ソフトバンク(☆8対3★)日本ハム =クライマックスシリーズ1回戦(2018.10.13)・福岡ヤフオクドーム=
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日本ハム
1002000003701
ソフトバンク
50200100X81202
勝利投手:武田 翔太(1勝0敗0S)
敗戦投手:上沢 直之(0勝1敗0S)

本塁打
【日本ハム】近藤 健介(1号・1回表ソロ)
【ソフトバンク】デスパイネ(1号・1回裏満塁),甲斐 拓也(1号・3回裏2ラン)

  DAZN
◆ソフトバンクがファーストステージ初戦を制した。ソフトバンクは先制を許した直後の1回裏、柳田の適時打とデスパイネのグランドスラムで一挙5点を奪い、逆転に成功する。3回には、甲斐に2ランが飛び出しリードを広げた。敗れた日本ハムは、打線がつながりを欠いた。

◆日本ハム近藤健介捕手(25)が、先制アーチを放った。 1回2死からソフトバンク先発左腕ミランダの外角145キロ直球を捉え、左翼席へと運ぶソロ本塁打。自身クライマックスシリーズ初となる本塁打となった。

◆前サッカー日本代表監督の西野朗氏が始球式を務めた。セットポジションからの投球で、ストライクゾーンを通りながら捕手甲斐のミットにショートバウンドで収まった。前日にはヤフオクドームを訪れ、マウンドから投げるなど入念に練習していたが、ノーバウンドとはいかず「一夜漬けではだめですね」と悔しがった。 今年のロシアW杯では、1字リーグで格上のコロンビアを破るなど下馬評を覆し、16強入りを果たした。短期決戦突破のポイントに「いろんな流れが両チームにくる。勝機がどこにあるかというところを、全員が感じられるかどうか。流れの共通理解ができれば、より力を発揮できる」と説いた。 また、前日12日にパナマに快勝した森保ジャパンについては「やることを継承してもらっている。何の不安もない。さらに日本人の持っているいいところを引き出せると思う。結果を出しながら、内容もいい。大いに期待できますね」と話した。

◆ソフトバンクが初回から猛攻を見せた。 1点を先制された1回裏、先頭の上林が左前にポトリと落ちる打球で一気に二塁へ。2番明石は四球。続く中村晃は一塁線上へボテボテの投ゴロだったが、ファウルを狙い日本ハム上沢が見送り。すると線上にぴたりと止まり、内野安打になった。無死満塁。いきなりのチャンスで柳田は初球打ちの同点右前打。さらに、続くデスパイネが右翼席へ満塁弾を放り込み、逆転した。 12日の前日練習では体調不良で打撃練習などを回避していたデスパイネだが「ギータ(柳田)がすぐ同点にしてくれたし、少し楽な気持ちで打席に入れた。最高の結果になって良かったよ」。豪快な1発で復調ぶりを見せつけた。

◆日本ハム近藤健介捕手(25)が、先制アーチを放った。 1回2死から、ソフトバンク先発左腕ミランダの外角145キロ直球を捉え、左翼席へと運ぶソロ本塁打。自身クライマックスシリーズ初となる本塁打となった。 「逆方向へ、いい形で捉えることができました。先制できたのは良かったですが、その裏に逆転されたので1点ずつ、追いかけていきたいです」と話した。

◆日本ハム上沢直之投手(24)が、まさかの大量失点でKOされた。 1点先制の援護を受けて、迎えた1回。先頭上林に左越え二塁打を許すと、四球も絡み無死満塁。レギュラーシーズン18打数2安打に封じていた柳田に、初球141キロを捉えられ右前適時打で同点とされた。なお無死満塁、デスパイネに痛恨の右越え満塁弾浴びた。立て直したかに見えた3回には、伏兵甲斐に右越え2ランを献上。チーム勝ち頭11勝のエースが3回9安打7失点で降板した。 今季は対ソフトバンクに6戦4勝、防御率2・20と安定感を見せていたが、大一番では初回に大量失点した。「大事な試合で結果が残せず、チームや応援してくれている方々に申し訳ない気持ちしかありません。諦めずに投げようとは思っていたのですが、力負けしました。チームの逆転を信じて、最後までしっかり応援します」と声援に込める。

