ヤクルト(☆10対9★)阪神 =リーグ戦7回戦・明治神宮=
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阪神
02310 2001 9100
ヤクルト
10114 120× 10151
勝利投手:中尾 輝(6勝2敗0S)
(セーブ:石山 泰稚(2勝0敗13S))
敗戦投手:伊藤 和雄(0勝1敗0S)
  DAZN
◆ヤクルトは3点を追う5回裏、バレンティンと雄平の連続適時打などで4点を奪い、逆転に成功する。その後は両軍ともに点を取り合い8-8で迎えた7回に、西浦の適時打で再びリードを奪った。4番手・中尾が今季6勝目。敗れた阪神は、最終回に1点差とするも、あと一歩及ばなかった。

◆阪神俊介外野手の今季1号は逆転2ランとなった。1回裏に1点を先制され、どことなく嫌なムードが漂っていた2回表。無死一塁から左腕山田の内角低めカーブを巧みにすくい上げ、左翼ポール際に運んだ。  「甘い球を逃さずに、積極的に振っていこうと思って打席に立ちました。早い回で逆転できて良かったです」。値千金の今季初アーチとなった。

◆ヤクルトは1回、バレンティンの左前適時打で先制。阪神は2回、俊介が逆転1号2ラン。3回には陽川が3号3ラン。  ヤクルトは3点を追う5回、6連打で4点。阪神は6回、伊藤隼が2点適時二塁打も、ヤクルトはその裏、雄平の適時打で同点。7回はヤクルト西浦が中前へ決勝の2点適時打。乱打戦を制し5連勝で勝率5割。阪神の連勝は3で止まった。

◆阪神金本知憲監督ら首脳陣が微妙な判定に猛抗議した。8-8の同点で迎えた7回1死二塁の場面。代打荒木の三ゴロをさばいた北條が、三塁に走る二塁走者藤井へタッチに向かう。ここで藤井は大きく左に逃げて、タッチをかいくぐって三塁へ。判定はセーフとされた。  すぐさま金本監督は三塁ベンチを飛び出し、三塁塁審飯塚の元へ。タッチから逃げて走路を外れる「ラインアウト」を指摘したが、判定は覆らず。直後の1死一、三塁で桑原が勝ち越しの2点打を浴びた。  三塁塁審飯塚は試合後、「ラインアウトはタッグ行為がないとできない。自分には、北條選手がタッグ行為にいったようには見えなかった」と説明。阪神谷本球団副社長兼球団本部長は「映像を見たら北條選手は追いかけていますし、記録を確認したら(北條の)野選ですしね。(タッグ行為がないのであれば)ヒットになるでしょう。明らかに(走路の)3フィートは外れていました。きちんと検証していただかないと納得できない」と語気を強めた。  近日中に球団として意見書を出す方向。

◆救世主の衝撃デビューや! 阪神の新外国人エフレン・ナバーロ内野手(32=カブス3Aアイオワ)が初打席を適時打で飾った。この日に1軍に昇格。試合序盤はメッセンジャーとベンチの隅で会話をしながら準備を整えた。待望の出番は2点を追う9回1死三塁の場面。ヤクルト石山との対戦だ。名前がコールされ、虎党の大歓声をバックに打席に入った。  「スコアラーが事前にどういう投手か教えてくれていた。情報があったので、しっかり心の準備が出来ていた」  初球、2球目とフォークを見送ってカウントは1-1。3球目の145キロ直球を空振りして追い込まれたが、ここから粘った。4球目は直球をファウル。5球目はフォークを見送り、6球目の直球もファウル。徐々にタイミングを合わせ、7球目だった。135キロの低めのフォークをとらえた。ライナー性の打球は右翼手の右ではね、ワンバウンドでフェンスへ。三塁走者が悠々と生還した。デビュー戦初打席で初安打、初打点を記録。華々しくデビューした。

◆乱打戦を制したヤクルトの小川淳司監督は、5連勝を決めて勝率5割に復帰した。  序盤から激しい打ち合いでシーソーゲーム。5回には6連打で4得点するなど、打線は好調で、小川監督は「選手の粘り強さがすごい。見事な集中力。細かい技術うんぬんじゃなく、それしかないでしょう」と満足そう。チームの連勝を支えている西浦が決勝打を打ち「今日はあの打席以外はダメだったけど、ああいうところで打てるのが今年の成長。自信をつけていると思う」と笑顔で振り返った。

