ヤクルト(★3対4☆)阪神 =リーグ戦15回戦・明治神宮=
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阪神
00110 2000 490
ヤクルト
10000 2000 391
勝利投手:小野 泰己(7勝3敗0S)
(セーブ:ドリス(1勝3敗27S))
敗戦投手:カラシティー(6勝1敗3S)
  DAZN
◆阪神は1点を追う3回表、1死三塁から北條が適時打を放ち、同点とする。2-1で迎えた6回には、鳥谷と梅野の2者連続本塁打が飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・小野が今季7勝目。敗れたヤクルトは、最終回に一打逆転の好機をつくるも、あと1本が出なかった。

◆阪神小野は快投で自身3連勝を狙う。今日18日ヤクルト戦に先発予定。  前回11日DeNA戦では7回2/3を3失点で6勝目を挙げており、「前回いい投球ができた。変化球でしっかりカウントを取れて球数も多くなかった。今回も長いイニングを投げられるように」。シーズン2ケタ勝利到達も見えてきただけに「なんとかチームが勝って、自分も2ケタにいっていれば」と控えめながら力強かった。

◆阪神鳥谷敬内野手(37)に今季1号が飛び出した。2-1の6回1死、カラシティーの甘い直球を左翼席に流し打った。  「追加点がほしい展開だったので、塁に出ることだけを考えてコンパクトにスイングしました。いい形でとらえることができた」と納得の一振りだった。  今季212打席目。8月18日のシーズン1号はキャリアで最も遅い。8月に入り先発機会を増やし、調子も上げているベテランが、貴重な追加点を挙げた。  左翼席のざわめきが収まらないうちに、続く梅野隆太郎捕手(27)も初球をたたいてバックスクリーンに6号ソロを打ち込んだ。「鳥谷さんの流れに乗って、初球から思い切り振っていこうと思っていた」とコメントした。

◆阪神鳥谷敬内野手が値千金の今季1号を放った。1点リードの6回1死、カラシティーの外寄り146キロをライナーで左翼席へ。  この左越えソロは昨年9月1日中日戦以来351日ぶり、今季212打席目での初アーチ。プロ1年目から15年連続本塁打を達成した。8月18日での1号はもっとも遅い到達。  「うれしいんだか、悲しいんだか」。試合後は苦笑いしたが、前日の2安打に続いてこの日も3安打と状態を上げている。

◆阪神小野泰己投手が5回0/3を投げ、7安打5四球3失点の内容も今季7勝目を手にした。  初回に1死一、二塁からバレンティンに右中間への適時打を許し、1点を先制された。2回から5回まではピンチを背負いながらも、キレのある直球を軸にヤクルト打線を封じ、無失点を継続した。  打者としてはプロ初打点を記録した。1-1の同点で迎えた4回、1死二、三塁でカラシティーが投じた外角低めの148キロ直球に食らいついた。一塁へゴロを転がした間に、三塁走者の伊藤隼が生還。自らのバットで勝ち越し点を生み、打撃でも勝利に貢献した。  6回に鳥谷と梅野の連続本塁打で援護を受けた直後、連続四球を与えるなど制球を乱し、無死満塁のピンチを招いたところで途中降板。中継ぎ陣の奮闘もあり、小野の白星につながった。「展開的にも6、7回までいかないといけなかった。7勝目はみなさんのおかげです」と勝利も笑顔は見せず、球場を去った。