◆クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが開幕。

◆CS初出場となった日本ハム清宮幸太郎内野手のバットから快音は響かなかった。 8回1死で代打出場。フルカウントから、ソフトバンク4番手加治屋の低め直球にバットをへし折られ、二ゴロに倒れた。 「スイングは悪くなかった。(今後も)どういう出方になるかはわからないですけど、チームに貢献出来ればなと思います」と、14日の第2戦へ向け気持ちを切り替えていた。

◆日本ハムが大敗を喫した。先発上沢が、まさかの初回5失点など3回7失点で降板。打線は初回に近藤の1号ソロで先制し、4回は2つの押し出し四球で2点を返したが、及ばなかった。 ファイナルステージ進出へ負けられなくなった栗山英樹監督(57)は「明日、取る(勝つ)だけなので。結果に関しては、こっちの問題」と、勝たなければならない第2戦へ気持ちを向けた。

◆病み上がりのアルフレド・デスパイネ外野手が決勝の満塁本塁打でCSファイナルステージ進出王手に大きく貢献した。 1点を追う初回、柳田の適時打で同点に追いつき、なお無死満塁。デスパイネは上沢の高め直球を右翼席に運んだ。「大事な初戦を取れて良かった。完璧な当たりでしたし、最高の気分でした。デスパ、イイネ!」と喜んだ。 前日12日は体調不良のため、ヤフオクドームには訪れていたがチーム練習に参加できなかった。本人は「特に問題はないよ」と話したが、首脳陣の話ではクラブハウスで座り込み、何度もトイレに駆け込んだようだ。「打撃練習はできる」と訴えたが、無理をさせまいと首脳陣からストップがかかった。グラウンドには出ずに、室内で軽めのマシン打撃などを行い早めに球場を出た。一晩を経て、バットで全快ぶりをアピール。日本一へ向け、頼もしい存在が帰ってきた。

◆ソフトバンクが救援陣の活躍で初戦を快勝した。先発ミランダが4回に3連続四球で2連続押し出し。3点目を失ったところで工藤公康監督(55)はミランダをあきらめ武田を投入。4点差で1発出れば同点の1死満塁のピンチで大田を三ゴロ、近藤は空振り三振で切り抜けた。 工藤監督は「武田のカットボールは狙っていてもそうは打てない。内野ゴロの確率も高い。あそこは鈍ることなく決断できた」と起用の意図を説明した。 武田は6回まで2回2/3を無失点。7回は石川、8回加治屋、9回森と無失点リレーを完成させた。武田、石川とシーズン中は先発ローテーションに入っていた右腕2人を中継ぎにまわしリリーフ陣は充実。初戦に勝ち、日本ハムに王手をかけた。

◆ソフトバンクが日本ハムに先勝し、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルシリーズ進出に王手をかけた。1点を追う初回にアルフレド・デスパイネ外野手(32)が決勝となる勝ち越しの満塁本塁打を放つなど一挙5得点。シーズン中は苦手としていた日本ハム先発の上沢を「初球」「高め」を意識して攻略した。 ▼デスパイネが初回に満塁本塁打。プレーオフ、CSの満塁本塁打は12年1S3戦ブランコ(中日)以来12本目で、初回に打ったのは初。日本シリーズで初回の満塁弾は80年6戦で1死から5番水谷(広島)85年6戦で2死から6番長崎(阪神)が記録しており、ポストシーズンでは3本目。「初回無死」からの満塁弾はポストシーズン史上初めてだ。デスパイネのCSでの本塁打はロッテ時代の15年1本、16年2本、ソフトバンク移籍後の17年1本、18年1本。プレーオフ、CSで4年連続本塁打は10~13年中村(西武)13~16年坂本(巨人)に次いで3人目のタイ記録。 ▼初回は1番上林から5番デスパイネまで5者連続得点。プレーオフ、CSの1イニング連続得点記録には6者連続があるが、初回先頭打者から5者連続得点は初。日本シリーズを含めても58年2戦巨人(初回先頭から7者連続)に次いで2度目になる。

