1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ORIX | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 8 | 1 | 1 |
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 4 | 8 | 1 | 1 |
勝利投手:宮城 大弥(1勝1敗0S) (セーブ:ワゲスパック(1勝0敗3S)) 敗戦投手:サイスニード(0勝1敗0S) 本塁打 |
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◆オリックスが26年ぶりの日本一に輝いた。オリックスは初回、太田の先頭打者本塁打が飛び出し、幸先良く先制する。そのまま迎えた5回表には、押し出し死球と相手失策で4点を加え、試合を優位に進めた。投げては、先発・宮城が5回無失点。その後は4人の継投でヤクルトの猛反撃をしのいだ。なお、MVPにはオリックス・杉本が選ばれた。
◆ヤクルト伊藤智仁投手コーチが、52歳の誕生日を投手陣からお祝いされた。練習前に、選手を代表して石山泰稚投手(34)が、ケーキをプレゼント。バースデーソングで祝福された。練習では、第8戦以降を想定して、高橋奎二投手(25)や石川雅規投手(42)ら先発陣が、平地で投げ込んだ。チームは前夜に今シリーズ3敗目を喫し崖っぷち。試合前に投手陣の結束を固め、一丸となって第7戦に臨む。
◆両チームのスタメンが発表された。日本一に王手をかけているオリックスは、第6戦から変更はなし。対するヤクルトは、2番にパトリック・キブレハン外野手(32)を起用した。オリックスは宮城大弥投手(21)、ヤクルトはサイスニード投手(30)が先発する。
◆ヤクルトは守護神スコット・マクガフ投手(32)がベンチを外れた。マクガフは第5戦で1点リードの9回に、自身の一塁への悪送球から同点とされ、オリックス吉田正にサヨナラ2ランを浴びて敗戦投手に。さらに第6戦でも1点を追う9回に登板し、無死一塁から投前への犠打を一塁に悪送球。一気に一塁走者の生還を許すと、犠飛で2点目を失い、イニング途中でレギュラーシーズンを含め、今季2度目の交代を告げられていた。
◆オリックスが26年ぶりの日本一に王手をかけた第7戦。ヤクルトが勝利すれば、日本シリーズは36年ぶりの第8戦にもつれ込む。会場は神宮球場で、10月31日に開催。試合開始は午後6時半。開門予定は同4時半。第8戦以降は延長回の制限は設けず、雨天などで中止になった場合は翌日に順延する。審判員は6人制。入場券は10月31日午前0時から発売するが、30日の第7戦が午後11時30分までに終了しない場合は、31日午前2時からの発売となる。
◆2試合連続1番でスタメン起用された太田椋内野手(21)が、日本シリーズ史上初となる初回先頭打者初球本塁打を決めた。ヤクルト・サイスニードの145キロを捉え、バックスクリーンへ運んだ。プレーボールがかかってからスタンドインまで約10秒の「超速弾」だった。日本シリーズでの初回先頭打者本塁打は13人14度目。球団では76、78年の福本豊以来2人目だ。「初球」を打っての先頭弾は史上初となった。太田は「打ったのは真っすぐです。なんとかいい流れを持って来られるように、どんどん思い切って振っていこうと打席に入っていました。タイミングもしっかりと合っていましたし、いい感触で打てたと思います!」と振り返った。26年ぶり日本一へ向け、オリックスが早々に主導権を握った。オリックス太田が初回先頭打者本塁打。日本シリーズの先頭打者本塁打は19年<3>戦の亀井(巨人)以来、13人目(14本目=表6本目、裏8本)。初球を打ったのは史上初めて。オリックスの選手では78年<2>戦の福本以来、44年ぶり2人目。21歳8カ月は88年彦野(中日=24歳0カ月)を上回る最年少。先頭打者に限らず、オリックスのシリーズでは95年<5>戦のイチロー(22歳0カ月)を更新する球団最年少本塁打となった。
◆中日は30日、ペドロ・レビーラ内野手(23)とギジェルモ・ガルシア外野手(22)と支配下契約を結ばないことを通達したことを発表した。来季は再び育成契約を結ぶ予定だ。2人は10月上旬に台湾でのU23W杯にキューバ代表として出場し、再来日後はナゴヤ球場の秋季練習に合流。11月2日からの沖縄秋季キャンプに参加する。ともに今季育成契約で入団し、シーズン途中に支配下に昇格。大砲候補としてレビーラは21試合に出場、1本塁打3打点、打率2割3厘、ガルシアは2試合1安打0打点、打率1割1分1厘に終わっていた。
◆オリックス杉本裕太郎外野手(31)が、2日続けて「アレ」発言で選手を鼓舞した。試合前の円陣で「みんな思っていること言います。今日、絶対終わらそう。絶対、みんな思ってるでしょ。もう、ラストなんで、どんちゃん騒ぎで。今日勝てば、いよいよ『アレ』なんで。お祭り騒ぎで、初回からガンガン攻めていきましょう!」と盛り上げた。「アレ」とは「優勝」のことだ。阪神の岡田新監督が、優勝を過剰に意識させないため、言い換えたもの。元はオリックス監督時代の10年交流戦で使い始め「アレしてもうた」Tシャツが発売されたほどの流行語となった。杉本は前夜の試合前にも「アレ」でナインを盛り上げ、6回にV打を放っていた。
◆オリックスが、26年ぶり日本一へ大きく前進する貴重な追加点を挙げた。1点リードの5回。宮城大弥投手(21)、太田椋内野手(21)のバントが安打となるなどで2死満塁とし、4番吉田正尚外野手(29)が押し出し死球で1点追加。さらに、杉本裕太郎外野手(31)が中堅左への飛球を打ち上げると、これをセンター塩見が追いつきながらも捕球できず。走者一掃の一打となり、一挙3点が追加された。1度は「Hランプ」がともったものの、その後、記録は塩見の失策に訂正された。5回表終了時点で、オリックスが5点リードを奪った。
◆2年連続の日本一へ、崖っぷちのヤクルトは、守備のミスから痛恨の4失点で点差を広げた。1点を追う5回の守り。無死一塁からオリックス宮城のバントが、前進守備の三塁村上宗隆内野手(22)と投手サイスニード(30)の間を抜けて遊撃内野安打に。続く太田の三塁線へのバントも、村上が処理をサイスニードに任せてベースに戻ると、サイスニードが処理できずに無死満塁となった。その後、一塁ホセ・オスナ内野手(29)の好判断で併殺を挟み、2死二、三塁。サイスニードが四球で再び満塁とし、4番吉田正への死球で押し出して0-2となった。またも満塁から、杉本の左中間への当たりに追いついたかに見えた中堅、塩見泰隆外野手(29)が捕球できずに後逸。走者一掃でさらに3点を失い、点差は一気に5点に開いた。記録は一度は杉本の安打とされたが、塩見の失策に訂正された。
◆オリックス先発の宮城大弥投手(21)は5回3安打無失点と好投。中4日でリベンジを果たし、マウンドを2番手宇田川に譲った。初回は3者凡退。10球で片付けると、2回先頭の村上は見逃し三振。2死から連打で一、二塁とピンチを招いたが、長岡を遊ゴロに抑えた。最大のピンチは5回。1死一、三塁から代打川端を見逃し三振。塩見も遊ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。5回の打席でもバントが内野安打となり、好機を拡大。2点目のホームを踏むなど自らをアシストした。今シリーズでは第2戦に先発し、山田に3ランを浴びて敗戦投手。リベンジを期したマウンドできっちりと自分の仕事をこなした。
◆オリックスが誇る鉄壁救援陣「USJ」の一角が崩れた。5点リードの8回、山崎颯一郎投手(24)が3番手として登板。2安打を浴び1死一、二塁とされると、4番村上に右前適時打を浴び、4点差に迫られた。さらに1死一、三塁。5番オスナに低めの変化球を捉えられ、左翼席へ飛び込む3ランで1点差に迫られた。山崎颯は打球を見つめ、ぼうぜんとした様子でしばらく動けなかった。降板となっても、ベンチで天を仰いだ。「U」の宇田川優希投手(23)、「J」のジェイコブ・ワゲスパック投手(28)と担う強力リレー。宇田川は6、7回をまたぎ、無失点に封じていた。今試合前までシリーズ2試合4イニング無失点と大車輪の活躍を見せてきた「S」の山崎颯が打たれ、僅差の終盤となった。
◆負ければ終わりと崖っぷちのヤクルトが猛反撃を開始した。5点を追う8回先頭から2連打。1死一、二塁で4番村上宗隆内野手(22)が、右前適時打を放った。なおも一、三塁でシリーズ男のオスナ。カウント2-1から、オリックス山崎颯のスライダーをとらえ、左翼席へ3ランを描いた。この回だけで4得点。これで1点差とし、9回の攻撃に望みをつないだ。
◆「8番捕手」でスタメン出場していたオリックス伏見寅威捕手(32)が、負傷交代した。1点に迫られた直後の9回。先頭でヤクルト清水から二塁打を放ち、猛打賞を決めた。この時、二塁ベースを踏んだ際に負傷したとみられる。二塁から歩いてベンチに帰り「治療のため...」というアナウンスが響いたものの、中嶋監督が交代を告げ、代走小田が送られた。
◆ヤクルトが2勝1分けからまさかの4連敗で、球団史上初の2年連続日本一を逃した。前半の失点が響き、あと1歩追いつけなかった。先発のサイスニード投手(30)は5回途中5失点で降板。プレーボール早々、初球をオリックスの1番太田にバックスクリーンへの先頭打者本塁打とされた。1点を追う5回には、守備の乱れから痛恨の4点を失った。無死一塁から宮城のバントが、前進守備の三塁村上とサイスニードの間を抜けて遊撃内野安打に。続く太田の三塁線へのバントも、村上がサイスニードに任せてベースに戻ると、サイスニードが処理できずに無死満塁となった。併殺を挟んで2死二、三塁から、四球で再び満塁。4番吉田正への押し出し死球で0-2となった。さらに満塁から、杉本の左中間への当たりに追いついたかに見えた中堅、塩見泰隆外野手(29)が捕球できずに後逸。走者一掃でさらに3点を失い、点差は5点に開いた。打線は8回に意地を見せた。1死一、二塁で4番村上宗隆内野手(22)が、山崎颯から右前適時打。これが自身4試合ぶりの安打だった。第5戦までに10安打と打ちまくった"シリーズ男"ホセ・オスナ内野手(29)が続いた。なおも一、三塁から3ランを左翼席へ。シリーズ11安打は最多タイ記録。土壇場であと1点差まで追い上げたが、差は埋め切れなかった。
◆オリックスが2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を決めた22年シーズン。前回連覇時のV戦士である中嶋聡監督(53)が、96年以来の日本の頂点へと導いた。最後までやり切った。オリックス中嶋聡監督(53)は、日本一を確信すると三塁側ベンチの椅子から崩れ落ちた。頭を抱えながら喜ぶ。勝利をつかむため、自らの眼力と、選手を信頼した。「(報道陣の)みなさんにそう取り上げられますけど、こっちは全部しっかり考えてやっているんです」マジックには、絶対、種も仕掛けもある。日々変動するスタメン表は、奇襲を仕組んでいるのではない。相手投手や球場との相性、試合前の打撃練習を観察してオーダーは完成する。歓喜の神宮で5度宙に舞った。胴上げは「落っこちるのが怖いから苦手だよ」と謙遜するが「非常に良い夜空でした」と、日本一の景色を脳裏に焼き付けた。指揮官を支える数多くの手が、土台となって大きな花を咲かせた。合言葉は「全員で勝つ!」。文字通り、戦力分析を行い、適材適所の役回りを与える。生き生きと選手が躍動できるのは、中嶋監督の手腕があるからこそ。それでも「マネジメントできていたかどうか分かりません」と口を結ぶ。「調子の良い選手を使って『全員で勝つ』。それをシンプルにやった結果です」と胸を張った。この日は積極打法が持ち味の太田を1番で起用。NPB史上初の初球先頭打者アーチを描くと、誰よりも喜んだ。「まさかの初球1点。積極性が欲しいところで、バンバン振っていけるバッターが欲しかった」と明かした。腹をくくっていた。今季143試合で141通りのスタメンオーダーを組み、日本シリーズでも第6戦まで毎試合で異なるオーダーを組んだが、この日の野手陣は第6戦と全く同じメンバー。シーズン143試合で前日と同じスタメンを組んだのは、たった1回しかなく、これも「中嶋マジック」の真骨頂だった。2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。昨季は敗れたヤクルトにやり返したが「ほんとに怖いチームで強かったです」と心境を吐露。この日、敗れれば日本シリーズは31日の第8戦にもつれ込んでいた。オリックスナインは、もう、神宮には来ない。やって来るのは、日本一の明るい朝だった。【真柴健】
