阪神(☆9対4★)広島 =リーグ戦3回戦(2020.07.21)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:秋山 拓巳(2勝1敗0S)
敗戦投手:九里 亜蓮(1勝2敗0S)

本塁打
【広島】堂林 翔太(5号・1回表ソロ),鈴木 誠也(8号・7回表2ラン)
【阪神】サンズ(4号・1回裏ソロ),糸原 健斗(2号・3回裏2ラン),大山 悠輔(5号・5回裏2ラン),北條 史也(1号・7回裏ソロ)

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◆阪神が5連勝。阪神は1-1で迎えた3回裏、糸原の2ランで勝ち越しに成功する。そのまま迎えた5回には、サンズの適時打と大山の2ランで3点を挙げ、リードを広げた。投げては、先発・秋山が7回途中4失点で今季2勝目。敗れた広島は、先発・九里が試合をつくれなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発は阪神が秋山拓巳投手(29)、広島が九里亜蓮投手(28)。 5カード連続勝ち越し、4連勝中と勢いに乗る阪神。打撃不調の近本に代わり、糸井が1番に入った。5番には打撃好調の福留が中堅で先発。新助っ人ボーアは右臀部の張りで2試合連続ベンチ外となった。

◆広島堂林翔太内野手(28)が先制の5号ソロを放った。初回2死走者なしの打席、阪神秋山の初球、内寄りの139キロを引っ張り、打球は左翼ポール際に飛び込んだ。 「初球から積極的に打ちにいこうと思っていきました。いい先制点になって良かったです」。好調を維持し、主軸として打線を引っ張っている。この1発で9試合連続安打となった。

◆阪神の新助っ人ジェリー・サンズ外野手(32)が今季初の甲子園バックスクリーン弾を放ち、「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」の賞金100万円獲得第1号となった。 初回に阪神先発秋山が堂林に先制ソロを浴び、直後の攻撃。2死から3番サンズが広島先発九里の124キロ変化球をバックスクリーンまで運んだ。同点となる4号ソロで、すぐに試合を振り出しに戻した。サンズはここ5試合で6打点目となった。 阪神は今季、甲子園でのセ・リーグ公式戦主催ゲームでバックスクリーンへ本塁打を放った自チーム選手に対し、「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」を新設。ユニ・チャーム株式会社から賞金100万円が贈呈される。サンズは同賞の第1号となった。

◆阪神福留孝介外野手(43)が6年ぶりに先発した中堅で好守を見せた。同点の3回1死二塁の守備。広島1番西川が放ったライナー性の打球は中堅前に飛んだ。福留は素早いチャージでダイレクトキャッチすると、そのままランニングスローで二塁へ送球。飛び出していた二走田中広を刺し、併殺を完成させた。 球界最年長の43歳福留は打撃不振の近本に代わり、「5番中堅」で先発出場。福留の中堅先発は14年9月10日巨人戦以来となった。 なお、43歳以上のシーズンに中堅で先発出場した選手は、1956年(昭31)岩本義行(東映)以来64年ぶり。岩本はその年が44歳シーズンだった。 ▼43歳の阪神福留が「5番中堅」で先発。福留が中堅で先発したのは、14年9月10日巨人戦以来6年ぶり。また、43歳以上のシーズンに中堅で先発したのは、岩本義行(東映)が1956年(昭31)5月6日の高橋戦で44歳1カ月で先発して以来、64年ぶり2人目。

◆絶好調の阪神糸原健斗内野手(27)が勝ち越しの2号2ランを放った。「2番二塁」で先発し、同点の3回2死一塁。広島先発九里の外角高め146キロシュートを引きつけてたたいた。逆方向に運んだ打球は強い浜風にも乗り、左翼ポールを巻く勝ち越し弾となった。 「2死から糸井さんが塁に出てくれたので、次につなごうという気持ちで打席に入りました。甲子園の浜風が運んでくれました」 今季で2年目の主将を務める糸原は、この1発で12試合連続安打を記録。自身の最長記録を更新している。2回の守備でも好守を見せるなど、プレーでチームをけん引している。

◆阪神の新助っ人ジェリー・サンズ外野手(32)が今季初の甲子園バックスクリーン弾を放ち、「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」の賞金100万円獲得第1号となった。 初回に阪神先発秋山が堂林に先制ソロを浴び、直後の攻撃。2死から3番サンズが広島先発九里の124キロスライダーをバックスクリーンまで運んだ。 「待っていた球種だったし、しっかり自分のスイングをすることができたよ。いい角度で飛んでくれたし、最高の結果になってくれて良かったね」 同点となる4号ソロで、すぐに試合を振り出しに戻した。サンズはここ5試合で6打点目となった。 阪神は今季、甲子園でのセ・リーグ公式戦主催ゲームでバックスクリーンへ本塁打を放った自チーム選手に対し、「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」を新設。ユニ・チャーム株式会社から賞金100万円が贈呈される。サンズは同賞の第1号となった。

◆先発の広島九里亜蓮投手(28)が5回を投げ3被弾を含む6安打6失点で降板した。 初回2死からサンズに変化球を捉えられ、中越えへの同点ソロ。3回2死一塁から糸原に左翼越えの2ランを浴び、5回にはサンズの左前適時打に続き、大山に左翼スタンドへの特大ダメ押し2ランを被弾。この回でマウンドを降りた。 試合前には「無駄な四球を出さず、最少失点で投げていければ」と話していたが、4連勝中と波に乗る猛虎打線の勢いを止めることができなかった。

