西武(★4対10☆)ソフトバンク =クライマックスシリーズ1回戦(2018.10.17)・メットライフドーム=
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ソフトバンク
100501300101610
西武
0021010004812
勝利投手:バンデンハーク(1勝0敗0S)
敗戦投手:菊池 雄星(0勝1敗0S)

本塁打
【西武】栗山 巧(1号・4回裏ソロ),山川 穂高(1号・6回裏ソロ)

  DAZN
◆ソフトバンクがファイナルステージ第1戦を制した。ソフトバンクは1点を追う4回表、川島、上林、グラシアルの3者連続適時打で5点を奪い逆転する。その後は7回に長谷川勇の適時打が飛び出すなど、終わってみれば16安打で10得点を挙げた。敗れた西武は、先発・菊池が6失点と試合をつくれなかった。

◆サッカーJ1浦和レッズの元日本代表MF阿部勇樹(37)が、始球式を務めた。 浦和で着けている背番号「22」のユニホームで登場。見事にストライク投球を決め、捕手炭谷と笑顔で言葉を交わした。「サッカーで言うと、90分終わってロスタイムも戦い終えたくらい疲れました」と話した。 始球式は、西武が日本一に輝いた08年以来10年ぶり。「前回はワンバンだったので、同じがいいのか、しっかり投げた方がいいのか考えた。しっかり投げて、(西武の)あとの戦いにいい流れを持ってこられたらなと思いました」と話した。 西武ファンで、レギュラーシーズンには観戦のためメットライフドームを訪れたこともあった。CS突破に向け「どんなにいい戦いをしても、勝たないと意味がない。勝って、ファンの方を喜ばせてほしい」と期待していた。

◆西武の栗山巧外野手が、反撃の1発を放った。 先頭で迎えた4回、カウント1-1からソフトバンク先発バンデンハークの152キロ直球を左翼席へ。1号ソロで1点を返し3点差とした。 4回にソフトバンクに一挙5点を奪われ沈んでいた球場の雰囲気を変え「点差に関係なく、いいスイングができました」とコメントした。

◆ソフトバンク打線が得意の西武菊池を攻略した。1点リードされた4回2死満塁。1番川島慶三内野手が左前へ逆転の2点適時打。「打ったのはカットボール。逆転されて、すぐだったので、逆転できてよかった」と一塁ベース上で喜びを爆発させた。 さらに続く上林が同じくカットボールをとらえ、中堅手秋山の横を抜ける2点三塁打。「(川島)慶三さんが打って逆転した後でしたが、追加点がほしいところだったので、打ててよかった」。3番グラシアルもカットボールを強烈な打球で三遊間を破る適時打を放った。4回に打者9人、2死から一気に5点を奪った。菊池は5回、104球で6失点で降板。 菊池には今季レギュラーシーズン最後の対決となった9月28日に通算19試合目で初白星を献上した。しかし下克上日本一を狙う大事な初戦で、豪快にKOを食らわせた。

◆シーズン2位でCSファーストステージを勝ち上がったソフトバンクが16安打10得点の猛攻で、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを先勝、西武のアドバンテージ1勝を含め通算1勝1敗となった。 ソフトバンクが先手を取った。1回2死、3番グラシアルが左翼フェンス直撃の二塁打。暴投で三塁に進塁し4番柳田が右前適時打で先制した。柳田はCSファーストステージ3試合で9打数1安打と苦しんだが、貴重な先制点をもたらした。 西武も3回に反撃。2死一塁から源田の右翼への適時三塁打で同点、浅村の適時中前打で一時は勝ち越した。 ソフトバンクは4回に打線が爆発。2死一塁から西田と甲斐がつないで満塁とし、1番川島が逆転の2点適時打。さらに上林が2点適時三塁打、グラシアルが適時打と3者連続タイムリー。打者9人の猛攻でこの回一挙5点を奪ってリードを4点に広げた。 9年目でCSファイナルステージ初先発の西武菊池は5回6失点で降板。苦手のソフトバンク戦では、9月28日にプロ初勝利を挙げたが、2試合連続でソフトバンクから白星を挙げることはできなかった。 ソフトバンクは7回に代打策も的中。1死一、二塁で代打内川が中前打で満塁とし、代打長谷川が2点適時打を放つなど、3点を加点。今季リーグトップの代打成功率を誇る代打陣がCSでも勝負強さを発揮した。 ソフトバンク先発のバンデンハークは6回4失点。7回から武田、嘉弥真、加治屋でつなぎ、最後は森で締めくくり、まずは1勝をもぎ取った。

