◆ソフトバンクは４回表、柳田の適時打で先制する。３－０で迎えた８回には、柳田と上林の適時打などで４点を挙げ、リードを広げた。投げては、先発・和田が６回１安打無失点の好投で今季２勝目。敗れたオリックスは、打線が２安打と沈黙し、救援陣も振るわなかった。

◆オリックスの鈴木優投手がソフトバンク戦初先発で6回1失点と力投したが、2敗目を喫した。 4回1死から今宮、柳田に連打され1失点も、内野陣の好守にも支えられ追加点は許さず。前回登板の8日日本ハム戦で4回7失点と崩れた反省を生かし「前回登板ではできなかったマウンド上での修正ができていましたし、全体的にはストライク先行で自分らしいピッチングができていたと思います」と次につながる投球を見せた。だが7回以降は山田らが打ち込まれ、大差がついた。

◆序盤は両チームともに無得点。オリックス先発の鈴木優は3回までソフトバンク打線を無安打に抑え、4三振を奪った。 ソフトバンクが4回に1点を先制した。1死から今宮がチーム初安打となる二塁打。柳田が右前に適時打を放ち、先制点を奪った。 ソフトバンクは7回に2点、8回に4点と終盤に加点し快勝。今季初の5連勝。和田が2勝目。オリックスは今季2度目の完封負けとなった。鈴木優は2敗目。

◆ソフトバンク上林誠知外野手のバットが上昇気配だ。背中の張りがあったため、ここ5試合は先発を外れていたが、8日楽天戦以来の先発出場。1－0でリードしていた7回2死一塁で、右翼席へ大きな追加点となる3号2ランを運んだ。 途中出場で打った前日に続く2試合連発に「ほしい場面での追加点だったので、この試合の中では大きかったなと思います」と振り返った。8回にも右前に適時打を放ち4打点。6月24日の西武戦以来となる複数安打を決めた。 考え方はシンプルに。絶好調の先輩、柳田流がプラスに働いている。「柳田さんのコメントとか見ていても『来た球を強く振ることしか考えていません』というのをよく見る。まねしていきたいですね。技術は聞いても訳わかんないけど、考え方はまねできるので」。しっかり自分のスイングをする意識が、好結果につながっている。

◆ソフトバンク今宮健太内野手がうれしい誕生日プレゼントを手にした。7月15日は29歳のバースデー。4回1死からチーム初安打の左中間二塁打で出塁すると、柳田の適時打で先制のホームを踏んだ。 8回にも右前打を放つ活躍で「和田さんが『健太の誕生日だから勝ちたかった』と言ってくれていたので、勝利に少しでも貢献できて良かったです」と笑顔。先発勝利を挙げた和田からウイニングボールが贈られた。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手の勢いが止まらない。0－0の4回1死二塁。右前へ決勝点となる先制適時打を運んだ。8回にもダメ押しの中前適時打を放ち、3試合連続のマルチ安打を決めた。 ここ10試合は36打数18安打で打率5割の絶好調。「ここ数試合は、集中して丁寧な打席が増えていると思うので、継続していきたいです」。前日リーグトップに立った打率も3割6分6厘まで上げた。

◆オリックスは連敗で、日本ハムと並んで最下位に落ちた。5本塁打、19打点でチーム2冠ながらソフトバンク和田との対戦成績は通算2割3分8厘のT－岡田を今季初めて先発から外し、ベテラン左腕に挑むも今季2度目の完封負け。 出番のなかったT－岡田について、西村監督は「それはいろいろ考えたところで」と語るにとどめたが、2安打に封じられた打線には「もっと打っていかないといけない。ヒット数がヒット数ですから」と奮起を促した。

