広島(☆5対1★)ソフトバンク =日本シリーズ2回戦(2018.10.28)・マツダスタジアム=
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ソフトバンク
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広島
10202000X51010
勝利投手:ジョンソン(1勝0敗0S)
敗戦投手:バンデンハーク(0勝1敗0S)
  DAZN
◆広島が日本シリーズ第2戦を制した。広島は初回、鈴木の適時打で先制する。その後は、3回裏に丸の犠飛と松山の適時打で加点すると、5回には鈴木が2点適時打を放ちリードを広げた。投げては、先発・ジョンソンが7回1失点の好投。敗れたソフトバンクは、先発・バンデンハークが試合をつくれなかった。

◆34年ぶり4度目の日本一を目指す広島が、2連覇のかかるソフトバンクに先勝した。また先勝したチーム(△○を含む)は過去68度のうち43度日本一になっており、V確率は63%となっている。 広島が先手を取った。1回2死三塁、4番鈴木が遊撃への適時内野安打で先制した。広島は第1戦に続き2試合連続で初回に先制した。 広島は3回に失策が絡んで無死二、三塁の好機で丸の左犠飛、さらに2死二塁で松山が左翼へ2試合連続となる適時打で2点を加えた。 ソフトバンクは4回に今宮がチーム初安打を放つなど無死一、三塁の好機も3番グラシアルが遊直、4番柳田が空振り三振、最後は5番デスパイネが遊ゴロに倒れ無得点に終わった。 広島は5回1死二、三塁で鈴木が2点適時打を放ちこの日3打点。計6戦2打点だった16年日本シリーズを早くも上回った。ソフトバンク先発のバンデンハークは5回5失点(自責3)。ソフトバンクは7回に柳田とデスパイネの連打などで1死一、三塁で松田が適時打を放ち、1点を返した。 広島は8回からフランスア、守護神の中崎と継投し逃げ切った。 日本シリーズは全試合がナイター開催。どちらか4勝した時点で終了する。29日の移動日を挟み30日から第3戦がヤフオクドームで行われ、第6戦があれば再びマツダスタジアムに戻る。 また第7戦までは延長12回で打ち切り。第8戦以降は延長回の制限なし。引き分けがあり、第7戦で優勝が決定しない場合は、第7戦を行った球場で翌日に第8戦を行う。第9戦が必要な場合は1日移動日を設け、もう一方の球場で行う。

◆ソフトバンク先発のリック・バンデンハーク投手(33)が、5回5失点でマウンドを降りた。 1回にいきなり先頭打者に不運な当たりの二塁打を許してピンチを迎えると、鈴木の内野安打で1点を献上。3回には犠飛と適時打で2点を追加された。5回には菊池、丸の連打で1死二、三塁をピンチを招き、またも鈴木に2点適時打を浴びてしまった。 バンデンハークは「調子は良く、球自体は悪くなかったと思うが、走者を出してから、粘ることができなかった。チームに流れを持ってくる事ができず、申し訳ない」と悔やんだ。

◆広島の先制点は4番鈴木誠也外野手(24)から生まれた。 1回2死三塁で、遊撃への適時内野安打。高いバウンドのゴロに、懸命に走って今シリーズ初打点をもぎ取った。「打ったのはストレート。とにかくチームが先制できて良かったです」と振り返った。

◆ソフトバンク工藤公康監督(55)が大幅にスタメンを変えて2戦目に臨んだ。 初戦で左太ももに死球を受けた内川聖一内野手(36)をベンチから外し、左太もも痛から復帰の今宮健太内野手(27)を登録。スタメンには、調子が上がらない上林誠知外野手(23)に変わって右翼にグラシアル内野手(33)を入れ、左翼にデスパイネ外野手(32)を配置した。さらに松田宣浩内野手(35)を三塁で起用した。 工藤監督は内川について「痛みが残っているので」と説明。今宮については「トレーナーからの報告もいいし、横の動きはできている。(広島先発が)ジョンソンというところなので行ってもらいます」と話した。

◆ソフトバンク松田宣浩内野手(35)が、今回の日本シリーズ初安打となる適時打で1点をもぎ取った。 第1戦はスタメンから外れたが、内川負傷もあってこの日は7番三塁で先発出場。 6回まで広島先発ジョンソンに1安打に抑えられ、劣勢の展開だった。しかし柳田の今シリーズ初安打からつかんだ7回2死一、三塁のチャンスで、中前打を放った。 松田宣は「打ったのは直球です。このシリーズ、まず1本出て良かったです」と一矢報いた。

◆34年ぶり4度目の日本一を目指す広島が、2連覇を狙うソフトバンクに先勝した。4番鈴木誠也外野手が先制打を含む3安打3打点の活躍を見せた。 1回2死三塁、打席に入ると遊撃へ高く跳ねる打球を放つと激走。素手でつかんだソフトバンク今宮が一塁へ送球したがセーフ。足で先制点をもぎ取った。3点リードで迎えた5回1死二、三塁の場面では中堅に2点適時打を放った。 試合後のお立ち台に立つと「とにかくマツダスタジアムで1勝したいと思っていた。勝てて良かった」と第一声。続けて「KJがしっかり抑えてくれたので(打線も)波に乗れた。今日はKJのおかげ」と、7回1失点の好投を見せ一緒にお立ち台に立った先発ジョンソンを称えた。 「1勝できたのは大きいですけど、相手もメチャメチャ強いので油断はできない」と鈴木。1日の移動日を挟み敵地で行われる第3戦以降をにらんだ。

◆平成最後の日本シリーズは第2戦。広島は初回に鈴木の適時打で先制し、5回には再び鈴木が2点適時打で突き放した。広島先発のジョンソンは7回1失点と好投し、8回からフランスア、中崎の継投で勝利した。先勝したチーム(△○も含む)は、過去68度のうち43度日本一になっており、V確率は63%となっている。 29日は移動日、30日からソフトバンクの本拠地ヤフオクドームで第3戦を戦う。

