ヤクルト(★5対13☆)阪神 =リーグ戦6回戦(2019.04.18)・明治神宮=
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阪神
402402100131615
ヤクルト
1001001025912
勝利投手:岩田 稔(1勝0敗0S)
敗戦投手:大下 佑馬(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(3号・1回表3ラン),大山 悠輔(4号・3回表ソロ),中谷 将大(3号・4回表2ラン),中谷 将大(4号・6回表2ラン),近本 光司(3号・7回表ソロ)
【ヤクルト】山田 哲人(4号・4回裏ソロ),村上 宗隆(5号・7回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神が一発攻勢で大勝。阪神は初回、大山の3ランなどで先制する。その後は3回表に大山のソロ、6回には中谷の2打席連続となる2ランが飛び出すなど、終わってみれば16安打で13得点を挙げた。投げては先発・岩田が今季初勝利。敗れたヤクルトは、投手陣が崩れた。

◆阪神岩田稔投手(35)の対バレンティンは33打数13安打、7本塁打、被打率3割9分4厘。 岩田の被本塁打は通算67本だから、全被本塁打の約1割がバレンティンに打たれたもの。 今日は苦手バレンティンを抑えられるか。

◆史上最速のリクエスト? 阪神がプレーボールから5球目で審判団にリクエストを要求した。 1番近本が5球目を打って全力疾走。二塁へのゴロは微妙なタイミングとなったが、判定はアウト。矢野燿大監督がベンチを出て、すかさずリクエストを要求。リプレー検証の結果、判定は覆ることなくアウトとなった。

◆阪神の4番大山悠輔内野手(24)が先制3号3ランを放った。 「ファーストストライクからしっかり強く振ることができたことで、次の甘い球を仕留めることができたと思います。先制のチャンスで打つことができて良かったです」 初回1死一、二塁のチャンスで、ヤクルト先発大下の4球目138キロカットボールをバットに乗せた。高い弾道を描いた打球は左翼席に着弾。先制点を奪った。 17日の試合後には「勝たないと意味がないので。明日、勝てるように頑張ります」と話していたように、17日に続いての2戦連続アーチで左翼席に集った虎党を喜ばせた。 大山のバットは止まらない。3回には2打席連発となる4号ソロを放った。先頭で打席に入ると大下の4球目、真ん中高め142キロカットボールをフルスイング。打球を左翼席に突き刺した。 「前の打席と同じように思い切り振っていきました。先制後に取られた1点を早く取り返したかったので、ホームランですぐに取り返すことができて良かったです」 4番のバットが虎に勢いをもたらしている。

◆阪神中谷将大外野手が、プロ入り初めての2打席連続アーチを放った。 4回に3号2ランを放つと「ファーストストライクを積極的に振っていこうと心掛けて打席に入りました。バッター有利のカウントで、甘い球をしっかり捉えることができました」と話した。 6回にも、豪快に4号2ランを左翼席に運んだ。長打力が持ち味の男が、存在感を示した。

◆阪神が5本塁打を含む16安打13得点。1回に先制3ランの大山が4-1の3回にソロを放ち、中谷は2打席続けて2ラン。昨季0勝で今季初登板先発の岩田は失策絡みの5失点で、4季ぶりの完投勝利。ヤクルトは3連勝で止まった。

◆ヤクルトは投壊で早々に試合が決まった。先発大下が3回途中で6失点。2番手中沢、3番手風張も打ち込まれ、5発を浴びるなど今季最悪の16被安打13失点の大敗となった。5回には青木、山田哲ら主力を早々と交代。 小川監督は「ああなっちゃうとどうにもならなくなっちゃう。後ろに行く投手も厳しい。(野手の交代は)総合的に判断した」と切り替えた。

◆阪神岩田稔投手(35)がヤクルト戦に今季初先発し、5失点完投で2年ぶりの勝利を挙げた。 試合後のヒーローインタビューは以下の通り。   -2017年10月1日以来、2年ぶりの白星。勝利の味、いかがですか。 岩田 忘れてましたね。うれしいです。 -そしてきょうは、ゴロアウトが非常に多かった。そんな印象があります。どのような気持ちでマウンドに向いましたか 岩田 ヤクルト打線はすごく強力なので、そこで引いてしまったら負けなので、自分のスタイル、そういうのも前面に出していった結果、ゴロアウトが多かったっていうことですね。 -完投勝利でいいますと、2015年6月16日以来、4年ぶりという完投勝利になります。それについてはいかがですか 岩田 そんな前でしたっけ。あんまり昔すぎて、あんまり覚えてないんで、結構前ですね。恥ずかしいですね。 -終盤のマウンドは、やはり強力なヤクルト打線をどうしても封じ込めようという、そういう思いだったんでしょうか 岩田 やっぱりちょっとでも、甘く高くなったら、ホームランていうのがここは考えられる球場なので、すごく気をつけながら、投げました。 -そしてやはり、きょうは阪神打線ものすごかったですね。16安打5ホーマーの13得点というものすごい数字になりました。岩田さんの目からどのように映っていましたか 岩田 めっちゃすごかったですね。うわーっ、うわーって何回言わすねん、みたいになってました。 -7回も近本選手が1本打って、中谷選手2本打って、大山選手2本打ってという、この3選手にどのような言葉かけたいですか 岩田 いやもう本当にうれしいですね。ほんまありがとう! -シーズンも始まったばかりです。これだけ多くのタイガースファンの皆さんが集まっています。ファンの皆様に大きな一言をお願いします 岩田 まだまだここからです。みんな頑張っていくんで、タイガースよろしくお願いします。

