阪神(★5対9☆)ヤクルト =リーグ戦5回戦(2020.07.15)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
20000220391401
阪神
0010031005922
勝利投手:マクガフ(2勝0敗0S)
敗戦投手:伊藤 和雄(1勝1敗0S)

本塁打
【ヤクルト】エスコバー(1号・6回表2ラン)
【阪神】糸原 健斗(1号・3回裏ソロ),ボーア(5号・7回裏ソロ)

  DAZN
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◆ヤクルトは4-4で迎えた7回表、村上が2点適時打を放ち勝ち越しに成功する。その後1点差とされて迎えた9回には、エスコバーと井野の連続適時打で3点を挙げ、試合を決めた。投げては、3番手・マクガフが今季2勝目。敗れた阪神は、投手陣が振るわなかった。

◆両チームのスタメンが発表された。先発投手は阪神がオネルキ・ガルシア(30)、ヤクルトがガブリエル・イノーア(27)。 阪神は前日14日に最下位を脱出した。開幕から5カード連続のビジターで出遅れたが、7月9日から本拠地阪神に戻り4勝1敗と好調だ。15日も勝って広島が負ければ、4位に浮上する。ヤクルト先発イノーアとは6月23日に神宮で対戦し、今季チームは初勝利を挙げた。勢いそのままに、助っ人右腕を再び攻略できるか。 ヤクルトは山田哲に代わって荒木が「2番二塁」で今季初スタメン。井野がイノーアと今季初めてバッテリーを組む。

◆ヤクルト打線が、阪神先発ガルシアの立ち上がりを攻めた。 1番坂口が左前打。無死一塁で、今季初めてスタメンに名を連ねた2番荒木が今季13打席目での初安打を左前に運び、チャンスを広げた。 1死一、二塁で4番村上がガルシアの初球、内角への143キロツーシームを右前打とし、1点を先制した。村上は「初回、先制のチャンスだったので強引にいかず、コンパクトに打つことができました。先制できてよかったです」とコメントした。 さらに1死一、三塁で西浦の犠飛で1点を追加。初回に2点を先制し、先発イノーアを援護した。

◆阪神梅野隆太郎捕手(29)が序盤から、梅ちゃんバズーカをさく裂させた。 0-2の2回2死一塁、二盗を試みた坂口に対して素早く二塁送球。余裕を持って阻止し、ピンチになる前に芽を摘んだ。 これで梅野は出場18試合で盗塁阻止5個を記録し、許した盗塁は1つのみ。10試合以上に出場した捕手の中で盗塁阻止5個はトップタイ、盗塁阻止率8割3分3厘はトップの数字だ。昨季ゴールデングラブ賞に輝いた女房役が、今年も守備で大きく貢献している。

◆阪神糸原健斗内野手(27)が、今季1号で反撃ののろしを上げた。 2点を追う3回2死、イノーアの内角に入った149キロ直球をとらえた。「しっかり強いスイングをすることができました」。打球はぐんぐん伸びてライトスタンドへ。今季初本塁打で1点をかえした。 初回は先頭の近本が出塁するも、続く糸原が併殺打に倒れていた。イノーアを前に攻撃の流れをなかなかつかめなかったが、主将の1発でベンチも勢いづいた。

◆阪神はこの試合から、ベンチの矢野監督やコーチ、控え選手らが黒や白のマスクの着用を始めた。控え捕手の原口はマスクを着けた状態で、ベンチ前で先発ガルシアの投球を受けた。 新型コロナウイルスの感染者が増えつつある社会情勢を踏まえたもので、球団は「昨今の新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑み、監督、コーチ、試合に出場していない選手については、試合中のベンチ内でのマスクの着用をチームとして推奨しています」と説明した。

◆阪神先発のオネルキ・ガルシア投手(30)に、ひやりとするアクシデントが起きた。 5回に先頭で打席に立つと意表を突くセーフティーバントを三塁前に転がした。一塁へ全力疾走で駆け抜けて内野安打としたが、直後に顔をゆがめ、左足を痛がるそぶりをみせた。慌てて矢野監督や福原投手コーチが駆けつけたが、ガルシアは途中交代せず、そのまま一塁走者として残った。 ガルシアは初回に2失点した後は5回まで無失点に抑えている。

◆ヤクルトのアルシデス・エスコバー内野手(33)が来日1号となる2ランを放った。 降雨による32分間の中断があけた6回2死二塁、阪神ガルシアの2球目144キロを左中間スタンドへ運んだ。ベンチのチームメートも大喜びで、エスコバーは笑顔でグータッチやハイタッチをかわした。66打席目での1号2ランに「NPB初本塁打がいい場面で打つことができて、ホントにうれしい。また、打てるように練習するよ」と喜びのコメントだった。 エスコバーへ投じた1球目の後に、ガルシアがボークの判定を受けて一塁走者の山崎が二塁へ進んでおり、相手の動揺から生まれた隙を逃さなかった。

◆阪神先発のオネルキ・ガルシア投手(30)が、6回6安打4失点で降板した。エスコバーに2ランを浴びた直後の6回に味方が同点に追いつき、黒星は消えた。 初回先頭の坂口から連打を浴びいきなり2点を失うも、そこから立て直した。走者を出しながらも5回まで無失点。その直後、5回裏の攻撃でガルシアにひやりとするアクシデントが起きた。 先頭で打席に立つと、意表を突くセーフティーバントを三塁前に転がした。一塁へ全力疾走で駆け抜けて内野安打としたが、直後に顔をゆがめ、左足を痛がるそぶりをみせた。慌てて矢野監督や福原投手コーチが駆けつけたが、ガルシアは交代せず、そのまま一塁走者として残った。 雨脚が強まり32分間中断となったが、6回もマウンドへ。テンポ良く2アウトを奪ったが、山崎に四球を出すと、エスコバーに対して1ボールからボークを宣告された。直後2死二塁から、高めに浮いたツーシームをとらえられ、左中間への2ランを許した。 続く6回の攻撃で代打を送られ降板。味方が一気に3点差を追いつき、ベンチのガルシアは拍手を送っていた。