◆34年ぶり4度目の日本一を目指す広島が、2連覇のかかるソフトバンクに先勝した。 試合後、緒方孝市監督は「昨日厳しいゲームで勝ちきれなかった分、このホームでどうしても先に1勝を挙げたかった。ナイスゲームでした」とほっとした表情を浮かべた。 投打がかみ合った。先発ジョンソンは7回1失点と好投。4番鈴木が3安打3打点、3番丸、5番松山も1打点ずつ挙げ、ソフトバンクに流れを引き渡さなかった。「攻撃面は、初回から田中が出塁してくれて(鈴木)誠也がラッキーな当たりで先制できたのが大きかった。誠也が3打点、クリーンアップがしっかり打点を挙げてくれて、松山があの苦しいところで守備でファインプレーをしてくれて、あそこで流れを相手に渡さずこちらのゲームができた」と選手をねぎらった。 29日の移動日を挟み30日から第3戦がヤフオクドームで行われる。「厳しい戦いが続くと思いますが、福岡でも一戦一戦しっかりと自分たちの野球をやりたい」と34年ぶりの日本一を待ちわびるファンにカープ野球を約束した。

◆広島が4番鈴木誠也外野手(24)の先制打などで効果的に得点し、ソフトバンクを下した。 鈴木は3安打3打点の活躍。お立ち台での主なコメントは以下の通り。 -昨日は延長の末の引き分け。どんな気持ちで試合に とにかくマツダスタジアムで1勝したいっていうふうに思っていたので、昨日勝てなかったですけど、今日こうやって勝ててよかったです。 -初回から打線がさく裂 でも、KJ(先発ジョンソン)がしっかり抑えてくれたんで、その波に乗って、バッター陣もどんどんいけてたので、ほんとに今日はKJのおかげだと思います。 -5回にもタイムリーで2点を追加。チームにとっても大きかった ほんとにチャンスで回ってきたので、相手もすごくいいピッチャーだったので、なかなか点を取れるピッチャーじゃなかったので、ああいうチャンスでしっかり点が取れたっていうのは、ほんとよかったなと思います。 -この1勝どう受け止めている 1勝できたの大きいですけど、相手もめちゃめちゃ強いので、まだまだ油断できないですし、福岡へ行きますけど、しっかり頑張っていきたいなと思います。

◆ソフトバンク今宮健太内野手が、左太もも裏を痛めた9月17日西武戦(メットライフドーム)以来、1カ月ぶりに「2番遊撃」で先発出場した。 チームは広島ジョンソンに3回まで完璧に抑えられていた。4回に先頭川島が四球を選ぶと、無死一塁からチーム初安打となる中前打。痛烈なライナーで丸のファンブルを誘い、一、三塁にチャンスを広げた。守備でも安定感のあるプレー見せた。 今宮は「むちゃくちゃ緊張しました。精いっぱいやれた。個人的には収穫があったけど、チームは負けたので。地元に帰ってやり直したい」と振り返った。

◆広島クリス・ジョンソン投手(34)がミスター・オクトーバーぶりを発揮した。7回1失点でシリーズ1勝を導いた。16年のCSファイナルから通算して6度目の先発ですべて好投し、防御率0・86だ。 序盤3回をパーフェクトで乗り切った。最初に訪れたピンチは4回無死一、三塁。「イシのミットめがけてただ投げるだけだった。うまく組み立てて、いい部分を引き出してくれた」。石原とは来日以来の名コンビ。ベテランのリードを信じ、グラシアルを遊直、柳田を空振り三振、デスパイネを遊ゴロに打ち取った。 とくに柳田に対しては長打を恐れず内角攻め。最後は内角低めにシュートをかけた142キロを投げ込み、満足なスイングを許さなかった。試合前、試合中と綿密にコミュニケーションを重ねていた石原は「いいところに、最高の形で投げてくれた」と左腕を持ち上げた。 鈴木と2人で並んだお立ち台。4番打者の肩を組み、健闘をたたえ合った。最後には決めせりふ。「サイコーデース!」。頼れる助っ人が本拠地を興奮に包んだ。

◆広島が引き分けから一夜明けた試合に完勝し、34年ぶり日本一に向けて先手を奪った。1回に鈴木の適時内野安打で先制。3回は丸の犠飛と松山の適時打で3-0とし、5回も鈴木の適時打で2点を加えた。ジョンソンは7回4安打1失点の好投で、鈴木とともにお立ち台に上がった。緒方孝市監督(49)の勝利監督インタビューは以下の通り。 -今の気持ちを 緒方監督 昨日激しいゲームで勝ちきれなかった。このホームで先にどうしても1勝を挙げたかった。ナイスゲームでした。 -昨日は延長となっての仕切り直し 緒方監督 とにかく投手がしっかりゲームをつくってくれと思ってみていた。ジョンソンがしっかりと投げてくれた。 -試合前、選手にどんな言葉をかけたか 緒方監督 いや、普段通りに自分たちの野球をやれればと思っていた。別に選手に言葉はかけていない。初回から田中が出塁してくれて、誠也がラッキーな当たりで先制できたのが大きかった。 -打線が好投に応えた 緒方監督 誠也が3打点ですか。クリーンアップがしっかり打点を挙げてくれて、苦しいところで松山が守備でもファインプレーをしてくれて、相手に流れを渡さずにゲームができた。しっかりと自分たちの野球ができた。 -今後へ 緒方監督 厳しい戦いが続きますが、福岡でもしっかりと自分たちの野球をやっていきたい。

◆ソフトバンク内川聖一内野手(36)が第2戦(マツダスタジアム)を欠場した。前日(27日)第1戦(同)の延長11回に巡ってきた第5打席で、ヘルウェグから左太ももに死球を受け途中交代していた。 この日は球場入りしたものの患部の回復が思わしくなく別メニューで調整。ベンチ入りメンバーからも外れた。チームの敗戦を見届けた内川は「日本シリーズなんで無理しても出ないと、と思っていたけどあまりにもひどいんで」と言葉少なにバスに乗り込んだ。 工藤監督は「状態があまりよくないみたいなので、今日は外して。そうすれば大丈夫かなと。また話を聞きながらやります」と話した。第3戦以降の出場については状態を見て決める。