◆天高い秋晴れの空に歓声は届いただろうか。 現役時代、「優勝請負人」と言われ、ホークスにやってきた工藤監督は19年前、福岡の地で初優勝の美酒に酔った。連覇も果たした。 だが、戦友でもあり、よき後輩でもあった藤井将雄投手は2000年(平12)の10月13日、肺がんのため31歳の若さで天国へ旅立った。世紀のON決戦の直前だった。 「炎のセットアッパー」と呼ばれた右腕さながら、ブルペン陣の奮投で日本ハム打線に反撃の糸口さえ許さなかった。試合前、選手ロッカールームにある藤井さんの祭壇には花かごと必勝を誓った赤飯が供えられていた。葬儀で弔辞を読んだ若田部投手コーチは「(葬儀の日も)今日みたいないい晴れ空でした。この時期いつも思い出します」と、しんみりと回想した。 もちろん、工藤監督もしっかりと「この日」を覚えていた。「今日は(藤井が)ベンチに座ってくれていたよ」。そう言って笑顔で監督室に消えて行った。戦いは続く。目標は日本一。今日14日の第2戦で第1関門を突破し、獅子の待つ所沢に乗り込むつもりだ。【佐竹英治】

◆日本ハム先発の上沢直之投手(24)が、痛恨の判断ミスに泣いた。1点リードの1回無死一、二塁。中村晃のボテボテの打球は、一塁線上へ。素早くマウンドを駆け降りたものの、ファウルとみて捕球しなかった。打球は無情にも一塁線内にとどまり、無死満塁。「ツイてないなぁ...と思いました」。続く柳田に同点打を浴び、デスパイネには満塁本塁打を浴びた。重すぎる初回5失点だった。 ヤフオクドームは昨季、8年ぶりに人工芝が張り替えられた。採用されている「フィールドターフHD」は長めの芝でフカフカなのが特徴。打球の勢いは殺されやすい。チームでも、その共通認識はあった。吉井投手コーチは「独特な人工芝だというのは、みんな分かっている。(中村晃の打球は)判断が難しいところ。結果としては最悪だったけど、しょうがないかなと思う」と、振り返った。 仮に、一塁へ送球していれば、1死を奪えていた可能性もあった。最初のアウトを取り損ねた上沢は「変化球が高かった。少し力が入りすぎていた」と、制球をさらに乱した。気持ちの整理が付かないまま、大量失点に肩を落とした。一塁送球していればと仮定の話を振られた栗山監督は「捕ってもセーフだよ、アレは」と、上沢をかばった。続けて「明日(白星を)取れれば何も問題ない」と、切り替えを強調した。【木下大輔】

◆ソフトバンク4番柳田が、CS第1打席でチームに勢いをつけた。 0-1で迎えた1回無死満塁で初球を右前へ同点適時打。「うまくひっかかってくれた」。上沢にはシーズン18打数2安打と苦戦したが「野球の神様に祈ります」と願っていた通りになった。「まだまだの部分もありますが、自分の感覚がよくなっている部分はあると思う」と打撃向上に手応えを感じ取っていた。

◆ソフトバンクが日本ハムに先勝し、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ進出に王手をかけた。1点を追う初回にアルフレド・デスパイネ外野手(32)が決勝となる勝ち越しの満塁本塁打を放つなど一挙5得点。シーズン中は苦手としていた日本ハム先発の上沢の「初球」「高め」を意識して攻略した。 もはや苦手意識はなかった。レギュラーシーズンで苦戦した上沢を打ち砕いた。 1点を追う初回、同点としてなお無死満塁。デスパイネは、見逃せばボールの「高め」直球をフルスイングで右翼席に運んだ。「完璧な当たりでしたし、最高の気分でした」。前日12日の練習を体調不良のため休んだキューバの大砲が、愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔を見せた。 天敵攻略の裏に徹底された戦略があった。キーワードは「高め」「初球」だ。データ分析班からは、4戦4敗だった7月までとは違う上沢の姿が伝えられていた。シーズン前半よりも高めの球が増え、フォークが抜けることもある。ストライクカウントが増えるほど、厳しいコースを攻める傾向も特徴だった。首脳陣は「初球のストライクを打つ」ことを徹底。打線は1発回答で応えてみせた。 初回先頭の上林は「初球」にセーフティーバントを試みるもファウル。3球目「高め」の球を打つと、詰まりながらも左前に落ちる二塁打になった。工藤監督は「1死を与えるより打っていこう」と送りバントさせず、明石が四球。続く中村晃は「初球」打ちで、一塁線上にぴたりと止まる投前内野安打に。運も味方に無死満塁とすれば、柳田も「初球」を右前に同点打。9球で振り出しに戻し、最後はデスパイネがとどめを刺した。 試合前には倉野投手統括コーチが「仮想上沢」で打撃投手を務めるなど、チームの総力を結集させた勝利だ。ファイナルステージ進出に王手をかけ、工藤監督は「初戦は大事ですし、選手たちもそれを分かっていた。初回からよく打ってくれた」とニンマリ。下克上日本一への道は、痛快な天敵破りから幕を開けた。【山本大地】

