西武(★4対15☆)ソフトバンク =クライマックスシリーズ3回戦(2018.10.19)・メットライフドーム=
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ソフトバンク
004351002151602
西武
0001002104812
勝利投手:千賀 滉大(1勝0敗0S)
敗戦投手:榎田 大樹(0勝1敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】上林 誠知(1号・3回表3ラン),内川 聖一(1号・6回表ソロ)
【西武】山川 穂高(2号・4回裏ソロ),外崎 修汰(1号・7回裏2ラン)

  DAZN
◆ソフトバンクがファイナルステージの勝敗をタイに戻した。ソフトバンクは3回表、上林の3ランなどで4点を先制する。その後は、6回に内川のソロが飛び出すなど、終わってみれば16安打で15得点を挙げた。投げては、先発・千賀が5回1失点。敗れた西武は、投手陣が崩壊した。

◆レギュラーシーズン2位のソフトバンクが、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの第3戦で16安打15得点の猛攻で西武に大勝した。西武のアドバンテージの1勝を含めソフトバンクは通算2勝2敗のタイにし、日本シリーズ進出へあと2勝とした。 ソフトバンクが先手を奪った。3回1死二、三塁で上林がカウント2-0から内角高めに入ったスライダーを捉え、右翼席へ先制3ラン。さらに2死一、三塁で中村が適時打を放ち、4点を先取した。西武先発の榎田は3回で降板し、4回からは十亀がマウンドに上がった。 中盤に入るとソフトバンクの勢いはさらに増した。4回に川島、上林が連続タイムリー、1死満塁でデスパイネの犠飛で3点を追加。5回には2番上林、3番グラシアル、4番柳田が3者連続適時打などで一挙5得点を挙げた。上林は2008年の小笠原(巨人)、前日の栗山(西武)に並ぶCS最多タイとなる1試合6打点をマークした。 6回には7番一塁で先発復帰した内川が左中間へソロ本塁打が飛び出た。8月に戦列を離れ、CSファイナルシリーズで復帰したバットマンが復調の兆しを見せた。 ソフトバンク先発の千賀は、西武の誇る山賊打線を山川のソロ本塁打のみに抑えるなど5回1失点で降板。6回からモイネロ、大竹、椎野でつなぎ、勝利をもぎ取った。 第4戦の先発は西武今井、ソフトバンク東浜が予定される。

◆ソフトバンク上林誠知外野手が先制3ランを含むあわやサイクルとなる3安打6打点の活躍で大勝に貢献した。 3回1死二、三塁。カウント2-0から高く入った変化球を叩いた。「変化球は少し頭にあったので。うまく反応で打てたと思います」と振り返る一打は右翼ポール際に飛び込む先制3ラン。4回には中前適時打、5回には右中間へ2点適時三塁打を放った。 守備でも魅せた。3回2死一、二塁の場面で源田の右前打を処理し、本塁へワンバウンドの好返球。二塁走者・森の生還を本塁で阻止。「(外崎が放った)その前のライト前ヒットが本当は(アウトに)取れたので、自作自演みたいになってしまって。ちょっと申し訳なかったです」と事もなげに振り返った。 CS史上初となるサイクル安打がかかった残り2打席は凡退した。「ベンチでも言われてましたし、最後の打席はスタンドからも言われたので意識はしたんですけど。まあ持ってなかったですね、はい」とちょっぴり悔しそうだったが、出身地の埼玉で攻守に大暴れした。 チームは対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。「西武打線も本当にすごい打線なので打ち負けないようにしていきたい。目の前の勝負をきっちり戦っていくだけ。明日まず勝って勝ち越しできるように頑張りたいと思います」と力強く話した。

◆西武山川穂高内野手の2号ソロは、空砲に終わった。 0-7で迎えた4回1死、カウント2-2からソフトバンク先発千賀の5球目、149キロ直球を左翼席上段まで飛ばした。「いつも本塁打を狙っている」という言葉通り、本拠地に詰めかけたファンを喜ばせた。 しかし結果は大敗となり、試合後は悔しさをにじませた。「途中からファンのことを思ってやっていた。今日しか(試合を)見に来ないファンもいるだろうし、そういう人のためにと思っていた。絶対に本塁打を打とうと思っていたので、1本出てよかった」と話した。

