ヤクルト(★4対7☆)阪神 =リーグ戦10回戦(2020.08.21)・明治神宮野球場=
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阪神
04200001071012
ヤクルト
0200101004602
勝利投手:藤浪 晋太郎(1勝4敗0S)
(セーブ:スアレス(0勝0敗8S))
敗戦投手:吉田 大喜(1勝3敗0S)

本塁打
【阪神】ボーア(8号・3回表2ラン),ボーア(9号・8回表ソロ)
【ヤクルト】村上 宗隆(9号・5回裏ソロ),坂口 智隆(4号・7回裏ソロ)

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◆阪神は2回表、藤浪と近本の連続適時打などで一挙4点を先制する。その後は3回にボーアの2ラン、8回にもボーアがこの日2本目の本塁打となるソロを放ちリードを広げた。投げては、先発・藤浪が2年ぶりの白星。敗れたヤクルトは、先発・吉田大喜が6失点と誤算だった。

◆20日に頭部死球を受けたヤクルト村上宗隆内野手(20)が、全体練習に参加した。 ティー打撃とフリー打撃をこなした。高津監督は「様子は見ている。頭部なので、用心をして。あまり無理させないようにはする」と話した。 村上は、20日の中日戦(神宮)の6回無死一塁で、中日の3番手浜田の初球、変化球が後頭部を直撃した。7回の守備から交代してベンチに退いていた。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神の先発は藤浪晋太郎投手(26)。 今季5度目の先発マウンドで初勝利を目指す。前回14日の広島戦(京セラドーム大阪)は6回8安打6失点と乱れて4敗目。「5度目の正直」を期す。8月の月間打率が1割8分6厘、ノーアーチで14打席連続無安打中と苦しむジャスティン・ボーア内野手(32)は、来日初の7番に入った。

◆ヤクルトの今季開幕投手を務めた石川雅規投手(40)が、1軍の投手練習に合流した。キャッチボールやランニングで調整した。 上半身のコンディション不良のため7月15日出場選手登録を抹消となり、2軍で調整していた。イースタン・リーグでは3試合に先発(うち1試合は降雨コールドのためノーゲーム)。防御率は3・00だった。 25日からの巨人戦(神宮)3連戦で先発する見込み。

◆歴史的貧打に苦しんでいる阪神が、初回のチャンスで得点を入れられなかった。1回、先頭の近本が左翼フェンス直撃の二塁打で出塁。2番上本が送りバントを決めて1死三塁としたが、3番糸井はヤクルト内野陣が前進守備を敷いた中で、二ゴロ。4番サンズは中飛に終わった。 阪神は延長10回ドローだった16日広島戦の1回を最後に得点を刻めておらず、18~20日の巨人3連戦では3試合連続完封負け。今季ワーストを更新中の連続無得点イニングは「36」となり、この日の試合に入っていた。

◆試合前に、2019スワローズジュニアチーム優勝報告会と2020新チームお披露目が行われた。 昨年の12球団ジュニアトーナメントで優勝を飾った2019スワローズジュニアが、優勝トロフィーを持って登場。衣笠剛球団社長から記念品が贈られた。 また、今年の12球団ジュニアトーナメントに出場する新チームのメンバー16人も紹介された。メンバーを代表して古畑雄大選手が「必ず優勝して連覇を目指すので、応援お願いします」とあいさつ。 度会博文監督(48)は「2020年のスワローズジュニアが結成されました。昨年同様、チーム一丸となって連覇を目指して頑張ります」と意気込みを話し、スタンドからは大きな拍手が沸き起こっていた。

◆歴史的貧打に苦しんでいる阪神の4試合ぶり、38イニングぶりの得点が、復活勝利を目指す藤浪晋太郎投手(26)のバットから生まれた。 2回1死満塁で藤浪の打球はサード前のゴロに。これが内野安打となり、先制点を奪った。さらに近本が2点二塁打、上本の飛球で三走・藤浪が生還。この回、4点を挙げた。 2回は先頭大山が二塁打で出塁。梅野のバントは一時、三塁タッチアウトと判定されたが、矢野監督がリクエストを要求した結果、セーフとなり、好機をつかんでいた。 阪神は延長10回ドローだった16日広島戦の1回を最後に得点を刻めておらず、18~20日の巨人3連戦では3試合連続完封負け。連続無得点イニングは「36」でこの試合を迎え、初回のチャンスも無得点に終わっていた。

◆阪神にとって待望の1発が3回の攻撃で飛び出した。2死一塁で打席を迎えたのは、この日7番に打順が下がっていたジャスティン・ボーア内野手(32)。カウント1-1からの3球目を捉え、左中間スタンドに8号2ランを運んだ。 「打ったのはカットボール。チームにようやく点が入ったし、個人的にも追加点になるホームランを久しぶりに打てて良かったね。ファンの方々にも久しぶりにファイアボールを見せられて良かったよ」とコメントした。 ボーアはこの日の試合前の時点で8月の月間打率が1割8分6厘と不振に陥り、本塁打は7月28日ヤクルト戦第2打席で放って以降、出ていなかった。 実に21試合ぶり、83打席ぶりのアーチ。ホームイン後に恒例の「ファイアボール」ポーズも決めていた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(20)が9号ソロを放った。 2-6で迎えた5回1死、阪神の先発藤浪の2球目、外角へのスライダーにしっかり合わせ左翼スタンドへ運んだ。14日DeNA戦以来6試合ぶりのアーチにも表情は一切変えず、ベンチでのハイタッチも控えめだった。「逆らわずうまく打つことができました。いい角度で上がってくれました」とコメントした。 20日の中日戦で頭部死球を受け途中交代したが、「4番三塁」でスタメン出場し存在感を示した。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が7回途中4失点(自責は2)と粘り、692日ぶりの勝利投手の権利を持ってマウンドを降りた。 1回、先頭打者の坂口に死球を与えたが後続を抑えて無失点。4点の援護をもらった2回は、味方の失策も絡んで2点を失ったが、大崩れすることはなかった。特に外角低めに落ちていくフォークを中心に、奪った三振は6個。5回に4番村上に左翼へソロ、6回には坂口に右中間席へソロを許し、7回1死で青木に二塁打を許した場面で2番手岩崎にスイッチした。 打席では両軍無得点の2回1死満塁で、三塁への内野安打。チーム38イニングぶりの得点は藤浪のバットから生まれていた。このままリードを守ったまま勝利となれば、復活星&決勝打のおまけつき。約2年ぶりの勝利へ。あとは試合終了の瞬間を待つだけだ。

◆阪神にとって待望の1発が3回の攻撃で飛び出した。2死一塁で打席を迎えたのは、この日7番に打順が下がっていたジャスティン・ボーア内野手(32)。カウント1-1からの3球目を捉え、左中間スタンドに8号2ランを運んだ。 「打ったのはカットボール。チームにようやく点が入ったし、個人的にも追加点になるホームランを久しぶりに打てて良かったね。ファンの方々にも久しぶりにファイアボールを見せれて良かったよ」とコメントした。 ボーアはこの日の試合前の時点で8月の月間打率が1割8分6厘と不振に陥り、本塁打は7月28日ヤクルト戦第2打席で放って以降、出ていなかった。 実に21試合ぶり、83打席ぶりのアーチ。ホームイン後に恒例の「ファイアボール」ポーズも決めていた。 さらに8回の打席では低め変化球をすくい、右中間スタンドに9号ソロ。来日初の1試合2発を決めた。