◆阪神打線が6回に3点差を追いついた。 エスコバーに2ランを許しリードを広げられた直後の6回。この回に登板したヤクルト長谷川から、先頭のボーアが中前打を放つとサンズも四球で出塁。無死一、二塁から、梅野が中堅へ2点差に迫る適時打を放ち、長谷川をマウンドから引きずり下ろした。「ボーアとサンズが良い形でつないでくれたので、その流れに乗って打つことができました。ランナーをかえすことができて良かったです」。 続く木浪は代わったマクガフから犠打を決めて1死二、三塁とすると、代打福留が冷静に四球を選んで1死満塁。近本も四球を選び押し出しで1点差とすると、糸原が右翼へ大きな犠牲フライを放ち、同点に追いついた。「なんとしても追いつきたい場面だったので、ランナーをかえすことだけを考えて打席に入りました。最低限の仕事ができました」。 ボーアはこの日2本目の安打。梅野は前日14日の同戦で放った同点の2点適時打に続き、勝負強さを見せた。チームは前日に続き初回に2点を先制されたが、中盤以降に打線が底力を見せている。

◆ヤクルトの先発イノーア投手は、5回1失点でマウンドを降りた。 序盤は制球に苦しみ、逆球を狙われた。毎回走者を背負ったが、要所を締める投球で、失点は3回の糸原のソロ本塁打のみで切り抜けた。86球で被安打6、3奪三振だった。 井野とのバッテリーで阪神打線を抑え「昨日から井野捕手としっかりミーティングをして今日を迎えることができ、呼吸も合いしっかり抑えることができた。後は、チームが勝つことをベンチで見守る」とコメントした。

◆観客による声援で一時試合が止まった。 同点の7回1死満塁で、ヤクルトの4番村上を迎えた場面だった。一塁側から「能見ー!」とマウンドの左腕を応援する声が飛び交い、村上は2ボール1ストライクから構えたが、いったん打席を外した。 直後に球審がアナウンス席に近寄ると「お客様へお願いいたします。声を張り上げての応援はおやめ下さいませ」と球場にアナウンスが流された。 その後、村上が能見の5球目をとらえ、ヤクルトに2点の勝ち越しを許した。能見はこの日が6月30日中日戦(ナゴヤドーム)以来、7月に入って初登板だった。

◆阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)が反撃の来日5号を放った。 2点差とされた直後の7回1死、梅野の初球、高めに浮いた149キロの直球をとらえると、打球は大きな弧を描いて右中間スタンドへ飛び込んだ。 ボーアは5日広島戦(マツダスタジアム)から7戦4発、5カード連続アーチと絶好調。7回の打席まで4打数3安打と乗っており、お決まりのファイアボールポーズも飛び出した。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(20)が、勝ち越しの適時打を放った。 4-4で迎えた7回1死満塁で回ってきた第4打席。カウント2-2から阪神3番手能見の144キロ直球を中前へはじき返した。二塁走者の荒木も生還し、2点を挙げ逆転。一塁上でガッツポーズを決め「追い込まれていたので、何とか前に飛ばそうと必死にくらいついていきました。いい形になってよかったです」とコメントした。 カウント2-1になった際には、スタンドから能見への声援が相次ぎ、村上が打席を外した際に「声を張り上げての応援は、ご遠慮ください」というアナウンスが流れた。

◆阪神の先発オネルキ・ガルシア投手(30)が奮闘するも、先発として聖地での初勝利はまたもつかめなかった。 「初回以降何とか粘れていたけれど、最後のイニングを踏ん張ることができなくて悔しい」。粘って6回6安打4失点。今季初勝利もまた次回に持ち越しで、降板直後に味方が追いつき黒星が消えたことがせめてもの救いだった。 初回先頭の坂口から連打などでいきなり2点失った。ただショックは引きずらずその後は4イニング連続で無失点。5回の攻撃でガルシアにひやりとするアクシデントが起きた。先頭で打席に立つと、意表を突くセーフティーバントを三塁前に転がした。全力疾走し内野安打としたが、直後に顔をゆがめ、左足を痛がるそぶりをみせた。慌てて矢野監督や福原投手コーチが駆けつけたが、ガルシアは交代せず。気合の続投となった。 雨脚が強まり5回終了後から32分間中断となったが、6回もマウンドへ。テンポ良く2アウトを奪った後、山崎に四球を出すと、エスコバーに対して1ボールからボークを宣告された。2死二塁から、高めに浮いたツーシームをとらえられ、悔しい左中間への2ランを許した。 昨季はシーズン終盤にロングリリーフとして甲子園で3連勝。しかし、中日時代の18年から聖地で10試合に先発して0勝3敗と、なぜか先発では勝ちがつかない。今季の甲子園初登板だった前回9日巨人戦は6回1安打無失点と好投。チームは7回にボーアの2ランで勝利したが、奮闘した左腕に白星はつかなかった。次こそ、聖地で笑顔を見せる左腕の姿が見たい。【磯綾乃】

◆阪神の連勝が2で止まり、再び最下位に転落した。 先発ガルシアが初回に2失点。1点ビハインドで迎えた6回にも2失点し、リードを3点に広げられた。だが、直後の6回裏に反撃。ボーアのこの日2本目の安打から好機をつかむと、無死一、二塁から梅野が中前適時打。その後1死満塁から近本の押し出し四球で1点差。さらに2番糸原の右犠飛で同点に追いついた。 だが、7回表に伊藤和雄と能見が踏ん張れず、この回2点を勝ち越された。7回裏にはボーアの5号ソロが飛び出したが、最後は9回に突き放されての黒星。勝利した中日と入れ替わって、最下位となった。

◆ヤクルトが初回に村上の右前適時打で1点を先制。西浦の右犠飛で追加点を挙げた。阪神は3回に糸原の1号ソロで1点を返した。 5回終了後に降雨による中断を経て試合が再開。6回にはヤクルトがエスコバーの1号2ラン。阪神は梅野の適時打などで3得点。 ヤクルトは7回に村上の2点適時打で勝ち越し。9回にも3点を加えて逃げ切った。マクガフ2勝目。敗れた阪神は再び最下位に転落。伊藤和初黒星。

