巨人(☆4対1★)阪神 =クライマックスシリーズ4回戦(2019.10.13)・東京ドーム=
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阪神
0100000001200
巨人
00001120X4712
勝利投手:大竹 寛(1勝0敗0S)
(セーブ:デラロサ(0勝0敗1S))
敗戦投手:西 勇輝(0勝1敗0S)

本塁打
【巨人】岡本 和真(3号・5回裏ソロ),ゲレーロ(2号・7回裏2ラン)

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◆巨人が6年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。巨人は1点を追う5回裏、岡本のソロで同点とする。続く6回には、丸のセーフティスクイズで勝ち越し点を奪った。投げては先発・高橋が6回途中1失点でまとめると、その後は4人のリリーフ陣が相手を無安打に抑えた。敗れた阪神は打線が沈黙した。

◆11日に再来日した阪神ピアース・ジョンソン投手(28)が、この日の出場メンバーに登録されず、ベンチ外となった。 ジョンソンはCSファーストステージ直前に、夫人の出産立ち会いのため米国に帰国していたが、11日に再来日したばかりだった。

◆阪神福留孝介外野手(42)が初回から積極盗塁で攻める姿勢を示した。 初回、巨人先発左腕の高橋に対して2死走者なしから四球で出塁。続く4番マルテの初球。モーションと同時にスタートを切った。巨人バッテリーは意表を突かれ、捕手大城は二塁送球できず。福留は悠々と二塁を陥れた。福留は今季レギュラーシーズンから通して初の盗塁。マルテが倒れて先制とはならなかったが、チーム最年長がプレーでチームを鼓舞した。

◆阪神糸原健斗内野手(26)が先制の犠飛を放った。0-0の2回。11日第3戦で決勝弾を放ち、この日は5番に打順を上げた大山が先頭で二塁打。 続く梅野が送りバントを成功させて1死三塁とした。7番糸原はカウント2-0から巨人先発高橋の外角146キロを左翼に打ち上げた。打球はフェンス際まで飛んで犠飛には十分。三塁走者大山が余裕を持って先制の本塁を踏んだ。 先手をもたらした主将は「(大山)悠輔と梅野さんが作ってくれたチャンスだったので、何としても(本塁に)かえしたかったです。最低限の仕事ができてよかったです」。同ステージ初勝利を挙げた第3戦に続く、2戦連続の先制となった。

◆リプレーにも映らない? 阪神先発西勇輝投手(28)が東京ドーム場内の映像にも映らない早過ぎるクイックけん制で一塁走者を刺した。 同点の5回。1死から6番大城に中前安打を許した。続く7番ゲレーロに2球目を投じる前。セットポジションに入る前に素早く一塁へけん制を入れると、一塁審判はアウトをコール。一走大城はセーフをアピールして、原監督がリクエストを要求した。リプレー検証の間、場内には場面の映像が流されるが、複数のカメラは西の手元しか捉えておらず。一塁タッチープレーの瞬間は映し出されなかった。場内からはどよめきととともに、その早業に驚きの歓声もあった。数分間のリプレー検証の結果、判定通りアウトで試合が再開された。

◆巨人岡本和真内野手(23)が、今CS3本目となる同点ソロを放った。1点を追う5回無死、阪神西の初球のスライダーを中堅バックスクリーンにたたき込んだ。 「先頭だったので、何とか塁に出ることを心掛けました。打てて良かったです」とコメントした。

◆阪神先発の西勇輝投手(28)は、今季CSチーム最長の6回を投げるも、6安打2失点でリードを許してマウンドを降りた。 今季ポストシーズン2度目の先発。前回のDeNAとのCSファーストステージ第1戦は、初回に打球を足に受けて左足親指を負傷。わずか12球で緊急降板していた。 中7日での登板。立ち上がりは抜群の制球力で巨人打線に的を絞らせず。3回まで打者一巡を完璧に抑えるなど、安定感を見せていた。 1-0で迎えた5回。先頭の4番岡本にソロ本塁打をバックスクリーンに運ばれ同点。続く6回には小技で揺さぶられた。 先頭の9番山本に二塁打を許し、送りバントで1死三塁のピンチ。2番坂本勇は空振り三振に抑えたが、続く3番丸への初球だった。三塁側の投手前へセーフティーバントを転がされた。捕球した西は素早く一塁へ送球したが、ボールは左にそれて内野安打に。三塁走者山本が生還し、1-2と逆転を許した。王手をかけられ背水の阪神。西は悔しさを隠しきれず、一塁セーフの判定にぼうぜんとするしかなかった。 7回の攻撃で代打を送られ、6回79球で交代。2番手岩崎がマウンドに上がった。

◆巨人丸佳浩外野手(30)が意表を突く、勝ち越しのバント安打を決めた。1-1の6回2死三塁、阪神西の初球、145キロ直球を三塁側に転がし、全力疾走で一塁を駆け抜けた。好投を許した西から足で得点をもぎ取った。

◆阪神は2回1死三塁から糸原の犠飛で先制。先発西は3回まで無安打無失点。巨人先発の高橋は3回まで1安打1失点に抑えた。 巨人は1点を追う5回に岡本のソロで同点。6回2死三塁から丸のセーフティーバント(内野安打)で勝ち越した。 巨人は7回にゲレーロの2ランで加点。先発高橋から大竹、田口、中川、デラロサとつなぎ、日本シリーズ進出を決めた。巨人大竹が1勝、阪神西は1敗。

◆巨人が、セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦で阪神を4-1で下して、リーグ優勝による1勝のアドバンテージを加えて4勝1敗として日本シリーズ進出を決めた。CSファイナルステージのMVPは岡本和真内野手が輝いた。

◆今季限りで退団する阪神鳥谷敬内野手(38)が、16年間の縦じま生活に幕を下ろした。 CSファイナルステージ第4戦は3点を追う9回2死で代打登場。デラロサの直球をたたくも二ゴロに倒れ、終戦ゲームの最終打者となった。 最後まで大歓声を送り続けた虎党に向けて「打席も立たせてもらいましたし、そういう意味では...。16年間、自分というものを作ってきた。感謝しています。最後もそうですけど、どんな時でも声援をくれた。感謝しています」。 今後は他球団での現役続行を目指す。「この先はどうなるか分からないけど、自分がやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」と力を込めた。 鳥谷は03年ドラフト自由枠で阪神入団。04年9月9日から18年5月27日までプロ野球歴代2位の1939試合連続出場を記録するなど、長年不動の遊撃レギュラーに君臨。通算2085安打は球団歴代1位の数字になっている。 10年の104打点は遊撃手で史上最多。11年は最高出塁率のタイトルを獲得した。ベストナインは6度、ゴールデングラブ賞は遊撃、三塁で計5度。13年はWBC日本代表としてチームの準決勝進出に貢献した。

◆今季限りで退団する阪神鳥谷敬内野手(38)が、16年間の縦じま生活に幕を下ろした。3点を追う9回2死で代打登場。デラロサの直球をたたくも二ゴロに倒れ、終戦ゲームの最終打者となった。 鳥谷の一問一答は以下の通り。 -9回2死で代打登場。最後まで大歓声を送られた 「打席も立たせてもらいましたし、そういう意味では...。16年間、自分というものを作ってきた。感謝しています」 -今、頭に思い浮かぶことは 「今は本当にシーズンが終わったな、という感じぐらいしかないですけど。16年間あっという間でしたし、いろんな人の支えがあって今日まで来れたと思っています」 -若い選手たちが「鳥谷さんと一緒に」と奮闘し続けた 「CSも厳しい中で(レギュラーシーズン最終戦の)9月30日で終わるかもしれなかった中、2週間も長くタイガースのユニホームを着させてもらって、ありがたく思います」 -今後は他球団での現役続行を目指す 「この先はどうなるか分からないけど、自分がやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」 -支えてくれたファンへ 「本当に最後もそうですけど、どんな時も声援をくれた。感謝しています」

◆右足を上げて、フルスイング...ではなかった。同点の6回2死三塁。巨人丸佳浩外野手が意表を突いた。好投する阪神先発の西の初球。 投球モーションの途中でバットを持ち替え、投前へ打球を転がした。絶妙すぎるセーフティースクイズで決勝点をもぎとった。「一番、確率の高いものをといつも心掛けている。打席に入ってから決めた」と大きな"一打"を振り返った。 勝つための最善策が大前提にある。今季、西との対戦成績は12打数2安打で打率1割6分7厘。やや苦しめられてきたが、大一番でまくった。原監督も「サインではありません。丸自身が状況の中で『フォア・ザ・チーム』のプレーだった。ベンチもびっくりした。全員が勝とうという気持ちが集約されていた」と手放しでたたえた。丸史上初の日本一へ-。自身4度目の挑戦に挑む。

◆巨人原辰徳監督が東京ドームで10度、宙を舞った。リーグ優勝を決めた際は号泣したが「本拠地で1つのヤマを越えられたというのは格別です」と笑顔で喜んだ。 7回は1死一塁から代走の切り札増田大を送り出し、ゲレーロに2ランが飛び出した。相手が盗塁を警戒した中で、外角直球を引き出し「増田が30%ぐらい打たせてくれた。バッターだけを考えて投げさせたくはなかった」と貴重な追加点を奪った。6年ぶりの日本シリーズへ「ハツラツ、ノビノビと戦っていく」と宣言した。

