中日(☆6対4★)阪神 =リーグ戦14回戦(2019.07.17)・豊橋市民球場=
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阪神
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中日
01012002X61102
勝利投手:ロドリゲス(1勝4敗0S)
(セーブ:岡田 俊哉(2勝0敗1S))
敗戦投手:藤川 球児(4勝1敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(11号・2回表ソロ)
【中日】堂上 直倫(8号・4回裏ソロ),平田 良介(6号・5回裏2ラン)

  DAZN
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◆中日が7連勝。中日は2点を追う5回裏、平田の2ランが飛び出し同点とする。そのまま迎えた8回には、1死一二塁から阿部が値千金の適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、4番手・ロドリゲスが来日初勝利。敗れた阪神は、3番手・藤川が誤算だった。

◆阪神大山悠輔内野手(24)が2回に先制となる11号ソロを放った。 「しっかりと自分の間合いでスイングすることを意識していました。先制することができたので、流れに乗っていきたいです」 試合前練習では浜中打撃コーチと、スイングの軌道を確認するシーンも見られた。中日先発の阿知羅からは、4月29日にもアーチを放っており、相性のよさを示した。

◆5番一塁で先発出場した阪神原口文仁捕手が同点の3回に勝ち越し適時打を放った。 「(大山)悠輔のヒットもツキがあるようなヒットで、この流れを生かしてなんとかランナーをかえしたいと思っていました。追い込まれてしまいましたが、食らいついて、気持ちで打ちました」 3回2死二、三塁で打席に立つと、中日先発阿知羅の5球目スライダーをセンター前にはじき返した。

◆中日堂上直倫内野手が反撃の8号ソロを放った。 7番三塁で先発。2点を追う4回2死、2ボール2ストライクと追い込まれながら、右腕望月の直球を右翼席に届かせた。 前日16日阪神戦で右手小指を痛めた高橋がこの日、出場選手登録を抹消された。リーグ首位打者だった三塁レギュラーの長期離脱が確実となる中、代役三塁手がいきなり存在感を見せた。

◆プロ初先発した阪神望月惇志投手(21)は5回9安打4失点で降板し、プロ初勝利とはならなかった。 「イニングの先頭を出して常にランナーを背負う展開を作ってしまい、リズムを悪くしてしまいました。先発の機会をいただいて、序盤から点を取って、すごくもり立てていただいたのに、同点に追いつかれ、早い回でマウンドを降りてしまい申し訳ないです」 82球を投じ、最速は154キロを計測したが、4回は堂上にソロ、5回には平田に2ランを被弾するなど中日打線に捉えられた。地方球場での登板だったが「やることは変わらないと思う。自分のピッチングをしようと思っていた」と、自らの投球を悔やんだ。今季は2軍で先発要員として14試合に登板。5勝4敗、防御率2・43と準備をしてきたが、1軍で結果を残すことはできなかった。 ▽阪神福原投手コーチ(先発した望月に)「ボール自体は強く、力みは感じられなかった。先頭打者(を抑えること)と、点を取ったあとを頑張ってほしかった。(次回登板は)これから考えます」

◆阪神は2回、4番大山の左越えソロで先制。同点で迎えた3回には5番原口の2点打で勝ち越した。先発望月は3回まで1失点。 阪神は1点リードの5回、4番大山が適時打。中日は2点を追う5回、1番平田の右越え2ランで試合を振り出しに戻した。 中日は同点の8回1死一、二塁、5番阿部が決勝の中越え2点二塁打。4年ぶりの7連勝で単独3位に浮上。4番手ロドリゲスが今季初勝利。阪神は6連敗。3番手藤川が今季初黒星。

◆5番一塁で起用された阪神原口文仁捕手が2安打2打点で指揮官の采配に応えた。 同点の3回2死二、三塁。阿知羅の外角スライダーを中前へはじき返した。「食らいついて、気持ちで打ちました」。一時勝ち越しとなる2点打。2回にも安打を放って、マルチ安打で存在感を示した。 クリーンアップを任されていたマルテが15日に左膝を負傷し、16日に検査のために帰阪。後半戦初で今季5度目となる「5番」先発が回ってきた。球宴で放った2戦連続弾の勢いそのままに結果を出した。それでも原口は終盤2打席の好機で凡退し「苦しい時に打たないと意味がない。チームを活性化させるために打たないといけない。また頑張ります」と前を向いた。 矢野監督は連敗脱出へ、原口を含む、先発オーダーを3人入れ替えた。8番遊撃に今季初先発の植田を起用するなど、打線改造に乗り出したが、連敗を止めることはできなかった。

