1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 5 | 1 | 0 |
阪神 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | X | 3 | 5 | 1 | 0 |
勝利投手:秋山 拓巳(4勝2敗0S) (セーブ:スアレス(1勝0敗14S)) 敗戦投手:岩下 大輝(4勝3敗0S) |
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◆阪神は3回裏、近本の適時打と中野の犠飛で2点を先制する。そのまま迎えた5回には、2死三塁から中野が適時打を放ち、リードを広げた。投げては、先発・秋山が8回1失点の快投で今季4勝目。敗れたロッテは、打線が終盤に追い上げを見せるも及ばなかった。
◆阪神ドラフト5位の村上頌樹投手(22)が、26日ロッテ戦(甲子園)の1軍試合前練習に合流した。 キャッチボール、ランニング、バント練習、走塁練習などで汗を流した。球団を通じ「チームのために1試合でも、1球でも多く貢献できるようにしっかり腕を振っていきたいです」とコメント。ナインやコーチ陣へ丁寧にあいさつを交わし、矢野監督と笑顔で話す場面もあった。 同投手は23日ウエスタン・リーグ中日戦に先発し、4回3安打1失点と好投。指揮官も「やれることが多い。何かこれが苦手だなというところがない。競争に入ってきてもおかしくないピッチャー」と評価していた。 ウエスタン・リーグでは6試合に登板し、防御率2・25と安定した投球を続けている。
◆阪神山本泰寛内野手(27)が26日、虫垂炎で出場選手登録を抹消された。 兵庫県内の病院を受診し、同診断を受けたと球団が発表。前日25日はベンチ入りしていた。オフに巨人から金銭トレードで移籍し、出場36試合で打率1割6分7厘。4月3日の中日戦(京セラドーム大阪)ではサヨナラ安打も放つなど、貴重な右打ちの内野手として攻守に奮闘してきた。妻はMBS辻沙穂里アナウンサー(27)。代わって木浪聖也内野手(26)が1軍昇格した。木浪は午後0時30分開始の2軍ソフトバンク戦(タマホームスタジアム筑後)で1番遊撃でフル出場し、その後福岡から移動。1軍のロッテ戦でも9回に三塁の守備固めとして出場した。 ◆虫垂炎とは 何らかの原因で虫垂に炎症が起こる病態を指し、一般的には「もうちょう」として知られている。抗生物質による治療、もしくは手術で虫垂を取り除く治療が主とされる。
◆5月絶好調の阪神近本光司外野手(26)が、バットと足で3回の2点先制に貢献した。 1死二塁からロッテ先発岩下の外角148キロ直球を逆らわず左翼へ。打球は左翼越えの先制適時二塁打となった。「チャンスの場面だったので、どんな形でも走者をかえすという意識を持って打ちました」。 さらに自慢の快足も見せた。続く2番中野の4球目の暴投で三塁へ進むと、中野の左翼への浅めの飛球でタッチアップ。左翼角中からの送球が一塁側にズレたこともあり、クロスプレーにもならず生還した。打った中野も「浅い外野フライでしたが近本さんに救われました」と感謝した。 近本は5月は適時打を放ったこの日の第2打席までで56打数22安打の打率3割9分3厘と当たっている。
◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、交流戦初安打を放った。 2回2死走者なしでロッテ先発岩下から右前打を放った。内角131キロの変化球にバットは真っ二つに折れたが、力で二塁手の頭の上を越した。18日ヤクルト戦(甲子園)の第3打席で中前打を放って以来、10打席ぶりの快音となった。 6回の第3打席では、2番手横山の初球を捉え右中間への二塁打とした。15日巨人戦(東京ドーム)以来の複数安打。"プチトンネル"を完全に脱し、打球にも角度がついてきた。 大山が「4番三塁」に復帰して2試合目。佐藤輝も「6番右翼」に戻った。マルテ、大山、サンズのクリーンアップの後にも、相手にとっては気が抜けない6番打者が控えている。
◆阪神ドラフト6位中野拓夢内野手(24)が、5回に2打席連続で打点を挙げる右前適時打を放った。 2点リードの5回2死三塁。ロッテ岩下のフォークにバットを真っ二つに折られながらも、右前へしぶとく落とした。「(先発の)秋山さんがピッチングでも打席(5回の犠打)でもいい流れをつくってくれるので、そのいい流れの中で打つことができました。いい所に落ちてくれてよかったです」。3回の打席でも左犠飛を放っており、この日2打点目。 この日、正遊撃手争いのライバル木浪が1軍に再昇格。2軍降格の14日からの2軍戦6試合で20打数9安打、打率4割5分と打ちまくって復帰を決めた。中野もレギュラー死守の気持ちが出た2打点となり、今後ますます激しいチーム内の競争となりそうだ。
◆ロッテ横山陸人投手(19)が、高校時代にたどり着けなかった甲子園でプロ初登板を果たした。 0-3とリードされた6回にマウンドへ。4番大山を捕邪飛、5番サンズを中飛で2死を奪うも、6番佐藤輝には内角低め148キロ直球を完璧に打ち返され、右中間二塁打に。ピンチを迎えるも、7番梅野を一塁ゴロにし、1回を無失点で抑えきった。大山と梅野からは高め直球で空振りも奪った。 専大松戸(千葉)から19年ドラフト4位で入団。27日に先発する佐々木朗と高卒同期になる。高校時代は細身だったが、ビルドアップに成功し、サイドスローからの直球は最速153キロに到達。将来のセットアッパー候補として期待されている。聖地のマウンドで堂々デビューし、27日に先発する佐々木朗にも勢いをつけた。
◆阪神が3回に近本の適時二塁打、中野の犠飛で2点を先行した。先発秋山は3回を1安打無失点と上々の立ち上がり。 阪神が5回に中野の適時二塁打で1点を追加した。ロッテ岩下は5回4安打3失点で降板。6回から横山がプロ初登板。 阪神秋山は8回1失点の好投で4勝目、スアレスが14セーブ目をを挙げた。ロッテは9回に中村奨の適時打で1点差まで詰め寄るも及ばなかった。岩下が3杯目
