巨人(★2対8☆)日本ハム =交流戦1回戦(2023.06.02)・東京ドーム=
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日本ハム
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巨人
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勝利投手:鈴木 健矢(5勝2敗0S)
敗戦投手:横川 凱(3勝3敗0S)

本塁打
【日本ハム】マルティネス(7号・5回表2ラン),加藤 豪将(3号・7回表ソロ),ハンソン(2号・8回表ソロ)
【巨人】梶谷 隆幸(1号・5回裏ソロ)

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◆日本ハムは1点を追う4回表、マルティネスの適時打などで3点を奪い、逆転に成功する。その後は5回にマルティネスの2ラン、7回には加藤豪のソロと野村の適時打が飛び出すなど、小刻みに追加点を挙げた。投げては、先発・鈴木が6回途中2失点で今季5勝目。敗れた巨人は、投打ともに振るわなかった。

◆巨人丸佳浩の日本ハム戦は通算122打数23安打、2本塁打で打率1割8分9厘。丸がカード別打率で2割を切っているのは日本ハム戦しかない。広島時代も打率2割6厘と苦手にしていた日本ハム戦だが、巨人移籍後はさらに悪く、25打数3安打で打率はわずか1割2分。今季は打てるか。

◆巨人中田翔内野手(34)が古巣・日本ハムナインと再会を喜んだ。試合前練習で日本ハムベンチを訪れて戯れた。同期入団の宮西にはおなかをつままれながら談笑。松本剛ら後輩ともコミュニケーションをとった。中田翔は昨年の交流戦の対戦で古巣を相手に12球団制覇弾となる2ランを放ち、札幌ドームを沸かせていた。

◆巨人坂本勇人内野手(34)が6日中日戦以来のベンチスタートとなった。遊撃には中山礼都内野手(21)が起用された。スタメンには左打者が8人並んだ。右打者は2戦3発と連夜の活躍を見せている「4番一塁」の岡本和真内野手(26)だけ。日本ハム先発は右アンダースローの鈴木健となる。先発は横川凱投手(22)で4勝目を目指す。

◆日本ハムが1点を追う4回、チーム内で浸透中の「ぴくちゃーポーズ」連発で一気に逆転した。先頭の4番万波中正外野手(23)が二塁打で出塁。続く5番アリエル・マルティネス捕手(27)はカウント3ボールから、巨人横川の140キロ直球を捉えた。「相手ピッチャーを打って、何とか点を取りたいという一心でした」と放った痛烈な打球は左越え同点適時二塁打となり、二塁塁上では同僚が陣取る三塁側ベンチへ向けて写真を撮る構えをする「ぴくちゃーポーズ」を決めた。さらに1死一、三塁で8番上川畑大悟内野手(26)が勝ち越しの右前適時打。「1打席目にチャンスで回ってきた時に打つことができなかったので、この打席は絶対に打点をあげると決めていきました!」と熱い思いを体現して、再び「ぴくちゃーポーズ」で喜ぶ三塁側ベンチをパチリと"撮影"した。歓喜の記念撮影が続くと、幸運も舞い込んだ。9番に入った先発の鈴木健矢投手(25)がバントを空振りし、二塁走者のアルカンタラが飛び出してしまったが、捕手・大城卓が二塁へ送球してくると思い切って三塁へスタート。これが成功し、三塁はセーフ、一塁走者の上川畑も二塁に進塁で結果的にダブルスチール成功。鈴木は高いバウンドの遊ゴロでアルカンタラが生還し、プロ初打点を挙げて3点目を追加した。マルティネスは5回に7号2ランもかっ飛ばし、今度は両手で頭上に"二重丸"をつくるお決まりのポーズで喜んだ。

◆日本ハムのアリエル・マルティネス捕手(27)がサイクル安打に王手をかけた。2回に左前打、4回に適時二塁打、5回に左越え7号2ランを放った。あとは三塁打が出ればサイクル安打となり、21年9月18日ヤクルト塩見以来、史上72人目、77度目の記録となる。4回の適時二塁打では「相手ピッチャーを打って、何とか点を取りたいという一心でした」とコメント。5回の7号2ランでは「万波がセカンドに盗塁してスイッチが入りました! 最高の結果が出て良かったです」とコメントもノってきた愛称「グワチョ」のマルティネスが大記録達成なるか、注目だ。

