阪神(☆6対3★)中日 =リーグ戦24回戦(2019.09.29)・阪神甲子園球場=
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中日
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阪神
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勝利投手:ガルシア(6勝8敗0S)
敗戦投手:柳 裕也(11勝7敗0S)

本塁打
【阪神】陽川 尚将(3号・5回裏ソロ),大山 悠輔(14号・7回裏2ラン)

  DAZN
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◆阪神が5連勝。阪神は5回裏、代打・陽川のソロで先制する。その後は、6回に高山と梅野の適時打で3点を加えると、7回には大山が2ランを放ち、試合を決めた。投げては、3番手・ガルシアが今季6勝目。敗れた中日は9回に追い上げを見せるも、反撃が遅かった。なお、引退試合を迎えた阪神の先発・メッセンジャーは、先頭打者から空振り三振を奪って有終の美を飾った。

◆この日引退試合を迎える阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が、試合前にサプライズを受けた。 試合前練習のためにグラウンドに出ると、選手、スタッフ全員が「I'm Finally 日本人」と描かれたメッセンジャーTシャツを着用。来日10年目を迎えて外国人枠を外れたことを記念に作成されたメッセンジャーTシャツだった。以前に選手、スタッフ全員に配られており、この日のサプライズは主将の糸原、選手会長の梅野が中心となって行われた。 チーム一体となったサプライズに、メッセンジャーは驚き大喜び。笑顔で記念写真に収まった。

◆引退試合に先発した阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が打者1人と対戦し、全球直球勝負で締めた。 マウンドに上がると「ファイト! ファイト! ランディ!」の大合唱。1番大島に投げ込んだ6球は全て直球だった。1、2球目と低めに外れて連続ボール。3球目の143キロで空振りを奪うと、甲子園は大きな拍手に包まれた。 4球目の145キロは内角高めに浮くボール。少し笑みがこぼれたように見えたが、5球目の145キロで空振りを奪い、フルカウントから最後は渾身(こんしん)の146キロ直球で空振り三振に仕留めた。 最後の投球を終えると、メッセンジャーは帽子を脱いであいさつ。梅野、北條、大山らがマウンドに集まり1人ずつグータッチ。最後は長らくバッテリーを組んできた梅野と力強く抱き合った。 来日10年目。この日で通算263試合登板となり、奪った三振は1475。98勝84敗。開幕投手を6度務め、2ケタ勝利を7度マークするなどエースとして君臨し続けた。 矢野監督が交代を告げると、花束を持ってきたのは、今季限りでの退団が決まっている鳥谷。花束を渡すと、再び強くハグをした。ベンチに向かう際には、多くのファンが立ち上がって拍手を送った。虎党の記憶に強く刻まれた右腕も、さまざまな思いがこみ上げているような、万感の表情だった。

◆奇跡のCS進出へ、残り2試合で2連勝が必要な阪神は、早めの継投に出た。引退試合の先発メッセンジャーは予定通り、1/3回で降板。2番手の高橋遥がバトンを受け取った。 先制点の欲しい矢野監督は2回の攻撃、2死一、二塁のチャンスで、9番高橋遥に代打原口を告げた。結果は中飛に倒れて得点とはならなかったが「攻めの采配」を見せた。 2番手の高橋遥は1回2/3で降板。3番手にはガルシアがマウンドに上がった。

◆阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が引退試合に臨み、打者1人と対戦。三振を奪った。メッセンジャーの主な記録は以下の通り。 ◆98勝 NPB外国人投手5位。上位に(1)郭泰源(西武)117(2)郭源治(中日)106(3)スタンカ(南海、大洋)、バッキー(阪神、近鉄)100勝。阪神在籍全投手中12位。 ◆1475奪三振 NPB外国人投手1位。阪神在籍全投手中5位。 ◆2桁勝利7度 NPB外国人投手最多。 ◆2桁奪三振24度 NPB外国人投手最多。阪神では井川慶と並び4位。上位は(1)江夏豊69(2)村山実32(3)小山正明27。 ◆規定投球回に8年連続8度到達 8度到達は郭泰源(西武)と並びNPB外国人最多。8年連続は同唯一。 ◆開幕投手5年連続6度(13、15~19年) いずれもNPB外国人最多。 ◆開幕戦3勝(13、17、18年)NPB外国人最多。

◆代打的中! 阪神陽川尚将内野手が、0-0と同点の5回2死から代打先制3号ソロを放った。 「2死だったので、何としても塁に出ようと思ってました。その結果が最高の形になりました」 陽川の一振りに、黄色のメガホンが一斉に揺れた。2球目、内角低めにきた136キロを捉えると、打球は右から左に吹く浜風にも乗って左翼スタンドに着弾。ダイヤモンドを一周すると、矢野監督が胸をドコドコたたく「ゴリラポーズ」で祝福。引退試合となったメッセンジャー、3番手で登板し、3イニングを無失点で抑えたガルシアも力強く胸をたたいて祝福した。 陽川は試合前の時点で打率0割9分8厘だった。

◆中日のドラフト1位根尾昂内野手(19)が待望の1軍デビューを果たした。0-4とリードされた7回裏に京田に代わって2番遊撃で初出場。コールされると、甲子園を埋めた阪神ファンからの歓声が上がった。 先頭北條の打球は代わったばかりの根尾の正面への遊ゴロ。送球は本塁方向へ少しそれたが、ビシエドが北條にタッチして事なきを得た。1死一、二塁では、木浪の二ゴロで併殺を完成させた。 与田監督は「若い選手は、いろんなバリエーションの戦力として上げてきた。チャンスは作っていきたい。打席で感じるのか、守備で感じるのか。それは全てがプラスになる」と、話して送り出した。 8回2死一塁で回ってきた初打席は、阪神ジョンソンの前に3球三振に倒れた。

◆今季限りで現役引退する阪神の先発メッセンジャーが先頭大島を三振に斬って交代。2番手高橋遥は1回2/3を無失点で降板した。 阪神が5回に代打陽川の左越え3号ソロで先制した。6回には高山の中前2点適時打などで3点を追加した。 阪神が7回に大山の14号2ランが飛び出し、試合を決めた。中日は9回に3点を返したが、及ばず。阪神は5連勝となった。

◆阪神メッセンジャーの引退登板に際し、球団外国人選手として唯一の100勝を達成した伝説の助っ人右腕で、14日(日本時間15日)に82歳で急逝したジーン・バッキー氏の長女リタさん(63)がコメントを寄せた。ランディには「本当にお疲れさまでした」とお伝えしたいですね。父は生前、ネット通話を使ってさまざまなアドバイスを彼に送ってきました。特に父が得意にしていたカーブの投げ方を伝えていたのが、印象に残っています。 父はランディに100勝を、そしてそれ以上の勝ち星を心から願っていました。ジョー・スタンカ(南海-大洋)をはじめ、外国人の100勝投手が何人かいるのは知っています。でも父は、愛した阪神の外国人に記録を塗り替えてほしい、その一心で応援していました。「彼が帰国するときは、ポケットに100勝のウイニングボールを入れてきてほしい。私の100勝達成(68年)から50年以上たった。長すぎる」と言っていました。 父の葬儀は18日(米国東部時間)、ルイジアナ州ラファイエットのピーター&ポールカトリック教会で営みました。彼が子供のころ通っていた教会です。ランディとベネッサからは、とてもきれいなお花が届きました。私たち5人の子供をはじめ親族は、日本の新聞が父の死を大きく報じているのをネットで見ました。そして彼がいかにファンに愛されていたかを再認識しました。心から父を誇りに思います。この場をお借りして、日本の皆さんにお礼を申し上げます。(聞き手=高野勲)

