阪神(☆3対1★)広島 =リーグ戦13回戦(2019.07.05)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:岩田 稔(3勝2敗0S)
(セーブ:ドリス(3勝3敗16S))
敗戦投手:大瀬良 大地(6勝6敗0S)

本塁打
【阪神】マルティネス(7号・5回裏ソロ)

  DAZN
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◆阪神は1点ビハインドで迎えた5回裏、マルテのソロで同点とする。続く6回には、無死一二塁から糸井が適時二塁打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、先発・岩田が6回2安打1失点の好投で今季3勝目。敗れた広島は、打線が4安打1得点と沈黙し、6連敗を喫した。

◆広島田中広輔内野手(30)が先制の左犠飛を放った。2回1死二、三塁で、阪神先発岩田のカウント2-2からの5球目を高々と打ち上げた。 「打ったのはツーシーム。チャンスで最低限の仕事ができました」と話した。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(28)が1カ月ぶりの1発を放った。 1点を追う5回、先頭で左翼席中段に6号ソロ。「打ったのはストレート。1打席1打席が勝負だから、いつもポジティブな気持ちで準備しているよ。その成果を出せて良かったね」。6月4日ロッテ戦(ZOZOマリン)以来の1発で試合を振り出しに戻した。 球団は得点力不足解消を目指し、すでにメジャー通算75本塁打のヤンガービス・ソラルテ内野手(32=マーリンズ傘下)の獲得に向かっている。外国人枠を巡る競争の激化が近づく中、存在感を示した。

◆阪神岩田稔投手が広島戦に限れば5年ぶりとなる白星の権利を手にして、6回2安打1失点で降板した。 2回に犠飛で先制点を許したが、3回以降は安定した投球。同点で迎えた6回表2死一、二塁からも追加点を与えなかった。直後の6回裏に3番糸井の勝ち越し2点二塁打が飛び出し、勝利投手の権利を手にした。 岩田は試合前の時点で14年7月8日以来、広島戦の白星から遠ざかっている。好投しても打線の援護に恵まれない試合もあり、広島相手に自身13戦未勝利、7連敗で迎えた一戦だった。

◆広島が2回に1点を先制した。会沢、小窪の連打などで1死二、三塁とし、田中広が左翼へ犠飛。阪神は3回まで1安打無得点。 阪神は5回、マルテの7号ソロで同点。6回無死一、二塁から糸井が左中間を破る適時打を放ち、2点を勝ち越した。 阪神は継投で逃げ切り、3位タイに再浮上。先発岩田が3勝目。広島は引き分けをはさんで今季最長6連敗で貯金を使い果たした。 阪神ドリスが16セーブ、広島大瀬良が6敗。

◆阪神が糸井嘉男外野手(37)の決勝打で広島に競り勝った。1点を先行されたが、ジェフリー・マルテ内野手(28)の7号ソロで同点とし、6回に広島大瀬良から糸井が2点適時二塁打を放って勝負を決めた。岩田稔投手(35)が3勝目を挙げた。試合後の糸井、マルテ、岩田のインタビューは以下の通り。 -岩田投手、ナイスピッチングでした。振り返って 岩田 ありがとうございます。まあ、自分の投球ができたかなと思います。 -今日もゴロアウトが多かった印象 岩田 粘り強く投げるのが僕のスタイルなので、その中でしっかりバックに守ってもらって、アウトを重ねていくというのが僕の投球なので、それができてよかったです。 -特にどのあたりがよかったですか 岩田 今日はそうですね、自分の中ではストレートが良かったと思います。 -味方の反撃につなげましたね。 岩田 はい、ありがたいです。 -今日は坂本捕手とのバッテリーでした 岩田 まあ何回もね、組む機会もあったので、そんなに違和感もなく、試合にすっと入ってきたというか、そういう感じでしたね。 -岩田投手は連勝です 岩田 久々の連勝なんで、恥ずかしいですけど、こういうことを続けていきたいと思います。 -続いて同点ホームランのマルテ選手です。ナイスバッティングでした マルテ サイコウデス! -ホームランの感触は マルテ いい感触でしたね。ずっとゼロが続いていた状態だったので、なんとかファンの方に喜んでもらおうと必死に打ちました。 -あのホームランで打線が元気になった感じでした マルテ そういう意味ではよかったと思います。必死にイニング、イニングみんなで点を取るように頑張っているので、自分が何か貢献できたならよかったと思います。 -暑い夏に入っていきます。ファンはまた素晴らしい本塁打を期待していると思います マルテ また引き続き応援に来て下さい。私たちも100パーセントの全力で必死にやっていくので、またファンの人に楽しんでもらえるように頑張ります。 -決勝タイムリーの糸井選手です。素晴らしい打撃でした 糸井 最高でーす! -マウンドには好投手大瀬良がいて、2ストライクと追い込まれた場面からの一打でした 糸井 なんとかチャンスで打ちたかったんで、2人のランナーをかえせて良かったです。 -2人はバントをからめてチャンスメーク。どんな思いで打席に 糸井 先ほども言いましたけど、かえしたいなと思って。 -矢野監督のガッツポーズは今日は見えましたか? 糸井 見えませんでした、すみません! -ベンチのムードは 糸井 ベリーグッドです。 -いいスタートを切れたのでは 糸井 ちょっと負けが込んでいるので、明日からも勝てるように必死でやっていきたいと思います。

◆阪神ドリスが9回を3人で抑え、リーグトップの16セーブ目を挙げた。 ジョンソン-藤川からバトンを受け、広島の野間、松山の代打攻勢にも完全投球で「勝利の方程式」を締めた。登板のなかったDeNA山崎をかわし、単独トップに立つも「まだ何も終わっていない。この調子を続けていきたい」と意に介さず。勝利を託され「そういうゲームで投げるのは光栄です。もちろん、セーブのかかっていないところでもゼロに抑えていきたい」と頼もしかった。

