

◆巨人カイル・ケラー投手(30)が古巣のクリーンナップを3人で片づけた。阪神の森下を中飛、大山を見逃し三振、佐藤輝を二ゴロに抑えた。最速153キロの直球で封じ込めた。昨季まで阪神に2年間、在籍。今季から巨人に新加入し、勝ちパターンの一角として期待される。テンポよく8球で終わらせ、仕上がりのよさを見せた。オープン戦 スコア速報

◆阪神ヨハン・ミエセス外野手(28)が、オープン戦1号アーチを放った。6回から代打で途中出場。5点を追う8回2死から巨人松井の真ん中低め148キロ直球をはじき返し、左翼スタンドに放り込んだ。チームのムードメーカー的な存在の助っ人砲は、この日の試合前練習ではいつもと同じビジターのタテジマのユニホーム...と思いきや、背番号は「3」。その上には「OHYAMA」と書かれていた。何らかの事情で自身のユニホームが手元になく、大山悠輔内野手(29)のものを拝借した模様。少しピチピチの様子がどこか笑いを誘った。11日の紅白戦では「チーム1号」となる左越えの1発をマーク。来日2年目の巨漢助っ人が、打棒でアピールを続けている。

◆阪神は序盤の失点が響き、シーズン開幕戦の前哨戦となる対巨人のオープン戦初戦を勝利で飾れなかった。先発の伊藤将司投手(27)が初回、巨人打線に7安打を浴びてプロ入り後自己ワーストとなる7失点。Gキラーがまさかの立ち上がりとなった。打線は2回から反撃を開始。2回2死無走者からの3連打で1点を返し、3回には佐藤輝明内野手(24)がオープン戦1号2ランを決めた。巨人2番手赤星の初球145キロストレートを捉え、右中間席に大飛球を運んだ。伊藤将は2回以降は本来の安定感を取り戻し、2、3回は完全投球で投げ終えた。救援陣は7回に登板した湯浅京己投手(24)が先頭から3連打を浴びるなど、4安打を浴びて2失点。打線は昨季まで阪神に所属したケラーなど巨人救援陣の前に反撃を阻まれたが、8回に代打ヨハン・ミエセス外野手(28)がオープン戦1号ソロで意地を見せた。チームは宿敵巨人を相手に今春の対外試合初黒星を喫した。

◆阪神湯浅京己投手(24)が、1回4安打2失点と打ち込まれた。4点ビハインドの7回に登板。先頭松原からオコエ、山瀬と単打3連打を浴びせられ無死満塁のピンチを招いた。萩尾を一邪飛に仕留めるも、なおも1死満塁から育成選手の中田に146キロ直球をたたかれ、自ら右手を出して打球を止めにいくもセンター前へ転がり、2人の走者をかえしてしまった。湯浅は今回のキャンプでは11日の紅白戦で球速表示を気にしたり感情を顔に出したことに岡田監督が激高。その後18日の広島との練習試合ではポーカーフェースで1回3人斬りをみせていたが、この日は快投アピールとはならなかった。

◆巨人が阪神に打ち勝ち、伝統の"前哨戦"に勝利した。先発の戸郷は先頭の近本に安打を許すも、最速147キロの直球を軸に予定の1イニングを無失点に抑えた。打線は昨季チーム打率1割9分6厘に抑え込まれた阪神先発の伊藤将をいきなり捉えた。安打と四球などで1死二、三塁の好機をつくると、4番岡本和が初球の110キロカーブを右前に流し打って1点を先制。勢いは止まらず敵失で追加点を挙げると、ルーキー佐々木、大城卓、秋広、湯浅、松原と5者連続の適時打で7点を先制した。4点リードの7回は、1死満塁から育成の中田が湯浅から中前に2点適時打を放ち突き放した。放った11安打全て単打で、エンドランや意表をついたバスターなど幅広い攻撃を見せた。投手陣は戸郷の後を受けた赤星が佐藤輝に2ランを浴びるなど3失点(自責1)を喫するも、その後はバルドナードや古巣相手の登板となったケラーなど計8投手のリレーで逃げ切った。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、今季初三振を喫した。8回、巨人の松井に追い込まれ、最後は150キロ直球で見逃し三振に仕留められた。ここまでの紅白戦、練習試合を含め、実戦15打席目で初めての三振となった。この日は第2打席で右腕赤星から右中間への2ランを放っていた。持ち前の長打力に加え、簡単に三振しない確実性も備えつつある24年。今季初のオープン戦で収穫を得て、8回の守備で退いた。

◆阪神育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)が、対外試合初盗塁をマークした。5点を追う9回1死一塁から小野寺の代走で登場。2死から植田の打席の初球で二盗を仕掛け、巨人の強肩山瀬の好送球もありタイミングはアウトとみられたが、うまくタッチをかいくぐってセーフを勝ち取った。オープン戦の最後に持ち味の足で存在感を示した。

◆阪神育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)が、対外試合初盗塁をマークした。5点を追う9回1死一塁から小野寺の代走で登場。2死から植田の打席の初球で二盗を仕掛け、巨人の強肩山瀬の好送球もありタイミングはアウトとみられたが、うまくタッチをかいくぐってセーフを勝ち取った。オープン戦の最後に持ち味の足で存在感を示した。ただ、試合後に岡田彰布監督(66)は代走で塁に出て5球目での企図に「いや、走れへんやんか。何球走れんねん。スタートも切らへん。だからチャレンジしないやんか。1球目から走れ言うてんのに」と顔をしかめ、「そういうことしとったらまたお前、ファーム行かされるよ。何のために自分が(出てるのか)、わざわざあの場面で代走行かせてるわけやからさ、そういう意図が分からなあかんわな」と厳しく指摘した。