◆チーム8年ぶりとなる1試合5発目を放ったのは阪神ドラフト1位近本光司外野手だった。 7回1死からバックスクリーン左へたたき込んだ。「ギリギリでした。(入ると)確信が持てなかったので走りました。入ってくれました」。これでアーチは早くも3本目。走力だけではなくパンチ力もあるところを神宮のファンに見せつけた。

◆阪神糸原健斗内野手が自身初のクリーンアップとなる5番に起用され、初回の二塁打から3打席連続ヒットを放った。 矢野監督は「期待通りの打撃をしてくれた。こういうので乗っていって欲しい」と福留の代役5番を果たし、打線爆発を演出した糸原の打撃向上を期待。本人は「打順は関係ありません。チームの勝利につながったことが1番」とキャプテンらしく勝利を何より喜んだ。

◆これぞ4番の活躍や! 阪神が若き主砲の覚醒で首位ヤクルトを圧倒した。大山悠輔内野手(24)が初回に2戦連続の先制3ランを放つと、3回には2打席連発の4号ソロ。開幕から打撃不振に苦しんだ男が引っ張り、チームは合計5発で今季最多の13得点。19日から始まる平成最後の巨人戦(甲子園)に向け、はずみをつけた。捉えた瞬間、三塁側ベンチも左翼スタンドの虎党も両手を突き上げた。バットを振り切った大山が、ゆったりと走りだす。目で追いかけた白球は左翼席に着弾。2戦連続の3号3ランに、ニヤリと笑みを浮かべ、ダイヤモンドをまわった。 「ファーストストライクからしっかり強く振ることができたことで、甘い球を仕留めることができた」 先制パンチだった。初回1死一、二塁の好機で、ヤクルト先発大下の4球目をバットに乗せた。左翼席の虎党へ、先発岩田へ白星をプレゼントだ。 勢いは止まらない。3回には2打席連発となる4号ソロを左翼席へ突き刺した。「前の打席と同じように思い切りました」。持ち味は思い切りのよさ。ただ、4番に座ってからはマークが厳しくなり、思うようにバットを振らせてもらえなかった。影を潜めたフルスイング。「試合の中でイメージと違っている部分もある」と、苦悩の日々を過ごした。スイングのこだわりは「形ですね」と撮影動画をチェック。「癖を細かく分析していかないと」。ある時は首脳陣に教えを請い、ある時は裏方スタッフの言葉に耳を傾けた。熱心に自らの現在地を確認したからこそ、今がある。 4回にも左翼フェンス直撃の二塁打を放って、今季初の猛打賞。開幕から低調だったが、徐々に上げてきた。浜中打撃コーチは「自分にも経験があるけど」と前置きした上で「4番として初めて仕事ができたと思っているんじゃないかな。練習でもスイングの形がよくなってきた。自信が出てくると思う」と自らの体験も元にして、和製大砲候補のさらなる飛躍を願った。 大山は17年の新人時代から4番を任され、球団の期待を一身に背負う。だが、これまで試合を決める一撃は目立たず、4番での出場42試合目にして「V弾」は初めてだった。 口にしたことを実現するために、バットを持つ。「(打っても)勝たないと意味がない。勝てるように頑張ります」。17日に宣言した通りの活躍。19日からの「平成最後の伝統の一戦」はずみをつけた。【真柴健】

◆564日ぶりの歓喜に声が震えた。「涙が出そうです」。阪神岩田稔投手(35)が今季初先発で17年10月1日、巨人戦(東京ドーム)以来の白星。完投勝利は15年6月16日日本ハム戦(甲子園)以来、実に1402日ぶりだった。普段は冷静な男が、両手を突き上げてガッツポーズを連発。我を忘れて喜んだ。 必死に腕を振った。序盤こそボールが高めに浮く場面もあったが、27アウトのうち16個がゴロアウト。持ち味を存分に発揮した。中継ぎ6人を注ぎ込んだ延長12回引き分けから一夜。お疲れのリリーフ陣も助ける"救い投げ"に、矢野監督も「本当に助かりました。ファームで頑張ってくれていた選手ががんばってくれるのは、すごくうれしい」と最敬礼だ。 昨季はわずか6試合先発で0勝4敗、防御率3・23に終わった。昨年12月の契約更改では1200万円減の年俸3800万円でサインし、「正直、今年で終わると思っていた部分もあった。(戦力外の覚悟は)ありましたよ」と明かした。夏も冬も10歳近く年下の選手と鳴尾浜で汗を流す。くじけそうになる自分を奮い立たせてくれたのは、病と闘う子どもたちだ。 魂の118球を投げた岩田は自ら切り出した。「体もピンピンしてます。全然いける。中途半端では辞められない。1型の子どもたちが見ているんで」。あらためて自身と同じ1型糖尿病患者を投球で勇気づける覚悟を宣言。がむしゃらに、最後の最後まで戦い続ける。35歳ベテランの復活ショーが、矢野阪神にはずみをつけた。【桝井聡】 ▼岩田の勝利は17年10月1日巨人戦以来、564日ぶり。完投勝利となると、15年6月16日の日本ハム戦以来、1402日ぶり。また岩田が4月までにシーズン初登板したのは、16年3月30日ヤクルト戦以来、3年ぶり。今年は通年で活躍できるか。

