ヤクルト(☆8対3★)阪神 =オープン戦1回戦(2019.02.23)・ANA BALLPARK浦添=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:高梨 裕稔(1勝0敗0S)
敗戦投手:才木 浩人(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】高山 竜太朗(1号・8回表ソロ)
【ヤクルト】廣岡 大志(1号・4回裏2ラン),荒木 貴裕(1号・7回裏2ラン)

  DAZN
◆ヤクルトは、日本ハムから移籍した高梨が2番手で登板。3回を1安打無失点に抑える投球で存在感を放った。対する阪神は、開幕ローテーション入りを目指す才木が先発するも、4回9安打6失点と不安が残る結果に終わった。

◆BALLPARK浦添 ヤクルト広岡大志内野手が、バックスクリーン下の看板を直撃する2ランを放った。 3-2で迎えた4回無死二塁、カウント3-1から阪神先発才木の5球目、140キロ直球をとらえ、推定135メートル弾。代打で見事に結果を出し、阪神を突き放す2ランとなった。

◆BALLPARK浦添 ヤクルトの強力打線は、今年も健在だ。23日、阪神とのオープン戦(浦添)で13安打8得点。1番坂口智隆、2番青木宣親が今春初めて実戦に出場し、昨季セ・リーグ最高のチーム打率2割6分6厘を誇った打線がそろった。 2回、さっそく打線がつながった。1-2で迎えた2死一、二塁、坂口はカウント1-2と追い込まれてから、阪神先発才木の117キロカーブにうまくバットを合わせ、中前へ落とし同点に追いついた。続く青木も左前打を放ち連打。坂口は「少しズレはあったけど、体が粘って反応した。毎年、一番心がけているのはアピールすること」と手応えを口にした。昨季打率3割2分7厘とチームトップの数字を出した青木は「感触はよかった。タイミングよく1本出た」と話した。 1回には、左前打の坂口が青木の二ゴロで進塁し、さらに山田哲の遊ゴロで三塁へ。得点には結びつかなかったが、昨季主に5番を任された雄平は「ぐっさん(坂口)が出て流れを作って、ノリさん(青木)がつないで、こうやって結果が出る。内容を意識することで、チームがつながると思う」と強調した。小川監督も坂口、青木について「彼らはさすが」と信頼を置く。ツバメ打線が、オープン戦初戦から力を見せつけた。【保坂恭子】

◆BALLPARK浦添 ヤクルト広岡大志内野手がバックスクリーン直撃の2ランを放った。 1点リードの4回無死二塁、代打で登場。3-1からの140キロ直球を捉えた。推定飛距離は135メートル。対外試合5戦3発とし「公式戦の開幕のつもりでプレッシャーをかけた。ずっと結果を出さないと、試合には出られないので」。小川監督は「ミスショットが少ないのは成長の証し」と話した。

◆BALLPARK浦添 先発ローテーション入りが期待されるヤクルト高梨裕稔投手が2番手で登板し、3イニングを1安打無失点に抑えた。 3、4回は安定感を欠いたが、5回は先頭からセットポジションに変え、フォームのバランスがよくなった。「最初から3イニング目のような投球ができるようにしたい」と反省していた。

◆BALLPARK浦添 ヤクルト広岡がバックスクリーン直撃の2ラン。これで対外試合5戦3発。小川淳司監督のコメント。 「ミスショットが少ないのは成長の証し」

◆阪神のドラフト3位ルーキー木浪(ホンダ)が乗っている。九回の左越え二塁打で実戦では6試合連続安打。「初めてのオープン戦で、いつもより緊張していた。結果を残せたのは良かった」と汗を拭った。  途中出場から2打席目だった。大下に追い込まれながらも変化球を捉えて逆方向へ。内野の定位置争いに加わっている新鋭は「準備はしていた。反応できた」と頬を緩めた。