◆史上初の2年連続投手5冠のオリックス山本由伸投手(24)は心から喜んでいた。日本シリーズ初戦に先発したが左脇腹を痛めて4失点KO。予定していた2度目の先発を回避した。神宮遠征にも同行し、投手陣の輪の中で仲間たちに寄り添った。沢村賞右腕は「大事な試合でこんなことになってしまい最悪です」と沈んでいた。チームには「2勝」が計算できなくなる非常事態。だが、エース不在の投手陣は奮い立った。第6戦で投げた山崎福は「由伸に頼り切りのチームだから」と意地を口にした。ブルペンもフル稼働で応えた。リーグ優勝、CSファイナルとぎりぎりの勝負を勝ち抜き、ここまで連れてきたのは紛れもなく背番号18。V3がかかる来季もチームのために腕を振る。
◆セ・リーグ覇者のヤクルトとパ・リーグ覇者のオリックスが日本一をかけて激突する「SMBC日本シリーズ2022」。先発はヤクルトがサイスニード。オリックスが宮城大弥。オリックスが2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。 仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を決めた22年シーズン。前回連覇時のV戦士である中嶋聡監督(53)が、96年以来の日本の頂点へと導いた。ヤクルトは2勝1分けからまさかの4連敗で、球団史上初の2年連続日本一を逃した。 前半の失点が響き、あと1歩追いつけなかった。
◆オリックスが2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。 仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を決めた22年シーズン。前回連覇時のV戦士である中嶋聡監督(53)が、96年以来の日本の頂点へと導いた。オリックスが<4>戦から4連勝で96年以来、26年ぶり5度目の日本一。オリックスが1シリーズで4連勝は阪急時代の75年<2>戦から1分け挟んで記録して以来2度目。シリーズの優勝ブランクは07年中日の53年ぶりが最長で、26年ぶりは6番目の長さになる。これまでヤクルトには78、95、21年と敗れており、4度目の対戦で初めて倒した。シリーズで2年以上続けて同じチームが対戦するのは19、20年の巨人-ソフトバンク戦以来11度目だが、前年敗退チームがリベンジを果たしたのは93年ヤクルト、07年中日に次いで3度目。今シリーズの得点はヤクルトの23点に対しオリックスは22点。相手より少ない得点で日本一は04年西武以来になる。オリックスの投手数は<1>戦から5、8、5、4、6、5、5の合計38人。シリーズで延べ38人が登板は10年中日の36人を抜いて最多。合計得点は相手より少なくても、継投策でしっかりリードを守って日本一に輝いた。
◆オリックスが誇る救援陣「USJ」が、勝利のバトンをつないだ。5回無失点の宮城をスパッと代えて、まずは6回から「U」こと宇田川を投入。先頭の代打丸山和を高めの真っすぐで空振り三振。山田には四球を与えたが、4番村上を外角152キロで見逃し三振。続くオスナは直球で左飛にねじ伏せ、2イニング目も危なげなく抑えた。フォークが武器の2年目右腕は今季支配下登録され、19試合の登板で防御率0・81とブレーク。「全く想像していない。本当に野球が楽しい」というシーズンを最高の形で締めた。8回から登板した3番手の「S」こと山崎颯はまさかだった。村上の適時打とオスナに3ランを浴びて1点差とされたところで降板した。アウト1個しか奪えず4失点。だが、そのあとはベテラン右腕の比嘉が完璧な火消しで切り抜けた。9回のマウンドには「J」ことジェイコブ・ワゲスパックが上がった。4試合連続登板だったがテンポ良く投げ込んだ。先頭の長岡は2球で中飛。続く代打内山壮も遊飛に抑えると、最後は塩見を空振り三振に仕留めてほえた。日本一の胴上げ投手だ。山崎颯が打たれてもみんなでカバー。日本一の輪で喜びが爆発した。【林亮佑】
◆オリックス宮城大弥投手は戦略的にヤクルトの好敵手? を封じた。昨年の球宴で好きな球団マスコットを聞かれ、「ヤクルトのつば九郎さん。(フリップ芸などで)良い感じにふざけているので...。ずっと見ていたい」と公言。すると、つば九郎まで届き、昨年の日本シリーズではフリップ芸でイジられた。今年は「期間中にイジられたら相手の思うツボ」と宮城側からは発信しなかった。第7戦でついにイジられたが、先発に備えた調整中で視界には入らなかった。愛と皮肉のこもったフリップ芸に心を乱されることなく、試合に集中しきった。日本シリーズ初勝利で日本一に貢献。「シリーズ本番中はおとなしくしときましょう。野球に集中したいので。僕が勝ったら、ドドーンと書いてください。つば九郎さんとのお話です」。好きなつば九郎にツンデレな態度を貫いた"作戦勝ち"だった。【オリックス担当=真柴健】
◆オリックスが4連勝で26年ぶり日本一に輝いた。前回1996年の日本一戦士でもある中嶋聡監督(53)がタクトを振るい、今度は指揮官として頂点に上り詰めた。優勝監督インタビューは以下の通り。-胴上げ、神宮の夜空は「はい、あの~、非常にいい夜空でした」-選手たちに声はかけられた「いや、何も言ってません、はい」-試合前は「いやもう、選手もみんな分かっていることですので、何も言ってません」-初回先頭初球弾は史上初「はい、先取点欲しいところで、まさかの初球1点というのは、大きいと思いました」-2戦連続で太田を1番起用「積極性が欲しいところで、バンバン振っていけるバッターが欲しかったので、1番に抜てきしました」-宮城が中4日「はい、中4日、しんどいと思いますけど、素晴らしいピッチングしてもらって、ほんとに感謝です」-今年の日本シリーズももつれた。ヤクルトは「ほんとに強いチーム、絶対に追いついてくると思っていましたし、ほんとに怖いチームで強かったです」-1年間の起用法は「マネジメントできてたかどうか分かりませんけども、調子のいい選手を使って全員で勝つ、それをシンプルにやった結果だと思います」-ファンへ「ほんとにありがとうございました。26年ぶりということですけども、ここにいる選手たち、舞洲にもいる選手たち、ほんとに全員で勝ち取った優勝だと思いますし、みなさんの応援があったからこそ、こういうところについたんだなと思います。ほんとにありがとうございました」
◆球団史上初の2年連続日本一を目指したヤクルトは、2勝1分けからまさかの4連敗で終戦となった。1点を追う9回2死走者なし、塩見が空振り三振に倒れてゲームセット。その瞬間を冷静に見届けた高津臣吾監督(53)だったが、ファンの前に整列すると、悔しそうに目に涙を浮かべた。シリーズ前半は主導権を握った。第2戦では今季初めて開幕1軍に抜てきした「ヤングスワローズ」の一角、高卒2年目の内山壮が9回に起死回生の同点弾。第3戦では、それまで無安打だった山田を「朝起きた瞬間に1番にしようと思った」と先頭打者で起用し、決勝3ランろ放った。ところが後半は守備の乱れから白星を逃した。第5戦は守護神マクガフが自らの失策も絡んで同点とされると、吉田正にサヨナラ2ランを被弾。第6戦でも1点ビハインドからマクガフの悪送球から追加点を奪われ、王手をかけられた。この日も、5回2死満塁で、オリックス杉本の打球を中堅塩見が痛恨の適時失策で、走者一掃を許した。8回にオスナの3ランで1点差に迫ったが、オリックスの強力リリーフ陣の前に、中盤までの5失点が重くのしかかった。敗戦の瞬間に静まり返ったベンチだったが、マウンド上の歓喜の輪を、目に焼き付けるかのように見届けた。野村監督が率いた90年代の黄金期でも出来なかった2年連続日本一こそならなかったが、29年ぶりのリーグ連覇を達成。この悔しさをバネに「チームスワローズ」はさらに強くなる。【鈴木正章】
◆34年務めたオーナー職を今季で退くオリックス宮内義彦オーナー(87=オリックス本社シニア・チェアマン)が有終の美を飾った。仰木彬監督が率いて「オリックス」で初の日本一になった96年以来。「冥土の土産と言ったら怒られるが、仰木さんにいい報告ができる。無上のよろこびです」。孫のような選手の手で胴上げされた。 4度のリーグ優勝、2度の日本一。低迷期が圧倒的に長く、近鉄との歴史的な合併もあった。自ら強権を振るい、監督も頻繁に交代させた。変わらなかったのは野球と球団への愛情だ。「若いチームだしこれからも前進してほしい。ずっとチャレンジャーであってほしい。最後の年で、いやまだ死ぬわけじゃないから。個人的にはめちゃくちゃいい締めくくりをしてくれたなと、最上の締めくくりだと思うけど、来年からはもっと強力なファンになります」。来季のオーナーにはオリックス本社の井上亮(まこと)グループCEO(70)が内定している。96年のオリックス 前年の95年1月に阪神淡路大震災が発生。当時本拠地の神戸が壊滅状態となり、チームは「がんばろうKOBE」を合言葉に95、96年とリーグ2連覇を達成した。96年はイチローのサヨナラ安打でリーグV。「メークドラマ」の長嶋巨人との日本シリーズを4勝1敗と圧倒した。チームがオリックス球団となって初の日本一に輝き、本拠地で胴上げされた仰木監督は「ペナントレースに続いて神戸で日本一を決められたというのは、この上ない喜びです」と感激した。オリックスの阪急球団買収 1988年(昭63)10月19日、阪急ブレーブスがリース業界最大手のオリエント・リースへの譲渡を発表した。推定譲渡金額は約40億円。オリエント・リースの宮内義彦社長(当時53歳)は同日夜、東京都内の自宅で取材に対応。神戸出身で「中学生のときから阪急ファン」と明かし、「決してグループ企業のPR役とは考えていない。赤字でいいとは全く思わない」と、球団経営をシビアに考える姿勢も見せた。翌年4月から企業名を「オリックス」と変更することが決まっており、新球団名は「オリックス・ブレーブス」。宮内社長は上田利治監督の留任や阪急電鉄からの職員の残留を求めて実現した。
◆オリックスが2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を決めた22年シーズン。前回連覇時のV戦士である中嶋聡監督(53)が、96年以来の日本の頂点へと導いた。今シリーズに出場したオリックスの外国人選手は、救援投手のワゲスパックだけだった。スタメンに外国人を使わない日本一は、02年巨人以来20年ぶり。02年巨人は元広島の江藤や元西武-ダイエーの工藤がおり、今回のオリックスのように全員生え抜き日本選手のスタメンで日本一は84年広島以来38年ぶりになる。
◆オリックスが4勝2敗1分けでヤクルトを下し、1996年以来、26年ぶり5度目の日本一となった。日本シリーズMVPには杉本裕太郎外野手(31)が輝いた。全7試合に先発し打率2割3分1厘、3打点。第6戦でV打。この日は5回2死満塁で中堅塩見の失策を誘う飛球を放ち、3点を呼び込んだ。優秀選手賞はオリックスから山崎福也投手(30)、吉田正尚外野手(29)、ヤクルトからは塩見泰隆外野手(29)が獲得した。敢闘賞は敗れたヤクルトからホセ・オスナ内野手(29)が受賞した。
◆オリックスのラオウ杉本が貴重な追加点をたたき出し、日本シリーズMVPに輝いた。「全員で勝つというスローガンのもと、本当に全員で勝った日本一」と振り返った。2点リードの5回2死満塁。サイスニードの3球目を左中間へ運んだ。中堅手塩見がグラブを出したが捕れず、3者が生還した。三塁に到達した杉本は右手でガッツポーズ。日本一を大きくたぐり寄せた。記録は三塁打から塩見の失策に訂正。それでも3点の重みは変わらない。第6戦では試合前の円陣で「あと2勝して"アレ"(優勝)して、みんなで御堂筋でパレードしましょう!」と声出し。試合では決勝の右前適時打と、2夜連続でチームの勝利に貢献。「めちゃくちゃうれしい」と声を弾ませた。昨年の本塁打王が日本一へと導いた。
◆ヤクルト村上の激動のシーズンが幕を閉じた。5点を追う8回1死一、二塁で、オリックス山崎颯の直球をとらえ、右前適時打で4試合ぶりの打点をマーク。「打ったのはストレート。後ろにつなぐことだけです」。"村神様"の一打が呼び水となり、直後にオスナの3ランで1点差と迫る猛反撃を見せた。しかし、あと1点が届かないまま涙をのんだ。ベンチではオリックスの胴上げを見届けた。昨年と同じオリックスとの決戦となり、リベンジを期す相手に「僕らもそれに立ち向かって、受けずに挑戦して、チャレンジャーとして戦っていければ」と臨んだ。本拠地・神宮での第1戦では右中間スタンドに1号ソロ。しかし敵地に乗り込み、第4戦以降は3試合連続無安打と沈黙。最年少3冠王と日本選手最多記録を更新する56本塁打の村上に、ツイッター上で多くの声援を受け「SMBCみんなの声援賞」を受賞。まさかの選出に表彰式では、苦笑いで頭を抱え球場を沸かせ、最初から最後まで盛り上げた22年シーズンだった。