◆投手の走塁能力を測るのは難しい。ヤクルトは1-2と1点を追う5回。先発投手で、この回の先頭打者である9番カラシティーが中前打で出塁した。1番坂口が左中間二塁打で続き、無死二、三塁と絶好の反撃機会をつくった。  打者は打率3割を超える青木。阪神内野陣は、前進守備を敷かなかった。青木の打球は、やや速い当たりの遊撃ゴロだった。三塁走者のカラシティーはスタートが遅れたが、本塁に突っ込み、憤死した。1死から山田哲、バレンティンが凡退し、反撃機はついえた。小川監督は「5回のあそこですね。投手がランナー。難しいところです」と勝敗を分けたプレーとして認識した。  宮本ヘッドコーチは、この場面を「はざまのプレー」と表現した。そもそもストップをかけておくべきか、本塁に突入させるべきか、そのちょうど中間地点に存在するプレーという意味だ。  「あの場面、内野は後ろにいた。だから普通は三塁走者は内野ゴロで(本塁に)かえれる。でも(打者が)足が速い青木だから少し前にいた。投手でも(俊足で走塁センスがある)原樹理ならかえっていた。こちらが(走者の)能力に合わせないといけなかったかもしれない。でも(内野が)後ろにいたからなあ」。  結果論としては失敗だったと語れても、その場面の選択として反省材料とするには、答えの出ない問題かもしれない。  投手であるカラシティーの打撃は打率3割を超えており優秀だが、走者としての能力は高くない。プロ野球でも投手がシーズン中に走塁練習を行う機会は、ほぼないのが実情だ。  このプレーの後、カラシティーは6回に鳥谷、梅野に2者連続本塁打を浴びた。この試合前まで、被本塁打はわずか1本だったが、今季0本塁打だった鳥谷に甘く入った直球を逆方向の左翼席まで運ばれ、梅野には初球をバックスクリーンに放り込まれた。結果的には、この制球ミスによって失った2点が決勝点になっている。だが、直前の回に、ヤクルトが微妙な攻撃で勢いを手放していたことも確かだ。【斎藤直樹】

◆阪神ドリスが、ヒヤヒヤながらも無失点で切り抜けた。  1点リードで迎えた最終回、2死から連続四球で満塁とし、一打サヨナラのピンチを招いた。しかし、雄平を三邪飛に仕留め、27セーブ目を挙げた。「自分で招いたピンチでしたが、結果的になんとかゼロで抑えられてよかった」と汗をぬぐった。

◆阪神糸井が全5打席で出塁した。  制球が乱れるカラシティーの球を見極めて1、3回に四球で出塁。5回には中前打を放ち、15日の広島戦(京セラドーム大阪)以来、3試合ぶりの安打をマーク。7、9回も四球。骨折した右足は万全ではない。得点には結びつかなかったが、ベストを尽くした。

◆金本阪神が無敗カラシティーを沈めた。浮上への号砲を鳴らしたのは鳥谷敬内野手(37)だ。2-1と1点リードで迎えた6回に今季1号ソロ。貴重な追加点を挙げるとともに、続く梅野隆太郎捕手(27)の連弾を呼び込んだ。鳥谷はこの日3安打で、藤田平の持つ球団最多2064安打にあと8本に迫った。  花火が打ち上がった直後の神宮球場。煙のにおいがかすかに残る中、鳥谷は無駄なくバットをトップの位置に置いた。大歓声に包まれながら、左打席だけは静寂の空間。「塁に出ようと思ったのが、たまたま...」。左翼席へライナーを放った瞬間、音を取り戻して走りだした。  1点リードの6回1死、カラシティーの外寄り146キロを力みなく振り抜いた。昨年9月1日中日戦以来351日ぶり、今季212打席目での初アーチでプロ1年目から15年連続本塁打を達成した。8月18日での1号は最も遅い到達。「うれしいんだか悲しいんだか」。試合後は苦笑いしたが、勝利への道のりをはっきり浮かび上がらせる値千金弾に違いなかった。  不振もあり出場機会が激減した今季。陽川の負傷離脱から再びスタメン出場の機会を増やした。実戦勘さえ戻れば、勝負どころでの集中力には自信がある。  「バッターをしっかり応援しような!」。野球少年だったころ、指導者の何げない言葉にいつも違和感があったという。「なんの意味があるんだろう...ってね。自分は小さい時から打席に入ると、何の音も聞こえなくなっていたから」。もちろん、プロに入ってからも「無音の空間」は変わらない。いざ打席に入れば、虎党の熱烈な応援は耳ではなく全身で吸収。この日も集中力を研ぎ澄まし、久々の1発を放り込んだ。  横浜遠征からの帰阪日だった13日は朝5時起き。朝イチの飛行機便で大阪に戻り、一目散で滋賀へ向かった。サッカー少年である愛息の勇姿をゲームで見届け、エネルギー十分でスタートした1週間。2戦連続マルチ安打となる3安打で、通算安打は2056本。藤田平の球団最多2064安打まであと8本とした。  同点の4回無死一塁には中前打で勝ち越し劇をお膳立て。8回には先頭で力強く一、二塁間を抜いた。「(自分は)ヒーローじゃないでしょ」。ヒーローインタビューを固辞した後、「投手が頑張ってくれていたので勝てて良かった」。虎を勝利に導いた背番号1。勝負のシーズン終盤、本領発揮の時期が来た。【佐井陽介】
 ▼鳥谷が今季1号。チーム100試合目のシーズン初本塁打は、05年の65試合目(6月15日西武戦)を大幅に更新し、プロ最遅。212打席目は、05年の261打席目に次ぎ2番目に遅い。