◆あんたが頼みの綱や! 阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)がヤクルト戦(甲子園)の7回に梅野から5号ソロを放った。球団の新助っ人では89年フィルダー以来の5カード連続本塁打。チームの連勝は2で止まって最下位に逆戻りしたが、元気なB砲がいれば大丈夫だ。開幕直後の不振はどこへやら。打率と打点、本塁打、安打で今やチーム4冠。巻き返しの一撃、頼みまっせ!希望が詰まったボーアの1発だ! 7回表に2度目のリードを許し、意気消沈の甲子園。ジェット風船を飛ばせない「ラッキー7」も、気候と似て湿り気味だった。しかし、B砲の快音で再びスタンドが沸いた。夜空に高々と舞い上がった白球が、右中間席で跳ねた。「いい感触だった。打てて良かったよ」。応援バットや手拍子による応援が一段と大きくなった。 2点を追う7回1死無走者の第4打席。ヤクルト4番手梅野の高め149キロ直球を仕留めた。一塁を回ってスタンドインを確認すると、右手で小さくガッツポーズ。2回、6回にも安打を放ち、今季2度目の猛打賞となった。 開幕当時が遠い昔のように感じる。大物助っ人として4番でシーズンを迎えたが、まさかの18打席連続無安打。初安打までに5試合を要し、打順も4番を降りた。「不要論」までささやかれたが、そこから本領を発揮。初安打翌日の6月25日ヤクルト戦から15試合は、49打数20安打5本塁打。打ちに打って、0割5分3厘からスタートした打率はこの試合でとうとう3割の大台に乗り、3割9厘まで急上昇。「(対戦カードが)2巡目に入って、ピッチャーに慣れてきた部分もある」。気づけば12打点と21安打を合わせ、チーム「4冠」となった。この間、約3週間。周囲の異論も、実力と結果ではね返した。メジャー92発の看板は、やはりだてではない。 矢野監督も「リズムとか出てきて、日本の野球に慣れてきた部分もある」と分析。6回の中前打では二塁を狙おうと大きなオーバーランを見せ、7番梅野の中前適時打では二塁からの激走で一気に生還。指揮官は「一生懸命、走っている。そういう姿を見せてくれると、チームとしては士気が上がる」と、助っ人の積極的な走塁姿勢も評価した。  この1発で他球団への"あいさつ回り"を済ませた。1日中日戦の今季1号から5カード連続アーチ。名刺代わりの1発とは、まさにこのこと。練習試合で好調時は、験を担いでひげをそらずにいたが、今も口周りにはたっぷりと蓄えている。チームは1日で最下位に逆戻りも、各球団に恐怖を印象付けたB砲。「勝つためにもっと打ちたい。切り替えて、明日からも勝ちにつながるバッティングをしたいね」。その打棒が、チーム上昇のカギを握っている。【奥田隼人】 ▼ボーアが7月1日中日戦から5カード連続本塁打を記録。阪神の外国人では、ゴメスが15年6月23日広島戦から7月9日中日戦に5カード連発して以来、5年ぶり。来日1年目の助っ人に限ると、フィルダーが89年7月7日ヤクルト戦から同22日巨人戦にかけての5カード連続以来、31年ぶり。

◆ヤクルトが初回に村上の右前適時打などで先制。5回終了後に降雨による中断を経て試合が再開。その後も点を加えて逃げ切った。ヤクルト高津監督 ゲーム前に暗いニュースが多くて、昨日負けているし、このままズルズルいくのが嫌だった。ゲーム内容はともかく、勝てたことがうれしい。

◆「能見ー!」「がんばれー!」。阪神ファンの声援は、耳に届いた。それでも、ヤクルト4番村上宗隆内野手(20)の集中力は途切れなかった。4-4で迎えた7回1死満塁でマウンドは阪神能見。カウント2-1で間を嫌い打席を外した。甲子園のスタンドからは、大声が上がった。直後に球審がアナウンス席に近寄ると「お客様へお願いいたします。声を張り上げての応援はおやめ下さいませ」の場内アナウンスが流れた。 異様な雰囲気の中、表情をピクリとも変えなかった。カウント2-2から、144キロ直球を中前へはじき返し2点勝ち越し。一塁上で、2度ガッツポーズをし「(ファンの声は)聞こえてました。結果的に、打てたので良かった」と冷静に振り返った。 3試合連続の先制タイムリーも放ち、打点は24まで伸ばしてリーグトップ。自分を信じて、回してくれたチームメートをかえすことが4番の仕事だ。「その数字は、出塁してくれる先輩がいるおかげ。もっと打点を増やしていきたい」。本塁打は7月2日広島戦の3号で止まっているが、得点圏打率4割6分2厘はチームトップの数字。高津監督も「走者がたまったところで、自分が何をすべきか。相手の心理状況、配球を読んだりして、成長の跡が見られる」と認める。4番村上の成長物語は、まだ始まったばかりだ。【保坂恭子】

◆ヤクルト山田哲人内野手(27)は、疲労の蓄積のため欠場した。 試合前の全体練習のアップには参加していたが、打撃練習や守備練習は行わなかった。ベンチメンバーには入っていた。 試合後、高津監督は「少しお疲れなので、いろいろ話をして決めました。哲人を外すというところは決断するのは難しかった。今後を考えると今は休んで、数日後にまた元気にスタメンに戻ってきてくれるのが、我々としては理想」とスタメンを外した理由を明かした。 コンディションの調整を優先するが「チャンスがあったら打席にも立つし。当たり前だけど、体の状態がよくなればまたすぐにスタメンにも戻る」と話した。

◆阪神の連勝が2で止まり、再び最下位に転落した。阪神矢野監督語録 -先発ガルシアは中断後に入り方も難しかった 矢野監督 いや、2アウト取っているし、入り方はちゃんといけたと思うけど、最後のもう1人っていうとこが、四球から。 -打線も粘り強かった 矢野監督 まあね。サンズもちょっと良くなってきているんで、そういうところは打線は良くなってきている部分もあるし、もうひと押しって部分ももちろん、あるかな。 -ボーアの好調の要因は 矢野監督 うーん、まあ、どうなんやろな。落ち着きというか、なかなかピッチャーでも野手でも難しいところやけど、リズムとか出てきていて、練習とかもしっかりやっている。日本の野球に慣れてきたという部分もあるのかな。 -走塁面も 矢野監督 よう走ってる。一生懸命走っているし、そういうプレーはみんな見ているんでね。うちはみんなはよく走ってくれてるけど、そういう姿を見せてくれるとチームとしては士気が上がる。ある意味チームとして当たり前のことなので。当たり前のプレーを大事にできるってことは、タイガースとしては大事にしているところ。 -7回1死満塁、村上を迎えた場面でベテラン能見が登板 矢野監督 難しいところやねんけど、和雄(伊藤)で何とか頑張ってくれたらというのはあったんやけど、あの打たれ方と、ちょっと四球がもったいなかったんで。まあ、最後、能見に託したんやけど。 -伊藤和、馬場は悔しさを次回に生かしてほしい 矢野監督 そりゃもちろんそうやし、ああいうところでうちも粘っていかないと上に行くって難しくなる。勝ちパターンの中で勝っていくっていうことは大事なことなんだけど、ああいう競ってる試合で追いついたり、1点負けてるっていう最後の馬場もあと1球というところ。石山もそんなに安定してない中で1点差だったらというところでね、最後託したんだけど。ああいうところで粘れる中継ぎ陣というか、そういうところでしっかり食い止めてくれれば。連勝とか大型連勝という形につながると思う。

