広島(☆5対4★)阪神 =リーグ戦18回戦・マツダスタジアム=
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阪神
01020100000041200
広島
002100010001X51011
勝利投手:フランスア(2勝3敗1S)
敗戦投手:ドリス(1勝4敗29S)

本塁打
【広島】西川 龍馬(6号・4回裏ソロ)

  DAZN
◆広島がサヨナラ勝ちで7連勝。広島は1点を追う8回裏、松山の適時打で試合を振り出しに戻す。そのまま迎えた延長12回には、2死三塁から菊池が適時打を放ち、試合を決めた。投げては、8番手・フランスアが今季2勝目。敗れた阪神は、7番手・ドリスが誤算だった。

◆ CHEMISTRY堂珍嘉邦が君が代独唱を務めた。昨年のクライマックスシリーズでは、デュオで歌って以来で、今回は単独で伸びやかな歌声を響かせた。「最高です。今日は1人ということで、たっぷり独り占めさせていただきました」と笑顔を見せた。 熱烈な広島ファンで知られる。3連覇にまっしぐらの戦いぶりには「2位のチームをずっとたたいている。2位と戦っても首位攻防戦という感じがしない。地力というか選手層の厚さを感じますよね」と誇らしげに語った。 アドゥワの活躍や広島新庄高の後輩、永川の復活などにも触れた。「目指すのは日本一。日本一になって、優勝ライブを広島でやりたい」と期待を込めた。

◆ 自分越え弾だ。広島西川龍馬内野手(23)が4回、シーズン自己最多を更新する6号ソロを放った。 阪神に再逆転を許した4回。相手先発メッセンジャーの外寄りの真っすぐをたたいた打球は、風にも乗って左翼席まで届いた。「強引にならずに自分のスイングでしっかり捉えることが出来ました。いい角度で上がってくれましたね」。昨季の5本を上回るシーズン6本目のアーチが、同点弾となった。

◆ 広島は延長12回に菊池の適時打でサヨナラ勝ち。これで7連勝とした。 日米通算100勝がかかる阪神先発のメッセンジャーは7回3失点で勝ち投手の権利を持って降板したが、お預けとなった。

◆ 阪神は2回、メッセンジャーの内野ゴロで1点先制。広島は3回に野間、菊池の連続適時打で2点を奪い、逆転した。 阪神は4回に敵失で2点。広島西川の6号ソロで追いつかれたが6回に糸井の適時打で再び勝ち越し。広島ジョンソンは5回降板。 広島は1点を追う8回、松山の適時打で追いつき、延長戦に持ち込んだ。阪神メッセンジャーは7回3失点で勝ち負けつかず。 広島は12回2死三塁から菊池が右前適時打を放ち、サヨナラ勝ちで今季初の7連勝。フランスア2勝目。阪神はドリスが打たれ4敗目、連勝は2で止まった。

◆ 広島がサヨナラ勝ちした。 ドロー目前の延長12回2死三塁、菊池涼介内野手が右前にサヨナラ打を放ち、接戦に終止符を打った。 これで7連勝。ハイペースで減らしている優勝マジックを「12」とした。先発ジョンソンが苦しんで5回で降板したが、1点を追う8回に松山が同点打。延長戦ではリリーフ陣が踏ん張った。緒方孝市監督の試合後コメントは以下の通り。 -菊池が決めた 緒方監督 もう本当、キク(菊池)がね。最後まで残って応援してくれたファンの人の期待に応えて、活躍してくれた。ナイスバッティングでしたね。今日はチーム全員、中継ぎも頑張ってくれたし、控えもほとんど出し尽くした中で全員でつかんだ勝利だと思います。 -松山が同点打 緒方監督 ミスもしているし(4回に適時失策)投手の足を引っ張っていた。その意味で集中して、気合も入っていたんでしょう。ああいうところで1本出るのは素晴らしいですね。明日また頑張ります。

