セ・リーグ(★1対5☆)パ・リーグ =マイナビオールスターゲーム2018・2回戦・熊本藤崎台県営野球場=
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パ・リーグ
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セ・リーグ
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勝利投手:アルバース(1勝0敗0S)
敗戦投手:岩貞 祐太(0勝1敗0S)
  DAZN
◆全パが2連勝。全パは5回表、源田と甲斐の連続適時打で2点を先制する。その後は、7回に今江の適時打、8回には柳田と浅村の適時打が飛び出しリードを広げた。投げては、2番手・アルバースが2回1安打無失点。敗れた全セは、打線が1得点と振るわなかった。

◆熊本では初の開催となる、夢の球宴「マイナビオールスターゲーム2018」第2戦が7月14日、快晴のリブワーク藤崎台球場にて開催された。  試合に先立って行われたホームランダービーは、今年度より2試合を通してのトーナメント方式(3分間で何本打てるか)に変わり、第1戦で決勝進出を決めていた筒香嘉智(DeNA)と、この日に行われた準々決勝、準決勝を勝ち抜いたバレンティン(ヤクルト)とのセ・リーグ決戦に。先攻の筒香が右翼スタンドを中心に8本のアーチをかけると、バレンティンも負けじと猛追。しかし、すでに2回戦を戦っているバレンティンには疲れも見え始め、7本と1本差に迫ったものの、ここでタイムアップ。筒香が2018年度のホームランダービー王者に輝いた。なお、ホームランダービー7戦を通して、打球の平均速度が一番速かった選手に贈呈される日産ノート e-POWER賞は柳田悠岐(ソフトバンク)が獲得している。  ド派手なホームランダービーとは一転して、試合は緊迫の展開に。この流れを作ったのが両先発右腕だ。まずはセの先発マウンドに立った菅野智之(巨人)。試合前に対戦したい打者に挙げていた柳田をプレーボール直後に迎えると、「全球ストレート勝負します」の宣言どおり、力で押して二塁ゴロに仕留め、続く外崎修汰を三振に。初回、2回を2四球のみに抑える貫禄のピッチングを見せた。パ・リーグ先発の岸孝之(楽天)も負けていない。1回裏には一死から青木宣親(ヤクルト)に二塁打を許すも、三番・ロペス、四番・筒香のDeNAコンビから連続三振を奪って切り抜け、2回裏も二死から宮﨑敏郎(DeNA)に中前へ運ばれたが、後続をしっかりと断った。  セの2番手・大瀬良大地(広島)、パの2番手・アルバース(オリックス)の好投もあり、スコアボードには4回裏まで8つのゼロが並んだが、試合が動いたのが5回表だ。パ打線がセ3番手の岩貞祐太(阪神)を攻める。この回、先頭の松田宣浩(ソフトバンク)が左翼への二塁打を放ち、バレンティンがファンブルをしている間に一気に三塁を陥れた好走塁がきっかけ。ここから源田壮亮(西武)が中堅への適時二塁打、甲斐拓也(ソフトバンク)が左翼への適時打と打線がつながり、3連打で2点の先制に成功した。  勢いに乗ったパ打線は6回表こそ球宴史上最年長登板となった上原浩治(巨人)に抑えられたが、まだまだ攻撃の手を緩めない。7回表には二死一、二塁の好機に代打に立った今江年晶(楽天)が右翼への適時打で1点を追加すると、8回表には山﨑康晃(DeNA)に襲い掛かり、二死一、三塁から柳田がナックルを左翼前に弾き返して加点。さらに二死一、二塁から浅村栄斗(西武)が中堅の頭上を越える二塁打でさらに1点を加え、勝負を決定付けた。  反撃したいセは7回まで散発の5安打と、パ投手陣の前に沈黙。8回裏に5番手の加治屋蓮(ソフトバンク)を攻め、無死二塁から糸原健斗(阪神)の左翼への適時二塁打で1点を返すのが精いっぱい。セはパの試合中盤から終盤に見せた集中打の前に屈し、「マイナビオールスターゲーム2018」はパの2連勝で幕を閉じた。  最優秀選手賞(MVP)には5回表に先制の適時打を放った源田が選ばれたが、名前を呼ばれて「ビックリしています」と驚きの表情。しかし、地元・九州(源田は大分出身)での活躍に「地味なヒット」としたものの、「自分らしさは出せたと思います」と表情を緩めた。また、敢闘選手賞には2回無失点のアルバース、途中出場ながら2安打1打点の浅村、セではただ1人、2安打を放った宮﨑が選ばれている。なお、宮﨑には2試合を通じて「ファンに夢と感動を届けた選手」として、マイナビ賞が贈られた。

◆初出場の広島大瀬良大地投手が、巨人菅野に続く2番手で3回に登板した。  ソフトバンク甲斐を大きな中飛、同柳田を二ゴロ、西武外崎を空振り三振の3者凡退。10球すべて直球勝負を挑んだ。  「昨日は緊張してあっという間だった。今日は場の空気になじめて、楽しく投げられた。(三振は)甘めでファウルを打たれていたので、最後は力を入れようと思った。貴重な経験になった」と笑顔で振り返った。

◆阪神岩貞祐太投手が地元熊本で一球入魂だ。両チーム無得点の4回から登板。  1死一、二塁のピンチをしのいだが、5回につかまった。3連打で一挙2点を奪われた。  「苦い思い出のままでした。熊本の方の前で思い切って投げられて幸せでした」。リブワーク藤崎台で登板するのは、熊本・必由館時代以来、9年ぶりだった。  監督推薦で16年以来、2年ぶりの球宴出場を決めた際にも「高校3年の夏、最後に負けている。あそこで優勝したこともないし、悔しい思い出の強い球場です。成長した姿というか、堂々と思い切って投げたい」と気合を込めていたが、2回2失点だった。それでも凱旋(がいせん)登板で全力投球を見せた。  16年に熊本地震が発生し、昨季から1勝につき10万円、1奪三振につき軟式球1ダースの寄付活動を行っている。今年の夏は、投げて地元に恩返しした。

◆DeNA筒香嘉智外野手がホームランダービーを制した。  試合前に行われた第1試合、準決勝ではヤクルト・バレンティンが、ソフトバンク柳田と広島鈴木誠也を下してファイナル進出。前日13日に既に決勝進出を決めていたDeNA筒香と決勝で対戦し、先に打席に立った筒香が8本、バレンティンは7本で筒香に軍配が上がった。 【第2戦前(14日)リブワーク藤崎台】 (1回戦)西武山川(6本=投手は西武源田)-広島鈴木(7本=投手は広島会沢) (1回戦)ソフトバンク柳田(10本=投手はソフトバンク浜涯打撃投手)-ヤクルト・バレンティン(11本=投手は広島玉木コーチ) (準決勝)広島鈴木(6本=投手は広島会沢)-ヤクルト・バレンティン(7本=投手は広島玉木コーチ) (決勝)DeNA筒香(8本=投手はDeNAロペス)-ヤクルト・バレンティン(7本=投手は広島玉木コーチ)

◆全パが2連勝を飾った。前夜、球宴初勝利を飾った工藤監督にとっては、うれしい連勝となった。地方球場でのオールスターは5年ぶり、熊本県内での開催は初。試合前には2016年4月の熊本地震の犠牲者に黙とうがささげられた。  最優秀選手賞には先制打を放った西武源田壮亮内野手が初受賞。敢闘選手賞はアルバース(オリックス)浅村(西武)宮崎(DeNA)。  工藤監督は「(全パが2連勝)投げる投手がすごくて。ホレボレする球投げていた。ベンチで頼もしく見ていた。(先発岸は2回0封)地をはうようなボール投げる投手はそうそういるものではない。お客さんも満足してくれたのではないか。(リリーフ陣は)シーズンの疲れがたまっている中、よく投げてくれた。(前夜の森に続き源田がMVP。リーグ戦の勢いを象徴する西武勢の活躍)その通りです。ホークスも頑張ります。(地震災害の被災地熊本でオールスターを開催できた)復興復旧が1日でも早く進むように。ホークスも九州は1つということで選手が(野球教室などで)子供たちを励ましに回っているし、オールスターを熊本で開催できて良かった。少しでも元気になってくれればと、選手も頑張ってくれた」と話した。

◆阪神糸原健斗内野手がオールスター初安打初打点を記録した。  8回無死二塁で打席に向かうと4球目を強振。レフト方向に大きな飛球を放ち「抜けてくれ!という感じでした。タイムリーになってくれてよかったです」と適時二塁打。  セ・リーグでは、この日唯一となる得点を虎のガッツマンが生み出した。

◆阪神糸原健斗内野手がオールスター初安打初打点を記録した。  8回無死二塁で打席に向かうと4球目を強振。レフト方向に大きな飛球を放ち「抜けてくれ!という感じでした。タイムリーになってくれてよかったです」と適時二塁打。セ・リーグでは、この日唯一となる得点を虎のガッツマンが生み出した。  ベンチで見守った金本監督は「いい経験をしたでしょう」と満足そうだった。

◆全セは2連敗に終わった。率いた広島緒方孝市監督は「セ・リーグのファンの方には勝てなくて申し訳ない。ただ声援に応えるように、選手はいいプレーをしてくれた」とたたえた。  熊本での開催を終え「元気になってもらう意味でも今回開いたが、子供たちの大きな声援に、逆に選手は勇気をもらったと思う」と感謝した。

◆全パが2連勝を飾った。地方球場でのオールスターは5年ぶり、熊本県内での開催は初。試合前には2016年4月の熊本地震の犠牲者に黙とうがささげられた。  最優秀選手賞には先制打を放った西武源田壮亮内野手が初受賞となった。  前夜の第1戦は3ランを放ったチームメートの森友哉捕手が受賞し2日連続で西武勢がMVPを獲得した。  大分出身の源田が九州の地でMVPに輝いた。前夜の打撃戦とは一転、序盤は投手戦となった。両チーム無得点で迎え5回無死三塁。全パの西武源田が岩貞から中堅へ先制の適時二塁打を放った。「(MVPは)思い出に残ると思う。(源田の名前入り)タオルを掲げてくれたお客さんもいたし、家族もきてくれていたので、いいところを見せられて良かった」と声をはずませた。

◆全パの西武源田壮亮内野手がMVPに輝いた。  5回無死三塁で、岩貞から先制点を奪う中前適時打を放った。さらに、送球間に二塁まで進み、次打者の甲斐の左前適時打で生還した。  「(MVPは)びっくりしてます。(5回は)良いところで回ってきたなと思いました。なんとかバットに当たってくれと振りました。ちょっと地味なヒットだなと思いました」と振り返った。  熊本の隣県・大分出身。「家族も来ていて、良いところを見せられて良かったです」と笑顔で話した。  西武勢は、前日の第1戦は森友哉捕手がMVP。2試合続けての受賞で、首位を走る好調さがにじみ出る活躍だった。

