阪神(☆12対8★)DeNA =リーグ戦1回戦(2019.04.09)・阪神甲子園球場=
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DeNA
00034010081422
阪神
02010036X121501
勝利投手:桑原 謙太朗(2勝0敗0S)
敗戦投手:パットン(0勝2敗0S)

本塁打
【DeNA】筒香 嘉智(4号・4回表2ラン),中井 大介(1号・7回表ソロ)
【阪神】梅野 隆太郎(1号・8回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神が逆転勝ち。阪神は5点を追う7回裏、糸井と福留の適時打などで2点差まで迫る。続く8回には、梅野のソロが飛び出すなど打者10人の猛攻で6点を挙げ、試合をひっくり返した。投げては、4番手・桑原が今季2勝目。敗れたDeNAは、投手陣が精彩を欠いた。なお、この試合で阪神・梅野がサイクルヒットを達成した。

◆阪神の本拠地、甲子園開幕戦の始球式を、2019年アサヒビールイメージガールの鈴木望さんが務めた。 ピンク色のユニホームでマウンドに上がると、捕手のミットまでワンバウンド投球。投球後は「(始球式は)2回目です。前回もワンバウンドだったので悔しい」とにこやかに話した。 甲子園球場での投球には「歴史ある球場のマウンドに立ててうれしい。(捕手の)梅野さんからは『ナイス』と言ってもらいました。皆さんにアサヒビールを飲んでもらいたいです」と振り返った。

◆阪神がラッキーな先制点をあげた。2回2死から6番鳥谷、7番中谷が連打で出塁。2死一、二塁の好機で8番梅野がライトに飛球を放つと、DeNA右翼手のソトが捕球体勢に入るもキャッチできず。 走者2人が生還して、打った梅野は三塁へ。左足薬指を骨折しての出場だが、激走で適時三塁打にした。 阪神が甲子園開幕戦でラッキーな先制攻撃を見せ、2点を先取した。

◆阪神オネルキ・ガルシア投手が5回途中9安打7失点でDeNA打線にKOされた。 3回までは無失点だったが、4回に筒香に4号2ランを献上、5回にも筒香に2点打を許すなど計7失点と結果を残せなかった。 ガルシアは、前回登板した2日巨人戦(東京ドーム)も4回7失点でKOされていた。

◆阪神梅野隆太郎捕手(27)が初のサイクル安打を達成した。三塁打、右前打、三ゴロ、本塁打で迎えた8回の第5打席で右中間に適時二塁打を放った。 イニング間には一塁ベンチ前で花束を受け取り、大歓声を浴びた。 「めちゃくちゃうれしいです。サイクル安打は表彰されるまで気がつかなかった」 2日に左足薬指を骨折。テーピングでがちがちに固定して5日の広島戦から4試合連続先発中だ。 2回に2死一、二塁では右翼線付近へフラフラと上がった飛球をソトが落球。先制の2点が入った。梅野は痛む足もかえりみず三塁まで激走した。当初、記録は失策だったが試合中に「三塁打」に変更になった。運にも助けられて、サイクル達成になった。 サイクル安打は18年8月16日に中日平田が達成して以来、史上69人目で通算74度目。阪神では16年7月30日(中日戦)で福留が達成して以来、6人目。

◆阪神梅野隆太郎捕手(27)が初のサイクル安打を達成した。三塁打、右前打、三ゴロ、本塁打で迎えた8回の第5打席で右中間に適時二塁打を放った。 イニング間には一塁ベンチ前で花束を受け取り、大歓声を浴びた。 2日に左足薬指を骨折。テーピングでがちがちに固定して5日の広島戦から4試合連続先発中だ。 2回に2死一、二塁では右翼線付近へフラフラと上がった飛球をソトが落球。先制の2点が入った。梅野は痛む足もかえりみず三塁まで激走した。当初、記録は失策だったが試合中に「三塁打」に変更になった。運にも助けられた。 阪神は8回に6点を入れ、逆転に成功。甲子園での開幕戦勝利を飾った。   梅野のヒーローインタビューは以下の通り。 -甲子園開幕戦、大逆転での勝利、さらにサイクルヒットです 梅野 ムチャクチャうれしいです。 -プロ野球史上69人目、球団では16年の福留選手以来となります。持ってますね 梅野 まさか自分がサイクル安打を達成するとはとは思っていなかったので、すごくうれしいです。 -甲子園第1号初本塁打も 梅野 思い切り行くだけだったんで、それがいい結果になって良かったです。 -本塁打を打って、ベンチに戻ったときの雰囲気は 梅野 逆転する雰囲気がもう出てたんで、全員でこの勝ちを勝ち取ったんじゃないかなと自分は思ってます。 -最終打席はサイクルヒット、狙ってましたか? 梅野 サイクル安打は表彰されるまでまったく気づいてなかったです。 -サードにかなり本気で走ってましたね 梅野 逆に言ったら、試合終わって気づいたんですけど、ナバーロのおかげかなと思います。 -左足の薬指の骨折を押して出場しています。 梅野 自分が帰ってくると決めたことなんで、なんとかチームの勝利にという、そういう逆にプレッシャーを自分で与えて、こういういい結果が出ているので続けて行きたいなと思います。 -甲子園の開幕、ファンの声援は 梅野 最終打席もすごい声援が耳に入ってましたし、それで打てたんじゃないかなと自分では思ってます。 -チームは5割に復帰 梅野 まだまだ前半始まったばかりですし、甲子園1戦目を取れて、みなさんの笑顔をみれて自分もすごくうれしく思っています。最後に、自分は博多出身なんで、「明日も勝つバイ」の「勝つバイ」でみなさん声援、言ってほしいなと思いますんで、ひと言。自分が「明日も」って言うんで、みなさん「勝つバイ!」でお願いします。それではいきます「明日も!」(虎党が「勝つバイ」と大合唱)

◆DeNA筒香嘉智外野手が、5戦連続打点をマークした。2点を追う4回に右中間スタンドへ同点の4号2ラン。 「変化球に対してうまく反応し、自分のスイングで捉えることできました」。同点の5回無死満塁からは中前へ2点適時打を放ち、4打点と1人気を吐いたが、ルーキーの初勝利はお預けとなった。