◆阪神近本光司外野手(25)が8試合ぶりに猛打賞をマークした。 1回、先頭で迎えた第1打席は左翼フェンス直撃の二塁打。2回は1点を先制し、なおも1死満塁の好機で、一塁強襲の2点二塁打を放った。4回には二塁内野安打で、11日DeNA戦以来の1試合3安打とした。 近本は直前の2カード6試合で24打数3安打(打率1割2分5厘)と苦しんでいたが、3打席連続でHランプをともした。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が7回途中4失点(自責2)と粘り、692日ぶりの白星を手にした。 1回、先頭打者の坂口にはフォークが引っ掛かり死球を与えたが後続を抑えて無失点。4点の援護をもらった2回は、味方の失策も絡んで2点を失ったが、大崩れすることはなかった。特に外角低めに落ちていくフォークを中心に、奪った三振は6個。5回、7回にソロアーチを浴びたが最少失点で切り抜けた。 打席では両軍無得点の2回1死満塁で、三塁への内野安打。チーム38イニングぶりの得点は藤浪のバットから生まれていた。復活星&決勝打のおまけつきで、チーム連敗も3で止めた。 昨年の藤浪はプロ7年目で初めて未勝利に終わった。背水の覚悟で臨んだ今季は3月下旬、新型コロナウイルスに感染。5月下旬には練習への遅刻が理由で2軍降格となった。右胸の筋挫傷など試練を乗り越え、18年9月29日中日戦以来の白星。悩める右腕が長い、長いトンネルを抜け出した。 ▽阪神藤浪「やっと勝てたかという気持ちが一番強いです。苦しいことがあったり、辛いことも多かった。コツコツやるしかないと思って毎日練習してきた」

◆阪神は2回、藤浪と近本の適時打などで4点を先取。3回にボーア8号2ランで加点。ヤクルトは2回に2点を挙げた。 ヤクルト吉田喜は4回6失点で降板。2番手中尾が5、6回を無失点に抑えた。打線は5回に村上の9号ソロで1点を返した。 ヤクルトは7回、坂口の4号ソロで追い上げるも届かず、吉田喜が3敗目。阪神は連敗を3で止めた。藤浪が692日ぶりの白星。スアレスが8セーブ目。

◆ヤクルト坂口智隆外野手が、プロ入り後初となる2戦連発の4号ソロを放った。 3-6で迎えた7回先頭、阪神の先発藤浪の2球目、内角の150キロ直球をバックスクリーン横へ運んだ。7回に3番手大下が阪神打線を3者凡退に抑えた直後の打席での1発。「守備のリズムがよくなってきたので、なんとか反撃できるように出塁することを心がけていました。いいスイングができましたし、いい角度で上がってくれました」とコメントした。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が7回途中4失点(自責2)と粘り、692日ぶりの白星を手にした。主なヒーローインタビューは以下の通り。 -2年ぶり勝利おめでとうございます 「ありがとうございます」 -阪神ファンがこの日を待っていた 「2年間くらい勝てなかったので、すごく長かったなという気持ちと、今シーズンもなかなか勝てない投球が続いてたので、やっと勝てたかという気持ちが一番強いです」 -この2年間はどんな気持ちで 「苦しいことばかりだったように思いますし、つらいことが多かったですけど、こつこつやるしかないと思って、毎日毎日練習してきました」 -今季5試合目のマウンドだった 「勝ち星はもちろん欲しい気持ちはありますけど、そういう欲は持ちながら、そういう気持ちを抑えつつ、力まないように自然体で入ろうと思ってマウンドに上がりました」 -2回は1死満塁で適時打 「ラッキーだったと思いますね。打った瞬間は『やばい、ホームゲッツーだ』と思いましたけど。一生懸命走っていたし、一塁もセーフになったし、結果として、いいように動いた要因かなと思います」 -自身もチームも連敗もストップ。チームは上がっていくのでは 「そうですね。今日は自分のラッキーなヒットで点が入ったりもしたので、流れが変わると思いますし、あまりチームのことを言える立場じゃないですけど、いい流れになってくるんじゃないかなと思っています」 -次回への抱負 「今日もたくさんのファンの方々が応援してくださいましたし、こんな状況の中ででたくさんの方が応援してくれて励みになりますし、次の登板、1個勝って自分自身の流れも変わってくると思うので、しっかり勝てるように、長いイニング投げられるように、チームに貢献できるように頑張っていきます。応援よろしくお願いします」

◆ヤクルト村上宗隆内野手(20)は、チームトップとなる9号ソロを放つなどフル出場した。20日の中日戦で頭部死球を受け途中交代していたが、高津監督は「いろいろ検査もして、大丈夫だということだったので、普通に使いました。本人も元気で気にする様子もなかったので、大丈夫だと思う」と話した。 「4番・三塁手」でスタメン出場。2-6で迎えた5回1死、藤浪の2球目、外角へのスライダーにしっかり合わせ左翼スタンドへ。14日DeNA戦以来6試合ぶりの9号ソロを放った。

◆ヤクルトは阪神の先発藤浪を打ち崩せなかった。 4カード連続で初戦を落とし、5位に転落した。2回には捕逸と犠打野選で2点を返し、5、7回にはソロ本塁打で追い上げたが、あと1歩及ばず。高津監督は、藤浪について「やっぱり力がある。簡単には捉えられないボールを持っている。何回も対戦して、対策は練っていかないといけないが、簡単な投手ではない」と話した。

◆セットアッパーの阪神岩崎優投手が7回のピンチを防いだ。2点差に迫られ、1死二塁の場面でマウンドへ。 村上を左飛、エスコバーを詰まらせて二ゴロに抑えて流れを渡さなかった。「0点で抑えることができて良かったです」。8回表の攻撃では、昨年7月6日以来の打席に入ったが、その裏の先頭山崎に代打広岡が送られたため、ガンケルにスイッチ。2/3回を無安打無失点。14日に1軍復帰して以降では初ホールドとなる今季7ホールド目を挙げた。

◆大阪桐蔭・西谷浩一監督(50)も藤浪の692日ぶりの勝利を喜んだ。 「弱音を聞いたことはありませんが、焦って、もがいていたと思う。今日もいろいろな方に支えてもらって勝てた。身内なので陰ながら応援しています。ここを再スタートにしてほしいです」。 高校3年時に甲子園春夏連覇を達成し、プロ1年目に10勝。野球の王道を歩いてきたと周囲は見るが、3年間を見守った恩師の見立ては違う。「藤浪は不器用です。春夏連覇してエリート的に思われますが、努力して努力して、という子。どちらかというと1年目が順調に行きすぎていたように思います」。入学時のフォームも、きれいに整っていたものではない。主力投手が故障で投げられなくなった時、けがをしない藤浪にいつも出番が回ってきた。連投もいとわない丈夫な体が、結果的に偉業につながった。 今年の1月。例年のように母校を訪れた藤浪を中心に、温かな輪が出来た。「S...。びっくりした、ストライクって書いてあるのかと思ったわ!」。グラブに刺しゅうされた「SHINTARO」の文字を、大阪桐蔭のスタッフが「STRIKE」と読み間違え。何げない会話から笑いで包まれた。「藤浪はいじられキャラなんですよ」と同校の有友部長は話す。今まで見てきたのは、きっと藤浪のほんの一部。この日の1勝が「再スタート」になるはずだ。【磯綾乃】