◆ 黒子に徹してきた広島菊池がスポットライトを浴びた。同点の延長12回2死三塁。阪神守護神ドリスの外角真っすぐに詰まらされながらも、飛球は飛び込んだ右翼俊介の手前で弾んだ。一塁ベースを回ったところで新井に抱きかかえられた殊勲者は、左手を突き上げ、チームメートの手荒い祝福に喜びを爆発させた。 「(先週6連戦の)東京でもチャンスで打てていなかったので、何とかしたい。その一心だった」 今季は思うように状態が上がらない。それでも2番打者として、ベンチからサインが出ていなくても状況に応じた打撃を選択。守備では投手陣がどれだけ失点を重ねても集中力を切らさず美技を連発。縁の下でチームを支えてきた。 表立って行動を起こすタイプではない。遠征先の宿舎ではスコアラーとともに部屋にこもり、打撃映像を1人で見入る時間が長くなった。チームの雰囲気が悪くなると、いち早く感じ取りシートノックで大きな声を出しながらボール回しから盛り上げ役を演じた。 苦しみながらもチームに貢献してきた脇役は久しぶりに主役となった。「たまにはいいんじゃないですか」と笑いながらも「今日は今日で、また明日(5日)勝てるように自分の役目ができれば」と足もとを見つめた。総力戦を制して、今季最長7連勝。マジックを自力で1つ減らし、12とした。緒方監督も「キクが最後まで残ってくれたファンの期待に応えて活躍してくれた。今日は全員でつかんだ勝利」と絶賛。広島はより団結力を増し、歓喜のエピローグを目指していく。【前原淳】

◆ 広島は延長12回2死三塁、菊池がサヨナラ安打。マジック12に。緒方孝市監督のコメント。 「キクが最後まで残ってくれたファンの期待に応えて活躍してくれた。今日は全員でつかんだ勝利」

◆ 阪神俊介はプロ初の2戦連続猛打賞と大暴れだ。 2回1死からは右翼線二塁打を放ち、先制のホームを踏む。3回2死一、二塁では二遊間への内野安打で好機を広げると、5回無死二塁では右前打を放った。3安打5打点の2日DeNA戦に続く大当たり。ただ、2回1死二塁の場面では梅野の右越え二塁打で打球判断を誤り、三塁どまりとなった場面も。「いろいろなところがまだ足りない。走塁面で判断ミスをしてしまった。反省してやっていきます」と振り返っていた。

◆ 阪神梅野は驚異の盗塁阻止3個を記録した。 1点リードの7回2死一塁で代走上本の二盗を刺すと、同点の10回2死一塁では丸の二盗も阻止。再び同点の11回2死一塁では西川の盗塁も防いだ。打っても2回1死二塁で右越え二塁打を放ったが、サヨナラ負け。「今日は久しぶりに(捕手として)自分のプレーができたとは思います」と振り返る表情は厳しかった。

◆広島が延長十二回の末、阪神に競り勝って、今季初の7連勝を飾った。2位のヤクルトが勝利したため、優勝マジックは1つ減って12となった。1点を追う八回に松山の同点適時打で追いつくと、延長十二回に菊池のサヨナラ打で、4時間23分に及んだ試合に終止符を打った。以下は菊池の一問一答。  --決勝打を振り返って  「ナイスバッティングでしたかね。詰まっていたので。遅くまで応援してくれた皆さんのためにも、なんとかなんでもいいので勝ちたいと思っていた」  --打球が落ちた瞬間の気持ち  「(ヒットになるか)微妙だったので、落ちてくれるかなと、笑顔もこぼれながら、走っていた」  --追いついて、最後に延長戦を制した  「まずは自分自身が打ててうれしい。とても大きい。6連勝していい流れできて、きょうはどうなかなと思いながら、勝ちきったのは素晴らしい」  --チームの状態  「僕自身は上がってこないがみんながすごい打つので、その雰囲気で打たせてもらっている」  --今季初の7連勝  「ラッキーセブンです」  --次戦へ向けて  「いつも言っていますが、きょうはきょうなので。またあした一戦必勝でがんばります」

◆広島の7番・西川が2-3の四回、同点の6号本塁打を放った。1死無走者で、メッセンジャーの3球目の速球を左中間席へ。逆方向への一発に「強引にならずに自分のスイングでしっかり捉えることができた。いい角度で上がってくれた」と好感触だった。  プロ3年目、シーズンの本塁打数で自己最多を更新した。三回にもチーム初安打となる左前打で出塁するなど、持ち味の打力で下位打線を活気づけている。 緒方監督(サヨナラ勝ちに) 「中継ぎも頑張ってくれたし、全員でつかんだ勝利」 松山(八回に同点打) 「情けないプレーをしていたので、何とか走者をかえしたかった」