◆阪神が逆転勝ち。3-8の7回に糸井らの適時打などで3点を返し、8回に梅野の本塁打や失策に乗じるなどして計6点を奪った。梅野はサイクル安打達成。DeNAは新人の上茶谷が6回3失点と粘ったが、救援陣の不調に拙守が絡んだ。

◆お祭り騒ぎの甲子園1勝だ! 阪神矢野燿大監督(50)がシーズン本拠地初戦を白星で飾った。最大5点差をひっくり返す大逆転劇で勝率5割復帰。 開口一番、「いやあ、忘れられない1勝になりそうですね」と矢野スマイルが飛び出した。現役時代も含めて思い出せないほどの逆転劇に指揮官も「なんなんやろ...。もちろん相手のミスとかね、フォアボールっていうのはあると思うんだけど...。うん...。まあちょっと記憶に、記憶にないというか今ちょっとあんまり頭が回ってない」と大興奮だ。 骨折を押して出場を続ける梅野を激賞した。サイクル安打については打席に立つ直前まで気づかず。ベンチで藤井バッテリーコーチから「あと二塁打でサイクル...」という声でハッとした。「よし、行け、行けってベンチでもみんなで言ってたんですけど。見事に打ってね。投打によく頑張ってくれたと思います」と褒めたたえた。記念のウイニングボールは試合終了直後は行方は判明せず。「どっか行っちゃいましたけど、そんな物はいいですし。きょうも試合でタイガースファンのみなさんも喜んでくれたと思いますし、チームにとってもめちゃくちゃ大きな1勝になる」と喜んだ。【桝井聡】

◆待ちに待った甲子園での初戦。ストレスをためていた虎党が、まさかの形で喜びを爆発させた。最大5点差を大逆転。8回にDeNAの勝利の方程式を崩し、相手のミスも重なって一挙6点を奪った。 火をつけたのは途中出場のドラフト1位、近本光司外野手だ。「僕にできることは塁に出ることだけ。そのあとの皆さんがよくつないで『チームで勝った』という感じです」。7回の先頭で代打で登場すると左のエスコバーから中前打。盗塁と敵失で三進して、3得点への足場を作った。糸原、糸井、大山としぶとくつないで、福留の右前適時打が飛び出した。これで2点差だ。 8回は先頭梅野のソロで1点差と詰めた。次打者、近本はパットンから四球を選んだ。「点差は関係ない。自分のやることは変わらない」。一塁塁上から投手に重圧をかけて、打者をアシスト。大山のハーフライナーを二塁柴田が落球(安打)する幸運をはさみ、2死満塁から右翼ソトの走者一掃の落球という、信じられない逆転劇を呼び込んだ。 即戦力ドラ1は先発を外されて2試合目。甲子園に来て反骨心が目立ってきたと平野打撃コーチが証言する。「朝から目の色が違った。もうお客さんじゃない。ようやくプロらしくなってきたというかね」と目を細めた。ホームに帰ってきた虎に強烈なフォローの風が吹いた。【柏原誠】

◆三塁側ベンチの誰もが、思わず「アッ」となった。DeNA2点リードで始まった阪神8回裏の攻撃。気づけば、1点差まで詰め寄られ、2死満塁の場面で福留を迎えていた。 打球は右中間への飛球。平凡なフライだと誰もが思ったが、まさかだった。右翼手のネフタリ・ソトが落球し、走者一掃となった。この回一挙に6点を許し、甲子園の虎党を盛り上げる結果に...。つかみかけたルーキー上茶谷大河投手の初勝利も消えた。試合後、アレックス・ラミレス監督は「私も現役時代に守ったことはあるが、甲子園は一番守備が難しい」。ソトをかばったが、手痛い1敗となった。 ソトは2回2死一、二塁の守備でも右翼線へ上がった梅野の飛球を落球した。一時はグラブに当てていたこともあり、プレー直後には「失策」と判断されていた。結果的に「2点適時三塁打」と訂正されたが、大事な場面での守備でルーキーを援護できなかった。 昨季は1度も回またぎを経験していない山崎を8回途中に投入するなど、ベンチは必死に勝利を目指したが、逆転負けを喫した。選手の多くが肩を落とし、移動用のバスに乗り込んだ。即座にリベンジするしかない。【栗田尚樹】

◆甲子園開幕戦を視察した阪神藤原崇起オーナーが大逆転勝利に興奮を隠せなかった。 「勝ってよかったというより、エキサイティングでよかった」と満面の笑み。オーナーに就任して最初の本拠地ゲームはハラハラドキドキの劇場野球。ファンの合唱が響き渡る六甲おろしをバックに球場を引き揚げた。

◆虎が甲子園開幕を歴史的な勝利で飾った。梅野隆太郎捕手(27)が、史上69人、74度目のサイクル安打の大暴れ。最大5点のビハインドをはね返す逆転勝利に導いた。三塁打、右前打、三ゴロで迎えた8回に、2度打席が巡ってきて本塁打&右中間二塁打。2日に左足薬指を骨折。まだ完治していない"骨折男"のサイクル安打というミラクル劇で、虎が勝率5割に戻した。8回、痛みをこらえて必死に踏ん張った梅野に、2度目の打席が回ってきた。2死一、二塁。チームは最大5点のビハインドをはね返していた。山崎の2球目を捉えた打球は右中間へ。適時二塁打となった。史上69人目、74度目のサイクル安打。本拠開幕の舞台で、左足薬指を骨折したまま出場する扇の要が輝いた。 「(サイクル安打は)全く気がつかなかった。まさか自分が達成するとは思っていなかったので。花束を持っている人もいて、ベンチがざわついているなと」 ミラクル大逆転劇への道も切り開くサイクル安打だった。2回の先制点は、梅野の右翼線付近への飛球をソトが捕球できず。梅野は痛む足もかえりみず、三塁まで激走していた。記録は当初、失策だったが「三塁打」に変更される一幕で、快挙への道を踏み出した。4回には同点に追いつく好機を広げる右前打。そして、2点を追う8回の第1打席で「思い切っていくだけでした」と、左中間スタンドに1号ソロをたたき込んだ。 8回の1発はあきらめない思いを体現したもの。傷だらけの体でも、心は折れない男だ。2日に左足薬指を骨折。テーピングでガチガチに固定してスパイクを履き、試合に臨んでいる。右手首を負傷した昨季終盤、実はその故障は「疲労骨折」だった。だが、秋季キャンプにも参加。「(プレーを)やりながら治したい」とグラウンドに立ち続けていた。選手会長として、捕手として、虎を背負って守り続ける気概の表れだった。 左足薬指骨折が判明後は4試合で17打数10安打、打率5割8分8厘の活躍だ。何より巨人戦で3連戦3連敗を食らったチームを、3勝1敗と立て直した。もちろん、打席では思うように踏ん張りがきかないが「力が伝わらない。でも力みがあったけど、その物足りなさがちょうどマッチしている」という。守っては「梅ちゃんバズーカ」で2度の盗塁阻止。矢野監督も「骨折しながら、ほんとに自分が出るんだという気持ちでやってくれている」とたたえた。 傷だらけの体で感じる勝利の味。出場を続ける男が、虎浮上のけん引役だ。絶対に骨折り損にはしない。【真柴健】   ▼梅野が18年8月16日平田(中日)以来プロ野球69人、74度目のサイクル安打を達成した。阪神では48、50年藤村富、49年金田、79年真弓、03年桧山、16年福留に次いで6人、7度目。梅野は8番捕手で出場。捕手のサイクル安打は50年門前(大洋)89年田村(日本ハム)04年細川(西武)に次いで4人目となり、8番打者は89年田村、04年細川に次いで3人目。セ・リーグでは初めて8番打者がサイクル安打を記録した。ちなみに、9番打者のサイクル安打はまだいない。