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が7回途中4失点(自責2)と粘り、692日ぶりの白星を手にした。矢野燿大監督(51)にとってもうれしい勝利。矢野監督の試合後の主なコメントは以下の通り。 -藤浪が粘った。7回は投げ切ってほしかったか いやいや、あそこは代えてもよかったし。しっかり投げてくれたと思います。 -2回のピンチでは直球で押して持ち味も出た あそこもすごく(大きい)ね。ミスというか、そういう流れの中で、イヤな流れになってたし。点を取った後だったので。あいつが2点で頑張ってくれたのが、流れを向こうに持っていかせないところになったと思う。あとはソロホームランか。そういう形なんで。何よりも勝ちが付いたんで、晋太郎にとっても大きいし、チームにも大きいかなと。 -紆余(うよ)曲折あって、ここまでたどり着いた、どう見守っていたか マウンドで投げれるっていうのもどうなんだろうと思うときもあったし、晋太郎自身も、この1勝は「絶対戻るぞ」とか「絶対勝つぞ」と思いながらやってたと思うけど、その段階でいろいろあったと思うし。特に高校出てすぐ活躍した分ね。逆に苦しんだ部分もあったと思う。第2のスタートじゃないけど。その1勝になったと思う。数字が付くというのは前にいけるものになる。あいつ自身、いろいろな人に支えてもらっての1勝。晋太郎だけでは、この1勝はなかったと思う。逆に厳しいことを言われることも多かったと思うけど。よく、ここまで来たなと思う。でも、ここからがスタート。もちろん本人も満足していないと思う。今日も、あいつ自身の力で勝ったというところまでは来てないと思うのでね。あいつ自身が引っ張って、勝つようなピッチングをしてくれたら。 -2回の攻撃は思いが結果につながったような感じ あのボテボテの当たりでも、あいつが一生懸命に走っているし。振り逃げのところでも一塁までしっかり走りきっているし。ピッチャーでもそういう姿をしっかり見せている。チームとしてはみんな見ているんでね。そういう部分では神様も、もしかしたら味方してくれたのかなと思う。 -チームとしても2回に点が入ったのは もちろん(無死満塁から)聖也(木浪)がかえしてくれればよかったんだけど、流れ的には聖也が三振してピッチャーのところなんで。ゼロで終わってもおかしくないところで、ラッキーもあったけど。まあ、4点を取れたので。 -(2回梅野のバント後の)リクエストはタッチがあまく見えたのか 俺は(二塁走者だった)悠輔(大山)の姿を見たらタッチをされていないような感じやったんでいったんやけど。 -近本は形的にもよかったのでは。 チカ(近本)もジェリー(サンズ)も調子を落としていたので。そういうところで当たりが出た部分もあるし。打線全体としてはもっともっと上がってこないとダメなんで。今日勝って良かったなというのはもちろんあるんだけど、でも、もっともっとというところがあるかな。 -ボーアの打順を変更。結果が出た。きっかけにしてほしい 打順はそのときにいいと思ってやっていることなので、俺にも分からないけど。まあまあ、本人もいつも同じ打順で打つより、7番で打ったらもしかしたら悔しいと思ったかもしれないし、俺には分からないけれど、打順ってそういうのもあるのでね。ベストだと思うところを。 -岩崎から勝ちパターンで締められた スグル(岩崎)も別に右左大きく関係する投手でもないので、そんなにあまり気にしてないんだけど、ガンケルもしっかり投げてくれたのはチームとしても落ち着くし。スグルが帰ってきてくれたのはすごくチームとして大きい。サダ(岩貞)も状態、中でしっかりやってくれているので、中継ぎはだいぶ厚くなってきたと思う。打線が点を取ってしっかりやっていけば、いい戦いができると思う。

◆阪神守護神ロベルト・スアレス投手がリーグトップタイの8セーブ目を挙げた。 3点リードの9回に登板。2死から宮本に四球を与えたが、最後は青木を遊ゴロに抑えてゲームセット。最速158キロを計測するなど持ち味を発揮した右腕は「セーブ機会だったんで自分の仕事が出来るようにと思って頑張りました。この頑張りを続けていきたい」と振り返った。

◆阪神矢野燿大監督のリクエストも実った。 2回無死二塁で梅野がバントした場面。処理したヤクルト吉田喜は三塁に送球し、二走の大山はタッチアウトと1度はコールされた。だが、矢野監督がリプレー検証を要求し、セーフに。無死一、三塁となり、その後、チーム38イニングぶりの得点につながった。 矢野監督は「悠輔(大山)の姿を見たらタッチをされていないような感じだった」。7回途中からは継投も決まり「中継ぎは厚くなってきた。打線が点を取ってしっかりやっていけば、いい戦いができる」と話していた。

◆阪神近本光司外野手(25)にも快音が戻ってきた。1回、先頭での第1打席は左翼フェンス直撃の二塁打。この回は得点に結びつかなかったものの、ヤクルト先発の吉田喜にいきなり重圧をかけた。 2回は1点を先制し、なおも1死満塁の好機で打席が巡ってきて、初球変化球を捉えた。一塁強襲の2点二塁打。藤浪の復活勝利に向け、大きく後押しする一打を「打ったのはカーブ。初球から思い切って打ちにいくことができました」と振り返った。 安打ショーは止まらない。4回には二塁内野安打で、11日DeNA戦以来の猛打賞をマーク。さらに、9回にも中前打。7日広島戦以来、今季3度目の1試合4安打と打ちまくった。 直前の2カード6試合で24打数3安打(打率1割2分5厘)と苦しんでいたが、切り込み役のバットは再び上昇気配。反攻を期すチームにとっても何とも大きい4安打だった。

◆ヤクルト吉田大喜投手(23)は、4回を71球、6失点で3敗目を喫した。 1、2回と連続で先頭打者に二塁打を許す苦しい立ち上がりだった。2回は犠打野選や不運な当たりもあり、一気に4点を失った。 打線が2点を返した直後の3回には、ボーアに8号2ランを献上。時折クイックを交えるなど工夫もみせたが、持ち味の制球力を発揮できなかった。高津監督は「守備のところであったり、見えないミスがあって、不運な失点があったかもしれないけど、ストライク、ボールがはっきりしていたし、持ち味が出せなかった」と評した。 序盤にリードを許し、追いかける展開の試合を落とす流れが続いている。チームも連勝とはならず、指揮官は「先発が早い回に失点してしまって、追いかける試合が続いている。立ち上がり、序盤までにリードを奪って中盤、終盤を迎えるゲームがしたい。そこは先発投手に頑張ってほしい」と注文をつけた。

◆神宮で復活の花火を2発打ち上げた。阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)が、来日初の1試合2本塁打と大当たり。試合前まで14打席無安打&20試合ノーアーチと不振が続き、来日初の7番に降格した助っ人が汚名を返上した。 まずは3回の第2打席だ。2点リードの2回2死一塁。ヤクルト吉田喜の高め129キロカットボールをかち上げた。「ホームランを久しぶりに打てて良かったね」。7月28日のヤクルト戦で満塁弾を放って以来、実に83打席ぶりのアーチ。約1カ月ぶりの快音に興奮を抑えられず、普段は自軍ベンチ前で行う「ファイアボールポーズ」をダイヤモンド1周中に発動した。 B砲の勢いは止まらない。7回に藤浪がソロを浴び、再び2点差に迫られた8回の第4打席。1死走者なしで、3番手大下の外角低めフォークをすくい上げた。「コンパクトに後ろにつなぐバッティングをしたのが結果的にホームランになったよ」。高々とバットを突き上げ、ゆっくりと歩き出した。追いすがるヤクルトを振り払う1発。2発3打点で藤浪の復活劇に貢献した。 今月19日は最愛の息子、ジミー君の1歳の誕生日だった。ボーアは自身のインスタグラムに、ジミー君にキスをしている写真を投稿していたが、その日の巨人戦では4打数無安打。20日も3三振を含む無安打だった。テレビで応援する息子にかっこ悪い姿ばかりは見せられない。「ちょっと遅れてしまったけど、打ててよかったね」。豪快なアーチ2本は、ジミー君に送る2日遅れの誕生日プレゼントでもあった。 神宮は打率3割1分8厘、3本塁打8打点と打ちまくっている。「今日は通訳の栗山君がおいしい担々麺をお昼に食べさせてくれたので、調子の良さにつながっていると思うよ」と試合後も上機嫌。相性抜群の地から、B砲も復活する。【只松憲】 ▼阪神が2回に4点を取り、16日広島戦の2回から続いていた連続イニング無得点を37イニングで止めた。37イニング無得点は11年5月17~22日と並ぶ球団ワースト6位。11年は5月22日の西武戦の6回2死一、三塁から、一塁走者がディレードスチールを仕掛け、一、二塁間にはさまれる間に三塁走者がホームインして不名誉な記録を止めている。球団の連続イニング無得点は79年の43イニングが最長。