◆ソフトバンク川島慶三内野手が、1番起用に応え、決勝タイムリーを含む3安打3打点の活躍でCS先勝へ導いた。 1点を追う4回、2死満塁のチャンスで西武菊池から逆転の2点適時左前打を放った。7回にも10点目となるタイムリーで試合を決定づけた。 「第1戦目に西武のエースという菊池雄星君が投げてくるんで、そこを潰して僕らが勝ち上がることそのイメージを持って、みんなで勝った1勝だと思います。(3安打は)たまたまです。打撃コーチの言うことを聞く。それだけです」と勝利を喜んだ。 さらに戦列を戦列を離れていた内川がファイナルシリーズから復帰し代打でいきなり中前打。「代打に長谷川、内川さん、厚み増しました。いけます。いきます」と2年連続日本シリーズ進出へ声をはずませた。

◆ソフトバンク内川聖一内野手が復帰戦で安打を打った。 7回1死一、二塁で「代打内川」がコールされると、右翼席の鷹ファンも大きな歓声を送った。西武平井の初球をとらえ、鋭いライナーで中前へ。満塁にチャンスを広げ、大きな追加点につながった。 内川は「緊張しましたね。バットを出したら当たりました。勝てたので良かったです」とホッとした表情で話した。

◆西武菊池雄星投手(27)が、5回9安打6失点で敗れた。9月28日のソフトバンク戦でプロ入り後未勝利だった"天敵"から初勝利を挙げたが、大事なファイナルシリーズ初戦で敗れた。 1回に先制を許すと、打線が逆転した直後の4回に5点を奪われ「逆転してもらったあとですし」と悔やんだ。指に血マメができた影響もあり、制球が定まらない。4回は2死一、二塁から9番甲斐に四球を出してピンチを広げたことで大量失点につながった。 「それがすべてだと思います。前に飛ばさないようにと思って、カウントを悪くしてフォアボールを出してしまった」と反省した。

◆202発打線のソフトバンクが本塁打なしの16安打10得点の猛攻で第1戦を快勝した。1位西武のアドバンテージを含め1勝1敗のタイとなった。 工藤公康監督(55)は「初戦は本当に大事。それを取れたのは、選手がよく頑張ってくれたということ。ここからもう1度、どちらかがあと三つ勝つか。まずは明日。先を見ずに」と喜んだ。 菊池を4回に攻略。5回6失点でKOさせた。シーズン最後に対戦した9月28日に通算19度目で初白星を献上したが、大事なCSファイナル初戦でやり返した。 西武の2番手以降の投手からも4点を追加。工藤監督は「5点を奪ったので、そのままというよりは、みんながもっと点を取るんだと分かっていた」と、山賊打線が反撃できないように、攻め続けた打線をほめた。「あの(西武)打線に4点なら上等。バンデンハークも我慢して投げてくれた」と、先発バンデンハークやリリーフ陣の踏ん張りもねぎらった。

◆西武辻発彦監督(59)は、5回6失点でKOされた先発の菊池について「指がちょっとおかしかった。血マメができていたようだ。スライダーが全然曲がらなかった」と言い、「あれ以上投げたら、次投げられなくなる」と降板させた。 5失点した4回は、2死一、二塁から8番西田に右前打、9番甲斐に四球を与えて、大量失点につながった。辻監督は「2アウトから8、9番のところで(アウトを)取れなくてああなってしまったところがあるかもしれない。(打線が)勝ち越したから余計に力が入ったかもしれない」と言った。 次回登板はファイナルステージの展開次第で、中4日で第6戦に先発する予定。「もちろんいかなきゃいけないでしょう。あれだけ気合入っていて不完全燃焼でしょう」と期待した。