◆阪神大山悠輔内野手(24)が初回に2戦連続の先制3ランを放つと、3回には2打席連発の4号ソロ。開幕から打撃不振に苦しんだ男が引っ張り、チームは合計5発で今季最多の13得点。▼阪神の1試合5本塁打以上は11年7月17日横浜戦(横浜)の5本(金本、藤井彰、新井貴2、関本)以来、チーム8年ぶり。大山、中谷はそろって2本放った。阪神の2人が1試合2発は10年8月18日横浜戦(横浜)のブラゼル、林威助以来で、日本人打者のコンビでは97年6月7日横浜戦(旭川)の久慈、桧山以来。ともに2打席連発は03年8月28日巨人戦(甲子園)の広沢、アリアス以来で、日本人コンビでは48年10月16日中日戦(大須)の別当、藤村以来、球団史上71年ぶり2度目。

◆阪神大山悠輔内野手(24)が初回に2戦連続の先制3ランを放つと、3回には2打席連発の4号ソロ。開幕から打撃不振に苦しんだ男が引っ張り、チームは合計5発で今季最多の13得点。◆48年の阪神コンビ弾 10月16日、名古屋市の大須球場で行われた中日戦で、3回に3番別当薫が先制の10号を放つと、続く4番藤村富美男も10号。5回には別当、藤村がそろって11号。1試合で同一コンビが2者連続本塁打を2度記録したのはプロ野球初で、しかも2打席連続だった。

◆阪神矢野燿大監督が激しく攻める采配で今季最多16安打13得点のワンサイドゲームを演出した。 3回に4点リードでも動いた。1死一、三塁でヤクルトは左腕中沢に継投。指揮官はベンチを出て木浪に代打上本を告げた。用兵は的中し、左犠飛で得点差をさらに広げた。 まだ序盤だ。早々に動いた理由を明かす。「俺、やることやらん選手とか、あきらめるような選手を使いたくない。あそこで(木浪が)前の打席に三振しても走らない。俺としては、あのチャンスで『それやったら上本』と。というところで代えた」。1回、木浪はワンバウンドのフォークに空振り三振した際、捕手は捕り損ねたが、一塁に走らなかった。振り逃げを試みず、前に向かわない。鬼采配で厳しさを突きつけた。 真綿で首を絞めるタクトを振り、敵を追い込んでいった。5点差をつけた4回は無死二塁で北條にバントのサインを出す。手堅く三塁に進め、糸井の中犠飛で追加点。指揮官は「チームとしてはしっかりとした形で点を取ることの方が大事。走者が三塁にいけば内野も前に来る。得点をどんどんできる状況になっていく。まだ序盤やし、しっかりした野球をやりたい」と説明。救援陣を温存したい思惑もあり、必死に得点を重ねた。 この日は開幕から先発出場を続けていたベテラン福留が休養で欠場。若手が躍動した。19日からは甲子園で巨人戦。4月初旬に3連敗した屈辱がある。指揮官は「チャレンジしていくしかない。(菅野は)いい投手。どんどん向かっていって、バットを振っていって、しっかり走って」と語気を強めた。【酒井俊作】

◆阪神中谷将大外野手のバットも猛威をふるった。自身初の2打席連続アーチが飛び出したのは6回。敵地神宮での虎祭りをド派手に彩った。 開幕から18試合目にしてベテラン福留が今季初めてスタメンを外れ、休養にあてた。代わって6番左翼でスタートした中谷は初回に「チャンスでなんとかもう1本出したいという気持ちでした。続くことができて良かったです」と4点目のタイムリーを放つと、もう止まらない。4回に3号2ラン。6回にも4号2ランと計3安打5打点をたたき出した。 「最初の1本で終わらず、3本打てたのはよかった。(福留休養のゲームで)そういう日に若い選手で結果を出せたのは今後につながると思います」と中谷。ここまで5日の広島戦で逆転勝利を呼ぶ代打逆転2ランを放ってはいたが、大山と並ぶ大砲候補のバットがついに火を噴いた。

◆17日のヤクルト戦を体調不良で欠場した阪神ラファエル・ドリスが1日で戦列に復帰した。 打線が序盤から爆発、岩田の完投で出番こそなかったが、試合前練習を通常通りこなし、試合後には笑顔で勝利のハイタッチに参加した。 ここまで5試合に登板して無失点。3セーブをマークしている守護神は「メチャすいません。メチャ大丈夫」と日本語で話していた。

◆阪神が、若き主砲の覚醒で首位ヤクルトを圧倒した。大山悠輔内野手(24)が初回に2戦連続の先制3ランを放つと、3回には2打席連発の4号ソロ。開幕から打撃不振に苦しんだ男が引っ張り、チームは合計5発で今季最多の13得点。19日から始まる平成最後の巨人戦(甲子園)に向け、弾みをつけた。捉えた瞬間、ベンチもスタンドも両手を突き上げた。バットを振り切った大山が、ゆったりと走りだす。目で追いかけた白球は左翼席に着弾した。「ファーストストライクからしっかり強く振ることができたことで、甘い球を仕留めることができた」。初回1死一、二塁の好機で、ヤクルト先発大下の4球目をバットに乗せた。左翼席の虎党へ、先発岩田へ、4番が白星をプレゼントだ。 勢いは止まらない。3回には2打席連発の4号ソロを左翼席へ突き刺した。「前の打席と同じように思い切りました」。持ち味は思い切りのよさ。ただ、4番に座ってからはマークが厳しく、思うようにバットを振らせてもらえなかった。フルスイングが影を潜め、「試合の中でイメージと違っている部分もある」と苦悩の日々も過ごした。スイングのこだわりは「形ですね」という。撮影した動画をチェック。「癖を細かく分析していかないと」。首脳陣に教えを請い、あるときは裏方スタッフの言葉に耳を傾けた。熱心に自らの現在地を確認したからこそ今がある。 17年の新人時代から4番を任された逸材だが、4番を打って3年、42試合目にして「4番V弾」は初めてだった。4回にも左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、今季初の猛打賞。浜中打撃コーチは「自分にも経験があるけど」と前置きした上で「4番として初めて仕事ができたと思っているんじゃないかな。練習でもスイングの形がよくなってきた。自信が出てくると思う」と、和製大砲候補にさらなる期待を込めた。 口にしたことを実現するために、バットを持つ。「(打っても)勝たないと意味がない。勝てるように頑張ります」。4番が宣言通りの活躍で、19日からの「平成最後の伝統の一戦」に弾みをつけた。【真柴健】