◆全パの日本ハム上沢直之投手が、全球種を駆使して球宴初登板を無失点で飾った。  6回から登板。先頭の坂本には2球続けてボールで「(前半戦最後の登板から)中3日で投げたこともあんまりない。体が変な感じで緊張しました」と、気持ちを表すように球は上ずった。「坂本さんに気を使わせちゃったかな。3球目は振ってくれた」と笑顔を見せ、右翼手秋山の好捕もあり抑えた。  続く岡本は直球で攻め立て、最後はフォークで空振り三振。阪口は二ゴロで3者凡退に抑えた。2イニング目は、先頭の代打山田に右前打を浴びるもシーズン同様、丹念な投球で後続を断った。2回1安打無失点。「今シーズン一番、緊張しました。(捕手の)甲斐さんには『試合通り、やらせてください』と言いました。意外と真っすぐで勝負出来て良かったです」と手応えを得た。

◆ソフトバンク工藤公康監督(55)が熊本での球宴が無事終了したことを喜んだ。「勝てたことはすごくうれしい。ここで球宴ができたことがなにより。すばらしい天気の中、選手たちは熱く野球をやってくれた」。  球場は1万3760人で満員。外野には3300人の熊本県内の野球少年が招待されていた。「外野の子どもたちも応援して、ホームラン競争の打球に飛びついて、野球が好きなんだなと」と目を細めた。「熊本の復興が1日でも早く進むように。僕らはグラウンドで精いっぱいやるだけ。少しでもファンに伝わってもらえればうれしい」と話した。  勝利監督インタビューでは「2戦連続で西武勢がMVPですが、勢いがありますね」と聞かれ「その通りです。ホークスも頑張ります」と苦笑いしていた。

◆全パの日本ハム近藤健介捕手が、連夜のレジェンド打ちを果たした。  6回1死一塁で、巨人上原のフォーク123キロを打ち、二塁菊池を越えるポテン安打。「結果オーライです。昨日(13日)の(中日)松坂さんといい、今日の上原さんといい、子供のころからみていた選手と対戦出来てうれしいです」と無邪気に喜んだ。  球宴2試合で6打数3安打、打率5割。昨季はシーズンを終え「ほぼ4割」を残し、話題になった持ち前の打撃を惜しみなく披露した。

◆全セの中日松坂大輔投手(37)が熊本への思いを語った。  ソフトバンクに所属していた16年4月に熊本地震が起きた。リブワーク藤崎台も大きな被害を受けた。松坂は復旧支援として個人で1000万円を寄付した。  当時は「野球界に携わるものとして、熊本の野球界のために何か役に立てればいいと思った。熊本県内には被災しながらも野球を続けている球児も少なくないと聞いています。もうすぐ甲子園も始まりますが、熊本の高校野球にとって象徴的な存在でもある藤崎台球場が、1日も早く修復を終えることができるように願っています」とコメントしている。  九州唯一のプロ球団に身を置くこともあり、熊本での1軍戦に投げることを1つの目標としていた。だが長引く右肩痛などのために実現できず、昨秋にソフトバンクを退団した。  今年、新天地の中日で復活を遂げ、ファン投票で球宴に選ばれた。選出決定の際には「まさかこういう形で熊本に行けるとは」と驚いた。そしてこの日、球宴の特別ユニホームを着て、藤崎台のグラウンドに足を踏み入れた。県の関係者らとも面会し、寄付に対する感謝の意を受けた。  「今日来て、球場の中を歩きながら雰囲気、空気を感じました。本当はホークス時代に来たかった。球宴で来られたのも何かの縁かと思います」。まだ復旧が道半ばであることも確認。「時間がかかるんだな」と神妙に話した。  第1戦に先発したが、1回5失点と打ち込まれた。それでも背中の捻挫から約1カ月ぶりの実戦復帰でもあり、投げられたことが収穫だった。一夜明けても、外野席を埋めた熊本の子どもたちの目の前でキャッチボールを繰り返し、問題なしを確認した。「結果は散々だったけど、昨年の状態を考えれば球宴で投げられてよかった。また出たいと思いました」。  第2戦、期待された代打での出場はなかった。それでも最後まで熱い声援を送ってくれたファンに感謝して、球場を後にした。

◆球宴初出場だった全パの西武山川穂高内野手にとって、充実の2日間だった。  第1戦は途中出場で1安打。この日は、4番一塁で先発出場し、1安打1四球だった。狙っていた1発は出なかったが「ホームラン、打ちたかったですね、正直。でも、いろんな選手としゃべる機会があった。こういうのは、オールスターや日本代表しかない。楽しい2日間でした」と、明るく振り返った。  試合前のホームランダービーにも出場。優勝を狙ったが、1回戦で全セの広島鈴木に敗れた。3分間、ぶっ通しで振り、6本のフェンスオーバー。鈴木に1本届かなかった。「ばてました。悔しいです。1分ぐらいで、ふらふら。体力をつけないと」と苦笑いだった。

◆全パのオリックス・アンドリュー・アルバース投手が敢闘賞に選ばれた。3回からの2イニングを無失点。さまざまな球種を制球よく散らす持ち味を生かし「すごい栄誉だよ」と喜んだ。  来日1年目での球宴選出。初の舞台で印象に残ったのは意外なところだった。「(ソフトバンク)松田選手の熱気、元気だね。チームを盛り上げる行動が印象に残っている」。三塁打でヘッドスライディング、ベンチで大声と大きなジェスチャーで仲間を鼓舞する姿に感嘆していた。

◆43歳3カ月の上原浩治投手が07年の第1戦以来、11年ぶりに球宴で登板した。  球宴の最年長出場記録は80年野村(西武)の45歳0カ月で、他に43歳以上で出場は91年門田(ダイエー)43歳4カ月、97年落合(日本ハム)43歳7カ月、14年谷繁(中日)43歳6カ月がおり、上原が5人目。投手では05年第2戦工藤(巨人)の42歳2カ月を抜く最年長登板となった。

◆全パの西武源田壮亮内野手がMVPに輝き、賞金300万円をゲットした。これで第1戦の森に続き、2試合とも西武勢が獲得。  同一球団の選手でMVP独占は91年第1戦古田、第2戦広沢(ヤクルト)95年第1戦落合、第2戦松井(巨人)17年第1戦内川、第2戦デスパイネ(ソフトバンク)に次いで4度目だ。  第1戦で無安打だった源田が安打を放ち、西武は出場した野手6人(森、山川、浅村、源田、外崎、秋山)全員が安打を記録。同一球団の6人が安打を放ったのは、06年阪神(シーツ、藤本、鳥谷、金本、浜中、赤星)以来だった。

◆「マイナビオールスターゲーム2018」第2戦が14日、リブワーク藤崎台(熊本)で開催され、全パのソフトバンク柳田悠岐外野手(29)が剛柔の二刀流で「プロ野球の力」を発信した。本塁打競争では豪快スイングで特大弾を量産。8回はDeNA山崎康晃のナックルボールを左前に技あり適時打と3年連続両リーグ最多得票男がファンを沸かせた。試合は全パが5-1で快勝。昨年から全セに4連勝で通算成績を84勝78敗11分けとした。明日16日から後半戦がスタートする。  ギータが「野球の力」の象徴となって熊本のファンを沸かせた。全パの1番・中堅で先発出場した柳田は初回、「全球直球勝負」を宣言された菅野と対決。初球147キロをファウル。2球目の高め146キロをたたき二ゴロに倒れた。「言ってもらって光栄。本塁打か三振かくらいで」とフルスイング。「やられました。詰まりました」と苦笑いしたが、昨年は空振り三振だっただけに「日々成長」とちょっぴり喜んだ。  8回には山崎康が球宴限定で投げてきたナックルを左前へはじき返す技ありの適時打。「最初は何か分からなかった。人生初のナックル。初めて打ちました」。見たことのない軌道も3球続けて投げられたことで、フルスイングではなく軽打で対応した。 試合前のホームランダービーでは、打球スピード王に輝いた。1回戦でバレンティンに負けたものの、21スイングで10本塁打。場外にも2本アーチをかけた。打球の平均速度が出場した8選手(第1戦含む)で最も速い、平均164キロを計測。「日産ノート e-POWER賞」として電気自動車(EV)をゲットした。「たくさん素振りをしたおかげかな」と笑った。 16年の熊本地震後、球団の活動で柳田も被災地を訪問し、募金活動も行ってきた。17年5月には公式戦前日に被害が大きかった小学校を訪問。子どもたちの笑顔と元気さに「打てないくらいどうでもいいかな」と、逆に気持ちを奮い立たされた。外野スタンドには熊本県内の野球少年3300人がいた。「熱気がすごかった。僕も子どもたちにもいい思い出になった」と、熊本での球宴が盛り上がったことを喜んだ。 今月には西日本豪雨で九州だけでなく中国、四国地方なども大きな被害が出た。柳田の故郷広島も損害が大きい。「実家は大丈夫だったんですが、友達の家などが困っている」と、被災した友人と連絡を取り合い状況を聞いている。「本当に困っている人は野球どころではない」。そう思っているからこそ、軽々しく発言はしない。「自分のできることをやる」。思いは行動で示す。この日の球宴のように、後半戦もヘルメットを飛ばすほどのフルスイングで日本を元気にする。【石橋隆雄】

◆全パ先発の岸が持てる力をフルに出し、2回2安打無失点に抑えた。「選んでくれた選手のためにも全力でいこうと思いました」と振り返った。  初回のロペスから回をまたいで3連続三振。ハイライトは筒香との対決。直球ばかり5球で空振り三振に仕留めた。「直球でいかないといけない雰囲気の中、直球で三振を取れたのは良かったです」と笑顔。工藤監督も勝利インタビューで「地をはうような球を投げる投手はそうそういないです」と熊本のファンに"お宝度"をアピールした。  前半戦リーグトップの防御率1・85が示す安定感は、球宴でも変わらない。直球だけでなく、得意のカーブも精密に制球して、打ち取った。同じく震災被害に遭った宮城を故郷に持つ岸には意味のある登板だった。熊本の子どもたちから大きな声援を受け「かっこいいと思ってもらえたら」と照れていた。【柏原誠】