◆オリックス宮城大弥投手(21)が5回無失点で日本一を決める勝利投手になった。尊敬する山本が左脇腹負傷で登板を回避。プロ初の中4日で期待に応えた。第3戦では6回途中3失点だった。「緊張したけど(太田)椋さんの初球本塁打や野手の皆さんの好守、声かけのおかげで落ち着きました。何とか粘りきることができました」。プロ初の神宮。不慣れな状況でも自分を信じた。村上の第1打席は直球で見逃し三振。2打席目は93キロのスローカーブで投ゴロに抑えた。大胆な投球でペースをつかんだ。1歳のころからバットを握った野球小僧。この日の雄姿を父享さんも観客席から見守っていた。宮城は今年、沖縄の子どものスポーツ活動を応援する「一般社団法人 宮城大弥基金」を設立。自らも貧しいながらプロを夢見て努力を重ねてきた。今度は子どもたちに夢を与える番だ。沖縄からはる遠い東京の真ん中で、ついに頂点に立った。【柏原誠】
◆日本シリーズMVPにオリックス杉本裕太郎外野手(31)が選ばれた。今シリーズでは第4戦と第6戦で決勝打。第7戦でも勝利を大きくたぐり寄せる一打を放った。CSファイナルステージではMVPを吉田正尚外野手(29)にさらわれてずっこけ。だが、今回はMVPを獲得し、右手人さし指を挙げて喜んだ。ラオウ杉本の一問一答は以下の通り。-今の気持ちはめちゃくちゃうれしいです。ありがとうございます。-一丸でつかんだ全員で勝つというスローガンのもと、本当に全員で勝った日本一だと思います。-今年の日本シリーズはヤクルトさんめちゃくちゃ強かったですし、去年、やられて悔しい思いをしていたんで、やり返せてよかったです。-今年は-苦しい時期もあったがシーズン中は全然だめだったんで、はい。まだまだ課題だらけなので、このオフしっかり練習して来年活躍できるように頑張ります。-エース山本いない中(山本)由伸以外にもいいピッチャーがたくさんいるので、僕は心配してなかったです。-ファンの応援はどのくらい耳に今年からお客さんがいっぱい入るようになって、拍手だったり、すごい大きくてうれしかったです。ありがとうございます。-ファンへはい、1年間応援ありがとうございました。2022年度のプロ野球はこれで終わりますが、来年はもっとたくさんの人に見に来てもらえるように、そして3連覇、もう1度日本一目指して頑張るので、また応援よろしくお願いします。ありがとうございました。
◆26年ぶりの日本一に輝いたオリックスにネットも沸いている。「オリックスバファローズ」とフル表記でもトレンド入り。他にも山崎颯一郎投手(24)の愛称「吹田の主婦」。第4、6戦と決勝打で第7戦でも勝利を大きくたぐり寄せる一打を放ち、MVPを獲得した杉本裕太郎外野手(31)の「ラオウMVP」。今シリーズ見事な火消し救援を連発した比嘉幹貴投手(39)の「比嘉さん」など半数近くをオリックス関連で占めた。
◆開始10秒で試合を動かした。オリックス太田椋内野手(21)が、持ち前の積極打法を披露。日本シリーズ史上初となる初回先頭打者の初球本塁打を決めた。「良い流れを持って来られるように、どんどん思い切って振っていこうと打席に入りました。タイミングもしっかりと合っていましたし、いい感触で打てたと思います!」ヤクルト先発サイスニードの低め145キロをかち上げ、バックスクリーン左にある「ヤクルト」の文字にぶち当てた。若さ全開の一撃がチームを勢いづけた。日本シリーズでの初回先頭打者本塁打は13人14度目。球団では76、78年の福本豊以来2人目だ。歴代のリードオフマンたちも達成できなかった「初球」打ちの先頭弾が26年ぶり日本一の決勝弾となった。18年ドラフト1位。4年目の今季は32試合の出場にとどまり不完全燃焼だった。ただ、日本シリーズは4試合のスタメンで全試合安打。「割り切り」が好結果を生んだ。「考え込んだって結果は変わらない。ビビるよりも、ミスしてもいいやと思えるようになった。もう、何か仕方ないよな、みたいな。人生の経験の1つとして思えるぐらいに」闘志むき出しで初球から食らいついた日本一のアーチ。打撃投手を務める父の暁さん(51)に贈る、恩返しの1発でもあった。【真柴健】
◆ヤクルトが2勝1分けからまさかの4連敗で、球団史上初の2年連続日本一を逃した。高津臣吾監督の試合後会見は以下の通り。-8回追い上げて粘ったうーん、まあ、うーん、やっぱ悔しいね。去年勝てて、オリックスは同じ相手で。彼らは去年こういう気分だったのかなと。この悔しさは絶対忘れちゃいけないなと、思いました。-右翼席のファンに頭を下げて込み上げるもの今年1年、たくさんお客さん入っていただいて。この時期まで試合ができたことはすごく素晴らしいことだと思いますし、本当に、常に満員の中でね。僕は監督になって初めてですけども、満員の中で試合ができたことはすごく幸せに思いました。最後勝ってね、終わるとこを見せたかったんですけど。ちょっとそれがかなわなくて、申し訳ないなと思います。-選手たちへの思い思い返せば苦しいことばっかりで、弱音も吐かずに、選手はよく頑張ってくれたと思います。本当にしんどい時もね、歯を食いしばって、みんなで声を掛けながら乗り切った2022年だったと思ってますし。今日負けましたけども、勝てなかったのは残念ですけど、負けたことがダメじゃない。ここまでこれたことが素晴らしいと思っているので、選手をたたえたいと思います、褒めたいと思います。-村上は1年間奮闘それぞれ、みんなしんどい思いしてね。今日このシリーズ、勝って一番になることを目指して2月1日から頑張ってきたんですけどね。最後にこの目標はかなわなかったですけど、ここまで頑張ってきたということは、決してなくなるものではないと思うし。この先、来年以降、まだ野球人生続くわけでね。この1年を踏み台というか、いい思い出にしちゃいけないのかもしれないですけども、悔しさを持ってまた、人として野球人として、大きく成長してほしいなと思います。-最後オリックス中嶋監督にどんな声を掛けた去年と同じ対戦になって、やっぱり、すごくいいチームをつくられたと思います。同級生、同い年で、昔からよく知ってるわけではないですけど、会えばしゃべる間柄だったので。今年の対戦もすごく楽しみにしてたんですけども、昨年とはちょっと違うチームをつくりあげてきましたし、見習うところはたくさんあるなと思いました。-来年戦う上で大きな経験そうですね。若い選手もたくさん出ましたし、昨年とまた違った結果になりましたけど、繰り返しになりますけど、今後の自分の野球人生においてもすごく大きな1年だったねって将来言えるように、これをステップの年としてほしいと思います。来年以降にこの難しかった1年を、最後悔しい思いをしたこの気持ちを、大事にして成長していってほしいと思いますね。-悔しさを経験してプラスになることいや、それはちょっと個々で考えたらいいのかなと思います。ただ、絶対忘れちゃいかん、今の心境だと思います。-若手を鍛え上げてここに本当によくこの1年頑張ったなと思う部分と、もっともっと、まだまだだなと思うところと、2つあります。今日すべてが終わったので、1回リセットして、また次に向かっていきたいと思います。-2年連続の日本一を目指したシーズン中もずっと言ってきましたけど、やっぱり勝ちたかったです。それはどんな試合でもそうだし、ありえないですけど、全試合勝ちたいと思ってグラウンドに立っていました。それは今日も変わらず、思ったところなんですけど、かなわなかったですね。-どんな悔しさ一番は勝たせてあげたかったなと思いますね。-8回の攻撃の粘りつなぎだったり粘りだったり、あとひと踏ん張りだったり、ずっと強調してきた今年のチームだったので。1点届かなかったですけど、中盤のリリーフから終盤の追い上げってところはすごくよくできたのかなと思います。今年の野球を、スワローズを象徴していた後半だったのかなと思います。-塩見は守備の乱れあったが、得点しようという思いもあった成長しなきゃいけないですね。うまくいくことばかりじゃないですし、ミスがあって当然の野球だと思ってますけど、本当に強いチームをつくるんだったら、ミスを少なくしていかなきゃいけないと思いますし、今の気持ちを大事にしなきゃいけないなと思いますね。-日本一を奪い返す23年強いチームをつくりたいと思います。
◆オリックスが2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。 仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を決めた22年シーズン。前回連覇時のV戦士である中嶋聡監督(53)が、96年以来の日本の頂点へと導いた。シアトル・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター・イチローさん オリックス・バファローズの皆様、日本一おめでとうございます。ファンの方々の想いと期待に、リーグ2連覇と日本一という最高の結果で応えたこと、見事でした。26年前、「がんばろう KOBE」を合言葉にファンの方々と共に闘った熱い気持ちを、僕の中にも呼び起こしてくれました。当時を共に闘った中嶋監督のもと、若い選手達が新たな歴史を刻んでいってくれることを期待しています。
◆日本シリーズ初となる初回先頭打者初球本塁打を放ったオリックス太田椋内野手(21)は、極めて自然体でゲームに臨んでいた。2試合連続の1番起用は、誰に言われるわけでもなく張り出されたスタメン表で知ったという。「ちょっとびっくりしましたけど、やってやるぞって気持ちの方が強かったです」。大舞台に強く4試合連続安打。「短期決戦なので割り切ってやれている部分はあるかなと思います」と秘訣(ひけつ)を明かした。シーズンは不完全燃焼に終わった21歳。「来年はシーズン通して活躍できるように頑張りたい」と、試合後はすでに次を見据えていた。
◆ヤクルトの"シリーズ男"オスナ内野手(29)が敢闘賞に選出された。村上の適時打で1点かえした8回、なおも1死一、三塁からオリックス山崎颯のスライダーを左翼席へ。土壇場の3ランで観衆をわかせた。「あきらめない気持ちと意地を見せたかった」と、一振りで1点差に迫った。日本シリーズ11安打は最多タイ記録。一塁守備でも5回無死満塁から好判断で併殺を完成させるなど、攻守に奮起した。
◆日本シリーズで敗れたヤクルトの主将・山田哲人内野手(30)が、リベンジを誓った。今シリーズは第1戦から4打席連続空振り三振で幕を開けた。それでも敵地での初戦となった第3戦では、1番起用で決勝3ランを放つ意地を見せた。主将として、1年間通してチームをリーグ2連覇へけん引。2年連続日本一には届かず、山田は「目標を達成することが出来ませんでしたが、次の目標に向けて進んでいきたいと思います」と、来季雪辱を果たす。
◆ヤクルト塩見泰隆外野手(29)が走攻守でチームをけん引し、優秀選手に選ばれた。シリーズ通算で打率3割5分7厘を記録。第1戦ではソロ本塁打も放った。だがこの日は、5回2死満塁の中堅守備で快足を飛ばしたものの捕球できず、適時失策で3点を失った。9回は空振り三振で最後の打者になり「非常に悔いの残る日本シリーズになりました。さらに練習をして成長したいと思います」と話した。
◆今季限りで現役を引退するオリックス能見篤史投手兼任コーチ(43)が、試合後に取材に応じ、思わず本音をこぼした。第5戦ではベンチ入り。「もともと監督も投げさせようとしていたので、すっごい怖かった」と笑わせ、「僕の引退の時にとんでもないところで行かされてたら...、村上選手のところで行かそうと思ってた、多分。でも展開的にね、なかなか出せない展開で」とニヤリとしてみせた。後輩へのねぎらいも忘れなかった。大一番を託された先発宮城が5回無失点の好投。「割り切っていたと思う。もともと繊細というか、怖さも知ってる投手。攻める投球はこれからも大事にしてほしい」とたたえた。2試合に先発し9イニング無失点の山崎福については「大舞台にほんとに強い、そういうものを持ってる投手だと、あらためて思いました」と最敬礼。ただ、「シーズン中たいしたことないけど(笑い)。シーズン中頑張ってほしいけど(笑い)」と報道陣を笑わせ、再度「持ち味出してくれたのでチームとしても相当助かったと思います」と称賛した。日本シリーズのポイントには救援陣の活躍を挙げた。「宇田川がピンチでいって三振とったり、ベテランの比嘉ちゃんが仕事してくれるんで。難しい場面で、ああやって抑えて帰ってくるのはポイントになってくると思う。嫌な流れでいってるので、それを切ってくれるのは非常に助かる」。自身の引退会見で後輩たちは「能見さんを日本一に」と意気込んでいた。「宮城はほっとしてましたよ」と笑顔。「能見さんを泣かせたい」と語っていた山本については「由伸のケガで僕が泣きました(笑い)。まあでも、シーズン通してずっと頑張ってくれてるんで、たまには。ゆっくり見るのもありかなと」と語った。
