阪神(4対4)巨人 =オープン戦1回戦(2020.03.08)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:-
敗戦投手:-
  DAZN
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◆阪神は先発・青柳が5回3安打1失点の好投。開幕へ向け、順調な仕上がりを披露した。一方の巨人は、5回表に代打で登場したパーラが適時二塁打を放つ活躍。3月1日以来となった打席で勝負強さを見せた。

◆両軍のオープン戦先発メンバーが発表された。先発投手は阪神が青柳晃洋(26)。巨人は新外国人で育成のナティーノ・ディプラン(26=ブルワーズ2A)となった。 阪神は新外国人のジェリー・サンズ(32=韓国・キウム)、ジャスティン・ボーア(31=エンゼスル)、来日2年目のジェフリー・マルテ(28)の強力クリーンアップ。7日に甲子園初安打を放った4番ボーア、次は実戦初アーチへと期待がかかる。また、今日1軍に合流したドラフト5位の藤田健斗捕手(18=中京学院大中京)も出場予定。デビュー戦で初安打を狙う。

◆阪神新外国人のジャスティン・ボーア(31=エンゼルス)がオープン戦初打点を挙げた。 1回2死二塁、カウント2-0から巨人先発ディプランの内角低め145キロ直球を左前へ運んだ。二塁走者の近本が快足を飛ばし先制点。7日の日本ハム戦でオープン戦初安打を放ち、これで2戦連続安打。期待の助っ人が状態を上げてきた。

◆阪神青柳晃洋投手(26)が開幕に向けて、好感触の5回1失点にまとめた。 不利なカウントにする場面も目立ったが要所を締める。3回無死一、二塁。坂本を沈むツーシームで空振り三振に抑えると、丸はシンカーでバットの芯を外し、中飛に片付けた。「悪いカウントのなかでカットボールを投げたり、カットボールでカウントを取れたりもありました」。1回に丸を中飛に抑えた打席も、カットボールの連投で封じた。開幕ローテーション入りが決まっているなか、安定感のある内容だった。

◆巨人新加入のヘラルド・パーラ(32=ナショナルズ)が1日のヤクルト戦以来の打席に立ち、適時打を放った。 1点を追う5回1死二塁、代打で出場。阪神青柳の内角低めの132キロのカットボールをうまくすくい上げ右翼線への二塁打とした。「いい打席になったね! 久しぶりの試合(打席)だったけど、問題なかったよ。開幕にあわせて調整していきたい」と見据えた。 3日の日本ハム戦のスタメンに名を連ねながら、首の違和感で1回の守備に付かず交代。7日から打撃練習を再開させていた。

◆阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が1軍初安打と初打点をマークした。 6回表の右翼の守備から出場。8回1死一塁の場面でこの日初打席が巡ってきて、巨人2番手鍬原の内角低め144キロ直球をすくい上げると、左中間への適時二塁打となった。 「どんどん振っていくことが大事だと思っていた。自分のファーストスイングで仕留められたということは次につながると思う。次の打席からもしっかりファーストスイングで仕留められるようにしたい。(ベンチでは)全員にナイスバッティングと言われて、ハイタッチしました」 今回の1軍合流はこの日までで今後は再び2軍で調整する。「1軍に上がって試合ができたことはこれからにつながると思う。しっかり学べたことを次のステップでもできるようにしたい」と話した。 井上の一打は直前にチームが逆転され、1点を追うところで出た同点適時二塁打。矢野監督も「打球も井上らしい打球だったし。場面もよかったし、すばらしいバッティングでした」と絶賛した。 なお、阪神の高卒新人のオープン戦安打は、現DeNA大和(樟南=当時の登録名は前田大和)が2006年2月26日オリックス戦の3回に右前打を放って以来14年ぶり。3月以降に限ると、高井一(横浜)が88年3月5日の阪急戦の7回に代打で二塁打を放ったのが最後だった。 井上は前日7日の日本ハム戦で1軍デビューしていた。

◆巨人が「ボーアシフト」をテストした。飛球が多く、プルヒッターの阪神ボーア対策で三塁手を左翼、左翼手を左中間、中堅手を右中間、右翼手を右翼線寄りに配置。内野は遊撃手が二塁ベース後方、二塁手が一、二塁間の深めに守った。 第2打席は左中間の飛球を左翼のモタが捕球し、第3打席は遊飛でシフト成功。原辰徳監督は「動いとかないと、その時に慌ててしまうケースがある」と説明した。

◆巨人北村拓己内野手が長打2本を含む全4打席で出塁し、一塁争いへアピールした。2点を追う8回2死二、三塁、右中間を破る同点の適時三塁打。 1、2打席目は四球、7回の第3打席は右翼への二塁打と打撃で存在感を示した。 「スタメンだったので、結果を出してやろうと。アピールを続けたいです」と引き締めた。原監督は「思い切りのいい、彼らしいバッティング」と評価した。 ▽巨人元木ヘッドコーチ(2安打2打点の北村に)「いいアピールしたね。フォアボール選んでタイムリーも打って、素晴らしいね」

◆2番打者として起用が続く阪神近本光司外野手(25)が、絶妙のセーフティーバントで先制点を呼び込んだ。2番中堅で出場した巨人戦の初回、無死一塁の第1打席。初球の直球をコツンと三塁線に転がした。「コースというよりもタイミングを意識しました」。巨人ディプランの一塁送球がそれると、ベースを駆け抜けた(記録は安打)。先頭糸井の右前打から無死一、二塁とチャンスが拡大。矢野監督の今季の新構想、「イトチカ」の1、2番コンビが連動し、4番ボーアの先制打につなげた。 3回には力強いスイングで右前打を放ち、5回には2死三塁から149キロをセンター前にはじき返すタイムリーを放った。オープン戦はこの日の試合前まで20打数3安打、打率1割5厘だったが、伝統の一戦で20年初の3安打。「これまでカウント別の打撃を試していた。自分の良さが分からなくなっていた。原点に返って今日はストレートのタイミングでしっかりと振れた」と手応えアリだ。 矢野監督も初回のバントヒットにアッパレだ。「あれができたら、守備位置も前に来ざる得ない。いろんなことをやるぞ、というのはプレッシャーになる。どんどん相手の嫌がることをやって」とリクエストした。今季初対戦となった宿敵について同監督は「去年も優勝している。うちもやられている。ジャイアンツは意識して戦うチーム」と闘志を燃やす。小技あり、長打あり、快足ありのマルチ2番が暴れ回り、セ界王者を倒しにいく。【桝井聡】