◆6年ぶりの日本シリーズ進出を決め、原辰徳監督(61)が東京ドームで10度宙を舞った。 リーグ優勝を決めた際は号泣したが「本拠地でひとつのヤマを越えられたのは格別です。ジャイアンツファンのみなさまありがとうございました。おめでとうございます」と笑顔で感謝。左翼スタンドに向けては「阪神ファンのみなさんありがとうございました。後半のタイガースの戦い方、CS、チームが一丸となってくる勢いは驚異でした。勝つことができて、セ・リーグを代表して日本シリーズ出場権をとれたのは価値あることです」とあいさつした。 決勝点は6回2死三塁から丸のセーフティーバントで奪った。 「サインではありませんが、丸自身が状況の中、フォア・ザ・チームで、勝つことを掲げて4月からやってきた。その部分で勝つ率のいい部分を選んでくれた。ベンチもびっくりしましたし、全員の勝とうという気持ちが集約されていた」とたたえた。 4番岡本にはCSファイナルステージ3本目の同点ソロが飛び出した。 「間違いなくこのシリーズのMVPだと思います。頼もしくもあります。少し大人になったなと思います」 台風19号の影響で前日12日はドーム球場ではCS初となる雨天順延になった。 「(被害を受けた方々には)お見舞い申し上げます。この中集まっていただき、多くのファンがテレビの前で狂喜乱舞、バンザイをしてくれているということについては本当にありがとうございます」と気遣った。 日本シリーズの相手はソフトバンクに決まった。「まったく頭の中は真っ白です。あとひとヤマ。それは日本シリーズで勝つことです。全力で。これだけのファンがいる。勇気をいただいてやっていきたい」と誓った。

◆最強のビッグベイビーが日本シリーズに乗り込む。巨人岡本和真内野手(23)が、阪神とのCSファイナルステージ第4戦で豪快な同点ソロを放った。 5回に阪神西から今CS3号となる値千金弾。4試合で3発含む7打点の大暴れで、CSのリーグ最年少MVPを獲得した。同点の6回2死三塁には丸佳浩外野手(30)が衝撃のセーフティーバントで決勝点を奪い、阪神を4勝(アドバンテージの1勝含む)1敗で退けた。7年ぶりの日本一へ6年ぶりの挑戦権を得た。巨人岡本和真内野手(23)が、恥ずかしそうに背中を丸めた。試合後のセレモニーでMVPに選出された若き主砲はボードを遠慮がちに掲げると、すぐにチームメートの列に戻った。「ああいうのは初めてなので、恥ずかしかった。どうしていいかわからなかったです」。あまりの淡泊さに原監督からツッコミが入り、余計に照れて体が小さくなった。 堂々と4番を張った。1点を追う5回無死。阪神西の初球、スライダーをバックスクリーンへ放り込んだ。沈黙していた打線を1発で目覚めさせ、逆転勝利へと導いた。全4試合で安打、打点をマークし、打率、本塁打、打点でチーム3冠の大活躍。ビッグベイビーと命名した指揮官も「非常に頼もしく、少し大人になったような気がします。乳歯が抜けたってとこだね」と成長を認めた。 赤パンで験担ぎした矢野監督に対し、黒の"スラパン"で勝負に出た。シーズン後半戦から着用し、練習用は股の下が破れてポロリ寸前? 試合用は左膝周辺がボロボロだが「まだ使えるし、いい感じなんで」とCSでも愛用。前半戦の不振から復調、さらに好調へと好転させた吉兆のスライディングパンツをユニホームの下に忍ばせ、躍動した。「(7年ぶり)日本一に向けて、何とかチームのために貢献したいです」。自身初の日本シリーズ、乳歯が抜けたビッグベイビーに牙が生えた。【久保賢吾】 ▼23歳の岡本がファイナルSで打率5割3分3厘、3本塁打の活躍でMVP。CSファイナルSの最年少MVPは07年ダルビッシュ(日本ハム)の21歳だが、セ・リーグでは13年菅野(巨人)の24歳を抜く最年少。野手でも両リーグを通じて最年少MVPとなった。 ▼岡本が5回の同点本塁打で<1>戦から4試合連続打点。プレーオフ、CSの連続試合打点は17年内川(ソフトバンク)の5試合が最長だが、セ・リーグでは08年1S<1>戦~2S<1>戦ウッズ(中日)09年1S<1>戦~2S<1>戦和田(中日)18年1S<2>戦~ファイナルS<3>戦マギー(巨人)に次いで4人目のタイ記録。同一ステージで4試合連続打点はセ・リーグ初。

◆リーグ王者の巨人が1枚も2枚も上手だった。奇跡的な粘りを見せてきた阪神の19年が終わった。接戦に持ち込んだが力負け。 矢野燿大監督(50)は悔しさを押し殺しながら、さばさばした表情で総括した。 「ウチらしい、あきらめないとか、戦う姿勢とかはしっかりやってくれた。楽しかったね。毎日こういう中で野球をできるのもそう。こういう試合を続けることでチームとして成長できた部分は大きいと思う」 同点だった6回の攻防が命運を分けた。1点を巡るしのぎ合いだ。無死一、二塁の好機を築いたが、大竹にマルテが三ゴロ。大山、梅野は内角シュートを意識するあまり、ともに外角スライダーに空を切って、勝ち越せない。直後の2死三塁で丸を迎えた。初球だ。今季27本塁打の強打者が不意にバントを試み、西の前に転がす。意表を突かれた西が一塁送球も、それる。セーフティースクイズが決勝点...。課題の打線がわずか2安打に終わる中、試合巧者ぶりを見せつけられた。宿敵に完敗し、ファイナルステージで敗退。矢野監督は続ける。 「俺らの目指すところはもっと上にあるけど、現在地が分かった。ここに来られた意味はすごくあった」 ファーストステージでDeNAを撃破し、巨人に挑んだが、1勝3敗に終わった。攻めの継投など死力を振り絞ったが潔く散った。常勝チームの条件に肌で触れ、指揮官も前を向いた。 「ジャイアンツは全然違う戦い方。俺らはまだまだ強いチームじゃない。でも、どうやったらこの強いジャイアンツに勝てるか。ウチの戦い方はあると思う。同じような戦い方はなかなかできないかもしれない。見えた部分も多かった」 今季、12球団トップのチーム防御率3・46を誇る投手陣を中心に戦った。対照的に公式戦は打線が振るわず苦戦したが、最後に6連勝して逆転CS進出。DeNA戦も最大6点差逆転など、逆境でのしぶとい攻撃で見る者の心を打った。矢野監督は「俺は常に気持ちのことを言ってきた。負けられない戦いのなかでチームが1つになって戦えたのは一番、手応えを感じている」と振り返る。矢野阪神1年目が終戦した。悔しさは来季にぶつければいい。今はただ、胸を張って関西に帰ろう。【酒井俊作】

◆レギュラーシーズン3位から勝ち上がった阪神は巨人に1勝4敗で敗退した。就任1年目の矢野燿大監督(50)との一問一答は以下の通り。-終盤まで1点を巡る攻防だ。選手はベストを尽くした もちろん、もちろん。ウチらしい、そういう気持ちを持って、あきらめないとか、戦う姿勢とかはしっかりやってくれたと思う。 -ここまで来られた 楽しかったね。毎日、何かこう、こういう中で野球をできるのもそう。こういう試合を続けることでチームとして成長できた部分は大きいと思う。こういうところで俺らの目指すところはもっと上にもちろんあるんだけど、ここで、今の現在地というか、そういうものが分かるものになれた。ここに来られた意味はすごくあったと思う。負けられない戦いの中で、チームが1つになって戦えたのは一番、手応えというか感じているかな。 -次の1点の取り方が来季の課題になる まあ、課題はいっぱいあるしね。それは毎年、毎年課題ももちろん出る。でもチームとして成長していけるような部分は、春のキャンプでも言っていたけど、選手には可能性が大いにあると思っている。楽しかったなと。 -今日の西は気迫があった 今日じゃないよ。毎日だよ。アイツは、そうやってやってくれている。目いっぱいのプレーをしてくれてね。西のいいものを、ウチで出してくれたというのもあった。1年間しっかり投げきってくれたのもそう。今日も西らしい投球をしてくれたんでね。感謝というか、よくやってくれた。 -終盤は中継ぎ陣の踏ん張りを見せた もう出して、打たれたら納得しているもん、俺は。それぐらいやってくれた。それぐらいの信頼はずっとあった。本当に苦しい場面ばかりで、体も気持ちも疲れていたと思うけど、自分のなかでは納得してます。 -監督1年目が終了 もうちょっと待ってくれよ。そんなすぐ、終わってすぐに振り返らんでもええやろ。 -最後は鳥谷が阪神のユニホームで最後の打席に そういうことだけで出しているわけじゃなくて、走者に出て点を取るっていうことも含めて、あんまり、それをすると鳥谷にも失礼だし。鳥谷もあそこで塁に出てくれる、ということで出している。しっかりしたスイングをしてくれた結果なので。 -阪神にいろんなものを残してくれた 今に始まったものじゃないじゃん。 -シーズン終盤から今日まで、チームに対する手応えもあった ジャイアンツは全然違う戦い方。俺らはまだまだ強いチームじゃない。でも、どうやったらこの強いジャイアンツに勝てるかという部分も。ウチの戦い方はあると思う。同じような戦い方はなかなかできないかもしれない。見えた部分も多かった。俺は常に気持ちのことを言ってきた。それが一番、みんなで戦えたというところに手応えを感じています。 -あらためて今年の巨人はどうだった やっぱり強いチームだと思う。トータル的に豪快な野球ももちろんそうだし、でも細かい野球も、バランスがすごくいいチーム。ホームランが目立つと思うけど、そういう部分じゃないところもジャイアンツの強さはあった。チームのバランス的に、また選手個々の意識も高かったと思う。そういうチームだったんじゃないかな。

◆フロント陣が阪神矢野燿大監督の指導力をたたえた。試合を見守った揚塩球団社長は「(昨季の)最下位からAクラスに入って最後の最後まで頑張ってくれました」と語り、谷本球団副社長兼球団本部長も「よくやっていただいた」と感謝。 同副社長は再来日も登板機会がなかったジョンソンについて「シーズンすごい頑張ってくれたので、最後の最後は残念でしたけど、よくやってくれた」と話した。

◆阪神の守護神藤川球児投手は最後までマウンドに立ち続けた。 3点ビハインドの8回に登板。11日のイニングまたぎから中1日で、1回を無失点に抑えた。CS敗退を「勝たないと意味がない。いつか負ける日は来る。その日を覚悟して戦ってきたけど、力がここまでだったということ」と受け止めた。虎復帰4年目の今季は56試合に登板。シーズン途中からはストッパーに復帰してブルペンを引っ張った。