◆阪神岩田稔投手(35)がヤクルト戦に今季初先発し、5失点完投で2年ぶりの勝利を挙げた。この日をずっと待っていた。黙々とファームで準備を進めてきた岩田が、グッと左拳を握りしめる。564日ぶりの白星には「諦めない思い」がギュっと詰まっていた。 春先から結果を残しても、1軍から声が掛かることはなかった。35歳。焦る気持ちもあった。それでも「やり切ったと思えるようにしたい」と、鳴尾浜で若虎たちと汗を流す日々を過ごしてきた。 愛車には家族だけでなく「お守り」も乗せた。運転席のハンドル横には「21番」のタテジマユニホームを着た、小さな熊のキーホルダーがある。「注文して、何個か買いました。子どもたちが喜ぶように。お気に入りなんで」。鳴尾浜には若手選手よりも先に車を駐める。朝イチで練習に励むため。パパは、まだまだできるんだ-。そんな岩田の隠れた努力を「お守り」は知っている。 諦めなければ、チャンスは必ず訪れる。ずっと追い求めてつかんだ勝利球。フラッシュライトを浴びる「21番」の表情は誇らしかった。【阪神担当=真柴健】

◆ヤクルト・山田哲人内野手(26)が18日、阪神6回戦(神宮)の一回に適時打を放った。  4点を追う一回1死三塁。カウント2-2から、岩田の直球を中前に運んだ。6試合連続安打となった山田哲は「打ったのはストレート。1点ずつ返すつもりで打席に入りました」とコメントした。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(19)が、18日の阪神6回戦(神宮)でチームトップの5号ソロを放った。  2-13で迎えた七回二死。カウント0-1から、岩田の外角のスライダーを振り抜き、左翼席に運んだ。「前までの打席で強引に打ちにいっていたので、センターを意識して打ちました」とコメントした。

◆阪神は18日、ヤクルトと神宮で対戦、打線が爆発して大勝した。一回、先発大下の立ち上がりを攻め、大山の3号3ランで先制。プロ初の5番に入った糸原からの3連打で1点を加え、一回に4点を先行した。大山は三回先頭、左越えに2打席連続の4号ソロを放った。8-1の四回2死二塁では一回に適時打を放っていた中谷が左翼席へ3号2ランを放ち、六回にも2打席連発の4号2ランを放った。七回にはD1位・近本(大阪ガス)が中越えに3号ソロを放ち、今季初の1試合5アーチ。  今季初先発の岩田は大量援護を受け、9回9安打4失点で564日ぶりの白星を4年ぶりの完投で手にした。ベテラン福留の休養日だったが、打線が奮起。19日からは本拠地甲子園に戻り、平成最後の伝統の一戦、巨人3連戦を迎える。3連戦の予想先発は、阪神がメッセンジャー、岩貞、西、巨人が菅野、ヤングマン、メルセデス。

◆神宮の都で、虎の主砲が目を覚ました。たったひと振りで試合を動かせるからこそ、4番だ。阪神・大山が18日のヤクルト戦(神宮)で先制の3号3ラン&4号ソロ。今季初の1試合2発で、強烈な花火を神宮に打ち上げた。  「ファーストストライクからしっかり強く振ることができたことで、次の甘い球を仕留めることができたと思います。先制のチャンスで打つことができてよかったです」  一回1死から北條が左翼線二塁打。糸井が四球でつなぐと、大山の出番だ。カウント2-1からのカットボールをかち上げると、白球は左中間スタンド最深部に着弾。前日17日に続く2試合連発は今季初。中谷、D1位・近本と並んでいた本数も、これでチームトップに躍り出た。  まだ終わらない。三回先頭、142キロ直球をフルスイングすると、左翼席を楽々と越える4号ソロ。左翼・バレンティンが一歩も動かない完璧な当たりで、燕を突き放した。1試合2発は、昨季の9月16日のDeNA戦で3発を放って以来。早足でダイヤモンドを回り、ベンチ前で、ようやく笑顔が弾けた。  「前の打席と同じように、思い切り振っていきました。先制後に取られた1点を早く取り返したかったので、ホームランですぐに取り返すことができてよかったです」  11日のDeNA戦(甲子園)で放った1号こそセ・リーグの4番としてもっとも"遅咲き"となったが、緑の葉が広がりと同時に虎の主砲もお目覚めだ。  ベンチの采配も光った。ここまで全17試合に先発させていた41歳の福留に初めて積極的休養を与え、中谷を「6番・左翼」に起用。大山の先制アーチの直後、プロ初の5番に据えた糸原が左中間を破る二塁打。続く中谷も左翼線を破る適時打で、4点目をたたき出した。「先制した直後にいい流れで打席が回ってきたので、チャンスでなんとかもう一本出したいという気持ちでした。続くことができてよかったです」。中谷は8-1の四回2死二塁でも左翼席へ3号2ランを放り込み、六回にも2打席連発の4号2ラン。大きな追加点を生み出した。  七回にはD1位近本(大阪ガス)が中越えに3号ソロを放った。打ちも打ったり16安打13得点で今季初先発の岩田を大量援護。岩田は4年ぶりの完投勝利を飾った。首位ヤクルトに大勝で借金は「3」。開幕から貧打にあえいでいたが、ついに春眠から目覚めた。投打がようやくかみ合い、19日からの平成最後の伝統の一戦となる巨人戦(甲子園)へ、最高の弾みをつけた。