◆阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手が、オープン戦12打席目で初打点を挙げた。 阪神の主な外国人選手の、来日1年目のオープン戦初打点をみると、83年のバースは、ハワイキャンプからの帰国初戦(ハワイでの親善試合は除く)となった大洋戦の3打席目にソロ本塁打。また、10年のマートンはオリックス戦で初回先頭打者弾を放つ派手なデビューを飾っている。04年のキンケードや13年のコンラッドもオープン戦初戦で本塁打しているが、シーズンでは活躍できなかった。逆に、14年のゴメスはオープン戦4試合15打席打点なしだったが、シーズンでは109打点を挙げ打点王に輝いている。

◆首の違和感で欠場していた巨人ヘラルド・パーラ外野手(32=ナショナルズ)が、1日のヤクルト戦以来となる打席で適時打を放った。 1点を追う5回1死二塁、代打で出場。内角低めをうまくすくい上げ、右翼線への二塁打とした。 「久しぶりの打席だったけど問題なかった。開幕に合わせて調整していきたい」。 原監督は「勝負強いところをね、見せました」と評した。

◆阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が、1軍初安打&初打点を巨人戦の負けを消す千金の同点打で飾った。 20年初の伝統の一戦(甲子園)に途中出場。1点を追う8回1死一塁で、ローテ候補の鍬原から左越えの同点適時二塁打を放った。7日の日本ハム戦と2試合限定のお試し1軍だったが、矢野監督も「素晴らしかった」と絶賛。シーズン中に昇格する期待を大きく膨らませた。二塁ベースに到達した井上が、小さくガッツポーズした。無観客の甲子園が阪神ナインの歓声で沸いた。「ベンチのみなさんが叫んで手を上げてくれていたのでうれしかった。自分も手を上げて応えました」。20年最初の伝統の一戦で1軍初安打&初打点。しかも同点打の肩書き付き。昨夏の甲子園で履正社を日本一に導いた甲子園の星が、敗色濃厚の巨人戦を引き分けに持ち込んだ。 逆転を許した直後だった。1点を追う8回1死一塁。17年ドラフト1位でローテ候補の巨人鍬原の1-1からの3球目、内角低めの144キロ直球をすくい上げた。「うまく体が反応してくれた。打球は途中で見失ったけど、ベンチの声で落ちたんだとわかりました」。6回の守備から出場した巨人戦の初打席。「1軍で見たい」と熱望した矢野監督の期待に左越え二塁打で応えた。「どんどん振っていくことが大事だと思っていた」。ファーストスイングで一発回答。阪神高卒新人がオープン戦で打点を挙げるのは、88年高井一以来32年ぶり。背番号32が猛虎史の扉をこじ開けた。 雄姿は指揮官の目にも輝いて映った。「初球から振ればいいかなと思ったんだけど。結果はもちろんいいし、打球も井上らしい打球。場面も逆転されたあとやったっけ。場面もよかったし素晴らしいバッティングでした」。右の大砲候補の衝撃初安打をべた褒めだ。 187センチ、97キロ。焼き肉店では注文が追い付かないほどの大食漢だが、体重管理にも余念がない。「1度オーバー気味になった時期があった。そこから何キロか減らしたりして...」。大台100キロに到達するとプレーに支障が出る。現在は虎風荘での食事を一部制限しながら、プロで活躍するための肉体に仕上げている。 今回は前日の日本ハム戦と2試合限定のお試し1軍。だが、この日見せた魅力的な打棒でシーズンで昇格する期待も一気に膨らんだ。指揮官は「こっちが使いたいなっていうものを残してくれば、もちろんそれはあり得る」と期待。井上も「しっかりと自分のできることを最大限して、呼ばれるようになりたい」と応えた。甲子園Vの4番が、1軍の甲子園で大活躍する日が楽しみだ。【只松憲】 ▽阪神井上打撃コーチ(井上広大について) 本人も自信になったと思うし、みんなにいい刺激になった。ははー、さすがやなーという打球だった。面白いものを見せてくれたし、あとは同じ名字なので、あか抜けるように僕が仕込んでいきます。

◆阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が、1軍初安打&初打点を巨人戦の負けを消す千金の同点打で飾った。20年初の伝統の一戦(甲子園)に途中出場。1点を追う8回1死一塁で、ローテ候補の鍬原から左越えの同点適時二塁打を放った。井上は大相撲力士も顔負けの巨漢で、足もビッグサイズだ。右が32センチで左が31センチ。2月のキャンプで高知・安芸へスーツで移動する際は、フィットする革靴がないことが悩みのタネだった。履正社時代はローファーを愛用。だがプロになればより足もとも大事なだけに、御用達のお店から「ちゃんとした革靴なら、スポーツメーカーさんに頼んだ方がいい」と助言され、急いで特別注文した。 雨の影響で甲子園室内で試合前練習を行ったこの日、突然、上本と足の大きさ比べになった。結果は井上が圧勝。その光景を目の当たりにした矢野監督もあまりの大きさに「ありえへんやろ~」と大爆笑だった。1軍デビュー翌日に初安打&初打点。すべてに、スケールの大きい選手を目指す。【阪神担当=只松憲】