◆阪神はシーズン開幕戦で対戦するヤクルトに強打を見せつけられた。オープン戦初采配だった矢野新監督は「パンチ力がある。打線はセ・リーグの中でも1、2のように思う」と警戒した。  ヤクルトとは対照的に阪神打線は福留らベテランが不在。新外国人マルテは「5番・一塁」で先発して中飛と空振り三振だった。ただ、日本の野球スタイルへの適応に取り組んでいる最中であり「しっかりと準備できている。この調子でやっていきたい」と収穫を強調した。 高山(八回にソロ)の話 「ホームランバッターではないので、ホームランはバロメーターではない」 馬場(荒木に2ランを浴び)の話 「真っすぐが少し高くなってしまったところが、本塁打につながった」 阪神・浜中打撃コーチ(高山に)の話 「いい押し込みができていた」

◆阪神・才木浩人投手(20)が23日、ヤクルトとのオープン戦(浦添)で先発した。今季は志高く開幕投手を目指しているが、4回を9安打6失点と課題の残る内容となった。  「まっすぐの感じは悪くなかった。カーブやスライダーでストライクが取れたけど、フォークの精度がすごく悪かった」  毎回、先頭打者を出す苦しい展開。二回は安打と四球で無死満塁。直後に犠飛で失点し、2死後には坂口を3球すべて直球で追い込みながら、カーブを左前に運ばれた。決め球に使った変化球の精度が甘く「2ストライクを取ってから、フォークが決まらない」と反省しきりだった。  「投げるしかないと思う。ブルペンでコントロールを意識してやっていきたい。次、しっかり取り返せるように、自分のピッチングをしたい」  矢野監督はこの一戦で評価を下げることはなかった。今一度、評価を上げて、開幕投手を手元へとたぐり寄せる。

◆--高山は結果が出なくても前向きにやっていたと聞く  矢野監督 「(今は)打ってないときでもアイツ、下を向いてないし。ベンチで声もよう出てるし。打てなかったとか、試合に出られないという経験がない野球人生を歩んできたから、(昨年は)ちょっと落ち込むというのが、見た目にもあったのよ。前向いてやっていくというものが、だんだん備わってきてるから。そういう気持ちがあれば、うまくなっていくと思う」  --才木の評価は  「もう一個、変化球の決め球っていうか、バッターに何か意識させられるような精度、キレっていうのは必要ちゃうかな」  --開幕で当たるヤクルトの印象は  「やっぱり打線がいいよね。村上も、去年もファームでやっていて、すごくいいバッターっていうのも分かってる」  --今日の試合を終えて一番、選手に伝えたかったこと  「追い込まれて何とか、きれいなヒットじゃなくても嫌らしいヒットでも(打てるように)頑張っていこうというようなことは言いました」