◆阪神はヤクルトに敵地で5本塁打を含む16安打で13-5と大勝し、カード負け越しを阻止した。先発した岩田が完投勝利。先発陣崩壊、リリーフ陣がフル回転するなかで踏ん張った。  一回に山田哲にいきなり適時打を許したものの、4点の援護をもらっていたため余裕があった。シュートやスライダーで丁寧にコーナーを突き、凡打の山を築く。中盤の大量援護にも後押しされて、118球で9安打5失点(自責2)と9回を投げきった。  今季は開幕2軍スタートも、ウエスタン4試合で1勝0敗、防御率0・53。「(ヤクルトが)打つ(チーム)というのは知っている。やりきった投球ができたといえるように」と満を持して上がった今季初の1軍マウンドで、躍動した。  勝ち星は、2017年10月1日の巨人戦(東京ドーム)以来564日ぶり。昨季から続く神宮での公式戦連敗も「5」で止めた。

◆ヤクルトは大敗で1分けを挟む連勝が3でストップ。中継ぎから今季初先発のチャンスを得た2年目の大下は6失点で三回途中にKOされ「力不足。中継ぎに迷惑を掛けた。申し訳ない」とうなだれた。試合後に2軍での再調整が決まった。  一回に大山に甘い球を3ランにされるなど、いきなり4失点。三回も大山に左中間席に打ち込まれ、さらにピンチを招いて降板した。小川監督は「ああいう展開になるとどうしようもなくなる。踏ん張ってほしかった」と残念がった。

◆阪神は18日、ヤクルトに敵地で13-5と快勝。D1位・近本光司外野手(大阪ガス)が七回、ダメ押しの3号ソロを放った。  12-2の七回1死、3番手・風張の高めに浮いたストレートを一閃。バックスクリーン左まで運んだ。ルーキーで3本は現状、12球団トップだ。「ぎりぎりでしたね。(入ったと)確信を持てなかったので、走っていましたけど。入ってくれたのでよかったです」。四回先頭でも左翼線を破る二塁打を放ち、打率・267。4試合ぶりのマルチ安打で、猛虎祭りに貢献した。

◆よっしゃ、これぞ矢野イズムの大虎勝ちやー!!  若き虎の4番・大山が2アーチ。眠れる大砲・中谷の2発にルーキー・近本も3号。そして今季最多の16安打&13得点! その上、先発・岩田の2年ぶりの勝利も、全ては矢野監督が導火線に火をつけたからなのだ!!  一回、先頭・近本の二ゴロでいきなりのリクエスト(結果は判定通りアウト)が、猛虎打線の心をあらぶらせて4得点。三回は5-1とリードしているにもかかわらず、1死一、三塁の場面で木浪に代打・上本を送り、犠飛で6点目をむしり取りにいく獰猛(どうもう)さ!!  指揮官がそこまで腹をくくったら、やらなきゃ男がすたるやんけーと、応えてくれた虎打線。その男気で、前回3連敗を食らったあの兎(巨人)を3匹(3連勝)丸飲みしたれー!!  一方、ヤクルトは大敗ムードだとしても、四回終了時点で青木、山田哲、バレンティンという燕の顔をベンチに下げたら、少年少女のファン(大人もかな?)は寂しいと思う...。小川監督、次は試合後半まで出場させてください。

◆--岩田が9回を投げきったのが大きい  矢野監督「中継ぎもみんなちょっと(直近)2戦ね、目いっぱいみんな行っていたので。うん、本当に助かりました」  --昨季は一緒に過ごす時間も長かった  「ファームで頑張っていた選手たちがこう、頑張ってくれるっていうのは俺自身もすごくうれしいし。まあ、岩田にとっても大きいし。チームにとっても大きな1勝になったと思います」  --四回には大量リードでも犠打で三塁へ走者を進めたが、この球場では何点あってもいいと  「もちろんジョー(北條)があそこでタイムリーを打ってくれることを期待したいけど。チームとしてはそういうしっかりとした形で点を取ることの方が大事。まあまあ、まだ序盤やし、しっかりした野球をやりたいなと」  --5番に糸原を入れて、期待に応えたが  「期待通りのバッティングしてくれたんで。こういうので乗っていって欲しいなと」  --あすからは前回3つやられた巨人戦  「いやもうチャレンジしていくしかないし。まあ(菅野は)いいピッチャーなんでね。どんどん向かっていって。バットを振っていって。しっかり走って。やれることをしっかりやっていくという、ことをやっていくのが基本」