◆前日22日に練習を中断した阪神梅野隆太郎捕手(32)について、23日の巨人とのオープン戦(那覇)後、岡田彰布監督(66)が「だいぶ悪いんちゃう。それはトレーナーからまたあるやろ」と見通しについて言及した。梅野は右肩痛を訴え、練習を途中中断。シートノックの際にも捕球だけを行い、送球はしていなかった。その後、沖縄県内の病院に向かい、検査を受けた。この日は1軍宜野座キャンプの残留練習に参加。球場に到着後、朝から全体アップに入り、その後はサブグラウンドで軽めのダッシュなどを行った。午後からはチームドクターによる診断を受ける予定。練習を終え「分からん。これから(診断)やから。(走るのは)大丈夫」とバスに乗り込んだ。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、巨人とのオープン戦の試合後に激高した。怒りの矛先は2人に向けられた。まずは7回に1回4安打2失点と乱れた湯浅京己投手(24)。精彩を欠いた投球内容に指揮官は「ずっと言うてるやんか。ブルペンを見たら分かるやん。去年より悪いよ」とバッサリ。「明日から2軍やん」と2軍降格を明言した。さらに9回に代走で出場した育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)に対しては、5球目でようやくスタートを切って盗塁を成功させたことに「いや、走れへんやんか。何球走れへんねん。1球目から走れ言うてんのに、チャレンジしないやんか。そんなことしとったら、またファームに行かされるよ」とあきれかえった。最後に巨人の印象について問われ、「いや、こんなメンバーで知らんやん。そんなん、今日1試合で何で総括せなあかんの」と言い残し、帰りの車に乗る際に自身が座る後部座席に被っていた帽子をたたきつけ、球場を後にした。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、巨人とのオープン戦後に激高した。7回に1回4安打2失点と乱れた湯浅京己投手(24)には「明日から2軍やん」と2軍降格を明言。さらに9回に代走で出場し初盗塁した育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)に対しても「1球目から走れ言うてんのに、チャレンジしないやんか。そんなことしとったら、またファームに行かされるよ」と苦言を呈した。岡田監督の一問一答は以下の通り-佐藤輝はいい感じん?おん。別にもうなんにもないよ、なんにも言うてないやんか。どうやこうや言うても、なんにも言うてないやんか。使うんやから、使う選手やねんから。-木浪はツーアウトから。8番が打てばまあ、そんなんゲーム展開なんか関係ないやんか、今日なんか初めてのオープン戦で、1人1人がヒット打って自分の調子あげたらええだけやんか。-福島が最後走ったいや、走れへんやんか。何球走れへんねん。そういうことやんかだから。スタートも切らへん、なあ。-チャレンジしないだからチャレンジしないやんか、1球目から走れ言うてんのに。何球走れへんの。そういうことやって。そういうことしとったらまた、ファーム行かされるよ。なんのために自分が(出てるか)、わざわざあの場面で代走行かせてるわけやからさ。そういう意図が分からなあかんわな。-梅野はだいぶ悪いんちゃう。それはトレーナーからまたあるやろ。-まだメンバーそろってはいないが、巨人の印象はいや、こんなメンバーで知らんやん。そんなん、きょう1試合で何で総括せなあかんの。

◆巨人松原聖弥外野手が3安打の活躍を見せた。1回無死、阪神伊藤将から中前打を放ち一挙7得点の口火を切った。打者一巡して回ってきた1死一、三塁では左前適時打を放ち1イニング2安打目。7回無死の第4打席は湯浅から左前に猛打賞となる安打を放った。1軍キャンプは2年ぶりで、昨季は21試合で無安打に終わった。「去年ヒットが出なかった中で3本打てたのが一番大きい収穫」と話した。

◆阪神坂本誠志郎捕手はマルチ安打でこの日も存在感を示した。巨人戦に「9番捕手」で先発。7点を追う2回2死一、三塁の第1打席で追い込まれてからの3球目、赤星の低め変化球を中前に運び、三塁走者をかえした。4回1死ではバルドナードから左前打。「追い込まれてからでしたし、点を取られた後で早く(反撃したい)というのがあったので、1打席目の内容はすごく良かった」と手応えを示した。守備では反省しきりだった。バッテリーを組んだ先発伊藤将が初回にまさかの7失点。「ほとんど構えたところに投げてくれていた。僕がもうちょっとうまいことやればよかった」と責任を感じつつ、「打たれたことよりもいろんなことを試してやってくれたので、それを今後に生かす方が大事。しっかり話し合って膨らませていきたい」と前を向いた。梅野が右肩痛を訴える中、自身初の開幕マスクへ着々と準備を進める。

◆阪神育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)が、対外試合初盗塁を記録も課題を残した。5点を追う9回1死一塁から小野寺の代走で登場。野口の打席で企図できず、植田の初球で二盗を仕掛けた。タイミングはアウトだったが、うまくタッチをかわしてセーフに。ただ、出場から5球目でのスタートに、岡田監督は「何球走れへんねん。1球目から走れ言うてんのに、チャレンジしないやんか。そんなことしとったら、またファーム行かされるよ」とおかんむり。福島は「動画を見ながら、またコーチと一緒にやっていきたい」と反省した。

◆巨人赤星優志投手(24)が1発直後の四球の改善を促された。2回は2死から3連打を浴び1失点。2回は2死二塁から阪神佐藤輝に2ランを献上。さらに続けて前川にも四球を与えた。阿部監督からは2回3失点(自責1)の結果より、与えた四球のタイミングを指摘された。「困ったら、ど真ん中」を掲げる指揮官は「相手もプロ野球ですから。打たれることはあると思う。その後の四球が。ああいうところを僕は見ている。『もう一発打たれちゃえ』と思って投げられたのか。割り切ってというところを僕は見ている。結果的に四球になると、ああチビッたなって言われちゃうだけ。動揺しているなと見られるだけだと思う」と話した。