◆ついに貯金を使い果たした。広島が引き分けをはさんで今季最長の6連敗となり、最大14あった貯金が0となった。菊池涼介内野手(29)を1番に置き、西川龍馬内野手(24)、アレハンドロ・メヒア内野手(26)と並べる改造打線が機能せず、1番から3番まで無安打。10試合連続3得点以内にとどまっている。首位とのゲーム差は今季最大に並ぶ7。どん底の4月を乗り越えた王者が、それ以上の正念場を迎えている。帰りのバスへと続く通路で、緒方監督が言葉を絞りだした。「チャンスをつくってないことはないんだけどね。打線はいろいろ考えてやっているけど、やっぱり点にならないから、しっくりこない。つながらないというかね...」。奪った得点は、8番田中広の犠飛による1点のみ。エース格の大瀬良を立て必勝態勢のはずが、4安打では勝てない。引き分けをはさみ、今季最長の6連敗となった。 苦心の打線が機能しなかった。4日ヤクルト戦で、不動の2番打者・菊池涼を4年ぶりに1番で起用。緒方監督は開幕直後「打線はグルグル回すが、変えない打順があるとするなら2番菊池涼と4番鈴木」と話していた。その一角を、苦渋の決断で崩した。2番に西川、3番にメヒアを置く改造打線。2戦目のこの日、3番まで無安打というのはあまりに皮肉だった。 どん底から立ち直ったはずだった。4月は開幕5カード連続で負け越し、首位に最大7ゲーム差の最下位に沈んだ。そこから巻き返し、5月は20勝4敗1分けの球団新記録で首位に立った。だが歴史的快進撃の反動なのか、各打者がそろって調子を落とす。野間が1番で固まっていた打線も解体を余儀なくされ、交流戦は最下位。ここ10試合連続で、3得点以下と打線は湿ったままだ。リーグ戦再開後も勝ち星がなく、ついに貯金をすべてはき出した。 首位とのゲーム差は今季最大タイの7。4月にどん底を味わったチームが、それ以上の正念場を迎えている。8回2死から二塁打で望みをつないだ鈴木は「がんばるだけです」と前を向いた。緒方監督も「現状、こういう状態なんで、立て直したい」と唇を結んだ。今季最大のピンチ。緒方カープは巻き返せるか。【村野森】

◆観戦した阪神藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)は、交流戦後初の甲子園での勝利に笑顔を浮かべた。 「やっぱり甲子園は違いますね。お客さんが大きな声援を送ってくれるし、選手が一丸になっているのが伝わってきましたね」。獲得を目指すソラルテについては「編成担当の方に任せています」と話すにとどまった。

◆広島大瀬良大地投手は6回3失点、クオリティースタートの粘投も実らず自身4連敗となった。 1点リードの5回、マルテに同点7号ソロを被弾。6回は2者連続バント安打でピンチをつくり、糸井に勝ち越しの二塁打を浴びた。「(糸井への直球が)ボールでもいいと思っていたけど、甘くなってしまった」と悔やんだ。チームの連敗については「みんな一生懸命やっているので力になりたかった」と話した。

◆阪神ジェフリー・マルテ内野手(28)が、約1カ月ぶりとなる不敗神話弾で勝利を呼び込んだ。 1点を追う5回。ここまで打線が1安打に抑えられていた広島先発大瀬良を捉えた。カウント2-2からの7球目。内角高め146キロ直球を迷いなく振り抜いた。日頃から意識するインサイドアウトのスイングから放たれた打球は甲子園の夜空に高々と舞い上がり、ファウルゾーンに切れることなく広島ファンで真っ赤に染まる左翼席中段まで届く7号ソロとなった。 「1打席1打席が勝負だから、いつもポジティブな気持ちで準備している。その成果を出せてよかった」 貴重な同点アーチは、必勝を意味する1発だった。今季はマルテが本塁打を放てば7戦7勝と負けなし。チームの勝利を最優先に考える助っ人は「もちろん自分がホームラン打てることはうれしいけど、やっぱりチームが勝つということが大事。そういう意味では、自分が打った試合で勝てるのはうれしい」と喜んだ。 久しぶりのアーチにマルテは「やっとというか、今から結果が出てくれるのかなと思います」と手応えを感じ、矢野監督も同調して「なかなか0-1でも0-1じゃない重さがあった。あれで追いついたのは、本当に『よし、行けるぞ』というムードを作ってくれた。見事な本塁打」と称賛した。 チームが負け越した2日からのDeNA3連戦では、5番を任されながらも好機で凡退が続いた。球団は得点力不足解消を目指し、補強に着手。すでにメジャー通算75本塁打のヤンガービス・ソラルテ内野手(32=マーリンズ傘下)の獲得に向かう中、背番号31が改めて存在感を示した。【奥田隼人】

◆広島は打線が4安打1点と湿り、引き分けをはさみ今季ワーストの6連敗。最大14あった貯金を、ついに使い果たした。 リーグ戦再開後勝ち星がなく、首位とのゲーム差は今季最大タイの7となった。緒方孝市監督(50)の談話は以下の通り。   -安打が出ないと厳しい 緒方監督 チャンスをつくってないことはないけどね。 -打開策を探っている 緒方監督 打線はいろいろ考えているけどちょっとね、はまっていないというか、点が取れていないからしっくりきていない。 -大瀬良は粘投 緒方監督 途中少しボールが浮いたけど、その後きちっと修正した。 -貯金が0 緒方監督 現状、こういう状態なんで、しっかり立て直したい。

◆正捕手の阪神梅野隆太郎捕手がリフレッシュ休暇を与えられた。今季はフル稼働し、左足薬指骨折の影響で出場を見合わせた4月3、4日巨人戦(東京ドーム)以来、実に3カ月ぶりの欠場だった。 矢野監督は「前半戦を引っ張ってくれたのはリュウ。体の疲れもある。負けてくると俺の経験上も余計、疲れてくる。移動ゲームやった。1回休んで外から見るのも違った刺激がある。そういうところで1回休ませようと」と説明した。

◆阪神糸原健斗内野手が全力疾走で勝ち越し機を演出した。同点の6回。無死一塁から送りバントを敢行。 大瀬良と一塁メヒアが交錯してもたつく間に、一塁を駆け抜け内野安打をもぎ取った。「あれで逆転できた。当たり前のことを続けていけたら」。8回にも左安を放って、2試合連続のマルチ安打も記録。主将が全力プレーでチームを引っ張った。