◆ソフトバンク大竹耕太郎投手が涙のCSから復活した。5点を追う6回に、2番手として日本シリーズデビュー。2回を1安打無失点と好投した。「緊張せずに、普段通り、余裕を持って投げられました」とひょうひょうと話した。 19日の西武とのCSファイナルS第3戦。大差でリードしている展開で救援したが、外崎に2ランを打たれ1回0/3を2失点でマウンドを降りた。「自分の投げたい投げ方ができなかった」と、ベンチでは悔し涙があふれた。 CS後はみやざきフェニックス・リーグで調整登板。「もう1度、基本に立ち返った」と冷静にフォームを見つめなおし、自信を取り戻した。「納得のいくフォームでいられたら、落ち着いていられる。フォームを保つための引き出しを増やしていけたら、と思います」。だからこそ、大舞台でも緊張することなく投球できた。 あの涙から、たった10日で強くなった。「今日はシーズン中と変わらない感じでした。ヤフオクドームだったらもっと投げやすいと思う。3試合、楽しみですね」。成長を続ける育成出身ルーキーが福岡でも躍動する。

◆ソフトバンク川島慶三内野手が痛恨の失策にも気持ちを切り替えた。 左腕ジョンソン対策として、1番二塁でスタメン出場。3回無死一塁に菊池のゴロを捕球したが、二塁へ悪送球。ピンチを広げ、この回2点を失った。川島は「(送球が)引っかかった。短期決戦はそういうミスで負ける。引きずるんですが...。申し訳ないが、この後、どうするかが大事。ここからですね。後からの試合を、全力で持っている力を出せるように」と前を向いた。 工藤監督も「ミスはある。それよりも、その後、何とかしようとする気持ちがあった」と責めなかった。

◆広島バッテリーがソフトバンクの主砲を抑え込んだ。「SMBC日本シリーズ」第2戦は広島が完勝。両軍投手陣が奮闘して引き分けた第1戦を受けた2戦目は先発ジョンソンが好投し、先勝した。息詰まる頂上決戦を広島OB、日米203勝のレジェンド黒田博樹氏(43)が独自の視点で見る「特別観戦記」。黒田氏は「柳田にフルスイングをさせなかった広島バッテリーの勝利だ」とした。 広島の勝利は4回、ソフトバンク柳田に対する配球にあったと言いたい。広島が3点をリードしていた4回。先発ジョンソンは1番川島に四球を与え、この試合初めての走者を出した。さらに今宮に初安打を許すなどで1死一、三塁の局面を迎えた。 フルスイングが特徴の柳田だがトリプルスリーも達成しているように足が速い。外野フライはもちろん、併殺崩れでも1点が入る場面だ。前日は無安打で、この日もヒットを打っていなかった主砲にここで適時打を許せば、それこそ流れが変わってしまう。欲しいのはズバリ三振だった。 ここでジョンソン-石原の広島バッテリーは柳田の内角をツーシームで攻めた。1球目で見送りストライクを取ると2球目は内角に外れるボールだ。3球目こそつり球で真っすぐを外角高めに外したが4球目はやはりインローへのツーシームだった。 これを柳田はまるでバットに当てにいったようなスイングで空振り。フルスイングが売りの男があんな振りを見せるのは、最後の球がまったく頭になかったことをうかがわせた。そうなったのは1打席目が伏線になったはずだ。2回の第1打席。先頭で迎えた柳田に外角中心に配球した。カウント3-1から最後は外寄りに逃げるカットボールを投げた。結果は左飛。この攻め方が柳田の頭に"残像"として残っていたはず。だからこそ初めてチャンスで回ってきた4回の打席で内角球への対処ができなかったのではないか。バッテリーが打者に対する配球とは、打ち取れる確率を上げていく作業だと思う。例えばここでもう1球、内角、あるいは外角に投げておけば打ち取れる確率が50%から70%に上がるはず。そう思えば、それを投げる。もちろん確率100%はない。たまたまでもバットに当たれば、結果がどうなるかは分からないからだ。それでも少しでも確率を上げる作業の積み重ねが重要だ。それがこの日の柳田に対してはうまくいったということだろう。これで広島の1勝1分け。1戦目が引き分けだったので広島にすれば連勝、ソフトバンクにすれば連敗した気分になるかもしれないが移動日を挟んで、また流れは変わるはず。私が現役だった16年は連勝して札幌に行って、最後は負けている。この日も5回に鈴木が盗塁を刺されたように機動力を誇る広島がソフトバンクの捕手・甲斐に大きなプレッシャーを与えられているのは事実。3戦目からはDH制でソフトバンクにはシーズンと同じ野球ができる強みもある。広島にとって大きい勝利なのは間違いないがまだ先は分からない。(元広島投手)

◆ソフトバンクの「超攻撃的オーダー」が裏目に出て、1敗1分けとなった。工藤公康監督(55)は今季交流戦で4試合しか守らせていないデスパイネを左翼で先発起用するなど積極策に出たが、守りでミスが出て、打線も4安打で1点しか奪えなかった。 1番には左キラーの川島。左太もも裏を痛めていた今宮を2番遊撃。5番に左翼デスパイネを入れ、三塁では松田宣も先発復帰させた。そのデスパイネのところに初回、先頭の田中の飛球が飛ぶ。前方への飛球にスライディングしながらグラブを出したが、後ろにそらした。単打ではなく、二塁打にしてしまい、先制点につながった。工藤監督は「あの当たりはどの外野手でも捕れない。しょうがない」と責めなかった。3回には、1番抜てきの川島にミスが出た。無死一塁で菊池の二ゴロを遊撃手今宮へ悪送球。無死二、三塁とピンチを広げ、2点を追加された。 収穫もあった。CSファイナル第2戦から5試合ぶりにスタメン起用した松田宣が7回に中前適時打を放ち、完封負けは逃れた。松田宣は「この2試合(広島の)ホームの勢いを感じた。次は福岡での試合。どっしり構えたい」とナインの気持ちを代弁した。ヤフオクドームでの日本シリーズは11年の中日との日本シリーズ第7戦から9連勝中。工藤監督も「日本シリーズは4つ勝った方が勝つ。しっかりと切り替えて自分たちの戦いをしていく」と前を向いた。第3戦からはタカ党の大声援が待っている。【石橋隆雄】