◆矢野阪神の必死の継投も実らなかった。同点に追いついた直後の7回表。ベンチは2番手に伊藤和を送り出した。首脳陣が「勝利の方程式」を模索する中で、その一角入りの期待もかける右腕。直前の6回に同点に追いつき、流れを引き戻しただけに、ヤクルトの攻撃を抑え込みたかったが、思惑通りにはいかなかった。 伊藤和は2安打と1四球で1死満塁として、村上を迎えたところで交代。その後、6月30日以来の登板となった3番手能見が、村上に2点勝ち越しを許す中前打を浴びた。矢野監督は「難しいところやねんけど、和雄で何とか頑張ってくれたらというのはあった。あの打たれ方と、ちょっと(荒木への)四球がもったいなかった。最後、能見に託したんやけど」と振り返った。 7回にボーアの本塁打が出ていた。1点差のまま9回の攻撃を迎えれば...。だが、9回表も誤算だった。2死一、二塁。この回からマウンドに上がっていた馬場は、エスコバーにカウント2-2から左前適時打を打たれるなど3失点。突き放されてしまった。 矢野監督 うちも粘っていかないと上に行くのは難しくなる。勝ちパターンで勝っていくことは大事なんだけど、競ってる試合で追いついたり、1点負けている最後の馬場もあと1球というところで。粘れる中継ぎ陣というか。現状と課題としては、そういうところでしっかり食い止めてくれれば。連勝とか大型連勝という形にはなっていくのにつながると思う。 指揮官の言葉通り、逃げ切り勝利を重ねるだけでなく、僅差のビハインドや同点の場面から勝利をもぎ取ることが、浮上へのカギとなる。【松井周治】

◆阪神オネルキ・ガルシア投手(30)は、聖地での先発初勝利をまたもつかめなかった。「初回以降何とか粘れていたけれど、最後のイニングを踏ん張ることができなくて悔しい」。粘って6回6安打4失点。今季初勝利もお預けで、打線の奮起で黒星が消えたことがせめてもの救いだった。 初回に先頭坂口からの連打などで2点失った。2回から無失点で踏ん張り、5回の攻撃ではひやりとするアクシデントが起きた。先頭打者で意表を突くセーフティーバントを三塁前に転がした。全力疾走で内野安打としたが、直後に左足を痛がるそぶりで顔をゆがめた。矢野監督や福原投手コーチが駆けつけたが、ガルシアは交代しなかった。 雨脚が強まった5回終了後から32分間中断となったが、6回も気合の続投。しかしテンポ良く2アウトを奪った後、山崎に四球を出してエスコバーに対して1ボールからボークを宣告された。2死二塁から最後は高めに浮いたツーシームを捉えられ左中間への2ランを許した。福原投手コーチは続投について「尻上がりに良くなっていたし、ガルシアも難しい状況の中で気持ちを切らさずに準備してくれたので、なんとかあの回を粘って抑えてくれたらと思っていました」と説明した。 甲子園では昨季終盤にロングリリーフとして3連勝を挙げたが、先発試合に限ると、これで中日時代から10試合で0勝3敗と不思議と勝ちに縁遠い。奮闘した左腕が、聖地で浮かべる笑みを次こそ見たい。【磯綾乃】

◆ヤクルト高津臣吾監督(阪神に勝利) 「ゲーム前に暗いニュースが多くて、昨日負けているし、このままズルズルいくのが嫌だった。ゲーム内容はともかく、勝てたことがうれしい」

◆阪神は必死の継投も実らず敗戦。矢野燿大監督のコメント。 同点に追いついた直後の7回表、2番手に伊藤和を送り出したが2安打と1四球で1死満塁として、村上を迎えたところで交代。その後、3番手能見が、村上に2点勝ち越しを許す中前打を浴びた。 「難しいところやねんけど、和雄で何とか頑張ってくれたらというのはあった。あの打たれ方と、ちょっと(荒木への)四球がもったいなかった。最後、能見に託したんやけど」 7回にボーアの本塁打が出ていた。1点差のまま9回の攻撃を迎えれば...。だが、9回表、2死一、二塁。この回からマウンドに上がっていた馬場は、エスコバーにカウント2-2から左前適時打を打たれるなど3失点。 「うちも粘っていかないと上に行くのは難しくなる。勝ちパターンで勝っていくことは大事なんだけど、競ってる試合で追いついたり、1点負けている最後の馬場もあと1球というところで。粘れる中継ぎ陣というか。現状と課題としては、そういうところでしっかり食い止めてくれれば。連勝とか大型連勝という形にはなっていくのにつながると思う」