◆開幕ローテが決まっている阪神青柳晃洋投手が手応え十分の「天敵丸封じ」を見せつけた。鍵はカットボールの多投だ。1回は連投。初球は懐を突いてストライクを奪い、2球目で中飛に抑えた。 3回1死一、二塁でも効果的に内角へ配し、最後はシンカーで中飛に封じた。 昨季は9勝を挙げたが、被打率3割3分2厘だった左打者対策が課題だ。「去年カットボール自体、全然使っていなかった。丸さんに去年は7、8割打たれました。収穫です」。丸に9打数6安打2本塁打と苦戦。この日は2打数無安打に抑え、成長の跡を示した。 5回1失点は上々に映るが、矢野監督は「ナイスピッチングと言えない。もっと高いレベルを求めているし、貯金してもらいたい」と指摘した。2度、四球で先頭打者の出塁を許した点など改善すべき点がある。22日ヤクルト戦先発が有力の青柳もテレビインタビューで「『僕は12勝します』と監督に言っている」と明かすなど、理想は高い。 ▽阪神福原投手コーチ(青柳について)「あとはカウントの作り方。投げている球はいいと思う。左に対してもいろんな球種を使っていた」

◆阪神ドラフト5位の藤田健斗捕手(18=中京学院大中京)が1軍デビューし、9回に守屋とバッテリーを組んだ。 「自分のミスもあって悔しい思いがありますが、無失点でほっとしています」。 1回無安打2四死球無失点で、引き分けをアシスト。ただ外角低めの変化球を捕球できず、1死二、三塁のピンチを招いたことも反省した。9回の打席では鋭い当たりを遊撃に飛ばし、相手失策を誘って出塁。「全ての面が本当にまだ課題だらけ。しっかり練習します」と前を向いた。

◆巨人育成契約のナティーノ・ディプラン投手(26=ブルワーズ2A)が、5回76球7安打3失点と踏ん張った。スライダーの握りを変え、課題だった制球難を克服。「自分が練習でしたことをグラウンドで出して、結果を残すしかない」。規定(※)により、3月末までに支配下登録を目指す。 宮本投手チーフコーチは対左打者への課題を口にしながらも「1軍での力はあるなと感じた」と一定の評価をした。 ※野球規則「日本プロ野球育成選手に関する規約」の第9条3項=「本年度26歳以上となる新入団外国人選手を育成選手から支配下選手へ移行する場合の期限は、3月末日までとする」

◆阪神ドラフト4位の遠藤成内野手(18=東海大相模)が手堅い守備を披露した。遊撃で7回から出場。いきなり2死一、二塁で増田大の強烈なゴロが三遊間寄りを襲ったが低姿勢で滑りながら捕球してアウトにした。 8回の打席は空振り三振。1軍戦2試合は2三振だったが「立ち遅れしたら差される。そういうところは感じた。まだまだ技術が足りない」と話した。母校の先輩、巨人原監督にもあいさつ。「肩を組んでいただいて、頑張れよと言われました」と振り返った。

◆井上広大外野手、遠藤成内野手、藤田健斗捕手の新人3選手の1軍合流はこの日までで、今後再び2軍で鍛錬を積む。 矢野監督は「井上も遠藤も藤田もここ(1軍の甲子園)で野球をやるために入ってきた選手。何かしら感じるものは本人たちの中にあったと思う。目指すところがぼんやりしていたものがはっきりしてきたり、今回の中でも見えたり感じたりするものがあったと思う。いい経験してくれた」と、さらなる成長を願っていた。

◆阪神の新外国人ジェリー・サンズ外野手(32=韓国・キウム)が甲子園のフィールドをチェックした。 初めて右翼で先発出場。守備では右翼線への打球でクッションボール処理などを確認し「甲子園の形、芝生の感覚を毎日確かめてやっているよ。クッションボールもしっかりやって問題ないよ」と話した。打撃は3打数無安打と振るわなかったが「調子は悪くないけどタイミングが少し遅れている。試合を通して修正したい」と前向きに話した。

◆スアレスや秋山、藤浪らと開幕ローテを争う阪神岩貞祐太投手が、2回2安打無失点で生き残りをアピールした。 6回から2番手で登板。7回は北村の二塁打に味方の失策がからんで無死一、二塁とされたが、パーラを146キロ直球で見逃し三振。続く石川も145キロ直球で空振り三振に仕留め、ピンチを切り抜けた。 「カウントを取りにいった球をヒットにされた。真っすぐは走っていたと思います」。そう課題と収穫を挙げた左腕ついて、矢野監督は「いいボールもあった。でも、まだ良くなると思う」と期待。開幕ローテ入りについては未定とした。

◆阪神木浪聖也内野手が一時勝ち越しの適時打を放った。1-1の5回1死二塁。ディプランに2ストライクと追い込まれたが、外角高めに入ったチェンジアップをとらえて左越えの適時二塁打にした。 「チャンスだったので思い切って。1、2球追い込まれていたんですけど、その中でも冷静になって1球で仕留めることが出来た」。北條と開幕遊撃争いを展開する中、存在感を示した。

◆8回にリリーフで登板した阪神小野泰己投手は制球に苦しんだ。1死から連続で四球を与え、2度の暴投もからんで1回2安打3失点。金村投手コーチは「イニングを与えられてないから。いいボールもあった」と話した。 先発から中継ぎを視野に入れた調整を続けていたが、次回は2軍戦で先発登板する見込みだ。

◆巨人鍬原拓也投手が開幕ローテーション争いに待ったをかけた。 阪神とのオープン戦の6回から2番手で登板。テンポのいい投球で4回3安打無四球1失点と結果を残した。「最後のイニングだけが納得するようなボールが投げられたかなと思う」。味方の失策で出塁を許したが、無安打に抑えた9回を収穫に挙げた。 捕手を務めた炭谷の助言でコツをつかんだ。8回終了後、配球について話し合った。「安易にストライクを取りにいかない。最悪のリスクを考えて、絶対してはいけないことを考えた」。右打者に対して直球であれば、外から内にシュート回転して入らないようになど、慎重に組み立てた。 2軍からはい上がった。開幕ローテの一角として期待されながらも、2月18日のロッテ戦で3回4安打3四死球2失点と結果を残せず2軍で再調整。その際、杉内2軍投手コーチと取り組んだのは曲がり幅の違う2種類のスライダー。「いいボールもあればまだまだ抜けるボールもある」とモノにできたわけではないが、曲がり幅の小さいスライダーを覚え、引き出しを増やした。 一時は脱落したかと思われた開幕ローテ候補に生き残った。同候補の畠が右肩周辺の肉離れで離脱し、高橋は疲労でペースを落としている。与えられたチャンスで結果を残した右腕に対し、宮本投手チーフコーチは「魅力を感じた。吉報がいくと思う」と評価した。昨秋からサイドスローに転向し約4カ月。「まだ100%とはいえないけど、自分のフォームにしていきたい」と鍬原。17年ドラ1が逆転で切符をつかみ取る。【久永壮真】   ▽巨人原監督(鍬原について)「とてもいいですね。自分の投球、攻めるピッチングができている気がしますね」