◆阪神3番手ジョー・ガンケル投手が安定の「3人斬り」だ。 8回に代打広岡を中飛に打ち取ると、続く田代を直球で三振。最後は代打川端を変化球で遊ゴロに仕留めた。中継ぎに転向した7月25日中日戦から11試合でわずか1失点。今季6ホールド目を記録した助っ人は「いいゲーム展開の中で3人で抑えることができて良かった」と冷静だった。

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が692日ぶりに白星を手にした。今季5度目の先発で、ヤクルト打線を7回途中4失点に抑えた。2回には自らのバットで先制点を挙げるなど投打で勝利への執念を見せた。あの時、藤浪がふと見せた寂しげな表情を忘れられずにいる。 いつ頃だったか、何げない雑談を交わしていた。有名人が少しでもスキを見せる度、SNSやインターネットを通して、不特定多数から一斉に批判を受けがちな昨今。「大変な時代だ」なんて話をしていた時、遠い目で呟いた言葉が妙に記憶に残っている。 「それがたとえ1人の意見だとしても、半数がそう思っているんじゃないかって、言われた側は感じてしまうものなんですよね...」 不調が続いたここ数年、藤浪は一部から厳しい非難も受けた。まっとうで愛のある指摘だけでなく、誹謗(ひぼう)中傷に近いモノもあった。疑心暗鬼になった時期もあっただろうが、胸にくすぶっていた切ない「誤解」はこの日、解けて消えたと信じたい。 復活星の夜。勝利投手の名前がコールされると、敵地神宮は敵味方関係なく温かい拍手に包まれた。仲間もわが事のように拍手、笑顔だ。どれだけ多くの人に支えられていたのか、あらためて実感した。「すごく拍手をもらって...。本当にうれしかった」。藤浪は本来の優しい笑顔を取り戻した。【遊軍=佐井陽介】

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が692日ぶりに白星を手にした。今季5度目の先発で、ヤクルト打線を7回途中4失点に抑えた。2回には自らのバットで先制点を挙げるなど投打で勝利への執念を見せた。新型コロナウイルス感染や遅刻による2軍降格など激動の日々を経て、待望の1勝を挙げた。黒いマスクで覆われていても、解放感は隠せない。「やっと勝てた。これでちょっと楽になれるかな」。藤浪は記念球を受け取り、目尻を下げた。 前日まで巨人に3戦連続完封負け。2回、適時内野安打で38イニングぶりの得点を奪った。失策、捕逸、野選で2失点した後も7回途中4失点と力投。今季4戦4敗からようやく692日ぶりの白星を手にした。 「苦しいことばかりだった。つらいことが多かった」。15年の14勝をピークに7勝、3勝、5勝...。昨季は自身初の0勝に終わった。 「ちょっとボールがそれただけで『あ~』とため息が聞こえる。キャッチボールさえ憂鬱(ゆううつ)な時期も正直、ありました」 極度の制球難。肥大を続けたレッテルは徐々に心身をむしばんでいった。 不要論。限界説。トレード説まで飛び交う日常。 「イップスでしょ」 スポーツ選手がイメージ通りに動けなくなる精神的な症状をささやく声まで、耳に入るようになった。 心配のあまり、心を鍛える本を贈ってくれるファンもいた。感謝した。それでも「技術はメンタルを凌駕(りょうが)する」と信念を貫き続けた。現実から目を背けたわけではない。実は理由があった。 今だから明かせる。苦悩の底にいたころ、1度だけ「イップス」「野球」で動画を検索したことがある。そこで偶然目にした男性の姿に言葉を失った。 草野球らしきユニホームを着た彼は何度両足を踏み込んでも、どれだけ力を振り絞っても、金縛りにあったかのように震える腕だけを動かせずにいた。 「結果が出なければ何を言われても仕方がない。でも...自分なんかのレベルでイップスという言葉を使うのは、本当につらい思いをしている人たちに失礼だと、その時に思ったんです」 名前も知らない男性が気付かせてくれた。自分はまだ腕を振れる。覚悟を決めた。「諦めたら終わり。周りに何を言われても、やり尽くす。それしかない」。 今春はグラウンド外でつまずいた。軽率な行動もあり新型コロナウイルスに感染。練習遅刻で2軍に落ちた。「コツコツやるしかない」。誰よりも早くグラウンドに現れ、地道にフォームを固める毎日。批判から逃げず、自分と向き合い続けたから、道は開けた。 「今は人の痛みが分かる。人間として1つ成長できた。大きくなれたかな」 第2章。目の前には再び、洋々たる未来が広がっている。【佐井陽介】

◆阪神藤浪晋太郎投手(26)が692日ぶりに白星を手にした。今季5度目の先発で、ヤクルト打線を7回途中4失点に抑えた。2回には自らのバットで先制点を挙げるなど投打で勝利への執念を見せた。競馬界のレジェンドも復活勝利を喜んでいることだろう。藤浪は以前から武豊騎手と親交が深い。18年12月からは同騎手が総合プロデュースするジムでトレーニングも続けている。オフに食事した際には、高い注目度が故に厳しく批判されていた右腕に対して「自分を特別だと思って。スペシャルだと思えば注目されることも割り切れる」とアドバイス。藤浪から感謝の白星が届いた。

◆黒いマスクで口元が覆われていても、解放感は隠しきれない。 「やっと勝てた。これでちょっと楽になれるかな」 藤浪は記念球を受け取り、目尻を下げた。 前日まで巨人に3戦連続完封負け。2回、適時内野安打で38イニングぶりの得点を奪った。失策、三振捕逸、自らの犠打野選で2失点した後も7回途中4失点と力投。今季4戦4敗からようやく692日ぶりの白星を手にした。 「苦しいことばかりだった。つらいことが多かった」 15年の14勝をピークに7勝、3勝、5勝...。昨季は自身初の0勝に終わった。 「ちょっとボールがそれただけで『あ~』とため息が聞こえる。キャッチボールさえ憂鬱(ゆううつ)な時期も正直、ありました」 極度の制球難。肥大を続けたレッテルは徐々に心身をむしばんでいった。 不要論。限界説。トレード説まで飛び交う日常。 「イップスでしょ」 ついにはスポーツ選手がイメージ通りに動けなくなる精神的な症状をささやく声まで、少なからず耳に入るようになった。 心配のあまり、心の鍛え方が書かれた本を送ってくれるファンもいた。感謝した。それでも「技術はメンタルを凌駕(りょうが)する」と信念を貫き続けた。現実から目を背けたわけではない。実は理由があった。 今だから明かせる。苦悩の底にいたころ、1度だけ「イップス」「野球」で動画を検索したことがある。そこで偶然目にした男性の姿に言葉を失った。 草野球らしきユニホームを着た彼は何度両足を踏み込んでも、どれだけ力を振り絞っても、金縛りにあったかのように震える腕だけを動かせずにいた。 「結果が出なければ何を言われても仕方がない。でも...自分なんかのレベルでイップスという言葉を使うのは、本当につらい思いをしている人たちに失礼だと、その時に思ったんです」 名前も知らない男性が気付かせてくれた。自分はまだ腕を振れる。マウンドに立てる。 覚悟を決めた。 「諦めたら...辞めてしまったら終わり。周りに何を言われても、やり尽くす。それしかない」 今春はグラウンド外でつまずいた。軽率な行動もあり新型コロナウイルスに感染。練習遅刻で2軍に落ちた直後、今度は右胸を痛めた。 「コツコツやるしかない」。誰よりも早くグラウンドに現れ、地道にフォームを固める毎日。批判から逃げず、自分と向き合い続けたから、道は開けた。 「今は人の痛みが分かる。人間として1つ成長できた。大きくなれたかな」 第2章。目の前には再び、洋々たる未来が広がっている。【佐井陽介】