◆あんたが頼みの綱や! 阪神ジャスティン・ボーア内野手(32)がヤクルト戦(甲子園)の7回に梅野から5号ソロを放った。球団の新助っ人では89年フィルダー以来の5カード連続本塁打。チームの連勝は2で止まって最下位に逆戻りしたが、元気なB砲がいれば大丈夫だ。開幕直後の不振はどこへやら。打率と打点、本塁打、安打で今やチーム4冠。巻き返しの一撃、頼みまっせ!希望が詰まったボーアの1発だ! 7回表に2度目のリードを許し、意気消沈の甲子園。ジェット風船を飛ばせない「ラッキー7」も、気候と似て湿り気味だった。しかし、B砲の快音で再びスタンドが沸いた。夜空に高々と舞い上がった白球が、右中間席で跳ねた。「いい感触だった。打てて良かったよ」。応援バットや手拍子による応援が一段と大きくなった。 2点を追う7回1死無走者の第4打席。ヤクルト4番手梅野の高め149キロ直球を仕留めた。一塁を回ってスタンドインを確認すると、右手で小さくガッツポーズ。2回、6回にも安打を放ち、今季2度目の猛打賞となった。 開幕当時が遠い昔のように感じる。大物助っ人として4番でシーズンを迎えたが、まさかの18打席連続無安打。初安打までに5試合を要し、打順も4番を降りた。「不要論」までささやかれたが、そこから本領を発揮。初安打翌日の6月25日ヤクルト戦から15試合は、49打数20安打5本塁打。打ちに打って、0割5分3厘からスタートした打率はこの試合でとうとう3割の大台に乗り、3割9厘まで急上昇。「(対戦カードが)2巡目に入って、ピッチャーに慣れてきた部分もある」。気づけば12打点と21安打を合わせ、チーム「4冠」となった。この間、約3週間。周囲の異論も、実力と結果ではね返した。メジャー92発の看板は、やはりだてではない。 矢野監督も「リズムとか出てきて、日本の野球に慣れてきた部分もある」と分析。6回の中前打では二塁を狙おうと大きなオーバーランを見せ、7番梅野の中前適時打では二塁からの激走で一気に生還。指揮官は「一生懸命、走っている。そういう姿を見せてくれると、チームとしては士気が上がる」と、助っ人の積極的な走塁姿勢も評価した。 この1発で他球団への"あいさつ回り"を済ませた。1日中日戦の今季1号から5カード連続アーチ。名刺代わりの1発とは、まさにこのこと。練習試合で好調時は、験を担いでひげをそらずにいたが、今も口周りにはたっぷりと蓄えている。チームは1日で最下位に逆戻りも、各球団に恐怖を印象付けたB砲。「勝つためにもっと打ちたい。切り替えて、明日からも勝ちにつながるバッティングをしたいね」。その打棒が、チーム上昇のカギを握っている。【奥田隼人】 ▼ボーアが7月1日中日戦から5カード連続本塁打。阪神の外国人では、ゴメスが15年6月23日広島戦から7月9日中日戦に5カード連発して以来、5年ぶり。来日1年目に限ると、フィルダーが89年7月7日ヤクルト戦から同22日巨人戦にかけての5カード連続以来、31年ぶり(フィルダーは同年38本塁打)。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(20)が15日、阪神5回戦(甲子園)に「4番・一塁」で先発出場。一回1死一、二塁から先制の右前適時打を放った。  相手の先発左腕・ガルシアが投じたツーシームを振り抜き「初回先制のチャンスだったので、強引にいかずコンパクトに打つことができました。先制できてよかったです」。12日の巨人戦(ほっと神戸)から3戦連続での先制打となった。

◆キャプテンが反撃の一発だ。阪神・糸原健斗内野手(27)が今季1号ソロを放った。  「しっかり強いスイングをすることができました。早い回で逆転できるように頑張ります」  0-2の三回。2死で打席に立つと、カウント1-0からイノーアの149キロ直球を振り抜くと、白球は右翼スタンドに飛び込んだ。糸原はこれが今季初アーチで、昨年8月20日もDeNA戦(京セラ)以来の本塁打となった。

◆阪神は15日のヤクルト戦(甲子園)から矢野監督、コーチ陣、出場していない選手がベンチ内でマスクを着用して試合を行った。全国的に新型コロナウイルスの感染者が増加。日本野球機構(NPB)が作成した試合開催のガイドラインでは義務付けられてはいないが、球団広報は「昨今の新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑み、チームとして推奨しています」と説明した。  大阪府は15日、小学生から80代までの男女61人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日に発表された人数としては、緊急事態宣言の解除後で最も多い。

◆阪神が梅野隆太郎捕手(29)の適時打、糸原健斗内野手(27)の犠飛などで同点に追いついた。  1-4の六回。先頭のボーアが中前打、続くサンズが四球を選び、無死一、二塁の好機を作ると梅野が長谷川から中前へ適時打を放ち、まずは1点を返す。  さらに、木浪の犠打、福留の四球で1死満塁。近本が押し出しの四球で1点差に迫ると、糸原が右翼へ犠飛を放ち、同点に追いついた。

◆15日に行われている阪神-ヤクルト戦(甲子園)の七回表の阪神の守りで、1死満塁となると、観客席からは「能見~!」と大声での声援が響いた。試合はその声援により、一時ストップ。「大声での応援はお控えくださいますよう、お願いいたします」と場内アナウンスが流れ、注意が促された。  プレーが再開されると、能見は4番・村上に中前へ2点打を許し、勝ち越し点を献上。なおも1死一、二塁とされたが、西浦を遊ゴロ、山崎を空振り三振に仕留めて、ピンチを脱した。  新型コロナウイルス感染予防の観点から、球場内での大声での応援は、自粛することを求められている。

◆ヤクルトの新助っ人、アルシデス・エスコバー内野手(33)が15日、阪神5回戦(甲子園)に「7番・遊撃」で先発出場。2-1と1点リードの六回2死二塁から、左中間席へ来日1号2ランを放った。  先発左腕・ガルシアが投じた144キロの直球を一閃。来日66打席目での初アーチに「NPB初本塁打が良い場面で打つことができて本当にうれしい。また打てるように練習するよ」と振り返った。

◆阪神の新外国人、ジャスティン・ボーア内野手(32)の5号ソロで5-6の1点差に迫った。  「打ててよかったけど、まだ負けているからチーム一丸となって逆転できるように頑張るよ」  4-6の七回1死で打席に立と、4番手・梅野の初球、高めの149キロ直球を振り抜いた。高々と上がった打球は中堅右へと着弾し、反撃となるソロアーチ。ベンチでは代名詞となった"ファイアボール"も飛び出した。  ボーアは3安打目で猛打賞。8試合連続安打と絶好調だ。打率・313、5本塁打、21安打、12打点はすべてチームトップの4冠王だ。