◆引退試合に先発した阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が打者1人と対戦し、全球直球勝負で締めた。マウンドでは荒々しさを見せていたメッセンジャーも、グラウンドを離れれば心優しいジェントルマンだった。 昨年のこと。メッセンジャーは、京都共栄学園野球部の三木慶太さんと知り合った。三木さんは13年の京都府福知山市の花火大会で起きた露店の爆発事故に巻き込まれていた。そんな困難を乗り越える姿をメッセンジャーは記事で知り、心を動かされた。サイン入りユニホームと自著を贈った。 昨秋、三木さんと家族がお礼に訪れた。三木さんがお礼の手紙を読むと、メッセンジャーは「数々のトロフィーが置いてあるところに、手紙を飾らせてもらうよ」と喜んだという。 三木さんは「素晴らしい人でした。どんな人に対しても同じ接し方で、本当に優しい方」と振り返る。 メッセンジャーがプレゼントした本には、こんな言葉が書かれていた。 「Never stop working good things happen to hard workers!!」 努力することを止めないで。努力家にはいいことが起きる-。 虎投を支え続けてきた大黒柱右腕の熱く優しきハートが垣間見えた。【阪神担当 磯綾乃】

◆引退試合に先発した阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が打者1人と対戦し、全球直球勝負で締めた。元阪神投手コーチ・中西清起氏(日刊スポーツ評論家) メッセンジャーが1年目だった4月、ファーム降格となった本人と随分話し合った。球種は直球とスライダーだけ、クイックも遅いタイプだった。でも日本の野球に対応するのにフォークを覚え、走者を背負った際の投球もマスターした。 スタンリッジとの処遇を巡って球団から意見を求められたとき、ヤンチャだが絶対にメッセンジャーを残すべきと進言したこともある。日本が好きになったことも、こちらで成功した大きな要因だった。

◆試合終了後、今季限りで現役引退する阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)の引退セレモニーが行われた。 「ピッチャー メッセンジャー 背番号54」 いつもの場内アナウンスが流れると、メッセンジャーはマウンドに上がり、チームメート、関係者、そして声援を送り続けてくれた阪神ファンに向かってスピーチした。 「日本での10年間は本当に素晴らしく、一生忘れることはありません。タイガース、イチバンデス! ホントウニ、アリガトウ! メッチャ、アリガトウ!」 梅野、坂本、原口のキャッチャー陣から花束を贈られ、続いて妻ヴァネッサさんと4人の子どもたちから花束をプレゼントされた。マウンドでベネッサさんと濃厚なキスをすると、甲子園からは大きな拍手が送られた。 最後はマウンドで、矢野監督、チームメートたちから7回胴上げされた。メッセンジャーは晴れやかな笑顔を浮かべていた。

◆試合終了後、今季限りで現役引退する阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)の引退セレモニーが行われた。 「ピッチャー メッセンジャー 背番号54」 いつもの場内アナウンスが流れると、メッセンジャーはマウンドに上がり、チームメート、関係者、そして声援を送り続けてくれた阪神ファンに向かってスピーチした。 「日本での10年間は本当に素晴らしく、一生忘れることはありません。タイガース、イチバンデス! ホントウニ、アリガトウ! メッチャ、アリガトウ!」 梅野、坂本、原口のキャッチャー陣から花束を贈られ、続いて妻ヴァネッサさんと4人の子どもたちから花束をプレゼントされた。マウンドでヴァネッサさんと濃厚なキスをすると、甲子園からは大きな拍手が送られた。 最後はマウンドで、矢野監督、チームメートたちから7回胴上げされた。メッセンジャーは晴れやかな笑顔を浮かべていた。   ▽メッセンジャーのあいさつは以下の通り アリガトウ。 プロとしての21年間、信じられないほどあっという間に過ぎていきました。 特にタイガースという素晴らしい組織の一員として、本当に特別な10年間を過ごせました。 日本にいる間、ずっとタイガースの一員としていられるチャンスを与えてくださった、チームに感謝したいです。 日本での野球生活は私と家族にとって、傑出した旅となりました。 私の野球人としてのキャリアに携わってくださった方々、今日の野球選手としての自分を作ってくださった方々のことは、決して忘れません。 コーチの方々、チームメート、トレーナーの方々、球団本部の方々、現在、また、これまで携わった方々に本当に感謝申し上げます。アリガトウ。 私と一緒に戦ってくださった方々、本当に心強かったです。 そして両親、私の家族、友人たち、キャリアを通じての多大なるサポート、本当にありがとうございます。 そして最愛の妻ベネッサ、あなたは私のすべてです。グラウンドでも、グラウンド外でも、いつも背中を押してくれて、本当にありがとう。 あなたは最高の妻であり、最愛の4人の子供たち、フランチェスカ、コレッド、ローム、ローランド、この4人にとっての最高の母親です。 タイガースファンの皆様、ヴァネッサという妻がいなければ、私はこれほどの成績は残せていなかったと思います。妻のこともぜひ、たたえてあげていただけますでしょうか。 世界中のタイガースファンの皆様、自分が好投しているときも、そうでないときも、多大なるご支援本当にありがとうございます。皆さんの情熱は、本当に素晴らしかったです。 日本での10年間、本当に素晴らしく、一生忘れることはありません。 心の底から皆さんに感謝したいと思います。タイガースファンは本当に、世界一だと思ってます。イチバンデス。アリガトウ、ホントニ、メッチャ、アリガトウ。 皆さんがこれほどまでに応援してくださったこと、本当に選手冥利(みょうり)に尽きます。 これからもあなた方、タイガースファンの方々が、私の心に居続けてくれると思っています。 スポーツ選手として、引退する日は必ず来ますが、それは受け入れがたく、できればもっとプレーし続けたいものです。 しかし今、その日がやってきてしまいました。皆さん、また、お会いするその日まで、さようなら。

◆今季限りで退団する阪神鳥谷敬内野手は、同い年でもあるメッセンジャーの現役引退に寂しさをのぞかせた。 右腕が現役最後の登板を終えると、花束を持ってマウンドへ。笑顔で熱い抱擁を交わした。「一緒に戦ってきたので。最後まで投げ抜く気持ちを持っている投手でした。たくさん助けてもらったし、残念です」。虎の一員としてはレギュラーシーズン最終戦となる30日中日戦は、勝てば逆転CS進出が決まる。「とにかく頑張ります」と力を込めた。

◆中日は3年連続の5位が決定した。勝ち頭の柳を先発させたが、6回途中4失点。 打線も9回に3点を返すのが精いっぱいだった。与田監督は「(柳は)気をつけなければならないところで打たれたことを受け止めてほしい。4、5位というよりリーグ優勝ができなかった。総括は明日(30日)します」。最終戦での阪神CS阻止で意地を見せる。

◆竜党だけでなく虎党もデビューを祝った。中日のドラフト1位根尾昂内野手(19)が阪神戦(甲子園)で待望のプロ初出場。聖地が大歓声に包まれた。 ただ、12球団のドラフト1位で最も遅い1軍デビューはちょっぴりほろ苦いものになった。出番は7回裏の守備からだった。先頭北條のゴロがいきなり根尾の正面へ。軽快にさばいたが一塁への送球が本塁方向にそれた。それでも一塁手福田が何とか捕球してタッチアウト。1死一、二塁からは、木浪の二ゴロで併殺を完成させた。しかし8回の初打席はジョンソンの135キロのワンバウンドしたカーブに手を出し、3球三振。微妙なハーフスイングだったが三塁塁審のアウトのコールを見つめるしかなかった。 昨夏に大阪桐蔭で春夏連覇を達成した聖地で踏み出したプロ第1歩。根尾は「グラウンドの中での緊張感、投手の気迫を感じられて良かった。(打席も)とにかく打っていこうと思ったけど、スイング出来なかった。(甲子園は)暖かい声援もあってやりやすかった。素晴らしい経験をした。明日につなげたい」と振り返った。30日の今季最終戦で、初安打を狙う。【伊東大介】