◆阪神梅野が鳥谷に続いて連続本塁打を放った。  1点リードで迎えた6回、鳥谷が左翼越えの今季1号本塁打を放った直後だった。初球をたたき、バックスクリーンへ飛び込む6号ソロを放った。「鳥さんがホームランで追加点を取ってくれたんで、どんな球でも初球いこうと思って、それがいい結果につながりました」。今季神宮では5割3分3厘と抜群の相性を発揮している。

◆阪神ブルペン陣が、1点リードを守り「不敗」を継続した。6回に1点差に詰め寄られたが、7回は藤川、8回は能見が3人ずつでピシャリ。抑えのドリスにつなげた。6回終了時にリードしていた試合は39勝1分けになった。  最後はドリスが2死満塁と冷や汗ものの展開にしたが、本塁は守った。金本監督は「ひやひやを超えている」と苦笑い。「クワ(桑原)と3人でドリスにつなぐまでの勝ちゲーム(勝ちの展開)を守るというのはね。そこが崩れなかっただけでも」。逃げ切った救援隊をねぎらった。  「クワも頑張っていたから」と能見が言う。小野が3点差の6回に乱れ、無死満塁。過酷な場面で救援した桑原は畠山に2点打を浴びたが、上位打線を抑えて同点にさせなかった。そのあとを受けた藤川は「流れ的に、攻めて相手の流れを止めないといけない場面。今日は攻められたと思う」。強力クリーンアップに対して13球中、11球が気迫の直球。大ブレークした05年のような「7回の火消し」を意識した。  阪神は節目の今季100試合目。ブルペン陣の頑張りはこれからも重要なカギになる。【柏原誠】

◆18日のヤクルト戦(神宮)に予告先発された阪神・小野はダッシュなどで調整。前回対戦の5日(京セラ)は5回1失点で今季6勝目を挙げた。「前回は変化球でしっかりカウントを取れて、球数も少なくいけた。前回のいいイメージで試合に入れれば」とうなずいた。7勝目を手にすれば初の2桁勝利も見えてくるが「自分に勝ちがつくことよりチームが勝つこと。チームが勝って、自分も何とか2桁いければと思います」と力を込めた。

◆阪神は好調の北條が0-1の三回に同点打を放った。一死から糸原の右中間三塁打でつくった好機で打席に立ち「内野が下がっていたので、当てれば何か起こるだろうなと楽な気持ちで打席に入った」とカラシティーの低めのフォークボールを左前に打ち返した。  今季は開幕を2軍で迎え、5月末に初昇格した後は14打席無安打の不振も経験した。それでも懸命に巻き返して「2番・遊撃」に定着し、7月18日からこれで24試合連続出塁と働きが光る。連続試合安打も6に伸ばした。