◆西武山川穂高内野手が1号ソロを放ったが、初戦を落とした。 3-7で迎えた6回1死、カウント2-2からソフトバンク・バンデンハークの5球目121キロのカーブをバックスクリーン左横へ運んだ。チームを勢いづける1発となったが、7回以降は無得点に終わった。追い上げられず「勝たないとね。それだけです」と振り返った。 CSならではの雰囲気や緊張感については「守備では多少緊張したけど、割といつも通りできました」と話した。 6回1死で、ソフトバンク川島のファウルゾーンへの打球を追ってソフトバンクベンチへ飛び込んだ。アウトにはならなかったが、気迫あふれるプレーに西武ファンからは歓声が湧いた。「完全捕球していないですからね」と悔しそうに振り返った。

◆ソフトバンクが16安打10得点と爆発し、CSファイナルS第1戦を快勝した。西武先発菊池雄星を攻略し、西武のアドバンテージを含め1勝1敗のタイに。球団史上初の下克上日本一へ、勢いに乗せる1勝となった。 ▼ソフトバンクがプレーオフ、CSで球団最多となる16安打(過去最多は15安打が2度)。本塁打なしで2桁得点はプレーオフ、CSで初めてとなった。4回には一挙5点で逆転。日本ハムとのファーストステージ第1戦の1回にも5点を挙げており、1イニング5点以上のビッグイニングを同一シーズンのプレーオフ、CSで2度マークしたチームは初めて。 ▼公式戦2位のソフトバンクが勝利。日本シリーズ進出をかけたプレーオフ、CSで1勝1敗に追いついたのは延べ13チーム目。過去12チームのうちシリーズ進出は75年阪急、04年西武、10年ロッテ、14年阪神の4チームで突破率33%。

◆西武先発の菊池はソフトバンクの勢いを止められなかった。5回9安打6失点KO。「しっかり初戦で止めるのが僕の役割だった。悔しいですね」と唇をかんだ。味方の逆転直後の4回が悔やまれた。2死一塁から8番西田に右前打、9番甲斐に四球で塁を埋めた。「どちらかで切れていれば。上位に回して苦しくなってしまった」。川島、上林、グラシアルに3者連続適時打を浴び、一挙5失点。主導権を失った。 3回ぐらいから左の中指に血マメができた。「関係はないです」と影響は否定したが、指にかかる球が少なかった。スライダーもうまく曲がらず、川島の逆転打は、内を狙ったスライダーが真ん中に入ったのを打たれた。5回104球で降板。辻監督は「次、投げられなくなる」と、第6戦までもつれた時に中4日で投入するため、早めに代えた。中指の状態次第だが、菊池は「そのつもりで準備したい。このままでは終われない気持ちが強い」と言った。球団は今オフ、ポスティングシステムによるメジャー挑戦を認める方針。第5戦までに敗退なら、この日が西武ラスト登板になってしまう。味方を信じ、次に備える。【古川真弥】

◆打線を改造したソフトバンクが16安打10得点と爆発し、CSファイナルS第1戦を快勝した。工藤公康監督(55)は左腕の西武菊池対策として川島を1番、8番にはCS初スタメンの西田を起用。7回の代打策もズバリはまった。得意にしていた菊池を攻略し、西武のアドバンテージを含め1勝1敗のタイに。球団史上初の下克上日本一へ、勢いに乗せる1勝となった。 逆転された直後の4回、ソフトバンク打線が2死から菊池に襲いかかった。1点を追う2死満塁、1番川島が内角へ入ってきたスライダーを引っ張り、左前へ逆転2点適時打。殊勲の川島は「逆転されてすぐだったので、逆転できてよかった」とガッツポーズ。上林もスライダーを捉え、中堅手秋山の横を抜ける2点三塁打。グラシアルも同じくスライダーを捉え、三遊間を破る適時打を放った。 菊池が制球に苦しんでいたスライダーを集中攻撃した。この回、打者9人の猛攻で5点を奪うと、5回6失点でKO。工藤監督は「しっかり狙い球を絞って打ったということ」、藤本打撃コーチは「菊池のスライダーはカットボールのようなもの。直球のタイミングで待って甘く入ったら打てるよね」と打線をほめた。 菊池対策で、右打者を6人起用した。CS初先発の西田は4回にチャンスメーク。川島は菊池に初白星を献上した9月28日以来の先発起用で、工藤監督の「左投手に対してよく打っている。相手にとって嫌なのが1番(での起用)」との狙いが的中した。7回には内川、長谷川勇と代打陣を送り出し、追加点を奪った。 左殺しの川島は「西武のエースの菊池雄星をつぶして、勝ち上がるイメージはみんなで持っていた」という。シーズン中には足を故障し練習すらままならない時期もあったが、指揮官はベンチから外さなかった。「川島がベンチにいると声かけで選手たちを励ます。うちのチームには絶対必要」と精神的支柱としての役割に感謝した。 CS突入前、川島はロッカー室で「うちは2位なんだ」と言い続けた。リーグ優勝を逃した悔しさを忘れさせ、挑戦者としてナインの気持ちを1つにさせた。202発打線の陰のヒーローはお立ち台で「代打に長谷川勇、内川さんと厚みが出た。(日本シリーズへ)いきます」と言った。大きな白星発進だ。【石橋隆雄】