◆「メッセ魂」であと1勝! 阪神がクライマックスシリーズ(CS)進出に王手をかけた。ランディ・メッセンジャー投手(38)の引退試合でナインが奮起。近本、北條が好守で先制を阻むと5回以降、代打陽川の先制アーチや高山、梅野らの適時打で流れを引き寄せた。投手陣も7人の継投でリードを守りきり快勝。公式戦最終戦の30日中日戦に勝てば、2年ぶりのCS進出が決まる。魂を揺さぶられるメッセンジャーの6球だった。プレーボール直後の甲子園。誰よりも勝利に執念を燃やした右腕のラスト登板。守る野手も、ブルペンでモニターを見守る救援陣も武者震いした。試合後の矢野監督の言葉が思いを表していた。「めちゃくちゃうれしい。勝つ負けるのは思い出として全然違う。ランディの最後に勝てたのは大きい」。剛腕にささげる1勝を全員野球でもぎ取った。 序盤から球際での執念が光る。1回2死二塁。ビシエドの詰まった打球は中前に落ちそうだった。だが、近本が猛チャージで地面スレスレの好捕だ。5回2死二塁では大島の三遊間へのゴロを三塁北條がダイブ。好守連発で先制を阻み、全員が闘志をつないだ。 矢野監督も攻めた。2回2死一、二塁の先制機は2番手高橋遥に代打原口を起用。得点ならずとも、攻めに攻めた。5回は2死走者なしで代打陽川が先制弾。鮮やかな用兵的中だった。6回は柳に襲いかかった。1死満塁で高山が打席へ。左腕福に継投したが前進守備を破る中前適時打で2点を加点。梅野も初球を中前に運び、1点追加だ。 高山 僕の技術で打ったヒットではなく、メッセへの思いと応援してくれているファンの方々の声援が後押ししてくれた。 梅野 (正捕手定着前)自分が打つからランディが指名してくれて試合に出られるようになった。だから打って活躍したいと思った。恩返しできて良かった。 4試合連続完封はならなかったが、42イニング連続無失点での快勝。一丸で去りゆく助っ人に白星を届けた。負ければ終戦の窮地で連勝。指揮官は「プロだからこそ、こういう緊張する部分も楽しめたらスゴイ。苦しいときでも楽しめたらスゴイし、楽しいときも、もっと楽しめたらスゴイ」と伝えてきた。昨年10月の就任当初から唱え続けた信念だ。驚異の粘りで今季2度目の5連勝。3カ月ぶりに勝率も5割復帰。「やるしかないんでね。楽しみにしています」と指揮官。勝てばCS。引き分けか負ければ敗退。生きるか、死ぬか。30日の大一番を全身全霊で戦う。【酒井俊作】 ▽阪神陽川(5回2死から代打で先制3号ソロ)「何としても塁に出ようと思っていたけど、最高の形になった」 ▽阪神大山(1点リードの6回1死一塁では右中間二塁打を放ち、この回3得点をお膳立て。4点リードの7回には14号2ランを中堅左席に運び)「負けたら終わり。1点でも多く取らないといけないと思っていました。ランディとは3年間一緒にやってきて、僕がミスした時も本当に優しく声をかけてくれた。恩返しも含めて、感謝の気持ちがホームランになりました」 ▽阪神北條(両チーム無得点の5回表2死二塁、1番大島の三遊間ゴロに飛びついて先制点を許さず)「アウトにできて、結果的に流れが(相手に)いかなかった。明日、頑張ります」

◆引退試合に先発した阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が打者1人と対戦し、全球直球勝負で締めた。試合後の会見、報道陣との問いかけは以下の通り。 -特別な一日が終わった スピーチが終わってホッとしています。野球で緊張したことはないですけど、スピーチは緊張したので、それが終わってホッとしています。 -昨夜は眠れたか 引退セレモニーを開いていただくという話をいただいて、そこから毎晩あまり眠れていないですね。いろんな思いが頭の中をめぐって、なかなか眠れてないですね。 -家族とはどんな話を 家族にも今日の特別な日を楽しんでほしかった。こういうセレモニーの流れを何回も復習しながら、涙を流してもいいという話もしましたし。一緒に楽しもうねと話していました。 -来日したときは小さかった子どもも、もう大きくなっている 上の子3人はだいたい特別な意味はわかってくれると思う。一番下の子(ローランド)は、ちょっとまだ小さいのでね。でも彼を含めて、後になっても映像で振り返ってもらって、お父さんは野球をやってたんだぞと思ってもらえたらな、と思います。 -チームメートがTシャツを着るというサプライズもあった あのTシャツを作らせてもらったときに、あそこまでみなさんに気に入ってもらえるとは思ってなかった。そのTシャツでサプライズをしてくれて、本当にうれしかった。西くんのアイデアかな? 考えてくれた方ありがとうございました。 -最後のマウンドは大歓声だった 本当にグラウンドに出て、あれだけの歓声をいただけて光栄。この10年間で何度も何度も言ってきましたけど、タイガースファンは世界で最高のファンの方々。世界一だと思っています。あれだけの歓声を頂いて感謝しています。 -全て直球勝負 全部真っすぐを投げて...。大島さんアリガトウゴザイマス。大島選手は何度も対戦してきましたし、あれだけの方があんな形で応えてくれたのが自分にとって大きい。実はクラブハウスの方に大島選手の方からお花もいただいた。感謝しています。 -納得のいくストレートだったか 結果としては三振を取れたストレート。それはよかったのかもしれないですけど、ファンがよく真っすぐがいいと言ってくれていたので、その真っすぐを投げ込みたかった。ファンのために力強く腕を振った球でした。 -チームもCSへ 今はCSに向かってまっしぐらだと思います。チーム全体がすごく良い雰囲気で野球ができて、いい戦いができている。そんないい野球を自分の目の前でしてくれて感謝しています。チームメートたちと素晴らしい野球人生を送れたこと感謝しています。 -胴上げも (今までに)することはありましたけど、されることはなかったです。いい経験をさせてもらいました。持ち上げてくれるか不安だったけど、よかったです。チョットデブ! -今後の人生は これまでは子どもたちが、とくに一番上の子は11歳になるんですけど、自分のキャリアを声援で支えてくれた。なんでもいいんですけど、スポーツを教えて、今度はお父さんの方から子どもたちに恩返しをしたい。何かスポーツを教えていきたいと思っています。 -全国のファンへ 本当に、心からありがとうございました! -日本で1番の思い出の言葉は 昔の山口投手コーチとの間で冗談で言っていた「ジカンツブシ!」です。毎日のようにゴロ捕球をさせられていたのでそれです。 -直球6球は満足いくものだったか 真っすぐ6球ももちろん満足してますし、今日ゲーム前のブルペンに入る前に、実は外野に出てキャッチボールをしました。あれ実はやったことないので。いつもブルペンにすぐに行くんでね。初めてやることですけど、ちょっとファンの皆さんの前に姿を出して、少しでも声援に応えられたらなと思って、今回初めて外野に出てキャッチボールからやりました。それ含め本当に満足いく球が投げられたと思います。その外でキャッチボールしたことによって、皆さんの声援が届きましたし、余計に気持ちも昂ぶって、ゲームに臨めたと思います。 -1アウトだが最後に先発で終われた 日本に来て中継ぎというか、ブルペンから自分のキャリアがスタートして、最後に先発で終われたというのは、本当にクレイジーな感じがしますけどね。本当にこの瞬間というのは、忘れることがないと思います。 -ベンチから見るチームメートや甲子園のファンの姿は 本当にやっぱりベンチから見ても、何回言っても足りないぐらいだと思います。タイガースファンの方々の情熱というか熱さ、本当に世界一だと思いますし、そんな中で野球出来たことが光栄ですし、やっぱりベンチから見てて若い選手がどんどんどんどん成長していく姿を見られるっていうのは、本当に楽しいですね。見てて本当に楽しい思いになります。 -スピーチの内容はどれぐらい考えた 結構時間かけて、考えて書いては、あー違うなと思って消したり、また考えて書いてはまた違うなと思って消したり、結構何日か時間をかけましたね。あんまり長すぎるのも嫌だし、短すぎるのも嫌だし、言いたいこともしっかり伝えられたとは思うので、結構時間かけました。 -奥さんに聞いてもらったり 奥さん聞きたがってたんですけど、球場まで聞いちゃ駄目だってことで、代わりに長男ローム君に聞いてもらいました。「お父さん、グッジョブ!」って言ってました。良かったと思います。 -CSを目指すチームにどんな戦いをしてほしい 今の調子を続けてもらったらなと思うんで、本当にいい野球が出来ていると思いますから。後は力みすぎずに自分自身の持っているもの以上を出そうとしすぎないように。とにかく自分自身を見失わないようにそこだけ大事にして、そうしたら絶対いい結果が待っていると思うんで、自分自身を見失わないようにやってほしい、これまでどおりやってほしいなと思います。 -鳥谷から花束を受け取った 最高でしたね。もちろんあの瞬間はちょっと、感情的になる部分もありましたし、10年間一緒でしたし、"ドウキュウセイ"でしたし、本当にいろんな苦楽を共にしてきた仲間だと思っているので、鳥谷さん自ら花を持ってきてくださったこと、本当に意味が大きかったですし、本当に最高の瞬間でした。 -日本での10年間は長かったか、短かったか それどころか(現役の)21年間があっという間という感じだった。10年だけじゃなくて、プロとしての21年が本当に早かったですけど、この日本に来ての10年間、本当にチームメートやファンの方々から支えてくださった、本当に中身の濃いというか充実した10年間でした。それが本当に自分にとっては大きい意味を持った10年間だと思ってます。