◆1点差の9回を締めたオリックスのジェイコブ・ワゲスパック投手(28)が、歓喜のグラブ投げを決めた。2死から塩見を空振り三振に仕留めると、左手のグラブを高々と放り投げた。「子どもの頃から1回やってみたかった夢なので、かなえてやろうと思ってね」。シリーズは5試合無失点で3セーブ。「1年目で最高の栄冠を手にすることができるのは、ほんとにクレージーだよ」。鉄壁リリーフ「USJ」の「J」が日本一を導いた。
◆オリックスナインはリーグ優勝に続くビールかけに酔いしれた。都内ホテルに戻り、日付が変わってから3000本のビールで歓喜の祝杯。「2022 NIPPON CHAMPIONS」の特別ロゴの白いTシャツと帽子に着替え、選手会長・吉田正の「今日はみんなで暴れるぜ~」のかけ声で、心ゆくまで宴を楽しんだ。
◆オリックスが4連勝で26年ぶり日本一に輝いた。前回1996年の日本一戦士でもある中嶋聡監督(53)がタクトを振るい、今度は指揮官として頂点に上り詰めた。指揮官は、ホテルに移動しての優勝会見で胸の内を明かした。会見の一問一答は以下の通り。-改めて今の気持ち「実感がなくて、終わったなというのが感想ですかね」-監督として初の日本一。神宮で見えた景色は違ったか「いや、そんなに変わってないと思います、はい」-7試合の激戦「そう思います。最初、本当に苦しいスタートから始まり、どの試合もいつ逆転されてもおかしくないなと、考えていました。延長もしましたので、延長のことも考えながら。終わったなという感じですね」-若月捕手から勝利球「何か感情的なことを言えれば良いんでしょうけど、ないです(苦笑い)」-昨季はヤクルトに敗れた「チャンピオンチームでヤクルトさんは本当に強かったです。挑んで行ったんですけど、最初、簡単にやられましたね。ダメだと思いましたけども、戦っている選手を見た時に、本当に諦めている選手がいなかった。巻き返せるという方がだんだん強くなってきました」-多くの選手が躍動「どの選手も戦力としてしっかり仕事してくれました。それができたということは本当にうれしいです」-選手へ「感謝しかないですね。むちゃくちゃなことをしてきたかもしれないですけど、本当にそれに選手が応えてくれましたし、考えていた以上の力を発揮してくれて、感謝しかないです」-プロ野球ファンへ「たいしたことは言えないんですけど、本当に喜んでくれたんでしたら、監督冥利(みょうり)に尽きる。選手も本当に野球の楽しさというか、自分たちのやっている楽しい野球を伝えられたなら、本当に良いことだと思います。どんどん野球を好きになって欲しいと思いますし、これからも応援してほしいなと思います」
◆オリックスが2敗1分けの窮地から一気の4連勝で、26年ぶり日本一を成し遂げた。仰木監督やイチローらを擁した95、96年以来のリーグ連覇を決めた22年シーズン。前回連覇時のV戦士である中嶋聡監督(53)が、96年以来の日本の頂点へと導いた。ナインはリーグ優勝に続くビールかけに酔いしれた。都内ホテルに戻り、日付が変わってから3000本のビールで歓喜の祝杯。「2022 NIPPON CHAMPIONS」の特別ロゴの白いTシャツと帽子に着替え、選手会長・吉田正の「今日はみんなで暴れるぜ~」のかけ声で、心ゆくまで宴を楽しんだ。
◆オリックスの宇田川優希投手(23)は6回から2番手で登板。2回3奪三振無失点と好投し、「すごくうれしい気持ちと、ホッとした気持ちがあります」と胸をなで下ろした。日本シリーズでは4試合に登板し、5回2/3を投げ10奪三振無失点。「ピンチの場面が結構あったが、ピンチの場面でこそ自分の投球ができた。そこは4試合通して良かったかなと思います。日本シリーズのマウンドは重圧はありますけど、0で抑えたらうれしいですし楽しい」と初めての日本シリーズを振り返った。
◆再会は、隅田川にかかる橋の上だった。通勤途中の私の前方から、オリックス中嶋監督が近づいてきた。今年1月29日のことだ。「おう! どこ行くの?」。こうやってしっかり対面するのは、日本ハム担当記者だった17年以来。だがまるで、前日も会っていたかのような口ぶりで、何も変わらない中嶋コーチ(...いや監督)がそこにいた。しばしの雑談。落ち着いたところで、思い出す。「あ、(21年の)リーグ優勝おめでとうございます」。あまりにもタイミングを逸した祝福。「もう去年のことやぞ」と笑いながら、中嶋監督が続けたのは「...最後勝てなかったからな」。好ゲームを展開しながら日本一を逃した悔しさが伝わってきた。この日はキャンプ地入りする前日だった。中嶋監督は散髪して空き時間ができたから散歩していたのだと言った。「そういえば1回も渡ったことないなと思って」。どこかに向かっているのではなく、目的地はこの橋だった。それ以上は聞かなかった。思いは、理解できたから。2人の足元にあったのは「勝どき橋」。あれから9カ月。オリックス選手たちの勝利の雄たけびが、神宮の空に響き渡った。【08~17年日本ハム担当 本間翼】
◆<日本シリーズ:ヤクルト4-5オリックス>第7戦30日神宮オリックスが「SMBC日本シリーズ2022」でヤクルトを4勝2敗1分けで破り、イチローらを擁した1996年(平8)以来、26年ぶりの日本一を達成した。4番で選手会長の吉田正尚外野手(29)が、独占手記「頂に駆ける」を特別寄稿。日刊スポーツで連載してきたコラムのタイトルを有言実行し、22年プロ野球の頂に駆け上がった。夢は幼少期から憧れ続けたメジャーリーガー。日本一を置き土産に今オフ、ポスティングシステムによる移籍を目指して第1歩を踏み出す。【取材・構成=真柴健】日本一になれましたね! 日刊スポーツ読者の皆さん、オリックスの吉田正尚です。いつも温かい応援ありがとうございます!日本一のチャンスが来るまで、劣勢の展開も多々ありました。負けたら事実上、終戦とかね。だから、1勝の重みをすごく知っています。その中で苦しいときでも勝ち切れた。楽して勝つよりも、追い詰められてから勝った方が喜びがあります。シンプルですけど「最後まで諦めない」を体現できたと思います。連覇、日本一は95、96年以来ですか。イチローさんは、オリックスの大先輩でもありますけど、日本のレジェンド。世界で活躍した日本人選手。世界一にもなっている、すごい人です。常勝軍団を目指すには、やっぱり「個の力」は絶対に大事だと思うんです。個々に力があると、もし誰かがダメでも、他の誰かがカバーできる。そんなチームが強い。今年で言えば、宇田川と山崎颯一郎。開幕したときはいなかった戦力ですけど、途中から出てきてくれました。例えば、彼らがダメになったとしても、チャンスをうかがう選手がいる。それが常勝軍団。競争に勝つことで、全体の力になる。それは若手、ベテラン関係ない。グラウンドに立つ以上、自信と責任を持ってプレーすることが大事ですね。僕は常に1番を目指しています。向上心がなくなったら、そこが自分の中での「終わり」。諦めた、ということなのでね。悔しさや反骨心は必要ですね。「個の集合」で言えば、メジャーリーガーへの憧れは、正直あります。ずっと小さい頃から興味を持っていたので。日本のプロ野球もレベルが高いですけど、やっぱり野球と言ったらMLBが一番大きな舞台。アメリカ人だけでなく、全世界のスター選手が集まる。中南米からも、全ての地域のトップが集まってプレーする舞台。僕も、肌で感じてみたいという思いです。ただ、意思はあっても、自分の判断だけではいけません。契約上の問題もあります。そこ(ポスティングシステムなど)は球団の方と、日本シリーズが終わってから話し合う。今は、正直にそれしか言えません。第5戦のサヨナラ弾は、本当に気持ちよかったです。満員の京セラドーム大阪で、大勢のファンの前で打てた。野球人生の中で忘れられないホームランです。僕たちは無観客試合も知っています。やっぱりファンあってのプロ野球。だからこそ、有休を取って応援に来てくれたり、満員のスタンドはうれしい。僕が入団したころよりファンが増えている実感があります。僕の有休? 家族サービスです。独り身ではないので。妻、娘たちとの家族の時間も大切ですね。この時期は紅葉も良いですね。日本の四季を楽しみたい。寂しさで言うと糸井さん(阪神)の引退ですね。ここ数年、本当に悩んでいました。引退セレモニー、涙をこらえて笑って...。引き際も糸井さんらしかった。最後までかっこ良かった。まだ全然、想像できませんけど、いずれは僕にも来る。井口さん(前ロッテ監督)みたいにホームランを打って終わるか、(MLBの)オルティスやプホルスみたいにまだバリバリやれるのが理想。何でもそう。イメージして、夢を持つ。熱中することが大切。そういう意味では日本一になって、オリックスファン、プロ野球ファンの夢をかなえられたんじゃないかな。夢中で応援してくださって本当に感謝です。(オリックス・バファローズ外野手)○...吉田正が、体を張って貴重な1点を挙げた。1点リードの5回2死満塁。ヤクルト・サイスニードから押し出し死球で追加点をもぎ取った。9回は左翼から試合終了を見守り、歓喜の輪にダッシュした。主砲は今シリーズ8四球、出塁率は4割6厘。勝負を避けられる場面も多かったが、第5戦ではサヨナラ2ランを含む2本塁打と4番の仕事を果たした。CSファイナルステージで獲得したMVPは杉本に譲ったものの、2本塁打、4打点で日本シリーズ優秀選手賞に選ばれた。○...オリックス吉田正の父正宏さんが、福井・麻生津(あそうづ)小学校の卒業文集を見せてくれた。12歳の吉田少年が「僕の将来の夢は大リーガーです」の書き出しで、アメリカンドリームへの思いを語っている。
◆熱戦の末、オリックスが26年ぶりの日本一達成だ。それと同様、あるいはそれ以上にヤクルトに神宮で雪辱したことが感慨深い。ヤクルト相手は昨年もそうだが神宮で敗れたのは95年だ。同年1月17日の阪神・淡路大震災から復興の象徴としてオリックス・ブルーウェーブは奮闘。「がんばろう神戸」のワッペンを袖につけ、リーグ優勝を果たした。「次は日本一!」。そう言ってイチローを筆頭に日本シリーズに臨んだもののグリーンスタジアム神戸(当時)で連敗。乗り込んだ神宮でまず負け、4戦目こそ勝ったが5戦目で力尽きた。知将・野村克也のヤクルトにはね返されたのだ。「あのときはノムさんと古田(敦也)にやられたよな。徹底的にイチローをマークされてね」。当時の球団代表・井箟重慶に電話すると懐かしそうに話した。オリックス指揮官・仰木彬と野村にはパ・リーグ時代からの因縁があり「もう1つのON対決」とも呼ばれたものだ。ヤクルトに負けた翌朝。当時、浅草にあったオリックス宿舎のロビーに早朝、出向いた。始発の新幹線で神戸に戻るというイチローの取材をするためだ。「神戸に帰れなくて、応援していただいた方々に申し訳ない」。当時のチームの意味を強く感じていたイチローは帽子のつばで顔を隠し、悔しそうな表情だった。「中嶋監督がよくやったね。確かに吉田正尚はいるけれど、そんなに抜きんでた選手が多いわけじゃない。選手としては当時の方が面白いメンバーだったんじゃない?」。井箟はそんな話もした。確かに当時は面白かったと思う。イチロー、田口壮らの若手だけでなくベテラン、中堅も在籍。「仰木マジック」を批判して、ふてくされる選手も一部いた。もちろん、それもプロとして、ある意味正しいのかもしれない。当時も、そして今も知る球団関係者も似た話をした。「当時は職人がいましたね。だから監督の采配に反抗する感じもあった。いまは若い選手ばかり。そんなムードはありません。それこそ一丸ですよ。もっと言えばいまは職人を育てている時期なんでしょうね」。「ナカジマジック」の異名を取った指揮官・中嶋聡。そのもとで熟成しつつある選手たち。「バファローズ」と名を変えたオリックスの黄金時代が再びやってきたのかもしれない。26年ぶり日本一の栄冠。まずは素直に祝福したい。(敬称略)
◆歓喜の中心でオリックス宗佑磨内野手(26)が絶叫した。シーズン最終盤の激烈な優勝争い、日本一を争う7試合に「眠れないですよ。野球のことを考えて、考えて...。ホラー音楽を流して、気がついたら朝になっている日々でした」と極度の重圧とも戦っていた。三塁を守り、華麗なグラブさばきで投手陣をもり立てた。両軍ともホットコーナーは「ムネ」が躍動。今年笑ったのはオリックスの宗だった。
◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレーバック】26年ぶりの歓喜!オリックスがついに日本一達成!待ちに待った中嶋監督の胴上げにファンも選手もみんな笑顔!笑顔です!