◆1つだけ伝えたいことがある。制球難に苦しんでいたころ、阪神藤浪晋太郎投手(26)のもとに世界屈指の左腕から伝言が届いていた。送り主はかつて米国自主トレをともにしたドジャースのエース、クレイトン・カーショー投手(32)。サイ・ヤング賞3度を誇るレジェンドが太平洋を越えて届けたかった思いとは...。【取材・構成=佐井陽介】「ヘイ、シンタロー!」。太平洋を越えて届いた伝言を最後まで聞き終えると、藤浪は深くうなずいた。「そうなんです。結局はそこなんですよね」。 昨年4月下旬、カブスの本拠地リグリーフィールド。大リーグ取材の最中、ドジャース・カーショーとベンチで遭遇した。世界屈指の左腕と藤浪は18年1月、現カブスのダルビッシュと米テキサス合同自主トレをともにしている。制球難に苦しむ藤浪の状況を知ると、快く伝言をスマートフォンに吹き込んでくれた。 「1つだけ伝えたいことがある。それはとにかくシンプルに打者を打ち取る、ということ。フォームのことはそんなに心配しなくていい。勝負に勝つ。それが一番重要なことだよ」 帰国後の昨夏、録音した音源を本人に渡した。「その通りだと思います。本当は投球中にフォームを考えている時点で良くない。早くその域まで行きたい」。藤浪は静かに納得した。 道のりは長く険しかった。「何かを変えなきゃ」。時には自分の知識も否定。昨春キャンプでは遊び感覚でサイドスローまで試して驚かせた。「いろいろやって、ぐるっと1周して戻ってきた」。2つの変化が原点に立ち返らせてくれた。 昨年5月、ダルビッシュから米国トレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」で使う練習道具を譲り受けた。半年後の12月には沖縄で同施設のセミナーに参加し、本格的に投球動作を解析した。同時進行で昨秋、今春のキャンプでは元中日の山本昌臨時コーチに師事。レジェンドと最先端機器が導き出した結論に大きな違いはなかった。 「今までの考え、気付いたことが合っていたと確認できた」。骨盤の大回りに注意する。回転扉のように小さな半径で軸回転する。大阪桐蔭時代の感覚を取り戻すと、左肩の開きが収まり、抜け球も減った。「手首を立てて投げる」。山本昌氏の教えを指先に染みこませると、ボールの左右のブレは小さくなった。 「今年結果が出なければ、そのままダメになるかも...」。希望と不安が交錯しながら始まった20年。平田2軍監督が「誰よりもブルペンに入っている」と認めた反復練習の毎日が最後、自信を回復させてくれた。 復活星。カーショーが願った通り、この日の藤浪は1球1球、打者との勝負だけに集中していた。自分との闘いに終止符を打てたのだろうか。不調時に目立った、マウンド上でフォームを気にするそぶりはもう、1度もなかった。   <カーショー・メッセージの原文> Hey Shintaro, it's Clayton Kershaw. I just wanted to tell you, heard you are struggling little bit with your mechanics and, you know, the only thing I would say without having seeing you pitch in a while is just to try to keep it simple. And remember to just try to get the hitter out, just compete against at batter one at a time, don't worry too much about the mechanics or side of it, just try to out compete the hitter. That's the most important thing.   <和訳> 「やあ、シンタロー! クレイトン・カーショーです。投球フォームに少し苦しんでいると聞いたよ。しばらく君のことを見ることができていないけど、1つだけ伝えたいことがある。それは、とにかくシンプルに、打者を打ち取るんだということ。フォームのことは、そんなに心配しなくていいんだ。試合に出て、勝負に勝つということ。それが一番重要なことだよ」

◆スターティングメンバーが発表され、阪神のジャスティン・ボーア内野手(32)が7番に降格された。B砲は、前日20日の巨人戦(東京ドーム)で3三振を喫するなど精彩を欠いており、14打席連続でヒットが出ていない。期待されているホームランも81打席連続で出ておらず不振に悩んでいる。ただ、前回ホームランを放ったのは、7月28日のヤクルト戦で、場所は神宮だった。チームも現在、36イニング連続で無得点と貧打にあえぐなか、再び神宮から浮上を目指す

◆阪神は一回、無死二塁の好機を生かせず、連続無得点が37イニングに伸びた。先頭の近本が左翼フェンス直撃の二塁打。上本の一犠打で1死三塁としたが、糸井が前進守備の二塁正面のゴロで三走は動けず、続くサンズが中飛に倒れた。前日の試合まで3試合連続の零封負けで、37イニング連続無得点は球団では2011年5月以来だ。

◆阪神二回、先頭の大山が右中間二塁打を放って無死二塁とした。続く梅野の投前犠打で、投手・吉田大喜は三塁に送球。一度はアウトの判定も、矢野監督のリクエストでセーフに覆った。さらにボーアが四球を選び、無死満塁の大チャンスを迎えた。  木浪は見逃し三振に倒れたが、1死満塁から藤浪のボテボテの三塁適時内野安打で先制した。3試合連続で零封負けを喫していたチームは、これが16日の広島戦(京セラ)の一回以来、38イニングぶりの得点。この日の一回も無死二塁の好機を逃していたが、待望の1点を皮切りに一挙4点を奪った。

◆阪神・ボーアが4-2の三回2死一塁で左中間に8号2ラン。7月28日のヤクルト戦(神宮)の満塁弾以来、21試合ぶりの本塁打を放った。8月は前日の試合まで月間打率・186と不振で、この日は来日初の「7番」で出場。吉田大喜の直球にやや差し込まれながらも、力でスタンド最前列まで運び、リードを広げた。   三回に21試合、83打席ぶりの一発を放ち、「ファイアボール」のパフォーマンスも決めたボーア 「チームにようやく点が入ったし、個人的にも追加点になるホームランを久しぶりに打ててよかったね。ファンの方々に久しぶりにファイアボールを見せられてよかったよ」

◆自身2年ぶりの勝利を目指して先発した阪神・藤浪は6回1/3を6安打4失点で勝利投手の権利を手にして交代した。  味方が4点を先制した直後の二回に失策も絡んで2点を失ったが、粘りの投球でリードを守った。六回先頭の坂口にソロを浴びて2点差に迫られ、1死から青木に左翼線二塁打を許して降板も、2番手の岩崎がピンチをしのいだ。  藤浪は今季これまで4戦4敗。2018年9月29日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、692日ぶりとなる待望の白星をリリーフ陣に託した。打席では、二回1死満塁で三塁適時内野安打。チームにとって38イニングぶりの得点もたたき出した。

◆ヤクルト・坂口智隆外野手(36)が21日、阪神10回戦(神宮)に「1番・一塁」で先発出場。3点を追う七回先頭で、中堅右への4号ソロを放った。  先発右腕・藤浪が投じた150キロの直球を捉え「守備のリズムが良くなってきたのでなんとか反撃できるように出塁することを心掛けていました。良いスイングができましたし、良い角度であがってくれました」とうなずいた。前日20日の中日戦(神宮)でも2ランを放っており、2試合連発となった。