◆8回2死満塁で走者一掃タイムリーエラーを呼び込んだのが阪神福留孝介外野手。 ライトへの飛球をソトが落球し、大逆転が完成。甲子園は大興奮に包まれた。敵失について問われると「それも野球のひとつ。きょうは僕のことよりも梅野のサイクルを書いてやってください」と話した。

◆阪神4番大山悠輔内野手が意地で神がかり的な逆転劇につなげた。 1点差に詰め寄り、8回2死二塁とした場面でDeNAベンチは3番糸井を敬遠。ここで二塁へ放ったハーフライナーが内野安打となり、福留につないだ。「結果的に勝ててよかったと思います。決めたいと思っていましたが、つなげてよかったです」と話した。

◆阪神が8回に、DeNA右翼手ソトの落球による適時失策で3点を奪い、逆転勝ちした。 阪神が甲子園でのシーズン初戦で、相手の適時失策で決勝点を挙げたケースは、89年4月11日の巨人戦でもあった。このときは2回に1点を先制されたが、4回に遊撃手勝呂の適時失策で同点に追い付き、さらに5回1死一、二塁から投手池田の送りバントを、投手槙原が三塁へ悪送球し決勝点を挙げている。

◆阪神は甲子園開幕となる9日のDeNA戦(甲子園)で二回、梅野隆太郎捕手(27)の2点三塁打で先制に成功した。  「打ったのはストレート。2死から回ってきた先制のチャンスだったので、ガルシアのためにもランナーをかえすことができてよかったです。まだ序盤なので、引き続きしっかりとガルシアをリードできるように頑張ります」  二回2死から鳥谷の左前打、中谷の左前打で一、二塁の好機。打席には左足薬指を骨折しながら、この日も「8番・捕手」で先発出場した梅野。カウント2-2からの6球目を振り抜いた打球は、高々と上がって風に流されながら右翼線へポトリ。適時三塁打となり、2点を先制した。

◆DeNAは9日から公式戦で今季初の阪神との3連戦に臨んだ。  昨年は8勝17敗と大きく負け越した相手とあって、敵地とはいえ最初のカードが肝心となる。「昨年だけでなく、過去3年間やられていますね」。試合前のラミレス監督は苦笑した。確かに2016年の就任以来、阪神には9勝15敗、17年も10勝14敗と苦手としている。  「阪神は甲子園だと、ファンの声援もあってすごく強い。甲子園での対戦成績は横浜スタジアムで戦うときよりも良いけど、阪神には分が悪いので、この3試合でしっかり勝つことが重要だ」。ラミレス監督としては今季初顔合わせとなる3連戦で、これまでとは違う印象を植え付けたい。3日間の結果に注目だ。

◆DeNA・筒香嘉智外野手(27)が9日、阪神戦(甲子園)の四回に4号2ランを放った。  「変化球に対してうまく反応し、自分のスイングで捉えることできました。同点に追いつくことができうれしいです」  0-2の四回一死、ロペスの左前打で一塁に走者を置き、迎えた第2打席。阪神・ガルシアの外角低めへの変化球をすくいあげると、打球は甲子園の深い右中間フェンスを越えた。  プロ初勝利を目指して先発を任されている上茶谷(東洋大)を援護する一撃で、この回はさらに大和の犠飛も生まれ、3-2と逆転に成功した。

◆今季からDeNAに加入した中井大介内野手(29)が9日、阪神戦(甲子園)に「6番・二塁」でスタメン出場した。四回一死一塁の第2打席で右翼線へポトリと落ちる二塁打。移籍後、5打席目にして初安打が飛び出した。  五回には左前打。さらに七回2死、阪神・島本から中越えの移籍後初アーチを放った。「打ったのはスライダーです。手応えはよかったですが、まさか入るとは思っていなかったので『センターの頭を越えてくれー!』と、思いながら走りました」と興奮気味に話した。

◆阪神のオネルキ・ガルシア投手(29)が9日、甲子園でのDeNA戦に先発し、4回0/3を9安打7失点。相手打線につかまり、移籍後初勝利とはならなかった。  二回に2点の援護をもらい、自身も三回までは順調。しかし打順が2巡目に入った四回だった。1死からロペスに左前打を浴びると、続く筒香にはカウント1-1からの3球目、外角低めへ投じた129キロのスライダーを右翼席へ運ばれる同点2ランを浴びた。さらに宮崎、中井に続けて右前打。大和には勝ち越しの右犠飛を許し、厳しい表情でベンチへ引き揚げた。  それでも、見せ場もつくった。逆転を許した直後の攻撃では、バットでリベンジ。四回2死一、三塁で打席に入ると、詰まった当たりに全力疾走。打球は一塁手のミットをはじき、同点の内野安打となった。球場を埋め尽くした虎党からのガルシアコールに、控えめに帽子を取って応えた。