◆ヤクルトが、5連勝で最多11あった借金を完済した。3点を追う5回、青木から6連打で一挙4点。小川監督は「打線が打ってくれて投手は勇気づけられたと思う。選手の粘り強さが出た。技術うんぬんではなく集中力」とたたえた。  8-8で迎えた7回1死二塁。代打荒木の三ゴロは阪神北條が捕球したが、藤井がするりとタッチをかいくぐり、三塁へ到達した。1死二、三塁で西浦は阪神桑原から中前へ。6連打の前に三ゴロに倒れ「今日はみんなが打ってくれるわ」と切り替えていたが、最後にヒーローに。「届く球は振ろうと思っていた。勝ちたいんや! と打ちました」。  移動日の練習にはバレンティンも例外でなく参加する。ホームゲームでは必ず早出の練習を行い、コーチ陣も打撃投手を務めて汗を流す。猛打賞の雄平は「みんな打ってくれて、いい雰囲気で入れた」。まさに全員野球の精神が染みついている。【保坂恭子】

◆バットを投げ出すようにして、前でさばいた。腕をいっぱいに伸ばした阪神陽川の打球は、一気に左翼席上段へ。あまりに大きな放物線に、ヤクルトの左翼バレンティンは、1歩も動けなかった。1点リードの3回2死一、二塁。カウント1-2からヤクルト山田大のツーシームをとらえた。豪快な3号3ランだ。  「追い込まれてからコンパクトにスイングすることを意識して低めのボールにうまく反応出来た。あっさり終わらないこのような打席を増やしていきたい」  8試合連続のスタメン出場。この間計34打数14安打、打率4割1分2厘で12打点と絶好調だ。前日28日のDeNA戦(横浜)は無安打に終わったが、勢いは止まっていなかった。この日1打席目に死球を受けると、投手に視線を送る気迫も。加えて追い込まれてもファウルで粘るしぶとさが加わり、好調をキープだ。  気迫に押されるように打線もつながった。2回に俊介が1号逆転2ラン。4回には原口も1号ソロを放ち、5月8日巨人戦(東京ドーム)以来、今季2度目の1試合3発。試合後に陽川は「明日もあるので切り替えて頑張ります」と締めた。売り出し中の若虎が、がむしゃらに走り続ける。【池本泰尚】

◆阪神秋山は自身今季最短となる4回1/3での降板を余儀なくされた。序盤から持ち味である繊細な制球力が甘くなり、1回は1死から2番青木スタートの3連打で1失点。4回は先頭坂口に右越えソロを浴びた。  3点リードで迎えた5回は1死から再び3連打を許し、2点差に迫られた状況で降板。2番手岩崎も3連打を食らい、被安打8、6失点。「全部、打者と対戦できていなかった。それが続いているので...。しっかり直していきたい」と神妙な表情だった。今日30日に1度出場選手登録を抹消され7月10日か11日の広島戦先発に向かう可能性が高い。

◆阪神が痛い逆転負けを喫し、連勝は3で止まった。陽川尚将内野手(26)の特大3号3ランなど、計3本塁打でヤクルトに快勝ムードだったが、投手陣が崩れた。同点で迎えた7回の守りでは"不可解な判定"にも泣いた。しかし、うっぷんを晴らしてくれたのが、ついに1軍デビューとなった新外国人エフレン・ナバーロ内野手(32)だ。代打で登場した9回に来日初打席初安打。1点差に迫るタイムリーで虎党を沸かせた。  大乱戦は1点及ばず惜敗。しかし、ベールを脱いだ救世主の一打が、神宮に集った虎党を沸かせた。この日1軍に合流したばかりのナバーロが、2点を追う9回1死三塁の場面で代打で登場。来日初打席で、いきなり右翼へ適時打を放ち、来日初安打初打点をマークした。  「(声援は)初めての雰囲気でした。ファンがエネルギーを送ってくれている感じがした。感激に近い気持ちです」  バットを高々と掲げて、振り下ろすスタイル。3球目の145キロ直球には、やや振り遅れての空振りを喫したが、きっちりタイミング修正を施した。ボール球を見極め、選球眼の良さも披露。ファウルで粘りながらカウント2-2まで持ち込む。そして7球目。真ん中低め135キロフォークをバチッとはじき返した。  「スコアラーが事前にどういう投手か教えてくれた。情報があったので、しっかり心の準備ができました。フォークの情報もあったので、頭を整理して打席に入れた」と周囲のサポートに感謝しながら、配球をイメージしていたことを明かした。  クレバーさを見せるのはグラウンドだけではない。17日に行った入団会見では知っている日本語を聞かれ、真っ先に「ミズ(水)」と答え、「(日本語も)徐々に覚えていきたい」と話した。日本の文化、そして日本の投手のデータも貪欲に吸収しようとする姿勢が頼もしい。悔しい敗戦の中、金本監督も「期待しています」と新助っ人への手応えをにじませた。【真柴健】