◆キャンプ序盤に中日キャンプ地を訪れ、新ヘッドコーチ伊東勤にあいさつに出向いたときのこと。  「清水を頼むね」  清水? 清水? 誰のことかいな...アッ! 阪神の新ヘッドコーチのことか! 新天地で与田新監督を補佐する参謀は、自分のことより、ロッテ監督時代に自身の下でコーチを務め、今季から阪神にやってきた清水ヘッドのことを気にかけていた。  西武監督時代に日本一に輝いた伊東は、自分でサインを出していた。  「そのほうが気楽。取り消すときもすぐにできるから」  時を経て、ロッテ監督に就任した2013年、尋ねてみた。ロッテでも西武の時と同様、自分で出すのですか、と。  「いや、今度は"後継者"に任せようと思ってる」  ロッテ時代、指揮官の意向を受けてサインを発信したのが、清水外野守備走塁コーチだった。戦力的に劣るロッテをクライマックスシリーズに導くなど、好さい配を繰り広げた名将が後継者と認めたのが、清水現阪神ヘッドだった。  タイガースのキャンプも最終クール。23日のヤクルト戦は、清水ヘッドにとっても、オープン戦初戦。いろんな思いを抱きながら臨んだ一戦だっただろう。  その舞台、浦添に黒いスーツ姿でさっそうと現れたのがデスク堀啓介。ビシッと決めていた。  「堀デスクは、いつもと変わらずクールですよね。あいつみたいに、沖縄だからとハシャいだりしないですね。あいつ? もちろん、新里(公章、サンスポ・トラ番3番手)のことです」  妙な比較をしながら感心をしていたのがトラ番サブキャップ長友孝輔。その比較対象・新里は、遠く離れたキャンプ地・宜野座で居残り練習を取材していた。  「投手陣は楽しそうに打撃練習でした。たまにはリラックスムードもいいかと。でも、糸井さんはドーム内で誰も近づかせない迫力でマシン打撃。状態をあげてきてるなという印象です」  この日は長友が心配する"はしゃぎっぷり"は影を潜めていた。ただ、褒めるとロクなことがないので、このぐらいにしておく。  一方、冷静沈着デスク堀は「この球場は10年ぶり。新外国人のメンチが"来日1号"本塁打を放ったのを見て以来です」  2009年2月15日。メジャー89発の鳴り物入りで入団したケビン・メンチは実戦初戦の2打席目に"左手一本"で衝撃デビューを飾る。その後、どうなったか? シーズンはわずか15試合出場。0発、2打点。打率・148。  阪神ファンが何度も見てきた悪夢の1コマ。つまり、この時期は関係ないんです。この日、マルテが「5番」でスタメン出場して打たなかったのも、どうってことない。むしろ、打ったほうが"メンチの再来"になったかも。心配無用です。  さてさて、新ヘッド清水の初戦はどうだったのか?  「いろいろ参考にさせていただきました。ヤクルトは走者三塁の時、すべてギャンブルスタートを切っていた。そういう練習を積み重ねてきたんでしょうね。同じセ・リーグのチーム、興味深く見せていただきました」  頼みますね、阪神を。オープン戦は24日は舞台を北谷に移して中日戦。早くも実現する清水vs伊東のヘッドコーチ対決。実は今季の、超注目ポイントです。

◆キレのある直球が決まっても、攻めきれない。オープン戦の"開幕投手"才木は4回を9安打6失点。課題の残る97球に悔しさをぐっと堪えた。  「真っすぐの感じは悪くなかった。カーブやスライダーでストライクが取れたけど、フォークの精度がすごく悪かった。振らせないと意味がないので、もっと精度を上げていけたら」  毎回、先頭打者を出す苦しい展開。二回は安打と四球で無死一、二塁とすると、西浦にフォークを見極められて満塁。直後に犠飛で失点した。2死後、坂口を3球すべて直球で追い込んだが、最後にカーブを左前に運ばれた。早いカウントで投手有利の状況にしても、空振りを狙ったフォークが決まらない。「2ストライクを取ってから、フォークが決まらない。甘く入れたくないので、厳しいところに投げてボールになって...という悪循環になってしまった」と反省しきりだった。  オフには矢野監督にシーズンの開幕投手を志願した。昨季途中から先発ローテを守り、6勝(10敗)。その自信を胸にオープン戦の開幕戦に登板したが...。ただ、指揮官は「決め球が決まらへん」と指摘しつつも「課題が見つかったからいいじゃん。きょう打たれたから開幕ローテにもう外れるわけでもない。まだまだ始まったばかりやから」と評価を下げることはしなかった。  「投げるしかないと思う。ブルペンでコントロールを意識してやっていきたい。次、しっかり取り返せるように、自分のピッチングをしたい」  変化球の精度を磨いて今一度、評価を上げて開幕投手をグッとたぐり寄せる。(織原祥平) 才木について阪神・福原投手コーチ 「いろいろ考えて投げていると思うが、追い込んでから最後、決めるところのボールに課題が残った。先発争い? まだまだこれからでしょう」