◆阪神矢野燿大監督がNHK中継の「矢野カメラ」に思わず赤面した。 試合中、画面左上に専用カメラで指揮官の表情が映り続けた。試合後に伝えられて初めて知った。「そうなん!? 恥ずかしい。前半しょんぼりやったけど」と声を上ずらせて笑い、NHKのスタッフに向かって「恥ずかしいやん。広報、通してくれる?」とジョークを一発。さらに「俺は楽しむと決めている。チームにとっても(選手)みんなにとってもガッツポーズはいい効果しかない」と力説した。

◆阪神近本光司外野手がセーフティーバントで勝ち越し機を切り開いた。6回の先頭で初球を一塁線に転がし、一塁内野安打に。 「常に狙っています。いつでもやったろう、という気持ちでした」と足を生かした着想に、矢野監督も「(大瀬良は)なかなか簡単に打ち崩せる、連打連打という感じではなかった。そういうところではいい発想の、いいチャンスメークをしてくれた」と目を細めた。守備でも9回は左翼に回り、俊足を飛ばして広島松山の飛球を好捕した。

◆阪神坂本誠志郎捕手が4月4日巨人戦以来の先発マスクで、岩田の3勝目を支えた。 岩田とは今季初バッテリーで「バッターや風を見ながら岩田さんと話して、工夫しながらやっていけました」。8回2死二塁で会沢をフルカウントにした場面では、マウンドのジョンソンのもとに走り、最後は153キロ速球で見逃し三振。 矢野監督も「泥臭いことができる選手。テンポよく岩田をリードした。1個1個のプレーは中身がしっかりあった」とねぎらった。

◆阪神の3番手ジョンソンが8回を締めた。 2死から4番鈴木に中堅フェンス直撃の二塁打を許したが、続く会沢を直球で見逃し三振。鈴木の鋭い当たりには「めちゃくちゃえげつない打球だったね」と苦笑いを浮かべたが「とにかく0で抑えられて良かった」。 役割を果たし22ホールド目とした。

◆岩田は今も愛妻の何げないひと言を忘れていない。16年シーズンからの3年間でわずか3勝。苦悩の期間、自宅でかけられた言葉に深くうなずいたという。「1軍で投げている姿を見られるだけでも幸せやね」-。「オレもそう思って、1軍で投げられることをもっと楽しもうと思うようになった」と振り返る。 かつては好投しても勝てない試合が続き、愛犬の「ラッキー」に「いつになったらラッキーを運んできてくれるの?」と冗談まじりに尋ねたこともあった。そんな時期が懐かしい。35歳。1軍の舞台で投げられる喜びを人一倍知っている。だから、だろうか。広島戦でなかなか勝ちが付いていなかったことなど、特に気に留めていないようだ。【遊軍=佐井陽介】

◆阪神岩田稔投手(35)は「えっ!?」と目を見開き、「意外ですね」と照れ笑いした。 強い直球にスライダーなど多彩な変化球を制球よくまぶし、6回2安打1失点で今季3勝目。広島戦に限れば5年ぶりの勝ち星だった。14年7月8日以来、13戦勝ちがつかず7連敗で迎えていたマウンド。1823日ぶりの「広島星」には、苦労した長い年月分の渋みが存分に詰まっていた。 1回無死、1番菊池涼の遊ゴロをいきなり木浪が失策。ベテラン左腕は「ミスは誰にでも出る。助け合いですから」と動じず、後続3人からゴロアウトを奪った。2回に先制点を奪われても落ち着き払った投球内容。今季初めてバッテリーを組んだ坂本とも難なく波長を合わせた。 「大丈夫だとは思うけど、ちょっと心配やな...」。前日4日、残留練習地だった鳴尾浜でつぶやいた。数日前、九州地方を豪雨が襲った。被害が出た熊本・益城町は100歳になった父方の祖母が暮らす地域だ。「ばあちゃん」は16年4月の熊本地震で自宅が倒壊し、今は同町の施設で生活を送っている。 岩田は17年12月、大阪・南港から北九州・新門司港まで車をフェリーに乗せ、遠路はるばる祖母の顔を見に行ったことがある。「99歳のばあちゃんへ」と当時の年齢を書き込んだ背番号21ユニホームをプレゼントすると、破顔して喜んでくれたという。祖母は今も孫の投球を楽しみにチェックしている。負のジンクスを断ち切って3勝目を熊本に届け、充実感が漂った。 「粘り強く投げるのが僕のスタイル。その中でしっかりバックに守ってもらってアウトを重ねていくのが僕の投球なので、それができて良かったです」。この日も11個も内野ゴロを奪った。勝負の夏場、持ち味が際立ち始めた35歳が頼もしい。【佐井陽介】

◆ベテラン阪神藤川球児投手が球宴に監督推薦で選出した広島緒方監督の前で"御礼"の快投を見せた。 2点リードした直後の7回に登板。切れ味鋭い速球が生きて先頭の代打安部を空振り三振に仕留めた。2死後に代打坂倉に右越え二塁打を浴びたが菊池を147キロ外角速球で空を切らせた。「勝って、つないでくれるとね」と話し、クラブハウスに引き揚げた。あと5回2/3を自責0で、生涯防御率が目標とする1点台に突入する。