◆ヤクルト先発の山田大は3回5失点と崩れた。チームは4連勝して阪神戦に臨んだが「いい流れできているのに、ふがいない投球で申し訳ない」とうなだれた。  味方が1点を先制した直後の二回は先頭の陽川に死球を与え、続く俊介に2点本塁打。三回は四球からピンチを招いて陽川に3ランを浴びた。今季初登板先発だった22日は6失点で三回途中に降板。「やるしかない」と覚悟を持って臨んだマウンドだったが、役割を果たせずに交代を告げられた。

◆ヤクルトが両軍合わせて計25安打の乱打戦を制し、今季2度目の5連勝で勝率5割に復帰した。8-8で迎えた七回、一死二、三塁から1番・西浦が桑原から勝ち越しの中前2点打を放った。4番手の中尾が6勝目(2敗)。阪神は連勝が3で止まった。  先制したのはヤクルトだった。一回に4番・バレンティンが左前適時打を放ち、1点を奪った。しかし、3連勝中の阪神がすぐさま反撃。二回に俊介が左越え1号2ランを放ち逆転すると、三回には陽川が左越え3号3ラン。5-1とリードを奪った。  ヤクルトはその裏、バレンティンの三ゴロの間に1点を返した。四回に両軍が1点ずつを加えると、五回にヤクルト打線が爆発して6連打で4点を奪い、7-6と逆転した。  阪神は六回、代打・伊藤隼が左翼線へ逆転となる2点二塁打を放った。しかし、ヤクルトはその裏、5番・雄平の左前適時打で同点に追いつくと、七回にこの日無安打だった西浦が中前に意地の2点打を放ち、10-8と勝ち越した。  ヤクルトは九回、6番手でマウンドに上がった石山が、来日初打席となった代打・ナバーロに右前適時打を浴びて1点差に迫られたが、なんとか踏ん張った。

◆ヤクルトが両軍合わせて計25安打の乱打戦を制し、今季2度目の5連勝で勝率5割に復帰した。8-8で迎えた七回、一死二、三塁から1番・西浦が桑原から勝ち越しの中前2点打を放った。西浦の一問一答は次の通り。  --接戦をものにした  「勝ててうれしい」  --同点で迎えた七回一死二、三塁の打席は  「勝ちたいんや!と思って打ちました」  --ここ5試合で9安打10打点の活躍  「1日1日、チームのために頑張っています」  --これで勝率は5割、借金を返した  「ファンの皆さん、こっから頑張ります。ありがとうございます」  --ファンに一言  「明日も勝ちます!応援お願いします」

◆阪神は微妙な判定に泣いた。8-8の七回一死二塁で、荒木の三ゴロを捕球した北條が二走の藤井にタッチを試みたが、かいくぐられた。走路を外れたようにも見えたが、判定はセーフ。傷口が広がり、桑原が西浦に勝ち越し打を浴びた。  三塁塁審の飯塚審判員は「野手をよけるのは当然。その時(走者に触れようとする)タッグ行為はなかった。タッグ行為がないとアウトにはできない」と説明。金本監督は「タッチにいっているでしょ。納得がいかない」と繰り返し、北條は「タッチをしにいったし、していなかったら(一塁に)投げている」と振り返った。
阪神・谷本球団本部長(七回の判定に) 「(藤井は)明らかに走路から外れている。きちんと検証していただかないと。到底納得できない。少なくとも意見書は出さないといけない」

◆ヤクルトの青木が3安打で打率を3割台に乗せた。5試合連続の複数安打と好調を維持し「とりあえずはね。2割台よりはいい」と照れくさそうに話した。  中前打の一回は先制のホームを踏んだ。三回は右翼手の糸井が打球を見失い、幸運な三塁打。五回にも一死走者なしから6者連続安打の起点となった。チームは打ち合いを制し「すごい試合だった。勝ち切ったのが大きい」とチームの勝利を喜んだ。
中尾(好救援で6勝目を手にし) 「信じられない。攻めていかないと抑えられない。思い切り腕を振れば、みんなが打ってくれると思っていた」 藤井(七回に野選を誘った走塁に) 「暴走です。走路にはいたと思うけど、あまり覚えてない」 ヤクルト・河田外野守備走塁コーチ(藤井の走塁に) 「セーフの判定だから良かったが、今後はやってもらっては困る」