◆広島新井が今シリーズ初勝利を笑顔で振り返った。「ナイスゲーム。うれしいですね」。 自身は8回、代打で右飛に倒れたが「ちょっとこすっちゃった」と苦笑い。今季限りでの引退を表明しており、敵地での3連戦で3連勝して優勝するとマツダスタジアムでの試合はこの日が最後になるが「そんなことは全く考えてない。とにかく次の試合にいい準備をして一丸となってやることだけです」と目の前の勝利に集中する。

◆瀬戸内海へとつながる広島・天満川の川沿いを歩くと、覆い茂った木々の合間から乾いた金属音が聞こえてくる。春夏計43回甲子園に出場し、春1回、夏6回の全国制覇を誇る広島商。犠打やスクイズ、盗塁など小技を重視する精神野球で「広商(ひろしょう)」の愛称で高校野球ファンに親しまれた。昼すぎ頃、校舎に隣接する校庭はフリー打撃の真っ最中だった。70メートルほど先の右翼後方に校舎が立ち、中堅後方では女子ソフトボール部が練習していた。ここに金属バットを持ったソフトバンク柳田がいたと思うと恐ろしい。 ともに野球どころの「福岡VS広島」の対戦。ご当地選手はソフトバンク7人、広島にも7人所属し、地元を重視したチーム編成を行うが、第2戦に先発したのは広島出身のソフトバンク柳田と福岡出身の広島安部だった。今季の12球団選手(育成除く)の出身地ランキングは<1>大阪65人<2>神奈川43人<3>兵庫41人<4>福岡40人<5>東京38人<6>千葉34人<7>愛知32人<8>埼玉26人<8>沖縄26人<10>広島25人...と続く。 意外と少なかった10位広島の代表格の柳田は、広島商時代について「バリきつかったイメージしかない。今も学校に行くだけで、当時の厳しさを思い出すでしょうね。(自転車通学で)後ろから先輩が近づくと、降りてあいさつしたりしてました」と語っていた。7回に日本シリーズ初安打を放ったが、広島は東京出身の4番鈴木が3安打3打点、鹿児島出身の5番松山は2試合連続適時打を放ち、神奈川出身の1番田中が3安打で流れを呼び込んだ。 広島商は04年夏を最後に甲子園から遠ざかり、ソフトバンクは1分け1敗で福岡に帰る。広島商OBの達川ヘッドコーチは「(広島ジョンソンは)日本一になろう思ったら、もう1回必ず当たる。倒さないけん相手。良かった言うてしもうたら、もう終わりじゃもん。プロとして、相手がいい時にどうやって攻略するか。じゃろ?」と、バスに乗り込んだ。【前田祐輔】

◆34年ぶりの日本一へ、広島が2日がかりの先勝だ。「SMBC日本シリーズ」第2戦がマツダスタジアムで行われ、セ・リーグ王者広島が5-1でソフトバンクを下し、1勝を挙げた。前夜は4時間38分の激闘で延長12回引き分け。一夜明けて勝利を呼んだのは、鈴木誠也外野手(24)のバットだった。先制打を含む3安打3打点。若き4番が輝いた広島が先手を取った。 本塁に滑り込んだ丸が両手をたたくと、一塁上の鈴木は一塁側ベンチに向かって何度もガッツポーズを繰り返した。5回1死二、三塁。中前に伸びる一打で2人を生還させた。リードを5点に広げ、マツダスタジアムは真っ赤に燃えた。若き4番の活躍で日本シリーズの先手を奪った。 「球が速い投手なので、大振りせずにコンパクトに。とにかく後ろにつなぐことを意識した。打席での考え方や入り方が非常にいい状態にある。このシリーズは継続してやっていきたい」 延長12回で引き分けた前夜の死闘を無駄にしなかった。第1戦から先発野手を半分の4人も入れ替えたソフトバンクに対し、広島はバッテリーと、野間と安部の打順を入れ替えだけ。1番から5番まで、今季規定打席に到達した中軸クインテットが打線をけん引。中でも4番鈴木が3安打。1回は2死三塁から遊撃前への内野安打で先制点をもぎ取り、5回はダメ押し点をたたき出した。ポストシーズン初の1試合3打点で、今シリーズの打率を5割5分6厘にまで上げた。 CSでは初戦に本塁打を放ったものの、3戦で安打は1本。打率1割2分5厘に終わった。「停滞した空気を変えられるようにならないといけない。それが4番の仕事。でも、シーズン中からずっと丸さんがその役割をやってくれた。僕はただ、その後に続いただけ。シリーズではそうありたい」。シーズンで好成績を残しても、チームが3連勝でCSを勝ち上がっても、感情は消化不良だった。それがこの活躍の肥やしになった。 緒方監督は打線について「CSより日本シリーズの方が状態は上がってきている」と見ている。34年ぶりの日本一へ、敵地福岡へと乗り込んでいく。鈴木はお立ち台で決めぜりふの「最高でーす!」を封印。「1勝できたのは大きいですけど、相手もめちゃくちゃ強いので、まだまだ油断できない」と表情を引き締めた。喜ぶのは、あと3勝してからだ。【前原淳】

◆ソフトバンクのデスパイネは巻き返しを誓った。左翼での出場は交流戦以来。結果的に裏目に出た形となったが「いつも通りでした。キューバでは屋外が当たり前なので、屋外は慣れている」と言い訳はなかった。 7回には左前打を放ってチャンスメーク。松田宣の適時打につなげた。「ヤフオクドームに戻ったら、いつも通りやる」とDHで大暴れする意気込みだ。