◆阪神守護神の藤川球児投手は調整登板した。24日巨人戦以来登板機会がなかったため、6点リードの9回に中4日のマウンドへ。被安打4で3失点したが「点差もありましたしね。相手打者も若かった。結果、勝てたので」と余裕の表情。 勝てば逆転CSが決まる30日最終戦に向けて「それが大事」と力を込めた。通算防御率は1度1点台に突入したが、3失点で2・02となった。

◆ランディ、めっちゃ、ありがとう。今季限りでの現役引退を表明していた阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が、引退試合に臨み、打者1人と対戦。数々のNPB外国人投手最多記録を誇る右腕のラスト登板。全球直球勝負で三振を奪った。来日10年、虎党のハートを揺さぶる熱投を重ねてきた男が、マウンドを去った。「ピッチャー メッセンジャー 背番号54」 最後のアナウンスが響くと、優しい拍手に包まれた。10年間戦い続けたマウンドでメッセンジャーがあふれる阪神愛を伝えた。 「日本での10年間、本当に素晴らしく一生忘れることはありません。タイガースファンは本当に、世界一。イチバンデス。アリガトウ、ホントニ、メッチャ、アリガトウ」 先発で1番大島に投げ込んだ6球は全て直球だった。最後はフルカウントから、146キロ直球で空振り三振に。通算263試合登板。積み上げた三振は1475になった。 「日本に来て中継ぎ、ブルペンから自分のキャリアがスタートして。最後に先発で終われたのは、本当にクレイジーな感じ。この瞬間というのは、忘れることがないと思います」 いつも愛と責任感に突き動かされてきた。17年には右足腓骨(ひこつ)骨折に負けず、戦列に帰ってきた男だ。今季は「自分自身が思ったほど貢献できていないストレスがある」ともらしたこともある。チームへの貢献がすべて。米国生まれのサムライだった。 若手投手1人1人に気を配った。グラウンドだけではなく、食事の席でも「あの選手は、まだ練習足りないね」「あの子は、あんまり走っていないね」と口にするほど。成長してほしいという愛がいつもあった。そして誰よりも汗をかいた。遠征先では全体練習が始まる前に、球場周辺や町中でランニング。周囲が「一番走っている」と舌を巻く努力をもとに、言葉で、背中で、マウンドで虎投を引っ張ってきた。 塗り替えた数々の記録以上に記憶に残った。いつも全力で戦う姿が美しかった。「チームメートたちと素晴らしい野球人生を送れたこと、感謝しています」。仲間は30日に運命の1日を迎える。「自分自身を見失わないようにそこだけ大事にして、そうしたら絶対いい結果が待っている」。自身が届かなかった日本一。ラストメッセージは友へのエールだった。【磯綾乃】 ○...メッセンジャーが試合前にサプライズを受けた。グラウンドに出ると選手、スタッフ全員が「I'm Finally 日本人」と描かれたTシャツを着用していた。昨オフ、国内FA権を取得して外国人枠を外れたことを記念に作らたもの。メッセンジャーは「あのTシャツを作らせてもらった時に、あそこまでみなさんに気に入ってもらえるとは思ってなかった。そのTシャツでサプライズしてくれて、本当にうれしかった」と大喜び。笑顔で記念写真に収まっていた。 ○...メッセンジャーは今後について聞かれると「これまでは子どもたちが、特に一番上の子は11歳になるが、自分のキャリアを声援で支えてくれた。スポーツを教えて、今度はお父さんの方から子どもたちに恩返しをしたい」と話した。引退セレモニーではベネッサ夫人に「そして最愛の妻ベネッサ、あなたは私のすべてです。グラウンドでも、グラウンド外でも、いつも背中を押してくれて、本当にありがとう」と感謝。濃厚なキスをして甲子園を沸かせた。 ○...試合後のセレモニーでメッセンジャーに花束を贈呈したのは、野球での女房役の捕手3人だった。梅野、原口、坂本それぞれが花束を手渡した。バッテリーを組み、大島を三振に仕留めた梅野は「1球1球、かみしめてしっかり捕ろうと思った。晴れ舞台で最後を三振で締められた。誇りに思っています」と万感の思いで送り出した。 ○...15年から選手メニューの5年連続NO・1を誇る「メッセの豚骨醤油ラーメン」が、メッセンジャーのラストゲームで爆発的に売れた。この日は通常より店舗を増設して販売されたが、いつもなら1試合で200杯程度の売れ行きなのが、この日はファンも引退を惜しみ「食べ納めということで」(球団関係者)、約1600杯も売れたという。球場グルメでも愛された助っ人ぶりを発揮した。

◆阪神がクライマックスシリーズ(CS)進出に王手をかけた。メッセンジャーの引退試合でナインが奮起した。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -6回も高山が粘って貴重なタイムリーだ 全体を振り返っても、チカ(近本)とか北條のいいプレーもありました。投手もそうですし、打者もそうです。みんなが粘って粘ってつなげるっていうね。こういう大事な試合で、それができたことがうれしい。 -メッセンジャーの引退試合。どんな存在感か 僕も1年だけ現役でかぶってるんですけど、本当に順調じゃないスタートからここまでやったのは本当に技術だけではできない。そういうところはチームにしっかり伝わっている。 -ガルシアが3回投球 はじめから3イニングと決めているわけではない。行けるところまで行ってくれるというなかで、3イニング行ってくれたのは助かった。ガルシアの3イニングは、後々楽になったね。 -2回から代打起用 同点でもCSに行けないんでね。勝たないと行けない。行けるところで行く。 -あと1勝。ベンチの雰囲気も違ってきた もちろん、もちろん。普通にやれる空気感ではないんで。明日、また(苦しいなか楽しめる状況の)そういう試合をできるのは、すごくいい雰囲気になっていると思います。 -代打陽川の場面は一発を期待したのか 「陽川、打ってくれ!」と思っているけど、打った陽川は本当に素晴らしかった。あれでムードが一気にこっちに変わった。