◆甲子園開幕で大逆転! 阪神は9日のDeNA戦(甲子園)で、一時3-8とリードされたが、八回に一挙6点の猛攻で逆転に成功。梅野隆太郎捕手(27)が、史上69人目(74度目)、球団では2016年7月30日の中日戦(甲子園)で福留孝介外野手が記録して以来3年ぶりとなるサイクル安打を達成。チームは2連勝で5割復帰した。  「めちゃくちゃうれしいです。自分がサイクル安打を達成する日がくるなんて思う日もなかったんでうれしいです。(プレー後に)表彰されるまでまったく気づいていなかったです」  七回に糸井、福留の適時打などで3点を返し、2点を追う八回。先頭の梅野が左中間に1号ソロ。二死満塁から福留の右飛をソトが落球。走者一掃で3点が入り、10-8と逆転した。ナバーロの適時打で1点を追加して、なお2死一、二塁から、梅野の打球は右中間を破る適時二塁打。12点目をたたき出す一打で、偉業を成し遂げた。

◆阪神・梅野隆太郎捕手が9日のDeNA戦(甲子園)で自身初のサイクル安打を達成した。試合後のヒーローインタビューでは声を弾ませた。--甲子園開幕戦は大逆転での勝利、さらにサイクルヒット  「めちゃくちゃうれしいです」  --サイクル安打はプロ野球69人目、阪神では2016年の福留以来  「自分がサイクル安打を達成する日がくるなんて思う日もなかったんでうれしいです」  --八回先頭打者で甲子園1号  「思い切りいくだけだったので、それが入ってよかったです」  --ベンチの雰囲気は  「逆転する雰囲気が出ていたんで、全員でこの勝ちを勝ち取ったと思います」  --最終打席、二塁打が出ればサイクル。気づいていましたか  「(チアリーダーが花束を持ってきて)表彰されるまでまったく気づいていなかったです。逆に試合終わって、気づいたんですけど、ナバーロのおかげ(二塁を蹴って三塁を目指していたが、ナバーロが本塁憤死で二塁打になった)かなと思います」  --左足の薬指を骨折しながらのプレー  「自分が(チームに)帰ってくると決めたことなんで、なんとかチームの勝利に...と自分にプレッシャーをかけ続けているんで、これからもこういういい結果につなげていきたいと思います。(八回の)最終打席も(ファンの)声援が耳に入っていましたし、それで打てたと思っています。ありがとうございます」  --連勝で5割復帰  「まだまだ前半戦が始まったばかりですし、甲子園で1戦目をとれてみなさんの笑顔をみれてよかったです。(マイクを握って)自分は博多出身なんで、『勝つバイ』でお願いします。自分が『あしたも...』というのでみなさん、『勝つバイ』と言ってください。それでは『あしたも、勝つバイ!!』」

◆阪神・桑原謙太朗投手(33)が、9日のDeNA戦(甲子園)で今季2勝目を挙げた。  八回から4番手で登板し、1死から代打・楠本に右前打を浴びたが、続く神里を空振り三振。その間に楠本の二盗を梅野が刺し、三振ゲッツーで無失点で切り抜けた。  「梅野に助けてもらいました。ランナーを出してしまったことは反省。野手に感謝したいです」  その裏に打線が一挙6点を挙げて逆転。開幕戦となった3月29日のヤクルト戦(京セラ)以来の勝ち星が転がり込んできた。

◆DeNAは5点差を守れなかった。好投した上茶谷からバトンを受けた救援陣が七回に3失点。八回に1点差に迫られ、2死満塁で抑えの山崎を前倒しで投入したが、福留の右飛をソトが落球して3者が生還した。  ソトは二回にも梅野の飛球を捕り損ね、2点三塁打としていた。ラミレス監督は守備固めを送らなかったのは、九回の攻撃がソトから始まるためと弁明。「甲子園は外国人選手にとって守るのが一番難しい。僕自身も現役時代にミスをした」とかばった。

◆DeNAのドラフト1位ルーキー上茶谷のプロ初白星はまたも持ち越しとなった。不運な当たりに苦しみながらも6回3失点と粘って勝利投手の権利を得た。しかし2日のプロ初登板に続き、救援陣の不調で白星をつかみ損ねた。  京都学園高時代には遠かった甲子園のマウンドで、阪神ファンの大歓声にも慌てず、制球力を発揮した。3失点したが右翼手ソトや一塁手ロペスの拙守で招いたところが大きい。それでも「2死から四球を与えたり、修正を試みても高めに浮いてしまった」と反省点ばかりを口にした。

◆DeNAの筒香が勝負強い打撃でルーキー上茶谷を援護した。四回はガルシアの低めの変化球をすくい上げて右中間へ同点2ラン。5試合連続で打点をマークすると、さらに3-3の五回無死満塁からは「自分のバットでかえす気持ちで打席に入った」と2点打を中前に打ち返した。  昨季打率1割台、本塁打なしと苦手にした甲子園で、今季は初戦から克服。チームは大逆転を許したが、主砲の頼もしさが光った。

◆阪神・矢野燿大監督は9日、本拠地甲子園での開幕戦となったDeNA戦を大逆転で飾り、興奮を隠せなかった。左足薬指を骨折しながらプレーする梅野のサイクル安打などで、最大5点差を跳ね返す粘りを見せ、甲子園での初勝利。  「いやあ、忘れられない1勝になりそうですね、ハイ」と顔を上気させた。  追い上げた七、八回の心境については「もう流れが来ていた。相手のミスはありましたけど、選手が本当に諦めないで、やってくれた結果だと思うんで。ガッツポーズも何回もしちゃいました」と話した。  甲子園初勝利のウイニングボールは「どっか行っちゃいましたけど、そんなモノはいいですし、きょうも試合でタイガースファンのみなさんも喜んでくれたと思いますしね、本当にチームにとってもめちゃくちゃ大きな1勝になると思うので、うん、あの...最高です」と声をうわずらせた。  梅野のサイクル安打については「僕もなかなかそこまで考えてる余裕はなかったんですけど。藤井コーチが『次ツーベース打ったらサイクルだ』って教えてくれたんでね。『よーし、行け行け!』ってベンチでもみんなで言ってたんですけど。本当に見事に打ってね。投打によく頑張ってくれたと思います。骨折しながら、自分が出るんだという意識の中で、しっかりやってくれている。頼もしく思ってますし、これからもやってくれると思います」などと話した。