◆ソフトバンク和田毅投手（39）がベテランの投球術で2勝目を挙げた。疲労を考慮され中10日で臨んだ先発で、6回までわずか1安打88球で無失点。最速141キロながら、直球と変化球を低めに集めた。チームは観客が詰めかけた10日から負けなしの5連勝。ベテラン左腕の躍動で今季初の貯金2とし、2位タイに浮上した。この日最後の1球が、最速を記録した。和田が投じた88球目だった。6回2死走者なし。リードはわずか1点。オリックスが誇る強打者吉田正に141キロの直球を投げた。やや詰まらせた打球は力なく遊ゴロとなった。6回1安打無失点。緊迫した展開で、二塁すら踏ませなかった。 和田　最後の最後に力を振り絞りました。7回も投げなければいけないけど、精も根も尽き果てました。 開幕からローテーションを守って3戦を投げ、今季初勝利を挙げた4日以降、登録を抹消されて中10日で挑んだマウンド。周囲の配慮も感じ、結果を残すと意気込んでの登板だった。「最後は1発を浴びて同点にされるのが嫌だった」。141キロではあるが、今の和田には全力だった。 苦しむ「同級生」に向けてのマウンドでもあった。西武松坂が先日、頸椎（けいつい）の手術を受けたことが発表された。「よほどのことなんだろうと思う。18年に自分が肩を痛めて心折れそうな時に、中日で投げていた姿を見て励まされた。今回はその逆じゃないけど、少しでもそう思ってもらえたら」。エールの奮投でもあった。 10日に有観客となってからチームは5戦5勝。和田もビジターながら久しぶりに観客の中で投げた。「拍手も聞こえたし、やっぱりファンあってのプロ野球だと思った」。新型コロナウイルス感染拡大防止の自粛期間も、ファンを思い、医療従事者を思い、高校球児のことを思っていた。三塁側から聞こえる拍手を勇気に変えた。 今季初勝利は栗原の誕生日。2勝目は今宮の誕生日だった。「前回は投げ終わってから栗原の誕生日を知ったけど、今回は（今宮）健太は知っていたから良かった」とウイニングボールは今宮にプレゼントした。 工藤監督もベテラン左腕に感服だ。「低めに来ていたし、緊張感のあるなか、さすがの投球でした」。39歳左腕の活躍もあり、今季2度目の0封勝利で2位タイに浮上。連勝街道を突き進み、首位楽天を追いかける。【浦田由紀夫】

◆ソフトバンク和田毅投手（39）がベテランの投球術で2勝目を挙げた。疲労を考慮され中10日で臨んだ先発で、6回までわずか1安打88球で無失点。最速141キロながら、直球と変化球を低めに集めた。和田にとって3年越しに実現したプロジェクトが進行している。新品野球用具プロジェクト「DREAM　BRIDGE」。野球を続けたくても、経済的な理由などから断念しないといけない野球少年を救うことが目的で、和田とアドバイザリー契約を結んでいるアディダスが協力している。 和田は「18年オフから話を進めていたことがやっとスタートした。野球を続けるにはお金がかかる。特に道具を買うことは経済的負担が大きい。そんな子供たちを救いたいという思いです」と明かす。 対象は小学6年生か中学3年生のひとり親家庭の球児（男女問わず）。野球への思いをつづる作文を送ってもらい、その中から道具を提供する選手を決める。「上のステージに上がるときに断念することが多いと聞く。野球を続ける、プロ野球選手になりたいという夢を諦めてほしくない」。野球界全体のために貢献したい和田の気持ちも強い。 「昔は何もしなくても野球をする子どもが多かったけど、今はいろんなスポーツから野球を選んでもらわないといけない立場だと思っている」。野球人口の減少の現状を変えたい思いもある。「親に買ってもらった道具はいまだに大事にしている」。昔の自分がそうだったように、夢を追いかける全国の野球少年に向けて、マウンドで投げる姿を見せ続ける。【ソフトバンク担当＝浦田由紀夫】

◆オリックスは連敗で、日本ハムと並んで最下位に落ちた。5本塁打、19打点でチーム2冠ながらソフトバンク和田との対戦成績は通算2割3分8厘のT－岡田を今季初めて先発から外し、ベテラン左腕に挑むも今季2度目の完封負け。 出番のなかったT－岡田について、西村監督は「それはいろいろ考えたところで」と語るにとどめたが、2安打に封じられた打線には「もっと打っていかないといけない。ヒット数がヒット数ですから」と奮起を促した。

◆オリックスのＴ－岡田外野手（３２）が１５日、ソフトバンク２回戦（京セラ）で今季初めてスターティングメンバーから外れた。 　相手先発はベテラン左腕の和田。西村監督は「４番・左翼」のジョーンズ、「５番・ＤＨ」の伏見、「６番・一塁」のロドリゲスと中軸に右打者を並べた。伏見は「７番・捕手」で先発出場した９日の日本ハム戦以来のスタメンで、５番に入るのは今季初だ。 　Ｔ－岡田は今季ここまでの全２２試合に先発出場。１本塁打に終わった昨季の悔しさをぶつけるように、開幕から勝負強い打撃を見せてきた。打率・２５６、吉田正と並びチームトップタイの５本塁打を放ち、１９打点はチーム単独トップ。得点圏打率は・４００だ。前日１４日の同カードでも千賀から右前適時打を放っていただけに、勝負どころでの登場に期待がかかる。