◆巨人の開幕投手に内定している戸郷翔征投手が直球テストで虎を封じた。全14球のうち12球が直球で最速は147キロだった。予定通りの1回を投げ、1安打無失点。「相手がタイガースで主力もいた。まず真っすぐの確認をしたかった。だいぶ質のいい真っすぐが投げ込めている。最初にしては多少いいものが投げ込めている」と3月29日開幕戦と同じ阪神を相手に調整を進めた。

◆巨人カイル・ケラー投手(30)が古巣のクリーンアップを3人で切った。森下、大山、佐藤輝明を計8球でテンポよく仕留めた。昨季まで阪神に2年間在籍し、勝ちパターンの一角として期待される右腕。「ストライク先行で攻撃的に投げられた。いい打者と対戦することが自分を高めるのにはいいこと。抑えられてよかった」と振り返った。阿部監督からも「すごくまたブルペンとは違って、スイッチが入ってよかった」と評価された。

◆阪神の湯浅京己投手以外の中継ぎ陣4人は1回パーフェクトと安定感をみせつけた。4回加治屋蓮投手、5回石井大智投手、8回桐敷拓馬投手と昨季奮闘した3投手に加え、復活を期す6回の浜地真澄投手も含めそれぞれが持ち味を発揮し、3者凡退に料理した。岡田監督は「これはノーヒットでいくなあと思ってたんやけどなあ」と上々の仕上がりに目を細めた。勝ちパターン入りへ、激しい争いが続いている。

◆巨人の「新風打線」が猛虎を圧倒した。23日の阪神とのオープン戦開幕戦(那覇)で、阿部慎之助監督(44)が白星発進した。1回に打者12人で7安打を集めて一挙7点を先制。6単打1長打に四球、犠打、相手失策を絡めて打線が連なった。指揮官が掲げる「勝利のための自己犠牲」がチーム内に徐々に浸透。7回にも2点をダメ押し、本拠地・東京ドームで迎える3月29日の開幕前哨戦を制した。威勢良くとか、思い切り良くとか、無心でとかじゃない。巨人の若手中心で構成された「新風打線」が、阪神伊藤将を不敵にのみ込んだ。阿部監督は「みんなボールを長く見て、粘り強くいってくれていた。そういうのも徹底してシーズン通してやっていこうと言ってある。いい攻撃が初回にできて良かったと思います」と、約30分に及んだ立ち上がりの猛攻を評価した。3安打の先頭松原が斬り込んだ。1回無死、2球を見逃して2ストライクと追い込まれるも動じることなく、平行カウントからの131キロカットボールを中前にクリーンヒット。オコエは追い込まれてから4球ファウルで粘って四球を選びつないだ。門脇が初球に犠打を決めて1死二、三塁。岡本和の右前適時打で理想的な先制点を奪った。7安打に相手失策も絡み、1回だけで7得点。単打、四球、犠打、長打に足も使い、伝言リレーのように意思を共有した打線がつながった。前日22日には「信号無視をしない暴走族をつくっていこうかなと。ブンブンうるさいけど、ちゃんと信号守っている。そういう暴走族をね」と独特の表現で走塁意識の重要性を強調したばかり。「点を取るのが野球。打つばっかじゃ難しいので、足も絡めた」とグラウンドにサインを送り、用兵を巧みに操った。通例にとらわれない斬新な戦法も包み隠さずに披露した。伊藤将には、ここ2シーズンは1勝5敗、54回8得点、防御率1・33と天敵となっていた。前日に予告した通り、相手左腕に対しスタメンで6人の左打者を並べた。「いい材料にはなったかなと思います」と本番でも左腕対左打者のデータをアップデートした。オープン戦初戦の白星に大きな意味は持たせず、新風打線の完成形はもっと高みに置く。成長途上の秋広は1安打1打点も、佐藤輝に1発を浴びた直後の3回の打席で初球を簡単に打ち上げた姿勢を「1本打って満足しちゃったのか。ああいうのは野球知らないんじゃないかと思います」と厳しく指摘。守備も門脇、湯浅、中田の3失策に「普通にやるというのが一番難しいこと。取れるアウトを取れなかったりすると致命的になる」と隙は許さない。阿部監督はソックスを上げるオールドスタイルで、ベンチからタクトを振るった。自己満足よりも自己犠牲を、華麗な野球よりも、勝つ野球を。明確なポリシーをチームに浸透させていく。【為田聡史】新風 巨人の今季スローガンは「新風~GIANTS CHALLENGE~」。失敗を恐れずに挑戦し、新しい風を吹き込むとの決意が込められている。

◆今年はひと味もふた味も違う。阪神佐藤輝明内野手(24)が、沖縄セルラースタジアム那覇に集まったファン1万4581人の度肝を抜いた。オープン戦1号は右中間スタンドの防球ネット上部に直撃。あわや場外弾の一撃は推定飛距離125メートル。ボールが道路に飛び出していれば、負傷者が出てもおかしくない弾道だった。「しっかり角度がついて良い当たりが打てたのでよかった。いいホームランだと思います」自画自賛の一打は、6点ビハインドの3回2死二塁に飛び出した。巨人赤星の内角145キロを強振。一振りで仕留め、スタンドインを確信するかのように白球を目で追った。12日の紅白戦以来、4試合ぶりとなる今キャンプ実戦2本目の本塁打。オープン戦初戦の本塁打はルーキー時代の21年以来、3年ぶり2度目だ。岡田監督も「別にもう、なんにもないよ。使うんやから、使う選手やねんから」と言うことなし。3月29日に開幕ゲームを戦う巨人にあいさつ代わりの1発をお見舞いし、視界は良好だ。仕留めたのは初球。キャンプ中、フリー打撃からミスショットを少なくスタンドインを連発してきた。「1球で打てたので、そこはよかったかなと思います」。8回には右腕松井に見逃し三振に仕留められたが、これが今春実戦17打席目での初三振。紅白戦、練習試合を含め、ここまで全6試合で安打を放ち、15打数8安打で打率5割3分3厘をマークする。好球必打で確実性の増した「24年版テル」が143試合を戦えばどうなるのか。「まだまだ凡退の打席もあるので、なんとかもっと良い当たりにできるように持っていきたい」と慢心もない。初回の三塁守備ではオコエの三塁線の打球を好捕し、キャンプの成果も見せた。開幕まで35日。攻守に隙のない男に仕上がりつつある。【中野椋】