◆DeNAのドラフト1位・上茶谷大河投手(22)=東洋大=は、9日の阪神戦(甲子園)で2度目の先発。6回3失点と試合を作り、7-3とリードの状況でマウンドを降りたが、七、八回に救援陣がつかまり、チームは逆転負けを喫した。上茶谷は2試合連続で一度手にした勝利投手の権利が消滅してしまった。  --七回はマウンドまでいったが、代打・近本が告げられて降板した  「三浦コーチからは、状況次第で代わるかもしれないけど、気持ちはつくっておけと言われていました」  --投球内容は  「コンディションはよかったし、球もよかったのですが、何というか、思ったところに球がいかなかったです」  --初の甲子園は  「試合前はスタンドの阪神ファンの方も越えをかけてくださったのですが、(試合が始まり)マウンドに立ったら、9・5割くらいが阪神ファンで...すごいな、と。びっくりしました」  --序盤の失点は2死から  「(二回は)連打されて粘られてから適時打を打たれたり、(四回は)2アウトからカウント3-0にして四球に。悪いリズムにしてしまった」  --終盤に逆転された展開をみて  「(甲子園は)1本であれだけ盛り上がる。ベンチからみていて、飲み込まれそうな雰囲気でした」

◆浪花に春を告げる「造幣局の桜の通り抜け」がこの日から始まった。  だげど関西の気温は"花冷え"でちょっと寒気もあった。  「なんとなく...落ち着かない気分ですョ」と当番デスク野下俊晴は言う。昼の会議前に彼の感性にどこかひっかかるものがあったのだろうか。よもやこんな試合になるなんて...。  ま、なんてったって「甲子園の開幕だろ。ムードもノッてきてるし勝つんじゃないか...」と声をかけてみたら、野下デスクの肩はビクッともしない。死ぬほど長くトラ番をやってきた俺としたことが、たしかに"意味のないなぐさめ"を口走ってしまったか...。  だけど、まずガルシアが中途半端な俺の腹を見透かしたようなピッチングで波乱含みだ。  「試合前の空気はよかったんですョ。明らかに西投手の完封勝ち(7日の広島戦)からガラッと空気感は変化していたんです。それに昼頃に鳴尾浜の2軍戦を取材していた織原祥平記者から『矢野監督が来られましたッ』という一報が入り、他社にもその連絡が届き、各社一斉に甲子園から鳴尾浜に大移動となったんですョ」とサブキャップ長友孝輔。球団谷本修副社長も顔をみせて、そこにドドッとトラ番軍団が駆けつけたので、平田勝男2軍監督がニコニコしながら驚いていた。  織原によると「2軍は鳴尾浜では6連勝中だったんです。それが逆に、初黒星がつきまして...」と苦笑い。  すると甲子園からデスク阿部祐亮が電話をかけてきた。評論家担当のデスク堀啓介と運動部長大澤謙一郎で、甲子園開幕をお祝いしようと、会社を抜け出してきたわけだ。ウチはなんでこんなに野次馬みたいなやつらが多いんだ...。とにもかくにも試合前、揚塩健治球団社長、谷本副社長、清水奨営業部長ら球団幹部のみなさんにごあいさつ。大澤は思わず「いや開幕3カード、昨年のAクラス相手に4勝5敗なら上出来ですよ」と本音をポロッ。慌てて「今年は甲子園で勝ちますよ。ここにいる優秀なデスクに仕事をさせて、僕は全力で応援させていただきます」と続けたら、みなさんズッコケそうになっていた。大澤と堀がタイガースのネックストラップをつけて記者証を下げていたが、谷本副社長は阿部だけがサッカーJ1C大阪のストラップだったのをめざとくみつけ「タイガースじゃないんですね」と厳しい指摘。大変失礼しました。部長の責任で身も心もタイガース仕様に変身させます。  そこに三木建次からも「甲子園にいます」だと。おいおいビヤ樽は中日担当じゃないのか。それが...ムニャムニャとビヤ樽。阪神の甲子園開幕にかり出されたらしい。ウチのやつらはドサクサにまぎれてすぐ甲子園に集いたがる悪い習性がございます。  で、そんなてんやわんやで始まったDeNA戦はみなはれ...スイッと二回に3連打で2点先制デス。それも梅ちゃんの初めは右翼手のエラー? が公式記録の訂正で三塁打に! 四、五回にすぐガルシアが乱れて...アワワの逆転。七回表で3-8と5点差。そこからの阪神の粘り...すごい...。その後、梅野のパンチ力。近本の盗塁、上本の絶妙のバント。糸井が歩き大山の打球は内野安打! 魅入られたようにDeNAの計算は狂った。  そして八回裏に梅野の本塁打から始まった狂喜乱舞の逆転劇は現実となったのだ。梅野は「サイクル安打達成」で「ブチ破れ! 梅野がやる」というドラマまで...。紙面総括の整理部長政道高史は「どうすんねん、この展開、興奮しすぎて頭が回らん」と絶句。こんなことって...あるんだなぁ!

◆この日のDeNA戦は、平成最後の甲子園開幕戦だった。阪神は平成の甲子園開幕戦で16勝14敗1分け。勝ち越して時代を終えることになった。近5年は2勝3敗と負け越していたが、それも盛り返して終了した。DeNA(横浜を含む)との対戦は5度あり、2勝2敗1分け。もっとも多く対戦したのは巨人と中日の9試合で、ともに4勝5敗だった。12得点を奪って勝ったのは平成21(2009)年の11得点(広島戦、○11-10)を上回り最多となった。

◆これだから死んでもやめられるかいな、阪神ファン!!  そ~か、そ~だったのか...昨年、聖地甲子園で球団ワーストの21勝39敗(2分け)という屈辱は、2019年甲子園開幕での大逆転勝利と梅ちゃんのサイクル安打達成という偉業で虎党を酔わせるための長い長い前フリだったのね。アリガトウ...って長すぎるわ!!  ダメ虎とさげすまれる中で常に明るく、例え足の指を骨折していても全力プレーを続けてきた梅野隆太郎への、野球の神様からのごほうびだと俺は思ったのだ!!  しかし、しかし、開幕8試合目まで3点以下の虎打線が直近の2試合は9点と12点ってど~なってんの? まさか○エール被告から元気の出る白い...ないな~い!! それは犯罪だから皆さん絶対にやめてくださ~い!!  これで勝率は5割復帰だけど、俺は臆病な阪神ファンだから、今季、1番に入った打者が計45打席でわずか2安打(3四球)というのが気になって...気になって...。  ど~せ駄目なら将来への宝くじと考え、1番は近本でいったらんかい!!