◆クモ男の出現? で中日阪神14回戦は一時中断された。7回裏の中日の攻撃で藤井が代打コールされると、男性と見られる一塁側スタンドの観客がフェンスをよじ登った。 これに気がついた球審は試合を止め、一時はグラウンドが騒然とした状態になった。

◆虎の4番がお目覚めだ。阪神大山悠輔内野手(24)が今季初の4安打と暴れ回った。2回、先頭で打席に立つと2ボールから中日阿知羅の低め直球をフルスイング。黄色く染まった左翼席上段へ。6月19日楽天戦の第1打席以来、実に76打席ぶりのアーチを突き刺した。シーズン自己最多タイの先制11号ソロを「しっかりと自分の間合いでスイングすることを意識していました」と振り返った。 17試合本塁打から遠ざかっていただけでなく、打点を挙げたのも7日広島戦以来、6試合ぶり。後半戦2試合無安打の発進だったが、苦しんでいた男は、ここから打ちまくった。 3回には2死一塁から左前にポトリと落ちるラッキー二塁打で出塁。5回には1死一、二塁から直球を左翼前に運ぶタイムリー。7回にも中前打と打ち出の小づち状態で全4打席出塁した。あと三塁打でサイクルという暴れっぷりだった。 試合前だった。打撃練習を終えると矢野監督に呼び止められた。目の前に立っていたのは中日、楽天などで活躍した山崎武司氏(50)だ。3人で話し込むこと約5分間。伝授されたのは「右の大砲の心構え」だ。通算403本塁打の同氏は「インコースに詰まることを怖がっていたら打撃にならない。俺も通ってきた道」と身ぶり手ぶりで説明。レジェンドから大事な金言をもらった。 上昇の気配が漂う。6月に月間2割4分2厘と落ち込んでいた打率も、7月は同3割5分7厘と急上昇。安打数はリーグトップの巨人坂本勇にあと5本に迫る同4位タイの97安打だ。大山は「負けたので、すべてはそこです」と多くを語ることはなかったが、矢野監督は「(良くても悪くても)どっちでも言われる打順。そこで成長していけるところを期待したいな」と背中を押す。屈辱の6連敗となった豊橋の夜。活気づいた4番のバットがせめてもの救いだ。【桝井聡】 ▼大山の猛打賞は今季5度目で、1試合4安打は18年9月16日DeNA戦6安打、同29日中日戦4安打に続き、プロ3度目となった。

◆令和も「松坂神話」は健在だ! 中日は苦境でいぶし銀が輝きを放ち、15年以来4年ぶりの7連勝で単独3位に浮上した。 リーグ首位打者・高橋周平内野手の長期戦線離脱が確実となった1日。8回裏の勝ち越し劇で接戦を制した。与田監督は「全体的に粘り強さというか、チャンスに強くなってきた気がします」と納得顔。意気消沈してもおかしくない状況だったが、流れに逆らうことに成功。「みんながいい状態でケガもなく不調もなく、ということは絶対にない。流れとしてはいい形だった」とナインを褒めたたえた。 決勝打は高橋に代わって5番に座った阿部だ。同点の8回裏1死一、二塁。藤川の148キロ快速球を押し返し、中堅フェンス直撃の2点三塁打を決めた。「これまでの対戦で振り遅れていたので、振り負けないように。あとはバットに聞いてくれ、と」。3安打で見事に代役を勤め上げ、「周平の代わりはできないけど、少しでもチームに貢献できるようにしたい」と力を込めた。 三塁代役で先発した堂上も2点を追う4回に反撃の8号ソロを放つなど2安打。指揮官は高橋離脱にも「起きてしまったことは仕方がない。選手がいないわけじゃない。新たな競争が出てきたらいいなと思っています」と前を向いた。総力戦で自力優勝の可能性を復活させた。昨季は松坂登板の次の試合は10勝1敗。好データを令和も継続。竜の上げ潮ムードがまだまだ続きそうな気配だ。【佐井陽介】