◆「ミスター短期決戦」が本領を発揮した。体調不良で離脱していたソフトバンク内川聖一内野手(36)が1軍復帰でいきなり結果を残した。3点リードの7回に代打で登場し、中前にクリーンヒット。満塁にチャンスを広げ、ダメ押し打につなげた。復活のキャプテンがチームに勢いを与えた。 内川の出番はチャンスで回ってきた。3点リードの7回1死一、二塁。代打のアナウンスに右翼席の鷹ファンが沸いた。西武平井の初球を鮮やかに中前へ。1軍復帰の一戦でいきなり「ミスター短期決戦」の貫禄を見せた。「緊張しましたね。バットを出したら当たりました。勝てたので良かったです」と笑った。満塁にチャンスを広げ、ダメ押しの一打を呼んだ。 8月中旬に離脱し、2カ月ぶりに戦列に戻った。首脳陣も選手も、誰もが口々に期待の声を上げた。9月下旬に1度は実戦復帰したが、直後に肩痛で後退した。もどかしいリハビリの日々。万全ではない中で「やっているだけです。予定が変わったわけではない」と淡々と話した。メニューにはなかった打撃練習をしたこともあった。もがきながら、10月に再び実戦復帰。若手とともにフェニックス・リーグにも参加し、ポストシーズンに合わせるように調子を上げた。不死鳥のように復活し、大舞台に戻ってきた。 CSでは、過去に3度のMVPを取るなど部類の強さを誇る。だが内川自身は「状況が毎日違う。短期決戦だからどうだというものはない」と冷静に分析する。得意とされる短期決戦を特別視しないからこそ、代打で待機というこれまでと違う役割にも対応した。「力になれればいいですね」。この場所に立たせてくれた仲間への感謝の思いもある。帰ってきた主将は控えめに、西武撃破を見据えた。【山本大地】

◆大きな瞳がしっかりととらえていたのは栄光をたたえるトロフィーとペナントだったように思う。CSファイナル初戦を前にした西武のパ・リーグ制覇のセレモニー。一塁側ベンチ前に整列したホークスナインの先頭で工藤監督は「屈辱」をかみしめていたのかもしれない。球場内に響く称賛の拍手。背番号「81」は一拍遅れて、手を打ったように見えた。 連覇を誓いながら、所沢の地で力尽きたのはほんの3週間前。西武との敵地最終3連戦は3ゲーム差で挑みながら、連敗を喫して夢は散った。1位西武との最終ゲーム差は6・5。タラレバは禁物だが、あの3連戦、3連勝をもぎ取っていたらペナントの行方はどうなっていたか分からない。 だが、すべては終わったことである。リーグVは逃したとはいえ、日本一へのロードは続いている。CSファーストステージで日本ハムを撃破。チームは雪辱の地・所沢に戻ってきた。 1勝のアドバンテージを速攻で取り返した。16安打を放って10得点。「山賊打線」のお株を奪う猛攻で圧勝した。この日から戦闘メンバーに加わったキャプテン内川も代打で快打を飛ばした。1軍との実戦がなく、宮崎で調整してきた西武と比べれば「硬さ」も感じられなかったように思う。プレーオフ、CS制度になって過去2度(06年、12年)、ホークスはこの所沢で戦っているが、いずれもステージを突破している。「下克上」を誓うチームにとってゲンのいい数字とともに「V逸」の悔しさをぶつけてもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆10日ぶりの実戦となった広島が先手を奪った。一回、先頭打者の田中が四球を選んで出塁し、菊池の打席でエンドラン。見事に中前打で決まって無死一、三塁の好機をつくると、丸の二ゴロで先制点をもぎ取った。  実戦感覚が懸念される中、丸は「(心境に)特に変わりはない。自分たちの野球をやるだけ」と平常心を強調して臨んだ大一番。昨年涙をのんだ雪辱の舞台で、一回から幸先のよいスタートを切った。