◆三月 桃の花ひらき 五月 藤の花々はいっせいに乱れ...「見えない配達夫」という茨木のり子の詩のなかでこんなドキッとする部分があります。  地の下には少し間抜けな配達夫がいて帽子をあみだにペダルをふんで かれは逝きやすい季節のこころを...  つまり、そういう気分でした。どうせ今夜もケチョンケチョンに負けるんや...と思ってました。ごめんね...そんなことばかり考えていたのです。  日頃はシニカルな編集委員上田雅昭が試合前に電話をくれてこういうのです。  「今日の阪神が神宮球場に到着してグラウンドに現れたら...なんとヤクルト側は誰もおらんのや。まさか球場を間違えたのか...と思ったぐらいやが、実はヤクルト側はいつもより早めに練習を終えていたんです。通常ならホームとビジターのチーム練習の交代は両軍選手が混ざり合ってザワザワするんやけど、なんか肩すかしみたいな...そんなにヤクルトは余裕シャクシャクなんか...という気がしてましたヮ」  やはり勝負事は、勝たんとヒクツな気分に襲われます...。  それでも、気がめいる話ばかりではなかったのです。鳴尾浜の居残り組を取材したトラ番菊地峻太朗は実に落ち着いて「藤浪晋太郎投手は心配しないでください。笑顔がのぞいていたし、キビキビしてました。信じて待っていてくださいョ」という。彼の冷静なリポートを聞くと、われわれの"希望の配達夫"は着実にペダルを踏んでいるらしい。もうすぐ...だ。  実はこの4月18日は37年前の同じ日に後楽園で巨人-阪神1000試合の対決メモリアルデーでした。  どんな試合になったかって...私めは当時、ピヨピヨのトラ番だった。それは書きたくなかったんですが...。当時は安藤阪神と藤田巨人。テレビ中継の解説席には長嶋茂雄と村山実の永久欠番コンビでした。もちろん私めも現場におりました。  2年目の若大将原辰徳(現監督)が五回に決勝3ラン! 覚えてますョ。打席に向かうときに王貞治助監督(当時)から、若き原はこうゾクリと激励されるのです。  「おい、原ッ、真ん中が来ると信じて打席に入るんだ。いいな!」  そこに阪神の投手伊藤はストレートを投じて...球史は新しい1頁を印したのであります。  阪神000100010=2  巨人10013000×=5  阪神420勝、巨人538勝。引き分けは42...GT1000試合目は原辰徳というヒーローが巨人の4番として存在感を示したのでした。そして37年後の4・18は阪神の4番がやっと"誕生"した...そう思いたいッ。いや思わせてくれ!  どうせ今夜はヤクルトに大敗して、この日のことはボツにしようとまで思い詰めていたのです。ところがどんなもんだい! なめるんじゃねぇぞ。タイガース魂は死せず...だぞ。  大山が打った!  中谷も打った!  おいおい近本もアーチをかけてうれしいじゃねぇか。こうなると毎晩、神宮でやってくれないかなぁ...五回からヤクルトは途中から"白旗メンバー"にいれかえざるをえなかった。こんなの毎晩...無理かな。

◆村上がチームトップの5号ソロ。2-13の七回2死、カウント0-1から岩田の外角のスライダーを振り抜き、左翼席に運んだ。「一打席一打席、やることは一緒。今やっていることをしっかりやろうと思った」。左投手からの一発にも「(投手の)右左は関係ない。守備で迷惑ばかりかけている。もっと上達したい」と笑顔はなかった。

◆チームも、選手1人1人も常に前向きであって欲しいから、矢野監督はD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)に対し非情に振る舞った。「8番・一塁」で起用したが4点リードの三回1死一、三塁の場面でスパッと交代。代打に上本を送った。  「やることやらん選手とかあきらめるような選手は使いたくないから。(木浪が)前の打席、三振しても走らないというところは、まあ俺としては、あの(次の打席の)チャンスで『それやったら上本やろう』と。というところで代えた」  "前の打席"というのは、4-0としていた一回1死二、三塁での第1打席。木浪は先発・大下のワンバウンドの変化球に空振り三振を喫した。振り逃げが狙える場面だったが、そこで一塁へ生きようという姿勢が足りなかったことが、見過ごせなかった。  19日からは甲子園で巨人戦。前回2-4日の東京ドームでは3連敗を喫しただけに、矢野監督も「やれることをしっかりやっていくというのが基本」。それを全員に示した采配だった。 (長友孝輔)

◆豪快な2発で試合を決定づけた。5試合ぶりにスタメン出場した中谷が、プロ入り初の1試合2本塁打を記録し、3安打5打点と大暴れ。2桁得点での大勝に充実感を漂わせた。  「1本だけじゃなく、3本打てたのはよかったです」  1発目は四回の第2打席だ。2死二塁から2番手・中沢の3球目、外角の変化球をたたき、虎党が待つ左中間へ2ランを突き刺した。  中谷劇場はまだ終わらない。六回2死一塁から真ん中に甘く入ったフォークを見逃さず、左中間へ運んだ。これで大山に並んでチームトップとなる第4号。第1打席にも左前適時打を放っており、今季初の猛打賞を記録した。  「5番」に座っていた福留が休養のため、今季初めて欠場。これまで虎を支えてきた大黒柱抜きでの勝利に「若い選手がそういう日に結果を出せたら(次に)つながっていくと思います」と手応えを口にした。目覚め始めた大砲が、次も勝利へ導く一本を放つ。