◆「メッセ魂」であと1勝! 阪神がクライマックスシリーズ(CS)進出に王手をかけた。ランディ・メッセンジャー投手(38)の引退試合でナインが奮起。近本、北條が好守で先制を阻むと5回以降、代打陽川の先制アーチや高山、梅野らの適時打で流れを引き寄せた。投手陣も7人の継投でリードを守りきり快勝。公式戦最終戦の30日中日戦に勝てば、2年ぶりのCS進出が決まる。魂を揺さぶられるメッセンジャーの最後の6球だった。プレーボール直後の甲子園。守る野手も、ブルペンでモニターを見守る救援陣も武者震いした。試合後の矢野監督の言葉が思いを表していた。「もう、めちゃくちゃうれしい。勝つ負けるのは思い出として全然違う。ランディの最後に勝てたのは大きい」。剛腕にささげる1勝になった。 序盤から球際での執念が光った。1回2死二塁。ビシエドの詰まった中前への打球を、近本が地面スレスレで好捕。5回2死二塁では大島の三遊間への打球に三塁北條がダイブ。好守連発で先制を阻み、全員が闘志をつないだ。 指揮官も攻めた。2回2死一、二塁の先制機で2番手高橋遥に代打原口。得点ならずも手を緩めない。5回は2死走者なしで代打陽川が先制弾。用兵が的中した。6回は1死満塁で打席は高山。相手は柳から左腕福に継投したが、代打は送らず。前進守備を破る中前への2点打を決め、梅野も初球を中前適時打。集中打で、この回3点を挙げた。 高山 僕の技術で打ったヒットではなく、メッセへの思いと応援してくれているファンの方々の声援が後押ししてくれた。 梅野 (正捕手定着前)自分が打つからランディが指名してくれて試合に出られるようになった。だから打って活躍したいと思った。恩返しできてよかった。 全員で去りゆく助っ人に白星を届けた。5連勝で3カ月ぶりの勝率5割。30日は勝てばCS進出、引き分け、負けでCSを逃す大一番だ。矢野監督は「やるしかないんでね。楽しみにしています」。全身全霊で戦う。【酒井俊作】

◆メッセンジャーが入団してから10年間、ボールを受け続けた女房役がいる。片山大樹ブルペン捕手(44)。入団したばかりの荒々しい時代から、ここ数年のチームのために身を削った姿まで、ミットを通じて感じたものは...。片山ブルペン捕手には忘れられない一言がある。「2年前だったかな...」。シーズン前に行われた決起集会。メッセンジャーがふともらした。「もう先も長くないから優勝したいんだ」。チームのために投げ続けた大黒柱が抱いていた思いだった。 メッセンジャーが入団した10年からブルペンで女房役だった。「投げ方は今と全然違う。最初は若い投手特有のダイナミックな投げ方というか、コントロールは良くなかった。球は速かったけどね。力いっぱい投げている感じだった」。来日1年目の10年シーズン、メッセンジャーは4月から約3カ月間2軍生活を経験。1軍に戻ってくると、無駄な力が抜けてコントロールも抜群。見違えるフォームになっていたという。 ブルペンでも入団当初は、がむしゃらに投げ込むだけ。それが年を重ねるごとに、意識して低めに集めるなど変化が見えた。「毎年進化していた。成長が目に見えて分かった。今では1球1球丁寧に、ゲームさながらに投げ込む」。アドバイスに素直に耳を傾け、自分なりにアレンジ。活躍するために、実績を重ねても進化を止めなかった。 17年8月には打球を受けて右足腓骨(ひこつ)を骨折しながら、CSに間に合わせた。しかし体は万全ではなかった。足を踏み込んでも踏ん張りが利かず、下半身も動いていない。ミットに収まる球にいつもの力はなかったという。「足をかばうから他の部分に影響が出て痛くなるし、見ていて痛々しいくらいだった」。メッセンジャーを奮い立たせたのはチームへの思いだけ。「気持ちでなんとか、チームのために、と帰ってきた。本当にすごい」と振り返る。 思い出は数え切れない。「常に受け続けたから...。大黒柱がいなくなるのは残念な気持ちだけど、メッセンジャー以上の逸材に出てきてほしい。メッセンジャーには『お疲れ様』『ありがとう』と言いたい」。またメッセンジャーのような大黒柱の球を...。それが次の願いだ。【阪神担当 磯綾乃】

◆阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が29日の中日戦(甲子園)に先発し、大島を空振り三振に斬って、引退試合を終えた。  節目のマウンドを晴れやかに送り出すような好天のもと、大歓声を浴びて登板した。右中間スタンドには引退を惜しむ横断幕が掲げられた。最後の試合で、メッセンジャーがこん身の直球勝負を見せた。  大島への初球は147キロのボール。続く143キロも低めに外れ、ボール。2ボールからの3球目、143キロで空振りを奪うと、カウント3-1からの5球目も145キロで空振り。最後はフルカウントから6球目、高め146キロで空振り三振に。全球直球で"最後の打者"をねじ伏せた。  1つのアウトを奪うと、内野全員がマウンドに集まり、梅野と熱い抱擁。矢野監督が自ら交代を告げに訪れ、感慨深い表情でベンチへ。するとここでサプライズ。今季限りでの退団を表明している鳥谷がベンチから花束を持って登場し、言葉を交わして抱き合った。帽子を取って一礼。止まない大歓声を受けながら"Last Dance"を晴れやかな表情で終えた。

◆阪神のオネルキ・ガルシア投手(30)が29日の中日戦(甲子園)の三回から3番手で登板し、3回を2安打4奪三振無失点の好救援でつないだ。  0-0の五回には2死二塁で大島を迎え、先制のピンチだったが、三遊間を抜けそうな当たりを三塁・北條が横っ飛びで好捕。味方の好守にも助けられ、スコアボードに3つのゼロを並べた。  これで中継ぎとしては22日のDeNA戦(甲子園)から登板3試合、6イニング連続で無失点。シーズン終盤での配置転換も、しっかりと役割を果たした。

◆阪神・陽川尚将内野手(28)が五回2死で代打で出場し、左翼席へ先制の3号ソロを放った。  ほしくてたまらなかった先制点をたたき出したのは、伏兵のバットだった。五回2死で、ガルシアの代打で登場。1ボールからの2球目、内角低め136キロ直球を振り抜いた。打球はきれいな放物線を描いて左翼席へ着弾。会心の一撃に笑顔でダイヤモンドを一周し、おなじみの"ゴリラポーズ"でチームメートから出迎えられた。  7月15日の中日戦(ナゴヤドーム)以来の3号で値千金の先制点をもぎとった。

◆阪神・高山俊外野手(26)が29日の中日戦(甲子園)の六回1死満塁で中前適時打を放ち、2点を追加。3-0とリードを広げた。  1-0で迎えた六回、1死から福留が10球粘って四球を選ぶと、大山が右中間二塁打で続いて二、三塁。糸原も四球を選んで満塁とすると、高山が決めた。  代わったばかりの2番手・福に対し、カウント2-2からの5球目。外角133キロを捉えて二遊間を高く弾んで抜けていく中前打に。貴重な追加点をたたき出し、ベンチへ向かって拳を突き上げた。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(28)が29日、中日戦(甲子園)の六回1死満塁で中前適時打を放ち、4-0と点差を広げた。六回、1死満塁から高山の中前2点打で3-0に。木浪も右前打で続き、再び1死満塁で梅野も快音。代わったばかりの3番手・三ツ間の初球123キロのスライダーをフルスイング。打球は中前で弾み、さらに1点を追加した。  梅野は2試合連続、27度目となるマルチ安打で4-0と突き放した。