◆3月29日に迫るシーズン開幕戦(京セラ)と同カードのプレ開幕戦に3-8と大敗しても、阪神・矢野燿大監督(50)は前向きだった。先発の才木浩人投手(20)には決め球の精度向上とベースカバーの徹底を求めた。ドラフト3位・木浪聖也内野手(24)=ホンダ、同1位・近本光司外野手(24)=大阪ガス=が最終回に見せた粘りを評価した。  鮮やかな先制パンチに目尻を下げ、浮かび上がる課題には目をこらした。「3・29」に迫る開幕戦の相手、ヤクルトに敗れはしたが、矢野監督には収穫ありの一敗。得点にこそつながらなかったが、九回に「木浪&近本」が粘りの出塁を見せてくれたことで、問題点はより鮮明になった。  「最後の木浪と近本みたいな。立ち上がりはみんな『一発で仕留める』というのがすごくできていたけど。(木浪らが)あの点差の、あの展開の中でああいうふうに粘っていくというのは、すごく大事なことやと思う」  一回は1番・北條から糸原、ナバーロと3連打も出て2点を先制。果敢に打って仕留めた攻撃に誰もが目を見張った。だが、その後は燕の1軍投手陣に苦戦。展開的にもカウント的にも不利になったときに、本当の課題が出る。その点で、3-8の九回にD3位・木浪とD1位・近本がボールに食らいつき、出塁したことを評価したかった。  1死走者なしからまず木浪が、カウント1-2から大下の変化球を左中間フェンス手前まで運び、二塁打。2死となっても、近本もあきらめていなかった。カウント2-2と追い込まれたが、一、二塁間を破る右前打。これで6試合連続安打となった木浪が「反応です。準備はしていましたけど、ランナーをためることが大事だった」と振り返れば、近本も「最後の打者にならないことが大事。何点差で負けていても...という気持ちでした」と力を込めた。  日に日に非凡さが際立つルーキー2人が、中盤以降、チームに欠けていたモノを見せてくれた。矢野監督は試合後のベンチでミーティングを行い「才木がバックアップが浅い。しっかりやれることはやろう、と」と投手にも課題を伝えたことを明かした。フルメンバーを並べてきた相手に敗れたからこそ、あぶり出された課題も多かった。  「(ヤクルトは)やっぱり打線がいい。セ・リーグの中でも1、2のような感じには思う」。だからこそ「きれいなヒットじゃなくても、嫌らしいヒットでも(打てるように)頑張っていこう」と呼びかけた。  負けていられない。強力打線にはしぶとさで対抗する。新人2人が見せてた食らいつく姿勢を道しるべに、矢野虎は「3・29」へと心して進む。(長友孝輔)