◆中日新守護神の岡田俊哉投手が完全投球で5年ぶりのセーブをあげた。 2点リードの9回に登板。代打上本、1番近本、2番糸原を難なく3者凡退に仕留め、今季初セーブを記録した。マルティネスがキューバ代表に合流しており、今後も守護神を任されるだけに「ホッとはしていません」と冷静。与田監督は「安定していた。どんどんこれを自信にしてほしい」と信頼を寄せた。

◆阪神が6連敗を喫した。同点の8回、3試合連続登板となったベテラン藤川球児投手(38)が竜打線につかまり、今季初黒星。球宴明けの3試合はいずれも救援投手に黒星がつく敗戦が続いている。同率で並んでいた中日に抜かれ、4位に滑り落ちた。あれだけ頑丈だった命綱がぷつぷつと切れていく。重苦しいムードに自慢の必勝リレーまでのみこまれてしまった。同点の8回に暗転した。安定感抜群の藤川が2失点で途中KO。今季最長タイの6連敗が決まった。豊橋の竜党が勝ちどきを上げるなか、矢野監督は険しい表情で言う。「連敗するのは俺の責任」。12年以来、実に7年ぶりの中日戦7連敗を喫して、借金5に膨れ上がってしまった。 負のスパイラルを断ちきれない。またも、悪夢が繰り返された。8回に投入した藤川は本調子ではなかった。後半戦3連投で疲労は蓄積。先頭大島に初球速球を痛打され、右中間二塁打を浴びる。アルモンテに四球を与えたあと、1死を奪ったが阿部に痛打を食らった。一、二塁で、内角低め148キロ速球を強振されると左中間フェンスを直撃。2者の生還を許す、致命的なタイムリー三塁打を浴びて、今季初黒星を喫した。 バスへの引き揚げ際、藤川は責任を背負った。前を向き「(阿部と)勝負するしかなかった。ナイスバッティング。いい勝負をしたいし、チームのために投げたい。そのなかで今日は相手の勝ち。自分のベストボールだったけど相手がうまく打ちました」と脱帽するしかなかった。目標の生涯防御率1点台まで2回2/3に迫っていたが、遠のいた。 複雑な顔つきだったのは矢野監督だ。「3連投させてしまっている。試合展開的にも球児に一番無理させている。どうかなというのはあった。体の方は大丈夫ということだった。球児に助けてもらっている」とかばった。実はこの日は本来の状態でなかったが、志願の登板だった。金村投手コーチは「本人が行く気持ちを出して行ってくれてる。正直、ブルペンの調子は良くなかった」と明かした。大量得点を望めないから、連日の接戦になり、鉄壁の救援陣を毎日のように投入せざるをえない状況だ。 前半戦終了時、救援防御率2・76は12球団トップを誇った。だが、15日中日戦でジョンソンがつかまり、来日初めてイニング途中に降板。この日は球児までが打たれた。4位に転落。首位巨人が敗れて勝っていれば自力優勝の可能性が復活していたが、それどころではない正念場を迎えた。【酒井俊作】 ▼阪神は中日戦に、5月11日から7連敗。このカードでは12年4月14日~6月28日の7連敗(1分けはさみ)以来、7年ぶりの屈辱となった。

◆阪神が6連敗を喫した。同点の8回、3試合連続登板となったベテラン藤川が竜打線につかまり、今季初黒星。球宴明けの3試合はいずれも救援投手に黒星がつく敗戦が続いている。同率で並んでいた中日に抜かれ、4位に滑り落ちた。 矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。 -望月は球自体は走っていた やっぱり簡単には勝たせてくれへん。1個1個。しかもあれ(打たれたのは)5回やった。そう簡単にはいかないと、今日で経験できたと思う。ただ良くなっている部分も。真っすぐもスピードは出るけど、質というところが課題みたいな感じだった。それも良くなっている感じに見えた。いい部分と、まだまだ勉強していかないといけない部分と両方が出た試合と思う。 -大山、原口が打った だから追い越したら点を取られるから。流れもなかなかこっちに来ない。そこで一気に追い越す、点を取れていない。昨日も言ったけど、接戦で競り負けている。後ろにどんどんいい投手が出たときに、どう1点を取るかとか。それはずっと同じ負け方になっている。それは俺の責任やと思う。どうにかしないと。 -大山が4安打 打ったら元気が出たように見える。打たなかったら元気がないように見える。それは俺らはプロやから、結果でそういうふうにしていくしかない。こういうところから何かキッカケを。別にすごく悪いとか、そういうことではない。勝負どころでどう打つかが課題。