◆阪神先発の秋山拓巳投手(29)は7回途中7安打4失点で降板。2勝目の権利を手にしてマウンドを降りた。 初回、広島3番堂林に先制ソロを浴びたものの、その後は安定した投球を披露。バックの好守にも助けられながら、自慢の制球力で6回まで最少失点で進んだ。 6点の援護をもらい、5点リードの7回。先頭堂林の安打から、4番鈴木誠に2ランを浴びて3点差とされた。1死で6番会沢に安打を許したところで交代となった。 「完投しないといけない展開の中で、気持ちが空回りしてしまいました。週の頭を任されている中で長いイニングを投げることができず、中継ぎ陣に負担をかけてしまい申し訳ないですし、悔しいです」 2番手馬場はピンチを広げて1点を失うも、1死満塁のピンチを併殺で切り抜け、2点差を守った。

◆阪神北條史也内野手(25)が今季初安打となる1号ソロを放った。 2点リードの7回。6回の守備から途中出場し、この日の第1打席目だった。広島高橋樹の低め直球をうまくバットに乗せると、打球は左翼席に吸い込まれた。北條は打った瞬間に柵越えを確信。思わず右手を上げながら、一塁へと駆けだした。 「ヒットが出ていなかったので、1本出て良かったです。今日は絶対に打つと決めていました」 開幕から18打席での初安打が、うれしい今季1号となった。

◆阪神が空中戦を制し、今季初の貯金生活に入った。先制された直後の1回、サンズの4号同点ソロ本塁打がバックスクリーンに飛び込んだ。3回には糸原が左翼ポール際に2号2ランを放って加点。5回に大山の5号2ランで突き放した。 2点差に迫られた7回には北條が今季初安打のソロ本塁打を左翼へ。この日は右翼から左翼に強い浜風が吹いた。地の利の"追い風"を生かして甲子園で4本塁打は17年9月2日中日戦以来、3年ぶり。広島もアーチ2発で応酬したが終盤の追い上げも及ばなかった。阪神が逃げ切って、今季最長の5連勝に延ばした。

◆広島は1回、堂林の5号ソロ本塁打で先制した。阪神は1回、サンズが4号同点ソロ本塁打。3回、糸原の2号2ランで勝ち越した。 阪神は5回、サンズの左翼線適時打、大山の5号2ランで3点を追加した。広島先発九里は立て直せず、5回6失点で降板した。 広島は7回に3点をかえすが及ばず。阪神は7回、北條のソロ弾でチーム4本塁打。今季最長の5連勝で今季初の貯金1となった。秋山2勝目。九里は2敗目。

◆阪神福留孝介外野手が守備で存在感をみせた。「5番中堅」で先発出場。自身にとって中堅先発出場は14年9月10日巨人戦以来6年ぶり。 同点の3回1死二塁の守りで、前方への西川のライナー性の打球に対して素早いチャージで捕球。そのままランニングスローで二塁送球し、飛び出していた二走田中広を刺し、併殺を完成させた。

◆阪神が空中戦を制し、今季初の貯金生活に入った。 先制された直後の1回、サンズの4号同点ソロ本塁打がバックスクリーンに飛び込んだ。3回には糸原が左翼ポール際に2号2ランを放って加点。5回に大山の5号2ランで突き放した。 2点差に迫られた7回には北條が今季初安打のソロ本塁打を左翼へ。この日は右翼から左翼に強い浜風が吹いた。地の利の"追い風"を生かして甲子園で4本塁打は17年9月2日中日戦以来、3年ぶり。 ▼阪神はサンズ、糸原、大山、北條が本塁打を放ち、今季最多の1試合4発。阪神の1試合4本塁打は19年5月26日DeNA戦(横浜)で近本、マルテ、中谷、大山が打って以来。甲子園での4発は17年9月2日中日戦で坂本、大山、福留、中谷が打って以来3年ぶり。なお、甲子園での阪神の1試合最多本塁打は、76年9月19日広島戦での9本。92年のラッキーゾーン撤廃後では、10年6月29日中日戦の5本が最多。 ▼現在、25試合で28本塁打。120試合と例年より試合数が少ないが、シーズン134本のハイペースだ。開幕10戦では7本塁打だったが、7月に入って15試合で21本と調子を上げてきた。阪神は19年94本、18年85本で、3桁本塁打なら17年113本以来となる。

◆2番手で登板した阪神馬場皐輔投手が豪快なガッツポーズだ。 7回、3点差に迫られ、なおも1死一塁で登板。四球と左前適時打で2点差に。さらに代打長野に右前打され、1死満塁とした。一時は1番西川に対しカウント3-0までなったが、フルカウント後、投-捕-一の併殺でピンチ脱出。右手のコブシを振り上げたまま一塁側ベンチに向かってダッシュした。 「ヒットを打たれてしまったり四球も出してしまいましたが、相手に向かっていく気持ちだけは忘れずに投げました」と振り返った。

◆広島の投手陣が踏ん張れず、チームは引き分けを挟む連敗で借金は今季最多の「5」となった。 先発九里が5回を投げ3被弾を含む6失点と乱調。3番手高橋樹は1死も取れず4試合連続失点。8回のD・ジョンソンも1点を奪われるなど、継投失敗の9失点で試合を壊した。佐々岡監督は「早い回で点を取られて後手後手になる。点の取られ方が悪い。申し訳ない」と敗戦を悔やんだ。