◆(TVインタビュー)  --甲子園での初勝利  矢野監督 「いや、忘れられない1勝になりそうですね、ハイ」  --甲子園初勝利のウイニングボールは  「どっか行っちゃいましたけど、そんなモノはいいですし、きょうも試合でタイガースファンも喜んでくれたと思いますし、本当にチームにとってめちゃくちゃ大きな1勝だと思うので、うん、あの...最高です」  --勝率5割復帰  「5割復帰できたことも大きいし、週の初め、DeNAとの(今季)初対戦、(今季初の)甲子園。いろんなことを含んだ大きな1勝になったと思うんでね。いいきっかけに、乗っていきたいです」  (囲み取材)  --甲子園の雰囲気はやはり特別  「いや~もう、すごかったね。雰囲気を楽しむまで俺、余裕なかったけど。常々言ってるように、タイガースファンが喜ぶような試合ができたというのは、本当に選手たちを頼もしく思います」

◆阪神は9日、甲子園開幕戦でDeNA相手に終盤に5点差を覆し、12-8で劇的逆転勝利。  阪神が5点差以上を覆して勝つのは2018年8月26日の巨人戦(東京ドーム、○9-8)以来。六回終了時点で3-8とリードを許していたが、八回に6点を奪って逆転した  阪神の1試合15安打12得点は昨年9月22日の広島戦(マツダ、○13-4)で18安打13得点して以来

◆ナバーロが代打でダメ押し打を放ってみせた。八回2死一、二塁で左前へ適時打。11-8とリードを広げた。続く梅野の右中間への適時二塁打で本塁生還を目指したが、タッチアウトに。結果としてナバーロの適時打で打席が回ってきた梅野がサイクル安打を達成。梅野は「試合終わって気づいたんですけど、ナバーロのおかげかなと思います」と笑顔で感謝していた。

◆九回に登板したドリスが、2番ソトからの上位打線を三者凡退締め。「いい試合でしたし、そこに協力できてよかったです」とうなずいた。今季は登板4試合で無安打無失点と安定した投球を続けている。4点リードだったためセーブはつかなかったが、来日80セーブまではあと「1」。「ファンの方にとっていい試合だったと思いますし、こういう試合を増やしていきたいです」と次戦を見据えた。

◆筒香が4打点をあげ、シーズン13打点でリーグトップに立った。四回に4号2ラン。5試合連続で打点をマークすると、五回無死満塁からは2点打を放ち「素直に打ち返すことができました。前の打者がチャンスを作ってくれたので、自分のバットでかえす気持ちで打席に入りました」。勝負強さが光ったが、逆転負けに足早に帰りのバスに乗り込んだ。

◆先発したガルシアは4回0/3を9安打7失点と試合をつくれず。前回登板2日の巨人戦(東京ドーム)に続いて来日ワースト失点で、虎1勝目は挙げられなかった。3-3の五回、神里、ソトに連打を浴び、ロペスに四球を与えて無死満塁のピンチを背負うと、筒香に中前へ2点打を許した。矢野監督は「シーズンが始まってから2試合、良くないのが続いてる。ちょっと心配なところがあるんで」と指摘した。

◆阪神の藤原崇起オーナー(67)=電鉄本社会長=が生観戦。甲子園開幕での劇的な逆転勝利を見届けた。試合後は「勝ってよかった! というより、エキサイティングでよかった!」と興奮気味。満面の笑顔で球場を後にした。

◆八回に登板した桑原が今季2勝目。八回1死から代打楠本に右前打を浴びたが、続く神里を空振り三振に。その間に楠本の二盗を梅野が刺し、三振ゲッツーで無失点で切り抜けた。「梅野に助けてもらいました。ランナーを出してしまったことは反省。野手に感謝したいです」。その裏に打線が一挙6点で逆転し、3月29日の開幕ヤクルト戦(京セラ)以来の勝ち星が転がり込んできた。

◆阪神は9日、甲子園開幕戦でDeNA相手に終盤に5点差を覆し、12-8で劇的逆転勝利。梅野隆太郎捕手(27)がサイクル安打の大活躍でチームをけん引した。  梅野が自身初のサイクル安打。昨年8月16日の中日・平田良介(対DeNA)以来、史上69人目(74度目)。阪神では2016年7月30日の福留孝介(対中日)以来3年ぶり6人目(7度目)。捕手で出場した選手の達成は、04年4月4日の西武・細川亨(対日本ハム)以来15年ぶりで、阪神では初。セ・リーグの捕手では大洋・門前真佐人(対中日)が1950年にマークして以来

◆阪神・矢野監督、執念の継投策ズバリ!勝ちパターン・桑原をビハインドで投入 八回にチームが逆転し、矢野監督(右)は両手を突き上げて喜んだ(撮影・宮澤宗士郎)【拡大】  (セ・リーグ、阪神12-8DeNA、1回戦、阪神1勝、9日、甲子園)矢野監督はこぶしを突き上げ、ベンチを飛び出して叫んだ。失いかけたゲームを執念の継投で奪い返した。九回は4点差でも守護神・ドリスで締めくくった。  「ドリスも投げたい気持ちを持ってくれてたと思うし。4点差であればね、全然、ドリスでいいんじゃないかなっていうことで、いきました」  12-8の九回2死。剛腕が筒香を空振り三振に斬って完結。指揮官が振った決死のタクトに全員が全力でついていった。  七回裏に3点を奪い、この時点で6-8。ここで流れを奪い返そうと、桑原を投入した。勝ちパターンを担う右腕の、今季初のビハインドでの登板。桑原は期待に応え、八回を3人で0封。打線も、その裏の攻撃で一挙6点を奪ってみせた。  矢野監督はテレビのインタビューを終えても興奮が冷めず。現役時代を含めても、こんな試合は経験がないのでは? と問われ「ないよな? なんなんやろ...。まあちょっと記憶にないというか今、あんまり頭が回ってない」と苦笑いした。  昨季は本拠地で21勝39敗2分けと歴史的な大苦戦。それだけに、甲子園開幕戦はモノにしたかった。「甲子園で勝ててないという去年のことも、もちろん選手だってどこかでは分かっている。もちろん俺らは分かっているし。払しょくしたい、変えたいって思って臨んでいる」  執念でつかんだ、忘れられない甲子園1勝目になった。 (長友孝輔)