◆ソフトバンク大竹耕太郎投手(23)が降板後、ベンチで号泣した。3番手で7回から登板。外崎に2ランを浴び、8回先頭の源田に左前安打を打たれ交代。1回0/3、2安打、2四球、2失点だったが、ベンチに戻ると涙が止まらなかった。 「自分が投げたい投げ方ができなかった。それが一番。何が原因かわからない」と、結果よりも思い通りの投げ方ができず、球も操れなかったことが悔しがった。 「内川さんには『下を向くな。次のチャンスのために(アイシングなど)できることを』と言われた」とすぐに声をかけにきた主将の気遣いに感謝していた。

◆ソフトバンクが16安打15得点の猛攻で西武に大勝。このCSファイナル3試合すべて球場で観戦しているソフトバンク王貞治球団会長(78)は2勝2敗となり、笑顔で球場を引き揚げた。 「大味な試合になったね。(先発の)千賀がよく抑えてくれたよ」。プロ初の中4日での先発マウンドに上がった千賀が5回1失点投球。「エース」の好投に目を細めると、打のヒーローとなった上林の打撃も称賛。「上林の(先制の)3ランが効いたね」と笑顔いっぱい。 メットライフドーム名物の108段の長い階段も力強い足取りで登り切ると「また明日頑張りましょう」と右手に握り拳をつくってハイヤーに乗り込んで行った。

◆ソフトバンクのドラフト4位ルーキー椎野新投手がCSデビューした。 この日昇格したばかりで、10点リードの8回無死一塁で登板。まずは浅村を二ゴロ併殺に打ち取った。2死から四球と栗山の二塁打で1点を失ったが、9回は3つのアウトを三振で取るなど持ち味を発揮した。 椎野は「緊張はあまりしなかった。流れを持っていかれないように、と思っていました。初回は難しかったけど、9回は自分の投球ができたと思います」と振り返った。 5月に1軍で1試合に登板したが、その後は体調不良で試合に投げられない時期もあった。「チームに迷惑をかけた。CSで力になりたいと思っていたので、呼んでもらえて良かった」。ドラフト2位の高橋礼、育成から支配下になった大竹とルーキー3人が1軍に。「やっと同じ舞台に立てたと思う。いい刺激になっていました」と話した。

◆ソフトバンク工藤公康監督が思い切ったオーダー変更で西武と2勝2敗のタイに戻した。 「勝つために最善策を選びました。ぼくとしては苦渋の決断。あれだけ勇気がいったことはそうはない」と不調だった松田宣をスタメンから外し、内川を一塁に、グラシアルを1軍で未経験の三塁に起用した。打線はつながり先発全員16安打でCS最多の15得点と爆発した。 松田宣は試合中も上着を着ながらベンチで盛り上げ続け、11点差の付いた5回守備から途中出場した。試合後には「短期決戦なのでそこは考えていた。盛り上がったと思う」と話した。工藤監督は「選手たちの勝ちたい思いが形として表れたと思う。満足です」と振り返った。

◆ソフトバンクが圧倒的な打撃力を示し、2勝2敗のタイとした。16安打15得点で、前日11安打13得点された西武に、2桁得点でお返しした。2番の上林誠知外野手(23)が、先制3ランを含む3安打6打点と打線をけん引。プロ野球史上初のポストシーズンでのサイクル安打こそ逃したものの、躍動する2番打者が圧勝に導いた。 ▼ソフトバンクが15点の猛攻で2勝2敗のタイとした。プレーオフ、CSで15得点以上は、77年日本シリーズ第1戦阪急18点、13年ファーストステージ第2戦西武15点に次ぎ3度目。球団では06年ファーストステージ第2戦の11点を上回る最多。今ステージはソフトバンク10点→西武13点→ソフトバンク15点。プレーオフ、CSで2度の2桁得点は04年西武(ファーストステージ第1戦、ファイナルステージ第2戦)以来2度目で、同一ステージでは初。日本シリーズでも3度記録した05年ロッテ(第1~3戦)しかない。 ▼上林が3~5回に3イニング連続打点を挙げて6打点。3イニング連続で打点をマークしたのはポストシーズン(PS)史上初。また1試合6打点はPS史上6人目の最多タイ。 ▼内川が本塁打を含む2安打1打点を挙げ、CSでは通算45安打、8本塁打、24打点。本塁打、打点は歴代トップに並び、安打もトップの和田(西武-中日)に1本差に迫った。