◆阪神は終盤2イニングを岩崎優とスアレスが無安打で締めた。 岩崎は8回に登板し、1四球で無失点。9回に登板したスアレスも1四球のみで無失点。スアレスは打者ピレラの場面で160キロも計測していた。

◆広島は先発九里亜蓮投手が3被弾を含む6安打6失点で今季2敗目を喫した。 先制した直後、初回2死からサンズに中越えへの同点ソロを許すと、3回に糸原に左翼越えの2ラン、5回には大山に左翼越えの特大ダメ押し2ランを浴び、この回でKO。 ここ3試合で精彩を欠く投球が続いているだけに佐々岡真司監督は「危機感を持ってやってもらわないと。ここ何試合か情けない」と苦言を呈した。九里は球団広報を通じ、「何もありません」と話すにとどめた。

◆阪神4発アーチショーの場の締めは北條史也内野手だ。悔しさをぶつける今季初アーチを放ったのは、2点差に迫られた直後の7回。先頭で高橋樹の速球をすくい、ライナーで左翼ポール際に運んだ。 今季18打席目の初安打が千金の快打。お立ち台で「前に飛んだのも久しぶり」と自虐的なジョークで笑いを誘い、「最近モヤモヤしていた。一気にスッキリしました」と話した。8回も中越え適時二塁打。試合前にはベテラン福留から「顔がブレる」と助言された。「福留さんのおかげで打てました」と感謝した。

◆この日からの広島3連戦で「~音楽で"もっと"つながる~選手登場曲リクエスト Supported by 日本生命」を開催。 登場曲企画について、阪神矢野燿大監督も思いを語った。 「ファンの皆さんがメッセージも。ジョー(北條、奇数打席登場曲=笑ってたいんだ)に『笑顔になってほしい』とか。健斗(糸原)の宿命とか、キセキもフミ(原口)も大腸がんを患ってね。みんな思いを込めてくれているからいい企画だと思うし、だからこそ、勝ちたいというのが俺の中ですごくあった」。また、サンズの登場曲は、矢野監督が現役最終年に使用していたが「それは忘れていた(笑い)。サンズがこの曲かと思った」と笑顔だった。

◆阪神が空中戦を制し、今季初の貯金生活に入った。先制された直後の1回、サンズの4号同点ソロ本塁打がバックスクリーンに飛び込んだ。3回には糸原が左翼ポール際に2号2ランを放って加点。5回に大山の5号2ランで突き放した。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -初の5連勝。途中はハラハラドキドキだったのでは 矢野監督 7回がハラハラのとこでしたけど、馬場もまだまだ経験が浅いのでね。でもあのピッチャーゴロを捕ったというのか入ったというのか。でも、そういう経験をしながらね、これからもっともっと大きくなってくれたらなと思います。 -先発秋山については 矢野監督 最後がね、アキ(秋山)自身も悔しいと思いますし。でもそこまでね、本当にアキらしく丁寧に丁寧にボールを投げて、打つ方も1本出ましたし。しっかり投げてくれました。 -2、3回のピンチで味方の守備も大きかった 矢野監督 しっかりした部分でみんながもり立てて。そういう部分がよかったです。 -打線はきょうも活発 矢野監督 サンズのあのホームランもそうですけど、(5回の)2本目のタイムリー。2アウトからあの1点も大きかったですし、健斗のホームランもよかった。本当に点の取り方でいうと、完璧ではないですけど、あとは悠輔(大山)の満塁のところぐらいじゃないですかね。北條もやっとでましたし、そのあともう1本出たので。本当にみんないい攻撃をしてくれました。 -今季初の貯金 矢野監督 素直にうれしいです。でもここからがスタートだと思って戦ってきたので、また明日から戦っていきます。 -北條の1発 矢野監督 嫌な流れで、あそこで先頭打者で。ジョー(北條)にとっても、チームにとっても大きい。ちょっと結果出なくてね、誰もがそうだけど、1本打ちたいというのがちょっと前に出すぎて結果が出ていなかったけれど。レギュラーの力が十分にある選手。 -糸原は守備でも貢献 矢野監督 守備で頑張ってくれたし、(逆方向の)本塁打も、すばらしい本塁打。落ち着いて、結果が出ているので、キャプテンというところも成長できている。 -大山も2三振後に初球を捉えた 矢野監督 見事な本塁打。その次も満塁も当たり自体は悪くなかった。これからも楽しみ。 -登場曲企画について 矢野監督 みんな思いを込めてくれているからいい企画だと思うし、だからこそ、勝ちたいというのが俺の中ですごくあった。コロナでこういう状況で俺らは野球をやれているけど、みんな苦しい状況に置かれている中で、『私の曲で打席に立ってくれた』『俺の曲を選んであいつがホームランを打ってくれたんよな』っていうのは、一生の思い出になるかもしれないし。ファンの人とのつながりでしか、プロ野球は成り立たないんでね。そういうところではいい企画を、よりよくファンの人と選手がしてくれたっていうところにまた喜びというかうれしさがある。 -ボーアの状態は。 矢野監督 日に日によくはなっているんだけど。バッティングもちょっとやったりしているんで。その日の様子を見て、また明日どうするか決めるという感じ。