◆ルーキーの一打が逆転劇の起点となった。3-8の七回、代打で登場したD1位・近本光司外野手(大阪ガス)がエスコバーの直球を中前へ。ここから反撃が始まった。  「点差に関係なく、自分のやるべきことをしっかりやろうと。先頭だったので、塁に出ることしか考えていなかった」  甲子園での公式戦初打席初安打は、3日の巨人戦(東京ドーム)の第4打席以来12打席ぶりの快音だった。1死後、二盗に成功し、伊藤光の二塁悪送球で三進。糸井の適時打で4点目のホームを踏んだ。5点ビハインドで盗塁? 相手にしてみれば想定外の盗塁だっただろうが、自慢の脚力でマウンドのエスコバーに重圧をかけた。  そして八回だ。梅野の一発で1点差。甲子園のスタンドが歓声に揺れる中、近本はストレートの四球を選ぶと、パットンは「近本の足」に神経過敏になっていた。  「(七回に)盗塁をしたことで、(八回に)四球で出た後、相手がすごく警戒してくれた。上本さんがバントをしやすいようにつながったり、(攻撃に)いい影響を与えられたと思う」と自画自賛したルーキーを、矢野監督も「走塁も含めてね、よく(ヒットで)出てくれました」とたたえることも忘れなかった。  開幕から8試合連続でスタメン出場したが、結果を残せず、打率は1割台に低迷。7日の広島戦(マツダ)に続き、2試合続けてのベンチスタートとなったが、満員に膨れあがった甲子園で存在感を示した。  「打線がつながって、逆転して、いい勝ちだった」と近本。その表情は、自信に満ちあふれていた。 (三木建次) 代打で安打を放ったD1位・近本について阪神・浜中打撃コーチ 「先頭で出てくれて、チームも勢いづいた」

◆阪神は9日、甲子園開幕戦でDeNA相手に終盤に5点差を覆し、12-8で劇的逆転勝利。梅野隆太郎捕手(27)がサイクル安打の大活躍でチームをけん引した。  この日、お立ち台に上がったのはサイクル安打の阪神・梅野隆太郎捕手(27)。最後にはファンと一緒に「勝つばい!」の新パフォーマンスも披露した。大活躍の梅ちゃんトークを、どうぞ!  (TVインタビュー)  --サイクル安打は史上69人目。八回の2打席目に行くときに、あとは二塁打と気づいていた?  梅野 「全く気づいていなくて。とにかく周りの声援がすごかったことが、打席に入った時に感じただけでした」  --最後のパフォーマンスは矢野監督のファンを盛り上げようという気持ちを受け取って  「そうですね。ヒーローインタビューで何か一体感というかね、やっぱり勝ったときにしかできないことって、選手はあると思う。照れくさい気持ちがありながらも、ああやってすごい一体感が出せるのが自分のね、持ち帰ってもらうものだなと思ったので」  --いつ考えた  「試合が終わるときに、何かないかなって自分で考えて。面白いことはなかなかできないので、自分が博多の出身なので、何かみんなに喜んでもらえたらなっていうことで、ゲームが終わって考えてました」  --アドリブだった  「アドリブですね、はい」

◆甲子園の三塁ベンチ裏の関係者通路は静まり返っていた。想定外のミスが絡んだ敗戦。アレックス・ラミレス監督(44)の表情は険しかった。  「人間、誰にでもミスはある。それが一番、悪い場面で出てしまった。甲子園は守るのが一番、難しいスタジアムだ」  8-7の八回2死満塁から守護神・山崎を前倒しで投入。だが福留の飛球を右翼手・ソトが落球し、全走者が生還。試合をひっくり返された。  先発のD1位・上茶谷(東洋大)は6回3失点と粘って勝利投手の権利を得たが、試合前の時点で12球団で唯一、無失策だった野手陣が痛恨のエラー。7回1失点だった2日のプロ初登板(対ヤクルト)に続いて白星をつかみ損ねた。  「(甲子園は)1本であれだけ盛り上がる。ベンチから見ていてのみ込まれそうな雰囲気でした」と上茶谷。京都学園高時代は縁のなかった聖地で、野球の怖さを目の当たりにした。 (湯浅大) 失策や暴投が絡んだ失点が響いての敗戦にDeNA・青山ヘッドコーチ 「らしくないプレーが、あまりに続いた。あす、どう戦うかが大事」 上茶谷についてDeNA・三浦投手コーチ 「2試合続けてナイスピッチングをしている。早く勝たせてあげたい」

◆ここぞで虎を窮地から救ってきた福留に、野球の神様もほほえんだ。甲子園の夜空へ高々と打ち上げた打球を、右翼・ソトが捕球ミス。一気に3得点で逆転に成功した。  「それ(失策)も、野球の一つでしょうし」  梅野のソロ本塁打で1点差とした八回。四球や大山の内野安打などで2死満塁。ここで打席に福留だ。守護神・山崎の真ん中に入った135キロを打ち上げ、万事休す...と思われたそのとき。右中間に高々と上がった打球を追った右翼手・ソトは両手で大事に捕球しようとしたが、ボールは手からスルリと落ち、芝にポトリ。逆転を呼び込む走者一掃のタイムリーエラーとなって、二塁上で思わず苦笑いした。  当事者のソトは昨季、虎を苦しませた難敵だ。阪神戦では打率・354(82打数29安打)、12本塁打。9月以降に5本塁打を許し、本塁打王のタイトル獲得に"貢献"してしまった。同時にチームの順位も最下位に...。苦渋をなめさせられた相手に少しばかり悔しさを晴らす逆転劇を見せつけて、甲子園のボルテージも最高潮。ナバーロのダメ押し打も生まれた。  何気ないしぐさや行動が、チームの精神的な支えとなっている。六回の守備につく前、ベンチ前でキャッチボールをしていた守屋のお尻をポンポンとたたき、背中を押した。キャンプでも特打の打撃投手を務めたり、投手に自ら駆け寄ってアドバイスするなど、糸原に主将を託した今でも、チームの中心であることは変わらない。  甲子園開幕戦での白星スタートに、福留は「それ(勝ち)が一番じゃないでしょうか」と笑みをこぼした。そして「きょうは僕のことじゃなくて、梅野のサイクル(安打)を書いてやって」とヒーローの選手会長を立てた。勝負強い背番号「8」が、これからも虎を支え続ける。 (織原祥平)