◆リーグ最年長42歳の阪神福留孝介外野手は今季初盗塁でチームを鼓舞した。 初回2死から四球で出塁し、続く4番マルテの初球で先発左腕高橋のモーションを完全に盗んだ。「その時に何ができるかというのを自分の中で考えて」。42歳5カ月での盗塁はプレーオフ、CS史上最年長。今CSは試合前まで3死球で、万全な状態ではない中で攻める姿勢を示し続けた。長いシーズンを終え「ちょっと休みます」。日米通算22年目の来季は球界最年長となる。

◆阪神大山悠輔内野手はチーム唯一の2安打を放つも、絶好機であと1本が出なかった。 7番で決勝弾を打った第3戦から5番に昇格。2回に左中間へ二塁打を放って犠飛につなげ、4回は中前安打と試合をまたいで4打席連続安打。ただこの回は二盗に失敗し、同点の6回1死一、二塁の得点機では大竹のスライダーにバットは空を切った。 試合後は悔しさをかみしめ、静かに球場を後にした。

◆レギュラーシーズン3位から勝ち上がった阪神は巨人に1勝4敗で敗退した。 就任1年目の矢野燿大監督(50)との一問一答は以下の通り。-次の1点の取り方が来季の課題になる 課題はいっぱいある。毎年、毎年課題ももちろん出る。でもチームとして成長していける部分は春のキャンプでも言ったけど選手は可能性が大いにあると思っている。楽しかったなと。 -今日の西は気迫全開 今日じゃないよ。毎日だよ。アイツは、そうやってやってくれている。目いっぱいのプレーをしてくれてね。西のいいものを、ウチで出してくれたというのもあった。1年間しっかり投げきってくれたのもそう。今日も西らしい投球をしてくれたんでね。感謝というか、よくやってくれた。 -終盤は中継ぎ陣が踏ん張りを見せた 出して、打たれたら納得している、俺は。それぐらいやってくれた。それぐらいの信頼はずっとあった。本当に苦しい場面ばかりで体も気持ちも疲れていたと思うけど、自分の中では納得しています。 -監督1年目が終了 もうちょっと待ってくれよ。終わってすぐに振り返らんでもええやろ。 -最後は鳥谷が阪神のユニホームで最後の打席に そういうことだけで出しているわけじゃなくて、鳥谷もあそこで塁に出てくれるということで出している。しっかりしたスイングをしてくれた結果なので。 -今年の巨人はどうか 強いチームだと思う。トータル的に豪快な野球ももちろんそう。でも細かい野球も、バランスがすごくいいチーム。ホームランが目立つと思うけど、そういう部分じゃないところもジャイアンツの強さはあった。

◆阪神ピアース・ジョンソン投手はCSで登板することなくシーズンを終えた。 夫人の出産に立ち会って11日に再来日し、12日はブルペンで調整しながらベンチ外。右腕は「2週間くらい空いたというのもありますし、時差とかも踏まえて体調的に万全ではなかったので」と説明した。試合前練習では肘の内側を伸ばしながらトレーナーやコーチらと話し込む場面もあった。レギュラーシーズン58試合で防御率1・38、リーグ2位の42ホールドポイントを挙げた来日1年目を「監督、コーチ、首脳陣の方々、チームメートに出会えて、想像もしていなかった素晴らしいシーズンを過ごせた」と振り返った。

◆今季限りで阪神を退団する鳥谷敬内野手(38)が16年間プレーしたタイガースでの最終戦を終えた。 クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦。巨人に3点リードされた9回2死、代打でニゴロに倒れて19年シーズン最後の打者となった。8月に球団から引退勧告を受けたが、現役続行を決断。試合後は虎党への感謝と「新しい野球人生」への決意を語った。オレンジ色の紙テープが一斉に投げ込まれる。少数派の悲鳴が歓喜の雄たけびにかき消されていく。終わった。本当に終わった。 「16年間、あっという間でした」 鳥谷は現実を受け止めるかのように表情を固め、三塁ベンチに走って消えた。 虎最終打席の舞台は宿敵の本拠地、東京ドーム。3点を追う9回2死から代打登場すると、敵味方関係なく大歓声で迎えられた。 「最後もそうですけど、どんな時も声援をくれた。感謝しています」 虎党への思いをバットに込め、デラロサの159キロを押し返した。二ゴロ。終戦。「いろんな人の支えがあって今日まで来られました」。最後は穏やかな表情で言葉を並べた。 8月29日の朝、球団から引退勧告を受けた。甲子園の中日戦が雨で流れた夜、自宅に戻ると子供5人をリビングに集めた。 「パパ、クビになった」 いつもは強気な次男でさえ言葉を失った。 「えっ...辞めるの?」 今にも泣きだしそうな子供たちに約束した。 「大丈夫。また野球できるように頑張るから」 顔面死球で鼻骨を折った時も、レギュラーの座を奪われた時も、いつだってはい上がる姿勢で生き様を伝えてきた。 「子供は誰だって、親がプレーしている姿を見ていたいものだから」 子が願うのであれば、父親はどんな困難にも立ち向かっていける。 5年契約最終年の今季は不調も響き、一気に出番が激減した。心身ともに追い詰められていく中、ふと思い出した言葉がある。 「サラリーマンだったら、そんなことしょっちゅうだぞ」 チーム状況など環境の激変もあって大きく立場が変わっていった数年前、何げない雑談の中で父からかけられた言葉だ。周りのせいにはしない。日々、ベストを尽くし続けた。 もちろん、プロは結果がすべて。開幕後、進退の2文字が頭から離れることはなかった。2軍に落としてください-。何度願い出ようとしたことだろう。 「なんか引退って、すべてが終わった感じがして悲しい言葉だよな。でも引退を転職って考えたら、すごく前を向ける気もする」 そう寂しそうに笑ったこともある。 38歳。髪の根元には白色も現れた。身を引くべきか。あがくべきか。周囲の声は嫌でも耳に入ってきた。「タイガースで終わってほしい」。感謝した。「もう限界だろう」。負けん気が騒いだ。 想像を絶する苦悩の中、愛妻たち家族から送られた言葉は今も忘れない。「まだ動けるなら、やればいいじゃない」。救われた。「子供にいつも逃げるなって言ってきたから」。最後は父の覚悟が、現役続行といういばらの道を選ばせた。 「この先どうなるか分からないけど、自分がやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」 東京生まれ、東京育ち。関西の文化に戸惑った入団直後が懐かしい。愛され、時にはたたかれ、ラストは涙され、ついに16年間の縦じま生活に別れを告げる。 「『阪神タイガースの鳥谷』じゃなく、ただの『鳥谷』になった時にどうなるか」 また、難解なチャレンジが始まる。それなのにどこかワクワクしてしまうところが、最後まで鳥谷らしい。【佐井陽介】

◆巨人原監督が東京ドームで10度、宙を舞った。 リーグ優勝を決めた際は号泣したが「本拠地で1つのヤマを越えられたというのは格別です」と笑顔で喜んだ。7回は1死一塁から代走の切り札増田大を送り出し、ゲレーロに2ランが飛び出した。相手が盗塁を警戒した中で、外角直球を引き出し「増田が30%ぐらい打たせてくれた。バッターだけを考えて投げさせたくはなかった」と貴重な追加点を奪った。6年ぶりの日本シリーズへ「ハツラツ、ノビノビと戦っていく」と宣言した。 ▼巨人が13年以来、35度目の日本シリーズ出場を決めた。原監督は6度目の出場になり、監督で単独6位。巨人の監督では川上監督11度、水原監督8度に次いで3人目で、5度で並んでいた長嶋監督を抜いた。02、09、12年の3度日本一の原監督が、シリーズ初対戦となるソフトバンク相手に4度目の日本一を目指す。 ▼CSが始まった07年以降、セ、パ同じ日に日本シリーズ出場チームが決まったのは、09年10月24日(巨人、日本ハム)以来10年ぶり2度目。

◆最強のビッグベイビーが日本シリーズに乗り込む。巨人岡本和真内野手(23)が、阪神とのCSファイナルステージ第4戦で豪快な同点ソロを放った。5回に阪神西から今CS3号となる値千金弾。4試合で3発含む7打点の大暴れで、CSのリーグ最年少MVPを獲得した。同点の6回2死三塁には丸佳浩外野手(30)が衝撃のセーフティーバントで決勝点を奪い、阪神を4勝(アドバンテージの1勝含む)1敗で退けた。7年ぶりの日本一へ6年ぶりの挑戦権を得た。岡本が、恥ずかしそうに背中を丸めた。試合後のセレモニーでMVPに選出された若き主砲はボードを遠慮がちに掲げると、すぐにチームメートの列に戻った。「ああいうのは初めてなので、恥ずかしかった。どうしていいかわからなかったです」。あまりの淡泊さに原監督からツッコミが入り、余計に照れて体が小さくなった。 "5年越し"の栄誉だった。1年目の15年12月、台湾のウインターリーグに参戦した。打点、安打数、塁打数でトップに立ち、MVP最有力候補で決勝戦を迎えたが、チームは敗戦。自身も4打数無安打でMVPも逃した。「覚えてます。あの時の分もぶつけますよ」と試合に臨んでいた。1安打に終わった昨季のCSの雪辱とともに、ルーキー時代の苦い思い出とも決別した。同じ轍(てつ)は踏まない。今季は堂々と4番を張った。1点を追う5回無死。阪神西の初球、スライダーをバックスクリーンへ放り込んだ。沈黙していた打線を1発で目覚めさせ、逆転勝利へと導いた。全4試合で安打、打点をマークし、打率、本塁打、打点でチーム3冠の大活躍。ビッグベイビーと命名した指揮官も「非常に頼もしく、少し大人になったような気がします。乳歯が抜けたってとこだね」と成長を認めた。赤パンで験担ぎした矢野監督に対し、黒の"スラパン"で勝負に出た。シーズン後半戦から着用し、練習用は股の下が破れてポロリ寸前? 試合用は左膝周辺がボロボロだが「まだ使えるし、いい感じなんで」とCSでも愛用。前半戦の不振から復調、さらに好調へと好転させた吉兆のスライディングパンツをユニホームの下に忍ばせ、躍動した。「日本一に向けて、何とかチームのために貢献したいです」。自身初の日本シリーズ、乳歯が抜けたビッグベイビーに牙が生えた。【久保賢吾】▼23歳の岡本がファイナルSで打率5割3分3厘、3本塁打の活躍でMVP。CSファイナルSの最年少MVPは07年ダルビッシュ(日本ハム)の21歳だが、セ・リーグでは13年菅野(巨人)の24歳を抜く最年少。野手でも両リーグを通じて最年少MVPとなった。▼岡本が5回の同点本塁打で第1戦から4試合連続打点。プレーオフ、CSの連続試合打点は17年内川(ソフトバンク)の5試合が最長だが、セ・リーグでは08年1S第1戦~2S第1戦ウッズ(中日)09年1S第1戦~2S第1戦和田(中日)18年1S第2戦~ファイナルS第3戦マギー(巨人)に次いで4人目のタイ記録。同一ステージで4試合連続打点はセ・リーグ初。