◆ソフトバンクの柳田が一回に先制打を放った。2死三塁で菊池の厳しい内角の速球を右前に打ち返し「詰まったが、いいところに落ちてくれた。最初のチャンスで打てて良かった」とうれしそうだった。  レギュラーシーズンはメットライフドームで26打数5安打、打率1割9分2厘と振るわなかった。9月16日には練習中の打球を頭部に受け、6試合の欠場を余儀なくされた鬼門の球場でまずは好結果を出した。

◆ソフトバンクが四回の3連続適時打を含む16安打10得点で打ち勝ち、西武のアドバンテージ1勝を含めシリーズを1勝1敗とした。先発のバンデンハークが6回を7安打4失点ながら、打線の援護で勝利投手となった。  ソフトバンクは一回、二死からグラシアルが左越え二塁打の後、菊池の暴投で三塁へ進むと、柳田の右前適時打で先制した。  西武は三回、二死一塁から源田が右中間へ適時三塁打を放ち同点とすると、続く浅村の中前適時打で2-1と勝ち越した。  ソフトバンクは四回、先頭のデスパイネが中前打を放ち出塁すると、二死後に西田の右前打、甲斐が四球を選び満塁とすると、川島の2点左前適時打で逆転、さらに上林が左中間へ2点適時三塁打、グラシアルも左前適時打を放ちこの回一挙5点、6-2と再びリードした。  西武もその裏、先頭の栗山が左中間へ本塁打を放ち、3-6とした。  ソフトバンクは六回、一死から川島が左翼線二塁打を放つと、続く上林の遊ゴロで三塁へ進み、グラシアルの三塁適時内野安打で1点を追加、7-3とした。  西武もその裏、一死から山川が中越えの本塁打を放ち、4-7とした。  ソフトバンクは七回、先頭のデスパイネが三塁失策で出塁、続く中村が右前打、一死後に内川の中前打で一死満塁とすると、長谷川の2点中前打、続く川島の右前適時打で10-4と突き放すと、バンデンハークから武田、嘉弥真、加治屋、森とつなぎ、逃げ切った。  西武は、一度は逆転し2本の本塁打を放ったもののいずれもソロで、打線がつながらず大敗。先発の菊池は5回を9安打6失点と期待に応えられなかった。

◆ソフトバンクが四回の3連続適時打を含む15安打10得点で打ち勝ち、シリーズを1勝1敗とした。  以下、「1番・二塁」で先発出場し、3安打3打点と活躍した川島の一問一答。  --菊池投手を打って初戦を取りました  「第1戦目に西武のエース菊池雄星君が投げてくるので、そこをつぶして僕らが勝ち上がるっていうイメージはみんなで持ってたんで、みんなで勝った1勝だと思います」  --3安打3打点の活躍  「僕は3安打、シーズンで打ったことありません。たまたまです。ありがとうございます」  --出場した試合で結果を残すために大事にしていることは  「打撃コーチの言うことを聞く。それだけです」  --今日は結果につながりましたか  「はい、いつも感謝しています。ありがとうございます」  --いい勝ち方ができたのでは  「代打に長谷川、内川さん。厚みが増しました。いけます。いきます」  --明日以降の戦いについて  「明日以降は首脳陣がしっかりメンバー選んで、ベストのメンバーを持っていくんで、そこで僕は出たとこ勝負で頑張っていきます」