◆オリックスの紅林弘太郎内野手(20)が今年も大舞台で躍動した。第1戦、第2戦とも2安打ずつマーク。昨年の7安打と合わせて、早くも95&96年イチローの10本を超える日本シリーズ15安打を放った。下位打線での存在感は絶大。遊撃でフル出場した若武者は「何があっても最後まで諦めない野球をやる。自分の結果はどうでもいい。勝つためにやります」とフォア・ザ・チームで歓喜に浸った。
◆オリックス20年ドラフト1位右腕の山下舜平大投手(20)は"秘密兵器"のまま来季へ向かう。2年目の今季も1軍登板はなかったが、CSファイナルステージで初昇格。シリーズは第4、5戦でベンチ入りした。ポストシーズンで1軍デビューすればプロ野球史上初で「もし使われるならチームの勝ちだけを意識したい」と意気込んでいたが、登板機会がないままシリーズを終えた。
◆オリックス安達了一内野手(34)は日本シリーズでも持ち味を発揮した。4試合に先発出場。第5戦は9回に代打で四球を選び、逆転サヨナラをお膳立てし、二塁守備でも再三もり立てた。シーズン中から中嶋監督と毎日のように話し合い、若手が多いチームでリーダーシップを発揮した。「阪神から新聞の1面を奪いたい」と知名度アップにも意欲的なベテランは感無量だった。
◆38歳のベテラン、オリックス平野佳寿投手も日本一へ腕を振った。第6戦は1点リードの7回から登板。サンタナ、長岡を空振り三振に仕留めるなど、3者凡退でシリーズ初ホールドをマークした。第1戦で村上にソロ本塁打を喫した神宮でリベンジの快投。昨年の日本シリーズではセーブを挙げた右腕が、今季も救援陣のピースとしてチームを支えた。
◆ペナントレースでリードオフマンを務めたオリックス福田周平内野手(30)は、日本シリーズ第3戦以降はベンチスタートだった。それでも気持ちを落とすことはない。スタメン時と同じように試合前に必ずバットを磨き、グリップエンドに残るスプレーの跡をゴシゴシこすった。「毎日、磨かないと。バットの重さが5~10グラム変わってしまうから」。高いプロ意識で頂点をつかんだ。
◆オリックス8年目左腕の山崎福也投手(30)は先発2試合で合計9イニングを無失点に抑え込んだ。第2戦は4回5奪三振。打っても先制打を放つなど投打で活躍。第6戦は5回1安打と封じ、勝利投手となった。「2度も日本シリーズで投げられる」喜びを力に変えた。2試合ともに神宮での登板。明大時代に慣れ親しんだマウンドで快投し、日本一に貢献した。
◆オリックス山岡泰輔投手(27)は第8戦の先発で準備していたが、投げずに日本一の歓喜を迎えた。今シリーズは2敗1分けで迎えた第4戦に先発。5回途中まで5安打無失点に抑えた。「あまり操れていないボールも多かったんですが、バックの守備に助けてもらいながら何とかゼロで抑えられたところはよかった」。毎回走者を背負いながら要所を締め、逆襲開始の1勝目をもたらした。
◆オリックス比嘉幹貴投手(39)は何度も好リリーフでチームを救った。第1戦は先発山本の負傷降板後に急きょ登板。1回を2奪三振無失点で切り抜けた。第3戦もイニング途中の救援で無失点。第5戦は、同点の5回1死一、三塁からオスナを併殺打に仕留め、9回逆転サヨナラへの流れをつくった。「毎日準備しなくちゃいけないけど、すごくやりがいがある。期待して使ってもらっているので応えたい」と火消し連発で応え続けた。
◆オリックス西野真弘内野手はマルチな働きでチームを支えた。昨年は出場機会がなかった日本シリーズで安達と併用出場。先発、代打の切り札、つなぎ役もポイントゲッターもこなして高打率を残した。第5戦の9回には同点を呼び込む執念の一塁ヘッドスライディング。「終わるまで誰もあきらめていない。最後は気持ち」と闘志全開。ユーティリティーな働きで力を尽くした。
◆オリックスの"ガッツ阿部"阿部翔太投手(29)は日本シリーズの借りを日本シリーズで返した。第2戦の9回、代打内山壮に同点3ランを被弾。試合も延長12回の末に引き分けた。それでも第5戦で無失点投球でリベンジ。「これで日本一にならないと、『あそこで勝ってたら』ってずっと後悔していたと思うので、ほんとによかったなと思います。シーズン入る前では想像できない、いいシーズンになった」。2年目に頭角を現した29歳右腕のフル回転はチームに欠かせなかった。
◆中嶋監督から「無敵の中川」と評されるオリックス中川圭太内野手(26)が、攻守にマルチな活躍で応えた。内外野を守れ、打順も何番でも臨機応変に対応。日本シリーズは7戦中6試合で3番起用された。「後ろ(4番)に正尚さんがいるので、自分(の仕事)は塁に出ること。いかにチャンスを作って、後ろのバッターにつなげるか」と役割徹底を貫いた。
◆史上初の2年連続投手4冠のオリックス山本は心から喜んでいた。日本シリーズ初戦に先発したが左脇腹を痛めて4失点KO。予定していた2度目の先発を回避した。神宮遠征にも同行し、投手陣の輪の中で仲間たちに寄り添い、「このシリーズはチームの力に全くなれなかった。チームメートのおかげで日本一になれた」と感謝した。沢村賞右腕は「大事な試合でこんなことになってしまい最悪です」と沈んでいた。チームには「2勝」が計算できなくなる非常事態。だが、エース不在の投手陣は奮い立った。リーグ優勝、CSファイナルとぎりぎりの勝負を勝ち抜き、ここまで連れてきたのは紛れもなく背番号18。昨年の借りを返したチームの戦いぶりに山本は「悔しい思いをしたところから(今年が)始まった。喜びが大きい」と笑顔だった。
◆オリックスが4連勝で26年ぶり日本一に輝いた。「SMBC日本シリーズ2022」第7戦は、1番起用された太田の日本シリーズ初となる初回先頭打者初球本塁打で先制し、1点差の接戦を強固な投手陣で逃げ切った。イチローらとともに前回96年の日本一戦士となった中嶋聡監督(53)がタクトを振るい、今度は指揮官として頂点に上り詰めた。<96年のオリックス>前年の95年1月に阪神・淡路大震災が発生。当時本拠地の神戸が壊滅状態となり、チームは「がんばろうKOBE」を合言葉に95、96年とリーグ2連覇を達成した。96年はイチローのサヨナラ安打でリーグV。「メークドラマ」の長嶋巨人との日本シリーズを4勝1敗と圧倒した。チームがオリックス球団となって初の日本一に輝き、本拠地で胴上げされた仰木監督は「ペナントレースに続いて神戸で日本一を決められたというのは、この上ない喜びです」と感激した。
◆30日に行われたプロ野球日本シリーズの視聴率が31日、ビデオリサーチの調べで分かった。関東地区の世帯平均視聴率が13・4%、個人視聴率が8・4%、関西地区の世帯平均視聴率が21・2%、個人視聴率が13・9%だった。オリックスが4勝2敗1分けでヤクルトを下し、1996年以来、26年ぶり5度目の日本一となった。日本シリーズMVPには杉本裕太郎外野手(31)が輝いた。全7試合に先発し打率2割3分1厘、3打点。第6戦でV打。この日は5回2死満塁で中堅塩見の失策を誘う飛球を放ち、3点を呼び込んだ。
◆オリックスがプレイボールから10秒も経たない間に〝速攻〟を決めた。1番・太田椋内野手(21)が日本シリーズ初となる初回先頭打者初球アーチで先制点をもたらした。球団26年ぶりの日本一へ王手をかけて臨んだ第7戦。試合開始直後にサイスニードが投じた初球、低めへの145キロを中越えへ運ぶ1号ソロ。4年目の右打者が、目の覚めるような先制パンチを見舞った。
◆?一回表先頭のオリックス・太田が初球を本塁打。シリーズでの初回先頭打者本塁打は2019年第3戦の巨人・亀井善行(裏)以来3年ぶり13人目(14本目)で、初球弾は史上初。一回表弾は1988年第3戦の中日・彦野利勝以来34年ぶり6人目。オリックス(前身を含む)選手の初回先頭打者弾は、福本豊が76年第4戦(裏)と78年第2戦(表)に次いで44年ぶり2人目(3本目)。?21歳8カ月での初回先頭打者弾は88年第3戦の中日・彦野の24歳0カ月を抜く最年少記録。?先頭打者弾に限らず、オリックス選手の21歳8カ月での本塁打は95年第5戦のイチローの22歳0カ月を抜く球団最年少弾。
◆3勝2敗1分で26年ぶりの日本一に王手をかけたオリックスは宮城大弥(21)、ヤクルトはサイスニード(30)の両投手が先発。「1番・一塁」で出場した太田椋内野手(21)が一回、バックスクリーンへ1号ソロを放ち、オリックスが先制した。初球の先頭打者アーチは日本シリーズ史上初。プロ初の中4日登板で、しかも初の神宮のマウンドに立った宮城は二回2死一、二塁の窮地を招いたが、長岡秀樹内野手(21)を遊ゴロに仕留めた。
◆ヤクルト・中村悠平捕手(32)が、チーム10イニングぶりの安打を放った。0-1の二回2死から宮城が投じた初球、137キロの直球をはじき返し、三塁強襲の内野安打で出塁。29日の第6戦の一回に塩見が放った中前打以来のHランプを灯した。続くオスナも中前打でつなぎ、2死一、二塁の好機を演出したが長岡が遊ゴロに倒れた。得点にこそ結びつかなかったが、眠っていた打線にとって価値ある一打となった。
◆ヤクルトのスコット・マクガフ投手(32)が第7戦のベンチ入りメンバーから外れた。38セーブをマークした絶対的守護神は、第5、6戦で2試合続けて悪送球で失点。2試合で5失点と精彩を欠いていた。
◆3勝2敗1分で26年ぶりの日本一に王手をかけたオリックスは宮城大弥(21)、ヤクルトはサイスニード(30)の両投手が先発。「1番・一塁」で出場した太田椋内野手(21)が一回、バックスクリーンへ1号ソロを放ち、オリックスが先制した。初球の先頭打者アーチは日本シリーズ史上初。プロ初の中4日登板で、しかも初の神宮のマウンドに立った宮城は二回2死一、二塁の窮地を招いたが、長岡秀樹内野手(21)を遊ゴロに仕留めた。オリックスは五回無死満塁の好機に宗佑磨内野手(26)の一ゴロが好守で本塁併殺となったものの、さらに2死満塁から吉田正尚外野手(29)の押し出し死球で2点目を追加。次打者の杉本裕太郎外野手(31)の左中間への打球を中堅・塩見泰隆外野手(29)が落球(記録は失策)し、3者が生還し、この回一気に4点を挙げた。宮城はその裏、1死一、三塁のピンチを背負ったが、後続を断った。
◆オリックスが相手のミスにつけ込み、26年ぶりの日本一へ向け、大きな追加点を挙げた。1-0の五回、先頭の伏見が右前打で出塁。続く宮城の三塁方向へのバントにチャージをかけたヤクルト・村上が捕れず、内野安打に。1番・太田の三塁線へのバントも内野安打となり、無死満塁。2番・宗が一ゴロ併殺に倒れるも、2死満塁から、吉田正の押し出し死球と、5番・杉本の左中間への飛球を、中堅手・塩見が捕球できず、3人の走者が生還し、一気に4点を追加し、5-0とリードを広げた。