◆巨人が、2試合連続で引き分けた。 2点を追いかける8回に北村拓己内野手(24)の2点適時三塁打で追いつき、湯浅大内野手(20)の適時二塁打で勝ち越し。チームは2分けを挟みオープン戦5連敗中で、連敗ストップも見えたが、8回に追いつかれた。 原辰徳監督(61)は「わが軍は勝てないチームだが、負けないチームでもある。そのうち勝負にこだわる時がきますから」と振り返った。

◆阪神新外国人のジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が、オープン戦12打席目で待望の来日初タイムリーを放った。その舞台裏では、巨人がセ・リーグの対戦球団で初となる外野4人シフトを敢行。ボーアはバントの構えを見せるなど、シーズン本番での対決を見据えて心理戦の様相を見せた。ボーアがオープン戦5試合12打席目で、待望の初タイムリーを放った。走者がいたため、外野4人シフトが敷かれなかった初回2死二塁の第1打席。育成右腕ディプランの内角低めに入った直球を捉えた。左翼へライナーで飛ばす先制の一撃。沖縄・宜野座キャンプの練習試合も含めると、実戦19打席目の初適時打だ。 「本当に感じは悪くない。日に日にボールに対してバットが素直に出てきている。開幕へいい段階が踏めていると思います」。無走者で外野4人シフトが敷かれた4回は、ディプランの真っすぐを打ち上げて左飛。6回は鍬原の148キロでバットを真っ二つに折られた遊飛に終わったが、手応えは感じているようだ。 3回の守備ではバントした吉川尚の打球を一塁へ悪送球。来日初失策を記録したが「(甲子園は)いいグラウンド。どんどん慣れている」と前を向いた。伝統の一戦は初体験。「去年優勝した素晴らしいチームだけど、今年の優勝が決まっているわけではない。そういう意識はないよ」。開幕まで残り5試合。初打点をきっかけにギアを上げたい。

◆阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が、1軍初安打&初打点を巨人戦の負けを消す千金の同点打で飾った。20年初の伝統の一戦(甲子園)に途中出場。1点を追う8回1死一塁で、ローテ候補の鍬原から左越えの同点適時二塁打を放った。 ▼阪神の新人井上が、8回に同点タイムリー。阪神の高卒新人がオープン戦で安打を記録したのは、06年2月26日のオリックス戦で右前打を打った大和(樟南=当時の登録名は前田大和)以来。 ▼高卒新人で打点を挙げたのは、19年の小園(広島=報徳学園)、藤原(ロッテ=大阪桐蔭)以来だが、球団では88年3月5日の阪急戦(甲子園)の7回に、代打で適時二塁打を打った高井一(横浜)以来、32年ぶり。

◆巨人は8日、阪神とのオープン戦(甲子園)を行い、四回先頭の阪神の新外国人・ボーアの打席で外野4人シフトを引いた。  強打の新助っ人とのこの日2度目の対戦で、巨人が動いた。一回の第1打席では左前適時打を許していた相手。四回先頭の第2打席で、衝撃のボーアシフトを披露した。三塁手を左翼に配置し外野を4人にすると、遊撃手は二塁の後ろに。三遊間を空けて外野を4人にする布陣で、左飛に打ち取った。

◆左首の違和感を訴えていた巨人・ヘラルド・パーラ外野手(32)=前ナショナルズ=が8日、阪神とのオープン戦(甲子園)の五回に代打で出場し、右翼線適時二塁打を放った。  0-1で迎えた五回1死二塁。「2番・DH」の坂本の代打で起用された左打者は、カウント2-2から阪神青柳の低めのカットボールを引っ張り、ライナーで右翼線付近へ運んだ。二塁では味方ベンチに向かって両手を上下にたたく"シャーク・ダンス"で盛り上げた。1日のヤクルト戦(東京ドーム)以来の打席で結果を出し、「いい打席になったね!久しぶりの試合(打席)だったけど、問題なかったよ。開幕にあわせて調整していきたい」とコメントした。  3日の日本ハム戦(札幌ドーム)で「5番・右翼」としてスタメンに名を連ねていたが、一回の守備に就かずに交代し、事実上の欠場となっていた。その後は1軍に帯同しながらも個別調整し、前日7日にフリー打撃を再開していた。

◆先発ローテーション入りを目指す巨人の鍬原が2番手で4回を1失点にまとめた。六回にはマルテをシンカーで空振り三振に仕留めるなど、緩急が光り「奥行きを使えた。これだけではなく、引き出しにしていきたい」と手応えを語った。  中大からドラフト1位で入団したものの、過去2シーズンで計1勝と伸び悩み、昨秋のキャンプでサイドスロー気味の投げ方に変更した。徐々になじんでいる様子で、球に勢いも出てきた。「自分のフォームにしていきたい」と前向きに話した。

◆阪神はドラフト2位新人の井上(大阪・履正社高)が大器の一端を示した。途中出場から八回、鍬原の低めの速球を力強く捉えて左越えに同点の二塁打。高校で全国制覇に貢献した右打ちのスラッガーは「どんどん振ることが自分の持ち味。うまく反応できた」と顔をほころばせた。  同期の活躍を刺激にオープン戦初出場の5位藤田(岐阜・中京学院大中京高)も奮闘した。九回からマスクをかぶってピンチをしのぎ「課題を克服して、この舞台に戻ってきたい」。4位遠藤(神奈川・東海大相模高)は遊撃守備で体を張り「下(2軍)でも1軍で活躍するために練習したい」と意欲を新たにした。