◆育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)は岡田彰布監督(66)から苦言を呈されながらも、記録的なオープン戦初盗塁をマークした。9回1死一塁から小野寺の代走として登場。2死から植田の打席の初球に二盗を成功させた。阪神のドラフト新人でオープン戦初戦に盗塁を成功させたのは平成以降では初めて。00年ドラフト4位で入団し、新人から5年連続で盗塁王を獲得した赤星憲広でも2度企図し、2度ともに失敗していた。今春キャンプでは臨時コーチとして指導を受け、早くも"赤星超え"の盗塁となった。ただ、塁に出て5球目での盗塁企図。試合後に岡田監督から「いや、走れへんやんか。何球走れんねん。スタートも切らへん。だからチャレンジしないやんか。1球目から走れ言うてんのに。そういうことしとったらまたお前、ファーム行かされるよ」と苦言を呈されていた。

◆阪神木浪聖也内野手が実戦6試合目で今季初安打を放った。「8番遊撃」で出場。いずれも直球をとらえ、2回の1打席目に中前打、6回の3打席目に右翼線二塁打を決めた。初実戦だった11日の1、2軍合同紅白戦から待ちに待った24年初安打。「沖縄に来てまともに打っていなかったので。ホッとした気持ちが一番」と胸をなで下ろした。打席でタイミングを合わせることを意識。「役割的につなぐとか、それは去年から変わっていない」と力を込めた。

◆巨人山瀬慎之助捕手(22)が技ありの一打を放った。途中出場で6回からマスクを被ると、7回無死一、二塁で打席が回ってきた。初球にセーフティー気味にバントを試みるもファウル。カウント1-1からサインがヒッティングに切り替わった。バットを短く持ち外角の球に反応すると、打球は前進していた一塁手の横を抜ける安打となった。「逆方向を狙って強い打球を打ちに行った。思った通りのバッティングでした」と狙い澄ましたヒットだった。

◆巨人岡本和真内野手が天敵を1球で仕留めた。1回1死二、三塁、阪神先発の伊藤将司投手に対し、初球の110キロカーブを引きつけて右前に先制適時打を放った。昨季は13打数1安打と苦手にしていた左腕からの一打に「あれ(カーブ)しかタイミング合ってなかったので。打てて良かったです」と冗談を交えて振り返った。

◆阪神育成ドラフト2位の福島圭音外野手(22=白鴎大)がオープン戦初盗塁。今年のルーキーでは盗塁一番乗りだ。球団でドラフト新人がオープン戦初戦で盗塁を成功させたのは平成以降は初めて。00年ドラフト4位で入団し、新人で盗塁王を獲得した赤星憲広も2度企図し、2度失敗に終わっていた。

◆阪神ヨハン・ミエセス外野手(28)がみそぎの? オープン戦1号ソロを放った。6点を追う8回に巨人松井から左翼フェンスをぎりぎりでオーバーさせる1発。「そんないい当たりではなかったですけど、まあ結果的に越えてくれたので、そこはよしとしようかなと思います」。虎党を喜ばせた一撃を前向きにとらえた。試合前はなぜかキツめのユニホームで練習していた。自身の戦闘服を忘れてしまい、大山に借りた服になんとか巨体を押し込んだ。「大山さんに助けていただきました。本当に感謝しています」。チームメートにも救われ、11日紅白戦以来のアーチも記録。「まだまだ良くなると思うので、1カ月いい1日1日を過ごして準備していきたい」と開幕を見据えた。

◆オープン戦開幕投手を務めた阪神伊藤将司投手(27)がまさかの初回7失点を喫した。5連続適時打を含む7安打を浴び、1イニング打者12人の猛攻を食らった。22年には2戦連続完封勝利も挙げたGキラーが巨人を相手に大炎上。プロ自己ワーストの1試合6失点を更新し「止まらんかったすっね」と天を仰いだ。ただ、2回以降は一転、本来の姿を取り戻した。初回に初球カーブで先制打を許した4番岡本和に対し、2回は同じカーブで中飛。3回も湯浅からストレートで見逃し三振を奪うなど、残り2イニングは完全投球した。「基本、高めが打たれている。2回以降は低めを丁寧に投げられていたんで、あとは高さだけ」と改善点も把握済みだ。昨季は13打数1安打と圧倒した岡本和に2打席連続で使ったカーブについても「今日の試合で使ってみたかったので。カーブを丁寧に使うことをちょっと意識していました」と振り返った。「次も初回は大事にして、2回以降みたいな投球ができたらなと思います」。3回63球で収穫も手にして、指揮官からの信頼も変わらない。岡田監督は「びっくりしたわ、ほんま」と目を丸くしつつ「全然、何にも関係あらへん」ときっぱり。今は調整期間に過ぎない。【堀まどか】