◆阪神で98勝を挙げたランディ・メッセンジャー投手(38)が29日、甲子園球場で行われた中日24回戦に先発し、現役生活を終えた。試合後のセレモニーで「日本での野球生活は、私と家族にとって傑出した旅となりました」とあいさつした。  先頭の大島を空振り三振に仕留め、大きな拍手に包まれて降板。ベンチ前で同じ38歳の鳥谷から花束を手渡され「10年間一緒だったし、苦楽をともにしてきた」と思いを口にした。試合前には選手らがメッセンジャーの背番号「54」が入ったTシャツを着て練習した。  メッセンジャーは2010年に阪神入り。13年から2年続けてリーグ最多奪三振、14年は13勝で最多勝にも輝いた。日本で通算263試合に登板した。

◆阪神はガルシアが勝利を呼び込んだ。三回から登板して3回無失点。自身の代打陽川が先制の一発を放ち、6勝目を手にし「しっかり集中して入れた。自分の仕事を何イニングでも、と思っていた」と頬を緩めた。  リリーフ起用となってから本来の安定感を取り戻し、勝ち星を増加。矢野監督は「3イニング行ってくれたのは助かった。あとあと楽になった」とたたえた。 梅野(引退登板のメッセンジャーとバッテリーを組み) 「三振で締められて良かった。学ぶことが多かった」 大山(七回に14号2ラン) 「負けたら終わり。一点でも多く取らないといけないと思っていた」 高橋遥(メッセンジャーの後を受け、1回2/3を無失点) 「不思議な感じだったが、任されたイニングを抑えられて良かった」

◆阪神は4万6695人の観衆を集め、今季の主催試合の観客動員数が304万4707人となった。甲子園で開催の61試合で269万2062人を集め、それ以外の10試合で35万2645人を動員した。300万人突破は2年ぶり。

◆よっしゃ!! 虎の奇跡につながる最後の大一番に持ち込んだでェ!!  代打の陽川も4番に復活した大山もたくましいホームランをありがとう。猛虎打線も12安打6点の爆発おおきにー!! 投手陣もラストの藤川の3失点はご愛嬌(あいきょう)ということで、みんなサイコー!!  さあ、いよいよ勝てば天国(CS進出)、負ければ地獄(Bクラス)の最終試合や~!! スケールこそ、やや小さいけど、俺が中学生の頃、1973(昭和48)年に阪神-巨人最終戦で勝った方が優勝、という試合を思い出すなあ...。  あのときは、巨人の左腕・高橋一三に0-9で完封されて、号泣したもんさ...。あの悔しさを半世紀近くぶりに晴らしてくれー!!  本日の先発・メッセンジャーは引退試合だから、中日の先頭大島も打てないよね~。だったら、最終戦は中日、阪神で活躍し、今季限りの引退を発表した高橋聡をピンチで投入という手はどーでしょう?  いやいや、そういうセコいことを考えてるとやられそう? 猛虎軍団が一丸となっての大勝でスッキリと決めてくれー!!

◆--大事な一戦に勝利  矢野監督「いや、もうめちゃくちゃうれしいです」  --六回も高山が貴重なタイムリー  「全体を振り返ってもね、チカ(近本)とか北條の(守備で)いいプレーもありましたし。みんなが粘って粘ってつなげるっていうね、こういう大事な試合でそれができたことがうれしい」  --最後は藤川が打たれたが、それ以外はリリーフ陣もいい仕事  「ずっとね、うちの一番の強みなんでね。ガルシアも3イニング行ってくれましたし。そういう部分では優(岩崎)とか、毎日投げてくれるピッチャーが頑張ってくれたおかげです」  --メッセンジャーの引退試合  「僕は1年だけ現役で被ってるんですけど、本当に順調じゃないスタートから、ここまでやったっていうのは本当に技術だけではできないと思うんで。ランディと一緒に戦えたっていうのは貴重な時間になりました」

◆メッセンジャーの引退後について、球団でポストを用意する構えを見せていた揚塩球団社長は「これから改めて検討していくことになるか?」の問いに「そうですね」と話した。本人が家族との時間をゆっくり過ごすことを強調していたこともあり、改めて球団内でも検討し、オファーしていくことになりそうだ。

◆そりゃあネ、藤川球児だって血が通ってます。肩に力が入ってもいました。  「あと1球!」から3点とられたのは今季2度目というじゃないですか...。こんなに苦しんだ藤川が逆にとても人間くさくって大好きになった。それにハラハラさせてくれて..."この1勝"であらためて土壇場のタイガースの必死さの奥行きが感じられて、むしろ熱いものがこみあげてきたのです。  もう一度書くが、何も投手が大勢いるから毎試合、矢野監督は「虫干し」してたわけじゃ断じてない。いわば彼は毎試合、自ら『退路』を断って挑んだ。それはワイルドで危険なギャンブルでもあったのだ。あえて言わせてもらえば、こんなスリリングな勝利こそ、CSへ向けてチームの絆は太くなったのではないか。  試合前からメッセンジャーの「さよならセレモニー」のムード一色だった。虎番キャップ大石豊佳によると「通常はベンチ登録は29人だけど『引退特例』として30人目の登録を認められて、彼は先発し一人だけの勝負を認められていた」らしい。なかなか粋なはからいだ。  試合前にはナインが「54」のTシャツを着用して練習。編集委員上田雅昭によると「選手とコラボした『メッセンジャーラーメン(濃厚とんこつ醤油味850円)』はここ5年間は人気ナンバーワンやったんョ。阪神ファンはホンマに美味しいものはちゃんとえらんだんやデ」と伝えてきた。だから一つ、思い出に食べたいと思った新里公章は急いで球場通路の売店に走ったが「驚きました! あまりにも阪神ファンがズラーッと並んでいてどこも大盛況でした」とついに食べそびれた。  それだけファンからも、そして試合後のセレモニーで家族、ナインとの感謝の記念の写真撮影もまたほのぼのとして満員の4万6695人の阪神ファンとの交流も清々しかった。  実は...21年前の1998年9月29日の巨人戦(甲子園)、その年の8月22日に61歳で逝ったタイガース永久欠番『11』村山実さんの「追悼試合」だった。共にタイガース一筋の栄光の投手...村山さんのお別れ試合は3-4と1点差で敗れた。村山さんは引退試合だった73年3月21日の巨人とのオープン戦では、江夏の発案で上田ら若手投手が騎馬を組んで村山が登場してファンに感動を残した。その騎馬戦の伝統は先日の横田慎太郎外野手の「サヨナラ試合」(鳴尾浜)で若手選手によって再現されて涙を誘ったのは記憶に新しい。  そしてこの日、タイガースに尽くしたメッセンジャーが奇しくも『ザトペック村山』の追悼試合と同じ日にタイガースとお別れ...。ちなみに村山さんの追悼ゲームは八回に川相が決勝打で...どこまでも2代目ミスター・タイガースは悲壮感たっぷりで、甲子園の大型ビジョンにも、そのしかめっ面が映っていたっけ...。  それを思うと、この日のメッセンジャーも、九回はベンチでハラハラドキドキだったけれど、それもご愛敬。最後はみんなと笑顔のお別れセレモニーでは、最近の阪神の好調さを見事に象徴してました。  さて...泣いても笑っても、レギュラーシーズンはあと1試合。ラストはひとつ鳥谷敬選手に心に響く"快打"と流れるような流麗なグラブさばきを期待したい...。  甲子園の猛虎党はいつも勇気を与えてくれる。あと1日...。中国の詩人李白はこういっている。  『浮世(ふせい=人生)夢の如し...』