◆日本ハムの「グワチョ」ことマルティネスが攻守でチームを引っ張った。1点を追う4回無死二塁で左越え同点適時二塁打。カウント3ボールから、迷わずストライクを取りに来た直球を一振りで仕留めた。「相手ピッチャーを打って、何とか点を取りたいという一心でした」。鈴木とバッテリーを組み、3回に先制点を奪われたが、直後に自身が打って追いつき、その後の勝ち越し劇につなげた。5回には2死二塁で左翼へ7号2ランを運んだ。「万波がセカンドに盗塁してスイッチが入りました! 最高の結果が出て良かったです」と、コメントも絶好調。この打席も万波が二盗を決めた4球目まではスイングせず、5球目のカットボールを一振りで仕留めた「グワチョ」。この愛称は、スペイン語で"優れたカウボーイ"を意味するという。ちなみに2回の打席も初球を左前打。鈴木を好リードしながら、百発百中のスイングでチームを盛り上げた。

◆巨人梶谷隆幸外野手(34)が21年4月27日以来、2年2カ月ぶりとなる飛距離134メートルの特大アーチを放った。1-5と4点ビハインドで迎えた5回1死、カウント3-1から日本ハム先発鈴木健のストレートを捉え、右翼バルコニー席へ1号ソロを運んだ。先発横川が5回までに5失点する重苦しい試合展開だったが、反撃となる一発を放った梶谷は悠々とダイヤモンドを1周した。「打ったのは真っすぐです。久々のホームランを打てて良かったです。次の打席も頑張ります」と振り返った。21年10月には腰椎椎間板ヘルニアの手術を受け、昨年5月には左膝内側半月板縫合手術を受けた影響で昨年は1軍出場がなかった。

◆日本ハム加藤豪将内野手(28)が清宮幸太郎内野手(24)が持つ記録へ王手をかけた。「3番一塁」でスタメン出場し、7回の第4打席で右翼へ3号ソロを放った。「打ったのは真っすぐです。チームメートが、たくさん打って楽しんでプレーしていたので、自分も打てて良かったです」とコメントした。これで加藤豪はデビュー戦となった5月25日ソフトバンク戦(エスコンフィールド)から出場した6試合連続安打をマーク。新人選手のデビュー戦からの連続試合安打は、18年に高卒ルーキーだった清宮が記録した7試合連続安打。加藤豪が年下の同僚が持つ新人記録に、あと1試合と迫った。

◆巨人投手陣が3本塁打を浴びるなど、日本ハム打線の勢いを止められず連勝が2でストップした。巨人は3回、丸と梶谷の連打でチャンスを作ると、この日3番に起用された秋広の内野ゴロの間に先制する。しかし先発の横川が4回にマルティネスと上川畑の適時打などで3点を失うと、5回にもマルティネスに2点本塁打を浴び、5回5失点で降板した。7回からリリーフした平内も加藤豪、ハンソンに被弾し失点を重ねた。巨人は5回に梶谷の2年2カ月ぶりとなるソロを含む2ケタ安打を放ったが、好機を生かし切れず、借金生活に逆戻りとなった。

◆巨人横川凱投手(22)が4勝目を狙うも、5回9安打5失点と日本ハム打線相手に粘りきれなかった。1回はテンポよく、上位打線3人を7球で打ち取った。2回には無死から連打を浴びるも、後続を打ち取り無失点で踏ん張った。しかし1点リードの4回、先頭の万波に二塁打を打たれると、無死二塁からマルティネスに同点となる左翼への適時二塁打を浴びた。さらに上川畑にも右前へ勝ち越し適時打を許した。1死二、三塁からは投手の鈴木にも遊ゴロの間にプロ初打点を献上し、リードを2点に広げられた。5回2死二塁ではマルティネスに、左翼席への2ランを被弾。4番、5番に座る万波とマルティネスに3打数3安打(万波は1盗塁)と中軸につかまり、6回から2番手のルーキー田中千にマウンドを譲った。横川は「粘れず悔しいです」とひと言で振り返り、悔しさをにじませた。

◆日本ハムの「二刀流」ルーキー、矢沢宏太投手(22)が、9回に左翼の守備からマウンドに上がった。今季2試合目の登板だが、試合中に守備位置を変更しての登板は初。6点リードの状況で、ブリンソンを遊ゴロ、坂本を投ゴロに打ち取ると、丸には左越え二塁打を許したが、プロ入り同期の代打萩尾を空振り三振に打ち取った。1回11球を投げて1安打1奪三振で無失点。新庄剛志監督(51)は「実は予定なかったんですけど、東京ドーム僕大好きなんで。この舞台で投げてくれんかと。レフトから投げてほしいということで急きょ、用意してもらっていってもらいました」と説明。投球についても「良かったですよ。このまま続けてもらったら、今度は外野のポジションからマウンドに送って、また戻しても面白いかなと思いました」と新たなプランを披露した。