◆ソフトバンク武田が好救援で日本ハムへ行きかけた流れを断った。先発ミランダが2連続押し出しで3点目を失うと4回1死満塁、2番大田の場面で工藤監督は石川ではなく武田をマウンドへ送った。「武田のカットボールは狙っていてもそうは打てない。内野ゴロの確率も高い。あそこは鈍ることなく決断できた」と迷いはなかった。 1発出れば同点の4点差。武田は「点差がなかったら心臓が飛び出しそうだった。緊張した」と、さすがの強心臓男も、自身初の満塁でのリリーフにしびれた。初球から振ってくる大田に、外角のスライダーで勝負。1球で三ゴロに打ち取った。続く近藤には直球3球で1ボール2ストライクと追い込むと、最後は内角へフォーク。「抜けフォークで落ちなかったことがよかった。気合を入れて投げた」と、落ちないことが幸いし空振り三振。珍しくマウンドでほえグラブをたたいた。 5回、6回も3人ずつで片付け2回2/3を無安打無失点。工藤監督は「すごく重要な役割。勝つためには抑えにつなぐことが大事」と、加治屋、森へつなぐ役割を石川と武田に任せる。今季初めて中継ぎに転向したばかりだが、CS前にはリリーフ陣の決起集会にも参加し、すっかりブルペン陣の一員となった。「CSは全部投げるつもり」。体力には自信がある。武田がラッキーボーイになりそうだ。【石橋隆雄】

◆先制弾も空砲となった日本ハム近藤は「その後も僕が打たないといけない場面がたくさんあった」と振り返った。 1回2死から左翼テラス席へポストシーズン初のソロを放ったが、以降は音なし。4回2死満塁で空振り三振、最終打席の7回1死二塁では三ゴロに倒れ「最後に1本出ていたら。もう、明日は勝つしかない」と口元を引き締めた。

◆天高い秋晴れの空に歓声は届いただろうか。「下克上」を誓う工藤ホークスが日本ハムとのCSファーストステージ初戦に快勝した。デスパイネの満塁弾に伏兵甲斐の1発。先発ミランダが怪しくなると、武田、石川、加治屋とつないで、最後はストッパー森が締めた。形はどうあれ、短期決戦は白星をもぎ取ればいい。2年ぶりのファーストステージは白星発進で「王手」をかけた。 現役時代、「優勝請負人」と言われ、ホークスにやってきた工藤監督は19年前、福岡の地で初優勝の美酒に酔った。連覇も果たした。だが、戦友でもあり、よき後輩でもあった藤井将雄投手は2000年(平12)の10月13日、肺がんのため31歳の若さで天国へ旅立った。世紀のON決戦の直前だった。 「炎のセットアッパー」と呼ばれた右腕さながら、ブルペン陣の奮投で日本ハム打線に反撃の糸口さえ許さなかった。試合前、選手ロッカールームにある藤井さんの祭壇には花かごと必勝を誓った赤飯が供えられていた。葬儀で弔辞を読んだ若田部投手コーチは「(葬儀の日も)今日みたいないい晴れ空でした。この時期いつも思い出します」と、しんみりと回想した。 もちろん、工藤監督もしっかりと「この日」を覚えていた。「今日は(藤井が)ベンチに座ってくれていたよ」。そう言って笑顔で監督室に消えて行った。戦いは続く。目標は日本一。今日14日の第2戦で第1関門を突破し、獅子の待つ所沢に乗り込むつもりだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンクが序盤に奪ったリードを守り切り先勝。クライマックスシリーズ・ファイナルステージ(17日開幕、西武ドーム)進出に王手をかけた。  ソフトバンクはミランダ、日本ハムは上沢が先発。日本ハムは一回、二死から3番・近藤が左中間ホームランテラスに飛び込むソロ本塁打を放ち先制した。  ソフトバンクもその裏、1番・上林の左翼線二塁打と四球、3番・中村晃の一塁線への内野安打で無死満塁のチャンスを作ると、4番・柳田の右前にはじき返す適時打で追いつき、さらに5番・デスパイネが右翼席に運ぶ満塁弾を放ちこの回5点を奪った。  さらにソフトバンクは三回、一死二塁から9番・甲斐が右翼席へ2点本塁打を放ち突き放した。  6点を追う日本ハムは四回、一死満塁の好機で9番・中島が粘った末に押し出し四球を選ぶと、1番・西川も押し出し四球。ソフトバンクはここでミランダをあきらめ、2番手の武田がマウンドへ。武田は2番・大田を三ゴロ、3番・近藤を空振り三振に仕留めて急場をしのいだ。  日本ハムも四回から継投策をとる。2番手・公文、五回の3番手・井口がいずれもパーフェクトリリーフ。ソフトバンク・武田も五、六回を三者凡退に抑え、両軍の救援陣が試合を引き締める。  ソフトバンクは六回、二死から日本ハムの4番手・加藤を攻め、2番・明石、3番・中村晃の連打で一、三塁とすると、4番・柳田の打席で加藤が暴投。明石が生還し差を広げた。  その後、ソフトバンクは石川、加治屋とつなぎ、日本ハム打線に得点を許さず。九回には5点差ながら守護神・森がマウンドに上がり、先頭の8番・鶴岡に右前打を浴びたものの後続を断った。