◆阪神が6連敗を喫した。同点の8回、3試合連続登板となったベテラン藤川球児投手(38)が竜打線につかまり、今季初黒星。 球宴明けの3試合はいずれも救援投手に黒星がつく敗戦が続いている。<阪神6連敗中の救援陣の苦闘> ◆ジョンソン初黒星(8日巨人戦)同点で迎えた8回にジョンソンがけん制悪送球や三盗で招いたピンチから失点。来日初の敗戦投手となった。 ◆ジョンソン初のイニング途中降板(15日中日戦)球宴明けの初戦。ジョンソンは同点の8回に登板。2死から崩れ、アルモンテ、ビシエドに打たれ、初の2失点。イニング途中降板も来日初だった。 ◆小野サヨナラ押し出し(16日中日戦)同点の9回に登板した小野だったが、1死満塁のピンチを招き、アルモンテに痛恨の押し出し四球を与えた。

◆阪神・大山悠輔内野手(24)が17日の中日戦(豊橋)の二回無死、左翼席へ11号先制ソロ。6月19日の楽天戦(甲子園)以来の一発で、自己最多タイに並んだ。  「しっかりと自分の間合いでスイングすることを意識しました。先制することができたので、流れに乗っていきたいです」  二回先頭。2ボールから阿知羅の内角直球を振り抜いた。両翼93メートルのフェンスを軽々と越えるひと振りは6月19日の楽天戦(甲子園)以来、18試合ぶりの一発で、連敗中のチームに先制点をもたらした。  阿知羅とは4月29日(ナゴヤドーム)以来、2度目の対戦。青柳がプロ初完封した一戦で、6回1失点で黒星をつけた。その1点を奪ったのも、大山の左中間への6号ソロだった。

◆阪神・原口文仁捕手(27)が17日の中日戦(豊橋)の三回、勝ち越しの2点中前打。交流戦以降、初のスタメン起用に応え、持ち前の勝負強さを発揮した。  1-1の三回、2死から糸井が四球。大山が左翼線への二塁打で二、三塁とすると「5番・一塁」の原口が打席に立った。カウント2-2から浮いてきたスライダーをコンパクトに振り抜くと、ピッチャーの足下を抜けていく中前打。連敗中のチームに、勢いをもたらした。  原口の先発は6月20日の楽天戦(甲子園)以来。「マイナビオールスターゲーム2019」では2試合連続本塁打を放ち、存在感を放っていた。

◆プロ初先発の阪神・望月惇志投手(22)が17日の中日戦(豊橋)で5回9安打2被弾。4失点で降板。打線の4点の援護を受けたが、粘りきることができなかった。  二回無死二塁から京田の中前適時打で同点。四回には2死から堂上に右翼席へ8号ソロ。五回に平田に同点6号2ランを浴び、打線にもらったリードを守りきることはできなかった。  チームは現在5連敗中。貧打に苦しむ打線が大山の自己最多タイとなる11号ソロなどで4点を奪ったが、粘れなかった。

◆中日-阪神戦が17日、豊橋市民球場で行われ、阪神は4-6で逆転負け。貧打に苦しむ打線が4点を奪うも、同点の八回に藤川球児投手(38)が決勝打を浴びた。  藤川は4-4でマウンドへ。先頭の大島に右中間を破る二塁打を浴びると、アルモンテにも四球。ビシエドは見逃し三振に仕留めるも、阿部に中堅フェンス直撃の2点二塁打を許した。  藤川は試合前の時点で防御率1・07。抜群の安定感でブルペンを支え、目標とする生涯防御率1点台まで残りわずかだった。これが今季3度目の3連投。決勝打を浴び、なお1死三塁のところで、島本にバトンを託した。  阪神はこれで今季2度目の6連敗。中日戦も7連敗だ。借金「5」となり4位転落。投打がなかなかかみ合わない。

