広島(★3対11☆)阪神 =リーグ戦19回戦・マツダスタジアム=
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阪神
400100024111001
広島
2000010003712
勝利投手:岩貞 祐太(6勝7敗0S)
敗戦投手:九里 亜蓮(7勝4敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(3号・1回表3ラン)
【広島】鈴木 誠也(28号・1回裏2ラン),丸 佳浩(32号・6回裏ソロ)

  DAZN
◆阪神は初回、大山の3ランなどで一挙4点を先制する。その後は4回表に糸原の適時打、9回には梅野とナバーロの適時打が飛び出すなど、効果的に加点した。投げては、先発・岩貞が今季6勝目。敗れた広島は、先発・九里が5失点を喫するなど、投手陣が振るわなかった。

◆ 広島が丸佳浩外野手の1発で2点差に詰めた。6回2死から直球を左翼席に流し打ち、3-5とした。 自己最多を更新する32号ソロに「自分のスイングができて、いいポイントでしっかりとらえることができました」と満足そうだった。

◆ 阪神は1回に広島九里の乱調につけ込み、大山の3号3ランなどで4点先取。広島は1回に鈴木の28号2ランで2点をかえした。 阪神が4回に糸原の右前打で1点を追加。広島先発九里を5回でKOした。広島は6回に丸の32号ソロで1点を返した。 終盤も攻撃の手を緩めなかった阪神が2桁得点で広島に大勝。先発岩貞が6勝目。広島は連勝が7で止まり、マジックは12のまま。九里が4敗目。

◆ 広島が大敗し、今季最長だった連勝は7でストップした。 先発九里亜蓮が最初の誤算だった。初回に大山に3ランを浴びるなどいきなり4失点。その裏に鈴木誠也の28号2ランで反撃したが、その後は岩貞に封じられ、丸の32号ソロだけに終わった。鈴木と丸がそろって打点を挙げれば20戦全勝だったが、今季初めて敗れた。 守っては8回に3番手今村が2失点、9回は佐藤が4失点で大量2桁失点した。 試合後、緒方孝市監督はめずらしく会見場に姿を現さず、ロッカールームに消えた。球団広報を通じて「切り替えてまた明日頑張ります」とコメント。ヤクルトも勝ったため、一気に12まで減らしていた優勝マジックも久しぶりの足踏みとなった。

◆ プロ野球広島の新井貴浩選手(41)が5日、今季限りでの現役引退を表明した。同日に広島市の本拠地マツダスタジアムで行われたナイターの阪神戦では、5回に代打で出場して三振だった。古巣の阪神ファンからも声援を浴び「本当にありがたい」と感謝した。 慰留した広島の鈴木球団本部長も、最後は本人の意思を尊重した。新井のFA時や復帰の際にも交渉役を務めた。復帰時にはボロボロになるまでやってくれとの言葉をかけていたが、今回は翻意が難しいと判断。「これだけ愛されたキャラ。寂しいな、という話を会見の前にもした。ボロボロになってまでやるより、4年間の締めくくりはこれが美しい形かなと思う」。球団は引退試合と銘打つ試合は行わない意向。セレモニーなども未定。「これから毎試合、彼が真剣勝負をしていく。それを引退試合と思ってファンに見てもらえれば」と説明した。

◆ 感謝のアーチを描いた。新井から「広島の4番」を受け継いだ鈴木は、4点追う1回2死一塁から阪神岩貞の内角球を詰まりながらも左翼席に突き刺した。28号2ランで、自身初シーズン30発を射程圏に入れた。 昨季序盤から4番で起用された。結果が出ずに苦しんだ時期もあったが、先代に食事の席で4番の心得を伝授された。さらにグラウンドでの背中を見て「自分を犠牲にしてでも1点を取りにいく姿勢を見せてもらった。いつか、ああいう選手になりたい」と思った。 プロの立ち居振る舞いも学んだ。昨季途中までは、打ち取られた直後にベンチで感情をぶつけ、叫ぶ姿も見られた。そんな姿を新井に指摘された。「テレビでは子どもたちも見ている。誠也も4番になったんだから、見られていることを自覚した方がいい」。その日からベンチで叫ぶのはやめた。感情があふれる時は、右翼のポジションでグラブで口元を隠して叫ぶようになり、今季は試合中も表情に落ち着きが見られる。 引退が発表の日に大敗。「勝ちたかった」と悔しさに唇をかみながらも、前を向く。「いろんなことを教えてもらって、少しでもできるようになりました、という成長した姿を見てもらいたい」。求めていくものは、日本一という結果だけではない。【前原淳】