◆阪神はヤクルトとの接戦を制した。1点リードの六回に鳥谷敬内野手(37)の1号ソロなどで2点を追加するなどリードを保って逃げ切った。先発した小野泰己投手(24)が5回0/3を投げ、7安打3失点で7勝目(3敗)を挙げた。  ヤクルトはカラシティー、阪神は小野が先発した。ヤクルトは一回、一死一、二塁でバレンティンが右前適時打を放ち、先制した。  阪神は三回、一死三塁で北條が左前適時打を放ち、同点。四回には一死一、三塁で小野の一ゴロの間に三走が生還し、勝ち越した。  六回には一死走者なしから鳥谷、梅野の連続本塁打で4-1とした。ヤクルトはその裏、一死満塁で代打・畠山が中前2点打を放ち、1点差とした。  阪神は1点リードで迎えた九回に登板したドリスが二死満塁のピンチを招いたが、逃げ切った。

◆阪神はヤクルトとの接戦を制した。1点リードの六回に鳥谷敬内野手(37)の1号ソロ、梅野隆太郎捕手(27)の6号ソロで2点を追加するなどリードを保って逃げ切った。先発した小野泰己投手(24)が5回0/3を投げ、7安打3失点で7勝目(3敗)を挙げた。以下は梅野の一問一答。  --本塁打  「鳥さんが追加点を取ってくれた後の打席だったので、どんな形でもいいので初球からいこうと思っていた。それがいい結果につながった」  --打った感触  「完ぺきでした。気持ち良かった」  --結果的に、このソロが大きかった  「神宮ではこういう戦いが続く。取られたら取ってという感じ。キャッチャーとして、大変だが追加点になってよかった」  --捕手としても投手をリード  「うしろの先輩が抑えてくれるので、なんとか粘ってという感じ。1点差で追いつかれないところが、やっぱり踏ん張ってくれるところ。信じて受けていました」  --次戦へ  「熱い戦いをしている。なんとかあしたも勝って勝ち越して連勝を伸ばしていきたい」

◆阪神の小野が六回途中3失点で7勝目を挙げた。5四球とこの日も制球に苦しみ、三者凡退で片付けた二回を除いて毎回、得点圏に走者を背負う綱渡りの投球。直球を軸に五回まで何とか1点で踏ん張ったが、六回に連続四球と安打で招いた無死満塁のピンチを残し、救援を仰いだ。  自身3連勝でも「序盤は何とか粘ることができたが、点が入った次の回で先頭に四球を与えたことで、いい流れを切る投球になってしまった」と喜びも控えめだった。 金本監督(鳥谷の本塁打に) 「あれだけまだ打てる力がある。これからも楽しみ」

◆ヤクルトのカラシティーは6回4失点で来日初黒星を喫した。1-2で迎えた六回1死から鳥谷に今季1号ソロを許し、続く梅野には不用意な初球の速球をバックスクリーンに運ばれた。「2本の本塁打は防がないといけない場面だった」と肩を落とした。  五回の攻撃で先頭打者として自ら安打を放ち、続く坂口の二塁打で三進した。しかし青木の遊ゴロで本塁に突っ込んだもののスタートが遅く、アウトに。同点機を逃した小川監督は「投手が走者で、難しいところ」と責めなかった。 宮本(ドラフト6位新人はプロ初先発で、初安打を含む2安打) 「1本目は自分らしいヒット。心配していたので無事に打てて良かった」 畠山(六回に代打で2点打) 「久しぶりに自分の仕事ができた」 ヤクルト・田畑投手コーチ(カラシティーに) 「(梅野には)初球を本塁打された。あそこは防ぎたかった」

◆D6位・宮本(奈良学園大)が「7番・三塁」でプロ初先発し、初安打を含む2安打を放った。四回一死一塁で右前打を放つと、六回無死一、二塁では左前打だ。一回に失策を犯したが、土橋内野守備・走塁コーチから「とにかく声を出して周りを見ろ」と言われ、試合に入ることができたという。「1本目は自分らしいヒット。生き残れるよう、次が大事だと思う」と気を引き締めた。