◆阪神秋山拓巳投手(30)が今季最長の8回を投げ、3安打1失点の好投で今季4勝目を挙げた。 お立ち台には、秋山と先制点を挙げた近本光司外野手(26)が上がった。「フライピッチャー」を自認する秋山は、試合前に近本に「今日もいっぱい走ってね」と"お願い"していたことを明かした。 ? ヒーローインタビューは以下の通り -まず近本選手、最後はしびれる展開。昨日の敗戦を受けての今日の勝利は 近本 いやー、最後は本当に、どんな形であっても最後勝ったので僕の中では良かったし、うれしかったですね。 -先制タイムリーの場面はどんなことを考えて 近本 秋山さんがしっかりバントを決めてもらったのと、ストレートやろと思って打ちに行って、結果的いいところにいい打球が打てたので、内容としても良かったですし、先制できて秋山さんの助けになれるようにと思って、出来て良かったです。 5月の打撃が素晴らしい。今の打撃をどんなふうに捉えている 近本 そうですね、ちょっと間が空いて交流戦が始まって、チームとしての流れもそうですし、自分の流れもそうですけど。ちょっと間が空いたら僕の中ではちょっといやなんで、ここからしっかり勝って行けるようにやっていきたいと思います。 -これで1勝1敗。明日の相手先発は佐々木朗 近本 本当に1勝1敗で来て、最後3つ目っていうのは本当に大事な試合にもなりますし、最初のカードをしっかり勝ち越して、交流戦いい流れで入っていけるように頑張っていきたいと思います。 -続いて秋山投手。間隔が空いたマウンドだったが、投球を振り返って 秋山 ちょっと立ち上がりばらついてたんで、どうなるかなと思ったんですけど、なんとかリズムに乗ることが出来て良かったです。 -8回1失点。何が一番良かったか 秋山 個人的に昨日の負け方がいやだなと勝手に思ってたんで、その流れにならないように、しっかり先発の役割を果たして、絶対勝つっていう気持ちでマウンド上がってたんで、最後スアレスに助けてもらいましたけど、勝つことを実行できて良かったです。 -打席でもきっちりバントを決めた 秋山 あんまりうまくないんで、うまくない中で毎日練習してるんで、しっかり決めて。ベンチで良く「事を起こせ」って声が聞こえてるんで、なんとか決めることが出来て良かったです。 -4戦連続無四球の秘訣(ひけつ)は 秋山 それが持ち味なんで。秘訣(ひけつ)...1球1球しっかりどうしたいかっていうのを考えながら投げてるんで。あと、フライピッチャーなんで、しっかり試合前に近本に「今日もいっぱい走ってね」っていうことは伝えてたんで、今日もいっぱい走ってくれてました、はい。 -これから当分は強力なパ・リーグ打線と当たるが、今後への抱負 秋山 本当にチームは優勝に向かって1戦1戦頑張ってるんで、しっかりそのピースになれるように、しっかりと頑張っていきたいと思います。
◆ロッテのサイドスロー右腕・横山陸人投手(19)が1軍デビューした。6回裏に登板し、1安打無失点。 「ホッとした気持ちがまずはあります。デビューしたこともそうですし、無失点で抑えられたということも自分の中ではすごく良かったなと思っています」と振り返った。 0-3の6回だった。先発岩下の2番手として、あこがれの場所に向かった。「緊張しててあまり覚えてないんですけど...」。捕手佐藤都としっかり打ち合わせて、一度きりのデビュー戦に臨んだ。 相手はいきなり阪神の4番大山。初球は外れたが、2球目の高め149キロは大山を空振りさせた。捕邪飛に打ち取ると、5番サンズも147キロで押し込んで中飛に。6番佐藤輝には右中間二塁打を打たれたが、7番梅野は一ゴロで無失点で切り抜けた。梅野からも高め直球で空振りを奪った。 「自分の球が1軍の中軸にどれだけ通じるかっていうのを試すというか、挑戦できたので、自分の中ではすごくいい経験になったかなって思います」 サイドスローから平均約147・5キロの直球で押し込んだ。ボール球は全15球中3球のみで、乱れることもなかった。井口監督も「非常にいいボールを投げていましたし、また次、楽しみです」とたたえた。 専大松戸(千葉)時代も関東屈指の投手として注目されたが、甲子園出場には縁がなかった。「人生で1回は投げてみたい場所だったので、投げられてすごく良かったです」。佐々木朗と同じ19年ドラフトで、横山は4位指名で入団。最速163キロを誇る同期が注目される中、横山もプロ1年目にしっかり鍛え上げ、現在はサイドスローから最速で153キロを投げるまでに成長した。 試合は2-3で惜敗したが、横山の力強いデビューは、27日に甲子園デビューを控える佐々木朗にも勢いをつけた。近未来のセットアッパー候補は「勝ちパターンで投げさせてもらえる投手を目指して頑張ります」と堂々と口にした。甲子園に届かなかった若者が、甲子園からプロ野球人生を歩み出した。【金子真仁】
◆阪神守護神ロベルト・スアレス投手はなんとかリードを守り切り、14セーブ目を記録した。 2点リードの9回に登板。先頭鳥谷を160キロで遊ゴロ、1番荻野を159キロで遊ゴロに仕留めた後、2番マーティンの左前打に失策がから絡んで2死二塁に。ここで3番中村奨吾に左翼線にタイムリーを浴びた。20試合ぶりの失点を喫し、さらに暴投で2死二塁。最後は代打エチェバリアを中飛に仕留めて耐えた。
◆阪神ドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が、5戦ぶり13度目のマルチ安打と状態を上げ、27日にロッテ先発の佐々木朗と対決する。「向こうもいい投手というのは分かってますけど、やることは変わらず自分のするべきことをするだけだと思う」と静かに闘志。「まあでも、より注目が高くなると思うので、しっかり打てるように頑張りたい」と、沸き上がってきた打倒163キロ右腕への感情を隠さなかった。 佐藤輝らしいパワーで復調のきっかけをつかんだ。2回、ロッテ岩下の内角スライダーをとらえ、バットを折りながらも右前へ。詰まりながらも「輝シフト」で一、二塁間の後方を守る二塁手中村奨の頭をしぶとく越えた。交流戦初安打となる10打席ぶりの安打できっかけをつかむと、6回の第3打席にはプロ初登板のサイドスロー横山の初球148キロ低め直球をとらえ、右中間を破る二塁打を決めた。雨やコロナ禍での広島3連戦延期などで5日間試合から遠ざかり、前日25日は4打数無安打。「ちょっと修正を加えながら、ちょっとよくなってきたかな。(修正は)感覚のところですね」と微調整で上方修正した。令和を代表するフルスイングVS剛速球。自身の状態にも手応えをつかんで、佐々木朗との令和の名勝負に挑む。【石橋隆雄】