◆オープン戦初戦から雷が落ちた。阪神岡田彰布監督(66)が23日、開幕戦前哨戦に敗れた直後に激怒した。巨人とのオープン戦(那覇)は4-9で今年の対外試合初黒星。1回4安打2失点と打ち込まれた湯浅京己投手(24)の2軍降格を試合中から決断するなど、怒りは止まらなかった。2年連続リーグ優勝、日本一へ、さらなる底上げが必要だと感じているからこそ、調整期間も妥協はしない。<阪神岡田監督の怒り>05年9月7日中日戦 本塁セーフ判定を巡り、全員をベンチに引き揚げさせ、あわや没収試合に。その後のサヨナラ危機ではマウンドで久保田に「打たれろ、ムチャクチャしたれ」と前代未聞の指示を出した。07年6月8日オリックス戦 小飛球となった鳥谷のバントをオリックス捕手の日高が追う際、鳥谷と接触。守備妨害判定の球審に「お前なんで分からんのや」と両手で体を突き、現役時代を通じて初の退場。23年8月18日DeNA戦 熊谷が二盗失敗も遊撃京田が二塁ベースをブロックしたようにも見え「妨害やろ」と抗議。走塁妨害は適用されず、試合後も報道陣に「しゃべることないわ!」と怒り心頭。24年2月11日紅白戦 スピードガンを気にする湯浅に「湯浅だけやな、初球から球速ばっかり見とったん」とバッサリ。

◆阪神森下翔太外野手が2種類のバットをオープン戦で試した。昨季使用したモデルと今季用に使用してきたメジャー最多安打男、ピート・ローズ型のバットを使用。4打数無安打に倒れ「ちょっと判断しづらいかもしれない。もっともっといろんな型を試したい。3月に入ったらバットも届いたりする」。新たに発注をかけており、今後も相棒探しは継続する。昨季の同僚ケラーには中飛に打ち取られ「シーズンで当たると思うので、しっかり打ちたい」とリベンジを誓った。

◆阪神近本光司外野手がオープン戦チーム初安打を放った。「1番中堅」で先発。初回の第1打席、開幕投手に内定している巨人戸郷から左前打をマークした。「しっかりボールを見られました」と収穫を口にした。2回には岡本和の左中間最深部への飛球をキャッチ。「実戦の打球と練習とは違う打球が(飛ぶ)。そういうのも、もう少し捕っていかないと」。中堅守備も万全の状態を目指していく。

◆阪神岡田彰布監督(66)の一問一答。-伊藤将は初回だけ別人なあ。ボールもいってなかったんやろな。-初回は球数を要したが、予定通りいやいや、予定通りって、最初から3回やねんから。変える必要ないやんか。初めて投げるのに。2月に。-心配するものでもないいやいや、心配って。だから、3イニング投げさせてるいうことや。2回、3回ちゃんと投げてるやん。-木浪は2死から安打。8番が打てばそんなんゲーム展開なんか関係ないやんか、今日なんか初めてのオープン戦で、1人1人がヒット打って自分の調子あげたらええだけやんか。-まだメンバーはそろってはいないが、巨人の印象はいや、こんなメンバーで知らんやん。そんなん、きょう1試合で何で総括せなあかんの。

◆オープン戦初戦から雷が落ちた。阪神岡田彰布監督(66)が23日、開幕戦前哨戦に敗れた直後に激怒した。巨人とのオープン戦(那覇)は4-9で今年の対外試合初黒星。1回4安打2失点と打ち込まれた湯浅京己投手(24)の2軍降格を試合中から決断するなど、怒りは止まらなかった。2年連続リーグ優勝、日本一へ、さらなる底上げが必要だと感じているからこそ、調整期間も妥協はしない。今春の湯浅 オフは2度渡米し、アトランタやロサンゼルスでフォームの動作解析などを敢行した。春季キャンプでは11日の紅白戦で実戦初登板し、3連打を浴び1回1失点。岡田監督は「湯浅だけやな、初球から球速ばっかり見とったん」と指摘。試合終盤を任される投手として感情の起伏を出さないよう、成長を促された。18日の広島との練習試合(コザ)ではポーカーフェースで9回を3者凡退。外野フライ3つに打ち取り「結果より、やりたいことができました。試合で投げながら精度を高めていきたい」と話していた。

◆前阪神で巨人に新加入した馬場皐輔投手(28)とカイル・ケラー投手(30)が試合前に阪神ナインにあいさつ。岡田彰布監督(66)や選手たちと言葉を交わした。?馬場はドラフト1位で阪神に入団し、6シーズン在籍して通算106試合に登板。昨年12月に現役ドラフトで巨人に加入し「しっかり新天地のジャイアンツでチームに貢献していきたい」とコメントしていた。ケラーは昨季まで2シーズン阪神に在籍していた。

◆オープン戦の開幕となる一戦で、阪神は伊藤将司投手(27)が先発。野手は佐藤輝明内野手(24)ら主力がスタメンに名を連ねた。開幕投手に内定している巨人・戸郷と対戦する。

◆先発した阪神・伊藤将司投手(27)が一回に味方のミスも絡み、7失点を喫した。先頭の松原に中前打を許すと、続くオコエには追い込んでから粘られて10球を費やして四球。3番・門脇が1球で犠打を決められ1死二、三塁とピンチを招き、岡本に初球を右前に運ばれて1点を失った。なお1死一、三塁で吉川尚の打球は二塁の正面へ。併殺を狙いにいった中野が打球を後逸し、追加点を許した。伊藤将は続くD3位・佐々木(日立製作所)に左前へ適時打を許し、大城にも中前適時打で4失点目。さらに秋広に中堅へ適時二塁打、湯浅に左前適時打を浴びると、この回2度目の打席が回った松原に左前へ適時打を許し、7失点と大炎上した。