◆本人もビックリの受賞だった。先制打を放った全パの源田壮亮内野手(25)がMVPに輝き、賞金300万円をゲット。前日の森友に続き、2試合連続で西武勢が選ばれた。「森の体をいっぱい触ったんで、運気が来たのかなと思います」と、おどけながら喜んだ。  持ち味が出た。5回無死三塁で全セ内野陣は前進。「取りあえず、前に飛ばそう」と、岩貞の低めスライダーをバットに当てた。ボテボテだったが、しぶとく中前に抜ける適時打。さらに、一塁を回っても「行ける」とスピードを緩めなかった。送球の間で、一気に二塁へ。リーグトップタイ25盗塁の足を生かすと、次打者の甲斐の左前打で2点目のホームを踏んだ。  隣県の大分出身で、熊本はなじみ深い。父親の実家があり、小さい頃は、よく訪れていた。両親をはじめ、10人以上の親戚が応援に駆け付け「良いところを」と臨んだ。2年前の地震の時は「親戚がたくさんいて、心配でした」。招待された、たくさんの子どもたちにも格好良い姿を見せると「お父さん、お母さんの言うことをちゃんと聞いて、ご飯をいっぱい食べて頑張って下さい」と呼び掛けた。  前日の第1戦は、出場した西武野手陣6人のうち、唯一無安打だった。周りから「打っていないのは源田だけ」と言われてしまったが、第2戦でしっかり打った。「みんな調子良い。このまま、後半戦に入れればいいですね」と明るく言った。首位西武がオールスターを最高の形で締めくくり、後半戦に向かう。【古川真弥】
 ▼MVPは<1>戦森、<2>戦源田と、2試合とも西武勢が獲得。同一球団の選手でMVP独占は91年<1>戦古田、<2>戦広沢(ヤクルト)95年<1>戦落合、<2>戦松井(巨人)17年<1>戦内川、<2>戦デスパイネ(ソフトバンク)に次いで4度目。<1>戦で無安打だった源田が安打を放ち、西武は出場した野手6人全員が安打を記録。同一球団の6人が安打を放ったのは、06年阪神(シーツ、藤本、鳥谷、金本、浜中、赤星)以来だった。

◆全セの巨人菅野智之投手(28)が、プロ入り6年連続となる球宴のマウンドに立った。ファンを喜ばせようと用意していた2つの秘策は不発? に終わったが、2回を無安打無失点に抑えた。試合前に行われた熊本の球児のスピーチに感じ入るなど、後半戦に向けて「野球の底力」を蓄えた。  外野席を埋めた野球少年たちのために元気を持ってきた。菅野がプレートに両足をそろえる。一呼吸入れてから、大きく振りかぶって第1球を投げた。1回先頭の柳田。こん身の直球は、力みに力んだ打者のバットの芯を外してファウル。2球目も直球で押し込み、二ゴロに打ち取ると、外崎は外角直球を見逃し三振。デスパイネへの初球でバントの構えで揺さぶられ? 四球。山川には秘策の110キロ台のスローボールで揺さぶったつもりが、ストレートの四球。2死二、三塁のピンチを背負うも最後は中村奨を一邪飛でしのいだ。  ファンを楽しませようと思考を巡らせてきた。プロ入り後6年連続の球宴マウンドで4年連続先発は2回無安打無失点で役目を終えた。「(秘策を)用意してたんですが両方とも不発でしたね。スローボールとクイックです。(スローボールは)秋山さんに投げようと思ってたんですけど、出なかったので一番投げやすそうな山川に投げました。結果、何も意味がなかったですね...」と大満足とはいかなかったもののスタンドのファンは一挙手一投足に酔いしれた。  試合開始直前に地元の野球少年の代表者があいさつした。支援への感謝を述べ、最後に言った。「全国の皆さん、熊本は元気です!」。菅野は野球人として継続的に社会貢献活動を続けている。だから少年の"直球スピーチ"が心に響いた。「立派なスピーチだった。堂々としていたし、言葉の力強さを感じた。本来は僕たちが元気、勇気を与えないといけない。今日のマウンドは後半戦に向けて僕が元気をもらった。また頑張ろうという気持ちになりました」。無意味なことなどない。真剣勝負とはひと味違ったマウンドにも意味がある。菅野が熊本に元気を届け、熊本から元気をもらった。【為田聡史】
 ▼菅野が球宴でプロ入り6年連続登板。プロ1年目から6年以上続けて登板したのは67~76年江夏(阪神→南海)10年、56~64年秋山(大洋)9年、66~73年鈴木啓(近鉄)8年、70~75年太田(近鉄)6年に次いで5人目。2年目の14年<2>戦だけリリーフで、先発は4年連続5度目。通算5度目の先発は松坂(中日)らに並ぶ10位タイだが、4年連続先発は90~93年野茂(近鉄)以来で2位タイ。池永(西鉄)がマークした5年連続先発の球宴記録へあと1年に迫った。

◆平成の世は、自然災害抜きには語れない。地震、津波、台風、大雪、噴火。この夏は、豪雨が西日本を襲った。16年4月14日の熊本地震から2年余り。復興途上の地で行われたオールスターには、野球界として支援を続けていく決意が込められている。7年前の東日本大震災の際、楽天嶋は呼び掛けた。「見せましょう、野球の底力を」。ひたむきなプレーは、困難な状況にある人たちに力を与えてくれる。野球人は「野球の力」を信じている。【プロ野球取材班】  「野球の力」とは何だろう? 日米であまたの経験を重ねた西武松井は「難しいね...」と言葉に詰まった。答えは無限にある。20分以上、考え、こう言った。  「球場に来てくれるお客さんと一体になれること。勝てば喜ぶ。負ければ悔しい。ファンも、選手も、そう。野球には、ひとつにまとまる力がある」  大ベテランだけではない。ルーキーも同じ考えだ。  「球場が一体となって戦った時、野球の力をすごく感じます。プロ初登板の時、応援の力、魅力を思い知りました」(DeNA東)  13歳だった11年に、東日本大震災を経験した宮城出身のロッテ平沢は言った。  「楽天が優勝した年(13年)、県民全体が盛り上がる感じがありました。注目度が高い分、人に与えられるものも大きいと感じました」  一体感をくれるファンに、野球人は応えたい。  「球宴の試合を見ていただいて、少しでも明るく元気になってくれる人がいたらうれしい」(中日松坂)  「ワクワク、ドキドキ。野球って、そういう魅力がある。つらい時、悲しい時、気持ちを変えてくれる」(楽天銀次)  「みんなに元気を与えたい。そのためには、どんな時も元気を出してやらないといけない」(巨人岡本)  「感動を与える。大逆転。ファインプレー。瞬間、瞬間が人の心を動かす。プレーしている自分たちが感動することも多々ある」(巨人坂本勇)  「一瞬の場面で、見る方も、やる方も、何かを忘れるぐらいの感動を覚えたり与えたりすることができる。没頭する魅力はある」(ヤクルト小川監督) 一昨年に難病の潰瘍性大腸炎を発症したオリックス安達は、より具体的に考えている。 「普通の人だけじゃなく病気の人にも元気を与えられるのかなと思っている」 感動や元気だけではない。西武秋山は言う。 「選手は普段どおり野球をやる。それを見てくれる人たちがいる。大変なことがあっても、その間は日常を感じてもらえる。話のネタになる。プロ野球は娯楽のひとつ。それがなくなるのは寂しいことだから」 日常の暮らしがあるから、野球ができる。 阪神馬場は「人に喜んでもらうためにプロ野球がある」と言った。だから、こう考える。「一生懸命野球をやることが一番大事」。野球人共通の思いだ。 「一生懸命、全力で打つ、投げる姿を見て、何かを感じてもらえる力がある。見ている人がどう感じるか。まずは自分のために全力を尽くせば、何かを感じてもらえる」(巨人上原) 「勝敗にこだわり全力でプレーする姿が、見る人に何かを伝える」(西武森) 「一生懸命やることで伝わるものってあると思う。僕らって野球することしかできない」(ロッテ内) 「全力プレーに尽きる。必死にプレーして、見ている人の心が動けば。今は、それを選手に伝えるのが仕事だからね」(阪神平野打撃コーチ) 「人間って、一生懸命やっている姿に心を打たれることが圧倒的に多いと思う。必死にやっていることにプラスして、すごいホームランだったり、すごいプレーだったりをすることで、伝えられることがある」(DeNA筒香) 「野球をすることで元気になってくれる人がいるなら、思い切ってプレーしていくだけ」(中日平田) 「よくても悪くても応援してくれる人たちのために、途中で崩れても投げやりになってはいけない。自分のためでもあるし、見にきてくれる人たちのためでもある」(日本ハム上沢) 元気よくプレーするから、見る人を元気にできる。 一生懸命なプレーは、自らを育てる。 「野球をすることで成長できた。周りも野球から感じるものがあると思います。だから、やりがいがありますし、責任もあります」(ヤクルト山田哲) 「野球を通して人間的に成長できる。やる方も、いろんな方に少しでも勇気とか感動とか、感じてもらえる。そういうことができるという責任は、常に持っています」(ヤクルト中村) 変わるのは、野球人だけにとどまらない。 「プレーだけじゃない。サインをする。写真を撮る。握手をする。それだけで何かが変わる。たった1枚のサインをするだけで夢を抱いてくれる」(オリックス・アルバース) 「野球は発信力がある。野球が好きじゃなくても、たまたまホームランを見てくれて、何かのきっかけになるかもしれない」(オリックス吉田正) 「野球があることで、いろんなことが起こっている。本当に、ただ感謝しかない。少しでも恩返しできるようにと思ってやっている」(日本ハム栗山監督) 「僕は野球の神様はいると思っている。努力をしていれば、全てではなくても、どこか必ず(自分に)返ってくると思う」(ソフトバンク甲斐) 巨人菅野は力説する。 「『野球の力』は『スポーツの力』の同意語。サッカーW杯が、これだけ盛り上がった。みんな普段からこんなにサッカーが好きだったの? と思うぐらい。僕もずっと見た。何かに熱中するということが人間の活力になる」 民族、言語、宗教、国家、年齢、性別。スポーツは、あらゆる差異を乗り越えた共通言語になれる。中日ガルシアも言う。 「スポーツは世界の人をつなぐ鎖のようなものだと思う。絆と言ってもいい」 熊本出身の中日荒木の言葉で締めたい。 「野球選手として心を込めて野球をすることです。今回の豪雨で被災された方、全員の力になれることはないと思う。ただ、1人でも2人でも力になれるなら、野球を心を込めてやりたい」