◆ソフトバンク・工藤公康監督（５７）が１５日、オリックス戦（京セラ）の試合前に取材に対応。千賀滉大投手（２７）の起用法について言及した。 　「本当は週の頭はコロコロ変えたくないのが正直なところ。６連戦の最初なので。本当は頑張ってほしい。そういうところが見えたら代えることも考えます」 　前日１４日に６回２失点で２勝目を挙げた。右前腕部の張りから復活明けということもあり、今後のローテーションの回し方を問われた指揮官は「変えたくない」と言い切った。前日１４日の六回は吉田正、ジョーンズ、Ｔ－岡田と３者連続三振。「投げ終わったときに『こんな感じか、つかめました』という話もしていたんです。だから六回いかせてよかったと思った」と言葉を交わしたことを明かした。 　千賀が復帰して以降、チームは５勝２敗と上昇気流。エースとして、火曜日のマウンドに立ち続ける。

◆ソフトバンク・工藤公康監督（５７）が１５日、オリックス戦（京セラ）の試合前に取材に応じ、首位打者と好調の柳田悠岐外野手（３１）について、温めている起用法を明かした。 　「疲労を考えていかないといけない。自分の予測していないところで負担がかかっていることもあるので。時にはＤＨとか。できるときにはそうしてあげて、選手を守ってあげたいと思います」 　前日１４日に３安打と今季４度目の猛打賞。吉田正を抜き去り、打率のてっぺんにまでやってきた。「とんでもない成績、びっくりするような成績を残してほしい」と期待するからこそ、コンディション管理の重要性を強調。それが柳田の指名打者起用だった。 　今季は出場した全試合で中堅の守備に就いている。柳田の代役としての中堅についても「できる選手はうちは多いので、そんなに問題にはならない」と力強い。守備の負担を減らすことができれば、柳田の打棒はさらに加速しそうだ。

◆ソフトバンクのリック・バンデンハーク投手（３５）が１５日、キャッチボールなどで調整。１６日のオリックス戦（京セラ）に向けて、意気込みを語った。 　「あれだけの実績があって、中心選手としてずっとやってきて。日本でプレーする機会を選んで。自分も対戦できるのは『まさか』という感じです」 　今季初の有観客での登板。ファンはもちろん、オリックスにも成長を見せたい選手がいる。主砲を打つジョーンズだ。２０１０年途中、１１年と米大リーグ・オリオールズでチームメート。思い出を明かしてくれた。　 　「彼がチームの顔になりつつなるとき。その期間にメジャーリーグの選手がヨーロッパにいって子どもたちに野球教室をするツアーみたいなものがあって。それにジョーンズがきてくれて、自分もヨーロッパ出身なので参加した。奥さんもきたりしていたので、関係は深まりました」 　前回登板だった９日の楽天戦（ペイペイドーム）では５回２／３を投げて７失点。復調と成長を、マウンドで見せる。

◆ソフトバンク・柳田悠岐外野手（３１）が１５日のオリックス戦（京セラ）に「３番・中堅」で出場。四回１死二塁から右前適時打を放ち先制した。 　「きょうの試合の最初のチャンスで打ててよかった。もっと点を取って和田さんを援護していきたいです」 　三回を終えてチームは無安打も、四回１死にこの日が２９歳の誕生日の今宮が左中間二塁打で出塁。柳田が打席に立ち、１３４キロフォークを右前に弾き返した。 　これで通算１０００安打まで残り「１３」。試合前には工藤監督も「とんでもない、びっくりするような成績を残してほしい」と期待を寄せていた。

◆ソフトバンク・上林誠知外野手（２４）が１５日、オリックス戦（京セラ）でスタメン復帰。七回２死一塁から２試合連発となる３号２ランを放った。 　「少しバットの先だったけど、ホームランになってくれてよかった。貴重な追加点になってくれたと思います」 　８日の楽天戦（ペイペイドーム）以来の先発出場。２打数無安打で迎えた七回２死一塁、左腕・山田の直球を運び去った。今季初の２試合連発はリードを３点に広げる貴重な一発。ベンチでは笑顔がこぼれた。