◆ソフトバンクが序盤に奪ったリードを守り切り先勝。クライマックスシリーズ・ファイナルステージ(17日開幕、西武ドーム)進出に王手をかけた。  以下、一回に勝ち越しの満塁弾を放ったデスパイネの一問一答。  --大事な初戦に勝った  「とても大事な試合なので、初戦をまず取れて良かった。また投手の助けになったということは、とてもうれしい」  --満塁本塁打の手ごたえは  「当たった瞬間、完璧な当たりだった。満塁ということで、最高の気分」  --シーズン終盤に負傷で離脱。悔しい思いが生きたか  「けがで1カ月半くらい離れていたんですけれども、その1カ月半の間、しっかり準備して、クライマックスに向けて、というのが第一の目標だった。まず今日、初戦を取れて良かったで」  --ミランダ、グラシアルと同じキューバ出身の選手がチームを支えている  「1つの球団にキューバ人がそろうというのはなかなかないので、まずみんな楽しくやることと、みんなそれぞれ自分の役割を果たすというのはわれわれの目標。そしてチームの勝利に貢献するというのがもう一つの目標」  --明日への意気込み  「今日初戦を取って、明日も勝って、ファイナルステージに進んで、そこも勝ち取って、最後の日本一というのは我らの目標なので一人だけではなくチーム全体で戦っていく」  (マイクを渡され、同じくお立ち台に上がった武田とともに)  「デスパ、イ~ネ!」

◆日本ハムは13日、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に3-8で敗れた。先発した上沢直之投手(24)が3回7失点と大量失点を喫し、「大事な試合で結果が残せず、チームや応援してくれている方々に申し訳ない気持ちしかない」と肩を落とした。  1-0の一回にいきなり無死満塁のピンチを招くと、柳田に右前適時打を許して同点。続くデスパイネに右翼超えの満塁本塁打を浴び、1-5と逆転された。三回には一死二塁で甲斐にも2ランを打たれ、この回限りで降板。「諦めずに投げようとは思っていたが、力負けした」と悔しそうだった。  今季はチームトップの11勝を挙げ、防御率はパ・リーグ3位の3・16とシーズンを通して活躍してきただけに、まさかのKOとなった。

◆日本ハムは投打に力負けし、初戦を落とした。栗山監督は「細かいことを考えているときではない。勝ち切れなかった、ということ」と淡々と振り返った。  普段は全体ミーティングでめったに声を掛けないが、この日は「失敗を怖がらなくていい。思い切ってやってほしい」と選手に伝え、送り出した。守りで細かいミスが出たことには言及せず「(第2戦を)取れるかがポイント。勝てば流れがこっちにくる」と気持ちを切り替えた。 清宮(八回に代打でCS初出場。二ゴロに倒れ) 「打つべき球ではなかった。スイングはそんなに悪くなかった」 西川(ミランダに) 「チェンジアップもフォークボールも(速球と軌道が)変わらない」 日本ハム・城石打撃コーチ(打線に) 「手も足も出なかった投手(ミランダ)を追い詰めることはできた。集中力を持ってやってくれた」