◆今季本塁打王に輝いた西武の主砲、山川が六回にバンデンハークのカーブを捉え、中越えにソロ本塁打を放った。チームが完敗しただけに「勝たないとね。出ないよりは気持ち的に楽というくらい」と淡々と話した。  他の3打席は三振に終わった。「三振したことよりも、その前に仕留めきれなかったという感じ。まだ試合は残っているので頑張る」と気合を入れ直した。 外崎(腹斜筋の張りで先発を外れたが、代打で出場し2打数無安打) 「けがは問題ない。短い期間なので、結果どうこうを考えている時間はない。悔いのないように全力でやる」 西武・土肥投手コーチ(6失点の菊池に) 「四回にビッグイニングをつくってしまったのがね。切り替えてやるしかない」

◆西武の辻監督は初戦を落としても、落ち着き払っていた。「ここからでしょう。あと、三つ勝てば」と慌てる様子はなかった。  エースの菊池が5回6失点で降板した。中4日での第6戦での登板も見据え「燃え尽きていない。行かなきゃいけない」としっ咤激励した。明るい材料は腹斜筋の張りを訴えていた外崎が代打で出場し、そのまま守備にも就いたこと。「出したいと思っていた。痛みもなさそう。違和感もない」と一息ついていた。 西武・辻監督 「粘り強く戦い(次に)つながる。これで落ち着いてできるでしょう。菊池は勝ち越してもらって、抑えようと力が入った。打つ方は気にしていない」

◆ソフトバンクのグラシアルが3安打2打点をマークし、打線を活気づけた。「勝てたことに満足している」とクールに喜んだ。  一回は2死から151キロの内角球を捉え、左翼フェンス直撃の二塁打を放った。暴投で三塁に進み、柳田の右前打で先制のホームを踏んだ。菊池の出ばなをくじく一打に「エースピッチャーでレベルが高い。先制点につなげられて良かった」と胸を張った。 ソフトバンク・工藤監督 「初戦の落とせない試合の中でよく選手が頑張ってくれた。(菊池に対し)しっかり狙い球を絞って打てた。先を見ないで次を戦って勝つだけ」 長谷川勇(七回に代打で中前に転がす2点打) 「ゲッツーだと思った」 西田(先発出場して1安打1得点) 「シーズン終盤から良かった。継続していきたい」 ソフトバンク・藤本打撃コーチ(菊池に) 「厳しい球と甘い球がはっきりしていた」

◆右肩痛などで戦列を離れていたソフトバンクの内川が復帰初戦の七回1死一、二塁で代打に起用されると安打を放った。平井の初球を鮮やかに中前へはじき返し「バットを出したら当たった。緊張した」と笑みを浮かべた。  レギュラーシーズンは2度も離脱し、71試合の出場にとどまり打率2割4分2厘、8本塁打と苦しんだ。ただ、CSで過去3度も最優秀選手に選ばれているベテランの復帰はチームにとって心強い。「力になれれば」と短い言葉で第2戦に目を向けた。

◆ソフトバンクの嘉弥真が6点リードの八回に3番手で好救援した。先頭打者の秋山を中飛、続く源田を空振り三振とし、対左打者を完璧に抑えてマウンドを降りた。  9月27日の対戦で秋山に逆転3ランを浴び、球団タイ記録にまで伸びていた連続試合無失点が31で途切れた。ファイナルステージが始まる前からリベンジに燃えていた因縁の相手を封じたが「点差があったので本当の秋山さんではない。抑えられたのは良かった」と喜び方は控えめだった。

◆Vamos(頑張れ)! ソフトバンクの練習中、キューバ代表のユニホームに身を包んだ3人組が、デスパイネ、モイネロらを激励した。日本在住25年のキューバ人、マリオ・カガワさんはデスパイネが2013年WBCでキューバ代表として来日したときからの友人。この日はキューバから来日した友人2人を伴い、応援に駆けつけた。  「デスパイネはとても明るくて楽しい男。絶対活躍するよ」とマリオさん。01-07年に西武に在籍したキューバ系ベネズエラ人のカブレラとも親交が深く、「在日キューバ人の草野球チームのユニホームは、カブレラが作ってくれたものなんだ」という秘話も披露。ラテン系のノリでCSを楽しんでいた。