◆一押しが足りず、1点差で競り負けた。再三好機を作りながら、決定打が出ない。勝率5割復帰はならず、小川監督の表情は険しかった。  「あと1本が出なくてこういう展開になってしまった。きょうはそこ(五回)じゃないか。ただ、試合でタラレバを言ったらきりがないから」  1点差を追う五回無死二、三塁だった。青木の遊ゴロで本塁を狙った三走・カラシティーのスタートが遅く、憤死。後続も倒れ、無得点と流れを失った。  直後の六回一死からはカラシティーが鳥谷、梅野に連続被弾した。「鳥谷はやむを得ない面もあるが、梅野は初球。防ぐことができる本塁打だった」と指揮官。九回の同点機には途中出場の井野に代走を送り、内野手の藤井が捕手の準備を始めた。執念を見せただけに、悔やまれる一敗だった。 (長崎右)

◆ギャー! 1点リードの九回、虎の守護神ドリスがヒットと2四球で二死満塁。一打出ればサヨナラ負けの大ピンチ...そして打席の雄平にボールが2つ続いたときには気を失うかと思った...ハァハァ。  最後、勝ってよかった~! 気も失わなかったよ~! 失神してたら落語の「芝浜」(勝五郎が芝の浜で大金の入った財布を拾うが、真面目に働いてもらいたい女房は、酔いつぶれて寝た勝五郎にすべては夢だったと嘘をつく人情噺)みたいに鳥谷の今季1号ホームラン。そして梅ちゃんと2連発で上がった花火も夢だったなんてことになってたかも...だもの。  しかし、本日で100試合消化し、ここからが真の勝負なのに、先日の1球目危険球退場や本日の虎党失神寸前マウンドと、ドリスは限りなくコワイよ~!!  チームで決めた方針かもしれないけど、中継ぎにまわり、まるで水を得た魚のように躍動感にあふれている能見を新ストッパーに任命はいかがでしょう!? 何はともあれ、虎の勝利に祝杯やー!! いや、よそう...また夢になるといけねぇ...。

◆フランスの作家バルザックは深夜2時から朝6時まで、午前9時から正午まで、そして午後1時から夕方6時までと、延々20年間、働きづめに働いたといわれる。  あ、断っておきますがけっしてバルザックはサンスポの「虎ソナ班」で働いていたわけじゃおまへん。『人間喜劇』という小説をシコシコと書いていたんです。その彼は『ゴリオ爺さん』という作品のなかで「偉くなりたい。金持ちになりたい!と願うことは、ウソをつき、こびへつらい、いつわることを"決心"したことではないのか...」と言っている。  しかしねぇ...そう思ってどこが悪い? 虎ソナ担当のゴリオ爺さんとしてはズーッと「偉くなりたい。金が欲しい。出来れば女房が...ゴホゴホ」と思っておりマスんです。  おまえは何をガタピシとぬかすのか...と思われたでしょ。そうです。そういう"邪悪だけど本音"の部分はこの時期は甲子園の高校野球を見ますと、すっかりきれいに洗い流されるんです。長々と行数を浪費して言いたかったのはコレです。なんでこの真夏の高校野球を見て、若者達の笑顔と涙と必死な姿をみますと...いかに自分がウス汚いジジィになってしまったのか...と恥ずかしくなると言いたかったのです。  そして...大阪桐蔭は11-2で浦和学院に勝ち、準決勝に進出です。いよいよ「2度目の春夏連覇」をグイッと引き寄せた。見事な勝利で西谷監督はしきりに「この勝利はもちろん選手がよくやったのですが、ウチのデータ班が的確な分析をやってくれたことに感謝している...」と強調していたのが印象に残った。つまり感動的な若者たちの躍動と笑顔と汗の向こうにある、チームワークの強さを感じた。  野球はみんなの一糸乱れぬ集合体の勝負だということを大阪桐蔭の強さは示してくれている。  この日は4試合とも素晴らしかった...モニターテレビの前で白装束で正座して見ようとさえ思いました。だって忘れていたものを思い出させてくれたもの...。  「何をブツクサ言うてるんですか。神宮は今夜は快適です。高校野球にその薄汚れたハートがきれいに洗われたんですか? ホンマでっか」と編集委員上田雅昭はずいぶんぶしつけな(本当のことだけど)コトをぬかした。さすがに記憶力のいい上田は立て板に水で「8月18日? 皆までいいなさんな。1969年の甲子園の決勝戦は、松山商0-0三沢高の延長18回。太田幸司と井上明の投手戦の日でしょう。あれは子供心にもすごかったですョ...」(ホンマによう何でもおぼえてるヤツやなぁ...)。とにかく読者の皆様も記憶にあるでしょ。もう49年前ですが、野球ファンの方には鮮烈な記憶としてのこる"紅顔の太田幸司"とクールガイ井上の球史にのこる熱投甲子園というドラマ。  太田は打者71人に262球。井上は打者67人に232球...熱かった。そして翌日の再戦...彼らは泥だらけのユニホームそのままで戦った。そして...4-2と勝負はあっけなくついた。  あの日なのだ。  しかし...この夜、神宮も気温27・2度だったが試合はかなりホットドッグ状態となった。ヤクルトが先手をとり阪神がネチネチと追い、六回には鳥谷が今季1号(15年連続)となる本塁打。無口で無表情だけど鳥谷の胸中はなぜか熱い。続いて梅野がバックスクリーンに6号を続けて虎はますますハードボイルド!でも最後まで心臓がねじ切れるような...。