◆目覚めの一発! オープン戦が23日に開幕し、阪神はヤクルト戦(浦添)に3-8で敗れた。敗戦のなか、高山俊外野手(25)がバックスクリーンに意地の本塁打。試合前に矢野燿大監督(50)から助言を受けるなどし、復活の兆しをみせた。2016年には球団新人のシーズン安打記録を更新して新人王に輝いた若虎が、中堅争いの先頭に躍り出た。  ただ真っすぐに押し込んだ。思い出したかつての感触。白球がバックスクリーンに消えると、球場はトランペットの大演奏に包まれた。高山がオープン戦第1号。力強く照りつける太陽の下、目覚めの一発を架けた。  「ホームランバッターじゃないので、ホームランはバロメーターではないです。こすらず(バットとボールが)噛みました」  本人は謙遜したが、打球は雄弁だ。三飛、左飛と無安打で迎えた八回先頭の第3打席。ヤクルトの2年目右腕・大下の141キロ直球に踏み込み、振り抜いた。「前半はファウルにしてしまっていたところ」を完璧に捕まえ、最深部へ運んだ。  21日の広島との練習試合(宜野座)で4試合ぶりに適時打を放ち、きっかけをつかんでいた。この日も試合前の打撃練習を終えると、矢野監督から声をかけられた。器用だからこそボールに合わせるのではなく、振り切ってほしい-。将の助言が背中を押していた。  「打たされるというバッティングはもったいない。だから『ちょっと振っていこう』というようなことを言っていた。初めて(の対戦)の投手で、2段モーションの初球を仕留めたというのは価値があると思う」  21日の試合前にも"振っていこう"という内容の助言を与えていた矢野監督は、目を細めた。  1年目の2016年には球団新人記録の136安打を放って新人王に輝くなど、非凡なバットコントロールが持ち味。だが、飛距離の向上を求めたことなどから2年目以降は不振に陥った。結果を求めてうまく打とうとして、手先だけの打撃になっていた。フォームの崩れが"ある場所"に表われていた。浜中打撃コーチが明かす。  「2人で一緒に見たわけではないけど、本人と話すと、同じ意見だった。『(16年は)こういう形で打っていた』と」  前日22日に、16年と現在の映像を横並びにして比較できるものをチェックした。中堅方向に押し込む打撃で安打を量産した3年前のフォームに比べ、最近はかかとに重心がかかり気味だった。それを確認して、この日の打席へ向かった。復活の兆しとなる一発に、同コーチも「久しぶりに、あの方向にホームランが出た。自信になる一発だったと思う」とうなった。  昨季は45試合の出場にとどまり、2軍暮らしも長かった。一時は落ち込んだが"超積極的"を掲げる現在の指揮官のもとで、前向きさを取り戻していった。  中堅は、江越やD1位・近本光司外野手(大阪ガス)らと争う激戦区。一発という分かりやすいアピールを決めた高山は「よかったです。(競争については)それはどうですかね」。今はただ必死。競争を、ひたすらに駆け抜けていく。(竹村岳) 高山の一発について巨人・田中スコアラー 「もともと持っているものがいい。やっと出始めたという感じ。ここからもっと調子をあげていくんじゃないですか」 ★結果出ず悩んだ  7日の紅白戦に白組の「5番・右翼」で出場し、三回2死二塁では右翼線に適時二塁打。しかし、11日の紅白戦は2打数無安打(2四球)。14日の練習試合・楽天戦も3四球で無安打。17日の日本ハム戦は4打数無安打と、江越やルーキーの近本がアピールするなかでなかなか快音が出なかった。21日の広島戦でようやく右前打。「結果にならずに悩んで、難しい部分もあった。形を崩してでも、(ヒットを打てたので)そういった部分ではよかった」ときっかけをつかんでいた。