◆巨人打線が一回から爆発した。一回1死二、三塁で4番・岡本和の右前適時打で先制。主将が口火をきると1死一、三塁でドラフト3位・佐々木(日立製作所)の左前適時打から大城卓、秋広、湯浅、松原と5連打とつながり一挙7点をマーク。昨季の日本一チームの虎を相手に打者一巡の猛攻でいきなりビッグイニングをつくった。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が1―7の三回、右翼に2ラン本塁打を放った。豪快なオープン戦第1号をかっ飛ばした。2死二塁で巨人の2番手・赤星が初球に投じた145キロの直球をフルスイング。打球は右翼の防球ネットの最上部まで伸びる豪快弾となった。ここまで紅白戦を含めた実戦5試合で打率・636(11打数7安打)、1本塁打と打ちまくっていた左の大砲が、オープン戦初陣でも打力を見せつけた。

◆阪神の先発・伊藤将司投手(27)は3回7安打7失点だった。登板前日の22日に「試合の中で結果は大事なので、そこを意識してやっていけたら」と話していた左腕は、一回に6本の適時打を浴び、打者一巡の猛攻で7点を失う大乱調。それでも二回以降は立ち直り、二回、三回には前の打席で適時打を許した湯浅を139キロの直球で見逃し三振に抑えるなど三者凡退に抑えた。

◆5番手で七回のマウンドに上がった阪神・湯浅京己投手(24)が2失点を喫した。この回先頭の松原に左前打を浴びると、続くオコエにも左前打を許し、山瀬には右前打で満塁とされた。萩尾が初球を打ち上げて一邪飛で1死をとったが、続く中田に中前に運ばれ2点を失った。2死から四球を与えて再び満塁となったが、秋広を変化球で空振り三振に打ち取り、後続を断った。

◆阪神のヨハン・ミエセス外野手(28)が3―9の八回、左翼にソロ本塁打を放った。巨人・松井の真ん中に入ってきた148キロ直球を振り抜くと、打球は風に乗って左翼スタンドの最前列へ。沖縄の虎党を沸かせる一発で見せ場を作った。

◆阪神は投手陣が打ち込まれ、阿部慎之助監督(44)初陣の巨人に敗れた。先発した阪神・伊藤将司投手(27)がまさかの乱調で7失点。1死二、三塁のピンチを招いて岡本和に右前打を浴びて先制を許すと、この回7安打7失点と炎上した。後を継いだリリーフ陣は無失点で抑えていたものの、七回に登板した湯浅京己投手(24)が4安打を集められ2失点と課題を残した。攻撃は二回に下位打線の連打で1点を返すと、三回には佐藤輝明内野手(24)が2死二塁から右翼へ今季対外試合初本塁打となる特大の2ラン。八回にはヨハン・ミエセス外野手(28)の左翼への本塁打で詰め寄るも、序盤の大量ビハインドは重く、2024年のオープン戦初陣は黒星スタートとなった。

◆巨人は開幕投手に決まっている戸郷が上々の内容で1回無失点。調整遅れの不安を拭った。1番に入った松原が3安打。阪神は佐藤輝が豪快な2ランで持ち味を発揮。先発の伊藤将は3回7失点、湯浅は1回2失点と不安を残した。

◆巨人の阿部監督が「すごくいい攻撃ができた」とうなずいたのが一回だ。小技、足技を絡めて伊藤将から7得点。「点を取るのが野球だし、打つばっかじゃ難しいので」としてやったりの口ぶりだった。1、2番で計15球を投げさせ、3番門脇には「本塁打を30本打てるわけじゃないので」とバントを指示。吉川の二ゴロ(記録は失策)で追加点が入った場面には「足が速いので、狙いにいったのなら素晴らしい」。求めてきた自己犠牲の精神が浸透しているのを感じた様子だった。

◆守護神候補の巨人・ケラー投手(30)が阪神の主軸に対してわずか8球の好投を披露した。五回に4番手で登板して1回を三者凡退。昨季まで2年間プレーした古巣を相手に腕を振り、4番・大山からは3球で見逃し三振を奪い「いい打者と対戦することができて、ストライク先行でよかった」と振り返った。阿部監督は「ブルペンとは一味違って、スイッチが入っていてよかった」とうなずいた。

◆中日、阪神、西武で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(70)が三回に2ランを放った阪神・佐藤輝明内野手(24)に言及した。昨季、佐藤輝が残した「92打点」という数字は普通の選手に当てはめれば素晴らしいものだ。だが佐藤輝の場合は、どうしても1点が欲しい場面で、内野ゴロでも点が入るのに三振するようなケースも多く見てきたから、ふがいなさの方が強く残っているのではと思っていた。試合前に「去年の打点でいいとは思っていないでしょう?」と聞いてみると、やはり「自分もそう思います」という言葉が返ってきた。そして、試合では迫力あるホームランを見せてもらい「このスイングなら、100打点をどれだけ超えてくるだろう」と楽しみになってきた。これまでは泳がされたり、前に出されてミートポイントが離れ過ぎてしまったりという姿が多かった。今はスイングのバランスが良くなり、体の軸でしっかりと回れている。もともと持っていたパワーを、腕だけじゃなく体全体でボールに伝えられるようになった印象だ。投手に自分の形を崩される打席は、間違いなく減るはず。自分の形で振っての凡打なら何も気にすることはない。上位打線は今季もたくさん出塁するだろう。「最低100打点」のつもりでやってほしい。