◆  --ドリスは前回は危険球退場。「0」がついたことが...  「結果的にね。(0が)ついたから。本人も...どうかな。ちょっと表現難しいな、これは(笑)」  --四回一死一、三塁。打席に小野で、一走・梅野を走らせた  「小野がサイン分かるかなと思ったけどね。高代さん(三塁コーチ)がうまいこと。難しいよね、投手は打席で、複雑なサインというのは」  --鳥谷が一発  「最後のライト前ヒットも鳥谷らしい、いいポイントでのクリーンヒットよね。逆方向へのホームランも、きょうの展開では価値があるんだけど、内容でいえば僕はアレ(右前打)じゃないのかな、と。あそこを思い出してほしいというか。速い球を、あっち(右)方向にパーンといけるというのが出てくればね。今年、これからでも楽しみですね」

◆打撃好調の北條は1点を追う三回一死三塁で、カラシティーのフォークをとらえ、左前適時打。24試合連続出塁とした。「楽な場面で、内野も前にきていたので、バットに当てれば何とかなるかなと思いました」。遊撃の守備でも、八回先頭の西浦が三遊間に放った深いゴロに追いつき、一塁送球、アウト。「1球1球、集中しています」と力を込めた。

◆小野が六回途中3失点で7勝目だ。同点の三回二死一、二塁ではバレンティンを見逃し三振。四回一死二、三塁では自らの一ゴロで勝ち越し点をたたき出すと、五回無死二、三塁のピンチでも青木、山田哲、バレンティンを抑えた。ただ4-1の六回は無死から連続四球と安打で無死満塁を招き、降板。「展開的にもっと長いイニングを投げないといけなかった。あの場面で(マウンドを)降りたのは反省です」と振り返った。

◆六回、鳥谷の1号ソロに続いたのが、梅野だ。カラシティーの初球カットボールを一閃し、バックスクリーンへの6号。11日のDeNA戦(横浜)以来となる一発に「鳥谷さんの流れにのって、初球から思いきり振っていこうと思っていました」。打率・533という得意の神宮での連日の活躍で、打率も・241まで上昇。打ってよし、守ってよし。梅ちゃんスマイルが弾けている。

◆1点差の七回に3番手で登板したのは藤川。セ界最強ヤクルト打線のクリーンアップとの真っ向勝負は圧巻だった。山田哲には8球すべて直球を投げ込み、二飛に。バレンティンも直球で中飛に仕留めると、最後の雄平も二飛。38歳ベテランが力でねじ伏せた。「流れを向こうに渡したくなかったからね」。ツバメを勢いに乗せなかった3人斬りが勝因の1つだ。