◆西武は投手陣が大崩れした。4投手が計16安打を浴び、CSワーストタイ記録の15失点を喫した。辻監督は「(先発の)榎田はブルペンから悪かった。(2番手の)十亀は、らしくない。荒々しく向かっていくのがなかった」と、ともに3四球で失点を重ねた両投手を嘆いた。特に悔やんだのは、榎田が3回無死一塁から甲斐に与えた四球だ。「アウト1つ、ラッキーなのに。1点ぐらいと思って投げてくれれば」。バントの構えをする9番打者を歩かせ、そこから上位に回され、一気に4失点。歯がゆさが募った。 アドバンテージの1勝を加え、2勝2敗のタイとされた。大敗したからこそ、辻監督は「五分でしょう。まだまだ。崖っぷちじゃない」と切り替えを強調した。好材料は、打線が好調なこと。特に、前日からスタメン復帰した外崎が2ランを含む2安打で、攻撃に厚みが戻った。「打線は心配していない。お互い何点あったって、打線が良いチームだから、余計に投手陣が踏ん張らないとね。1点でも少なくね。(今井は)ガンガン、行ってくれれば」。指揮官の期待は、今日先発の2年目右腕に向けられた。【古川真弥】

◆ソフトバンクが圧倒的な打撃力を示し、2勝2敗のタイとした。16安打15得点で、前日11安打13得点された西武に、2桁得点でお返しした。上林誠知外野手(23)が、先制3ランを含む3安打6打点と打線をけん引。プロ野球史上初のポストシーズンでのサイクル安打こそ逃したものの、躍動する2番打者が圧勝に導いた。 上林が、お返しだ! 前夜の西武栗山に並ぶポストシーズン最多タイの6打点を挙げ15得点の大勝に貢献した。3回1死二、三塁、左腕榎田のカーブを右翼席へ高々と運ぶ先制3ラン。「変化球は頭にあったので反応で打った」。4回に中前適時打。5回には右中間へ2点適時三塁打。二塁打が出ればプレーオフ史上初のサイクル安打となり「狙っていました」と、その気だったが二ゴロ、二飛に終わり「持ってない」と苦笑した。 ファイナルSは第2戦まで9打数1安打。「今日も松田宣さんがスタメンを外れた。自分が外れると思っていた。そういう姿を見て結果が出ないとそうなると感じた」と、危機感を覚えての第3戦だった。昨年はCSファイナル2戦で結果を残せず3戦目から出番がなかった。悔し涙を流した昨年とは違う。今季は初めて143全試合に出場した。 交流戦ごろだった。上林は突然、シーズン中に戦力外になる夢を見た。「ビックリして起きたら、めちゃくちゃ泣いていた。野球がなくなったら、何の仕事したらいいんだろう...。そういう夢を昔、ギータさん(柳田悠岐)も見たと話していた。今は僕ももう見ませんけど」。レギュラーを守り抜く恐怖心を乗り越え大きく成長した。 CSファイナル前日、宮崎から合流した師匠内川に焼き肉へ誘われた。この日は「オレとキャッチボールして1戦目打っただろ」と長谷川勇が縁起をかついで相手をしてくれた。頼れる仲間に囲まれながら23歳は日々、成長する。「まだ若いので今はガムシャラにいくだけ」。一気に日本シリーズへのキップをつかむ。【石橋隆雄】