◆ 阪神大山悠輔内野手が5カ月ぶりの3号3ランを放ち、首位広島に先制パンチをくらわした。 初回、1死満塁から陽川の二ゴロの間に1点を先制した直後、2死二里、三塁のチャンスの打席。九里が投じた真ん中低めのフォークを完璧にとらえ、左翼席上段に運んだ。 「ファウルで粘りながら、いいポイントで打つことができました。初回に得点を挙げることができて良かったです」。4月7日中日戦(京セラドーム大阪)以来となる本塁打でチームを勢いづけた。

◆ 虎が鯉を止めた。7連勝中だった首位広島との一戦で、阪神が10安打11点で快勝。大山が1回に4月7日以来の本塁打となる3号3ラン。1点を先制し、なお2死二、三塁で、九里の低めに落ちる球をすくい上げ、左越えに運んだ。広島戦を苦手としていた先発の岩貞を強力援護。若虎の活躍で敵地マツダスタジアムで大きな勝利をもぎ取った。 大山に待望の1発。 「3ランなんて久しぶりじゃない? ホントね。本塁打自体、あまり出ないチームなのでね。先制パンチとしては大きかったですね」。 広島新井から現役引退の正式報告を受けた。 「もう少し、プレーヤーとしてできる体力は、まだあると思う。ちょっと、もったいないなというのが本音ですね。引き際というのはみんな、それぞれ違う。彼なりの決意した引き際だったのでしょうね」。 敵将として接した3年間。 「敵として、嫌なバッター。カープに戻ってから、すごくいい場面で打つようになって腹が立つ思いもしました。野球に対する姿勢というか、常にベンチで若い選手がやりやすい雰囲気を作ったり、勝ったときの喜び方、全力プレーや全力疾走をこの年になっても続けていた。残した数字以上にそういう姿勢がいまのカープを強くしたんじゃないかなと。そういう貢献度は本当、大いにあると思う」。 阪神では4番として新井の心根に触れた。 「彼が3番のときに、しきりに僕につなごうと。四球を選んだり、何とか右方向に単打を打ったり。いい意味でのプレッシャーで」。 「心のなかでは、よく頑張っているなとずっと思っていた。本当に彼の明るさ、キャラクターが、今のカープの強さの根底にあると思っています」。 金本知憲監督の一問一答は以下の通り。 -広島に強い勝ち方ができた いつもやられている勝ち方が久々にできた。昨日、負けはしたけど選手の試合に対する気持ちだとか、執念が見えた。今日は何となく昨日のつながりでいい試合できるんじゃないかと思っていました。 -相手は右投手だが大山を先発に起用 調子もあるし、守りの面でもあります。期待に応えてくれました。 -岩貞が初めて広島に勝った そうですね。投げ方を覚えたのか、軽く投げているように、力みなく見えました。打たれた2本も低めをね。打った相手を褒めないといけない高さだと思う。2本の本塁打に関しては、僕は何も思わないし。

◆ 虎が鯉を止めた。7連勝中だった首位広島との一戦で、阪神が10安打11点で快勝。大山悠輔内野手(23)が1回に4月7日以来の本塁打となる3号3ラン。1点を先制し、なお2死二、三塁で、広島九里の低めに落ちる球をすくい上げ、左越えに運んだ。広島戦を苦手としていた先発の岩貞を強力援護。若虎の活躍で敵地マツダスタジアムで大きな勝利をもぎ取った。 久しぶりの豪快な1発に、クールな男から笑みがこぼれた。約5カ月ぶりにダイヤモンドを1周すると、喜びをかみしめるようにゆっくりと、そして力強く本塁を踏んだ。ベンチに戻ると糸井から何度も背中をたたかれ、再び笑顔がはじけた。かつて阪神の主軸として活躍し、この日今季限りでの引退を表明した大先輩・新井の前で、新時代を引っ張る若虎として、力をみせつけた。 「ファウルで粘りながら、いいポイントで打つことができました。初回に得点を挙げることができて良かったです」 首位広島から大勝に導く1発だった。初回、1死満塁から陽川の二ゴロの間に1点を先制した直後。2死二、三塁。フルカウントからの7球目、真ん中低めに落ちるフォークをすくい上げ、左翼スタンド上段までかっ飛ばした。4月7日以来の1発で、ホーム11連勝中だった九里を一振りで崩した。 待望の1発に金本監督も納得の様子だ。指揮官は「3ランなんて久しぶりじゃない? ホントね。本塁打自体、あまり出ないチームなのでね。先制パンチとしては大きかったですね」と絶賛。打撃技術については「低めの変化球をある程度、泳いで。いい泳ぎ方ですね。重心が残った、いい泳ぎ方ができた」とうなずいた。 守備でも好プレーをみせた。4点リードの8回、今村に代わって代打で登場した小窪が、能見の外角への変化球を引っ張り、打球は三塁へ。左翼線に抜けそうなゴロに飛びついた。すぐさま体勢を整え、一塁へノーバウンド送球。先頭を出せば相手に流れを渡しかねない場面で、体を張ってくい止めた。攻守での活躍に「全部頑張ります」と気合十分だ。 現在打率は2割4分ながら、8月は3割4分3厘、9月に入り、月間打率は4割6分7厘と絶好調だ。シーズン終盤にさしかかり、本来の力を発揮し始めた若手の大砲が、今後の戦いのキーマンとなりそうだ。【古財稜明】