◆あぶな"勝った"ぁ~。阪神は4-3の九回、守護神のラファエル・ドリス投手(30)が二死満塁の大ピンチを背負ったが、なんとか逃げ切った。これで六回までにリードした試合は昨年から46連勝。力強い中継ぎ陣とともに、リーグトップタイの27セーブ目を挙げたストッパーも、右肩上がりで頼みます!  何人のファンが、スタンドで、テレビの前で目を閉じただろうか。一度は観念しただろうか...。4-3の九回二死満塁。カウント2-2から雄平への7球目のフォーク。力ない飛球がファールゾーンで三塁・鳥谷のグラブにおさまった瞬間、たまりにたまった虎党の歓喜が爆発した。勝ったぁ-。守護神・ドリスが、セ・リーグトップタイの27セーブ目を、ギリギリでつかみとった。  「自分で招いたピンチで情けないですが、結果としてゼロに抑えられてよかったです」  汗を何度もぬぐった。金本監督は、「いやぁ...。ヒヤヒヤを超えてるわ」とニガ笑いが止まらなかった。  1点リードを七回から藤川、能見が三者凡退でつなぎ、回ってきた九回に、16日の広島戦(京セラ)で1球で危険球退場していたドリスの"劇場"が待っていた。  先頭の井野に右前打。犠打で一死二塁から、好調な青木は152キロ直球で中飛に仕留めた。しかし、ここからストライクが入らない。山田に四球。バレンティンにもストレートの四球。満塁となり、雄平には2球連続ボール。これで8球連続ボール...。もはや押し出しか、というところから何とか踏ん張った。  これで六回終了時でリードしていた試合は今季無敗(39勝1分け)。昨季からの連勝を46に伸ばした。指揮官も「クワ(桑原)と(藤川、能見の)3人で。ドリスにつなぐまでの勝ちゲームを守るというのがね。そこが崩れなかったことだけでも、ホント...」と、冷や汗をぬぐいながら、中継ぎ陣に感謝した。  「どの試合も簡単には勝てませんが、こんなふうに締まった試合で勝ててよかった」とドリス。生命線の救援陣。八回までは盤石だからこそ、最後を締める助っ人右腕の安定感が、ここからの反撃の鍵となる。 (箭内桃子) 救援陣について阪神・香田投手コーチ 「ドリスは、先頭打者ですよねぇ...。球児(藤川)、能見はいつもしっかり仕事を果たしてくれる。本当に素晴らしい」 ★ドリス、危険球退場VTR  8月16日の広島戦(京セラ)。3-2の九回に登板したが、先頭の会沢への初球に頭部死球を当てて、1球で危険球退場に...。緊急登板した能見が後続を断ち、プロ初セーブをあげたが、ドリスは「ああいう風になって申し訳なかった」と平謝りだった