◆甲子園4本塁打の号砲は、3番ジェリー・サンズ外野手(32)の同点弾からだった。 1点を追う初回2死。九里の高めに入った変化球を逃さずとらえた。打球はバックスクリーンへ一直線。「待っていた球種だったし、しっかり自分のスイングをすることができたよ。良い角度で飛んでくれたし、最高の結果になってくれて良かったね」と会心の笑顔だ。 チームでは今季初の甲子園バックスクリーン弾。新設された「ユニチャーム バックスクリーンホームラン賞」の1号として、賞金100万円が贈られた。「チームの勝ちに貢献できるホームランだったと思う。そういう意味でもうれしいし、もちろん正直、個人的にもうれしいよ」。ダブルでハッピーな4号ソロ。5回2死三塁の場面でも4点目の左前適時打を放ち、2打数2安打2打点2四球の活躍。「いざ打席に立った時に余裕を持って立てている。それがやっぱり大きいかなと思うよ」。ボーアが臀部(でんぶ)の張りで2戦連続欠場する中、存在感が日に日に増している。 この日は、ファンがリクエストした曲を登場曲として使用。サンズは「FUNKY MONKEY BABYS」の「ヒーロー」で打席に立った。 歌詞の中にも父をたたえるフレーズがあるが、2度のお立ち台でもらった2つのトラッキー人形に加え、この日は100万円をゲット。連日プレゼントを持って家に帰るパパは、2人の息子にとって普段以上に格好良かったに違いない。 「いい歌に聞こえたよ。そんないい歌で、いい結果が出てよかった」。韓国キウム時代の昨季は、7月に月間最高打率の3割7分9厘を記録。さらに7、8月に月間最多タイの6本塁打ずつを放った「夏男」。暑くなればなるほど、サンズは輝きを増す。【磯綾乃】

◆もう一発、もう一発!! 阪神大山が豪快な「HANABI弾」で広島を突き放した。5回、1点を加えて2死一塁。Mr.Childrenの名曲をBGMに打席へ。「初球から思い切っていく」と心に決めた。その初球だ。九里の浮いたフォークを逃さない。高めのボール球を完璧に仕留め、大飛球で左翼席まで運んだ。 まさにサビの部分を再現する一撃だ。サンズ、糸原に続いて、もう一発。チーム3発目の5号2ランでチームは安全圏へ。「前の2打席(連続三振で)凡退していた。借りを返すくらいの気持ちで打席に入りました。一発で仕留めることができて良かった」と話した。 チーム最多タイの13打点目。5日広島戦(マツダスタジアム)から4番に定着後の12試合は10勝2敗で、快進撃の立役者だ。聖地のビジョンには「甲子園で大きな花火(ホームラン)の量産を願ってリクエストします」と映る。誰もが心躍る夏の花火。「結果的にファンの方のリクエストに応えられて良かった」。昨季は尻すぼみした季節だが、今年は違う。夜空へ大輪を何発も描く。【酒井俊作】

◆阪神が3年ぶりの甲子園4発快勝で今季初の5連勝&貯金1を決めた。サンズの同点弾に始まり、糸原が勝ち越し弾、大山が中押し押し弾、北條も今季初安打のダメ押し弾。ファンが登場曲を選んだ広島3連戦の初戦、ノリノリの猛虎が10安打9得点で恩返しした。V弾の糸原の曲は「Official髭男dism」の「宿命」。4・5差で追う首位巨人を追う勢いは止まらず、V争いも宿命ムードが漂ってきた。ファンの思いに、チーム4発のアーチで応えた。主役は、絶好調の主将糸原健斗内野手だ。同点の3回2死一塁。得意とする九里の、外角146キロシュートを引きつけてたたいた。 「完璧でした。何とか塁に出ようと思ったんですけど、自分でもビックリするぐらいなホームランが出て最高でした」 逆方向へ運んだ打球は、強い浜風にも乗った。左翼ポールを巻く2号勝ち越し2ラン。プロ初の左方向への1発が、猛虎打線を勢いづかせ、自己新の連続試合安打も12に伸ばした。 同カードは「~音楽で"もっと"つながる~ 選手登場曲リクエスト Supported by 日本生命」と題し、ファンのリクエスト曲を選手たちが使用する企画が行われた。糸原は第3打席まで「Official髭男dism」が歌う「宿命」に乗って打席に入った。スコアボードには「キャプテンとしての宿命を背負って、苦しい状況にも立ち向かっていってほしい」という願いも映し出された。虎党の思いに、1発回答で応えた。 当日までシークレットとなっていた第4打席は、布袋寅泰の「スリル」が流れた。井上打撃コーチが春季キャンプ中に流し、連射ティー打撃で選手たちをしごいた曲。リクエスト理由は「キャンプでのきつい練習を思い出すことで『あの時、オレはあれだけ振ったんだ』と自信を持って、打席に立ってもらいたい」だったが、同打席はまさかの送りバント。結果的には内野安打となったが、お立ち台では「キャンプを思い出した。でもサインがバントだったので、ちょっと恥ずかしかったです」と照れ笑いで球場の笑いも誘った。 矢野監督は好守に存在感の糸原を「健斗がチームを引っ張っていっている感じがある。キャプテンになって(2年目で)地に足がついて落ち着いて、結果も出ている。キャプテンというところも、成長できている」と評価した。本塁打はサンズを手始めに糸原、大山、北條で計4発。甲子園での1試合4本塁打は、17年9月2日中日戦以来の花火ショーだった。今季初の5連勝で2勝10敗から11勝2敗と巻き返し、初の貯金もゲット。頼れる主将は「ファンのみなさんのおかげだと思うので、明日も勝ちます!」と、力強く宣言した。【奥田隼人】