◆オールドスターが11年ぶりに、球宴の舞台に帰ってきた。上原浩治投手(43)が託されたマウンドは6回。山賊打線を率いる4番山川を、スプリットで三ゴロに仕留めた。四球と安打で一、二塁のピンチを迎えたが、ここからがベテランの味の見せどころ。松田を再びスプリットの餌食にすると、MVPの源田は直球勝負で内野フライに打ち取った。「無事にゼロで1イニング投げきれたので、OKです」。大粒の汗をぬぐった。  打者5人に15球。43歳3カ月での登板は、全パ工藤監督が持つ42歳2カ月の最年長記録を更新した。巨人でも球団記録を塗り替え続けている"日本一元気なオールドスター"は「最年長、最年長って年寄り扱いしないでくださいよ」と報道陣にけん制球。スターが集まる球宴をいぶし銀に彩ったベテランは、まだまだ元気いっぱいだった。  前日には青木のバットと松坂のグラブを獲得宣言していた。「先輩の特権なんで。『分かっているな?』と。青木のバットはロッカーに置いてありましたけど、(松坂)大輔のは半分強奪しました」。若手投手陣を中心に話しかけられコミュニケーションをとった。11年ぶりの球宴を「自分の中でも有意義な時間を過ごせた」と楽しんだ。  お祭りを堪能したが、すでに目は次に向いている。明日16日から始まる後半戦へ「僕らは追い上げるしかない。捨てる試合は1つもない。取りに行くだけ」と言い切った。【栗田成芳】
 ▼43歳3カ月の上原が07年<1>戦以来、11年ぶりに球宴で登板。球宴の最年長出場記録は80年野村(西武)の45歳0カ月で、他に43歳以上で出場は91年門田(ダイエー)43歳4カ月、97年落合(日本ハム)43歳7カ月、14年谷繁(中日)43歳6カ月がおり、上原が5人目。投手では05年<2>戦工藤(巨人)の42歳2カ月を抜く最年長登板となった。

◆日本ハム上沢直之投手(24)が、収穫満載の球宴初登板を飾った。  6回、最初の打者は坂本勇。「今シーズン一番、緊張しました」。シーズンさながらに直球にカーブ、フォークを交え、危なげなく3人を打ち取った。7回も、先頭の山田哲に右前打は許したが鈴木、バレンティン、宮崎を封じ、2回を1安打無失点。緊迫したマウンドを降りると、三塁側席で手を振る妻を見つけ充実感を分かち合った。  大谷が抜けた今季は、前半戦3度の完封勝利を含め、自己最多タイの8勝。不振の有原に代わり、ローテの軸となった「新エース」の名に恥じぬ躍動をみせた。ロッテのエース石川から評価された、球速は140キロ後半ながら、回転数が多い直球を軸にした。プロ5年目で踏んだ初めての舞台で「意外と真っすぐで勝負できた」と、納得の投球だった。  さらなる進化への探求心は深い。石川からは握り方が違うカットボールを教わり「1回、練習してみようかな」。10連勝中のロッテ・ボルシンガーには、ナックルカーブを伝授された。「そんなのいらないでしょ!」と"敬遠"されたが、しっかり教えを請うた。既にチームメートのロドリゲスから習得済みも「人さし指の抜き方とか違った」。一線級がそろう球宴でしかできない経験ばかりだった。  うれしい言葉ももらった。第1戦では、知人を通じて食事したことがある中日松坂から「今年、すごいね」と褒めてもらい、力をもらった。後半戦は20日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発予定。一流選手にもらった成長へのヒントを、自己新9勝目で証明する。【田中彩友美】

◆全パのソフトバンク加治屋が初の球宴マウンドに立った。  8回に5番手で登板。いきなり連打を浴び1点を失ったが、その後は落ち着いて3人を打ち取った。「失点してしまったがいい雰囲気で楽しく投げられた」。宮崎出身でこの日は夫人や父親など家族、親戚が10人ほど駆けつけていた。13年ドラフト1位でなかなか芽がでなかったが、今季急成長し中継ぎとして40試合に登板。「結果を残してまた来年もこの舞台に戻って来たい」。後半戦への大きな自信となった。

◆「マイナビオールスターゲーム2018」の第2戦が14日、熊本のリブワーク藤崎台で開催され、阪神糸原健斗内野手(25)が全セ唯一の得点をたたき出した。0-5の8回に左中間へこん身の一撃。途中出場した直前の守備で追加点につながる落球の失策を犯しており、初出場の球宴最終打席で意地の初安打初打点を決めた。後半戦は明日16日の巨人戦(甲子園)で開幕。猛虎の1番が逆襲を引っ張る。  お祭り気分など、まるでなかった。初出場の糸原は目の色を変えていた。5点を追う8回無死二塁。加治屋と向き合い、カウント1-2からの4球目だ。見逃せばボール気味の外角高め速球を痛烈にしばきあげた。ライナーで左翼近藤を襲う。走りながら叫んだ。「抜けてくれっ!!」。強い打球はグラブをかすめて外野を転々...。二塁から菊池が生還する。球宴初安打が、記念すべき初適時打になった。  今季の公式戦は全74試合中73試合にスタメン出場。試合後は勝っても、あまり表情を崩さない。175センチ、78キロの小柄な体で必死に戦っている証拠だろう。だが、この日ばかりは、わずかに目じりを下げる。「タイムリーになってくれたので良かった。(初安打は)素直にうれしい。ヒットを打てましたし、タイムリーを打てて良かった」。日々、完全燃焼している男に与えられたつかの間の至福だった。 快打には伏線がある。この日は7回表の遊撃守備から途中出場。8回2死一塁だ。森友の飛球が上空を舞ったが、目測を誤り落球。痛恨の失策が引き金になって全セが2点を失った。守備の失敗を打撃で取り返す。糸原らしい「反発力」で全セ唯一の得点をたたき出した。金本監督も苦笑いで「ハハハ。まあ今日は許そう。まあ、いいよ、今日は。いい経験をしたでしょう。雰囲気とか。ミスはするんだから、誰でも」と振り返った。 人生を変える夏にする。監督推薦での球宴出場を野球人としてステージを上げるための貴重な機会に位置づけた。前日13日、全セの練習前。涼しい京セラドーム大阪の三塁側ファウルゾーンに歩を進める。「教えてください」。頭を下げた。視線の先にはストレッチをする元大リーガーのヤクルト青木がいた。左打者で巧打者タイプ。共通点が多い。糸原は腰をかがめて貪欲に聞いた。約10分の野球談議だ。打率2割9分4厘で77安打はチーム最多。好調でも向上心は強い。青木は糸原に言う。「打っているだろ。あまり変えない方がいい」。そこには2人だけの濃密な時間が流れた。 同僚の西岡を通じて、かつて食事をする機会があったという。青木は感心したように「いろいろ聞いてきた。吸収したいんだと本気で感じました」と振り返った。前日13日は無安打。3打席目での初めての快音につながった。熊本での試合を終えて、糸原は真剣な表情に戻る。「絶対、今後の野球人生に生きてくる。いろいろ教えてもらったことを試したい」。反骨心を隠そうともせず、後半戦に向かう。【酒井俊作】 ▼球宴初出場の阪神糸原が8回に初安打初打点。阪神の選手が初出場で安打を放ったのは昨年の梅野がいるが、初出場で初安打がタイムリーだったのは、16年の原口が第2戦で代打で適時二塁打して以来。

◆阪神糸井嘉男外野手(36)が、DeNAラミレス監督と打撃談議を交わした。球宴第2戦前のフリー打撃を終えた糸井のもとに敵将が歩み寄り、5分ほど話し込んだ。ラミレス監督は「出会えてよかったねと」と超人を歓迎。そこから"直撃取材"となった。  ラミレス監督は「(スイング時により強く)左手で押し込む理由を聞いたんだ。こっちが勉強になったよ」と明かした。糸井の打撃力の高さに関心が強いようで、糸井も惜しみなく打撃理論を披露。ラミレス監督も満足の笑みを浮かべた。  右足の腓骨(ひこつ)を骨折している糸井は、大事を取ってこの日の第2戦を欠場。状態について「わかりません!」と答えたが、振り向きざまに「ちょっと、ね」と右手人さし指と親指で良化していることを示すサインを送った。13日の球宴第1戦前に、6月30日の故障後初めてフリー打撃を敢行。この日も柵越えこそなかったが、前日の10スイングから7スイング増の17振を披露した。完全復活を目指し、慌てず急ぐ。

◆ずっと、待ち望んでいた。地元・熊本での初球宴。オールスター選手として、生まれ故郷に帰ってきた阪神岩貞祐太投手(26)が、胸をなで下ろした。  「震災がありましたけど、ここの景色は変わらない。大勢の熊本の方の前で思い切って投げられて、本当に幸せでした」  16年4月14日。熊本地震でふるさとが甚大な被害を受けた。「野球以外でも、どういう形でも協力したい」。1勝につき10万円、1奪三振につき軟式球1ダースの寄付を始めた。熊本市内に実家があり、修繕工事中の熊本城を目にすると、あの悪夢がよみがえってくる。「やっぱりつらいですよ。言葉にできないです。あれだけのことが起こったので...。忘れたことはありません」。震災時は熊本にはいなかったが、伝え聞いたり、写真を見たり...。悲惨な現実を、ただ受け入れることしかできなかった。  「絶対に、熊本で投げたかったんです」。大きな目標を胸に秘めて今季に臨んだ。「自主トレのときから徹底的に投球フォームを見てもらった。能見さんには感謝しかないです」。同じ左腕のベテラン能見を頼った。日頃のキャッチボールでも気づいたことは指摘してもらう。ボールの回転、軌道、修正したフォーム。シーズンでの奮闘が実り、監督推薦で出場を決めた。  試合では思いが募り過ぎ、力が入った。0-0の4回から登板したが、5回に源田と甲斐に連続適時打を浴び、2イニングで5安打2失点。黒星もついた。「苦い思い出のままでした。点を取られて悔しい気持ちが9年前と変わらなかった」。  必由館高校3年の夏。エースではなく「11」を背負った。先発を任されたが準決勝で敗退。「あのときの悔しさがあったから大学でも頑張ろうと思えました」。慣れ親しんだ熊本を離れ横浜商大で奮戦。いつかは熊本で雄姿を見せると誓い、13年ドラフト1位でプロの扉を開いた。「プロ野球は何万人という人が一致団結して応援してくれる。その人たちが熊本に来てくれることは本当にうれしい」。この日は、両親と祖母が観戦。「これからも熊本のために、熊本出身のプロ野球選手として頑張っていきたい」と心を新たにした。  「まだまだ、これから。時間はかかると思うけど、この時間を大事にしていきたい」。復興がすべてに行き届くまで...。岩貞が全力で腕を振り続ける理由が、熊本にある。【真柴健】

◆全パのソフトバンク松田が熊本で熱男ぶりを発揮した。  まずは三塁の守りで見せた。3回、小林の三塁線の打球を横っ跳びでキャッチ。すばやく起き上がって送球しアウトにした。打っては5回に左中間へ大きな当たりを放つと、左翼バレンティンのもたつきを見て二塁を回り、三塁へヘッドスライディング。泥だらけの姿でガッツポーズした。「持ち味を出せた。三塁には(頭から)行くしかないと。何かを残したいと思ってプレーした」。前半戦は打率2割2分7厘、守備でも元気のないプレーが多かっただけに工藤監督は「シーズン中もハッスルしてもらえるように。みんなの熱気が彼を突き動かした。ベンチでも一番元気があった」と、後半戦へつなげてほしいと期待していた。