◆豊橋市民球場は『ルーズヴェルト・ゲーム』というちょっと粋なテレビドラマのロケ地になったことで有名だ。  2002年、星野仙一氏が阪神の熱血監督になっていきなり7連勝。トップに躍り出てもう浪速の街は気の早いファンが大騒ぎ。開幕3連勝して、1975年の吉田阪神以来27年ぶり!開幕4連勝して、1956年の藤村富美男監督以来46年ぶり!5連勝すると1938年以来64年ぶり!翌日も勝利して6連勝はビジターでは日本新!その翌日もヤクルトに勝ち開幕7連勝は64年ぶり!  監督星野は思わず叫んだものだ。  「おい、こう毎日『何年ぶり』というのはやめてくれ。うれしくて、うれしくて俺はもう立っておれんぞ...」  いかにもその時の彼のうれしそうな笑顔が印象にのこっている。だけどそのセリフの末尾がちょっと気になった。  俺はもううれしくて立っておれんぞ...という何気ない言葉にスッと何かを...。もちろんまさかほとんどこめかみの血管をピクピクさせてばかりいた星野がすでに心拍数が時折パッと上がることなど知るよしもなかった。まだ彼は猛虎革命に踏み込んだばかりなのである。  その星野阪神が2002年4月16日、古巣の中日との初手合わせがこの日の豊橋市民球場だった。  ●3-7...七回守りのミスで自滅。翌17日はナゴヤドームで●3-5。つまり星野阪神初の連敗を喫している。オープン戦から数えて初"連敗"を喫したのだった。  この豊橋の試合前日に星野は友人から一通の手紙をもらう。そこにはこう書いてあったそうだ。  「君の生き生きしている顔を久しぶりにみた。低迷してきたチームを救おうという気迫も見た...」  彼はわざわざそれを語ってくれた。それだけの"覚悟"が漂っていた。彼が阪神監督を受諾して甲子園に最初に足をふみいれたときにポツリと「ここが俺の死に場所かもしれん...」とちょっとキザなセリフにもつながっていたのである。  星野仙一の覚悟はその翌年の2003年9月15日、甲子園で広島を3-2で破り7度宙に舞うことで成就した。18年ぶりの『優勝』-。阪神にとってそのドラマ以来の豊橋だった。  試合前にキャップ大石豊佳がそのことをチラッともちだして「今日は原口もスタメンですから試合はもつれるかもしれませんよ」という。聞くと米国の大統領ルーズヴェルトは1937年にニューヨーク・タイムズの記者に「一番面白いのが8対7の試合だよ」といったらしい。よく聞くあの名言はルーズヴェルトのセリフだったのか...どこかの大統領よりはよほどウイットに富んでいるではないか。  要するに物事は乱戦になるほど面白いという意味なのだろう。大石キャップもそんな予感がしていたのか。  いざ試合がはじまると4番大山が爆発した。二回に6月19日以来の11号アーチ。そこから三回に二塁打。五、七回には快打。『虎の4番』が覚醒したのか。矢野監督のガマンがやっと実ったのか。とにかく後半戦に向かって大収穫といえた。中日も粘る。まさに追いつ追われつ...の『ルーズヴェルト・ゲーム』の"再現"...。  実は48年前の1971年のこの7月17日、当時阪神のエース江夏豊は西宮球場の球宴で強打者揃いの全パ打線を9者連続奪三振の快投。自ら本塁打まで打ったことを付記しておきたい...。

◆ヒャ~! 最下位への奈落まっしぐらのダメ虎ジェットコースターが落下しはじめた~!!  全てが『負』の方向を指しているのだ。貧打の猛虎打線が10安打したと思ったら投手陣が打ち込まれた...。最悪は(別の意味では最高なんだけど)不振の4番・大山があとは三塁打が出れば、サイクル達成の本塁打、二塁打、単打2本の4安打を放っているのに勝てない...。この泥沼のスパイラルは、プロ野球の世界ではなかなか抜けられるもんじゃないんだよなあ、トホホホ。  ただ、岩崎が本日も2回を4三振でピシャリ。元々先発だし、年齢も重ねテクニックも加わったので、このまま中途半端な中継ぎなら、宝の持ち腐れ以外の何ものでもない!!  あ、そーか突然思ったけど、地方球場の狭い豊橋だから4番・大山くんは広い甲子園でなくプレッシャーを感じず4安打? でも、マジそれあるなあ...。よっしゃ!! 19日のヤクルト戦(甲子園)から左中間、右中間に10メートルのラッキーゾーン復活や!! そのくらいじゃないとこのチームの打者は育たんぞー!!