◆虎のキバは鋭いままだ。阪神が広島に逆転勝ちし、DeNAと同率3位に浮上した。5回にマルテの1発で追いつき、決勝打は金曜にめっぽう強い糸井嘉男外野手(37)だった。6回無死から連続バント安打の近本、糸原を置いて、決勝の2点適時二塁打を放った。首位巨人とは7・5ゲーム差のまま。優勝には球団史上最大の逆転劇が必要でも、不屈の戦いを続ける!虎の超人が鮮やかに決めた。1-1で迎えた6回無死一、二塁。3番糸井は2球で追い込まれながらも、冷静だった。広島大瀬良の3球目、外角148キロに逆らわずバットを合わせると、打球は左中間を真っ二つ。値千金の勝ち越し2点タイムリーだ。「いい投手であることは間違いない。最後は失投だと思うけど、打てて良かった。2人のランナーをかえせて良かった」。頼れる男がリーグ屈指の好投手を攻略した。 矢野野球が詰まった6回の攻撃だった。先頭近本が意表を突くセーフティーバントで出塁。2番糸原のバントもボールの処理を大瀬良、メヒアがお見合い。打った糸原は全力疾走で一塁を駆け抜けた。細かいプレーに積極走塁で作り出した好機に矢野監督も「細かい野球がタイガースの野球だと思うんで」とご満悦。最後は絶好調男が走者2人を迎え入れた。 糸井のバットから快音が止まらない。下半身のコンディショニング不良もあって春先に苦しんでいたが、交流戦に突入して急浮上。6月の月間打率はセ・リーグトップの3割5分4厘(79打数28安打)と打ちまくった。これでチームトップの7度目のV打。リーグ戦再開後も、その勢いは止まりそうにない。 オリックス時代の"恩師"から刺激を受けた。6月、交流戦中の福岡で33試合連続安打の日本記録を持つ高橋慶彦氏(62)と食事を共にする機会があった。16年には1軍打撃コーチに就任した同氏から熱血指導を受けて復活。前年に6年連続で続いていた打率3割台が途切れたが、16年シーズンは143試合に出場し、打率3割6厘を記録した。希代のヒットメーカーとの貴重な時間が、心が奮い立つ1つの要因になった。 チームは6月22日西武戦以来、13日ぶりとなる甲子園勝利。DeNAと並び同率3位に浮上したが、首位巨人とは7・5ゲーム差と厳しい状況は変わらない。序盤には守備のミスが目立つ展開に矢野監督も「スッキリした形の勝ちではない」と、しつつ「僕の好きな言葉で『雲の上はいつも青空』というね。なかなかスッキリした勝ち方ではないかもしれないですけど、その青空があると信じて、また引き寄せられるような試合を」と前を向く。糸井は「ちょっと負けが込んでるんで、明日からも勝てるように必死でやっていきます」と宣言。勝負の夏はまだこれからだ。【桝井聡】

◆阪神が広島に逆転勝ちし、DeNAと同率3位に浮上した。 5回にマルテの1発で追いつき、6回無死一、二塁から糸井が決勝の2点適時二塁打を放った。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。   -中盤で逆転勝利 前半は苦しい展開でしたけどね。(糸井)嘉男がいい場面で、いいタイムリーを打ってくれて、一気に流れが来ました。 -近本のセーフティーバントから始まった攻撃だ 次の(糸原)健斗のバントも結果的にラッキーでした。そういう細かい野球がタイガースの野球。セーフティーバントでチャンスを作ってくれました。 -岩田が粘りの投球 本当に岩田らしく丁寧に投げてくれました。1点を取られた後も岩田らしい投球をしてくれたおかげで逆転につながったと思う。本当に自分の仕事をしっかりやってくれたと思います。 -打席でも粘った なかなかヒットは簡単には打てない。そういうところで1球でも投げさせるというところもしっかりやってくれましたね。 -先発に勝ちがついた 一番の理想のゲーム。まだまだ、改善せなあかんミスも出たなかで先発に勝ちがついて、中継ぎにホールドがついてクローザーにセーブがつくのは理想の形。ウチの野球はそういう野球だと思う。もちろん点を取りたいし、もっともっと活気良く行きたい。

◆阪神-広島戦が5日、甲子園球場で行われ、阪神打線は三回を終えて無得点。広島の先発・大瀬良大地投手(28)の前に苦しんだ。  一回は三者凡退。二回2死から高山が低めの変化球を中前に運び、直後に二盗を試みるもこれが失敗。積極的に挑んだが、広島バッテリーに阻まれた。  チームが苦しむ中、ベンチも動いた。最近5試合で20打数1安打(打率・050)と苦しむ梅野を、4月4日の巨人戦(東京ドーム)以来、先発から外した。代役として6月29日に1軍昇格した坂本を「8番・捕手」に据え、主に8番を担ってきたD3位・木浪を7番に昇格。一丸となって、大瀬良に立ち向かっていった。

◆阪神のジェフリー・マルテ内野手(28)が5日の広島戦(甲子園)で五回に同点アーチを放った。  「打ったのはストレート。一打席一打席が勝負だから、いつもポジティブな気持ちで準備しているよ。その成果を出せてよかったね」  0-1の五回、先頭で打席に入り、カウント2-2からの7球目だった。高め146キロを一閃。打球は高々と放物線を描き、左翼席の中段に着弾した。6月4日のロッテ戦(ZOZOマリン)以来となる7号ソロで試合を振り出しに戻した。

◆阪神・岩田稔投手(35)が5日、甲子園で行われた広島戦に先発。一回はD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)の遊撃失策から2死三塁のピンチを招いたが、鈴木を三ゴロに仕留めて切り抜けた。  だが、0-0の二回先頭で会沢に左翼線への二塁打、続く小窪にも連打を許して無死一、三塁から、高橋大は三本間の挟殺プレーでなおも1死二、三塁とし、田中に左犠飛を許した。  前夜は横浜スタジアムで4年ぶりのカード負け越しを喫し、再び4位に転落して迎えた一戦。先制を許したが、ベテラン左腕が粘りの投球で打線の奮起につなげてみせる。

◆阪神・糸井嘉男外野手(37)が5日の広島戦(甲子園)で1-1の六回に2点二塁打を放ち、勝ち越しに成功した。  六回、先頭の近本光司外野手(大阪ガス)がセーフティバントで内野安打にすると、続く糸原も内野安打をもぎとり、無死一、二塁。ここで打席に立つと、広島の先発・大瀬良の3球目、外角の148キロ直球に反応。左中間へと運び、2点二塁打とした。

◆阪神・岩田稔投手(35)が5日、広島戦(甲子園)に先発。0-0の二回1死二、三塁から田中に左犠飛を許した失点のみで、6回2安打1失点と試合を作り「初回からしっかり打者と勝負することができました。ピンチの場面でも動じず粘ることができ、先発としての役割を果たすことができました」と胸を張った。  六回に糸井が勝ち越しの2点二塁打を放ち、勝ち投手の権利を持って強力中継ぎ陣に後を託した。