◆阪神が13日、巨人とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第4戦(東京ドーム)で先制。5番から7番に降格した糸原健斗内野手(26)の左犠飛で先取点をもぎ取った。  「悠輔と梅野さんが作ってくれたチャンスだったので、なんとしても返したかったです。最低限の仕事ができてよかったです」。0-0の二回先頭、大山が左中間を破る二塁打。梅野の一前犠打で1死三塁とすると、巨人の内野は前進守備。ここで糸原が左翼フェンス手前まで打球を飛ばし、2試合連続で先制に成功した。  糸原はファイナルステージでは全て「5番・二塁」での先発だったが、この日は「7番・二塁」での起用だった。

◆阪神・西勇輝投手(28)が13日の巨人とのクライマックス・シリーズファイナルステージ第4戦(東京ドーム)に先発し、1-0の五回に岡本に同点ソロを献上した。  四回までをわずか1安打とほぼ完璧に封じて迎えた五回。先頭の岡本を打席に迎え、初球の外角低め129キロスライダーを捉えられた。打球は高々と上がり、バックスクリーンへ。シーズンでは12打数3安打、0本塁打としてきた相手に手痛い一発を浴び、同点に追いつかれてしまった。

◆巨人の岡本和真内野手(23)が13日、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ第4戦(東京ドーム)で、CS3発目となる同点ソロをマークした。  1点を追う五回先頭で、阪神・西が投じた低めのスライダーを捉え、バックスクリーンへほうり込んだ。絶好調の4番は「先頭だったので、なんとか塁に出ることを心がけました。打ててよかったです」とコメント。  9日の第1戦では一回にソロ、11日の第3戦の五回にも2ランを放っており、今CSはこの打席終了時点で4試合14打数8安打、3本塁打、7打点。昨年のCSは5試合で18打数1安打だった。

◆阪神・西勇輝投手(28)が13日の巨人とのクライマックス・シリーズファイナルステージ第4戦(東京ドーム)に先発し、6回6安打2失点で降板した。  五回に岡本に同点ソロを献上。六回には、先頭の山本に左翼線へ二塁打を浴びると、亀井の投前犠打で1死三塁。坂本勇は空振り三振に仕留めたが、続く丸にやられた。  初球、外角145キロをセーフティーバント。三塁線へ転がされ、西が一塁へ送球したが、それて適時内野安打に。痛恨の失点に、その場に寝そべり、正座し、悔しさをにじませた。  七回2死の自身の打席で代打・上本が送られて交代。2番手として七回からは岩崎が登板した。

◆阪神・岩崎優投手(28)が13日の巨人とのクライマックス・シリーズファイナルステージ第4戦(東京ドーム)の七回から2番手で登板し、1死一塁でゲレーロに2ランを浴びた。  七回1死から大城にストレートの四球。続くゲレーロへの2球目、外角143キロ直球をフルスイングされた。打球はきれいな放物線を描いて右中間席中段に着弾。1-4と点差を広げられてしまった。

◆フルスイングだけじゃない! 巨人の丸佳浩外野手(30)が13日、阪神とのクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ第4戦(東京ドーム)の同点の六回、勝ち越しのセーフティースクイズを成功させた。  同点の六回2死三塁、阪神・西が投じた初球だった。グリップを下げるのと同時に、右足を上げるリズミカルな動作でトップを作った丸は、素早くバントの構えに切り替え、三塁前へ。慌てて処理した投手・西の一塁送球がわずかに逸れ、間一髪セーフ。意表を突くプレーで2点目をもぎ取った。

◆巨人のアレックス・ゲレーロ外野手(32)が13日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦の阪神戦(東京ドーム)に「7番・左翼」で先発出場。1点をリードした七回1死一塁から、右中間席への2ランを放った。  この回からマウンドに上がった2番手の岩崎が投じた2球目を一閃。本拠地に詰めかけたG党の大歓声に乗り、スタンドに着弾した。これでこのシリーズ2発目。ポストシーズンも助っ人の状態はいい。

◆巨人が阪神に逆転勝ちし、日本シリーズ進出を決めた。巨人の日本シリーズ出場は6年ぶり35度目。阪神はレギュラーシーズン3位からの"下剋上"を狙ったが、果たせなかった。  巨人は高橋、阪神は西が先発。巨人は大城が先発マスクをかぶり、ゲレーロがスタメンに復帰。阪神は11日の試合で代打で安打を放った陽川がオーダーに名を連ね、大山が5番に座った。  先制したのは阪神。二回先頭の大山が左中間を深々と破る二塁打を放つと、梅野の犠打で三進し糸原の犠飛で生還した。  巨人は西の前に三回まで完璧に抑えられていたが、四回一死から坂本勇が中前打で出塁。しかし続く丸が二ゴロ併殺打に倒れ、この回も3人で攻撃が終わる。一方の阪神も五回まで毎回走者を出しながら追加点が奪えない。四回に大山、五回には近本が盗塁を試みるも、いずれも大城に刺された。  巨人は五回、先頭の岡本がバックスクリーンへのソロ本塁打で追いつく。さらに1-1で迎えた六回、巨人は山本の左翼線二塁打と犠打で1死三塁のチャンスを作る。坂本勇は空振り三振に倒れたが、続く丸が初球にセーフティースクイズを敢行、これを決めた。打球を処理した西はグラウンドに仰向けに倒れ、その後もしばらく両膝をついて落胆の表情を見せた。  巨人は七回にもゲレーロの右中間スタンド中段に運ぶ2点本塁打で差を広げる。六回から高橋の後を受けた大竹、田口、中川の中継ぎ陣は阪神打線に安打を許さず、九回はデラロサが無失点で締めくくった。

◆巨人が阪神に逆転勝ちし、日本シリーズ進出を決めた。巨人の日本シリーズ出場は6年ぶり35度目。原辰徳監督(61)との一問一答は以下の通り。  --6年ぶりの日本シリーズ決定  「本拠地で山を越えられたということは格別。日本シリーズの出場権を取ったということは本当に価値がある」  --丸が勝ち越しのセーフティースクイズ  「サインではない。チームが勝つということを一番に掲げてきた。ベンチもビックリした。全員が勝とうという気持ちが集約されていた」  --岡本がCS3発目となる同点ソロ  「間違いなくこのシリーズのMVP。頼もしく少し大人になった感じがした」  --日本シリーズへ向けて  「まだ頭の中は真っ白。われわれの目標は日本シリーズで勝つこと。全力で戦っていく」

◆巨人が阪神に逆転勝ちし、日本シリーズ進出を決めた。巨人の日本シリーズ出場は6年ぶり35度目。  原辰徳監督(61)は1点を追う五回先頭で、CS3発目となる同点ソロをマークした岡本和真内野手(23)について、「間違いなくこのシリーズのMVP。頼もしく少し大人になった感じがした」と絶賛した。  岡本は9日の第1戦では一回にソロ、11日の第3戦の五回にも2ランを放っていた。

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は13日、セ、パ両リーグともに第4戦が行われ、セは5年ぶりにリーグ優勝した巨人がレギュラーシーズン3位から勝ち上がった阪神を4-1で下してリーグ優勝による1勝のアドバンテージを加えて対戦成績を4勝1敗とし、パは2位ソフトバンクがリーグ2連覇した西武に9-3で快勝して4連勝を飾って日本シリーズ進出を決めた。巨人は6年ぶり35度目、ソフトバンクは3年連続19度目(南海、ダイエー時代を含む)の出場。  セは巨人が1-1の六回に丸のスクイズで1点を勝ち越すと七回にゲレーロの2ランで加点した。  パはソフトバンクが三回に今宮の本塁打で1点を先制。その後も今宮が六回と九回に2ランを放つなど着実に得点を重ねた。最優秀選手には今宮が選ばれた。  日本シリーズは19日にヤフオクドームで開幕。巨人とソフトバンクの顔合わせは2000年以来11度目で、巨人は7年ぶり、ソフトバンクは3年連続の日本一を目指す。 巨人・原監督 「本拠地で一つの山を越えられたのは格別。日本シリーズへの出場権を取ったのは価値あること。目標は日本シリーズで勝つこと。(岡本は)非常に頼もしく、少し大人になったなという感じがする」 ソフトバンク・工藤監督 「みんながつなぐ気持ちを持ってやってくれたことが、この得点数につながっている。チーム一丸となった勝利。日本シリーズに行って勝てるように熱い試合をやっていきたい」

◆阪神は課題の打線が振るわず、わずか2安打に終わった。苦手としている高橋を打ち崩せず、七回以降は出塁すらできなかった。  第3戦で勝ち越し本塁打を放った大山は5番に座った。二回に二塁打を放って犠飛につなげたが、中前打で出た四回は二盗に失敗した。  盗塁王に輝き、打線をけん引してきたルーキーの近本は無安打。四球で出た五回は盗塁死して、チャンスを広げられなかった。「得たものはいっぱいある」と話した。 阪神・矢野監督 「毎日楽しかった。負けられない中、チームで一つになって戦えたことに手応えを感じている。チームとして成長できた部分も大きかった」