◆――望月は球自体は走っていた  矢野監督「去年の秋のキャンプからかな。望月、浜地、才木というのは俺も期待して。将来性のある投手やからね。きょうのこの経験をどうするか、というのが大事になると思う。やっぱり簡単には勝たせてくれへんから。そういう1個1個ね。良い部分と、まだ勉強していかないといけない部分と、両方が出た試合と思う」  ――打線が打っただけに  「まぁね...だから追い越したら点を取られるから流れもなかなかこっちに来ないし。そこで一気に追い越すところの点を取れていないから。だから昨日も言ったけど、接戦で競り負けているから。後ろにどんどんいい投手が出たときに、どう1点を取るかとか。それはずっと同じ負け方になっているので。それは俺の責任やと思うけど。どうにかしないと」  ――ここ2試合元気のなかった大山が4安打  「打ったら元気が出たように見えるし、打たなかったら元気がないように見える。それは俺らはプロやから、結果でそういうふうにしていくしかないので。それはマスコミの皆さんも周りもいろんなことを言われる立場の打順で打ってるから。それは仕方がない。悪かったら、言われるのも仕方がない。連敗するのは俺の責任だし」

◆阪神の6連敗は今季2度目。6月13日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)から同20日の楽天戦(甲子園)で1分けを挟んで6連敗して以来。  阪神が中日に7連敗。2012年4月14日(甲子園)から6月28日(ナゴヤドーム)に7連敗(1分けを挟む)を喫して以来、7年ぶり  4位転落は7月4日のDeNA戦(横浜)で敗れて以来。  後半戦開幕カードで3連敗。昨季も7月16-18日の巨人戦(甲子園)で3連敗しており、2年連続で後半戦開幕カード3連敗。

◆プロ初先発のマウンドはほろ苦い結果になった。高卒4年目の望月が要所で踏ん張りきれず、2本塁打を含む5回9安打4失点でプロ初白星は手にできなかった。  「投げやすい展開を作ってもらったのに、野手の方に申し訳ないです」  負けこそつかなかったが、若き剛腕は唇をかんだ。1点を先制した直後の二回無死二塁で京田に中前適時打を許した。勝ち投手の権利が迫った4-2の五回無死一塁では変化球を平田に右翼席へ運ばれる痛恨の2ランを被弾。二回から4イニング連続で先頭打者に出塁を許す苦しい内容だった。  キャンプから目にかけてきた矢野監督は「そう簡単にはいかんと、きょうで経験できたと思うので」と成長に期待しつつ、次回登板について「それは考える。それは今すぐに答えは出ない」と抹消も示唆。次こそ、望月が堂々の内容で初勝利を手にしてみせる。 (新里公章)

◆中日が2015年以来の7連勝を飾った。ヒーローはプロ4年目の阿部寿樹内野手(29)。4-4の八回1死一、二塁で藤川から勝ち越しの中越え2点三塁打を放ち、勝利を引き寄せた。  「打てる球を打つ。『あとはバットに聞いてくれ』という感じだった」  打率・319でリーグトップに立つ主将の高橋が前日の試合中に右手小指を痛め、出場選手登録を外れた。長期離脱が必至となる中、与田監督が代わって5番に据えた阿部が決勝打を含む4打数3安打2打点と大活躍を見せた。  愛称は「マスター」。名付け親の伊東ヘッドコーチによると「あごひげと、風貌がバーのマスターみたいだろ」。"高橋ショック"で揺れるチームの空気を一変させ、チームを単独3位に導いた竜のマスターは「(高橋)周平の代わりはできないが、少しでもチームに貢献したい」と静かに喜びをかみしめた。 (三木建次)7連勝に中日・与田監督「うまく続いていきたい」