◆阪神8番小幡竜平内野手が効果的なチャンスメークで2得点を決めた。 3回は先頭で四球を選び、1番近本の適時二塁打で先制のホームイン。5回は再び先頭で二塁強襲の安打を放つと、1死二塁から近本の中飛で三塁を陥れ、2番中野の適時二塁打で3点目のホームを踏んだ。 14日に今季初昇格した20歳の奮闘に、矢野監督は「竜平が出てくれたのも大きい」とたたえた。
◆途中出場の阪神江越大賀外野手が、"晴れのち雨"のパフォーマンスでハラハラの終盤を演出してしまった。 2点リードの8回に一塁走者大山に代わって代走で出場。サンズの1球目に悠々と二盗を成功させたが、たたみかけようと狙った三盗を失敗した。左翼に就いた9回守備では、2死からマーティンの打球を後逸。続く中村の左前打で二塁走者マーティンが生還した。 ヒヤヒヤの逃げ切り勝ちで、ホッとひと息だっただろう。
◆阪神秋山拓巳投手(30)が、強力ロッテ打線を手玉に取った。「カーブとフォークが良かったですし。自信を持ってピッチングができました」。今季最長の8回3安打1失点で今季4勝目。4試合連続の無四球と、抜群のコントロールが光った。 初回は8球連続直球を投げ込むなど、球威で押し込み3者凡退。山なりのカーブで見逃しを奪い、鋭く落ちるフォークにバットは次々に空を切った。7回まで許した安打は、味方がお見合いした2回のレアードの打球のみ。リズミカルに「0」が並んだ。 3点リードの8回に藤岡に左前適時打を浴び、なおも1死一塁。迎えた代打井上を、カットボールで遊ゴロ併殺に仕留めた。次打者に控えていたのは、対戦を心待ちにしていた鳥谷。「次に鳥谷さんがいるのは分かっていた。対戦はできなかったんですけど、しっかり1点で切れたのは良かったです」。打席での再会は持ち越しとなったが、狙い通りの投球で勝利を呼び込んだ。 白星を積み重ねたいモチベーションがある。親交のあるEXILEのATSUSHIがYouTube内で、2年連続2ケタ勝利なら秋山のテーマ曲を作ると発表した。今季の登場曲にはATSUSHIの「MAKE A MIRACLE」を流し、前回から打席時にもEXILEの「もっと強く」を使用。トップアーティストのおとこ気に応えるように、この日は2度の犠打をきっちり決めて得点につなげた。登板前日もこつこつ続けたバント練習はもちろん、名曲の響きもきっと後押ししたはずだ。 矢野監督は「球の力もキレもありながら、緩急、両サイド、すべてを使った投球が、横から見ていてもできているなという感じはあった。リュウ(梅野)もうまく引き出せたと思う」と、安心して投球を見守った。2ケタ勝利まであと6勝...。最高のプレゼントを目指して、秋山はもっと強くなる。【磯綾乃】
◆阪神の新1、2番コンビが全3打点を挙げる活躍で、怪物撃ちに弾みをつけた。 3回に近本光司外野手(26)の適時打で先制すると、中野拓夢内野手(24)も追加点の犠飛。5回にも中野の適時打で中押しした。8番小幡竜平内野手(20)も得点の起点となり、虎の「オバ・チカ・ナカ」が快勝を演出。27日に先発してくる注目の163キロ右腕、佐々木朗希投手(19)撃ちで、波乗り首位固めといきたい。矢野阪神の新1、2番コンビが、3回の先制劇を演出した。まずは1番近本だ。1死二塁。岩下の初球148キロを振り抜くと、左翼角中の頭上をはるかに越えた。前日の逆転負けのショックを振り払うかのような、鮮やかな先制二塁打だ。 近本 どんな形でも、ランナーをかえすという意識を持っていた。ストレートをしっかりセンターにかえそうと思って、ボールに対してコンタクトできた。 前日25日には、母校の関学大が関西学生リーグで13年秋以来のリーグ優勝。自らは大学4年間で届かなかった栄冠に「関学硬式野球部が勝ってくれて、自分としても本当にうれしい」。後輩たちの活躍を刺激に、リードオフマンの仕事を果たした。5月は打率3割7分9厘。開幕時の不調がうそのように打ちまくる。 そんな好調男に、2番中野が続く。3回は近本を三塁に置いて左犠飛。定位置より前の打球も、先輩は迷いなく本塁へ突入した。「浅い外野フライでしたが、近本さんに救われました」。5回には近本の中飛で2死三塁とチャンスを拡大し、中野がバットを折りながら右前へ運んだ。「チャンスで回ってきたので、しっかり生かしたいなと。食らいついて行けた」。右翼マーティンの処理が遅れる間に二塁へ。隙のない走塁も"2番向き"だ。クリーンアップが無安打に終わったが近本、中野のコンビが打って走って、交流戦1勝目を呼び込んだ。 19日に糸原が下肢のコンディショニング不良で出場選手登録を抹消されてから「2番中野」は3試合目。矢野監督は「技術的にはしっかり通用するというものも評価している」とうなずく。 矢野監督 1個の四球とか1個の出塁とか、そういうところから崩せていけるような野球というのがうちの野球なんで。そういう野球をまたやっていけたら。 27日はいよいよ、ロッテ佐々木朗と対決する。好調阪神打線VS最速163キロの怪物右腕。指揮官は「全力で佐々木君に向かっていって、チーム全員で点を取りにいきたい」と気合を入れた。佐々木朗を打ってカード勝ち越しを決めれば、チームもますます勢いづく。虎の新たな1、2番コンビが、その出足を狙う。【中野椋】
◆ロッテ鳥谷敬内野手の2試合連続安打はならなかった。 7回裏の三塁守備から、3年ぶりに甲子園の三塁守備に就くと連日の大歓声。巡ってきた9回先頭でスアレスと対峙(たいじ)した。3ボールから2球見逃しのあと、150キロ台後半の真っすぐに食らいついてファウル2連発。最後は160キロをたたき、高いバウンドの遊ゴロに全力疾走した。 前日は逆転につながる代打タイムリー。阪神ファンはこの日も元スターの奮闘を大きな拍手でたたえていた。