◆ ついに勝った。阪神岩貞がプロ5年目、広島戦18試合目の先発で、ついに白星をとった。 1回、4点のリードをもらった直後、鈴木に2ランを被弾も、最速149キロの直球と、力みのないフォームでほんろうした。5回は無死一、二塁を背負ったが、会沢を初球で三ゴロ併殺。7回7安打3失点で6勝目を挙げ「ホッとしてます。5年はかかりすぎましたけど、ここからやり返せるように」と前を向いた。 広島新井が登場した5回2死二塁も「集中していたので聞こえなかった」と大歓声にも動じることなく、空振り三振に仕留めた。この日は27歳の誕生日でもあった。祝福のメールも多く届き「投げられることだけでも奇跡。勝てて幸せです。もう若い部類ではないと思うので、チームからの信頼を得られるように」と気持ちを新たにした。呪縛を解いた岩貞が、新しい1年を歩み始める。

◆勢いに乗っていた広島の連勝が7で止まった。快調に減らしていた優勝へのマジックナンバーも12のまま久々の足踏み。投手陣が崩れて本拠地で11失点し、緒方監督は珍しく取材場所に現れず、広報を通じて「切り替えてまた明日頑張るだけ」とコメントした。  試合前に新井の今季限りでの引退が発表されただけに、いい形で勝ちたかった。だが、先発の九里は一回に3四球と崩れて4失点。終盤にも救援陣が四球絡みで追加点を奪われて万事休した。九里は「しっかり反省しないといけない。申し訳ない気持ちと悔しい気持ち」とうなだれた。 鈴木(一回に28号2ラン) 「本塁打は本塁打なのでそれは良かったが、もうちょっとチャンスの場面で打ちたい」 丸(六回に32号ソロ) 「塁に出ることだけを考えていた。1打席目でできるようにしたい」 今村(1回2失点で2軍落ちが決まり) 「(思うような投球が)できなかった」