◆広島が逆転負けを喫し、引き分けを挟んで連敗となった。敗戦の中で好調堂林翔太内野手(28)が先制弾を放ち、4番鈴木誠也外野手(25)も7回に8号2ランをバックスクリーンに放り込んだ。借金が今季ワースト5に膨らんだチームの中で、打線を引っ張るSS砲が希望の光となった。1試合2度の"エアヒップアタック"も、勝利につながらなかった。まずは1回。先制弾の堂林が次打者で迎える鈴木誠とお尻を向き合わせてジャンプ。今度は鈴木誠が7回に2ランを放ち、先に生還した堂林とともに再び喜びの儀式を行った。16年4月26日ヤクルト戦、17年5月31日西武戦に続く、翔太と誠也のSS砲の3度目アベック弾で、初の黒星。チームは引き分けを挟んで連敗となった。重苦しい空気が漂う中で好調を維持する2人の中軸が明日の戦いを明るく照らす光となった。 堂林のバットが止まらない。1回2死から秋山の内角をえぐるシュートに反応した。左肘を畳んでコンパクトにバットを振り抜き、左翼ポール際に運んだ。7回は再び内角の厳しい直球を左前へ。「今日を含めていい反応で打てていると思います」。打率4割3分7厘。勢いだけでなく、技術が伴った打撃で4割をキープする。 4番鈴木誠は試行錯誤しながら結果を残している。この日も打席で両足を近づけて直立のように構え、秋山との3度目の対戦となった7回。低めの球を捉えて、センターバックスクリーンへ放り込んだ。「ひと振りでしっかり捉えることが出来ました」。開幕から安定した打撃を続けながらも、この日のように試合の中で打撃フォームを変えるなど、シーズン中でも打撃の追求は続いている。 鈴木誠入団時から2人の親交は深い。野球に取り組む姿勢や練習熱心な共通点もあり、食事をともにするなど絆は固い。今年1月には合同自主トレで刺激し合った。強固な新ユニットが広島打線の大きな得点源となっている。4番と6番だった16日巨人戦からはじめた"エアヒップアタック"は、2人の好調さと打順が並んだことで頻度が高まっている。チームは連敗で借金は今季最多5。お尻に火が付きそうだ。佐々岡監督は「点の取られ方も悪いし、申し訳ない」と敗戦の弁を述べた。重苦しい空気はSS砲を中心に吹き払っていくしかない。【前原淳】

◆阪神先発の秋山拓巳投手が7回途中7安打4失点と粘り、2勝目をつかんだ。「完投しないといけない展開の中で、気持ちが空回りしてしまいました」。 試合後は反省の言葉を並べたが、5回先頭の打席では左翼へ二塁打を放ち、追加点にも貢献。投打で5連勝に貢献した。 懐かしの「ガッチャマンの歌」に乗って登場した。西条高時代も応援歌に使用し、ルーキーイヤーの10年から14年まで登場曲として使用。ファンが「ガッチャマン」の部分を「アッキャマン」と言い換えて応援してくれた、思い入れのある曲だった。大声での応援が禁止のため「アッキャマン」の大合唱はならなかったが、「試合開始前にファンの方と1つになって戦えたら」の願い通り、球場は手拍子で盛り上がっていた。

◆阪神のジェリー・サンズ外野手(32)が21日、広島戦(甲子園)の一回にバックスクリーンへ4号ソロ。1-1の同点に追いついた。  一回に広島・堂林に5号ソロを許して先制されたが、助っ人の一発ですぐに取り返した。サンズは2死走者なしで打席に立つと九里の4球目、124キロ変化球にフルスイング。打球はセンターに放物線を描き、バックスクリーンに吸い込まれる同点ソロとなった。  2020年から甲子園では『ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞』が設定されており、その1号。賞金100万円とファンクラブ会員から抽選100人にサイン入りレプリカユニホームなどがプレゼントされる。

◆広島・堂林翔太内野手(28)が21日、阪神3回戦(甲子園)で左越え5号ソロを放った。打率・434と試合前の時点で打率リーグ1位に立っていたが、第1打席から豪快アーチだ。  中京大中京高で2009年夏の甲子園を制し、12年にはプロ初アーチを架けた甲子園球場。絶好調で縁深い地に帰ってきた堂林が、いきなり魅せた。一回2死走者なしで、同学年の秋山の初球を一閃。左翼ポール際に、先制ソロをたたき込んだ。  2009年の夏は、エースとして全国制覇を成し遂げるも、日本文理高の猛攻を受けて優勝投手とはなれず。試合後のインタビューで涙を流していた。12年4月24日にメッセンジャーからプロ1号本塁打を放ったのも、この球場だった。甲子園での一発は14年9月14日以来実、実に2138日ぶりだ。  今季は3年ぶり本塁打も放ち、試合前時点で打率リーグトップに立つなど絶好調。帰ってきた聖地でのあいさつ代わりの一発で9試合連続安打とし、成長した姿を見せつけた。

◆阪神が9ー4で広島を破り、今季最多の5連勝。通算13勝12敗として、開幕から25試合目で今季初めて貯金生活となった。  0-1の一回、サンズがバックスクリーンに4号同点ソロ。三回、糸原が12試合連続安打となる2号2ランで勝ち越すと五回には大山の5号2ランでリードを4点に広げた。  先発した秋山は一回、堂林に被弾したが、二回以降は緩急をつけて広島打線に的を絞らせなかった。七回、鈴木誠に2ランを浴びるなど、一時は2点差に迫られたが、直後の七回、北條が今季初安打となる1号ソロ。さらに、暴投で1点を追加すると、八回には北條が中越え適時二塁打を放った。  秋山は七回途中4失点で、今季2勝目。阪神は今季最多の1試合4本塁打で、強打の広島に打ち勝った。