◆阪神の新1、2番が全3打点を挙げる活躍で、怪物撃ちに弾みをつけた。「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦で3回、近本光司外野手(26)の適時打で先制すると中野拓夢内野手(24)も追加点の犠飛。5回にも中野の適時打で中押しした。8番小幡竜平内野手(20)も得点の起点となり、「オバ・チカ・ナカ」が前日のリベンジを演出。27日に対戦する注目の163キロ右腕、佐々木朗希投手(19)撃ちで波乗り首位固めといきたい。虎党の拍手の中、近本がベンチ前で左手を上げ待っていた。中野がヘルメットのつばを触り、それに応える。3回1死三塁。中野の飛球は定位置より前だったが、走者近本は本塁へ突入。滑り込むことなく2点目のホームを踏んだ。「浅い外野フライでしたが、近本さんに救われました」。中野は先輩に感謝した。 その直前、近本がバットで魅せていた。3回1死二塁。「どんな形でも、ランナーをかえすという意識を持っていた。ストレートをしっかりセンターに返そうと思って、ボールに対してコンタクトできた」。岩下の148キロを振り抜き、左翼越えの先制二塁打を決めていた。 新2番も続く。5回2死三塁。中野はバットを折りながら右前へ運んだ。「チャンスで回ってきたので、しっかり生かしたいなと。食らいついていけた」。右翼マーティンの処理が遅れる間に二塁へ。隙のない走塁も"2番向き"だ。 この日、近本にはエネルギー源があった。前日25日、母校の関学大が関西学生リーグで13年秋以来のリーグ優勝。自身は大学4年間届かなかった栄冠に「本当にうれしい」。後輩たちの活躍も刺激に、5月は打率3割7分9厘。開幕時の不調がうそのようだ。 一方の中野は今季4試合目の2番起用。19日に糸原が下肢のコンディショニング不良で出場選手登録を抹消されたが、不動の2番の穴を埋める活躍を見せている。矢野監督も「技術的にはしっかり通用するというものも評価している」と納得顔だ。 クリーンアップが無安打でも"チカナカ"コンビが、打って走って前夜のリベンジを果たす交流戦1勝目。さあ、27日はロッテ佐々木朗との初対決だ。 矢野監督 甲子園で佐々木君を見るというのは、タイミングが合わないとないことなんで、僕自身楽しみ。全力で向かっていって、チーム全員で点をたくさん取りにいきたい。 好調阪神打線VS最速163キロ右腕。佐々木朗を打ってカード勝ち越しを決めれば、チームもますます勢いづく。虎の新たな1、2番コンビが、初回に牙をむく。【中野椋】
◆27日の阪神戦(甲子園)に先発でプロ2度目の登板を果たすロッテ・佐々木朗希投手(19)が、練習後に会見し「しっかり投げられるレベルまで回復できている。頑張りたいなと思います」とプロ初勝利へ意欲を口にした。 前回のプロ初登板は5月16日の西武戦(ZOZOマリン)。5回を6安打4失点で、勝ち負けはつかなかった。今回は中10日のマウンド。阪神打線について「パワーヒッターが多い印象なので、長打に気をつけながらしっかりコントロールを意識しながら投げたい」と猛虎打線を警戒した。 26日の試合前は、外野で軽いキャッチボールなどを行った。
◆阪神は三回に近本の左越え適時二塁打と、D6位・中野(三菱自動車岡崎)の左犠飛が出て2点を先制した。 セ・リーグの首位で迎えた交流戦。25日の開幕ゲームは、まさかの逆転負けで落としただけに、何としても取り返したい一戦だった。 0-0の三回に先頭の小幡がストレートの四球を選ぶと、続く秋山が犠打を決め1死二塁に。続く近本が岩下の初球148キロを鮮やかにとらえ、左越えへ運んだ。この回わずか6球目での鮮やかな先制劇を、近本は「チャンスだったので、どんな形でもランナーをかえすという意識を持って打ちました」と振り返った。 さらに中野も、暴投で三進した近本をすぐさま左犠飛で生還させ「浅い外野フライでしたが近本さんに救われました」と手をたたいた。 阪神はこの試合までの43試合で、打順が2巡目に差しかかることが多い三回に最も得点を奪っており、この日の2点で計37点となった(2番目に多いのが一、四回の28得点)。なかなか対戦しない投手との対戦が多い交流戦でも、2打席目以降に一丸で対応していく姿勢を見せつけた。
◆ロッテ・横山陸人投手(19)が六回にプロ初登板を果たし、1回を1安打無失点に抑えた。 専大松戸高(千葉)から2020年ドラフト4位で入団した2年目の横手右腕。0-3の六回から登板して先頭の大山を捕邪飛、サンズを中飛に打ち取った。ルーキー佐藤輝に右中間二塁打を浴びてプロ初被安打を喫したが、梅野を一ゴロに抑えて上々のデビュー戦だった。 5月22日に待望のプロ初昇格。イースタン・リーグでは中継ぎで11試合に登板し、1勝0敗で防御率0・00と好投を続けていた。速球は最速148キロをマーク。スライダー、チェンジアップなどの変化球も駆使し、今後に期待を抱かせる15球だった。
◆ロッテ・鳥谷敬内野手(39)が、七回の守備から出場。「三塁・鳥谷」のアナウンスに、7115人の観衆から声援が沸き起こった。 前日25日は代打で出場し、甲子園で611日ぶりの安打で今季初打点をマークしていた。聖地を大歓声に包んでいた。タテジマのユニホームで16年間プレーし、愛着の深い甲子園を、この日も鳥谷が沸かした。
◆阪神はロッテの終盤の追い上げを交わして、接戦をものにした。 三回、先頭の小幡が四球で出塁し、秋山の犠打で1死二塁。好機を作り、近本の左中間適時二塁打で先制した。その後、岩下の暴投で1死三塁とし、D6位・中野(三菱自動車岡崎)の左犠飛で1点を追加した。 五回にも2死三塁から中野が右翼線へ適時二塁打を放った。先発の秋山は8回を3安打6奪三振1失点にまとめ、今季4勝目(2敗)。3─1の九回に登板したスアレスが味方の失策なども絡んで1点を失うが、14セーブ目を挙げ、1点リードを守り切った。
◆声援と浜風に押された白球が外野芝生に弾んだ。前夜の悪夢を振り払う阪神・近本の先制パンチ。スーパームーンが早々と隠れてしまう曇り空の下、グラウンドで虎の韋駄天が光った。 「チャンスの場面だったので、どんな形でもランナーをかえすという意識を持って打った」 三回、先頭の小幡が四球を選び、秋山が犠打でつないだ。理想的な形で作った1死二塁の先制機で打席に向かった。その初球、岩下の148キロに快音を響かせると、打球は左翼手・角中の頭上を越えた。快足を飛ばし、悠々二塁に到達だ。 続く中野の4球目に、暴投で三進。浅い左飛にも迷わずスタートを切った。盗塁王の足をもってすれば、スライディングはいらない。ベースを駆け抜けて2点目のホームを踏んだ。 25日はリードしながらも、八回に勝ちパターンの岩崎が打ち込まれ逆転負け。2年ぶりに幕を開けた交流戦は鉄壁のリリーフ陣が崩壊する悪夢のスタートとなった。チーム内に漂う嫌な流れ。そんな見えない敵を近本がバットと足で吹き飛ばした。 この日の試合前の時点で、5月の月間打率・389と好調なリードオフマンにチャンスでつなぐ。下位打線が再び奮闘する。2-0の五回、またも先頭の小幡が二塁強襲の内野安打で出塁。秋山はこの日2度目の犠打で1死二塁と、三回と同じ形で近本に打席が巡ってきた。 再び初球をたたいたが、白球は惜しくも中堅手のグラブへ。それでも、2死三塁から、D6位・中野(三菱自動車岡崎)が「追加点も欲しかったですし、いいところに落ちてくれてよかった」としぶとく右前に運ぶ二塁打で貴重な1点をもぎ取った。 マルテ、大山、サンズのクリーンアップに、D1位・佐藤輝(近大)が続く超重量打線だけではない。下位からもチャンスを作って得点できる。切れ目ないつながりが、今年の猛虎打線の強みだ。(原田遼太郎)