◆ソフトバンク工藤監督が覚悟のオーダー変更で爆勝を呼んだ。 CS5試合21打数4安打と不調の松田宣を先発から外し、ファイナルSから合流した内川を先発起用した。内川は6回のダメ押しソロを含む2安打と、采配ズバリ。同監督は試合前、神妙な顔で「勝つために最善策を選びました。ぼくとしては苦渋の決断。あれだけ勇気がいったことはそうはない」と話した。圧勝に「選手たちの勝ちたい思いが形として表れた。満足です」と胸をなで下ろした。

◆8月21日ロッテ戦以来、約2カ月ぶりの手応えだった。大量12点差をつけられて迎えた7回。内角低めのチェンジアップを左翼席に運んだ西武外崎は「自分の出したいところに、出したいタイミングでバットを出せた。1本出ることでスイングも迷いがなくなるし、いいイメージを持てると思う」とうなずいた。 3回のCS初安打を含む2安打2打点。己の感覚を少しでも取り戻すため、今ステージから打撃用革手袋をワンサイズ小さくした。「1試合で結構伸びちゃうので、より手にフィットした方がいいと思って」。シーズン中は違和感を感じながらも変えなかった。しかし、左腹斜筋の張りによる離脱で失った打席感覚を何とか呼び戻そうと、大一番を前に変更を決断した。 急きょ決めてメーカーに依頼したため、現在の革手袋は背番号も名前も入っていない。それでも「タイミングを早めに取る」ことを意識したフォームも徐々になじみ、結果につなげることが出来た。 大敗を喫したが「また明日は0-0からの新しい試合。何としても先制して有利に進めたい」と切り替えた外崎。その手の感触を、次は勝利につなげる。【佐竹実】

◆西武山川が意地の1発を放った。 0-7の4回1死、ソフトバンク千賀の149キロ直球を左翼席上段まで飛ばした。ファイナルステージ2号で本拠地を沸かせたが、反撃ののろしとはならず「今日しか見に来ない人もいると思うので、ファンのためにやった。何もできないで終わるのは嫌だった。悪あがきじゃないけど、1本出たことはよかった」と悔しさをにじませた。

◆ソフトバンク内川が復帰後初本塁打を放った。 ファイナルS初戦で合流してから初スタメンとなったこの日、「7番一塁」で出場。6回先頭で武隈から左中間へ豪快なソロを放った。CS最多タイ8本目となり、仲間からはアゴタッチで祝福された。「代打だとそれで終わりだけど、スタメンだと失敗しても次で取り返せる。打たないよりは打つ方がいいけど、流れの中で打ちたかった」と振り返った。

◆ソフトバンク工藤公康監督(55)が覚悟のオーダー変更で西武と2勝2敗のタイに持ち込んだ。調子の上がらなかった松田宣浩内野手(35)を先発から外した打線は、先発全員安打の大当たり。上林の3ランや内川の復帰弾などで、CSタイ記録の15点を奪い快勝した。 工藤監督が重い決断を下した。試合前、神妙な顔で「勝つために最善策を選びました。ぼくとしては苦渋の決断。あれだけ勇気がいったことはそうはない」と話した。このCSここまで5試合で21打数4安打と調子の上がらなかった松田宣をスタメンから外した。 松田宣に代わり、ファイナルSから合流した内川が一塁。中村晃が左翼に回り、グラシアルが本職ではあるが今季1軍では経験のない三塁に就いた。思い切ったオーダー変更が実り、先発全員の16安打で、CS最多タイの15得点を挙げた。内川も6回に左腕武隈から左中間へソロ本塁打を放ち、復調をアピール。工藤監督は「選手たちの勝ちたい思いが形として表れたと思う。満足です」と胸をなで下ろした。 球場に着くと、一番に松田宣を監督室に呼んだ。チームに先発メンバーを発表する前に、本人に先発落ちを伝えた。試合前には王球団会長も松田宣を呼び、約5分間話し込んだ。今季は全試合に出場し、先発を外れたのは6月1日のDeNA戦1試合のみ。チームのムードメーカーが外れることによる周囲への影響なども考え、最大限に配慮した。 松田宣は変わらず入念に試合前の練習に取り組み、試合が始まると上着を着てベンチから声を張り上げた。「短期決戦なので、そこは考えていた。盛り上がったと思う」。11点差が付いた5回の守備からは途中出場。2打席で快音は聞かれなかったが、マウンドに上がったルーキー大竹や椎野にも積極的に声をかけ、ベテランとしての役割を務めた。20日の先発復帰は未定だが、藤本打撃コーチは「短期決戦やから、いい人から使わないとね。(20日西武先発の)今井からはマッチ(松田宣)も内川も打っている。うれしい悩みよね」と話した。 西武と2勝2敗のタイに戻した。指揮官は「まだタイなのでね。やっと並んだというところ。とにかく明日。みんなで力を合わせて勝てるようにしたい」。球団初2位からのCS突破へ、覚悟を決めた鷹が強さを見せつける。【山本大地】