◆この日1軍に昇格した阪神の新外国人ナバーロが、来日初打席で適時打を放った。8-10の九回一死三塁から代打で登場すると、ヤクルトの抑えの石山の落ちる球を拾い、右越えに運んだ。  4番候補として獲得したロサリオの調子が上がらず、緊急補強された左打者だ。得点力不足解消の期待を担う新戦力は「しっかり準備できた。ファンがエネルギーを送ってくれて、感激に近い気持ち」と話した。
阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチ(ナバーロに) 「一ついいところを見せてくれた」

◆--理解に苦しむジャッジがあった  金本監督 「『タッチにいっていない』というから。『リプレーできない』というから。『協議してくれ』といったんだけど。『ビデオもできないのか?』と聞いたら『できない』と」  --タッチにいっているからこそ、走者もああいう走路になった  「『追いかけたけど、タッチにいっていない』というわけよ。追いかけただけという判断だから」  (続けて)  「手、伸ばしてるでしょ? グラブで...。対象外なのはわかっているけど。『審判で協議して、タッチにいったかどうかビデオで見ることはできないのか』ということをいったんだけどさ、『できない』というから」  --協議すらしてもらえなかった  「できるはずなんだけどね、協議は」  --野球の流れが  「流れというか、それが決勝点になってしまったから」  --球団とは  「それはやってくれるでしょう。(報道陣も)写真を出してくれるでしょう、ちゃんとタッチにいっているところは」

◆七回から4番手で登板した中尾が6勝目(2敗)を挙げた。植田、福留、糸井の上位打線を3者凡退で抑えると、直後に味方が逆転した。「6勝目? 信じられないです。思い切り腕を振っていこうと思って投げた」と中継ぎ左腕。八回は近藤、九回は石山と『勝利の方程式』で逃げ切り、勝利を手にした。

◆ハッピ~! 金本阪神が西野ジャパンになりましたー!! サッカーW杯で日本はポーランドに負けたけど、決勝トーナメント進出バンザーイ!!  そして、本日わが阪神もヤクルトに大激戦の末、黒星だったけど関東地方の梅雨が明けて、夏を告げるのと同時に俊介、陽川、原口の3発の派手な打ち上げ花火も見られたし...。とにかく、喜怒哀楽を味わえるのは生きている証拠。阪神よアリガトウ!!  『喜』、もちろん貧打虎打線の3発&代打・伊藤隼の逆転打!! 『怒』、人間だからミスはあるだろうが阪神、ヤクルトともにゲッツーでリクエストしたら判定が覆ったのには審判さん、それ商売やろ!!とあえて怒るのだ!! 『哀』、なんで逆転した六回からじゃなくて2点リードされた八回から能見なんやー!? その采配と能見の気持ちを思うと...。哀...。哀...。哀...。そして『楽』はといえば負けたけど、巨人は九回に3点を取られての逆転サヨナラ負けだし。首位・広島も同じくサヨナラ負けだし...。セ・リーグはどこも強くねーってことが分かったので、まだまだ楽しめると思ったら楽し~!! 西野ジャパン、ま、世の中そんなもんさ。ベルギーも同じ人間、キモチで勝ったれー!!