◆守備のミスをバットで取り返した。松山が3-4の八回二死一、二塁で藤川から右翼へ同点打。一塁ベース上で両手をパンと叩いて、感情を爆発させた。2-1の四回二死二、三塁の一塁守備では、糸井のゴロを一塁ベースカバーに入ったジョンソンへ悪送球。ボールが転々とする間に2人が生還し、一時逆転を許した。「情けないプレーをしていたのでなんとか返したかった」。起死回生の一打でチームを救った。

◆ふわりと舞い上がった打球は、飛び込んだ右翼・俊介のグラブをすり抜けて芝生の上に落ちた。広島・菊池が今季2度目、自身通算4度目のサヨナラ打だ。今季最長の7連勝を決めて、ヒーローはピョンピョンと飛び跳ねながら喜んだ。  「ちょっと微妙(な打球)だったけど、落ちてくれるかな思った。ちょっと笑顔がこぼれながら、走りました」  4-4の延長十二回二死三塁。あとアウト1つで引き分けのシーンで打席に立った。守護神・ドリスの外角153キロを代名詞の右打ちで弾き返して、4時間23分の激闘に終止符を打った。  また、おいしいところを持っていった。8月9日の中日戦(マツダ)でも延長十一回にロドリゲスから右前へサヨナラ打を放った。スタミナが豊富で、1試合を通じて高い集中力を維持できからこそ、ここぞの場面で輝く。緒方監督も「キク(菊池)が球場に残ってくれたファンの期待に応えるバッティングをしてくれた」とうなずいた。  攻守で華麗なプレーをみせる二塁手のグラブには「我武者羅(がむしゃら」の四文字が刺繍されている。ひとつの目標に向かって、ひたむきにプレーするという思いだ。その言葉通りに、最後まであきらめないプレーでチームを今季7度目のサヨナラ勝利に導いた。  「東京で6連勝して、いい流れできて、勝ち切ったのは大きい。ラッキーセブン(7連勝)ですね」  先週は巨人(東京ドーム)、ヤクルト(神宮)に6連勝。本拠地マツダに戻っても勢いは止まらなかった。3連覇へのマジックは、1つ減って「12」。歓喜の瞬間へ突っ走る鯉の中心には、球界最強の二塁手がいる。 (柏村翔)

◆阪神は4-4の延長十二回に抑えのドリスが登板したものの、引き分けに持ち込めなかった。先頭の代打小窪に右前打を許すと、その後2死三塁までこぎつけながら、菊池にサヨナラ打を浴びた。ドリスは「自分が行く場面。抑えられなかったのは残念」と肩を落とした。  打線は先発野手全員となる計12安打を放ったが、4得点のうち3点は内野ゴロの間と相手の失策で奪ったもの。12残塁と拙攻が目立った。七回以降は1安打に抑えられて3連勝を逃し、金本監督は「悔しい試合。ちょっと雑というか、転がせば1点の場面もあった。経験でしょうね」と視線を下げた。 藤川(八回に同点打を浴び) 「先頭が出たので難しい場面でしたね」 梅野(盗塁を三つ阻止) 「久しぶりにしっかり自分のプレーができた」