◆確かに、西武もソフトバンクも打線は強力だ。CSファイナル3試合で両軍の総得点は51点(ホークス30点、西武21点)となった。2勝2敗の五分に戻した工藤ソフトバンクから言えば、打ち勝って、打ち負けて、そして打ち勝った3試合であった。派手な打ち合いに目を引かれがちだが、裏を返せば、やはり野球は「投手」ということだろう。 「今日は、早め早めの継投でいきますよ」。試合前、若田部投手コーチはそう話していた。千賀の好投で不安視された「早期継投策」は使わずに済んだ。先発投手が踏ん張れば、試合は「形」になる。西武はこの3試合、先発陣が踏ん張り切れていない。この流れでいけば、五分に追いついたホークスが有利になったとも言えるのではないだろうか。言わずもがなだが、今日20日の第4戦が今CSファイナルの勝負を左右する一戦となる。先発予定の東浜が中4日でマウンドに上がる。千賀に続きたいところだ。 王手をかけることができれば、第5戦はサブマリン高橋礼あたりが先発し、千賀も投入する「総力戦」の構えだ。この日の大勝で中継ぎの武田、石川に加え、嘉弥真、加治屋、森らの「勝利の方程式」が温存できた。残り3試合。ブルペンもフル稼働で残り2勝をもぎ取る算段だ。 「五分になったといってもまだまだ。相手は引き分けでもいいし、明日勝って本当の五分じゃろ。とにかく明日の試合が鍵を握るよ」。達川ヘッドコーチはさらに気を引き締めた。最後は「投手力」...。攻めの気持ちでレオ打線を封じ込む。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆レギュラーシーズン2位のソフトバンクが6打点の上林をはじめ打線が爆発し大勝。対戦成績を2勝2敗(西武のアドバンテージの1勝を含む)のタイとした。先発の千賀は5回を投げて4安打1失点と好投。西武は先発の榎田、2番手の十亀の乱調が誤算だった。  ソフトバンクは三回、先頭の8番・西田の左前打や9番・甲斐の四球などで一死二、三塁とし、2番・上林が右翼席へ運ぶ3ランを放って先制。さらに3番・グラシアルの二塁打などで二死一、三塁とし、6番・中村晃の左前適時打で差を広げた。  ソフトバンクは四回、この回から登板した西武の2番手・十亀を攻め、一死一塁から1番・川島が右中間を破る適時二塁打を放つと、続く上林も中前適時打。さらに一死満塁とし、5番・デスパイネの右犠飛で追加点を挙げた。西武もその裏、一死走者なしから山川の左翼席への豪快な本塁打で1点を返した。  五回、ソフトバンクは先頭の7番・内川が左前打で出塁すると、8番・西田の犠打で二進。9番・甲斐の三遊間へのゴロを西武の三塁・中村が弾き、ボールが中堅方向に転がる間に内川が生還。さらに一死一、二塁から2番・上林が中越2点三塁打、3番・グラシアルが右翼線適時二塁打、4番・柳田が中前適時打とつるべ打ち。この回5点を奪った。  ソフトバンクは六回にも内川が左中間へソロ本塁打を放ち13-1。西武は七回、8番・外崎が左翼ポール際へ2ラン。八回には栗山が適時二塁打を放ったが、ソフトバンクは九回にデスパイネの2点二塁打で突き放した。