◆石畳の上を路面電車が走る「ほの国」で、主砲が力強く息を吹き返した。梅雨が過ぎ去り、夏がやってくる。大山が自己最多タイとなる11号ソロ。今季初の4安打で、連敗中の虎を太陽のように熱く照らした。  「負けたので。すべてはそこだと思います」  試合後は4番として、責任をかぶった。二回先頭、2ボールから阿知羅の内角直球を振り抜くと、両翼93メートルのフェンスを軽々と越える先制場外アーチ。6月19日の楽天戦(甲子園)以来、18試合ぶりの本塁打で勢いを生んだ。昨年に並ぶ11号だが、今季はリーグでただひとり全試合4番を務めてきたからこそ、価値がある。成長がある。  「しっかりと自分の間合いでスイングすることを意識しました」  ここから加速した。三回2死一塁では遊撃と左翼の間にポトリと落ちる二塁打で原口の2点打を呼び込むと、五回1死一、二塁でも左前適時打。七回2死一塁でも中前に落とし、昨年9月29日の中日戦(ナゴヤドーム)以来の4安打だ。  固め打ちこそ、大山のバロメーターとなってきた。猛打賞は今季5度目だが、7月だけで3度目。昨季も大山は球宴後だけで打率・335、9本塁打、32打点と自らのバットで夏場に強いことを証明してきた。主砲を託す矢野監督は「勝負どころでどう打つかが課題」とし、さらなる成長を促した。  「いろんなことを言われる立場の打順で打っているから。俺はだから、そこで成長していけるところを期待したいなって。こういうところで何かきっかけをね」  自身の可能性を、矢野監督が誰よりも信じてくれている。チームとして貧打に苦しむ中でも、大山だけは変わらない。打順にあらわれる期待に4番として、結果で応えたい。  指揮官は「俺らはプロやから、結果でそういうふうにしていくしかない」と続けた。2点を追う九回も、球場の玄関まで響く大きな声でチームを鼓舞した背番号「3」。"夏の大山"が、苦しむ虎の鍵を握りしめている。 (竹村岳)

◆敗戦した重苦しい雰囲気のなかで"必死のグッチ"が一筋の光だった。原口が一時勝ち越しとなる2点打を放ち、塁上で笑みを浮かべた。主力不在のなかでも持ち前の勝負強さを発揮。それでも試合後は、凡退したあとの2打席を反省した。  「苦しいときに打たないと意味がない。得点圏の打席で凡退しているので、チームを活性化させるためにそういうところでどんどん打っていかないといけない」  「5番・一塁」で6月20日の楽天戦(甲子園)以来のスタメン出場を果たすと、いきなり快音を響かせた。1-1の三回2死一、三塁、先発・阿知羅の5球目、外角の変化球に反応。打球は投手の股の間を抜け、中前へ。走者一掃の2点打で勝ち越しに成功。1試合2打点は今季初だ。二回にも無死走者なしから中前打を放ち、チャンスメーク。6月14日のオリックス戦(京セラ)以来、22試合ぶりとなるマルチ安打を記録した。  16日にマルテが走塁時に左膝を負傷するアクシデント。診察を受けるために帰阪し、チームを一時離脱を余儀なくされる状況となった。福留も両ふくらはぎを痛めて2軍調整中で戦力を欠くなかで、持ち前の勝負強さを発揮。2人が不在の間、当面は5番でのスタメン起用となりそうだ。  3連戦前に行われたオールスターでは、2試合連続弾と大活躍。しかし、ペナントレース再開の第1戦ではベンチスタートで最後まで出番なしに終わった。チームも連敗し、重苦しい雰囲気でも練習開始のウオームアップから誰よりも大きな声を出し、鼓舞していた。  「また頑張ります」と前を向いた。もっともっと打って、次こそ勝利を呼び込む。 (織原祥平)