◆セ・リーグ王者広島が5-1でソフトバンクを下し、1勝を挙げた。鈴木誠也外野手(24)は先制打を含む3安打3打点。若き4番が輝いた広島が先手を取った。 ▼鈴木が先制打を含む3打点。シリーズで1試合3打点以上の広島選手は、日本一を決めた84年第7戦で山崎隆が3打点して以来、34年ぶり5人目。鈴木はシリーズ初V打となり、シリーズで広島の4番打者がV打点を記録したのは84年第3、第4戦山本浩、91年第4、第5戦アレンに次いで3人目になる。この試合は3番丸、5番松山も打点をマーク。クリーンアップがそろって打点を挙げたのは17年第5戦ソフトバンク以来だが、広島では84年第3戦で3番衣笠1打点、4番山本浩1打点、5番長嶋4打点以来、34年ぶり2度目だ。

◆広島クリス・ジョンソン投手(34)が7回1失点で、16年第1戦以来のシリーズ2勝目。 外国人投手で通算2勝以上は17年サファテ(ソフトバンク)以来だが、先発で2勝以上は95年に2勝したブロス(ヤクルト)以来23年ぶり5人目。またジョンソンは34歳0カ月。シリーズの最年長勝利は50年第1戦若林(毎日)の42歳8カ月だが、広島では80年第3戦江夏の32歳5カ月を抜く最年長となった。

◆失敗が許されない局面でも、広島クリス・ジョンソン投手(34)のリズムは変わらない。4回無死一、三塁。18・44メートル先の石原が動かす指先にうなずきもせず、すぐさまセットポジションに入った。 「イシのミットめがけてただ投げるだけ。甘くならないように細心の注意をしたよ」。来日後の4年間、ほとんどの時間をともにしてきた恋女房のリードを信じて、7回1失点の快投でシリーズ1勝を導いた。緒方監督も「息がぴったりだったね」と、あらためて名コンビぶりに驚いた。 ポストシーズンは6試合に先発して防御率0・86。その理由に「短期決戦でも変えないようにしている。ただ球場の雰囲気が違うから集中力が増すのかもしれない」と笑った。集中力を高めた理由はほかにもある。相手のバンデンハークはパイレーツ時代のチームメート。「素晴らしい能力の投手と知っている。厳しい投手戦になる覚悟だったから、なおさら自分の投球に専念しようと思ったんだ」と明かした。 さらに、晴れの舞台に合わせて米国から父リチャードさんが来日していた。リチャードさんの祖母は日本人。「僕の中に日本人の血が入っている。日本でプレーしたかった」と15年に来日して4年目だ。5月に生まれたばかりの愛娘の顔を見せて父を喜ばせ、マウンドでも最高の親孝行をしてみせた。 「サイコーデース!」。お立ち台でそう叫ぶ助っ人の姿に、ファンの期待も高まった。まだ果たせていない大きな夢に1歩近づいた。【柏原誠】

◆連続日本一を目指す工藤ホークスにとって敵地・マツダスタジアムでの2戦は厳しいものとなった。日本シリーズ第1戦は延長12回引き分け。そしてこの日の第2戦は攻撃的だったはずの打線が広島先発ジョンソンを攻略することができず完敗した。 バックネット裏の記者席。試合を見守った日刊スポーツ評論家であり、ホークスOBでもある広瀬叔功氏(82)は愛着あるチームの敗戦にあえて苦言を呈した。「ホークスにはもう少し期待しとったんやがな。打席の中での対応力というか、球を見逃す姿にしても『打ってやるぞ』という気迫が感じられん。確かにジョンソンはいい投球をしておったけど、いいから打てないじゃなくて、何とかしようという姿が見えん。こんなチームじゃないはずやろ」。広島が得点を重ねるたびに広瀬氏の言葉にもいらだちがこもってくる。今年、ホークスは球団創設80周年のメモリアルイヤー。球団も年間を通して各種のイベントを展開してきた。広瀬氏は2月の宮崎キャンプに呼ばれ「レジェンド」としてファンクラブ会報誌にも登場した。 シーズンVは逃したとはいえ「日本一」の称号は手にできる。「昔、ずっと南海は日本一になれんかった。でも、初めて(シリーズで)勝ったとき、親分(鶴岡監督)は泣いた。あれは忘れられん」。51年から3連覇もシリーズで巨人に屈し、55年もやられた。そして59年、4連勝でようやく巨人を撃破。5度目の挑戦で日本一になった。そんな悔しさを味わった広瀬氏だけに、辛口のゲキが飛んだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆福岡で出直しタイ! 「SMBC日本シリーズ」の第2戦は、ソフトバンクの超攻撃的布陣が裏目に出て完敗した。工藤監督は今季4試合しか守っていないデスパイネを左翼で起用したが、勝敗を左右する打球が飛ぶなど終始広島ペース。打線も4安打1得点に抑え込まれた。1敗1分けで、明日30日からは舞台をホームに移して第3戦。ヤフオクドームでの日本シリーズは9連勝中の好データと、タカ党の大声援をバックに巻き返しに転じたい。 ソフトバンクの「超攻撃的オーダー」が裏目に出た。工藤監督は今季交流戦で4試合しか守らせていないデスパイネを5番左翼で先発起用。1番には左キラーの川島を入れ、左太もも裏を痛めていた今宮を2番で並べた。CSファイナルステージ第2戦以来、5試合ぶりに松田宣も三塁で先発復帰させた。内川が前日27日の死球の影響でベンチを外れ、体調不良の上林もスタメンから除外。打ち勝つという工藤監督の明確な意思を示した布陣だった。 だが初回、いきなり先頭の田中の飛球が左翼デスパイネの前に飛んだ。スライディングしながらグラブを出したが、後ろにそらして二塁打。先制点につながった。工藤監督は「あの当たりはどの外野手でも捕れない。しょうがない」と責めなかったが、悪い流れは止まらない。 3回には無死一塁で菊池の二ゴロを川島が二塁へ悪送球。ピンチを広げて2点を追加された。川島は「(送球が)引っかかった。ミスはするし、引きずるが、このあとをどうするかが大事」と懸命に前を向いた。だがやられっ放しでは終わらない。打線はジョンソンの前に沈黙していたが、0-5の7回2死一、三塁から松田宣が意地の中前適時打。完封負けを阻止した。松田宣は「1本打てたが、負けたので。この2試合、ホームの勢いを感じた。次は福岡での試合。どっしり構えて戦いたい」。明日30日からホームで戦う3連戦に気持ちを切り替えた。今季6月15日からの広島との交流戦3連戦はヤフオクドームだった。カープ人気で三塁側内野席も真っ赤。OBの松中氏が「こんな光景は見たことない」と驚くほどだったが、2勝1敗と勝ち越した。そして心強いデータがある。ヤフオクドームでの日本シリーズは何と、11年の中日との第7戦から9連勝中だ。ヤフオクドームでは指名打者が使えるため、デスパイネも打撃に専念できる。今日29日は野手陣は完全休養。上林も回復できる。工藤監督も「日本シリーズは4つ勝った方が勝つ。しっかりと切り替えて自分たちの戦いをしていく」と気合を入れ直した。福岡の街も2年連続日本一への期待が高まっている。第3戦からはタカ党の大声援を受け、形勢逆転を目指す。【石橋隆雄】▼ソフトバンクはヤフオクドームで開催の日本シリーズで、11年第<7>戦から9連勝中。この9試合すべてで先制点を挙げており、先行すると一気に流れをつかみ逃げ切っている。なお工藤監督は、15年に初めて日本シリーズで指揮を執って以来、本拠地で5戦全勝を誇っている。