◆ちょっと大げさにいわせてもらいますと、この日の甲子園球場での巨人戦はおそらく史上最も"静寂"につつまれた伝統の一戦だったというべきでしょう。  しかし、それにしても「中身は濃厚でした。僕は収穫が両軍にあったと思います」とは球史に残る『伝統の無観客試合』を取材したデスク阿部祐亮の感想です。  彼は「どこかにひょっとしてだれかファンがチラッとのぞきにきているんじゃないか」とも思ったそうだ。それで最初はガラーンとした甲子園球場をシゲシゲと見渡して注視していたそうだが、そこはマンモス球場。キチンと管理されていてとにかく「静けさ」のなかで粛々と進んだそうだ。  もちろん我がサンスポの巨人担当記者も取材にきていた。ほら、この「虎ソナ」でおなじみだった前虎番の箭内桃子記者はひさしぶりの甲子園です。球場入りするなりさすがに阪神タイガースの面々から「お、元気でやってるか?」と声をかけられたそうだ。特に梅野捕手からは顔をあわせると「アレ、何やってんだよ巨人ベンチで。そうか花の巨人担当か。がんばれ」と激励されたらしい。  ところで虎と巨人との違いを聞くと彼女は「明るくて丁寧なのは東西で同じですが、巨人の選手は練習の集合時間には必ず少し前に集合してる感じですヮ」とのこと。6日に大阪入りして夕食をとろうと久しぶりに街をあるいていたら、通りすがりの男性が「あんたのマスクと俺のマスクを交換せぇへんか」なんて声をかけてきたそうだ。  試合は紙面で御覧の通りの展開。ド派手な展開ではないのはそれなりに投手陣が踏ん張った結果です。大石キャップも阿部デスクも「微妙に積極的なプレーが出て中身はそれなりに成果をかんじた」と"収穫あり"を強調してきた。  しかし、なんてたって無観客だから春場所の大相撲と同じでシーンとしているのは否定できない。かといって「シーズンのこともあるから選手は必死でした」(大石)そうだ。切ないなぁ。  それにしても静かなのは仕方ないとしても、私めはピヨピヨ虎番時代に藤村富美男さんから聞いたことを思い出した。  それは1955(昭30)年10月10日の甲子園球場でレッキとしたペナントレースで、ななんと観衆200人! それもダブルヘッダーなのに、しかも当時は巨人1位、阪神3位なのに「そんなことってありますか?」とピヨピヨの虎番時代に藤村富美男さんにぶしつけな質問をしたことがある。  すると藤村さんはマジで渋い顔をされて「あれは試合当日に雨がふってなぁ、お客さんが全然きてくれんかったんや」ですって。それで球団もかなり観衆を水増ししても「200人」と発表。これじゃあまさに"無観客試合"同然やおまへんか。原因を説明すると、この年の5月に岸一郎監督が途中休養。そのあとを引き受けたのが藤村富美男さん。実は当時は20ゲームぐらいの大差がついていたらしい。これが...観衆200人の原因らしい。  第1試合 ○巨人5-0阪神(試合時間1時間20分)  第2試合 ○阪神3-2巨人(1時間41分)  それにしても...マンモス球場がタッタ200人。さぞかしシーンとしてたにちがいないと思ったら当時監督の藤村さんはこれだけは毅然としてこういわれた。  「何をいうとる。その雨の中でズブぬれのファンがパラパラ...ものすごい大声援やったヮ」

◆--気は早いが、井上はシーズン中にも昇格の可能性はある  矢野監督「もちろんそれはプロなんだから、それはそうだけど。それではね、逆に言うと俺らのチームとしてもさみしいのでね。お前らまだ早いよっていう1軍でいないとダメだと思うので。そう思ってます」  --青柳の投球は。本人は反省もあると言っていた  「ナイスピッチングとは言えないよね。やっぱり先頭バッターへのフォアボールとか、結果しのいだと言えばしのいだことになるし。でも、貯金をするピッチャーになってもらうということを考えると、ああいう場面をたくさん作ってしまうとそういうふうになりにくいんでね。そこのレベルアップっていうのはもっともっとこちらとしては望んでいるところ」  --岩貞の評価は  「まあ、いいボールもあったしね。でも、まだよくなると思うし。いい真っすぐもあったんでね。それを安定的に出していってくれたらチームの力になれるピッチャーなんで」

◆鍬原が2番手で4回を1失点にまとめ「最後のイニングは納得いくボールが投げられた。4イニングを投げて球威が落ちる部分があったので、なくしていきたい」と振り返った。宮本投手チーフコーチは「見事ですね。吉報がいくと思います」と評価し、開幕ローテーション入りに大きく前進。2018年のD1位右腕は「投げる機会があれば、そこを目指したい」と言葉に力を込めた。

◆阪神・小野泰己投手(25)は8日の巨人戦(甲子園)の試合後、2軍降格が決定した。  2点リードの八回から登板。1死後、連続四球や暴投などで2死二、三塁のピンチを招き、北村に同点の2点三塁打、湯浅に一時勝ち越しの適時二塁打を浴びた。「相手が真っすぐを狙っているところでフォークで空振りをとったりもできた」と収穫を口にしたが2軍行き。金村投手コーチは「長いイニングを投げさせる機会を与えられなかったから」と、再び先発として調整させることを明かした。

◆巨人はメジャー通算92本塁打の左打者、ボーアの打席で外野4人シフトを敷いた。走者がいた一回は通常の守備位置で、先頭だった四、六回は三塁手を左翼の左に配置。遊撃手を二塁ベース後方に置き、三遊間をあけて"外野手"を増やした。四回は左飛に打ち取り、六回はボーアが2球続けてバントの構えを見せる中、遊飛に仕留めた。原監督は「左のパワーヒッターですから。1回やっておこうと」と説明した。