◆阪神はヤクルトに5-9で敗れ、連勝は2で止まった。  1-4の六回に梅野の適時打、近本の押し出し四球、糸原の犠飛などで同点に追いついた。  だが、七回に中継ぎが捕まった。2番手の伊藤和が1死満塁のピンチを作ったところで能見にスイッチしたが、村上に勝ち越しの2点適時打を浴びた。  その裏、好調ボーアが5号ソロを放ち、5-6と1点差に迫ったが、八回、5番手の馬場が3失点と崩れた。  今季先発4戦目のガルシアは6回6安打4失点で初白星をつかめなかった。6位の中日が勝ったため、阪神は1日で最下位に逆戻りとなった。

◆2位のヤクルトが阪神に9-5で競り勝った。首位の巨人は広島に大勝しており、ゲーム差は0・5のままとなった。  打点トップをひた走るヤクルトの若き主砲・村上が試合を決めた。4-4で迎えた七回1死満塁、阪神・能見から中前2点適時打。一回は右前適時打を放っており、この日3打点で今季24打点とし、勝負強さを見せつけた。  阪神はその裏、ボーアの5号ソロで1点差に迫ったが、ヤクルトは九回に猛攻。六回に1号2ランを放ったエスコバーが2死一、二塁で左越え2点適時二塁打、井野が中前適時打を放って3点を追加し9-5と突き放した。その裏、ヤクルトは石山が三者凡退で逃げ切った。  ◆ヤクルト・村上宗隆内野手 「(七回の中前2点適時打について)打ったのはストレート、追い込まれていたので何とか前に飛ばそうと必死に食らいついていきました。良い形になって良かったです」

◆阪神は追い上げたが、リリーフ陣が打ち込まれ、連勝は2でストップ。ヤクルトに5-9で敗れ、再び最下位に転落した。  矢野監督は反発力を見せた打線については「サンズもちょっとよくなってきているんで、打線はよくなってきている部分もある。(5号ソロのボーアは)練習とかもしっかりやっているし、日本の野球に慣れてきたという部分もあるのかな」と話した。  七回1死満塁で村上を迎えて能見を投入した場面については「難しいところやねんけど、和雄(伊藤和)で何とか頑張ってくれたらというのはあったんやけど。ちょっと四球がもったいなかったんで。まあ、最後、能見に託したんやけど」と話した。  期待をかけている伊藤和、馬場が失点したことについては「ああいうところでうちも粘っていかないと上に行くって難しくなるんで。きょう出た投手が、そういうところでしっかり食い止めてくれれば。連勝とか大型連勝という形にはなっていくのにつながると思う」と話した。

◆ヤクルトの山田哲が今季初めて欠場した。「2番・二塁」で先発出場を続けていたが、7月は月間打率が1割4分6厘と不振だった。高津監督は「すごく疲労がたまっている。決断するのは難しかったが、本人と話をして決めた」と休養を挟み、復調につなげる考えを示した。

◆福留は2-4の六回1死二、三塁で2試合ぶりに代打で登場。四球を選んで近本の押し出し四球につなげた。そのまま今季初の右翼の守備に就くと、2度の守備機会をこなした。八回先頭で再び打順が回ってきたが、中飛。球界最年長として迎えた今季は打率・120で本塁打、打点なしと苦しい状態が続いている。

◆近本は足で存在感を放った。六回1死満塁で押し出しの四球を選ぶと、2死一、三塁の糸井の打席で、初球で二盗に成功。5日の広島戦(マツダ)以来、6試合ぶりとなる盗塁は今季6個目で、セ・リーグトップに躍り出た。一回の第1打席では先発・イノーアの甘く入ったスライダーを中前へ。バットでもきっちり結果を残した。

◆ガルシアは6回6安打4失点と粘り切れず、今季初白星はまたもつかめず。「初回以降は何とか粘れていたけど、最後のイニングを踏ん張ることができなくて悔しい」。一回に4番・村上の適時打と西浦の犠飛で2失点。六回には2死二塁でエスコバーに2ランを浴びた。五回にはセーフティーバントを成功させ、激走のあまり足を気にするシーンもあったが、報われなかった。

◆ヤクルトのアルシデス・エスコバー内野手(33)が来日1号となる2ランを放った。雨による中断から明けた後の六回2死二塁で、左中間席に運んだ。  「NPBでの初本塁打を良い場面で打つことができて、本当にうれしいよ。また、打てるように練習するよ」  2017年に米大リーグ、ロイヤルズでチームメートだったガルシアの144キロの直球を振り抜いた。出場18試合目、66打席目での初本塁打に、ベンチも大盛り上がりで迎えた。四回に左前打、八回に中前打、九回には左前適時打も放ち、5打数4安打3打点。8日の中日戦(ナゴヤドーム)に続く4安打の固め打ちだった。

◆勝負強い打撃にバズーカもサク裂! 敗戦の中で梅野の活躍が光った。  「ボーアとサンズがいい形でつないでくれたので、その流れに乗って打つことができた。走者をかえすことができてよかった」  1-4の六回無死一、二塁、2番手・長谷川の甘く入ったチェンジアップをとらえて、中前へタイムリー。2打数1安打2四球と3度の出塁でチャンスメークし、これで打率・352(54打数19安打)とした。きょうにも規定打席に到達し、チームの打率トップに立つことが濃厚だ。  守備では二回2死一、三塁で一走・坂口の二盗を阻止し、先発・ガルシアを援護した。今季、盗塁阻止率・833でリーグトップを維持。攻守の中心として、次こそチームを勝利へ導く。(織原祥平)