◆26年ぶりの日本一に王手をかけたオリックスは「1番・一塁」で出場した太田椋内野手(21)の日本シリーズ初となる初回先頭打者初球本塁打で先制。五回2死満塁から吉田正尚外野手(29)の押し出し死球と次打者の杉本裕太郎外野手(31)の左中間への打球を、中堅・塩見泰隆外野手(29)が落球(記録は失策)し、3人の走者が生還し、この回一気に4点を挙げた。先発の宮城大弥投手(21)は二回2死一、二塁、五回には1死一、三塁のピンチを招いたものの、窮地を脱出し、5回3安打5三振1四球無失点で降板。六回から登板した宇田川優希投手(23)は2回無失点に抑えている。ヤクルトは3番・山田哲人内野手(30)、4番・村上宗隆内野手(22)がいずれも無安打。
◆オリックスの先発・宮城は日本一がかかる大一番のマウンドにも動じず、5回を3安打無失点の好投で、六回から2番手・宇田川と交代した。5回?を6安打3失点で敗戦投手となった25日の第3戦から初の中4日だったが、一回から150キロに迫る直球をコーナーに決め、堂々の投球を披露。1-0の二回には連打を浴び、2死一、二塁から長岡を遊ゴロ、5-0の五回にも1死一、三塁のピンチでは、代打・川端を見逃し三振、続く塩見を遊ゴロに仕留め、得点を与えなかった。敗れた第3戦に決勝3ランを打たれた山田には2打数無安打、主砲・村上にも2打数無安打と仕事をさせなかった。
◆ヤクルト先発のサイスニード投手(30)が、五回途中6安打5失点(自責点2)と試合をつくれなかった。オリックスに王手をかけられ、負けられない一戦。大事なマウンドを託された右腕だったが、一回先頭の太田に日本シリーズ史上初の初球先頭打者本塁打を被弾し、先制を許した。二回以降は粘りの投球を見せていたが、五回につかまった。バント内野安打などでピンチを招くと、押し出し死球や味方の失策も絡み4失点し降板。五回途中での無念の降板に「何とか粘って投げたかった。粘り切れず悔しい」と肩を落とした。
◆ヤクルト・石山泰稚投手(34)が第7戦でも登板して1回をパーフェクトに封じ、今シリーズ通算5試合すべてで無失点をマークした。0-5とビハインドの八回に4番手で登板し、杉本を見逃し三振、安達を遊ゴロ、紅林を中飛。安定感抜群の投球で、反撃を狙う味方打線の攻撃につないだ。
◆ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が17打席ぶりの安打となる右前適時打を放った。5点を追う八回1死一、二塁。オリックス3番手・山﨑颯の150キロの直球をはじき返した。第4―6戦は無安打と眠っていた主砲に待望の一打が飛び出した。
◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が大当たりだ。5点ビハインドから1点を返した直後の八回1死一、三塁、左翼席へ今シリーズ2号3ランをほうり込んだ。点差は一気に1点差に縮まった。来日2年目の右打者は今シリーズ、これで30打数11安打8打点の大暴れ。11安打は日本シリーズの最多安打に並んだ。オスナは「諦めない気持ちと意地を見せたかった」とコメントした。
◆オリックスが4勝2敗1分で26年ぶりの日本一に輝き、昨年同じカードで敗れた中嶋聡監督(53)が4連勝で歓喜に酔いしれた。「1番・一塁」で出場した太田椋内野手(21)の日本シリーズ初となる初回先頭打者初球本塁打で先制。五回2死満塁から吉田正尚外野手(29)の押し出し死球と次打者の杉本裕太郎外野手(31)の左中間への打球を、ヤクルトの中堅・塩見泰隆外野手(29)が落球(記録は失策)し、3人の走者が生還し、この回一気に4点を挙げた。先発の宮城大弥投手(21)は5回3安打5三振1四球無失点で降板。六回から登板した宇田川優希投手(23)が2回無失点。八回に3番手の山崎颯一郎投手(24)が村上宗隆内野手(22)に右前適時打、ホセ・オスナ外野手(29)の2号3ランで1点差に詰め寄られたが、この回は比嘉幹貴投手(39)が後続を断ち、九回はジェイコブ・ワゲスパック投手(28)が締めた。
◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が4点を追う八回1死一、三塁のチャンスで1点差に迫る3ランを放った。オスナはカウント2-1から山﨑颯のインコースに入ってきた変化球を左スタンドへ放り込んだ。この1発にテレビ解説を務めるヤクルトOBの古田敦也氏(57)は「外側にいっとけば大丈夫だったんですけどね。こういうのがインコースに入ってしまうんですよね」と解説し、「ただギリギリの勝負をしているオスナ選手を褒めるべきでしょうね」と称えた。共に解説を務めるソフトバンク・千賀滉大投手(29)は「山﨑(颯)投手はも真っすぐのヒット率がここまで多い中、素晴らしい真すぐを投げていたので、変化球の精度がもっとあがったらもっと素晴らしい投手になると思います」とコメントした。
◆オリックスが4勝2敗1分で26年ぶりの日本一に輝き、昨年同じカードで敗れた中嶋聡監督(53)が4連勝で歓喜に酔いしれ、胴上げで5度宙に舞った。この景色が見たかった。ヤクルトに昨年の雪辱を果たし、26年ぶりに立った日本球界の頂点。マウンド上で歓喜の輪を作るナイン。中嶋監督はその中心にゆっくりと歩を進め、ナインに囲まれた。心がけたのは選手との距離感だ。現役時代から打たれた投手をかばう兄貴肌。「監督って、選手からしたらなんか話しかけづらいとか、怖いとか、そういうイメージあるやん。そういうのが嫌。俺が(現役のときに)そうやったから。そういうふうにはなりたくない」。〝魔法の言葉〟とも称され、普段から選手とフランクに接した。球場の風呂、サウナでも選手と語り合う。あとはベストパフォーマンスを出せる環境を整えるだけ。投手陣の連投や球数管理。野手のスタメン起用でも同じだった。レギュラーシーズン143試合で打順は141通り、今シリーズでも7試合で6通りというバリエーション豊富な打順に表れた。選手を主役に立て、自らは黒子に徹した。「俺のことはいいから、選手を取り上げてやってくれ」。今季からはお立ち台に上がらない〝影のヒーロー〟を、ピックアップ選手として紹介してもらえるよう報道陣に要望。どこまでも選手思いな指揮官だ。4勝2敗1分と第7戦までもつれ込んだ激闘を、全員で勝ち切った。その先に待っていた26年ぶりの歓喜が待っていた。
◆ヤクルトは、2勝1分けからオリックスに4連敗を喫し、球団初の2年連続の日本一に届かなかった。先発のサイスニードが五回までに5失点。5点を追う八回に村上の右前適時打、オスナの3ランで一挙4点を返したが、序盤の失点が響いた。高津監督は右翼席のファンに挨拶する際、涙を浮かべていた。
◆オリックスがヤクルトに5-4で勝利。対戦成績を4勝2敗1分けとし、26年ぶり5度目の日本一に輝いた。最高殊勲選手(MVP)にはオリックス・杉本裕太郎外野手(31)が選ばれ、お立ち台で「めちゃくちゃうれしいです。全員で勝つというスローガンのもと、勝ち取った日本一だと思います」と笑顔。「ヤクルトさんはめちゃくちゃ強かった。去年やられて悔しい思いをしたので、やり返せてよかったです。シーズンは全然ダメだったので、しっかり練習して、来年もっと活躍できるように頑張ります」とさらなる高みを目指す。
◆オリックスが4勝2敗1分で26年ぶりの日本一に輝き、昨年同じカードで敗れた中嶋聡監督(53)が4連勝で歓喜に酔いしれ、胴上げで5度宙に舞った。以下、中嶋監督の一問一答。--胴上げで5~6回宙を舞って神宮の夜空はどうだった「非常にいい夜空でした」--胴上げの前に選手に声をかけた「いや、なにも言ってません」--王手をかけた一戦 試合前に選手にかけた言葉は「選手もわかっていることですので、本当になにも言ってません」--日本シリーズ初の初回初球本塁打「先取点が本当にほしいところで、まさかの初球1点は大きいと思いました」--2戦連続で太田選手を1番で起用「積極性がほしいところでバンバン振っていけるバッターが欲しかったので1番に抜擢しました」--先発は中4日の宮城投手「中4日は本当にしんどいと思いますけど、素晴らしいピッチングに感謝ですね」--対戦相手のスワローズについて「本当に強いチームで、何点あっても絶対に追いついてくると思ってました。本当に怖いチームで強かったです」--どういう思いで1年間マネジメントしてきた「マネジメントできていたかどうかは分かりませんけど、調子のいい選手をどんどん使って、全員で勝つ。それをシンプルにやっただけだと思います」--ファンに向けて「本当にありがとうございました。26年ぶりということですけど、本当に全員で勝ち取った優勝だと思いますし、皆さんの応援があったこそ、こういうところに着いたんだなと思います」
◆ヤクルト・塩見泰隆外野手(29)が日本シリーズの優秀選手、ホセ・オスナ内野手(29)が敢闘選手に選ばれた。塩見は、リードオフマンとして打率・357をマークするなど打線をけん引。オスナは、この日も八回に3ランを放つなど、日本シリーズの最多安打に並ぶ11安打を放った。
◆オリックスが4勝2敗1分で26年ぶりの日本一に輝き、昨年同じカードで敗れた中嶋聡監督(53)が4連勝で歓喜に酔いしれ、胴上げで5度宙に舞った。この景色が見たかった。ヤクルトに昨年の雪辱を果たし、26年ぶりに立った日本球界の頂点。マウンド上で歓喜の輪を作るナイン。中嶋監督はその中心にゆっくりと歩を進め、ナインに囲まれた。「非常にいい夜空でした。本当にありがとうございました。26年ぶりということですけど、本当に全員で勝ち取った優勝だと思いますし、皆さんの応援があったこそ、こういうところに着いたんだなと思います」心がけたのは選手との距離感だ。現役時代から打たれた投手をかばう兄貴肌。「監督って、選手からしたらなんか話しかけづらいとか、怖いとか、そういうイメージあるやん。そういうのが嫌。俺が(現役のときに)そうやったから。そういうふうにはなりたくない」。〝魔法の言葉〟とも称され、普段から選手とフランクに接した。球場の風呂、サウナでも選手と語り合う。あとはベストパフォーマンスを出せる環境を整えるだけ。投手陣の連投や球数管理。野手のスタメン起用でも同じだった。レギュラーシーズン143試合で打順は141通り、今シリーズでも7試合で6通りというバリエーション豊富な打順に表れた。選手を主役に立て、自らは黒子に徹した。「俺のことはいいから、選手を取り上げてやってくれ」。今季からはお立ち台に上がらない〝影のヒーロー〟を、ピックアップ選手として紹介してもらえるよう報道陣に要望。どこまでも選手思いな指揮官だ。4勝2敗1分と第7戦までもつれ込んだ激闘を、全員で勝ち切った。その先に待っていた26年ぶりの歓喜が待っていた。
◆プロ野球西武や米大リーグのレッドソックスなどでプレーした松坂大輔氏(42)は「凄い試合、凄いシリーズでしたね。観てて感動しました!」とツイート。「オリックス、26年ぶりの日本一おめでとうございました! 両チームの皆さん、お疲れ様でした! そして、素晴らしい日本シリーズを見せてもらいありがとうございました!」と激戦を終えた両チームの選手に労いの言葉を送った。