◆阪神の上本は七回に代打で出場したが、投直に終わった。昨季、取得した国内フリーエージェント(FA)権は行使せずに持っている。去就について「これから。来季まで時間もある」と話した。

◆阪神は13日、巨人とのクライマックスシリーズファイナル第4戦(東京ドーム)に1-4で敗れ、1勝4敗となり、敗退が決まった。矢野燿大監督は試合後、悔しさの中にも来季への手応えを感じているようだった。以下一問一答--終盤まで1点を巡る攻防。選手はベストを尽くした  矢野監督 「もちろん、もちろん。ウチらしいというか、そういう気持ちを持って。あきらめないとか、戦う姿勢とかはしっかりやってくれたと思う」  --ここまで来られた  「楽しかったね。毎日、何かこう、こういうなかで野球をできるのもそうやし。こういう試合を続けることでチームとして成長できた部分は大きいと思う。俺らの目指すところはもっと上にもちろんあるんだけど、ここで、いまの現在地というか、そういうものが分かるものになれたと思う。ここに来られた意味はすごくあったと思う。負けられない戦いのなかで、チームが1つになって戦えたのは一番、手応えというか感じているかな」  --同点から次の1点の取り方が。来年に向けても課題に  「課題はいっぱいあるしね。それは毎年、毎年、課題ももちろん出るしね。でも、チームとして成長していけるような部分というのはね。春のキャンプでも選手にも言っていたんだけど、選手には可能性が大いにあると思っているしね。楽しかったなと」  --きょうの西は気迫が  「きょう(だけ)じゃないよ。毎日だよ。あいつは、そうやってやってくれているしね。目いっぱいのプレーをしてくれてね。西のそういういいものを、うちに出してくれたというのもあったし。1年間しっかり投げ切ってくれたというのもそうやし。きょうも西らしいピッチングをしてくれたんでね。感謝というか、よくやってくれたなって思いしかないです」  --終盤は中継ぎ陣の踏ん張り  「もう、出して打たれたら納得しているもん、俺は。それぐらいやってくれたし、それぐらいの信頼はずっとあったんで。ずっと苦しい場面ばっかりで、体も気持ちも疲れてたと思うけど、自分の中では納得しています」  --監督1年目を振り返って  「もうちょっと待ってくれよ。そんな終わってすぐに振り返らんでもええやろ」  --最後は鳥谷がタイガースのユニホームで打席に  「それはそういうことだけで出しているわけじゃなくてね。ランナーに出て点を取るっていうことも含めて、あんまりそれをし過ぎると鳥谷にも失礼だし。鳥谷自身があそこで塁に出てくれということで出してるので。しっかりしたスイングをしてくれた結果なので」  --いろいろなものを残してくれた  「今に始まったものじゃないじゃん」  --シーズン終盤からきょうまで約3週間。チームに対する手応えもあったのでは  「ジャイアンツは全然(阪神とは)違う戦い方だけど。俺らはまだまだ強いチームじゃないけど。でも、どうやったらこの強いジャイアンツに勝てるか、という部分も。ウチの戦い方っていうのはあると思うんでね。同じような戦い方っていうのは、なかなかできないかもしれないけど。見えた部分も多かったし。常に気持ちのことを言ってきたんで。それが一番。みんなで戦えたということに手応えを感じています」  --あらためて今年の巨人はどうだった  「やっぱり強いチームだと思うし。トータル的に豪快な野球ももちろんそうだし、でも細かい野球も、バランスがすごくいいチームだと思うし。どっちかっていうとホームランが目立つと思うんだけど、そういう部分じゃないところもジャイアンツの強さはあったと思うし。チームのバランス的に、また選手個々の意識も高かったと思うし。まぁそういうチームだったんじゃないかな」

◆今季限りで阪神を退団する鳥谷敬内野手(38)が13日、16年間プレーした阪神での最終戦を終えた。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの巨人戦で1-4の九回2死から代打で二ゴロに倒れて最後の打者となり、シーズンが終了。「(阪神で)自分、というものをつくってきた」と感謝の思いを口にした。今後は他球団への移籍を目指し、DeNAなどが獲得を検討している。  8月下旬に球団から引退勧告を受けたが、拒否して現役続行を決断。来季については「どうなるか分からないけれど、新しい野球人生に向けて頑張りたい」と言葉に力を込めた。  鳥谷は埼玉・聖望学園高から早大を経て、2004年に自由獲得枠で入団した。ここまで通算2085安打を放ち、04年9月9日から昨年5月29日までの1939試合連続試合出場は故衣笠祥雄氏に次いで歴代2位。

◆巨人の大竹が好救援で勝利を呼び込んだ。1-1の六回無死一、二塁で登板。マルテを三ゴロ、大山と梅野を2者連続で空振り三振に仕留めて無失点でしのぐと、その裏にチームが勝ち越して勝利投手となった。  36歳のベテラン右腕。3試合連続で無失点と要所を締め「抑えられて良かった。打者一人一人と思っていた中で最高の結果となった」とうれしそうに話した。

◆巨人のドラフト1位ルーキー高橋は大事な一戦で六回途中まで1失点と役割を果たした。5四死球を与えるなど毎回走者を背負ったが、二回の犠飛による1点のみに抑え「こういう試合で粘れたのは良かった」と笑顔を見せた。  0-1の三回1死一、二塁のピンチでは福留を見逃し三振、マルテを三ゴロに仕留めた。日本シリーズでの登板にも期待が懸かる。「状態をしっかり上げて、チームが勝つように、日本一になれるように貢献したい」と力強く話した。 ゲレーロ(2-1の七回に2ラン) 「日本シリーズが近づく本塁打でうれしかった」 吉村打撃総合コーチ(好調の岡本に) 「打てなかった去年のCSの悔しさがあったと思う」 宮本投手総合コーチ(好投したルーキー高橋に) 「日々成長している。新人なんだけど頼もしい。信頼できる投手」

◆阪神の2019年シーズンの終了とともに、鳥谷敬内野手(38)のタイガースでの16年も終わった。13日のクライマックスシリーズファイナルステージ第4戦の巨人戦(東京ドーム)後、三塁ベンチを出ると、関係者やファンに感謝の思いを語った。--最後はいろいろな思いが...  鳥谷「打席も立たせてもらいましたし、そういう意味では、この球団で自分というものを作ってきたので。本当に感謝しかないです」  --阪神でのプロ生活で思い浮かぶのは  「今は今シーズンが終わった、という感じしかしないですけど。16年間あっという間でしたし、いろんな人の支えがあったので」  --若い選手が、その姿勢をみてやってきた  「そうですね。クライマックスも厳しい中でね、終われば(負ければ)9月30日(中日とのレギュラーシーズン最終戦)で、終わりだったので。2週間長く(阪神の)ユニホームを着させてもらったので。ありがたいと思っています」  --今後は  「この先どうなるかはわからないですけれど、自分のやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」  --ファンへの思いは  「最後もそうですけれど、どんなときでも声援をくれたので。感謝しています」

◆阪神・藤原オーナー(電鉄本社会長)はバックネット裏のスタンド上部にある貴賓席で観戦。多忙を極める中、ファイナルステージは10日に続いて2度目の東京ドーム入りとなった。終戦を見届けると「よく頑張りました。また、新たな頑張りの年が来るわけです。期待しましょう」と短くコメントして、戦いの場を後にした。 阪神・揚塩球団社長 「本当によくやってくれました。一時は最下位からAクラスに入り、最後の最後まで頑張ってくれた。チームに感謝したい」

◆ピーッ! ノーサイド!! ついに、奇跡の虎は力尽きた。しかし、最後まで決して諦めない終盤のその姿に勝敗を超えて鳴り止まないくらいの拍手を送らせてください。  まるで夢のような6連勝で大逆転CS進出を決めたあの甲子園の夜! メッセンジャーの涙の引退会見。そして、今季限りで虎のユニホームに別れを告げる鳥谷がメッセに花束を...。ウウウ、涙があふれたよ。2人とも心よりアリガトウ!!  近本のミスタープロ野球・長嶋茂雄さんの新人最多安打のリーグ記録を塗り替える偉業をたたえ、CSでは強力DeNA打線を封じた藤川をはじめとする炎の救援陣に酔い、第2戦では九回2死走者なしからの福留様の同点アーチにもシビレた~!! 虎の150試合に感謝!!  来年は30ホーマー、100打点の助っ人加入! スイングの時、右足を引く癖を修正して大山が真の4番に成長!! そして、今季の雪辱を果たす藤浪の復活最多勝で虎のV&東京五輪で日本中お祭りや!!  最後に、俺は芝居『流れ星』(作、演出・宅間孝行)で12月8日まで全国公演中です。ぜひ虎党の皆さん、劇場でお会いしましょう!!