◆レギュラーシーズン2位のソフトバンクが6打点の上林をはじめ打線が爆発し大勝。対戦成績を2勝2敗(西武のアドバンテージの1勝を含む)のタイとした。  以下、上林の一問一答。  --三回に先制3ラン  「狙いは特になかったんですけど、変化球は少し頭にあったので、うまく反応で打てたと思います」  --その後も単打、三塁打が出た  「スリーベースに関してはいつも狙って打っている訳ではないので、(野手の)間を抜けたら常に次の塁は狙おうと思っています」  --第5、第6打席はポストシーズン史上初のサイクル安打がかかっていた  「ベンチでも言われていましたし、最後の打席ではスタンドからも言われたので意識はしたんですけど、持っていなかったですね」  --守備では素晴らしいバックホーム  「ただその前のライト前ヒットは本当は取れたので、自作自演みたいな感じになってしまって、ちょっと申し訳なかったです」  --チームは打線がつながる  「西武打線もすごい打線なので、打ち負けないようにしていきたいと思います」  --昨年は悔し涙もあった  「去年のことは去年のことで、今年は今年なので、目の前の勝負をきっちり戦っていくだけだと思います」  --明日以降に向けて  「今日でタイにはなったんですけど、まだ勝ち越しはできていないので、明日まず勝って、勝ち越しできるように頑張りたいと思います」

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は19日、セ、パ両リーグともに第3戦が行われ、メットライフドームでは、2位ソフトバンクが10年ぶりにパ・リーグを制した西武に15-4で大勝した。対戦成績はソフトバンクが勝ち越したが、西武にはアドバンテージの1勝があるため2勝2敗のタイ。  ソフトバンクは三回、上林の3ランと中村晃の適時打で4点を先制。四回に川島の適時二塁打と上林の適時打などで3点を追加した。20日の第4戦の先発は西武が今井、ソフトバンクは東浜と発表された。  日本シリーズは27日にマツダスタジアムで開幕する。 西武・辻監督 「榎田は抑えてくれればと思ったけど。ソフトバンクは調子に乗りだしたら打つ。お互いに打線のいいチームなので、投手がいかに踏ん張るかということ」

◆西武の4番山川が今CS2本目の本塁打を放った。四回、レギュラーシーズンで4本塁打を浴びせた千賀の直球を捉え、打った瞬間にスタンドインと分かる強烈な当たりを飛ばした。  チームは大敗し、主砲は「何もないです」と足早に引き揚げた。 栗山(八回に適時二塁打を放ち3試合連続打点) 「打てる球をしっかり打とうという気持ちで打席に入った。これが(第4戦以降に)つながればいい」 西武・土肥投手コーチ(先発の榎田が4失点し、四回から登板の十亀も8失点) 「早めに(継投に)いったけど、裏目になってしまった」

◆西武の外崎が三回に今CS初安打となる右前打を放ち、七回には内角低めの変化球を捉えて左越えに2ランを飛ばした。チームは大敗したが「今までの迷いはなくなるだろうし、いいイメージで入っていける」と前向きに語った。  第2戦を終えて計6打数無安打。9月上旬に発症した腹斜筋の張りの影響で実戦から離れ、感覚と体の動きにずれがあったという。「出したいところに、出したいタイミングで(バットが)出た」と復調へのきっかけをつかんだ様子だった。

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は19日、セ、パ両リーグともに第3戦が行われ、メットライフドームでは、2位ソフトバンクが10年ぶりにパ・リーグを制した西武に15-4で大勝した。対戦成績はソフトバンクが勝ち越したが、西武にはアドバンテージの1勝があるため2勝2敗のタイ。  ソフトバンクは三回、上林の3ランと中村晃の適時打で4点を先制。四回に川島の適時二塁打と上林の適時打などで3点を追加した。20日の第4戦の先発は西武が今井、ソフトバンクは東浜と発表された。 ソフトバンク・工藤監督 「上林君は常に打席で集中していた。(先制3ランは)本当によく打ってくれた。まだ優位に立ったわけではない。また力を合わせてやりたい」