◆圧巻の投球だった。阪神・秋山が、逆転負けした前日の嫌なムードを断ち切った。持ち前の緩急を使った投球と抜群の制球力を披露。試合前の時点で、12球団トップの120得点を誇る強力打線を完璧に封じ込めた。 「打撃のいいチーム。先頭打者を、しっかり斬っていけば、大事故にはならないと思うので、頑張りたい」 ロッテ打線のビデオ映像をチェックした右腕は力を込めた。25日の試合前練習中には、2019年まで同僚だった鳥谷とグラウンドで再会すると「(対戦が)楽しみです」と話していた。 だが、試合が始まれば敵。初戦は鳥谷の適時打で、相手に流れが傾き、阪神は逆転負けを喫した。チームに勢いをもたらすために「ストライク先行で、テンポよく投げたい」と語っていた。ロッテの強力打線に付け入る隙を与えなかった。 一回は三者凡退スタート。前日に逆転2ランを放ったマーティンを141キロの直球で中飛に抑えた。二回、1死からレアードに左前へポトリと落とされる安打と暴投で1死二塁とされたが、角中をフォークで空振り三振、続く藤岡をカットボールで左飛に仕留めてペースをつかんだ。 三回以降は、100キロ前後のカーブとフォークを巧みに織り交ぜて、タイミングを狂わす。相手打者が140キロの直球に振り遅れていた。 五回無死一塁では送りバントを決めて、近本のタイムリーをおぜん立てした。「あまりバントはうまくない中で、毎日しっかりと練習しているので。なんとかバントは決めることができてよかったです」。九回はスアレスにマウンドを譲ったが、8回3安打1失点、無四球の安定感で4勝目を手にした。 お立ち台でのヒーローインタビューでは「本当にチームは優勝に向かって一戦一戦、頑張っているんで、そのピースになれるように一戦一戦頑張っていきたいと思います」と強い意気込みを語った。(三木建次)
◆阪神は秋山拓巳投手(30)が8回1失点の好投で4勝目を挙げた。試合後の矢野耀大監督(52)の一問一答は以下の通り。 (テレビインタビュー) ーー最後はドキドキ 「そうですね。ちょっと嫌な展開になりましたけど、もうスアちゃんに任せたところなので、やってくれると思っていました」 --本来の戦いができる 「連敗すると嫌なムードになりますし、今日取れたのは落ち着く、そういう1勝になったのかなと思います」 --秋山の出来が一番 「アキが丁寧に、またリュウ(梅野)もね、意識させる構えであったり、リードをしっかりしてくれたんで。バッテリーがしっかり投げてくれたのが大きいですね」 ーーああいう投球はリードする側も冥利に尽きる 「そうですね。コントロールだったり、球の切れはアキの持ち味なんで、キャッチャーのやりがい、おもしろさがある投手なんで。2人で十分、発揮してくれと思います」 ーー1、2番コンビが光った 「その前に(8番の小幡)竜平が出て、秋山が送ってくれている。いい流れで1、2番でかえせた。ヒットは多く出なかったですけど、無駄のないいい攻撃ができたかなと思います」ーークリーンアップがノーヒットでも勝ちきった「そういうところでは明日が中心バッターで点を取ってくれるといいですけど」ーー27日は佐々木朗と対戦「甲子園で佐々木君を見るのはタイミングが合わないとないことなんで、僕自身楽しみにしていますし。対戦するんで、全力で向かっていって、チーム全員で点をたくさん取りにいきたいなと思います」ーー交流戦でパ・リーグは手ごわい「まだ2戦なんで分からないですけど、総合力的にはロッテも十分な力を持っているチームだなというのは確認できましたし、もっと強いチームがたくさんあるんで、タイガースらしい野球をやりきっていきます」ーー明日も「はい、精いっぱい戦います」(記者の囲み取材)ーー秋山が見事な投球「球の力も切れもありながら、緩急、両サイド、すべてを使った投球が横から見ていてもできているなという感じはあったし、安心して見ていられたし。リュウ(梅野)もうまく引き出せたと思う」ーーこの2戦は対戦が少ない投手でも2回り目でつかまえた「つかまえたっていう程ではないかもしれないけど。無駄のない攻撃はできたんでね。浅いフライでもチカ(近本)の足で帰ってこれた(三回に先制後、中野の左犠飛で本塁から生還)っていうのも、繋がりがあったと思うので。1個の四球とか、1個の出塁から崩せていけるような野球がうちの野球なんで。そういう野球をまたやっていけたらなと思います」ーー糸原が抜けてから中野が2番に。しぶとさが出た「1年目やからね。これだけ試合に出ていたら体の疲れもあるし、そこらへんの大変さを感じているところやと思うけど。技術的には通用するのも評価もしているし、あいつ自身もやれると思っていると思うし。そういうところを今、経験している途中なんで」
◆ロッテは岩下が踏ん張れなかった。5回3失点で4月22日以来の3敗目。「先に点を与えてしまうと投げるイニングも短くなる。要所で粘りたかった」と悔やんだ。 先頭の8番小幡に四球を与えた三回に近本の適時二塁打などで2点を先制された。五回も小幡の安打からピンチを招き、2死までこぎつけてから中野に適時二塁打。中軸を抑えたものの脇役に攻略を許した。六回に代打を送られ、70球で降板した。