◆阪神は広島に9-4で勝ち、今季初の5連勝。今季初めて貯金1とした。矢野監督は2点差まで迫られた七回、投ゴロ併殺で切り抜けた2番手馬場について「七回がハラハラのとこでしたけど、馬場もまだまだ経験が浅いのでね。でもあのピッチャーゴロを捕ったというのか、入ったというのか。でもそういう経験をしながらね、これからもっともっと大きくなってくれたらなと思います」と話した。  ボールを捕った馬場がガッツポーズをし、ベンチの矢野監督も両手でガッツポーズをしていた。  「僕はいつもガッツポーズしてるので。あれは最高のガッツポーズをしていたと思います」  一回に先制されたが、すぐにサンズのソロで追いついた。  「本当にサンズのあのホームランもそうですけど、2本目の(五回の)タイムリーですか。2アウトからあの1点も大きかったですし、健斗(糸原)のホームランもよかった。北條もやっと(初安打)出ましたし、そのあともう1本出たのでね。本当にみんないい攻撃をしてくれました」と打線がつながって、納得顔だった。  この試合はファンが選んだ曲が流れる中、選手がグラウンドに登場するという企画が行われた。  「コロナでこういう状況で俺らは野球をやれているけど、みんな苦しい状況に置かれている中で『私の曲で打席に立ってくれた』『俺の曲を選んであいつがホームランを打ってくれたんよな』っていうのはオーバーに言えば一生の思い出になるかもしれないし。俺らはもちろんファンの人とのつながりでしか、俺らプロ野球は成り立たないんでね」と話した。

◆薄暮の甲子園に"ヒーロー"のアーチが架かった。阪神・サンズのバットから放たれた白球がバックスクリーンへ一直線。試合をすぐさま振り出しに戻す一撃に、S砲が白い歯をのぞかせた。  「待っていた球種に、しっかり自分のスイングをすることができたよ。良い角度で飛んでくれたし、最高の結果になってくれてよかったね」  広島の3番・堂林のソロで0-1と先制された直後の一回。今度は虎の「3番」がお返しだ。2死から、九里の124キロスライダーをたたいた。同点の4号ソロはチームとしても今季初のバックスクリーン弾。今年から新設された「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」の第1号で、賞金100万円のおまけつきだ。  この日から始まった広島3連戦(甲子園)では「~音楽で"もっと"つながる~選手登場曲リクエスト Supported by 日本生命」を開催。選手の登場曲が事前にファンから募集された曲に変更された。サンズの打席では、虎党が「ヒーローになってほしい」との願いを込め、FUNKY MONKEY BABYSの「ヒーロー」が流れた。矢野監督が現役時に登場曲に使用したこともあるこの曲。毎日、仕事を頑張る父親にエールを送る応援歌に乗って、2児のパパが発奮だ。虎党に、そして、いつも原動力になっている2人の息子に届ける一打で"ヒーロー"に近づいた。  1-1ので迎えた三回には、2死一塁から糸原が左翼ポール際に運ぶ勝ち越しの2号2ラン。「次に繋ごうという気持ちで打席に入った。甲子園の浜風が運んでくれました」。九里とはこの日の試合前まで通算対戦打率・480(25打数12安打)と好相性の男が、自己最長を再び更新する12試合連続安打で、主将の「宿命」(Official髭男dism)を果たすと、3-1の五回は2死三塁から、サンズの左前適時打で追加点。さらに続く4番の大山が左翼スタンドに5号2ランを放ち、甲子園の夜空を「HANABI」(Mr.Children)で彩った。  「前の2打席凡退していたので、借りを返すぐらいの気持ち。初球から思い切っていくと決めて、一発で仕留めることができてよかった」  大山が胸を張った。虎党の思いの詰まった曲がナインを後押しし、阪神は今季最多の5連勝。貯金も初の1とした。

◆福留は「5番・中堅」で先発。センターは16日ヤクルト戦でも試合途中からつとめたが、スタメンでは2014年9月10日の巨人戦(甲子園)以来2141日ぶり。43歳以上の中堅先発出場は、1956年、44歳の東映・岩本義行以来、史上2人目となった。三回1死二塁では西川のライナーにチャージしてキャッチし、飛び出した二走を刺すなど好プレーで先発の秋山をもり立てた。4打数無安打も、グラウンドに立てば存在感は光る。

◆先発した秋山は6回1/3を7安打4失点。「完投しないといけない展開のなか、気持ちが空回りした。中継ぎ陣に負担をかけてしまい申し訳ない」と反省しきりだった。それでも必死に踏ん張り、五回は左翼フェンス直撃の二塁打でチャンスメーク。愛媛・西条高時代からテーマソングだった「ガッチャマンの歌」で気合を入れた"アッキャマン"が粘りに粘って今季2勝目を挙げた。

◆4番も大きな「HANABI」で期待に応えた。大山は4-1の五回に5号2ラン。打った瞬間に確信できる打球は左翼席中段に着弾した。  「初球から振っていこうと思っていましたし、結果的にホームランになって、積極性という意味では自分の持ち味が出せたのかなと思います」  サンズの適時打で突き放した直後、2死一塁から九里の初球、高めツーシームを強打した。本塁打を放った5試合はチームも全勝。この日の大山の登場曲はMr.Childrenの「HANABI」で「(一発への期待に)応えることができてよかったです」と胸をなでおろした。  七回無死満塁では投ゴロ併殺も、打点はボーアに並んでチームトップの13。「トップは特段意識していません。(ただ)こだわっている数字でもあるので、まだまだ増やしていきたい」と意気込んだ。