◆ソフトバンクの内川が今CSで初先発し、六回に左中間にソロ本塁打を放った。ただ、12-1と大勢が決した状態での一発に「個人的には良かったけれど、欲を言えばもっと早く打ちたかった」と満足していなかった。  右肩痛などで戦列を離れ、ファイナルステージからチームに合流。2戦目までは代打での出場だった。「代打だったら(1打席で)終わり。ミスをしても次がある」と慣れ親しんだ先発のリズムで快音を響かせた。 椎野(八回無死一塁から登板し、2回を投げ1安打1失点) 「九回は角度があって、練習してきた直球が出せた」 松田宣(先発を外れ、五回の守りから出場) 「チームが勝ったので良かった」 ソフトバンク・藤本打撃コーチ(上林の先制3ランに) 「あの本塁打は大きかった。しっかり振れているから結果が出る」

◆ソフトバンクの川島が4-0の四回一死一塁で右中間を破る適時二塁打を放った。前の打者の甲斐が送りバントを試みて捕邪飛に倒れており「ずるずると行かなくて良かった」と味方のミスを帳消しにする一打を喜んだ。  出番は相手が左投手のときが中心で、ファイナルステージ第1戦でも3安打3打点と活躍。出場が限られる中で存在感を発揮しているベテランは「しっかりとした野球をやれば、勝てるチャンスがある」と気を引き締めていた。

◆ソフトバンクの15得点は、2013年のCSファーストステージ第2戦で西武がロッテからマークして以来、04年から06年のプレーオフを含めてCS最多タイ記録となった。工藤監督は「勝つんだ、という強い思いが表れた。いい試合で勝ててほっとしている」と満足そうにうなずいた。

◆ヒュ~イ ヒュイ ヒュイ♪ 所沢の森に"琉球の風"が吹いた。  試合前練習のストレッチ中、突然始まった『指笛講座』の指南役は沖縄出身の山川。音だけでなく、西武応援団のチャンステーマのメロディーまで指笛で奏でるスゴ技に一堂仰天だ。  「沖縄の人は、できる人が多いですよ。高校の応援団で指笛団があったくらい。歌うような感じですね」と山川。舌の使い方などの指導を受け、数人は音が鳴るようになり、熊代は「僕はセンスあるんで」とドヤ顔。一方、源田は音が出る気配なし。巧打堅守の職人も、首をかしげるばかりだった。

◆4番・山川が四回に今CS2本目の本塁打を放った。レギュラーシーズンで4本塁打を浴びせた千賀の直球を捉え、左翼席に運んだ。CS3試合で2安打はいずれも本塁打。試合後は厳しい表情だったが「何もできないまま終わるのは嫌だった。1本出てよかった」と振り返った。

◆プロ初の中4日で上がった鬼門のマウンドで、先発の柱の意地を示した。千賀は5回4安打1失点で7奪三振。今季はメットライフドームで3戦3敗、9本塁打を浴びて19失点と打ち込まれていたが、大事な一戦で勝利を呼び込み「あまり好きじゃないマウンドで、どう対処するかを考えていた。いい投球ができた」と胸を張った。

◆外崎が三回に今CS初安打となる右前打を放ち、七回には内角低めの変化球を捉えて左越えに2ランを飛ばした。チームは大敗したが「今までの迷いはなくなるだろうし、いいイメージで入っていける」と前向きに語った。9月に腹斜筋の張りで戦線離脱。10月の復帰後も再発し、一時はCS出場も危ぶまれたが「出したいところにバットが出せた」と復調への手応えを口にした。

◆前夜の大勝をそのままひっくり返されたような完敗に、メットライフドームはレオ党のため息が充満した。  「打線がいいのは分かっているし、調子に乗らせるとこうなる。いつも言っているように四球が大量点につながる。普通に考えたら(十亀は)もう使えないよ」  淡々と試合を振り返っていた辻監督の口から、先発全員安打を許した投手陣へは厳しい言葉が続いた。先発の榎田が三回、無死一塁から9番・甲斐へ四球を与えてピンチを拡大すると、上林に先制3ランを浴び、3回4失点でKOされた。  負の連鎖は中継ぎにも及んだ。ロングリリーフを期待された2番手の十亀は2回で3四球を与え、7安打8失点と大炎上。試合後は「チームに迷惑をかける内容だった。申し訳ないです。次に向けて引き締め直したい」と話したが、20日にD3位・伊藤(四国IL徳島)に代わって出場選手登録を外れることが決まった。武隈、野田も失点し、計15失点。3試合で計30失点と、シーズン中も苦しんだ"投壊"が短期決戦でも顕著になっている。  それでも「まだ五分でしょ。崖っぷちじゃない。まだまだ」と辻監督。打ち勝つしか、すべはないのかもしれない。 (花里雄太)