◆サンスポって、そんなに「理不尽なこと」が多いの?  トラ番箭内桃子はビジターチームの担当としては早めの午後2時に神宮球場に到着しました。ナイターのヤクルト-阪神の前に、東都大学野球2部でこの春最下位になった東農大と3部で優勝した順天堂大の入れ替え戦が行われていて、東農大3年の弟・幹太郎君を激励しようとスタンドに彼を探しにいったのです。  「この入れ替え戦からメンバーを外れてしまったんです」  幹太郎君は右投げ左打ちの内野手で、小6のとき日本ハムファイターズジュニアの一員としてNPB12球団ジュニアトーナメント大会に出場。高校は茨城県の常総学院に進み、2年夏の甲子園と3年春の選抜でベスト8。東農大でも代打などで出場するようになっていました。  「社会に出たら、理不尽だなと思うことがいっぱいあるんだよ。それでもやんなきゃいけないんだから。メンバー外れたくらいで落ち込んでたらダメよ」  すると彼はこう言ったそうです。  「試合に出てないぶん、ウエートトレをみっちりやって体脂肪率が8%になった。姉ちゃんこそ、社会に出たら、お金もらってるんだから。理不尽だと思うことでも我慢して頑張らなきゃ。俺たちは、お金もらわなくても頑張ってるんだよ」  箭内は絶句していました。  「姉貴ヅラしようと思ったんですけど、論破されてしまいました」  良かったじゃないか、元気そうで。東農大も勝って2部残留を決めたし、またメンバー復帰目指してやってくれるよ。 「でも本当、社会に出たらみんな大変ですね」  箭内と同じ2年目のトラ番竹村岳です。1軍に合流したナバーロの打撃練習をチェックしていたとき、「久しぶり。覚えてる?」と声をかけられました。  「去年、入社してすぐのフジサンケイグループの新人研修で一緒だった岡耕平君です。今はフジテレビのヤクルト担当で、午前3時まで仕事が続くこともあると言ってました」  ナイターが終わって、締め切りまでに急いで原稿を書いて、書き直しを指示されたら日付が変わることもあって...とボヤきそうになっていた竹村も「午前3時」には絶句。「俺も頑張んなきゃと思いました」。  弟に励まされ、同期に刺激を受けて2年生コンビもやる気満々です。だからといって、こんな長い試合しなくても。  「3連勝でみんな明るいですよ。弟の先輩の陽川さん(東農大から2014年ドラフト3位入団)は絶好調だし、通算100勝を達成した能見さんも一夜明けの話を聞こうとしたら『もう話すことないよ。また200勝したときにね』ですって。きょうもいい試合をみせてくれそうです」  "桃子姉さん"の予言通り、陽川が打って中盤までは快勝ムードだったのですが...。なんですか? あれは。  8-8の七回一死二塁からの荒木の三ゴロで、捕球した北条を大きくかわして三塁へ到達した二走・藤井の走塁をめぐる判定。「タッチ行為がなかったので」セーフ? そんな理不尽な...。

◆原口は今季9試合目のスタメンマスク。秋山と2度目のバッテリーを組んだが、白星を挙げることはできず。「(もっと)何とかできたかなと思います」と肩を落とした。四回にはバックスクリーン左へ今季1号ソロを放ったが、「勝ちにつながらなければ、キャッチャーとしては何もないです。勝ちきりたかった」と厳しい表情だった。

◆先発の秋山は4回1/3を8安打6失点。今季最短KOで、試合をつくれなかった。無失点で切り抜けられたのは二回のみ。直球は走らず、変化球の精度も今ひとつだった。「全部バッターと対戦できていませんでした。それが続いているので...。しっかり直していきたいです」。3試合連続勝ち星なしで、その3試合では防御率9・18と安定感を欠いている。

◆伊藤隼は6-7の六回二死二、三塁で代打で出場。一時逆転となる適時二塁打を放った。フルカウントから原の139キロフォークを左前へ。「逆転のチャンスで、追い込まれた後も何とか食らいついていきました。きれいなヒットではありませんでしたが、落ちてくれてよかったです」。27日のDeNA戦(横浜)に続く代打適時打も「最終的に負けたので」と悔しそうだった。

◆心地よい快音が響いた。絶好調の陽川が、また打った。ド派手な一発をお見舞いし、一時4点差に突き放した。  「追い込まれてからコンパクトにスイングすることを意識して、低めのボールにうまく反応できました」  2-1の三回二死一、二塁。1ボールから3球ファウルで粘って5球目だった。山田大の低めのツーシームを一閃。「後ろにつなぐ意識でした。感触はよかったです」。左翼席上段に突き刺さる豪快なアーチで、詰めかけた虎党を沸かせた。  21日のオリックス戦(甲子園)から8試合連続で先発出場して、その間で34打数14安打、12打点。驚異の打率・412をマークしている。  「また、あしたがあるので、あした頑張りたいです」  敗戦に笑顔はなかった。また、勝利につながる一打を放つのみだ。 (箭内桃子)

◆俊介が一時逆転となる1号2ランを放った。0-1の二回無死一塁。ヤクルトの先発・山田大のカーブをすくいあげると、打球はそのまま左翼席へ飛び込んだ。「甘い球を逃さず積極的に振っていこうと思う打席に立ちました。早い回で逆転できてよかったんですが...」。これで3試合連続安打。中堅の守備では一回先頭・西浦の打球をスライディングキャッチ。敗戦の中、攻守に躍動した。