◆14日の第2戦(リブワーク藤崎台)で登板する全セ・岩貞(阪神)は地元熊本での凱旋ピッチに腕をぶした。2016年以来、2度目の球宴出場。「こういう舞台でできることは、見える景色も違うと思うので頑張りたいです」と笑顔を見せた。試合前練習では大瀬良(広島)らと談笑するなど、球宴ならではの雰囲気を楽しんでいた。

◆14日の第2戦(熊本)は菅野(巨人)が先発し、全パの先発、岸(楽天)と投げ合う。13日、全セ・菅野は午前中に大阪市内で開かれた選手会総会に参加後、京セラでキャッチボールなどで調整。6年連続の球宴に「ファンに元気や勇気を与えられるような姿を見せたい」と意気込んでいたエースが、熊本の地を沸かせる。

◆本塁打競争は決勝で全セの筒香(DeNA)が、全セのバレンティン(ヤクルト)に勝って、優勝。賞金100万円を獲得した。  前日に行われたトーナメントでは筒香が決勝に進出。この日はもう一方の山の対戦が行われ、準々決勝で全セの鈴木(広島)が全パの山川(西武)に勝って準決勝へ。全パの柳田(ソフトバンク)、バレンティンの対戦はバレンティンが制した。その後、行われた準決勝をバレンティンが制し、筒香との決勝へ駒を進めた。  決勝では規定の3分間で8本を放った筒香が、バレンティンの7本を上回り、勝利。熊本の地で見事に本塁打競争を制した。

◆2016年4月の熊本地震の復興支援の一環として初めて熊本県で球宴が開催された。土曜の夜、リブワーク藤崎台球場には各球団の人気マスコットも夢の舞台を盛り上げた。

◆2日間にわたって行われた本塁打競争は、筒香(DeNA)が優勝して賞金100万円を獲得した。「素晴らしい打者の方々が多く、優勝できるとは思ってもいなかったのでうれしい」と頬を緩めた。  筒香は前日に中田(日本ハム)と吉田正(オリックス)を連破。柳田(ソフトバンク)と鈴木(広島)との勝負を制したバレンティン(ヤクルト)と決勝で激突した。今季19本塁打でセ・リーグトップに並ぶ2人の対決は筒香が3分間で8本の柵越えを放ち、7本だったバレンティンに競り勝った。

◆広島の大瀬良が堂々の球宴デビューを飾った。全セの2番手で三回に登板。柳田(ソフトバンク)を二ゴロ、外崎(西武)を空振り三振に仕留めるなど、直球のみの10球で打者3人を料理し「憧れのマウンドで、描いていた高揚感を感じることができた」と笑顔で振り返った。  プロ5年目の今季は早くもシーズン自己最多に並ぶ10勝を挙げる躍進でチームの首位独走を支える。監督推薦による晴れ舞台を好結果で終え「成長できる時間になった。後半戦につなげたい」と頼もしい顔で話した。

◆楽天の岸は全パの先発を務めて2回無失点と役目を果たした。直球勝負を挑む投手が多い中、「持っている球種を全部使いたい」と切れのある直球に変化球を織り交ぜた。一回一死二塁ではロペスを111キロのカーブ、筒香を146キロの直球とDeNAの強打者2人を連続三振に仕留めた。  前半戦では8勝1敗、防御率1・85と規定投球回に達したパ・リーグの投手の中で、ただ一人、1点台をマークしている。「筒香君から真っすぐで三振を取れたのが良かった」と汗を拭った。

◆全セの上原(巨人)が2点を追う六回から11年ぶりに球宴で登板し、1回無失点だった。上原は、2005年に巨人・工藤公康(現ソフトバンク監督)が42歳2カ月で記録した球宴最年長登板の記録を43歳3カ月で塗り替えた。  六回に登板した上原。先頭の山川(西武)を三ゴロに打ち取ったが、中村(ロッテ)を四球、近藤(日本ハム)を失策で出塁させ一死一、二塁。ピンチを迎えたが、松田(ソフトバンク)を左飛、源田(西武)を遊飛に抑えた。上原は登板後、「無事に終わってホッとしています。(懐かしい)感覚というよりも暑い」と笑顔で汗をぬぐった。米球界から戻ってきた。11年ぶりの球宴で最年長登板となったことについて「あまりうれしいとは思わない」と苦笑いし、「(全セは)負けてますから逆転してほしい」と後輩たちの奮起に期待した。

◆ソフトバンクの松田が0-0の五回、先頭打者で二塁打を放ち、先制点の足掛かりをつくった。岩貞(阪神)の141キロを引っ張って左中間を破り、左翼手のバレンティンが打球の処理を誤る間に、三塁に頭から滑り込んだ。チームに勢いをもたらすと、続く源田(西武)の二塁打で先制のホームを踏んだ。  「オールスターはお祭りみたいなところもある。一球一球集中して、いい当たりを打ちたい。熊本の皆さんにパワーを与えたい」との言葉通り、ハッスルプレーで球場を盛り上げた。

◆全セの6番手として八回から登板した山崎(DeNA)がナックルボールを披露するなど1回2失点とした。  山崎は本拠地・横浜スタジアムで登場する際に観客がジャンプして迎える"康晃ジャンプ"を再現した熊本のファンに迎えられマウンドに立つと、とっておきの武器を披露した。先頭の近藤(日本ハム)に投じた初球でシーズン中には投げないナックルボールで、近藤も驚きの表情。その後も二死一塁で森(西武)と対戦した際には初球から2球続けてナックル。さらに二死一、三塁で迎えた柳田(ソフトバンク)には3球続けて投じたものの、左前適時打を浴びた。   ナックルで意表を突いた山崎だったが、その後も浅村(西武)に中越え適時二塁打を浴びた。

◆熊本出身の岩貞(阪神)は地元での球宴で2回を投げ、5安打2失点だった。2イニング目の五回に源田(西武)と甲斐(ソフトバンク)に連続適時打を浴びたが「大勢の熊本の方の前で投げることができて幸せだった」と振り返った。  夏の甲子園大会を懸けた高校最後の熊本大会準決勝で敗れた時と同じマウンドに立った。悔しい思い出を残した球場で投げ「これからも熊本出身のプロ野球選手として頑張っていく」と気持ちを新たにした。

◆全パが全セを下し、昨年から4連勝。通算成績を84勝78敗11分けとした。MVPは西武の源田壮亮内野手(25)が選ばれた。  球宴初開催の熊本で全セは菅野、全パは岸が先発した。全パは一回、柳田が二ゴロ、外崎が空振り三振後、デスパイネ、山川は連続四球。二死一、二塁と好機を作ったが、中村は一邪飛に倒れた。全セは二回二死から宮崎が中前打。続く菊池は遊ゴロに倒れた。全パは五回、先頭の松田が岩貞から左中間二塁打を放ち、左翼手・バレンティンがもたつく間に三進。続く源田が右中間に適時二塁打を放った。この後、甲斐が左前適時打を放ち、2-0とした。  全パは七回、今江が石山から右前適時打を放ち、1点を追加した。全パは八回二死一、三塁で柳田が3球続けてナックルを投げた山崎から左前適時打を放った。続く浅村は中越え適時二塁打を放ち、5-0とした。その裏、全セは糸原の左中間適時二塁打で1点を返したが、打線がつながらなかった。 全パ・工藤監督 「投げるピッチャーがすごくて、ほれぼれするようなボールを投げていたので、ひたすらベンチで楽しんでいました。今日来られたお客さんも満足しているのではないでしょうか。野球で少しでも元気になってもらえればという思いで、選手も一生懸命頑張ってくれたと思うので、熊本のみなさんもこれからも頑張って下さい」

◆全パが全セを下し、昨年から4連勝。通算成績を84勝78敗11分けとした。MVPは先制打を放つなど3打数1安打、守備でも好プレーを見せた地元・九州の大分出身の西武・源田壮亮内野手(25)が選ばれた。西武は前日の森に続くMVP獲得。源田は満員のファンの前に充実感を漂わせた。  --MVPに選出  「びっくりしてます」  --先制打の場面  「いいところで打席ができたと思った。なんとかバットに当たってくれと思いながら振りました。地味なヒットだなと思いました」  --守備でも好プレー  「エラーだけはしないように集中して守ることができた」  --きのうのMVPは同僚の森選手(西武)  「試合前に森の体をいっぱい触ってきたので、運気がきたのかなと思います」  --特別な球宴になった  「去年より楽しめた。思い出に残ると思う」  --地元・九州で活躍  「自分のタオルを掲げてくれる方もいた。家族も来ていたので、いいところを見せられてうれしかった」  --子供たちにメッセージを  「お父さん、お母さんの言うことを聞いてご飯をいっぱい食べて、野球の練習を頑張ってください」

◆打率3割4分9厘でパ・リーグ2位につける日本ハムの近藤が第1戦に続き、安打をマークした。六回一死一塁で代打出場して上原(巨人)から中前打を放つと、八回は先頭打者で左前打をマークし、この回2点を加える口火を切った。  昨年は選手間投票で選出されたが、腰部椎間板ヘルニアの手術を受けたため出場を辞退。今年は晴れてリーグ屈指の好打を発揮し「第1戦の松坂さんといい、上原さんといい、子どものころから見ていた選手と対戦できてうれしい」と楽しんでいた。

◆プロ野球マイナビオールスターゲーム2018は14日、熊本市のリブワーク藤崎台球場で第2戦が行われ、全パが5-1で全セを下し、昨年から4連勝で通算成績を84勝78敗11分けとした。最優秀選手(MVP)には先制の二塁打を放った源田(西武)が初めて選ばれた。  全パは五回、源田の適時二塁打と甲斐(ソフトバンク)の適時打で2点を先制。七回に代打今江(楽天)の適時打、八回には浅村(西武)の適時二塁打などでリードを広げた。全セは八回に糸原(阪神)の適時二塁打で1点を返した。  球宴が熊本県内で行われるのは初。2016年4月に起きた熊本地震の復興支援の一環で、地方球場では13年以来、5年ぶりの開催だった。後半戦はセ、パ両リーグともに16日にスタートする。 全パ・工藤監督 「投手がすごくて、ほれぼれする球を投げていた。熊本でオールスターをやることができて本当に良かったと思うし、少しでも元気になってもらえればという思いで選手たちも一生懸命頑張ってくれた」 全セ・緒方監督 「セ・リーグを応援していただいたファンの方には勝てなくて申し訳ない。熊本に元気をという意味でオールスターを開いたと思うが、子どもたちの声援から選手が逆に勇気をもらったと感じた」