◆走行中のトラックでも倒れるという風速60メートルの超大型台風が来ますといわれ、思わず石原裕次郎の歌を思いだしたけれども、そんなのんびりしたことを言ってる場合じゃないのだ。阪神のキャンプ地高知・安芸では高潮が漁港の防潮堤を乗り越え、安芸タイガース球場の室内練習場の排水溝からは水があふれかえった。  こういうとんでもないときに日本人の資質は見事というべきか、クソマジメというべきか、それ以上にみなさまご同様、真剣に生きているというべきなのか、昼からはあらゆる交通機関が止まるというのに、なんとかして会社へいこうとするのは、驚くほかない。  「行かねばならん。止めてくださるな。妙信殿...行かねばならぬ...」  実はこの日の当番デスク大澤謙一郎がそうでした。朝早くから身支度をととのえ、白装束とはいわないが、きちんとそれなりの格好で黙って、家を出て行った。高1と中2の息子はきのう夜に休校が決まっているのに。  「いえ、早とちりしないでください。そんな格好いいものではないのです」。タネを明かせばこの日の朝から我が大阪難波の産経新聞社大阪本社では「生活習慣病検診」というのがございまして、大澤はそれを受けるために早めに出社し、その時間帯、電車は動いていたというわけ。  つまり血液検査とかバリウムを飲むとか、タテからヨコからナナメからどこか怪しいところはないのかと、怪しいことだらけの大澤を散々調べ上げたのだ。その結果は後日送られてきて「肥満です」なんて、なんの気遣いもなく、判定される。  会社にこの検査を朝一番に指定されたため、早番のデスク勤務の前に入れていただけなのに、招かれざる台風21号がやってきて、神戸に上陸して、列島を縦断、足止めを食らったサラリーマンが真っ青のときに大澤はスイスイとものの見事に編集局に余裕しゃくしゃくで滑り込んだ。  その後か、アタフタと駆けつけてきた編集局の連中は誰もが「さすがに早いなあ...。エエ心がけや」「ええまあね。こんなこともあろうかと」と大澤はニヤリ。そんなわけねえだろ、コレってまさにサラリーマンの"けがの功名"ですワ。  それで思いだしたことがある。阪急、近鉄とコツコツと練習を重ね、若い選手をしごき、鍛え上げ、人間的な魅力で心を結びつけて、教育し、Bクラスの泥沼からはい上がり、リーグ優勝を果たした西本幸雄という監督からしみじみと聞いた台風の思い出がある。  彼が旧制和歌山中の2年生だった昭和9年、強烈な室戸台風が関西を直撃したことがある。そのときの各家庭は台風対策などない。ただ通りすぎるのを待つのみ。やがて激しい風雨に木造の家が悲鳴を上げ始めたとき、西本青年は信じられない光景を見る。銀行員の父、義彦さんがまったく普段の日と変わらない物腰で服を着てカバンを持って家を出ようとした。  「私は驚いて慌てて父の後ろを追ったが、猛台風の風に見失い、家に戻った。こんな台風のときに銀行に行き、お金を下ろしにいくか...。しかし、私はそんな父の姿を決してえらいとは思わないが、すごいと思った。心に焼き付いた」  人間の強固な意志は想像を絶する力を出すということを学んだ。と同時に西本さんは必死にこう言った。「いついかなるときも誠実に尽くせと教えられた」。  いわゆる融通の利かない頑固者であろうか。しかし、西本さんはその頑固さでチームを優勝させたのである。  虎番キャップ阿部祐亮は金本監督が「神戸は相当ひどかったらしいな」と心配をした後、試合前マツダスタジアムで選手を一生懸命鍛え上げる姿を見ていた。その背中に西本のいう"率先垂範"を見た。

◆--最後の最後に  金本監督 「何ともいいようがない、悔しい試合ですよね」  --勝ちパターンに持ち込んだ。広島の強さが  「球児とかドリスのストレートをパーンと弾き返すわけですから」  --序盤の攻撃でもっと攻めたかった  「そうですね。ちょっと雑というか、転がせば1点という場面もあったんですけどね。経験でしょうね、そこは」  --対ジョンソン。点の取り方はできた  「球数もたくさん投げさせて五回で降ろしたわけですし、選手の何とかしようという姿勢もみえていますし。本当、よくやってくれていると思いますよ、この、のっているチームに。しかも、本拠地マツダで。よく耐えたと思うし。あと一歩、やっぱ力の差が出たとは思いますね。真っすぐへの力ですかね。その差ですね」  --明日につなげる  「明日そのままぶつけてほしいし、きょうと同じような気持ちで、明日、やってほしいですね」

◆必勝リレーがまさかの暗転だ。藤川は八回、2番手でマウンドへ。だが、いきなり野間に左前打を浴び、送りバントで一死二塁。丸は三振に仕留めたが、鈴木を歩かせ二死一、二塁。松山に痛恨の右前適時打を許してしまった。「先頭を出したので、苦しい場面でした。また頑張ります」。球団最多で並んでいた山本和行を超え、虎単独トップとなる通算701試合登板。草魂、鈴木啓示(近鉄)まで「2」と迫る単独14位浮上したが、悔しすぎる救援失敗となった。