◆開幕カードの前哨戦に先発した阪神・伊藤将司投手(28)は一回にまさかの7失点。7安打を浴び、味方の失策もからんで打者一巡を許し、「止まらんかったですね。何が悪かったのか見直したい」と振り返った。それでも二、三回は「低めに丁寧に投げられた」と打者6人をパーフェクト。「次は初回はしっかり大事に入りたい」と修正を誓った。岡田監督も「全然なんにも関係あらへん」と、予定の3回を投げ切った左腕へ変わらぬ信頼を寄せた。

◆代打で出場した阪神ヨハン・ミエセス外野手(28)が意地の一発を放った。「いい当たりではなかったですけど、フェンスを越えてくれたので、そこは良しとしようかな」。八回1死で7番手・松井の真ん中に入ってきた148キロ直球を左翼席最前列へ運んだ。11日の紅白戦以来の今春実戦2発目。「いろいろな面でまだまだ良くなると思う。良い一日一日を過ごして準備したい」と開幕に向けて仕上げていく。

◆阪神育成D2位・福島圭音外野手(22)=白?大=が自慢の足で対外試合初盗塁を決めた。「自分がアウトになったら終わりという場面で思い切って行けた」。九回1死一塁で代走で出場すると、2死後、植田への初球でスタート。タッチをかいくぐって二塁を盗んだ。それでも岡田監督は、代走で出て5球目での盗塁に「チャレンジしないやんか、1球目から走れ言うてんのに。そういうことしとったらまたファーム行かされるよ」と苦言を呈した。

◆「8番・遊撃」で先発した阪神・木浪聖也内野手(29)が実戦初安打をマーク。「沖縄に来てあまり打てていなかったので、ホッとした」と胸をなでおろした。紅白戦も含めて今季11打席目となった二回に中前打を放つと、六回にも右翼へ二塁打。いずれも真っすぐに力負けせず振り抜いた。試合は続いていくが「やることは変わらない。特に守備をしっかり優先して、打つ方でも結果を出せたら」と意気込む。恐怖の8番がようやく目覚めた。

◆先発マスクをかぶった阪神・坂本誠志郎捕手(30)は2安打1打点。二回は2死一、二塁から中前適時打を放ち、「点を取られた後だったし、ああいうヒットが追い込まれてからでも出ると大きい」とうなずいた。伊藤将と組んで初回こそ大量失点したものの、今年の巨人打線を近くで感じ、「いろいろなことを試してくれたのでこれを開幕に生かすことが大事。オープン戦でよかったな、と言えるように確認していきたい」と前を向いた。

◆「1番・右翼」で先発した巨人・松原聖弥外野手(29)が3安打1打点と躍動した。一回、中前へチーム初安打を放つと、打者一巡の第2打席で左前適時打。1イニング2安打を記録した。昨季21試合で無安打だった29歳は「この2年間苦しい思いをして毎日がラストチャンスだと思ってやっている。自分がやることだけを考えて気を抜かずに頑張ります」と外野の激しいポジション争いへ意気込んだ。

◆投手陣が阿部監督の期待に応えた。7人の継投で、四球は赤星が二回に与えた1個。指揮官は「ストライクゾーンだけでは打ち取れない」と断った上で、昨季リーグ5位の401与四球を記録した投手陣について「ゾーン内で勝負していこうというのがすごく浸透している」と一定の手応えを得た。

◆「1番・中堅」で出場した阪神・近本光司外野手(29)が一回、巨人の開幕投手に決まっている戸郷翔征投手(23)に先制パンチを浴びせた。「しっかりボールを見れました。(戸郷は)シーズンとは違うし、ストレートも違ったなって感じです」カウント2-2からの5球目。145キロの直球を左前へ運ぶ。昨季、打率・429(21打数9安打)、2本塁打と打ちまくった戸郷に苦手意識を芽生えさせる一打となった。二回2死一、二塁の好機で迎えた打席は2番手・赤星の直球に少し押されて右飛に。「ちょっと力んでいたけど。(打席で)見える部分もあった」と収穫を強調した。四回の打席で代打を告げられてベンチに退いた。今春の実戦4試合目(紅白戦2試合を含む)。ここまで3試合で6打席しか立っていないが、これは開幕をベストの状態で迎えるため。岡田監督は「自分のペースで開幕に合わせてやってくれればええ」と調整法に信頼を寄せている。「(きょうは)しっかりボールを見れたし、スライダーも投げてくれた。やりたいことは打席の中で、できたのでよかった」開幕カード(東京ドーム)で巨人と当たる。レギュラーシーズン初打席で再び戸郷から安打を放ち、今度はチームを勝利に導く。(三木建次)

◆阪神・岡田彰布監督(66)が巨人とのオープン戦初戦(那覇)に4-9で大敗し、試合後に怒りをぶちまけた。七回に4安打1四球で2失点した湯浅京己投手(24)については試合中に2軍落ちを決断。オフから復活を期待してきたが、我慢の限界を迎えた。「1番・中堅」でスタメン出場した近本光司外野手(29)は一回先頭で左前打を放ち、存在感を発揮した。12年ぶりに那覇で行われた、注目の阿部巨人とのオープン戦の初戦はまさかの大敗。岡田監督の怒りの矛先は湯浅に向いた。七回に登板して不安定さを露呈。指揮官はいらだちを隠さず、右腕の2軍落ちを試合中に決断したことを明かした。「明日(24日)から2軍やん。投げてる最中に(コーチに)言うたよ。だってそんなん無理やん。ずっと言うてるやんか。いろんな面でやり直さなアカンのちゃう、もう一回」虎将は吐き捨てるように、復活までの道のりの険しさを口にした。3-7の七回。5番手の湯浅はいずれも直球で3連打を許して無死満塁とし、育成選手の中田に146キロを捉えられて中前2点打で失点。2死満塁からは秋広をフォークで空振り三振に斬ったが、1回26球、4安打1四球2失点。ベンチの指揮官は具志川行きを即決した。