◆信じられない"誤審"が起きた。神宮に詰めかけた2万9386人の観衆も、テレビの前の虎党も、誰もが目を疑ったのは8-8で迎えた七回一死二塁、ヤクルトの攻撃だった。  代打・荒木のゴロを三塁・北條が捕球。三塁を狙った二走・藤井にタッチを試み、グラブを差し出した。藤井は手を広げてエビぞりで逃げた。その足は人工芝の部分にまで飛び出しながら、三塁到達。さすがにスリーフィートオーバーでアウトだろう...と誰もが思った。ところが飯塚三塁塁審は手を横に広げてセーフ。記録は野選。すぐに金本監督がベンチを飛び出した。  「タッチ、いってるでしょ? 手、伸ばしてるでしょ? グラブで...。そりゃこっちは抗議しないと。納得いかないし。終わったから済んだというものじゃない」  試合後の会見でも怒りが収らなかった。「協議してください」「ビデオ(リプレー検証)はできないのか?」さまざまな抗議に対し、飯塚審判は「追いかけたけど、タッチにいっていない」の一点張りだったという。 確かにタッチにいかなければ、走路を外れてもアウトにならないケースはある。だが、当事者の北條は「タッチに行きました。ランナーが(グラウンドの)中に入ったので(グラブが)届かなかった」とキッパリ。協議はなく、場内アナウンスで「金本監督からラインアウトでアウトではないかと抗議がありましたが、北條選手にタッグ(=タッチ)行為がみられなかったため、インプレーとし、続行します」と一、三塁で再開。阪神は伊藤和から桑原にスイッチしたもののその後、二盗を決められ、西浦に決勝2点打を許した。  飯塚審判は金本監督が現役時代の2012年、ストライク判定をめぐって言葉が高圧的だと判断して、お互いにヒートアップした経緯もある。飯塚審判は試合後、「タッグ行為がなかったと判断した」と繰り返すばかり。ジャッジが感情的なもののはずはないが...。  球団はすぐにNPBに意見書などを提出する方針を固めた。指揮官は「ジャッジに沿うしかないんだから、こっちは」と、やるせない気持ちを吐露した。審判は"神様"だが...。こんな判定は勘弁してほしい。 (阿部祐亮)
七回のプレーについて阪神・谷本副社長兼球団本部長 「映像を見てもわかるように、北條選手はどう見ても追いかけてタッチに行っています。公式記録も野選ですから明らかに矛盾しています。3フィート(ルール)もでしょう、アンツーカーから人工芝まで逃げていますから。しかるべき責任のある方から説明頂けなければ納得できません。少なくとも意見書は提出することになるでしょう。こちらはルールに則ってプレーしている。これでは野球にならないです。恣意的にご判断なさったとしか思えません」
★走塁・守備妨害は適用外  今季から導入されたリクエスト制度では多くの場面でリプレー検証を要求できるが、一部はできない。走塁妨害や守備妨害は適用外で、今回のケースはこれにあたると思われる。他にボークなども適用外。
★野球規則5・09の(b)走者アウトについて  次の場合、走者はアウトとなる。  (1)走者が、野手のタッチを避けて、ランナーのベースパスから3フィート(91・44センチ)以上離れて走った場合(※これをスリーフィートオーバーと呼ぶ)。  ただし、打球を処理している野手を妨げないための行為であれば、この限りではない。  (中略)  【注2】本項の"ただし"以下は、野手が走者の走路内で打球を処理しているとき、これを妨げないために走者が走路外を走っても、アウトにならないことを規定しているものであって、打球処理後にタッチプレイが生じたときには、本項の前段の適用を受けることはもちろんである。