◆巨人菊地大稀投手が24歳のバースデー登板で、1回を無失点に抑えた。6点を追う9回に4番手でマウンドを任された。先頭加藤豪に四球を与えるも、続く万波を二ゴロの併殺に仕留めた。マルティネスに四球、江越には二塁打と続かれた。2死二、三塁のピンチで矢内を左飛に封じ、ホームベースは踏ませなかった。二塁打と2四球を与えた中で、走者を出してから粘った。

◆巨人がサブマリン右腕に屈した。日本ハムの先発鈴木の前に6回途中まで2得点にとどまった。先発オーダーは4番の岡本和以外は左打者8人を並べ、9安打も決定打を欠いた。中山、吉川の連打で無死二、三塁の絶好機をつくった6回は門脇、代打坂本、丸がいずれも凡退して無得点。原辰徳監督は「見ての通りだね。やっぱり6回でしょうね。6回だと思いますよ」と悔しさをにじませた。

◆日本ハム先発のアンダースロー右腕、鈴木健矢投手(25)対策に左打者を8人並べた巨人打線について、新庄剛志監督(51)は「あんだけ左バッターそろえられたら、毎回ドキドキで。とらえられ始めたら、すぐ代えようかなと準備はしてたんですけど」と明かした。鈴木は6回途中9安打2失点で粘り、5勝目。新庄監督は「彼にはサイドスローからアンダースローに変えてみないと言って、すごい僕の期待に応えてくれているので、すごく頼もしいです」と評した。球数は102球。次回登板については「中2日ぐらいでいけるんじゃない。彼のピッチングなら」と笑いを誘った。「ゆっくり休んでもらって次の登板に備えて欲しいです」。3日の先発は伊藤大海投手。「彼はエンジンかかってきたので。抜け殻から、ちょっと脱出してきているので期待してます」と締めくくった。

◆巨人タイラー・ビーディ投手(30)が1軍の試合前練習に合流した。来日1年目の今季は5試合に先発も、0勝4敗、防御率5・47で5月1日に出場選手登録を抹消されていた。以降はイースタン・リーグで3試合に先発し、0勝1敗、防御率6・19だった。ビーディについて阿波野投手チーフコーチは「現状の部分で2軍では先発やってますけど、本人の手応えも聞けたし、今日2軍の試合も中止になったりして、1回ドームに呼んでみようと。次の2軍での登板も決まってますので、すぐに昇格とかでは(ない)」と意図を説明した。

◆日本ハムの「二刀流」ルーキー、矢沢宏太投手(22)が、9回に左翼の守備からマウンドに上がった。今季2試合目の登板だが、試合中に守備位置を変更しての登板は初。6点リードの状況で、ブリンソンを遊ゴロ、坂本を投ゴロに打ち取ると、丸には左越え二塁打を許したが、プロ入り同期の代打萩尾を空振り三振に打ち取った。1回11球を投げて1安打1奪三振で無失点。新庄剛志監督(51)は「実は予定なかったんですけど、東京ドーム僕大好きなんで。この舞台で投げてくれんかと。レフトから投げてほしいということで急きょ、用意してもらっていってもらいました」と説明。投球についても「良かったですよ。このまま続けてもらったら、今度は外野のポジションからマウンドに送って、また戻しても面白いかなと思いました」と新たなプランを披露した。ルーキー矢沢が8回から左翼で出場し、9回から今季2度目の登板。前回登板の5月21日オリックス戦は投手だけでの出場で、投手、野手の両方で出場は初めてだ。野手からの登板は13年大谷(日本ハム)以来。大谷は1年目だった同年、8月18日ソフトバンク戦で5番右翼で先発し、8回からリリーフした。大谷の野手→投手は公式戦ではこの1度しかなく、投手→野手も同年に1度あるだけ。

◆左翼で途中出場していた日本ハム矢沢宏太投手(22)が9回、投手としてマウンドに上がった。外野から投手へのポジション変更は、2013年8月18日ソフトバンク戦(帯広)で日本ハム大谷翔平投手(現エンゼルス)以来。矢沢の登板は今季2度目。2死後、巨人丸にフェンス直撃の左越え二塁打を許したが、最後は代打萩尾を空振り三振に仕留めて1イングを1安打無失点だった。新庄剛志監督(51)は「実は予定になかったんですけど、東京ドームの舞台で投げて欲しいと急きょ、用意してもらって投げてもらいました」と起用の裏側を明かし、「このまま続けてもらったら、今度は外野のポジションからマウンドに送って、また戻しても面白いかなって思いましたね」と、展望を口にした。