◆秋山は完璧な投球内容だった。一回は真っすぐで押した。二回は一転して変化球を見せた。打者が一巡する四回からは緩急をつけた。試合前のロッテのミーティングでは、この配球はなかったのではないか。 一回、梅野は秋山の真っすぐの切れに気づいたはず。象徴的なシーンは25日の試合で逆転本塁打を放ったマーティンの打席だ。初球から4球連続で真っすぐで押し、最後は中飛に仕留めた。 ただ、真っすぐだけでは長いイニングはこなせない。二回からは変化球をまぜた。中盤からはカーブ、フォークを交えて、最後までロッテ打線に的を絞らせなかった。試合全体をとらえた梅野の的確な見極めに秋山が応えた鮮やかな共同作業だったと思う。 また秋山は三回、五回に無死一塁から犠打を決めて、それが得点に結びついた。自分自身で流れを作ったことも評価したい。またチーム全体に、いい影響を与えた。ここまで阪神が成績を残せている要因は「やれることをやって点を取る」。その積み重ねだった。今までの歩み通りの試合運びだった。(本紙専属評論家)
◆打線が先発・秋山に対し、七回まで1安打と沈黙。九回に1点を返して一打同点まで追い詰めたが、2死二塁で代打・エチェバリアが中飛に倒れて敗れた。千葉・専大松戸高から入団2年目のロッテ・横山は六回にプロ初登板し、1回を1安打無失点。最速153キロを誇る横手投げ右腕は「いい経験になった。勝ちパターンで投げさせてもらえる投手を目指します」と初々しく抱負を口にした。
◆フェアグラウンドの90度を目いっぱいに使い、見せつけた。次代の虎の遊撃は誰にも渡さない。先制の直後の2点目、何としても欲しかった3点目をしぶとく生み出したのは、D6位・中野(三菱自動車岡崎)だ。 「なんとかチャンスで回ってきたので、そのチャンスをしっかり生かしたいなと思って。食らいついていけてよかった」 先制二塁打を放った近本が、暴投で三進。三回1死三塁で、まずは左翼線へきっちり犠飛を上げた。4日のヤクルト戦(神宮)でのプロ初本塁打以来、13試合ぶりの打点だった。 2-0のまま迎えた五回は、2死三塁で右翼線へ適時二塁打を放ち2打点目。2球で追い込まれたが、フルカウントからの8球目を、バットを折られながらとらえた。糸原が足の張りで19日に抹消となって以降、4試合連続で2番に座る。そこまでには5試合連続無安打という苦しいときも過ごしたが、ここぞで1安打2打点と躍動だ。 二回1死でレアードが打ち上げた遊撃後方への飛球は、落下直前で左翼のサンズに譲って左前打としてしまった。矢野監督も「あのフライはちょっとお粗末やったけど」と苦言を呈しつつ、「それでも総合的には使っていきたいなというのを見せてくれている」と高く評価している。「打ち取った打球をしっかりアウトにできるようにやっていきたい」と中野自身も猛省しているように、信頼される遊撃手となるためには、進化を続けていかなくてはならない。 入団直後から「鳥谷さんのようになりたいという思いで入ってきた」と臆することなく公言してきた。そして、三塁側から鳥谷が見つめるゲームで、こうしてタテジマを着て遊撃に立っている。 「目の前でいいプレーをすることで覚えてもらえる。あした(27日)も見てもらえる機会があるので、いいプレーを見てもらいたいと思います」 打って守れて信頼されていた、あの背中を追いかけて。中野は遊撃を絶対に誰にも譲らない。(長友孝輔)
◆D1位・佐藤輝(近大)は2安打と躍動。打撃の感覚の部分に修正を加え、今季13度目のマルチ安打をマークした。 「ちょっと良くなってきたかなと思います」 パワーピッチを繰り出すロッテ・岩下に対し、まずは二回2死でチーム初安打となる右前打。バットを折られながら、3戦ぶりにHランプを灯した。さらに六回は右中間を破る二塁打。15日の巨人戦(東京ドーム)以来の複数安打につなげた。 27日は佐々木朗と対戦する。163キロ右腕について「いい投手というのは分かってますけど、やることは変わらず、自分のするべきことをするだけ」と冷静に話しつつ「より注目が高くなると思うのでしっかり打てるように頑張ります」と力を込めた。注目の対決を制し、どちらが令和の怪物か証明する。
◆オッシャー! マウンドで何度もほえた。秋山が今季最長の8回106球を投げて3安打1失点。無四球の好投で、今季4勝目。前日の逆転負けの悪夢を振り払い、交流戦初星を呼び込んだ。 「個人的に、きのうの負け方が嫌だなと思っていたので、とにかく先発の役目を果たしていこうと。勝つことができてよかった」 前日は1点リードの八回にセットアッパーの岩崎が逆転2ランを浴びた。六回終了時にリードしていれば勝つという神話は21連勝で崩れ「負の連鎖にならないように、というのは気をつけていた」という。二回1死からレアードに左前に落とされたが、三回以降は100キロ前後のカーブとフォークを巧みに織り交ぜ、準完全試合をも予感させる投球だった。 3-0で迎えた八回、1死二塁から藤岡に左前適時打を許し、今季初完封はならなかったが「自分の役目を果たせた」と納得の表情だった。 燃える材料があった。親交のあった人気ダンス&ボーカルグループ「EXILE」のATSUSHIが、自身のYouTubeで「今年も2桁勝利を挙げたらアッキャマン(秋山)に登場曲を作る」と発言。それから初のマウンドだった。12球団トップの222得点(26日現在)を誇るロッテ打線を相手に張り切らないわけがなかった。 矢野監督は「(岩崎)優もリベンジで(マウンドに)いくつもりでいたと思うけど。嫌な負け方した後に(秋山が)、しっかり投げてくれた。チームにリズムを作ってくれて、1勝よりも、大きな価値がある1勝にしてくれたかな」とたたえた。 秋山は「チームは優勝に向かって頑張っている。そのピースになれるように一戦一戦頑張っていきたいと思う」と約束した。16年ぶりの優勝はもちろん、2年連続3度目の2桁勝利へ。チームの危機を救った右腕は、お立ち台で胸を張った。(三木建次)