◆セ・リーグ2位のヤクルトは29日、阪神7回戦(神宮)に10-9で競り勝ち、今季2度目の5連勝。5月25日に最大11あった借金を完済し、4月17日以来の勝率5割に復帰した。七回に西浦直亨内野手(27)が勝ち越しの2点打を放ち、両軍計25安打の乱打戦を制した。2桁以上の借金を完済するのは、小川淳司監督(60)が監督代行を務めた2010年以来。3位・阪神に2ゲーム差をつけ、首位・広島を追う。 どんなに追い込まれても、はね返す力が今はある。同点の七回一死二、三塁。カウントは0-2。西浦が桑原のスライダーをすくい上げるように運んだ打球は、中前で弾む2点打になった。  「(荒木が二盗を決めて)二、三塁になったことで、少し楽になった。前に飛ばせば1点入りやすい状況。あまり自分を縛り付けないで、シンプルに飛ばそうと考えた」  交流戦の最終盤の今月19日、宮本ヘッドコーチからフォロースルーを大きくするように助言を受けた打撃改造がはまった。リーグ戦再開後は29打数14安打(打率・483)、2本塁打、12打点。好調な打線を1番打者として引っ張る。  五回には青木から6連続で単打を重ねて一時逆転。10得点中、本塁打による得点は1点のみだ。小川監督は「打線に集中力を感じる」と手応えを明かした。  5月25日に最大11あった借金を完済した。2桁以上の借金を完済するのは、指揮官が監督代行を務めた2010年以来。春季キャンプから選手に求め続けてきた「執念」が、形になりつつある。 前夜のサッカーW杯日本代表・西野監督の采配について問われると、小川監督は「賛否両論あるだろうけど、決断する立場の人間は大変。権利を失えば、たたかれる。見ている俺がどうこう言える立場ではない」と神妙に話した。五回の攻撃時に秋山から左腕・岩崎に交代した際、代打・畠山の選択もあったが、信じて起用した雄平、坂口、川端が安打を重ねた。  「チームの状態として、どのイニングからでも攻撃できる雰囲気がある」とした指揮官。勝率5割に復帰。この強さは本物だ。 (長崎右)
5試合連続の複数安打となる3安打で打率を・306に上げたヤクルト・青木 「とりあえずはね。2割台よりはいい」

◆N砲やるやん! 阪神の新助っ人、エフレン・ナバーロ内野手(32)がヤクルト戦の九回一死三塁で代打で1軍初出場し、いきなり右翼線に適時打を放った。チームは七回に不可解な判定から決勝点を献上。そのまま終わっていれば実に後味の悪い試合になっていたところを、ひと振りでムードを変えた。ヨッシャ、きょうはやり返したるでぇ~!! 9回、代打で登場した阪神・ナバーロは右前適時打を放つ=神宮球場(撮影・大橋純人)【拡大】  ライナーが人工芝で跳ねた。三走・鳥谷が生還して、左翼席を黄色く染めた虎党がドッとわく。ナバーロは一塁に到達すると手をパァンとたたいて、左の拳をグッと握った。実に後味の悪い試合になるところを救ったのは、新助っ人だった。  「事前にスコアラーの方がどういうピッチャーか教えてくれていたので、頭を整理して打席に立つことができた。クローザーという、いいピッチャーなので、情報があって助かりました」  七回に北條が二走・藤井にタッチに行ったにもかかわらず「タッチに行っていない」という不可解な判定(記録は野選)が下され、その後に勝ち越しを許した。8-10で九回突入。モヤモヤ感たっぷりのまま終わりそうな、その時だった。  鳥谷の二塁打などで作った一死三塁の好機で代打で登場。球場は異様な盛り上がりに包まれた。マウンドには燕の守護神・石山。ボール球は冷静に見送り、キレのいい直球にはファウルで粘る。そして迎えたカウント2-2からの7球目。135キロのフォークを右翼線に弾き返した。「フォークが決め球というのはわかっていた」。来日初打席で初安打&初打点は2016年のヘイグ以来。代走・熊谷が送られてベンチに戻ると、ナインと虎党はまるで勝ったかのような大歓迎だ。 9回、引き上げる阪神・ナバーロ=神宮球場(撮影・森本幸一)【拡大】  期待のロサリオが開幕から調子が上がらず、6月3日に登録抹消。助っ人不在の穴を埋めるために緊急補強された。16日に来日したばかりだが、26日の2軍戦から3試合連続安打で昇格した。  この日は相手の先発が左腕の山田大とあってベンチスタートも、ワンポイントの出場でいきなり結果。七回の判定に怒り心頭の金本監督も「期待しています」とN砲には救われたようだ。  勤勉な性格が、周囲を自然と引きつける。阪神入団が決まると、インターネットの動画サイト、Youtubeで虎に関する映像を視聴。初めて1軍に昇格したこの日、北條や平田チーフ兼守備走塁コーチらが声をかけてくれた。伊藤隼は「わからないことが多いと思うから、積極的に聞いてきてね」と手を差し伸べた。試合では三回に陽川が3ランを放つと、ベンチで一緒に"ゴリラポーズ"。初めての日本。環境の変化に対応しようと飛び込んでいく。それを仲間も受け止めた。  「(1軍は)初めてでしたけど、ファンはとてもエネルギーをくれた。感激に近いですね。力をくれたと思います」試合前、打撃練習を行う阪神・ナバーロ(撮影・大橋純人)【拡大】  日本一の大応援団にも頭を下げた。チームは3位のままだが、敗れて再び借金「4」となり6月の負け越しも決まった。だが、下を向いてはいられない。30日も相手の先発が左腕ハフのためスタメンとなるかどうかは微妙だが、再浮上のための頼もしい仲間、ナバーロがいる。 (竹村岳)
来日初打席で初安打を放ったナバーロについて阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチ 「大きいし、いいこと」
最近の野手助っ人の第1打席  ★ヘイグ 2016年3月25日の中日戦(京セラ)で「3番・三塁」で先発し、一回に大野から左前適時打を放った  ★キャンベル 2017年4月25日のDeNA戦(甲子園)で八回に代打で登場。三上と対戦して二ゴロだった  ★ロジャース 2017年7月18日の広島戦(甲子園)に「3番・一塁」で先発。一回に大瀬良の前に遊ゴロだった  ★ロサリオ 2018年3月30日の巨人戦(東京ドーム)に「4番・一塁」で先発。二回先頭で菅野に三振だった