◆ケッ!! 延長十二回にサヨナラ勝ちってかわいくねーよ、広島カープ!!  そりゃ、そちらはリーグ3連覇目前。マジックもどんどん減って気持ちイイだろうけどさあ...わが阪神はクライマックスシリーズに出られるか、出られないかの薄氷を踏むような日々を送ってるんだよー!!  そんな中でメッセンジャーの先発、そして六回までに貧打の猛虎打線が珍しく先発野手全員安打なんてやってるんだから勝たせてくれよー!! いや、勝たせてください!! いやいや、勝たせねーかこの野郎!!  先発ジョンソンから始まって、フランスアまでの8投手全員が優等生みたいな投球をするか?! 誰か一人ぐらい乱調になれよー!! 冗談でなく、マジにこの選手全員美しいカープに、逆に野球ファンとして俺はゾクゾクしな~い!!  かつて広島といえば、江夏に衣笠に高橋慶彦と野球ファンをしびれさせるけど、実はもろ刃の剣の危うさがたまらないのが魅力だったのに...それが今や全員が優等生じゃつまら~ん!! 全員、巨人にでも行けってんだ!! 虎が負けた腹いせ半分、そしてマジな野球好きの声半分の俺なのだ!!

◆広島の足攻めに必死にあらがった。死闘に敗れはしたが、梅野がプロ初の1試合3度の盗塁阻止。意地を見せた。  「きょうは久しぶりに、自分のプレーができたと思います」  最初の見せ場は1点リードの七回二死一塁。四球で出塁したバティスタの代走・上本の二盗を正確な送球で刺すと、同点の延長十回二死一塁で丸、十一回の二死一塁でも西川の二塁到達を阻止した。  相手に傾きかけそうな流れを、盗塁阻止率3割を超える"梅バズーカ"でズバッと切り、バットでも二回に先制点につながる右越え二塁打を放って攻守で存在感をみせた。  最後は守護神ドリスが崩れた。「抑えがいっているので、それは仕方ない」と唇をかんだ。自慢の肩は次戦以降、鯉の機動力封じへの、大きな"抑止力"になる。

◆どれだけ王者を苦しめても、負けては意味がない。ベストを尽くしたが、最後に屈した。フル出場でチームをけん引した福留は新たな勲章を手にしたものの、全身から悔しさをにじませた。  「勝ち切らないと...」  チームバスへ乗り込む直前になっても、表情は硬いままだった。一回二死から左前打を放ち、四回二死一塁ではジョンソンの141キロを捉えて右翼線への二塁打でチャンスを拡大。松山が続く糸井の一塁線のゴロを捕球しながら失策を犯し、白球が天然芝の上を転がるのを確認すると三塁から一気に加速し、一時逆転のホームを踏んだ。  この二塁打が日米通算488本目となり、NPBで487本を記録して歴代1位の立浪(中日)を抜いた。小学生時代から憧れ、中日時代に一緒にプレーしたPL学園高の先輩超えの一打に「しっかりとスイングをした中で捕まえられているので、それはいいと思います」とバットの感触に手応えも口にした。  3試合連続複数安打を記録し、9月の月間打率・533(15打数8安打)、1本塁打、6打点と頼もしい数字が並ぶ。金本監督は、41歳の主将の積極的休養という"リミッター"を解除する方針を示している。百戦錬磨の41歳なら、必ずやり返してくれる。死闘には敗れたが、胸にたなびくキャプテンマークに導かれ、虎はすぐさま反撃に出る。 (新里公章)