◆日本ハム新庄剛志監督(51)が2年目の進化を見せつけた。「日本生命セ・パ交流戦」で投打で巨人を圧倒。スタメンマスクを託したマルティネスが7号2ランを含む3安打3打点と打線をけん引。指揮官自らサブマリン投手として戦力に成長させた鈴木とのバッテリーで試合をつくり、最後はルーキー矢沢を大谷以来となる野手出場からの投手登板で快勝劇を締めくくった。これで交流戦は3勝1敗で首位キープだ。日本ハムが3本塁打。巨人戦でチーム3本塁打以上は、06年5月30日(札幌ドーム)にセギノール、稲葉(2本)が計3本を放って以来17年ぶり。このカードで3人が1発は05年5月21日(東京ドーム)の新庄、岩本、森本(2本)以来2度目だ。

◆日本ハム新庄剛志監督(51)が2年目の進化を見せつけた。「日本生命セ・パ交流戦」で投打で巨人を圧倒。スタメンマスクを託したマルティネスが7号2ランを含む3安打3打点と打線をけん引。指揮官自らサブマリン投手として戦力に成長させた鈴木とのバッテリーで試合をつくり、最後はルーキー矢沢を大谷以来となる野手出場からの投手登板で快勝劇を締めくくった。これで交流戦は3勝1敗で首位キープだ。新庄監督は充実の表情で試合後の第一声を放った。「怖かった~」。昨春キャンプで自ら横手投げから下手投げに転向させた先発鈴木に対して、巨人打線は左打者を8人並べてきた。「いつ捕まえられるか...」と心配していたが、そんなサブマリンを引っ張って試合をつくったのが、初めてバッテリーを組ませたマルティネスだった。指揮官も「よう分からん」というキューバ代表捕手の組み立てが巨人打線を翻弄(ほんろう)。大勝へとつながる、大きなスパイスとなった。これでマルティネスが先発マスクの試合は6勝2敗。「僕は好きなんですよ。良さが分からないところが面白い」。新庄監督は他球団にとって配球データが少ない愛称「グワチョ」(スペイン語で優れたカウボーイ)を積極的に捕手で起用。不思議なことに「マスクをかぶると打つんです」。この日は4回に同点適時二塁打、5回に7号2ラン。「捕手の時は普段の打撃に対する意識の分を守備の部分に注ぐ。投手が0失点で降板できるように考えてるので(打っているのは)偶然」というマルティネスも、指揮官が潜在能力を引き出している1人だ。攻撃面での意識付けも新庄野球の進化が詰まっていた。4回1死一、二塁。投手の鈴木が犠打を空振りしたが、二塁走者のアルカンタラは捕手・大城卓が二塁へ送球すると三塁へ。さらに三塁送球間に一塁走者の上川畑も二塁へ進み、重盗が決まった。「(投手が犠打を)空振りする確率が高いから、空振りしたらもうサードに行ってくれという指示」と新庄監督。見事にハマって、得点につなげた。最後は9回からレフトの矢沢を「急きょ。(登板)15分前くらいかな。いける? って」と、初めてリードした場面で投手起用。「球自体も悪くなかった」と二刀流ルーキーの起用の幅も広げた。就任1年目でまいた種に、2年目で新たに加わった新戦力も存分に生かしての大勝。笑顔で球場を後にした。【木下大輔】主な外国人捕手 マルティネスは中日時代の20、21年もスタメン捕手として通算30試合に出場した。20年に来日初めて先発した時は、91年ディアズ(ロッテ)以来29年ぶりの外国人捕手先発出場だった。ディアズは通算18試合に先発。捕手出場が多かった主な選手は、ともに日系選手の田中義雄(阪神=37年秋~44年に428試合)、広田順(巨人=52~56年に423試合)や、ハリス(名古屋-イーグルス=36年春~38年秋に179試合)、ルイス(毎日=54、55年に264試合)ら。ハリスはイーグルス時代の37年秋にMVP、38年春に本塁打王。ルイスは55年にリーグ最多の31二塁打をマークした。▽日本ハム矢沢(8回に左翼守備で途中出場、9回は投手として試合を締めくくる)「守備から帰ってきたら『投げるよー』って建山コーチに言われて。『え、いつですか?』って聞いたら『次の回(9回)』って。そこからピッチャー用のスパイクに履き替えて、サポーターを外して、ブルペンで準備した。10球くらい。いいボールを選択して投げられた」▽日本ハム鈴木(左打者8人の巨人打線を6回途中2失点で5勝目)「最初びっくりしました。ミーティングと話違うじゃんって(笑い)。なんとか粘れました。(ストライク)ゾーンで攻められたのがよかった」