◆阪神の糸原が七回から途中出場し、0-5の八回無死二塁で左中間に適時二塁打を放った。この日、全セの唯一の得点をたたき出し「タイムリーになってくれて良かった。うれしい」と声を弾ませた。  プロ2年目で初選出された夢の舞台で、青木(ヤクルト)や坂本勇(巨人)と交流したという。「今後の野球生活に生きてくる。いろいろ教えてもらったことを試していきたい」と意欲的だった。

◆西武の浅村は途中出場して七回に右前打すると八回には中越えの適時二塁打と2安打1打点で敢闘選手に輝いた。「真っすぐばかりで打たせてもらっている感じはあるけど、賞もいただいたので良かった」と穏やかな口調で話した。  第1戦は森、第2戦は源田が最優秀選手(MVP)に輝くなど、西武勢が存在感を見せた。首位を走るチームを束ねる主将は「後半戦にいい形で入れる」と充実感を漂わせた。

◆ヤクルトの青木は一回一死で岸(楽天)の直球を捉え、右中間二塁打を放った。第1戦は無安打だっただけに「ファンの方に見せられて良かった」と喜んだ。  米大リーグから今季復帰。地元宮崎に近い熊本で7年ぶりの夢舞台を味わい「やっぱりこういう空気感はいい」としみじみ。地震からの復興を願い「選手が元気にプレーしている姿を見て、少しでもいい方向にいってほしい」と話した。

◆DeNAの宮崎は2安打を放ち2度目の球宴で初の敢闘選手賞に輝いた。第1戦では特大の2ランを放ったが、この日は持ち前の巧打を見せ、二回に岸(楽天)から中前打、五回は石川(ロッテ)の速球を流し打って右前打とした。  佐賀県出身。日本文理大時代にプレーして以来のリブワーク藤崎台球場で「入ったところから懐かしい感じがした」と言う。同じ九州の熊本の復興を支援する球宴で活躍し、後半戦に向け「元気を与えるようなプレーをやっていきたい」と力強くうなずいた。 山崎(ナックルボールを多投し1回2失点) 「普段することのできない投球ができ、球宴の独特な雰囲気も味わえて楽しかった」

◆プロ野球マイナビオールスターゲーム2018は14日、熊本市のリブワーク藤崎台球場で第2戦が行われ、全パが5-1で全セを下し、昨年から4連勝で通算成績を84勝78敗11分けとした。最優秀選手(MVP)には先制の二塁打を放った源田(西武)が初めて選ばれた。 菅野(先発して2回無安打無失点で山川にはスローボールを投げ) 「普段見られない勝負をと思い、自分なりに考えた」

◆ファン投票で3年連続してセ、パ両リーグ最多得票だった柳田(ソフトバンク)が八回に適時打を放った。山崎(DeNA)の変化球をうまく左前へ運び「熊本は熱気がすごかった。いい思い出になった」と笑顔を浮かべた。  前半戦は打率3割4分7厘、20本塁打、58打点で、いずれもリーグ上位の成績だった。大事な後半戦に向け「最後の最後まで頑張りたい」と意気盛んに話した。 森(2試合連続無失点) 「シーズン中よりもいい感じで投げられた」 加治屋(初登板で1回1失点) 「緊張したけど、楽しめた」

◆2年ぶりに選出されたロッテの石川は、2-0の五回に3番手で登板し1回無失点ときっちり役割を果たした。「(シーズン中の)地方球場での試合のようだった」と平常心で臨めたことを強調した。  先頭の宮崎(DeNA)に右前打を許したが、続く菊池(広島)には低めの速球で遊ゴロを打たせて併殺に。小林(巨人)も低めの球で二飛に仕留め、巧みな投球でこの回をわずか6球で終えた。前半戦は9勝3敗、防御率2・38と抜群の安定感を発揮した。球宴の余韻に浸ることなく「すぐにシーズンがあるので」と気持ちを切り替えた。

◆ソフトバンクの甲斐が五回に球宴初のタイムリーを放った。同じ大分県出身で同学年の源田(西武)が先制二塁打を放った直後に左前へはじき返し「源田もしっかり打ったんで何とか僕も打ちたいなと思ってスイングした。続けて打てて良かった」と喜びもひとしおだった。  初めて選出された球宴では第1戦でも安打をマーク。第2戦は大分の隣県の熊本での開催とあって「同じ九州でのオールスターでプレーすることができてとてもうれしい」と感慨深げだった。  育成出身で昨年のソフトバンクの日本一に貢献し、正捕手に定着しつつある。「しっかり自分のチームに戻ってもこういう経験を生かして次につなげたい」と自信を得ていた。

◆「松坂担当」で球宴に張り付いている中日担当のビヤ樽三木建次が悲鳴を上げております。  「暑いわ。俺、普段の体温が低いんや。だから余計にこたえる」  大阪は37・8度。熊本も36・8度。どちらも体温よりも高い猛暑日でした。その中を移動して即日ナイターの第2戦ですから、身長1メートル60、自称「体重91キロ」のビヤ樽もヘロヘロです。  「スタミナをつけなあかんと思って、熊本駅に着いてすぐ、豚骨スープの馬肉入り熊本ラーメンを食べた。750円。うまかったぁ」  暑いとボヤきながら元気いっぱいです。こってりしたラーメンをぺろりとたいらげたビヤ樽が店を出ると、駅前はあふれんばかりの人だかりで、目の前には"花道"もできていました。  「両側にズラ~と並んで、オールスターに出る選手を待ってるんや。食べ終わって俺が球場へ向かおうとしたとき、ちょうどソフトバンクの柳田が駅に到着した。後ろをついていったら、タクシー乗り場まですーっといけたわ。すごい歓声やったで」  熊本のみなさま、柳田の横を関係者のような顔をして(まあ関係者といえば関係者なんですけど)コロコロと転がっていたのが、うちのビヤ樽です。写真撮影の邪魔になったことでしょう。申し訳ありません。  そのビヤ樽より少し早く球場入りしていたのが2年目のトラ番竹村岳です。24歳の熱血漢には、同じ光景も違って見えていました。  「暑いです。でも、すがすがしい気持ちになりました。駅でも球場でも、選手に声援を送るみなさんの目がキラキラしていて。こういう形でオールスターが開催されるのはいいなあと思いました」  竹村は昨年12月、岩貞の熊本県庁訪問を取材。今回が「人生2度目の熊本」ですが、心は3度目の熊本出張でした。  大学3回生の2015年秋、東日本大震災の被災地に出かけてボランティアとして活動していた中で「社会に貢献する仕事がしたい」と一念発起したことが記者になるきっかけだった竹村は、4回生だった16年4月に熊本地震が起きたときには、飲料水とトイレットペーパーを買いそろえ、救援物資として熊本に送っています。  「岩貞投手も感慨深そうな表情でした。去年県庁を訪問したときから、このオールスターに出たいと話していました。パ・リーグ打線は強力ですけど頑張ってほしいです」  岩貞は四回から登板。五回に失点してしまいましたが、しっかり腕を振って力投。熊本への思いもこもった竹村の原稿はこの隣に掲載されております。ところでビヤ樽は...。あれ? 記者席にいない!?  「報道陣が多くて座り切れないんや。試合に出る予定が決まっている選手の担当記者が記者席に座って、俺は球場の外の臨時記者席にいる。松坂は第2戦も試合に出そうなんや。代打で出るかもしれん。松坂が代打で出たら、俺はそこから大忙しになる。しっかり準備しとかんと」  ということで出張していたのですが、松坂の出番はなし。うまいこと言うて、馬肉ラーメンだけ食べにいきやがったな!?

◆--糸原はミスもしたが、取り返した  金本監督 「ハッハッッハ。ま、きょうは許そう!」  --打撃は力強く  「左中間ね」  --ミスした直後に取り返すのは糸原らしい  「知らん。知らんというか、ま、いいんじゃない? いいよ、きょうは。いい経験したでしょう」  --そういう姿勢を後半戦からも見せてほしい  「もちろん、もちろん。ミスはするんだから、誰でも。僕もいっぱいしてきましたから」

◆佐賀出身の宮崎(DeNA)が、3打数2安打で敢闘選手賞に輝いた。第1戦では特大の2ランを放っており、2試合を通じて夢と希望を与えた選手に贈られる「マイナビ賞」も受賞。計200万円を獲得した。日本文理大時代に何度もプレーしたリブワーク藤崎台球場で活躍し「懐かしい感じはありました。僕自身も九州出身なので、元気を与えるプレーができてうれしく思います」と大粒の汗をぬぐった。

◆島根・開星高時代の恩師・野々村直通元監督(66)は「みていなかったんだよ。知り合いと食事に出かけていてな...」と残念がったが、携帯電話に相次いだ連絡で糸原の活躍に気づいたという。「最初はエラーしましたよ、なんて連絡ばっかりだったんだけどな。あいつの意地だよ。セ・リーグ唯一の打点だろ? フライ落とした後なんて、普通は沈み込むもの。1打点挙げたんだから、帳消しだな。帰って、楽しみに録画をみるよ」と声を弾ませた。

◆右腓骨を骨折している全セ・糸井(阪神)は出場せず。ベンチで他球団の選手たちと試合を見守った。試合前のフリー打撃では前日13日よりも多い17スイング。状態が上がっているかという問いに人差し指と親指で「ちょっと」と答えた。第1戦には代打で出場するなど超回復を続ける糸井が、16日の巨人戦(甲子園)から始まる後半戦に向け、ひたすら状態を上げる。

◆全パ・柳田悠岐外野手(29)=ソフトバンク=が、本塁打競争を通して最も打球の平均速度が速かった選手に贈られる「日産ノート e-POWER賞」に輝いた。  「いつも投げてもらっている打撃投手の浜涯(はまぎわ)さんのおかげ。新しいルールでしたが、すごく楽しめました」と柳田は笑顔。第2戦前の本塁打競争に出場し、3分間で10本の柵越えを放ったが、同11本のバレンティン(ヤクルト)に敗れた。しかし、打球の平均速度は出場選手のうち、最速の164キロをマーク。持ち前の圧倒的なパワーを数字でも示し、熊本の観客を沸かせた。  ファン投票で3年連続してセ、パ両リーグ最多得票だった柳田は第2戦では、八回に山崎(DeNA)から左前に適時打を放ち、「熊本は熱気がすごかった。いい思い出になった」と振り返った。  柳田には日産自動車・南智佳雄氏から、2018年上半期登録車販売台数NO.1を獲得し、力強くスムーズな加速性能が魅力な「日産ノート e-POWER」が贈呈された。 全パ・工藤監督 「投手がすごくて、ほれぼれする球を投げていた。熊本でオールスターをやることができて本当に良かったと思うし、少しでも元気になってもらえればという思いで選手たちも一生懸命頑張ってくれた」 六回に代打で上原から中前打を放つなど、2安打の全パ・近藤(日本ハム) 「第1戦の松坂さんといい、上原さんといい、子供の頃から見ていた選手と対戦できてうれしい」 2回1安打無失点で勝利投手、敢闘選手賞に選ばれた全パ・アルバース(オリックス) 「本当に光栄だね。ベストプレーヤーがそろう舞台で野球ができてよかったよ」