◆阪神がヤクルトに7-4で勝利。先発した藤浪晋太郎投手(26)が、2018年9月29日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、692日ぶりの勝ち星を挙げた。  藤浪は6回1/3を投げ、6安打4失点(自責点2)と力投。粘り強くヤクルト打線を封じ込めた。  打撃では0-0の二回、1死満塁で先制の三塁内野安打。チームに38イニングぶりとなる得点をもたらした。  投打にわたる藤浪の活躍に、不振だった阪神打線も復活。ボーアが三回に83打席ぶりとなる8号2ランを放つと、八回にも9号ソロ。来日初の1試合2発で、藤浪を援護した。帰ってきた猛虎打線は10安打で7得点と、長いトンネルを抜け出した。  阪神の連敗は3でストップ。藤浪、ボーアと投打のキーマンが復活する大きな1勝となった。

◆阪神・藤浪が2年ぶりの勝利。試合後、喜びをかみしめた。--阪神ファンがこの日を待っていた  「2年間くらい勝てなかったので、すごく長かったなという気持ちと、今シーズンもなかなか勝てない投球が続いてたので、やっと勝てたかという気持ちが一番強いです」  --この2年間はどんな気持ちで  「苦しいことばかりだったように思いますし、つらいことが多かったですけど、こつこつやるしかないと思って、毎日毎日練習してきました」  --今季5試合目。どんな気持ちでマウンドへ  「勝ち星はもちろん欲しい気持ちはありますけど、そういう欲は持ちながら、そういう気持ちを抑えつつ、力まないように自然体で入ろうと思ってマウンドに上がりました」  --二回1死満塁で適時打。どんな気持ちで一塁へ走った  「ラッキーだったと思いますね。打った瞬間は『やばい、ホームゲッツーだ』と思いましたけど。一生懸命走っていたし、一塁もセーフになったし、結果として、いいように動いた要因かなと思います」  --自身もチームも連敗をストップ。チームは上がっていくのでは  「そうですね。きょうは自分のラッキーなヒットで点が入ったりもしたので、流れが変わると思いますし、あまりチームのことを言える立場じゃないですけど、いい流れになってくるんじゃないかなと思っています」  --次回への抱負  「きょうもたくさんのファンの方々が応援してくださいましたし、こんな状況の中でたくさんの方が応援してくれて励みになりますし、次の登板、1個勝って自分自身の流れも変わってくると思うので、しっかり勝てるように、長いイニング投げられるように、チームに貢献できるように頑張っていきます。応援よろしくお願いします」

◆ヤクルトの村上が五回に藤浪から9号ソロを放った。外角へのスライダーを「逆らわずにうまく打てた」と左方向へ運ぶと、ボールは軽々とフェンスを越えた。  前日20日の中日戦で頭部への死球で途中交代していただけに、周囲を安心させる一発となった。高津監督も「いろいろ検査を受けて大丈夫ということだった」とほっとした様子だった。

◆ヤクルトは二回に守備が乱れ、4失点につながった。  無死二塁で投前犠打を吉田喜は三塁に転送。アウトのタイミングながら村上のタッチが甘くセーフに(記録は犠打野選)。村上は1死満塁で藤浪の緩いゴロを握り損ねて本塁封殺を諦め、一塁への送球も焦って先制適時内野安打となった。投手に打たれる嫌な流れで、1番近本に2点二塁打を打たれた。高津監督は「守備に(記録上は)見えないミスが出た」と苦い顔だった。 吉田喜(4回6失点で3敗目) 「調子は悪くなかったが、粘り切れなかった」

◆ヤクルトは21日、阪神10回戦(神宮)に4-7で敗戦。一夜で5位に転落した。先発のドラフト2位・吉田大喜投手(23)=日体大=は野選なども絡み、4回7安打6失点で3敗目(1勝)。高津臣吾監督(51)は、序盤での失点を嘆いた。  「やっぱり先発が早い回に失点してしまって、それを追いかける試合が続いているので。立ち上がりの三回とか、五回とかまでにリードを奪って中盤、終盤を迎える試合がしたいよね。ちょっとそこは先発ピッチャーに頑張ってほしいよね」  序盤でリードを奪われる苦しい展開に、指揮官も表情は厳しかった。二回先頭の大山に右中間二塁打されると、続く梅野の投犠打を吉田喜が三塁へ送球。一時はアウトの判定だったが、阪神・矢野監督のリクエストでリプレー検証をした結果、判定が覆って野選でセーフになった。  1死満塁からは、藤浪が放ったボテボテのゴロを三塁手・村上が握り損ね、一塁への送球もそれて適時内野安打で先制を許した。続く近本にも一塁強襲の2点二塁打を浴びて一挙4失点。2点差に追い上げた三回には、ボーアに中越え2ランを被弾するなど流れを引き寄せられなかった。  吉田喜について「見えないミスもあったりしながら不運な失点もあったかもしれないですけど、ストライク、ボールもはっきりしていたし、持ち味が出せなかったかな」と高津監督。真夏の逆襲へ、切り替えて前を向くしかない。 先発し4回7安打6失点で3敗目(1勝)を喫したヤクルトD2位・吉田喜(日体大) 「調子自体は悪くなかったですが、先頭打者を出したり、自分のフィルダースチョイスだったり、不運なヒットもありましたが、粘り切れずチームに申し訳ないです。カードの頭を投げさせてもらったので良い流れにしたかったです」

◆深刻な打撃不振に陥っていた阪神が38イニングぶりに得点を刻んだ。0-0の二回に相手のミスにも乗じて1死満塁と攻め、藤浪の三塁内野安打で待望の1点。さらに近本の一塁強襲の2点二塁打などで一挙4点を奪った。打順を入れ替えるなど、試行錯誤していた矢野監督は「まだまだ上げていかないといけない」と貪欲に言った。  来日初の7番に入ったボーアにも7月28日以来となる一発が出た。三回に2ランを中越えに運び、八回には9号ソロを右中間に放り込んだ。初の1試合2本塁打に「長かった。ホームランが出たことが良かった」と上機嫌。1979年に記録した43回連続無得点の球団ワースト記録も迫っていた中で、久々に快音が続いた。

◆阪神の藤浪が6回1/3を4失点(自責点2)で2年ぶりの白星を挙げた。  阪神の藤浪は、甲子園大会で春夏連覇を果たした大阪桐蔭高から2013年にドラフト1位で入団し、1年目から3年連続2桁勝利をマーク。エースへまい進すると思われたが、制球難から伸び悩んだ。  16年7月8日の広島戦は8回で161球を投げた。一回に先頭打者への四球から失点。計8失点でも続投となり、懲罰的と話題となった。  17年4月4日のヤクルト戦では畠山の左肩付近にぶつけてしまい、乱闘の引き金となった。自身は5回9四死球で降板。  18年7月26日の広島戦は一回から4四球を与えるなど5失点。1死しか取れずにKOされた。  19年8月1日の中日戦は4安打1失点ながら8四死球を与え、五回途中で降板した。 矢野監督(藤浪に) 「厳しいことを言われることもあった。よくここまで来た。また、ここからがスタート」 スアレス(16日以来の登板で8セーブ目) 「しばらく空いていたので、早く投げたい気持ちだった。仕事ができるように頑張った」

◆阪神戦前に、昨年の「NPB12球団ジュニアトーナメント」で14年ぶり2度目の優勝を果たしたスワローズジュニア2019の優勝報告会と、2020チームお披露目会が行われた。度会監督は「昨年はヤクルト球団創設50周年という素晴らしい年に、日本一になれたことを大変うれしく思います」と優勝を報告。新チーム17人を代表して古畑雄大君が「チームワークと元気を武器に必ず優勝して、連覇をするので応援よろしくお願いします」と誓った。 (神宮)