◆若いトラ番竹村岳がマツダスタジアム入りして、通路で広島の丸選手と偶然にスレ違った。  実は竹村は丸選手をまだ単独取材はしたことがない。球場で顔は合わせるが別にお好み焼きを2人だけで食いにいったわけでもない。なのに丸選手はアノさわやかな顔であいさつをしてくれたのだ。  「僕は思わず、自分の後ろに誰か広島の選手か関係者がいて、その人物に声をかけたのか...と思いました。ところが誰もいない。あきらかに僕に笑顔でそんな感じの声をかけてくれたんですョ。なんか"広島の強さの一端"を垣間見た気がしました...」  感激屋の竹村はこの日、41歳で引退を決意して「記者会見」をした新井貴浩内野手についても「FAで新井さんが阪神を選んだとき、中学2年生でした。それ以来ズッとあの練習漬けのまじめさにも憧れてましたよ...」と付け加えた。  赤ヘル担当の柏村翔は「たしかに新井さんは今のチームを支える若い選手がほとんど手本として、同時に尊敬してますョ。このチームの雰囲気が強さの原点なんです」とサラリといっていた。  何が言いたいのか? といえば、ウチの若い連中はカープを語るときにその"心のありよう"をそんな風に表現する。今、まさに旬の味がする赤ヘルの若さ。彼らが新井との絆をとても大切にしていることを柏村記者は強調してきた。  勝ち進んでいるから良く見えるのか。がんばっているから「まとまりがある」のか? は卵が先か、ニワトリが先か...というようなものだ。今のカープの強さは時間はかかるが背広組とユニホーム組の見事なハーモニーの旋律を感じさせる。  と、同時に他チームの番記者ではあるが、とにかく常によく取材で走り回っているメディアの記者にも、本人が驚くぐらいのハキハキしたあいさつを自然にしてくれた丸佳浩選手にも"その強さ"が漂っている。  試合は立ち上がりがいつもフラつく九里がいきなり3連続四球...大山の3ランも出て一回に一挙4点。その裏すぐ広島は鈴木誠也の2ランで接戦にもちこんだ粘着野球はさすがだが、この「あきらめないガッツ」で思い出す投手がいる。  小林繁-。39年前の1979年のこの9月5日甲子園での対巨人戦で鬼神のごとき"粘投"でこのシーズン巨人に無キズの8連勝した。  「同情されたくない...」として突然の野球人生の流転...江川卓との交換トレードで阪神に移籍して22勝というドラマを演じた小林繁が、その男の意地をみせた日だ。  阪神打線のその夜は13点の猛打で援護した。  実は小林はヘビースモーカーと言えた。しかし彼は「タバコを吸っているところは撮らないでくれ...」とこだわった。それほど常に緊張し、巨人戦のあとはプレスルームで震える指で火をつけたが...トラ番記者だった筆者には、明らかに自らの緊張感の限界をこえたマウンドを続けていたのだった。  巨人で6年、阪神で5年...でも実は小林繁はその5年間自分の命を削って"男の意地"を貫いたのだ。その無理が響いたのか。わずか31歳で「燃え尽きた...」とポツリと言って突然引退し...やがて日本ハムで投手コーチだった2010年1月、突然に倒れて帰らぬ人となった。享年57。  「一度ゴルフに行こう」と約束していたのに...ついに果たせなかった。  新井と小林...それぞれの『男の引き際』の美学...強い広島に挑む若虎の戦いがダブって見えた。

◆阪神が、一回に大量4点を挙げるとその後も得点を重ね、大勝した。この日27歳の誕生日を迎えた先発の岩貞祐太投手は7回を7安打3失点で6勝目(7敗)を挙げた。広島の連勝は7でストップ。  阪神は一回、一死満塁とし、陽川の二ゴロの間に1点を先制。なおも二死二、三塁から大山が左越えに3号3ランを放った。広島はその裏、鈴木が28号2ランを放ち、2点を返した。阪神は四回二死一、二塁から、糸原の右前適時打で1点を加えた。  広島は六回、二死から丸の左越え32号ソロで2点差。阪神は八回一死二、三塁から、糸原の2点右前打で突き放すと、九回は一死満塁から、梅野の2点左翼線二塁打など4点を加えて駄目を押した。投手陣は岩貞の後、八回は能見、九回は望月とつないだ。  広島の先発、九里は5回を4安打5失点で4敗目(7勝)を喫した。この日、今季限りでの引退を発表した新井は、五回二死二塁の場面で代打として打席に立ったが、空振り三振に倒れた。

◆阪神が、一回に大量4点を挙げるとその後も得点を重ね、大勝した。この日27歳の誕生日を迎えた先発の岩貞祐太投手は7回を7安打3失点で6勝目(7敗)を挙げた。ヒーローインタビューで岩貞は喜びに浸った。  --ナイスピッチング  「ありがとうございます」  --一番良かったのは  「野手の方にたくさん点取ってもらったんで、しっかり腕を振って投げていくことができました」  --五回のピンチは  「あそこは梅野の配球でうまく抜けれたんでよかったです」  --新井選手が打席に立ちました  「集中してたんで、あまり気にはならなかったんですけど」  --プロ5年目でカープ戦初勝利  「やっと勝たしてもらって、ホッとしてます」  --意識はあったんですか  「毎回、記者の方に『何試合勝ってませんけれども』っていうのがあったんで、それがなくなるかと思えば嬉しいです」  --最高の誕生日になりました  「誕生日で登板できて、さらに勝てて良かったと思います」  --次の登板に向けて一言  「勝っていくしかないので、一球一球に心を込めて、全力で投げていきたいと思います」