◆?オリックスが対戦成績を4勝2敗1分けとし、1996年以来26年ぶり5度目の日本一を決めた。前回日本シリーズで優勝してからの最長ブランク優勝は2007年の中日の53年ぶり(前回Vが54年)で、オリックスの26年ぶりは05年のロッテの31年ぶり(前回Vが74年)に次ぐ6番目に長いブランク。現在優勝から最も遠ざかっているのは、広島の38年(前回Vが84年)、次いで阪神の37年(前回Vが85年)。?昨年対戦して敗れたヤクルトに勝ってのシリーズ制覇。2年以上続けて同一カードだったシリーズは19、20年のソフトバンク-巨人(ソフトバンクの連覇)に次いで11度目。2度目の対決で雪辱を果たしたのは、93年のヤクルト(野村克也監督、92年優勝・西武)、07年の中日(落合博満監督、06年優勝・日本ハム)に次いで15年ぶり3度目で、パ・リーグ球団では初めて。?開幕から3戦以上未勝利から4連勝してシリーズを制したのは、58年の西鉄(3連敗)、62年の東映(2連敗1分け)、86年の西武(3連敗1分け)、89年の巨人(3連敗)に次いで33年ぶり5度目。?パ・リーグ球団の日本一は20年のソフトバンク以来、通算37度目で、回数で並んでいたセ(36度)を抜いて再びリードした。
◆ヤクルトは第2戦に続く先発となったサイスニードが4回?を6安打5失点(自責点2)で降板した。一回先頭、太田への初球を本塁打とされ、五回には押し出し死球や味方の拙守も絡んで一挙4失点。今季チームトップタイの9勝を挙げた右腕は「何とか粘って投げたかった。粘り切れず、悔しい」と肩を落とした。
◆今季限りでの退任を表明しているオリックスの宮内オーナーが選手らによって宙に舞った。「無上の喜び。個人的にはめちゃくちゃ、いい締めくくり」と笑顔を見せた。阪急から球団譲渡を受けた1988年秋からオーナーを務める。球界再編の激動も経て、96年以来の日本一に輝いた。当時指揮を執った故仰木彬監督に思いをはせ「仰木さんに報告できる」と万感の思いを口にした。
◆ヤクルト・塩見がシリーズ通算打率・357(28打数10安打)の活躍で優秀選手に選出された。この日は五回2死満塁の中堅守備で、杉本の左中間への飛球に快足を飛ばして追いついたが、グラブに収められず後逸し、走者一掃を許した。一時は杉本の安打と記録されたが、失策に訂正された。打っては1安打も最後の打者となるなど、悔しさが残った。
◆ヤクルトは、2勝1分けからオリックスに4連敗を喫し、球団初の2年連続の日本一に届かなかった。?ヤクルトはチーム合計得点で、オリックスの22点を上回る23点を挙げたが、対戦成績は2勝4敗1分けで敗退した。合計得点で上回りながら敗退したのは、2004年の中日(37-32西武)以来18年ぶり9度目。ヤクルトは1978年(35-37阪急)、93年(24-27西武)と相手よりも少ない得点で優勝したが、得点を上回って優勝を逃したのは初めて。?オスナが3打点を挙げて今シリーズ8打点。1シリーズ8打点以上を挙げたのは、15年のソフトバンク・李大浩(8打点)以来7年ぶり20人目。ヤクルトでは78年の大杉勝男(10打点)以来44年ぶり2人目。1シリーズ11安打は92年の飯田哲也と並ぶ球団最多安打。
◆ヤクルト・高津臣吾監督(53)は試合後、「やっぱ悔しいね。去年勝てて、オリックスは同じ相手で彼らは去年こういう気分だったのかなと。この悔しさを絶対忘れてはいけないなと思います」と言葉を絞り出した。オリックスとは昨年、ともに前年最下位からリーグ優勝を果たして激突。ヤクルトが4勝2敗で勝ち、日本一の座をつかんだが、今年は譲った。敗戦後にオリックス・中嶋監督と言葉を交わしたといい、「僕は同級生、同い年で昔からよく知っているわけではないですけど、会えば話す間柄だった。今年の対戦もすごく楽しみにしていたんですけど、昨年とは少し違うチームを作り上げてきましたし、見習うところはたくさんあるなと思いました」と、同じ1968年度生まれの敵将に脱帽した。
◆ヤクルトは、2勝1分けからオリックスに4連敗を喫し、球団初の2年連続の日本一に届かなかった。試合後、高津臣吾監督(53)は「やっぱり悔しいね。この悔しさを絶対に忘れてはいけない」と涙ながらに振り返った。敗れこそしたが、粘り強く4点を返した八回の攻撃を評価。「つなぎだったり、粘りだったり、ひと踏ん張りだったりを強調してきたのが今年のチーム。1点は届かなかったですけど、中盤のリリーフから終盤の追い上げはすごくよくできたと思います。今年のスワローズを象徴していた後半だった」と話した。2連覇を達成し、2年連続で日本シリーズを戦った今シーズンを振り返り、「思い返せば苦しいことばかりで、弱音もはかずに選手はよく頑張ってくれた。ほんとにしんどいときも歯を食いしばって、みんなで声をかけあって乗り切った2022年だった。ここまでこれたことが素晴らしい」と選手たちをたたえた。
◆オリックスが4勝2敗1分で26年ぶりの日本一に輝き、昨年同じカードで敗れた中嶋聡監督(53)が4連勝で歓喜に酔いしれ、胴上げで5度宙に舞った。米大リーグ・マリナーズ会長付特別補佐を務めるイチローさんの話オリックス・バファローズの皆様、日本一おめでとうございます。ファンの方々の想いと期待に、リーグ2連覇と日本一という最高の結果で応えたこと、見事でした。26年前、「がんばろうKOBE」を合言葉にファンの方々と共に闘った熱い気持ちを、僕の中にも呼び起こしてくれました。当時を共に闘った中嶋監督のもと、若い選手達が新たな歴史を刻んでいってくれることを期待しています。
◆オリックスの吉田正は選手会長、主砲として日本一へとチームを引っ張った。ヤクルトに昨年の雪辱を果たし「非常にほっとしました。いい1年になった」と安堵感をにじませた。シリーズでは計8四球と勝負を避けられる場面が目立ち、4安打に終わった。それでも、第5戦でのサヨナラ2ランを含む2本塁打は強烈な印象を残した。「チームの勝利のためにと思って、やれることを精いっぱいやった」と誇らしげに語った。
◆オリックスの宇田川が連夜の好救援で日本一に貢献し「すごくうれしい気持ちとほっとした気持ち」と心境を口にした。六回から2番手で登板し、村上から剛速球で見逃し三振を奪うなど無失点。続投した七回は安打に失策も絡んで1死二塁を招いたが脱した。今シリーズ4試合に登板して計5回?を投げて10三振を奪い、1点も与えない剛腕ぶりだった。7月下旬に支配下選手登録された新星は「来年は開幕1軍を目指してオフシーズンも頑張りたい」とはにかんだ。
◆オリックスのエース山本は第1戦に脇腹の不調で五回途中4失点で降板して以降、出番はなかった。「このシリーズはチームの力に全くなれなかった。チームメートのおかげで日本一になれた」と感謝した。2年連続で最多勝など主要タイトルを独占した剛腕は、昨年に続いて沢村賞も獲得した。三冠王に輝いたヤクルト・村上との注目の対決は2打席だけで四球と一ゴロ。ヤクルトの強力打線に昨年の借りを返したチームの戦いぶりに「悔しい思いをしたところから(今年が)始まった。喜びが大きい」と笑顔だった。
◆オリックス日本一の祝勝会は東京都内のホテルで行われた。今季で退任する宮内オーナーも参加し「オリックスの戦いぶりは一つの社会現象としてものすごく注目された。皆さま方は英雄です」とあいさつ。選手会長の吉田正の「きょうはみんなで暴れるぜ」のかけ声でビールかけが始まり、3000本の瓶ビールが次々に泡と消えた。
◆2年連続でセ・リーグを制したヤクルトは終盤の追い上げも及ばす、球団初となる2年連続日本一を逃した。八回に村上宗隆内野手(22)の右前適時打で1点を返すと、ホセ・オスナ内野手(29)が左翼席へシリーズ2号3ラン。1点差まで詰め寄ったが、激闘の末に力尽き、高津臣吾監督(53)は目に涙を浮かべてスタンドのファンへ感謝の思いを伝えた。目は充血し、潤んでいた。一歩、及ばなかった。高津監督は終戦後、右翼席のファンに向けてあいさつ。報道陣の前では声を詰まらせ、こぼれる涙を拭き、震える声で感情をあらわにした。「やっぱり悔しい。この悔しさは絶対に忘れちゃいけない。常に満員の中で試合ができたことはすごく幸せに思った。最後勝って終わるところを見せたかったんですけど...。かなわなくて申し訳ないなと思います」最後はスワローズらしい粘り、つなぎ、諦めない姿勢を見せた。5点を追う八回1死一、二塁で4番・村上が右前適時打。続くオスナが左翼席へシリーズ2号3ランを放った。山崎颯を降板させ、試合終盤で1点差まで詰め寄った。「1点届かなかったですけど、今年のスワローズを象徴していた。しんどい時も歯を食いしばってみんなで声かけながら乗り切った2022年。負けたことが駄目じゃない。ここまで来られたことが素晴らしい。選手をたたえたい。褒めたい」得たものもある。投手では2年目の木沢、新人の山下が大舞台のマウンドに立ち、野手では新人の丸山和や長岡、内山壮らが躍動。「来年以降、悔しい気持ちを大事に成長していってほしい」と将来を担う選手たちに期待した。恩師・野村監督でも成しえなかった球団初の2年連続日本一には届かなかった。「やっぱり勝ちたかった。強いチームを作り上げていきたい」。目指すは日本一奪回。強い気持ちで誓った。(赤尾裕希)
◆2年連続でセ・リーグを制したヤクルトは終盤の追い上げも及ばす、球団初となる2年連続日本一を逃した。八回に村上宗隆内野手(22)の右前適時打で1点を返すと、ホセ・オスナ内野手(29)が左翼席へシリーズ2号3ラン。1点差まで詰め寄ったが、激闘の末に力尽き、高津臣吾監督(53)は目に涙を浮かべてスタンドのファンへ感謝の思いを伝えた。歓喜の瞬間を目に焼き付けた。村上はベンチで唇をかみ、悔しさを押し殺した。記録的な成績を残したシーズンが終了。あと一歩のところで2年連続の日本一を逃した。「多くの方々にたくさん期待してもらったにもかかわらず、期待に応えられなかった。さらに努力していきたいと思います」第4戦から16打席連続無安打と苦しみながら、最後は一矢報いた。0-5の八回に右前適時打を放ち「後ろにつなぐことだけでした」。チームに20イニングぶりの得点をもたらしたが、笑顔はなかった。守備では1点を追う五回無死一塁、宮城の犠打が三塁側へ転がったがチャージをかけた村上は取れず、サイスニードとの間を抜けて内野安打に。続く太田の犠打も三塁前に転がったが、判断ミスでスタートが遅れ、内野安打となってピンチが広がり、塩見の失策も絡んで一挙4点を失った。一つのミスが命取りになる短期決戦。悔やまれる回となった。歴史的な1年が終わった。今季最終戦となった10月3日のDeNA戦(神宮)でシーズン日本選手最多を更新する56号を放ち、令和初の三冠王(打率・318、134打点)を史上最年少で獲得した。チームの中心として4番に座り続けた。シリーズは打率・192(26打数5安打)、1本塁打、5打点。高津監督は「目標はかなわなかったけど、ここまで頑張ってきたことは決してなくなるものではない」とねぎらった。「1年間、応援ありがとうございました」とコメントした村上。悔しさを来季の糧にする。(森祥太郎)