◆高く舞い上がった打球が左翼ポール際のスタンドに飛び込んだ。チームを5連勝へ導く勝ち越し弾は、27歳のキャプテン・糸原が放った。  「完ぺきでした。自分でもビックリするぐらいのホームランが出て、最高でした」  1-1の三回2死一塁。ファンからリクエストされたOfficial髭男dismの「宿命」の登場曲とともに、この日2度目の打席へ。球界屈指の人気球団。賞賛も批判も、すべてを背負うのがキャプテンの「宿命」だ。逆境にもめけずに立ち向かってほしい-という虎党の切実な願いに糸原は応えた。  「逆方向(左翼)に打ったのは初めてです」  九里のシュートを振り抜くと、浜風にも後押しされた。自己最多の2号、そしてプロ通算6本目で初めて逆方向へのアーチだった。  自己最多の連続試合安打も「12」に。さらに2点差に追い上げられた直後の七回だ。北條の一発が飛び出し、なお無死二塁での第4打席は布袋寅泰のヒット曲「スリル」で登場。井上打撃コーチが春季キャンプ中、選手をしごいていたときに流した曲だ。糸原は絶妙に転がしてバント安打でチャンスを拡大させた。  「糸井さんの二塁打で球場が盛り上がっていたので。まあ『スリル』でバントなんで、ちょっとやわらいで。いいヒットになりました」  一時は借金が「8」まで膨らんだが、糸原の連続試合安打がスタートしてから、チームは10勝2敗だ。「(糸原)健斗がチームを引っ張っていっている。キャプテンになって(2年目で)地に足がついているというか、落ち着いて結果も出て。キャプテンになって成長しているのかな」と矢野監督。糸原は「スタートでつまずいて、キャプテンとしてもつらい思いをした。これから連勝を伸ばしていきたい」と言葉に力を込めた。(三木建次)

◆白球がスタンドに消えるのを確認すると、ダイヤモンドを一周しながら何度もガッツポーズした。途中出場の北條の今季初安打は、流れを再び引き戻す貴重なダメ押しのソロ。長く暗いトンネルを抜け、今年初めて上がったお立ち台で満面の笑みを浮かべた。  「ずっと打っていなかったので、前に飛んだのも久しぶりで、興奮しました!」  七回途中、遊撃守備から出場。2点差に迫られると、その裏、先頭で打席に立った。左腕・高橋樹の4球目、低めの直球を一閃。「最近もやもやしてたので、一気にすっきりしました!」。今季18打席目。ついに飛び出した快音が、チームこの日4本目の本塁打となり、ベンチで仲間にもみくちゃにされた。  つかえがとれたように2死二塁で迎えた八回には中越えの適時二塁打。「ホームランの後が大事だと思っているので、2打席目で打てたのは1番よかった」。殊勲の活躍に、矢野監督も「ジョー(北條)にとっても大きいし、チームにとっても大きい。また、ショートの(定位置)争いという部分でも、また面白くなる。すべてでよかったと思う」と称賛した。  今季ここまでは遊撃争いで木浪の後塵を拝し、スタメン出場は、わずか3試合。ベンチを温める日が続き「ヒットを打つ感覚が分からなかったくらい」に思い悩んだときもあった。2軍戦に出場し、実戦勘を取り戻しながら活躍の機会を待つ日々。この日も鳴尾浜での2軍の練習試合に「1番・遊撃」で出場し、1本のヒットを放ってから甲子園へ。試合前には福留にアドバイスをもらったといい「技術的なことです。そんなに複雑じゃなくて、顔がブレるというか、そういうところ。福留さんのおかげで打てました」と感謝した。  七回に打席に立った際の、ファンが選んだ登場曲は、いきものがかりの「笑ってたいんだ」-。ファンに背中を押され、北條はグラウンドで"笑って"みせた。  「今日、打つことができたので、これをきっかけにして、これからも打てるように頑張ります」  お立ち台では「期待していてください!」と誓った。7月生まれの夏男が、これからさらに虎を熱く、そして笑顔にさせていく。(織原祥平)