◆阪神は5日、広島戦(甲子園)に3-1で勝ち、37勝38敗4分けとして借金を「1」に減らした。  先発・岩田が二回に田中広に犠飛を許して先制されたが、五回先頭のマルテが左翼ポール際に7号ソロを放って同点。「いい感触だった。ファンに喜んでもらおうと、必死に打ちました」とM砲。さらに六回には近本の一塁内野安打に続き、糸原も広島の拙守(記録は一塁内野安打)で出塁して無死一、二塁。ここで糸井が中越えの二塁打を放って、2点を追加した。「最高で~す! なんとかチャンスで打ちたくて、2人のランナーを返せてよかったです」と超人も喜んだ。  こうなれば阪神の勝ちパターンだ。七回は藤川が坂倉に二塁打を浴びながらも無失点とすると、八回はジョンソンも鈴木に中越え二塁打を許しつつ、会沢を外角低めへのストレートで見逃し三振に切って無失点。九回はドリスが三者凡退に抑えて、強力リリーフ陣で逃げ切った。  これで2位広島と0・5ゲーム差となって、鯉の尻尾をつかまえた。

◆阪神は5日、広島戦(甲子園)に3-1で勝ち、37勝38敗4分けとして借金を「1」に減らした。ヒーローインタビューには岩田稔投手(35)、ジェフリー・マルテ内野手(28)、糸井嘉男外野手(37)の3人が登場した。  --まずは岩田選手。6回1失点の力投でした  「ありがとうございます。自分の投球ができたと思います」  --ゴロアウトが多かった  「粘り強く投げて、しっかり守ってもらってというのが僕のスタイルなので、それができてよかったです」  --きょうは何がよかった  「ストレートがよかったですね」  --しっかり投げて反撃につなげた  「ありがたいッス」  --坂本とは久々にバッテリーを組んだが  「これまで何回も組んでいるので、違和感はなかった。スッと入っていけました」  --久々の連勝です。ファンへひとこと  「久々の連勝は、恥ずかしいですが、これを積み重ねていきたいです」  --続いてはマルテ選手。同点ホームランはお見事でした  「(日本語で)サイコウデス!」  --ホームランの感触はどうだった  「いい感触でした。ずっと0点が続いていたので、ファンに喜んでもらおうと思って、必死に打ちました」  --あれで打線が活気づいた  「よかった。それぞれのイニングで、みんなが点を取ろうと努力している。そこに貢献できてよかった」  --ファンはまたマルテ選手のホームランに期待している  「また応援にきてください。ファンに楽しんでもらえるように、また頑張ります」  --お待たせしました、糸井選手。見事な勝ち越しタイムリーでした  「最高で~す!」  --大瀬良に追い込まれてから打った  「なんとかチャンスで打ちたくて、2人のランナーをかえせてよかったです」  --近本、糸原選手がバントでチャンスを作ってくれたが、どんな気持ちで打席へ  「先程も言ったけど、なんとか(ランナーを)かえしたいと思っていました」  --監督の矢野ガッツは見えましたか  「すみません、見ていません」  --ベンチのムードはどうですか  「ベリーグッドです!」  --甲子園6連戦の初戦をとれた  「負けが込んでいるので、あしたからも勝って、喜んでもらえるように頑張っていきます」

◆岩田の粘りに阪神打線が応えた。0-1の五回にマルテが6月4日以来の本塁打となる同点の7号ソロ。大瀬良の146キロの直球を捉えた打球は高々と上がって左翼席へ飛び込み「一打席一打席が勝負だから、いつもポジティブな気持ちで準備しているよ。いい感触だった」と喜んだ。  六回は無死一、二塁で打席に入った糸井が左中間へ勝ち越しの2点二塁打を放った。「何とかチャンスで打ちたかったので、2人の走者をかえせて良かった」と笑みを広げ、「ちょっと負けが込んでいるので、あしたからも必死でやっていきたい」と意気込んだ。

◆勝利の六甲おろしまで見届けた阪神・藤原崇起オーナー(電鉄本社会長)は当然のようにエビス顔。「やっぱり甲子園の応援は違いますな。その声援に選手がよく応えました」。新外国人としてヤンゲルビス・ソラルテ内野手(32)=マーリンズ傘下3A=の獲得が秒読みだが「それは編成に任せています」とさらりとかわし「みんなで守って守って、みんなで点を取ってくれた」とチーム全体を褒めた。

◆阪神のバッターもビヤ樽と同じくらい"アピール"してくれないかなあ。え? 何の話? それは後述いたします。  ここは「虎ソナ」ですので、まずは阪神-広島のお話から。5連敗中のカープ担当柏村翔が、昼前に編集局に姿を見せました。阪神も大変やけど、広島もしんどいなと声をかけると、苦笑いを浮かべています。  「打てていない。中継ぎ投手も踏ん張れないことが多い。大瀬良投手も最近、簡単にホームランを打たれてしまう(3連敗している直近の登板3試合で8被本塁打)。ここまでリーグトップの99回2/3を投げています。疲れが出るのも当然なんですけど」  ただ、と柏村は言葉を続けました。  「オールスター前最後の登板のきょうは、エースらしいピッチングをしてくれると思います」  やられかけました。四回まで1安打で二塁も踏めず...。重苦しいムードで試合が進みます。  「3年前なんですね」  しんみりとしていたのがトラ番新里公章です。2軍担当時代の2016年オフ、新里は当時の掛布2軍監督の台湾ウインターリーグ視察を取材しました。カメラマンが同行しなかったので、新里は試合中、ベンチの横で自分で撮っていました。そのとき、ウエスタン選抜のメンバーとして阪神から参戦し、ベンチでリリーフ待機している石崎と話す機会が多かったのです。  「12試合に登板して無失点の活躍で、優勝に貢献したんです。『みんなから守護神と呼んでもらっています』と話していたのを覚えています」  石崎は翌17年、1軍で「勝利の方程式」に入り、侍ジャパンにも選出されましたが、今回、ロッテへのトレードが決まり、この日は鳴尾浜で関係者にあいさつ回りをしていました。  「西武に移籍した榎田投手の例もある。石崎投手も頑張ってほしいです」  新里がそんな話をしているころ「5年前ですね」と中日担当三木建次が笑顔で振り返ったのは、2軍のオリックス戦(オセアンBS)で調整登板し、6回1失点と好投した中日の松坂投手のことです。三木は、阪神が新外国人として獲得するソラルテのことも質問。メッツ時代に対戦経験があり、実力に太鼓判を押してくれた松坂投手のうれしいソラルテ評は5面の記事でお読みください。  「大変やったんですよ。まず投球のことを聞かなきゃいけないし、球団広報が『もうそろそろいいですか』と取材が終わりかけるところを、俺がなんとか呼び止めて、やっとソラルテのこと質問できたんやから」  わかった、わかった。アンタはすごい。  「立ち止まって、笑顔で『う~ん』としばらくうなったあと、しっかりと答えてくれた。自分の投球以外のああいう質問にもちゃんと答えてくれるところが、さすが松坂やわ」  それを聞ける俺もさすがやわ、と言いたいのだよな、アンタは。ね、阪神のバッターもこのくらい...と思っていたら、アピールしてくれましたぞ、この日は。  マルテが同点ソロ、糸井が勝ち越しの2点二塁打を打って借金1に戻し、3位タイに浮上しました。ここに"平成の怪物"が太鼓判を押してくれた強打者が加われば...。