◆今季初先発のヤクルト・大下佑馬投手(26)は、三回途中8安打6失点。救援陣も阪神打線の勢いを止められず、小川監督は厳しい表情だった。  「ああなると、どうしようもなくなってしまう。後ろにいくピッチャーも難しくなる。何とか踏ん張ってほしかったが、あの点差ではね」  寺原の体調不良で巡ってきたチャンスだった。一回、大山に先制3ランを喫するなど4失点。二回は立ち直りの兆しを見せたが、三回にも大山にソロを浴びた。2年目右腕は「これが実力だと思う。甘くなった球を打たれた。情けない」と肩を落とした。  チームの5被弾、13失点、16被安打はいずれも今季ワースト。試合後に大下、風張、中沢、広岡の2軍での再調整と川端、田川、中尾の昇格が決まった。19日からの2位・中日との3連戦(ナゴヤドーム)で立て直す。 (長崎右)

◆564日ぶりの勝利投手となった阪神・岩田稔投手(35)の母校、関大野球部時代の恩師・高岡淳元監督(54)=現副顧問=が18日、復活白星を果たしたまな弟子へエールを送った。  ゴロアウトも多くて、持ち味を出せたと思います。母校の関大でオフにトレーニングをすることも多いので、いまでもよく来てくれています。常にポジティブ。自分を信じていて、弱気なところはみせないところが岩田らしさ。  1型糖尿病とも戦っていて、人とは違う根性を感じました。(血糖値の調整で)練習中もアメをなめたり、アイスクリームを食べたりしていましたが、それを人にみせなかった。自分の特徴をわかっていたから、特別扱いしてくれということもなかった。  やりたい夢があるんです。10勝以上して、大学で学生にトークショーをしてほしい。2軍生活が長かったですからね。話してくれたら学生も勇気づけられる。欲をいえば、3失点で終わってほしかったですけど(笑)。期待が膨らみます。

◆充実感、疲労感...。さまざまな感情が渦巻く自分の胸をポンポンとたたいた。岩田が両手を突き上げ、小走りでナインのもとへ駆け出す。今季初登板で4年ぶり、1402日ぶりの完投勝利をあげた。  「涙が出そうです。リリーフを休ませることができた。体もぴんぴんしていますし、(年齢的にも)全然いける。中途半端ではやめられない。1型(糖尿病)の患者さんもみていますし、絶対に諦められない」  自身とともに糖尿病と戦う同士の思いも力に変え、腕を振った。一回に捕逸もからんで1死三塁から山田哲に中前適時打を食らったが、続くバレンティンは外角136キロで三ゴロ併殺と打たせてとる持ち味で踏ん張った。  「ひいてしまったら負け。自分のスタイルを前面に押し出した結果、ゴロアウトが多かった」。強力燕打線に四、七回にソロを被弾し、九回には味方の失策もあり2点を失ったが、ゴロで16のアウトを奪った。汗を飛ばしながら、118球の熱投で9回9安打5失点(自責2)ながら、564日ぶりの白星を手にした。  鳴尾浜でもんもんとした日々を過ごす中、"戦友"の姿に勇気をもらった。ロッテ、阪神などで通算97勝を挙げた久保康友投手(38)がメキシコリーグのブラボス・デ・レオンと契約し、異国の地で奮闘している。「うらやましいなあ。お金が続けばやけどね(笑)」と左腕は笑った。  知人を介してメキシコの治安の悪さは耳にしていたという。それでも野球を愛し、挑戦し続ける姿に心打たれた。前へと進む力をもらった。昨季は結果を出してもなかなか1軍に呼ばれず、周囲に「去年はつらかった...」ともらすこともあった。  左腕の柱として期待されたガルシアが2軍降格し、前日17日には延長十二回で中継ぎ陣がフル稼働した中で、チームにとっても価値ある完投星。打線の大量援護に「(ベンチで)ウワー、ウワーって何回言わすねんと言ってました。ホンマありがとう」と感謝した。35歳の2019年が開幕。泥臭く、勝利のために腕を振り続ける。 (新里公章) 岩田について阪神・福原投手コーチ 「きのう(17日)中継ぎが多く投げていたので、岩田が長いイニング投げてくれたのはチームにとって大きい」

◆"代役"とはいわせない。糸原が大車輪の活躍で存在感を発揮。休養で今季初めて欠場した福留に代わってプロ初の「5番」に座り、3安打1打点。7日の広島戦(マツダ)以来、今季2度目となる猛打賞をマークしてみせた。  「打順は意識していない。チームが勝てたこと、貢献できたことがよかった」  まずは一回だ。大山の3ランの直後、先発・大下の外角カーブを流し打ち。左中間二塁打にして好機を演出し、中谷の適時打につなげた。三回にも右前打を放ち、トドメは7-0の四回の第3打席。2死二塁から2番手・中沢の高めの139キロの変化球をとらえ、中前適時打で追加点を奪った。  今季から福留の後を継いで、新主将に就任。フルイニング出場を目標に、オフは年末まで広島のトレーニングジムで汗を流し、体を鍛え続けた。春季キャンプでも一人グラウンドに顔を出し、早出で特守を行い、全体での練習中も誰よりも大きな声を出して盛り上げるなど、左胸についた「C」のマークに重みを感じながらも、その姿勢で主将として引っ張ってきた。  三回から就いた三塁の守備でも難しいバウンドのゴロをきっちりと処理して、堅実な守備も披露。近本に並ぶチームトップとなる2つめの盗塁も成功させ、走攻守すべてのプレーで神宮に駆けつけた虎党をとりこにした。5番に抜てきした矢野監督も「期待通りのバッティングしてくれたんで。こういうので乗っていってほしい」とうなずいた。  「(盗塁や守備は)監督からチャレンジしろといわれているので。明日からまた頑張ります」  背番号「33」がこれからチームを上へと押し上げていく。 (織原祥平)