◆"100万円弾"から今季初5連勝、ついに貯金生活だ! 阪神はジェリー・サンズ外野手(32)が一回にバックスクリーンへ4号同点ソロを放つなど、広島に9-4で快勝した。ファンが選んだ登場曲で打席に立ち、チームは3年ぶりに甲子園で1試合4発。みんなの思いも背負って連勝街道を突き進む!!  薄暮の甲子園に、5連勝へ導く「ヒーロー」のアーチが架かった。痛快爽快、ド派手な4発の猛虎祭り! 号砲を鳴らしたのはバックスクリーンにぶち込んだサンズだ。"1発100万円"の超豪華弾で、猛虎打線に火をつけた。  「スライダーが頭にあって、このカウントでスライダーが来るんじゃないかなという思いがあった。準備はできていたし、それに対するいいスイングもできた。打ち損じずにとらえることができたね」  0-1と先制された直後の一回だ。カウント2-1から4球目、九里の124キロスライダーを狙い撃ちした。貴重な同点4号ソロは、チームとして今季初のバックスクリーンへの本塁打。今年新設された「ユニ・チャーム バックスクリーンホームラン賞」第1号となり、賞金100万円もゲットだ。「そんな噂も聞いていたよ。チームの勝ちに貢献できる本塁打だったと思うし、個人的にもうれしいね」。  3-1の五回には左前適時打で追加点を挙げ、打率・296に上昇。本塁打を放てば4戦4勝で、得点圏打率・417(12打数5安打)と勝負強さは際立っている。  名曲も背中を押した。この日からの広島3連戦では「~音楽で"もっと"つながる~選手登場曲リクエスト Supported by 日本生命」を開催。選手の登場曲が事前にファンから募集されたものに変更された。サンズの打席では、虎党が「ヒーローになってほしい」と願いを込め、FUNKY MONKEY BABYSの「ヒーロー」が響いた。  この曲は毎日、仕事を頑張る父親にエールを送る応援歌。言葉は分からなくとも、思いは届く。「いい歌に聞こえたよ。結果が出てよかったね」。お立ち台に立てば、トラッキー人形を愛する息子2人に渡したいと誓った。三振すると「息子に叱られるね」と嘆いた。口を開けば出てくるのは愛息の話ばかり。常にカッコいいパパであり続けたいと願う男にピタリとはまる曲だった。  現役時代「ヒーロー」を登場曲に選んだことがある矢野監督は「忘れていた」と苦笑い。そして「(ファンの)みんなの思いを込めてくれて、いい企画だと思う。だからこそ、勝ちたいというのが、俺の中ですごくあった」と目を細めた。  甲子園では3年ぶりの1試合4発で今季初の5連勝。貯金も初の「1」に。サンズの目にも自信がみなぎっている。  「スコアラーに投手の特徴、球種をしっかり教えてもらって、ビデオを見て、準備して試合に挑めている。打席に立ったときに余裕があるよ」  甲子園で輝くその姿は「ヒーロー」そのもの。応援してくれるファンのため、愛する息子のため、これからもパパは打ち続ける。(原田遼太郎)

◆開幕前、阪神を優勝候補に推した。それだけの戦力があると見ていたからだ。その見立てに沿った試合をしてくれるようになった。開幕直後はボーアを含めて不調の打者ばかりで、打順をころころ変えていたが、打線を固めたことでつながりが生まれてきた。捕手を梅野に固定したことも大きいでしょう。  サンズがいい仕事をした。彼は変化球をとらえるのが非常にうまく、飛距離を持っている打者。米国出身の打者なのだから、真っすぐに弱いということもない。韓国の打点王が、4番大山の前を打つわけだから、非常に厚みのある打線が組めている。ボーア、サンズがそろって打たない試合がほとんどないので、3点ビハインドでも逆転できる。そういう状況でベンチができる作戦は少ない。ひっくり返せるということは、大山や途中出場の北條をように一発長打のある力のある選手が多いということだ。  戦力的に考えても、巨人を追いかけるのは阪神しかいない。チームが好調の時に考えることは少ないが、悪くなる時も必ず来るので、いかに早くどう立て直すかがカギになる。打線の状態がいいときに岩崎、スアレスの前を投げるリリーフを整備することが急務であることも付け加えておきたい。(本紙専属評論家)

◆ガッツガッツガッツー!! わずか2週間ほど前は地獄の借金8だったのに、本日ついに貯金1まで快進撃を繰り広げた矢野ガッツ!!  同点の三回、プロ入り初の左への本塁打でカープを突き放した糸原のキャプテンガッツ!! てか糸原はん、あなた最近、お立ち台が多すぎません? もしかして、年間の指定席持っているとか? それならそれもOK!! 糸原用特別お立ち台つくったれー!!  七回、2点差に迫られて冷や汗タラタラ、なお1死満塁の大ピンチのピッチャーゴロを好捕してのゲッツーで、まるで高校生級の馬場ガッツ!!(まじでかわいかったよー!!)  そして、開幕から1カ月ノーヒットで苦しみ続けて、18打席目に放った安打が本塁打の北條ガッツー!!  6回1/3を投げ2勝目を挙げた秋山の裏ローテのエースもガッツ! ガッツ!! そー『ガッツがあれば何でもできる!!』。実は明後日24日は、新型コロナウイルスさえなければ、東京五輪の開幕日で、東京、いや日本中をあげてのお祭り騒ぎだったはず...。  しかし負けるかい、日本は!! 本日の虎ガッツ精神で大逆転のシアワセ日本になったろーぜ!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
1771 0.708
(↑0.012)
-
(-)
95133
(+4)
76
(-)
33
(+2)
17
(-)
0.269
(↑0.001)
3.010
(↑0.13)
2
(-)
ヤクルト
14102 0.583
(↑0.018)
3
(-)
94128
(+6)
128
(+4)
22
(+1)
19
(-)
0.261
(↓0.001)
4.560
(↑0.02)
3
(-)
阪神
13120 0.520
(↑0.02)
4.5
(-)
9599
(+9)
108
(+4)
28
(+4)
16
(+1)
0.250
(↑0.002
4.120
(↑0.01)
4
(-)
DeNA
12150 0.444
(↓0.018)
6.5
(↓1)
93107
(+4)
101
(+6)
24
(+2)
5
(+1)
0.277
(-)
3.710
(↓0.09)
5
(-)
広島
9142 0.391
(↓0.018)
7.5
(↓1)
95119
(+4)
125
(+9)
26
(+2)
11
(-)
0.289
(-)
4.720
(↓0.21)
6
(-)
中日
10171 0.370
(↓0.015)
8.5
(↓1)
9293
(-)
141
(+4)
15
(-)
5
(-)
0.250
(↓0.005)
4.700
(↑0.03)