◆ソフトバンク嘉弥真が初登板を無難にこなした。8回1イニングを無失点投球。鈴木に左前打を許したが丸、安部を空振り三振。代打新井は右飛に仕留めた。 「感じよく投げることができたと思う。(チームは黒星だが)これからも任されたところできっちり仕事をするだけ」。敵地の熱狂的な応援には威圧感を感じたようで、「耳の横で広島ファンが叫んでいるようだった」と苦笑いだった。

◆ソフトバンクは、先発のリック・バンデンハーク投手(33)が5回8安打5失点で降板した。  1分で迎えた第2戦、先発を任されたシーズン10勝(7敗)の右腕だったが、広島打線に打ち込まれた。一回、二死三塁のピンチを招くと、鈴木に遊撃への適時内野安打を打たれ先制点を与えた。さらに三回無死二、三塁から丸に左犠飛、二死二塁からは松山に左前適時打を許し、この回2失点を喫した。  五回は一死二、三塁から鈴木に中前2点打を浴び0-5とされると、六回の攻撃で代打を送られ交代。先発の役割を果たせなかった。

◆広島は先発のクリス・ジョンソン投手(34)が7回4安打1失点の好投を見せ、勝利投手の権利を得て降板した。  今季11勝(5敗)を挙げた助っ人左腕が、日本シリーズで躍動した。最速149キロの真っすぐに変化球を交え三回まで無安打投球。四回は無死一、三塁のピンチを招いたが、ここからグラシアル、柳田、デスパイネと中軸を抑え無失点で切り抜けた。  五回、六回は3人で終わらせたが、七回、二死一、三塁から松田に中前適時打を浴び5-1とされた。ジョンソンは裏の攻撃で代打を送られ交代した。

◆小刻みな加点でリードを奪った広島が快勝し、1勝1分とした。先発のジョンソンは7回4安打1失点と好投。ソフトバンクは野手陣が攻守両面で先発のバンデンハークを盛り立てることができなかった。第3戦は30日にヤフオクドームで行われる。  広島は一回、先頭の田中が左翼への二塁打を放ち、菊池の投犠打で三進。二死後、鈴木の打球は高いバウンドのゴロとなったが、これが遊撃適時内野安打となり、1点を先制した。  広島は三回にも先頭の田中が右前打で出塁すると、菊池の二ゴロを川島が二塁に悪送球し無死二、三塁。続く丸の左翼への飛球をデスパイネが捕球し、これが犠飛となり追加点。さらに二死二塁から松山が三遊間を破る適時打を放ち差を広げた。  三回までジョンソンに完全に抑えられていたソフトバンクは四回、先頭の川島が四球を選ぶと、今宮がチーム初安打となる右前打を放ち無死一、三塁としたが、グラシアルが遊直、柳田が空振り三振、デスパイネが遊ゴロと中軸が倒れ無得点に終わった。  広島は五回一死から菊池の左前打と丸の右翼線二塁打で二、三塁とし、鈴木が中前に運ぶ2点打を放った。5点を追うソフトバンクは七回、柳田、デスパイネの連打などで二死一、三塁とすると、松田宣の中前適時打で1点を返したが及ばなかった。

◆過去の日本シリーズでは先勝したチームが68度のうち43度で日本一に輝いており、確率は63・2%となる。広島が先勝したのは4度目。1984年は日本一になったが、86年と2016年は優勝を逃している。  ソフトバンクが先勝を許したのは前身の南海、ダイエー時代を含めて8度目。南海時代の5度はいずれもそのまま敗れているが、ソフトバンクになって以降の11、14年はともに逆転で日本シリーズを制している。

◆広島の丸が今シリーズ初安打となる二塁打を放った。3-0の五回1死一塁でバンデンハークの内角速球を右翼線へ打ち返す二塁打。好機を広げ、鈴木の2点打につなげた。第1戦では4打数無安打で2三振と元気がなかっただけに「1本出たことで多少、気持ち的には楽になる」とほっとした表情で話した。  1-0の三回無死二、三塁では左邪飛が犠飛となり、価値ある追加点を挙げた。「(三塁走者の田中)広輔がよく走ってくれた。形うんぬんよりも、得点を積み重ねていけば、こちらのペースになる」と喜んだ。 広島・緒方監督 「きのう厳しいゲームで勝ち切れなかった分、このホームでどうしても先に1勝を挙げたかった。何より先制できたし、五回に2点の追加点を取れたのが大きかった。しっかりと自分たちの野球ができたと思う」 石原(ジョンソンに) 「全球種でストライクが取れて、それが決め球にもなる」 新井(代打で右飛に倒れるもチームが勝ち) 「ちょっとこすっちゃった。ナイスゲーム。うれしいです」