◆日本ハム加藤豪将内野手(28)が清宮が持つ新人記録に王手をかけた。7回に右翼へ3号ソロでデビュー戦から6試合連続安打とした。試合後は「(大差となって)スタメンの選手がちょっとベンチで休めて、矢沢が投げれた方がうれしい」と笑顔。これで18年に清宮が記録したドラフト制後のプロ野球記録(7試合)まで1試合。「今までは意識してなかったんですけど、清宮って聞いたら...勝ちたいですね。清宮は大好きなので」とニヤリとした。

◆日本ハム万波中正外野手がプロ初盗塁を決めた。5回に完璧なスタートで二盗に成功。5年目で初めての盗塁に「ちょっと縁がないかなと思っていたけど、ようやくできました。あれはサイン。絶対にけん制が来ないと思っていました。めっちゃうれしいです」と笑顔。打っても3安打3得点。「僕が打点を挙げたわけではないので、もう本当にマルちゃん(マルティネス)のおかげです」と、3安打3打点の5番に感謝していた。

◆日本ハム上川畑大悟内野手が決勝の打点を挙げた。同点の4回1死一、三塁で右前適時打。「1打席目にチャンスで打てなかったので、この打席は絶対に打点を挙げると決めていきました!」。巨人先発の横川との相性も見てスタメン起用した新庄監督は「1本出して乗ってほしいっていう意味で。大事な場面で打ってくれた。(最近は)守りも打つ方も攻めてない感じが見えていたけど、今日の1本で楽になったんじゃないですかね」と話した。

◆"北のアンダースロー"日本ハム鈴木健矢投手(25)が2日、「日本生命セ・パ交流戦」の巨人戦(東京ドーム)に先発し、5回2/3を9安打2失点にまとめて、今季5勝目を挙げた。打撃でも、2-1と1点を勝ち越した直後の4回1死二、三塁から強くたたきつけ、投手の頭を越えた打球(記録は遊ゴロ)で、プロ初打点を記録。投げて打って活躍し、交流戦1位死守に貢献した。ファイターズブルーの帽子は、噴き出す汗に変色していた。中5日で上がった緊迫のマウンドで、先発の鈴木が粘りの投球を見せた。"鈴木対策"として、左打者8人を、ずらりと並べた巨人打線に、9安打を浴びながら6回途中2失点。「すごい打順を組んできましたね。最初、びっくりしました。ミーティングと話が違うじゃんって」。6回1死二、三塁で、代打坂本を捕飛に仕留めて、同じく社会人出身で同期入団の河野にマウンドを託した。この試合の前まで、右打者に対しての被打率は、わずか1割1分5厘。一方で左打者には2割7分2厘と、苦手にしていた。3回に2連続長短打で先制の1点を許し、5回には3ボール1ストライクから、巨人梶谷に右翼ポール際へ今季初被弾を許したが、心は折れなかった。被弾直後、絶好調の4番岡本和に対しては3球三振。今季自己最多の102球を投げ「めちゃくちゃヒットは打たれましたけど、粘れました。熱投しましたね。とか言って、(伊藤)大海に言ったら怒られるッスよ。『オレ、もっと投げている』って」と苦笑いも「ゾーンで攻められたのが良かった」と、胸を張った。打席に立ったのは、この試合がプロ入り後、初めて。4回の第2打席では、1死二、三塁から、たたきつけた打球が大きく跳ねて、投手の頭を越える「ボッテボテ」のラッキーゴロ。三走のアルカンタラが生還し、プロ初打点を記録した。「奇跡です。たまたま、当たりました」と照れた。千葉出身。スタンドには「兄と、じいちゃんと、高校の先輩と高校時代の恩師」が応援に駆けつけていた。「打たれまくって、どうなるかと思った。ピンチの場面で坂本さんを打ち取って、球界を代表する打者を抑えられたのは自信になります」。難敵を退けて手にした5つ目の白星に、誇らしげだった。