◆開幕投手に決まっている巨人・戸郷翔征投手(23)が先発。那覇の大観衆の前で1回無失点の好投を見せた。「まずは自分の調整が一番だと思うので、そこを意識した。点を取られずに結果もある程度いいものが出せた」先頭の近本に左前打を浴びたものの、後続を飛球に打ち取った。最速は147キロを計測し、14球で昨年日本一に輝いた阪神の上位打線を封じた。3月29日の開幕戦(東京ドーム)で対戦するだけに阿部監督は「次はもう少し(長い)イニングを投げるかもしれないし、いい調整をしてもらいたい」と期待した。予定されていたシート打撃の登板を回避したこともあった右腕だが「すごく順調に来ている。問題なく次の試合も入れると思う」と不安はない様子。次回登板へ向け「真っすぐ(の出力)はもっと出る。変化球の精度も高めていけたら」と意気込んだ。(原田優介)

◆開幕戦のデモンストレーションや! プロ野球のオープン戦が23日、スタート。阪神は3月29日からの今季開幕カードで当たる巨人に4―9で敗れたが、佐藤輝明内野手(24)が三回にオープン戦第1号となる2ランを放った。逆風をものともせず、右中間席後方の防球ネット最上部に直撃する特大弾でファンを沸かせた。1カ月後の東京ドームでも頼むで!一撃必殺のひと振りで放った打球が、逆風を切り裂いた。右中間スタンドで待つ観客のはるか上空に飛んだボールを見届け、佐藤輝がゆっくりとダイヤモンドを一周する。オープン戦の開幕を彩る、豪快な第1号本塁打。新生阿部巨人を相手に特大の存在感を示した。「1球で打てたので、そこがよかったと思います。しっかり角度がついていい当たりが打てた」1―7の三回、2死二塁で2番手の赤星と対戦した第2打席。初球の145キロ真っすぐを迷うことなくフルスイングした。これまで苦手としていた内角への直球を仕留めた打球は、右中間の防球ネットの最上部まで届く推定125メートルの本塁打。今春のオープン戦で12球団最速の一発となった。開幕カード(3月29-31日)で対戦する阿部巨人との前哨戦となった一戦で、開幕ローテ入りが有力な若手右腕を打ち砕き、「いい形で(打球が)上がってくれた」と手応えをにじませた。

◆ただのオープン戦開幕ではなかった。「伝統の一戦」であり「3・29へ向けた開幕前哨戦」であり、岡田監督と阿部新監督の〝初顔合わせ〟でもあった。試合開始の午後1時には那覇市の最高気温は23・8度まで上昇。巨人のキャンプ地であるにもかかわらず左翼席と三塁側スタンドは虎党が黄色く染め、1万4581人が詰めかけた沖縄セルラースタジアム那覇には熱気が充満した。沖縄で生まれ育ち、那覇の名門・首里高でノビノビと育った虎番キャップの新里公章は「まだ奥武山(おうのやま)球場と呼ばれていたときに野球部の応援で来ましたねぇ。初めてグラウンドに入ることができてうれしいです」としみじみ語っていた。球場横に位置する沖縄県立武道館には剣道部に所属した中学時代に訪れた経験があったというが、野球記者としての〝故郷凱旋〟は初めて。ただ、地元をよく知るからこそ心配もあったようで...。「伝統の一戦ですし、レンタカーで来られているファンの方も多いでしょうから、帰りは大渋滞になりませんかね」と気が気でないようすだった。そんな新里を安心させる〝有識者〟が突如現れる。岡田監督だ。試合前に虎番キャップ陣と雑談していた際に「橋を渡るまで渋滞。橋を越えたら大丈夫や」と〝予言〟。球場がある奥武山公園の脇には国場川が流れるが、そこに架かる那覇大橋と明治橋さえ渡ってしまえばもう大丈夫と、言い切ったというのだ。長く指揮官を取材してきたビヤ樽こと三木建次も「岡田さんはお天気博士でもあり〝道博士〟でもある。名護(日本ハムのキャンプ地)からの帰り道で渋滞しない道だって知っていた」と大きくうなずいている。こうしてサンスポ虎番はノンビリ?大きな気持ちで取材にあたっていた。あの〝戦慄の一発〟が飛び出すまでは...。

◆客もマスコミも多い。さすが伝統の一戦、今季も盛り上がる雰囲気だ、とまずは上々の感触。ただし、お披露目のスタイルは対照的だった。阪神は自慢の1番(近本)、2番(中野)、4番(大山)、8番(木浪)と、昨年の日本一の軸となった打順が、今年も不動。外国人以外、ほぼベストのスタメン。去年はこの顔ぶれでアレを果たしました。今年もコレを崩さず連覇します。どうぞ見てください。そういわんばかりで、自信が読み取れる。巨人の不動は4番(岡本和)だけ。試行錯誤の真っ最中で、オーダーはまだ決まりません...といったところ。いつ頃、固定できるのか、注意深く見守る必要があるよ。その中で巨人には、大きな収穫があった。ほかならぬ岡本和。それも守備で。二回、前川の一塁ファウルフライを、フェンスに激突して転がりながらキャッチした。打撃で安定感が増してくると、守備も良くなる。相乗効果のサイクルが、どんどん上向いているね。なにより、だ。オープン戦の初戦で、少々の手抜きをしても不思議はない時期に、全力プレー。練習試合と違い、金を払って観に来てくれたファンへの御礼。うん、それでこそプロだ。(サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
巨人
100 1.000- 9400 0.3142.000
1
広島
100 1.0000 10011 0.3410.000
3
中日
010 0.0001 01000 0.13310.000
3
阪神
010 0.0001 4921 0.2379.000