◆広島の松山が汚名を返上した。2-0の三回2死二塁で「大振りせず、上からたたく意識」と速球を捉え、しぶとく三遊間を破って追加点をもたらした。七回の守備では1点を返されてなおも2死一、二塁で甲斐の右前に抜けそうなゴロを横っ跳びで好捕。ソフトバンクの反撃ムードを断ち切った。  第1戦では自らの失策で同点とされてチームの勝利をふいにした。「悔しかったし、何とかやり返そうという気持ちがあった。いい働きができて良かった」と安堵の表情を浮かべた。

◆広島の田中が、1番打者としてバンデンハークから2打席連続安打を放ち、得点の足場を築いた。一回、詰まりながらも左前へ運ぶと、デスパイネが処理にもたつく間に二塁打とし、鈴木の先制適時打につなげた。三回にも先頭打者で速球を打ち返して右前打とし、2点の追加を導いた。  序盤の援護点を重要視して臨み「球が強いので、速い球に負けないように入った。上位(打線)が仕事をするとこういうゲームができる」とうなずいた。第1戦では6打数無安打だったが、七回にも左前打を放って3安打と調子を取り戻した。

◆第1戦の延長十一回に左太

◆9月17日に左太もも裏を痛め、戦列を離れていたソフトバンクの今宮が先発し、打撃では四回に中前打、守備でも軽快な動きを披露した。「個人的には収穫のある1日だった」と自信をつかんだ。  「めちゃくちゃ緊張した」と言うが、一回の守備でゴロを無難にさばき、リズムをつかんだ。ただ、チームは敗れ「しっかり切り替えて、ヤフオクドームでやり返したい」と雪辱を期した。 ソフトバンク・工藤監督 「(打線は)走者をかえせるときもあれば、かえせないときもある。みんな一生懸命やっている。(守備では)ミスもあるが、何とかしようという気持ちはあったと思う。四つ勝つためにどうするか、これから考えたい」 川島(三回、二塁への悪送球が失点につながり) 「短期決戦はこういうミスで負ける。申し訳ない。この後どうするかが大事」 松田宣(敵地での2試合に勝てず) 「ホームの勢いをすごく感じた。次は福岡のファンが待っているし、どっしりとした戦いをしたい」 ソフトバンク・達川ヘッドコーチ(ジョンソンを攻略できず) 「超攻撃型オーダーでいった。もう一度、当たるのでジョンソンをやっつけないと日本一になれない」

◆広島3番・丸は1-0の三回に左犠飛。追加点を挙げると、3-0の五回一死一塁では、日本シリーズ初安打となる右翼線二塁打。4番・鈴木の2点打につなげ、「1本出て気持ちは楽になった」と胸をなで下ろした。  5番・松山は2-0の三回二死二塁で三遊間を破る適時打。七回の一塁守備では1点を返されてなおも二死一、二塁で、甲斐の右前に抜けそうなゴロを横っ跳びで好捕。第1戦では自らの失策で勝利を逃しただけに「何とかやり返そうという気持ちがあった。いい働きができて良かった」と安堵の表情を浮かべた。

◆1勝もできずに舞台を本拠地に移すが、攻めの姿勢は揺るがない。試合直後にも、すぐに長めのコーチミーティングを実施。大胆な起用が不発に終わったソフトバンク・工藤監督はまず相手の力を認めた。  「決してうちの打者も調子は悪くない。(広島の投手が)それを上回ったということ」  三回まで走者も出せなかった。3点を追う四回無死一、三塁で3、4、5番が倒れ、完全に主導権を握られた。延長十二回で2得点に終わった第1戦から先発4人が様変わり。内川の死球の影響による欠場もあったが、左投手対策も兼ねて5つの打順を組み換える思いきった策も実らなかった。  「絶対に取るという強い気持ちで、攻撃的にさせてもらいました」  守備力が不安で第1戦は先発を見送ったデスパイネを左翼で起用した。今季の守備は交流戦の4試合だけ。普段はDH専門の助っ人は一回の守備で先頭の田中の左前の飛球にスライディングキャッチを試みて失敗。二塁打から先制点を失った。うまい外野手なら...。ただ、覚悟の上だ。  「あれは普通の外野手でも捕れない」と目をつむった指揮官。広島でも川沿いを走った。日課のランニング中も「選手のコンディションなんかを考えながらね」と頭を回転させた結論。裏目に出たが、CSでも主力の松田宣を先発から外した大胆な采配はぶれていない。  「早く4つ勝ったチームが勝ち。どうしたらいいか、みんなで考えます。落ち込むことなく、また自分たちの戦いができるように」  CSファイナルステージで新記録の44得点を奪った攻撃が広島で失速したが、30日からは戦い慣れたヤフオクドームでDH制。打つ手は、いくらでも残っている。 (安藤理) 6月5日のヤクルト戦(神宮)以来の守備について4打数1安打のソフトバンク・デスパイネ 「いつも通りだったよ。気持ちを切り替える準備はしているよ」

◆セ・リーグ3連覇の広島がパ・リーグ2位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がったソフトバンクを5-1で下して初白星を挙げ、対戦成績を1勝1分けとした。先発したクリス・ジョンソン投手(34)が7回4安打1失点の好投。ソフトバンクはアルフレド・デスパイネ外野手(32)の左翼起用が裏目に出た。  真っ赤に染まったスタンドに熱狂の渦を巻き起こした。7回1失点の好投で大きな1勝をもたらしたジョンソンが、渦の中心のお立ち台で喜びを爆発させた。  「アリガトウゴザイマス!! チームに勝ちがついてとてもいい気分。サイコウデス!!」  ソフトバンク打線は前夜スタメンを外れたデスパイネ、松田宣が復帰。「超攻撃的布陣」で臨んできたが、寄せ付けなかった。三回までは圧巻の無安打。リードが3点に広がった直後の四回は初安打を許し、無死一、三塁のピンチを招くも、崩れなかった。  「ランナーを背負っても抑えるのが投手の仕事。自分の球が甘くならないように細心の注意を払って投げたよ」。続くグラシアルを遊直、柳田を空振り三振、デスパイネを遊ゴロに仕留めて無失点。マウンド上でグラブをたたいてガッツポーズだ。  「シリーズ男」といっていいほど、ポストシーズンには無類の強さを誇る。2016年のクライマックスシリーズからこの日を含めて6試合に登板し、4勝1敗。41回2/3で失点はわずか4、防御率0・86と好成績だ。来日からの4年間をともに過ごし「投げたいと思っていた球のサインが出ることもある」というほど絶大の信頼を置く女房役・石原のリードに導かれ、圧巻の投球を披露した。  ジョンソンは「シーズンも今も1試合1試合変わらない気持ちで投げている」と話すが、悲願の日本シリーズ制覇に向けて、背番号42の存在は欠かせない。本拠地で大きな1勝をあげた赤ヘル軍団。頼れる助っ人がチームに勢いをつけた。 (邨田直人) 2戦続けて登板し無失点に抑えた広島・フランスア 「(疲れは)大丈夫、問題ない」