◆阪神は4試合連続2桁安打となる10安打で11点を奪った。見極めて勝ち取った9四球を効果的に得点につなげ、巧者広島に快勝。金本監督は「いつもやられている勝ち方ができたのかな」と満足そうに話した。  4-2の四回に、投手の岩貞が四球で広げた2死一、二塁の好機で適時打を放つなど、3安打3打点と活躍した糸原は「集中力を切らさずにいった。点が取れたら大きいと言うのがあって、それができて良かった」と胸を張った。 大山(一回に3ラン) 「追加点が大事だと思っていたので良かった」 阪神・香田投手コーチ(岩貞に) 「リリースポイントに力が集まっていた。これをきっかけに殻を破ってくれたら」

◆--広島を相手に強い勝ち方ができた  金本監督 「ハッハッハ。ま、いつもやられている...ウッフッフ...勝ち方が、久々にできたのかな、と。昨日、負けはしたけど、選手の試合に対する気持ちとか執念とかが見えたんでね。きょうは何となく、昨日のつながりでいい試合ができるんじゃないかなと思っていましたけど」  --右投手を相手に大山をスタメン起用したが、調子をみて  「調子もあるし、守りの面でもありますし。期待に応えてくれましたしね」  --ああいう一発は  「3ランなんて、久しぶりじゃないかな。ホームラン自体もそんな出ないチームなんでね。やっぱり先制パンチとしたら大きかったですね。まさかというか(笑)。チームにとっては大きいですよね」

◆阪神・糸原健斗内野手(25)が、3安打3打点と大活躍だった。打線は4試合連続2桁安打となる10安打で11得点。7連勝中だった広島の勢いを止め、3位巨人とも1・5ゲーム差とした。  真っ赤に燃える糸原が"新井一色"に染まる敵地・マツダで躍動した。必死に手を伸ばし、ボールを運ぶ。3安打3打点の活躍。4戦連続の2桁安打となる10安打で11得点の猛虎祭りの先頭を走ってみせた。  「岩貞さんが四球で出てくれたので、点を取れたら大きいと思った」  まずは4-2の四回。二死から梅野が左中間二塁打で出塁すると、投手・岩貞が四球でつないだ好機で、スライダーをバットの先で右前へ。二走・梅野が楽々生還する適時打だ。広島・新井の引退発表で、異様な雰囲気に包まれたスタンド。2点では心細かった中、追加点を奪い、鯉を突き放した。  六回にも二死から左前打を放つと、極めつけは5-3の八回一死一、二塁。今村から一、二塁間を破る2点打で勝負を決めた。猛打賞は今季10度目。要所での"ひと押し"には、監督通算400試合目(195勝197敗8分)の金本監督も「めちゃくちゃ大きいですよ」と手をたたいた。  阪神でもプレーした新井がオフに通う広島市内のトレーニングジム「アスリート」は、糸原も島根・開星高時代から足を運んだ思い出の場所だ。「ヒーロー」と表現する新井のもとには、毎度のように試合前に挨拶に出向いてきた。「そんなに話したことはないんですけど、『しっかり頑張れよ』と声をかけてもらいました」。そんなあこがれのレジェンドの前で、躍動した。  「それ(次につなぐ意識)はいつも持っているので」  チームではただ一人、今季は全試合出場。高校時代からのあこがれの人と同じ全力プレーで虎を引っ張る。 (竹村岳)