◆俺が悪い-。阪神は中日に逆転負けを喫し、今季2度目の6連敗。中日に7連敗で、4位に転落した。藤川の志願の3連投も、いずれも終盤に競り負ける展開。矢野燿大監督(50)は「俺の責任」と2度繰り返し、すべてを背負い込んだ。  逆転ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」の舞台で、猛虎が逆転の餌食になった。先制しても追いつかれ、勝ち越しても追いつかれ、最後は頼みの藤川で敗戦。ついに4位転落した矢野監督は、責任を一身に背負い込んだ。  「昨日も言ったけど、接戦で競り負けている。後ろ(リリーフ)にどんどんいい投手が出たときに、どう1点を取るかとか。それはずっと同じ負け方になっているので。それは俺の責任やと思う。どうにかしないと」  VTRを見ているかのような敗戦だった。3連戦とも一時はリードしながら、追いつかれる展開。この日も二回、大山のソロで先制。三回には原口の2点打で一時勝ち越したが、五回に初先発に抜てきした望月が同点2ランを浴びた。いずれも七回まで同点で迎えながら、終盤で相手に逆転を許してしまった。  2連投のジョンソンが"休養日"。首脳陣はベテランを酷使する3連投にためらいもあったが、藤川が志願。しかしこれが残酷な結末を生んだ。4-4の八回。1死一、二塁のピンチを招くと、阿部に中堅フェンス直撃の2点三塁打。12試合ぶりの失点で今季初黒星となった。  今季4度目の男気3連投が暗転したセットアッパーは「きょうは相手の勝ち。ベストボールをうまく打たれました」としたが、矢野監督も「試合展開的にも球児に一番無理させている。どうかなというのはあったんだけど、体の方は大丈夫ということだったので。球児に助けてもらっているから」と責めることはしなかった。  6連敗はすべて3点差以内の接戦。球宴で2戦連発を放った原口を5番でスタメン起用し、4番の大山が4安打2打点。打線低迷に光は見えた。しかし、あと1点が欲しい中で、ベンチワークでその1点をもぎ取る野球ができない。連日の接戦をものにできず、指揮官は「連敗するのは俺の責任」と、同じフレーズを繰り返した。2002年以来17年ぶりとなった豊橋市民球場。14年に放送されたテレビドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」のロケ地で、竜の引き立て役になってしまった。  「追い越したら点を取られるから、流れもなかなかこっちに来ないし。そこで一気に追い越すところの点を取れていないから」  紙一重の差が重くのしかかり、もはや八方ふさがり。1日休養を挟み、19日からは甲子園で最下位ヤクルトとの3連戦。球宴での虎祭りムードもどこへやら。どうしたら勝てるのか...。正念場を迎えた矢野虎が、迷宮でもがいている。 (大石豊佳) 藤川について阪神・金村投手コーチ 「正直ブルペンの調子はよくなかったけど、気持ちを出していってくれた。周りも感じてほしいね」

◆4番・大山が打った試合は勝たないと! ストレートにそう言いたい。5番に入れた原口も勝負強さを発揮。ようやく晴れ間がのぞいたかと思えたからこそ、勝つことで、チームの流れを作りたかった。  どうしても黒星が続ければ閉塞(へいそく)感が生まれる。「あの場面で抑えていけば...」「あの場面で打っていれば...」と投手野手それぞれに思うが、今、そういうことを言っている状況ではない。  この日でいえば、勝ちパターンの投手であるにも関わらず、3連投を強いられた藤川は責められない。チームの顔である大山が結果を出している以上、プロ初先発の望月が奮起しなればいけなかった。力みもあっただろうが、立ち上がりからいい球と悪い球がハッキリしていた。序盤は先頭打者を許しても併殺でピンチを脱出していたが、五回に平田に浴びた同点2ランはまずい。一発だけは打たれてはいけない。あと1イニングを抑えると勝ち投手の権利。バッテリーとして、状況に応じた慎重さが必要だった。この中日3連戦は点を取れば取られ、最後に土俵を割ってしまうという繰り返し。ベンチの采配、ナインの意識ともに「この試合は絶対に勝つ」という執念がみたい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
50321 0.610
(↓0.007)
-
(-)
60406
(+4)
322
(+5)
113
(+2)
51
(+2)
0.264
(-)
3.570
(↓0.02)
2
(-)
DeNA
41422 0.494
(↑0.006)
9.5
(↑1)
58350
(+3)
344
(+1)
104
(+1)
26
(-)
0.247
(↑0.001)
3.700
(↑0.03)
3
(-)
中日
40430 0.482
(↑0.006)
10.5
(↑1)
60319
(+6)
318
(+4)
49
(+2)
43
(-)
0.262
(-)
3.710
(-)
4
(1↓)
阪神
39444 0.470
(↓0.006)
11.5
(-)
56321
(+4)
351
(+6)
57
(+1)
62
(+1)
0.247
(-)
3.440
(↓0.03)
5
(-)
広島
39453 0.464
(↓0.006)
12
(-)
56331
(+1)
357
(+3)
75
(-)
51
(-)
0.243
(↓0.001)
3.530
(-)
6
(-)
ヤクルト
35502 0.412
(↑0.007)
16.5
(↑1)
56380
(+5)
442
(+4)
94
(+2)
35
(+1)
0.241
(↑0.002)
4.610
(↑0.01)