◆「SMBC日本シリーズ2022」は30日、神宮球場で第7戦が行われ、パ・リーグ優勝のオリックスが5-4でセ・リーグ優勝のヤクルトを破り、4連勝で対戦成績4勝2敗1分けとして阪急時代を含めて26年ぶり5度目の日本一に輝いた。地元神戸を襲った阪神大震災翌年の1996年以来となる快挙。中嶋聡監督(53)は就任2年目で悲願を達成し、ナインの手で5度舞った。この景色が見たかった。ヤクルトに昨年の雪辱を果たし、26年ぶりに立った日本球界の頂点。三塁ベンチから一斉に飛び出したナインが、マウンド上で歓喜の輪を作る。目を潤ませた中嶋監督はその中心にゆっくりと歩を進めると、「ヨッシャー!!」と声を張り上げた。自ら才能を見いだし育て上げたチルドレンの手で5度、神宮球場の夜空に舞った。「あの~、非常にいい夜空でした。26年ぶりの日本一ですけども、ここにいる選手たち、舞洲にいる選手たち、全員で勝ち取った優勝だと思います」笑顔で写真撮影をする選手に、抱き合う選手。全員が〝わが子〟だ。指揮官の中では目指す理想像があった。「監督って、選手からしたらなんか話しかけづらいとか、怖いとか、そういうイメージあるやん。そういうのが嫌。俺が(現役のときに)そうやったから。そういうふうにはなりたくない」心がけたのは選手との距離感だ。現役時代から打たれた投手をかばう兄貴肌。〝魔法の言葉〟とも称され、普段から選手とフランクに接した。好機で凡打した次の日。失意に沈む選手には「力み過ぎやねん」と冗談交じりに言葉をかけ、切り替えさせる。球場の風呂、サウナでも選手と語り合う。今季ブレークした中川圭は「気が楽になる」と感謝。冗談を言い合える関係性となり、指揮官は「多分、俺のこと友達と思っているで」と笑う。信頼関係が力を引き出す。これが、中嶋野球の神髄だ。あとはベストパフォーマンスを出せる環境を整えるだけ。徹底した投手陣の連投や球数管理。野手のスタメン起用でも同じだった。トレーナー陣による体調面の報告を受け、練習の様子を見てじっくり判断する。「体に張りがある」との報告を受けると、このまま使うことがベストな選択なのか悩んだ。苦心ぶりが、レギュラーシーズン143試合で141通り、今シリーズでも7試合で6通りというバリエーション豊富な打順に表れた。故障者が出たときには、より起用法で頭を使った。夢にも出た。「誰を使ったらいいのかな、とか考えたときに急に選手の顔が浮かんできて。『いや、あいつ今2軍やな』とか『ポジション違うじゃん』とか」。眠りについても、常にチームのことで頭がいっぱいだった。常に選手を主役に立て、自らは黒子に徹した。「俺のことはいいから、選手を取り上げてやってくれ」。今季からはお立ち台に上がらない〝陰のヒーロー〟を、ピックアップ選手として紹介してもらえるよう報道陣に要望。どこまでも選手思いな指揮官だ。中嶋監督が繰り返し口にする「全員で─」というフレーズから、いまではチームの合言葉となった「全員で勝つ」。4勝2敗1分けと第7戦までもつれ込んだ激闘を、全員で勝ち切った。その先に待っていた26年ぶりの歓喜。さあ、全員でW(笑)おう!!(西垣戸理大)
◆主将がナインを鼓舞した。シリーズ第7戦は山田が声出しを担当。力強い言葉で後押しした。8月26日のDeNA戦(横浜)。リーグ連覇への流れをもたらしたのも主将の声だった。4ゲーム差に詰められて迎えた2位との直接対決で、開幕戦以来の声出し役を務めて見事に3連勝を飾っていた。「相手どうこうよりもとにかくみんなが力を合わせて戦うだけ。あとは(全員を)信じて戦うのみ」と話していた山田。仲間を信じて最後まで戦い抜いたが、あと一歩及ばなかった。
◆オリックスの勝因は、粘り強さと接戦の強さ。そこに行き着くよ。短期決戦に影響を及ぼす大きな要素は、レギュラーシーズンの戦いだ。オリックスはし烈な争いの中、諦めてもおかしくない苦境から何度もはいあがり、最後はソフトバンクを〝うっちゃり〟で逆転優勝。ヤクルトは前半戦から独走し、後半にややもたつきながら、ゲーム差に余裕を持ってゴールした。そのテンションの違いが、接戦での粘りに出たね。ペナントレースでの競り合いがいかに大事か。リーグ全体のゲーム内容とレース展開が、日本シリーズで問われるといってもいい。もう一つはやはり、ベンチの采配と選手の調子だ。オーダー編成も投手リレーの順番も、状況によって臨機応変に構えるのが短期決戦。オリックスはいい方に運び、ヤクルトは流れを呼び戻せなかった。とはいえ、両チームとも大したものだ。2年連続でリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズも勝ち上がり、最高峰の舞台で7戦を戦い抜いた。どちらも「チーム一丸」の典型例。よく頑張ったね。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆オリックス・山岡泰輔投手(27)が30日、日本一を受けてサンケイスポーツに手記を寄せた。昨季は右肘手術の影響で離脱したが、今季は先発ローテの一角としてリーグ連覇、日本一に大きく貢献した。復活を支えてくれた、今季限りで現役引退する能見篤史投手兼任投手コーチ(43)への思い、中嶋聡監督(53)から送られた言葉などを明かした。日本一、本当にうれしいです! プロ野球選手をやっているうちは、日本一は絶対の目標。ただ、入団したときはチームが日本シリーズにほど遠かったので、まったく分からない状態でした。いつもこの時期になると「いいな」と思っていました。いざ自分が投げるとなると、また違うプロ野球、違う野球に感じました。今年は26日の第4戦に先発。五回途中で降板しましたが、1-0の勝利に貢献できました。去年の日本シリーズは、右肘手術からの実戦復帰(11月25日、東京ドーム)のマウンド。中継ぎで登板しましたが、ヤクルトファンの方も拍手で迎えてくれて、ありがたさを感じました。もう一回、こういうところで投げたいと感じました。実際に投げられることになりましたが、今年に関しては先発で、決められたところで投げるという状況でした。日本シリーズは日本シリーズの戦い方がある。先発として何回を投げないと...とかではなく、とにかくゼロで後ろにつなぐ。いい投手がそろっているので、なんとかゼロでつなげれば―と思っていました。去年は右肘を痛めて、リーグ優勝に貢献できませんでした。うれしかったですけど、その輪にいられなかった悔しさと、優勝争いしているところを見ていて、楽しそうだな...って。今年は輪に入りたいと思っていましたし、リーグ連覇に貢献できてうれしかったです。ただ、7月28日に新型コロナウイルスに感染して、後半戦は体をうまく扱えなくて、力が入りにくかった。結果的に勝てなくて(前半で6勝も後半は6戦未勝利)、迷惑をかけてしまいました。9月22日のロッテ戦(京セラ)がレギュラーシーズンの最終登板でした。試合後、中嶋監督に呼ばれました。「コロナ明けから状態が上がってこないというのは、見ていて分かっている。頑張れとは言えない。とにかく今できることをあがいてくれ。一回、ファームに行って、あがいて、最後戻ってきて、いいとこ取りできるように、しっかりあがいてこい」と言われました。ここまで我慢して使ってもらったのに、結果を出せなかった悔しさもあった。やるしかないと思いました。能見さんの存在も大きかったです。毎日、キャッチボールをしてもらって、毎日違う言葉をかけてもらった。すごく親身になってくれますし、いろんな経験を隠さず教えてくれる。僕だけではなく投手全員、野手も日本一で送り出したいと思っていました。最高の形で送り出せてよかった。2017年に入団したとき、福良さん(当時監督、現GM)から「チームを変えてほしい」と言われて、うれしかった。僕が変えたわけではないけど、チームが強くなっているのは間違いない。順位も上がってきている。強くなってきていると思います。日本一は取れるチャンスが何回も来るわけじゃないけど、何回も取りに行かなきゃいけない。これからも自分のできることをして、チームに貢献していきたいです。(オリックス・バファローズ投手)
◆「38-42」。去年、そして今年の日本シリーズ計13試合のオリックスとヤクルトの総得点。野球ファンの間で「神回」と評された2年連続の激闘シリーズを証明するスコアだ。その中、残念ながら今年最後の分水嶺となったのは失策だった。五回2死満塁でのヤクルト中堅手・塩見が犯した走者一掃のタイムリーエラー。杉本の左中間への打球に対して、快足を飛ばして捕球体勢に入りながらの後逸だった。このプレーで思い出されたのが、元ヤクルトの中堅手・飯田哲也氏だ。1992年の西武との日本シリーズ、3勝3敗で迎えた第7戦。1-0とリードした七回2死一、二塁で西武・石井丈裕の右中間寄りの打球をグラブに当てながら捕れず、同点に追いつかれた。現役引退後の取材で、同氏は「公式記録はヒットでしたけど、あれは100%僕のエラー。打球を追いながら『追いついた』という油断、気の緩みがあった」と振り返り、最終的に試合も2-1で敗れたことで「現役を通じて最も忘れられないプレー、そして最も思い出したくないプレー」と付け加えた。ただ、物語は悲劇のままで終わらない。翌93年。再び西武との対戦となった日本シリーズ第4戦で「生涯のベストプレー」という好守を披露した。1-0で迎えた八回二死一、二塁で鈴木健の中前打を捕ると、ダイレクト返球で本塁刺殺。ベンチの指示に反して、自らの〝直感〟で前進守備を選択しての魂のバックホームだった。92年当時、飯田氏はプロ6年目。そして、塩見は今季が5年目。この日の悔しさを糧に、名手へと成長することを期待したい。余談ではあるが、日本シリーズ史上2度目の第8戦に突入していれば、審判団にも〝史上初〟の出来事が待っていた。シリーズの審判団のローテーションは球審→控え→レフト外審→二塁塁審→一塁塁審→ライト外審→三塁塁審。2011年にセ、パに分かれていた審判部が統合される以前は各リーグから4人の計8人が選ばれていたため、第8戦まであった1986年の西武-広島のシリーズでは8戦とも別の球審が務めた。しかし、統合後はシリーズの審判団は7人に。今回、仮に第8戦があれば、第1戦の津川力球審が今シリーズ2度目の球審を務める予定だった。(編集委員・東山貴実)
◆30日にフジテレビ系で生中継され、オリックスがヤクルトを破って26年ぶりに日本一に輝いたプロ野球日本シリーズ第7戦の平均世帯視聴率が関東地区で13・4%だったことが31日、ビデオリサーチの調べで分かった。個人視聴率は8・4%だった。また、29日に同局系で生中継され、オリックスが日本一に王手をかけた第6戦の平均世帯視聴率は9・8%、個人視聴率は6・0%だった。2年連続での同一カードなった日本シリーズは、オリックスの4勝2敗1分け。ヤクルトは2年連続の日本一を逃した。
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