◆黒いマスクで顔を覆った将は激しく動く展開を鋭い視線でみつめ続けた。紙一重の勝負を分けたのは、中盤から終盤の投手陣。矢野監督は最大の課題をかみしめた。  「ああいうところで粘れる中継ぎ陣というか。ゲームがあれだけ動き出すと、なかなか止められないんだけど、そういうのはいまの現状と課題」  雨で32分間の中断を挟んだ六回、続投したガルシアがエスコバーに2ランを浴び、3点差に広げられた。それでもすぐに追いついて迎えた七回、リリーフ陣にも誤算が待っていた。  2番手で投入した伊藤和が1死満塁を招いて能見にスイッチ。ベテラン左腕は6月30日の中日戦(ナゴヤドーム)から中14日だ。アルモンテに満塁弾を浴びて以来のマウンドが、フルベースで主砲の村上と対戦。中前に勝ち越しの2点打を浴び、決勝打になった。指揮官は「(伊藤)和雄で何とか頑張ってくれたらというのはあったんやけど」と振り返った。  1点差の九回も馬場が3連打を浴びるなど3点を失い、勝負は決した。クローザーの藤川が右肩のコンディション不良を訴えて12日に出場登録を抹消。「勝利の方程式」の再構築は現在のチームの課題だ。  岩崎とスアレスを軸に、このカード前に指揮官は「和雄とか馬場とか」と名前を挙げた。前日14日のヤクルト戦(甲子園)でプロ初ホールドを記録し、今季5試合無失点だった馬場。2軍監督時代にファームで抑えも任せた伊藤和のマウンド度胸。期待した2人がつかまり、悔しい1敗を喫した。  「ああいうところで粘っていかないと、上にいくって難しくなるんで」 守護神不在のリリーフ陣の整備は急務だ。勝ちパターンの確立に限らず、この日のような競り合いでの星取りの積み重ねがペナントを占う。個々の状態の見極めや起用法も将の仕事だが、並行して底上げを実現することも浮上の鍵になる。  「きょう出た投手のね、そういうところでしっかり食い止めてくれれば。連勝とか大型連勝という形につながると思う。まあ、そこかな」  窮地であると同時にチームの進化のチャンス。若虎に期待するからこそ、奮起を促した。(安藤理)

◆頼りになるキャプテンが甲子園の夜空にアーチを描いた。糸原が今季初本塁打を放ち、ダイヤモンドを一周。ナインからは"アロハポーズ"で出迎えられた。  「しっかり強いスイングをすることができました」  0-2の三回2死だ。カウント1-0からイノーアの内角149キロの直球をフルスイングすると白球は右翼スタンドに飛び込んだ。昨年8月20日のDeNA戦(京セラ)以来、実に330日ぶりの本塁打だ。  175センチと小柄ながら2018年の春季キャンプでは金本監督(当時)から同年新加入したロサリオをもじって「コサリオ」と称され、そのパンチ力はお墨付き。その力を発揮し、目の覚めるような一発を放った。  勢いは止まらない。六回、3-4と1点差に迫まり、なおも1死満塁と反撃の好機で打席に立つ。マクガフの低め152キロの直球をすくい上げると右翼へ大きな飛球。一時同点となる犠飛となった。「なんとしても追いつきたい場面だったので、ランナーをかえすことだけを考えて打席に入りました。最低限の仕事ができた」。得点圏できっちり仕事を果たした。  近本、ボーアと並び、ここまで全試合出場。18年から全試合出場を続けてきており、常にグラウンドに立ち、チームを引っ張ってきた。五回にも1死一塁から中前打を放っており、この日4打数2安打2打点と躍動。自己最長タイとなる7試合連続安打をマークするなど打撃好調。打率も・266まで上昇した。  チームは敗れたが、主将が奮闘。これからも「C」マークの誇りを持って戦っていく。(菊地峻太朗)

◆阪神はヤクルトに5-9で敗れた。一夜で最下位に再び転落したが、ジャスティン・ボーア内野手(32)が七回に5号ソロを放つなど8試合連続安打をマークし、今季2度目の猛打賞で打率・309に上昇。チーム4冠に躍り出た助っ人が、きょうこそ勝利に導く。  雨上がりの甲子園の夜空にとてつもない放物線が架かった。完璧な手応えに、ボーアがゆっくりと走り出す。高々と舞い上がった打球が、1秒、2秒、3秒...まだ落ちてこない。長い長い滞空時間を経て、ようやくスタンドに着弾した。  「(ホームランは)いい感触だったよ。勝つためにもっと打ちたいし、きょうは負けてしまったけど、切り替えて、あすからも勝ちにつながるようなバッティングをしたいね」  試合後は、敗戦の悔しさをにじませたB砲。それでも見るものの度肝を抜いた一撃が、虎党の留飲を下げたことは間違いない。  4-6で迎えた七回だった。梅野の初球。高めに浮いた149キロの直球を今のボーアが見逃すはずがなかった。右中間へ運ぶ特大の5号ソロ。沸き起こる大歓声に、お決まりの"ファイアボール"で応えた。  二回の第1打席はイノーアの151キロの直球を右前にはじき返した。六回の第3打席は、左腕・長谷川の151キロ直球をしぶとく中前へ。苦手とされていた対左投手の打率もこれで・269まで上昇。もう右も左も関係ない。8試合連続安打に、7月4日の広島戦(マツダ)以来、今季2度目の猛打賞と暴れまわった。  日本の野球に苦しみ、もがいていたあの頃の助っ人はもういない。開幕してから19打席目で来日初安打を放ち、この時点で打率・053。ここからコツコツと安打を積み重ねたが、7月2日の中日戦(ナゴヤドーム)終了時点でまだ・184。そこからの大爆発で・309は今やチームトップ。今季通算21安打も、12打点も、もちろん5本塁打も虎1位で、実にチーム4冠の働きぶり。いまの阪神打線を支えているのはまぎれもなくボーアだ。  「2巡目に入ってピッチャーに慣れてきた部分もあるし、情報も入ってきているよ」  開幕から5カード連続のビジター戦を終え、対戦経験のある投手と再び相まみえることも増えた。「条件は相手も同じ。違ったプランを立ててくるだろうから、またそれに対応していきたいね」。郷に入れば郷に従えと、来日後から勉強した日本語で、チームメートと会話をする姿も目立つ。コーチ、スコアラーだけでなく、実際に対戦した"生の声"も取り入れ、日本野球に順応している。  チームはたった一夜で最下位に逆戻りとなった。それでも、獅子奮迅の活躍を見せたボーアに矢野監督は「落ち着きとか、リズムとか出てきた。練習もしっかりやっているし、日本の野球に慣れてきた部分もあるかな」と目を細めた。  会心の一撃は空砲となったが、ボーアは「勝てるように頑張るだけだよ」と力を込めた。貧打の虎はもういない。頼もしい助っ人が次こそ勝利につながる一撃を放つ。(原田遼太郎)