◆全パが全セに5-1で勝ち、昨季からの連勝を4に伸ばした。  泥だらけになった全パ・松田宣浩内野手(35)=ソフトバンク=が、チームに勢いをつけた。  「持ち味が出せてよかった。こういうの(ムードメーカー)もあって8年連続(2014年は出場辞退)で選んでもらっていると思うので」  五回先頭で左中間二塁打。左翼手のバレンティン(ヤクルト)の緩慢な動きをみて「行くしかないと思った」とヘッドスライディングで三進。ハッスルプレーで先制点につなげた。守備でも三回に小林(巨人)の三塁線の打球を横っ飛びで好捕して投手陣を救った。  ソフトバンクは7選手全員が出場した。球団は熱心に熊本地震の復興支援を続けているが、今季は熊本で開催予定だった4月14日のロッテ戦が中止。工藤監督は「中止になったときに『次はオールスターで』という言葉をファンのみなさんに残したので」と、約束どおり積極的に鷹ナインを起用した。柳田と松田はフル出場で、野手は5人ともスタメン。森も2試合連続で登板した。  松田は「自分が頑張らないといけない、という責任はある」と自覚。3位争いに甘んじている責任を感じながら、夢舞台で逆襲を宣言した。 (安藤理) 五回に左前適時打を放って2試合連続安打の全パ・甲斐(ソフトバンク) 「自分も大分出身で、地震の被害にあった方がたくさんいる。少しでも元気を届けたいと思いました」 八回に山崎(DeNA)から適時打を放った全パ・柳田(ソフトバンク) 「人生初ナックル。初めて打ちました」

◆全セ・青木宣親外野手(36)=ヤクルト=は「2番・中堅」で2試合連続で先発出場。一回の第1打席では右中間への二塁打を放ち「みんなが見てくれている中でヒットを打ててよかった」と笑顔を見せた。  球宴での安打は前回出場した2011年の第1戦以来。一塁を駆け抜けた際につまずいて転倒しそうになったが、無事に二塁到達。「あれはアップ不足だね」と冗談を飛ばした。  出身地の宮崎に近い熊本で迎えた7年ぶりの舞台。「選手が元気にプレーしている姿を見て、少しでもいい方向にいってほしい」と地震からの復興を願った。(横山尚杜)

◆全セの筒香嘉智外野手(26)=DeNA=が14日、オールスター第2戦に先立って行われた本塁打競争に出場し、決勝でウラディミール・バレンティン外野手(34)=ヤクルト=を破り、2015年に続く2度目の優勝を果たした。  「素晴らしい打者の方々が多く、優勝できるとは思ってもいなかったのでうれしいです」  投手役を務めた同僚のロペスが投げる球を次々と右翼席へ運んだ。レギュラーシーズンでリーグトップの19本塁打で並ぶバレンティンと争い、8-7で勝利。前日13日の競争で23本、試合での1本と合わせて32本塁打でファンを魅了した。  「震災があって、苦しんでいる人たちに元気を与えたかった。ファンがあっての僕たち。これからも活力を与えるようなプレーを見せていきたい」  セレモニー後、憧れの存在で横浜高の大先輩、松坂(中日)と記念写真に収まり、「頑張って」と激励された。日本の4番は「後半戦でも、夢と希望を与えられるような本塁打を放ちたい」と、スタンドの声援に手を振り続けた。(湯浅大) ★筒香球宴VTR  2015年から4年連続でオールスター戦に出場しており、16年の第1戦で初本塁打を放つと、2戦目でもアーチを掛け敢闘選手賞に選ばれた。17年の第1戦では、史上2位に並ぶ3試合連続本塁打をマーク。今年も第1戦で1本塁打を放ち、3年連続本塁打を記録した。

◆全セの菅野智之投手(28)=巨人=は、先発で2回を無安打無失点。山川穂高内野手(26)=西武=に山なりの超スローボールを投げるシーンもあり、熊本のファンを沸かせた。  不敵な笑みを浮かべ、菅野は振りかぶった。一回、パの4番・山川への初球は、まさかの軌道を描き、ゆ~っくりと小林のミットに収まった。球速表示は出ず"測定不能"。ボールとなったが、観客をどよめかせた。  「普段と違った対戦をお客さんが楽しみにしている。何か自分なりに考えて、盛り上がってくれればいいなと思った」  これには山川も苦笑い。菅野は「難しいよ。一回も練習していないから」という"魔球"から4球連続ボールで四球を与え、「何の意味もなく終わってしまった...」と悔しがったが、圧倒的な投球でねじ伏せる普段と異なる姿で盛り上げた。  一回先頭の柳田(ソフトバンク)には、予告通りの全球直球勝負。2球目、高めの146キロで二ゴロに抑えた。パの強打者を直球主体で封じ、昨年4月のヤクルト戦で3安打完封を飾った地で、しっかり実力も示した。  試合前に地元の野球少年が「全国の皆さん、熊本は元気です!!」などとスピーチ。真剣に聞き入った菅野は「本来は僕たちが元気や勇気を届けないといけないけど、(スピーチに)また頑張ろうと思った選手はたくさんいると思う。野球を通じて募金活動などを続けていくのが、自分たちの使命」と胸を打たれた。決意を胸に、後半戦も全力で投げ続ける。 (谷川直之)
全セ・緒方監督 「セ・リーグを応援していただいたファンの方には勝てなくて申し訳ない。熊本に元気をという意味でオールスターを開いたと思うが、子供たちの声援から選手が逆に勇気をもらったと感じた」 2番手で三回に登板し直球のみで打者3人を料理した長崎出身の全セ・大瀬良(広島) 「描いていた高揚感を感じることができた」 2試合連続で出場し2打数1安打だった全セ・山田哲(ヤクルト) 「打ててよかったです。子供たちの声援も、しっかり届いていました」 ファン投票で全セの最多得票で出場し、試合ではナックルボールを多投した全セ・山崎(DeNA) 「普段はできない投球ができ、球宴という独特な雰囲気を味わえて楽しかった」
熊本フィーバーアラカルト  ★駅も歓迎ムード 選手たちが大阪から移動してきた熊本駅は約500人のファンの"出待ち"で混雑し、改札の外にビニールロープで選手の導線が作られた。  ★交通規制 球場近辺では、花火大会やマラソン大会開催時と同規模の交通規制が敷かれ、熊本都市バスが迂回(うかい)運行。各タクシー会社には事前に案内が配布された。  ★球場外でPV 球場近くの熊本城二の丸広場では、第1、2戦ともにパブリックビューイングが実施された。  ★ちびっ子大歓声 外野席には熊本県内の少年野球チームに所属する約3300人の児童を招待。試合前には男子児童が代表でスピーチし、「全国のみなさん、熊本は元気です!!」などと、復興支援への感謝を述べた。

◆9年前と何も変わらないマウンドに、全セの岩貞(阪神)が帰ってきた。自身2年ぶりの球宴は、地元・熊本での開催。まだ少し傷が残る火の国で、精いっぱいに腕を振った。ちょっぴり残る悔しさも、高校時代と同じだった。  「(マウンドからの景色は)高3のときと同じ景色で、震災があってもここは変わらないんだなと。熊本の方々の前で投げることができて幸せです」  菅野(巨人)、大瀬良(広島)とセ・リーグを代表する投手からバトンを受け、四回からマウンドへ。2安打で一死一、二塁とされるも、中村晃(ソフトバンク)を投ゴロ併殺に仕留めた。五回には3連打で2点を失うも、元気な姿を観戦に訪れた家族にもみせた。  投手を本格的に始めた必由館高時代。チームを背負う責任が生まれたも、このときだ。はじめはなかなかストライクも入らず平凡な域を出なかったという。そんな中、3年春の県大会。先発するも初回から1球もストライクが入らず連続四球。その後、無死満塁のピンチを作りバトンを渡したが...。チームは七回コールド負けを喫した。  「キャプテンにもいろいろキツく言われたみたいでしたし、本人も責任を感じたようでした」  西田尚巳監督(53)が当時を振り返る。帰り道には3000段ある「日本一の石段」がある参道へ向かい、悔しさを胸に走り込んだ。その試合をきっかけに、メキメキと成長。6月には佐賀の強豪高を完封。嫌いだったランニングにも、自ら取り組むようになっていった。高3夏に準決勝で敗れたのが、このリブワーク藤崎台。岩貞は「やっぱり苦い思い出のままですね」と笑ったが、心身ともに成長した姿を故郷でみせた。  「(後半戦へ)自分の投球でチームを勝たせる。全試合でしっかり腕を振るために、100%の準備をしていきたいです」  思いは届けた。今度はもっと、胸を張って帰って来る。名実ともに、虎を支えるエースとして。(竹村岳) 岩貞の恩師、必由館高・西田尚巳監督 「テレビで見ていましたが、よう打たれましたね(笑)。ゲッツーを取ったのもビックリしてましたね(笑)。高校時代以来の藤崎台ということでしたけど、また投げたのがオールスターというのがスゴい。熊本出身の選手も一人ですし。前半戦は青木選手に頭部死球を当てた、あのゲームは本当にもったいなかった。そこは反省してもらって。またこのオールスターで、地元からパワーをもらって、後半戦も頑張ってほしいですね」
★岩貞の球宴VTR  2016年に前半戦4勝7敗を挙げ、監督推薦で3年目で初出場。7月16日の第2戦(横浜)で全セの2番手で三回から登板。先頭の鈴木(ロッテ)に左前打を許したが、一死から岡島(楽天)を二塁併殺に仕留め、四回も先頭の栗山(西武)に内野安打で出塁されたが、一死からメヒア(西武)を併殺打。2回2安打無失点だった。
熊本地震  2016年4月14日午後9時26分以降に熊本、大分で相次いで発生した地震。最大震度7を観測する地震が14日夜および16日未明に発生し、マグニチュード7・3は阪神大震災と同規模。倒壊や土砂崩れなどによる死者は熊本県内で50人に上った。藤崎台県営野球場(リブワーク藤崎台)では19日に巨人-中日が予定されていたが、グラウンドの隆起や球場施設の破損などで中止となった。