◆虎にツキを呼ぶ! 「日本生命セ・パ交流戦」で阪神はロッテに3-2で勝利。交流戦今季初勝利を挙げた。2年前にこのシリーズで苦しんだ近本光司外野手(26)が先制のV打。全国各地で24年ぶりに「スーパームーン&皆既月食」が観測されたメモリアルデーで虎党を喜ばせた。さぁ、優勝へ突き進む! まばゆい光を放った。あいにくの曇り空で、甲子園でスーパームーンは見られなくとも、近本がそれに匹敵する働きをみせてくれた。ルーキーイヤーにたたきのめされた交流戦。今年は違う。月の代わりに夜空を彩った白球が、虎に交流戦の今季初白星をもたらした。 「ストレートがいい投手だったので、そのストレートをしっかりセンターにはじき返すという意識で、ボールにコンタクトできた。いい打球が打ててよかったです」 三回、先頭の小幡が四球を選び、秋山が犠打と理想的な形で作った1死二塁の先制機。近本は、星稜高3年以来の甲子園だった7年目右腕・岩下の148キロ直球を狙いすました。打球は浜風にも押され、左翼手・角中の頭上を越えた。適時二塁打で先制パンチを食らわせると、今度は自慢の足で魅せた。 続く中野の4球目に、暴投で三進。浅い左飛にも迷わずスタートを切った。盗塁王の足をもってすれば、スライディングはいらない。ホームベースを駆け抜けて2点目。バットで足で、勝利をグッと手繰り寄せた。 2年前に受けた屈辱を忘れはしない。ルーキーイヤーだった2019年の交流戦。近本は規定打席到達者70人のうち、68番目の打率・165(79打数13安打)と大ブレーキ。パ・リーグの猛者相手にプロの洗礼を浴びせられた。 「パ・リーグの投手ってストレートで押してくる、ストレートが強くて持ち味の投手が多い。1年目のときもストレートに負けているというのが多かったので、ストレートに対して入っていけるよう意識している」 あのとき、完膚なきまでにたたきのめされたからこそ、自分に足りないものに気づくことができた。もう、ストレートに打ち負ける近本はいない。2年前に苦しんだパ・リーグの直球を完璧にはじき返したことが3年目の進化の証しだった。 リードオフマンの活躍で交流戦今季初白星。下位でチャンスを作り、上位がかえす。そつがない攻撃に矢野監督も「ヒットは多く出なかったけど無駄のない攻撃ができた。小さな糸口からきょうみたいな攻撃ができると、勝ちにつながる」とうなずく。貯金は再び今季最多の16。1勝1敗で迎えるロッテとの最終戦へ、近本が力を込めた。 「最後、3つ目は本当に大事な試合になりますし、最初のカードをしっかり勝ち越して、交流戦、いい流れで入っていけるように頑張りたいと思います」 地球に月が最も近づくスーパームーンと皆既月食が合わさるのは1997年以来、24年ぶりだった。当時、虎は暗黒時代。それが今や常勝軍団に変わった。2位巨人とは3・5ゲーム差。ここから突き放す。虎のスピードスターが、6月もスーパーな月にする。(原田遼太郎)
◆天体ショーは生で見られなかったけど、ハラハラドキドキを楽しめたからいいか。『本日天気晴朗ナレドモ浪高シ』のような表現(古いなあ)をするなら、甲子園球場の空は「浜風穏やかナレドモ雲多シ」でした。 「月はまったく見えません。空全体が曇っています。残念です」 トラ番キャップ・長友孝輔です。2012年5月21日の金環日食の際はコンビニで太陽を観賞するためのオペラグラスを買い、流星群が降る夜には芝生に寝転ぶ天体観測好きのキャップは、24年ぶりのスーパームーンの皆既月食を楽しみにしていました。晴れていれば午後6時過ぎから月が徐々に欠け始め、午後8時11分から15分間、全体が隠れる様子が見られるはずだったのです。 ただ、試合が佳境に入る時間が月食のハイライトでしたので、グラウンドを見たり空を見上げたりで大変だったはず。東日本は晴れているから、仕事の後にテレビのニュースでゆっくり楽しもうや。そう言って慰め合っていたら、月ではなく、直径約73ミリ、円周約23センチのボールが、鋭くグラウンドを飛び交ってくれました。 小幡が、近本が、中野が打って走って二回に2点。四回に1点。主軸が打てない日も阪神打線はつながりがあります。 「最近は勝ったり負けたりやけど、そこがすごいと思う。チーム状態が下降線のときでも〇×〇×〇×なんやから。俺は月食とかには興味がある方じゃないけど、今年の阪神もそうなんちゃう」 またヘンなことを言っている。ビヤ樽編集委員・三木建次です。前日(25日)のロッテ第1戦が●3-5。その前は、広島のコロナ感染での3連戦中止と20日のヤクルト戦の降雨中止をはさんで、19日のヤクルト戦が〇3-1、18日が●3-14。その前の巨人3連戦は16日から順にさかのぼって〇6-5、●3-5、〇2-1。しばらくいい感じは続いていないなあとは思っていましたが、よく考えたら連敗はしていません。 「うん、月食(●)が今年は続かない」 あ、それが言いたかったのか。話す相手を代えよう。 「先輩がいつも心配して聞いてくる佐藤輝選手は、きょうは打撃練習で柵越え5本でした。調子が落ちているわけじゃありません。きのうも三回のライトフライは風がなかったら入っていたと思います。そのうち出ますよ」 逆転負けの翌日でも、若手のトラ番・原田遼太郎も落ち着いていました。しかし、この日は実はドタバタもあったのです。山本が虫垂炎で登録抹消。木浪が急きょ2軍から昇格したのですが、予期せぬ事態だったので、木浪は午後1時からのタマホーム筑後でのソフトバンクとの2軍戦に「1番・遊撃」でフル出場していました。 「きょうも4打数2安打です。2軍降格後、打率4割5分と絶好調です。ただ、ナイターに間に合うんでしょうか」 福岡・筑後市からは九州新幹線と山陽新幹線をうまく乗り継いでも3時間かかります。 「球場に来るのは試合の終盤でしょうね。総力戦とかになっていなければいいですけど」 早くても月食と同じくらいの時間か...。これも心配無用でした。秋山が七回までを零封。八回に1点を失いましたが、九回はスアレスが1点は取られたもののなんとか逃げ切っています。最後はひやひやしたけれど、今年は本当に強い。〝月食〟は続きません。あれ? これ、誰か言うてたような気が...。
◆七回まで阪神先発の秋山が変幻自在に緩急を操り、ロッテ打線をわずか1安打で♪楽勝♪楽勝と浮かれていたら...。その裏一死1塁から、近本のセンターへ抜けるゴロを中村奨がダイビングキャッチ&高速グラブトスでゲッツーにしとめるスーパームーン超えの超美技を演じたのだ!! そーなんですよ...。プロ野球の神様ってこういうのが出ると途端に寝返るんです!! 八回藤岡のタイムリーが出て、九回虎の守護神スアレスから中村奨が1点差に詰め寄るタイムリー...。さらにワイルドピッチもあり、一打同点のヒヤヒヤ~。皆既月食の月みたいに隠れたくなったわー!! と、最後まで苦しめられたけど、秋山の好投、伏兵中野の犠飛とタイムリーなどで逃げ切ったのは、ある意味強いチームになった証しなのだ!! さ、第3戦は噂の佐々木朗希が先発!! コロナを忘れさせるような好試合をみせてくれー!!