◆巨人は坂本勇人内野手(34)がベンチスタートとなった。代わって3年目の中山礼都内野手(21)が「6番・遊撃」に入った。

◆日本ハムの下手投げ右腕・鈴木に対して、巨人は大胆な策を講じた。先発メンバー9人中、投手の横川を含めて8人の左打者を並べた。3試合連続で1番に座った丸が、変則右腕攻略の突破口を開いた。0-0で迎えた三回先頭。カウント1-2から126キロの直球を捉え、右翼線への二塁打で出塁。3試合ぶりに先発出場した梶谷が右前打でつなぎ好機を広げた。秋広の初球でエンドランを仕掛け、遊ゴロの間に三走の丸が生還。足を絡めた攻撃で先制点をもぎとった。貴重な援護点をもらった先発の横川は、走者を背負いながらも要所を締める粘りの投球を続けていたが、中盤につかまった。1-0で迎えた四回。先頭の万波に右中間への二塁打で出塁されると、続くマルティネスに同点の左越えの適時二塁打。その後も1死一、三塁のピンチで、上川畑に右前適時打を浴びて勝ち越しを許した。五回も2死から万波にこの日3本目となる左前打を浴びると、続くマルティネスに痛恨の2ランを被弾。5回88球、9安打5失点で無念の降板となった。3試合連続でクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)を記録していた左腕は「粘り切れず悔しい」と肩を落とした。(樋口航)

◆もう驚かない。日本ハムのサブマリン、鈴木健矢投手(25)がまたも中5日で先発マウンドに上がった。「慣れたっス。それに1回、中4日を経験しちゃうと、中5日が長く感じるという、おかしなあれ(感覚)が始まっているので」五回までは最少失点に抑える確率が高いというゲームメーク能力を評価されて、新庄監督が鈴木中心のローテーションを再構築。5月10日→16日→21日→27日→6月2日と、中4日を1試合挟みながら中5日で回してきた。従来の中6日では登板2日前にブルペン入りしていたが、中5日では前日。1日もブルペンで38球を投じた。東京ドームのマウンドは2016、18年の都市対抗に三菱日立パワーシステムズの補強選手として立った経験がある。「狭い印象しかないですね。社会人のときに、左翼に飛球が上がって、レフトフライだと思って、余裕でロジンを触っていたらホームラン。マジか?と」と苦笑した。三回に先制点を許したが、直後の四回に打撃で取り返す。2-1と逆転に成功し、なお1死二、三塁で138キロのカットボールに食らいついて投手のグラブをはじく遊ゴロでプロ初打点を挙げた。「高校通算0本塁打。打撃練習ではめちゃめちゃ打っていたんですけど、(試合で投手の)球速が130キロ超えてきたら見えない(笑)」と話していた鈴木。それでも、右投げ左打ちということで、かつての同僚・西川遥輝(現楽天)の打撃フォームの物まねを得意としていた。鈴木は5回2/3を102球で9安打2失点と粘った。堂々の今季5勝目(2敗)だ。打線も14安打8得点と爆発したチームの交流戦は、これで3勝1敗となった。

◆巨人・中田翔内野手(34)が古巣の仲間との再会を楽しんだ。試合前に2021年途中まで14年間在籍した日本ハムの松本剛や万波、同期入団の宮西らと交流。師と仰いだ稲葉ゼネラルマネジャー(GM)とも談笑した。札幌ドームで行われた昨季の交流戦では、古巣から12球団制覇弾となる本塁打を放った。後輩の面倒見の良さから〝大将〟として慕われていた大砲の周りには、多くの古巣ナインが集まった。なお、日本ハムが快勝した試合に中田の出場機会はなかった。

◆巨人は3連勝ならず。先発した横川凱投手(22)は5回9安打5失点で4月14日以来の3敗目(3勝)を喫した。今季から先発ローテーション入りし、開幕から安定した投球を続けてきただけに、原辰徳監督(64)は「非常に伸び盛りの選手ですけどね。今日はいい材料を何か一言、二言、言いたいけど、なかなか言葉が見つかりませんね」と渋い表情だった。横川は四回に4安打で3失点、五回にはマルティネスに7号2ランを浴びるなど打ち込まれた。「粘り切れず悔しいです」とコメントした。

◆巨人・阿波野秀幸投手チーフコーチ(58)が1軍練習に参加したタイラー・ビーディ投手(30)=前パイレーツ=について言及した。2軍再調整中のビーディはイースタン・リーグの日本ハム戦(鎌ケ谷)が悪天候により中止なったこともあり、東京ドームでの試合前練習に参加。阿波野投手チーフコーチは「現状の部分で2軍で先発もやってますけど、その辺の本人の手応えも聞けた。一回(東京)ドームに呼んでみようとそのへんの部分なので」と状態の確認をするためだったと説明。「(1軍)昇格とかではなく、彼の場合は2軍で次の登板も決まっているので」と話した。