◆"セ界最高"の輝きや! 第2戦が熊本で初開催され、糸原健斗内野手(25)=阪神=が全セ唯一の得点をたたき出した。途中出場し、八回の遊撃守備で失策した直後、左中間に適時二塁打。2年目で初選出された球宴での収穫を手に、後半巻き返しのリードオフマンとなる。全セが1-5で敗れ、昨年から4連敗で通算成績を78勝84敗11分けとなった。  火の国の漆黒の夜空を、反骨心が詰まったライナーが切り裂いた。左翼手・近藤(日本ハム)の差し出したグラブを弾く。これぞ「執念」-。初出場の糸原が根性で打った。  「抜けてくれ、という思いでした。タイムリーになって、よかったです。うれしいです。エラーしていたので...」  七回から遊撃守備で途中出場。全セの完封負けを阻止したのは5点を追う八回無死二塁だった。右腕・加治屋(ソフトバンク)の4球目、外角149キロ直球を左中間へ弾き返した。その直前、八回二死一塁の守備では森(西武)の高々と上がった三塁線寄りの飛球にグラブを差し出したが落球。2失点につなげていただけに、汚名返上の思いしかなかった。  熊本地震復興支援の一環として初めて熊本で球宴が開催。外野芝生席には地元の少年野球チームの球児3300人が招待された。監督推薦で初出場を決めた糸原はプロ入り前から「体が小さい子どもたちに夢を与えたい」と胸に秘めていた。身長は1メートル75。プロ野球選手としては小さい方。それでも夢を描き、決してあきらめず、努力する大切さを教えたかった。  夢を追う-。その姿勢は島根・開星高時代、当時キャスターとして取材にきていた栗山英樹氏(現日本ハム監督)から伝授されたものでもあった。「プロで小さくても、やれる。夢を追え!」。1メートル76と恵まれた体ではなかった栗山氏から、そう耳打ちされた。糸原は1年時に難病にも指定されている潰瘍性大腸炎を患いながら、克服。何事も努力次第で乗り越えられることを信じ続けた。  「小さい体で? そうですね。ヒットもタイムリーも打ててよかった」  虎の歴史をひもとけば、球宴初出場で初安打が適時打となったのは2016年の原口以来。今季虎で唯一、全試合出場を続けるハングリー精神の塊に、コーチとして出場した金本監督も「ハッハッハッ。ま、きょうは許そう!」と破顔一笑。「ミスはするんだから。誰でも。僕もいっぱいしてきましたから。いい経験したでしょう」と、また一回り強くなれたことにうれしそうだ。  青木(ヤクルト)や坂本勇(巨人)から"一流エキス"も吸収した糸原は「絶対今後の野球人生につながる。教えてもらったことを試していきたい」。16日の巨人戦(甲子園)から、いよいよ後半戦。ここまでチーム唯一の全74試合出場で、打率・294。首位・広島とは7ゲーム差あるが、13年ぶりのリーグVへ虎のリードオフマンとして食らいつく。  熊本地震から2年経っても熊本城内にはがれきが目立つ。西日本では平成30年7月豪雨の被災者も苦しんでいる。絶対にあきらめない。夢はつかめる。心の底から笑える瞬間を糸原が願っている。 (阿部祐亮)

◆全パが全セに5-1で勝ち、昨季からの連勝を4に伸ばした。全パの「8番・遊撃」で先発出場した大分県出身の源田壮亮内野手(25)=西武=が0-0の五回、中堅へ適時二塁打。遊撃守備でも2つの併殺を完成させ、最優秀選手賞(MVP)に輝いた。第1戦の森友哉捕手(22)に続いて西武勢がMVPとなり、パ・リーグ首位を走るチームの力を球宴でも見せつけた。  打球が中前へしぶとく抜けるのを確認し、源田は一気に二塁を陥れた。MVPのお立ち台に立つと、照れくさそうに言葉をつないだ。  「ビックリしています。いいところで回ってきた。なんとかバットに当たってくれと。地味なヒットでしたね」  0-0で迎えた五回無死三塁で、岩貞(阪神)の低めのスライダーを捉え、プロ2年目でのオールスター初安打。パの貴重な先制点となった。  熊本の隣県、大分出身の源田。熊本は父・光明さんの実家があり、「小さい頃によく来ていた」という思い出の場所だ。この日も多くの親類が応援に訪れ、源田も震災後は「心配していました」と復興を願い続けた。外野席には、復興支援企画で同県内の少年野球チームの球児約3300人が無料招待された。ヒーローはお立ち台で、未来のプロ野球選手たちに「お父さん、お母さんの言うことを聞いて、ご飯をいっぱい食べて頑張ってください」と、エールを送った。  前夜の第1戦(京セラ)では森が3ランを放ち、MVPに輝いた。秋山は史上初の2年連続先頭打者弾。山川は適時打を放ち、浅村、外崎も安打をマークした。試合後は、西武勢の出場7選手で焼き肉店へ。MVPの賞金300万円を手にした22歳の森にごちそうになり「打っていないの、僕だけだ...」と源田は奮起。同学年で同郷の甲斐(ソフトバンク)とは、昨秋の「アジアチャンピオンシップ」でともに無安打。「なんとか頑張って打とう」と健闘を誓い合い、ともに適時打をマークした。  遊撃守備でも魅了した。五回無死一塁では、体の近くで跳ねた菊池(広島)の打球をしっかりとさばいて、遊ゴロ併殺を完成。解説に訪れた日本代表・稲葉篤紀監督(45)を「難しいゴロを簡単に見せている」とうならせた。  西武の2戦連続MVPは日本一となった1987年の石毛、清原以来31年ぶり。「ライオンズはみんな調子がよかった。このまま後半戦に入れればいい」と源田。真夏の祭典は、まさにライオンズ一色だった。 (花里雄太)
2安打1打点で敢闘選手賞の全パ・浅村(西武) 「賞をいただけて、いいオールスターでした。ライオンズから2日連続でMVPが出るとは思っていなかった」 4番で2打数1安打の全パ・山川(西武) 「ホームランを打ちたかった。他球団の選手と話ができて、楽しい2日間でした」

◆10年ぶりに日本球界に復帰した全セの上原浩治投手(43)=巨人=が六回、4番手で登板。2005年の巨人・工藤公康(現ソフトバンク監督)が記録した42歳2カ月を更新する、43歳3カ月での球宴最年長登板を果たし、1回を1安打無失点に抑えた。同じ年にプロ入りした松坂大輔投手(37)=中日=も見つめる前で、16年に地震で甚大な被害を受けた熊本を大いに盛り上げた。試合は全パが5-1で全セに勝ち、昨年から4連勝。通算成績を84勝78敗11分けとした。  外野席に招待されたちびっ子も、オールドファンも、この日一番の歓声をあげた。地震の爪痕が残る熊本城を三塁後方に臨むリブワーク藤崎台球場のマウンドに、上原が立った。真夏の熱気が、さらに温度を上げた。  「無事に1イニング投げられたのでオッケーです。みなさんが喜んでくれたら、暑さもいい汗になりますね」  43歳3カ月の右腕は六回に4番手でバトンを受け、球宴の最年長登板記録を塗り替えた。一死から中村(ロッテ)に四球、代打・近藤(日本ハム)に不運な中前打を許して一、二塁の危機を招いたが、最速138キロの直球とスプリット・フィンガード・ファストボール(SFF)を主体に後続2人を断ち、無失点。スター軍団の中で、唯一無二の輝きを放った。  「最年長、最年長って、そんなに年寄り扱いしないでください。でもそれが一番目の記録というのはうれしいですね」  降板後も沸かせた。興奮冷めやらぬ表情でテレビ局の生中継のインタビューに登場。ゲスト解説席にいた前日の第1戦(京セラ)先発で1回5失点だった松坂と、絶妙な掛け合いも披露した。  「こういう場面はたくさん経験していると思うので、落ち着いていますね」と解説していた37歳の松坂は、冷房の効いた放送席から「涼しいところで見ていたんですけど、さすがですね」と呼びかけた。登板時の午後8時でも気温30度超だったグラウンドで投げ終えたばかりで、真っ赤な顔の43歳の上原は「なめてますね!」と、鋭いツッコミで笑いを誘った。  前夜に対面した際は「お互いに年を取ったな、というのが第一印象」と話した上原。「僕は白髪が増えたし...」と言って松坂をじっと眺め「ひげを生やして貫禄が出た」と、時間の経過を感じて笑った。  そんな松坂に上原は「大輔の『ボロボロになるまでやりたい』という言葉を聞いて、自分もそういう気持ちでやらないとあかんなと思った。すごく刺激になる存在」と熱い気持ちも吐露した。ともに1999年ドラフト1位でプロ入りし、同年の球宴では新人先発対決で投げ合った。日米を股にかけて野球界を引っ張った"盟友"との再会が、新たな力をくれた。  ベテランの全力プレーで、2016年の大地震から復興に向かう熊本に活気があふれた。「(被災地に)何かメッセージみたいなものを伝えることができたら」と話していた上原も、年齢に負けず、ひたむきに腕を振る姿で、熊本を笑顔にした。(谷川直之)
★思い出"収穫"  "収穫"もあった。上原は球宴の楽しみについて「趣味である用具集めも頑張りたい」と話していたが、見事に達成した。前日13日の第1戦前に松坂、青木(ヤクルト)にグラブ、バットを"注文"しており、「ゲットしました! 先輩の特権として、『分かっているな』と言っておいたので」と笑った。青木はこの日、上原のロッカーにバットを置いてプレゼントし、松坂のグラブは上原が「半分強奪しました」。思い出とともに、用具コレクションも持ち帰った。

◆源田は貴重な適時打でMVPを獲得したが、走塁や守備でも光るプレーを見せた。五回の守備で無死一塁から遊ゴロを併殺打にしたが、あれは簡単そうに見えて捕球直前に軽く弾む難しい打球。素早く反応し、確実に送球できるあたり、さすがは首位チームの遊撃手だ。  打撃では岩貞から快打を放ったように、左投手を苦にせず広角に打てるところが魅力。足もあるので2番に置くことで秋山を塁に置いてもフリーで打たせられ、色々なパターンの攻撃ができる。  源田をはじめ、2試合を通じて西武の打者の勢いが目立った。第1戦でMVPを獲得した森友がときに下位を打つのだから、改めて打線の層の厚さを感じる。後は投手陣、特に中継ぎの立て直しだけが課題だ。  7選手が出場したソフトバンクも後半は調子を上げてくるはず。球宴のベンチでも常に戦う雰囲気を出していた松田の姿に、こういう選手がいるチームはやはり勝負どころで強いと感じた。パ・リーグは5球団が団子状態。優勝争いは9月までもつれること間違いなしだ。(サンケイスポーツ専属評論家)