◆同世代の星へ、勝利を-。近本の思いが白球に乗り移った。鋭い当たりが、一塁手・坂口のミットを弾く。歓声に沸くベンチを見ると、三塁ベース上でたたえる藤浪の姿が目に映る。背番号5はヨシッと右手を挙げた。  「初球から思い切って打ちにいくことができました」  藤浪の激走で先制点をもぎ取った直後の二回1死満塁の場面。動揺を隠せないヤクルト・吉田喜の高めに浮いた変化球を振り切った。ミットからこぼれた打球が外野芝生を転々とする間に走者2人が生還。貴重な2点二塁打で勝利を手繰り寄せた。  チームはどん底だった。前日20日までの巨人3連戦(東京ドーム)で屈辱の3試合連続完封負けを喫し、打線は16日の広島戦(京セラ)の二回から36イニング連続無得点。負のスパイラルを何としても抜け出すべく臨んだこの日の一戦。近本は一回、左翼フェンス直撃の二塁打を放つ。しかし、後続が倒れ無得点。スコアボードには37イニング連続で0が並んだ。  また、きょうもホームが遠い-。ベンチに充満する重苦しいムード。吹き飛ばしてくれたのが、藤浪だった。二回1死満塁から藤浪の三塁内野安打でチームとして38イニングぶりにようやくつかんだ1点。2人は1994年生まれの同学年。もがき苦しむ世代のエースがみせた執念におんぶにだっこのまま終われなかった。  近本は2本の二塁打に加えて、さらに安打を量産し、今季3度目の4安打。得意の固め打ちで、藤浪の復活星に花を添えた。  リードオフマンの追撃に猛虎打線も活気づき10安打7得点と爆発。それでも矢野監督は「打線全体としてはもっともっと上がってこないとダメなんで。きょう勝ってよかったなというのはもちろんあるんだけど、でも、もっともっとというところがあるかな」と手綱を締めた。  試合終了後、近本はベンチ前で出迎えた藤浪と笑顔でエアハイタッチを交わした。負担をかけた投手陣を、今度は打線が助ける。その口火を切るのは、虎の韋駄天だ。(原田遼太郎)

◆阪神・藤浪晋太郎投手(26)の692日ぶりの勝利を祝し、出身の大阪泉北ボーイズ・下埜(しもの)昌志総監督(61)が21日、特別メッセージを寄せた。当時からハングリー精神の塊だったことを明かした。  勝てて、よかった。長いトンネルを抜けたね。  地上波で放送していなかったから、インターネットで速報をチェックしていたけれど、きょうは援護ももらえてよかった。ようやく一歩を踏み出せたという感じかな。いい夜になったし、おいしいお酒が飲めたよ。  一昨年だったかな。バックネット裏で観戦したときにファンから「帰れ」と言われている姿を見たら、辛かった。結果が出ないと、やっぱり寂しい。まじめな性格。晋太郎は少し考えてしまうところがあるからね。プロである以上、結果を出さないと厳しい世界だけど、能力は高い。きっかけひとつじゃないかな。  印象に残っているのは中学3年時の夏。ある大会の決勝で堺ビッグボーイズと対戦したとき。1学年下の森(友哉)くん(現西武)にサヨナラ本塁打を打たれた。コントロールが悪くてね。すごく悔しかったと思う。  負けん気が強く、ボーイズを引退する夏が終わっても一人で一生懸命グラウンドを走っていた。  大阪桐蔭高に進学することが決まったのはみんなよりも少し遅い秋頃だったかな。いろいろな高校から勧誘はあったけど、以前から行きたいと話していた高校に決めた。私は自分の母校であるPL学園高に行ってほしかったけどね(笑)  大阪桐蔭高にいきたいという目標があったからこそ、どんなことにも一生懸命だった。頭がいい。私が「走らなあかんぞ」といっていたということもあるだろうが、いつも走っていたね。私の中の晋太郎のイメージは走っている姿。そういう晋太郎を見てきたからこそ、私は総監督となった今もボーイズのみんなに「努力して人間を大きくしないといけない」と教えている。  これからもチームに貢献してほしい。もう一度、甲子園の大歓声の中で投げる晋太郎を見たいな。(大阪泉北ボーイズ総監督)

◆阪神に敗れたヤクルトは3位から5位へ転落。それでも村上宗隆内野手(20)が元気な姿を示した。  五回に左翼席へ運ぶ9号ソロ。阪神・藤浪のスライダーを「逆らわず、うまく打つことができました。いい角度で上がってくれました」。前日20日の中日戦は、六回に後頭部に死球を受けて途中交代したが、この日はフル出場。昨季の全143試合に続いて、今季もチームの全52試合に出場を続ける男は、三回に中前打を放つなど、2安打1打点と気を吐いた。  「本人もすごく元気で、気にする様子もなかったので大丈夫だと思う」と高津監督。だが二回に守備が乱れ、4失点につながった。  無死二塁で投前犠打を吉田喜は三塁に転送。アウトのタイミングながらセーフになった(記録は犠打野選)。さらに村上が藤浪の緩いゴロを握り損ね、先制の適時内野安打に。投手に打たれる嫌な流れで近本に2点二塁打を打たれた。指揮官は「守備に(記録上は)見えないミスが出た」と指摘した。(赤尾裕希)

◆阪神・藤浪晋太郎投手(26)がヤクルト戦で692日ぶりの勝利を挙げた。苦難を乗り越えてつかんだ白星に「苦しいことばかりだった」と振り返り、今後のさらなる活躍を誓った。  --この2年間はどんな気持ちで  「苦しいことばかりだったように思いますし、辛いことが多かったですけど、こつこつやるしかないと思って、毎日毎日練習してきました」  --二回1死満塁で適時打。どんな気持ちで一塁へ走った  「ラッキーだったと思いますね。打った瞬間は『やばい、ホームゲッツーだ』と思いましたけど。一生懸命走っていたし、一塁もセーフになったし、結果として、いいように動いた要因かなと思います」  --自身もチームも連敗もストップ。チームは上がっていくのでは  「そうですね。きょうは自分のラッキーなヒットで点が入ったりもしたので、流れが変わると思いますし、あまりチームのことを言える立場じゃないですけど、いい流れになってくるんじゃないかなと思っています」  --ほっとしたのかうれしいのか、心境はどんな感じ  「ちょっと楽になれるかなっていう感じはしていますけど。あまりこうそんなに勝ち、勝ちとは意識していなかったんですけど、周りがどうしてもね、何日ぶりって言うので。まぁ1個勝たないとどうしてもそういうのがついてまわりますし。できるだけそういうのを早くなくしたかったなと思っていたんで」  --降板時の拍手も大きかった。感じたことは  「本来ならいいピッチングというところではないと思うんですけど、そういうところでもたくさん拍手をもらいましたし、はい。勝ったときも、勝利投手のコールあったときにすごい拍手をもらったので、それもうれしかったですし。次また頑張ろうと思いましたね」