◆近本&北條の1、2番コンビはともに無安打も、好守で勝利に貢献した。中堅の近本は一回、ビシエドの中前への飛球に快足を飛ばして、地面スレスレでキャッチし、三塁の北條は五回に大島の三遊間への強い打球に横っ跳び。いずれも2死二塁から相手の先制点を阻止した。近本は36盗塁で、3位の大島(中日)と6差。2位の山田哲(ヤクルト)は33盗塁でシーズン終了。近本が残り1試合で盗塁王を決定的にした。

◆試合の流れを一気に引き寄せたのは高山だった。1点リードの六回1死満塁からカットボールを叩くと、前進守備の二遊間を抜けていく2点打。「勝つしかなかったので。あそこは打つことしか考えてませんでした。僕の技術で打ったヒットではなく、メッセへの思いと応援してくれたファンの方々の声援が後押ししてくれました」。CSへの夢をつなぎ、メッセを送り出す価値ある一打に満足そうだった。

◆三回から3番手で登板したガルシアが3回を2安打無失点に抑えて6勝目(8敗)が転がり込んできた。先発した16日の巨人戦(東京ドーム)から4連勝。チーム事情で中継ぎに転向後、3連勝となった助っ人左腕は「明日も監督に言われたら(中継ぎで)投げるよ。状態がいいので、どんな場面でも投げられるように準備したい」と力を込めた。 "第2先発"として1回2/3を2安打無失点ながら、代打を送られて降板した阪神・高橋遥 「ランディが一つアウトを取ってくれたので。不思議な感じのマウンドでした」 七回3人斬りの阪神・ドリス 「(メッセンジャーが)最初の1人でも抑えてくれて、いい流れを作ってくれた。いい試合だった」

◆鳥谷が同級生をサプライズ演出で感激させた。一回、大島を打ち取ってベンチに戻ろうとしたとき、鳥谷から花束を受け取ったメッセンジャーは「あの瞬間ちょっと感情的になる部分もありました。10年間、一緒にプレーしたし、同級生でしたし...。本当に最高の瞬間でした」としんみり。30日の中日戦後には、恒例の最終戦セレモニーが行われ、監督、コーチ、選手が試合後にグラウンドに出て、監督と代表選手があいさつする予定。今季限りでの退団が決まっている鳥谷のあいさつは予定されていない。

◆藤川は九回から登板し、2死二、三塁から堂上、渡辺勝に適時打を浴びるなど1回4安打3失点。登板前の時点であと1/3回を自責点0ならNPB通算防御率1点台だったが、到達はならなかった。それでも、奇跡のCS進出を狙う今季最終戦へ「それが大事」と気を引き締め直した。 30日の最終戦に先発する阪神・青柳 「勝つしかない試合。それだけ考えてやっていきたい」

◆大山も恩返しのアーチをかけて、メッセンジャーの旅立ちを祝福した。4-0の七回1死一塁で又吉のカーブをバックスクリーン左へたたきこんだ。  「ランディの引退試合ですし、(入団から)3年間一緒にやってきて、ミスしたときにも声をかけてくれた。恩返しというか、感謝の気持ちというか、それがホームランになってくれた」  六回にも右中間への二塁打でチャンスメークし、11試合ぶりの今季14号2ランは「負けたら終わり。1点でも多くとらないと」とどん欲な姿勢でダメを押した。  マルテが左足の張りで2試合連続でスタメンを外れる緊急事態に、2安打2打点と頼もしさが際立った。代役4番とはいわせない。奇跡のCS出場へ、"秋の大山"がつれていく。

◆采配ずばりで崖っぷちから最後の最後まで可能性をつなげた。負ければ終戦の危機から、粘りに粘って5連勝。83日ぶりに勝率5割復帰し、矢野阪神が逆転CSに王手だ。  「気負いはあるやろうけどね。平常心ではいきにくい試合にはなってきてる。チームとして諦めない姿勢とかつなぐ気持ちとか。そういうものが一個一個のプレーにしっかり出てきている」  序盤から慌ただしく動いた。二回2死一、二塁と先制のチャンスを作ると、早々に高橋遥に代打・原口を送り出した。「同点でもCSにいけない。勝たないといけないんで。いけるところでいく」。得点に結びつかなかったが、采配に勝ちへの執念をにじませた。  第六感がさえ渡ったのは五回だ。1死から梅野の打席でネクストに鳥谷を置いたが、梅野が中飛。2死走者なしとなったところで陽川に代えた。「長打を期待して」と一発にかけた作戦が見事的中する先制ソロ。  「期待を俺もしているし『陽川、打ってくれ!』と思っているけど、あそこで打った陽川は本当に素晴らしかった。あれでムードが一気にこっちに変わった」と手放しでたたえた。  引き分けた時点で終戦となる3連戦前にはミーティングで「明るく、楽しもう!!」と選手を鼓舞。「プロだからこそ、こういう部分も楽しめたらすごい」。開幕前から貫いてきた思いを、この土壇場で改めて伝えた。自らもシーズン終盤は封印していた"矢野ガッツ"を解禁。陽川の一発には笑顔で「ゴリラポーズ」で出迎え、ベンチを盛り上げた。投手陣も球団初の4戦連続完封こそ逃したが、球団史上2位タイの42イニング連続無失点。ラストマッチまで奇跡の逆転劇をつなげた。  「明日、またそういう試合ができる。すごくいい雰囲気になっている。やるしかないんでね。楽しみにしています」  舞台は整った。あと一つ、同じように矢野野球で勝ちにいく。 (大石豊佳)

◆これぞ陽川という一撃で、停滞ムードは木っ端みじんに吹き飛んだ。代打で登場すると、内角低め直球を豪快なスイングで左翼席へ運び去った。虎のエースへささげる今季3号先制ソロが大きな"うねり"を生んだ。  「何回もチャンスをもらっているなかで、何とかつなごうと思った結果が最高の結果になりました」  0-0の五回2死走者なし。カウント1-0から好投する先発・柳の136キロを完璧に捉えた。7月15日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、76日ぶりの一発で、矢野監督の抜てきに応えると、打線も攻勢に出た。六、七回で計5得点と突き放し、奇跡のクライマックスシリーズ出場へ大きく前進した。  この日はメッセンジャーの引退試合。試合前練習から日本選手扱いとなった記念で作成された「I,m Finally 日本人」と記されたTシャツを陽川も着て、笑顔で同じフレームにおさまった。ベンチに帰ると、右腕はおなじみのゴリラポーズで迎えてくれた。  厳しく優しい大きな背中から、勝負師の生きざまを学んできた。「それ(メッセの引退試合)もありましたし、もう1試合も落とせない」。背番号55は恩返しの快音を響かせ、花を添えた。泣いても笑ってもシーズンはあと一戦。でっかいアーチをかけ、自身の価値を証明する。 (新里公章) 六回に適時打を放った阪神・梅野 「明日のことを考えてやっていたわけじゃないけど、結果としてつながった。緊張感のあるゲームを捕手としても感じることになると思う」