◆待ってました、トリ弾! 阪神はヤクルトに4-3で競り勝った。鳥谷敬内野手(37)が1点リードの六回に今季1号ソロを放ち、勝利への流れを引き寄せた。入団1年目から15年連続となる本塁打は、昨年9月以来、実に351日ぶり。DeNAに勝った首位広島にはマジック30が再点灯したが、渾身のアーチを含む3安打を放ったベテランが、虎の執念を体現していく。  鳥谷が描いた一筋のアーチは、さまざまな記憶があふれる神宮の空を抜け、スタンドまで届いた。どんな困難にも屈しない。掛布雅之や岡田彰布ら虎の先輩に並ぶ、ルーキーイヤーから15年連続本塁打となる1号ソロ。勝利を呼ぶ最高の猛打賞になった。  「塁に出ようと思ったのが、たまたまです。投手が頑張ってくれたので(ゲームを)取れたのは大きい」  2-1の六回一死。カウント3-1から、カラシティーの外角146キロに思い切り踏み込んだ。打球は真っ黄色の左翼席へ。足早にダイヤモンドを一周し、ベンチ前では満面の笑みの金本監督から背中を叩かれた。  昨年9月1日の中日戦(甲子園)以来、351日ぶりの一発。指揮官は「今年初めて外野の頭を越えたね」とジョークを交え、たたえた。だが左翼への真っすぐな一撃は何より鳥谷の強み。2016年6月2日の楽天戦(当時コボスタ宮城)以来の逆方向への本塁打になった。今季100試合目。15年目でもっとも遅い1号に、鳥谷は「うれしいんだか、悲しいんだか」と控えめに笑った。  早大時代の汗も涙も染み込んだ地で再出発の一発になった。14日には、ここで自分を"見出してくれた"人を失っていた。担当だった元球団非常勤顧問(スカウト)の岡田悦哉氏が、11日に肺炎のため逝去。87歳だった。鳥谷は広島戦(京セラ)後に報道陣を通じて知り絶句した。  「えっ、ウソでしょ? 初めて聞いた...」  そして、思い出をしぼりだした。「阪神を退団されてからは会う機会も少なくなったけど。大学のグラウンドとか球場にもよく来てくれていたから、感謝しかないです」。この神宮のスタンドで、いつも熱い視線を送ってくれた人だった。  1点差に追い上げられた八回にも先頭で痛烈に右前打。2戦連続マルチ安打で、今季3度目の猛打賞となり、将も「あれだけまだ打てる力はあるし、やっぱり。最後のライト前も鳥谷らしい、いいポイントでのクリーンヒットよね。僕はどっちかといえばそれを評価したい」とうなった。  「感じは悪くないのであしたも頑張ります」  鳥谷か大山か、という虎の"三塁手事情"の中で、何より頼もしい「15年目の一発」。必ず、完全復活の一発とする。 (長友孝輔)

◆振り返れば鳥谷、梅野の連続本塁打が試合を決したと言っていい。特に鳥谷の一発は、左方向にしか飛ばない外角球を確実に捉えて左翼スタンドへ。状態がいいからこそ、あの打球が飛ぶ。  実は試合前の打撃練習から、調子の良さがうかがえた。バットのヘッドを効かした打球が右方向へ、つまり引っ張った打球を飛ばしていた。もともと左中間方向へはうまく打つ鳥谷だが、引っ張った打球が鋭いのが、調子の良さのバロメーターだと感じていた。  この日の右への打球の速さは、過去にないぐらい。試合を楽しみにしていたら、3安打だ。特に八回に放った右前打と、直前のファウルの打球の速さは目を見張った。当面は鳥谷を起用して、1つでも上の順位を目指すべきだろう。  勝ったとはいえ気になったのは小野の交代機。五回で交代も、というアップアップの内容で六回を続投。2連続四球と安打で満塁として、桑原を投入した。最低でも連続四球で交代すべき。救援投手は少しでも楽な状態で投げさせてほしい。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
614120.598
(↑0.004)
0
(-)
39531
(+4)
455
(+1)
134
(-)
61
(+3)
0.265
(-)
4
(↑0.03)
2
(-)
ヤクルト
505210.49
(↓0.005)
11
(↓1)
40472
(+3)
495
(+4)
96
(-)
55
(-)
0.267
(-)
4.38
(-)
3
(-)
巨人
535620.486
(↑0.005)
11.5
(-)
32496
(+10)
452
(-)
115
(+5)
50
(-)
0.26
(↑0.001)
3.88
(↑0.04)
4
(-)
阪神
485110.485
(↑0.005)
11.5
(-)
43398
(+4)
440
(+3)
62
(+2)
51
(+1)
0.249
(-)
3.99
(↑0.01)
5
(-)
DeNA
465720.447
(↓0.004)
15.5
(↓1)
38414
(+1)
490
(+4)
125
(-)
59
(-)
0.25
(-)
4.35
(-)
6
(-)
中日
486010.444
(↓0.005)
16
(↓1)
34449
(-)
492
(+10)
69
(-)
51
(-)
0.262
(↓0.001)
4.34
(↓0.05)