◆8月中旬から体調不良や右肩痛で戦線離脱が続き、前日16日に合流した内川が復帰後初打席で安打を放った。七回一死一、二塁の追加点機に昨年6月30日以来となる代打で初球を中前へ運び、この回の3得点につなげた。安打製造機は「緊張した。バットを出したら当たった」とガッツポーズで喜んだ。

◆柳田が第1打席に先制適時打で流れを呼び込んだ。一回二死三塁で菊池が投じた153キロの直球を引っ張って右前打。「ここではやられっ放し(9月にメットライフで5連敗)だった。みんなで束になっていった」と胸を張った。ファーストステージ第1戦でも初打席で同点適時打を放ったが、その後はヒットが出ずに9打数1安打に終わった。「気にしていなかった。あと3つ勝ちたい」と笑顔でバスに乗り込んだ。

◆今季47発でパ・リーグ本塁打王の西武・山川穂高内野手(26)が、ポストシーズン自身初の本塁打を放った。3-7と4点ビハインドの六回一死で、バンデンハークのカーブに泳がされることなく、バックスクリーン左へ打ち込んだ。  「勝たないとね。気持ちの部分では(一本)出ないよりは楽です」と山川。ほかの3打席はいずれも三振に倒れ、「三振を減らすというか、その前に仕留められる球があった。そこを修正したい」と反省。だが、常々口にする『本塁打は正義』という信条をCSでも示した。  六回の守備では、川島の邪飛を追って一塁ベンチにダイビング。グラブからボールがこぼれて完全捕球はできなかったが、巨体を強打してもアウトを狙う気迫を見せた。「あした(18日)勝てるように頑張るだけ」。五分に持ち込まれた戦いに向け、気持ちを切り替えた。 (佐藤春佳)

◆栗山が「5番・左翼」で出場。4点を追う四回に先頭打者で1号ソロを放った。バンデンハークの152キロの直球を捉えて左翼席中段へ運び「点差に関係なく、いいスイングができた」。同期入団の中村とともに、最後に日本一になった2008年シーズンを戦った貴重なベテランは、第2戦以降につながる一発でチームを鼓舞した。 腹斜筋の張りから復帰。七回に代打で出場し三振と左飛に倒れた西武・外崎 「結果どうこう考える暇はない。しっかり準備して(第2戦に)挑んでいきたい」

◆プロ19度目の対戦でソフトバンクから初勝利を挙げ、涙した9月28日から19日。大事な初戦でエース・菊池が、鷹の返り討ちにあった。  「(甲斐への)四球がすべて。8、9番のどちらかで切れていれば変わっていた。過度な緊張はなかったけど、単純にいいボールが少なかった」  味方が逆転に成功した直後の四回。二死一塁から、8番・西田に右前打を打たれ、9番・甲斐には四球を与えた。満塁にピンチを広げ、1番・川島から3連続長短打を許して5失点。結局5回9安打6失点で降板した。  2011年の初対戦から18試合で13連敗を喫してきた苦手な相手に、再び屈した。地元の岩手・花巻市から総勢60人の「菊池雄星応援団」も駆けつけていたが、いいところを見せられず「(勝ち上がってきた相手の勢いを)初戦で止めるのが、僕の役割だったので悔しい」と唇をかんだ。  このオフに挑戦する可能性が高くなったメジャーの5球団のスカウトも視察した一戦。三回から左手中指にまめができ、マウンドで何度も気にするそぶりを見せた。「あまり関係なかったけど、指にかかっている感じはなかった」と菊池。これで対戦成績が1勝1敗の五分となり、「あれ以上投げさせたら、(今後)投げられなくなってしまう。本人は不完全燃焼でしょう」と辻監督。最終戦となる第6戦までもつれれば、中4日での先発の可能性もあるが、結論は先送りとなった。  「あした(18日)練習でキャッチボールをしてみてどうか。このままでは終われない」と懸命に前を向いた左腕。エースで必勝を誓った初戦の黒星は、ただの1敗以上に重くのしかかる。 (花里雄太) 6失点の菊池に西武・土肥投手コーチ 「四回にビッグイニング(5失点)をつくってしまったのがね。切り替えてやるしかない」