◆巨人・大竹寛投手(36)が13日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦、阪神戦(東京ドーム)の1-1と同点の六回無死一、二塁から2番手で登板。一打出れば勝ち越しを許す緊迫した場面を、無失点で切り抜けた。  「抑えられてよかった。(高橋)優貴も頑張って投げていたし、なんとかカバーしたいなというのもあって。バッター一人一人と思ったところで、最高の結果になったと思います」  まずは、相手の4番・マルテに武器のシュートを内角に投げ込み、1球で三ゴロに抑えた。だが、なおも1死一、二塁。ここで、ベテランの真骨頂が出た。  5番・大山と、続く梅野を外角低めのスライダーで空振り三振に。最大のピンチを無失点に抑えて見事"火消し"に成功。その裏にチームは丸のセーフティーバントで勝ち越しに成功した。七回以降は田口、中川、デラロサがそれぞれ1イニングずつをパーフェクトに抑えてゲームセット。救援陣の活躍で日本シリーズ進出を決めた。  宮本投手総合コーチは「MVPは(岡本)和真だけど、俺の中でMVPは(大竹)寛ちゃんと田口なんだよね。陰のMVPなんだ、あの2人」とベテラン右腕と、今季チーム2位タイの55試合に登板した左腕をたたえた。  19日からは日本シリーズが幕を開け、ソフトバンクと頂点をかけて戦う。ベテラン右腕の力投が、チームを上へと押し上げる。  ◆3番手で七回を三者凡退に抑えた巨人・田口 「1点を取っていて大事なイニングでもありましたし、先頭バッターでアウトをとれたのがよかった。日本一を取るまでは結果を出したとは言えない。日本一に加われるように頑張ります」

◆台風一過とはこのことか。首都圏上空の雲はすべて台風19号に吹き飛ばされたのだろう。真っ青に澄み渡った空。見上げながら東京ドームに到着する。阪神ナインの、阪神ファンの気持ちも晴れ渡ればいいな、と思いながら。  台風通過中は閉まっていたコンビニも再開。これは喜ばしいのだが、ほとんどの店でスポーツ新聞が全く売られていなかった。いったいどういうことか? 店員に聞くと「配送が間に合ってないんですよ」。前日(12日)に一生懸命? 記事を書いた立場としては、実に寂しい話。改めて、台風が憎くなった。二度と来るなぁ!  さて、タイガース。このチームのドタバタは今に始まったわけではないから、別に驚かないつもりだったが、ベンチ入りメンバー発表を見てあ然呆然。再来日したから、復活を期待したジョンソンがベンチ入りメンバーから外れているではないか。この期に及んで。  どうなってるんや? わがサンスポの優秀な虎番たちを問い詰めたが、誰からも明確な回答がない。ただ、メンバー表にはいったん、ベンチ入りの「○」印が書き込まれながら、二重線で消され、代わりにガルシアの欄にベンチ外れを示す「△」印が書き込まれながら、二重線で消されて「○」印が。ベンチも相当にドタバタだったことが推察される。最後の最後までスンナリと事が運ばないところがタイガースらしい?!  そんな裏舞台の末、チームは巨人に粉砕された。これがリーグ優勝したチームの、王者の力だ、という差を見せつけられて。第2戦の重盗、この日の丸の2死からのセーフティーバント。強打を誇る巨人が、阪神がやらなくてはいけない野球をやった。そんな感じだ。だから、余計に差を感じる。残念ながら2019年の戦いはピリオドが打たれた。ちょっぴり夢見た日本シリーズは、露と消え...。  巨人と戦うのはソフトバンク。2位から勝ち上がって、西武に4連勝。CSファイナルでのスイープは、2014年の阪神以来。あの時は良かったなぁ。西武ドームにいるタカ番・安藤理に電話してみた。  「14年はよく覚えてますよ。僕も虎番でしたから。でも、ことしは巨人に勝って欲しかったんです。王会長がダイエーの監督に就任して以降、日本シリーズで唯一勝ってないのが巨人なんです。王会長も力が入っていると思いますよ」  悔しいけれど、記憶に残る頂上決戦を楽しみにしましょうか。  虎の終戦は、鳥谷のタテジマラストを意味する。クールな男は、最後までクールに、静かに去って行った。燃え尽きていない男の、熱き再チャレンジを期待しよう。  一方、戦い終わった東京ドームは、巨人のセレモニーで盛り上がり、さらには...  すぐ隣で、ラグビー日本代表がスコットランドと戦った大一番のパブリックビューイングが。その大歓声がドームにまで響いてきた。こちらも熱い。  キャップ大石豊佳は「思ったより長丁場のシーズンになりました。いいもの見せてもらいました」。サブキャップ長友孝輔も「9月23日ぐらいでシーズンが終わると覚悟していたから、ここまで来れて満足です」。ツートップの表情が意外なほど爽やかだった。おつかれさま。ただ、虎番に休息はない。なぜなら、明日もサンスポは発行されるから-。

◆谷本球団副社長兼本部長は「(矢野監督には)よくやっていただいたと思いますね。チームとして成長できたと思うので。そこはよかったと思います」とうなずいた。来季のコーチ陣については「(14日が)来季に向けてのスタートなので。頑張りましょう」と話すにとどめた。

◆--選手はベストを尽くした  矢野監督「もちろんもちろん。ウチらしいというか。あきらめないとか、戦う姿勢とかはしっかりやってくれた」  --次の1点の取り方が、来季の課題に  「課題はいっぱいある。それは毎年毎年、出るしね。でもチームとして成長していけるような部分というのはね。春のキャンプでも選手にも言っていたんだけど、選手には可能性が多いにあると思っている」  --西は気迫の投球  「きょう(だけ)じゃない。毎日だよ。西のそういういいものを、うちに出してくれた。1年間しっかり投げ切ってくれたし。感謝というか、よくやってくれたという思いしかないです」  --終盤は中継ぎ陣の踏ん張りが  「もう、出して打たれたら納得しているもん、俺は。それぐらいやってくれたし、信頼はずっとあったんで。ずっと苦しい場面ばっかりで、体も気持ちも疲れていたと思うけど、自分の中では納得しています」  --監督1年目を振り返って  「もうちょっと待ってくれよ。そんな終わってすぐに振り返らんでもええやろ」  --チームに対する手応えは  「俺らはまだまだ強いチームじゃないけど。どうやったらこの強いジャイアンツに勝てるか。見えた部分も多かったし。ウチの戦い方っていうのはあると思う。みんなで戦えたことに手応えを感じています」

◆巨人のドラフト1位・高橋優貴投手(22)=八戸学院大=が13日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦、阪神戦(東京ドーム)でCS初登板先発。勝敗は付かなかったが、5回0/3を投げ2安打1失点の粘投で、チームの勝利に貢献した。  「自分の投球より、チームが勝って日本シリーズが決まったことがよかった。野手の方も守ってくれましたし、自分の一人の力ではない。こういう試合で呼ばれたということはよかった。もっと向上心を持って、もっとリリーフ投手を助けられるように」  序盤から内角をしっかりと突く強気の投球で、阪神打線を翻弄した。二回には先頭・大山の左中間二塁打から先制を許すが、大崩れしないのがいまの高橋。直球で押しつつ、スライダーとスクリューをちりばめて追加点を与えなかった。  だが、六回。北條と福留に連続四球を与えたところで降板。「ああいうところで粘らないと、投手として信頼はなかなか得られないと思う」と反省を口にした。  それでも、19日から始まるソフトバンクとの日本シリーズでも先発予定。宮本投手総合コーチも「日々成長しているなという感じはありますよね。非常に安定したピッチングもできている。ルーキーなんだけど、頼もしく見えますよね。こっちが本当に頼りたいっていうピッチングをしてくれます」と信頼感を口にした。  反省を生かすステージは残されている。「もっと状態を上げて日本一に貢献していきたい」と口にするルーキーが、日本一の一助を担う。

◆藤川が2点ビハインドの八回から登板。2四球を出しながらも無失点とした。セットアッパーから始まり、最後は守護神として締めくくったシーズン。「(負ける)その日を覚悟して戦っているし、ファンの人たちも覚悟している。力がここまでが限界だった。監督の采配で得点しているし、監督の采配が持ってきた結果」と振り返った。

◆4番のマルテは六回無死一、二塁で三ゴロなど、3度得点圏に走者を置いて凡退。ファイナルステージでは14打数1安打、打率・071。好機で一本が出なかった。「打撃の仕方、投手のタイミング、ゾーン、課題はたくさんあった」と反省。来季に向けては「もちろんチャンスがあればチームに貢献したいし、そこに向けて準備したい」と意欲を見せた。

◆先発した西は6回6安打2失点で敗戦投手に。同点の六回2死三塁で丸に三塁線にバントを転がされ、自身の一塁送球が逸れたことで勝ち越し打としてしまった。「自分のミスです」と悔しさをにじませた。DeNAとのファーストステージ第1戦で左足を負傷したことにより、登板機会がこの日までずれ込んだ。「みんなが頑張っているのに自分だけ貢献することができなかった。最後の最後に自分のミスで決勝点になった。来年の課題です」と振り返った。

◆近本は4打席で無安打に終わった。五回2死では四球で出塁し、二盗を試みたが失敗。「どちらかが勝って、どちらかが負ける世界なので」と敗戦を悔しがった。盗塁王を獲得し、新人王のタイトルも有力視される大活躍のルーキーイヤーを戦い終え「(得たものは)いっぱいあります。(考えるのは)もうちょっと落ち着いてからですかね」とうなずいた。

◆2000年の"ON対決"以来19年ぶりに日本シリーズでソフトバンクと激突することが決まり、観戦した山口オーナーは「王さんのソフトバンクと戦うのは楽しみ」と期待した。3月13日の「西部燦燦会」設立式ではソフトバンク・王球団会長が「ジャイアンツを倒したら本当の日本一。今年は日本シリーズで戦いたい」と語っていた言葉が現実となった。

◆さらば、猛虎の誇るレジェンド-。今季限りでの退団を表明している鳥谷敬内野手(38)は九回2死から代打で登場し、二ゴロでゲームセット。最後の打者としてタテジマでのラストゲームを終え「本当に感謝しかない」と言葉を綴った。  他球団への移籍を目指す鳥谷について、現時点で明確に獲得について名乗りを上げている球団はないが、内野手強化を目指すDeNAが検討しているとみられる。来季戦力が固まる17日のドラフト会議後、第2次戦力外通告を行う球団が出る可能性があり、内野手強化の必要性がある球団は獲得調査を本格化させる。  戦力外通告を受けて現役続行を希望する選手は、12球団合同トライアウトを受けることになるが、鳥谷のように実績がある選手は受験しないこともある。今年は11月13日に大阪市内で行われる予定。トライアウト終了後から、新たな球団と契約できる。