◆--マルテが同点弾  矢野監督「0-1でも、0-1じゃないような重さがあったんで。あれで追いついたっていうのは、本当に『よし、行けるぞ』っていうムードを作ってくれた。見事なホームランだった」  --梅野は休養  「体の疲れもあるし負けてくると俺の経験上も余計、疲れてくる。移動ゲームやったし」  --先発に勝ちがついた  「理想のゲーム。まだまだ改善せなあかんミスも出たなかで、先発に勝ちがついて、中継ぎにホールドがついて、クローザーにセーブがつくのは理想の形。ウチの野球はそういう野球」  --NHKが試合を通して、矢野ガッツのワイプを出していた  「そうなん!? 恥ずかしいな。前半しょんぼりやったけど(笑)。言うてーや。恥ずかしいやん。広報通してくれる?(笑) まぁ、そうやって喜んでくれるなら、もっともっとガッツポーズしたいし。チームにとっても、ガッツポーズはいい効果しかないと思ってるので。これからもやり続けます」

◆この1勝はデカ~イ!! 負けて借金3になるのと、勝って借金1にするのとでは大違い!!  本日のMVPは誰が何と言おうと、6回をわずか2安打1失点に抑えた岩田だ!! 広島のエース・大瀬良と投げ合って好投してくれたのだ!!  神様は『越えられない試練は与えない』なんて申しますが、一回先頭の菊池涼を打ち取ったと思ったら、いきなりショート木浪がエラー。二回無死一、三塁からピッチャーゴロで三塁走者の会沢を三本間に挟んだはいいけど、挟殺プレーにもたついて、1死二、三塁のピンチを招き、田中広の左犠飛で1失点...。  最大の試練は六回。2死一塁で西川が盗塁を企てた場面で、岩田はピッチドアウト。「よっしゃ!! アウトや!!」と思った瞬間に坂本からの送球をショートの木浪がポロリって...。神様、あなたは岩田に試練を与えすぎとちゃうかア!!  糸井の決勝の2点タイムリーも「おおきに!!」やけど、"新助っ人"のソラルテ、同点1号をアリガトウ!! えっ!? 同点アーチはマルテだって? いやいや、ソラルテのプレッシャーが打たせた一発だと俺は思うのだ!!

◆藤川は2番手で七回に登板。2死から代打・坂倉にフォークを打たれて右越え二塁打を許したものの、続く菊池涼を外角へのストレートで空振り三振に仕留め、バトンをつなげた。「勝ってて、つないでくれるとね」とさらり。これで8試合連続無失点とし、NPB通算防御率を1点台に乗せるまで、あと3回2/3。自身がこだわりを持つ数字にも、注目が集まる。

◆阪神は甲子園で広島に3-1で勝利し、DeNAと並ぶ3位に再浮上。六回に糸井嘉男外野手(37)が、大瀬良から決勝の2点二塁打を放った。2位カープに0・5ゲーム差と肉薄。  阪神は広島のエース・大瀬良に対し、今季3度目の対戦で2度目の勝利。大瀬良は先発再転向した2017年以降、これで阪神戦は通算11試合、6勝2敗、防御率2・21となった。  糸井は大瀬良を苦手としており、初めての打点。オリックス時代は2打数1安打で、阪神に移籍した17年以降は通算25打数4安打(打率・160)、2打点。  甲子園での広島戦の連敗は4でストップ(3勝4敗)。また甲子園では今季17勝18敗とし勝率5割にリーチ(昨年は21勝39敗2分け)。

◆「6番・左翼」で先発した高山は2打数2安打1四球。得点にはつながらなかったものの、3打席すべてで出塁して「よかったですね」と振り返った。打率は今季最高の・293まで上昇。プロ入り後、初めて開幕スタメンを逃し、4月には2軍落ちも経験したが、ここにきて存在感を強めている。

◆八回はジョンソンがつないだ。2死から鈴木に中越え二塁打を浴び、続く会沢にフルカウントまで粘られた。ここでなかなかサインが決まらず、坂本がマウンドへ。話し合ったのちに低めに投じた153キロ直球で、鮮やかに見逃し三振に仕留めた。「0に抑えることが一番大事。それができました」。蓄積疲労による休養からの復帰後、これで3試合連続無失点だ。 九回を三者凡退で抑え、16セーブ目。セ単独トップとなった阪神・ドリス 「まだ何も終わってない。この調子を続けていきたい」

◆坂本が「8番・捕手」で4月4日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季3度目のスタメンマスク。最少の1失点にとどめ、投手陣を引っ張った。「久しぶりだけど、思うようにやってやろうと。思い切っていこうと」。七回には先頭で中前打。最近5試合で20打数1安打だった梅野に、左足薬指骨折で欠場した4月4日以来の休養を与えた矢野監督も「(梅野を)休ませた中で勝てたというのはチームにとっても大きいですし。坂本にも梅野にとっても大きい」と称賛を惜しまなかった。

◆2番に戻った糸原も全力疾走で糸井の逆転打につなげた。六回、近本を一塁に置いてバント。一塁・メヒアと投手・大瀬良が交錯してもたつく間に一塁を駆け抜け、無死一、二塁とチャンスを広げた。「逆転できたのでよかった」。前日4日は今季2度目の1番で2安打と存在感を示し、この日もマルチ安打。「当たり前のことを続けていきたい」と前を向いた。