◆パ・リーグは2位ソフトバンクが、10年ぶりにリーグを制した西武に15-4で大勝した。上林誠知外野手(23)が、三回の先制3ランなど3安打6打点の大暴れ。対戦成績はソフトバンクが勝ち越したが、西武にはアドバンテージの1勝があるため2勝2敗のタイとなった。  取られた翌日は、さらに取る。日替わりの打ち合いで、2勝2敗の五分とした。前夜の13失点のうっぷんを晴らした鷹の主役は上林だ。  「1、2戦目は何もできなかったので。西武打線はすごいので打ち負けないようにしたいです」  三回一死二、三塁で榎田のカーブを右翼席へ。先制3ランで打線に火をつけた。四回に中前適時打。五回一死一、二塁で右中間へ2点三塁打。「狙いました」というCS史上初のサイクル安打は逃したが、1試合6打点は前日18日の西武・栗山に続くポストシーズン最多タイだ。守っては三回に本塁補殺。好返球で西武の反撃の芽をつんだ。  15得点はCS最多タイでチームのポストシーズン過去最多となった。第1戦は10-4の快勝で、第2戦は5-13の大敗。日をまたいだ打ち合いの中、工藤監督は大きな決断を下した。体調不良や右肩痛から復帰した内川を先発起用。代わりに松田宣を外した。  「こんなに勇気がいったことはない。苦渋の決断だった」  長年のチームの顔である2人の選択。今後の雰囲気も左右する分岐点で「いい試合ができてほっとした。選手たちの絶対に勝つという強い思いの表れ」と気持ちを込めたが、ヒーローの上林にとっても人ごとではない。  「松田さんでも外れたので。(第2戦まで8打数1安打の)自分が外れると思った。結果が出ないとそうなるのが短期決戦だと感じました」  自身も昨年のCSは無安打で、第3戦から出番が消えた。日本シリーズ進出の歓喜のベンチで一人、悔し涙。ポジションを譲った城所に「お前がいたから、ここまで来られた」と慰められた。屈辱から1年。堂々とお立ち台に上がった。 (安藤理) 先発を外れ、五回の守りから出場したソフトバンク・松田宣 「チームが勝ったので良かった」 上林の先制3ランにソフトバンク・藤本打撃コーチ 「あの本塁打は大きかった。しっかり振れているから結果が出る」 3安打1打点のソフトバンク・グラシアル 「今はチーム全体がいいね。それぞれが役割を果たしている。三塁も久々に守れてよかったよ」 八回無死一塁から登板し、2回を投げ1安打1失点のソフトバンク・椎野 「九回は角度があって、練習してきた直球が出せた」

◆予想以上に大差がついたと思うかもしれないが、今季のソフトバンクと西武の力の差は大きい。経験も年俸も違う。レギュラーシーズンでは優勝した西武だが、がっぷり組んで勝ち切れるかといえば、かなり難しい。18日の第2戦に勝った時点で、初めて"五分"だと感じていたほどだ。  この試合には、今季貫いてきた"辻野球"が見られなかった。例えば三回。4点を先制された直後の無死一、二塁から犠打で送らなかった。1点でも取っていたら、その後の展開は違っていたのではないか。二走・森は足の速い選手ではないが、二死の状況ならエンドランなど、もっと足を使うべきだった。  今季は打ちまくって勝ったイメージが強いかもしれないが、しっかりした戦略で1点を取るのが辻監督の戦い方だ。それができる選手はそろっている。本来の"西武野球"で臨んでほしい。 (サンケイスポーツ専属評論家)