◆阪神・鳥谷敬内野手(38)のタテジマラストゲーム-。トラ番時代に鳥谷の自主トレに密着してきた東京サンケイスポーツ・米大リーグ担当の山田結軌記者が、惜別のメッセージを寄せた。  一人だけ涼しい顔をしていた。プロ野球選手同士で比較しても、異次元のすごさを感じた。それが鳥谷だった。  阪神担当時代、1月の沖縄自主トレを取材したときのこと。井口(現ロッテ監督)らとの合同自主トレは、早朝・午前・午後で構成されるハードな内容で知られていた。しかし、鳥谷はきつい顔もせず、淡々とこなしていた。日替わりのダッシュメニュー。明石(ソフトバンク)や清田(ロッテ)ら後輩が膝に手をついて息を上げていても、鳥谷だけは物足りなさそうな表情なのだ。  朝練は日の出前、午前6時。ゴルフコースを1番から18番まで走る。芝生の上をゆっくり走って体を目覚めさせる選手、傾斜地を上って下半身強化に励む選手がいる中、鳥谷はスタートと同時に全力疾走。ストップウオッチを手に"1人タイムトライアル"をする。食事は玄米を用意し、栄養管理に努めていた。  ストイックな練習姿勢とは違い、お酒の席では別人の顔をみせた。2013年オフ。井口の日米通算2000安打を祝うパーティーの2次会だった。友人や親しい選手、関係者が集まった会。声を出して笑って楽しんでいた。グラスを片手に立ち上がり、隣席の人とハイタッチをして参加者を盛り上げた。あまりの違いに驚いていると「俺がいつもみているトリの姿だよ」。素顔の鳥谷を知る井口はそういった。  試合への出場機会が減った今でも、ハードな練習は変わりなく続けていたと聞く。新天地で再び輝き、何より鳥谷自身が納得してプレーできることを願っている。 (サンケイスポーツ2007~09、12年阪神担当・山田結軌)

◆リーグ覇者の巨人が阪神を4-1で下し、6年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。4番・岡本和真内野手(23)が五回、中越えに同点の3号ソロ。ファイナルステージは4試合で打率・533(15打数8安打)、3本塁打、7打点の活躍を見せ、MVPに選ばれた。  大歓声の中、打球はバックスクリーンで弾んだ。1点を追う五回。岡本は低めに伸ばしたバットに力を集めて中越えへアーチをかけた。  「ちゃんと捉えているので、抜けるとは思いました」  昨季のCSは18打数1安打に終わった。今季は4試合で打率・533、3本塁打、7打点の大暴れ。セ・リーグ最年少の23歳3カ月でクライマックスシリーズMVP(賞金100万円)を獲得した。  「チームのためにと思ってやっていた。まさか自分が取れるとは思っていなかった。僕が前半戦に打たなかったのは、みんな忘れてるんじゃないかと思う」  若き4番は、献身的な姿勢も忘れない。CS期間中、シーズン中よりも入念にバント練習を行った。レギュラーシーズンでわずか2個だった犠打にも備えた異例の行動。主将の坂本勇から「お前、試合でバントせえへんやん」と突っ込まれたが、豪快な打撃の裏にフォア・ザ・チームの思いがある。  岡本を"ビッグベイビー"と表現したこともある原監督は「間違いなくこのシリーズのMVPだと思う。非常に頼もしく、少し大人になったなという感じがする。乳歯が抜けたんじゃない?」と冗談交じりに成長を認めた。岡本がバットで頂に導く。 (赤尾裕希) 同点の六回無死一、二塁で登板し、1回無安打無失点で勝利投手となった巨人・大竹 「バッター一人一人と思ったのが、最高の結果になった」 ★2000年の日本シリーズVTR  長嶋監督が率いる巨人と王監督のダイエー(現ソフトバンク)による「ON対決」。巨人は東京ドームでの第1、2戦で連敗したが、福岡ドーム(現ヤフオクドーム)に移った第3戦で「ミレニアム打線」が目を覚まし、高橋由、松井に一発が出るなど大量得点。先発の上原も好投して9-3で快勝した。敵地で3連勝し、本拠地に戻った第6戦も9-3で大勝。巨人が4勝2敗で日本一に輝き、第6戦のシリーズ3号を含む2安打4打点の松井がMVPを獲得。長嶋監督は「最高です。みなさん、この20世紀、ありがとうございました」と歓喜に酔いしれた。

◆最後の望みをかけて送り出した鳥谷は、二ゴロに倒れた。レジェンドのタテジマ最後の打席とともに、矢野阪神の熱い1年目が終わった。  「そういうこと(今季限りで退団)だけで出しているわけじゃなくてね。ランナーに出て点を取るっていうことも含めて。あまりそれをし過ぎると鳥谷にも失礼だし。鳥谷自身が、あそこで塁に出てくれということで出している。しっかりしたスイングをしてくれた結果なので」  退団表明後も必要戦力として、ベンチに置き続けた。鳥谷が残したものは「今に始まったものじゃない」と労った。  世代交代しながら結果も出す。難しい舵取りを託されたが、若手を育てつつ、激動の1年をここまで戦い抜いた。  「楽しかったね。毎日こういうなかで野球をできるのもそうやし。こういう試合を続けることでチームとして成長できた部分は大きいと思う」  負けたら終戦の9月21日の広島戦(マツダ)から始まった、奇跡の6連勝。貯金1で3位に滑り込み、DeNAとのCSファーストステージも突破。巨人との決戦にたどり着いた。「(巨人は)豪快な野球ももちろん、細かい野球も。チームのバランス、また選手個々の意識も高かった」。この日も西が快投しながら、丸の小技にやられてた。打線は大山の2安打のみで1得点。自慢の投手力だけでは突き破れない、高い壁を感じた。  ただ、まだ発展途上のチームだ。今年はとにかく選手を信じ続けた。現役時代から続ける日記には『予祝』を実行。次の日にヒーローになるであろう選手の名を期待を込めて書き込んだ。2軍に落とした選手には個別のメッセージも送った。  「ここ(CS)に来られた意味は、すごくあったと思う。負けられない戦いの中でチームが1つになって戦えたのは一番手応えを感じている。常に気持ちのことを言ってきた。それが一番。みんなで戦えた」  一時は最下位にも落ちた。9月にはソラーテの造反騒動など空中分解しかけた。それでも最後には、一丸となれた。  「やっぱり巨人は強い。現在地は分かった。目指すところはもっと上。選手には可能性が多いにあると思っている」  確かな手応えとともに3年契約の2年目へ走り出す。 (大石豊佳) 主将の阪神・糸原 「いい経験ができた。悔しい思いを来年にぶつけられるように、また一からやりたい」 選手会長の阪神・梅野 「こういう形になったけど、最後の6連勝で自分たちでつかみ取ったチャンス。悔いはない。また来年頑張ろうと思いました」 八回の守備から出場した阪神・木浪 「(1年目を振り返り)いい経験もできたし、悪い経験もした。すべてを自分のプラスにしてそれを(来年)どう出せるかが大事。これからを大事にしていきたいです」 ★21日までオフ  阪神は13日、今季の全日程が終了。14日から21日までオフに入り、そこから秋季練習をスタートしていく。

◆阪神の2019年シーズンの終了とともに、鳥谷敬内野手(38)のタイガースでの16年も終わった。巨人戦後、三塁ベンチを出ると、関係者やファンに感謝の思いを語った。  --最後はいろいろな思いが...  鳥谷「打席も立たせてもらいましたし、そういう意味では、この球団で自分というものを作ってきたので。本当に感謝しかないです」  --阪神でのプロ生活で思い浮かぶのは  「今は今シーズンが終わった、という感じしかしないですけど。16年間あっという間でしたし、いろんな人の支えがあったので」  --若い選手が、その姿勢をみてやってきた  「そうですね。クライマックスも厳しい中でね、終われば(負ければ)9月30日(中日とのレギュラーシーズン最終戦)で、終わりだったので。2週間長く(阪神の)ユニホームを着させてもらったので。ありがたいと思っています」  --今後は  「この先どうなるかはわからないですけれど、自分のやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」  --ファンへの思いは  「最後もそうですけれど、どんなときでも声援をくれたので。感謝しています」

◆リーグ王者の巨人がレギュラーシーズン3位から勝ち上がった阪神に4-1で快勝。優勝チームに与えられる1勝のアドバンテージを含めて4勝1敗とし、6年ぶり35度目の日本シリーズ進出を決めた。同点の六回、丸佳浩外野手(30)のセーフティーバントで決勝点を奪った。7年ぶりの日本一を懸けたソフトバンクとの日本シリーズは、19日にヤフオクドームで開幕する。  本拠地・東京ドームに詰めかけた4万5931人の大観衆のかけ声に乗せられ、原監督がマウンド付近に向かう。6年ぶりの日本シリーズ進出。ナインの手で10度、宙に舞った。  「本拠地で一つの山を越えられたのは格別。丸自身がフォア・ザ・チームで勝つことを掲げて4月からやってきた。ベンチもビックリしましたし、全員が勝とうという気持ちが集約されていた」  指揮官も驚いたという丸のセーフティーバントで決勝点を刻んだ。1-1の六回2死三塁。初球だった。丸は右足を上げて打つそぶりを見せてから三塁線へ転がす。虚を突かれた西がマウンドから慌てて駆け降りて一塁に投げたがセーフ。この間、三走の山本がホームを駆け抜けた。  「打席に入って(三塁手の)大山が少し下がっているのが見えた。大山に捕らせるバントをすれば確実に安打になると思ってトライしました」  守備位置を見逃さなかったバントはノーサイン。広い視野と洞察力は丸の真骨頂だ。千葉経大付高時代、冬の部内対抗戦で嗅覚を養った。  目標に掲げる「全国制覇」の4文字から『全』『国』『制』『覇』の4チームを結成。主力選手が監督を務め、全選手を出場させるルールの下でリーグ戦を行った。  「レギュラーじゃない子は試合に出られる。レギュラーの子は野球をもっと覚えられる。より野球を勉強できた」  エースで主砲だった丸は『国』の指揮を執り、守備位置を指示するなどチーム全体を見渡す習慣を身につけた。この日の"決勝スクイズ"は、染みついた勝負勘が生み出した。  ソフトバンクとの日本シリーズ(19日開幕)は2000年の長嶋巨人と王ダイエーの「ON対決」以来となる。当時は巨人が4勝2敗で制した。丸は広島でリーグ3連覇に貢献したが、まだ日本一の経験がなく「あと4つ勝てるように頑張ります」と闘志を燃やした。  12年以来7年ぶりの頂へ。「目標はあとひと山。その目標に向かって全力で戦いたい」と原監督。頼もしい戦士たちとともに、常勝軍団復活を印象付ける。 (谷川直之)