◆巨人・梶谷隆幸外野手(34)が2年ぶりとなる1号ソロを放った。「久々のホームランを打てて良かった」。1-5の五回1死。カウント3-1から鈴木が投じた直球を一閃。2021年4月27日のヤクルト戦(神宮)以来の一発を右翼ポール際にたたき込んだ。三回には右前打を放ち複数安打を記録。3試合ぶりの先発起用にバットで応え、チームが敗れる中で存在感を見せた。

◆日本ハムの矢沢が八回から左翼の守備に就き、九回には登板して1回1安打無失点で試合を締めた。投打「二刀流」での活躍を目指すドラフト1位新人が、チームの先輩の大谷(エンゼルス)が10年前に右翼から救援登板した時と同じように異例の起用に応えた。八回の守備を終え、ベンチに引き揚げた際に九回の登板を告げられたという。急いで投球練習を行い、プロ2度目の登板へ備えた。「全くピッチングのことは考えていなかった。行くぞと言われて、スイッチが入った。その中である程度のパフォーマンスができたのは良かった」と手応えを口にした。

◆思い切った〝左打線〟も勝利にはつながらなかった。4位・巨人は3連勝ならず、3日ぶりに勝率5割を切った。8人の左打者を先発させた原辰徳監督(64)は「相性とかじゃなく、チームの最善策ですね。(分岐点は)やっぱり六回だと思いますよ」と言葉少なに振り返った。試合前時点で対右打者の被打率が・115(対左は・272)だった日本ハムの下手投げ右腕・鈴木に対し、右打者のスタメンは4番・岡本和のみ。鈴木から9安打、試合を通して11安打と一定の効果はあったが、好機に弱かった。3点を追う六回は無死一、三塁から門脇、代打・坂本、丸が凡退して無得点。相手に勢いを与えてしまった。ただ、吉川に16打席ぶりの安打、梶谷には2年ぶりの本塁打が出た。原監督は「あのへんが元気になるとありがたい」と、上がり目に期待する。(谷川直之)

◆「交流戦・新庄スペシャル」が炸裂(さくれつ)した。日本ハムは2日、巨人1回戦(東京ドーム)に8-2で完勝。新庄剛志監督(51)が四回1死一、二塁で〝偽装〟重盗を決行、九回にはドラフト1位・矢沢宏太投手(22)=日体大=を左翼から救援登板させるリアル二刀流起用を急きょ実現させた。これで交流戦は3勝1敗とし、中日と並んで首位に立っている。ご満悦だった。新庄監督が「いい作戦がハマったね」と振り返ったのが、2-1と逆転に成功した直後の四回1死一、二塁。打席には投手の鈴木。1ストライクからの2球目、鈴木が送りバントを空振り。二走・アルカンタラは飛び出しており、巨人捕手の大城は二塁へ送球。その動作と同時にアルカンタラは猛然と三塁に突っ込む。2-6-5と転送されたが、間一髪セーフ。一走・上川畑も二塁を陥れた。記録は重盗。指揮官は「あれは偽装ではない。(リーグ戦で打席に立つ機会がない)ピッチャーが空振りする確率が高いから、空振りしたら、もうサードに行ってくれ、一塁ランナーはそれについていけよ、という事前の指示。大城君は肩が良いので、強肩の捕手というのは二塁に反射的に投げるから、それを利用してね。まあ、バントの成功が一番なんですけど」と説明。直後に鈴木の内野ゴロの間に3点目が入り、DH制のないセ・リーグ本拠地での交流戦ならではの「新庄スペシャル」が成功した。

◆巨人は六回途中まで9安打を放ちながら、鈴木をとらえることができなかった。確かに、あれほど下から投げる投手は、いない。初対戦ならなおさら、慣れるまで打席を要するかもしれない。ただ、サブマリン投手でよくいわれる、ボールが浮き上がるような感覚は、なかったはずだ。ストレートはスーッと来て、やや沈み気味になる。シンカーも似た軌道から落ちる。もう少し、ボールを呼び込んで打てれば、よかった。それも含めて、巨人からしたら、日本ハムのいいところばかりを見せつけられた印象だ。九回には、左翼の守備固めに入っていた矢沢がマウンドへ上がり、二刀流に苦労することなく、打者4人で無失点。私は実は野手として評価している。内角打ちがうまく、長打力があり、足も速い。いずれにしても、身体能力は高い。打線も乗っている。万波が長打も短打も広角に打ち分け、外国人捕手のマルティネスとの4、5番は強力。投打とも、面白いチームといえる。(サンケイスポーツ専属評論家)