◆本拠地で先勝!! セ・リーグ覇者の広島がパ・リーグ2位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がったソフトバンクを5-1で下して初白星を挙げ、対戦成績を1勝1分けとした。鈴木誠也外野手(24)が一回に先制打を放つなど3安打。カープの4番としては日本シリーズ初の1試合3打点を挙げた。29日は試合がなく、第3戦は30日にヤフオクドームに舞台を移して行われる。  真っ赤に燃えた。最低気温14度と冷え込んだマツダスタジアムだが、痛快な先勝にスタンドは大盛り上がり。熱狂の中心で24歳の若き4番、鈴木がこぶしを振り上げた。  「とにかくマツダで1勝と思っていた。勝てて良かった。KJ(ジョンソンの愛称)がしっかり抑えてくれたので、自分自身も波に乗ることができました」  お立ち台では決め台詞の「最高です!!」を封印したが、バットは雄弁だった。まずは一回二死三塁、バンデンハークの初球157キロを遊撃へ。全力疾走でボテボテのゴロを先制打とした。3-0の五回一死二、三塁ではスライダーを鋭く中前へ弾き返し、2走者を招き入れて試合を決めた。  1試合3打点は、カープの4番打者としては日本シリーズ初。山本浩二ら偉大な先輩を超えた。三回には3番・丸が犠飛、5番・松山が適時打を放ち、日本一に輝いた1984年以来となる、34年ぶりのクリーンアップ全員打点。鈴木を中心に、赤ヘル黄金期と呼ばれる当時の打線に引けを取らない破壊力で、2年連続の日本一を狙う強敵を打ち破った。  前日27日は4時間38分の激闘の末、延長十二回ドロー。32年ぶりに第1戦が引き分けとなった。「もう全身がしんどい。(きょうは)できるだけスピーディーに終わらせたかった」と笑ったが、有言実行の2時間55分での快勝。2試合で5安打の4番に緒方監督も「しっかりスイングができている。状態は上がっている」とうなずいた。  5、6番だった2年前の日本ハムとの頂上決戦では6試合で4安打(打率・222、0本塁打、2打点)に終わっていた。第4戦(札幌ドーム)では1-1の八回無死一塁で犠打のサインを見落として空振り。三塁コーチャーの河田外野守備走塁コーチが、あわてて駆け寄る一幕も。緊張で力を出し切れなかった教訓を胸に「今年は楽しんでやろう」と誓う。  2016年オフ、ソフトバンクの内川、上林らの合同自主トレに参加した。宮崎の地で「日本シリーズで一緒にやれたらいいですね」と誓い合った。実現した約束。負けられない「同門対決」でもある。  「相手はメチャメチャ強いので油断できない。福岡ではファンの声援もすごいので、雰囲気にのまれないようにしたいです」。34年ぶりの日本一まで、あと3勝。その瞬間まで若き4番が思いをバットに込める。 (柏村翔) 三回に犠飛、五回には今シリーズ8打席目で初安打(右翼線二塁打)を放った広島の3番・丸 「ヒットが出ないのは気持ちが悪いので...。1本出て多少、気持ち的には楽になります」 2-0の三回二死二塁で三遊間を破る適時打を放った広島の5番・松山 「(前夜は自らの失策で勝利を逃しただけに)何とかやり返そうという気持ちがあった。いい働きができて良かった」 ★1984年の第3戦VTR  1勝1敗で迎えた阪急対広島(西宮)。広島は4番の山本浩が二回無死から先制の左越えソロを放ち、1-0で迎えた三回には5番の長嶋が二死満塁から右翼席へ満塁本塁打をたたきこんだ。7-3で迎えた七回には、一死から3番の衣笠が右越えソロ。衣笠は5打数1安打1打点、山本浩は3打数1安打1打点、長嶋は4打数2安打4打点と活躍し、計12安打を放った広島が8-3で勝った。

◆両軍とも打撃のチームなのに、なかなか調子が上がってこない。それなら投手が踏ん張るしかないのだが、この試合はズバリ、DH制がないことが明暗を分けたね。  ソフトバンクは6番から始まる五回の攻撃で、走者が出たら9番のバンデンハークに代打を出すか悩んだはず。実際は3者凡退に終わって次の回もマウンドに上がったが、菊池、丸、鈴木に連打を浴びて試合の流れを決める2失点になった。レギュラーシーズンはDH制で、投手交代の心配をしなくていい場面。代打を送るかどうかの判断に慣れていないから、ベンチが迷えば投手は落ち着かない。明らかにイライラした感じで、そこを突かれたね。  ジョンソンも、状態が悪いとイライラが見えるタイプ。ただ、この試合は石原のリードに素直に投げていた。ソフトバンクはジョンソンをイライラさせる攻撃、仕掛けもない。セーフティーバントとか、投手の嫌がることをやってもよかった。  広島は鈴木、丸ら主軸が上向いてきた。ソフトバンクは柳田に初安打が出たものの、まだまだ。本拠地に帰って打線が目覚めるかどうかにかかっているね。 (サンケイスポーツ専属評論家)