◆ソフトバンク・和田毅投手（３９）が１５日のオリックス戦（京セラ）に先発登板。６回１安打無失点の好投を見せた。 　「健太（今宮）の誕生日だったので絶対に勝ちたかった。１点先制してもらったので、必死に１点を守りにいきました。本当は七回もマウンドに立たないといけなかったけど、余力がありませんでした」 　一回１死一塁では吉田正を二ゴロ併殺。３四球を与えるも、球の切れは健在だった。六回を終えて１安打。８８球目、最後の球にこの日最速の１４１キロを計測し、吉田正を遊ゴロに仕留めた。今宮も四回１死に左中間を破る二塁打。柳田の先制打でホームを踏んだ。 　和田は前回４日の日本ハム戦（札幌ドーム）で今季初勝利。中１０日の登板に工藤監督は「今は感覚的にもいいものを持ったまま、できているので。状態的にはいいと思います」と期待していた。

◆ソフトバンクが今季最多の連勝を５に伸ばした。四回に柳田の右前適時打で先制し、七回に上林の３号２ランで加点した。上林が４打点、柳田は２打点をマーク。和田が６回１安打無失点で２勝目。オリックスは２安打に封じられた。

◆わずか２安打で今季２度目の零封負けだ。２３試合目で初めてＴ－岡田をスタメンから外し、ベテラン左腕の和田に対して「５番・ＤＨ」の伏見ら右打者６人を先発させた西村監督だったが、策ははまらず。「（Ｔ－岡田の欠場は）いろいろ考えたところで、というところですね」と表情を曇らせた。救援陣が連日のように大量失点し、２日続けて７点差で大敗。日本ハムが勝利したことで最下位タイに逆戻りした。

◆同じ時代を生きてきた仲間に、戦う姿勢を見せたかった。ベテランらしいテンポのよさが、大阪を包む。ソフトバンク・和田が６回１安打無失点の好投。２勝目を手に入れ、にっこりと笑った。 　「中１０日でもいつも通り、いい状態でマウンドに上がりました」 　３四球と苦しんだが、二回２死からロドリゲスに左前打を許しただけ。最後の８８球目、この日最速１４１キロで吉田正を遊ゴロに打ち取った。４日の日本ハム戦（札幌ドーム）に続く２連勝。今季自身初の有観客試合で、ファンはもちろん、テレビの向こうにも勇気を届けたい人がいた。 　「２０１８年、（左）肩が治らず心が折れそうになったとき、あれだけ苦しんだ（松坂）大輔が復活して投げる姿に励ましてもらった。『よし、もう１回』という気持ちにさせてくれたのも、大輔の姿でもあったので」 　球界を引っ張ってきた"松坂世代"も、現役選手は残り５人。藤川（阪神）も今月１２日に右肩のコンディション不良で抹消となり、現在１軍にいるのは、もう和田だけだ。今月５日に「脊椎（せきつい）内視鏡頸椎（けいつい）手術」を受けた松坂には、連絡を入れた。「辛い決断だったと思う」。和田が左肩痛で苦しんだ１８年、松坂（当時中日）はカムバック賞を受賞。松坂の登板日は欠かさずテレビの前で見守った。もらった力を、今度は自分が形にする番だ。 　チームは今季最長の５連勝。貯金「２」となり、ロッテと同率２位に浮上した。工藤監督もチーム最年長３９歳の和田に「（中１０日でも）ベテランらしいというか、変な力みがなかった」と最敬礼。つかまえた波を簡単に放すつもりはない。 　「自分は自分で必死ですけど。少しでもそういう（励み）風に思ってもらえれば」と和田。来年２月には４０歳。仲間が元気に帰ってくる日を、和田はマウンドで待っている。（竹村岳） ★「不思議な感覚でした」 　和田はオリックスのジョーンズを２打数無安打に封じた。米大リーグ・カブス時代に対戦経験があり、オリオールズでは同僚に。「不思議な感覚でした。彼も帽子に手を当てたりしてくれたので、四球だけは出さないように。こういう形で対戦できて僕もうれしいです」と笑顔だった。 　また、前回登板の４日（日本ハム戦）は栗原の２４歳の誕生日で、この日は今宮の２９歳の誕生日。和田は「クリ（栗原）は投げ終わった後に知ったけど、健太（今宮）は投げる前から知っていたので絶対に勝ちたかった」と明かした。