◆広島・新井貴浩内野手(41)は5日、マツダスタジアムで会見し、今季限りでの引退を表明。  現役時代から新井を"弟"として、かわいがっていた阪神・金本知憲監督(50)は5日、マツダスタジアムで練習開始前に会見。「もったいない」と率直な心境を語るとともに、今の常勝カープの礎にあるのは新井の存在だと強調した。  まだ、できるやろ...。金本監督はときおり、口を真一文字に結び、視線を泳がせた。新井の決断を尊重したい。でも、やっぱり、寂しかった。  「もう少しプレーヤーとしてできる体力は、まだあると思うんです。もったいなというのが本音ですね。引き際はみんなそれぞれ違うんで...。彼なりの決意した引き際だったんでしょうね」  スマートフォンが鳴ったのは、この日の朝。引退報告に「そうか...」と現実を受け止めた。広島では1999年から4年ともにプレーし、自身が03年に阪神にFA移籍すると、その背中を追って新井も08年に虎へ。4番の鉄人とともに主軸を担い、11年からは3年連続で"後任"として開幕4番を務めた。12年に引退するまでオフには広島市内のジム「アスリート」でともに汗を流し、鹿児島市内の最福寺で護摩行も敢行。14年オフに古巣の広島に新井は復帰したが、2人だけのホットラインは健在だった。  「弟みたいな存在ですね。タイガースにも僕を追うようにしてきてくれて。僕が監督に就任してからはチームの話はできなくなったんですが...」  食事に誘えば練習の大切さを説いた。2008年には4月に通算2000安打を達成すると、その日に新井も同1000安打をマークするなど、不思議な縁もあった。「変な巡り合わせだなと感じましたね」。とにかく、かわいかった。阪神特有の重圧にも負けてほしくなかった。だから、ときにはイジった。新井のキマジメな性格を誰よりも知っているからこそ、この笑顔が自然と消えることが心配だった。  「若いときはミスばかりして、いろいろ楽しませてくれました。ただ(阪神では)思うようには力を発揮できなかったですけど...。最後、広島に戻ってどうなるものかと見ていましたが...」  もう、苦笑いするしかなかった。「カープに戻っていい場面で打つようになってね。腹の立つ思いをしました(笑)」。打つわ、優勝するわ、前日4日も代打で左前打。「こちらは敵将となってからは悔しい思いばかりさせられてね。3年間、チクショウという思いがあります」。複雑な思いが交錯した。  「野球に対する姿勢、ベンチで若い選手がやりやすい雰囲気を作ったり、勝ったときの喜び方とか、全力プレー...。そういう姿勢が今のカープを強くした。彼の明るさ、キャラクターがカープの強さの根底にある」  ひたむきに、いつまでも泥臭く。今の虎にも、新井2世を求めていく。 (阿部祐亮) ★金本2000安打&新井1000安打同日達成VTR  2008年4月12日の横浜(現DeNA)戦(横浜)の一回、まず新井が右翼線への二塁打で通算1000安打に到達。七回には新井が1001本目となる左中間フェンス直撃の適時三塁打で決勝点をたたきだした直後、金本が寺原から右前打。2000安打に王手をかけてから19打席目の達成だった。試合も6-3で勝利した。

◆新井斬りで18度目の正直! 阪神・岩貞祐太投手(27)が、7連勝中の鯉相手に7回3失点。今季限りでの引退を表明したばかりの新井を空振り三振に仕留め、自身18度目で広島戦初勝利。この日バースデーだった左腕が、自らの誕生日を白星で飾った。  カープファンが"赤い波"になってマウンドの上の岩貞にプレッシャーをかけ、打席には新井が立つ。それでも、臆さず攻めた。渾身の1球で空振り三振に切って捨て、鯉の気勢をそいで投げきった。プロ18戦目にして広島初勝利を手にした。  「うれしいです。その一言です。(新井との対決は)集中していたので、(周りの雰囲気は)全く聞こえなかったです」  難敵を退け、27歳のバースデー勝利にもなった。試合前に2015年に結婚した妻から届いたお祝いメッセージも力に変え、鯉のレジェンドを抑え込んだ。5-2で迎えた五回。無死一、二塁のピンチも会沢を三ゴロ併殺に打ちとり、なおも二死二塁で先発・九里の代打で新井の名がコールされるや場内は大歓声に包まれた。  この日引退会見を開いたばかりの強打者だ。塁に出しただけでも流れが変わる-。そんな勝負どころで「一回に鈴木に本塁打を打たれたので、時間、球数をかけてやろうと。反省をいかせました」と左腕は冷静だった。外角低めのボール球から入り、高低も使って翻弄。最後は外角高め144キロでバットに空を斬らせた。7回7安打7奪三振3失点の力投で崩し、約1カ月ぶりの6勝目(7敗)をあげた。  前日4日の練習後は"赤いプレッシャー"に根負けした。ベンチ裏への階段を降りようとすると、カープのユニホームを着た少年らが「サインください!」。「誰のファン?」と岩貞が聞くと「鈴木!」とカウンターを食らい、思わず苦笑い。それでもサイン色紙とナップザックにペンを走らせた。  金本監督は「なんか投げ方を覚えたような、かる~く投げているような、力みなく見えましたけどね」とたたえた。3位・巨人と1・5差に詰め、岩貞は「もう若い部類じゃない。チームの信頼を得ていきたい」と力を込めた。勝負の9月に、ついに殻を破った。 (新里公章) 岩貞について阪神・香田投手コーチ 「広島に勝てていなかったといっても、いい投球をした試合はあった。力みのない、リリースポイントに力が伝わる、いいフォーム。いつものような躍動感は少しなかったけれども、その分、制球は良かった」