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<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
日本ハム
310 0.750
(↑0.083)
-
(-)
1415
(+8)
10
(+2)
8
(+3)
3
(+3)
0.267
(↑0.035
2.250
(↑0.08)
1
(-)
中日
310 0.750
(↑0.083)
0
(-)
1420
(+2)
20
(+1)
4
(-)
2
(+1)
0.289
(↓0.014)
3.890
(↑1.3)
3
(2↓)
西武
210 0.667
(-)
0.5
(↑0.5)
159
(-)
5
(-)
2
(-)
3
(-)
0.202
(-)
1.670
(-)
3
(2↓)
DeNA
210 0.667
(-)
0.5
(↑0.5)
1515
(-)
8
(-)
3
(-)
1
(-)
0.300
(-)
1.730
(-)
5
(2↑)
ソフトバンク
220 0.500
(↑0.167)
1
(-)
1424
(+5)
19
(+1)
2
(+1)
2
(-)
0.296
(↑0.014)
4.750
(↑1.25)
5
(4↓)
ORIX
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓1)
1415
(+1)
7
(+2)
1
(-)
3
(-)
0.252
(↓0.023)
1.430
(↓0.1)
5
(4↓)
巨人
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓1)
1413
(+2)
16
(+8)
6
(+1)
1
(-)
0.254
(↑0.016
4.110
(↓1.34)
8
(1↓)
ヤクルト
120 0.333
(-)
1.5
(↓0.5)
158
(-)
7
(-)
1
(-)
1
(-)
0.263
(-)
2.520
(-)
8
(1↓)
阪神
120 0.333
(-)
1.5
(↓0.5)
155
(-)
9
(-)
0
(-)
3
(-)
0.181
(-)
2.880
(-)
8
(1↓)
ロッテ
120 0.333
(-)
1.5
(↓0.5)
158
(-)
11
(-)
5
(-)
1
(-)
0.209
(-)
3.670
(-)
8
(1↓)
楽天
120 0.333
(-)
1.5
(↓0.5)
158
(-)
15
(-)
2
(-)
3
(-)
0.237
(-)
4.000
(-)
12
(5↓)
広島
130 0.250
(↓0.083)
2
(↓1)
146
(+1)
19
(+5)
2
(+1)
3
(+1)
0.180
(↑0.02)
4.760
(↓0.08)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
32161 0.667
(-)
-
(-)
94194
(-)
140
(-)
26
(-)
26
(-)
0.249
(-)
2.660
(-)
2
(-)
DeNA
26201 0.565
(-)
5
(-)
96193
(-)
174
(-)
44
(-)
9
(-)
0.265
(-)
3.470
(-)
3
(-)
広島
25250 0.500
(↓0.01)
8
(↓0.5)
93171
(+1)
175
(+5)
35
(+1)
23
(+1)
0.243
(-)
3.210
(↓0.03)
4
(-)
巨人
25260 0.490
(↓0.01)
8.5
(↓0.5)
92190
(+2)
211
(+8)
58
(+1)
12
(-)
0.249
(↑0.001
4.020
(↓0.08)
5
(-)
中日
20300 0.400
(↑0.012)
13
(↑0.5)
93143
(+2)
169
(+1)
22
(-)
12
(+1)
0.244
(↑0.001)
2.910
(↑0.06)
6
(-)
ヤクルト
18302 0.375
(-)
14
(-)
93168
(-)
202
(-)
44
(-)
28
(-)
0.231
(-)
3.750
(-)

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ロッテ
26172 0.605
(-)
-
(-)
98161
(-)
130
(-)
29
(-)
26
(-)
0.235
(-)
2.740
(-)
2
(-)
ORIX
28212 0.571
(↓0.012)
1
(↓0.5)
92198
(+1)
158
(+2)
39
(-)
21
(-)
0.262
(↓0.002)
2.910
(↑0.02)
3
(-)
ソフトバンク
25202 0.556
(↑0.011)
2
(↑0.5)
96171
(+5)
161
(+1)
29
(+1)
23
(-)
0.245
(↑0.002)
3.270
(↑0.05)
4
(-)
日本ハム
24280 0.462
(↑0.011)
6.5
(↑0.5)
91170
(+8)
171
(+2)
40
(+3)
29
(+3)
0.224
(↑0.003
2.890
(↑0.02)
5
(-)
西武
21271 0.438
(-)
7.5
(-)
94140
(-)
163
(-)
34
(-)
31
(-)
0.232
(-)
3.030
(-)
6
(-)
楽天
18281 0.391
(-)
9.5
(-)
96137
(-)
182
(-)
39
(-)
39
(-)
0.211
(-)
3.330
(-)