◆日本ハムの近藤は一回2死から先制本塁打を左翼に運んだ。ただ、その後は凡退しチームも逆転負け。「チャンスで打てないと、こういう試合を取れない」と悔しさをにじませた。  1-7の四回は2点を返し、なお2死満塁で空振り三振に倒れた。左翼の守備でも、一回の先頭打者の飛球が遊撃手との間に落ち、二塁打とされた。「お見合いになった。僕が下がり過ぎた」と反省した。

◆ソフトバンクの柳田が一回に適時打を放った。0-1の無死満塁で上沢の初球を力強く右前にはじき返し「積極的に打ちにいった。いいところに飛んでくれた」とうれしそうに笑った。  対上沢は通算33打数4安打と苦戦していたが、大事な場面で打ち砕き「自分の感覚が良くなってきた」と状態の良さを誇った。

◆ソフトバンクの甲斐が5-1の三回に2ランを放った。上沢の外角直球を右翼席に運び「(打つ)方向は決めていた。本当につなぐ気持ち。しっかり当たってくれた」と喜んだ。今季11打数無安打と抑え込まれていた苦手投手から一回にも右前打を放ち、課題の打撃で存在感を示した。  捕手としては、2番手で好救援した武田をたたえ「本当にいい球を投げてくれた」と話した。 中村晃(一回にファウルラインぎりぎりの投前安打) 「緊張感がある中でヒットが出て良かった」 石川(3番手で1回無失点) 「ゼロで抑えられたのは大きい。投げるところで頑張るだけ」 森(九回を締め) 「(調子は)全然悪くない」 ソフトバンク・立花打撃コーチ(満塁本塁打のデスパイネに) 「彼は集中したらすごい」

◆先発の上沢は一回にデスパイネに満塁弾を浴びるなど、3回9安打7失点。「普段通り(試合に)入ろうと思ったけど、少し力が入った」と振り返った。今季チーム最多の11勝を挙げた右腕は期待に応えることができず、「大事な試合で結果が残せず、申し訳ない気持ちしかない」とうなだれた。

◆始球式に、サッカーのW杯ロシア大会で日本を16強に導いた西野朗前監督(63)が登場。投球はワンバウンドとなり「練習ではうまくいったのに。本番に弱いですね」と苦笑いした。実は「人生で初めてのマウンド。できるだけいい準備を」と、前日にヤフオクドームのマウンドで投球練習。さらに外野でキャッチボールを行い、関係者を驚かせていた。  大役を終えると、短期決戦を「いろいろな流れが両軍にくる。一方的にはいかないし、勝機はいろいろある。それを全員で感じて共有すること。野球でも同じだと思います」と分析。ソフトバンクは日本ハムに先制を許したものの、直後に逆転して初戦をものにした。

◆武田が救援で2回2/3を完璧に抑え、勝利を呼び込んだ。ミランダが四回一死満塁から連続押し出し四球を与えたところで登板。ピンチを脱すると「気合が入っていた」と珍しく雄たけびを上げ、五、六回も走者を許さなかった。今季は先発で3勝9敗と低迷。プロ7年目で初めて中継ぎに回った悔しさを晴らすため、「全試合で投げるつもり」とフル回転を誓った。

◆レギュラーシーズン3位の日本ハムは、同2位のソフトバンクに3-8で完敗。5点ビハインドの八回にドラフト1位・清宮幸太郎内野手(19)=早実高=が代打で出場したが、二ゴロに倒れた。  「明日、取るだけなので。誰が悪いわけではない。悔しい思いをしたので、明日、精いっぱいやるだけ」  レギュラーシーズンでは7連敗中の相手に力負けし、栗山監督は唇をかんだ。一回に近藤の左越えソロで先制したものの、先発の上沢が3回9安打7失点でKO。序盤の大量失点が最後まで重くのしかかった。  パ・リーグの高卒新人野手では史上4人目のCS出場となった清宮の出番は八回一死走者なし。加治屋の150キロにバットを折られて、二ゴロ。チャンスを生かせず、「勝つことの難しさを改めて感じた」と初舞台を振り返った。  14日の第2戦で敗れれば、CS敗退が決定する。指揮官は「一番、勝ちやすい形でいくだけ。勝てば流れがこっちにくる」と雪辱を誓った。このまま、北海道に帰るわけにはいかない。 (中田愛沙美) 一回の先制ソロに日本ハム・近藤 「(打ったのは)直球だと思う。逆方向へ、いい形で捉えることができた」