◆今季初の伝統の一戦は引き分け。阪神・矢野燿大監督(51)はG倒への思いを新たにした。  「去年も優勝しているし、ウチもやられているんで。ジャイアンツは意識して戦うチームというのは間違いない」  先行し追い付かれ、突き放したが抜かされ、最後にルーキーの一打で追いついた。巨人は育成のディプランを先発させるなどベストメンバーからは程遠かったが、意地のぶつかり合いとなった接戦で虎将はしっかりと収穫も持ち帰った。  「新しいモタとかパーラとかも見られたし。対戦すればイメージというのは沸いてくるんで。(試合前に雨天だったけど)試合できて良かったなというところです」  就任1年目の昨年は10勝15敗。8年連続負け越し、12年連続勝ち越しなしという屈辱でVも許した。今年こそG倒を果たして、虎党を喜ばせる。

◆阪神は8日、巨人戦(甲子園)に4-4で引き分けた。先発した青柳晃洋投手(26)は5回3安打3四球1失点。昨季被打率・667と苦手としている巨人・丸佳浩外野手(30)を新球のカットボールとシンカーで2打数無安打に抑えた。  内へ、外へ-。切れ味鋭い変化球が光った。青柳が新球のカットボールやシンカーで丸斬り。難敵を封じ、進化した姿を見せた。  「悪いカウントでどれだけ投げられるか(がテーマ)だった。悪いカウントでカットボールを投げたり、カウントを取れたりできたし、丸さんをシンカーでセンターフライに打ち取ることができたのでよかった」  充実の表情で振り返ったのは、三回1死一、二塁で迎えた丸との2度目の対戦だ。初球は低めへスライダー、2球目は内角へのカットボールで2ストライクを追い込むと、最後は低めのシンカーで中飛に料理。一回の1打席目も2球続けてカットボールを投じて中飛に打ち取り「(内角へ)入ってくるボールがあるからこそ真っすぐがもっと良くなるというのは感じた。もっと精度を上げていけたらシーズンでも有効なボールかなと思う」と手応えありだ。  昨季、青柳は右打者に対し被打率・193の一方で左打者には同・336と苦手としていた。特に丸に対しては同・667(9打数6安打2本塁打)と打ち込まれていた。この試合ではオフから習得に取り組んできた2つの"魔球"を駆使して、丸を2打数無安打に封じ、坂本からは空振り三振を奪い「(2人は)主力選手なので、警戒しないといけない。得点圏で打席が来たら(得点に)絡むと思うので、その相手にいろいろ試せたのはよかった」とうなずいた。  「最後、パーラに打たれたのは悔やむところだけど、それ以外は走者を出してからの粘りはあった。(坂本)誠志郎が引っ張ってくれて、すごく助けられた」  22日のヤクルトとの開幕3戦目での先発は決定的。今年初の巨人戦で得た収穫を自信に変えて、最後の仕上げに取りかかっていく。 (織原祥平) 青柳について阪神・福原投手コーチ 「球はいいと思う。(苦手の)左打者相手に、いろんな球種を投げていた。あとはカウントの作り方かな」 青柳の球を受けた阪神・坂本 「カウントを悪くしてしんどいところはあったけど、試したりしながら抑えられた。ヤギ(青柳)と話しながら内容のある投球はできたと思う」 九回に登板し、ピンチを招きながらも無失点で切り抜けた阪神・守屋 「狙った三振を2つとれたのは収穫です」

◆宿敵相手に4番の仕事だ。ボーアが一回に先制打。待ちわびたオープン戦初タイムリーで上昇ムードを漂わせた。  「感じは悪くない。日に日によくなってる。オープン戦とはいえ、ランナーをかえすのは気分がいいね」  指定席の『4番・一塁』で先発。見せ場はいきなりやってきた。一回1死二塁で打席に立つと、2ボールからの3球目にロックオン。内角低めに来た直球をとらえて無観客の甲子園に快音を響かせた。打球は三遊間をライナーで破り左前へ。近本を生還させた。「かえすには走者がいないといけないからね。そういう場面だったということは、チームとしても機能しているということ」。主砲として役目を果たす打点に、納得の笑みを浮かべた。  四、六回は先頭で打席に立つと、巨人の守備陣形がみるみる変化。三塁手が左翼に入り、外野3人が右寄りに詰めた外野4人体制に。6日の日本ハム戦(甲子園)と同じような"ボーア・シフト"が敷かれた。  がら空きの三塁を見たB砲は六回、2球続けてバントの構えをしてけん制。どちらもボール球でバットを引いたが「ストライクにきたら(バント)していた。先頭だったから大事なことは塁に出ることだからね」。左飛、遊飛と結果で見返すことはできなかったものの、気にする素振りは皆無だ。  昨年の王者で、虎の永遠のライバルとの初対決。巨人について問われると「去年、優勝したことは素晴らしいこと。でも今年のことは何も決まっていないからね」と一蹴した。新助っ人は自らのバットで、虎のVロードを切り開く。 (大石豊佳) ボーア・シフトについて巨人・原監督 「1回やっておこうということですね。現実どういうふうになるかというね。しかし、動いとかないと、その時にあわててしまうケースがあるんでね」 同じく巨人・元木ヘッドコーチ 「フライボールが多いし、1回ちょっとシフトを試してみようということでやりました。思い切った作戦だけどね(3打席目はバントの構え)いいんじゃない。してこないでしょう」