◆パ・リーグ2位から勝ち上がったソフトバンクが、10年ぶりにリーグ制覇した西武に10-4で勝った。「1番・二塁」で先発起用された川島慶三内野手(35)が3安打3打点と躍動した。リーグ優勝チームには1勝のアドバンテージがあるため、ソフトバンクと西武は1勝1敗の五分となった。  ナインを鼓舞するように手をたたき、ベンチに向けた笑顔が勇気を与えた。精神的支柱の活躍で、ソフトバンクが「下克上」へ加速。このCS初スタメンで1番に座った川島が胸を張った。  「第1戦でエースの菊池くん。そこを潰して勝ち上がるイメージをみんなで持っていました」  逆転を許した直後の四回二死満塁で、スライダーを捉えて左前へ。逆転2点打で流れが一変した。3連続適時打で一挙5点。9月28日(メットライフ)に通算19度目の対戦で初白星を献上した菊池に再び土をつけた。  敗れた前回対戦と1、2番を入れ替えた。打線好調のファーストステージからも大幅な組み替え。同じくCS初スタメンの西田も2出塁で、四回の右前打は逆転を呼んだ。特に3安打3打点の川島の先発出場は8月以降は1度だけ。さえ渡った工藤監督は、対左腕対策という理由以上の信頼を寄せている。  「何とかしてくれると常に思っている。出ているときだけでなく、ベンチでの声かけも、どれだけ助けられるか。絶対に必要な選手。チームのことを一番に考えてくれて、僕も彼に頼っている。彼がいてよかった」  前半は足に痛みを抱えて戦った。練習でスパイクを履くのをためらうほどで、首脳陣は何度も登録抹消を検討。代替選手を球場に呼んだこともあったが、ベンチに残し続けた。主力の一人は「首脳陣と選手のパイプ役。川島さんがいないとチームが回らない」と尊敬する。明るさだけでなく、的確な声で雰囲気を作る最強のムードメーカーは、この勝利後も全体を見渡した。  「首脳陣がベストメンバーを選ぶし、僕は出たとこ勝負。代打に長谷川(勇)と内川さん。厚みは増しました。いけます、いきます!」  まだアドバンテージを含めて1勝1敗だが、9月に5連敗したメットライフドームでの姿とは大違い。西武のお株を奪う16安打10得点。雪辱への決意を一丸で示した。 (安藤理) 七回に代打で放った中前適時打にソフトバンク・長谷川勇 「ゲッツー(併殺打)だと思った」 6回4失点で白星。来日4年目でCS通算4勝負けなしとしたソフトバンク・バンデンハーク 「ストライク先行で攻められた。最終的に勝てたのが一番」

◆過去の対戦成績はあったとしても、西武ベンチが初戦の先発マウンドに菊池を送った選択に疑問は感じない。開幕投手を務めたエースで、なにより前回の対戦でソフトバンクから勝ち星を挙げている。ただ、やはり本人に、どこか苦手意識があったのかもしれない。  球は多少高かったが、質は悪くない。しかし、表情は硬く、柳田に先制適時打を打たれたときの悔しそうな顔が象徴的だった。立ち上がりを0点で抑えていれば、流れは変わっていたように思う。このあとの勝敗次第だが、中4日で再び菊池を登板させるかどうか、悩ましいところだろう。  ソフトバンク打線は1番で大爆発した川島をはじめ、デスパイネ、グラシアル、代打の内川ら"打つべき人"がまんべんなく、しかも本塁打なしの適時打で攻略に成功した。レギュラーシーズン終盤に連勝してきた勢いは保っている。  それでも1勝のアドバンテージがある以上、まだ西武が有利だ。「仕切り直し」と前向きに考えられるかどうか。打線の爆発力では上回る。見ている側としては、これで面白くなった。 (サンケイスポーツ専属評論家)