◆強いやん! 猛虎やん! 阪神は9日、甲子園開幕戦でDeNA相手に終盤に5点差を覆し、12-8で劇的逆転勝利。梅野隆太郎捕手(27)がサイクル安打の大活躍でチームをけん引した。これで5勝5敗の五分に戻して、3位に浮上。何より去年は大苦戦した聖地でいきなり勝ったのが、ホンマうれしいわ~! ありがとう、梅ちゃん!!  骨折をおしてチームへの献身を貫いた先に、栄光の瞬間が待っていた。梅野が満面の笑みで花束を掲げる。超満員の甲子園で初のサイクル安打を達成。大逆転&甲子園開幕星を偉業とともに成し遂げ、声を張り上げた。  「まさか自分がサイクル安打を達成する日が来るなんて、思う日もなかったので、すごくうれしい。すごい声援が耳に入っていましたし、本当にそれで打てたんじゃないかなと思っています」  お立ち台で祝福の大声援を全身で浴びた。5点差をつけられても、終盤の猛攻で逆襲。その中心に梅野がいた。自身の1号ソロあり、福留の"逆転執念打"ありの猛攻で打者一巡し、ひっくり返した11-8の八回、2度目の打席。山崎の外角133キロカットボールを鮮やかに右中間へ弾き返し、適時二塁打とした。  二回には右翼への飛球をソトが取り損ねて一度は「E」ランプがともり、適時失策での先制。だが、三回に記録が訂正されて2点三塁打となった。四回の第2打席は右前打を放ち、その後の1発と適時二塁打につながった。4安打4打点で打率・433。まだ10試合が終わった時点ながら、首位打者に躍り出た。  「サイクル安打は表彰されるまで全く気づいていなかった」。確かに最後は二塁を蹴り、三塁へ全力疾走。ナバーロが本塁憤死して結果は二塁打となった。常に全力の選手会長に、野球の神様がほほえんだに違いない。  虎のサイクル男は、実は"サイク"リング男でもある。オフは米国のブランドである約30万円の自転車で自宅から自主トレを行う球場施設まで汗を流したこともある。今年3月には甲子園警察署が作成した自転車安全利用啓発動画に無償で出演し、感謝状を贈られた。ロードレースで用いるような本格的な逸品を颯爽と操るように、両足を操って塁を駆け抜けた。  もちろん、まだ左足薬指の骨折は完治していない。「痛みはありますけど、これで休んでいられないと思って(チームに)帰ってきたので」と言い訳にはしない。むしろ「いい意味で力が抜けてヘッドが走って、ボールを引きつけられているのかな」と好調なバットをけがの功名にするところも頼もしい。矢野監督も「本当に見事に打ってね。頼もしい。これからもやってくれると思います」と目を細めた。  六、八回と2度、盗塁も刺し、攻守で貢献。お立ち台の最後は、虎党にうれしいプレゼントだ。  「自分は博多出身なので(博多弁で)『あしたも勝つばい』の『勝つばい』を皆さん、言ってほしい。自分が『あしたも』というので、みんなで『勝つばい』でお願いします! それではいきます! あしたも...」  虎党みんなで歓喜の"勝つばい"斉唱。梅の花はいまや満開。虎はもう止まらない。 (新里公章)

◆投手のリズムというのは、いかに大事か。DeNAはエスコバーもパットンも、走者の近本ばかりを気にして、まったく自分のテンポで投げられていなかった。阪神から見れば、まさに近本の足でかく乱した形。相手のミスがあったとはいえ、これぞ「矢野野球」という攻撃だった。  同様に、先発のガルシアもリズムを考えないといけない。三回まで悪くなかったのに、四回に筒香に一発打たれて、おかしくなった。ボールが極端に荒れ出したし、むきになって一本調子になって、相手のリズムにハマってしまった。  配球も、変化球に頼りすぎていた。もっと右打者の内角などに強いボールを投げていかないといけない。変化球を待たれて、甘くなったところをことごとく捉えられた。バッテリーで考えないといけない。強い真っすぐでストライクをとる精度を高めること。そうすればスライダーも生きる。次回への課題だ。楽観的かもしれないが、こういう投手は暖かくなると調子も上がってくる。ローテを外すなどは、まったく考える必要はない。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
730 0.700
(↑0.033)
-
(-)
133
(-1)
45
(+3)
34
(+1)
14
(+2)
4.000
(-)
0.000
(-)
2
(-)
ヤクルト
640 0.600
(↑0.044)
1
(-)
133
(-1)
41
(+10)
34
(+1)
10
(+1)
5.000
(↑1)
0.000
(-)
3
(1↓)
DeNA
550 0.500
(↓0.056)
2
(↓1)
133
(-1)
52
(+8)
45
(+12)
11
(+2)
3.000
(-)
0.000
(-)
3
(1↑)
阪神
550 0.500
(↑0.056)
2
(-)
133
(-1)
38
(+12)
48
(+8)
5
(+1)
4.000
(↑1
0.000
(-)
5
(1↓)
中日
460 0.400
(↓0.044)
3
(↓1)
133
(-1)
38
(+1)
37
(+3)
10
(-)
7.000
(-)
0.000
(-)
6
(-)
広島
370 0.300
(↓0.033)
4
(↓1)
133
(-1)
32
(+1)
48
(+10)
11
(-)
3.000
(-)
0.000
(-)