◆エースでも勝てなかった。ついに貯金を吐き出した。広島がリーグ4連覇を狙うどころか、今季ワーストの6連敗(1分け挟む)。6回3失点で自己ワーストタイの4連敗の大瀬良が悔しがった。  「連敗というのは頭にあった。僕もチームの力になりたいと思っていたが、結果が出なくて申し訳ないです」  五回、マルテに同点ソロを浴び、リズムが狂った。六回無死一塁では糸原の一塁線へのバントをメヒアとお見合い。無死一、二塁されると、糸井を追い込んだものの直球が甘くはいり、2点二塁打。踏ん張れなかった。  チームは5月球団新の20勝も6月の交流戦は最下位。リーグ戦再開後は6敗1分け。6月1日の阪神戦(マツダ)で勝ち、最大14あった貯金を34日で使い果たした。首位・巨人とは今季最大の7ゲーム差に...。3位・DeNA、阪神とは0・5ゲーム差のままだが、極めて厳しい状況だ。  「立て直したい」と誓う緒方監督。球団の最大の逆転優勝は1991年の7・5ゲーム差(山本浩二監督の下、中日を逆転)。デッドラインが迫っている。 (柏村翔)

◆3試合ぶりに「1番」に座り、らしさが戻ってきた。大瀬良攻略へ。ドラフト1位・近本光司外野手(大阪ガス)が絶妙なセーフティーバントを決めて、勝ち越しを呼んだ。  「(内野手の)守備位置を見てとかじゃなくて、常に狙っているものなので。いつでも、やったろうと思っています。それが僕の仕事だと思っているので」  1-1の六回。先頭で初球136キロにバットを寝かせた。コツンと一塁側へ転がし、余裕でセーフに。その後、糸原のバントが内野安打となり、糸井の2点打で決勝のホームを駆け抜けた。  一塁側へ転がした意図は「(一塁の)メヒアと僕が対戦するのが初めてだった」と明かす。冷静な判断力が光る一打で、連続安打試合を「3」に伸ばした。  6月は月間打率・179(95打数17安打)と不振。7月3日のDeNA戦(横浜)では58試合ぶりにスタメン落ちの悔しさも味わった。それでも、その試合で代打で登場し、決勝点を呼ぶ二塁打&好走塁。前日の「2番」を経て、定位置へ。唯一無二の武器の価値を改めて示した。  「(大瀬良は)なかなか簡単に打ち崩せる、連打連打(が出る)という感じではなかったので。いい発想の、いいチャンスメークをしてくれた」と目を細めた矢野監督。終盤には今季3度目の左翼守備も軽快にこなしたルーキーは「チームに勢いをつけられるようなことをするのが仕事なので」と力を込めた。この疾走感が続けば、打線は再び勢いが出てくる。 (新里公章)

◆鋭いスイングから放たれた打球は高く、力強く甲子園の夜空を舞った。マルテが同点の7号ソロ。この一発がチームにパワーを注入し、六回の勝ち越し劇を呼んだ。  「焦りも少しあったので、そういう意味でも楽に呼吸ができるというか、そういう気持ちでしたし、(この一発をきっかけに)今から結果が出てくれるのかなと思う」  大瀬良相手に二塁も踏めず、0-1で迎えた五回だ。先頭で打席に立つと、ファウルで粘った7球目、内角高めにきた146キロ直球をフルスイングした。白球はあっという間に左翼ポール際に着弾。6月4日のロッテ戦(ZOZOマリン)以来の一発で、これでマルテが本塁打を放った試合はチームは7戦全勝。不敗神話は継続中だ。  「1打席1打席が勝負だから」-。並々ならぬ思いもあった。球団はメジャー75発を誇るヤンゲルビス・ソラルテ内野手(32)=マーリンズ傘下3A=を緊急獲得する方針。尻に火がつく中で、前日4日のDeNA戦(横浜)では走者を置いた4打席すべてで凡退。チームも敗れた。  「それ(前日の悔しさ)はありますけど、試合なのでいいときも悪いときも出てくるので、そういうなかでも1打席1打席、1球1球、集中してやることが大事」  ポジションを争う可能性があるライバルの出現が、M砲のハートにさらに火をつけた。昨年のロサリオは75試合で8発。マルテは47試合で7発。まだまだ"伸びしろ"はたくさんある。  「打てることはうれしいですけど、チームが勝つということが一番大事なので。自分が打った試合で勝てるのは特別だと思う」  助っ人砲としての責任とプライド。ソラルテとの共存を目指し、勝利に直結する一発をここから量産していく。 (織原祥平)

◆力強く拳を握り、うなずきながらベンチへ戻った。先発の岩田が6回1失点で、今季3勝目。広島戦では2014年7月8日(甲子園)以来、実に5年ぶり、登板14試合ぶりの白星をつかんだ。  「真っすぐがよかったので。他の球種が結構良い感じに投げられて、プラス低めに投げることができてよかったです」  ベテランらしく、粘りの投球が光った。一回先頭から遊撃・木浪が平凡な遊ゴロをはじいた。六回2死一塁では、二塁盗塁を狙った一走・西川を坂本が刺したかに思えたが...再び木浪が落球し、セーフに。四球で一、二塁を背負ったが、動じることなく、小窪を右飛に抑えて乗り切った。  「ミスは絶対出る。そこで自分が抑えればいいだけの話。助け合いながら」  最速143キロの直球に、変化球も丁寧に低めに集めた。四回には内角への鋭いスライダーで4番・鈴木にまともなスイングをさせず、遊飛に。二回の田中広の左犠飛による1点のみで切り抜け、6回をわずか2安打の堂々の投球だった。  日々苦手を克服して成長しているわが子にも、頼もしい父の背中を示した。グラウンドを出れば小学生の1男2女のパパ。伸び盛りの子どもたちの姿に、自分も負けてはいられない。  「苦手なこととか嫌なことでも、自分から頑張ってやるようになったなあ...と。(子どもたちは)食べ物だと魚介系が苦手。でも『きょう給食で出たけど、ちゃんと食べたんだよ』とかうれしそうに話してくれます」  子どもたちが魚を克服したなら、パパは鯉に勝つ-。トラッキー人形を手に笑顔のお立ち台だ。  登板2連勝も、4年ぶり。矢野監督は「1点を取られた後も岩田らしいピッチングをしてくれたおかげで、逆転につながったと思う。自分の仕事をしっかりやってくれたと思います」と賛辞を惜しまなかった。  「これからチームも目の前の試合を一つ一つ戦っていくと思うので。きょうはカード頭を取れたことは大きかったと思います」と手応えをにじませた35歳。3勝目は通過点。これからもチームに白星をもたらす快投を続ける。 (箭内桃子) 岩田について阪神・福原投手コーチ 「自分のピッチングというか、しっかり丁寧に投げていた」