◆開幕戦の一塁先発へ急浮上だ!! 大卒3年目の巨人・北村拓己内野手(24)が8日、阪神とのオープン戦(甲子園)に「9番・一塁」で今季初の先発出場を果たし、2安打2四球と全4打席で出塁した。  「何とか結果を出してやろうと思っていた。(第3打席まで)先頭打者で『まず出塁』と考えた中、いい内容の打席だった」  第1打席から2打席連続で四球を選ぶと、七回に右翼フェンス直撃の二塁打。八回には一時は追いつく2点三塁打を右中間へ運んだ。原監督は九回の一塁守備で送球を取り損ねた場面を「あの辺がまだ"北村君"だね」と笑いつつ、「打撃は非常にいいものが出た」とほめた。  期待は大きい。1月のスタッフ会議後。原監督がレギュラー不在の一塁候補に、1軍で通算0安打の北村の名前を真っ先に挙げていた。北村はキャンプを1軍で始動。2軍降格を経てキャンプ終了後に再び1軍へ。待ちに待ったスタメン起用で成長を示した。  「開幕で1軍で戦力になるというのが直近の目標。今後がもっと大事になる」  北村は活躍にも気を引き締めた。一塁の開幕スタメンは打率・400、2本塁打、3打点と好調の37歳・中島が本命。しかし、残り5試合となったオープン戦でアピールを続ければ、北村が抜擢(ばってき)される可能性は十分にある。シーズンオフは2年連続で坂本と合同練習。主力選手の下で腕を磨いた男が大逆転を狙う。 (谷川直之)

◆阪神・近本光司外野手(25)が巨人戦(甲子園)に「2番・中堅」でスタメン復帰し、3打数3安打1打点をマークした。昨年の巨人戦は打率・245とセ・リーグの中では最も低かったが、今年は伝統の一戦で打ちまくる。新外国人のジャスティン・ボーア内野手(31)はオープン戦初タイムリーを放った。  今年の近本に"巨人アレルギー"は存在しない。前日7日の日本ハム戦(甲子園)でスタメンを外れたが、この日はオープン戦初の猛打賞と大暴れ。悔しさをバットに乗せた。  「原点に戻って積極的に(バットを)振っていった」  まずは一回、先頭の糸井が右前打で出塁した直後の1球目に小技でアピールした。三塁線に絶妙なセーフティーバントを決めて、ボーアの先制タイムリーを呼び込むと、2打席目の三回1死でスライダーを強振して右前へ。五回2死三塁からは一時勝ち越しとなる中前適時打でうっぷん晴らしだ。  「最近、いろいろ考えすぎるのがあったので、しっかりとストレートにタイミングを合わせて打った」  試合前の時点でオープン戦は打率・150(20打数3安打)。しかも相手は自身にとって苦手としている巨人だった。1年目の昨季、159安打でセ・リーグの新人安打記録を更新したが、巨人戦は打率・245(102打数25安打)と同一リーグでは最も相性がよくなかった。そんな伝統の一戦で復活の3安打。近本は「きょうは、そこ(相手)までは考えていなかった」と振り返ったが、相手に"最強2番"を印象づけた。

◆甲子園の申し子や!! 阪神は8日、巨人戦に4-4で引き分けた。六回に右翼の守備から途中出場したドラフト2位・井上広大外野手(18)=履正社高=が、3-4の八回に適時二塁打を放ち、1軍初安打&初打点をマーク。8年連続でシーズン負け越しを許している宿敵との今年初対決で、驚異の勝負強さを発揮した。  衝撃のG撃だ。無観客の甲子園に未来を開く打球音がこだました。左翼・モタのグラブの先をすり抜け、転々とする白球に脇目も振らずに二塁へ。今年最初の伝統の一戦。やっぱりこの男には聖地が似合う。期待の高卒ルーキー、井上が敗戦のピンチを救った。  「途中で打球は見失ったのですが、ベンチからの声で落ちたのは分かりました。ベンチの皆さんが、叫んで、手をあげてくれたので、自分も手をあげて応えました」  前日7日の日本ハム戦(甲子園)に続き、六回の守備からグラウンドに立った。3-4の八回1死一塁。ボール、ストライクと球を見極め、3球目だ。2018年巨人D1位・鍬原の内角低め、144キロの直球を一閃した。ファーストスイングで同点適時二塁打。1軍初安打&初打点に、曇り空から太陽も顔を出し、祝福した。  無観客でオープン戦とはいえ、2020年の伝統の一戦を占ううえで負けられない試合だった。ライバルには8年連続負け越し中。この日も八回に逆転を許し、重苦しい空気が漂っていた。そんな中、飛び出した一撃。虎のスーパースターへ、大きな可能性を感じさせる無類の勝負強さだ。  昨夏の甲子園決勝で星稜・奥川(ヤクルトD1位)からバックスクリーン弾を放って履正社を初優勝に導き、2軍安芸キャンプでは2月15日の初実戦(四国銀行戦、安芸)で初打席初球に特大アーチ。初めて矢野監督が視察に訪れた3月5日の大商大戦(鳴尾浜)は適時二塁打で1軍切符をゲットした。  そして、半年前に歓喜を味わった甲子園。しかも相手は巨人。昨年のドラフトで指名を受けたとき、目標の選手に巨人・岡本をあげた高校生は、その岡本が見つめる目の前で"甲子園の申し子"として再び君臨した。  チャンスを引き寄せる運だけではない。努力に裏付けされた実力は、無尽蔵の吸収力からきている。「どの先輩を見ても、打席のなかではなく、ネクストで考えて打席に立っているなという印象。割り切るところをまねしたいなと思います」。7日の1軍初試合は2打数無安打も収穫があった。「打席で何も考えず、体が反応できた」。すぐに結果を残せるのが井上のすごさだ。  矢野監督も「すばらしいバッティング」と脱帽。今回は2日間限定での1軍帯同となったが、実戦9試合で8打点は育成D1位・小野寺(大商大)と並び2軍ではトップ。勝負強い打撃に指揮官は「こっちが使いたいなっていうものを残してくれば、それ(シーズン中の昇格)はありうること」と期待を寄せた。  「ファンの皆さんの前で打ったら大歓声が聞ける。一日でも早くその歓声を聞けるように努力したいと思います」  頭の中に響き渡る虎党の大歓声。満員御礼の甲子園、そして伝統の一戦で喝采を浴びるため、鳴尾浜で再び研鑽を積む。 (原田遼太郎) 井上について阪神・井上打撃コーチ 「レギュラーを虎視眈々と狙う先輩たちのいい刺激になったのでは。(パワーは)さすがだな。俺と同じ名字だけど、いいものを見させていただいた」 ★井上の昨夏の甲子園決勝VTR  星稜との決勝戦では、奥川恭伸投手(ヤクルトD1位)の前に一回2死三塁の先制機は見逃し三振。だが、0-1の三回2死一、二塁でバックスクリーン左へ決勝点となる逆転3ランを放ち、履正社の春夏通じての甲子園大会初優勝に大きく貢献した。 ★阪神・井上の負傷からの経緯  ◆2019年11月22日 同19日の下校途中、大阪府内の駅で階段を踏み外し、右足首を捻挫したことを球団が発表  ◆2020年2月8日 2軍キャンプで全体練習に合流  ◆15日 四国銀行との練習試合(安芸)の四回に代打で実戦初出場し、初球を左翼に本塁打。六回には中前適時打を放ち、2安打3打点  ◆23日 西武との練習試合(高知東部)に「5番・DH」で実戦初スタメン。第1打席でバットを折られながら左越えの本塁打  ◆3月5日 大商大との練習試合(鳴尾浜)で九回に代打で適時二塁打。視察に訪れた矢野監督が1軍昇格を明言  ◆7日 日本ハムとのオープン戦(甲子園)の四回に糸井に代わり右翼守備から1軍初出場。五回の初打席は初球を打って右飛