◆現役引退を表明している阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が引退試合に先発し、中日・大島を空振り三振に仕留めた。試合後、セレモニーでは「日本での素晴らしい10年間を一生忘れることはない」とあいさつ。虎で98勝を挙げ、今季の開幕投手も務めた右腕が、別れを告げた。  "大きな意味を持った場所"の真ん中で、笑顔で7度、宙を舞った。数え切れないほど何度も、何度も腕を振り続けた甲子園のマウンド。恐る恐る身を任せたチームメートからの胴上げは、格別の気分だった。  「日本に来て胴上げをすることはありましたけど、されることはなかった。いい経験をさせてもらいました。持ち上げてくれるか不安だったのでよかったです」  真っさらなマウンドにエースが登場すると、甲子園が大歓声に揺れた。「あれだけの歓声をいただけるのは本当に光栄。タイガースファンは世界一」。大島に対し、全球直球勝負。最後は高めの146キロで、外国人投手最多記録を更新するNPB通算1475個目の三振を空振りで奪った。「この瞬間は忘れることがない」。こみ上げる思いをかみしめた。  "最後"のアウトを奪うと、駆け寄ってきた梅野と抱擁。矢野監督から直接交代を告げられると感慨深そうにスタンドへ頭を下げた。同級生の鳥谷から花束を受け取ると瞳を潤ませた。  この日もスタンドにはベネッサ夫人と4人の子供たちの姿があった。登板日にはいつも背番号「54」のユニホームを着て足を運んでくれた家族。これまで10年間、シーズン中に一家でゆっくりと過ごせた時間は球宴休みのみだった。  連休となれば、わずか数回。それでも限られた休日には子どもたちを思う存分遊びに連れ出した。お弁当を用意して淡路や白浜へ海水浴へ出かけたのは、いい思い出。「子どもたちとビーチで遊んで疲れさせて寝かせて、あとは奥さんとゆっくり時間をとったりね」。これからはたっぷりと家族との時間をつくるつもりだ。  「子どもたちが声援で支えてくれた。今度はお父さんの方から子どもたちに恩返しをしたい。何かスポーツを教えていきたい」  これからも、戦いの日々を支え続けてくれた最愛の家族とともに。タテジマを脱いだメッセンジャーは、第2の人生も力強く歩み続ける。 (箭内桃子) ★感動スピーチ!  引退セレモニーでは始めに大型ビジョンに「ランディ・メッセンジャー~10年の軌跡~」と称されたVTRが流された。来日初登板や初勝利など約4分ほどにまとめられた映像が流れ終わると、メッセンジャーがマウンドへ。時折言葉を詰まらせながら、約7分のスピーチで甲子園を感動で包み込んだ。梅野、坂本、原口、駆けつけた家族からも花束贈呈。最後は選手全員と握手や抱擁を交わし、マウンド上で胴上げ。選手、スタッフとの記念撮影を終えると、場内をゆっくりと一周して甲子園の虎党に別れを告げた。

◆きょうで終わらせん! 阪神が中日を6-3で下し、今季最長タイとなる怒涛の5連勝で、3位・広島と勝率5割で並んだ。30日の最終中日戦(甲子園)に勝てば2年ぶり8度目のクライマックスシリーズ(CS)進出が決定。引き分け以下ならタテジマを脱ぐ鳥谷敬内野手(38)が奇跡を起こす!  勝利の瞬間は、ベンチで、今季限りで引退するメッセンジャーの隣にいた。藤川が最後の打者を打ち取ると、鳥谷は、真っ先にメッセンジャーと笑顔でハイタッチ。喜びを分かち合った。30日のレギュラーシーズン最終戦。勝てば、2年ぶりのCS出場だ。  「とにかくがんばります」  短い言葉に、すべての思いを込めた。負ければ、虎のユニホームを着てプレーするのは最後となる。虎一筋16年。苦楽をともにした仲間たちとグラウンドで1試合でも長くプレーしたい-。思いは一つだ。  この日は、チームにとっても大事な一戦だったが、同級生のメッセンジャーの引退試合でもあった。先発して一回、先頭の大島を空振り三振に仕留めて、ベンチに戻ろうとした助っ人右腕に花束を渡したのは鳥谷だった。4-0の六回、1死満塁で代打出場するも二ゴロに倒れたが、一塁へ全力疾走。併殺を免れると、スタンドから大きな拍手と声援が送られた。  「いっしょに戦ってきたので。最後まで投げ抜く気持ちを持った投手でした。たくさん助けてもらいました。(引退は)残念ですね」  メッセンジャーはマウンドに立てば、完投にこだわった。監督の交代指令に怪訝(けげん)そうな表情をみせて「首脳陣批判」と誤解されたこともあった。鳥谷は「野球を続ける上でのモチベーション」と、フルイニング出場にこだわり、「遊撃手」としては歴代最多の667試合連続フルイニング出場を達成した。試合終了の瞬間までグラウンドにいたい-。メッセンジャーの一番の"理解者"でもあった。そんな2人が今季限りで同時に虎のユニホームは脱ぐ。  メッセンジャーは「体力の限界」を感じて引退するが、鳥谷は球団の引退勧告を拒否。他球団に移籍し、現役続行したい考えを伝えている。2005年以来のリーグ制覇はならなかったが、CSに出場すれば、日本一になるチャンスはある。  04年にドラフト自由枠で入団。翌年、2年目の岡田監督時代にリーグ制覇を達成した。「あのときは僕は先輩たちに連れて行ってもらったという感じでした」。当時を、こう振り返っていた。今年もレギュラーではなく代打出場となるが、チームの精神的支柱としての"役割"が待つ。  22日のDeNA戦(甲子園)で先制打を放って今季初のお立ち台に上がり、「残り4試合。自分たちができるのは全部勝つこと。最後まで応援お願いします」と叫んだ。  最終目標は、下克上での日本一。あと1勝。まずは勝ってCS出場を決める。まだまだ虎のユニホームに別れを告げるつもりはない。 (三木建次)

◆少ないチャンスを生かし、ここぞで一気に打線がつながる。そして、救援投手陣をドンドンとつぎ込む。シーズンの最終盤で確立した阪神の勝ち方がまたしてもしっかりとできた試合だった。  先発を早い回に降ろして、自慢の継投に入る戦い方ができる阪神は、本当に強い。今シーズンでも、最も勢いを感じるし、「ゾーンに入っている」と表現してもいい。どこが相手でも負けそうにないムードが漂っている。九回に藤川が失点したが、他の投手ではなく藤川だから、逆に心配はいらない。  30日の中日先発は大野雄。前回の対戦ではノーヒットノーランを喫した因縁の相手であり、防御率のタイトルもかかっている。当然、一回から全力で投げてくることが予想される。  とはいえ、屈辱を晴らすチャンスがすぐに巡ってきたと思って臨めばいいだけ。今の勢いのある阪神打線なら、決して分が悪いとは思わない。もしろ、どう攻略するか、楽しみでもある。CS出場権はかなりの確率で獲得するだろう。 (サンケイスポーツ専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
77642 0.546
(-)
優勝
(-)
0663
(-)
573
(-)
183
(-)
83
(-)
0.257
(-)
3.770
(-)
2
(-)
DeNA
71693 0.507
(-)
5.5
(-)
0596
(-)
611
(-)
163
(-)
40
(-)
0.246
(-)
3.930
(-)
3
(-)
広島
70703 0.500
(-)
6.5
(-)
0591
(-)
601
(-)
140
(-)
81
(-)
0.254
(-)
3.680
(-)
4
(-)
阪神
68686 0.500
(↑0.004)
6.5
(↑0.5)
1535
(+6)
566
(+3)
94
(+2)
100
(-)
0.251
(↑0.001
3.490
(-)
5
(-)
中日
68722 0.486
(↓0.003)
8.5
(↓0.5)
1563
(+3)
541
(+6)
90
(-)
63
(-)
0.263
(↓0.001)
3.730
(↓0.02)
6
(-)
ヤクルト
59822 0.418
(-)
18
(-)
0656
(-)
739
(-)
167
(-)
62
(-)
0.244
(-)
4.780
(-)