◆阪神は先発・秋山拓巳投手(27)を筆頭にリリーフ陣も崩れて、ヤクルトに逆転負け。サンケイスポーツ専属評論家・佐野慈紀氏(50)は、一時勝ち越した直後の六回の継投策に疑問を投げかけた。ブルペンがグラウンド内にある神宮という環境も考えれば、別の選択肢の方がよかったのではないか-と分析した。 能見はビハインドの八回から登板。六回から出ていれば、状況は変わっていたかも...【拡大】  六回の伊藤和の登板に「なぜ?」と頭をよぎった違和感が、八回に確信に至った。そんな不可思議な継投だった。ビハインドゲームの八回に、なぜ能見を登板させたのか。前夜(28日)、メモリアルの100勝をマークした投手だからこそ、敗色ムード漂う場面ではなく、逆転した直後の六回に投げさせるべきだった。  私も長くリリーフ投手をやってきた。チームに勢いを付ける継投というものが、間違いなく存在する。乗ってる男・能見を六回に投入していれば、試合はまた違った展開になっていたはず。同時に、能見は勝ちパターンの投手であることを明確にすべきだ。  六回のあの場面、選択肢は能見か、藤川か。どちらかだろう。逆転したとはいえ、勢いに乗っているヤクルト打線に対して、その攻勢を受け止め、遮断できるのは、能見以外なら今季、何度も六、七回に登板して流れを変えてきた藤川しかいない。ベンチは最近、調子がいい伊藤和を選択したのだろうが、荷が重かったと言わざるを得ない。  神宮球場の"ワナ"にはまり込んだ面もあった。この球場は、ブルペンがグラウンド内にある。最近は少なくなっている環境だが、大観衆に囲まれるグラウンド内にいると、試合の流れに飲まれて、ペースを乱しやすい。2番手・岩崎などは、先発・秋山の乱調に「まさか?」という気持ちが先行して、しっかり準備できていなかったように映った。その後、登板した投手も同様に感じた。  ベンチワーク、ブルペンワークがうまくいって、継投ができていれば...。もったいない敗戦になってしまった。 (サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
402910.58
(↓0.008)
0
(-)
73350
(+4)
313
(+5)
80
(+1)
39
(+1)
0.262
(-)
4.2
(↓0.01)
2
(-)
ヤクルト
343410.5
(↑0.007)
5.5
(↑1)
74307
(+10)
323
(+9)
63
(+1)
37
(+1)
0.257
(↑0.002)
4.25
(↓0.04)
3
(-)
阪神
323610.471
(↓0.007)
7.5
(-)
74248
(+9)
282
(+10)
40
(+3)
41
(+1)
0.24
(↑0.001)
3.64
(↓0.1)
4
(↑1)
DeNA
313620.463
(↑0.008)
8
(↑1)
74263
(+5)
288
(+4)
81
(+2)
46
(-)
0.248
(-)
3.76
(-)
5
(↓1)
巨人
323810.457
(↓0.007)
8.5
(-)
72317
(+3)
291
(+4)
66
(-)
36
(+2)
0.263
(-)
3.94
(↓0.01)
6
(-)
中日
323910.451
(↑0.008)
9
(↑1)
71284
(+4)
336
(+3)
47
(+2)
37
(+1)
0.262
(-)
4.49
(↑0.02)