◆滞空時間の長い2本の放物線で別格のパワー、さらに技もみせた。ゼロ行進を止めた打線と同時に、助っ人も呪縛を解いた。待望の一発から即おかわり。7番に降格したボーアが初の1試合2発で意地をみせた。  「これまで長かったし、チームも大変な時期を過ごしていたからね。近本が二塁打を打ったりしていて、自分自身にも刺激になったよ」  4安打の近本ら、37イニング無得点を止めたナインに触発された。4-2の三回2死一塁で左中間へ。吉田喜のカットボールに詰まりながらも、力で勝った。スタンド最前列にねじ込む8号2ランは21試合ぶり、83打席ぶりの本塁打。14打席連続無安打で初の「7番」に降格した助っ人が、ついに目覚めた。  「ファンの方々にも久しぶりにファイアボールを見せられてよかったよ。1本目が打てたから2本目が出たかな」  波に乗って、八回に右中間に9号ソロ。大下のフォークをすくった。右手一本で技ありの一打。7月28日のヤクルト戦(神宮)の満塁弾以来のベース一周を、同じ球場で2度も味わった。  「(球場の)相性もだけど、藤浪がいい投球をして、近本もしっかり打っていて」  仲間の奮闘で燃えたことに付け加えて「通訳の栗山君がおいしい担々麺を食べさせてくれたから」とニヤリ。昼食は来日直後にほれた好物で力をつけた。19日に1歳の誕生日を迎えた長男・ジミー君にも「遅れてしまったけど、打ててよかった」とプレゼント。本塁打で恒例の「ファイアボール」も決まった。  「(ベースを)まわっているときにタオルを掲げているファンがたくさん見えた。そういうファンのために、もっと打てたらいいね」  4日に「ファイアボールタオル」が発売されてから初パフォーマンス。量産を約束した大砲の期待度は、まだこんなものではない。(安藤理)

◆おめでとう! 阪神・藤浪晋太郎投手(26)がヤクルトを相手に七回途中4失点。先制の適時内野安打も放ち、自身692日ぶりの白星を手にした。今季は新型コロナウイルス感染、遅刻による2軍降格など苦悩の日々を送ったが、勝利の女神がついにほほ笑んだ。チームの連敗も3でストップし、4位浮上。これからも頼んまっせ!  長かった。今までもがいて悩み続けた分の思いが、藤浪の瞳をちょっぴり潤ませた。692日ぶりにつかんだ白星。ウイニングボールを受け取ると、そっと左のポケットにしまい、マスクの下で笑みを浮かべた。  「すごく長かったなという気持ちと、今シーズンもなかなか勝てない投球が続いていたので、やっと勝てたかという気持ちが一番強いです」  4984人が駆けつけた神宮でのヒーローインタビュー。この時ばかりは感極まり、声を震わせた。  今季5度目の先発。まずは自らバットで助けた。二回1死満塁でD2位・吉田喜(日体大)から全力疾走で内野安打。チームとして38イニングぶりの得点を挙げた。投げてはその裏、味方の失策や自らの野選などで2点差に迫られ2死満塁とされたが、青木を153キロ直球で右飛。ガッツポーズを繰り出した。左打者を6人並べられても崩れない。かつての藤浪の姿はなかった。五回に村上にソロを浴びても、最後までリードを保った。  5試合ぶりに2桁となる10安打、7得点の打線にも助けられ、6回1/3を6安打4失点(自責2)。2018年9月29日以来の白星に「不思議な感じですね。久しぶりなんですけど、そんなにめちゃくちゃ『久しぶりに勝ったな!』って感じもしないですね」と冷静だったが、矢野監督は「特に高校を出てすぐに活躍した分、苦しんだ部分もあったと思う」とスター街道を歩む宿命を理解。「第二のスタートじゃないけど、その1勝になった」と目を細めた。  今季初登板前の7月初旬。中学時代に所属した大阪泉北ボーイズへ、捕手の道具一式をプレゼントした。後日、藤浪のスマホが鳴り、恩師の下埜(しもの)昌志総監督(61)からメッセージが届いた。  「チームを救うのは(藤浪)晋太郎だからな!」  野球が楽しくて、好きでたまらなかった自分の原点を思い出し、藤浪は「頑張ります!」と返信。プロ通算51勝目を挙げる瞬間に向け、もう下を向くことはなかった。  「コツコツやるしかないと思って、毎日毎日、練習してきました」  3月下旬に新型コロナウイルスに感染し、5月下旬には練習に遅刻したことで2軍降格。その後は練習開始の2時間以上前から鳴尾浜へ足を運び、一人でストレッチや体のケアなどに専念した。これまで支えてくれた人たちのために-。6月には胸の張りを訴えるなど時間はかかったが、やっと恩返しできた。  「人の痛みが分かると思いますし、辛いことが多かったので。ひとつ人間として成長できた、大きくなれたのかなと思います」  ヒーローインタビュー後は帽子を取り、4度、頭を下げた。チームは連敗を3で止め、4位浮上。徳俵に足を乗せながらも踏ん張れるのは、藤浪しかいない。(織原祥平)

◆これまでの藤浪はヒットを打たれれば首をかしげてみたり、四球を出せば考え込んでみたり、あまりにも気にしすぎるところがあった。  二回はいろんなミスも絡み、このままガタガタと崩れていくのかと案じていたが、この日はひと味違った。何があっても、点を取られても次の打者、次の打者、と切り替えていけばいい。それができつつある。  抜け球も少なくなり、全体的にも無駄なボールが少なかった。逆球ももちろんあったが、ボールの強さがあるのだから、それも気にせずどんどん次の球を投げ込んでいけばいい。五回は1死で、七回は先頭でソロホームランを打たれたが、その後を何事もなかったかのように抑えたのも踏ん張れた要因だ。とにかく引きずらず、成功したことには自信を持つ。三回のエスコバーの投ゴロ併殺で、きっちりと二塁に投げられたところも今後の自信にしていってほしい。  この日の投球ならば任せられる。"マイナス思考にならない藤浪"ならば、今後も必ず、チームに貢献していける。 (本紙専属評論家)

◆♪六甲おろしに~さっそうと~! やりましたよ~、ダンカンさん!  38イニングぶりにゼロ行進を止める4得点!  「そやね、良かったね...」  ボーアを7番に起用した矢野采配、どんピシャリの2ホーマー!  「うん...打ったね...」  最大の興奮は虎の眠れるエース、藤浪晋太郎が実に692日ぶりの白星ー!  「はい、おめでとう...」  ちょっと何ですか? 阪神が連敗を止めたってのに、その気のない態度は? あ、夏バテ? もしかして熱中症? ま、まさかコロナじゃ?  「違うわー! 巨人に3連続完封負けの後遺症~。ヤクルトに1つ勝ったからって、とても喜べませ~ん...」  いや、例えば38イニングぶりに一気に30点ならともかく...。ボーアも菅野から打てってーの!  藤浪はちょっとうれしいけど...。一回、いきなり坂口に死球だワイルドピッチだ、その後も野選やら2ホーマー浴びるわ...。それじゃ巨人戦のモヤモヤも晴れるか! と本日は勝っても尚厳しい、昭和の頑固虎オヤジの俺だったのでした...。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
30183 0.625
(↓0.013)
-
(-)
69235
(+5)
168
(+7)
71
(-)
28
(-)
0.250
(-)
3.250
(↓0.08)
2
(-)
DeNA
27243 0.529
(↓0.011)
4.5
(-)
66225
(+1)
202
(+3)
57
(-)
10
(-)
0.271
(↓0.002)
3.560
(-)
3
(1↑)
中日
24274 0.471
(↑0.011)
7.5
(↑1)
65184
(+3)
223
(+1)
32
(-)
14
(+1)
0.242
(-)
3.760
(↑0.05)
4
(1↑)
阪神
23263 0.469
(↑0.011)
7.5
(↑1)
68213
(+7)
210
(+4)
47
(+2)
37
(-)
0.239
(↑0.001
3.610
(↑0.03)
5
(2↓)
ヤクルト
22255 0.468
(↓0.01)
7.5
(-)
68229
(+4)
264
(+7)
44
(+2)
34
(-)
0.249
(↓0.001)
4.650
(↓0.05)
6
(-)
広島
20266 0.435
(↑0.013)
9
(↑1)
68225
(+7)
244
(+5)
54
(+2)
22
(-)
0.269
(↑0.001)
4.240
(↑0.03)