◆パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)はファーストステージ(3試合制)が開幕し、レギュラーシーズン2位・ソフトバンクが3位・日本ハムに8-3で快勝。一回にアルフレド・デスパイネ外野手(32)が右越えに満塁本塁打を放つなど、自慢の攻撃陣で圧倒した。14日の第2戦で勝つか引き分ければ、5年連続のファイナルステージ進出が決まる。  白球が近づくにつれ、鷹ファンで埋め尽くされた右翼席が興奮のるつぼと化した。CSファーストステージ初戦。その一回にデスパイネが、グランドスラムで空気を変えた。  「当たった瞬間、完璧だった。満塁だったし、最高の気分だったよ」  一回、日本ハムにあっさりと先制点を奪われたが、すぐに"5倍返し"だ。柳田の右前適時打で同点とした直後の無死満塁。主砲が相手先発、上沢の直球を捉え、球団では2011年の松中信彦以来、7年ぶりの満塁弾をたたき込んだ。  一回の満塁弾は史上初。電光石火の5得点でシーズン前半に4連敗を喫した上沢を攻略した。工藤監督も「回を追うごとによくなる投手。立ち上がりに攻略するという気持ちが出た」と目尻を下げた。  実は、助っ人は前日12日は腹痛で別メニュー調整だった。藤本打撃コーチは「下痢ちゃうか?」と苦笑いも「いい休養になったかな」と元気な姿に安心した。本人は「問題ない」と症状を隠したが、3打数2安打4打点の大活躍で全快を証明した。  チームに所属するキューバ出身選手は5人。来日5年目の大砲が親分的な存在だ。食事会の音頭を取ることも多く、育成選手のコラスにも気をかける。小まめにテレビ電話で様子を確認し、2日前にも、宮崎でフェニックス・リーグに参加している20歳の表情を確認した。  大事な第1戦で快勝を飾った。パ・リーグのプレーオフ、CSは過去14度のうち、12度が初戦に勝ったチームが突破している。  「1カ月チームを離れて悔しかったけど、過去はどうしようもない。このCSにぶつけたいね」  8月に右膝を痛めて優勝争いの大事な時期に不在だった分も大暴れ。デスパイネもチームも最高のスタートを切った。 (安藤理) 3番手で1回無失点のソフトバンク・石川 「ゼロで抑えられたのは大きい。投げるところで頑張るだけ」 九回を締めたソフトバンク・森 「(調子は)全然悪くない」

◆勝敗を分けたのは経験値の差だろう。一回の攻防に全てが凝縮されていたように思う。  日本ハムは二死から近藤が本塁打を放ち、さらに中田の四球とアルシアの左前打で一、二塁。ミランダをつぶせる絶好機だった。しかし、若い渡辺は見逃しの3球三振。押せ押せのムードが一気にしぼんでしまった。  対してソフトバンクは上林のフラフラッと上がった打球が二塁打になり、中村晃のボテボテの当たりが内野安打。ラッキーな安打が続いて得た無死満塁で、しっかり上沢をつかまえた。  勝負どころと集中力を高めて打席に立った柳田が右前適時打を放ち、デスパイネは満塁弾。何度も修羅場をくぐってきた選手たちのすごみを感じた。一方、ポストシーズンは4年ぶりの登板の上沢は地に足がついていない感じ。いきなり不運な形でピンチを招いたとはいえ、ボールが浮き、球威もない。シーズンとは別人のようだった。  2番手で圧巻の投球を見せたソフトバンク・武田に象徴されるように、両軍ともに救援陣は充実している。2戦目以降も先発投手の出来が鍵を握るだろう。崖っぷちの日本ハムは何とか序盤で主導権を握りたい。 (サンケイスポーツ専属評論家)