◆コイのエースに痛快一撃! 超人が決めた!! 阪神は甲子園で広島に3-1で勝利し、DeNAと並ぶ3位に再浮上。六回に糸井嘉男外野手(37)が、大瀬良から決勝の2点二塁打を放った。2位カープに0・5ゲーム差と肉薄。6日にも2位浮上だ!!  たった一瞬の隙を、超人が見逃すはずがない。鬼気迫る集中力。小さなほころびを広げ、最後は糸井が決めた。鯉を、エースの大瀬良を沈める決勝の2点二塁打。虎党を大熱狂へいざない、お立ち台で破顔一笑だ。  「最高です! 何とかチャンスで打ちたかったので、2人のランナーを返せてよかったです」  1-1の六回。先頭のD1位・近本光司外野手(大阪ガス)が絶妙なセーフティーバントを決めると、続く糸原のバントは大瀬良と一塁・メヒアがぶつかり内野安打に。無死一、二塁。最高の場面で打席に立った。  2球で追い込まれたが、甘くきた146キロを左中間へ。昨年10打数無安打など苦手としてきた大瀬良からの初打点が、虎を勝利へ導いた。  「いい投手なのは間違いない。失投だと思うけど打ててよかった」  負ければ借金3になる危機を、踏ん張った。巨人に敗れたDeNAに並び、再び3位浮上。矢野監督は「前半は苦しい展開でしたけど、嘉男(糸井)がいいタイムリーを打ってくれて、流れが来ました」と最敬礼だ。  「僕の好きな言葉で、『雲の上はいつも青空』というね。(守備にミスも出て)スッキリした勝ち方ではないかもしれないけど、その青空があると信じて、また引き寄せられるようにしていけるように頑張ります」  交流戦を負け越し、リーグ戦再開後も2勝4敗。苦しい日々が続くが暗闇の先には必ず光がある。ここが踏ん張りどころ。指揮官が信じる言葉を糸井が現実にした。  そんな超人に、今季から虎に加わり、再びタッグを組む師匠、清水ヘッドコーチも目を細めた。「よく打ってくれた」。投手から野手に転向した日本ハム時代に5年間、基礎をたたき込んでくれた恩人だ。7年ぶりに同じユニホームに袖を通す春季キャンプを前にした1月31日夜。宿舎内で再会した糸井は、いきなり「びっくりした! びっくりした! びっくりした!」と"超人節"を炸裂させたという。  「普通は『またよろしくお願いします』だろ...」と苦笑いのヘッド。握手を交わし、昨季最下位の虎の浮上を誓いあった。ヘッドの発案で今季から生まれた"矢野ガッツ"についても「(チームのために)やらなアカンねん」と、照れくさそうに話してきた糸井。この日も殊勲の二塁上で、軽く右手を挙げたが...。ベンチ内の矢野監督のガッツポーズは「見えませんでした! すみません!!」と笑わせた。  「(ベンチの雰囲気は)ベリーグッドです! ちょっと負けが込んでいるので、あしたからも勝てるように、必死にやっていきたいです」  借金を1に減らし、2位広島に0・5ゲーム差と迫った。まずはきょうも勝って、2位へ-。超人がこの夏を必ず熱くする。 (竹村岳) 糸井について阪神・浜中打撃コーチ 「勝負強い。ベテランらしいというか。ちょっと調子も落としていて本来の打球ではなかったんだけど、よかったです」

◆決勝点のきっかけは1番に戻った近本の小技だった。六回の先頭打者で見せたドラックバント。持ち味の足を生かした。近本が塁に出ることで、相手は足を絡めた攻撃を意識しすぎる。結果、ミスも生まれやすい。続く糸原のバントがミスを呼んだのも、"近本効果"といえる。  決して状態の良くない近本に何本ものヒットを望まない。1試合に1度出塁を目標にプレーすればいい。隙を突くバントはもっと多用していいぐらい。  ただ、勝つには勝ったが苦言を呈したいのは相変わらずの守乱だ。一回の先頭打者、菊池涼のゴロを遊撃・木浪がはじいて、岩田は立ち上がりから厳しい投球を強いられた。七回の坂倉の打球でジャンプのタイミングを間違った右翼・糸井の守備も、なんとか捕って欲しかった。  何よりひどかったのは二回無死一、三塁から高橋大の投ゴロで三走を挟殺したシーン。送球が何度も乱れ、三塁・大山がこぼすシーンも。アウトは結果オーライで、1死二、三塁と走者も進んだ。投内連係があまりにお粗末。しっかりキャッチボールができていないのだろう。プレーが疎か。上位をうかがうのなら、真っ先に修正しなければいけない。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
44301 0.595
(↑0.006)
-
(-)
68372
(+8)
297
(+4)
103
(+2)
47
(+2)
0.262
(-)
3.630
(↓0.01)
2
(-)
広島
38383 0.500
(↓0.007)
7
(↓1)
64306
(+1)
321
(+3)
71
(-)
50
(+1)
0.245
(↓0.001)
3.410
(-)
3
(-)
DeNA
37382 0.493
(↓0.007)
7.5
(↓1)
66311
(+4)
306
(+8)
93
(+2)
24
(-)
0.245
(↓0.002)
3.640
(↓0.07)
3
(1↑)
阪神
37384 0.493
(↑0.007)
7.5
(-)
64300
(+3)
324
(+1)
53
(+1)
54
(-)
0.247
(-)
3.450
(↑0.03)
5
(-)
中日
33420 0.440
(-)
11.5
(↓0.5)
68287
(-)
300
(-)
45
(-)
39
(-)
0.258
(-)
3.900
(-)
6
(-)
ヤクルト
31462 0.403
(-)
14.5
(↓0.5)
64348
(-)
403
(-)
89
(-)
28
(-)
0.237
(-)
4.620
(-)