◆阪神で久々に、価値あるシーンが展開された。この時期に最も必要な、緊張感と競争心よ。  九回、ルーキーの木浪が左越え二塁打を放つと、同じくルーキーの近本が右前打。木浪は実戦で結果を出し続けているし、目の前で見せつけられた近本が、なんとかせにゃあ、とばかりに食らいついた。ピリリと空気が締まったね。  キャンプ、オープン戦を調整に充てていいのは、ベテランだけ。若手はいかに競うか。ライバルを蹴落とすか。それを体現したのがルーキー2人。さすが社会人出身同士、ともいえるね。  最近の若手には、単に与えられた仕事をしているだけ...というタイプが多いように映る。そういう傾向にも、2人はくさびを打ち込んだ。相手のヤクルトの若手にも、刺激になったと思う。  もちろん、誰よりも感じ取らなければいけないのは、阪神の若手。入れ代わり立ち代わり、浮いては沈み、出ては消えていく。ルーキー2人の競り合いを、ボーッと見ているようではダメだよ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆才木でまず気になったのはウイニングショットで空振りをとれなかったことだ。フォークの落ちがはやく、簡単に見切られていた。角度があるだけに、もったいない。  そして、投球の組み立て。先頭打者にすべて出塁を許した。しかも二回は下位打線に四球を与えてつながれ、上位に回るという一番、やってはいけない流れだった。  長いイニングを投げることを想定していたのかな...と感じた。力を入れるところと、抜くところのバランスを考えていたのではないか。それがうまくいかなかった。雄平には2打席とも内角を攻めるなど、打たれはしたが、いろいろ試しているなというのは感じた。  オープン戦の開幕に投げたということは、期待されている証拠。同じく若手の望月もこの前(21日の広島戦)はいい球を投げていたが、2回を思い切り投げてのもの。先発を狙うなら五回、六回ともつことを証明しなければいけない。この日の才木は、そこを意識した投球に見えた。課題は本人がわかっているはず。次、どういう投球をするかを注目したい。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆阪神はシーズン開幕戦(3月29日、京セラ)であたるヤクルトに3-8で敗れた。  一回、阪神は先頭の北條が三塁強襲の内野安打で出塁すると、糸原が中前打で続く。さらにナバーロが右前へと運んで幸先良く先制。大山の三塁併殺打の間に三走・糸原が生還して、追加点を奪った。続くマルテはブキャナンの甘いチェンジアップをとらえたが、中飛。  阪神の先発は高卒3年目の才木。自身も開幕投手を目指す右腕は先頭の坂口に左前にポトリと落ちる不運な安打を許す。しかし、続く青木をストレートで二ゴロ、山田哲もストレートで遊ゴロ、最後はバレンティンを115キロカーブで遊ゴロに仕留め、無得点。上々の立ち上がりをみせた。  才木は二回、先頭の雄平に右前打を許す。村上にはストライクが入らずに四球。西浦にも粘られて四球で無死満塁のピンチを招く。中村悠の犠飛で1点を失い、塩見を左飛に打ち取ったが、坂口には中前打で2点目。青木にも左前打で再び満塁のピンチ。山田哲を左飛に仕留めたが、あわやスタンドインという大きな当たりだった。  三回、ヤクルトは高梨が登板。先頭の江越は初球の外角高めストレートをとらえて、左翼線へ二塁打。続く北條は右飛。ここで二走の江越がタッチアップを試みるが、右翼・雄平の好送球で走塁死。糸原が二ゴロに倒れて、チャンスをモノにできなかった。  才木は三回、先頭のバレンティンに痛烈な左前二塁打。三塁線に飛んだが、大山が取れなかった。バレンティンに代走・渡辺が送られる。続く雄平は右前打で無死二、三塁。村上は空振り三振に打ち取ったものの、続く西浦の一ゴロの間に三走が生還。1点を勝ち越された。  才木は四回、先頭の塩見に中前打。この回の守備から出場した左翼・近本が追ったが、わずかに届かない不運な当たり。とはいえ、これで毎回先頭打者を出したことになり、なかなかリズムに乗れない。  続く代打・広岡には高めの直球をバックスクリーンへ運ばれる2ラン。一死の後、代打・太田には右翼線へ三塁打。渡辺に左犠飛も許して6失点目。課題の残る内容となった。  阪神は五回、2番手の飯田が登板。先頭の村上を外角低めのスライダーで空振り三振とすると、西浦に左前打を浴びたものの、中村悠は投ゴロ併殺。ようやくヤクルトの攻撃を0点に抑えた。  阪神は六回二死から代打でD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)が登場。今春キャンプで存在感を示しているルーキーが流れを変えるかと思われたが、近藤のスライダーに泳がされて右飛に終わった。  阪神はこの回から伊藤和が登板。キレのいい直球とスライダーのコンビネーションで三者凡退に抑えた。   阪神は七回、石山の前に三者凡退。この回から馬場が登板。先頭の太田は一ゴロ。代打・宮本に四球を出すと、代打・荒木に高めのストレートを左翼席まで運ばれ、2失点。  阪神は八回、先頭の高山がこの回から登板した大下の初球、高めの外角シュートをとらえてバックスクリーンへ。今春の実戦で初本塁打を放ち、意地を見せた。  阪神は九回一死、木浪が左中間を深々と破る二塁打で出塁。大山は遊ゴロに倒れたが、近本が右前打で二死二、三塁。板山も四球を選んで満塁。ここで島田の打球は左中間の深いところへ飛んだが、中堅・塩見がフェンス手前でキャッチしてゲームセットとなった。