◆広島・新井貴浩内野手(41)は5日、マツダスタジアムで会見し、今季限りでの引退を表明。  2006年から3年間、広島で打撃コーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の小早川毅彦氏(56)が、引退を表明した新井との思い出を激白。一流選手ながら後輩からいじられる唯一のキャラである一方、隠れて努力する姿を明かした。  長い間、本当によく頑張った。先月30日のこと。試合前練習中に「元気か?」と声を掛けたら、珍しく弱音を吐いてきた。  「全身が痛いです。例えるなら、風邪で1週間ぐらい寝込んだ時みたいな感じです」  その言葉を聞いて、何となく"この日"が近いのかな、と感じてはいた。  思い出は尽きない。私が広島の打撃コーチに就任したとき、彼はすでに本塁打王を経験した一流選手。ところが、チーム内では先輩だけでなく後輩にもいじられていたことに驚いた。一流選手は後輩が近づきにくかったり、話かけにくかったりするもの。私が知る限り、「後輩にいじられる一流選手」は新井ただ1人。もちろん、それを許す度量の広さがあり、彼の人一倍優しく実直な人柄によるのだろうが。  これも性格なんだろうが、人に見られる練習をやりたがらない。こっそりやりたいタイプ。だから、狭い場所が大好き(笑)。旧広島市民球場で、新井が好んで練習するのは、ビジター球団のブルペン。左翼ポールの後方にある、投手2人しか投げられない狭い場所で、こっそり打撃練習をしていた。普通は開放感がある屋外でやりたいものだが。ただ、誰も見ていない場所で、そこでマジメに、休むことなく、自分を磨き続けていたんだろう。残した成績は、そんな努力がウソをつかなかった証しだ。  残り試合も全力プレーで有終の美を飾ってほしい。「お疲れさま」はシーズンが終わってから言うことにしよう。 (サンケイスポーツ専属評論家)

◆広島打線を七回まで2本塁打による3失点に抑えた岩貞の投球を素直に褒めたい。  疲れの見え始めた七回無死。先頭の西川に対して、2球投げた後に捕手・梅野がマウンドに歩み寄った。直後に投げた球が内角へのスライダー。おそらくバッテリーで強気の攻めを確認し直したのだろう。サインでの意思確認ではなく、口頭で伝達することで、より明確にイメージができたのだろう。  今まで広島に勝てなかった理由の一つが「一辺倒な配球」だった。強力な広島打線は、単調な攻めをすると一気にたたみかけてくる。だからこそ、ポイントはいかに内角を攻めるか。低めでゴロを打たせるか。内外角に揺さぶって、さらに緩急。フルに組み合わせることで狙いを外すことが重要になる。思い切りのいい内角攻めが効果的だったし、低めを投げての2併殺が自身を救った。  制球がよく、七回まで無四球だったことも好投の要因。この日の投球で広島封じのヒントをつかんだのではないか。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
72452 0.615
(↓0.006)
M12
(-)
24621
(+3)
539
(+11)
158
(+2)
76
(-)
0.268
(-)
4.11
(↓0.05)
2
(-)
ヤクルト
59581 0.504
(↑0.004)
13
(↑1)
25558
(+6)
575
(+5)
113
(+2)
63
(-)
0.269
(-)
4.39
(-)
3
(-)
巨人
59633 0.484
(↓0.004)
15.5
(-)
18559
(+3)
519
(+6)
128
(+2)
58
(-)
0.261
(-)
3.95
(↓0.02)
4
(-)
阪神
53601 0.469
(↑0.005)
17
(↑1)
29459
(+11)
496
(+3)
68
(+1)
60
(+3)
0.253
(-)
3.95
(↑0.01)
5
(-)
DeNA
52642 0.448
(↑0.005)
19.5
(↑1)
25470
(+6)
556
(+3)
145
(+2)
68
(-)
0.252
(-)
4.35
(↑0.01)
6
(-)
中日
53692 0.434
(↓0.004)
21.5
(-)
19524
(+5)
570
(+6)
84
(+2)
53
(-)
0.264
(↓0.001)
4.4
(↓0.01)