<交流戦順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
巨人 |
2 | 0 | 0 | 1.000 (-) | - (-) |
16 | 14 (+5) | 6 (+2) | 5 (+3) | 3 (-) |
0.371 (↓0.088) | 2.500 (↑1.5) |
1 (-) |
中日 |
2 | 0 | 0 | 1.000 (-) | 0 (-) |
16 | 6 (+4) | 3 (+3) | 1 (+1) | 1 (+1) |
0.311 (↑0.001) | 1.500 (↓1.5) |
3 (3↑) |
ORIX |
1 | 1 | 0 | 0.500 (↑0.5) | 1 (-) |
16 | 17 (+14) | 15 (+5) | 2 (+1) | 0 (-) |
0.354 (↑0.048) | 7.940 (↑3.31) |
3 (2↓) |
DeNA |
1 | 1 | 0 | 0.500 (↓0.5) | 1 (↓1) |
16 | 15 (+5) | 17 (+14) | 8 (+3) | 0 (-) |
0.300 (↓0.033) | 7.000 (↓4) |
3 (2↓) |
日本ハム |
1 | 1 | 0 | 0.500 (↓0.5) | 1 (↓1) |
16 | 7 (+3) | 6 (+4) | 1 (+1) | 3 (+3) |
0.200 (↓0.019) | 3.180 (↓1.18) |
3 (2↓) |
ロッテ |
1 | 1 | 0 | 0.500 (↓0.5) | 1 (↓1) |
16 | 7 (+2) | 6 (+3) | 1 (-) | 1 (-) |
0.246 (↓0.07) | 3.180 (↓0.18) |
3 (3↑) |
阪神 |
1 | 1 | 0 | 0.500 (↑0.5) | 1 (-) |
16 | 6 (+3) | 7 (+2) | 2 (-) | 2 (+1) |
0.203 (↓0.003) | 2.500 (↑1.5) |
3 (3↑) |
ヤクルト |
1 | 1 | 0 | 0.500 (↑0.5) | 1 (-) |
16 | 6 (+4) | 7 (+3) | 2 (+1) | 1 (+1) |
0.227 (↑0.098) | 3.500 (↑0.5) |
9 (3↓) |
ソフトバンク |
0 | 2 | 0 | 0.000 (-) | 2 (↓1) |
16 | 3 (+3) | 6 (+4) | 1 (+1) | 1 (-) |
0.242 (↑0.03) | 3.380 (↓1.13) |
9 (3↓) |
楽天 |
0 | 2 | 0 | 0.000 (-) | 2 (↓1) |
16 | 6 (+2) | 14 (+5) | 2 (+1) | 0 (-) |
0.234 (↓0.016) | 7.310 (↑1.69) |
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
29 | 13 | 2 | 0.690 (↑0.007) | - (-) |
99 | 197 (+3) | 146 (+2) | 47 (-) | 36 (+1) |
0.256 (↓0.001) | 3.150 (↑0.05) |
2 (-) |
巨人 |
25 | 16 | 7 | 0.610 (↑0.01) | 3.5 (-) |
95 | 204 (+5) | 169 (+2) | 61 (+3) | 35 (-) |
0.261 (-) | 3.320 (↑0.06) |
3 (-) |
ヤクルト |
21 | 17 | 7 | 0.553 (↑0.012) | 6 (-) |
98 | 189 (+4) | 180 (+3) | 42 (+1) | 26 (+1) |
0.245 (↑0.001) | 3.710 (↑0.02) |
4 (1↑) |
中日 |
18 | 22 | 7 | 0.450 (↑0.014) | 10 (-) |
96 | 131 (+4) | 138 (+3) | 19 (+1) | 23 (+1) |
0.239 (↑0.002) | 2.780 (-) |
5 (1↓) |
広島 |
16 | 20 | 5 | 0.444 (-) | 10 (↓0.5) |
102 | 131 (-) | 147 (-) | 26 (-) | 18 (-) |
0.255 (-) | 3.330 (-) |
6 (-) |
DeNA |
13 | 30 | 6 | 0.302 (↓0.008) | 16.5 (↓1) |
94 | 177 (+5) | 242 (+14) | 45 (+3) | 9 (-) |
0.239 (-) | 4.740 (↓0.13) |
<パ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
ソフトバンク |
24 | 19 | 7 | 0.558 (↓0.013) | - (-) |
93 | 213 (+3) | 179 (+4) | 41 (+1) | 37 (-) |
0.264 (↑0.001) | 3.390 (↓0.02) |
2 (-) |
楽天 |
23 | 19 | 8 | 0.548 (↓0.013) | 0.5 (-) |
93 | 194 (+2) | 185 (+5) | 39 (+1) | 21 (-) |
0.235 (↓0.001) | 3.530 (↓0.03) |
3 (-) |
ロッテ |
21 | 20 | 7 | 0.512 (↓0.013) | 2 (-) |
95 | 222 (+2) | 199 (+3) | 47 (-) | 35 (-) |
0.248 (↓0.002) | 3.930 (↑0.01) |
4 (-) |
西武 |
19 | 20 | 8 | 0.487 (-) | 3 (↑0.5) |
96 | 173 (-) | 182 (-) | 30 (-) | 49 (-) |
0.240 (-) | 3.810 (-) |
5 (-) |
ORIX |
19 | 23 | 7 | 0.452 (↑0.013) | 4.5 (↑1) |
94 | 192 (+14) | 201 (+5) | 49 (+1) | 14 (-) |
0.248 (↑0.004) | 3.780 (↓0.02) |
6 (-) |
日本ハム |
16 | 25 | 5 | 0.390 (↓0.01) | 7 (-) |
97 | 141 (+3) | 196 (+4) | 26 (+1) | 27 (+3) |
0.220 (↓0.001) | 3.920 (↓0.01) |
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