◆どうやっても勝てん...。阪神は延長戦に突入。4-4の十二回二死三塁から、ラファエル・ドリス投手(30)が菊池にサヨナラ打を浴びた。勝ちパターンを繰り出しながら、繰り返されるマツダの悲劇に金本知憲監督(50)は「何ともいいようがない、悔しい試合」とガックリ。60敗目でクライマックスシリーズ(CS)出場圏内の3位巨人に2・5差となった。  右翼・俊介がダイブすしたその先で、菊池の打球が天然芝を弾んだ。延長十二回、今季2度目のサヨナラ負け。エースのメッセンジャーでも、勝ちパターン投入でも、広島に届かない。あまりにも残酷だった。金本監督は現実を受け止めるしかなかった。  「何ともいいようがない、悔しい試合ですよね」  ドリスも誤算だったが、暗転したのは1点リードの八回だった。メッセンジャーの日米通算100勝を飾るべく、2番手で登板した藤川が痛かった。先頭・野間に三遊間を破られ、犠打と四球などで二死一、二塁。松山に右前適時打を許し、試合を振り出しに戻された。藤川は山本和行を超え、球団トップとなる日本通算701試合登板だったが、メモリアル登板はホロ苦いものになった。  またマツダの悲劇だ。昨年9月3-5日にも同一カード3連敗を喫し、リーグ優勝の可能性が事実上消滅。今度はCS進出圏内に向け、これまで積極的休養を与えてきた福留を3連戦すべてスタメン起用することを決め、乗り込んだが...。2014年から4年連続で負け越しているマツダで今季も1勝5敗。先発投手に至っては昨年の開幕戦(メッセンジャー)以来、17試合白星つかずとなってしまった。  「あと一歩、やっぱ力の差が出たとは思いますね。真っすぐへの力ですかね。その差ですね」  速球への対応力。金本監督は開幕前から広島との違いをこう分析し、若手育成に力を注いできた。だが、就任3年目になっても、まだ、その差は歴然。1点差負けの間に存在するチーム力の差は小さくない。  「選手の何とかしようという姿勢も見えている。本当、よくやってくれている。よく耐えたと思うし。明日、そのまま(この悔しさをもって)ぶつけてほしいですね」  連勝は2で止まり、借金は8。CS主催圏内となる2位・ヤクルトまで4ゲームに開き、3位巨人に2・5差。きょうこそ、勝ち切りたい。 (阿部祐亮) 菊池にサヨナラ打を浴びた阪神・ドリス 「自分の責任。抑えられず残念です」

◆メッセンジャーは一回から目一杯で投げていたから、七回で交代の判断は間違っていない。当然の継投で送り出した2番手・藤川は疲れがあるのだろうか。松山に浴びた同点打もそうだったが、球が高かったのが誤算だった。とはいえ、1球の失投を見逃さない広島打線は見事。優勝を目前にしているチームの強さを改めて感じた。  サヨナラ負けは確かに痛いが、3位以内を目指す阪神にも、好材料が見られた。打線の粘りだ。難敵ジョンソンに食い下がり、球数を投げさせ、五回でマウンドを降ろした。俊介、梅野、大山ら下位打線でチャンスを作れるようになったのは、チームとしての成長だと思う。  打線に加えて、メッセンジャーの力投、中継ぎ陣の踏ん張り。金本監督が掲げる「執念」を感じた。何とかクライマックスシリーズにつながる諦めない戦いを見せてほしい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
72442 0.621
(↑0.004)
M12
(↑1)
25618
(+5)
528
(+4)
156
(+1)
76
(+1)
0.268
(-)
4.06
(↑0.02)
2
(-)
ヤクルト
58581 0.5
(↑0.004)
14
(-)
26552
(+12)
570
(+9)
111
(+3)
63
(-)
0.269
(↑0.001)
4.39
(↓0.03)
3
(-)
巨人
59623 0.488
(-)
15.5
(↓0.5)
19556
(-)
513
(-)
126
(-)
58
(-)
0.261
(-)
3.93
(-)
4
(-)
阪神
52601 0.464
(↓0.004)
18
(↓1)
30448
(+4)
493
(+5)
67
(-)
57
(+2)
0.253
(↑0.001
3.96
(-)
5
(-)
DeNA
51642 0.443
(-)
20.5
(↓0.5)
26464
(-)
553
(-)
143
(-)
68
(-)
0.252
(-)
4.36
(-)
6
(-)
中日
53682 0.438
(↓0.004)
21.5
(↓1)
20519
(+9)
564
(+12)
82
(+2)
53
(+1)
0.265
(↑0.001)
4.39
(↓0.06)