◆本来なら野村克也さんの追悼試合になるはずだった、伝統の一戦。天からノムさんの声が聞こえたように感じたから、今回はノムラ風の評論といきたい。マイナス思考のボヤキ流でね。  エモトは1月の「日本一早い順位予想」で、巨人を1位に推したけど、3位もある...と思うようになっている。一方の阪神は3位と予想したけど、こちらは...。5位、6位もあるよ。  両チームともプラスアルファ、つまり、戦力の底上げが、伝わってこないんだ。巨人は、もしも菅野と坂本が活躍できなかったら、相当苦しい。阪神も4番のボーアが3割、30本塁打くらい打ってくれないと、昨年と代わり映えはしない。  要するに、昨年頑張った選手に引き続きやってもらうか、未知数の選手に期待をかけるか。確固たる底上げとは、とてもいえないわけだ。したがって両チームとも、ベンチワークは大変になるだろう。  まあ、あくまでノムさんの天の声をエモトが代わって伝えたまで。たまにはこういうのも、いいよね。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆ボーアはわずか1安打だったが、3打席すべてに内容があった。  センターから逆方向を意識し、打球が上がるようになっていた。相手が極端なシフトを敷いてきたが、それに惑わされず、ボールをしっかりと呼び込み、ヘッドを利かせて打つことができる。特に来日1年目の外国人の場合、結果が出ないと、どうしても焦ってボールを追いかけてしまうため、悪循環に陥るが、間(ま)がとれるボーアに関しては心配はない。  メジャー通算92本塁打という実績があるだけに「詰まってでも本塁打になる」という感覚をもてば、しめたもの。私も現役時代、狭い後楽園で詰まりながらもほうり込んだとき「なるほど、この感覚か」と手応えを得たことがある。特に右から左への強い浜風が吹く甲子園が本拠地。今のまま状態を上げ、開幕カードの神宮で1本でも本塁打を打てば乗っていける。  一方でサンズとマルテは心配。2人とも右肩で打ってしまっている。間がとれず、打撃が単なる衝突になっている。緩いボールを打って体の開きを抑えるのも一つ。相手の見せ球、捨て球などを冷静に見つめなおし、配球面で改善することも一つ。  外国人はパワーがある。だから、詰まる勇気をもつこと。これが成功への鍵だ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
西武
311 0.750
(-)
-
(-)
24
(+3)
11
(+3)
4
(+2)
9
(+1)
0.297
(↓0.018)
2.250
(↓0.19)
2
(-)
広島
521 0.714
(-)
-0.5
(-)
49
(+3)
36
(+3)
7
(+1)
4
(+2)
0.301
(↓0.005)
4.060
(↑0.29)
3
(-)
楽天
640 0.600
(-)
0
(-)
42
(-)
32
(-)
6
(-)
9
(-)
0.252
(-)
2.600
(-)
4
(-)
ソフトバンク
430 0.571
(-)
0.5
(-)
33
(-)
20
(-)
7
(-)
4
(-)
0.250
(-)
2.320
(-)
5
(-)
DeNA
540 0.556
(-)
0.5
(-)
34
(-)
34
(-)
7
(-)
2
(-)
0.249
(-)
3.160
(-)
5
(1↑)
日本ハム
541 0.556
(↑0.056)
0.5
(↓0.5)
44
(+3)
38
(+1)
5
(+1)
5
(+2)
0.274
(↓0.001)
3.340
(↑0.26)
7
(1↓)
ロッテ
221 0.500
(-)
1
(-)
21
(-)
21
(-)
6
(-)
6
(-)
0.226
(-)
3.890
(-)
7
(1↓)
ヤクルト
441 0.500
(-)
1
(-)
34
(-)
39
(-)
3
(-)
12
(-)
0.231
(-)
3.760
(-)
7
(1↓)
阪神
332 0.500
(-)
1
(-)
24
(+4)
42
(+4)
10
(-)
6
(+1)
0.227
(↑0.009
5.010
(↑0.15)
10
(-)
ORIX
242 0.333
(↓0.067)
2
(↓0.5)
28
(+1)
36
(+3)
6
(-)
4
(-)
0.267
(↓0.001)
4.080
(↑0.3)
11
(-)
巨人
263 0.250
(-)
3
(-)
42
(+4)
43
(+4)
10
(-)
2
(+1)
0.247
(↓0.004)
3.800
(↓0.02)
11
(-)
中日
260 0.250
(-)
3
(-)
18
(-)
41
(-)
4
(-)
2
(-)
0.218
(-)
4.890
(-)