◆これぞ4番の働き! セ・リーグ2位のヤクルトは15日、阪神5回戦(甲子園)に9-5で勝った。4番・村上宗隆内野手(20)は一回に3試合連続となる先制打を放つと、4-4で同点の七回1死満塁では、中前に勝ち越しの2点打。3打点でリーグトップの24打点とした若き主砲の活躍で、首位・巨人とそろっての勝利。0・5ゲーム差のまま食い下がった。  仲間が作ってくれた絶好機に、若き4番が自慢のバットで応えた。同点の七回1死満塁で、村上が決勝の中前2点打。一塁上で右拳を固め、両手を挙げて三塁ベンチに向かって喜びを表現した。  「2ストライクだったので、何とか前に打球を飛ばして点を取れればなと思って振りました」  勝敗を左右する大事な局面。代わったばかりの左腕・能見がカウント2-2から投じた直球を、はじき返した。五回終了後に降雨で32分間の中断を挟んだ後に、両軍が加点して再び動き出した熱戦を、勝利に導いた。  始まりも村上が告げた。一回、1死一、二塁で左腕・ガルシアのツーシームを右前へ。12日の巨人戦(ほっと神戸)から3戦連続の先制打だ。  20歳にして、4番の重責を果たしている。3打点を挙げ、チーム21試合目でリーグトップの24打点。今季は120試合に減ったが、このままならシーズン137打点ペース。得点圏打率も堂々の・462で「4番の仕事なので」と胸を張った。  2軍監督時代から村上を4番で起用し続ける高津監督も、急成長に目を細める。「相手の心理状況であったり、時には配球を読んだり、すごい成長の跡は見られる。『打ってくれ』と願って見ているだけだけど、結果がついてくるとチームからもそういう目で見られるだろうし、それが4番だと思う」。かつての「期待」は、いまや「信頼」へと変わっている。  打棒だけではない。普段から声でもチームを鼓舞する姿勢は、38歳の主将・青木の背中を見て培われた。オフシーズンは2年連続で、米ロサンゼルスでの自主トレーニングに同行。ブレークを果たした昨季は、青木に厳しい言葉をかけられることも多かったが、その愛情と姿勢に憧れた。  「すごく厳しく言っていただけたので、そこで緩んでいた気持ちがピリッとなったり、本当に助けてもらっています。青木さんみたいにチームを引っ張れる存在になりたいと思っている」  昨季はチームでただ一人、全143試合に出場。今季もここまで全21試合に出場している。捕手の中村や嶋が故障で離脱。この日は、開幕投手を務めた石川が上半身のコンディション不良で出場選手登録を抹消され、山田哲は疲労を考慮されて今季初めて欠場した。  「ゲーム前に暗いニュースが多くて」と指揮官は苦境を認めた一方で、「昨日も負けているし、ズルズルいくのが嫌だったので、勝てたことがすごくうれしい」と、勝った首位・巨人との0・5ゲーム差を保つ勝利を喜んだ。その笑顔を引き出したのは、不動になりつつある4番。背番号55が、燕軍団の強さの象徴だ。(赤尾裕希)

◆六回に3点差を追いついたのに、何しとんねん、もったいない黒星やんかー!! と、怒る虎党がいてもいい...。いや、それがファンとして普通の感情だと思う。でも、決してへそ曲がりなわけではなく、俺は阪神日本一のための価値ある黒星だと思ったのだ!!  六回を終了して4-4の同点...。その時、矢野監督はこの試合の勝利と同時にこの先のペナントレースを勝ち抜く『若虎投手陣の勉強会』を開催したのだった。  それが、七回から先日プロ初勝利の伊藤和-(べテラン・能見をはさみ)-22歳の望月-前日プロ初ホールドをマークした2018年ドラフト1位・馬場の継投なのだ。  今季はコロナの影響があり、ペナントレースが120試合に減ったとはいえ、まだ先は長い...。ならば今、目の前の勝ち負けではなく、それを探すことが大切である、という決断だったのだ。望月良かったー!!  ま、ここのところの快進撃やボーア、サンズの助っ人が働けるメドがついたことが、今季Vを狙える証しであるということです。よって、本日は『日本一のために必要な黒星』と、おだやかに全国の虎党の皆さん受け止めましょう。

◆この先、阪神が接戦をものにできるかどうかは六、七回に登板する中継ぎの踏ん張りに掛かっている。先発が五回まで投げたと想定し、八、九回は岩崎、スアレスがいる。六、七回の候補が、この日登板した伊藤和、馬場、望月らだ。彼らは今後、リード、同点、ビハインドのすべてで登板する可能性がある。  この日の試合で、3人に共通点があった。全員が登板直後の先頭打者の出塁を許した。救援として一番やってはいけないこと。そして、全員がここ一番での勝負球が甘くなっていた。もったいない。さらに付け加えれば、全員が素晴らしいフォークを投げていた。最高の決め球を持ちながら、抑えられなかった。理由は、その球を制球できていないからだ。  たとえば、馬場が九回にエスコバーに致命的な7点目の左前打を浴びたシーン。カウント2-2から、梅野のリードはボールになってもいいフォークの要求だった。が、力んでしまい、真ん中に入って痛打された。せっかくの決め球も、思ったコースに投げられなければ意味がない。  1度や2度の失敗で登板機会がなくなるとは思わない。どんな状況でも決め球を制球できる準備をしてもらいたい。(本紙専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
1271 0.632
(↑0.021)
-
(-)
100109
(+12)
66
(+1)
25
(+2)
13
(-)
0.264
(↑0.003)
3.270
(↑0.12)
2
(-)
ヤクルト
1281 0.600
(↑0.021)
0.5
(-)
99104
(+9)
102
(+5)
21
(+1)
16
(-)
0.249
(↑0.007
4.380
(↓0.03)
3
(-)
DeNA
12100 0.545
(↓0.026)
1.5
(↓1)
9897
(+1)
76
(+2)
21
(+1)
4
(-)
0.283
(↓0.002)
3.370
(↑0.05)
4
(-)
広島
8111 0.421
(↓0.023)
4
(↓1)
10095
(+1)
93
(+12)
21
(+1)
7
(-)
0.283
(↓0.005)
4.340
(↓0.36)
5
(1↑)
中日
9131 0.409
(↑0.028)
4.5
(-)
9778
(+2)
114
(+1)
13
(-)
4
(+1)
0.257
(-)
4.790
(↑0.17)
6
(1↓)
阪神
8120 0.400
(↓0.021)
4.5
(↓1)
10061
(+5)
93
(+9)
21
(+2)
14
(+1)
0.239
(↑0.002
4.480
(↓0.2)