◆主砲が大覚醒や! 阪神・大山悠輔内野手(24)がヤクルト相手に、先制の3号3ラン&4号ソロと2打席連発。1試合5発の火付け役となり、今季最多の16安打13得点の猛攻の主役を担った。19日からは甲子園で平成最後の巨人戦。この勢いでG撃ちもいくで~!  黄色い熱狂のど真ん中に2本の放物線を架け、覚醒を告げた。待たせた分だけ、足取りも軽い。大熱狂。神宮の猛虎祭りの中心は大山だ。今季初の1試合2発で、チームの今季最多16安打13得点をけん引。うっぷんを晴らす確かな感触を握りしめ、つんざく大声援の中、4番も胸をなで下ろした。  「本当に、勝ててよかったと思います」  一回から牙をむいた。1死から北條が左翼線二塁打、糸井が四球でつなぎ大山だ。カウント2-1から高めに浮いたカットボールを見逃さなかった。振り切った白球は高々に舞い、左中間スタンド最深部に着弾。前日17日に続く今季初の2試合連発。試合の主導権を握った。  三回先頭でも142キロ直球をフルスイングすると、左翼席中段に突き刺さる4号ソロ。左翼・バレンティンが一歩も動かない完璧な当たりに「追加点が取れたので、それが一番よかった」と手応えだ。1試合2発は昨年9月16日のDeNA戦で3発を放って以来。四回にもフェンス直撃の二塁打を放ち、今季初の猛打賞&4打点。ベンチ前で笑顔が弾けた。  矢野監督は開口一番に「まだまだまだまだ、そんな...」。大きな期待をかけるからこそ「まだ」を連呼した。公式戦での1試合5本塁打は2011年7月17日の横浜(現DeNA)戦(横浜)以来8年ぶり。最高の勢いをつけたが、19日の巨人戦(甲子園)の先発は菅野だ。若き大砲に「そういう投手から打つというのが、力をつけたということになってくると思う。明日そういう投手から打ってくれたら」と言葉を送った。  1号こそ11日のDeNA戦(甲子園)でセ・リーグの4番としてはもっとも"遅咲き"だった。フリー打撃から変化球を投じてもらうなど、必死にきっかけを探してきた。桜が散り、緑の葉が広がると同時に虎の主砲もお目覚めだ。  「仲野さん、お願いします!」  まだ肌寒さが残る4月のナイター。試合前の恒例行事がある。練習後、ベンチ裏へ。アンダーシャツを脱ぎ上半身に発汗作用を促すクリームを塗って、体を温めることをルーティンとしている。それを塗る役を担っているのが仲野トレーナーだ。  試合前、通常なら選手がつとめる声出し。くしくも前日17日に続き、円陣の中心で声を張り上げたのが同トレーナーだった。試合後「きょうは特に力を込めて塗ったんだよ」と破顔一笑。心も体も熱くして"2人で"放った放物線は、何より虎党の胸を熱くした。  「当たり前です」  指揮官の評価の意味も、本人が一番理解している。主砲のバットにも心にも火がついたのなら、虎はまだまだいける。 (竹村岳) 大山について阪神・浜中打撃コーチ 「きょうが一番、4番として仕事をしたと(大山)悠輔本人が思っていると思う。4番としてやっていけるという、そんなホームランになったと思う」

◆大山の2発は、いずれもボール気味の球だったが、自分のスイングをした結果生まれたもの。今の大山に最も必要なことだ。この日は2本塁打に加え、左越え二塁打、さらにはファウルもすべて、狙って、待って、振ったものだった。  打者は10打席うち3本ヒットを打てば、一流の目安の3割になる。ということは残り7回失敗できる。問題はその7回がどんな内容だったか。  昨日までの大山は、本塁打や安打を打ったときは、比較的しっかりスイングしていたが、凡退の打席では、「本当にその球を待っていたのか?」と聞きたくなるような、中途半端であったり、窮屈なスイングをしていた。内容のないどん詰まりや凡フライが目立っていた。  もちろん、追い込まれた場合は、どんな形になっても当てにいく必要はあるが、早いカウントでは、ゆとりを持って待てばいい。極端な言い方だが、待っていない球なら、ど真ん中を見送ってもいい。一流投手でも、この日と同じような気持ちで打てるようになれば、自然に「4番らしい」打者になれるだろう。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
1161 0.647
(↓0.041)
-
(-)
125101
(+5)
77
(+13)
22
(+2)
5
(-)
0.252
(-)
3.960
(↓0.51)
2
(-)
巨人
970 0.563
(-)
1.5
(↑0.5)
12777
(-)
67
(-)
25
(-)
5
(-)
0.276
(-)
3.860
(-)
2
(-)
中日
970 0.563
(-)
1.5
(↑0.5)
12772
(-)
52
(-)
16
(-)
13
(-)
0.280
(-)
3.210
(-)
4
(-)
DeNA
980 0.529
(-)
2
(↑0.5)
12672
(-)
65
(-)
19
(-)
4
(-)
0.247
(-)
3.460
(-)
5
(-)
阪神
7101 0.412
(↑0.037)
4
(↑1)
12571
(+13)
92
(+5)
15
(+5)
7
(+1)
0.238
(↑0.011
4.500
(↑0.15)
6
(-)
広島
5120 0.294
(-)
6
(↑0.5)
12652
(-)
92
(-)
15
(-)
5
(-)
0.210
(-)
4.350
(-)