◆さらば、猛虎の誇るレジェンド-。3位から勝ち上がった阪神は、1位の巨人に1-4で敗戦。Gにはリーグ優勝による1勝のアドバンテージがあり、対戦成績1勝4敗で敗退が決まった。今季限りでの退団を表明している鳥谷敬内野手(38)は九回2死から代打で登場し、二ゴロでゲームセット。最後の打者としてタテジマでのラストゲームを終え「本当に感謝しかない」と言葉を綴った。  虎党もG党も、関係ない。「代打・鳥谷」-。3点を追う九回2死走者無し。伝統の一戦を盛り上げてきたタテジマのレジェンドの登場に東京ドームがぐるり360度、大歓声に包まれた。  「この球団で自分というものを作ってきたので。本当に感謝しかないです。16年間あっという間でしたし、いろんな人の支えがあった」  思いを込めて初球から思いきり振った。カウント1-2から4球目。デラロサの159キロをとらえた鋭い打球は二ゴロ。2019年のシーズン終了と同時に「阪神タイガース・鳥谷」の幕も下りた。「(CS進出で)2週間長く(阪神の)ユニホームを着させてもらった。(ファンは)どんなときでも声援をくれたので。感謝しています」。仲間へ、ファンへ、深々と頭を下げた。  大好きな野球に打ち込んできた16年間だ。2169試合出場、2085安打など記録とともに虎を支えてきた。しかし今季はわずか19安打。8月29日に球団から引退勧告を受けた。同31日に「タイガースのユニホームを着てやるのは今シーズンで最後」と明言。出した答えは他球団での「現役続行」だった。歴代2位となる1939試合連続出場。グラウンドに立ち続けることで己の存在価値を証明してきた。  「幼いときからの親の教えが『自分で決めたことは最後までやり通しなさい』だったんだよ」  不動の存在だった時代から、原動力は常に「危機感」だった。  「自分が出なかったら他の人が出るし、10人が入れば10人がやめていく世界。生活も家族もかかっているし、試合に出ることが自分の価値だと思ってやってきたから」  摂る食事、読む本...。全てがグラウンドに立つために変わった。昨年5月29日のソフトバンク戦(甲子園)で記録が止まると、すぐさま夫人に電話をかけたという。「いい意味なのか悪い意味なのか(記録が止まって)ふと力が抜けるというか...。感情の揺らぎもあった」。昨秋からは酒を完全に断ち、調味料ですら気を配った。それだけ、復活を見せたかった。  家路につけば、5児の父親。プロ入り3年目に授かった長男は、中学生にまでたくましく成長した。「自分の老いと一緒に成長を感じるよ」。サッカー部に所属する長男とはデーゲームの後にJリーグを一緒に観戦したことも。野球じゃなくてもいい。子どもたちに願うことはひとつだ。「子どもの人生なんだから、自分の好きなことをやってほしい。それが一番大事なことだから」-。  たった1回しかない人生。だからこそ自分も決してあきらめない。  「この先どうなるかはわからないですけれど、自分のやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」  自身の「好きなこと」のために、虎からはばたく。たくさんの夢をありがとう。僕たちの永遠のヒーロー、鳥谷敬。 (竹村岳) ★鳥谷が阪神で残した記録  ◎...1939試合連続出場は、衣笠祥雄(広島)の2215試合に次ぐ、歴代2位  ◎...13年連続全試合出場も衣笠の17年に次ぐ、歴代2位  ◎...通算2085安打はNPB歴代36位。阪神生え抜きでは藤田平(2064)を超える最多  ◎...通算2169試合出場も、藤田平(2010試合)を超える球団最多  ◎...通算1046四球も掛布雅之(819四球)を超える球団最多で、NPB歴代14位  ◎...667試合連続フルイニング出場は、遊撃手では歴代最長  ◎...2010年のシーズン104打点は、遊撃手の最多記録  ◎...06年のシーズン490補殺はセ・リーグの最多記録

◆まず、鳥谷にはごくろうさんと言いたい。よくぞ、タイガースというチームに16年も在籍した。これは大変なこと。このチームは、監督がコロコロ代わるたび、チームの中も大きく変わる。歴代の監督の下で、連続試合出場を含めてずっとプレーし続けた。素晴らしい。これをさせてくれないのがタイガースなのだから。すごいことだ。  他球団に行くのかも知れない。それは本人が決めること。ただ、将来的に球界で指導者になる気持ちがあるのであれば、タイガースに在籍し続けたことは必ず役立つ。それは忘れないで欲しい。  タイガースも終戦。最終戦は、改めて巨人・原監督と阪神・矢野監督の差を感じさせられた内容だった。矢野監督は個々の選手をどこへははめ込もうか、ばかりを考えてキュウキュウしているように映った。4番を任せられなくなった大山の起用が象徴的。一方の巨人はシーズン中に苦しみながらも4番・岡本が大活躍した。これが原監督のうまさだ。  外国人起用も。巨人はゲレーロに対し、それは厳しい扱いをしながら、それに耐えたゲレーロが最後に「監督のために」と大仕事。対するマルテはどうか。六回無死一、二塁の打席。原監督なら100%バントです。やったことなくてもバントです。それが勝つための野球。  阪神はまさかまさかでCSまで来た。それは褒めよう。でも、喜んでいたら大間違い。上との差は相当にあることを認識して、来季に向かってもらいたい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆原イズムの集大成といえる勝利だね。  まず同点弾の岡本。数字が上がらない中、我慢して主砲として使い続け、自覚を植え付けていった。体は絞れて、切れも出て、大事な舞台で大当たりするまでに、仕上がった。来季は真の4番として計算できるよ。  駄目押し2ランのゲレーロに対しても、スタメンから外したり、2軍に落としたり、シビアな姿勢で起用した。プライドの高い外国人で、しかも元本塁打王に、不平不満を言わせることなく、かつ、ここぞの場面で何度も貴重な一発を打たせる。見事な操縦術だね。  セーフティーバントで決勝点を挙げた丸にしたって、本来はマイペースなタイプ。送りバントなど、原監督が求めるチームプレーを体感しながら、ゲームを読む力を蓄えた。意表を突くセーフティーバントこそ、その結晶だ。  見逃せないのが三回、8、9番の粘り。田中俊が7球、投手の高橋が8球。三者凡退に終わりながら、西に球数を費やさせたことが、逆転への布石になっている。上位打線から下位打線まで、チーム総がかりで攻略したといっていい。  打力に頼らず、なんとかしてゲームをモノにしていく。原野球が染みついた巨人は、日本シリーズでも、ここ最近のセ代表と、ひと味もふた味も違うと思うよ。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆阪神は13日、巨人とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージに1-4で敗戦した。アドバンテージも含め1勝4敗となり、2019年シーズンが終了。今季限りでの阪神退団を明言していた鳥谷敬内野手(38)の姿も見納めとなった。  「この球団で自分というものを作ってきたので。本当に感謝しかないです。(ファンへの思いは)最後もそうですけれど、どんなときでも声援をくれたので。感謝しています」  九回2死、代打で登場。デラロサの159キロ直球を振りきるも、二ゴロに終わった。2169試合出場、2085安打など、数々の記録を打ち立ててきた。球団の引退勧告を受け、出した答えは他球団での「現役続行」。グラウンドに立てる道を、これから探していくことになった。  まだ、できる-。そんな自信を、語ったことがあった。8月7日のヤクルト戦(神宮)の試合前。早大時代の1学年後輩、元ヤクルト、DeNAの田中浩康氏(37)と言葉を交わした。田中氏が明かす。  「(直接会ったのは)僕が辞めるとき、去年のシーズン以来ですかね。『準備はいつでもできている』と。途中から『いきなりいっても、できる感じがある』といっていました」  1939連続試合出場などスタメンとして出場し、グラウンドに立つことで存在価値を証明してきた鳥谷。途中出場からでも「できる」とはっきり口にしたという。先にユニホームを脱いだ田中氏は「もちろん、青木(宣親)さんもいますけど、(鳥谷さんを見て)感じるものは僕もあるので」という。鳥谷自身は「ただの後輩だよ」と笑ったが、揺るぎないグラウンドへのこだわりが、これからもきっと突き動かしてくれる。  「この先どうなるかはわからないですけれど、自分のやってきたことを信じて、新しい野球人生を頑張ります」  どんな未来を選んでも、必ず輝いているだろう。スタンドには横断幕が掲げられていた。いつかまた、ともに戦おう、と。ありがとう、鳥谷敬。(竹村岳)

◆リーグ王者の巨人がレギュラーシーズン3位から勝ち上がった阪神に4-1で快勝。優勝チームに与えられる1勝のアドバンテージを含めて4勝1敗とし、6年ぶり35度目の日本シリーズ進出を決めた。同点の六回、丸佳浩外野手(30)のセーフティーバントで決勝点を奪った。7年ぶりの日本一を懸けたソフトバンクとの日本シリーズは、19日にヤフオクドームで開幕する。  元巨人監督の堀内恒夫氏(71)は14日、ブログで「昨日の試合は丸に尽きる。あれで勝ち越して流れが変わった。誰があの場面でバントをすると思うのか。きっと本人だけだろうよ そんなこと思ってんの」と驚いた様子。「このプレーは丸が『虚をついた』もうこの一言に尽きる。あそこであれが出来る 絶賛に値するプレーだし 日本の『野球』だからこそのプレー そう言えるだろうね」と指摘した。

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